JP7475058B2 - 電気回路遮断装置 - Google Patents

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Description

本願発明は、主に自動車等の電気回路に使用することができる電気回路遮断装置に関する。
従来から、電気回路遮断装置は、自動車等に搭載されている電気回路や、電気回路に接続されている各種電装品を保護するために用いられてきた。詳しくは、電気回路に異常が生じた場合に、電気回路遮断装置は電気回路の一部を切断して、物理的に電気回路を遮断していた。
そして、近年の自動車等の高性能化によって電気回路にかかる電圧や電流が大きくなる傾向にあり、電気回路遮断装置によって電気回路を遮断した直後に生じるアークを、更に効果的に早く、かつ、安全に消弧することが求められていた。そこで、特許文献1の電気回路遮断装置は、ヒューズと、ハウジングと、当該ハウジング内に配置され、電気回路の一部を構成する被切断部と、前記ハウジングの第一端部側に配置される動力源と、前記ハウジング内を、前記第一端部と、当該第一端部の反対側の第二端部との間で移動する移動体とを備えた、電気回路遮断装置であって、移動体が、前記動力源によって、前記第一端部から前記第二端部に向けて移動しつつ、当該移動体の一部が前記被切断部を切断して、電気回路を遮断するものである。そして、電気回路を遮断した際に電気回路に流れている電流(事故電流)をヒューズに誘導し、その誘導された電流によって生じるアークをヒューズ内で、効果的に素早く安全に消弧していた。
また、電気回路において遮断すべき電流は、比較的高電流だけでなく、比較的低電流までの広い範囲で想定されている。そのため、特許文献1の電気回路遮断装置では、電気回路を遮断した際に誘導された電流(事故電流)が比較的低電流の場合は、ヒューズの溶断特性に依存して、ヒューズが電流を遮断するまでに時間が長くなる場合や、電流を遮断できない場合があった。
特願2020-208249
そこで、本願発明は、上記問題に鑑み、比較的高電流だけでなく、比較的低電流までの広い範囲の電流域で、速断性を備えた電気回路遮断装置を提供する。
本願発明の電気回路遮断装置は、ハウジングと、当該ハウジング内に配置され、電気回路の一部を構成する被切断部と、前記ハウジングの第一端部側に配置される第一動力源と、前記ハウジング内を、前記第一端部と、当該第一端部の反対側の第二端部との間で移動する移動体とを備えた、電気回路遮断装置であって、溶断部と消弧材を備えたヒューズ機能部を備え、前記移動体は、前記第一動力源によって、前記第一端部から前記第二端部に向けて移動しつつ、前記移動体の一部が、前記被切断部の両側の基部片の間に位置する切断片を切断するように構成されており、遮断すべき電流が低い場合は、前記ヒューズ機能部と前記被切断部とを接続させないと共に、第一動力源によって前記移動体が前記第二端部に向けて移動して、前記被切断部の両側の基部片の間に位置する切断片を切断することで、前記被切断部の両側の基部片が通電した状態を遮断し、遮断すべき電流が高い場合は、前記ヒューズ機能部と前記被切断部とを接続させると共に、第一動力源によって前記移動体が前記第二端部に向けて移動して、前記被切断部の両側の基部片の間に位置する切断片を切断することで、前記被切断部の両側の基部片が通電した状態を遮断するように構成されていることを特徴とする。
さらに、本願発明の電気回路遮断装置は、前記ヒューズ機能部の両側の端子にそれぞれ接続されている一対の電極部を備え、遮断すべき電流が低い場合は、前記移動体が前記第二端部に向けて移動して、前記被切断部の両側の基部片の間に位置する切断片を切断することで、前記被切断部の両側の基部片が通電した状態を遮断すると共に、前記被切断部と前記ヒューズ機能部とを接続させないため、前記被切断部の一部と前記電極部とが接続されないように、第二動力源によって作動した規制手段が、前記移動体の移動を規制し、遮断すべき電流が高い場合は、前記移動体が前記第二端部に向けて移動して、前記被切断部の両側の基部片が前記切断片を介して通電した状態で、前記被切断部の一部と前記電極部とが接触して、前記被切断部と前記ヒューズ機能部が接続され、その後、前記移動体の移動に伴って、前記被切断部の両側の基部片が前記切断片を介して通電した状態が、遮断されるように構成されていることを特徴とする。
さらに、本願発明の電気回路遮断装置の、前記電極部は前記移動体に設けられており、前記被切断部の両側の基部片が前記切断片を介して通電した状態とは、前記基部片と、当該基部片と物理的に切断されて切り離された前記切断片とが、アーク放電によって通電した状態であり、当該通電した状態が、前記移動体の移動に伴って、前記基部片と前記切断片の間に絶縁体が介在されることで、遮断されることを特徴とする。
さらに、本願発明の電気回路遮断装置の、前記電極部は、前記ハウジングに設けられており、前記被切断部の両側の基部片が前記切断片を介して通電した状態とは、前記基部片と、当該基部片と物理的に切断されて切り離された前記切断片とが、前記移動体に設けられた導電体によって通電した状態であり、当該通電した状態で、前記移動体の前記導電体を介して、前記被切断部の基部片と前記電極部とが接続されて、前記被切断部と前記ヒューズ機能部が接続されることを特徴とする。
さらに、本願発明の電気回路遮断装置は、前記ヒューズ機能部を介して前記被切断部に接続される回路部を備え、遮断すべき電流が低い場合は、前記回路部が、第二動力源によって移動した遮断体によって遮断されて、前記ヒューズ機能部と前記被切断部とが接続されていない状態となり、その後、第一動力源によって前記移動体が前記第二端部に向けて移動して、前記被切断部の両側の基部片の間に位置する切断片を切断することで、前記被切断部の両側の基部片が通電した状態を遮断し、遮断すべき電流が高い場合は、前記回路部が遮断されずに、前記ヒューズ機能部と前記被切断部とが接続された状態のままで、第一動力源によって前記移動体が前記第二端部に向けて移動して、前記被切断部の両側の基部片の間に位置する切断片を切断することで、前記被切断部の両側の基部片が通電した状態を遮断するように構成されていることを特徴とする。
さらに、本願発明の電気回路遮断装置は、前記ヒューズ機能部のヒューズエレメントが前記回路部の一部を構成しており、さらに、当該ヒューズエレメントは周囲を消弧材によって囲まれており、遮断すべき電流が低い場合は、前記回路部の一部である前記ヒューズエレメントが、前記第二動力源によって移動した遮断体によって遮断されることを特徴とする。
上記各特徴によれば、比較的低電流域に属する過電流が電気回路に流れた場合は、ヒューズ機能部と被切断部とを接続させないと共に、第一動力源によって移動体が第二端部に向けて移動して、被切断部の両側の基部片の間に位置する切断片を切断することで、被切断部の両側の基部片が通電した状態を遮断し、電気回路に過電流が流れるのを防止している。そのため、従来のように、比較的低電流域に属する電流では、ヒューズ機能部の溶断部が溶断せず電流を遮断できない、又は、遮断するまでに比較的長い時間がかかるため、電気回路に流れた過電流を即座に遮断することはできなくなるという問題を解決している。一方、比較的高電流域に属する過電流が電気回路に流れた場合は、ヒューズ機能部と被切断部とを接続させると共に、第一動力源によって移動体が第二端部に向けて移動して、被切断部の両側の基部片の間に位置する切断片を切断することで、被切断部の両側の基部片が通電した状態を遮断し、電気回路に過電流が流れるのを安全に防止している。このように、本願発明の電気回路遮断装置によれば、比較的高電流だけでなく、比較的低電流までの広い範囲の電流域で、速断性を備えているのである。
上記のように、本願発明の電気回路遮断装置によれば、比較的高電流だけでなく、比較的低電流までの広い範囲の電流域で、速断性を備えている。
(a)は、本願発明の実施形態1に係る電気回路遮断装置のハウジングを構成する下側ハウジングの全体斜視図、(b)は、下側ハウジングの平面図、(c)は、A-A断面図である。 (a)は、本願発明の実施形態1に係る電気回路遮断装置のハウジングを構成する上側ハウジングの全体斜視図、(b)は、上側ハウジングの平面図、(c)は、上側ハウジングのB-B断面図である。 (a)は、本願発明の実施形態1に係る電気回路遮断装置の移動体の分解斜視図、(b)は移動体の斜視図、(c)はC-C断面図である。 (a)は、本願発明の実施形態1に係る電気回路遮断装置の被切断部の斜視図、(b)はD-D断面図である。 本願発明の実施形態1に係る電気回路遮断装置の分解斜視図である。 本願発明の実施形態1に係る電気回路遮断装置が組み立てられた状態でのE―E断面図である。 図5に示す電気回路遮断装置が組み立てられた状態でのF―F断面図である。 図6に示す状態から移動体が移動した様子を示す断面図である。 図7に示す状態から移動体が移動した様子を示す断面図である。 図6に示す状態から移動体が移動した様子を示す断面図である。 図6に示す状態から移動体が移動した様子を示す断面図である。 図6に示す状態から移動体が移動した様子を示す断面図である。 (a)は、本願発明の実施形態2に係る電気回路遮断装置の下側ハウジングの全体斜視図、(b)は、下側ハウジングの平面図、(c)は、G-G断面図である。 本願発明の実施形態2に係る電気回路遮断装置の分解斜視図である。 図14に示す電気回路遮断装置が組み立てられた状態でのH―H断面図である。 図15に示す状態から移動体が移動した様子を示す断面図である。 (a)は、本願発明の実施形態3に係る電気回路遮断装置の下側ハウジングの全体斜視図、(b)は、下側ハウジングの平面図、(c)は、I-I断面図である。 本願発明の実施形態3に係る電気回路遮断装置の分解斜視図である。 図18に示す電気回路遮断装置が組み立てられた状態でのJ―J断面図である。 図18に示す電気回路遮断装置が組み立てられた状態でのK―K断面図である。 図19に示す状態から移動体が移動した様子を示す断面図である。 図20に示す状態から移動体が移動した様子を示す断面図である。 図19に示す状態から移動体が移動した様子を示す断面図である。 図19に示す状態から移動体が移動した様子を示す断面図である。 図19に示す状態から移動体が移動した様子を示す断面図である。 本願発明の実施形態4に係る電気回路遮断装置を分解して示した全体斜視図である。 (a)は、図26のS―S断面図、(b)は、図26のL―L断面図である。 (a)は、図27(b)に示す状態から遮断体が移動した様子を示す断面図、(b)は、図28(a)に示す状態から移動体が移動した様子を示す断面図である。 図27(b)に示す状態から移動体が移動した様子を示す断面図である。 本願発明の実施形態5に係る電気回路遮断装置を分解して示した全体斜視図である。 (a)は、図30のN―N断面図、(b)は、図30のM―M断面図である。 (a)は、図31(b)に示す状態から遮断体が移動した様子を示す断面図、(b)は、図32(a)に示す状態から移動体が移動した様子を示す断面図である。 図31(b)に示す状態から移動体が移動した様子を示す断面図である。
300 ハウジング
320 第一端部
330 第二端部
400 被切断部
420 切断片
430 基部片
500 移動体
600 電気回路遮断装置
700 ヒューズ機能部
730 消弧材
740 溶断部
P 動力源
以下に、本願発明の各実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下で説明する実施形態における電気回路遮断装置の各部材の形状や材質等は、一例を示すものであって、これらに限定されるものではない。
<実施形態1>
まず、本願発明の実施形態1に係る電気回路遮断装置のハウジング300を構成する下側ハウジング100を図1に示す。なお、図1(a)は、下側ハウジング100の全体斜視図、図1(b)は、下側ハウジング100の平面図、図1(c)は、A-A断面図である。
図1に示すように、下側ハウジング100は、合成樹脂等の絶縁体で形成された略四角柱体であり、内部に中空状の下側収容部110を備える。この下側収容部110は、下側ハウジング100の上面120から下面130に向けて延びており、後述する移動体500を収容できるように構成されている。また、下側収容部110の内面111は、移動体500が内部を上下方向にスライドできるように、滑らかな面となっている。さらに、上面120の一部には、後述する被切断部400の基部片430を載置できるように、基部片430の形状に合わせて窪んだ載置部113を備える。この載置部113は、下側収容部110の両側に相対する様に配置されており、載置部113は、直線状に延びる被切断部400を両側で支えることになる。また、載置部113には爪114が設けられており、載置された被切断部400の基部片430の一部と係合して、被切断部400がズレないように固定できる。また、下側ハウジング100の上面120の四隅には連結孔B1が形成されており、この連結孔B1は、後述する上側ハウジング200の連結孔B2と上下に一致するように配置されている。
