JP7475524B1 - 舶用エンジンの制御装置及び船舶の運転方法 - Google Patents

舶用エンジンの制御装置及び船舶の運転方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガス燃料で運転される舶用エンジンにおいて、燃費及びメタンスリップを低減すると共に、入出港時における低負荷運転から高負荷運転への過渡運転時のノッキングの発生を抑える。【解決手段】一般海域の沿岸C2への入港時に、舶用エンジン1のチューニング状態を、第1チューニング状態から、第1チューニング状態よりも燃費が悪く、且つ、NOXの排出量が少ない第2チューニング状態に切り換える。【選択図】図10

Description

本発明は、舶用エンジンの制御装置及び船舶の運転方法に関する。
舶用エンジンは、国際海事機関(IMO)によりSOやNOの排出量が規制されており、特定の海域{排出規制海域(ECA)}ではSOやNOの排出量が特に厳しく規制される。ECAにおける排出規制はTire3とも呼ばれ、他の海域(一般海域)における排出規制であるTire2と区別される。
例えば、下記の特許文献1には、自船位置自動検出手段により、排気ガス規制対象海域(ECAと一般海域)の境界と自船との位置関係を特定し、この位置関係に応じて、エンジンの排気ガスの浄化状態を規制に応じた状態に切り換える発明が示されている。規制対象海域に入る場合は、規制がクリアーされる浄化状態に自動的に切り換わって、規制対象海域から出る場合は、規制クリアー状態が解除される状態に自動で切り換わる。これにより、排気ガスに関する規制を正確かつ迅速にクリアーできる。排気ガスの浄化状態の切り換えは、例えば、燃料の種類(A重油又はC重油)の切り換え、浄化装置のON・OFFの切り換え、浄化装置の種類の切り換えにより行われる。
また、下記の特許文献2には、舶用ディーゼルエンジンのチューニング状態により、NOの排出量を切り替える技術が示されている。ディーゼルエンジンにおいて、NOの排出量と燃費はトレードオフの関係にあり、NOの排出量を低減するチューニングを行うと燃費が悪化し、燃費を良くするチューニングを行うとNOの排出量が増大する。そこで、同文献の発明では、第1チューニング状態と、第1チューニング状態よりも燃費が悪く、且つ、NOの排出量が少ない第2チューニング状態との間で切替可能としている。一般海域(Tier2)では、第1チューニング状態とすることで燃費が良い状態で航行し、ECA(Tier3)では、第2チューニング状態とすることでNOの排出量をTier3の基準値以下に抑えることができる。
特開2010-69999号公報 特開2021-32209号公報
ところで、舶用エンジンでは、従来は重油を用いられていたが、昨今の環境保護の要請から、SOや煤の排出が少ないガス燃料(LNG)を用いることが増えている。LNGは、重油と比べて、COの排出を25~30%程度削減できるが、排ガス中に未燃のガス燃料(メタンガス)が残る、いわゆるメタンスリップの問題がある。メタンは、COに比べて温室効果が高いため、メタンが排出されると、COの削減効果が滅殺されてしまう。
例えば、燃費を向上させるチューニングを行えば、メタンスリップを低減することができるが、その場合、ノッキングが発生しやすくなる。特に、入出港時に船舶を横方向に動かすバウスラスタ運転の際には、通常運転時よりもエンジンに加わる負荷が大きいため、通常運転(低負荷運転)からバウスラスタ運転(高負荷運転)に切り替える際に、エンジンに加わる負荷が大きく変動する。このような負荷変動の大きい過渡運転時には、燃費の良いチューニングではノッキングが発生して運転が困難となることがある。
