JP7473200B2 - 動的光散乱測定装置、動的光散乱測定・解析方法、および、測定・解析プログラム - Google Patents

動的光散乱測定装置、動的光散乱測定・解析方法、および、測定・解析プログラム Download PDF

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Description

本発明は、動的光散乱測定装置、動的光散乱測定・解析方法、および、測定・解析プログラムに関する。
微粒子の粒径およびその分布を測定する手法は数多く存在し、対象である粒子の大きさや性質によって決められる。そして、その多くが光を用いた測定手法である。直接観測である光学顕微鏡法や粒子からの散乱光の干渉現象を利用した静的光散乱法は、原理的に光の波長よりも小さい物質を観測することが困難であり、粒径200nm以下の微粒子の観測には適さない。そのような微粒子の観測には、波長の短いプローブを用いた顕微鏡法や散乱法が有効であり、光の場合はX線がプローブに対応する。しかし、X線は可視光と比較して発生させることが困難であり、高価な装置が必要となる。加えて、X線は1光子あたりのエネルギーが可視光と比較して桁違いに大きいため、高分子などの有機材料で構成された微粒子に照射すると、微粒子に不可逆的なダメージが与えられることも多い。その他の波長の短いプローブを用いた手法として、電子線を用いた電子顕微鏡法が挙げられるが、X線散乱装置と同様に高価であり、また試料を真空中に置く必要がある。これらの実験手法と比較して、安価で光の波長よりも小さい粒子の粒径分布を観測できる手法として動的光散乱法がある(例えば、特許文献1および2を参照)。
特許文献1および2によれば、高分子やコロイド溶液に対して光を照射し、生じた散乱光の強度の時間相関関数を測定することによって、溶液中の粒子の粒径分布を測定する手法を採用する。このような手法は、1分以内で様々な粒径の溶質を含んだ溶液の粒径分布を測定できる簡便な手法として広く用いられている。
特許文献1および2によれば、定常発振型レーザ光源、ミラーやレンズなどで構成される光学系、透明なセルに入った液体試料、フォトンカウンティングモジュール、オートコリレータ、パーソナルコンピュータを備える粒径測定装置を開示する。
レーザ光は液体試料に集光され、発生した散乱光は適切な光学系を経てフォトンカウンティングモジュールに集光され、1光子レベルでの検出が行われる。光子の到達時間を逐一オートコリレータで取り込み、ハードウェア上で光子の時間相関関数を計算し、パーソナルコンピュータへとデータが転送される。得られた時間相関関数は、パーソナルコンピュータ上でキュムラント法やCONTIN法などの手法によって解析を行い、粒径分布関数へと変換される。
このように動的光散乱法によれば、簡便に粒径分布を測定できるが、白濁系や有色系の液体試料に対しては適用できなかった。この問題に対して、顕微鏡を用いた粒径測定装置が開発された(例えば、非特許文献1を参照)。
非特許文献1によれば、レーザ光を顕微鏡下の対物レンズで液体試料に照射、そこから出てきた後方散乱光を同一の対物レンズで集光し、検出する。このようにすることで白濁系や有色系の液体試料も測定可能となった。
一方、高価なオートコリレータを用いず、ソフトウェア上で動的光散乱を実施する技術が開発された(例えば、特許文献3および4、非特許文献2および3を参照)。特許文献3および4ならびに非特許文献2および3によれば、フォトンカウンティングモジュールへの光子の到達時間を、データ収集モジュールを介してパーソナルコンピュータ内で一時的に記録し、ソフトウェア上でオートコリレータと同等の機能を達成して時間相関関数を計算する手法を報告する。この手法を用いることによって、測定可能な相関時間の下限は1桁ほど劣るものの、オートコリレータと比較して数分の1のコストで動的光散乱を実装することが可能になった。
動的光散乱は、上述したように、微粒子からの散乱光の位相のずれを検知する手法である。散乱光は粒径が大きくなるほど強いため、浮遊しているほこりなど、マイクロメートルオーダの汚染物質が存在すると、微粒子からの散乱光と比較して非常に強い散乱光が検出される。そのため、この汚染物質からの光によって、散乱光の揺らぎの情報が隠されてしまうという問題があった。汚染物質をあらかじめ取り除くため、試料は測定前にフィルタを通すことが多い。しかし、フィルタにより微粒子の粒径分布が影響を受ける可能性や、フィルタによる試料のロスを考えると、フィルタを使うことなく、多少の汚染物質があっても測定可能な動的光散乱観測装置が望ましい。
オートコリレータを用いた測定を行う際は、オートコリレータに固有の相関時間でしか測定できない。ソフトウェア上で時間相関関数を計算する場合は時間幅を任意に決められるものの、測定前に相関関数の時間幅を決定する必要がある。しかし、適切な相関時間は測定前には不明であるため、適切な相関時間での測定を行うためには複数回の測定を行わなければならない可能性がある。
例えば、高い粘度を持つ溶液からの動的光散乱は、ミリ秒~秒オーダの長い相関時間での観測が必要になるが、これは前述の汚染物質由来のノイズの影響を受けやすいことと、長い相関時間を取得する検出系が一般的でないことから、正確な測定が難しいと考えられている。
特開昭63-265138号公報 特開平2-96636号公報 特開2006-71497号公報 特開2012-194165号公報
T. Hiroiら,Opt.Express,21,20260,2013 D. Magattiら,Appl.Opt.,Vol.40,4011,2001 J. Dongら,J.Biomed.Opt.,17(9),097004,2012
以上から、本発明の課題は、液体試料中の任意の粒子の粒径および/または粒径分布を、動的光散乱法を用いて汚染物質の影響を排除し、1回の計測で正しく測定する動的光散乱測定装置、その測定・解析方法、および、その測定・解析プログラムを提供することである。
本発明の粒子を含有する液体試料中の前記粒子の粒径および/または粒径分布を動的光散乱法により測定する装置は、連続発振レーザ光を発し、前記液体試料に照射する光源と、前記液体試料からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する光子検出装置と、前記電気パルスの到達時間を収集し、光子到達時間リストを生成するデータ収集装置と、前記光子到達時間リストを処理する情報処理装置とを備え、前記情報処理装置は、前記光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算する時間相関関数演算処理部と、前記演算された時間相関関数を用いて前記光子到達時間リストが前記粒子からの散乱光子以外のノイズ成分を含むか否かを判定するノイズ判定部と、前記ノイズ判定部が、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定するまで、前記光子到達時間リストから前記ノイズ成分を除去するノイズ除去部と、前記演算された時間相関関数を用いて前記粒子の粒径および/または粒径分布を演算する粒径演算部とをさらに備え、これにより上記課題を解決する。
前記光子検出装置で生成した前記電気パルスのパルス幅を伸長させ、不感時間を設けるパルス幅伸長・デッドタイム調整器をさらに備えてもよい。
上記動的光散乱装置は、顕微鏡を備え、前記光源は、前記連続発振レーザ光を前記顕微鏡の対物レンズを介して前記液体試料に照射し、前記光子検出装置は、前記液体試料からの散乱光子として後方散乱光子を、前記対物レンズを介して検出してもよい。
前記光子検出装置が検出する前記散乱光子の散乱角度を可変にする角度可変機構を備えてもよい。
