JP7476446B2 - 意匠性シート - Google Patents

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Description

本発明は柔軟性および意匠性を兼ね備えた意匠性シートに関する。より詳細には、広告幕やカバン等に使用した場合、繊維性基布の糸目を引き立たせ、アイキャッチ性に優れる意匠性シートに関する。
従来、広告幕やカバン等に使用されている積層シートとしては、一般的に着色樹脂層同士で基布を挟んだ積層シートが使用されている。
しかし、上記積層シートを広告幕に使用した場合、アイキャッチ性に劣り広告幕の見せたい部分を強調させるような意匠性は得られない。
また、意匠性を有する積層シートとしては特許文献1のような積層シートが提案されている。特許文献1では、ガラス繊維織物及び熱可塑性樹脂を有する基材層と、上記基材層の一方の面及び他方の面のそれぞれに、接着層、透明樹脂層、及びトップコート層を有した構成となっており接着層と透明樹脂層の間に印刷層を設け意匠性を出している。しかし、特許文献1の積層シートでは、透明性を出すためにガラス繊維織物に熱可塑性樹脂を含侵しているので、むしろ糸目が埋められてしまい糸目を引き立たせた意匠性を得ることはできない。また、ガラス繊維織物に熱可塑性樹脂を含侵していることに加え、印刷層と透明樹脂層の間に接着層があるため、積層シート自体が硬くなってしまう。
また、特許文献2には繊維性基布の両側に防水層を設け、その防水層に布目状の表面模様を設けた防水シートが提案されている。特許文献2の防水シートは防水層を着色することで色を付けることは可能だが表面に透明樹脂層がいないため糸目を引き立たせた意匠性が得られず、アイキャッチ性のある意匠性シートが得られるものではない。
特開2019-084808号公報 特開2018-130850号公報
本発明は、柔軟性があり繊維性基布糸目を引き立たせた意匠性があることによりアイキャッチ性に優れる意匠性シートを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、繊維性基布(不織布もしくは繊維織物)を基材として、その少なくとも一面に透明樹脂層を設けた積層体とし、前記基材と透明樹脂層の間には接着層の役割も兼ねたバインダーを含むインキ層を設けた積層シートとすることで、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、繊維性基布を基材とし、該基材の少なくとも一面に透明樹脂層が設けられ、さらに前記基材と透明樹脂層の間にはバインダーを含むインキ層が設けられた積層シートを含み、JIS K7105試験法に準拠して測定した全光線透過率が35%以下であることを特徴とする意匠性シートであり、前記インキ層は、好ましくはウレタン系樹脂、エステル系樹脂、アクリル系樹脂、エチレンー酢酸ビニル系樹脂の少なくとも一種から選ばれるバインダー成分、さらに金属粒子または金属酸化物粒子を含有し、さらに好ましくは前記インキ層の塗布量が1g/m以上20g/m以下であることを特徴とする上記の意匠性シートである。
本発明の意匠性シートは柔軟性に優れ、かつ糸目を引き立たせた意匠性を有していることでアイキャッチ性に優れるため、人目を惹くことのできる広告幕や意匠性を特徴とするカバンや救命救急用具用ケース等に用いることができる。
また、表面が透明樹脂層になるため表面への印刷を行うことができ、加工方法に関しては縫製を行わずとも溶着を行うことができ気密性を保ったまま加工することができる。
本発明の意匠性シートの断面の一例を示す図 本発明の意匠性シートの断面の別の一例を示す図
本発明の意匠性シートは、繊維性基布を基材とし、該基材の少なくとも一面に透明樹脂層が設けられ、前記基材と透明樹脂層の間には接着層の役割も兼ねたインキ層が設けられたことを特徴とする意匠性シートであり、具体的には「透明樹脂層/インキ層/基材/インキ層/ 透明樹脂層」、「透明樹脂層/インキ層/基材/透明樹脂層」、あるいは「透明樹脂層/インキ層/基材」、「透明樹脂層/インキ層/基材/着色樹脂層」の何れかの構成であることが好ましい。
