JP2022106402A - 動的光散乱測定装置、動的光散乱測定・解析方法、および、測定・解析プログラム - Google Patents

動的光散乱測定装置、動的光散乱測定・解析方法、および、測定・解析プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】液体試料中の粒子の粒径や粒径分布を、動的光散乱法を用いて機器や外光の影響を排除し、1回の計測で正しく測定する動的光散乱測定装置、その測定・解析方法、および、その測定・解析プログラムを提供すること。【解決手段】本発明の動的光散乱測定装置100は、液体試料にパルスレーザ光を照射する光源部130と、散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する光子検出装置140と、光源部130がパルスレーザ光を発するタイミングを通知するパルスレーザ光タイミング装置150と、電気パルス到達時間リストおよびパルスレーザ光タイミングリストを生成するデータ収集装置160と、パルスレーザ光タイミングリストを用いて電気パルス到達時間リストを処理する情報処理装置170とを備え、情報処理装置170が、光子到達時間リスト作成部171と、時間相関関数演算処理部172と、粒径演算部173とをさらに備える。【選択図】図1

Description

本発明は、動的光散乱測定装置、動的光散乱測定・解析方法、および、測定・解析プログラムに関する。
微粒子の粒径およびその分布を測定する手法は数多く存在し、対象である粒子の大きさや性質によって決められる。そして、その多くが光を用いた測定手法である。直接観測である光学顕微鏡法や粒子からの散乱光の干渉現象を利用した静的光散乱法は、原理的に光の波長よりも小さい物質を観測することが困難であり、粒径200nm以下の微粒子の観測には適さない。そのような微粒子の観測には、波長の短いプローブを用いた顕微鏡法や散乱法が有効であり、光の場合はX線がプローブに対応する。しかし、X線は可視光と比較して発生させることが困難であり、高価な装置が必要となる。加えて、X線は1光子あたりのエネルギーが可視光と比較して桁違いに大きいため、高分子などの有機材料で構成された微粒子に照射すると、微粒子に不可逆的なダメージが与えられることも多い。その他の波長の短いプローブを用いた手法として、電子線を用いた電子顕微鏡法が挙げられるが、X線散乱装置と同様に高価であり、また試料を真空中に置く必要がある。これらの実験手法と比較して、安価で光の波長よりも小さい粒子の粒径分布を観測できる手法として動的光散乱法がある(例えば、特許文献1および2を参照)。
特許文献1および2によれば、高分子やコロイド溶液に対して光を照射し、生じた散乱光の強度の時間相関関数を測定することによって、溶液中の粒子の粒径分布を測定する手法を採用する。このような手法は、1分以内で様々な粒径の溶質を含んだ溶液の粒径分布を測定できる簡便な手法として広く用いられている。
特許文献1および2によれば、定常発振型レーザ光源、ミラーやレンズなどで構成される光学系、透明なセルに入った液体試料、フォトンカウンティングモジュール、オートコリレータ、パーソナルコンピュータを備える粒径測定装置を開示する。
レーザ光は液体試料に集光され、発生した散乱光は適切な光学系を経てフォトンカウンティングモジュールに集光され、1光子レベルでの検出が行われる。光子の到達時間を逐一オートコリレータで取り込み、ハードウェア上で光子の時間相関関数を計算し、パーソナルコンピュータへとデータが転送される。得られた時間相関関数は、パーソナルコンピュータ上でキュムラント法やCONTIN法などの手法によって解析を行い、粒径分布関数へと変換される。
このように動的光散乱法によれば、簡便に粒径分布を測定できるが、白濁系や有色系の液体試料に対しては適用できなかった。この問題に対して、顕微鏡を用いた粒径測定装置が開発された(例えば、非特許文献1を参照)。
非特許文献1によれば、レーザ光を顕微鏡下の対物レンズで液体試料に照射、そこから出てきた後方散乱光を同一の対物レンズで集光し、検出する。このようにすることで白濁系や有色系の液体試料も測定可能となった。
一方、高価なオートコリレータを用いず、ソフトウェア上で動的光散乱を実施する技術が開発された(例えば、特許文献3および4、非特許文献2および3を参照)。特許文献3および4ならびに非特許文献2および3によれば、フォトンカウンティングモジュールへの光子の到達時間を、データ収集モジュールを介してパーソナルコンピュータ内で一時的に記録し、ソフトウェア上でオートコリレータと同等の機能を達成して時間相関関数を計算する手法を報告する。この手法を用いることによって、測定可能な相関時間の下限は1桁ほど劣るものの、オートコリレータと比較して数分の1のコストで動的光散乱を実装することが可能になった。
フォトンカウンティングモジュールは、理想的には検出面に一光子が到達すると、一つの電気パルスを発生させる、という検出器である。しかし、暗電流などの影響によって、光子の検出と関係なく一定量の電気パルスがランダムに発生する。そのような電気パルスはダークカウントと呼ばれており、典型的には1秒当たり100~1000カウント程度である。ダークカウントは散乱光の位相に関する情報は一切含んでいないが、散乱光由来の電気パルスと見分けることが原理的に不可能であるため、散乱光強度の低い10nm程度の微粒子を測定する際に問題になる。また、フォトンカウンティングモジュールは非常に高い検出感度を持つために、十分な遮光をしていない環境下では、室内の光といった、散乱光とは関係のない外光も検出してしまう。このような外光からの電気パルスもノイズの原因となるため、外光を検出しないような光学系を構築する必要がある。
オートコリレータを用いた測定を行う際は、オートコリレータに固有の相関時間でしか測定できない。ソフトウェア上で時間相関関数を計算する場合は時間幅を任意に決められるものの、測定前に相関関数の時間幅を決定する必要がある。しかし、適切な相関時間は測定前には不明であるため、適切な相関時間での測定を行うためには複数回の測定を行わなければならない可能性がある。
例えば、高い粘度を持つ溶液からの動的光散乱は、ミリ秒~秒オーダの長い相関時間での観測が必要になるが、これは汚染物質由来のノイズの影響を受けやすいことと、長い相関時間を取得する検出系が一般的でないことから、正確な測定が難しいと考えられている。
動的光散乱は、上述したように、微粒子からの散乱光の位相のずれを検知する手法であるが、散乱光は粒径が大きくなるほど強いため、浮遊しているほこりなど、マイクロメートルオーダの汚染物質が存在すると、微粒子からの散乱光と比較して非常に強い散乱光が検出される。そのため、この汚染物質からの光によって、散乱光の揺らぎの情報が隠されてしまうという問題があった。汚染物質をあらかじめ取り除くため、試料は測定前にフィルタを通すことが多い。しかし、フィルタにより微粒子の粒径分布が影響を受ける可能性や、フィルタによる試料のロスを考えると、フィルタを使うことなく、多少の汚染物質があっても測定可能な動的光散乱観測装置が望ましい。
特開昭63-265138号公報 特開平2-96636号公報 特開2006-71497号公報 特開2012-194165号公報
T. Hiroiら,Opt.Express,21,20260,2013 D. Magattiら,Appl.Opt.,Vol.40,4011,2001 J. Dongら,J.Biomed.Opt.,17(9),097004,2012
以上から、本発明の課題は、液体試料中の任意の粒子の粒径および/または粒径分布を、動的光散乱法を用いて機器や外光の影響を排除し、1回の計測で正しく測定する動的光散乱測定装置、その測定・解析方法、および、その測定・解析プログラムを提供することである。本発明のさらなる課題は、汚染物質の影響を排除し、1回の計測で正しく測定する動的光散乱測定装置、その測定・解析方法、および、その測定・解析プログラムを提供することである。
本発明による粒子を含有する液体試料中の前記粒子の粒径および/または粒径分布を動的光散乱法により測定する装置は、パルスレーザ光を発し、前記液体試料に照射する光源部と、前記液体試料からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する光子検出装置と、前記光源部が前記パルスレーザ光を発するタイミングを通知するパルスレーザ光タイミング装置と、前記電気パルスの到達時間および前記パルスレーザ光のタイミングを収集し、電気パルス到達時間リストおよびパルスレーザ光タイミングリストを生成するデータ収集装置と、前記パルスレーザ光タイミングリストを用いて前記電気パルス到達時間リストを処理する情報処理装置とを備え、前記情報処理装置は、前記電気パルス到達時間リストと前記パルスレーザ光タイミングリストとを比較し、前記電気パルス到達時間リストから前記パルスレーザ光タイミングリストに同期したデータのみを抽出し、光子到達時間リストを作成する光子到達時間リスト作成部と、前記光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算する時間相関関数演算処理部と、前記演算された時間相関関数を用いて前記粒子の粒径および/または粒径分布を演算する粒径演算部とをさらに備え、これにより上記課題を解決する。
前記パルスレーザ光タイミング装置は、フォトダイオード、または、ディレイジェネレータであってもよい。
前記光源部は、パルスレーザ光源、または、連続波レーザ光源およびチョッパ板を備えてもよい。
前記光源部は、可変減光フィルタをさらに備えてもよい。
前記光子検出装置で生成した前記電気パルスのパルス幅を伸長させ、不感時間を設けるパルス幅伸長・デッドタイム調整器をさらに備えてもよい。
前記パルスレーザ光は、単色パルスレーザ光であり、顕微鏡を備え、前記光源部は、前記パルスレーザ光を前記顕微鏡の対物レンズを介して前記液体試料に照射し、前記光子検出装置は、前記液体試料からの散乱光子として後方散乱光子を、前記対物レンズを介して検出してもよい。
前記パルスレーザ光は、単色パルスレーザ光であり、前記光子検出装置が検出する前記散乱光子の散乱角度を可変にする角度可変機構を備えてもよい。
前記パルスレーザ光は、白色パルスレーザ光であり、前記光子検出装置の前段に前記液体試料からの散乱光子を分光する分光器をさらに備えてもよい。
顕微鏡を備え、前記光源部は、前記パルスレーザ光を前記顕微鏡の対物レンズを介して前記液体試料に照射してもよい。
前記粒径演算部は、指数関数によるフィッティング法、キュムラント法、ヒストグラム法およびCONTIN法からなる群から少なくとも1つ選択される解析法を用いてもよい。
前記時間相関関数演算部は、前記時間相関関数g(2)(τ)を、次式に基づいて演算してもよい。