次に、本願発明の実施形態1に係るハウジング300を構成する上側ハウジング200を図2に示す。図2(a)は、上側ハウジング200の全体斜視図、図2(b)は、上側ハウジング200の平面図、図2(c)は、上側ハウジング200のB-B断面図である。
図2に示すように、この上側ハウジング200は、合成樹脂等の絶縁体で形成された略四角柱体であり、図1に示す下側ハウジング100と対をなしてハウジング300を構成するものである。そして、内部に中空状の上側収容部210を備え、この上側収容部210は、上側ハウジング200の下面230から上面220に向けて延びており、後述する移動体500を収容できるように構成されている。また、上側収容部210の内面211は、移動体500が内部を上下方向にスライドできるように、滑らかな面となっている。この上側収容部210は、後述するように、下側ハウジング100の下側収容部110と上下に配置されて、直線状に延びる収容部310を構成するものであり、移動体500は収容部310内を上下に移動できるのである。
さらに、下面230の一部には、後述する被切断部400の基部片430を挿通できるように、基部片430の形状に合わせて窪んだ挿通部213を備える。この挿通部213は、上側収容部210の両側に相対する様に配置されると共に、下側ハウジング100の載置部113と対応する位置に配置されている。そのため、挿通部213は、下側ハウジング100の載置部113に載置された被切断部400の基部片430に上方から嵌め合わせられる。
さらに、上側ハウジング200の上面220側の一部には、第一動力源Pが収容される動力源収納部221が形成されている。そして、動力源収納部221は、上側収容部210の上端側と連通している。詳しくは、後述するが、動力源収納部221内に収容された第一動力源Pから生じた空気圧等の動力が、上側収容部210内の移動体500へ伝わり、移動体500を移動させるのである。なお、下側ハウジング100及び上側ハウジング200は、合成樹脂で形成された略四角柱体となっているが、これに限定されず、絶縁性が高く、使用に耐えうる強度を備えていれば、他の材料で任意の形状としてもよい。
さらに、上側ハウジング200には、合成樹脂等の絶縁体で形成された規制手段800が取り付けられている。この規制手段800は、規制体810を摺動可能に収容した収容部820と、規制体810を移動させるための第二動力源830を備える。規制体810は、末端部812と末端部812から長尺状に延出する棒状の先端部811を備えている。また、上側ハウジング200には、内部の上側収容部210と規制手段800の収容部820とを連通させる貫通孔250が設けられており、貫通孔250は、規制手段800の規制体810の先端部811を挿通可能に形成されている。詳しくは、後述するが、収容部820内に収容された第二動力源830から生じた空気圧等の動力が、収容部820内の規制体810へ伝わり、上側ハウジング200の上側収容部210へ向けて規制体810を移動させるのである。そして、移動した規制体810の先端部811が、貫通孔250を挿通して、上側ハウジング200の上側収容部210内へ移動するのである。なお、規制手段800は上側ハウジング200に取り付けられているが、これに限定されず、ハウジング300の一部であれば、任意の箇所に取り付けることが出来る。
では次に、本願発明の実施形態1に係る移動体500を図3に示す。なお、図3(a)は移動体500の分解斜視図、図3(b)は移動体500の斜視図、図3(c)はC-C断面図である。
図3に示すように、移動体500は、合成樹脂等の絶縁体で形成されており、上端側に略円柱体の本体510と、中央に平坦な四角形状の摺動部520と、下端側に下方へ突出する突出部530とを備える。本体510の上端には窪み部511が設けられており、窪み部511は第一動力源Pと相対する部分となっている。摺動部520は収容部310の内面形状に対応する形状となっており、摺動部520が収容部310の内面を摺動することで、移動体500が収容部310の内側に沿って姿勢を維持したまま滑らかにスライドできる。また、摺動部520の一部は段状になっており、規制手段800の規制体810の一部に当接可能な当接部521が設けられている。なお、本体510の一部の外周には溝514が形成されており、当該溝514にOリング515(弾性変形可能な合成樹脂性のリング)が嵌められている。そのため、後述するように、第一動力源Pの爆発による空気圧が、窪み部511で構成される空間から漏れないようになっている。
また、突出部530の両側には、板状の2つの電極部540と電極部550が固定されている。この一対の電極部(540、550)は、後述するヒューズ機能部の端子にそれぞれ接続されるもので、被切断部400の一部と導通できるように銅などの金属の導電体で形成されている。そして、電極部540と電極部550は、絶縁体で形成された突出部530を挟んで両側に固定されているので、電極部540と電極部550は電気的に接続されておらず独立した状態となっている。また、移動体500には、電極部540及び電極部550よりも先端側に、合成樹脂やセラミックス等で構成された板状の絶縁体560が設けられている。
なお、移動体500は、合成樹脂で形成されているが、これに限定されず、絶縁性が高く、使用に耐えうる強度を備えていれば、他の材料で任意の形状としてもよい。また、一対の電極部540及び電極部550は、板状に構成されているが、これに限定されず、被切断部400の一部と導通できるのであれば、任意の形状であってもよい。
では次に、本願発明の実施形態1に係る電気回路遮断装置600が遮断する電気回路の一部を構成する被切断部400を図4に示す。なお、図4(a)は被切断部400の斜視図、図4(b)はD-D断面図である。
被切断部400は、電気回路と電気的に接続するために全体が銅などの金属製の導電体となっており、両端に電気回路と接続するための基部片430と、基部片430の間に位置する切断片420とを備える。基部片430の端部には、電気回路と接続する際に利用する接続孔410が形成されている。また、切断片420と基部片430との境界部分の裏面421には、切断片420が基部片430から切断され易くするため、被切断部400の幅方向に横断するように、直線状の切り込み424が設けられている。なお、被切断部400は、図4に示す形状に限定されず、電気回路と電気的に接続するための基部片430と、基部片430の間に位置する切断片420とを備えていれば、任意の形状であってもよい。また、切り込み424によって切断片420の一部の断面積を最小にして切断しやすいようにしているが、切り込み424の形状や位置は、移動体500によって切断されやすいように、移動体500の構成に応じて適宜変更できる。
では次に、本願発明の電気回路遮断装置600の組み立て方について、図5を参照して説明する。なお、この図5は、電気回路遮断装置600の分解斜視図を示している。
電気回路遮断装置600を組み立てる際は、まず、下側ハウジング100の下側収容部110の底部に、絶縁体で形成された当接台112を固定する。次に、被切断部400の基部片430を下側ハウジング100の載置部113に載置させて、切断片420が下側ハウジング100の下側収容部110を横断するように被切断部400を配置する。
次に、上側ハウジング200の上側収容部210内に移動体500の本体510側が挿入されるように、上側ハウジング200を下側ハウジング100の上から嵌め合わせる。すると、上側ハウジング200の挿通部213が、被切断部400の基部片430に嵌め合わせられる。そして、上下に並んだ連結孔B1及連結孔B2を連結具等によって連結固定することで、下側ハウジング100及び上側ハウジング200から成るハウジング300は、内部に被切断部400及び移動体500を収容した状態で組み付けられる。
さらに、上側ハウジング200の動力源収納部221には第一動力源Pが取り付けられており、第一動力源Pの一部は移動体500の窪み部511に収容される。また、電気回路に異常電流が流れたことを検知すると、外部の装置から第一動力源Pに異常信号が入力される。そして、例えば、第一動力源Pの内部の火薬を爆発させて、その爆発による空気圧によって、移動体500を収容部310内で瞬時に押し出して移動させる。なお、第一動力源Pは、移動体500を移動させる動力を発生させるものであれば、火薬を用いた動力源に限られず、その他の既知の動力源を用いても良い。
また、上側ハウジング200には、規制手段800が取り付けられている。そして、規制体810の一部が、第二動力源830によって、上側ハウジング200の上側収容部210内へ移動できるように構成されている。また、電気回路に異常電流が流れたことを検知して、外部の装置から第二動力源830に異常信号が入力されると、例えば、第二動力源830の内部の火薬を爆発させて、その爆発による空気圧によって、規制体810を収容部820内で瞬時に押し出して移動させる。なお、第二動力源830は、規制体810を移動させる動力を発生させるものであれば、火薬を用いた動力源に限られず、その他の既知の動力源を用いても良い。
また、電気回路遮断装置600はヒューズ機能部700を備える。このヒューズ機能部700は、中空状で絶縁性のケーシング710内に銅やその合金等の導電性金属からなるヒューズエレメント720を備えており、ケーシング710の内部では、ヒューズエレメント720の周囲に消弧材730が充填されている。また、ヒューズエレメント720の両側の端子750は、それぞれ電線等の接続部材760によって、一対の電極部540と電極部550に電気的に接続されている。また、ヒューズエレメント720は、端子750の間に溶断部740を備えており、この溶断部740は、ヒューズエレメント720の幅が局所的に狭くなった部分であり、電気回路遮断装置が遮断すべき電流が流れた際に、発熱して溶断し、電流を遮断できるように構成されている。
また、消弧材730は、珪砂等から構成される粒状の消弧材や、窒素ガス等から構成されるガス状の消弧材であり、溶断部740の溶断後に、端子750間に発生するアークを消弧できるように構成されている。そして、ヒューズ機能部700は、従来から知られている、消弧材とヒューズエレメントがケーシング内に封入された既存品のヒューズを利用することができ、電気回路遮断装置が遮断すべき電流や電圧に応じた消弧性能を備えるヒューズを適宜採用することができる。なお、ヒューズ機能部700は、ハウジング300の任意の場所に取り付けることができ、ヒューズ機能部700をハウジング300に取り付けることで、移動体500の移動による衝撃の影響を受けにくく、ヒューズ機能部700が損傷しにくい。
では次に、本願発明の実施形態1に係る電気回路遮断装置600の内部構造について、図6及び図7を参照して説明する。なお、この図6は、図5に示す電気回路遮断装置600が組み立てられた状態でのE―E断面図、図7は、F―F断面図である。
図6に示すように、移動体500は、直線状に並んだ下側収容部110及び上側収容部210から構成される収容部310内部に、収容されている。この収容部310は、ハウジング300の第一端部320から、第一端部320の反対側の第二端部330まで延びている。そして、移動体500は、第一動力源Pが配置された第一端部320側に配置されているので、収容部310の第二端部330側は空洞になっている。そのため後述するように、移動体500は、切断片420を切断しながら、第二端部330側へと移動できるのである。また、移動体500の上端側の窪み部511は第一動力源Pに隣接しているので、後述するように第一動力源P内の火薬の爆発による空気圧は、移動体500の上端側へと伝達される。
なお、図6に示すように、組み立てられて完成した電気回路遮断装置600は、保護したい電気回路内に取り付けられて利用される。具体的には、電気回路の一部に被切断部400の基部片430を接続して、被切断部400を電気回路の一部を構成するようにする。また、絶縁体560は、切断片420に沿って延出すると共に、切断片420から離間して配置されている。通常時(すなわち、異常電流が流れていない時)においては、被切断部400の基部片430と切断片420は切断されておらず、物理的にも電気的に接続されているので、電流I1が被切断部400の基部片430と切断片420を介して電気回路中を流れるようになっている。また、図7に示すように、規制手段800の規制体810の先端部811は、その先端がハウジング300の貫通孔250に挿入されているものの、収容部310には突出していない。そのため、通常時においては、規制手段800の規制体810の一部が移動体500の当接部521に当接することがなく、規制手段800が移動体500の移動を規制することはない。
また、図7に示すように、保護したい電気回路には、電気回路中の異常電流を検知する装置Sが接続されている。この装置Sは、内蔵された電流センサー又は電気回路に接続された外部の電流センサー等によって電気回路に異常電流を検出した際、その異常電流が、所定値(例えば、1000~2000A[アンペア])より低い比較的低電流域に属するか否かを判断する。そして、装置Sは、異常電流が、所定値より低い比較的低電流域に属すると判断した場合は、第二動力源830に異常信号X1を入力する。その後、所定時間を経過した後、装置Sは、第一動力源Pに異常信号X2を入力する。なお、所定時間とは、後述するように、第二動力源830によって、規制体810の先端部811がハウジング300の収容部310内に突出するまでの時間である。一方、装置Sは、検出した異常電流が、所定値より低い比較的低電流域に属さず、所定値より高い比較的高電流域に属すると判断した場合は、第二動力源830に異常信号X1を入力することなく、第一動力源Pのみに異常信号X2を入力する。
