〔第1実施形態〕
以下、図1等を参照して、本発明の第1実施形態に係る駐車位置情報伝達システムの一例について説明する。図1として一例を示す斜視図のように、本実施形態に係る駐車位置情報伝達システム500は、駐車場PA内の車室に駐車しようとする車両VE側に搭載される携帯型の通信端末10と、駐車場PAに設置されて通信端末10に対して駐車位置の情報を音響通信により出力する駐車位置情報出力装置60とを備える。本実施形態では、駐車位置情報出力装置60が、通信端末10に対して音響通信を行う音響通信スピーカーであるスピーカーSKを有し、スピーカーSKからの超音波ULによる送信を通信端末10が受けることで、通信端末10を搭載した車両VEへ駐車位置情報が伝達される。
このほか、駐車位置情報伝達システム500は、駐車位置情報出力装置60に接続される駐車管理部100を備える。駐車管理部100は、駐車位置情報出力装置60への出力すなわちスピーカーSKによる発信に関する制御を行うとともに、駐車場PAにおける各種駐車管理に関する制御を司る。これにより、駐車位置情報伝達システム500は、駐車場システムとしても機能する。
以下、図1及び図2等を参照して、駐車位置情報伝達システム500を構成する各部について、説明する。なお、図2は、駐車位置情報伝達システム500の各部についての一構成例を説明するためのブロック図である。
駐車位置情報伝達システム500のうち、通信端末10は、既述のように、車載可能であり、音響通信スピーカーであるスピーカーSKからの情報を受け取って駐車位置を認識する。通信端末10は、例えばスマホ(スマートフォン)等にアプリがインストールされて構成され、音響通信によりスピーカーSKからの受音(集音)を可能とする音響情報処理装置である。なお、通信端末10のより具体的な一構成例については、図2を参照して後述する。
駐車位置情報伝達システム500のうち、駐車位置情報出力装置60は、図1に示すように、駐車場PA内の各所に配置される複数のスピーカーSKと、これらに接続されるとともに駐車管理部100に接続される音響通信制御部SCとを備える。
各スピーカーSKは、車両VEへの情報提供のための超音波ULを発信(出力)するが、例えば図示のように、これに並行して、可聴音域で音声案内VGを行うものであってもよい。見方を変えると、各スピーカーSKは、駐車場PA内での場内アナウンス用のスピーカーとして利用されるものであってもよい。ここで、各スピーカーSKは、駐車場PAの設置位置に応じて、個別の内容で駐車位置に関する情報を提供する。例えば、複数の車室で構成される車室エリア単位で位置情報を示す態様としたり、さらに細かく車室単位で位置情報を示す態様としたりすることが考えられる。図示の例では、駐車場PAのうち中央側のエリアαに配置されるスピーカーSKαからは、駐車位置が中央であることを伝達する情報としての送信波ULαが、超音波ULとして発信される。同様に、駐車場PAの左側(出入り口DWから見ると右側)のエリアβに配置されるスピーカーSKβからは、駐車位置が左寄りであることを伝達する情報としての送信波ULγが、超音波ULとして発信され、駐車場PAの右側(出入り口DWから見ると左側)のエリアγに配置されるスピーカーSKγからは、駐車位置が右寄りであることを伝達する情報としての送信波ULγが、超音波ULとして発信される。
音響通信制御部SCは、回路基板等で構成され、駐車管理部100からの指令に従って、各スピーカーSKの音声出力の動作を制御する。すなわち、上記のように、各スピーカーSKの設置位置に応じて、異なる内容の位置情報の出力を行わせる。
駐車位置情報伝達システム500のうち、駐車管理部100は、管理用サーバーやPC等で構成される。なお、図2に示す一例では、駐車管理部100は、制御装置CTと、記憶部MEとを備えて構成されている。制御装置CTは、例えばCPU等で構成され、各種演算処理を行う。記憶部MEは、各種データやプログラムを格納するメモリ等である。また、記憶部MEは、駐車管理に際しては、駐車管理用データベースとして機能する。
以下、図2を参照して、機能面から見た通信端末10の一構成例について、さらに詳細に説明する。
通信端末10は、図示のように、マイクMCmと、表示部DSmと、主制御部11と、記憶部12とを備えることで、音響通信による情報取得を可能とする音響情報処理装置として機能する。通信端末10は、既述のように、例えばスマホ等にアプリがインストールされて構成される車載可能な携帯型の端末であり、この場合、マイクMCm等については、例えばスマホに既存の装置を利用することが可能である。
