以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
[1.トンネル掘削機の全体構成]
本発明の一実施形態に係るトンネル掘削機は、例えば、破砕対象物を含む土砂層からなる地盤を掘削可能な土圧式(泥土圧式を含む。)のシールド掘削機である。ここで、破砕対象物は、トンネル掘削機による掘削途中に、掘削機本体内で破砕する対象となる異物である。当該異物は、例えば、掘削土砂に含まれる礫、粘土塊、流木等を含む。掘削対象の土砂層中に、大きなサイズの異物が含まれている場合、スクリューコンベヤやベルトコンベヤなどの排土装置により当該異物を運搬および排出することが困難となる。
このため、掘削土砂に含まれる異物(破砕対象物)を、スクリューコンベヤやベルトコンベヤで運搬可能な小さいサイズに破砕した上で、掘削土砂とともに運搬、排出可能にすることが好ましい。そこで、本実施形態に係るトンネル掘削機は、異物(破砕対象物)を掘削機本体内の所定位置に確実に固定して破砕する機構を備えることを特徴としている。
なお、以下の説明では、破砕対象物として主に巨礫の例を挙げて説明する。巨礫は、掘削土砂に含まれる礫のうち、トンネル掘削機が備える複数のスクリューコンベヤのうち少なくとも一部のスクリューコンベヤ(例えば、後述する第2スクリューコンベヤ)により運搬することが不可能または困難な大きさを有する礫、または、スクリューコンベアで排出した掘削土砂を搬送する運搬設備、例えばベルトコンベアなど、に過度な負担を与える可能性のある大きさを有する礫、を意味する。
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るトンネル掘削機1の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係るトンネル掘削機1を示す概略断面図である。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」という表現は、トンネル延伸方向におけるトンネル掘削機1の進行方向を基準とした「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」の方向を示すものとする。
図1に示すように、本実施形態に係るトンネル掘削機1は、円筒状の掘削機本体10と、円盤状のカッタヘッド11と、カッタヘッド11の後方に配置される隔壁12と、カッタ回転軸13とを備える。
カッタヘッド11は、掘削機本体10の前端に設けられる略円盤状の回転体である。カッタヘッド11の中心部には、カッタ回転軸13の前端が嵌入されており、カッタヘッド11は、カッタ回転軸13を中心に回転可能に軸支されている。
カッタヘッド11は、外周リング11aと、内周リング11bと、カッタスポーク11cと、フィッシュテールカッタ11dと、カッタビット11eなどを有する。このうち、外周リング11aは、カッタヘッド11の外周部を形成しており、内周リング11bは、外周リング11aよりもカッタ径方向内側に配置されている。また、複数のカッタスポーク11cは、カッタヘッド11の前面において、カッタ回転軸13を中心として放射状に配置されている。カッタヘッド11の前面の中心部には、フィッシュテールカッタ11dが着脱可能に装着されている。さらに、カッタスポーク11cの前面には、多数のカッタビット11eが着脱可能に装着されている。
そして、カッタヘッド11には、上記外周リング11a、内周リング11bおよびカッタスポーク11cの相互の間に、複数の開口部が形成されている。当該開口部は、カッタヘッド11によって地盤(切羽)を掘削した際に発生する掘削土砂を、掘削機本体10内(後述するチャンバ17内)に取り込むための掘削土砂取込口として機能する。
掘削機本体10におけるカッタヘッド11よりも後方には、隔壁12が配置されている。隔壁12は、トンネル延伸方向に対して垂直に配置される円板状の壁体であり、隔壁12の外周縁は掘削機本体10の内周面10aに取り付けられる。カッタヘッド11と隔壁12は、トンネル延伸方向に所定間隔を空けて配置される。隔壁12の後方側には、トンネル掘削機1の各種設備が配置されており、隔壁12は、切羽で生じる掘削土砂から当該設備を隔離する。隔壁12の下部には、掘削土砂を排出するための開口部である排出口12aが形成されている。
隔壁12の中心部には、カッタ回転軸13が回転可能に支持されている。さらに、隔壁12には、リング状の回転リング14が、カッタ回転軸13を中心として回転可能に支持されている。回転リング14の前部には、複数の連結ビーム15が周方向に所定の間隔で設けられている。複数の連結ビーム15は、カッタヘッド11と回転リング14を連結する。連結ビーム15の前端は、カッタヘッド11の内周リング11bとカッタスポーク11cとの接続部に連結されている。一方、回転リング14の後部には、外歯式のリングギヤ14aが設けられている。さらに、隔壁12の後方にはカッタ旋回用モータ16が設けられている。このカッタ旋回用モータ16の駆動ギヤ16aは、回転リング14のリングギヤ14aと噛み合っている。
カッタ旋回用モータ16を駆動させることにより、その駆動ギヤ16aの回転がリングギヤ14aから回転リング14および連結ビーム15に伝達される。これにより、カッタヘッド11を、カッタ回転軸13を中心として回転させることができる。この結果、回転するカッタヘッド11の前面を地盤(切羽)に押し付けて、地盤を掘削することができる。
カッタヘッド11と隔壁12との間には、チャンバ17が画成されている。チャンバ17は、カッタヘッド11の後面と、隔壁12の前面と、掘削機本体10の内周面10aとにより区画された、略円柱状の空間である。カッタヘッド11による地盤掘削に伴って発生する掘削土砂は、カッタヘッド11に貫通形成された上記開口部(掘削土砂取込口)を通じて、チャンバ17内に取り込まれる。チャンバ17は、掘削土砂を一時的に蓄えるための空間(室)として機能する。チャンバ17内に取り込まれた掘削土砂は、隔壁12の下部にある排出口12aを通じて、チャンバ17から後述の第1スクリューコンベヤ20内に排出される。
また、掘削機本体10の隔壁12よりも後方側には、ビーム18が設けられる。ビーム18の両端は、掘削機本体10の内周面10aに取り付けられる。ビーム18の後面には、エレクタ装置(図示せず。)が設けられる。エレクタ装置は、掘削機本体10の軸方向、径方向および周方向(すなわち、トンネル延伸方向、径方向および周方向)に移動可能に設けられる。かかるエレクタ装置は、覆工部材であるセグメントSを把持可能であり、把持したセグメントSをトンネルTの内壁面(坑壁)に沿って組み立てる。
セグメントSは、掘削されたトンネルTの内壁面に沿った湾曲形状を有する環片である。上記エレクタ装置を駆動させることにより、複数のセグメントSをトンネル周方向に沿ってリング状に組み立てることができる。これにより、トンネルTの内壁面が複数のセグメントSにより覆工され、内壁面の崩落を防止できる。
さらに、掘削機本体10内には、複数の推進ジャッキ19が、内周面10aに沿って、トンネル延伸方向に延びるよう設けられる。複数の推進ジャッキ19は、内周面10aの周方向に所定の間隔で並設される。これらの推進ジャッキ19は、トンネル延伸方向に伸縮可能な駆動ロッド19aを有している。この駆動ロッド19aの先端は、既設のセグメントSの前端面と対向している。
かかる推進ジャッキ19の駆動ロッド19aを、後方に向けて伸長し、セグメントSを押圧することにより、掘削機本体10に推進反力を付与することができる。すなわち、推進ジャッキ19がセグメントSを押圧したときに発生する推進反力によって、掘削機本体10は前進可能である。
また、掘削機本体10内における隔壁12の後方側には、複数(少なくとも2つ以上)のスクリューコンベヤが設けられる。本実施形態では、図1に示すように、2つのスクリューコンベヤ(第1スクリューコンベヤ20および第2スクリューコンベヤ30)が設けられる例について説明するが、3つ以上のスクリューコンベヤが設けられてもよい。さらに、スクリューコンベヤ20、30の後段には、ベルトコンベヤ50が設けられている。これらスクリューコンベヤ20、30およびベルトコンベヤ50は、チャンバ17内に蓄えられた掘削土砂を掘削機本体10の後方に向けて運搬、排出するための排土装置として機能する。
[2.排土装置と押圧装置の概略構成]
次に、図1および図2を参照して、本実施形態に係る排土装置と押圧装置の概略構成について説明する。図2は、本実施形態に係るスクリューコンベヤ20、30と連結部材40を示す側面図である。
図1および図2に示すように、本実施形態に係るトンネル掘削機1は、排土装置として、第1スクリューコンベヤ20(1次スクリューコンベヤ)と、第2スクリューコンベヤ30(2次スクリューコンベヤ)と、連結部材40と、ベルトコンベヤ50とを備える。
第1スクリューコンベヤ20は、チャンバ17内の掘削土砂を取り込む1次スクリューコンベヤとして機能する。第1スクリューコンベヤ20は、隔壁12に形成された排出口12aに連結され、掘削機本体10の後方側の第1方向(例えば、傾斜方向)に延びるように配置される。第1方向は、第1スクリューコンベヤ20による土砂の運搬方向(第1の運搬方向)である。第1スクリューコンベヤ20は、チャンバ17内に蓄えられた掘削土砂を、掘削機本体10の後方側の第1方向に運搬する。