前記ノイズ判定部は、前記演算された時間相関関数の収束値が1.05を超える場合に、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含むと判定し、前記演算された時間相関関数の収束値が1.05以下である場合に、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定してもよい。
前記粒径演算部は、指数関数によるフィッティング法、キュムラント法、ヒストグラム法およびCONTIN法からなる群から少なくとも1つ選択される解析法を用いてもよい。
前記時間相関関数演算部は、前記時間相関関数g(2)(τ)を、次式に基づいて演算してもよい。

ここで、Δtは任意に決められる相関時間の最小の時間幅であり、n(t)は、前記光子到達時間リスト中のある時間t~t+Δtの間に検出された散乱光子数であり、Nは測定時間をΔtで除した値であり、<・・・>Δtは時間平均を表す。
前記時間相関関数演算部は、前記時間相関関数g(2)(τ)を、前記光子到達時間リストのフーリエ変換を二乗したパワースペクトルを求め、前記パワースペクトルを逆フーリエ変換して算出してもよい。
本発明の粒子を含有する液体試料中の前記粒子の粒径および/または粒径分布を動的光散乱法により測定・解析する方法は、連続発振レーザ光を前記液体試料に照射することと、前記液体試料からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成することと、前記電気パルスの到達時間を収集し、光子到達時間リストを生成することと、前記光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算することと、前記演算された時間相関関数を用いて前記光子到達時間リストが前記粒子からの散乱光子以外のノイズ成分を含むか否かを判定することと、前記判定することにおいて、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定するまで、前記光子到達時間リストからノイズ成分を除去することと、前記判定することにおいて、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定した場合、前記演算された時間相関関数を用いて前記粒子の粒径および/または粒径分布を演算することとを包含し、これにより上記課題を解決する。
前記電気パルスのパルス幅を伸長させ、不感時間を設けることをさらに包含してもよい。
前記照射することは、前記連続発振レーザ光を顕微鏡の対物レンズを介して前記液体試料に照射し、前記検出し、生成することは、前記液体試料からの散乱光子として後方散乱光子を、前記対物レンズを介して検出してもよい。
前記検出し、生成することは、前記散乱光子の散乱角度を可変にして検出してもよい。
前記判定することは、前記演算された時間相関関数の収束値が1.05を超える場合に、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含むと判定し、前記演算された時間相関関数の収束値が1.05以下である場合に、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定してもよい。
本発明の粒子を含有する液体試料中の前記粒子の粒径および/または粒径分布を動的光散乱法により測定する動的光散乱測定装置に用いられる測定・解析プログラムは、前記動的光散乱測定装置が、連続発振レーザ光を発し、前記液体試料に照射する光源と、前記液体試料からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する光子検出装置と、前記電気パルスの到達時間を収集し、光子到達時間リストを生成するデータ収集装置と、前記光子到達時間リストを処理する情報処理装置とを備え、前記光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算する機能と、前記演算された時間相関関数を用いて前記光子到達時間リストが前記粒子からの散乱光子以外のノイズ成分を含むか否かを判定する機能と、前記判定する機能が、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定するまで、前記光子到達時間リストから前記ノイズ成分を除去する機能と、前記演算された時間相関関数を用いて前記粒子の粒径および/または粒径分布を演算する機能とをコンピュータに実現させ、これにより上記課題を解決する。
本発明の動的光散乱測定装置は、連続発振レーザ光を発し、粒子を含有する液体試料に照射する光源と、液体試料からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する光子検出装置と、電気パルスの到達時間を収集し、光子到達時間リストを生成するデータ収集装置と、光子到達時間リストを処理する情報処理装置とを備える。さらに、情報処理装置は、光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算する時間相関関数演算処理部と、演算された時間相関関数を用いて光子到達時間リストが粒子からの散乱光子以外のノイズ成分を含むか否かを判定するノイズ判定部と、ノイズ判定部が、光子到達時間リストがノイズ成分を含まないと判定するまで、光子到達時間リストからノイズ成分を除去するノイズ除去部と、演算された時間相関関数を用いて粒子の粒径および/または粒径分布を演算する粒径演算部とを備える。
このように、情報処理装置は、すべての散乱光子の情報である光子到達時間リストを作成後に処理を行うため、測定後の処理時に相関関数の適切な時間幅に基づいた正確な粒径および/または粒径分布の測定を可能とする。さらに、ノイズ判定部が、光子到達時間リスト中の粒子以外の成分によるノイズ成分の有無を判定するので、ノイズ成分を有する場合には、ノイズ成分が除去された光子到達時間リストが作成される。この結果、ノイズ成分を有しない正確な光子到達時間リストを用いて時間相関関数が演算され、正確な粒径および/または粒径分布を測定できる。
本発明における動的光散乱測定・解析方法は、すべての散乱光子の情報である光子到達時間リストを作成後にデータ処理を行うため、測定後の処理時に相関関数の適切な時間幅に基づいた正確な粒径および/または粒径分布の測定を可能とする。さらに、光子到達時間リスト中の粒子以外の成分によるノイズ成分の有無を判定し、ノイズ成分が除去された光子到達時間リストを作成するので、ノイズ成分を有しない正確な光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算し、正確な粒径および/または粒径分布を測定できる。また、本発明は、このような機能をコンピュータが実行する測定・解析プログラムを提供する。
本発明の動的光散乱測定装置を示す模式図 例示的なグラフィカルユーザインターフェース(GUI)画面を示す図 例示的な時間相関関数演算設定画面を示す図 例示的なノイズ除去設定画面を示す図 例示的な解析項目設定画面を示す図 例示的な結果表示画面を示す図 例示的な別の結果表示画面を示す図 本発明の別の動的光散乱測定装置を示す模式図 例示的なパルス幅伸長・デッドタイム調整器による電気パルスの変化を示す模式図 本発明の別の動的光散乱測定装置を示す模式図 本発明の別の動的光散乱測定装置を示す模式図 本発明の動的光散乱測定・解析の工程を示すフローチャート ノイズ成分を除去前の光子到達時間リストによる散乱光子数の時間変化を示す図 ノイズ成分を除去前の光子到達時間リストによる時間相関関数を示す図 ノイズ成分を除去後の光子到達時間リストによる散乱光子数の時間変化を示す図 ノイズ成分を除去後の光子到達時間リストによる時間相関関数を示す図
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。