そこで、本発明は、ガス燃料で運転される舶用エンジンにおいて、メタンスリップを低減すると共に、入出港時における低負荷運転から高負荷運転への過渡荷運転時のノッキングの発生を抑えることを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、ガス燃料で運転される舶用エンジンの制御装置であって、一般海域の沿岸への入港時に、前記舶用エンジンのチューニング状態を、第1チューニング状態から、前記第1チューニング状態よりも燃費が悪く、且つ、NOの排出量が少ない第2チューニング状態に切り換える舶用エンジンの制御装置を提供する。
上記特許文献2では、排出規制が異なる海域(一般海域とECA)との境界でチューニング状態の切り替えが行われていた。このように、排出規制を基準としてチューニングを切り換える場合、規制が緩い一般海域の沿岸に入出港する際には、第2チューニング状態に切り換える必要はなく、燃費の良い第1チューニング状態のままでよい。これに対し、本発明では、入出港時における低負荷運転から高負荷運転への過渡運転時のノッキングの発生という課題に着目したことにより、ECAではない一般海域の沿岸への入港時にチューニング状態を切り替える、という新規な着想に至った。これにより、通常航行時(入出港時以外)には、第1チューニング状態とすることで燃費の良い状態で航行し、入出港時には、第2チューニング状態とすることで、エンジンの負荷変動が大きい過渡運転時でもノッキングの発生を抑えることができる。
具体的には、例えば、一般海域の沿岸のうち、エンジンの負荷変動が相対的に大きい海域とエンジンの負荷変動が相対的に小さい海域との境界にチューニング切替線を設定し、船舶が前記チューニング切替線よりも沖側にある場合は第1チューニング状態とし、前記船舶が前記チューニング切替線に達したら、前記第1チューニング状態から前記第2チューニング状態に切り替える。
例えば、燃焼室にパイロット燃料を供給するタイミングを変えることで、チューニング状態を切り替えることができる。この場合、第1チューニング状態は、第2チューニング状態よりも、燃焼室にパイロット燃料を供給するタイミングが早い。
また、燃焼室に供給される空気の温度(吸気温度)を変えることで、チューニング状態を切り替えることができる。この場合、第1チューニング状態は、第2チューニング状態よりも吸気温度が高い。
また、燃焼室に供給される空気の圧力(吸気圧力)を変えることで、チューニング状態を切り替えることができる。この場合、第1チューニング状態は、第2チューニング状態よりも吸気圧力が低い。
本発明は、ガス燃料で運転されるエンジンを有する船舶の運転方法であって、
一般海域の沿岸への入港時に、前記エンジンのチューニング状態を、第1チューニング状態から、前記第1チューニング状態よりも燃費が悪く、且つ、NOの排出量が少ない第2チューニング状態に切り換える船舶の運転方法として特徴づけることもできる。
以上のように、本発明によれば、入出港時における低負荷運転から高負荷運転への過渡運転時のノッキングの発生を抑えることができると共に、入出港時以外の通常航行時における燃費及びメタンスリップを低減できる。
舶用デュアルフューエルエンジンの模式図である。 上記舶用デュアルフューエルエンジンのシリンダの断面図である。 上記舶用デュアルフューエルエンジンと制御装置のブロック図である。 空気過剰率とエンジンに加わる負荷が変化したときのエンジンの状態を示す図である。 吸気弁及び排気弁の開閉タイミングとガス燃料を噴射するタイミングとの関係を示すグラフである。 パイロット燃料を噴射するタイミングと燃費及びメタンスリップの改善率との関係を示すグラフである。 吸気温度と燃費及びメタンスリップの改善率との関係を示すグラフである。 吸気圧力と燃費及びメタンスリップの改善率との関係を示すグラフである。 船舶が排出規制海域(ECA)の沿岸に入港する様子を示す平面図である。 船舶が一般海域の沿岸に入港する様子を示す平面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、船舶に搭載される舶用エンジン1(以下、単に「エンジン1」と言う。)を示す。エンジン1は、エンジン本体2と、過給機3と、吸気温度調整手段4と、吸気圧力調整手段5とを有する。