また、一対の電極部540及び電極部550は、被切断部400に相対するように、移動体500の下端側に配置され、被切断部400から離れた絶縁体560が、被切断部400との間に介在している。そのため、一対の電極部540及び電極部550は、物理的にも電気的にも被切断部400とは接続されていないので、電気回路中を流れる電流は、電極部540及び電極部550を介してヒューズ機能部700に流れることはない。これにより、ヒューズ機能部700に電気回路中の電流が常時流れることを防止でき、ヒューズ機能部700の発熱や劣化を防止することができる。また、後述するように、電気回路遮断装置600は、電気回路を遮断した際に生じるアークをヒューズ機能部700に誘導して効果的に素早く消弧することができるので、収容部310内に(特に、切断片420周辺)は、アークを消弧するための消弧材を封入していない。なお、基本的に、収容部310内に消弧材を封入する必要はないが、仕様によっては、収容部310内に消弧材を封入してもよい。
では次に、図8及び図9を参照して、電気回路に所定値より低い比較的低電流域に属する過電流が流れた場合に、電気回路遮断装置600が電気回路を遮断する様子について説明する。なお、図8は、図6に示す状態から移動体500が移動した様子を示す断面図、図9は、図7に示す状態から移動体500が移動した様子を示す断面図である。
まず、装置Sは、電気回路に異常電流を検出した際、その異常電流が所定値(例えば、1000~2000A[アンペア])より低い比較的低電流域に属すると判断したとする。次に、装置Sは第二動力源830に異常信号X1を入力する。これにより、第二動力源830に内蔵された火薬が爆発し、その爆発による空気圧が規制体810の末端部812に伝わる。すると、この空気圧によって、規制体810は、ハウジング300の収容部310へ向けて勢いよく吹き飛ばされ、規制手段800の収容部820内を移動体500に向けて瞬時に移動する。その結果、図9に示すように、規制体810の先端部811がハウジング300の収容部310内に突出した状態となる。
その後、装置Sは、第一動力源Pに異常信号X2を入力する。これにより、第一動力源P内の火薬が爆発し、その爆発による空気圧が移動体500の上端側の窪み部511に伝わる。この空気圧によって、移動体500は第一端部320から第二端部330に向けて勢いよく吹き飛ばされ、収容部310内を第二端部330に向けて瞬時に移動する。
すると、図8、及び9に示すように、移動体500の絶縁体560によって、切断片420は下方へ強く押され、切断片420は、切断片420と基部片430の連結箇所付近で切断されて、基部片430から物理的に分離された状態となる。そのため、両側の基部片430が通電した状態が即座に遮断され、電気回路に過電流が流れるのを防止できるのである。なお、異常電流は所定値より低い比較的低電流域に属するため、分離された切断片420と基部片430Bとの距離が近くても、アーク放電は、基部片430の間に介在する絶縁体560によって生じないようになっている。
また、図8に示すように、移動体500の当接部521が、収容部310内に突出した規制体810の先端部811に当接するので、移動体500は、それ以上、第二端部330に向けて移動できないようになっている。そのため、電極部540及び電極部550が基部片430に接触しておらず、基部片430を流れる電流は、電極部540及び電極部550を介してヒューズ機能部700には流れないのである。つまり、規制手段800は、被切断部400とヒューズ機能部700とが接続されていない状態とするため、被切断部400の一部と電極部とが接触しないように、移動体500の移動を規制しているのである。なお、規制手段800は、先端部811が移動体500の当接部521に当接して、移動体500の移動を規制するものであるが、これに限定されず、規制手段800は、移動体500の移動を規制できるのであれば、任意の構成であってもよい。
なお、比較的低電流域に属する電流が、電極部540及び電極部550を介してヒューズ機能部700に流れると、電流が比較的低電流域に属するため、ヒューズ機能部700の溶断部740が溶断せず電流を遮断できない、又は、遮断するまでに比較的長い時間がかかり、電気回路に流れた過電流を即座に遮断することはできなくなる。
では次に、図10から図12を参照して、電気回路に所定値より高い比較的高電流域に属する過電流が流れた場合に、電気回路遮断装置600が電気回路を遮断する様子について説明する。なお、図10から図12は、図6に示す状態から移動体500が移動した様子を示す断面図である。
まず、装置Sは、電気回路に異常電流を検出した際、その異常電流が、所定値より低い比較的低電流域に属さず、所定値より高い比較的高電流域に属すると判断したとする。次に、装置Sは、第二動力源830に異常信号X1を入力することなく、第一動力源Pのみに異常信号X2を入力する。
これにより、第一動力源P内の火薬が爆発し、移動体500は収容部310内を第二端部330に向けて瞬時に移動する。すると、次に図10に示すように、移動体500が第二端部330に向けて移動し、移動体500の絶縁体560によって、切断片420は下方へ強く押され、切断片420は、切断片420と基部片430の連結箇所付近で切断されて、基部片430から物理的に分離された状態となる。
この状態では、電極部540及び電極部550が基部片430に接触していないので、基部片430を流れる電流I1は、電極部540及び電極部550を介してヒューズ機能部700には流れていない。ただ、切断されて分離された直後の切断片420は基部片430との距離が近く、さらに、異常電流が、所定値より高い比較的高電流域に属している。そのため、この状態においては、切断片420と基部片430の間にアーク放電が瞬間的に生じるように構成されており、電流I1が両側の基部片430間で切断片420を介して流れることができる。
次に、図11に示すように、移動体500が第二端部330に向けて更に移動した際、切断片420と基部片430との間のアーク放電によって、基部片430と切断片420は通電したままの状態で、電極部540及び電極部550が基部片430に接触する。すると、ヒューズ機能部700は、電極部540及び電極部550を介して被切断部400の一部と通電した状態となり、電気回路を流れる電流I1の一部I2はヒューズ機能部700へと流れるのである。なお、装置Sは第二動力源830に異常信号X1を入力していないので、規制手段800は作動しておらず、規制体810の先端部811がハウジング300の収容部310内に突出していない。そのため、移動体500の動きが規制手段800によって規制されることはない。
次に、図12に示すように、移動体500が第二端部330に向けて更に移動すると、切断片420は第二端部330へ向けて押されて移動し、基部片430から大きく離される。すると、切断片420と基部片430との間のアーク放電は、物理的に引き離されて消滅する。そのため、被切断部400の両側の基部片430が、アーク放電によって切断片420を介して通電した状態が遮断されて、電気回路に過電流が流れるのを防止できるのである。
また、図12に示すように、切断片420が基部片430から大きく離れて、被切断部400が通電した状態が遮断された際に、電気回路を流れる電流I1(事故電流)がヒューズ機能部700へ誘導されるため、分離された切断片420と基部片430との間でアーク放電が引き続き発生することを防止できるのである。なお、図10から図11に示すように切断片420が基部片430から分離された直後に生じるアーク放電は、電流I1の一部がヒューズ機能部700へ誘導されているため、エネルギーが少なく、即座に消滅する。そのため、切断片420が基部片430から分離された直後にアーク放電を瞬間的に生じさせても、電気回路遮断装置600の他の部品に影響を与えず、安全性に問題はないのである。
そして、図12に示すように、ヒューズ機能部700へ誘導された電流I1により、ヒューズ機能部700の溶断部740は素早く溶断し、電気回路に流れる電流を素早く遮断する。更に、溶断部740が溶断した後には、電気回路に接続されている両側の基部片430にかかる電圧によって、ヒューズ機能部700の端子750間にアークが発生するが、そのアークは、ヒューズ機能部700内の消弧材730によって素早く効果的に消弧されるのである。
このように、電気回路遮断装置600が電気回路を流れる比較的高い電流(事故電流)を遮断する際は、図10から図12に示すように、被切断部400の両側の基部片430が切断片420を介してアーク放電によって通電した状態で、被切断部400は、一対の電極部540及び電極部550を介してヒューズ機能部700と接続され、その後、移動体500の移動に伴って、図12に示すように、切断片420が基部片430から大きく離されてアーク放電がそれ以上持続しないように消滅させて、被切断部400の両側の基部片430が切断片420を介して通電した状態が遮断されている。つまり、被切断部400が通電した状態が完全に遮断されて、両側の基部片430の間にアーク放電が連続的に発生する前に、被切断部400とヒューズ機能部700とが接続された状態が確保されることから、比較的高い事故電流によるアークをヒューズ機能部700へと確実に誘導してヒューズ機能部700内で消弧できる。その結果、ハウジング300内において事故電流によるアークが基部片430間で引き続き発生して電気回路遮断装置600が損傷することを防止でき、安全に電気回路を遮断できるのである。
なお、図12に示すように、移動体500が第二端部330に向けて更に移動した際は、移動体500に押し出された切断片420が当接台112に当接して、移動体500が停止している。そして、基部片430と切断片420の間、電極部540と切断片420の間、及び、電極部550と切断片420の間に、絶縁体560が配置されているので、基部片430間に不用意に電圧がかかっても、切断片420と基部片430間にアークが発生して、両側の基部片430が通電することを防止できる。また、図10から図12に示すように、一対の電極部540及び電極部550が被切断部400の一部に接触した後は、電極部540及び電極部550は第二端部330へ向けて移動しながら、被切断部400の一部と接触した状態を常に維持しているので、被切断部400がヒューズ機能部700に接続された状態も常に維持されている。
以上より、本願発明の電気回路遮断装置600によれば、比較的低電流域に属する過電流が電気回路に流れた場合は、図8及び図9に示すように、被切断部400とヒューズ機能部700とを接続させないと共に、被切断部400の両側の基部片430の間の切断片420を切断して、両側の基部片430が通電した状態を即座に遮断し、電気回路に過電流が流れるのを防止している。そのため、従来のように、比較的低電流域に属する電流では、ヒューズ機能部700の溶断部740が溶断せず電流を遮断できない、又は、遮断するまでに比較的長い時間がかかるため、電気回路に流れた過電流を即座に遮断することはできなくなるという問題を解決している。一方、比較的高電流域に属する過電流が電気回路に流れた場合は、図10から図12に示すように、被切断部400とヒューズ機能部700とを接続させると共に、被切断部400の両側の基部片430の間の切断片420を切断して、両側の基部片430が通電した状態を即座に尚且つ安全に遮断し、電気回路に過電流が流れるのを防止している。このように、本願発明の電気回路遮断装置600によれば、比較的高電流だけでなく、比較的低電流までの広い範囲の電流域で、速断性を備えているのである。
<実施形態2>
では次に、実施形態2に係る本願発明の電気回路遮断装置600Aについて、図13から図16を参照して説明する。また、実施形態2に係る電気回路遮断装置600Aの構成は、規制手段800Aの構成を除き、実施形態1に係る電気回路遮断装置600の構成と基本的に同一なので、同一の構成については説明を省略する。なお、図13(a)は、下側ハウジング100Aの全体斜視図、図13(b)は、下側ハウジング100Aの平面図、図3(c)は、G-G断面図である。
下側ハウジング100Aには、合成樹脂等の絶縁体で形成された規制手段800Aが取り付けられている。この規制手段800Aは、規制体810Aを摺動可能に収容した収容部820Aと、規制体810Aを移動させるための第二動力源830Aを備える。規制体810Aは、略直方体形状をしており、末端部812Aと先端部811Aを備え、内部には、後述する当接台112Aの一部を収容可能な空間813Aを備えている。また、下側ハウジング100Aには、内部の下側収容部110Aと規制手段800Aの収容部820Aとを連通させる貫通孔150Aが設けられており、貫通孔150Aは規制手段800Aの規制体810Aを挿通可能に形成されている。詳しくは、後述するが、収容部820A内に収容された第二動力源830Aから生じた空気圧等の動力が、収容部820A内の規制体810Aへ伝わり、移動した規制体810Aが、貫通孔150Aを挿通して、下側ハウジング100Aの下側収容部110Aへ移動するのである。なお、規制手段800Aは下側ハウジング100Aに取り付けられているが、これに限定されず、ハウジング300の一部であれば、任意の箇所に取り付けることが出来る。