本発明の動的光散乱測定装置、その測定・解析方法およびその測定・解析プログラムについて説明する。
図1は、本発明の動的光散乱測定装置を示す模式図である。
本発明の動的光散乱測定装置100は、粒子110を含有する液体試料120中の粒子の粒径および/または粒径分布を、動的光散乱法を用いて測定する。ここで、測定対象である粒子110としては、金属、無機物、有機物、高分子を問わない。また、これら粒子110が分散した液体試料120としては、濃度や粘度に制限はない。また、白濁あるいは有色の液体試料であってもよい。
本発明の動的光散乱測定装置100は、少なくとも、連続発振レーザ光を発し、液体試料に照射する光源130と、液体試料120からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する光子検出装置140と、光子検出装置140が生成した電気パルスの到達時間を収集し、光子到達時間リストを生成するデータ収集装置150と、光子到達時間リストを処理する情報処理装置160とを備える。
このような構成により、本発明の動的光散乱測定装置100は、すべての散乱光子の情報である光子到達時間リストを作成後にデータ処理するため、測定後の処理時に相関関数の適切な時間幅に基づいた正確な粒径および/または粒径分布の測定を可能とする。光子到達時間リストが粒子110以外のノイズ成分を有する場合には、ノイズ成分が除去された光子到達時間リストを作成できるので、ノイズ成分を有しない正確な光子到達時間リストを用いて時間相関関数が演算され、正確な粒径および/または粒径分布を測定できる。したがって、測定前に予め汚染物質を除去するためにフィルタを通すなどの前処理を不要とする。以降では、各構成要素を詳細に説明する。
光源130は、連続発振レーザ光を発するものであれば特に制限はなく、気体レーザ、固体レーザ、半導体レーザなどを使用できる。レーザ光の波長に特に制限はないが、光子検出装置140の波長検出感度に応じて選択される。例えば、レーザ光として波長700nm以上4μm以下の範囲の近赤外~赤外領域の光を用いる場合、生体組織へのダメージが少なく侵入長も長いため、血管中の血液のダイナミクス測定など医学用途に有利である。
光源130からのレーザ光が液体試料120に照射されるよう、必要に応じて、レンズ、ミラー等の光学系(図示せず)を設けてもよい。
なお、液体試料120は、光源130からのレーザ光が透過可能な容器(セル)に封入してもよいし、レーザ光が透過可能なプレパラートに封入してもよい。本発明の動的光散乱測定装置100は、液体試料120を充填したセルを収容するセルホルダー(図示せず)を備えてもよい。
光子検出装置140は、レーザ光が照射された際の液体試料120からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する。電気パルスのパルス幅は、例示的には、数十ナノ秒~数百ナノ秒である。このような光子検出装置140をフォトンカウンティングモジュールと呼ぶ場合がある。液体試料120からの散乱光子は、必要に応じて、レンズ、ピンホール、光ファイバ等の光学系(図示せず)を介して光子検出装置140で検出されるようにしてよい。
データ収集装置150は、光子検出装置140と有線にて接続されており、光子検出装置140で生成された電気パルスを収集し、収集した電気パルスに基づいて光子到達時間リストを生成する。データ収集装置150には、データを入力し、出力可能な入出力モジュールを用いることができる。ここで、生成される光子到達時間リストは、液体試料120からのすべての散乱光子が光子検出装置140に到達した時間の情報を含む。例えば、光子到達時間リストは、(N個目の光子,N個目の光子の到達時間)で表される。Nは自然数である。
情報処理装置160は、データ収集装置150で収集した光子到達時間リストをデータ処理して、時間相関関数を演算し、粒子の粒径および/または粒径分布を算出する。
詳細には、情報処理装置160は、機能ブロックとして、光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算する時間相関関数演算処理部161と、演算された時間相関関数を用いて光子到達時間リストが粒子からの散乱光子以外のノイズ成分を含むか否かを判定するノイズ判定部162と、光子到達時間リストからノイズ成分を除去するノイズ除去部163と、演算された時間相関関数を用いて粒子の粒径および/または粒径分布を演算する粒径演算部164とをさらに備える。
ここで、ノイズ除去部163は、ノイズ判定部162と協働し、ノイズ判定部162が光子到達時間リストがノイズ成分を含まないと判定するまで、光子到達時間リストからノイズ成分を除去する。この結果、粒径演算部164は、ノイズ判定部162においてノイズ成分を含まないと判定された光子到達時間リストによる時間相関関数を用いて粒子の粒径および/または粒径分布を演算するため、汚染物質の影響を排除し1回の計測で正しく動的光散乱測定を行うことができる。
情報処理装置160は、粒径演算部164による結果(例えば、粒径、粒径分布)を表示する表示装置170を備えてもよい。表示装置170は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode)、プラズマディスプレイ等である。表示装置170には、結果に加えて、時間相関関数演算処理部161、ノイズ判定部162、ノイズ除去部163、粒径演算部164それぞれの測定・解析条件の設定画面等が表示されてもよい。
情報処理装置160は、ユーザからの入力操作を受け付ける入力装置180を備えてもよい。入力装置180は、例えば、キーボード、マウス、ボタン、タッチパネル、タッチセンサ、タッチペン、音声入力等である。
時間相関関数演算処理部161は、光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算する。ここで、演算に用いる光子到達時間リストは、少なくとも、データ収集装置150で生成された光子到達時間リストであるが、上述したノイズ除去部163が、ノイズ成分が除去された光子到達時間リストを作成した場合には、ノイズ成分が除去された光子到達時間リストである。
時間相関関数演算処理部161は、時間相関関数g(2)(τ)を、次式に基づいて演算してよい。これを定義に基づいた直接計算と呼ぶ。

ここで、Δtは任意に決められる相関時間の最小の時間幅であり、n(t)は、光子到達時間リスト中のある時間t~t+Δtの間に検出された散乱光子数であり、Nは測定時間をΔtで除した値であり、<・・・>Δtは時間平均を表す。
あるいは、時間相関関数演算処理部161は、時間相関関数g(2)(τ)を、光子到達時間リストのフーリエ変換を二乗したパワースペクトルを求め、そのパワースペクトルを逆フーリエ変換して算出してもよい。これをフーリエ変換に基づいた計算と呼ぶ。このような選択は、後述する動的光散乱測定・解析プログラムにおいてユーザの指示によって行うことができる。
ノイズ判定部162は、時間相関関数演算処理部161で演算された時間相関関数を用いて、演算に用いた光子到達時間リストが粒子110からの散乱光子以外のノイズ成分を含むか否かを判定する。このようなノイズ成分は、液体試料120中に浮遊するマイクロメートルオーダのほこりや不純物であり得る。
ノイズ判定部162は、好ましくは、演算された時間相関関数の収束値が1.05を超える場合には光子到達時間リストがノイズ成分を含むと判定し、収束値が1.05以下である場合には光子到達時間リストがノイズ成分を含まないと判定する。時間相関関数の収束値が1.05を超えると、ノイズ成分の影響を無視できず、正確な粒径や粒径分布が得られない場合があり得るため、本願明細書では1.05を閾値とするが、より高精度な結果が必要な場合には1.05より小さい値を採用してもよい。
