以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1および図2は本発明の一実施の形態における部品装着装置1を示している。部品装着装置1は基板KBに部品BHを装着する装置であり、基台11、基板搬送コンベア12、複数のカセット式のテープフィーダ13、トレイカセット14(部品供給装置)、位置切替え部15、シャッタ操作部16、パレット操作部17、装着ヘッド18、ヘッド移動機構19、部品認識カメラ21、ノズルチェンジャ22および制御装置23を備えている。
基台11は床面上に設置されており、基板搬送コンベア12は基台11上を水平方向に延びて設けられている。基板搬送コンベア12は、上流側から送られてきた基板KBを搬入し、所定の作業位置に位置決めする。本実施の形態では説明の便宜上、基板搬送コンベア12が基板KBを搬送する方向(作業者OPから見た左右方向)をX軸方向とし、X軸方向と直交する水平面内方向(作業者OPから見た前後方向)をY軸方向とする。また、上下方向をZ軸方向とする。
図1および図2において、基台11の手前側(作業者OPの側)にはフィーダベース11Bが設けられている。フィーダベース11Bの上面には、Y軸方向に延びたレール11Rが複数、X軸方向に並んで設けられている。テープフィーダ13は下部に設けられた係合部13Mをレール11Rに係合させることで、フィーダベース11Bに装着され、部品BHを封入したキャリアテープを搬送することで、部品BHを部品供給口13K(図1も参照)に供給する。
図1および図2において、トレイカセット14は、トレイTRによって、複数の部品を平置きの状態で供給する。トレイカセット14もテープフィーダ13と同様に、下部に設けられたレール係合部14Mをフィーダベース11Bに設けられたレール11Rに係合させることで、フィーダベース11Bに装着される(図2)。トレイカセット14の構成については後述する。
図2において、装着ヘッド18は下方に延びた複数のノズル18Nを備えている。各ノズル18Nは装着ヘッド18に対する昇降動作とZ軸まわりの回転動作が可能である。装着ヘッド18はテープフィーダ13またはトレイカセット14が供給する部品BHを各ノズル18Nの下端に吸着させてピックアップする。ヘッド移動機構19は、例えば、図1に示すように基台11に固定された固定テーブル19aと固定テーブル19aに対して移動自在な可動テーブル19bとを備えたXY移動機構から成り、装着ヘッド18を水平面内方向および上下方向に移動させる。
図1および図2において、部品認識カメラ21は基台11上の基板搬送コンベア12の手前側(作業者OP側)に設けられている。部品認識カメラ21は撮像光軸を上方に向けており、複数のノズル18Nそれぞれに部品BHを吸着させた装着ヘッド18が部品認識カメラ21の上方領域をX軸方向に通過するように移動したとき、各部品BHを下方から撮像する。
図1および図2において、ノズルチェンジャ22は基台11上に取り付けられている。ノズルチェンジャ22は、装着ヘッド18に取り付けられる交換用のノズル18Nをストックしている。装着ヘッド18はピックアップする部品BHの種類に応じ、必要に応じてノズルチェンジャ22からノズル18Nを交換する。
次に、トレイカセット14の構成について説明する。図3および図4はトレイカセット14の外観を示している。これらの図に示すように、トレイカセット14は、ベース部31、一対の支柱32(起立部)、ホルダ33およびレバー部34を備えている。
図3および図4において、ベース部31は前後方向(Y軸方向)に延びた細長形状を有している。一対の支柱32は、ベース部31の前後の両端それぞれから起立して設けられている。
図3および図4において、ホルダ33は全体として薄厚の直方体形状を有している。ホルダ33は、上板部材41、下板部材42、一対のパレット保持部43、軸部材保持ブロック44、軸部材45、カバー部46およびシャッタ47を備えている。
図5および図6に示すように、上板部材41と下板部材42はそれぞれ、Y軸に平行な一の方向(α軸方向とする)に沿って延びた一対の短辺と、α軸方向と直交する方向(β軸方向とする)に沿って延びた一対の長辺とを有した板状の部材から成る。上板部材41には、前縁側に臨んだ矩形の開口部33Kが形成されている(図4)。
