JP7472890B2 - 補修管理方法および補修管理システム - Google Patents

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Description

本発明は、内面に耐火物層を有する構造物の補修管理方法に関する。また、本発明は内面に耐火物層を有する構造物の補修管理システムに関する。
高温の内容物を保持するための構造物には、内容物の熱から構造物を保護するために、該構造物の内面にライニングとしての耐火物層が設けられることが一般的である。このような耐火物層を有する構造物としては、例えば、溶融金属を保持するための容器(以下、「溶融金属容器」という)や、高炉樋などの溶融金属用の樋が挙げられる。
しかし、そのような構造物を使用していると、高温の内容物と接触することによる損耗や、熱衝撃などに起因するスポーリング(き裂、剥離)のため、前記耐火物層は次第に劣化する。そのため、前記耐火物層の機能を維持するためには、定期的に補修を行う必要がある。
耐火物層を補修する方法としては、不定形耐火物を吹き付ける方法が一般的に用いられている。しかし、劣化した耐火物層の上に不定形耐火物を吹き付けた場合、補修後の耐火物層の内部に、劣化した耐火物層と新しい耐火物層の界面が残存することになる。また、劣化した耐火物層の表面には、構造物を使用していた際に付着した溶融金属やスラグなどの滓(ノロ、ビルドアップなどともいう)が付着していることもある。そのため、補修した後に構造物を使用する中で、表面側の新しい耐火物層に亀裂が生じると、該亀裂を通じて溶融金属などが劣化した耐火物層と新しい耐火物層の界面まで侵入し、新しい耐火物層が剥離してしまうという問題がある。
そこで、上記剥離を防ぐために、耐火物層の補修にあたっては、補修する箇所の表面をはつって、劣化した耐火物層や耐火物層の表面に付着した滓を除去した後に、不定形耐火物を吹き付けることが行われている。
例えば、特許文献1には、溶融金属容器内面のライニングを吹き付け補修する際に、予め破砕工具により耐火物層表面の劣化層を全面にわたり除去・解体することが記載されている。
特開2006-292278号公報
特許文献1によれば、破砕工具を一定の力で押付けながら劣化層を除去することにより、一様に劣化層を破砕できるとされている。
しかし、実際の構造物においては、耐火物層の表面に付着した滓の厚さや、劣化層の厚さは必ずしも一定とは限らない。また、劣化した耐火物層の一部が剥離した結果、部分的に劣化層が薄くなっている場合もある。
ここで、溶融金属と接する耐火物層が劣化、剥離するメカニズムの一例を、図面を参照して説明する。図1は、構造物1の内面に設けられた耐火物層10が、溶融金属と接触することにより経時的に劣化し、最終的に部分的な剥離が生じる様子を示した断面模式図である。なお、符号20は、ここでは構造物1の金属製本体部を表す。なお、構造物1が取鍋などの溶融金属容器である場合、金属製本体部20は鉄皮と称される。
図1(a)に示したように、溶融金属との接触により、耐火物層10の表面に表層クラック11が発生する。そして、図1(b)に示すように、表層クラック11に溶融金属が浸潤した浸潤層12が耐火物層10の表層部に形成され、耐火物層10の内部方向(矢印A)へ成長する。一方、耐火物層10の表面上には、スラグ等の滓が付着してビルドアップ層13が形成され、耐火物層10の外部方向(矢印B)へ成長する。
やがて、耐火物層10と浸潤層12との熱膨張係数の違いにより、図1(c)に示したように耐火物層10と浸潤層12との間の界面付近に微小な背面クラック14が発生する。背面クラック14は、耐火物層10と浸潤層12との間の界面に沿って次第に成長し、最終的には図1(d)に示したように表層クラック11と連結する。そしてその結果、図1(e)に示したように、表層クラック11と背面クラック14とで囲まれた部分の浸潤層12およびビルドアップ層13が剥離する。剥離が生じた部分では、健全な耐火物層10が表面に露出した状態となる。
このように、溶融金属の浸潤による耐火物層の内部方向への劣化層の成長、ビルドアップの付着による耐火物の外部方向への劣化層の成長、および局所的な劣化層の剥離が生じる結果、劣化層の厚さは場所ごとに異なっている。
さらに、耐火物層は、溶融金属等の内容物との接触により損耗するが、その速度は構造物の形状や使用状況によって異なる。例えば、溶鋼を扱う取鍋などの場合、羽口近傍など溶鋼の流れが速い部分では耐火物層の損耗が早い。一方、耐火物層の表面に付着するビルドアップ自体は、補修の際に除去すべき劣化層であるものの、構造物の使用時には耐火物層を損耗から保護する作用も有している。
このように、実際の構造物における耐火物層の劣化は、様々な現象が複雑に絡み合って複雑に進行するため、1つの構造物の中でも劣化層の厚さや、健全な状態で残存している耐火物層の厚さは一様ではない。
そのため、特許文献1に記載されているような方法で劣化層を除去すると、劣化していない健全な耐火物まで除去してしまうことになるため、結果的に補修に必要な不定形耐火物の使用量が増大し、補修費用に無駄が生じる。また、反対に、劣化層が厚い部分では、劣化層が完全に除去されずに残存してしまう場合もある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐火物層表面に付着した滓や劣化層を的確に除去するとともに、劣化していない耐火物層が除去される量を低減することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その要旨構成は、以下の通りである。