第1スクリューコンベヤ20は、掘削機本体10の内部空間のうち隔壁12の直後に傾斜して配置される。第1スクリューコンベヤ20の前端の開口部である土砂取込口22aは、上記隔壁12の排出口12aに接続されている。これにより、第1スクリューコンベヤ20の内部空間は、隔壁12の排出口12aおよび土砂取込口22aを通じてチャンバ17と連通可能になる。第1スクリューコンベヤ20を駆動させることで、チャンバ17内に蓄えられた掘削土砂を第1スクリューコンベヤ20内に取り込んで、掘削機本体10の後方(第1の運搬方向)に向けて運搬することができる。
第2スクリューコンベヤ30は、第1スクリューコンベヤ20により運搬された掘削土砂を、さらに後方に運搬する2次スクリューコンベヤとして機能する。第2スクリューコンベヤ30は、掘削機本体10の後方側の第2方向(例えば、略水平方向)に延びるように配置される。第2方向は、第2スクリューコンベヤ30による土砂の運搬方向(第2の運搬方向)である。この第2方向は、掘削機本体10の後方側に向かう方向ではあるが、上記第1方向(第1の運搬方向)とは異なる方向に設定されることが好ましい。
第2スクリューコンベヤ30は、第1スクリューコンベヤ20の後段に設けられる。例えば、本実施形態に係る第2スクリューコンベヤ30は、掘削機本体10の内部空間のうち、第1スクリューコンベヤ20および連結部材40の後方の空間に設置される。第2スクリューコンベヤ30の前端の開口部である土砂取込口32aは、連結部材40に接続されている。これにより、第2スクリューコンベヤ30は、連結部材40を通じて第1スクリューコンベヤ20と連通可能になる。第2スクリューコンベヤ30を駆動させることで、第1スクリューコンベヤ20から排出されて連結部材40内に存在する掘削土砂を、第2スクリューコンベヤ30内に取り込んで、掘削機本体10の後方(第2の運搬方向)に向けて運搬することができる。
連結部材40は、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30を連結する機能を有する。連結部材40は、筒状の部材で構成される。連結部材40は、第1スクリューコンベヤ20の後端の開口部である土砂排出口22bと、第2スクリューコンベヤ30の前端の開口部である土砂取込口32aとを連結する。連結部材40を設けることにより、第1スクリューコンベヤ20の内部空間が、連結部材40の内部空間を通じて、第2スクリューコンベヤ30の内部空間と連通する。
このように第1スクリューコンベヤ20、連結部材40および第2スクリューコンベヤ30の内部空間は、相互に連通しており、掘削土砂を運搬するための流路となる。なお、スクリューコンベヤ20、30および連結部材40内の運搬流路は、カッタヘッド11により掘削される切羽の土水圧が作用するチャンバ17と連通しているため、当該運搬流路にも大気圧よりも高い圧力が作用する。
また、連結部材40の内部の中空空間は、掘削土砂の運搬流路として機能するだけでなく、後述する礫等の異物(破砕対象物)を破砕するための破砕スペース3としても機能する。破砕スペース3は、スクリューコンベヤ20、30のスクリュー羽根21、31が設けられていない中空空間である。
さらに、連結部材40には、少なくとも1つの押圧装置60が設けられている。押圧装置60は、礫等の破砕対象物を破砕するためのクラッシャーとして機能する。押圧装置60は、連結部材40内の破砕スペース3に対して進退可能に設けられる押圧部66(図3参照。)を有する。押圧装置60は、第1スクリューコンベヤ20により、連結部材40内の破砕スペース3に運搬された掘削土砂に含まれる破砕対象物を、押圧部66により押圧して破砕する。
ベルトコンベヤ50は、第2スクリューコンベヤ30の後段に設けられ、第2スクリューコンベヤ30により運搬された掘削土砂を、さらに後方に運搬する機能を有する。ベルトコンベヤ50は、例えば、略水平方向に延びるように配置されてもよいし、傾斜配置されてもよい。ベルトコンベヤ50の前端部は、第2スクリューコンベヤ30の後端部の下方に配置される。ベルトコンベヤ50の前端部には、第2スクリューコンベヤ30の後端部の土砂排出口32bから排出された掘削土砂を受け止めてベルトコンベヤ50に受け流す土砂シュート52が設けられている。ベルトコンベヤ50の土砂シュート52に投入された掘削土砂は、当該ベルトコンベヤ50により掘削機本体10のさらに後方に運搬される。
なお、第2スクリューコンベヤ30から排出された掘削土砂を運搬する手段としては、上記のベルトコンベヤ50の例に限定されない。例えば、ベルトコンベヤ50に替えて、運搬車等の別途の運搬装置(図示せず。)を設けてもよいし、第2スクリューコンベヤ30の土砂排出口32bから排出された掘削土砂を収容するホッパー(受け箱)を設けてもよい。
ここで、第1スクリューコンベヤ20、第2スクリューコンベヤ30および連結部材40の配置と掘削土砂の運搬方向(第1方向、第2方向)について、詳細に説明する。
図1に示すように本実施形態において、第1スクリューコンベヤ20は、掘削機本体10の後方側に向けて、傾斜した第1方向(第1の運搬方向)に延びるように傾斜配置される。この第1方向は、掘削機本体10の後方に向かうにつれて登るように傾斜した方向である。第1方向の傾斜角は、例えば10~40°であり、トンネル掘削機1の口径や全長、他の設備の配置等の各種仕様に応じて適宜調整される。
一方、第2スクリューコンベヤ30および連結部材40は、掘削機本体10の後方側に向けて、略水平な第2方向(第2の運搬方向)に延びるように水平配置される。つまり、第2方向は略水平方向である。なお、本明細書において略水平方向とは、実質的に水平な方向であり、厳密な水平方向(傾斜角:0°)のみに限定されず、傾斜角が0°±5°の範囲の方向を含む。
このように、本実施形態では、傾斜配置された第1スクリューコンベヤ20による掘削土砂の運搬方向(第1方向)は、水平配置された第2スクリューコンベヤ30による掘削土砂の運搬方向(第2方向)と異なる。
また、連結部材40も、第2スクリューコンベヤ30と同様に、略水平方向に延びるように配置されている。よって、連結部材40内の掘削土砂の流動方向も水平方向となる。本実施形態では、このように水平配置された連結部材40内の破砕スペース3において、押圧装置60により礫等の破砕対象物を押圧して破砕する。かかる押圧装置60と破砕スペース3の詳細については後述する。
[3.排土装置の詳細構成]
次に、図1および図2を参照して、本実施形態に係る排土装置を構成する第1スクリューコンベヤ20、第2スクリューコンベヤ30および連結部材40等の詳細な構成について説明する。
[3.1.第1スクリューコンベヤ]
まず、第1スクリューコンベヤ20の詳細な構成について説明する。図1および図2に示すように、第1スクリューコンベヤ20は、スクリュー羽根21と、筒体22と、駆動部23とを備える。
スクリュー羽根21は、螺旋状の羽根(フライト)を備えたスクリュー状の回転体であり、筒体22内に回転可能に設けられる。スクリュー羽根21の先端は自由端であり、スクリュー羽根21の後部は駆動部23に連結されている。駆動部23は、筒体22の後部に設置されている。当該駆動部23により、スクリュー羽根21が筒体22内で回転可能に支持される。
スクリュー羽根21は、例えば、図1および図2に示すようなリボンタイプのスクリュー羽根であってもよいし、または、軸付タイプのスクリュー羽根(図示せず。)であってもよい。軸付タイプのスクリュー羽根は、回転中心に配置される軸と、当該軸周りに配置された螺旋状の羽根とを有する。この軸付タイプのスクリュー羽根では、螺旋状の羽根の空いた空間となる中心部分に対して軸を付けることで、当該空いた空間を軸で塞いでいるので、軸付きの羽根で形成している螺旋状の空間の密閉性が高くなる。よって、軸付タイプのスクリュー羽根は、搬送土砂の圧力を減衰させる効果が高いことと、軸付きスクリュー羽根と筒体との隙間からの搬送土砂の漏れが少ないことによって、搬送土砂の排出制御性に優れるという利点がある。一方、リボンタイプのスクリュー羽根は、回転中心に軸を有さず、螺旋状の羽根のみを有する。このリボンタイプのスクリュー羽根は、回転中心に軸がないので、比較的大きなサイズの礫等を取り込んで、運搬可能であるという利点がある。本実施形態のように、巨礫等の異物を含む土砂層を掘削する場合、第1スクリューコンベヤ20によりできるだけ大きなサイズの異物を運搬可能にするために、第1スクリューコンベヤ20のスクリュー羽根21として、リボンタイプのスクリュー羽根を用いることが好ましい。
筒体22は、スクリュー羽根21を内包する略円筒状のケーシングである。上述したように、第1スクリューコンベヤ20の筒体22は、掘削機本体10の後方側に向かうにつれ上方に位置するように、傾斜して配置されている。かかる筒体22内でスクリュー羽根21を回転させることにより、掘削土砂は、筒体22の内部空間を通じて、掘削機本体10の後方側、かつ斜め上方に向けて運搬される。このように運搬される掘削土砂は、筒体22により全周を囲まれた空間を移動するので、第1スクリューコンベヤ20外にこぼれ出すことがない。
筒体22の前端の開口部である土砂取込口22aは、隔壁12に形成された排出口12aに接続されている。この土砂取込口22aは、チャンバ17内に蓄えられた掘削土砂を筒体22内に取り込むための開口部である。一方、筒体22の後端の開口部である土砂排出口22bは、連結部材40に接続されている。この土砂排出口22bは、スクリュー羽根21により筒体22内の後部側に運搬された掘削土砂を、筒体22の外部に排出するための開口部である。土砂排出口22bから排出された掘削土砂等は、連結部材40の内部空間に供給される。