では次に、本願発明の電気回路遮断装置600Aの組み立て方について、図14を参照して説明する。なお、この図14は、電気回路遮断装置600Aの分解斜視図を示している。
電気回路遮断装置600Aを組み立てる際は、まず、下側ハウジング100Aの下側収容部110Aの底部に、絶縁体で形成された略T字形状の当接台112Aを固定する。次に、切断片420Aが下側ハウジング100Aの下側収容部110Aを横断するように被切断部400Aを配置する。
次に、上側ハウジング200Aの上側収容部210A内に移動体500Aの本体510A側が挿入されるように、上側ハウジング200Aを下側ハウジング100Aの上から嵌め合わせる。すると、下側ハウジング100A及び上側ハウジング200Aから成るハウジング300Aが、内部に被切断部400A及び移動体500Aを収容した状態で組み付けられる。さらに、上側ハウジング200Aの動力源収納部221Aには第一動力源PAが取り付けられており、第一動力源PAの一部は移動体500Aの窪み部511Aに収容される。
また、下側ハウジング100Aには、規制手段800Aが取り付けられている。そして、規制体810Aの一部が、第二動力源830Aによって、下側ハウジング100Aの下側収容部110A内へ移動できるように構成されている。電気回路に異常電流が流れたことを検知して、外部の装置から第二動力源830Aに異常信号が入力されると、例えば、第二動力源830Aの内部の火薬を爆発させて、その爆発による空気圧によって、規制体810Aを収容部820A内で瞬時に押し出して移動させるものである。
また、電気回路遮断装置600Aはヒューズ機能部700Aを備える。このヒューズエレメント720Aの両側の端子750Aは、それぞれ電線等の接続部材760Aによって、一対の電極部540Aと電極部550Aに電気的に接続されている。なお、ヒューズ機能部700Aは、ハウジング300Aの任意の場所に取り付けることができる。
では次に、本願発明の実施形態2に係る電気回路遮断装置600Aの内部構造について、図15を参照して説明する。この図15は、図14に示す電気回路遮断装置600Aが組み立てられた状態でのH―H断面図である。
組み立てられて完成した電気回路遮断装置600Aは、保護したい電気回路内に取り付けられて利用される。具体的には、電気回路の一部に被切断部400Aの基部片430Aを接続して、被切断部400Aを電気回路の一部を構成するようにする。また、移動体500Aの下端に設けられた絶縁体560Aは、切断片420Aに沿って延出すると共に、切断片420Aから離間して配置されている。通常時においては、被切断部400Aの基部片430Aと切断片420Aは切断されておらず、物理的にも電気的に接続されているので、電流が被切断部400Aの基部片430Aと切断片420Aを介して電気回路中を流れるようになっている。また、規制手段800Aの規制体810Aの先端部811A側は、ハウジング300Aの貫通孔150Aに挿入されているものの、収容部310A内には突出していない。そのため、通常時においては、規制手段800Aの規制体810Aの一部が収容部310Aには突出しておらず、規制手段800Aが移動体500Aの移動を規制することはない。
また、図15に示すように、保護したい電気回路には、電気回路中の異常電流を検知する装置SAが接続されている。この装置SAは、異常電流が、所定値より低い比較的低電流域に属すると判断した場合は、第二動力源830Aに異常信号X1Aを入力する。その後、所定時間を経過した後、装置SAは、第一動力源PAに異常信号X2Aを入力する。なお、所定時間とは、後述するように、第二動力源830Aによって、規制体810Aがハウジング300Aの収容部310A内に突出し、規制手段800Aが移動体500Aの移動を規制できる状態になるまでの時間である。一方、装置SAは、検出した異常電流が、所定値より低い比較的低電流域に属さず、所定値より高い比較的高電流域に属すると判断した場合は、第二動力源830Aに異常信号X1Aを入力することなく、第一動力源PAのみに異常信号X2Aを入力する。
では次に、図16を参照して、電気回路に所定値より低い比較的低電流域に属する過電流が流れた場合に、電気回路遮断装置600Aが電気回路を遮断する様子について説明する。なお、図16は、図15に示す状態から移動体500Aが移動した様子を示す断面図である。
まず、装置SAは、電気回路に異常電流を検出した際、その異常電流が所定値(例えば、1000~2000A[アンペア])より低い比較的低電流域に属すると判断したとする。次に、装置SAは第二動力源830Aに異常信号X1Aを入力する。これにより、第二動力源830Aに内蔵された火薬が爆発し、その爆発による空気圧が規制体810Aの末端部812Aに伝わる。すると、この空気圧によって、規制体810Aは、ハウジング300Aの収容部310Aへ向けて勢いよく吹き飛ばされて収容部820A内を移動する。そして、規制体810Aがハウジング300Aの収容部310A内に突出して、移動体500の下側に潜り込んだ状態となる。その際、収容部310A内に配置されている当接台112Aは、規制体810Aの空間813A内に収容されているので、規制体810Aの移動の邪魔になることはない。
その後、装置SAは、第一動力源PAに異常信号X2Aを入力する。これにより、第一動力源PA内の火薬が爆発し、その爆発による空気圧によって、移動体500Aは第一端部320Aから第二端部330Aに向けて勢いよく吹き飛ばされ、収容部310A内を第二端部330Aに向けて瞬時に移動する。
すると、移動体500Aの絶縁体560Aによって、切断片420Aは下方へ強く押され、切断片420Aは、切断片420Aと基部片430Aの連結箇所付近で切断されて、基部片430Aから物理的に分離された状態となる。そのため、両側の基部片430Aが通電した状態が即座に遮断され、電気回路に過電流が流れるのを防止できるのである。なお、異常電流は所定値より低い比較的低電流域に属するため、分離された切断片420Aと基部片430Aとの距離が近くても、アーク放電は生じず、さらに、基部片430Aの間に介在する絶縁体560Aによって、アーク放電はより確実に生じないようになっている。
また、移動体500Aの下端側は、分離された切断片420Aを挟むようにして、収容部310A内に突出した規制体810Aに当接するので、移動体500Aは、それ以上、第二端部330Aに向けて移動できない。この状態では、図8で示した実施形態1に係る電気回路遮断装置600と同様に、電極部が基部片430Aに接触していないので、基部片430Aを流れる電流は、電極部を介してヒューズ機能部700Aには流れないのである。つまり、規制体810Aは、被切断部400Aとヒューズ機能部700Aとが接続されていない状態とするため、被切断部400Aの一部と電極部とが接触しないように、移動体500Aの移動を規制しているのである。なお、規制手段800Aの規制体810Aは、移動体500Aの下側に潜り込むようにして移動体500Aに当接し、移動体500Aの移動を規制している。そのため、規制手段800Aの規制体810Aは、移動体500Aの下側をしっかりと安定した状態で受け止めることができ、さらに、規制手段800Aの規制体810Aの構造も簡単になる。
では次に、電気回路に所定値より高い比較的高電流域に属する過電流が流れた場合について説明する。装置SAは、電気回路に異常電流を検出した際、その異常電流が、所定値より低い比較的低電流域に属さず、所定値より高い比較的高電流域に属すると判断する。次に、装置SAは、第二動力源830Aに異常信号X1Aを入力することなく、第一動力源PAのみに異常信号X2Aを入力する。なお、装置SAは第二動力源830Aに異常信号X1Aを入力していないので、規制手段800Aは作動しておらず、規制体810Aがハウジング300Aの収容部310A内に突出していないので、移動体500Aの動きが規制手段800Aによって規制されることはない。
そして、異常信号X2Aによって第一動力源P内の火薬が爆発し、移動体500Aは収容部310A内を第二端部330Aに向けて瞬時に移動する。その後の電気回路遮断装置600Aが電気回路を遮断する動作は、図10から図12で示した実施形態1に係る電気回路遮断装置600の動作態様と同様である。その結果、ハウジング300A内において事故電流によるアークが基部片430A間で引き続き発生して電気回路遮断装置600Aが損傷することを防止でき、安全に電気回路を遮断できるのである。
<実施形態3>
では次に、実施形態3に係る本願発明の電気回路遮断装置600Bについて、図17から図25を参照して説明する。また、実施形態3に係る電気回路遮断装置600Bの構成は、電極部540Bと電極部550Bの配置、及び導電体570Bを備えた点を除き、実施形態1に係る電気回路遮断装置600の構成と基本的に同一なので、同一の構成については説明を省略する。なお、図17(a)は、下側ハウジング100Bの全体斜視図、図17(b)は、下側ハウジング100Bの平面図、図17(c)は、I-I断面図である。
下側ハウジング100Bには、合成樹脂等の絶縁体で形成された規制手段800Bが取り付けられている。この規制手段800Bは、規制体810Bを摺動可能に収容した収容部820Bと、規制体810Bを移動させるための第二動力源830Bを備える。規制体810Bは、上端814Bが尖った略直方体形状をしており、末端部812Bと先端部811Bを備え、内部には、後述する当接台112Bの一部を収容可能な略直方体形状の空間813Bを備えている。また、下側ハウジング100Bには、内部の下側収容部110Bと規制手段800Bの収容部820Bとを連通させる貫通孔150Bが設けられており、貫通孔150Bは規制手段800Bの規制体810Bを挿通可能に形成されている。詳しくは、後述するが、収容部820B内に収容された第二動力源830Bから生じた空気圧等の動力が、収容部820B内の規制体810Bへ伝わり、下側ハウジング100Bの下側収容部110Bへ向けて規制体810Bを移動させるのである。そして、移動した規制体810Bが、貫通孔150Bを挿通して、下側ハウジング100Bの下側収容部110Bへ移動するのである。なお、規制手段800Bは下側ハウジング100Bに取り付けられているが、これに限定されず、ハウジング300Bの一部であれば、任意の箇所に取り付けることが出来る。
では次に、本願発明の電気回路遮断装置600Bの組み立て方について、図18を参照して説明する。なお、この図18は、電気回路遮断装置600Bの分解斜視図を示している。
電気回路遮断装置600Bの組み立てる際は、まず、下側ハウジング100Bの下側収容部110Bの底部に、絶縁体で形成され、先端118Bが尖った略直方体形状の当接台112Bを固定する。次に、切断片420Bが下側ハウジング100Bの下側収容部110Bを横断するように被切断部400Bを配置する。
次に、上側ハウジング200Bの上側収容部210B内に移動体500Bの本体510B側が挿入されるように、上側ハウジング200Bを下側ハウジング100Bの上から嵌め合わせる。すると、下側ハウジング100B及び上側ハウジング200Bから成るハウジング300Bが、内部に被切断部400B及び移動体500Bを収容した状態で組み付けられる。さらに、上側ハウジング200Bの動力源収納部221Bには第一動力源PBが取り付けられており、第一動力源PBの一部は移動体500Bの窪み部511Bに収容される。
また、下側ハウジング100Bには、規制手段800Bが取り付けられている。そして、規制体810Bの一部が、第二動力源830Bによって、下側ハウジング100Bの下側収容部110B内へ移動できるように構成されている。そして、電気回路に異常電流が流れたことを検知して、外部の装置から第二動力源830Bに異常信号が入力されると、例えば、第二動力源830Bの内部の火薬を爆発させて、その爆発による空気圧によって、規制体810Bを収容部820B内で瞬時に押し出して移動させるものである。
また、電気回路遮断装置600Bはヒューズ機能部700Bを備える。ヒューズエレメント720Bの両側の端子750Bは、それぞれ電線等の接続部材760Bによって、下側ハウジング100Bの下側収容部110B内に配置された、一対の電極部540Bと電極部550Bに電気的に接続されている。なお、ヒューズ機能部700Bは、ハウジング300Bの任意の場所に取り付けることができる。
では次に、本願発明の実施形態3に係る電気回路遮断装置600Bの内部構造について、図19及び図20を参照して説明する。なお、図19は、図18に示す電気回路遮断装置600Bが組み立てられた状態でのJ―J断面図、図20は、図18に示す電気回路遮断装置600Bが組み立てられた状態でのK―K断面図である。