図6において、一対のパレット保持部43はそれぞれα軸方向に延びている。これら一対のパレット保持部43は、図7(図7は図5におけるA-A断面図)に示すように、上板部材41と下板部材42の間において、上板部材41に形成された開口部33Kをβ軸方向に挟むように(β軸方向に対向して)配置されている。2つのパレット保持部43それぞれの互いに対向する面には、複数の溝部43Mがホルダ33の厚さ方向に並んで設けられている(図7)。
図7において、2つのパレット保持部43それぞれに設けられた複数の溝部43Mは、2つのパレット保持部43のβ軸方向に対向するもの同士が一組となってスロット43Sを形成している。ひとつのスロット43Sは1枚のパレットPLのβ軸方向の両端を支持し、ホルダ33の内部にパレットPLを収容する空間として機能する。
パレットPLは、金属製や樹脂製等から成る矩形板状の部材であり、トレイTRはパレットPLの上面(水平姿勢に置かれたときの上面)に取り付けられている。トレイTRはα軸方向およびβ軸方向にマトリクス状に配列された複数のポケットPKを有しており、各ポケットPKには部品BHが収納されている(図6)。本実施の形態では、図6に示すように、トレイTRは、複数のトレイ固定具KGによってパレットPL上に固定されている。このためパレットPLが水平姿勢になっていない場合であっても、トレイTRがパレットPLから脱落したりすることはない。
パレットPLは、ホルダ33内に形成されている複数(ここでは3つ)のスロット43Sのうちから選択された1つのスロット43Sに挿入されて、ホルダ33内に収容される。ホルダ33内に収容されたパレットPLの後端部には、ホルダ33内に設けられた複数のボールプランジャ33P(図6)のボールが嵌まり込む凹部(図示省略)が形成されている。これによりパレットPLは、そのスロット43S内に収納されると各スロット43Sに配置されたボールプランジャ33Pと係合してその位置で保持される。スロット43Sに挿入されたパレットPLは、そのスロット43Sを構成する一対の溝部43Mをガイドとしてホルダ33の前方に引き出すことができ、またホルダ33の前方に引き出したパレットPLをホルダ33内に戻すことができる。
図3および図7において、軸部材保持ブロック44は上板部材41と下板部材42の間に設けられている。軸部材保持ブロック44はα軸方向に延びた形状を有しており、一対のパレット保持部43のうちの一方側に隣接して(一方の短辺側に沿って)設けられている(図6および図7)。
図5および図6において、軸部材45はα軸方向に延びており、軸部材保持ブロック44をα軸方向に貫通している。軸部材45は軸部材保持ブロック44に固定されており、その両端部(前端部45aと後端部45b)は前後の支柱32の上部に回動自在に支持されている(図3および図4)。軸部材45の前端部45aは前側の支柱32を前方に突出している。
図3、図4および図6において、レバー部34は、前側の支柱32から前方に突出して延びた軸部材45の前端部45aに一端部が固定して設けられている。レバー部34の他端部にはピン挿入孔34Hが形成されている。
ここで、レバー部34の他端部(ピン挿入孔34Hが形成されている側の端部)がレバー部34の一端部(軸部材45の前端側が結合された側の端部)を中心に回るようにレバー部34が操作された場合、レバー部34に固定された軸部材45はその軸線JS(図4)まわりに回動する。そして、軸部材45に固定された軸部材保持ブロック44を介してホルダ33の全体が、軸部材45の軸線JSまわりに回動する。このため、レバー部34を操作することで、ホルダ33を、軸部材45から垂下して(ベース部31の上方で)ほぼ鉛直姿勢となる位置(図3および図7)と、この鉛直姿勢となる位置から軸部材45を支軸として起仰して(ベース部31の側方に張り出して)ほぼ水平姿勢となる位置(図4および図8)との間で移動させることができる。すなわち、ホルダ33は2つの姿勢(鉛直姿勢と水平姿勢)の間で姿勢変更を行う。