ノイズ判定部162が、光子到達時間リストがノイズ成分を含むと判定した場合に、ノイズ除去部163は、その光子到達時間リストからノイズ成分を除去する。
光子到達時間リストは、散乱光子が光子検出装置140に到達した時間の情報を含むが、ノイズ除去部163は、好ましくは、一定時間内(例えば1s)に検出された散乱光子の数が、平均散乱光子検出数と比較して所定の範囲(例えば、標準偏差の0.5倍)を超える場合、光子到達時間リストから該当時間領域のデータを削除する。このような所定の範囲の設定は、後述する動的光散乱測定・解析プログラムにおいてユーザの指示によって行うことができる。
ノイズ除去部163は、ノイズ成分が除去された光子到達時間リストを作成すると、記憶部(図示せず)に格納してもよい。格納した光子到達時間リストは、後述する動的光散乱測定・解析プログラムにおいてユーザの指示によって読み出すことができる。
時間相関関数演算処理部161は、ノイズ除去部163が作成したノイズ成分が除去された光子到達時間リストを記憶部から読み出し、あるいは、ノイズ除去部163から受け取り、再度、時間相関関数を演算する。ノイズ判定部162は、演算された時間相関関数を用いて、再度、ノイズ成分が除去された光子到達時間リストがノイズ成分を含むか否かを判定する。時間相関関数演算処理部161、ノイズ判定部162およびノイズ除去部163が、ノイズ判定部162が、ノイズ成分を含まないと判定するまで、上記処理を繰り返し行う。
粒径演算部164は、ノイズ判定部162がノイズ成分を含まないと判定すると、ノイズ成分を含まないと判定された光子到達時間リストを用いて演算された時間相関関数を用いて、粒子110の粒径および/または粒径分布を演算する。
粒径演算部164は、好ましくは、指数関数によるフィッティング法、キュムラント法、ヒストグラム法およびCONTIN法からなる群から少なくとも1つ選択される解析法を用いる。これらはいずれも時間相関関数を用いて粒径や粒径分布を算出する解析法として知られている。
例えば、指数関数によるフィッティング法として、演算された時間相関関数を次式に代入し、粒径dを求めることができる。
(2)(τ)=1+Ae-2Γt
ここで、Aは、図1の動的光散乱測定装置100の光学配置によって決まる干渉性因子であり、0<A≦1である。Γは並進拡散係数Dを用いて、次式のように表される。
Γ=q
q=4πn/λ×sin(θ/2)
ここで、qは散乱ベクトルであり、nは液体試料120中の液体の波長λにおける屈折率であり、λは連続発振レーザ光の波長である。
粒子110の粒径(流体力学的直径)dは、アインシュタイン・ストークスの式を用いて、並進拡散係数Dから算出される。
d=kT/(3πηD)
ここで、kはボルツマン定数であり、Tは測定温度(絶対温度)であり、ηは液体の粘度である。
上述のいずれの解析法を採用したとしても、粒径演算部164が用いる演算された時間相関関数は、ノイズ成分が除去されているため、正確な粒径、粒径分布を測定できる。
情報処理装置160は、ノイズ判定部162、ノイズ除去部163、粒径演算部164等の各機能ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
次に、情報処理装置160の各機能ブロックを、例示的なグラフィカルユーザインターフェース(GUI)画面を参照して詳細に説明する。
図2は、例示的なグラフィカルユーザインターフェース(GUI)画面を示す図である。
図2には、ユーザが動的光散乱測定装置100による測定・解析プログラムを操作するための操作画面として、例示的なGUI画面が示される。操作画面は、表示装置170に表示されてよい。このような画面操作は、入力装置180によって行われてよい。
情報処理装置160のデータ処理は、光源110が連続発振レーザ光を液体試料120に照射し、光子測定装置140が液体試料120からの散乱光子すべての到達時間を検出し、電気パルスを生成し、データ収集装置150が電気パルスの到達時間を収集し、光子到達時間リストを生成し、時間相関関数演算部161に送られてから行われるが、生成された光子到達時間リストを記憶部(図示せず)に格納するようにしてもよい。
トップページ200には、時間相関関数演算設定ボタン210、ノイズ除去設定ボタン220、解析項目設定ボタン230、解析実行ボタン240、結果表示ボタン250および終了ボタン260を備える。
図3は、例示的な時間相関関数演算設定画面を示す図である。
ユーザが動的光散乱測定・解析プログラムを起動し、時間相関関数演算設定ボタン210を選択すると、時間相関関数演算設定画面300に移る。時間相関関数設定画面300では、ユーザは、入力装置180によって、時間相関関数を演算する光子到達時間リストを指定し、時間相関関数の最小の時間幅を設定し、時間相関関数の演算法(定義に基づいた直接計算またはフーリエ変換に基づいた計算)を選択し、ノイズ判定のための時間相関関数の収束値を入力する。時間幅は、液体試料120に応じて、ユーザが任意に設定できるので、正確な粒径、粒径分布の測定を可能にする。本発明の動的光散乱測定装置100を用いれば、相関時間が長い(例えば1秒以上)とされる粘性の液体試料の場合であっても、測定後に任意に時間幅を設定できるので、時間相関関数の演算を可能にするとともに、長時間測定に伴う、ノイズ成分の影響も除去できる。
図3では、ファイル名として、Sample1_raw.txtと表示され、サンプル番号1の液体試料の未処理の光子到達時間リストが選択されている。また、時間幅2×10-5秒(図中「e」は10のべき乗を表す)で時間相関関数を直接計算し、得られた収束値が1.05以下であるか否かを判定するようになっている。
図4は、例示的なノイズ除去設定画面を示す図である。
ユーザがノイズ除去設定ボタン220を選択すると、ノイズ除去設定画面400に移る。ノイズ除去設定画面400では、ユーザは、時間幅、および、許容偏差を入力する。ノイズ成分が除去された光子到達時間リストを保存する保存先およびファイル名を指定してもよい。また、2回目以降のノイズ除去時の時間幅および/または許容偏差は、ユーザが適宜入力するようにしてもよいし、自動的に設定されるようにしてもよい。自動的に設定するようにすれば、自動測定を可能とする。
図4では、図3で選択した未処理の光子到達時間リストが、ノイズ判定部162がノイズ成分を有すると判定した場合に、時間幅1秒で許容偏差σが0.5未満となるようにノイズ除去するようになっている。また、ノイズ除去後のファイル保存先が指定され、ファイル名がSample1_1.txtにリネームされるようになっている。
図5は、例示的な解析項目設定画面を示す図である。
ユーザが解析項目設定ボタン230を選択すると、解析項目設定画面500に移る。解析項目設定画面500では、ユーザは、粒径および/または粒径分布を演算するための解析法(指数関数フィッティング、キュムラント法、ヒストグラム法、CONTIN法)を選択し、共通設定として、測定温度、液体試料120中の液体の粘度および屈折率、連続発振レーザ光の波長、散乱角を入力する。
ユーザがすべての設定を入力し、トップページ200の解析実行ボタン240を押すと、ユーザからの指示により、情報処理装置160は、光子到達時間リストを用いて処理を開始する。詳細には、時間相関関数演算処理部161は、未処理の光子到達時間リスト(図3のSample1_raw.txt)を用いて時間相関関数を演算する。次いで、ノイズ判定部162が、演算された時間相関関数を用いて光子到達時間リストがノイズ成分を含むか否かを判定する。ノイズ除去部163は、ノイズ判定部162が、ノイズ成分を含まないと判定するまで、光子到達時間リストからノイズ成分を除去する。粒径演算部164は、演算された時間相関関数を用いて粒径および/または粒径分布を演算する。
図6は、例示的な結果表示画面を示す図である。
図7は、例示的な別の結果表示画面を示す図である。