マイクMCmは、駐車場PAに設置されたスピーカーSKから送信波として発信される超音波ULを受信可能である。また、通信端末10は、例えば有機ELパネル等で構成される表示部DSmを有しており、各スピーカーSKからの受信結果に基づく駐車位置の情報を可視化して表示可能としている(図5参照)。
主制御部11は、CPU等で構成され、マイクMCm、表示部DSm及び記憶部12に接続され、各種演算処理を行って、各種指令信号を各部に出力して、上記のような種々の動作について制御を司る。
記憶部12は、上述したアプリすなわちスピーカーSKからの信号受信と、受信結果に基づく駐車位置の把握を行う上で必要となる各種プログラムやデータ等を格納している(図5参照)。主制御部11は、記憶部12に格納された各種プログラムやデータ等を適宜読み出して、各種動作制御を行う。
以上のように、通信端末10は、音響情報処理装置として、音響通信スピーカーであるスピーカーSKから出力される音波を受音するマイクMCmと、マイクMCmで受音した音波から音響通信データを抽出して駐車位置の情報を取得するデータ処理部としての主制御部11と、認識した駐車位置について出力する出力部である表示部DSmとを有する。
なお、スマホ等で構成される通信端末10は、車両VEの車室への駐車に際して、上記通信を可能とすべく予め必要なアプリケーションが起動した状態となっているものとする。なお、これについては、種々の態様が考えられ、例えば当該アプリケーションが駐車時に限らず常時起動している態様としてもよく、通信端末10のユーザーすなわち所有者が手動で立ち上げるようにしてもよい。また、例えばスピーカーSKから音声案内VG(図1参照)を行う、その他の手法で、ユーザーに対してアプリケーションの起動を促すようにしてもよい。あるいは、駐車場PAへの入場に際して、出入り口DWにおいてアプリケーションが起動する、あるいは起動が促される態様になっていてもよい。
以下、図3及び図4を参照して、駐車位置情報出力装置60を構成する各スピーカーSKの配置や動作について説明する。
まず、図3の概念的な平面図を参照して、音響通信スピーカーであるスピーカーSKが、複数の車室RMで構成される車室エリア単位で設置され、当該車室エリアの情報を、音響通信により出力する態様について、一例を説明する。図3では、横並びになった3つの車室RMで構成されるエリアαと、横並びになった5つの車室RMで構成されるエリアβが、例示されている。図示の例では、エリアαには、スピーカーSKのうち、スピーカーSKαが設置されており、音響通信制御部SCを介した駐車管理部100からの指令に従って、スピーカーSKαから超音波ULとして送信波ULαが出力されている。送信波ULαには、通信端末10において駐車位置がエリアαであることを特定可能とするための情報が含まれている。すなわち、通信端末10は、エリアα内において送信波ULαを受音(受信)することで、現在の駐車位置がエリアαであることを認識できる。
同様に、エリアβには、スピーカーSKβが設置されており、スピーカーSKβから超音波ULとして、通信端末10において駐車位置がエリアβであることを特定可能とするための情報を含む送信波ULβが出力されている。
すなわち、スピーカーSKαからの送信波ULαと、スピーカーSKβからの送信波ULβとでは、個々の駐車位置を特定すべく、互いに異なる内容の情報が含まれている。なお、各送信波ULα,ULβには、上記駐車位置に関する個別の情報のほか、駐車場名(○○駐車場)や、駐車時刻等、種々の情報を含んでいてもよい。
なお、図示の例では、複数設定されているスピーカーSKについて、3つの車室RMを含むエリアαに対しては、1つのスピーカーSKαが対応している。一方、より広い5つの車室RMを含むエリアβに対しては、2つのスピーカーSKαが対応している。ただし、配置するスピーカーSKの個数や配置状況については、一例であり、これに限らず、種々の態様とすることができる。
以下、図4(A)及び図4(B)の概念的な平面図を参照して、音響通信スピーカーであるスピーカーSKが、車室RMごとに設けられ、対応する車室の所定エリア内に音波を発する態様について、一例を説明する。図4(A)では、例えばエリアαにおいて横並びに配置されている車室RMである複数の車室Rα1,Rα2,Rα3…にそれぞれ対応して、スピーカーSKのうち、複数のスピーカーSα1,Sα2,Sα3…が設置されている。同様に、エリアβを構成する複数の車室Rβ1,Rβ2,Rβ3…にそれぞれ対応して、複数のスピーカーSβ1,Sβ2,Sβ3…が設置されている。各スピーカーSα1,Sα2,Sα3,Sβ1,Sβ2,Sβ3…からは、個々の駐車位置を特定すべく、互いに異なる内容の情報が含まれている。すなわち、通信端末10において駐車位置を車室単位で特定可能とするための情報を含む送信波Uα1,Uα2,Uα3,Uβ1,Uβ2,Uβ3…がそれぞれ出力されている。