このように、本実施の形態における部品供給装置としてのトレイカセット14は、部品装着装置1に装着されるベース部31から起立して設けられた起立部としての一対の支柱32に、部品BHを収納したトレイTRを内部に保持したホルダ33の一端が支持された構成を有している。そして、ホルダ33は、ベース部31の上方ではほぼ鉛直姿勢となる位置(「格納位置」と称する)と、ベース部31の側方に張り出してほぼ水平姿勢となる位置(「張出位置」と称する)との間で揺動自在になっている。
ここで、支柱32のY軸方向の寸法T0(図7および図8)は、テープフィーダ13の幅方向寸法Tと同程度となっている。また、図8に示すように、ホルダ33が張出位置に位置した状態では、トレイTRの上面の高さHCは、テープフィーダ13が部品BHを供給する部品供給口13Kの高さHTとほぼ同じ高さとなるようになっている(HC≒HT)。
また、ホルダ33の厚さ方向の寸法T1(図8および図4)は、支柱32をY軸方向から見た場合の支柱32の幅方向(X軸方向)の寸法T0以下となっている。このため図7に示すように、ホルダ33が格納位置に位置してほぼ鉛直姿勢となった状態では、トレイカセット14をY軸方向から見た場合、ホルダ33は支柱32の幅方向の寸法T0内に収まる。このため、ホルダ33を格納位置に位置させた状態のトレイカセット14は、テープフィーダ13と同様の取り扱いによってフィーダベース11Bに取り付け、或いはフィーダベース11Bから外すこと(段取りすること)ができる。また、このため、テープフィーダ13とともに、ロボット等を用いた自動段取りすることも可能である。
図3および図4において、位置切替え部15は、切替えモータ51とレバー回し部材52を備えている。切替えモータ51はフィーダベース11Bに対して相対的に固定して設けられ、駆動軸51Jを後方に向けて配置されている。レバー回し部材52は一端部が切替えモータ51の駆動軸51Jに取り付けられており、他端部にY軸方向に(すなわち駆動軸51Jと平行に)延びた係止ピン52aを備えている。駆動軸51Jと係止ピン52aの間隔は、トレイカセット14の軸部材45の軸線JSとレバー部34のピン挿入孔34Hの中心との間の間隔と一致している。
トレイカセット14は、フィーダベース11Bが備える複数のレール11Rのうちの特定のレール11Rに装着されるようになっている。トレイカセット14をフィーダベース11Bのレール11Rに装着するときには、ホルダ33を格納位置に位置させておく(図3および図7)。トレイカセット14を特定のレール11Rに装着すると、レバー部34に設けられたピン挿入孔34Hに係止ピン52aが嵌入する。
ここで、前述したように、駆動軸51Jと係止ピン52aの間隔は、トレイカセット14の軸部材45の軸線JSとレバー部34のピン挿入孔34Hと中心との間の間隔と一致しているため、ピン挿入孔34Hに係止ピン52aが嵌入した状態では、切替えモータ51の駆動軸51Jの軸線と、軸部材45の軸線JSとは一致した状態となる。このため、ピン挿入孔34Hに係止ピン52aが嵌入した状態で切替えモータ51が作動してその駆動軸51Jを90度所定方向に回転させると、駆動軸51Jに連結されたレバー回し部材52が駆動軸51Jの軸線まわりに(従って軸部材45の軸線JSまわりに)回転し、係止ピン52aとレバー部34を介して軸部材45がその軸線JSまわりに回転する。
軸部材45がその軸線JSまわりに回転すると、軸部材45に連結されたホルダ33が軸線JSまわりに回転する。これによりホルダ33は格納姿勢から起仰して(図8中に示す矢印R)、張出位置に位置する(図4、図8および図9)。また、ホルダ33が張出位置に位置した状態から切替えモータ51が作動してその駆動軸51Jを先程とは反対の方向に回転させると、駆動軸51Jに連結されたレバー回し部材52は先程とは反対の方向に回転し、ホルダ33は格納位置に位置する。
このように、本実施の形態において、位置切替え部15は、ホルダ33を格納位置と張出位置との間で位置を切り替えるようになっている。言い方を変えれば、位置切替え部15はホルダ33を鉛直姿勢と水平姿勢の間で姿勢を変更する姿勢変更部として機能する。
図6に示すように、一対の支柱32のうちの一方の下部には、ボールプランジャから成るホルダ保持部32Kが設けられている。このホルダ保持部32Kのボールは、ホルダ33が格納位置に位置した状態において、ホルダ33が備える2つのパレット保持部43のうちの一方(ホルダ33が格納姿勢になったときに下側となるパレット保持部43)に形成された凹部(図示省略)に係合する。このため、トレイカセット14をフィーダベース11Bから取り外して運搬する場合であっても、ホルダ33はふらつくことなく安定的に格納位置に保持される。