1.内面に耐火物層を有する構造物の補修管理方法であって、
前記構造物の未使用状態における内面の3次元形状Pを測定する初期測定工程と、
前記構造物の使用開始以降、補修実施までの間に、任意のタイミングでN回の測定を行って、前記構造物の内面の3次元形状P~Pを測定する使用時測定工程と、
前記構造物内面を複数の領域に分割し、前記領域のそれぞれについて、耐火物層を除去する除去深さを演算する演算工程とを備え、
前記演算工程では、
前記領域のそれぞれについて、前記3次元形状P~Pの中から前記耐火物層の厚みが最小であったタイミングNminを特定する最小タイミング特定処理と、
前記領域のそれぞれについて、前記最小タイミング特定処理で特定したタイミングNminでの3次元形状PNminにおける前記耐火物層の表面位置に基づいて、耐火物層を除去する除去深さを決定する除去深さ決定処理とが行われる、補修管理方法。
2.前記演算工程では、さらに、
測定された前記3次元形状P~Pに基づいて、1~Nの各タイミングにおいて前記領域のそれぞれで耐火物の剥離が生じていたか否かを判定する剥離判定処理と、
前記領域のそれぞれについて、剥離が生じていたと判定されていた場合に、最後に剥離が発生したタイミングとして定義される最終剥離タイミングNを特定する最終剥離タイミング特定処理と、
前記最終剥離タイミングNから補修実施までの間の前記構造物の使用状況に基づいて、前記領域のそれぞれにおける耐火物の劣化深さを推定する劣化深さ推定処理とが行われ、
前記除去深さ決定処理では、前記最小タイミング特定処理で特定したタイミングNminでの3次元形状PNminにおける前記耐火物層の表面位置に基づいて決定される除去深さに、さらに前記劣化深さ推定処理で推定した劣化深さを加算したものを除去深さとする、上記1に記載の補修管理方法。
3.前記耐火物層が、前記構造物の内表面を形成する不定形耐火物層と、前記不定形耐火物層の下地としての定形耐火物層とを有し、
前記耐火物層の形成時に、前記不定形耐火物層の形成前に前記定形耐火物層の内面の3次元形状Pを測定する定形耐火物層測定工程をさらに備え、
前記除去深さ決定処理において、前記領域のそれぞれにおける除去深さを決定する際に、前記定形耐火物層の内面の3次元形状Pにおける前記定形耐火物層の表面位置に基づいて、前記除去深さの上限を規制する、上記1または2に記載の補修管理方法。
4.前記演算工程で決定された除去深さにしたがって、前記構造物内面の耐火物層を除去する除去工程をさらに備える、上記1~3のいずれか一項に記載の補修管理方法。
5.内面に耐火物層を有する構造物の補修管理システムであって、
前記構造物の未使用状態における内面の3次元形状Pを測定する初期測定手段と、
前記構造物の使用開始以降、補修実施までの間に、任意のタイミングでN回の測定を行って、前記構造物の内面の3次元形状P~Pを測定する使用時測定手段と、
前記構造物内面を複数の領域に分割し、前記領域のそれぞれについて、耐火物層を除去する除去深さを演算する演算手段とを備え、
前記演算手段は、
前記領域のそれぞれについて、前記3次元形状P~Pの中から前記耐火物層の厚みが最小であったタイミングNminを特定する最小タイミング特定処理と、
前記領域のそれぞれについて、前記最小タイミング特定処理で特定したタイミングNminでの3次元形状PNminにおける前記耐火物層の表面位置に基づいて、耐火物層を除去する除去深さを決定する除去深さ決定処理とを行う、補修管理システム。
6.前記演算手段は、
測定された前記3次元形状P~Pに基づいて、1~Nの各タイミングにおいて前記領域のそれぞれで耐火物の剥離が生じていたか否かを判定する剥離判定処理と、
前記領域のそれぞれについて、剥離が生じていたと判定されていた場合に、最後に剥離が発生したタイミングとして定義される最終剥離タイミングNを特定する最終剥離タイミング特定処理と、
前記最終剥離タイミングNから補修実施までの間の前記構造物の使用状況に基づいて、前記領域のそれぞれにおける耐火物の劣化深さを推定する劣化深さ推定処理とをさらに行い、
前記除去深さ決定処理では、前記最小タイミング特定処理で特定したタイミングNminでの3次元形状PNminにおける前記耐火物層の表面位置に基づいて決定される除去深さに、さらに前記劣化深さ推定処理で推定した劣化深さを加算したものを除去深さとする、上記5に記載の補修管理システム。
7.前記耐火物層が、前記構造物の内表面を形成する不定形耐火物層と、前記不定形耐火物層の下地としての定形耐火物層とを有し、
前記耐火物層の形成時に、前記不定形耐火物層の形成前に前記定形耐火物層の内面の3次元形状Pを測定する定形耐火物層測定手段をさらに備え、
前記除去深さ決定処理において、前記領域のそれぞれにおける除去深さを決定する際に、前記定形耐火物層の内面の3次元形状Pにおける前記定形耐火物層の表面位置に基づいて、前記除去深さの上限を規制する、上記5または6に記載の補修管理システム。
8.前記演算手段で演算された除去深さにしたがって、前記構造物内面の耐火物層を除去する除去手段をさらに備える、上記5~7のいずれか一項に記載の補修管理システム。