組み立てられて完成した電気回路遮断装置600Bは、保護したい電気回路内に取り付けられて利用される。具体的には、電気回路の一部に被切断部400Bの基部片430Bを接続して、被切断部400Bを電気回路の一部を構成するようにする。また、電極部540B及び電極部550Bは、ハウジング300Bの収容部310B内の第二端部330B側に配置されており、切断片420Bを挟んで移動体500Bの反対側に位置している。また、ヒューズ機能部700Bはハウジング300Bの任意の位置に固定されている。また、移動体500Bの先端側には、切断片420Bに相対するように、銅などの金属からなる一対の導電体570Bが設けられている。なお、通常時においては、被切断部400Bの基部片430Bと切断片420Bは切断されておらず、物理的にも電気的に接続されているので、電流I1Bが被切断部400Bの基部片430Bと切断片420Bを介して電気回路中を流れるようになっている。なお、一対の電極部540B及び電極部550Bは、切断片420Bの下側に切断片420Bから離れて配置されている。そのため、一対の電極部540B及び電極部550Bは、物理的にも電気的にも被切断部400Bとは接続されていないので、電気回路中を流れる電流は、電極部540B及び電極部550Bを介してヒューズ機能部700Bに流れることはない。また、両側の導電体570Bは互いに、物理的に別体であって電気的にも接続されていない。また、導電体570Bは、切断片420Bの上側に切断片420Bから離れて配置されている。
また、図20に示すように、規制手段800Bの規制体810Bの先端部811B側は、ハウジング300Bの貫通孔150Bに挿入されているものの、収容部310Bには突出していない。そのため、通常時においては、規制手段800Bの規制体810Bの一部が収容部310Bには突出しておらず、規制手段800Bが移動体500Bの移動を規制することはない。
また、図20に示すように、保護したい電気回路には、電気回路中の異常電流を検知する装置SBが接続されている。この装置SBは、異常電流が、所定値より低い比較的低電流域に属すると判断した場合は、第二動力源830Bに異常信号X1Bを入力する。その後、所定時間を経過した後、装置SBは、第一動力源PBに異常信号X2Bを入力する。なお、所定時間とは、後述するように、第二動力源830Bによって、規制体810Bがハウジング300Bの収容部310B内に突出するまでの時間である。一方、装置SBは、検出した異常電流が、所定値より低い比較的低電流域に属さず、所定値より高い比較的高電流域に属すると判断した場合は、第二動力源830Bに異常信号X1Bを入力することなく、第一動力源PBのみに異常信号X2Bを入力する。
では次に、図21及び図22を参照して、電気回路に所定値より低い比較的低電流域に属する過電流が流れた場合に、電気回路遮断装置600Bが電気回路を遮断する様子について説明する。なお、図21は、図19に示す状態から移動体500Bが移動した様子を示す断面図、図22は、図20に示す状態から移動体500Bが移動した様子を示す断面図である。
まず、装置SBは、電気回路に異常電流を検出した際、その異常電流が所定値(例えば、1000~2000A[アンペア])より低い比較的低電流域に属すると判断する。次に、装置SBは第二動力源830Bに異常信号X1Bを入力する。これにより、第二動力源830Bに内蔵された火薬が爆発し、その爆発による空気圧が規制体810Bの末端部812Bに伝わる。すると、この空気圧によって、規制体810Bは、ハウジング300Bの収容部310Bへ向けて勢いよく吹き飛ばされて収容部820B内を移動する。そして、規制体810Bがハウジング300Bの収容部310B内に突出して、移動体500Bの下側に潜り込んだ状態となる。その際、収容部310B内に配置されている当接台112Bは、規制体810Bの空間813B内に収容されているので、規制体810Bの移動の邪魔になることはない。また、規制体810Bの高さL1は、当接台112Bの高さL2よりも高くなっている。そのため、後述するように、移動体500Bが、高さの高い規制体810Bに当接することで、移動体500Bが第二端部330Bへ向けて下方に移動できる移動量をより規制できるのである。
その後、装置SBは、第一動力源PBに異常信号X2Bを入力する。これにより、第一動力源PB内の火薬が爆発し、その爆発による空気圧によって、移動体500Bは第一端部320Bから第二端部330Bに向けて勢いよく吹き飛ばされ、収容部310B内を第二端部330Bに向けて瞬時に移動する。
すると、次に図21、及び図22に示すように、移動体500Bによって、切断片420Bは下方へ強く押される。そして、切断片420Bは、規制体810Bの尖った上端814Bによって、略く字状に折り曲げられると共に、切断片420Bと基部片430Bの連結箇所付近で切断されて、基部片430Bから物理的に分離された状態となる。そのため、両側の基部片430Bが通電した状態が即座に遮断され、電気回路に過電流が流れるのを防止できるのである。なお、異常電流は所定値より低い比較的低電流域に属するため、分離された切断片420Bと基部片430Bとの距離が近くても、アークは、切断片420Bを介して生じないようになっている。
また、移動体500Bの突出部530Bが、収容部310B内に突出した規制体810Bの上端814Bに当接するので、移動体500Bは、それ以上、第二端部330Bに向けて移動できない。すると、移動体500Bの導電体570Bは、電極部540B及び電極部550Bに接触していない状態となる。なお、切断された切断片420Bも、電極部540B及び電極部550Bに接触していない状態である。
そのため、電極部540B及び電極部550Bが、導電体570Bを介して基部片430と電気的に接続していないので、基部片430Bを流れる電流は、電極部及び導電体570Bを介してヒューズ機能部700Bには流れないのである。つまり、規制体810Bは、被切断部400Bとヒューズ機能部700Bとが接続されていない状態とするため、被切断部400の一部と電極部とが接続されないように、移動体500Bの移動を規制しているのである。
では次に、図23から図25を参照して、電気回路に所定値より高い比較的高電流域に属する過電流が流れた場合に、電気回路遮断装置600Bが電気回路を遮断する様子について説明する。なお、図23から図25は、図19に示す状態から移動体500Bが移動した様子を示す断面図である。
まず、装置SBは、電気回路に異常電流を検出した際、その異常電流が、所定値より低い比較的低電流域に属さず、所定値より高い比較的高電流域に属すると判断する。次に、装置SBは、第二動力源830Bに異常信号X1Bを入力することなく、第一動力源PBのみに異常信号X2Bを入力する。
これにより、第一動力源PB内の火薬が爆発し、移動体500Bは収容部310B内を第二端部330Bに向けて瞬時に移動する。すると、移動体500Bの下端側に配置された一対の導電体570Bは、被切断部400Bの切断片420Bに接触する。そして、移動体500Bが第二端部330Bに向けて更に移動すると、図23に示すように、移動体500Bの導電体570B及び突出部530Bによって、切断片420Bは下方へ強く押され、切断片420Bは、切断片420Bと基部片430Bの連結箇所付近で切断されて、基部片430Bから物理的に分離された状態となる。なお、導電体570Bは切断片420B及び基部片430Bに接触しているので、切断片420Bは基部片430Bから物理的に分離されているものの、導電体570Bによって、被切断部400Bの両側の基部片430Bが切断片420Bを介して通電したままの状態となっている。
さらに、移動体500Bが第二端部330Bに向けて移動すると、図24に示すように、両側の導電体570Bはそれぞれ、電極部540B及び電極部550Bに接触する。また、導電体570Bは、基部片430Bにも接触している。そのため、ヒューズ機能部700Bは、導電体570Bと一対の電極部(540B、550B)とを介して、被切断部400Bの一部と通電した状態となり、電気回路を流れる電流の一部I2Bはヒューズ機能部700Bへと流れるのである。また、図24に示す状態では、切断片420Bは導電体570Bと接触しているので、導電体570Bを介して基部片430Bと電気的に接続されている。つまり、被切断部400Bの両側の基部片430Bが切断片420Bを介して通電したままの状態で、被切断部400Bの一部はヒューズ機能部700Bと接続されているのである。
次に図25に示すように、移動体500Bが第二端部330Bに向けて更に移動すると、移動体500Bの突出部530Bと導電体570Bによって、切断片420Bは下方へ強く押されると共に、当接台112Bの三角形状の先端118Bによって、切断片420Bは略く字に折り曲げられている。そのため、切断片420Bと導電体570Bとが離間して、切断片420Bと導電体570Bとは物理的にも電気的にも接続されていない状態となる。つまり、被切断部400Bの両側の基部片430Bが切断片420Bを介して通電した状態が遮断されて、電気回路に過電流が流れるのを防止できるのである。
また、図24から図25に示すように、一対の電極部540B及び電極部550Bが、導電体570Bを介して被切断部400Bの一部に接触して、被切断部400Bがヒューズ機能部700Bに接続された後に、被切断部400Bの一部の切断片420Bが折り曲げられて、被切断部400Bの両側の基部片430Bが切断片420Bを介して通電した状態が遮断されるので、その被切断部400Bが通電した状態が遮断される際には、基部片430Bを流れる電流I1B(事故電流)がヒューズ機能部700Bへと誘導されている。そのため、分断された切断片420Bと基部片430Bとの間に、事故電流によるアークが発生することを防止できる。
そして、図25に示すように、ヒューズ機能部700Bへ誘導された電流I1B(事故電流)により、ヒューズ機能部700Bの溶断部740Bは素早く溶断し、電気回路に流れる電流を素早く遮断する。更に、溶断部740Bが溶断した後には、電気回路に接続されている両側の基部片430Bにかかる電圧によって、ヒューズ機能部700Bの端子750B間にアークが発生するが、そのアークは、ヒューズ機能部700B内の消弧材730Bによって素早く効果的に消弧されるのである。なお、図24から図25に示すように、一対の導電体570Bが被切断部400Bの一部と、一対の電極部(540B、550B)に接触した後は、導電体570Bは第二端部330Bへ向けて移動しながら、被切断部400Bの一部と、一対の電極部(540B、550B)に接触した状態を常に維持しているので、被切断部400Bがヒューズ機能部700Bに接続された状態も常に維持されている。
このように、電気回路遮断装置600Bでは、電気回路を遮断した際に電気回路に流れている比較的高い電流(事故電流)をヒューズ機能部700Bに誘導し、その誘導された電流によって生じるアークをヒューズ機能部700B内で、効果的に素早く消弧することができるのである。また、被切断部400Bが通電した状態が遮断されて、両側の基部片430Bの間にアークが発生する前に、被切断部400Bとヒューズ機能部700Bとが接続された状態が確保されているので、比較的高い事故電流によるアークをヒューズ機能部700Bへと確実に誘導してヒューズ機能部700B内で消弧できる。その結果、ハウジング300B内においてアークが基部片430B間で発生して電気回路遮断装置600Bが損傷することを防止でき、安全に電気回路を遮断できるのである。
また、一対の電極部(540B、550B)とヒューズ機能部700Bを、移動体500Bではなくて、ハウジング300B側に設けることで、一対の電極部(540B、550B)とヒューズ機能部700Bとの接続性が、移動体500Bの動きに影響を受けず、安定かつ確実に接続された状態を容易に維持できる。そのため、一対の電極部(540B、550B)とヒューズ機能部700Bとの接続構成(接続部材など)が、移動体500Bの動きを考慮しない、簡単な構成とすることができる。
以上より、本願発明の電気回路遮断装置600Bによれば、比較的低電流域に属する過電流が電気回路に流れた場合は、図21及び図22に示すように、被切断部400Bとヒューズ機能部700Bとが接続されていない状態で、被切断部400Bの両側の基部片430Bの間の切断片420Bを切断して、両側の基部片430Bが通電した状態を即座に遮断し、電気回路に過電流が流れるのを防止している。そのため、従来のように、比較的低電流域に属する電流では、ヒューズ機能部700Bの溶断部740Bが溶断せず電流を遮断できない、又は、遮断するまでに比較的長い時間がかかるため、電気回路に流れた過電流を即座に遮断することはできなくなるという問題を解決している。一方、比較的高電流域に属する過電流が電気回路に流れた場合は、図23から図25に示すように、被切断部400Bとヒューズ機能部700Bとが接続された状態で、被切断部400Bの両側の基部片430Bの間の切断片420Bを切断して、両側の基部片430Bが通電した状態を即座に尚且つ安全に遮断し、電気回路に過電流が流れるのを防止している。このように、本願発明の電気回路遮断装置600Bによれば、比較的高電流だけでなく、比較的低電流までの広い範囲の電流域で、速断性を備えているのである。
<実施形態4>