駆動部23は、スクリュー羽根21を回転駆動させるモータ等の駆動装置で構成される。駆動部23は、例えば、筒体22の後部側に取り付けられ、スクリュー羽根21を回転可能に支持する。駆動部23によりスクリュー羽根21を回転させることで、スクリュー羽根21によって掘削土砂が筒体22内の前方側から後方側に向けて運搬される。
[3.2.第2スクリューコンベヤ]
次に、第2スクリューコンベヤ30の詳細な構成について説明する。図1および図2に示すように、第2スクリューコンベヤ30は、スクリュー羽根31と、筒体32と、駆動部33と、第2ゲート34とを備える。
スクリュー羽根31は、螺旋状の羽根を備えたスクリュー状の回転体であり、筒体32内に回転可能に設けられる。スクリュー羽根31の先端は自由端であり、スクリュー羽根31の後端は駆動部33に連結されている。駆動部33は、筒体32の後端部に設置されている。当該駆動部33により、スクリュー羽根31が筒体32内で回転可能に支持される。
スクリュー羽根31は、例えば、図1および図2に示すような軸付タイプのスクリュー羽根であってもよいし、または、リボンタイプのスクリュー羽根(図示せず。)であってもよい。上述したように、軸付タイプのスクリュー羽根は、軸付きの羽根で形成している螺旋状の空間の密閉性が高いことで、搬送土砂の圧力を減衰させる効果が高いことと、軸付きスクリュー羽根と筒体との隙間からの搬送土砂の漏れが少ないことによって、搬送土砂の排出制御性に優れるという利点がある。このため、本実施形態のように、第1スクリューコンベヤ20の後段に第2スクリューコンベヤ30を設置する場合、第2スクリューコンベヤ30のスクリュー羽根31としては、軸付きタイプのスクリュー羽根を用いることが好ましい。これにより、第2スクリューコンベヤ30内でスクリュー羽根31により土砂圧を減衰させて、土砂排出口32bからの土砂の噴発を抑制することができる。
筒体32は、スクリュー羽根31を内包する略円筒状のケーシングである。上述したように、第2スクリューコンベヤ30の筒体32は、略水平方向(第2方向)に延びるように水平配置されている。かかる筒体32内でスクリュー羽根31を回転させることにより、掘削土砂は、筒体32の内部空間を通じて、掘削機本体10の後方側、かつ、略水平方向に運搬される。このように運搬される掘削土砂は、筒体32により全周を囲まれた空間を移動するので、第2スクリューコンベヤ30外にこぼれ出すことがない。
筒体32の前端の開口部である土砂取込口32aは、連結部材40に接続されている。この土砂取込口32aは、連結部材40内に蓄えられた掘削土砂を筒体32内に取り込むための開口部である。一方、筒体32の後端は、駆動部33に接続されている。さらに、筒体32の後部(駆動部33の前方付近)の下部側には、土砂排出口32bが設けられる。この土砂排出口32bは、スクリュー羽根31により筒体32内の後方側に運搬された掘削土砂を、筒体32の外部に排出するための開口部である。土砂排出口32bから排出された掘削土砂等は、例えば、ベルトコンベヤ50により、掘削機本体10のさらに後方に向けて運搬される。
駆動部33は、スクリュー羽根31を回転駆動させるモータ等の駆動装置で構成される。駆動部33は、例えば、筒体32の後端部に取り付けられ、スクリュー羽根31を回転可能に支持する。駆動部33によりスクリュー羽根31を回転させることで、スクリュー羽根31によって掘削土砂が筒体32内の前方側から後方側に向けて運搬される。
第2ゲート34は、第2スクリューコンベヤ30の土砂排出口32bを開閉する機能を有する。第2ゲート34は、土砂排出口32bの開口部を開閉可能な位置に設けられる。第2ゲート34は、例えば、アクチュエータ等の駆動装置によりゲート板をスライドさせるゲート装置で構成され、土砂排出口32bを閉塞するようにゲート板をスライドさせる。
かかる第2ゲート34により、第2スクリューコンベヤ30の土砂排出口32bを開閉することで、土砂排出口32bからの掘削土砂の排出処理を実行または中断することができる。第2ゲート34を開けることにより、第2スクリューコンベヤ30内の掘削土砂を土砂排出口32bからベルトコンベヤ50に排出して、後方に運搬することができる。一方、第2ゲート34を閉じることにより、土砂排出口32bからの掘削土砂の噴発を防止できる。また、後述する連結部材40の第1ゲート44とともに、第2スクリューコンベヤ30の第2ゲート34を閉じることにより、土砂の運搬流路全体において二重の遮断構造を実現できる。よって、チャンバ17内の土水圧が高いときであっても、第2スクリューコンベヤ30の土砂排出口32bから掘削土砂が噴発することを、より確実に防止できる。
[3.3.連結部材]
次に、連結部材40の詳細な構成について説明する。図1および図2に示すように、連結部材40は、筒体42と、球面ジョイント43と、第1ゲート44とを備える。
連結部材40の筒体42は、筒状の部材、例えば金属管で構成される。連結部材40の筒体42の筒形状は、第1スクリューコンベヤ20の筒体22および第2スクリューコンベヤ30の筒体32の筒形状に合わせた形状と大きさを有することが好ましい。本実施形態では、連結部材40の筒体42は、円筒状を有するが、かかる例に限定されず、四角形、多角形、楕円形など任意の筒形状であってもよい。
連結部材40の筒体42の前端の開口部は、第1スクリューコンベヤ20の後端の土砂排出口22bに接続されている。連結部材40の後端の開口部は、第2スクリューコンベヤ30の前端の土砂取込口32aに接続されている。これにより、連結部材40の筒体42の内部空間を通じて、第1スクリューコンベヤ20の筒体22の内部空間と第2スクリューコンベヤ30の筒体32の内部空間とが連通する。
球面ジョイント43は、連結部材40と第2スクリューコンベヤ30との接続部に設けられる。球面ジョイント43は、第2スクリューコンベヤ30の方向性の自由度を確保しながら、連結部材40の筒体42に対して第2スクリューコンベヤ30の筒体32を連結する。かかる球面ジョイント43を設けることにより、第2スクリューコンベヤ30を高精度に位置決めすることなく、第2スクリューコンベヤ30を連結部材40に容易に連結することが可能になる。また、カーブしたトンネルTを掘削施工するときに、第2スクリューコンベヤ30がトンネルTの内壁と干渉することを回避するために、上記球面ジョイント43により、第2スクリューコンベヤ30の延長方向(第2方向)を変更可能にすることが好ましい。
なお、球面ジョイント43は、連結部材40と第1スクリューコンベヤ20との接続部に設けてもよい。また、球面ジョイント43の設置は必須ではない。
第1ゲート44は、連結部材40内の土砂の運搬流路を開閉する機能を有する。第1ゲート44は、例えば、連結部材40の筒体42の途中に設けられる。第1ゲート44は、例えば、アクチュエータ等の駆動装置によりゲート板をスライドさせるゲート装置で構成され、筒体42を横断するようにゲート板をスライドさせる。
かかる第1ゲート44により、連結部材40内の土砂の運搬流路を開閉することで、第1スクリューコンベヤ20の内部空間と第2スクリューコンベヤ30の内部空間とを連通させたり、遮断したりすることができる。第1ゲート44を開けることにより、第1スクリューコンベヤ20により運搬された掘削土砂を、連結部材40および第2スクリューコンベヤ30に取り込むことが可能になる。一方、第1ゲート44を閉じることにより、チャンバ17内の高い土水圧が第1スクリューコンベヤ20および連結部材40を通じて、第2スクリューコンベヤ30の内部空間に伝達しないようにすることができる。よって、第2スクリューコンベヤ30における掘削土砂の噴発を防止できるとともに、第2スクリューコンベヤ30および押圧装置60等のメンテナンスを容易かつ安全に実施可能となる。
なお、トンネル掘削機1の各設備のメンテナンス用途、および、トンネル掘削機1の仮発進に対応するために、連結部材40に第1ゲート44が設置されることが好ましい。しかし、当該第1ゲート44の設置は必須ではない。また、本実施形態では、連結部材40に第1ゲート44を設置したが、第1スクリューコンベヤ20の筒体22の後端部などに第1ゲート44を設置してもよい。
[4.押圧装置(クラッシャー)の詳細構成]
次に、図2~図4を参照して、本実施形態に係る押圧装置60の構成について詳述する。図3は、本実施形態に係る連結部材40と押圧装置60を示す斜視図である。図4は、本実施形態に係る押圧装置60の動作を示す模式図である。
図2、図3に示すように、本実施形態に係る押圧装置60は、上述した連結部材40に設置される。連結部材40は、中空の筒状部材からなり、連結部材40の内部空間は、巨礫2等の破砕対象物を破砕するための破砕スペース3として機能する。連結部材40内の破砕スペース3には、上述したスクリューコンベヤ20、30のスクリュー羽根21、31は配置されていない。このため、第1スクリューコンベヤ20、連結部材40および第2スクリューコンベヤ30からなる土砂の運搬流路の中で、連結部材40内の破砕スペース3は、障害物のない比較的自由な空間となっている。したがって、かかる破砕スペース3は、押圧装置60により巨礫2等の破砕対象物を押圧して破砕するためのスペースとして有効活用できる。
巨礫2等の破砕対象物を含む掘削土砂は、第1スクリューコンベヤ20により運搬された後に、連結部材40内の破砕スペース3に供給される。押圧装置60は、当該破砕スペース3に存在する掘削土砂に含まれる破砕対象物を、押圧して破砕する。