エンジン本体2は、複数(図示例では6個)のシリンダ6を有する。各シリンダ6は、図2に示すように、シリンダライナ7と、シリンダカバー8と、ピストン9と、吸気ポート10及び吸気弁11と、排気ポート12及び排気弁13とを有する。シリンダライナ7、シリンダカバー8、及びピストン9で区画された空間が燃焼室14となる。
各シリンダ6には、燃料供給手段が設けられる。本実施形態では、液体燃料(例えば重油)を供給する液体燃料供給手段21と、ガス燃料(例えばLNG)を供給するガス燃料供給手段22との2系統の燃料供給手段が設けられる。すなわち、本実施形態のエンジン1は、液体燃料で運転されるディーゼル運転モードと、ガス燃料で運転されるガス運転モードとの間で切り換え可能な、いわゆるデュアルフューエルエンジンである。
液体燃料供給手段21は、シリンダ6内の燃焼室14に開口した噴射口を有する液体燃料噴射部21aと、液体燃料噴射部21aに液体燃料を圧送するポンプ21bとを有する。ポンプ21bに内蔵された噴射量調整部(例えば、コントロールラック)により、液体燃料噴射部21aの噴射口からの液体燃料の噴射量が調整される。
ガス燃料供給手段22は、吸気ポート10内に開口した噴射口を有するガス燃料噴射部22aと、ガス燃料噴射部22aにガス燃料を圧送するガス圧縮機22bとを有する。ガス燃料噴射部22aに設けられた噴射量調整部(例えば、ソレノイド)により、ガス燃料噴射部22aの噴射口からの液体燃料の噴射量が調整される。
ガス燃料と空気との混合気はピストン9による圧縮だけでは着火しないため、各シリンダ6には着火手段が設けられる。本実施形態では、着火手段として、パイロット燃料(例えば重油)を燃焼室14に供給するパイロット燃料供給手段23が設けられる。パイロット燃料供給手段23は、燃焼室14に開口した噴射口を有するパイロット燃料噴射部23aと、パイロット燃料噴射部23aにパイロット燃料を圧送するポンプ23bとを有する。パイロット燃料噴射部23aに設けられた噴射量調整部(例えば、ソレノイド)により、パイロット燃料噴射部23aの噴射口からの液体燃料の噴射量が調整される。この他、着火手段として点火プラグを設けてもよい。
過給機3は、図1に示すように、コンプレッサ31と、タービン32と、これらを連結する回転軸33とを有する。エンジン本体2から排気された排気ガスを排気管17を介してタービン32に供給し、この排気ガスの圧力でタービン32、回転軸33、及びコンプレッサ31を一体に回転させる。これにより、外部から取り込んだ空気をコンプレッサ31で圧縮して、吸気管15を介して各シリンダ6の吸気ポート10に供給する。
吸気温度調整手段4は、各シリンダ6に供給される空気の温度(吸気温度)を調整するものである。本実施形態の吸気温度調整手段4は、吸気管15内を流通する空気の温度を調整するものであり、ジャケット冷却水を冷媒とする高温冷却部41と、クーラー冷却水を冷媒とする低温冷却部42とを有する。高温冷却部41は、例えば、エンジン本体2の冷却水路から排出された水(エンジン本体2を冷却した水)が流通する高温冷却水路41aを有する。低温冷却部42は、高温冷却部41の下流側に設けられた低温冷却水路42aと、低温冷却水路42aに供給する冷却水の流量を調整する流量調整弁42bとを有する。
高温冷却部41は、エンジン本体2を冷却した水を高温冷却水路41a内に流し続けることで吸気管15内の空気の粗熱を取るものであり、吸気管15内の空気の温度を制御していない。従って、例えば高温冷却部41で冷却された吸気管15内の空気の温度を検知する温度センサを設け、この温度センサの検知結果に基づいて低温冷却部42の流量調整弁42bの開き具合を調整して、低温冷却水路42aに流れる水量を調整することにより、吸気管15内の空気を所定の温度にすることができる。