Figure 2022106402000002

ここで、Δtは任意に決められる相関時間の最小の時間幅であり、n(t)は、前記光子到達時間リスト中のある時間t~t+Δtの間に検出された散乱光子数であり、Nは測定時間をΔtで除した値であり、<・・・>Δtは時間平均を表す。
前記時間相関関数演算部は、前記時間相関関数g(2)(τ)を、前記光子到達時間リストのフーリエ変換を二乗したパワースペクトルを求め、前記パワースペクトルを逆フーリエ変換して算出してもよい。
前記情報処理装置は、前記演算された時間相関関数を用いて前記光子到達時間リストが前記粒子からの散乱光子以外のノイズ成分を含むか否かを判定するノイズ判定部と、前記ノイズ判定部が、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定するまで、前記光子到達時間リストから前記ノイズ成分を除去するノイズ除去部とをさらに備えてもよい。
前記ノイズ判定部は、前記演算された時間相関関数の収束値が1.05を超える場合に、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含むと判定し、前記演算された時間相関関数の収束値が1.05以下である場合に、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定してもよい。
本発明による粒子を含有する液体試料中の前記粒子の粒径および/または粒径分布を動的光散乱法により測定・解析する方法は、パルスレーザ光を前記液体試料に照射することと、前記液体試料からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成することと、前記パルスレーザ光が発せられるタイミングを通知することと、前記電気パルスの到達時間および前記パルスレーザ光のタイミングを収集し、電気パルス到達時間リストおよびパルスレーザ光タイミングリストを生成することと、前記電気パルス到達時間リストと前記パルスレーザ光タイミングリストとを比較し、前記電気パルス到達時間リストから前記パルスレーザ光タイミングリストに同期したデータのみを抽出し、光子到達時間リストを作成することと、前記光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算することと、前記演算された時間相関関数を用いて前記粒子の粒径および/または粒径分布を演算することとを包含し、これにより上記課題を解決する。
前記パルスレーザ光は、白色パルスレーザ光であり、前記液体試料からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成することに先立って、前記液体試料からの散乱光子を分光することを包含してもよい。
前記粒子の粒径および/または粒径分布を演算することに先立って、前記演算された時間相関関数を用いて前記光子到達時間リストが前記粒子からの散乱光子以外のノイズ成分を含むか否かを判定することと、前記判定することにおいて、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定するまで、前記光子到達時間リストからノイズ成分を除去することとをさらに包含してもよい。
前記判定することは、前記演算された時間相関関数の収束値が1.05を超える場合に、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含むと判定し、前記演算された時間相関関数の収束値が1.05以下である場合に、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定してもよい。
本発明による粒子を含有する液体試料中の前記粒子の粒径および/または粒径分布を動的光散乱法により測定する動的光散乱測定装置に用いられる測定・解析プログラムは、前記動的光散乱測定装置が、パルスレーザ光を発し、前記液体試料に照射する光源部と、前記液体試料からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する光子検出装置と、前記光源部が前記パルスレーザ光を発するタイミングを通知するパルスレーザ光タイミング装置と、前記電気パルスの到達時間および前記パルスレーザ光のタイミングを収集し、電気パルス到達時間リストおよびパルスレーザ光タイミングリストを生成するデータ収集装置と、前記パルスレーザ光タイミングリストを用いて前記電気パルス到達時間リストを処理する情報処理装置とを備え、前記電気パルス到達時間リストと前記パルスレーザ光タイミングリストとを比較し、前記電気パルス到達時間リストから前記パルスレーザ光タイミングリストに同期したデータのみを抽出し、光子到達時間リストを作成する機能と、前記光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算する機能と、前記演算された時間相関関数を用いて前記粒子の粒径および/または粒径分布を演算する機能とをコンピュータに実現させ、これにより上記課題を解決する。
前記粒子の粒径および/または粒径分布を演算する機能に先立って、前記演算された時間相関関数を用いて前記光子到達時間リストが前記粒子からの散乱光子以外のノイズ成分を含むか否かを判定する機能と、前記判定する機能において、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定するまで、前記光子到達時間リストからノイズ成分を除去する機能とをコンピュータにさらに実現させてもよい。
本発明の動的光散乱測定装置は、パルスレーザ光を発し、液体試料に照射する光源部と、液体試料からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する光子検出装置と、光源部がパルスレーザ光を発するタイミングを通知するパルスレーザ光タイミング装置と、電気パルスの到達時間およびパルスレーザ光のタイミングを収集し、電気パルス到達時間リストおよびパルスレーザ光タイミングリストを生成するデータ収集装置と、パルスレーザ光タイミングリストを用いて電気パルス到達時間リストを処理する情報処理装置とを備える。さらに、情報処理装置は、電気パルス到達時間リストとパルスレーザ光タイミングリストとを比較し、電気パルス到達時間リストからパルスレーザ光タイミングリストに同期したデータのみを抽出し、光子到達時間リストを作成する光子到達時間リスト作成部と、光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算する時間相関関数演算処理部と、演算された時間相関関数を用いて粒子の粒径および/または粒径分布を演算する粒径演算部とを備える。
このように、本発明の動的光散乱測定装置によれば、情報処理装置が、すべての電気パルス到達時間リストを作成後に処理を行うため、測定後の処理時に相関関数の適切な時間幅に基づいた正確な粒径および/または粒径分布の測定を可能とする。本発明の動的光散乱測定装置は、パルスレーザ光を発する光源部を用い、パルスレーザ光タイミング装置によって光源部がパルスレーザ光を発するタイミングを通知するので、情報処理装置は、電気パルス到達時間リストからパルスレーザ光タイミングリストに同期したデータのみを抽出できる。このようにして得られた光子到達時間リストは、機器によるダークカウントや外光の影響が排除(除去)されている。この結果、ダークカウントや外光による影響のない光子到達時間リストを用いて時間相関関数が演算されるので、正確な粒径および/または粒径分布を測定できる。
本発明における動的光散乱測定・解析方法は、すべての電気パルス到達時間リストを作成後にデータ処理を行うため、測定後の処理時に相関関数の適切な時間幅に基づいた正確な粒径および/または粒径分布の測定を可能とする。さらに、電気パルス到達時間リストからパルスレーザ光タイミングリストに同期したデータのみを抽出し、光子到達時間リストを作成するので、機器によるダークカウントや外光の影響が除去された光子到達時間リストを作成する。この結果、ダークカウントや外光による影響のない光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算するので、正確な粒径および/または粒径分布を測定できる。また、本発明は、このような機能をコンピュータが実行する測定・解析プログラムを提供する。
本発明の動的光散乱測定装置を示す模式図 種々の電気パルスと測定時間との関係を示す模式図 例示的な(A)電気パルス到達時間リスト、(B)パルスレーザ光タイミングリストおよび(C)光子到達時間リストを示す図 本発明の別の動的光散乱測定装置を示す模式図 本発明の別の動的光散乱測定装置を示す模式図 例示的なパルス幅伸長・デッドタイム調整器による電気パルスの変化を示す模式図 本発明の別の動的光散乱測定装置を示す模式図 本発明の別の動的光散乱測定装置を示す模式図 本発明の別の動的光散乱測定装置を示す模式図 本発明の動的光散乱測定・解析の工程を示すフローチャート 本発明のさらに別の動的光散乱測定装置を示す模式図 本発明のさらに別の動的光散乱測定・解析の工程を示すフローチャート 例示的なグラフィカルユーザインターフェース(GUI)画面を示す図 例示的な時間相関関数演算設定画面を示す図 例示的なノイズ除去設定画面を示す図 例示的な解析項目設定画面を示す図 例示的な結果表示画面を示す 例示的な別の結果表示画面を示す図 パルスレーザ光とともに白熱電球を照射した場合の処理前の時間相関関数を示す図 パルスレーザ光とともに白熱電球を照射した場合の処理後の電気パルスのリスト表示を示す図 パルスレーザ光とともに白熱電球を照射した場合の処理後の時間相関関数を示す図 パルスレーザ光のみを照射した場合の時間相関関数を示す図 白熱電球のみを照射した場合の時間相関関数を示す図
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。
(実施の形態1)
実施の形態1では、機器によるダークカウントや外光の影響を排除した本発明の動的光散乱測定装置、その測定・解析方法およびその測定・解析プログラムについて説明する。
図1は、本発明の動的光散乱測定装置を示す模式図である。
本発明の動的光散乱測定装置100は、粒子110を含有する液体試料120中の粒子の粒径および/または粒径分布を、動的光散乱法を用いて測定する。ここで、測定対象である粒子110としては、金属、無機物、有機物、高分子を問わない。また、これら粒子110が分散した液体試料120としては、濃度や粘度に制限はない。