図示の例の場合、車室Rα2に駐車する車両VEに搭載された通信端末10において、スピーカーSα2からの送信波Uα2を受音(受信)することで、駐車位置が車室Rα2であること、すなわちエリアαの2番目の位置であることを認識できる。
ここで、上記のような態様とするために、各車室RMに向けて発信される送信波Uα1等は、互いに隣の車室RMの送信波Uα2等と干渉しないことが望まれる。このため、例えば図4(B)に示すように、各車室RMにおける超音波ULの受信可能範囲は、各車室RMの内部の範囲DAに限られており、互いに隣接する他の範囲との間に干渉範囲BUが設けられるものとなっている。かかる状態とすべく、各スピーカーSKから発信される超音波ULは、指向性をもたせ、かつ、出力強度が適度に調整されている。なお、図4(A)に例示したエリア単位での音響通信において、指向性や出力強度を調整することもできる。
以下、図5を参照して、音響情報処理装置としての携帯型の通信端末10における動作処理について一例を説明する。図5(A)は、音響情報処理装置としての通信端末10のうち記憶部12について一構成例を示すブロック図である。また、図5(B)は、通信端末10での表示態様について一例を示す概念的な正面図である。
まず、図5(A)の一例では、記憶部12は、プログラム格納部12pと、データ格納部12dとを有する。これらのうち、プログラム格納部12pは、スピーカー音声録音プログラムRCと、駐車位置照合プログラムVFとを格納している。一方、データ格納部12dは、録音データ部RDと、駐車場データ部PDと、駐車状況データ部SDとを備えている。
プログラム格納部12pにおいて、スピーカー音声録音プログラムRCは、マイクMCmで受音したスピーカーSKからの超音波ULを解析して、駐車位置の情報等の種々の情報を抽出可能なデータ(音響通信データ)として収録するためのプログラムである。駐車位置照合プログラムVFは、スピーカー音声録音プログラムRCによって解析されたデータと駐車場に関するデータとを照合して、受音したデータに対応する駐車位置を特定するためのプログラムである。
データ格納部12dにおいて、録音データ部RDは、例えばマイクMCmで受音した超音波ULの生の音声データや、これをスピーカー音声録音プログラムRCにおいて解析したデータ(音響通信データ)等、駐車時における録音に関する各種データを格納する。駐車場データ部PDは、駐車位置照合プログラムVFにおいて駐車位置を照合するためのデータを格納する。すなわち、駐車場データ部PDには、対象となる駐車場における車室位置についての地図情報等が格納されている。駐車状況データ部SDは、駐車位置照合プログラムVFでの照合の結果や、駐車した時点での時刻等、車両VEの駐車状況に関する各種データが格納されている。
なお、記憶部12に格納されたこれらのプログラムやデータは、主制御部11により、適宜読み出され、各種処理がなされる。これにより、通信端末10の利用者が適宜操作を行って、例えば、図5(B)に例示するような画像GGを表示部DSmに表示させることが可能となる。すなわち、利用者は、駐車後において、必要に応じて通信端末10を操作することで、自分の車両の駐車位置を、確認することができる。
以上のように、本実施形態に係る駐車位置情報伝達システム500は、駐車場PAのうち設置された箇所に対応する駐車位置の情報を、音響通信により出力する音響通信スピーカーであるスピーカーSKを有する駐車位置情報出力装置60と、車載可能であり、スピーカーSKからの情報を受け取って駐車位置を認識する音響情報処理装置である通信端末10とを備える。これにより、駐車位置情報伝達システム500では、駐車位置情報出力装置60のスピーカーSKからの音響通信による情報を、車載可能な通信端末10が受け取って駐車位置を認識することで駐車位置の情報伝達を行って、車両VE側における駐車位置の検知を簡易かつ確実に行うことができる。
また、上記実施形態では、超音波による音響通信を利用することで、例えばUHFを利用した電波通信を利用する場合に比べて、指向性をもたせることができるので、通信を行うべき対象の車両以外の車両との混信を回避しやすくなる。なお、上記では、超音波を利用するものとしているが、これに限らず、可聴範囲の音波を利用することも考えられる。例えば、通常の音声案内VGに支障をきたさない範囲で音声案内VGに駐車管理のための情報を紛れ込ませるようにしてもよい。