このようにして処理されると、トップページ200の結果表示ボタン250がアクティブとなる。ユーザが結果表示ボタン250を選択すると、データのツリー構造とともに、時間相関関数タブ、散乱光子数の時間変化タブ、粒径・粒径分布タブが表示される。
図6では、ツリー構造から未処理の光子到達時間リストとしてSample1_raw.txtが選択され、時間相関関数タブが選択されている様子が示される。時間相関関数タブによれば、演算された時間相関関数が1.05を超えていた。ツリー構造を参照すると、新たな光子到達時間リストとしてSample1_1.txtが作成されており、ノイズ判定部162が未処理の光子到達時間リストはノイズ成分を有すると判定し、ノイズ除去部163がノイズ成分を除去した処理後の光子到達時間リストを作成したことが分かる。
なお、図6のSample1_raw.txtが選択された状態において、散乱光子数の時間変化タブを選択すると、未処理の光子到達時間リストに基づく散乱光子数の時間変化のグラフを確認できる。
図7では、ツリー構造からノイズ成分が除去された処理後の光子到達時間リストとしてSample1_1.txtが選択され、時間相関関数タブが選択されている様子が示される。時間相関関数タブによれば、演算された時間相関関数が1.05以下であった。ツリー構造を参照すると、ノイズ判定部162が作成した処理後の光子到達時間リストはノイズ成分を有しないと判定したため、さらに新たな光子到達時間リストは作成されていない。
図7のSample1_1.txtが選択された状態において、散乱光子数の時間変化タブを選択すると、処理後の光子到達時間リストに基づく散乱光子数の時間変化のグラフを確認でき、粒径・粒径分布タブを選択すると、図5で設定した条件で解析された粒径が表示される。
このように、本発明の動的光散乱測定装置100を用いれば、すべての散乱光子の情報である光子到達時間リストを作成後にデータ処理するため、測定後の処理時に相関関数の適切な時間幅に基づいた正確な粒径および/または粒径分布の測定を可能とする。また、光子到達時間リストが粒子110以外のノイズ成分を有する場合には、ノイズ成分が除去された光子到達時間リストを作成できるので、液体試料の損失や粒径分布の変化の可能性などの懸念のある前処理(例えば、フィルタ処理)をする必要はない。また、ノイズ成分を有しない正確な光子到達時間リストを用いて時間相関関数が演算されるので、正確な粒径および/または粒径分布を測定できる。
図8は、本発明の別の動的光散乱測定装置を示す模式図である。
図8の動的光散乱測定装置800は、光子検出装置140とデータ収集装置160との間にパルス幅伸長・デッドタイム調整器810を備える以外は、図1の動的光散乱測定装置100と同様である。
光子検出装置140は、散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する際に、通常は、散乱光子1個に対して1個の電気パルスを生成するが、誤って2個の電気パルスを生成する場合がある。このような現象をアフターパルスと呼ぶ。そのような場合には、光子到達時間リストが誤った電気パルス(すなわち偽信号)を含むため、測定精度の低下を招く虞がある。
一方で、データ収集装置160は、電気パルスのパルス幅が短い(例えば、数ナノ秒など)と検出し損なう場合がある。そのような場合には、光子到達時間リストの一部が欠落するため、測定精度の低下を招く虞がある。
パルス幅伸長・デッドタイム調整器810は、光子検出装置140が生成した電気パルスのパルス幅を伸長させ、不感時間を設ける。すなわち、パルス幅伸長・デッドタイム調整器810は、1個の電気パルスを受信すると、受信した電気パルスの幅を伸長させるよう機能する。これにより、電気パルスのパルス幅が長くなるので、後段のデータ収集装置150が電気パルスの検出し損なうことはなく、光子到達時間リストの情報の欠落が抑制される。また、1個の電気パルスを受信したら、一定期間検出不可にするよう機能する。これにより、アフターパルスが発生したとしても、光子到達時間リストが偽信号を含まないよう制御できる。図9を参照して詳述する。
図9は、例示的なパルス幅伸長・デッドタイム調整器による電気パルスの変化を示す模式図である。
図9(A)は、光子検出器140が生成した電気パルスを示す。光子検出器140は、パルス幅がdの電気パルスp1、p2、p3、p4、p5を生成し、p2、p4はアフターパルス現象による電気パルスであった。ここで、パルス幅伸長・デッドタイム調整器810がパルス幅dをDに伸長し、電気パルスを検出してから時間Tだけ不感時間を設けるよう設定されているとする。
図9(B)は、図9(A)の電気パルスが、上記設定のパルス幅伸長・デッドタイム調整器810を通った後に得られる電気パルスを示す。図9Bによれば、パルスp1、p3およびp5は、それぞれ、パルス幅がDに伸長されパルスP1、P3、P5となり、不感時間Tによってp2およびp4が検出されていないことが分かる。この結果、アフターパルスによる偽信号が除去され、なおかつ、パルス幅が十分に伸長されているため、データ収集装置150は、数え落としのない光子到達時間リストを作成することができる。パルス幅の伸長の程度や不感時間の設定は、パルス幅伸長・デッドタイム調整器810に直接、あるいは、動的光散乱測定・解析プログラムにおいてユーザの指示によって行うことができる。
データ収集装置150以降の動作については図1の動的光散乱測定装置100と同様であるため、説明を省略する。
図10は、本発明の別の動的光散乱測定装置を示す模式図である。
図10の動的光散乱測定装置1000は、光子検出装置140が検出する散乱光子の散乱角度を可変にする角度可変機構1010を備える以外は、図1の動的光散乱測定装置100と同様である。
角度可変機構1010は、光子検出装置140が散乱光子を検出する角度を変化させることができるので、散乱光強度の散乱ベクトル依存性を測定することができる。すなわち、光子到達時間リストには特定の散乱角における散乱光子の到達時間が記録されている。この測定を様々な散乱角で行うことによって、各散乱角における散乱光子が到達した時間の情報を入手できる。散乱ベクトル依存性を測定できるので、拡散係数の測定精度が向上し得る。このような角度可変機構1010は、例えば、特開2010-101877号公報に記載の受光部41が搭載される機構を採用できる。
データ収集装置150以降の動作については、散乱角の情報が加わった以外は図1の動的光散乱測定装置100と同様であるため、説明を省略する。
図11は、本発明の別の動的光散乱測定装置を示す模式図である。
図11の動的光散乱測定装置1100は、顕微鏡1110を備える以外は、図1の動的光散乱測定装置100と同様である。光源130は、連続発振レーザ光を顕微鏡1110の対物レンズを介して液体試料120に照射する。次いで、光子検出装置140は、液体試料120からの後方散乱光子を、対物レンズを介して検出する。顕微鏡1110を用いれば、液体試料120が白濁、有色の液体試料であっても測定できる。この場合、液体試料120は、カバーガラスとスライドガラスとで挟持される。
光子検出装置140以降の動作については、図1の動的光散乱測定装置100と同様であるため、説明を省略する。
図示しないが、パルス幅伸長・デッドタイム調整器810と、角度可変機構1010とを組み合わせて用いてもよいし、パルス幅伸長・デッドタイム調整器810と、顕微鏡1110とを組み合わせて用いてもよい。
図2では、測定・解析プログラムにおいて解析プログラムのみが実行される様態を示すが、光源130、光子検出装置140、データ収集装置150、パルス幅伸長・デッドタイム調整器810、角度可変機構1010の動作を、情報処理装置160が制御するように、測定プログラムが実行されるようにしてもよい。