本発明の動的光散乱測定装置100は、少なくとも、パルスレーザ光を発し、液体試料120に照射する光源部130と、液体試料120からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する光子検出装置140と、光源部130がパルスレーザ光を発するタイミングを通知するパルスレーザ光タイミング装置150と、電気パルスの到達時間およびパルスレーザ光のタイミングを収集し、電気パルス到達時間リストおよびパルスレーザ光タイミングリストを生成するデータ収集装置160と、パルスレーザ光タイミングリストを用いて電気パルス到達時間リストを処理する情報処理装置170とを備える。
このような構成により、本発明の動的光散乱測定装置100は、すべての電気パルス到達時間リストを作成後に処理を行うため、測定後の処理時に相関関数の適切な時間幅に基づいた正確な粒径および/または粒径分布の測定を可能とする。本発明の動的光散乱測定装置100は、パルスレーザ光を発する光源部130を用い、パルスレーザ光タイミング装置150によって光源部130がパルスレーザ光を発するタイミングを通知するので、情報処理装置170は、電気パルス到達時間リストからパルスレーザ光タイミングリストに同期したデータのみを抽出できる。このようにして得られた光子到達時間リストは、機器によるダークカウントや外光の影響が除去されている。この結果、ダークカウントや外光による影響のない光子到達時間リストを用いて時間相関関数が演算されるので、正確な粒径および/または粒径分布を測定できる。以降では、各構成要素を詳細に説明する。
光源部130は、パルスレーザ光を発するものであれば特に制限はなく、それ自身が単体でパルスレーザ光を発するQスイッチレーザなど市販のパルスレーザ光源であってもよいが、例えば、気体レーザ、固体レーザ、半導体レーザなどの連続発振レーザ光源と、光チョッパとを備えてもよい。これにより、連続発振波からパルス波をつくることができる。このような構成は当業者であれば理解する。
パルスレーザ光のパルス幅に特に制限はないが、例示的には、フェムト秒~マイクロ秒のパルス幅を有する。
パルスレーザ光の波長に特に制限はないが、光子検出装置140の波長検出感度に応じて選択される。例えば、レーザ光として波長700nm以上4μm以下の範囲の近赤外~赤外領域の光を用いる場合、生体組織へのダメージが少なく侵入長も長いため、血管中の血液のダイナミクス測定など医学用途に有利である。また、パルスレーザ光は、単色パルスレーザ光でも白色パルスレーザ光でも使用できるが、特に言及しない限り、パルスレーザ光は単色パルスレーザ光とする。
光源部130からのパルスレーザ光が液体試料120に照射されるよう、必要に応じて、レンズ、ミラー等の光学系(図示せず)を設けてもよい。
なお、液体試料120は、光源部130からのパルスレーザ光が透過可能な容器(セル)に封入してもよいし、パルスレーザ光が透過可能なプレパラートに封入してもよい。本発明の動的光散乱測定装置100は、液体試料120を充填したセルを収容するセルホルダー(図示せず)を備えてもよい。
光子検出装置140は、パルスレーザ光が照射された際の液体試料120からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する。電気パルスのパルス幅は、例示的には、数十ナノ秒~数百ナノ秒である。このような光子検出装置140をフォトンカウンティングモジュールと呼ぶ場合がある。液体試料120からの散乱光子は、必要に応じて、レンズ、ピンホール、光ファイバ等の光学系(図示せず)を介して光子検出装置140で検出されるようにしてよい。
パルスレーザ光タイミング装置150は、パルスレーザ光が発せられたタイミングに同期する電気パルスを発するものであれば特に制限はないが、図1では、パルスレーザ光タイミング装置150として、フォトダイオードの場合を示す。フォトダイオードは、光検出器として機能し、パルスレーザ光を検出し、電気パルスに変換できる。このような変換された電気パルスは、パルスレーザ光が発せられたタイミングに同期している。
データ収集装置160は、光子検出装置140およびパルスレーザ光タイミング装置150と有線にて接続されており、光子検出装置140で生成された電気パルス、および、パルスレーザ光タイミング装置150で生成された電気パルスを収集し、電気パルス到達時間リスト、および、パルスレーザ光タイミングリストを生成する。データ収集装置160には、2以上のデータの入力部を有し、出力可能な入出力モジュールを用いることができる。
電気パルス到達時間リストは、少なくとも液体試料120からのすべての散乱光子が光子検出装置140に到達した時間の情報を含み、パルスレーザ光タイミングリストは、パルスレーザ光の発した時間の情報を含む。電気パルス到達時間リストは、光子検出装置140によるダークカウントや外光の影響を受けて、散乱光子以外の情報を含み得る場合がある。
情報処理装置170は、データ収集装置160が作成したパルスレーザ光タイミングリストを用いて、電気パルス到達時間信号をデータ処理し、液体試料120からの散乱光子の情報のみを含む光子到達時間リストを作成する。情報処理装置170は、光子到達時間リストを用いて、時間相関関数を演算し、粒子の粒径および/または粒径分布を算出する。
詳細には、情報処理装置170は、機能ブロックとして、光子到達時間リストを作成する光子到達時間リスト作成部171と、光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算する時間相関関数演算処理部172と、演算された時間相関関数を用いて粒子の粒径および/または粒径分布を演算する粒径演算部173とをさらに備える。
ここで、光子到達時間リスト作成部171は、電気パルス到達時間リストからパルスレーザ光タイミングリストに同期したデータのみを抽出し、光子到達時間リストを作成する。このようにして得られた光子到達時間リストは、機器によるダークカウントや外光の影響を含まない。この結果、1回の測定で、機器や外光の影響を排除した正確な粒径および/または粒径分布を測定できる。
情報処理装置170は、粒径演算部173による結果(例えば、粒径、粒径分布)を表示する表示装置180を備えてもよい。表示装置180は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode)、プラズマディスプレイ等である。表示装置180には、結果に加えて、光子到達時間リスト作成部171、時間相関関数演算処理部172、粒径演算部173それぞれの測定・解析条件の設定画面等が表示されてもよい。
情報処理装置170は、ユーザからの入力操作を受け付ける入力装置190を備えてもよい。入力装置190は、例えば、キーボード、マウス、ボタン、タッチパネル、タッチセンサ、タッチペン、音声入力等である。
光子到達時間リスト作成部171の動作を図2および図3を参照して詳述する。
図2は、種々の電気パルスと測定時間との関係を示す模式図である。
図3は、例示的な(A)電気パルス到達時間リスト、(B)パルスレーザ光タイミングリストおよび(C)光子到達時間リストを示す図である。
光子到達時間リスト作成部171は、例えば、図3(A)に示す電気パルス到達時間リスト(図2(D)の検出された全電気パルスに相当)、ならびに、図3(B)に示すパルスレーザ光タイミングリスト(図2(A)のパルスレーザ光に相当)を受け取る。
光子到達時間リスト作成部171は、電気パルス到達時間リストとパルスレーザ光タイミングリストとを比較し、電気パルス到達時間リストからパルスレーザ光タイミングリストに同期したデータのみを抽出する。例えば、光子到達時間リスト作成部171は、図3(A)電気パルス到達時間リストのうち、図3(B)パルスレーザ光タイミングリストと同期した、20.0μs、40.0μs、80.0μs、160.0μsの電気パルスの検出時間を抽出する。抽出したデータは、図2(D)に示す電気パルスのうち、グレースケールで濃く示される電気パルス(図2(B)の散乱光子の電気パルス)となり、パルスレーザ光が来たタイミングの散乱光子となる。一方、抽出されなかった電気パルス(図2(C))は、機器によるダークカウントや外光の影響によるものであり、ランダムノイズと分かる。
光子到達時間リスト作成部171は、抽出した電気パルスの検出時間を、液体試料120からの散乱光子が光子検出装置140に到達した時間であるとして、図3(C)に示す光子到達時間リストを作成する。光子到達時間リストは、パルスレーザ光が来たタイミングで散乱光子が検出されたか否かの情報を有するため、検出個数は0(散乱光子が来なかった)または1(散乱光子が来た)となる。
時間相関関数演算処理部172は、光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算する。時間相関関数演算処理部171は、時間相関関数g(2)(τ)を、次式に基づいて演算してよい。これを定義に基づいた直接計算と呼ぶ。
Figure 2022106402000003

ここで、Δtは任意に決められる相関時間の最小の時間幅であり、n(t)は、光子到達時間リスト中のある時間t~t+Δtの間に検出された散乱光子数であり、Nは測定時間をΔtで除した値であり、<・・・>Δtは時間平均を表す。
あるいは、時間相関関数演算処理部171は、時間相関関数g(2)(τ)を、光子到達時間リストのフーリエ変換を二乗したパワースペクトルを求め、そのパワースペクトルを逆フーリエ変換して算出してもよい。これをフーリエ変換に基づいた計算と呼ぶ。このような選択は、動的光散乱測定・解析プログラムにおいてユーザの指示によって行うことができる。
粒径演算部173は、光子到達時間リストを用いて演算された時間相関関数を用いて、粒子110の粒径および/または粒径分布を演算する。
粒径演算部173は、好ましくは、指数関数によるフィッティング法、キュムラント法、ヒストグラム法およびCONTIN法からなる群から少なくとも1つ選択される解析法を用いる。これらはいずれも時間相関関数を用いて粒径や粒径分布を算出する解析法として知られている。
例えば、指数関数によるフィッティング法として、演算された時間相関関数を次式に代入し、粒径dを求めることができる。
(2)(τ)=1+Ae-2Γt
ここで、Aは、図1の動的光散乱測定装置100の光学配置によって決まる干渉性因子であり、0<A≦1である。Γは並進拡散係数Dを用いて、次式のように表される。
Γ=q
q=4πn/λ×sin(θ/2)
ここで、qは散乱ベクトルであり、nは液体試料120中の液体の波長λにおける屈折率であり、λはパルスレーザ光の波長である。
粒子110の粒径(流体力学的直径)dは、アインシュタイン・ストークスの式を用いて、並進拡散係数Dから算出される。
d=kT/(3πηD)
ここで、kはボルツマン定数であり、Tは測定温度(絶対温度)であり、ηは液体の粘度である。
上述のいずれの解析法を採用したとしても、粒径演算部173が用いる演算された時間相関関数は、機器によるダークカウントや外光の影響が除去されているため、正確な粒径、粒径分布を測定できる。