図2~図4に示すように、本実施形態に係る押圧装置60は、連結部材40の径方向の両側に配置される左右一対の押圧機構62R、62Lを備える。一方の押圧機構62R(第1押圧機構)は、連結部材40の径方向の一側(例えば右側)に配置される。他方の押圧機構62L(第2押圧機構)は、連結部材40の径方向の他側(例えば左側)に配置される。一方の押圧機構62Rは、他方の押圧機構62Lと対向して配置される。一対の押圧機構62R、62Lは、破砕スペース3に進退可能に設けられる一対の押圧部66、66を備える。押圧機構62Rは、連結部材40の径方向の一側(例えば右側)に配置される押圧部66(第1押圧部)を有する。押圧機構62Lは、連結部材40の径方向の他側(例えば左側)に配置される押圧部66(第2押圧部)を有する。押圧装置60は、一対の押圧機構62R、62Lの押圧部66、66により、巨礫2等の破砕対象物を両側から挟んで押圧する。これにより、巨礫2等の破砕対象物を両側から挟み込んで、逃げないように固定した上で、安定的に破砕可能であるので、破砕対象物をより確実に破砕することができる。
各押圧機構62R、62L(以下、「押圧機構62」と総称する場合もある。)は、連結部材40内の破砕スペース3において巨礫2等の破砕対象物を押圧する。押圧機構62は、かかる押圧動作により、破砕スペース3の所定位置に破砕対象物を固定する固定装置としての機能と、当該破砕対象物に圧縮力を負荷して破砕する破砕装置としての機能とを有する。
各押圧機構62は、例えば、破砕対象物を押圧することより破砕可能な破砕装置(クラッシャー)で構成され、例えば、油圧式のクラッシャージャッキで構成される。しかし、押圧機構62は、かかる例に限定されず、電動式または空圧式の破砕装置などで構成されてもよい。あるいは、押圧機構62は、破砕対象物を少なくとも一方向から押圧可能な装置であれば、公知の各種の装置で構成されてもよい。また、押圧機構62は、直動動作によるものではなく、円弧動作によるもので構成されてもよい。かかる押圧機構62の詳細構成について以下に説明する。
図3、図4に示すように、本実施形態に係る押圧装置60の押圧機構62はそれぞれ、ベース部63と、油圧ジャッキのボディ64およびピストンロッド65と、押圧部66とを備える。
ベース部63は、連結部材40の筒体42に取り付けられ、押圧機構62全体を支持する。ベース部63を連結部材40の筒体42に固定することにより、押圧機構62により巨礫2を押圧するための反力を得ることができる。また、ベース部63は、例えば、押圧機構62の内部の駆動装置を覆うケーシングとして機能させてもよい。
油圧ジャッキは、ベース部63内に収容されている。油圧ジャッキは、ボディ64と、ピストンロッド65とから構成され、押圧部66を進退させるための駆動力を発生させる。なお、本実施形態では、押圧部66の駆動装置として油圧ジャッキを用いるが、当該油圧ジャッキに替えて、例えば、空圧式または電動式のアクチュエータを用いて、同様の機能を実現してもよい。油圧ジャッキのボディ64は、ベース部63の内部に収容され、ベース部63の内面に固定される。ピストンロッド65は、ボディ64に対して軸方向に伸縮可能である。ピストンロッド65の先端は押圧部66の背面に固定され、ピストンロッド65の後端はボディ64内に配置される。ピストンロッド65がボディ64に対して伸縮することにより、押圧部66がボディ64に対して軸方向に相対移動する。
押圧部66は、巨礫2等の破砕対象物に押し当てられる部材(押圧ヘッド)である。押圧部66は、例えば、ピストンロッド65よりも拡径された円柱状の部材で構成されることが好ましい。このように押圧部66を円柱状にして押圧面の面積を広くすれば、巨礫2等の破砕対象物を押圧および挟持しやすくなるとともに、押圧部66を後退させるときに、押圧機構62内に土砂を引き込まないようにできる。しかし、押圧部66の形状は、図示の例に限定されず、破砕対象物に当接して押圧可能な形状であれば、角柱状、矩形板状、ロッド状、錘状、鉤状など、任意の形状であってもよい。また、押圧部66の先端の押圧面(破砕対象物に当接する面)は、平坦面であってもよいが、塊状の巨礫2等の形状に合わせて、中央部が凹んだ湾曲面、略球面などであってもよい。
押圧部66は、上記油圧ジャッキのピストンロッド65により、破砕スペース3に対して進入および退避可能に設けられる。押圧部66を破砕スペース3に進入させることで、当該破砕スペース3に存在する破砕対象物は、押圧部66により押圧されて破砕される。図4に示す構造例の場合、ベース部63のうち連結部材40側に設けられた略円筒状のガイド部69により、略円柱状の押圧部66の移動をガイドすることで、押圧部66の進入および退避の方向を確実に定めることができる。また、このベース部63のガイド部69の内周面には、シール部68が設けられている。このシール部68により、連結部材40の筒体42内の圧力を遮断することができる。このため、油圧ジャッキのボディ64とピストンロッド65に筒体42内の圧力が作用することがなくなり、油圧ジャッキのメンテナンス性が確保される。
また、押圧部66による破砕性能を高めるため、押圧部66の押圧面には、硬質材料からなる複数の突起部67を設けることが好ましい。突起部67は、例えば、鋸刃状の突起部で構成されてもよいし、円錐、多角錐等の錐体状の突起部で構成されてもよい。このような突起部67を設けることにより、押圧部66で巨礫2等の破砕対象物に押圧したときに、押圧部66の複数の突起部67の先端を破砕対象物に食い込ませることができる。したがって、押圧部66に対して破砕対象物が滑って逃げにくいので、押圧部66により破砕対象物を確実に押圧および挟持することができる。さらに、押圧部66に突起部67を形成し、破砕対象物に対する当たり始めの面積を小さくすることで、破砕対象物に局所的に集中荷重を作用させることができる。この結果、突起部67が破砕対象物に食い込むことにより、破砕対象物に亀裂を発生させて破壊の起点を形成できるので、破砕対象物をより確実に破砕できるようになる。
押圧部66は、上記油圧ジャッキのボディ64およびピストンロッド65により、連結部材40内の破砕スペース3に向けて進退可能に設けられる。押圧部66を破砕スペース3に進入させることで、当該破砕スペース3に存在する破砕対象物が押圧部66により押圧される。ピストンロッド65の伸縮方向と、押圧部66の進退方向とは同一であり、当該方向が、破砕対象物を押圧する押圧方向となる。図4に示すように、ピストンロッド65を伸長させれば、押圧部66は、押圧方向に沿って、連結部材40内の破砕スペース3に向けて前進し、破砕スペース3内の押圧位置(図4(b)で示す位置)に配置される。一方、ピストンロッド65を収縮させれば、押圧部66は、押圧方向に沿って、破砕スペース3から後退し、破砕スペース3外の退避位置(図4(a)で示す位置)に配置される。
また、一対の押圧部66、66が相互に接触しないように、当該押圧部66、66の押圧位置(図4(b)で示す位置)を調整することが好ましい。一対の押圧部66、66を進退させる目的は、巨礫2等の破砕対象物を挟み込んで破砕することにある。この目的のためには、一対の押圧部66、66が相互に接触する位置まで大きく前進させる必要はない。
なお、押圧部66の進退方向(押圧方向)の進退量(ストローク)を検出する検出装置(ストロークセンサなど)を設けてもよい。破砕対象物を押圧したときの押圧部66のストローク値を確認することによって、破砕対象物の破砕直前の大きさや、破砕対象物の破砕後の大きさ、破砕対象物を破砕できたか否かなどの破砕状況を確認することができる。
また、押圧部66の進退に伴うアクチュエータ(例えば、上記の油圧ジャッキ)の出力を検出する検出装置(例えば、油圧圧力センサ)を設けて、アクチュエータの出力を監視してもよい。これにより、アクチュエータの出力が低ければ、破砕スペース3に礫等の破砕対象物は存在しないことが分かり、一方、アクチュエータの出力が高ければ、破砕スペース3に何らかの異物が存在し、押圧装置60が破砕機能を発揮していることを把握できるというメリットがある。
また、本実施形態に係る押圧装置60では、上記のように、連結部材40の径方向の両側に、略水平方向に相互に対向するように一対の押圧機構62R、62Lが配置されている。そして、一対の押圧機構62R、62Lの押圧部66、66はそれぞれ、連結部材40の内部の破砕スペース3に向けて進退可能である。押圧部66、66を連結部材40の内部に挿入可能にするために、連結部材40の筒体42の周面には、一対の挿入口45、45が貫通形成されている。挿入口45はそれぞれ、連結部材40の外部から内部に押圧部66を挿入するための開口部である。挿入口45は、押圧部66を挿入可能な大きさおよび形状を有する。挿入口45の形状は、例えば、押圧部66の円柱形状に合わせて円形であるが、楕円形、角形など任意の形状に変更可能である。さらに、挿入口45を開閉する開閉装置(図示せず。)を設置してもよい。挿入口45の開閉装置としては、例えば、ゲート装置、バルブ、シャッター装置など、任意の開閉装置を使用することができる。
ここで、図4を参照して、押圧装置60による押圧動作(巨礫2等の破砕処理)について説明する。第1スクリューコンベヤ20により運搬される掘削土砂に、巨礫2等の破砕対象物が含まれていないときには、図4(a)に示すように、押圧装置60の押圧部66、66を外側の退避位置に退避させる。これにより、連結部材40内の掘削土砂は、押圧部66、66により妨げられることなく、円滑に流動する。