吸気圧力調整手段5は、シリンダ6に供給される空気の圧力(吸気圧力)を調整するものである。本実施形態では、各シリンダ6とタービン32とを接続する排気管17から分岐したバイパス管18が設けられ、このバイパス管18に吸気圧力調整手段5が設けられる。吸気圧力調整手段5は、バイパス管18に設けられた流量調整弁50(ウェストゲートバルブ)を有する。流量調整弁50の開き具合を調整してバイパス管18の流量を調整することで、タービン32に供給される排気ガスの流量を調整する。これにより、過給機3の回転数を調整して、コンプレッサ31による圧縮率が調整され、その結果、吸気圧力が調整される。例えば、エンジン本体2に吸気管15内の圧力を検知する圧力センサを設け、この圧力センサの検知結果に基づいて流量調整弁50の開き具合を調整することで、吸気圧力を所定値にすることができる。
上記のエンジン1は、本発明の一実施形態に係る制御装置60により制御される。制御装置60は、図3に示すように、液体燃料供給手段21、ガス燃料供給手段22、パイロット燃料供給手段23、吸気温度調整手段4、吸気圧力調整手段5に接続され、これらを制御する。本実施形態の制御装置60は、液体燃料供給手段21のポンプ21bの噴射量調整部と、ガス燃料供給手段22のガス燃料噴射部22aの噴射量調整部と、パイロット燃料供給手段23のパイロット燃料噴射部23aの噴射量調整部と、吸気温度調整手段4の低温冷却部42の流量調整弁42bと、吸気圧力調整手段5の流量調整弁50とに接続され、これらの開き具合を制御する。
制御装置60は、エンジン1を、ディーゼル運転モードあるいはガス運転モードの何れかのモードで運転する。ディーゼル運転モードでは、ガス燃料供給手段22を停止した状態で、液体燃料供給手段21及びパイロット燃料供給手段23により液体燃料及びパイロット燃料を燃焼室14に供給する。一方、ガス運転モードでは、液体燃料供給手段21を停止した状態で、ガス燃料供給手段22及びパイロット燃料供給手段23によりガス燃料及びパイロット燃料を燃焼室14に供給する。
制御装置60でエンジン1をガス運転モードで運転する際、ガス燃料が相対的に燃えやすくなるようにチューニングした第1チューニング状態と、第1チューニング状態よりもガス燃料が燃えにくい第2チューニング状態との間で切り換えることができる。第1チューニング状態では、第2チューニング状態よりも燃費やメタンスリップが低く、第2チューニング状態では、第1チューニング状態よりもNOxの排出量が少なく、過渡運転時でもノッキングが発生しにくい。下記の表1に、チューニング状態を切り換える際に調整するパラメータと、各チューニング状態の相対的な状態を示す。
Figure 0007475524000002
図4に、混合気中の空気過剰率とエンジンに加わる負荷を変化させたときの、エンジン1の状態を示す。同図に示されるように、空気過剰率が小さすぎる(燃料が濃すぎる)とエンジン1にノッキングが生じ、空気過剰率が大きすぎる(燃料が薄すぎる)とエンジン1が失火する。このようなノッキングや失火が生じない空気過剰率の範囲が、エンジン1が稼働する運転可能域(散点領域)となる。エンジンに加わる負荷が大きくなるほど、運転可能域の空気過剰率の範囲は小さくなる。この運転可能域の範囲内で、空気過剰率が相対的に低い(すなわち、混合気中の燃料の割合が高い)第1チューニング状態と、空気過剰率が相対的に高い(すなわち、混合気中の燃料の割合が低い)第2チューニング状態を設定する。