では次に、実施形態4に係る本願発明の電気回路遮断装置600Cについて、図26及び図27を参照して説明する。また、実施形態4に係る電気回路遮断装置600Cの構成は、
規制手段800を備えず、回路部900C及び遮断体970Cを備えた点を除き、実施形態1に係る電気回路遮断装置600の構成と基本的に同一なので、同一の構成については説明を省略する。なお、図26は、電気回路遮断装置600Cを分解して示した全体斜視図、図27(a)は、図26のS―S断面図、図27(b)は、図26のL―L断面図である。
図26及び図27に示すように、下側ハウジング100Cは、合成樹脂等の絶縁体で形成された略四角柱体であり、内部に中空状の下側収容部110Cを備える。この下側収容部110Cは、移動体500Cを収容できるように構成されている。また、下側ハウジング100Cは、下側収容部110Cに隣接するように、中空状の下側収容部160Cを備える。この下側収容部160Cは、遮断体970Cを収容できるように構成されている。
また、下側ハウジング100Cの上面120Cの一部には、被切断部400Cの基部片430Cを載置できるように、基部片430Cの形状に合わせて窪んだ載置部113Cを備える。この載置部113Cは、下側収容部110Cの両側に相対する様に配置されており、載置部113Cは、直線状に延びる被切断部400Cを両側で支えることになる。
また、回路部900Cが、被切断部400Cと並列に接続されている。この回路部900Cは、被切断部400Cと、ヒューズ機能部700Cを介して電気的に接続するために、全体が銅などの金属製の導電体となっている。そして、回路部900Cは、被切断部400Cの一方の基部片430Cと直接連結された基部片930Cと、被切断部400Cの他方の基部片430Cとヒューズ機能部700Cを介して連結される基部片930Cとを備える。さらに、基部片930Cの間に位置する切断片940Cを備える。また、下側ハウジング100Cの上面120Cの一部には、回路部900Cの基部片930Cを載置できるように、基部片930Cの形状に合わせて窪んだ載置部115Cを備える。この載置部115Cは、下側収容部160Cの両側に相対する様に配置されており、載置部115Cは、直線状に延びる回路部900Cを両側で支えることになる。
また、上側ハウジング200Cは、合成樹脂等の絶縁体で形成された略四角柱体であり、下側ハウジング100Cと対をなしてハウジング300Cを構成するものである。そして、内部に中空状の上側収容部210Cを備え、この上側収容部210Cは、移動体500Cを収容できるように構成されている。また、上側ハウジング200Cは、上側収容部210Cに隣接するように、中空状の上側収容部170Cを備える。この上側収容部170Cは、遮断体970Cを収容できるように構成されている。
また、上側ハウジング200Cの下面230Cの一部には、被切断部400Cの基部片430Cを挿通できるように、基部片430Cの形状に合わせて窪んだ挿通部213Cを備える。この挿通部213Cは、上側収容部210Cの両側に相対する様に配置されると共に、下側ハウジング100Cの載置部113Cと対応する位置に配置されている。また、上側ハウジング200Cの下面230Cの一部には、回路部900Cの基部片930Cを配置できるように、基部片930Cの形状に合わせて窪んだ挿通部215Cを備える。この挿通部215Cは、上側収容部170Cの両側に相対する様に配置されており、挿通部215Cは、直線状に延びる回路部900Cを両側で支えることになる。
さらに、上側ハウジング200Cの上面220C側の一部には、第一動力源PCが収容される動力源収納部221Cが形成されている。この動力源収納部221Cは、上側収容部210Cの上端側と連通している。そして、電気回路に異常電流が流れたことを検知すると、外部の装置から第一動力源PCに異常信号が入力される。そして、例えば、第一動力源PCの内部の火薬を爆発させて、その爆発による空気圧によって、移動体500Cを、上側収容部210Cと下側収容部110Cから構成される収容部310内で、瞬時に押し出して移動させるものである。なお、この収容部310Cは、ハウジング300Cの第一端部320Cから、第一端部320Cの反対側の第二端部330Cまで延びている。そして、移動体500Cは、第一端部320C側に配置されているので、第一端部320C側に設けられた第一動力源PCによって、収容部310C内を第二端部330Cへ向けて移動できるのである。
また、上側ハウジング200Cの上面220C側の一部には、第二動力源990Cが収容される動力源収納部241Cが形成されている。この動力源収納部241Cは、上側収容部170Cの上端側と連通している。そして、電気回路に異常電流が流れたことを検知すると、外部の装置から第二動力源990Cに異常信号が入力される。そして、例えば、第二動力源990Cの内部の火薬を爆発させて、その爆発による空気圧によって、遮断体970Cを、上側収容部170Cと下側収容部160Cから構成される収容部380C内で、瞬時に押し出して移動させるものである。なお、この収容部380Cは、ハウジング300Cの第一端部320Cから、第一端部320Cの反対側の第二端部330Cまで延びている。そして、遮断体970Cは、第一端部320C側に配置されているので、第一端部320C側に設けられた第二動力源990Cによって、収容部380C内を第二端部330Cへ向けて移動できるのである。
また、電気回路遮断装置600Cはヒューズ機能部700Cを備える。このヒューズ機能部700Cは、中空状で絶縁性のケーシング710C内に銅やその合金等の導電性金属からなるヒューズエレメント720Cを備えており、ケーシング710Cの内部では、ヒューズエレメント720Cの周囲に消弧材730Cが充填されている。また、ヒューズ機能部700Cの一方の端子750Cは、被切断部400Cの基部片430Cに接続され、ヒューズ機能部700Cの他方の端子750Cは、回路部900Cの基部片930Cに接続されている。そのため、ヒューズ機能部700Cは、回路部900Cを介して被切断部400Cと電気的に接続された状態となっている。また、ヒューズエレメント720Cは、端子750Cの間に溶断部740Cを備えており、この溶断部740Cは、ヒューズエレメント720Cの幅が局所的に狭くなった部分であり、電気回路遮断装置が遮断すべき電流が流れた際に、発熱して溶断し、電流を遮断できるように構成されている。なお、ヒューズ機能部700Cは、上側ハウジング200Cの収容部251Cに収容されている。
また、図27に示すように、電気回路遮断装置600Cは、保護したい電気回路内に取り付けられて利用される。具体的には、電気回路の一部に被切断部400Cの基部片430Cを接続して、被切断部400Cを電気回路の一部を構成するようにする。また、移動体500Cの突出部530Cは、切断片420Cに沿って延出すると共に、切断片420Cから離間して配置されている。通常時においては、被切断部400Cの基部片430Cと切断片420Cは切断されておらず、物理的にも電気的に接続されているので、電流I1Cが被切断部400Cの基部片430Cと切断片420Cを介して電気回路中を流れるようになっている。
また、通常時においては、遮断体970Cの突出部971Cは、切断片940Cに沿って延出すると共に、切断片940Cから離間して配置されている。つまり、回路部900Cは、遮断体970Cによって切断されて遮断されてない状態である。なお、ヒューズ機能部700Cの抵抗値は、被切断部400Cの抵抗値より大きい。そして、被切断部400Cを介して流れる電流I1Cと、ヒューズエレメント720Cを介して流れる電流I1C´は、ぞれぞれの抵抗値の逆数に比例した大きさとなっているので、通常時の電流I1C´の大きさは、全体の電流(電流I1C+電流I1C´)の十パーセント程度と小さくなっている。
また、図27に示すように、保護したい電気回路には、電気回路中の異常電流を検知する装置SCが接続されている。この装置SCは、内蔵された電流センサー又は電気回路に接続された外部の電流センサー等によって電気回路に異常電流を検出した際、その異常電流が、所定値(例えば、1000~2000A[アンペア])より低い比較的低電流域に属するか否かを判断する。そして、装置SCは、異常電流が、所定値より低い比較的低電流域に属すると判断した場合は、第二動力源990Cに異常信号X1Cを入力する。その後、所定時間を経過した後、装置SCは、第一動力源PCに異常信号X2Cを入力する。なお、所定時間とは、後述するように、第二動力源990Cによって、遮断体970Cが回路部900Cの切断片940Cを切断するまでの時間である。一方、装置SCは、検出した異常電流が、所定値より低い比較的低電流域に属さず、所定値より高い比較的高電流域に属すると判断した場合は、第二動力源990Cに異常信号X1Cを入力することなく、第一動力源PCのみに異常信号X2Cを入力する。
なお、電気回路遮断装置600Cは、後述するように、比較的高電流が流れた場合に、電気回路を遮断した際に生じるアークをヒューズ機能部700Cに誘導して効果的に素早く消弧することができるので、収容部310C内に(特に、切断片420周辺)は、アークを消弧するための消弧材を封入していない。なお、基本的に、収容部310C内に消弧材を封入する必要はないが、仕様によっては、収容部310C内に消弧材を封入してもよい。
では次に、図28を参照して、電気回路に所定値より低い比較的低電流域に属する過電流が流れた場合に、電気回路遮断装置600Cが電気回路を遮断する様子について説明する。なお、図28(a)は、図27(b)に示す状態から遮断体970Cが移動した様子を示す断面図、図28(b)は、図28(a)に示す状態から移動体500Cが移動した様子を示す断面図である。
まず、装置SCは、電気回路に異常電流を検出した際、その異常電流が所定値(例えば、1000~2000A[アンペア])より低い比較的低電流域に属すると判断したとする。次に、装置SCは第二動力源990Cに異常信号X1Cを入力する。これにより、第二動力源990C内の火薬が爆発し、その爆発による空気圧が遮断体970Cに伝わる。すると、この空気圧によって、遮断体970Cは、第一端部320Cから第二端部330Cに向けて勢いよく吹き飛ばされ、収容部380C内を第二端部330に向けて瞬時に移動する。すると、図28(a)に示すように、遮断体970Cの突出部971Cによって、回路部900Cの切断片940Cは下方へ強く押され、切断片940Cは、切断片940Cと基部片930Cの連結箇所付近で切断されて、基部片930Cから物理的に分離された状態となる。このように、回路部900Cは、遮断体970Cによって遮断されるので、ヒューズ機能部700Cが回路部900Cを介して被切断部400Cと電気的に接続されていた状態から、ヒューズ機能部700Cが被切断部400Cと電気的に接続されていない状態に変わるのである。これにより、基部片430Cを流れる異常電流I2C(図27(a)参照)は、回路部900Cを介してヒューズ機能部700Cには流れず、被切断部400Cのみに流れるのである。
なお、比較的低電流域に属する電流が、回路部900Cを介してヒューズ機能部700Cに流れると、この比較的低電流域に属する電流では、ヒューズ機能部700Cの溶断部740Cが溶断せず電流を遮断できない、又は、遮断するまでに比較的長い時間がかかるため、電気回路に流れた過電流を即座に遮断することはできなくなる。
その後、装置SCは、第一動力源PCに異常信号X2Cを入力する。これにより、第一動力源PC内の火薬が爆発し、その爆発による空気圧によって、移動体500Cは第一端部320Cから第二端部330Cに向けて勢いよく吹き飛ばされ、収容部310C内を第二端部330Cに向けて瞬時に移動する。すると、図28(b)に示すように、移動体500Cの突出部530Cによって、切断片420Cは下方へ強く押され、切断片420Cは、切断片420Cと基部片430Cの連結箇所付近で切断されて、基部片430Cから物理的に分離された状態となる。そのため、両側の基部片430Cが通電した状態が即座に遮断され、電気回路に過電流I2Cが流れるのを防止できるのである。なお、異常電流I2Cは所定値より低い比較的低電流域に属するため、分離された切断片420Cと基部片430Cとの距離が近くても、アーク放電は生じないか、即座に消弧するのである。
では次に、図29を参照して、電気回路に所定値より高い比較的高電流域に属する過電流が流れた場合に、電気回路遮断装置600Cが電気回路を遮断する様子について説明する。なお、図29は、図27(b)に示す状態から移動体500Cが移動した様子を示す断面図である。
まず、装置SCは、電気回路に異常電流を検出した際、その異常電流が、所定値より低い比較的低電流域に属さず、所定値より高い比較的高電流域に属すると判断したとする。次に、装置SCは、第二動力源990Cに異常信号X1Cを入力することなく、第一動力源PCのみに異常信号X2Cを入力する。
これにより、第一動力源PC内の火薬が爆発し、移動体500Cは収容部310C内を第二端部330Cに向けて瞬時に移動する。すると、次に図29に示すように、移動体500Cが第二端部330Cに向けて移動し、移動体500Cの突出部530Cによって、切断片420Cは下方へ強く押され、切断片420Cは、切断片420Cと基部片430Cの連結箇所付近で切断されて、基部片430Cから物理的に分離された状態となる。つまり、被切断部400Cの両側の基部片430Cが切断片420Cを介して通電した状態が遮断されて、電気回路に過電流が流れるのを防止できるのである。