本発明によれば、耐火物層表面に付着した滓や劣化層を的確に除去するとともに、劣化していない耐火物層が除去される量を低減することができる。したがって、本発明によれば、補修品質が向上することに加え、不定形耐火物の使用量および補修費用を削減することができる。
溶融金属と接する耐火物層が劣化、剥離するメカニズムの一例を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態の例について具体的に説明する。なお、以下の説明は、本発明の実施形態を例示的に示すものであり、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではない。
[構造物]
本発明は、内面に耐火物層を有する構造物を補修するためのものである。前記構造物としては、少なくとも内面に耐火物層を有するものであれば任意の構造物を対象とできる。前記構造物は、例えば、溶融金属用構造物であってよい。前記溶融金属用構造物としては、溶銑鍋、溶鋼の取鍋、精錬容器などの溶融金属容器や、高炉樋などの溶融金属用樋が例示される。
本発明は、任意の材質および構造を有する耐火物層に適用できる。したがって、前記構造物の内面に設けられた耐火物層は、耐火物で構成された層であれば任意の材質および構造であってよい。
また、ライニングとしての耐火物層を、パーマレンガと称される定形耐火物の層と、不定形耐火物の層とで構成することも一般的に行われている。例えば、典型的な溶融金属用構造物は、鉄皮と称される金属製構造物本体と、前記金属製構造物本体の内面に設けられた定形耐火物(パーマレンガ)の層と、前記定形耐火物層の内面に設けられた不定形耐火物の層とを備えており、前記定形耐火物の層と前記不定形耐火物の層とにより耐火物層が構成されている。本発明は、上記のような構造を有する耐火物層の補修にも好適に用いることができる。
以下、具体的な実施形態に基づいて本発明を説明する。
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態における補修管理方法は、内面に耐火物層を有する構造物の補修管理方法であって、下記(1)~(3)の工程を備えており、さらに任意に下記(4)の工程を備えることもできる。
(1)初期測定工程
(2)使用時測定工程
(3)演算工程
(4)除去工程
そして、前記演算工程では、少なくとも下記の処理が行われる。
・最小タイミング特定処理
・除去深さ決定処理
また、本発明の他の第一の実施形態における補修管理システムは、内面に耐火物層を有する構造物の補修管理システムであって、下記(A)~(C)の手段を備えており、さらに任意に下記(D)の手段を備えることもできる。
(A)初期測定手段
(B)使用時測定手段
(C)演算手段
(D)除去手段
そして、前記演算手段は、少なくとも下記の処理を行うよう構成されている。
・最小タイミング特定処理
・除去深さ決定処理
以下、上記各工程および各手段について説明する。
[初期測定工程]
本発明では、まず、前記構造物の未使用状態における内面の3次元形状Pを測定する(初期測定工程)。このように、予め未使用状態における構造物の内面プロファイルを測定しておくことにより、最終的にどの深さ(位置)まで耐火物を除去すべきかを決定するための情報の一つとして参照することができる。具体的には、初期測定工程で測定された3次元形状Pは、後述する最小タイミング特定処理において参照される。
なお、ここで「未使用状態」とは、構造物がまったくの未使用である状態だけでなく、既存の構造物が備えている耐火物層の少なくとも一部を解体し、新たに耐火物層を設けた状態や、構造物を使用した後に、耐火物層の少なくとも一部から劣化層を除去し、不定形耐火物を吹き付けるなどして表面を補修した状態も包含するものとする。
[使用時測定工程]
上記初期測定工程で3次元形状Pを測定した後、当該構造物を使用に供する。そして、前記構造物の使用開始以降、補修実施までの間に、任意のタイミングでN回の測定を行って、前記構造物の内面の3次元形状P~Pを測定する(使用時測定工程)。このように、使用を開始してから、補修を実施するまでの間にも測定を行うことで、耐火物層の内面プロファイルが、初期状態からどのように変化したのかを把握することができる。そして、測定される3次元形状には、ビルドアップの付着による厚みの増加や、劣化層の剥離による局所的な厚みの減少に関する情報が含まれている。したがって、使用時測定工程で測定された3次元形状も、最終的にどの深さ(位置)まで耐火物を除去すべきかを決定するための情報の一つとして参照することができる。具体的には、使用時測定工程で測定された3次元形状P~Pは、初期測定工程で測定された3次元形状Pとともに、後述する最小タイミング特定処理において参照される。
前記測定を行うタイミングはとくに限定されず、任意のタイミングで測定を行うことができる。測定を行うタイミングは、予め定めておいてもよく、また、使用時に使用状況などを考慮して決定してもよい。
測定を行う間隔は、一定(すなわち等間隔)であってもよく、不定(不等間隔)であってもよい。また、測定を行うタイミングは、任意の基準で決めることができる。例えば、連続的に使用される構造物の場合、構造物の使用時間に基づいて測定タイミングを決定してもよい。また、バッチ式で使用される構造物の場合、構造物の使用回数に基づいて決定してもよい。例えば、前記構造物が、製鉄所において溶鋼を運搬するための容器(鍋)である場合には、該容器を1チャージ使用するごとに3次元形状の測定を行うことができる。なお、ここで「チャージ」とは、転炉などから溶融金属を容器に受け入れ、溶鋼中の不純物を取り除く2次精錬工程を経て、次工程である鋳造設備などに溶融金属を送り出して容器が空になるまでのサイクルを指す。