情報処理装置170は、光子到達時間リスト作成部171、時間相関関数演算処理部172、粒径演算部173等の各機能ブロックを、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
光源部130は、透過率を変化させるフィルタ(図示せず)を備えてもよい。上述したように、パルスレーザ光を用いた場合には、検出される格子の数は0か1かの制限がある。しかしながら、散乱光強度が強い場合、実際には散乱光子が複数個あっても1個と検出するため、誤差が大きくなり得る。このような現象をクリッピングと呼ぶ。予め散乱光強度が強くならないよう、光源部130からのパルスレーザ光の強度をフィルタによって調整することにより、クリッピングの影響を低減できるため、精度よく測定できる。このようなフィルタは、散乱光強度を任意に低減できる可変式減光フィルタであってよく、例示的には、散乱光強度を30%以上95%以下まで低減するよう調整するとよい。
図4は、本発明の別の動的光散乱測定装置を示す模式図である。
図4の動的光散乱測定装置400は、図1において、フォトダイオードであるパルスレーザ光タイミング装置150に代えて、ディレイジェネレータであるパルスレーザ光タイミング装置410を用いる以外は、図1の動的光散乱測定装置100と同様である。
ディレイジェネレータは、光源部110がパルスレーザ光源を備えており、ディレイジェネレータからの信号に同期してパルスレーザ光を発振させる場合に、当該信号(電気パルス)をデータ収集装置160に送信する。このような電気パルスは、パルスレーザ光が発せられたタイミングに同期している。ここでは、具体例としてディレイジェネレータを挙げたが、光源部110からのパルスレーザ光と同期した電気パルスを送信可能な任意の外部発振器を採用できる。
データ収集装置160以降の動作については図1の動的光散乱測定装置100と同様であるため、説明を省略する。
図5は、本発明の別の動的光散乱測定装置を示す模式図である。
図5の動的光散乱測定装置500は、光子検出装置140とデータ収集装置160との間にパルス幅伸長・デッドタイム調整器510を備える以外は、図4の動的光散乱測定装置400と同様である。
光子検出装置140は、散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する際に、通常は、散乱光子1個に対して1個の電気パルスを生成するが、誤って2個の電気パルスを生成する場合がある。このような現象をアフターパルスと呼ぶ。そのような場合には、光子到達時間リストが誤った電気パルス(すなわち偽信号)を含むため、測定精度の低下を招く虞がある。
一方で、データ収集装置160は、電気パルスのパルス幅が短い(例えば、数ナノ秒など)と検出し損なう場合がある。そのような場合には、光子到達時間リストの一部が欠落するため、測定精度の低下を招く虞がある。
パルス幅伸長・デッドタイム調整器510は、光子検出装置140が生成した電気パルスのパルス幅を伸長させ、不感時間を設ける。すなわち、パルス幅伸長・デッドタイム調整器510は、1個の電気パルスを受信すると、受信した電気パルスの幅を伸長させるよう機能する。これにより、電気パルスのパルス幅が長くなるので、後段のデータ収集装置160が電気パルスを検出し損なうことはなく、電気パルス到達時間リストの情報の欠落が抑制される。また、1個の電気パルスを受信したら、一定期間検出不可にするよう機能する。これにより、アフターパルスが発生したとしても、電気パルス到達時間リストが偽信号を含まないよう制御できる。図6を参照して詳述する。
図6は、例示的なパルス幅伸長・デッドタイム調整器による電気パルスの変化を示す模式図である。
図6(A)は、光子検出装置140が生成した電気パルスを示す。光子検出装置140は、パルス幅がdの電気パルスp1、p2、p3、p4、p5を生成し、p2、p4はアフターパルス現象による電気パルスであった。ここで、パルス幅伸長・デッドタイム調整器510がパルス幅dをDに伸長し、電気パルスを検出してから時間Tだけ不感時間を設けるよう設定されているとする。
図6(B)は、図6(A)の電気パルスが、上記設定のパルス幅伸長・デッドタイム調整器510を通った後に得られる電気パルスを示す。図6(B)によれば、パルスp1、p3およびp5は、それぞれ、パルス幅がDに伸長されパルスP1、P3、P5となり、不感時間Tによってp2およびp4が検出されていないことが分かる。この結果、アフターパルスによる偽信号が除去され、なおかつ、パルス幅が十分に伸長されているため、データ収集装置160は、数え落としのない電気パルス到達時間リストを作成することができる。パルス幅の伸長の程度や不感時間の設定は、パルス幅伸長・デッドタイム調整器510に直接、あるいは、動的光散乱測定・解析プログラムにおいてユーザの指示によって行うことができる。
データ収集装置160以降の動作については図1の動的光散乱測定装置100と同様であるため、説明を省略する。
図7は、本発明の別の動的光散乱測定装置を示す模式図である。
図7の動的光散乱測定装置700は、光子検出装置140が検出する散乱光子の散乱角度を可変にする角度可変機構710を備える以外は、図4の動的光散乱測定装置400と同様である。
角度可変機構710は、光子検出装置140が散乱光子を検出する角度を変化させることができるので、散乱光強度の散乱ベクトル依存性を測定することができる。すなわち、電気パルス到達時間リストには特定の散乱角における散乱光子の到達時間が含まれるため、この測定を様々な散乱角で行うことによって、各散乱角における散乱光子が到達した時間の情報を入手できる。散乱ベクトル依存性を測定できるので、拡散係数の測定精度が向上し得る。このような電気パルス到達時間リストを用いれば、精度よく粒径、粒径分布を求めることができる。なお、角度可変機構710には、例えば、特開2010-101877号公報に記載の受光部41が搭載される機構を採用できる。
データ収集装置160以降の動作については、散乱角の情報が加わった以外は図1の動的光散乱測定装置100と同様であるため、説明を省略する。
図8は、本発明の別の動的光散乱測定装置を示す模式図である。
図8の動的光散乱測定装置800は、顕微鏡810を備える以外は、図4の動的光散乱測定装置400と同様である。光源部130は、パルスレーザ光を顕微鏡810の対物レンズを介して液体試料120に照射する。次いで、光子検出装置140は、液体試料120からの後方散乱光子を、対物レンズを介して検出する。顕微鏡810を用いれば、液体試料120が白濁、有色の液体試料であっても測定できる。この場合、液体試料120は、カバーガラスとスライドガラスとで挟持される。
光子検出装置160以降の動作については、図1の動的光散乱測定装置100と同様であるため、説明を省略する。
図示しないが、パルス幅伸長・デッドタイム調整器510と、角度可変機構710とを組み合わせて用いてもよいし、パルス幅伸長・デッドタイム調整器510と、顕微鏡810とを組み合わせて用いてもよい。また、図5、図7および図8において、ディレイジェネレータであるパルスレーザ光タイミング装置410に代えて、フォトダイオードであるパルスレーザ光タイミング150を用いてもよいことは言うまでもない。
これまでは、光源部130が発するパルスレーザ光が単色光である場合の動的光散乱測定装置について説明してきたが、パルスレーザ光は白色光であってもよい。
図9は、本発明の別の動的光散乱測定装置を示す模式図である。
図9の動的光散乱測定装置900は、白色パルスレーザ光を発する光源部910、および、光子検出装置140の前段に位置する分光器920を備える以外は、図4の動的光散乱測定装置400と同様である。
白色パルスレーザ光を発する光源部910は、市販の白色レーザ光源を用いてもよいし、単色の連続発振レーザ光源を超短パルスレーザにし、その後段にサファイヤ板、純粋セル、フォトニック結晶ファイバ等の媒質を介するようにしてもよい。このような白色パルスレーザ光への改変は、当業者であれば容易に理解する。
光源部910からの白色パルスレーザ光を液体試料120に照射する。液体試料120からの散乱光子は、分光器920で分光される。光子検出装置140以降を複数チャンネル用意して、分光された各波長の散乱光子の到達時間を検出するようにしてよい。以降は、マルチチャンネルで測定・計算を実施する以外は、図4の動的光散乱測定装置400と同様となる。
このように白色パルスレーザ光および分光器920を用いることにより、各波長の散乱光子を測定できるので、散乱光子を検出する角度を変えることなく、散乱ベクトル依存性を測定することができる。
散乱角を変化できない状況でも散乱角を変化させるのと同様の効果を得ることができるため、例えば、動的光散乱測定装置900と図8に示す顕微鏡810とを組み合わせることにより、白濁、有色、粘性の高い液体試料に対しても精度よく粒径、粒径分布を精度よく求めることができる。
光子検出装置160以降の動作については、図1の動的光散乱測定装置100と同様であるため、説明を省略する。
図10は、本発明の動的光散乱測定・解析の工程を示すフローチャートである。
ステップS1010:パルスレーザ光を液体試料120(図1)に照射する。パルスレーザ光は、上述の光源部130(図1)を用いて照射されてよい。このとき、顕微鏡810(図8)の対物レンズを介して液体試料に照射すれば、白色、有色の液体試料であっても測定できる。
ステップS1010に先立って、好ましくは、パルスレーザ光の光強度を散乱光強度が弱くなるよう調整してもよい。これにより、クリッピングの影響を低減できる。このような光強度の調整には、フィルタを用いてよい。例示的には、散乱光強度を30%以上95%以下まで低減するよう調整するとよい。
ステップS1020:液体試料120(図1)からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する。このような電気パルスの生成には、例えば、上述の光子検出装置140(図1)を用いてよい。
このとき、パルスレーザ光が単色パルスレーザ光である場合、散乱光子の散乱角度を可変にして検出してもよい。これにより、散乱ベクトル依存性を測定できる。例えば、角度可変機構710(図7)を搭載した光子検出装置を用いることができる。
また、ステップS1010において、顕微鏡810を介して液体試料にレーザ光を照射した際には、液体試料からの散乱光子は後方散乱光子であり、顕微鏡810の対物レンズを介して検出される。
パルスレーザ光が白色パルスレーザ光である場合、散乱光子を分光させてから、分光された各波長の散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成してもよい。