また、電気回路に接続されている両側の基部片430Cには比較的高電流域に属する過電流が流れているので、基部片430Cと切断直後の切断片420Cとの間にアークが発生する可能性がある。しかしながら、図27(a)及び図29に示すように、回路部900Cの切断片940Cは遮断体970Cによって切断されていないので、ヒューズ機能部700Cは、回路部900Cを介して被切断部400Cと電気的に接続された状態である。そして、ヒューズ機能部700Cと被切断部400Cとが電気的に接続された状態のままで、被切断部400Cの切断片420Cが切断されているので、切断片420Cが切断された際、電気回路を流れている電流I3C(事故電流)が回路部900Cを介してヒューズ機能部700Cへと誘導されている(図27(a)参照)。そのため、基部片430Cと切断された切断片420Cとの間にアークが発生することを防止できるのである。
そして、ヒューズ機能部700Cへ誘導された電流I3Cによって、ヒューズ機能部700Cの溶断部740Cが発熱して溶断する。なお、移動体500Cによって切断片420Cを切断して電気回路を遮断した際、電流I3Cがヒューズ機能部700Cへ誘導されて、電気回路中に電流が流れることから、厳密には電気回路は完全に遮断されていない。しかし、ヒューズ機能部700Cの溶断部740Cの定格を小さくしてあるので、電流I3Cにより溶断部740Cは即座に溶断して、電気回路を即座に完全に遮断するのである。
更に、溶断部740Cが溶断した後には、電気回路に接続されている両側の基部片430Cにかかる電圧によって、ヒューズ機能部700Cの端子750C間にアークが発生するが、そのアークは、ヒューズ機能部700C内の消弧材730Cによって素早く効果的に消弧されるのである。
このように、本願発明の電気回路遮断装置600Cによれば、電気回路を遮断した際に電気回路に流れている比較的高い電流(事故電流)をヒューズ機能部700Cに誘導し、その誘導された電流によって生じるアークをヒューズ機能部700C内で、効果的に素早く消弧することができるのである。その結果、ハウジング300C内においてアークが基部片430C間で発生して電気回路遮断装置600Cが損傷することを防止でき、安全に電気回路を遮断できるのである。
以上より、本願発明の電気回路遮断装置600Cによれば、比較的低電流域に属する過電流が電気回路に流れた場合は、図28に示すように、被切断部400Cとヒューズ機能部700Cとが接続されていない状態で、被切断部400Cの両側の基部片430Cの間の切断片420Cを切断して、両側の基部片430Cが通電した状態を即座に遮断し、電気回路に過電流が流れるのを防止している。そのため、従来のように、比較的低電流域に属する電流では、ヒューズ機能部700Cの溶断部740Cが溶断せず電流を遮断できない、又は、遮断するまでに比較的長い時間がかかるため、電気回路に流れた過電流を即座に遮断することはできなくなるという問題を解決している。一方、比較的高電流域に属する過電流が電気回路に流れた場合は、図29に示すように、被切断部400Cとヒューズ機能部700Cとが接続された状態で、被切断部400Cの両側の基部片430Cの間の切断片420Cを切断して、両側の基部片430Cが通電した状態を即座に尚且つ安全に遮断し、電気回路に過電流が流れるのを防止している。このように、本願発明の電気回路遮断装置600Cによれば、比較的高電流だけでなく、比較的低電流までの広い範囲の電流域で、速断性を備えているのである。
<実施形態5>
では次に、実施形態5に係る本願発明の電気回路遮断装置600Dについて、図30及び図31を参照して説明する。また、実施形態5に係る電気回路遮断装置600Dの構成は、規制手段800を備えず、回路部900D及び遮断体970Dを備えた点と、ヒューズ機能部700Dの構成を除き、実施形態1に係る電気回路遮断装置600の構成と基本的に同一なので、同一の構成については説明を省略する。なお、図30は、電気回路遮断装置600Dを分解して示した全体斜視図、図31(a)は、図30のN―N断面図、図31(b)は、図30のM―M断面図である。
図30及び図31に示すように、下側ハウジング100Dは、合成樹脂等の絶縁体で形成された略四角柱体であり、内部に中空状の下側収容部110Dを備える。この下側収容部110Dは、移動体500Dを収容できるように構成されている。また、下側ハウジング100Dは、下側収容部110Dに隣接するように、中空状の下側収容部160Dを備える。この下側収容部160Dは、遮断体970Dを収容できるように構成されている。
また、下側ハウジング100Dの上面120Dの一部には、被切断部400Dの基部片430Dを載置できるように、基部片430Dの形状に合わせて窪んだ載置部113Dを備える。この載置部113Dは、下側収容部110Dの両側に相対する様に配置されており、載置部113Dは、直線状に延びる被切断部400Dを両側で支えることになる。
また、回路部900Dが、被切断部400Dと並列に接続されている。この回路部900Dは、被切断部400Dと、ヒューズエレメント720Dを介して電気的に接続するために、全体が銅などの金属製の導電体となっている。そして、回路部900Dは、被切断部400Dの一方の基部片430Dと直接連結された基部片930Dと、被切断部400Dの他方の基部片430Dと直接連結されたもう一方の基部片930Dとを備え、ヒューズエレメント720Dを介して被切断部400Dと連結される。より具体的には、直線状に延出するヒューズエレメント720Dは、遮断体970Dの前後に貫通した収容部972D内を前後に挿通しており、収容部972Dから外側へ突出したヒューズエレメント720Dの両側の端部721Dが、それぞれ基部片930Dに連結されている。そして、ヒューズエレメント720Dは、回路部900Dの一部を構成すると共に、後述するヒューズ機能部の一部も構成している。また、下側ハウジング100Dの上面120Dの一部には、回路部900Dの基部片930Dを載置できるように、基部片930Dの形状に合わせて窪んだ載置部115Dを備える。この載置部115Dは、下側収容部160Dの両側に相対する様に配置されており、載置部115Dは、直線状に延びる回路部900Dを両側で支えることになる。
また、上側ハウジング200Dは、合成樹脂等の絶縁体で形成された略四角柱体であり、下側ハウジング100Dと対をなしてハウジング300Dを構成するものである。そして、内部に中空状の上側収容部210Dを備え、この上側収容部210Dは、移動体500Dを収容できるように構成されている。また、上側ハウジング200Dは、上側収容部210Dに隣接するように、中空状の上側収容部170Dを備える。この上側収容部170Dは、遮断体970Dを収容できるように構成されている。
また、上側ハウジング200Dの下面230Dの一部には、被切断部400Dの基部片430Dを挿通できるように、基部片430Dの形状に合わせて窪んだ挿通部213Dを備える。この挿通部213Dは、上側収容部210Dの両側に相対する様に配置されると共に、下側ハウジング100Dの載置部113Dと対応する位置に配置されている。また、上側ハウジング200Dの下面230Dの一部には、回路部900Dの基部片930Dを配置できるように、基部片930Dの形状に合わせて窪んだ挿通部215Dを備える。この挿通部215Dは、上側収容部170Dの両側に相対する様に配置されており、挿通部215Dは、直線状に延びる回路部900Dを両側で支えることになる。
さらに、上側ハウジング200Dの上面220D側の一部には、第一動力源PDが収容される動力源収納部221Dが形成されている。この動力源収納部221Dは、上側収容部210Dの上端側と連通している。そして、電気回路に異常電流が流れたことを検知すると、外部の装置から第一動力源PDに異常信号が入力される。そして、例えば、第一動力源PDの内部の火薬を爆発させて、その爆発による空気圧によって、移動体500Dを、上側収容部210Dと下側収容部110Dから構成される収容部310D内で、瞬時に押し出して移動させるものである。なお、この収容部310Dは、ハウジング300Dの第一端部320Dから、第一端部320Dの反対側の第二端部330Dまで延びている。そして、移動体500Dは、第一端部320D側に配置されているので、第一端部320D側に設けられた第一動力源PDによって、収容部310D内を第二端部330Dへ向けて移動できるのである。
また、上側ハウジング200Dの上面220D側の一部には、第二動力源990Dが収容される動力源収納部241Dが形成されている。そして、電気回路に異常電流が流れたことを検知すると、外部の装置から第二動力源990Dに異常信号が入力される。そして、例えば、第二動力源990Dの内部の火薬を爆発させて、その爆発による空気圧によって、遮断体970Dを、上側収容部170Dと下側収容部160Dから構成される収容部380D内で、瞬時に押し出して移動させるものである。なお、この収容部380Dは、ハウジング300Dの第一端部320Dから、第一端部320Dの反対側の第二端部330Dまで延びている。そして、遮断体970Dは、第一端部320D側に配置されているので、第一端部320D側に設けられた第二動力源990Dによって、収容部380D内を第二端部330Dへ向けて移動できるのである。
また、電気回路遮断装置600Dはヒューズエレメント720Dを備える。ヒューズエレメント720Dの周囲に粒状の消弧材730Dが充填されている。また、ヒューズエレメント720Dの一方の端部721Dは、被切断部400Dの基部片430Dと直接連結された基部片930Dに接続され、ヒューズエレメント720Dの他方の端部721Dは、回路部900Dのもう一方の基部片930Dに接続されている。そのため、ヒューズエレメント720Dは、回路部900Dを介して被切断部400Dと電気的に並列接続された状態となっている。また、ヒューズエレメント720Dは、両端の間に溶断部740Dを備えており、この溶断部740Dは、ヒューズエレメント720Dの幅が局所的に狭くなった部分であり、電気回路遮断装置が遮断すべき電流が流れた際に、発熱して溶断し、電流を遮断できるように構成されている。なお、ヒューズエレメント720Dは、遮断体970Dの収容部972Dに収容されている。また、この収容部972Dには消弧材730Dがヒューズエレメント720Dを取り囲むように充填されている。そして、電気回路遮断装置600Dが備えるヒューズ機能部は、図26に示すような、消弧材730Cとヒューズエレメント720Cがケーシング710C内に封入されたヒューズの態様からなるヒューズ機能部700Cとは異なり、溶断部740Dを備えたヒューズエレメント720Dと、遮断体970Dの収容部972Dに充填された消弧材730Dとから構成される態様となっている。
また、図31に示すように、電気回路遮断装置600Dは、保護したい電気回路内に取り付けられて利用される。具体的には、電気回路の一部に被切断部400Dの基部片430Dを接続して、被切断部400Dを電気回路の一部を構成するようにする。また、移動体500Dの突出部530Dは、切断片420Dに沿って延出すると共に、切断片420Dから離間して配置されている。通常時においては、被切断部400Dの基部片430Dと切断片420Dは切断されておらず、物理的にも電気的に接続されているので、電流I1Dが被切断部400Dの基部片430Dと切断片420Dを介して電気回路中を流れるようになっている。
また、通常時においては、遮断体970Dの収容部972Dは消弧材730Dがヒューズエレメント720Dを取り囲むように充填されて、ヒューズエレメント720Dが2か所の基部片930D間を接続している。つまり、回路部900Dは、遮断体970Dによって切断されて遮断されてない状態である。なお、ヒューズエレメント720Dの抵抗値は、被切断部400Dの抵抗値より大きい。そして、被切断部400Dを介して流れる電流I1Dと、ヒューズエレメント720Dを介して流れる電流I1D´は、ぞれぞれの抵抗値の逆数に比例した大きさとなっているので、通常時の電流I1D´の大きさは、全体の電流(電流I1D+電流I1D´)の十パーセント程度と小さくなっている。
また、図31に示すように、保護したい電気回路には、電気回路中の異常電流を検知する装置SDが接続されている。この装置SDは、内蔵された電流センサー又は電気回路に接続された外部の電流センサー等によって電気回路に異常電流を検出した際、その異常電流が、所定値(例えば、1000~2000A[アンペア])より低い比較的低電流域に属するか否かを判断する。そして、装置SDは、異常電流が、所定値より低い比較的低電流域に属すると判断した場合は、第二動力源990Dに異常信号X1Dを入力する。その後、所定時間を経過した後、装置SDは、第一動力源PDに異常信号X2Dを入力する。なお、所定時間とは、後述するように、第二動力源990Dによって、遮断体970Dが回路部900Dのヒューズエレメント720Dを切断するまでの時間である。一方、装置SDは、検出した異常電流が、所定値より低い比較的低電流域に属さず、所定値より高い比較的高電流域に属すると判断した場合は、第二動力源990Dに異常信号X1Dを入力することなく、第一動力源PDのみに異常信号X2Dを入力する。