図3、図4および図5において、カバー部46とシャッタ47はそれぞれ、上板部材41に設けられている。カバー部46は、開口部33Kのうちα軸方向に沿った領域の後側に位置するほぼ半分の領域(後方領域)を塞ぐように、上板部材41に固定して設けられている。一方,シャッタ47は、開口部33Kのうちα軸方向に沿った領域の前側に位置するほぼ半分の領域(前方領域)を塞ぐように設けられている。
シャッタ47は、上板部材41の開口部33Kのα軸方向に沿って延びてβ軸方向に対向する一対の縁部41Fをガイドとして、上板部材41に対してスライド自在に設けられている。すなわちシャッタ47は、上板部材41に形成された開口部33Kの一部(開口部33Kの前方領域)を閉止する閉止位置(図9)と、その部分(開口部33Kの前方領域)を開放する開放位置(図10)との間で移動(スライド)自在になっている。
ホルダ33が格納位置から張出位置に位置された後、シャッタ47を閉止位置から開放位置に位置させると、シャッタ47の直下に位置している部品BHは開口部33Kを通じて上方に露出された状態となる。このように本実施の形態において、シャッタ47は、ホルダ33が張出位置に位置した状態で部品BHを露出させる部品露出手段となっている。
トレイTR内のポケットPKに収納された部品BHは、カバー部46または閉止位置に位置したシャッタ47によって、ポケットPKから脱落するのが防止される。例えば、ホルダ33が格納位置に位置した状態において、トレイTRのポケットPKから部品BHが脱落しようとした場合であっても、その脱落しようとした部品BHはカバー部46または閉止位置に位置したシャッタ47に当接するので、ポケットPKから(従ってトレイTR)から脱落することがない。
また、このようにカバー部46とシャッタ47とによって、トレイTRから部品BHが脱落するのを防止できるようにするために、作業者OPは、トレイTRの上面とカバー部46との間の間隔、トレイTRの上面とシャッタ47との間の間隔および部品BHの高さとの相対関係から、トレイTRから部品BHが脱落しない最適のスロット43Sを選択してパレットPLを取り付ける(挿入する)ようにする。
スロット43SにパレットPLを取り付けるときには、作業者OPは、そのパレットPLをホルダ33の前方からスロット43Sに挿入する。スロット43Sに挿入したパレットPLはホルダ33の前方に引き出すことができる。ホルダ33が張出位置に位置した状態でパレットPLをホルダ33の前方に引き出すことにより、トレイTR内の部品BHをホルダ33の外部に露出させることができる。また、ホルダ33の前方に引き出したパレットPLをホルダ33内に戻すことで、トレイTR内の部品BHを再度非露出状態にすることができる。なお、パレットPLのホルダ33からの出し入れ作業は、ホルダ33が張出位置、格納位置のいずれであっても可能である。
このように本実施の形態において、パレットPLもまた、ホルダ33が張出位置に位置した状態で部品BHを露出させる部品露出手段となっている。
図4において、シャッタ操作部16は、シャッタ操作アーム16aとシャッタ操作アーム移動機構16bを備えている。シャッタ操作アーム16aはフィーダベース11Bに装着されたトレイカセット14の側方(ホルダ33が張出位置において張り出す側)に位置しており、シャッタ47のスライド方向(α軸方向)と直交する水平方向(β軸方向)に延びている。シャッタ操作アーム16aの端部の下面には、下方に突出した形状のシャッタ係止部16Pが設けられている。
シャッタ操作アーム移動機構16bはシャッタ操作アーム16aを移動させる。シャッタ操作アーム16aはシャッタ操作アーム移動機構16bによって移動され、シャッタ47に設けられた係止穴47Hにシャッタ係止部16Pを係止(挿入)させたうえで、後方に移動される(図10中に示す矢印A)。これにより閉止位置に位置したシャッタ47が開放位置に位置され(図10→図11)、トレイTRに収納された部品BHの一部が開口部33Kを通じて上方に露出した状態となる(図11および図12)。