本発明の意匠性シートにおいて、繊維性基布を構成する繊維としてはケナフ、コットンなどの天然繊維 、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維などの無機繊維、ビスコースレーヨン、キュプラなどの再生繊維 、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル( ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)繊維、ポリアミド( ナイロン6、ナイロン66等)繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維、芳香族ポリエステル系繊維、芳香族ポリアミド系繊維、芳香族ヘテロ環ポリマー(ポリイミダゾール系、ポリオキサゾール系)繊維、ポリ塩化ビニル繊維などの合成繊維及びこれらの混合繊維、芯鞘繊維などが挙げられる 。特に芳香族ポリエステル系、芳香族ポリアミド系、芳香族ヘテロ環ポリマー系などによる高強度繊維糸条をリップストップ併用することで得られる意匠性シート本体の引裂破壊に対する耐性を増強することができる。またガラス、アルミナなどによる無機繊維糸条を用いることで得られる意匠性シートに耐火性や不燃性を付与することができる。
本発明の意匠性シートにおいて、繊維性基布の形態としては、不織布、織物、編物、織編物等があり何ら限定されないが、不織布あるいは織物が好適に用いられる。
織物を用いる場合には特にマルチフィラメント糸条の断面からの水の毛管現象による浸入を防止するための撥水処理、また、着炎時に自己消火性を付与するための防炎処理、あるいは被覆樹脂層との密着性を向上させるための接着処理を施すことができる。
本発明の意匠性シートにおいて、透明樹脂層に用いる樹脂は、塩化ビニル(可塑剤を含む)、塩化ビニル系共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンー酢酸ビニル共重合、ウレタン、ウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、アクリル、アクリル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、フッ素系エラストマー、シリコン系エラストマーなどの樹脂やエラストマーあるいはその架橋体、またはこれらの併用などを用いることができ、後述する紫外線吸収剤は含んでいてもよいが、着色剤、艶消し剤、充填剤等の添加剤は含まない。特に本発明の意匠性シートにおいては汎用性の面から塩化ビニル(可塑剤を含む)、ウレタン、エチレンー酢酸ビニル共重合などの樹脂を用いることが好ましく、またJIS K7105試験法に準拠して測定した全光線透過率が80%以上であることが好ましく90%以上であることがより好ましい。
本発明の意匠性シートにおいて、着色樹脂層を用いる場合、着色樹脂層に用いる樹脂は、塩化ビニル(可塑剤を含む)、塩化ビニル系共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンー酢酸ビニル共重合、ウレタン、ウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、アクリル、アクリル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、フッ素系エラストマー、シリコン系エラストマーなどの樹脂やエラストマーあるいはその架橋体、またはこれらの併用などを用いることができ、添加剤としてポリアゾレッドや結合アゾイエローのような有機系着色剤や群青や酸化チタン、弁柄、鉄黄のような無機系着色剤のいずれかを添加されたものを用いることができる。添加量に関しては樹脂100質量部に対して0.1質量部から30質量部が好ましく、1質量部から15質量部がより好ましい。特に本発明の意匠性シートにおいては汎用性の面から塩化ビニル(可塑剤を含む)、ウレタン、エチレンー酢酸ビニル共重合などの樹脂を用いることが好ましい。
本発明の意匠性シートにおいて、透明樹脂層あるいは着色樹脂層を設ける方法としては、圧縮成型法、カレンダー法、Tダイス押出法、キャスティング法、ディッピング法、コーティング法などのいずれかによるによる製造方法が用いられ、前記製造方法により得られる透明樹脂層及び着色樹脂層の厚みは0.05mm~1.0mmであることが好ましく0.1mm~0.5mmであることが更に好ましい。厚みが薄すぎると耐久性が悪くなることや意匠性を損なう要因となる。また、厚すぎると加工性や柔軟性が低下するばかりか重量の増加や意匠性低下の要因となる。