一方、連結部材40内の破砕スペース3において巨礫2等の破砕対象物を破砕するときには、図4(b)に示すように、押圧装置60の押圧部66、66を、押圧方向に前進させて、連結部材40内の破砕スペース3に存在する巨礫2等の破砕対象物に押し当てる。この結果、左右一対の押圧部66、66により、巨礫2等の破砕対象物を両側から挟持するように押圧して、破砕できる。
ここで、押圧装置60は、左右両側から挟み込むようにして破砕対象物に圧縮応力を付与することにより、破砕対象物を破砕(すなわち、圧縮破壊)する。例えば、破砕対象物が礫である場合、押圧装置60は、押圧により礫を押し割ることができる。また、破砕対象物が土塊である場合、押圧装置60は、押圧により土塊を押し崩すことができる。ただし、破砕対象物が硬質、高強度の礫などの異物である場合などには、押圧装置60の押圧力より破砕対象物を破砕できないこともありうる。この場合には、押圧装置60により破砕対象物を両側より挟持して固定した状態で、別途の削岩装置(図示せず。)などにより破砕対象物に打撃を付与することにより、破砕対象物を破砕することも可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30の間の連結部材40に、押圧装置60(クラッシャー)を設ける。そして、押圧装置60により、連結部材40内の破砕スペース3に存在する巨礫2等の破砕対象物を押圧して破砕する。かかる押圧装置60による破砕処理は、第1スクリューコンベヤ20および第2スクリューコンベヤ30による排土処理と同時並行して実施可能である。したがって、スクリューコンベヤ20、30による排土作業を中断することなく、押圧装置60を常時稼働させて、破砕作業を継続できる。よって、排土作業と破砕作業を同時並行して連続的に実施できるので、トンネル掘削の作業性と効率性を向上できる。
ここで、上記特許文献2に記載の従来の押圧装置は、隔壁の直後のスクリューコンベヤの先端部に設置されていた。これに対し、本実施形態に係る押圧装置60は、隔壁12の背後の第1スクリューコンベヤ20の先端部に設置されるのではなく、隔壁12からある程度離隔した連結部材40に設置される。これにより、掘削機本体10内のスペースのうち、隔壁12の直後の他設備で混み合った位置ではなく、設置スペースの自由度が比較的高い位置に、押圧装置60を設置できる。したがって、押圧装置60の設置位置の周囲のスペースに比較的余裕があるので、押圧装置60のメンテナンス性を向上できる。
また、本実施形態に係る押圧装置60は、傾斜配置された第1スクリューコンベヤ20ではなく、水平配置された連結部材40に設置される。これにより、水平配置された連結部材40内の破砕スペース3において、押圧装置60による押圧時に破砕対象物が逃げることを抑制でき、破砕対象物を安定的に破砕できる。さらに、押圧装置60は、一対の押圧機構62R、62Lの押圧部66、66により、破砕対象物を両側から挟み込んで押圧する構造である。したがって、押圧部66、66により挟み込まれた破砕対象物が逃げることを抑制でき、破砕対象物を安定的に固定して、より確実に破砕できる。
なお、本実施形態では、一対の押圧部66、66により左右両側から破砕対象物を押圧したが、かかる例に限定されず、連結部材40の径方向であれば、例えば、上下両側、斜め方向の両側など、他の方向から破砕対象物を押圧してもよい。
[5.複数のスクリューコンベヤと押圧装置の配置について]
次に、図1~図5を参照して、本実施形態に係るトンネル掘削機1に設けられる複数のスクリューコンベヤ20、30と押圧装置60の配置に関する特徴について、より詳細に説明する。図5は、本実施形態に係るトンネル掘削機1の排土装置の概略構成を示す模式図である。
図1~図5に示すように、本実施形態では、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30との間の連結部材40に、巨礫2等を破砕するクラッシャーとして機能する押圧装置60が設置される。
ここで、まず、本実施形態に係るトンネル掘削機1において、排土装置として複数のスクリューコンベヤ20、30を設置する技術的意義について説明する。
一般に、トンネル掘削機において、1つのスクリューコンベヤだけを設置する構成では、当該スクリューコンベヤからの排出土砂の処理を行い難いという問題がある。例えば、隔壁の直後に傾斜配置されたスクリューコンベヤでは、その土砂排出口も傾斜しているので、当該傾斜した土砂排出口からの排土処理に対処する必要があるという問題がある。また、当該スクリューコンベヤの土砂排出口が、掘削機本体内の後方作業台付近に配置されることになるが、当該後方作業台付近には他の様々な設備も配置する必要があるため、これらの設備間での設置スペースの取り合いの問題も生じる。
これら問題を解決するため、本実施形態に係るトンネル掘削機1では、複数のスクリューコンベヤを直列的に接続し、例えば、傾斜配置された第1スクリューコンベヤ20の後段に、水平配置された第2スクリューコンベヤ30を設置する。これにより、掘削機本体10内において、第2スクリューコンベヤ30の土砂排出口32bを、排出土砂の処理をし易い後方位置(隔壁12から後方に十分に離れた位置)に配置できる。さらに、第2スクリューコンベヤ30の土砂排出口32bが水平配置されている。よって、当該土砂排出口32bからの排出土砂の処理を容易に行うことができる。なお、場合によっては、上記第1スクリューコンベヤ20および第2スクリューコンベヤ30の後段に、さらに第3スクリューコンベヤ、第4スクリューコンベヤ等を追加設置してもよい。
また、1つのスクリューコンベヤだけを設置する構成では、当該スクリューコンベヤの土砂排出口から土砂が噴発する可能性があるという問題がある。特に、大口径のトンネル掘削機の場合、スクリューコンベヤの土砂排出口は、ホッパー(受け箱)または連続ベルトコンベヤなどの後段の排土設備に対向配置されるため、大気圧下に設置される。このため、当該スクリューコンベヤの土砂排出口からの土砂の噴発を確実に回避することが求められる。
この点、本実施形態では、図1および図5等に示すように、2つ以上のスクリューコンベヤ(例えば、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30)を直列的に連結することにより、スクリューコンベヤ20、30の総延長を長くすることができる。したがって、長いスクリューコンベヤ20、30内で掘削土砂を運搬する間に、スクリュー羽根21、31の抵抗力や、掘削土砂と筒体22、32との摩擦力などによって、運搬流路内の土砂圧を減衰することができる。よって、最後部のスクリューコンベヤ(例えば、第2スクリューコンベヤ30)の後端部の土砂排出口32b付近における土砂圧P3を低減できるので、当該土砂排出口32bから土砂が噴発することを抑制することができる。
以上の理由から、近年では、大口径かつ長距離のトンネル掘削施工においては、本実施形態のように2つ以上のスクリューコンベヤを連結した構成を採用するケースが増えている。
次に、2つのスクリューコンベヤ20、30の延在方向(土砂の運搬方向)が異なることの技術的意義について説明する。
上述したように、本実施形態では、図1および図5等に示すように、第1スクリューコンベヤ20は、掘削機本体10の後方側に向けて、傾斜した第1方向(第1の運搬方向)に延びるように傾斜配置される。一方、第2スクリューコンベヤ30および連結部材40は、掘削機本体10の後方側に向けて、略水平な第2方向(第2の運搬方向)に延びるように水平配置される。
このように、傾斜配置された第1スクリューコンベヤ20による掘削土砂の運搬方向(第1方向)は、水平配置された第2スクリューコンベヤ30による掘削土砂の運搬方向(第2方向)と異なる。2つのスクリューコンベヤ20、30の運搬方向(第1方向と第2方向)を異ならせることによって、掘削土砂の流れに変化を生じさせることとなり、両スクリューコンベヤ20、30内における土砂圧の減衰を促進できる。したがって、図5に示すように、第2スクリューコンベヤ30の後端部内における土砂圧P3を、チャンバ17内の土水圧P0や第1スクリューコンベヤ20の後端部内の土砂圧P1よりも低減できる。よって、第2スクリューコンベヤ30の後端部の土砂排出口32bからの土砂の噴発を抑制できる。
また、本実施形態に係る連結部材40も、第2スクリューコンベヤ30と同様に、略水平方向に延びるように配置されている。つまり、筒状の連結部材40の軸方向が略水平方向となるように、連結部材40が配置されている。
押圧装置60は、このように水平配置された連結部材40に設置され、当該連結部材40内の破砕スペース3において、巨礫2等の破砕対象物を押圧して破砕する。これにより、破砕処理時に、押圧装置60により押圧される破砕対象物が、押圧装置60から水平方向に逃げ難いので、連結部材40内で破砕対象物を安定的に破砕可能となる。これに対し、上記特許文献2に記載の従来技術のように傾斜配置されたスクリューコンベヤの先端部内で破砕対象物を押圧する場合は、破砕対象物が斜め下方に逃げ易いという問題があった。本実施形態によれば、かかる問題を解決して、破砕対象物を安定的に破砕でき、破砕作業の作業性や効率性を向上できる。
次に、2つのスクリューコンベヤ20、30の間に押圧装置60(クラッシャー)を設置することの技術的意義について説明する。
本実施形態では、第1スクリューコンベヤ20の駆動部23や第1ゲート44よりも後方の位置であって、かつ、第2スクリューコンベヤ30のスクリュー羽根31の先端より前方の位置に、押圧装置60を設置する。