次に、本発明の動的光散乱法により粒子を含有する液体試料中の粒子の粒径および/または粒径分布を測定・解析する方法を説明する。本発明の測定・解析方法は、図1等に示す動的光散乱測定装置を用いて実施されるものとして説明するが、本発明の動的光散乱測定装置に限定されない。各ステップを実施可能な任意の装置を採用し、本発明の測定・解析方法を実施してよい。
図12は、本発明の動的光散乱測定・解析の工程を示すフローチャートである。
ステップS1210:連続発振レーザ光を液体試料120(図1)に照射する。連続発振レーザ光は、上述の光源130(図1)を用いて照射されてよい。このとき、顕微鏡1110(図11)の対物レンズを介して液体試料に照射すれば、白色、有色の液体試料であっても測定できる。
ステップS1220:液体試料120(図1)からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する。このような電気パルスの生成には、例えば、上述の光子検出装置140(図1)を用いてよい。このとき、散乱光子の散乱角度を可変にして検出してもよい。これにより、散乱ベクトル依存性を測定できる。例えば、角度可変機構1010(図10)を搭載した光子検出装置を用いることができる。なお、ステップS1210において、顕微鏡1110を介して液体試料にレーザ光を照射した際には、液体試料からの散乱光子は後方散乱光子であり、顕微鏡1110の対物レンズを介して検出される。
ステップS1220に続いて、電気パルスのパルス幅を伸長させ、不感時間を設けるようにしてもよい。1個の電気パルスを受信すると、受信したパルス幅を伸長させる。これにより、電気パルスのパルス幅が長くなるので、電気パルスを検出し損なうことはなく、光子到達時間リストの情報の欠落が抑制される。また、1個の電気パルスを受信したら、一定期間電気パルスの検出を行わない。これにより、アフターパルスが発生したとしても、光子到達時間リストが偽信号を含まないよう制御できる。このような電気パルスのパルス幅の伸長、不感時間の設定は、例えば、パルス幅伸長・デッドタイム調整器810(図8)に直接行ってもよく、動的光散乱測定・解析プログラムにおいてユーザの指示によって行うことができる。
ステップS1230:生成された電気パルスの到達時間を収集し、光子到達時間リストを生成する。光子到達時間リストは上述したとおりであるため、説明を省略する。このような光子到達時間リストの生成には、例えば、上述のデータ収集装置150(図1)を用いてよい。生成された光子到達時間リストは、記憶部(図示せず)に記憶される。
ステップS1240:光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算する。時間相関関数g(2)(τ)を、次式に基づいて演算してよい。

ここで、Δtは任意に決められる相関時間の最小の時間幅であり、n(t)は、光子到達時間リスト中のある時間t~t+Δtの間に検出された散乱光子数であり、Nは測定時間をΔtで除した値であり、<・・・>Δtは時間平均を表す。
あるいは、時間相関関数g(2)(τ)を、光子到達時間リストのフーリエ変換を二乗したパワースペクトルを求め、そのパワースペクトルを逆フーリエ変換して算出してもよい。
ステップS1250:ステップS1240で演算された時間相関関数を用いて、演算に用いた光子到達時間リストが粒子からの散乱光子以外のノイズ成分を含むか否かを判定する。
ノイズ成分を含むか否かは、好ましくは、演算された時間相関関数の収束値が1.05を超える場合に、光子到達時間リストがノイズ成分を含むと判定し、演算された時間相関関数の収束値が1.05以下である場合に、光子到達時間リストがノイズ成分を含まないと判定してよい。より高精度な結果が必要な場合には収束値の閾値を1.05より小さい値を採用してもよい。
ステップS1260:ステップS1250において光子到達時間リストがノイズ成分を含まないと判定するまで、演算に用いた光子到達時間リストからノイズ成分を除去する。ノイズ成分が除去された光子到達時間リストは記憶部に記憶されてよい。
詳細には、ステップS1260に続いて、再度、ステップS1240へ戻り、ノイズ成分が除去された光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算する。その後ステップS1250に進み、ノイズ成分を含まないと判定するまで繰り返し行う。
ステップS1270:ステップS1250において光子到達時間リストがノイズ成分を含まないと判定すると、演算された時間相関関数を用いて粒子の粒径および/または粒径分布を演算する。
ステップS1270において粒子の粒径および/または粒径分布の演算は、好ましくは、指数関数によるフィッティング法、キュムラント法、ヒストグラム法およびCONTIN法からなる群から少なくとも1つ選択される解析法を用いる。これらはいずれも時間相関関数を用いて粒径や粒径分布を算出する解析法として知られている。
例えば、指数関数によるフィッティング法として、演算された時間相関関数を次式に代入し、粒径dを求めることができる。
(2)(τ)=1+Ae-2Γt
ここで、Aは、図1の動的光散乱測定装置100の光学配置によって決まる干渉性因子であり、0<A≦1である。Γは並進拡散係数Dを用いて、次式のように表される。
Γ=q
q=4πn/λ×sin(θ/2)
ここで、qは散乱ベクトルであり、nは液体試料120中の液体の波長λにおける屈折率であり、λは連続発振レーザ光の波長である。
粒子110の粒径(流体力学的直径)dは、アインシュタイン・ストークスの式を用いて、並進拡散係数Dから算出される。
d=kT/(3πηD)
ここで、kはボルツマン定数であり、Tは測定温度(絶対温度)であり、ηは液体の粘度である。
上述のいずれの解析法を採用したとしても、ステップS1270で用いる演算された時間相関関数は、ノイズ成分が除去されているため、正確な粒径、粒径分布を測定できる。
ステップS1240~S1270は、例えば、情報処理装置160(図1)が行ってよい。
本発明の動的光散乱測定装置は、連続発振レーザ光を発し、液体試料に照射する光源と、液体試料からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する光子検出装置と、電気パルスの到達時間を収集し、光子到達時間リストを生成するデータ収集装置と、光子到達時間リストを処理する情報処理装置とを備え、上述の各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU(図示せず)、そのプログラムを格納したROM(Read Only Memory、図示せず)、プログラムを展開するRAM(Randam Access Memory、図示せず)、プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記録媒体を備えてよい。上述した機能を実現するソフトウェアであるプログラムのプログラムコードをコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、コンピュータあるいはCPUが記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行してもよい。このようにして、動的光散乱測定装置による液体試料中の粒子の粒径および/または粒径分布を動的光散乱法により測定する方法が実現され得る。
このような記録媒体は、例えば、CD-ROM等のディスク、ICカード等のカード、フラッシュROM等の半導体メモリなどがある。
本発明の動的光散乱測定装置を通信ネットワークと接続し、通信ネットワークを介してプログラムコードを供給してもよい。このような通信ネットワークは、特に制限はないが、例えば、インターネット、イントラネット、LAN、ISDN、CATV通信網、電話回線網、衛星通信網等であり得る。プログラムコードは、電子的な伝送で具現化され、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態であってもよい。