本発明の意匠性シートを屋外で使用する場合は透明樹脂層に有機系紫外線吸収剤もしくは無機系紫外線吸収剤を0.01~5重量%含むことが好ましく、具体的にはトリアジン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート化合物などを側鎖に有するアクリル系単量体と他のエチレン系不飽和化合物(アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの誘導体、スチレン、酢酸ビニル等)と共重合させた重量平均分子量が1万以上のものが有機系紫外線吸収剤として挙げられ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄が無機系紫外線吸収剤として挙げられ、この中から選ばれた1種類以上の紫外線吸収剤を添加することができる。
本発明の意匠性シートにおいて、インキ層には繊維性基布と透明樹脂層の接着性の点からバインダー成分を含むことが重要である。バインダー成分としてはエステル系ウレタンやエーテル系ウレタン、カーボネート系ウレタン、プロラクトン系ウレタン、ウレタン系エラストマーのようなウレタン系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂のようなエステル系樹脂、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル、アクリル系エラストマーのようなアクリル系樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合樹脂の少なくとも一種を含むことが好ましい。インキ層に用いるバインダー成分は透明樹脂層と同種である樹脂を用いることが接着性の観点より好ましい。
透明樹脂層にインキ層を積層する方法としては、カレンダー法、Tダイス押出法、キャスティング法、コーティング法(グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、転写印刷、インクジェット印刷)などのいずれかによる製造方法が用いられ、前記製造方法により得られるインキ層の塗布量は1g/m以上20g/m以下であることが好ましく、5g/m以上10g/m以下であることが更に好ましい。厚みが薄すぎると接着性や意匠性を損なう要因となり、厚みが厚すぎると柔軟性が低下するばかりか基布の糸目が引き立たず意匠性を損なう要因となる。
また、インキ層には顔料を含有していることが好ましい。インキ層に使用される顔料としては、パールマイカ、酸化チタンや酸化鉄で被覆されたマイカ、アルミニウム粉、銀粉、金粉、銅粉、青銅粉、その他の金属合金の粉末、金属蒸着細片など金属粒子、金属酸化物含有顔料もしくは、上記記載の金属粒子、金属酸化物含有顔料とパーマネントレットやフタロシアニングリーン、ファーストイエローなどのような有機系顔料、もしくは、カーボン、黄鉛やクロムバーミリオン、炭酸カルシウム、バライト粉などのような無機系顔料の混合顔料を用いることが好ましい。インキ層に含まれる顔料成分は5~40重量%であることが好ましく、10~25重量%であることがより好ましい。
本発明の意匠性シートの表面には防汚層を設けることもできる。防汚層としては例えば、アクリル系樹脂、フッ素系共重合樹脂、アクリルーシリコン共重合樹脂、アクリルーフッ素共重合樹脂、アクリルーウレタン共重合樹脂、アクリル系樹脂とフッ素系共重合樹脂とのブレンド、及びこれら樹脂にシリカ微粒子、コロイダルシリカ、オルガノシリケート、シランカップリング剤、紫外線吸収剤などを含んでなる層を防汚層として設けることができる。
本発明の意匠性シートの製造方法は、上記構成を満たす意匠性シートを製造する方法であれば特に限定されない。本実施形態の意匠性シートの製造方法の例としては、繊維性基布の少なくとも一面にコーティング法によってインキ層を設けられた透明樹脂層を圧縮成型する方法や熱ラミネートする方法が挙げられる。この他にも、繊維性基布にディッピング法によってインキ層を設け少なくとも一面にカレンダー法により作製された透明樹脂層を熱ラミネートする方法も挙げられる。
このようにして得られた本発明の意匠性シートはJIS K7105試験法に準拠して測定した全光線透過率が35%以下であることが重要である。全光線透過率が35%より大きい場合、色がわかりにくくただ繊維基布が見えているだけの意匠となってしまうなどの問題点がある。好ましくは20%以下であり、より好ましくは5%以下である。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<柔軟性評価>
JIS L1018試験方法にて規定のカンチレバー法を用いて柔軟性を評価した。具体的にはシートを20mm×150mmにカットし、45°の傾斜をもつ水平台にシートを置き、金属板で試験片をおさえて静かにすべらせ、試験片の先端中央部が斜面に接したときの長さを読み取り、長さが7cm以下のものを柔軟性が良好と判断した。