ステップS1020に続いて、電気パルスのパルス幅を伸長させ、不感時間を設けるようにしてもよい。1個の電気パルスを受信すると、受信したパルス幅を伸長させる。これにより、電気パルスのパルス幅が長くなるので、電気パルスを検出し損なうことはなく、光子到達時間リストの情報の欠落が抑制される。また、1個の電気パルスを受信したら、一定期間電気パルスの検出を行わないようにしてもよい。これにより、アフターパルスが発生したとしても、光子到達時間リストが偽信号を含まないよう制御できる。このような電気パルスのパルス幅の伸長、不感時間の設定は、例えば、パルス幅伸長・デッドタイム調整器510(図5)に直接行ってもよく、動的光散乱測定・解析プログラムにおいてユーザの指示によって行うことができる。
ステップS1030:ステップS1010におけるパルスレーザ光が発生されるタイミングを通知する。このような通知は、パルスレーザ光が発せられたタイミングに同期する電気パルスであってよい。このような電気パルスの生成には、フォトダイオードであるパルスレーザ光タイミング装置150(図1)やディレイジェネレータ等の外部発振器であるパルスレーザタイミング装置410(図4)を用いてよい。
なお、ステップS1020とステップS1030とは、この順に限らない。逆であってもよいし、同時に行ってもよい。
ステップS1040:生成された電気パルスの到達時間およびパルスレーザ光のタイミングを収集し、電気パルス到達時間リストおよびパルスレーザ光タイミングリストを生成する。電気パルス到達時間リストおよびパルスレーザ光タイミングリストは上述した通りであるため、説明を省略する。このような電気パルス到達時間リストおよびパルスレーザ光タイミングリストの生成には、例えば、上述のデータ収集装置160(図1)を用いてよい。生成された電気パルス到達時間リストおよびパルスレーザ光タイミングリストは、記憶部(図示せず)に記憶される。
なお、ステップS1010において白色パルスレーザ光を用い、ステップS1020において散乱光子を分光して検出した場合には、分光された各波長について電気パルス到達時間リストが生成されることは言うまでもない。
ステップS1050:電気パルス到達時間リストとパルスレーザ光タイミングリストとを比較し、電気パルス到達時間リストからパルスレーザ光タイミングリストに同期したデータのみを抽出し、光子到達時間リストを作成する。光子到達時間リストの作成方法については、図2および図3を参照して説明した通りであるため、説明を省略するが、電気パルス到達時間リストのうち、液体試料の散乱光子に基づくデータのみが抽出されるので、作成された光子到達時間リストは、ランダムノイズとなり得る機器によるダークカウントや外光の影響を含まない。この結果、後述のプロセスによって精度よく粒径、粒径分布を測定できる。
ここでも、ステップS1010において白色パルスレーザ光を用い、ステップS1020において散乱光子を分光して検出した場合には、分光された各波長について生成された電気パルス到達時間リストごとに、光子到達時間リストが作成されることは言うまでもない。
ステップS1060:光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算する。時間相関関数g(2)(τ)を、次式に基づいて演算してよい。
Figure 2022106402000004

ここで、Δtは任意に決められる相関時間の最小の時間幅であり、n(t)は、光子到達時間リスト中のある時間t~t+Δtの間に検出された散乱光子数であり、Nは測定時間をΔtで除した値であり、<・・・>Δtは時間平均を表す。
あるいは、時間相関関数g(2)(τ)を、光子到達時間リストのフーリエ変換を二乗したパワースペクトルを求め、そのパワースペクトルを逆フーリエ変換して算出してもよい。
ステップS1070:演算された時間相関関数を用いて粒子の粒径および/または粒径分布を演算する。
ステップS1070において、粒子の粒径および/または粒径分布の演算は、好ましくは、指数関数によるフィッティング法、キュムラント法、ヒストグラム法およびCONTIN法からなる群から少なくとも1つ選択される解析法を用いる。これらはいずれも時間相関関数を用いて粒径や粒径分布を算出する解析法として知られている。
例えば、指数関数によるフィッティング法として、演算された時間相関関数を次式に代入し、粒径dを求めることができる。
(2)(τ)=1+Ae-2Γt
ここで、Aは、図1の動的光散乱測定装置100の光学配置によって決まる干渉性因子であり、0<A≦1である。Γは並進拡散係数Dを用いて、次式のように表される。
Γ=q
q=4πn/λ×sin(θ/2)
ここで、qは散乱ベクトルであり、nは液体試料120中の液体の波長λにおける屈折率であり、λはパルスレーザ光の波長である。
粒子110の粒径(流体力学的直径)dは、アインシュタイン・ストークスの式を用いて、並進拡散係数Dから算出される。
d=kT/(3πηD)
ここで、kはボルツマン定数であり、Tは測定温度(絶対温度)であり、ηは液体の粘度である。
上述のいずれの解析法を採用したとしても、ステップS1070で用いる演算された時間相関関数は、機器によるダークカウントや外光の影響を含まないため、正確な粒径、粒径分布を測定できる。
ステップS1050~S1070は、例えば、情報処理装置170(図1)が行ってよい。
実施の形態1の動的光散乱測定装置は、パルスレーザ光を発し、液体試料に照射する光源部と、液体試料からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する光子検出装置と、光源部がパルスレーザ光を発するタイミングを通知するパルスレーザ光タイミング装置と、電気パルスの到達時間およびパルスレーザ光のタイミングを収集し、電気パルス到達時間リストおよびパルスレーザ光タイミングリストを生成するデータ収集装置と、パルスレーザ光タイミングリストを用いて電気パルス到達時間リストを処理する情報処理装置とを備え、上述の各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU(図示せず)、そのプログラムを格納したROM(Read Only Memory、図示せず)、プログラムを展開するRAM(Randam Access Memory、図示せず)、プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記録媒体を備えてよい。上述した機能を実現するソフトウェアであるプログラムのプログラムコードをコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、コンピュータあるいはCPUが記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行してもよい。このようにして、動的光散乱測定装置による液体試料中の粒子の粒径および/または粒径分布を動的光散乱法により測定する方法が実現され得る。
このような記録媒体は、例えば、CD-ROM等のディスク、ICカード等のカード、フラッシュROM等の半導体メモリなどがある。
実施の形態1の動的光散乱測定装置を通信ネットワークと接続し、通信ネットワークを介してプログラムコードを供給してもよい。このような通信ネットワークは、特に制限はないが、例えば、インターネット、イントラネット、LAN、ISDN、CATV通信網、電話回線網、衛星通信網等であり得る。プログラムコードは、電子的な伝送で具現化され、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態であってもよい。
実施の形態1の動的光散乱測定装置、測定・解析方法および測定・解析プログラムは、粒子を含有する液体試料を測定対象とするものとして説明してきたが、本発明の動的光散乱測定装置をゲルやゴムなどの弾性体を測定対象としてもよい。この場合には、粒子の粒径や粒径分布に代えて、弾性体中に存在するネットワーク構造の振動に基づく散乱光により、ネットワーク構造の網目の大きさや分布を測定できる。このような測定対象の変更に伴う改変は当業者であれば、容易に理解する。
(実施の形態2)
実施の形態2では、本発明のさらに別の動的光散乱測定装置、その測定・解析方法およびその測定・解析プログラムについて説明する。
実施の形態1では、機器によるダークカウントや外光による影響を除去したが、実施の形態2では、これらの影響の除去に加えて、液体試料中に浮遊しているほこりなどのマイクロメートルオーダの汚染物質による影響を除去する動的光散乱測定装置を説明する。
図11は、本発明のさらに別の動的光散乱測定装置を示す模式図である。
図11の動的光散乱測定装置1100は、情報処理装置170が時間関数演算処理部172で演算された時間相関関数を用いて光子到達時間リストが粒子からの散乱光子以外のノイズ成分を含むか否かを判定するノイズ判定部174と、光子到達時間リストからノイズ成分を除去するノイズ除去部175とを備える以外は、図4の動的光散乱測定装置400と同様である。
本発明の動的光散乱測定装置1100は、ダークカウントや外光の影響を除去した光子到達時間リストを作成後に、光子到達時間リストが粒子110以外のノイズ成分を有する場合には、ノイズ成分が除去された光子到達時間リストを作成できるので、ノイズ成分を有しない正確な光子到達時間リストを用いて時間相関関数が演算され、より正確な粒径および/または粒径分布を測定できる。したがって、測定前に予め汚染物質を除去するためにフィルタを通すなどの前処理を不要とする。このようなノイズ成分は、液体試料120中に浮遊するマイクロメートルオーダのほこりや不純物であり得る。
詳細に説明する。図1を参照して説明したように、情報処理装置170の光子到達時間リスト作成部171が光子到達時間リストを作成し、時間相関関数演算処理部172が光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算する。
次いで、ノイズ判定部174は、時間相関関数演算処理部172で演算された時間相関関数を用いて、演算に用いた光子到達時間リストが粒子110からの散乱光子以外のノイズ成分を含むか否かを判定する。
ノイズ判定部174は、好ましくは、演算された時間相関関数の収束値が1.05を超える場合には光子到達時間リストがノイズ成分を含むと判定し、収束値が1.05以下である場合には光子到達時間リストがノイズ成分を含まないと判定する。時間相関関数の収束値が1.05を超えると、ノイズ成分の影響を無視できず、正確な粒径や粒径分布が得られない場合があり得るため、本願明細書では1.05を閾値とするが、より高精度な結果が必要な場合には1.05より小さい値を採用してもよい。
ノイズ判定部174が、光子到達時間リストがノイズ成分を含むと判定した場合に、ノイズ除去部175は、その光子到達時間リストからノイズ成分を除去する。