本発明の動的光散乱測定装置、測定・解析方法および測定・解析プログラムは、粒子を含有する液体試料を測定対象とするものとして説明してきたが、本発明の動的光散乱測定装置をゲルやゴムなどの弾性体を測定対象としてもよい。この場合には、粒子の粒径や粒径分布に代えて、弾性体中に存在するネットワーク構造の振動に基づく散乱光により、ネットワーク構造の網目の大きさや分布を測定できる。このような測定対象の変更に伴う改変は当業者であれば、容易に理解する。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[例1]
例1では、図1の動的光散乱測定装置を構築し、シリカ粒子と微量のアクリル粒子を含有する液体試料中のシリカ粒子の粒径を測定した。
構築した動的光散乱測定装置は、光源130としてHeNeレーザ(Pacific Lasertec、05LHP991)、光子検出装置140としてフォトンカウンティングモジュール(浜松ホトニクス、C11202-050)、データ収集モジュール150としてデジタル入出力モジュール(ナショナルインスツルメンツ、NI-9402およびcDAQ-9174、時間分解能:12.5ns)、および、情報処理装置160としてCPUを備えたパーソナルコンピュータを備えた。
また、動的光散乱測定装置には、光子検出装置140の後段にパルス幅伸長・デッドタイム調整器810としてノイズ除去回路を設けた。ノイズ除去回路は、パルスの伸長幅を75ns、不感時間を300nsに設定された。液体試料は、シリカ粒子(Aldrich、803847-1ML、粒子半径は約100nm、数濃度は約10000個/nL)とアクリル粒子(JX液晶、NMB-2020、粒子半径は約10μm、数濃度は約0.1個/nL)の純水(屈折率1.332)分散液を用いた。このときの粘度は8.945×10-4Pa・sである。これをフィルタ処理することなく石英ガラスのセルに入れた。
動的光散乱法による測定は室温(23℃)にて次のようにして行った。
HeNeレーザの波長は632.8nmであり、0.6mWに減光して、セルに照射した(図12のステップS1210)。次いで、フォトンカウンティングモジュールにて、液体試料からの散乱光子(散乱角90°)の到達時間を検出し、電気パルスを生成させた(図12のステップS1220)。パルス幅伸長・デッドタイム調整器にて電気パルスのパルス幅を75nsに伸長させ、300ns不感時間を設けた。デジタル入出力モジュールにて、ノイズ除去回路を通った電気パルスの到達時間を収集し、光子到達時間リストを生成した(図12のステップS1230)。生成した光子到達時間リスト(ファイル名:Sample1_raw.txt)をパーソナルコンピュータに保存した。
パーソナルコンピュータにて、光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算した(図12のS1240)。時間相関関数の演算は、光子到達時間を20μsごとの散乱光子数の時間変化に変換することによって、20μsの時間相関で定義に基づいた直接計算を行った。
時間相関関数を用いて、光子到達時間リストがノイズ成分を含むか否かを判定した(図12のS1250)。パーソナルコンピュータにて、時間相関関数の収束値が1.05を超えるか否かを判定した。このような設定は、動的光散乱測定・解析プログラム(例えば図3)にて行った。
ノイズ成分を含むと判定した場合には、光子到達時間リストからノイズ成分を除去する(図12のステップS1260)が、このとき、光子到達時間を1sごとの散乱光子数の許容偏差σが0.5未満となるように設定した。ノイズ成分が除去された光子到達時間リストは新たにリネーム(ファイル名:Sample1_1.txt)して保存するようにした。このような設定は、動的光散乱測定・解析プログラム(例えば図4)にて行った。
ノイズ成分を含まないと判定すると、ノイズ成分を含まない光子到達時間リストを用いて演算された時間相関関数を用いて、指数関数フィッティングにより粒径等を演算した(図12のステップS1270)。このような設定は、動的光散乱測定・解析プログラム(例えば図5)にて行った。
結果を説明する。
図13は、ノイズ成分を除去前の光子到達時間リストによる散乱光子数の時間変化を示す図である。
図14は、ノイズ成分を除去前の光子到達時間リストによる時間相関関数を示す図である。
図15は、ノイズ成分を除去後の光子到達時間リストによる散乱光子数の時間変化を示す図である。
図16は、ノイズ成分を除去後の光子到達時間リストによる時間相関関数を示す図である。
図13によれば、測定開始から21~23秒、39~40秒および47~52秒付近において、平均散乱光強度を大きく上回る散乱光強度があった。これは、液体試料中に混入させた微量のアクリル粒子による散乱光が原因と考えられる。図14によれば、時間相関関数の収束値は1.05を大きく上回っていた。このことから、本発明の動的光散乱測定装置は、光子到達時間リストがノイズ成分を含むと判定し、ノイズ成分の除去を行った。
上述のノイズ除去の設定に基づいて、光子到達時間リストからノイズ成分が除去された結果、図15に示すように、平均散乱光強度を許容偏差を超えて上回る散乱光強度を示す時間領域はなかった。図16によれば、実際に、時間相関関数の収束値は1.05を下回り、ノイズ成分を除去後の光子到達時間リストは、ノイズ成分が除去されたことが分かった。なお、汚染物質由来の散乱光を単純に除去すると、光子到達時間リスト中の除去された前後のデータが無相関になるが、見ている相関時間が1ms程度であるのに対し、全測定時間が50秒程度であることを踏まえると、除去されたデータ付近で無相関になることの影響は無視できる。
このようにしてノイズ成分が除去された光子到達時間リストを用いて演算された時間相関関数から算出された粒径(流体力学的半径とも呼ぶ)は、125±5nmであった。この値は、アクリル粒子を含まない液体試料から得られた粒径(117±3nm)と一致した。このことから、液体試料中の粒子の粒径、粒径分布等を、動的光散乱法を用いて汚染物質の影響を排除し、1回の計測で正しく測定することができる動的光散乱測定装置、測定・解析方法および測定・解析プログラムを提供できることが示された。
本発明の動的光散乱測定装置、測定・解析方法および測定・解析プログラムは、液体試料中の任意の粒子の粒径および/または粒径分布を正しく測定できるので、水質管理等の環境分析、化学、材料、医薬等の産業分野で利用される。
100、800、1000、1100 動的光散乱測定装置
110 粒子
120 液体試料
130 光源
140 光子検出装置
150 データ収集装置
160 情報処理装置
170 表示装置
180 入力装置
810 パルス幅伸長・デッドタイム調整器
1010 角度可変機構
1110 顕微鏡

Claims (12)

  1. 粒子を含有する液体試料中の前記粒子の粒径および/または粒径分布を動的光散乱法により測定する装置であって、
    連続発振レーザ光を発し、前記液体試料に照射する光源と、
    前記液体試料からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する光子検出装置と、
    前記光子検出装置で生成した前記電気パルスのパルス幅を伸長させ、不感時間を設けるパルス幅伸長・デッドタイム調整器と、
    前記電気パルスの到達時間を収集し、光子到達時間リストを生成するデータ収集装置と、
    前記光子到達時間リストを処理する情報処理装置と
    を備え、
    前記情報処理装置は、
    少なくとも前記光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算する時間相関関数演算処理部と、