<意匠性評価>
実施例1から9、比較例1から5の意匠性シートを5名の評価者が肉眼で以下の評価方法にて確認した。
繊維基布の糸目形状が認識でき且つ色味がはっきりしているものを〇、糸目形状が認識できないもしくは色がわかりにくく、ただ繊維基布が見えているだけのものを×と判断することとした際に、評価者5名全員が〇と判断したものを「5」、5名中4名が〇と判断したものを「4」、5名中3名が〇と判断したものを「3」、5名中2名が〇と判断したものを「2」、5名中1名が〇と判断したものを「1」、5名全員が×と判断したものを「0」と評価し、「4」以上を意匠性良好と判断した。
<全光線透過率測定>
実施例、比較例の意匠性シートについて、JIS K7105試験方法に規定の方法にて全光線透過率を測定し、実施例、比較例の意匠性シートについて全光線透過率が35%以下のものを良好と判断する。
<実施例1>
透明樹脂層にインキ層を塗布量で1g/m塗布したものを2枚用意し、インキ層面を繊維性基布側となるようにして、繊維性基布の両側に透明樹脂層を積層した。
インキ層の透明樹脂層への塗布条件
不揮発分とSelect-Roller(オーエスジーシステムプロダクツ株式会社)の番手をもとに目的の塗布量になるSelect-Roller(オーエスジーシステムプロダクツ株式会社)を用いてコーティングを実施した。
意匠性シートの積層条件
下記記載の圧縮成型機(加熱用)を用いて温度150℃、圧力4MPaにて30秒間熱プレスを行いその後、下記記載の圧縮成型機(冷却用)を用いて30秒間冷却を行い積層した。
圧縮成型機(加熱用);
メーカー:株式会社神藤金属工業所
型式:NF-37H
シリンダー径:150mm
プレス板:320mm×320mm
圧縮成型機(冷却用);
メーカー:株式会社神藤金属工業所
型式:NF-37C
シリンダー径:150mm
プレス板:320mm×320mm
冷却方法:工業用水の循環
使用する繊維性基布、透明樹脂層、インキ層の詳細は以下のとおりである。
繊維性基布(ガラスクロス)
品名:KS1090 1040 S920N(日東紡株式会社製)
材質:ガラス繊維
厚さ:0.06mm
目付:46g/m
糸密度:55×49本/インチ
透明樹脂層
材質:軟質塩化ビニル樹脂(可塑剤:30.7重量%)
全光線透過率:92.0%
厚さ:100μm
坪量:126g/m
インキ層
品名:V12-NT メタリックシルバー(大日精化工業株式会社製)
バインダー:塩酢ビアクリル系樹脂
顔料:アルミニウム 10重量%
<実施例2>
インキ層の透明樹脂層への塗布量を5g/mに変更した以外は実施例1と同様の条件にて意匠性シートを得た。
<実施例3>
インキ層を以下に変更し、透明樹脂層への塗布量を1g/mとした以外は実施例1と同様の条件にて意匠性シートを得た。
インキ層
配合:高光輝性アルミペースト(東洋アルミ株式会社製) 15重量%
バイロンUR3210(東洋紡株式会社製) 20重量%
メチルエチルケトン 65重量%
<実施例4>
インキ層の透明樹脂層への塗布量を5g/mとした以外は実施例3と同様の条件にて意匠性シートを得た。
<実施例5>
繊維性基布を以下に変更した以外は実施例1と同様の条件にて意匠性シートを得た。
繊維性基布(ポリエステル織物)
品名:KE2002SWJ(荒澤ターポリン株式会社製)
材質:ポリエステル繊維
厚さ:130μm
目付:68g/m
糸密度:23×24本/インチ
<実施例6>
実施例5と同様の繊維性基布を用いた以外は実施例2と同様の条件にて意匠性シートを得た。
<実施例7>
実施例5と同様の繊維性基布を用いた以外は実施例3と同様の条件にて意匠性シートを得た。
<実施例8>
実施例5と同様の繊維性基布を用いた以外は実施例4と同様の条件にて意匠性シートを得た。
<実施例9>
実施例1の繊維性基布を使用し、該繊維性基布の表面側には透明樹脂層、該繊維性基布の裏面側には以下の組成の着色樹脂層を用い、さらに透明樹脂層と繊維性基布との間には実施例2と同様のインキ層を用い、該インキ層の透明樹脂層への塗布量を5g/mとすることで、意匠性シートを得た。
着色性樹脂層
材質:軟質塩化ビニル樹脂(可塑剤30.0重量%)
全光線透過率:12.0%
厚さ:120μm
坪量:155g/m
<比較例1>
実施例1におけるインキ層の透明樹脂層への塗布量を0.5g/mに変更した以外は実施例1と同様の条件にてシートを得た。
<比較例2>
実施例1同様の繊維性基布を用いて透明樹脂層を両側に積層しシートを得た。この際、透明樹脂層にはインキ層を塗布しなかった。