このように本実施の形態において、シャッタ操作部16は、部品露出手段としてのシャッタ47をスライドさせる操作を行うことにより、トレイTRに収納された部品BHを露出させる部品露出手段操作部となっている。
図4および図9において、パレット操作部17は、パレット操作アーム17aとパレット操作アーム移動機構17bを備えている。パレット操作アーム17aはフィーダベース11Bに装着されたトレイカセット14の側方であって、シャッタ操作部16の前方に位置している。パレット操作アーム17aは、シャッタ操作アーム16aと平行に延びている。パレット操作アーム17aの端部の下面には、下方に突出した形状のパレット係止部17Pが設けられている。
パレット操作アーム移動機構17bはパレット操作アーム17aを移動させる。パレット操作アーム17aはパレット操作アーム移動機構17bによって移動され、パレット係止部17PをパレットPLの縁部に形成された係止ノッチPN(図6および図11)にパレット係止部17Pを係止(挿入)させたうえで、前方に移動される(図13中に示す矢印B)。これによりパレットPLはホルダ33の前方に引き出され(図11→図13)、トレイTRに収納された部品BHの全部が上方に露出した状態となる(図13)。
このように本実施の形態において、パレット操作部17は、部品露出手段としてのパレットPLをホルダ33に対してスライドさせる操作を行うことにより、トレイTRに収納された部品BHを露出させる部品露出手段操作部となっている。
本実施の形態では、シャッタ操作部16によってシャッタ47が開放位置に位置されることで、トレイTRに収納された部品BHの一部(開口部33Kの前方領域に相当する領域に位置している部品BH)が露出されるようになっているので、部品BHを露出する目的だけであれば、パレット操作部17は、残りの一部の部品BHが露出する分だけパレットPLをホルダ33の前方へスライドさせるだけでよい。部品BHを露出させるだけでなく、トレイTRの全体を前方(すなわち基板搬送コンベア12によって位置決めされた基板KB)の側に近づけようとするのであれば、部品BHの全部が露出した後も、更にパレットPLを前方に引き出すようにする。
このように、本実施の形態における部品供給装置としてのトレイカセット14は、部品装着装置1に装着されるベース部31と、ベース部31から起立して設けられた起立部としての一対の支柱32と、部品BHを収納したトレイTRを内部に保持したホルダ33を備えた構成となっている。そして、ホルダ33は、一対の支柱32に一端側が支持されることによって、ベース部31の上方でほぼ鉛直姿勢となる格納位置とベース部31の側方に張り出してほぼ水平姿勢となる張出位置との間で揺動自在であり、部品露出手段としてのシャッタ47パレットPLによって、ホルダ33が張出位置に位置した状態で、部品BHを上方に露出させることができるようになっている。このため本実施の形態におけるトレイカセット14では、ホルダ33を張出位置に位置させて部品BHを供給できる一方、部品BHの非供給時にはホルダ33を格納位置に位置させることができるので、テープフィーダ13と同様の取り扱いをすることが可能である。
図14は、部品装着装置1における制御系統を示している。図14に示すように、本実施の形態における部品装着装置1では、部品装着装置1が備える制御装置23が、予め記憶したプログラムおよびデータに基づいて部品装着装置1の各部を作動させることによって、基板KBに部品BHを装着する部品装着作業を実行する。具体的には、制御装置23は、基板搬送コンベア12を作動させて基板KBの搬送と位置決めとを行う。また制御装置23は、フィーダベース11Bに装着された複数のテープフィーダ13それぞれにキャリアテープの搬送動作を行わせて、そのテープフィーダ13が備える部品供給口13Kに部品BHを供給させる。
また制御装置23は、フィーダベース11Bに装着されたトレイカセット14の動作制御を行う。具体的には、位置切替え部15の切替えモータ51を作動させてトレイカセット14のホルダ33を格納位置から張出位置に位置させ、或いは張出位置から格納位置に位置させる。また、シャッタ操作部16のシャッタ操作アーム移動機構16bを作動させて、ホルダ33に設けられたシャッタ47を閉止位置から開放位置に位置させ、或いは開放位置から閉止位置に位置させる。また、パレット操作部17のパレット操作アーム移動機構17bを作動させて、パレットPLをホルダ33から引き出し、或いは引き出したパレットPLをホルダ33に収納する。