また、本実施形態に係る音響通信スピーカーであるスピーカーSKは、駐車場PAの所定箇所に設置され、設置された箇所に対応する駐車位置の情報を、音響通信により出力する。上記スピーカーSKでは、音響通信について受信が可能な装置に対して、自身の設置箇所に対応する駐車位置の情報を、簡易かつ的確に伝達させることができる。
また、本実施形態に係る携帯型の通信端末10は、駐車位置の情報を含む音波を受音し、受音した音波から音響通信データを抽出して駐車位置を認識する。上記通信端末10では、音響通信による出力が可能な装置(駐車位置情報出力装置60)から、駐車位置の情報を受けて、駐車位置の検知を簡易かつ確実に行うことができる。また、携帯型であることで、車載可能であるとともに、降車後に利用者が持ち歩くことが可能である。
以下、図6を参照して、車室単位で管理を行う態様における音響通信スピーカーとしてのスピーカーSKの設置に関して例示する。ここでは、駐車管理を行うためのロックレス式あるいはロック式(フラップ板によるロック)の駐車管理の場合について例示する。
図6(A)は、いわゆるロックレス式の駐車場の一構成例を示しており、監視用のカメラCAや、課金状況を示す表示部DS等を設けたポールPOを設置した態様を示している。ここで、ポールPOには、例えば音声案内や注意喚起を行うためのスピーカーSKが設けられている。このスピーカーSKを、上記した超音波ULを発信する態様とすることで、ポールPOを、本実施形態で説明した駐車位置情報出力装置として機能させることが可能になる。なお、この場合、ポールPOを、例えば車室単位で設置し、ポールPO内に設けた制御基板CTsを直接的に又は他の機器を介して間接的に駐車管理部100(図1等参照)に接続することで、各車室の駐車状況を管理することができる。また、この場合において、超音波ULとして発信すべき駐車位置の情報については、駐車管理に必要なものとして制御基板CTsに格納されている情報を利用することができる。
図6(B)は、いわゆるロック式の駐車場の一構成例を示しており、フラップ装置(フラップ板)FPに、超音波ULを発信するスピーカーSKを有するポールPOaを取り付けることで、ポールPOaを駐車位置情報出力装置として機能させることが可能になる。例えば、ポールPOaの制御基板CTsを、フラップ装置FPの制御基板CTfに接続させることで、超音波ULとして発信すべき駐車位置の情報について制御基板CTfから取得することができる。また、ポールPOaは、例えば制御基板CTfを介してフラップ装置FPの電源PSから電力の供給を受けられるようにしてもよい。また、以上に関して、例えば既存のフラップ装置FPにポールPOaを取り付けることで、駐車位置情報出力装置延いては駐車位置情報伝達システム500を構成することも考えられる。
以下、図7等を参照して、一変形例の駐車位置情報伝達システム500について、説明する。図7は、駐車位置情報伝達システム500を組み込んだ駐車場の外観について様子を示す斜視図であり、図1に対応する図である。また、図8は、図7に示す駐車位置情報伝達システム500の各部について説明するためのブロック図であり、図2に対応する図である。
図示のように、本変形例では、図1等に例示した場合において、さらに、通信端末10と駐車管理部100との間で通信を行う、すなわち、図8に示すように、通信端末10に設けた通信部COmと、駐車管理部100に設けた通信部COpとの間で情報交換が可能になっている。なお、通信方式については、種々のものを利用することが考えられるが、例えばインターネット等のネットワーク回線を利用することが考えられる。
以上のような態様とすることで、例えば図9に例示するようなデータ表を、駐車管理部100において作成し、駐車の管理をすることが可能になる。具体的には、例えば利用者がアプリの導入時に通信端末(スマホ)10から駐車管理部100に各種登録情報が送信されることで、図9(A)に一例を示すようなデータ表が、駐車管理部100の記憶部MEに、予め登録された情報として、格納されている。一方、駐車管理については、図9(B)に一例を示すようなデータ表によりなされる。すなわち、車両VEの駐車時に対応する通信端末10から駐車管理部100に対して駐車位置情報が送信されることで、駐車管理部100の記憶部MEに、対応する通信端末10のID情報とこれに紐づけられた駐車位置情報、さらには、駐車時の時刻の情報がデータ表に記載され、駐車管理部100の管理対象となる。なお、図9(A)に示すデータ表では、照合の結果、特定されて図9(B)のデータ表に書き込まれたすなわち紐づけされた通信端末10及びこれに対応する車両VEについて、ハッチングで示している。