例えば、通常運転からバウスラスタ運転への過渡運転時に、エンジンを第1チューニング状態とした場合、エンジン負荷が急激に上昇することで、吸気が追い付かずに混合気中の空気が少なくなるため、第1チューニング状態の線上から図中で左上方向に変位して、ノッキング領域に侵入する(矢印A1参照)。その後、吸気が追い付いて混合気中の空気の割合が高まり、再び第1チューニング状態の線上に戻る(矢印A2、B2参照)。
一方、過渡運転時に、エンジンを第2チューニング状態とした場合も、エンジン負荷が急激に上昇することで、第2チューニング状態の線上から図中左上方向に変位する(矢印B1参照)。しかし、第2チューニング状態は、第1チューニング状態よりもノッキング領域から離れているため、過渡運転時であってもノッキング領域に侵入しにくいため、ノッキングの発生を回避することができる。
また、本実施形態では、図5に示すように、ガス燃料噴射部22aからガス燃料を噴射する期間が、排気弁13を閉じてから吸気弁11を閉じるまでの間に設定されている。すなわち、排気弁13を閉じた後にガス燃料噴射部22aからのガス燃料の噴射が開始され、吸気弁12を閉じる前にガス燃料噴射部22aからのガス燃料の噴射を終了する。これにより、ガス燃料の吹き抜け(排気系統への漏れ出し)や吸気ポート10内への残留が抑えられる。
図6に、パイロット燃料を噴射するタイミングと、燃費及びメタンスリップの改善率との関係を示す。同図は、シリンダ6のピストン9が上死点付近(例えば、上死点前10°)に達したときにパイロット燃料の噴射を開始した場合の燃費及びメタンスリップを基準とし、これに対してパイロット燃料の噴射開始時期を早くしたときの燃費及びメタンスリップの改善率を示している。同図の横軸は、パイロット燃料の噴射開始時期を、基準(上死点前10°)に対してどれだけ早くしたかをクランクシャフトの回転角で表している。この図から、パイロット燃料の噴射開始時期が早いほど、燃費及びメタンスリップの改善率が高くなっていることが分かる。
本実施形態では、第1チューニング状態におけるパイロット燃料の供給開始時期が、第2チューニング状態におけるパイロット燃料の供給開始時期よりも早くなるように、パイロット燃料供給手段23のパイロット燃料噴射部23aの噴射量調整部(例えば、ソレノイドを励磁する時期)を制御する。具体的に、パイロット燃料の噴射時期は、ピストン9が下死点から上死点に至るまでの圧縮工程の終期(上死点の直前)に設定され、例えば、第1チューニング状態のパイロット燃料噴射開示時期は上死点から15°前に設定され、第2チューニング状態のパイロット燃料噴射開始時期は上死点から10°前に設定される。これにより、第1チューニング状態では、第2チューニング状態よりも燃費及びメタンスリップが改善される一方で、NO排出量は増大し、ノッキングは発生しやすくなる。
図7に、吸気温度と、燃費及びメタンスリップの改善率との関係を示す。同図は、吸気温度を基準値に対して上昇させたときの燃費及びメタンスリップの改善率を示している。この図から、吸気温度が高いほど、燃費及びメタンスリップの改善率が高くなっていることが分かる。本実施形態では、第1チューニング状態の吸気温度が第2チューニング状態の吸気温度よりも高くなるように、各チューニング状態における吸気温度調整手段4の低温冷却部42の流量調整弁42bを制御する。これにより、第1チューニング状態では、第2チューニング状態よりも燃費及びメタンスリップが改善される一方で、NO排出量は増大し、ノッキングは発生しやすくなる。
図8に、吸気圧力と、燃費及びメタンスリップの改善率との関係を示す。同図は、吸気圧力を基準値に対して低下させたときの燃費及びメタンスリップの改善率を示している。この図から、吸気圧力が低いほど、燃費及びメタンスリップの改善率が高くなっていることが分かる。本実施形態では、第1チューニング状態の吸気圧力を第2チューニング状態の吸気圧力よりも低くなるように、各チューニング状態における吸気圧力調整手段5の流量調整弁50を制御する。これにより、第1チューニング状態では、第2チューニング状態よりも燃費及びメタンスリップが改善される一方で、NO排出量は増大し、ノッキングは発生しやすくなる。