光子到達時間リストは、散乱光子が光子検出装置140に到達した時間の情報を含むが、ノイズ除去部175は、好ましくは、一定時間内(例えば1s)に検出された散乱光子の数が、平均散乱光子検出数と比較して所定の範囲(例えば、標準偏差の0.5倍)を超える場合、光子到達時間リストから該当時間領域のデータを削除する。このような所定の範囲の設定は、後述する動的光散乱測定・解析プログラムにおいてユーザの指示によって行うことができる。
ノイズ除去部175は、ノイズ成分が除去された光子到達時間リストを作成すると、記憶部(図示せず)に格納してもよい。格納した光子到達時間リストは、動的光散乱測定・解析プログラムにおいてユーザの指示によって読み出すことができる。
時間相関関数演算処理部172は、ノイズ除去部175が作成したノイズ成分が除去された光子到達時間リストを記憶部から読み出し、あるいは、ノイズ除去部175から受け取り、再度、時間相関関数を演算する。ノイズ判定部174は、演算された時間相関関数を用いて、再度、ノイズ成分が除去された光子到達時間リストがノイズ成分を含むか否かを判定する。時間相関関数演算処理部172、ノイズ判定部174およびノイズ除去部175が、ノイズ判定部174が、ノイズ成分を含まないと判定するまで、上記処理を繰り返し行う。
ノイズ判定部174がノイズ成分を含まないと判定すると、粒径演算部173は、ノイズ成分を含まないと判定された光子到達時間リストを用いて演算された時間相関関数を用いて、粒子の110の粒径および/または粒径分布を演算する。粒径演算部173の動作は、図1を参照して説明した通りであるため、説明を省略する。
このように、ノイズ除去部175は、ノイズ判定部174と協働し、ノイズ判定部174が光子到達時間リストがノイズ成分を含まないと判定するまで、光子到達時間リストからノイズ成分を除去する。この結果、機器によるダークカウントや外光の影響に加えて、汚染物質の影響が排除された光子到達時間リストが得られる。粒径演算部173はこのような光子到達時間リストを用いるため、より高精度に粒子の粒径および/または粒径分布を演算できる。
なお、図11の動的光散乱測定装置1100に、パルスレーザ光として単色パルスレーザ光あるいは白色パルスレーザ光を適宜選択し、図1のフォトダイオードであるレーザパルス光タイミング装置150、図5のパルス伸長幅・デッドタイム調整器510、図7の角度可変機構710、図8の顕微鏡810、および、図9の分光器920を適宜組み合わせ、改変した動的光散乱測定装置も本願の範囲内である。
次に、本発明の動的光散乱法により粒子を含有する液体試料中の粒子の粒径および/または粒径分布を測定・解析するさらに別の方法を説明する。本発明の測定・解析方法は、図11等に示す動的光散乱測定装置を用いて実施されるものとして説明するが、本発明の動的光散乱測定装置に限定されない。
図12は、本発明のさらに別の動的光散乱測定・解析の工程を示すフローチャートである。
図12は、図10のステップS1060に続いて行われる。
ステップS1210:ステップS1060で演算された時間相関関数を用いて、演算に用いた光子到達時間リストが粒子からの散乱光子以外のノイズ成分を含むか否かを判定する。
ノイズ成分を含むか否かは、好ましくは、演算された時間相関関数の収束値が1.05を超える場合に、光子到達時間リストがノイズ成分を含むと判定し、演算された時間相関関数の収束値が1.05以下である場合に、光子到達時間リストがノイズ成分を含まないと判定してよい。より高精度な結果が必要な場合には収束値の閾値を1.05より小さい値を採用してもよい。
ステップS1220:ステップS1210において光子到達時間リストがノイズ成分を含まないと判定するまで、演算に用いた光子到達時間リストからノイズ成分を除去する。ノイズ成分が除去された光子到達時間リストは記憶部に記憶されてよい。
詳細には、ステップS1220に続いて、再度、ステップS1060へ戻り、ノイズ成分が除去された光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算する。その後ステップS1210に進み、ノイズ成分を含まないと判定するまで繰り返し行う。
ステップS1210において光子到達時間リストがノイズ成分を含まないと判定すると、ステップS1070へと進み、演算された時間相関関数を用いて粒子の粒径および/または粒径分布を演算する。ステップS1070は図10で説明した通りであるため、省略する。
次に、情報処理装置170の各機能ブロックを、例示的なグラフィカルユーザインターフェース(GUI)画面を参照して詳細に説明する。
図13は、例示的なグラフィカルユーザインターフェース(GUI)画面を示す図である。
図13には、ユーザが動的光散乱測定装置1100による測定・解析プログラムを操作するための操作画面として、例示的なGUI画面が示される。操作画面は、表示装置180に表示されてよい。このような画面操作は、入力装置190によって行われてよい。
情報処理装置170のデータ処理は、電気パルス到達時間リスト、パルスレーザ光タイミングリストを記憶部(図示せず)に格納してから処理してもよい。
トップページ1300には、リスト表示ボタン1310、時間相関関数演算設定ボタン1320、ノイズ除去設定ボタン1330、解析項目設定ボタン1340、解析実行ボタン1350、および、結果表示ボタン1360を備える。
ユーザが動的光散乱測定・解析プログラムを起動し、リスト表示ボタン1310を選択すると、電気パルス到達時間リスト、パルスレーザ光タイミングリスト、これらから算出された光子到達時間リストが表示される。リストのファイル一覧が表示されるようにしてもよいし、リスト内のデータが図2や図3に示すように表示されるようにしてもよい。
図14は、例示的な時間相関関数演算設定画面を示す図である。
ユーザが動的光散乱測定・解析プログラムを起動し、時間相関関数演算設定ボタン1320を選択すると、時間相関関数演算設定画面1400に移る。時間相関関数設定画面1400では、ユーザは、入力装置190によって、時間相関関数を演算する光子到達時間リストを指定し、時間相関関数の最小の時間幅を設定し、時間相関関数の演算法(定義に基づいた直接計算またはフーリエ変換に基づいた計算)を選択し、ノイズ判定のための時間相関関数の収束値を入力する。時間幅は、液体試料120に応じて、ユーザが任意に設定できるので、正確な粒径、粒径分布の測定を可能にする。本発明の動的光散乱測定装置1100を用いれば、相関時間が長い(例えば1秒以上)とされる粘性の液体試料の場合であっても、測定後に任意に時間幅を設定できるので、時間相関関数の演算を可能にするとともに、長時間測定に伴う、ノイズ成分の影響も除去できる。
図14では、ファイル名として、Sample1_raw.txtと表示され、サンプル番号1の液体試料の光子到達時間リストが選択されている。また、時間幅2×10-5秒(図中「e」は10のべき乗を表す)で時間相関関数を直接計算し、得られた収束値が1.05以下であるか否かを判定するようになっている。
図15は、例示的なノイズ除去設定画面を示す図である。
ユーザがノイズ除去設定ボタン1330を選択すると、ノイズ除去設定画面1500に移る。ノイズ除去設定画面1500では、ユーザは、時間幅、および、許容偏差を入力する。ノイズ成分が除去された光子到達時間リストを保存する保存先およびファイル名を指定してもよい。また、2回目以降のノイズ除去時の時間幅および/または許容偏差は、ユーザが適宜入力するようにしてもよいし、自動的に設定されるようにしてもよい。自動的に設定するようにすれば、自動測定を可能とする。
図15では、図14で選択した光子到達時間リストが、ノイズ判定部174がノイズ成分を有すると判定した場合に、時間幅1秒で許容偏差σが0.5未満となるようにノイズ除去するようになっている。また、ノイズ除去後のファイル保存先が指定され、ファイル名がSample1_1.txtにリネームされるようになっている。
図16は、例示的な解析項目設定画面を示す図である。
ユーザが解析項目設定ボタン1340を選択すると、解析項目設定画面1600に移る。解析項目設定画面1600では、ユーザは、粒径および/または粒径分布を演算するための解析法(指数関数フィッティング、キュムラント法、ヒストグラム法、CONTIN法)を選択し、共通設定として、測定温度、液体試料120中の液体の粘度および屈折率、レーザ光の波長、散乱角を入力する。
ユーザがすべての設定を入力し、トップページ1300の解析実行ボタン1350を押すと、ユーザからの指示により、情報処理装置170は、電気パルス到達時間リストとパルスレーザ光タイミングリストを用いて光子到達時間リストを作成し、処理を開始する。詳細には、時間相関関数演算処理部172は、光子到達時間リスト(図14のSample1_raw.txt)を用いて時間相関関数を演算する。次いで、ノイズ判定部174が、演算された時間相関関数を用いて光子到達時間リストがノイズ成分を含むか否かを判定する。ノイズ除去部175は、ノイズ判定部174が、ノイズ成分を含まないと判定するまで、光子到達時間リストからノイズ成分を除去する。粒径演算部173は、演算された時間相関関数を用いて粒径および/または粒径分布を演算する。
図17は、例示的な結果表示画面を示す図である。
図18は、例示的な別の結果表示画面を示す図である。
このようにして処理されると、トップページ1300の結果表示ボタン1360がアクティブとなる。ユーザが結果表示ボタン1360を選択すると、データのツリー構造とともに、時間相関関数タブ、散乱光子数の時間変化タブ、粒径・粒径分布タブが表示される。
図17では、ツリー構造から光子到達時間リストとしてSample1_raw.txtが選択され、時間相関関数タブが選択されている様子が示される。時間相関関数タブによれば、演算された時間相関関数が1.05を超えていた。ツリー構造を参照すると、新たな光子到達時間リストとしてSample1_1.txtが作成されており、ノイズ判定部174が光子到達時間リストはノイズ成分を有すると判定し、ノイズ除去部175がノイズ成分を除去した処理後の光子到達時間リストを作成したことが分かる。
なお、図17のSample1_raw.txtが選択された状態において、散乱光子数の時間変化タブを選択すると、未処理の光子到達時間リストに基づく散乱光子数の時間変化のグラフを確認できる。
図18では、ツリー構造からノイズ成分が除去された処理後の光子到達時間リストとしてSample1_1.txtが選択され、時間相関関数タブが選択されている様子が示される。時間相関関数タブによれば、演算された時間相関関数が1.05以下であった。ツリー構造を参照すると、ノイズ判定部174が作成した処理後の光子到達時間リストはノイズ成分を有しないと判定したため、さらに新たな光子到達時間リストは作成されていない。