また、図9(A)に示す一例では、事前に登録された通信端末10についての情報として、通信端末10自身の情報、つまり通信端末10を構成するスマホに関する情報(事前登録端末ID)のほか、管理対象となる対応車両VEを特定する情報(対応車両情報)、さらには、通信端末10(あるいは対応車両VE)の所有者に相当する登録者に関する情報(登録者情報)や登録がなされた日時についての情報といった種々の情報が格納されている。また、登録者に関する情報(登録者情報)については、上記の他にも種々の態様が考えられ、例えば駐車料金についての決済処理(事前決済)等を行うために必要となる情報等が含まれていてもよい。
また、図9(B)に示すデータ表では、入場した車両VEの駐車(入庫)までの管理に関するものとなっているが、例えば図6に例示した駐車管理を行うための設備において取り扱われる各種情報と組み合わせることで、駐車管理部100において、車両VEの入場(入庫)から出場(出庫)までの一括管理を行うことができる。
〔第2実施形態〕
以下、図10等を参照して、第2実施形態に係る駐車位置情報伝達システムについて説明する。なお、本実施形態の駐車位置情報伝達システム600は、第1実施形態の駐車位置情報伝達システム500の変形例であり、同符号のもののうち特に説明をしない箇所については、第1実施形態の場合と同様である。
本実施形態の駐車位置情報伝達システム600は、複数のスピーカーSKにそれぞれ対応して複数のマイクMCが設置されている一方で、通信端末10からも超音波ULの発信が可能となっており、通信端末10から発信される超音波ULをマイクMCで受音(受信)可能としている、すなわち双方向での音響通信が可能となっている点において、第1実施形態の場合と異なる。本実施形態では、例えば、上記双方向での音響通信を利用した駐車管理が可能となる。
以下、図10の斜視図及び図11のブロック図を参照して、駐車位置情報伝達システム600を構成する各部について説明する。なお、図10は、図1等に対応する図であり、図11は、図2等に対応する図である。
図10に示すように、本実施形態では、第1実施形態等での例示と同様、複数のスピーカーSKとして、例えばエリアごとに異なるスピーカーSKα,SKβ,SKγが設置されていることに対応して、複数のマイクMCとして、マイクMCα,MCβ,MCγが設置されている。各マイクMCα,MCβ,MCγでは、対応するスピーカーSKα,SKβ,SKγからの超音波を受信可能な範囲に存在する通信端末10から超音波(応答波)ULが発信された場合に、これを捉えるべく、指向性や感度の設定がなされている。
また、図11に示すように、通信端末10は、マイクMCm、表示部DSm、主制御部11及び記憶部12に加え、超音波(応答波)ULを発信するスピーカーSKmを備えている。なお、スピーカーSKmについては、例えばスマホに既存の装置を利用することが可能である。
通信端末10は、スピーカーSKmを有することで、駐車場PA側に配置されたスピーカーSKからの送信波ULα等に対する応答波としての超音波ULを発信可能としている。これにより、通信端末10は、駐車位置情報出力装置60延いては駐車管理部100との超音波による通信を可能としている。なお、既述のように、通信端末10は、表示部DSmにより駐車位置情報出力装置60との通信結果等を表示可能としているが、併せて、スピーカーSKmにより、通信結果等を音声出力させるものとしてもよい。
また、本実施形態の場合、図9を参照して説明した場合と同様に、データ表を、駐車管理部100において作成し、駐車の管理をすることが可能になる。すなわち、本実施形態においても、図9(A)に一例を示すようなデータ表を駐車管理部100の記憶部MEに、予め登録しておく一方、図9(B)に一例を示すようなデータ表が作成可能となるように、通信端末10から超音波ULによる発信を行う態様とすることができる。