測定を行う回数Nは、特に限定されず任意の回数とすることができる。測定回数Nは、対象とする構造物の使用状況や、耐火物層の劣化速度などに応じて決定することもできる。構造物の使用開始から補修実施までの間における耐火物層の厚さの変化を詳細に把握するという観点からは測定回数Nは多いほど好ましく、構造物の種類にもよるが、例えば、10以上とすることが好ましく、20以上とすることがより好ましく、50以上とすることがさらに好ましい。
[初期測定手段・使用時測定手段]
上記初期測定工程および使用時測定工程において3次元形状の測定に用いる測定手段としては、とくに限定されず、構造物内面の3次元形状を測定できるものであれば任意の装置を用いることができる。好適に使用できる測定手段としては、例えば、3次元レーザースキャナ、フォトグラメトリ方式の3次元形状測定装置、パターン投影方式の3次元形状測定装置などが挙げられるが、中でも3次元レーザースキャナを用いることが好ましい。
構造物内面の3次元形状の取得は、1回の測定で行ってもよく、複数回の測定で行ってもよい。使用する測定装置の視野に全測定範囲が収まる場合には、1回の測定で構造物全体の3次元形状データを得ることができる。例えば、構造物が容器であり、測定を3次元レーザースキャナで行う場合には、該3次元レーザースキャナを容器の中心軸上かつ容器口の高さに配置し、容器中心軸を中心に360°のレーザースキャンを実施することにより容器内面の3次元形状を一度の測定で取得可能である。一方、フォトグラメトリで測定を行う場合には、測定原理上、測定範囲が視野に限定されるため、測定装置(カメラ)の向きや位置を変えながら構造物内面を複数回測定し、後処理でデータを合成することで構造物内面全体の3次元形状データを得ることができる。
初期測定工程で用いる測定手段と使用時測定工程で用いる測定手段とは、同じ種類の装置であってもよく、異なる種類の装置であってもよい。しかし、測定された3次元形状データの取り扱いの観点からは、同じ種類の装置であることが好ましい。
また、初期測定工程で用いる測定手段を使用時測定工程で用いる測定手段として用いることも好ましい。言い換えると、一つの測定装置を用いて、初期測定工程における測定と使用時測定工程における測定を行うことができる。
前記測定装置は、後述する除去手段に備えられていてもよく、除去手段とは別体として備えられていてもよい。除去手段と別体として測定装置を設ける場合には、対象である構造物を使用している設備に測定装置を備え付けておくこともできる。
[演算工程]
本発明では、最終的には後述する除去工程において構造物内面の耐火物層を除去する。しかし、先に述べたように、実際の構造物における劣化層の厚さや、健全な状態で残存している耐火物層の厚さは一様ではない。そこで、演算工程では、前記構造物内面を複数の領域に分割し、前記領域のそれぞれについて、上記初期測定工程および使用時測定工程で測定された複数の3次元形状データに基づいて、耐火物層を除去する除去深さを演算する。以下、その具体的手順について説明する。
(最小タイミング特定処理)
まず、前記構造物内面を複数の領域に分割し、前記領域のそれぞれについて、前記3次元形状P~Pの中から前記耐火物層の厚みが最小であったタイミングNminを特定する(最小タイミング特定処理)。
耐火物層表面に付着したビルドアップなどの滓を過不足なく除去するためには、除去工程において除去すべき除去深さを適切に定める必要がある。そして、そのためにはビルドアップが付着する前の基準となる耐火物層の表面位置を把握する必要がある。
基準となる表面位置は、通常、未使用状態における耐火物層の表面位置となるが、上述したように、使用時に耐火物層の表面が局所的に剥離する場合がある。そして、剥離が生じた後、さらに構造物が使用されると、剥離によって露出した健全な耐火物層の表面からビルドアップ層の成長が再度進行する。そのため、基準となる表面位置は、前記露出した健全な耐火物層の表面となる。また、使用条件や使用期間によっては、同じ部分で2回またはそれ以上の回数、剥離が生じる場合もある。
したがって、前記3次元形状P~Pの中から耐火物層の厚みが最小であったタイミングNminを特定することにより、どのタイミングにおける耐火物層の表面位置を、除去深さを決める際の基準とすべきかを特定することができる。
タイミングNminは、剥離が生じなかった場合には0であり、1回または2回以上剥離が生じた場合には、剥離が生じた直後のタイミングのうち、耐火物層が最も薄くなっていたタイミングである。
なお、耐火物層の厚みが最小であったタイミングNminを決定する具体的な方法は特に限定されず、通常は、測定した3次元形状P~Pを比較することで行えばよい。なお、一般的な3次元測定法で得られる3次元形状データは3次元点群データであり、耐火物層の厚みを直接測定しているわけではない。したがって、当該3次元形状データにおける表面位置を比較することによりタイミングNminを決定すればよい。また、耐火物層を形成する前の構造物内面の3次元形状Pを予め測定しておき、測定した3次元形状P~PとPとの差分を取ることによって耐火物層の厚さを算出して使用することもできる。
(除去深さ決定処理)