図9に、上記のエンジン1及び制御装置60を有する船舶Sが、排出規制海域(Tier3)の沿岸C1に入港する様子を示す。この場合、一般海域(Tier2)と排出規制海域(Tier3)との境界線L1に基づいてチューニング状態の切り替えが行われる。具体的に、船舶Sが境界線L1よりも沖側にある場合は、エンジン1は燃費の良い第1チューニング状態とされる(図中の符号Sの後のかっこ内の数字は、チューニング状態を示す。)。そして、船舶Sが境界線L1に近づいたら、制御装置60からの指令により、エンジン1が第1チューニング状態から、Tier3の基準を満たす第2チューニング状態に切り替えられる。その後、船舶Sが着岸する際に、エンジン1に大きな負荷が加わる高負荷運転(バウスラスタ運転等)が行われる。このとき、エンジン1は、低負荷運転から高負荷運転への過渡運転が行われるため、負荷変動が大きくなるが、ノッキングが生じにくい第2チューニング状態であるため、スムーズに入港することができる。尚。排出規制海域の沿岸C1から出港する際には、上記と逆の手順で第2チューニング状態から第1チューニング状態に切り替える。
一方、図10に、上記の船舶Sが一般海域(Tier2)の沿岸C2に入港する様子を示す。この場合、従来のように排出規制のみを考慮すると、エンジン1のチューニング状態を切り換える必要はないため、燃費の良い第1チューニング状態で入港すればよい。本実施形態では、第2チューニング状態は第1チューニング状態よりも過渡運転時のノッキングが生じにくい点に着目して、一般海域の沿岸C2に入港する際にも、第1チューニング状態から第2チューニング状態に切り換えるようにした。
具体的には、予め、一般海域の沿岸C2のうち、エンジンの負荷変動が相対的に大きい海岸付近の海域とエンジンの負荷変動が相対的に小さい沖側の海域との境界にチューニング切替線L2を設定しておく。第1チューニングから第2チューニングへの切り換えは、低負荷運転から高負荷運転(バウスラスタ運転)に切り換える過渡運転の直前であればよいため、チューニング切替線L2の沿岸C2の海岸線からの距離は、図9における境界線L1の沿岸C1の海岸線からの距離と比べてはるかに短く、例えば1km以下とされる。
船舶Sがチューニング切替線L2よりも沖側にある場合は、エンジン1は燃費の良い第1チューニング状態とされる。そして、船舶Sがチューニング切替線L2に達したら、制御装置60からの指令により、エンジン1が第1チューニング状態から第2チューニング状態に切り替えられる。これにより、沿岸C2への入港時において、低負荷運転から高負荷運転(バウスラスタ運転)に切り換える過渡運転時のノッキングが抑えられるため、スムーズに入港することができる。尚。一般海域の沿岸C2から出港する際には、上記と逆の手順で第2チューニング状態から第1チューニング状態に切り替える。
本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、上記の実施形態では、制御装置60により、第1チューニング状態から第2チューニング状態に自動で切り替える場合を示したが、チューニング状態の切り換えを手動で行ってもよい。例えば、一般海域の沿岸C2に入港する際(図10参照)に、低負荷運転から高負荷運転へ切り換える過渡運転を開始する直前に、手動で第1チューニング状態から第2チューニング状態に切り換えてもよい。また、一般海域の沿岸C2から出港する際に、高負荷運転を終了した直後に、手動で第2チューニング状態から第1チューニング状態に切り換えてもよい。