本実施形態においても、駐車位置情報伝達システム600が、スピーカーSKを有する駐車位置情報出力装置60と、通信端末10とを備えることにより、駐車位置情報出力装置60のスピーカーSKからの音響通信による情報を、車載可能な通信端末10が受け取って駐車位置を認識することで駐車位置の情報伝達を行って、車両VE側における駐車位置の検知を簡易かつ確実に行うことができる。特に、本実施形態では、駐車位置情報出力装置60と音響情報処理装置である通信端末10とは、双方向で音響通信を行い、駐車管理部100は、駐車位置情報出力装置60と通信端末10との間での通信結果に基づいて駐車管理を行う。この場合、音響通信を利用する、すなわち車両VE側からの情報発信を利用することで、駐車管理部100において、駐車場PAの管理に関する処理を簡易かつ迅速に行うことができる。
〔第3実施形態〕
以下、図12等を参照して、第3実施形態に係る駐車位置情報伝達システムについて説明する。なお、本実施形態の駐車位置情報伝達システム700は、第1及び第2実施形態の駐車位置情報伝達システム500,600の変形例であり、同符号のもののうち特に説明をしない箇所については、第1実施形態等の場合と同様である。
本実施形態の駐車位置情報伝達システム700は、第2実施形態に例示した駐車位置情報伝達システム600において、さらに、駐車場PAの出入り口DWに設置されて車両VEの入出管理を行う入出管理部50を備えている点において、第1及び第2実施形態の場合と異なる。
以下、図12の斜視図等を参照して、駐車位置情報伝達システム700を構成する各部について説明する。なお、図12は、図10等に対応する図である。
図12に示すように、また、既述のように、本実施形態に係る駐車位置情報伝達システム700は、車両VE側に搭載される携帯型の通信端末10と、通信端末10に対して駐車位置の情報を音響通信により出力する駐車位置情報出力装置60と、駐車場PAにおける各種駐車管理に関する制御を司る駐車管理部100とに加え、入出管理部50を有して構成される。なお、図示の一例では、駐車位置情報出力装置60の音響通信制御部SCは、入出管理部50の制御基盤部MPに接続され、制御基盤部MPが、駐車管理部100に接続される構成としているが、これに限らず種々の接続態様が考えられる。また、有線通信に限らず、無線通信でこれらの間が適宜接続されていてもよい。
なお、図12等に示す一例では、説明を簡単にするために、1つの駐車場PAにおいて、1つの出入り口DWに1つの入出管理部50を有する構成としている。すなわち、図示において、入出管理部50は、駐車場PAの出入り口DWから車両VEが入場する場合と、出場する場合との双方の全てにおいて、車両VEと駐車に関するやり取りを行う。ただし、1つの駐車場PAに複数の出入り口がある場合や、複数の駐車場を一括して駐車管理部100において管理する、といった態様においても本願を適用できる。
入出管理部50は、図示のように、駐車場PAの出入り口DWに設置され、通信端末10との通信を行う音響通信部20と、駐車場PAの出入り口DWにおいて車両VEの有無を検知する車両検知部30と、ゲートバーBAを昇降させて車両VEの通過許否を示すゲート装置であるゲート部40とを備えることで、車両VEの入出場を管理する。特に、本実施形態では、音響通信部20は、スピーカーSKKやマイクMCCを備えることで、音響による通信を行う駐車場側音響通信部として機能する。なお、スピーカーSKについては、例えば図示のように、可聴音域で音声案内VGGを行うとともに、これに並行して、車両VEとの通信のための超音波ULLを発信(出力)する。また、マイクMCCは、通信端末10から発信される超音波ULを受信する。つまり、音響通信部20と通信端末10とは、超音波ULLにより音響通信を行う。
以下、図13の平面図や図14のブロック図等を参照して、駐車位置情報伝達システム700を構成する各部についてさらに詳細に説明する。なお、図13は、駐車位置情報伝達システム700の一構成例を概念的に示す平面図であり、主に、出入り口DWに設置された入出管理部50状況について示す図である。図13では、駐車場PAに入場しようとする車両VEが存在する場合における駐車管理の様子について一例が示されている。一方、図14は、駐車位置情報伝達システム700の各部について、機能面から説明するためのブロック図であり、図11等に対応する図である。また、図14では、1つの駐車管理部100が、複数の入出管理部50を管理する場合を例示している。
まず、入出管理部50の各部について説明する。図13及び図14に示すように、また、既述のように、入出管理部50は、音響通信部20と、車両検知部30と、ゲート部40とを備える。
このほか、入出管理部50は、例えば図14に示すように、CPU等で構成される主制御部51と、各種ストレージデバイスで構成される記憶部52とを備える。また、図示の例では、主制御部51や記憶部52、さらには、音響通信部20、車両検知部30及びゲート部40を構成するもののうち、動作制御に関する部分は、制御基盤部MPとして、例えば筐体によって一体的に形成されている(図12参照)。