次いで、前記領域のそれぞれについて、前記最小タイミング特定処理で特定したタイミングNminでの3次元形状PNminにおける前記耐火物層の表面位置に基づいて、耐火物層を除去する除去深さを決定する(除去深さ決定処理)。PNminにおける前記耐火物層の表面位置まで耐火物層の表面を除去することにより、過不足なくビルドアップを除去することができる。
なお、ここで「深さ」とは、耐火物層の厚み方向における位置を指すものとする。したがって、除去深さを決定するとは、耐火物層の厚み方向にどの位置まで除去を行うかを決定すると言い換えることができる。
これらの演算工程における演算では、任意の座標系を用いることができる。例えば、構造物が円筒形の容器である場合には円筒座標系を用いるといったように、対象とする構造物の形状に合わせた座標系を用いることも好ましい。
なお、前記演算工程においては、耐火物層を除去する除去深さを決定することに加え、その決定された範囲の耐火物層を適切に除去できるように、除去に用いる工具の走査経路を決定することも好ましい。
[演算装置]
本発明の一実施形態における補修管理システムは、前記構造物内面を複数の領域に分割し、前記領域のそれぞれについて、耐火物層を除去する除去深さを演算する演算手段を備えている。前記演算手段は、上述した最小タイミング特定処理および除去深さ決定処理を実施するように構成されている。
前記演算手段としては、特に限定されることなく、必要な処理を行える装置であれば任意の装置を用いることができる。一般的には、コンピュータおよび前記コンピュータ上で動作するプログラムを演算手段として用いればよい。
[除去工程]
次いで、前記演算工程で決定された除去深さにしたがって、前記構造物内面の耐火物層を除去する。すなわち、前記演算工程で決定された除去深さ(耐火物層厚み方向における位置)まで、耐火物層(表面に付着したビルドアップ等を含む)を除去する。
[除去手段]
前記除去を行うための手段としては、耐火物層やその表面に付着したビルドアップなどを除去できるものであれば、とくに限定されることなく任意の装置を用いることができる。通常、前記除去手段は、回転または往復運動する工具により耐火物層を切削、破砕、または剥離する工具を備えることが好ましい。また、前記工具を容器の内面に沿って走査させながら除去を行うために、前記除去手段は、前記工具を3次元的に移動させる移動手段と、前記工具の姿勢(向き)を制御する姿勢制御手段とを備えていることが好ましい。前記移動手段および姿勢制御手段としては、例えば、重機のアームなどを使用することもできる。前記重機としては、例えば、キャタピラ等で駆動される車体本体と、工具を6自由度(3軸方向の位置/回転)またはそれ以上の自由度で位置決めできるアームを備えた重機を用いることが好ましい。
工具を構造物の内面に沿って走査しながら除去を行う場合、その走査パターンは特に限定されず、使用する除去手段や対象とする構造物の形状に合わせて決定すればよい。切削粉が下に落ちていくことを考慮すると、構造物内面を周方向に走査しながら除去する動作を、下方から上方へわたって繰り返すことが好ましい。
また、工具を構造物内面に沿って走査しながら除去を行う場合には、1回の走査(1パス)で除去を行うこともできるが、複数回の走査(複数パス)で除去を行うこともできる。複数パスで除去を行う場合、走査回数は2以上の任意の数とできるが、過度に回数を多くすると除去に要する時間が長くなり作業効率が低下する。そのため、走査回数は3回以下とすることが好ましい。さらに、複数パスで除去を行う場合には、1回の走査が完了した後に、次の走査における除去量を演算することもできる。
また、前記除去手段は上記初期測定手段および使用時測定手段とは別に、容器内面の3次元形状を測定する除去時測定手段を備えていてもよい。除去手段が除去時測定手段を備えている場合、前記除去時測定手段の測定結果を利用して該除去手段の位置合せを行うことができる。例えば、除去を実施するための位置に除去手段を設置した後、除去時測定手段による測定を行い、その結果を利用することで容易に位置合せを行うことができる。より具体的な例としては、前記構造物を使用している設備(工場など)に設置されている初期測定手段、使用時測定手段などを用いて容器内面の3次元形状を測定して第一の3次元形状データを取得し、その後、除去手段に備えられている除去時測定手段を用いて第二の3次元形状データを取得し、前記第一の3次元形状データと第二の3次元形状データを比較することによって前記除去手段の位置合せ(原点出し)を行うこことができる。第一の3次元形状データと第二の3次元形状データを比較する方法としては、例えば、一方を他方にフィッティングする方法が挙げられる。第一の3次元形状データの座標系と第二の3次元形状データの座標系の座標変換行列を求めることもできる。
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態においては、前記演算工程において、さらに下記の処理が行われる。
・剥離判定処理
・最終剥離タイミング特定処理
・劣化深さ推定処理
(剥離判定処理)
上記初期測定工程および使用時測定工程において測定された3次元形状P~Pに基づいて、1~Nの各タイミングにおいて前記領域のそれぞれで耐火物の剥離が生じていたか否かを判定する(剥離判定処理)。