<比較例3>
実施例1と同様の繊維性基布を用いて両面に実施例9と同じ着色樹脂層を積層し、繊維性基布と着色樹脂層の間には実施例1と同様のインキ層を用い、該インキ層の透明樹脂層への塗布量を5.0g/mとしたシートを得た。
<比較例4>
以下に示す繊維性基布を用いて透明樹脂層を両側に積層し、透明樹脂層には実施例1と同様のインキ層(透明樹脂層への塗布量5g/m)、さらに以下に示す接着層の順番に層を設け意匠性シートを得た。
繊維性基布
実施例1と同様の繊維性基布100重量部に対してポリエステル樹脂(バイロンGK-880:東洋紡株式会社製)100重量部を含侵させて作製。
接着層
品名:モンフペーストAP765改(古藤工業株式会社製)
材質:塩ビゾル
塗布量:5g/m
<比較例5>
実施例1と同様の繊維性基布を使用し基布の両面に着色樹脂層を積層してシートを得た。さらに得られたシート表面に糸密度が55×49本/インチのガラスクロスを置き、実施例1と同じ圧縮成型機(加熱用)を用いて温度150℃、圧力4MPaにて30秒間熱プレスを行いその後、実施例1と同じ圧縮成型機(冷却用)を用いて30秒間冷却を行った後、表面に置いたガラスクロスを外すことで表面に凹凸模様を設けた意匠性シートを得た。
〈評価結果〉
実施例1~9のシートは、JIS K7105試験法に準拠して測定した全光線透過率が35%以下であり、意匠性に優れる。さらには繊維性基布と透明樹脂層の間にバインダー成分を含むインキ層を設けることにより、柔軟性にも優れる。
一方、JIS K7105試験法に準拠して測定した全光線透過率が35%を超えたシート(比較例1)は着色の具合がわかりにくく単純に繊維性基布が見えているだけの意匠性になっていた。同様にインキ層を設けなかったシート(比較例2)に関しても比較例1と同様に全光線透過率が35%を超え、単純に繊維性基布が見えているだけの意匠性となっているだけでなく、透明樹脂層と繊維性基布との接着ができていなかった。
透明樹脂層を用いず、着色樹脂層と繊維性基布の間にインキ層を設けたシート(比較例3)に関しては表面樹脂層が着色されていることによりインキ層が繊維性基布に追従してできる凹凸模様が見えない為、糸目を引き立たせた意匠性が得られていない。
繊維性基布とインキ層との間に接着層を設けたシート(比較例4)は表面の凹凸を埋めてしまうため、糸目を引き立たせた意匠性は得られないばかりか柔軟性が損なわれてしまうものとなってしまう。
また、織物で表面に凹凸形状を付けたもの(比較例5)に関しても糸目を引き立たせた意匠性を得ることはできていない。
本発明の意匠性シートは柔軟性があり、アイキャッチ性のある意匠性を有しており、特に軟質塩化ビニル樹脂やポリウレタンなどでは高周波溶着が可能であることから、ビニールカバンなどのアパレル分野や広告幕などの建材分野、アイキャッチ性を有しているため救命用途等で用いることができる。
1 繊維性基布
2 インキ層
2’ インキ層
3 透明樹脂層
3’ 透明樹脂層
4 着色樹脂層

Claims (5)

  1. 繊維性基布を基材とし、該基材の少なくとも一面に透明樹脂層が設けられ、さらに前記基材と透明樹脂層の間にはバインダー成分を含むインキ層が設けられた積層シートを含み、JIS K7105試験法に準拠して測定した全光線透過率が35%以下であり、「透明樹脂層/インキ層/基材/インキ層/透明樹脂層」、「透明樹脂層/インキ層/基材/透明樹脂層」、あるいは、「透明樹脂層/インキ層/基材/着色樹脂層」の何れかの構成であり、前記いずれかの構成を記載の順序で有し、前記透明樹脂層の厚みが0.1mm~1.0mmであることを特徴とする意匠性シート。
  2. 前記インキ層はウレタン系樹脂、エステル系樹脂、アクリル系樹脂、エチレンー酢酸ビニル系樹脂の少なくとも一種から選ばれるバインダー成分を含むことを特徴とする請求項1記載の意匠性シート。
  3. 前記インキ層は金属粒子または金属酸化物粒子を含有する顔料を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の意匠性シート。
  4. 前記インキ層の塗布量が1g/m以上20g/m以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の意匠性シート。
  5. JIS L1018試験方法にて規定のカンチレバー法を用いて測定した柔軟性が4.1~7cmである請求項1から4のいずれかに記載の意匠性シート。
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