また制御装置23は、ヘッド移動機構19を作動させて装着ヘッド18を移動させるとともに、装着ヘッド18を作動させることによって、ノズル18Nに部品BHを吸着(ピックアップ)させる。ノズル18Nに部品BHを吸着させる前にノズル18Nを交換する必要がある場合には、制御装置23はノズルチェンジャ22を作動させ、更に装着ヘッド18の移動動作とノズル18Nの昇降動作とを連動させて作動させることによって、ノズル18Nの交換を行う。また制御装置23は、部品認識カメラ21を制御して、部品BHを吸着した装着ヘッド18が部品認識カメラ21の上方を通過するとき、部品認識カメラ21に部品BHを撮像させる。
次に、部品装着装置1による基板KBに部品BHを装着する部品装着作業の流れを説明する。ここでは、フィーダベース11Bにテープフィーダ13とトレイカセット14が装着されているものとする。
部品装着装置1が部品装着作業を行う場合には先ず、位置切替え部15の切替えモータ51が作動して、格納位置に位置した状態となっているトレイカセット14のホルダ33を張出位置に位置させる(図3→図4)。これによりホルダ33内に保持されたトレイTR内の全ての部品BHが、それまでトレイTRのポケットPK内で横倒しになっていた(但しカバー部46またはシャッタ47によってポケットPKからの脱落は防止されていた)状態から、平置きの状態になる。
位置切替え部15によってホルダ33が張出位置に位置したら、シャッタ操作部16は前述の要領でシャッタ操作アーム16aを移動させ、シャッタ47を閉止位置から開放位置に移動させる(図10→図11)。これによりトレイTRに収納されている部品BHのうちの一部(詳細には開口部33Kの前方領域に相当する領域に位置している部品BH)が、ホルダ33の開口部33Kを通じて上方に露出された状態となる(図11)。
シャッタ47が開放位置に位置することによってトレイTRに収納されている部品BHのうちの一部が上方に露出された状態となったら、パレット操作部17は前述の要領でパレット操作アーム移動機構17bを移動させ、パレットPLを前方に引き出す(図11→図13)。これによりパレットPLはホルダ33の前方に突出し、トレイTRに収納された全ての部品BHが上方に露出された状態となる(図13)。このようにしてトレイTRに収納された全ての部品BHが上方に露出されたら、トレイカセット14による部品BHの供給準備は終了となる。
トレイカセット14による部品BHの供給準備が終了となったら、基板搬送コンベア12が作動し、上流側から送られてきた基板KBを受け取って、作業位置に位置決めする。基板KBが作業位置に位置決めされたら、装着ヘッド18が装着ターンを繰り返し実行する。装着ヘッド18はひとつの装着ターンにおいて、テープフィーダ13とトレイカセット14が供給する部品BHを吸着(ピックアップ)する動作、部品認識カメラ21の上方をX軸方向に通過するように移動して部品認識カメラ21に部品BHを撮像させる動作、基板KB上に定められた部品装着位置に部品BHを装着する動作をこの順で行う。
ここで、前述したように、ホルダ33が張出位置に位置した状態では、トレイTRの上面の高さHCは、テープフィーダ13が部品BHを供給する部品供給口13Kの高さHTとほぼ同じ高さとなるようになっているので、装着ヘッド18は部品BHを吸着するときの高さを、テープフィーダ13とトレイカセット14で区別する必要がない。このため装着ヘッド18による部品吸着時における制御を簡単化することができる。
部品認識カメラ21が撮像した部品BHの画像は制御装置23に送られる。制御装置23は部品認識カメラ21が撮像した部品BHの画像に基づいて部品認識を行う。装着ヘッド18は部品BHを基板KBに装着するとき、制御装置23が行った部品認識の結果に基づいて、部品BHの基板KBに対する位置補正等を行う。