図18のSample1_1.txtが選択された状態において、散乱光子数の時間変化タブを選択すると、処理後の光子到達時間リストに基づく散乱光子数の時間変化のグラフを確認でき、粒径・粒径分布タブを選択すると、図16で設定した条件で解析された粒径が表示される。
このように、本発明の動的光散乱測定装置1100を用いれば、すべての散乱光子の情報であり、機器によるダークカウントや外光の影響を含まない光子到達時間リストを作成後にデータ処理するため、測定後の処理時に相関関数の適切な時間幅に基づいた正確な粒径および/または粒径分布の測定を可能とする。また、光子到達時間リストが粒子110以外のノイズ成分を有する場合には、ノイズ成分が除去された光子到達時間リストを作成できるので、液体試料の損失や粒径分布の変化の可能性などの懸念のある前処理(例えば、フィルタ処理)をする必要はない。また、ノイズ成分を有しない正確な光子到達時間リストを用いて時間相関関数が演算されるので、正確な粒径および/または粒径分布を測定できる。
実施の形態2の動的光散乱測定装置は、パルスレーザ光を発し、液体試料に照射する光源部と、液体試料からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する光子検出装置と、光源部がパルスレーザ光を発するタイミングを通知するパルスレーザ光タイミング装置と、電気パルスの到達時間およびパルスレーザ光のタイミングを収集し、電気パルス到達時間リストおよびパルスレーザ光タイミングリストを生成するデータ収集装置と、パルスレーザ光タイミングリストを用いて電気パルス到達時間リストを処理する情報処理装置とを備え、上述の各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU(図示せず)、そのプログラムを格納したROM(Read Only Memory、図示せず)、プログラムを展開するRAM(Randam Access Memory、図示せず)、プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記録媒体を備えてよい。上述した機能を実現するソフトウェアであるプログラムのプログラムコードをコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、コンピュータあるいはCPUが記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行してもよい。このようにして、動的光散乱測定装置による液体試料中の粒子の粒径および/または粒径分布を動的光散乱法により測定する方法が実現され得る。
このような記録媒体は、例えば、CD-ROM等のディスク、ICカード等のカード、フラッシュROM等の半導体メモリなどがある。
実施の形態2の動的光散乱測定装置を通信ネットワークと接続し、通信ネットワークを介してプログラムコードを供給してもよい。このような通信ネットワークは、特に制限はないが、例えば、インターネット、イントラネット、LAN、ISDN、CATV通信網、電話回線網、衛星通信網等であり得る。プログラムコードは、電子的な伝送で具現化され、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態であってもよい。
実施の形態2の動的光散乱測定装置、測定・解析方法および測定・解析プログラムは、粒子を含有する液体試料を測定対象とするものとして説明してきたが、本発明の動的光散乱測定装置をゲルやゴムなどの弾性体を測定対象としてもよい。この場合には、粒子の粒径や粒径分布に代えて、弾性体中に存在するネットワーク構造の振動に基づく散乱光により、ネットワーク構造の網目の大きさや分布を測定できる。このような測定対象の変更に伴う改変は当業者であれば、容易に理解する。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[例1]
例1では、図5の動的光散乱測定装置を構築し、外光の有無による液体試料中の粒子の粒径の測定に及ぼす影響を調べた。
構築した動的光散乱測定装置は、光源部130としてパルスレーザシステム(Standa、STA-01-MOPA 2)、光子検出装置140としてフォトンカウンティングモジュール(浜松ホトニクス、C11202-050)、パルスレーザ光タイミング装置410としてディレイジェネレータ、パルス幅伸長・デッドタイム調整器510としてノイズ除去回路(パルスの伸長幅:75ns、不感時間:300ns)、データ収集モジュール160としてデジタル入出力モジュール(ナショナルインスツルメンツ、NI-9402およびcDAQ-9174、内部ベースクロック周波数:80MHz)、および、情報処理装置170としてCPUを備えたパーソナルコンピュータを備えた。
パルスレーザシステムは、パッシブQスイッチNd:YAGレーザ(直線偏光、50kHz、2.5W、1064nm)からの光を、リチウムトリボレート結晶(LBO結晶)を用いて二倍波に波長変換(0.5W、532nm)し、さらにフィルタを用いて、散乱光強度が約3kcpsとなるよう減光した。
また、外光によるノイズを系統的に加えるために、インコヒーレント光源(白熱電球)の光を意図的に照射した。このとき、白熱電球からの光は、フォトンカウンティングモジュールが約30kcps(散乱光強度の10倍)のカウント数となるように照射した。
液体試料は、シリカ粒子(Aldrich、803847-1ML、粒子半径は約100nm、数濃度は約10000個/nL)の純水(屈折率1.332)分散液を用いた。このときの粘度は8.945×10-4Pa・sである。これをフィルタ処理することなく石英ガラスのセルに入れた。
動的光散乱法による測定は室温(23℃)にて次のようにして行った。
フォトンカウンティングモジュールに白熱電球の照射がある状態で、パルスレーザ光(0.5W、波長532nm、パルス幅0.4ns)を約3mWまで減光してセルに照射した(図10のステップS1010)。次いで、フォトンカウンティングモジュールにて、液体試料からの散乱光子(散乱角90°)の到達時間を検出し、電気パルスを生成させた(図10のステップS1020)。パルス幅伸長・デッドタイム調整器にて電気パルスのパルス幅を75nsに伸長させ、300ns不感時間を設けた。
また、パルスレーザ光が発っせられるタイミングをデジタル入出力モジュールに通知した(図10のステップS1030)。デジタル入出力モジュールにて、ノイズ除去回路を通った電気パルスの到達時間およびパルスレーザ光のタイミングを収集し、電気パルス到達時間リストおよびパルスレーザ光タイミングリストを生成した(図10のステップS1040)。電気パルス到達時間リストとパルス光タイミングリストとを比較し、電気パルス到達時間リストからパルスレーザ光タイミングリストに同期したデータのみを抽出し、光子到達時間リスト(ファイル名:Sample1_raw.txt)を作成し、パーソナルコンピュータに保存した(図10のステップS1050)。
パーソナルコンピュータにて、光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算した(図10のS1060)。時間相関関数の演算は、光子到達時間を20μsごとの散乱光子数の時間変化に変換することによって、20μsの時間相関で定義に基づいた直接計算を行った。
時間相関関数を用いて、光子到達時間リストがノイズ成分を含むか否かを判定した(図12のS1210)。パーソナルコンピュータにて、時間相関関数の収束値が1.05を超えるか否かを判定した。このような設定は、動的光散乱測定・解析プログラム(例えば図14)にて行った。
ノイズ成分を含むと判定した場合には、光子到達時間リストからノイズ成分を除去する(図12のステップS1220)が、このとき、光子到達時間を1sごとの散乱光子数の許容偏差σが0.5未満となるように設定した。ノイズ成分が除去された光子到達時間リストは新たにリネーム(ファイル名:Sample1_1.txt)して保存するようにした。このような設定は、動的光散乱測定・解析プログラム(例えば図15)にて行った。
ノイズ成分を含まないと判定すると、ノイズ成分を含まない光子到達時間リストを用いて演算された時間相関関数を用いて、指数関数フィッティングにより粒径等を演算した(図10のステップS1070)。このような設定は、動的光散乱測定・解析プログラム(例えば図16)にて行った。
比較のため、図10のステップS1010において、白熱電球の照射なし、白熱電球の照射のみ、パルスレーザ光のみの場合も実施した。結果を説明する。
図19は、パルスレーザ光とともに白熱電球を照射した場合の処理前の時間相関関数を示す図である。
図20は、パルスレーザ光とともに白熱電球を照射した場合の処理後の電気パルスのリスト表示を示す図である。
図21は、パルスレーザ光とともに白熱電球を照射した場合の処理後の時間相関関数を示す図である。
図22は、パルスレーザ光のみを照射した場合の時間相関関数を示す図である。
図23は、白熱電球のみを照射した場合の時間相関関数を示す図である。
図19の時間相関関数は、図23のそれと類似しており、時間相関関数の緩和を示さなかった。これは、白熱電球の強度がパルスレーザ光による粒子の散乱光強度の10倍であるため、白熱電球の影響を大きく受けるためである。
図20は、動的光散乱測定・解析プログラムトップ画面1300(図13)のリスト表示1310(図13)を選択した状態である。図20(A)は、パルスレーザ光の電気パルスであり、デジタル入出力モジュールで生成されたパルスレーザ光タイミングリストである。図20(D)は、光子検出装置140からの全電気パルスであり、デジタル入出力モジュールで生成された電気パルス到達時間リストである。
図20(B)は、情報処理装置170(図1)の光子到達時間リスト作成部171(図1)が作成した光子到達時間リストであり、電気パルス到達時間リスト(図20(D))からパルスレーザ光タイミングリスト(図20(A))に同期するデータのみが抽出されている。一方、図20(C)は、抽出されなかった電気パルスであり、これが白熱電球によるランダムノイズであった。
図21は、処理後に得られた図20(B)の光子到達時間リストによる時間相関関数であるが、図19と異なり、明瞭な緩和を示した。また、図21の時間相関関数は、図22のそれと類似しており、時間相関関数が良好に復元されていることが分かった。
図21に示す時間相関関数を用いて、例えば、図14および図15に示すノイズ除去をさらに実施し、粒径を算出した。その結果、粒径(流体力学的半径とも呼ぶ)は、113±1nmと得られた。この値は、図22に示す時間相関関数を用いて算出した粒径(111±1nm)に良好に一致した。