以上の実施形態では、パイロット燃料の供給タイミング、吸気温度、及び吸気圧力を調整してチューニング状態を切り換える場合を示したが、必ずしもこれらの全ての項目を調整する必要はなく、これらの項目から選択した1つあるいは複数の項目を調整することでチューニング状態を切り換えてもよい。
本発明は、液体燃料とガス燃料の2系統の燃料供給手段を有する、いわゆるデュアルフューエルエンジンに限らず、液体燃料供給手段21を有さず、ガス燃料のみで運転されるガスエンジンに適用することもできる。
1 舶用エンジン
2 エンジン本体
3 過給機
4 吸気温度調整手段
5 吸気圧力調整手段
6 シリンダ
7 シリンダライナ
8 シリンダカバー
9 ピストン
10 吸気ポート
11 吸気弁
12 排気ポート
13 排気弁
14 燃焼室
15 吸気管
17 排気管
18 バイパス管
21 液体燃料供給手段
21a 液体燃料噴射部
21b ポンプ
22 ガス燃料供給手段
22a ガス圧縮機
22b ポンプ
23 パイロット燃料供給手段
23a パイロット燃料噴射部
23b ポンプ
31 コンプレッサ
32 タービン
33 回転軸
41 高温冷却部
41a 高温冷却水路
42 低温冷却部
42a 低温冷却水路
42b 流量調整弁
50 流量調整弁
60 制御装置
C1 排出規制海域の沿岸
C2 一般海域の沿岸
L1 排出規制海域と一般海域の境界線
L2 チューニング切替線
S 船舶

Claims (10)

  1. ガス燃料で運転される舶用エンジンの制御装置であって、
    排出規制海域を伴わない一般海域の沿岸への入港時に、前記舶用エンジンのチューニング状態を、第1チューニング状態から、前記第1チューニング状態よりも燃費が悪く、且つ、NOの排出量が少ない第2チューニング状態に切り換える舶用エンジンの制御装置。
  2. 前記沿岸のうち、エンジンの負荷変動が相対的に大きい海岸付近の海域とエンジンの負荷変動が相対的に小さい沖側の海域との境界にチューニング切替線を設定し、
    船舶が前記チューニング切替線よりも沖側にある場合は前記第1チューニング状態とされ、
    前記船舶が前記チューニング切替線に達したら、前記第1チューニング状態から前記第2チューニング状態に切り換える請求項1に記載の舶用エンジンの制御装置。
  3. 前記第1チューニング状態は、前記第2チューニング状態よりも、前記舶用エンジンの燃焼室にパイロット燃料を供給するタイミングが早い請求項1に記載の舶用エンジンの制御装置。
  4. 前記第1チューニング状態は、前記第2チューニング状態よりも、前記舶用エンジンの燃焼室に供給される空気の温度が高い請求項1に記載の舶用エンジンの制御装置。
  5. 前記第1チューニング状態は、前記第2チューニング状態よりも、前記舶用エンジンの燃焼室に供給される空気の圧力が低い請求項1に記載の舶用エンジンの制御装置。
  6. 前記第2チューニング状態は、前記第1チューニング状態よりも前記ガス燃料が燃えにくい請求項1に記載の舶用エンジンの制御装置。
  7. 前記第2チューニング状態は、前記第1チューニング状態よりもノッキングが発生しにくい請求項1に記載の舶用エンジンの制御装置。
  8. 前記第1チューニング状態は、前記第2チューニング状態よりもメタンスリップが少ない請求項1に記載の舶用エンジンの制御装置。
  9. 前記第2チューニング状態は、前記第1チューニング状態よりも空気過剰率が高い請求項1に記載の舶用エンジンの制御装置。
  10. ガス燃料で運転されるエンジンを有する船舶の運転方法であって、
    排出規制海域を伴わない一般海域の沿岸への入港時に、前記エンジンのチューニング状態を、第1チューニング状態から、前記第1チューニング状態よりも燃費が悪く、且つ、NOの排出量が少ない第2チューニング状態に切り換える船舶の運転方法。
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