上記の装着ターンが繰り返し実行されることによって、基板KBに装着すべき部品BHが全て装着されたら、基板搬送コンベア12は、基板KBを下流側に搬出する。これにより基板KBの1枚当たりの部品装着作業が終了する。
部品装着装置1による部品装着作業が終了した後、トレイカセット14をフィーダベース11Bから取り外すときには、先ず、パレット操作部17が作動してパレットPLをホルダ33内に戻し(図13→図11)、次いで、シャッタ操作部16が作動して、シャッタ47を開放位置から閉止位置に戻す(図11→図10)。これにより、トレイTRに残っている部品BHは非露出状態となり、これらの部品BHはカバー部46またはシャッタ47によってトレイTRからの脱落が防止される。
シャッタ47が閉止位置に戻されたら、位置切替え部15が作動して、ホルダ33を張出位置から格納位置に戻す(図4→図3)。これによりホルダ33が一対の支柱32の間に格納された状態となったら、作業者OPはトレイカセット14をフィーダベース11Bのレール11Rから引き抜く。
このように本実施の形態において、部品装着装置1は、部品BHを収納したトレイTRを内部に保持し、ほぼ鉛直姿勢となる格納位置とほぼ水平姿勢となる張出位置との間で揺動自在なホルダ33およびホルダ33が張出位置に位置した状態で部品を露出させる部品露出手段(シャッタ47およびパレットPL)を備えたトレイカセット14を備えている。そして、トレイカセット14のホルダ33を格納位置と張出位置との間で位置切替えする位置切替え部15と、ホルダ33が張出位置に位置された状態で部品露出手段(シャッタ47およびパレットPL)を操作してトレイTR内の部品BHを露出させる部品露出手段操作部(シャッタ操作部16およびパレット操作部17)を備えている。このためトレイカセット14のホルダ33を張出位置に位置させて部品BHを供給できる一方、部品BHの非供給時にはホルダ33を格納位置に位置させてテープフィーダ13と同様の取扱いをすることができる。
以上説明したように、本実施の形態における部品供給装置としてのトレイカセット14は、部品装着装置1に装着されるベース部31から起立して設けられた起立部としての一対の支柱32に、部品BHを収納したトレイTRを内部に保持したホルダ33が支持された構成を有している。そして、ホルダ33は、ベース部31の上方でほぼ鉛直姿勢となる格納位置と、ベース部31の側方に張り出してほぼ水平姿勢となる張出位置との間で揺動自在になっている。このためトレイカセット14では、ホルダ33を張出位置に位置させて部品BHを供給できる一方、部品BHの非供給時にはホルダ33を格納位置に位置させることができるので、テープフィーダ13と同様の取り扱いをすることが可能である。従って本実施の形態におけるトレイカセット14は、部品BHを平置きの状態で供給するタイプでありながら、テープフィーダ13と同様の取扱いで段取りすることができ、自動段取りにも適したものとなっている。
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、シャッタ47を閉止位置から開放位置に位置させると、トレイTRに収納された複数の部品BHの中の一部(開口部33Kの前方領域に相当する領域に位置している部品BH)のみが開口部33Kを通じて上方に露出する構成となっていたが(図11)、シャッタ47を開放位置に位置させることによって、トレイTRに収納されている部品BHの全部が露出する構成となっていてもよい。なお、シャッタ47は必ずしもスライド移動させるものでなくてもよく、例えば蛇腹状のシャッタ47を伸び縮みさせるものであってもよい。
また、上述の実施の形態では、部品露出手段としてシャッタ47とパレットPLの双方を備えていたが、これらの一方のみで、張出位置に位置したホルダ33からトレイTR内の部品BHの全てを露出させることができるのであれば、その一方のみの部品露出手段を備えていればよい。また、部品露出手段がシャッタ47とパレットPLの一方のみである場合には、部品露出手段操作部も、その一方の部品露出手段に対応したもののみがあればよい。すなわち、部品露出手段がシャッタ47のみである場合には、部品露出手段操作部としてはシャッタ操作部16のみが備えられていればよく、部品露出手段がパレットPLのみである場合には、部品露出手段操作部としてはパレット操作部17のみが備えられていればよい。