以上より、液体試料中の粒子の粒径、粒径分布等を、外光や機器による影響を排除し、1回の計測で正しく測定できる動的光散乱測定装置、測定・解析方法および測定・解析プログラムを提供できることが示された。
本発明の動的光散乱測定装置、測定・解析方法および測定・解析プログラムは、液体試料中の任意の粒子の粒径および/または粒径分布を正しく測定できるので、水質管理等の環境分析、化学、材料、医薬等の産業分野で利用される。
100、400、500、700、800、900、1100 動的光散乱測定装置
110 粒子
120 液体試料
130、910 光源部
140 光子検出装置
150、410 パルスレーザ光タイミング装置
160 データ収集モジュール
170 情報処理装置
171 光子到達時間リスト作成部
172 時間相関関数演算処理部
173 粒径演算部
174 ノイズ判定部
175 ノイズ除去部
180 表示装置
190 入力装置
510 パルス幅伸長・デッドタイム調整器
710 角度可変機構
810 顕微鏡
920 フィルタ

Claims (20)

  1. 粒子を含有する液体試料中の前記粒子の粒径および/または粒径分布を動的光散乱法により測定する装置であって、
    パルスレーザ光を発し、前記液体試料に照射する光源部と、
    前記液体試料からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する光子検出装置と、
    前記光源部が前記パルスレーザ光を発するタイミングを通知するパルスレーザ光タイミング装置と、
    前記電気パルスの到達時間および前記パルスレーザ光のタイミングを収集し、電気パルス到達時間リストおよびパルスレーザ光タイミングリストを生成するデータ収集装置と、
    前記パルスレーザ光タイミングリストを用いて前記電気パルス到達時間リストを処理する情報処理装置と
    を備え、
    前記情報処理装置は、
    前記電気パルス到達時間リストと前記パルスレーザ光タイミングリストとを比較し、前記電気パルス到達時間リストから前記パルスレーザ光タイミングリストに同期したデータのみを抽出し、光子到達時間リストを作成する光子到達時間リスト作成部と、
    前記光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算する時間相関関数演算処理部と、
    前記演算された時間相関関数を用いて前記粒子の粒径および/または粒径分布を演算する粒径演算部と
    をさらに備える、動的光散乱測定装置。
  2. 前記パルスレーザ光タイミング装置は、フォトダイオード、または、ディレイジェネレータである、請求項1に記載の動的光散乱測定装置。
  3. 前記光源部は、パルスレーザ光源、または、連続波レーザ光源およびチョッパ板を備える、請求項1または2に記載の動的光散乱測定装置。
  4. 前記光源部は、可変減光フィルタをさらに備える、請求項1~3のいずれかに記載の動的光散乱測定装置。
  5. 前記光子検出装置で生成した前記電気パルスのパルス幅を伸長させ、不感時間を設けるパルス幅伸長・デッドタイム調整器をさらに備える、請求項1~4のいずれかに記載の動的光散乱測定装置。
  6. 前記パルスレーザ光は、単色パルスレーザ光であり、
    顕微鏡を備え、
    前記光源部は、前記パルスレーザ光を前記顕微鏡の対物レンズを介して前記液体試料に照射し、
    前記光子検出装置は、前記液体試料からの散乱光子として後方散乱光子を、前記対物レンズを介して検出する、請求項1~5のいずれかに記載の動的光散乱測定装置。
  7. 前記パルスレーザ光は、単色パルスレーザ光であり、
    前記光子検出装置が検出する前記散乱光子の散乱角度を可変にする角度可変機構を備える、請求項1~5のいずれかに記載の動的光散乱測定装置。
  8. 前記パルスレーザ光は、白色パルスレーザ光であり、
    前記光子検出装置の前段に前記液体試料からの散乱光子を分光する分光器をさらに備える、請求項1~5のいずれかに記載の動的光散乱測定装置。
  9. 顕微鏡を備え、
    前記光源部は、前記パルスレーザ光を前記顕微鏡の対物レンズを介して前記液体試料に照射する、請求項8に記載の動的光散乱測定装置。
  10. 前記粒径演算部は、指数関数によるフィッティング法、キュムラント法、ヒストグラム法およびCONTIN法からなる群から少なくとも1つ選択される解析法を用いる、請求項1~9のいずれかに記載の動的光散乱測定装置。
  11. 前記時間相関関数演算部は、前記時間相関関数g(2)(τ)を、次式に基づいて演算する、請求項1~10のいずれかに記載の動的光散乱測定装置。
    Figure 2022106402000005

    ここで、Δtは任意に決められる相関時間の最小の時間幅であり、n(t)は、前記光子到達時間リスト中のある時間t~t+Δtの間に検出された散乱光子数であり、Nは測定時間をΔtで除した値であり、<・・・>Δtは時間平均を表す。
  12. 前記時間相関関数演算部は、前記時間相関関数g(2)(τ)を、前記光子到達時間リストのフーリエ変換を二乗したパワースペクトルを求め、前記パワースペクトルを逆フーリエ変換して算出する、請求項1~10のいずれかに記載の動的光散乱測定装置。
  13. 前記情報処理装置は、
    前記演算された時間相関関数を用いて前記光子到達時間リストが前記粒子からの散乱光子以外のノイズ成分を含むか否かを判定するノイズ判定部と、
    前記ノイズ判定部が、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定するまで、前記光子到達時間リストから前記ノイズ成分を除去するノイズ除去部と
    をさらに備える、請求項1~12のいずれかに記載の動的光散乱測定装置。
  14. 前記ノイズ判定部は、前記演算された時間相関関数の収束値が1.05を超える場合に、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含むと判定し、前記演算された時間相関関数の収束値が1.05以下である場合に、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定する、請求項13に記載の動的光散乱測定装置。
  15. 粒子を含有する液体試料中の前記粒子の粒径および/または粒径分布を動的光散乱法により測定・解析する方法であって、
    パルスレーザ光を前記液体試料に照射することと、
    前記液体試料からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成することと、
    前記パルスレーザ光が発せられるタイミングを通知することと、
    前記電気パルスの到達時間および前記パルスレーザ光のタイミングを収集し、電気パルス到達時間リストおよびパルスレーザ光タイミングリストを生成することと、
    前記電気パルス到達時間リストと前記パルスレーザ光タイミングリストとを比較し、前記電気パルス到達時間リストから前記パルスレーザ光タイミングリストに同期したデータのみを抽出し、光子到達時間リストを作成することと、
    前記光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算することと、
    前記演算された時間相関関数を用いて前記粒子の粒径および/または粒径分布を演算することと
    を包含する、方法。
  16. 前記パルスレーザ光は、白色パルスレーザ光であり、
    前記液体試料からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成することに先立って、前記液体試料からの散乱光子を分光することを包含する、請求項15に記載の方法。
  17. 前記粒子の粒径および/または粒径分布を演算することに先立って、
    前記演算された時間相関関数を用いて前記光子到達時間リストが前記粒子からの散乱光子以外のノイズ成分を含むか否かを判定することと、
    前記判定することにおいて、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定するまで、前記光子到達時間リストからノイズ成分を除去することと
    をさらに包含する、請求項15または16に記載の方法。
  18. 前記判定することは、前記演算された時間相関関数の収束値が1.05を超える場合に、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含むと判定し、前記演算された時間相関関数の収束値が1.05以下である場合に、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定する、請求項17に記載の方法。
  19. 粒子を含有する液体試料中の前記粒子の粒径および/または粒径分布を動的光散乱法により測定する動的光散乱測定装置に用いられる測定・解析プログラムであって、
    前記動的光散乱測定装置は、
    パルスレーザ光を発し、前記液体試料に照射する光源部と、
    前記液体試料からの散乱光子の到達時間を検出し、電気パルスを生成する光子検出装置と、
    前記光源部が前記パルスレーザ光を発するタイミングを通知するパルスレーザ光タイミング装置と、
    前記電気パルスの到達時間および前記パルスレーザ光のタイミングを収集し、電気パルス到達時間リストおよびパルスレーザ光タイミングリストを生成するデータ収集装置と、
    前記パルスレーザ光タイミングリストを用いて前記電気パルス到達時間リストを処理する情報処理装置と
    を備え、
    前記電気パルス到達時間リストと前記パルスレーザ光タイミングリストとを比較し、前記電気パルス到達時間リストから前記パルスレーザ光タイミングリストに同期したデータのみを抽出し、光子到達時間リストを作成する機能と、
    前記光子到達時間リストを用いて時間相関関数を演算する機能と、
    前記演算された時間相関関数を用いて前記粒子の粒径および/または粒径分布を演算する機能と
    をコンピュータに実現させる、測定・解析プログラム。
  20. 前記粒子の粒径および/または粒径分布を演算する機能に先立って、
    前記演算された時間相関関数を用いて前記光子到達時間リストが前記粒子からの散乱光子以外のノイズ成分を含むか否かを判定する機能と、
    前記判定する機能において、前記光子到達時間リストが前記ノイズ成分を含まないと判定するまで、前記光子到達時間リストからノイズ成分を除去する機能と
    をコンピュータにさらに実現させる、請求項19に記載の測定・解析プログラム。
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