なお、電気回路遮断装置600Dは、後述するように、比較的高電流が流れた場合に、電気回路を遮断した際に生じるアークをヒューズエレメント720Dに誘導して効果的に素早く消弧することができるので、収容部310D内に(特に、切断片420D周辺)は、アークを消弧するための消弧材を封入していない。なお、基本的に、収容部310D内に消弧材を封入する必要はないが、仕様によっては、収容部310D内に消弧材を封入してもよい。
では次に、図32を参照して、電気回路に所定値より低い比較的低電流域に属する過電流が流れた場合に、電気回路遮断装置600Dが電気回路を遮断する様子について説明する。なお、図32(a)は、図31(b)に示す状態から遮断体970Dが移動した様子を示す断面図、図32(b)は、図32(a)に示す状態から移動体500Dが移動した様子を示す断面図である。
まず、装置SDは、電気回路に異常電流を検出した際、その異常電流が所定値(例えば、1000~2000A[アンペア])より低い比較的低電流域に属すると判断したとする。次に、装置SDは第二動力源990Dに異常信号X1Dを入力する。これにより、第二動力源990D内の火薬が爆発し、その爆発による空気圧が遮断体970Dに伝わる。すると、この空気圧によって、遮断体970Dは、第一端部320Dから第二端部330Dに向けて勢いよく吹き飛ばされ、収容部380D内を第二端部330Dに向けて瞬時に移動する。すると、図32(a)に示すように、遮断体970Dによって、回路部900Dのヒューズエレメント720Dは消弧材730Dを介して下方へ強く押され、ヒューズエレメント720Dは、切断されて、基部片930Dから物理的に分離された状態となる。このように、回路部900Dは、遮断体970Dによって遮断されるので、電気的に接続されていない状態に変わるのである。これにより、基部片430Dを流れる異常電流I2D(図31(a)参照)は、回路部900Dを介して流れず、被切断部400Dのみに流れるのである。
なお、比較的低電流域に属する電流が、回路部900Dを介してヒューズエレメント720Dに流れると、この比較的低電流域に属する電流では、ヒューズエレメント720Dが溶断せず電流を遮断できない、又は、遮断するまでに比較的長い時間がかかるため、電気回路に流れた過電流を即座に遮断することはできなくなる。
その後、装置SDは、第一動力源PDに異常信号X2Dを入力する。これにより、第一動力源PD内の火薬が爆発し、その爆発による空気圧によって、移動体500Dは第一端部320Dから第二端部330Dに向けて勢いよく吹き飛ばされ、収容部310D内を第二端部330Dに向けて瞬時に移動する。すると、図32(b)に示すように、移動体500Dの突出部530Dによって、切断片420Dは下方へ強く押され、切断片420Dは、切断片420Dと基部片430Dの連結箇所付近で切断されて、基部片430Dから物理的に分離された状態となる。そのため、両側の基部片430Dが通電した状態が即座に遮断され、電気回路に過電流I2Dが流れるのを防止できるのである。なお、異常電流I2Dは所定値より低い比較的低電流域に属するため、分離された切断片420Dと基部片430Dとの距離が近くても、アーク放電は生じないか、即座に消弧するのである。
では次に、図33を参照して、電気回路に所定値より高い比較的高電流域に属する過電流が流れた場合に、電気回路遮断装置600Dが電気回路を遮断する様子について説明する。なお、図33は、図31(b)に示す状態から移動体500Dが移動した様子を示す断面図である。
まず、装置SDは、電気回路に異常電流を検出した際、その異常電流が、所定値より低い比較的低電流域に属さず、所定値より高い比較的高電流域に属すると判断したとする。次に、装置SDは、第二動力源990Dに異常信号X1Dを入力することなく、第一動力源PDのみに異常信号X2Dを入力する。
これにより、第一動力源PD内の火薬が爆発し、移動体500Dは収容部310D内を第二端部330Dに向けて瞬時に移動する。すると、次に図33に示すように、移動体500Dが第二端部330Dに向けて移動し、移動体500Dの突出部530Dによって、切断片420Dは下方へ強く押され、切断片420Dは、切断片420Dと基部片430Dの連結箇所付近で切断されて、基部片430Dから物理的に分離された状態となる。つまり、被切断部400Dの両側の基部片430Dが切断片420Dを介して通電した状態が遮断されて、電気回路に過電流が流れるのを防止できるのである。
また、電気回路に接続されている両側の基部片430Dには比較的高電流域に属する過電流が流れているので、基部片430Dと切断直後の切断片420Dとの間にアークが発生する可能性がある。しかしながら、図31(a)及び図33に示すように、回路部900Dのヒューズエレメント720Dは遮断体970Dによって切断されていないので、被切断部400Dと電気的に接続された状態である。そして、この状態で、被切断部400Dの切断片420Dが切断されているので、切断片420Dが切断された際、電気回路を流れている電流I3D(事故電流)が回路部900Dを介してヒューズエレメント720Dへと誘導されている(図31(a)参照)。そのため、基部片430Dと切断された切断片420Dとの間にアークが発生することを防止できるのである。
そして、ヒューズエレメント720Dへ誘導された電流I3Dによって、ヒューズエレメント720Dの溶断部740Dが発熱して溶断する。なお、移動体500Dによって切断片420Dを切断して電気回路を遮断した際、電流I3Dがヒューズエレメント720Dへ誘導されて、電気回路中に電流が流れることから、厳密には電気回路は完全に遮断されていない。しかし、ヒューズエレメント720Dの溶断部740Dの定格を小さくしてあるので、電流I3Dにより溶断部740Dは即座に溶断して、電気回路を即座に完全に遮断するのである。
更に、溶断部740Dが溶断した後には、電気回路に接続されている両側の基部片430Dにかかる電圧によって、ヒューズエレメント720Dの端子721D間にアークが発生するが、そのアークは、遮断体970Dの収容部972D内の消弧材730Dによって素早く効果的に消弧されるのである。
このように、本願発明の電気回路遮断装置600Dによれば、電気回路を遮断した際に電気回路に流れている比較的高い電流(事故電流)をヒューズ機能部のヒューズエレメント720Dに誘導し、その誘導された電流によって生じるアークを消弧材730Dで、効果的に素早く消弧することができるのである。その結果、ハウジング300D内においてアークが基部片430D間で発生して電気回路遮断装置600Dが損傷することを防止でき、安全に電気回路を遮断できるのである。
以上より、本願発明の電気回路遮断装置600Dによれば、比較的低電流域に属する過電流が電気回路に流れた場合は、図32に示すように、被切断部400Dとヒューズエレメント720Dとが接続されていない状態で、被切断部400Dの両側の基部片430Dの間の切断片420Dを切断して、両側の基部片430Dが通電した状態を即座に遮断し、電気回路に過電流が流れるのを防止している。そのため、従来のように、比較的低電流域に属する電流では、ヒューズエレメント720Dの溶断部740Dが溶断せず電流を遮断できない、又は、遮断するまでに比較的長い時間がかかるため、電気回路に流れた過電流を即座に遮断することはできなくなるという問題を解決している。一方、比較的高電流域に属する過電流が電気回路に流れた場合は、図33に示すように、被切断部400Dとヒューズエレメント720Dとが接続された状態で、被切断部400Dの両側の基部片430Dの間の切断片420Dを切断して、両側の基部片430Dが通電した状態を即座に尚且つ安全に遮断し、電気回路に過電流が流れるのを防止している。このように、本願発明の電気回路遮断装置600Dによれば、比較的高電流だけでなく、比較的低電流までの広い範囲の電流域で、速断性を備えているのである。
また、本願発明の電気回路遮断装置は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。

Claims (6)

  1. ハウジングと、
    当該ハウジング内に配置され、電気回路の一部を構成する被切断部と、
    前記ハウジングの第一端部側に配置される第一動力源と、
    前記ハウジング内を、前記第一端部と、当該第一端部の反対側の第二端部との間で移動する移動体とを備えた、電気回路遮断装置であって、
    溶断部と消弧材を備えたヒューズ機能部を備え、
    前記移動体は、前記第一動力源によって、前記第一端部から前記第二端部に向けて移動しつつ、前記移動体の一部が、前記被切断部の両側の基部片の間に位置する切断片を切断するように構成されており、
    遮断すべき電流が低い場合は、
    前記ヒューズ機能部と前記被切断部とを接続させないと共に、第一動力源によって前記移動体が前記第二端部に向けて移動して、前記被切断部の両側の基部片の間に位置する切断片を切断することで、前記被切断部の両側の基部片が通電した状態を遮断し、
    遮断すべき電流が高い場合は、
    前記ヒューズ機能部と前記被切断部とを接続させると共に、第一動力源によって前記移動体が前記第二端部に向けて移動して、前記被切断部の両側の基部片の間に位置する切断片を切断することで、前記被切断部の両側の基部片が通電した状態を遮断するように構成されていることを特徴とする電気回路遮断装置。
  2. 前記ヒューズ機能部の両側の端子にそれぞれ接続されている一対の電極部を備え、
    遮断すべき電流が低い場合は、
    前記移動体が前記第二端部に向けて移動して、前記被切断部の両側の基部片の間に位置する切断片を切断することで、前記被切断部の両側の基部片が通電した状態を遮断すると共に、前記被切断部と前記ヒューズ機能部とを接続させないため、前記被切断部の一部と前記電極部とが接続されないように、第二動力源によって作動した規制手段が、前記移動体の移動を規制し、
    遮断すべき電流が高い場合は、
    前記移動体が前記第二端部に向けて移動して、前記被切断部の両側の基部片が前記切断片を介して通電した状態で、前記被切断部の一部と前記電極部とが接触して、前記被切断部と前記ヒューズが接続され、
    その後、前記移動体の移動に伴って、前記被切断部の両側の基部片が前記切断片を介して通電した状態が、遮断されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気回路遮断装置。
  3. 前記電極部は前記移動体に設けられており、
    前記被切断部の両側の基部片が前記切断片を介して通電した状態とは、前記基部片と、当該基部片と物理的に切断されて切り離された前記切断片とが、アーク放電によって通電した状態であり、
    当該通電した状態が、前記移動体の移動に伴って、前記基部片と前記切断片の間に絶縁体が介在されることで、遮断されることを特徴とする請求項2に記載の電気回路遮断装置。
  4. 前記電極部は、前記ハウジングに設けられており、
    前記被切断部の両側の基部片が前記切断片を介して通電した状態とは、前記基部片と、当該基部片と物理的に切断されて切り離された前記切断片とが、前記移動体に設けられた導電体によって通電した状態であり、
    当該通電した状態で、前記移動体の前記導電体を介して、前記被切断部の基部片と前記電極部とが接続されて、前記被切断部と前記ヒューズが接続されることを特徴とする請求項2に記載の電気回路遮断装置。
  5. 前記ヒューズ機能部を介して前記被切断部に接続される回路部を備え、
    遮断すべき電流が低い場合は、
    前記回路部が、第二動力源によって移動した遮断体によって遮断されて、前記ヒューズ機能部と前記被切断部とが接続されていない状態となり、その後、第一動力源によって前記移動体が前記第二端部に向けて移動して、前記被切断部の両側の基部片の間に位置する切断片を切断することで、前記被切断部の両側の基部片が通電した状態を遮断し、
    遮断すべき電流が高い場合は、
    前記回路部が遮断されずに、前記ヒューズ機能部と前記被切断部とが接続された状態のままで、第一動力源によって前記移動体が前記第二端部に向けて移動して、前記被切断部の両側の基部片の間に位置する切断片を切断することで、前記被切断部の両側の基部片が通電した状態を遮断するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気回路遮断装置。
  6. 前記ヒューズ機能部のヒューズエレメントが前記回路部の一部を構成しており、
    さらに、当該ヒューズエレメントは周囲を消弧材によって囲まれており、
    遮断すべき電流が低い場合は、前記回路部の一部である前記ヒューズエレメントが、前記第二動力源によって移動した遮断体によって遮断されることを特徴とする請求項5に記載の電気回路遮断装置。
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