    前記演算された時間相関関数を用いて前記光子到達時間リストが前記粒子からの散乱光子以外のノイズ成分を含むか否かを判定するノイズ判定部と、
    前記ノイズ判定部が、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定するまで、前記光子到達時間リストから前記ノイズ成分を除去するノイズ除去部と、
    前記演算された時間相関関数を用いて前記粒子の粒径および/または粒径分布を演算する粒径演算部と
    をさらに備え、
    前記時間相関関数演算処理部は、前記ノイズ除去部が前記光子到達時間リストから前記ノイズ成分を除去した場合、前記ノイズ成分が除去された光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算し、
    前記演算された時間相関関数は、前記ノイズ成分を有しない光子到達時間リストを用いて演算された時間相関関数である、動的光散乱測定装置。
  2. 顕微鏡を備え、
    前記光源は、前記連続発振レーザ光を前記顕微鏡の対物レンズを介して前記液体試料に照射し、
    前記光子検出装置は、前記液体試料からの散乱光子として後方散乱光子を、前記対物レンズを介して検出する、請求項1に記載の動的光散乱測定装置。
  3. 前記光子検出装置が検出する前記散乱光子の散乱角度を可変にする角度可変機構を備える、請求項1に記載の動的光散乱測定装置。
  4. 前記ノイズ判定部は、前記演算された時間相関関数の収束値が1.05を超える場合に、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含むと判定し、前記演算された時間相関関数の収束値が1.05以下である場合に、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定する、請求項1~3のいずれかに記載の動的光散乱測定装置。
  5. 前記粒径演算部は、指数関数によるフィッティング法、キュムラント法、ヒストグラム法およびCONTIN法からなる群から少なくとも1つ選択される解析法を用いる、請求項1~4のいずれかに記載の動的光散乱測定装置。
  6. 前記時間相関関数演算処理部は、前記時間相関関数g(2)(τ)を、次式に基づいて演算する、請求項1~5のいずれかに記載の動的光散乱測定装置。

    ここで、Δtは任意に決められる相関時間の最小の時間幅であり、n(t)は、前記光子到達時間リスト中のある時間t~t+Δtの間に検出された散乱光子数であり、Nは測定時間をΔtで除した値であり、<・・・>Δtは時間平均を表す。
  7. 前記時間相関関数演算処理部は、前記時間相関関数g(2)(τ)を、前記光子到達時間リストのフーリエ変換を二乗したパワースペクトルを求め、前記パワースペクトルを逆フーリエ変換して算出する、請求項1~5のいずれかに記載の動的光散乱測定装置。
  8. 粒子を含有する液体試料中の前記粒子の粒径および/または粒径分布を動的光散乱法により測定・解析する方法であって、
    連続発振レーザ光を前記液体試料に照射することと、
    前記液体試料からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成することと、
    前記電気パルスのパルス幅を伸長させ、不感時間を設けることと、
    前記電気パルスの到達時間を収集し、光子到達時間リストを生成することと、
    少なくとも前記光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算することと、
    前記演算された時間相関関数を用いて前記光子到達時間リストが前記粒子からの散乱光子以外のノイズ成分を含むか否かを判定することと、
    前記判定することにおいて、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定するまで、前記光子到達時間リストからノイズ成分を除去することと、
    前記判定することにおいて、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定した場合、前記演算された時間相関関数を用いて前記粒子の粒径および/または粒径分布を演算することと
    を包含し、
    前記時間相関関数を演算することは、前記ノイズ成分が除去された光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算し、
    前記演算された時間相関関数は、前記ノイズ成分を有しない光子到達時間リストを用いて演算された時間相関関数である、方法。
  9. 前記照射することは、前記連続発振レーザ光を顕微鏡の対物レンズを介して前記液体試料に照射し、
    前記検出し、生成することは、前記液体試料からの散乱光子として後方散乱光子を、前記対物レンズを介して検出する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記検出し、生成することは、前記散乱光子の散乱角度を可変にして検出する、請求項8に記載の記載の方法。
  11. 前記判定することは、前記演算された時間相関関数の収束値が1.05を超える場合に、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含むと判定し、前記演算された時間相関関数の収束値が1.05以下である場合に、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定する、請求項8~10のいずれかに記載の方法。
  12. 粒子を含有する液体試料中の前記粒子の粒径および/または粒径分布を動的光散乱法により測定する動的光散乱測定装置に用いられる測定・解析プログラムであって、
    前記動的光散乱測定装置は、
    連続発振レーザ光を発し、前記液体試料に照射する光源と、
    前記液体試料からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する光子検出装置と、
    前記光子検出装置で生成した前記電気パルスのパルス幅を伸長させ、不感時間を設けるパルス幅伸長・デッドタイム調整器と、
    前記電気パルスの到達時間を収集し、光子到達時間リストを生成するデータ収集装置と、
    前記光子到達時間リストを処理する情報処理装置と
    を備え、
    少なくとも前記光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算する機能と、
    前記演算された時間相関関数を用いて前記光子到達時間リストが前記粒子からの散乱光子以外のノイズ成分を含むか否かを判定する機能と、
    前記判定する機能が、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定するまで、前記光子到達時間リストから前記ノイズ成分を除去する機能と、
    前記演算された時間相関関数を用いて前記粒子の粒径および/または粒径分布を演算する機能と
    をコンピュータに実現させ、
    前記時間相関関数を演算する機能は、前記ノイズ成分を除去する機能が前記光子到達時間リストから前記ノイズ成分を除去した場合、前記ノイズ成分が除去された光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算し、
    前記演算された時間相関関数は、前記ノイズ成分を有しない光子到達時間リストを用いて演算された時間相関関数である、測定・解析プログラム。
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