第1スクリューコンベヤ20のスクリュー羽根21は、傾斜配置された筒体22の内部に収まるように配置され、水平配置された連結部材40の内部には配置されていない。一方、第2スクリューコンベヤ30のスクリュー羽根31は、水平配置された筒体32の内部に収まるように配置されるか(図示せず。)、あるいは、図2等に示すようにスクリュー羽根31の先端が当該筒体32から前方に少しだけ突出して、連結部材40内に部分的に配置される。いずれにしろ、第2スクリューコンベヤ30のスクリュー羽根31の先端は、押圧装置60の設置位置よりも後方に配置される。
このように、本実施形態では、かかる第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30との間の連結部材40に、クラッシャーとして押圧装置60が設置される。これにより、水平配置された連結部材40内において土砂の運搬流路が水平になった箇所(破砕スペース3)で、押圧装置60によって巨礫2等の破砕対象物を破砕できる。したがって、上記特許文献2に記載のような傾斜配置されたスクリューコンベヤ内で破砕する場合と比べて、押圧時の破砕対象物の逃げを抑制でき、破砕対象物を安定的に破砕できる。
さらに、本実施形態によれば、連結部材40のうち、スクリューコンベヤ20、30のスクリュー羽根21、31が常時存在しない位置に押圧装置60が設置される。これにより、上記特許文献2に記載の従来技術のように、スライド機構を用いてスクリュー羽根を後退させて破砕スペースを一時的に形成する作業を行う必要がなく、破砕作業のためにスクリューコンベヤの稼働を停止して排土作業を中断する必要がない。したがって、本実施形態によれば、スクリューコンベヤ20、30による排土作業を中断することなく、スクリューコンベヤ20、30と押圧装置60を常時稼働させながら、押圧装置60による破砕作業を排土作業と同時並行で行うことができる。よって、掘削作業や排土作業の作業効率を向上できる。
また、本実施形態によれば、掘削機本体10内において、他の設備で混み合った隔壁12の背後の位置ではなく、隔壁12から後方に離隔して比較的スペースに余裕がある位置(連結部材40の位置)に、押圧装置60が配置されている。これにより、押圧装置60を容易に点検、修理、交換することができ、押圧装置60のメンテナンス性を向上できる。
また、本実施形態では、第1スクリューコンベヤ20の後端の連結部材40に第1ゲート44を設けて、土砂の運搬流路を遮断できるようになっている。この第1ゲート44を閉めることにより、第1スクリューコンベヤ20の後段の連結部材40や第2スクリューコンベヤ30からの土砂の噴発を抑制できる。したがって、第1ゲート44を設置するこことで、トンネル掘削機1のメンテナンスや仮発進に対応可能となる。さらに、第1ゲート44を閉じれば、押圧装置60を、より容易かつ安全に点検、修理、交換することができ、押圧装置60のメンテナンス性をさらに向上できる。
ただし、本実施形態に係る押圧装置60の配置では、第1スクリューコンベヤ20を通過できないような大きさの巨礫等の異物を押圧装置60で破砕することはできない。また、第1スクリューコンベヤ20を通過できる程度の大きさの礫等の異物は、第2スクリューコンベヤ30も通過できる可能性はある。
しかし、礫等の異物は、等方な形状ではないので、異物の向き(姿勢)が変化した場合などに、当該異物が第2スクリューコンベヤ30で引っ掛かって通過できないことがある。このため、当該異物が第2スクリューコンベヤ30を確実に通過できるように、第2スクリューコンベヤ30の手前の連結部材40内の破砕スペース3において、当該異物を破砕しておくことが好ましい。これにより、第2スクリューコンベヤ30に異物が引っ掛かって排土処理に支障が生じることを防止できる。
また、第2スクリューコンベヤ30の排土先であるベルトコンベヤ50では、第1スクリューコンベヤ20および第2スクリューコンベヤ30を通過した異物であっても、ある程度大きいサイズの異物を運搬することが負担になる。これは以下の理由によるものである。ベルトコンベヤ50は、例えば、一定幅のゴム製のベルト上に掘削土砂を載せて運搬する装置であり、このゴム製のベルトは、所定間隔で配置される複数の支持ローラーによって支持されている。ここで、ある程度大きいサイズの異物をベルトコンベヤ50で運搬する場合、ベルト上に局所的に大きな異物が載ると、ベルトのバランスが崩れるため、異物や掘削土砂がベルトから落下する可能性がある。また、ベルトのバランスが崩れると、ベルトに過度な負担がかかるとともに、支持ローラーにも想定以上の負荷がかかる可能性がある。かかるベルトコンベヤ50の負担を避ける意味でも、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30の間の連結部材40内で、押圧装置60により異物を破砕しておくことは有益である。
[6.プラグゾーンについて]
次に、図1~図5を参照して、本実施形態に係る連結部材40内の破砕スペース3に形成されるプラグゾーン4と、押圧装置60による破砕処理との関係性について詳細に説明する。
図5に示すように、本実施形態に係る排土装置の構成によれば、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30の間の連結部材40内に、プラグゾーン4が形成される。つまり、当該連結部材40内の破砕スペース3に、第1スクリューコンベヤ20により破砕スペース3まで運搬された掘削土砂によりプラグゾーン4が形成される。かかるプラグゾーン4により、スクリューコンベヤ20、30内の土砂の運搬流路における止水効果と、土砂圧の減衰効果を促進できるので、第2スクリューコンベヤ30の土砂排出口32bにおける土砂の噴発を抑制できる。そして、押圧装置60は、連結部材40内の破砕スペース3で、プラグゾーン4を形成する掘削土砂に含まれる破砕対象物を押圧する。
さらに、本実施形態では、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30による掘削土砂の運搬方向(第1方向と第2方向)を異なる方向としている。これにより、掘削土砂の流れに変化を生じさせることとなり、スクリューコンベヤ20、30内の運搬流路における土砂圧の減衰をさらに促進でき、噴発をより確実に防止できる。かかるプラグゾーン4や運搬方向の変化による噴発防止効果について、以下に詳細に説明する。
上述したとおり、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30とでは、スクリュー羽根21、31や駆動部23、33を別々の構成とし、掘削土砂の運搬方向(第1方向と第2方向)を変化させている。この場合、傾斜配置された第1スクリューコンベヤ20によりチャンバ17から掘削土砂を取り込んでしまえば、その後、水平配置された第2スクリューコンベヤ30により掘削土砂を略水平方向に運搬することは、比較的容易である。
ここで、本実施形態では、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30との間の連結部材40内に、スクリュー羽根21、31が存在しない領域(プラグゾーン4)を設け、このプラグゾーン4に「搬送土砂によるプラグ」が形成されるようにする。
プラグゾーン4は、スクリューコンベヤ20、30による土砂の運搬流路においてスクリュー羽根21、31が存在しない領域である。ただし、プラグゾーン4は、軸付きタイプのスクリュー羽根の軸だけが存在し、羽根が存在しない領域を含んでもよい。プラグゾーン4では、スクリュー羽根21、31による掘削土砂の撹拌および混練機能や運搬機能が発揮されないため、プラグゾーン4において掘削土砂が滞留および圧密され得る。
かかるプラグゾーン4は、運搬流路における栓(プラグ)として機能し、掘削土砂の流動や土砂圧の伝達の妨げとなる。したがって、プラグゾーン4が存在することにより、スクリューコンベヤ20、30内の運搬流路における土砂圧の減衰を促進でき、第2スクリューコンベヤ30の後端部の土砂排出口32bからの土砂の奮発を防止可能となる。
詳細には、図5に示すように、カッタヘッド11により掘削される切羽の土水圧P0(=チャンバ17内の土水圧)と、第1スクリューコンベヤ20の後端部内の土砂圧P1と、第2スクリューコンベヤ30の前端部内の土砂圧P2と、第2スクリューコンベヤ30の後端部内の土砂圧P3とを考える。ここで、P0>P1>P2>P3である。
圧力差(P0-P1)は、第1スクリューコンベヤ20の筒体22と搬送土砂との摩擦力と、当該搬送土砂の自重による抵抗力とによって生じる。同様に、圧力差(P2-P3)は、第2スクリューコンベヤ30の筒体32と搬送土砂との摩擦力と、当該搬送土砂の自重による抵抗力とによって生じる。また、圧力差(P1-P2)は、プラグゾーン4による土砂圧の減衰効果によって生じる。
ここで、P3は、第2スクリューコンベヤ30の土砂排出口32bの近辺の圧力である。第2ゲート34における土砂通過抵抗により発生する抵抗圧力が、ベルトコンベヤ50側(大気圧)に対して立っているため、P3が生じる。もし、第2ゲート34が全開であれば、P3=大気圧となる。
圧力差(P0-P1)は、第1スクリューコンベヤ20内での減衰圧力を意味する。第1スクリューコンベヤ20のスクリュー羽根21がリボンタイプのスクリュー羽根である場合、スクリュー羽根の中央に穴(空間)があるため、切羽の土水圧P0が第1スクリューコンベヤ20内で伝わりやすい状況にある。したがって、圧力差(P0-P1)は、それほど期待はできない。