上述したように、構造物の使用時には、耐火物層の表面にビルドアップなどの滓が付着する結果、耐火物層の厚み(見掛の厚み)は増加する(図1(b))。しかし、剥離が生じると耐火物層の厚みが減少する。したがって、例えば、あるタイミングnにおける3次元形状Pと、その次のタイミング(n+1)における3次元形状Pn+1とを比較したときに、耐火物層の厚みが減少していれば、タイミングnとタイミングn+1との間で剥離が生じていたと判定することができる。
ただし、例えば、溶損、摩耗など、剥離以外の理由で耐火物層の厚みが減少する可能性もある。そのため、タイミングnにおける耐火物層の厚みdと、その次のタイミング(n+1)における厚みdn+1との差、(dn+1-d)が、予め定めた閾値を超えた場合に剥離が生じたと判定することも好ましい。
なお、ここでは便宜的に耐火物層の厚みで説明しているが、実際の処理においては、耐火物層の厚みの値を用いる必要はなく、3次元形状データにおける耐火物層の表面位置を用いればよい。
(最終剥離タイミング特定処理)
前記領域のそれぞれについて、剥離が生じていたと判定されていた場合に、最後に剥離が発生したタイミングとして定義される最終剥離タイミングNを特定する(最終剥離タイミング特定処理)。
すなわち、剥離が生じる回数は1回とは限らず、当該構造物を使用する期間の長さによっては同じ部分において2回以上生じることもあり得る。そして、耐火物層の内部方向への劣化(浸潤層の形成など)は、剥離が生じるたびに、露出した健全な耐火物層の表面から再度進行する。したがって、最後に剥離が生じたタイミングNを特定することができれば、最終的に補修を行う時点で、耐火物層の内部方向への劣化がどの程度の深さまで進んでいるかを推定することが可能となる。
(劣化深さ推定処理)
そして、前記最終剥離タイミングNから補修実施までの間の前記構造物の使用状況に基づいて、前記領域のそれぞれにおける耐火物の劣化深さを推定する(劣化深さ推定処理)。
前記推定を行う方法は特に限定されないが、典型的には、構造物の使用状況と劣化深さとの関係を予め実験的に求めておき、前記関係に基づいて、最終剥離タイミングNから補修実施までの間の構造物の使用状況から劣化深さを推定することができる。
ここで、構造物の使用状況とは、例えば、該構造物を使用した期間(時間、日数など)や、該構造物を使用した回数などが上げられる。例えば、構造物が取鍋などの溶融金属用容器である場合には、該容器を使用したチャージ数と劣化深さ(浸潤層の厚み)の関係を実験的に求めておく。そうすれば、最終剥離タイミングNから補修実施までの間に容器を実際に何チャージ使用したかによって、その間に劣化が進行した深さを求めることができる。
構造物の使用状況と劣化深さとの関係は、表などの離散的なデータであってもよく、実験データから決定した近似式であってもよい。また、構造物の使用状況と劣化深さとの関係を予め実験的に求める際、耐火物層の劣化深さは、耐火物層の断面を顕微鏡などで観察することで測定することができる。なお、一般的に、浸潤層の成長がある程度(例えば、20mm程度)で飽和する傾向がある。これは、浸潤層の成長とともに耐火物層の表面にビルドアップ層が成長し、該ビルドアップ層の保護効果によって耐火物層内への浸潤が抑制されるためであると考えられる。
本実施形態では、前記除去深さ決定処理において、前記最小タイミング特定処理で特定したタイミングNminでの3次元形状PNminにおける前記耐火物層の表面位置に基づいて決定される除去深さに、さらに前記劣化深さ推定処理で推定した劣化深さを加算したものを除去深さとする。これにより、最後に剥離が生じた後に劣化が進行した部分(浸潤層)についても、過不足なく除去することが可能となる。
なお、上記剥離判定処理において、剥離が生じていなかったと判断された場合には、構造物の使用開始以降、補修実施までの間の前記構造物の使用状況に基づいて、前記領域のそれぞれにおける耐火物の劣化深さを推定することもできる。その場合、除去深さ決定処理では、前記最小タイミング特定処理で特定したタイミングNminでの3次元形状PNminにおける前記耐火物層の表面位置に基づいて決定される除去深さに、さらに前記の方法で推定した劣化深さを加算したものを除去深さとすることが好ましい。
(第三の実施形態)
本発明の第三の実施形態においては、前記耐火物層が、前記構造物の内表面を形成する不定形耐火物層と、前記不定形耐火物層の下地としての定形耐火物層とを有する場合を対象とする。先にも述べたように、耐火物層を定形耐火物層(パーマレンガ層)と不定形耐火物層(キャスタブル耐火物層)とで構成することにより、補修の際には表面側の不定形耐火物層のみを補修すればよく、効率的に補修を行うことができる。
[定形耐火物層測定工程]
耐火物層がこのような構造である場合、除去工程においては定形耐火物層を破損させないことが求められる。そこで、本実施形態においては、前記耐火物層の形成時に、前記不定形耐火物層の形成前に前記定形耐火物層の内面の3次元形状Pを測定しておく(定形耐火物層測定工程)。
そして、前記除去深さ決定処理において、前記領域のそれぞれにおける除去深さを決定する際に、前記定形耐火物層の内面の3次元形状Pにおける前記定形耐火物層の表面位置に基づいて、前記除去深さの上限を規制する。このように、予め定形耐火物層の表面位置を測定しておき、その位置を除去深さの上限とすることにより、誤って定形耐火物層を破損してしまうことを防止できる。
[除去手段への負荷に基づく制御]
本発明の他の実施形態における補修管理方法では、さらに、前記除去工程において、除去装置にかかる負荷をモニターし、前記負荷に基づいて耐火物層を除去する除去深さを調整する制御を行うことができる。