以下、入出管理部50の各部のうち、特に、音響通信部20について、より詳細に説明する。
音響通信部20は、通信用の超音波ULLを発信するスピーカーSKKと、車両側から発信される超音波ULLを受信するマイクMCCと、スピーカーSKKやマイクMCCの音響通信動作を制御する音響通信制御部21とを備える。
音響通信部20のうち、まず、スピーカーSKKは、図13に例示するように、入場する車両VEに向けて設置されている第1スピーカーSKKaと、出場する車両VEに向けて設置されている第2スピーカーSKKbとで構成される。例えば、図示のように、第1スピーカーSKKaは、入場しようとする車両VEに搭載された通信端末10に対して、超音波ULLである送信波TWを発信し、通信端末10は、これに対して応答波RWを発信する。
次に、マイクMCCは、通信端末10から発信される通信用の超音波ULL(例えば上記した応答波RW)を受信する集音装置である。すなわち、マイクMCCは、車両VEが入場すべき位置や出場すべき位置にいる場合に、これらに搭載された通信端末10からの超音波ULを受信可能な感度や指向性を有するものとなっている。
最後に、音響通信制御部21は、例えば回路基板等で構成され、図14に示すように、制御基盤部MPにおいて、主制御部51と接続されており、主制御部51からの指示に従って、スピーカーSKKやマイクMCCの動作制御を行う。
以下、入出管理部50の各部のうち、車両検知部30及びゲート部40について、より詳細に説明する。
まず、車両検知部30は、ループコイルLCと、ループコイル検知部31とを備え、駐車場PAの出入り口DWにおいて車両VEの有無を検知する。ループコイルLCは、出入り口DWの直近外側に埋設された第1ループコイルLCaと、出入り口DWの直近内側に埋設された第2ループコイルLCbとで構成される。ループコイル検知部31は、例えば回路基板等で構成され、ループコイルLCa,LCbに接続され、かつ、主制御部51に接続されており、主制御部51に対して、ループコイルLCa,LCbでの車両検知の結果を出力する。なお、図示の例では、各ループコイルLCa,LCbによって検知範囲DAa,DAbにおける車両VEの有無がそれぞれ検知され、この検知結果に基づいて、入出管理部50では、音響通信部20による通信が開始される。
ここで、第1スピーカーSKKaは、検知範囲DAaに対して送信波TWとしての超音波ULを効率的に発信し、かつ、超音波ULが検知範囲DAa以外の範囲に極力発信されないように、超音波ULに指向性を持たせた状態で発信を行う。特に、駐車場PAに駐車しようとする後続車両が存在する場合に、当該後続車両との通信が混在することを抑制すべく送信波TWの指向性を調整することが考えられる。以上のように、駐車場側音響通信部である音響通信部20と車両側音響通信部である通信端末10との間において、指向性を有する超音波ULによって音響通信が行われることで、的確な範囲や方向について通信を行える。
次に、ゲート部40は、ゲートバーBA等で構成される本体部分GEと、ゲート制御部41とを備えて構成されるゲート装置である。本体部分GEは、駐車場PAの出入り口DWにおいて、ゲートバーBAを昇降させることで、車両VEの駐車場PA内への進行の可否を示す。ゲート制御部41は、主制御部51と接続されており、通信端末10と音響通信部20との間での通信結果に応じた車両VEの通過許否に関する主制御部51での判断(指示)に従って、ゲートバーBAの昇降動作を制御する。
以上に対して、通信端末10を搭載した車両VEでは、まず、駐車場PAへの入場に際して、入出管理部50と通信端末10との間での音響通信によってゲートを通過し、その後、駐車位置に車両VEを入庫させる際には、駐車位置情報出力装置60と通信端末10との間での音響通信によって駐車位置の記憶を行う。なお、上記一連の駐車に関する動作において、例えば入場の際に立ち上がった状態にあるアプリをそのまま起動させておくことで、入場から駐車までの動作における必要な処理を行うようにできる。なお、入場時と入庫時とで個別に処理を行うようにしてもよい。
以下、上記のような態様における駐車管理部100におる駐車管理について一例を説明する。