圧力差(P2-P3)は、第2スクリューコンベヤ30内での減衰圧力を意味する。第2スクリューコンベヤ30のスクリュー羽根31が軸付きタイプのスクリュー羽根である場合、土砂圧の減衰効果に優れるため、第2スクリューコンベヤ30の方が第1スクリューコンベヤ20よりも土砂圧の減衰を期待できると言える。
ただし、P3は、大気圧に対して、第2ゲート34における土砂通過抵抗により発生する圧力であるが、ほぼ大気圧であると言える。したがって、P3がほぼ大気圧であることを考えると、P2をなるべく小さくしておくことが、土砂排出口32bからの土砂の噴発の抑制と、施工の安全につながることになる。よって、圧力差(P1-P2)を発生させるプラグゾーン4のプラグの効果が重要となる。
第2スクリューコンベヤ30の土砂排出口32bからの土砂の噴発を防止し、安定的な排土作業を実現するためには、プラグゾーン4内の掘削土砂を圧密させることが好ましい。例えば、カッタヘッド11による掘削土量に対して、第1スクリューコンベヤ20、および、第2スクリューコンベヤ30による排出土量を調整することにより、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30の間のプラグゾーン4内で掘削土砂を圧密させることができる。
第1スクリューコンベヤ20では、チャンバ17に蓄積された掘削土砂の取り込みを重視して、比較的高い搬送力で運転を行う。一方、第2スクリューコンベヤ30では、後端部の土砂排出口32bからの土砂の排出制御を重視して、比較的低い搬送力で運転を行う。つまり、第2スクリューコンベヤ30では、土砂排出口32bに向けて土砂を搬送すると同時に、チャンバ17内の土水圧P0が土砂排出口32bに伝達することにより土砂排出口32bで土砂が噴発することのないように、第2スクリューコンベヤ30は、第1スクリューコンベヤ20よりも土砂の搬送力を低下させた状態で運転する。
かかる運転状態の例として、仮に、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30を、同じサイズとし、かつ、同じスクリュー羽根方式(例えば、両方とも軸付きタイプのスクリュー羽根)とした場合を考える。この場合、第1スクリューコンベヤ20では、チャンバ17からの掘削土砂の取込性能を重視して、スクリュー羽根21の回転速度を速くして運転する。一方、第2スクリューコンベヤ30では、搬送土砂の排出制御(噴発防止等)を重視して、スクリュー羽根31の回転速度を遅くして運転する。これにより、第2スクリューコンベヤ30による土砂の搬送力を第1スクリューコンベヤ20よりも低下させることができる。
このように、本実施形態では、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30との間で、意図の異なる運転を行い、第2スクリューコンベヤ30では、第1スクリューコンベヤ20よりも土砂の搬送力を低下させた状態で運転する。このために、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30は、別個独立したスクリュー羽根21、31と駆動部23、33を備えている。この結果、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30の間には、多少なりともスクリュー羽根21、31が存在しない空間(破砕スペース3、兼、プラグゾーン4)が形成されることになる。
そして、第1スクリューコンベヤ20において、掘削土砂の取り込みを重視して搬送された掘削土砂は、第2スクリューコンベヤ30において、排出制御を重視して搬送される。このため、第2スクリューコンベヤ30の先端部における土砂の取込量は、第1スクリューコンベヤ20による掘削土砂の搬送量より若干少なくなる。したがって、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30との間の連結部材40の内部空間(破砕スペース3)において、搬送土砂の滞留が生じ、搬送土砂の軽い閉塞が発生する。この結果、チャンバ17内の土水圧P0(≒掘削地山圧力)と、第2スクリューコンベヤ30の土砂排出口32b付近における土砂圧P3(≒大気圧)とを遮断するプラグゾーン4が、連結部材40の内部空間(破砕スペース3)に形成されることになる。かかるプラグゾーン4は、スクリューコンベヤ20、30内の運搬流路における止水効果や土砂圧の減衰促進効果を発揮する。
本実施形態では、このプラグゾーン4を破砕スペース3としても利用して、当該破砕スペース3の位置で、礫等の破砕対象物を押圧装置60により押圧、破砕する構成を採用している。
ここで、トンネル掘削機1が正常な掘削動作を連続的に行っている場合、第1スクリューコンベヤ20による搬送土砂を、連結部材40を介して第2スクリューコンベヤ30が取り込むことに支障はない。ただし、連結部材40内のプラグゾーン4(破砕スペース3)には、スクリュー羽根21、31が設けられていないので、搬送土砂に礫等の大きな異物が含まれていると、たとえ第1スクリューコンベヤ20が第2スクリューコンベヤ30と同じ仕様およびサイズであり、異物が第1スクリューコンベヤ20を通過したとしても、異物の形状に異方性などがあるため、連結部材40から第2スクリューコンベヤ30への搬送土砂の取り込みを阻害する要因となる場合がある。
また、掘削施工において他の設備の段取り替えなどで、掘削停止期間が長くなった場合や、セグメントの組立作業で掘削を停止した場合などに、上記のプラグゾーン4において搬送土砂が固着してしまうことがある。そもそも、プラグゾーン4では、搬送土砂の軽い閉塞を意図的に発生させているので、搬送土砂の固着が発生しやすい。特に、粘着性の高い土砂からなる地山を掘削する場合には、当該固着の問題が顕著になる。この場合、プラグゾーン4では、スクリュー羽根21、31が設けられておらず、搬送土砂の撹拌および混練機能を発揮できないため、上記固着を解消できない状態が発生することがある。
以上のように、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30の間にプラグゾーン4が形成されることにより、土砂の運搬流路における止水効果や土砂圧の減衰促進効果を発揮できる。一方、かかるプラグゾーン4が存在すると、プラグゾーン4における土砂の圧密や固着が発生して土砂塊が形成されてしまい、搬送土砂の流動や取り込みが阻害されるという問題が発生し得る。また、第1スクリューコンベヤ20内を通過して、プラグゾーン4に至った礫等の異物が、第2スクリューコンベヤ30に好適に取り込まれ難くなるという問題も発生し得る。
そこで、本実施形態では、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30との間のプラグゾーン4に対応する位置(連結部材40の位置)に、押圧装置60を設置する。そして、押圧装置60の押圧部66が連結部材40内のプラグゾーン4(即ち、破砕スペース3)に進退して、プラグゾーン4の土砂を押圧する機構を採用している。これにより、プラグゾーン4の搬送土砂に含まれる巨礫2等の破砕対象物を破砕するだけでなく、プラグゾーン4において上記固着した土砂塊に対して強制的な動きを付与することで、土砂塊を圧壊して固着状態を解消できる。よって、本実施形態に係る押圧装置60により、礫等による搬送障害の問題だけでなく、プラグゾーン4における土砂の固着の問題も解消することができる。
さらに、本実施形態によれば、第1スクリューコンベヤ20では、礫の取込および運搬性能に優れた、リボンタイプのスクリュー羽根21を用いる。一方、第2スクリューコンベヤ30では、スクリュー羽根31自体による土砂圧の減衰機能に優れた、軸付きタイプのスクリュー羽根31を用いる。この場合、軸付きタイプのスクリュー羽根31により運搬可能な礫の最大サイズは、リボンタイプのスクリュー羽根21により運搬可能な礫の最大サイズよりも小さくなる。このため、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30との間の連結部材40に押圧装置60を設けて、第2スクリューコンベヤ30の前段で礫等を破砕可能にすれば、第2スクリューコンベヤ30の軸付きタイプのスクリュー羽根31による礫の取込および運搬性能の低さを補うことができるので、よりメリットがある。
また、第1スクリューコンベヤ20のサイズ(例えば、筒体22の直径、または、筒体22の内部空間の断面積など)を、第2スクリューコンベヤ30のサイズ(例えば、筒体32の直径、または、筒体32の内部空間の断面積など)よりも大きなものにしてもよい。第1スクリューコンベヤ20のサイズを大きくすることで、より大きな礫が取込めるようになるため、チャンバ17における大きな礫の滞留を防ぐことが可能となる。また、第1スクリューコンベヤ20のサイズが大きいことで、高い搬送力で運転することができることとなる。
一方、第2スクリューコンベヤ30のサイズを小さくすることで、土砂搬送における抵抗を大きくし土砂圧の減衰機能を確保するとともに、土砂の排出制御を重視した低い搬送力で運転することができることになる。
この場合、第2スクリューコンベヤ30により運搬可能な礫の最大サイズは、第1スクリューコンベヤ20により運搬可能な礫の最大サイズよりも小さくなる。このため、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30との間の連結部材40に押圧装置60を設けて、第2スクリューコンベヤ30の前段で礫等を破砕可能にすれば、第2スクリューコンベヤ30による運搬可能な礫の最大サイズが小さくなることを補うことができるので、メリットがある。