また、本発明の他の実施形態における補修管理システムは、さらに、前記除去手段が、該除去装置にかかる負荷をモニターし、前記負荷に基づいて耐火物層を除去する除去深さを調整する制御部を備えることができる。
健全な耐火物層、ビルドアップ層、浸潤層は、それぞれ硬さが異なっている。また、耐火物層が定形耐火物層と不定形耐火物層で構成されている場合、定形耐火物層と不定形耐火物層とでも硬さが異なっている。そのため、除去を行っている間、除去装置にかかる負荷をモニターすることにより、工具が現在除去している部位がビルドアップ層、浸潤層、健全な耐火物層(不定形耐火物層)、定形耐火物層のいずれであるかといった情報を得ることができる。したがって、前記負荷に基づいて耐火物層を除去する深さを調整することにより、より的確に除去を行うことができる。
例えば、除去深さ決定処理で決定した深さまで除去を行うよりも早く健全な耐火物層に到達したと判断される場合には、その領域における除去を完了することができる。また、除去深さ決定処理で決定した深さまで除去を行っても、健全な耐火物層に到達していないと判断される場合には、健全な耐火物層に到達するまでその領域における除去を継続することができる。
また、上記のような除去深さ決定処理で決定した深さと、除去装置にかかる負荷から判断される適切な除去深さとの間に齟齬があった場合に、その情報を元に、上記劣化深さ推定処理で劣化深さを推定する際に使用している関係式や表などを補正することも好ましい。
このような調整を行うことにより、3次元形状の測定結果のみに基づいて除去を行う場合よりも一層的確な除去が可能となることに加え、劣化していない耐火物層が除去される量をさらに低減することができる。
例えば、深さ方向に一定の切込み量で工具を走査しながら除去する工程を、2パス(2回)またはそれ以上繰り返して行う場合には、1パス(1回)の走査が終了するごとに負荷の値を評価し、健全層に到達していると判断される場合には以降のパスを省略することもできる。
なお、モニターする前記負荷としては、除去している部位の物性の変化が反映される部分の負荷であれば任意のものを用いることができる。典型的には、切削工具を駆動するアクチュエータにかかる負荷を使用することが好ましい。例えば、切削工具をモータで回転させる場合には、前記モータにかかる負荷をモニターすることができる。前記モータが油圧モータであれば、油圧をモニターすればよい。
[色情報に基づく制御]
本発明の他の実施形態における補修管理方法では、さらに、前記除去工程において、前記耐火物層内面の色情報を取得し、得られた色情報を考慮して耐火物層を除去する除去深さを調整する制御を行うことができる。
また、本発明の他の実施形態における補修管理システムでは、さらに、前記除去手段が、前記耐火物層内面の色情報を取得し、得られた色情報を考慮して耐火物層を除去する除去深さを調整する制御部を備えることができる。
上述したように耐火物層の表面には滓が付着している場合があるが、耐火物と滓とでは材質が異なるため、両者の色調は異なっている。また、同じ耐火物層であっても、劣化した部分(浸潤層)と劣化していない部分(健全層)とでは、やはり色調が異なっている。例えば、劣化していない健全層は耐火物本来の色(典型的には明るい茶色)を保っているのに対して、溶融金属が浸潤した部分は金属の浸透により黒ずんだ色合いに変化している。そのため、表面の色情報を取得することにより、当該部分の材質を知ることができる。したがって、除去の際に前記色情報を考慮することにより、より的確に除去を行うことが可能となる。
色情報を利用する方法はとくに限定されないが、予め閾値を設定しておき、前記閾値と色情報とを比較して、当該部分がビルドアップ層、浸潤層、および健全層のいずれであるかを判別することが好ましい。前記判定には、機械学習の手法を用いることもできる。
前記色情報取得装置としては、容器内面の色情報を取得することができる装置であれば任意のものを用いることができるが、典型的には、デジタルカメラを使用することができる。色情報取得装置を使用する場合には、該色情報取得装置と3次元形状の測定に用いる測定装置とは、別体であってもよいが、一体であってもよい。言い換えると、3次元形状の測定に用いる測定装置が色情報取得装置を兼ねていてもよい。例えば、3次元形状を測定するためのレーザースキャナの中には、カラー画像を撮影するデジタルカメラを内蔵しており、レーザースキャナによって得られる3次元点群データに含まれる各点に、色情報(RGB)をマッピングすることができるものもがある。そのようなデジタルカメラ内蔵型レーザースキャナは、測定装置兼色情報取得装置として好適に用いることができる。
色情報取得装置を使用する場合には、測定された3次元形状に基づいて1パス目の走査で容器内面に付着した滓を除去し、その後、色情報取得装置で色情報を取得し、その結果に基づいて露出した表面が劣化層であるか健全層であるかを判定することもできる。それにより、色情報に基づいた判定結果を考慮して2パス目の除去量を決定することができる。
1 構造物
10 耐火物層
11 表層クラック
12 浸潤層
13 ビルドアップ層
14 背面クラック
20 金属製本体部(鉄皮)

Claims (8)

  1. 内面に耐火物層を有する構造物の補修管理方法であって、
    前記構造物の未使用状態における内面の3次元形状Pを測定する初期測定工程と、