駐車管理部100は、車両VEの入場及び出場に際して、入出管理部50における音響通信によって取得された車両VEに関する情報と、駐車位置情報出力装置60における音響通信によって取得された車両VEの駐車位置に関する情報とを取得することで、例えば図15(A)に示すようなデータ表を作成し、駐車の管理をすることが可能になる。すなわち、入出管理部50から入場に際しての通信端末10のID情報等が出力され、その後、駐車位置情報出力装置60において、通信端末10のID情報等に紐づけられた駐車位置情報等が出力される。また、入出管理部50から出場に際しての情報が出力される。これらから、図15(A)に示すようなデータ表が作成される。なお、入場時刻については、入出管理部50や駐車位置情報出力装置60での通信時刻を利用することが考えられ、出場時刻については、入出管理部50での通信時刻や、事前精算が利用可能であるものの場合はその際の時刻等を利用することが考えられる。なお、決済処理についても、種々の態様が考えられる。また、以上の場合においても、例えば図15(B)に例示するようなデータ表が、駐車管理部100の記憶部MEに、予め登録された情報として、格納されている。ここで、格納され鵜情報については、図9(A)に例示したもののほか、必要に応じて、種々のものが含まれていてもよく、例えば駐車場側と通信端末10との間で通信を行う際の通信方式について定められていてもよい。ここでは、上記のように、超音波ULによる音響通信を行うものとしているが、その際に適用する音域(周波数帯域)や通信範囲あるいは指向性等を適宜定めるものとしてもよい。
以上のように、本実施形態に係る駐車位置情報伝達システム700では、他の実施形態と同様に、駐車位置情報出力装置60によって通信端末10に対する駐車位置の情報伝達が可能となっており、さらに、駐車管理部100において、入出管理部50と駐車位置情報出力装置60とを利用することで、駐車に関する一元管理が可能となっている。
〔その他〕
この発明は、上記の上記各実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
上記各実施形態については、例示であり、これらのうちの一部を他の実施形態と組み合わせること等も考えられ、例えば第1実施形態において、第3実施形態に例示した入出管理部50を設ける構成としてもよい。
また、上記では、車載可能な通信端末10の一例として、スマホを利用する態様について示したが、マイクやスピーカー等、音響通信を可能にするための設備を有するものであれば、スマホ以外の機器を通信端末10として採用してもよい。なお、本実施形態では、既述のように、スマホに既存の設備であるマイクやスピーカーを利用して音響通信を可能にする態様とすることで、簡易かつ確実に通信端末10を構成できる。例えば、NFC(Near Field Communication)を利用した入出庫管理も考えられるが、この場合、NFC機能を搭載していないスマホでは利用できない態様となる。これに対して、マイクやスピーカーは、スマホに標準搭載されているため、これを利用した音響通信とすることで、いずれのスマホでも通信端末10として利用可能となる。
また、音響通信により入出庫時の処理を行うことで、オペレーション無しで通信端末10における駐車位置の記憶ができる。例えばスマホのNFC機能やQRコード(登録商標)を利用する場合には、ユーザーが、スマホを駐車位置に設置された装置やQRコード(登録商標)にかざす等のオペレーションを行う必要があるが、音響通信の場合、例えばスマホを自動立上げや常時起動とすること等によって、かかる手間を要しない態様とすることができる。
また、音響通信についての発信態様についても、種々の態様が考えられ、例えば指向性すなわち発信する方向や、使用する周波数帯域、あるいは発信強度等を、種々変更してもよい。例えば、事前登録されている通信端末10の特性(例えばスマホの種別)に応じて、最適な周波数帯域や発信強度等を選択するものとしてもよい。あるいは、車両VEの大きさ等を考慮して指向性を変更する等も考えられる。
また、例えばスマホを通信端末10として利用可能にするためのアプリについても、種々の態様が考えられ、例えば駐車場PAが、複合商業施設に付随するものである場合には、当該複合商業施設において利用されるアプリに付随させたものとし、当該アプリの利用に際して登録された各種情報と紐づけして、例えば駐車場料金の割引適用等が可能になっていてもよい。
また、駐車管理部100についても、種々の態様が考えられ、例えばクラウド型のサーバーにより駐車管理部100を構成してもよい。また、駐車位置情報出力装置60の音響通信制御部SC等について、駐車管理部100と共有で構成するものとしてもよい。