    前記構造物の使用開始以降、補修実施までの間に、任意のタイミングでN回の測定を行って、前記構造物の内面の3次元形状P~Pを測定する使用時測定工程と、
    前記構造物内面を複数の領域に分割し、前記領域のそれぞれについて、耐火物層を除去する除去深さを演算する演算工程とを備え、
    前記演算工程では、
    前記領域のそれぞれについて、前記3次元形状P~Pの中から前記耐火物層の厚みが最小であったタイミングNminを特定する最小タイミング特定処理と、
    前記領域のそれぞれについて、前記最小タイミング特定処理で特定したタイミングNminでの3次元形状PNminにおける前記耐火物層の表面位置に基づいて、耐火物層を除去する除去深さを決定する除去深さ決定処理とが行われる、補修管理方法。
  2. 前記演算工程では、さらに、
    測定された前記3次元形状P~Pに基づいて、1~Nの各タイミングにおいて前記領域のそれぞれで耐火物の剥離が生じていたか否かを判定する剥離判定処理と、
    前記領域のそれぞれについて、剥離が生じていたと判定されていた場合に、最後に剥離が発生したタイミングとして定義される最終剥離タイミングNを特定する最終剥離タイミング特定処理と、
    前記最終剥離タイミングNから補修実施までの間の前記構造物の使用状況に基づいて、前記領域のそれぞれにおける耐火物の劣化深さを推定する劣化深さ推定処理とが行われ、
    前記除去深さ決定処理では、前記最小タイミング特定処理で特定したタイミングNminでの3次元形状PNminにおける前記耐火物層の表面位置に基づいて決定される除去深さに、さらに前記劣化深さ推定処理で推定した劣化深さを加算したものを除去深さとする、請求項1に記載の補修管理方法。
  3. 前記耐火物層が、前記構造物の内表面を形成する不定形耐火物層と、前記不定形耐火物層の下地としての定形耐火物層とを有し、
    前記耐火物層の形成時に、前記不定形耐火物層の形成前に前記定形耐火物層の内面の3次元形状Pを測定する定形耐火物層測定工程をさらに備え、
    前記除去深さ決定処理において、前記領域のそれぞれにおける除去深さを決定する際に、前記定形耐火物層の内面の3次元形状Pにおける前記定形耐火物層の表面位置に基づいて、前記除去深さの上限を規制する、請求項1または2に記載の補修管理方法。
  4. 前記演算工程で決定された除去深さにしたがって、前記構造物内面の耐火物層を除去する除去工程をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の補修管理方法。
  5. 内面に耐火物層を有する構造物の補修管理システムであって、
    前記構造物の未使用状態における内面の3次元形状Pを測定する初期測定手段と、
    前記構造物の使用開始以降、補修実施までの間に、任意のタイミングでN回の測定を行って、前記構造物の内面の3次元形状P~Pを測定する使用時測定手段と、
    前記構造物内面を複数の領域に分割し、前記領域のそれぞれについて、耐火物層を除去する除去深さを演算する演算手段とを備え、
    前記演算手段は、
    前記領域のそれぞれについて、前記3次元形状P~Pの中から前記耐火物層の厚みが最小であったタイミングNminを特定する最小タイミング特定処理と、
    前記領域のそれぞれについて、前記最小タイミング特定処理で特定したタイミングNminでの3次元形状PNminにおける前記耐火物層の表面位置に基づいて、耐火物層を除去する除去深さを決定する除去深さ決定処理とを行う、補修管理システム。
  6. 前記演算手段は、
    測定された前記3次元形状P~Pに基づいて、1~Nの各タイミングにおいて前記領域のそれぞれで耐火物の剥離が生じていたか否かを判定する剥離判定処理と、
    前記領域のそれぞれについて、剥離が生じていたと判定されていた場合に、最後に剥離が発生したタイミングとして定義される最終剥離タイミングNを特定する最終剥離タイミング特定処理と、
    前記最終剥離タイミングNから補修実施までの間の前記構造物の使用状況に基づいて、前記領域のそれぞれにおける耐火物の劣化深さを推定する劣化深さ推定処理とをさらに行い、
    前記除去深さ決定処理では、前記最小タイミング特定処理で特定したタイミングNminでの3次元形状PNminにおける前記耐火物層の表面位置に基づいて決定される除去深さに、さらに前記劣化深さ推定処理で推定した劣化深さを加算したものを除去深さとする、請求項5に記載の補修管理システム。
  7. 前記耐火物層が、前記構造物の内表面を形成する不定形耐火物層と、前記不定形耐火物層の下地としての定形耐火物層とを有し、
    前記耐火物層の形成時に、前記不定形耐火物層の形成前に前記定形耐火物層の内面の3次元形状Pを測定する定形耐火物層測定手段をさらに備え、
    前記除去深さ決定処理において、前記領域のそれぞれにおける除去深さを決定する際に、前記定形耐火物層の内面の3次元形状Pにおける前記定形耐火物層の表面位置に基づいて、前記除去深さの上限を規制する、請求項5または6に記載の補修管理システム。
  8. 前記演算手段で演算された除去深さにしたがって、前記構造物内面の耐火物層を除去する除去手段をさらに備える、請求項5~7のいずれか一項に記載の補修管理システム。

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