[7.押圧装置の変更例]
次に、図6および図7を参照して、本実施形態の変更例に係る押圧装置60(クラッシャー)について説明する。図6は、本実施形態の変更例に係る複数の押圧装置60と連結部材40を示す斜視図である。図7は、本実施形態の変更例に係る押圧装置60の動作を示す模式図である。
上述した実施形態では、図3および図4に示すように、1つの押圧装置60(一対の押圧機構62L、62R)が連結部材40に設置される例について説明した。しかし、本発明はかかる例に限定されず、複数の押圧装置60が連結部材40に設けられてもよい。例えば、図6および図7に示すように、2つの押圧装置60A、60B(二対の押圧機構62L、62R)が、連結部材40の軸方向に並設されてもよい。この変更例に係る複数の押圧装置60A、60Bについて以下に詳述する。
図6および図7に示すように、本実施形態の変更例では、押圧装置60として、第1押圧装置60Aと第2押圧装置60Bが、連結部材40の軸方向に直列的に並ぶように設置される。これにより、2つの押圧装置60A、60Bによって、巨礫2等の破砕対象物を、破砕し損ねることなく、確実に破砕できるようになる。
第1押圧装置60Aは、連結部材40の筒体42の前部側に設置され、第2押圧装置60Bは、連結部材40の筒体42の後部側に設置される。第1押圧装置60Aは、連結部材40の径方向の左右両側に一対の押圧機構62L、62Rを備える。同様に、第2押圧装置60Bも、連結部材40の径方向の左右両側に一対の押圧機構62L、62Rを備える。この結果、合計4つの押圧機構62L、62R、62L、62R(以下、押圧機構62と総称する場合がある。)が、連結部材40の軸方向に対称、かつ左右対称に配置される。なお、各々の押圧機構62は、上述したベース部63と、油圧ジャッキのボディ64およびピストンロッド65と、押圧部66を備えているが、これら各部の詳細説明は省略する。
さらに、トンネル掘削機1は、これら2つの押圧装置60A、60B(以下、押圧装置60と総称する場合もある。)の動作を制御する制御部(図示せず。)を備える。制御部は、例えば、押圧装置60を制御するための専用の制御盤、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置で構成されてもよいし、あるいは、トンネル掘削機1の掘削動作を制御する制御装置と兼用されてもよい。制御部は、プロセッサ、メモリ、ストレージ、通信装置、入力装置、出力装置などを備える。プロセッサは、メモリまたは他の記憶媒体に記憶されているプログラムを実行することにより、押圧装置60の制御処理を実行する。制御部は、押圧装置60に接続されており、押圧装置60の動作を制御するための制御信号を押圧装置60に出力する。
かかる制御部により、2つの押圧装置60A、60Bの押圧動作を適切に制御することにより、当該押圧動作に起因して、連結部材40内において土砂圧の変動が生じ、スクリューコンベヤ20、30内の運搬流路の土砂圧が意図しない変動を起こすことを抑制することが可能となる。この原理について以下に説明する。
制御部は、図7に示すように、第1押圧装置60Aの一対の押圧機構62L、62Rの押圧部66、66と、第2押圧装置60Bの一対の押圧機構62L、62Rの押圧部66、66とが、破砕スペース3に対して交互に進退するように、第1押圧装置60Aおよび第2押圧装置60Bの押圧動作を制御する。具体的には、第1押圧装置60Aおよび第2押圧装置60Bのうち一方が押し動作(押圧動作)をするときは、他方が引き動作(退避動作)をするように、第1押圧装置60Aの押圧部66、66と第2押圧装置60Bの押圧部66、66を交互に進退させる。例えば、図7(a)に示すように、第1押圧装置60Aの押圧部66、66が、連結部材40内の破砕スペース3に向けて前進して押圧位置に配置されるときには、第2押圧装置60Bの押圧部66、66が、破砕スペース3から後退して退避位置に配置される。一方、図7(b)に示すように、第1押圧装置60Aの押圧部66、66が、破砕スペース3から後退して退避位置に配置されるときには、第2押圧装置60Bの押圧部66、66が、破砕スペース3に向けて前進して押圧位置に配置される。
このように、第1押圧装置60Aと第2押圧装置60Bが交互に押し動作(押圧動作)と引き動作(退避動作)を行い、双方の押圧装置60A、60Bが同時に押し動作(押圧動作)を行わないように制御する。さらに、第1押圧装置60Aと第2押圧装置60Bのうち一方が押し動作(押圧部66の前進)を行うと同時に、他方が引き動作(押圧部66の後退)を行うように、押圧装置60A、60Bの4つの押圧部66の進退動作を総合的に制御することが好ましい。
ここで、2つの押圧装置60A、60Bが備える4つの押圧部66のうち、破砕スペース3に進出している部分の体積V1、V2、V3、V4を合計した合計体積V(=V1+V2+V3+V4)を考える。当該合計体積Vの分だけ、スクリューコンベヤ20、30および連結部材40の内部空間(土砂の運搬流路)の容積が減る。このため、押圧装置60A、60Bの押圧動作に伴い合計体積Vが大きく増減してしまうと、当該運搬流路の容積も大きく増減するので、当該運搬流路内の土砂圧も周期的に変動(脈動)してしまい、土砂の噴発の発生原因になってしまう。
そこで、本実施形態では、2つの押圧装置60A、60Bの押圧動作を上記のように制御する。これにより、2つの押圧装置60A、60Bが備える4つの押圧部66のうち、破砕スペース3に進出している部分の合計体積V(=V1+V2+V3+V4)の変動を低減でき、当該合計体積Vをほぼ一定に維持できる。したがって、スクリューコンベヤ20、30および連結部材40内の運搬流路で、2つの押圧装置60A、60Bの押圧動作に起因した土砂圧の変動(脈動)が発生することを抑制できる。したがって、当該運搬流路内の土砂圧をできるだけ一定圧に維持できるので、第2スクリューコンベヤ30の土砂排出口32bにおける土砂の噴発の発生を抑制できる。
なお、図6および図7の例では、2つの押圧装置60A、60Bを連結部材40の軸方向に並設する例について説明したが、かかる例に限定されず、3つ以上の押圧装置60を連結部材40に設けてもよい。押圧装置60の設置数が多いほど、複数の押圧装置60による破砕機会が増えるので、破砕対象物をより確実に破砕できるようになる。また、図6および図7の例では、2つの押圧装置60A、60Bは、連結部材40の軸方向に並設されているが、2つの押圧装置を、軸方向としては同一位置で、連結部材40の径方向の断面における略水平方向と略上下方向に方向を変えて、設置してもよい。また、図6および図7の例では、各押圧装置60A、60Bが一対の押圧機構62L、62Rを備え、両側より破砕対象物を挟み込んで押圧する例について説明したが、かかる例に限定されず、各押圧装置60が1つの押圧機構62のみを備えて、片側より破砕対象物を押圧する構成であってもよい。
また、図6および図7の例では、制御部は、第1押圧装置60Aの押圧部66と第2押圧装置60Bの押圧部66とが、破砕スペース3に対して交互に進退するように、第1押圧装置60Aおよび第2押圧装置60Bを制御した。しかし、かかる例に限定されず、例えば、連結部材40に3つ以上の押圧装置60を設けた場合、制御部は、これら押圧装置60の3つ以上の押圧部66が破砕スペース3に対して決められた順序で進退するように、当該押圧装置60を制御してもよい。これによっても、上述した2つの押圧装置60A、60Bの押圧部66を交互に進退させる場合と同様、3つ以上の押圧装置60が備える3つ以上の押圧部66のうち、破砕スペース3に進出している部分の合計体積Vの変動を低減でき、当該合計体積Vをほぼ一定に維持できる。したがって、スクリューコンベヤ20、30および連結部材40内の運搬流路で、3つ以上の押圧装置60の押圧動作に起因した土砂圧の変動(脈動)が発生することを抑制できる。よって、当該運搬流路内の土砂圧をできるだけ一定圧に維持できるので、第2スクリューコンベヤ30の土砂排出口32bにおける土砂の噴発の発生を抑制できる。
[8.第2の実施形態]
次に、図8および図9を参照して、本発明の第2の実施形態に係るトンネル掘削機1の構成について説明する。図8は、第2の実施形態に係るトンネル掘削機1を示す概略断面図である。図9は、第2の実施形態に係る連結部材40の周辺構成を示す部分拡大断面図である。
第2の実施形態に係るトンネル掘削機1は、上述した第1の実施形態に係るトンネル掘削機1(図1等参照。)と比べて、第1スクリューコンベヤ20、第2スクリューコンベヤ30、連結部材40および押圧装置60など排土装置の構成や配置、連結態様が相違し、その他の構成要素は、第1の実施形態と共通する。そこで、以下では主に、第2の実施形態の特徴である排土装置について説明し、第1の実施形態と共通する他の構成要素については詳細説明を省略する。
図8および図9に示すように、第2の実施形態に係るトンネル掘削機1は、排土装置として、第1スクリューコンベヤ20(1次スクリューコンベヤ)と、第2スクリューコンベヤ30(2次スクリューコンベヤ)と、連結部材40と、ベルトコンベヤ50とを備える。
第1スクリューコンベヤ20は、チャンバ17内の掘削土砂を取り込む1次スクリューコンベヤとして機能する。第1スクリューコンベヤ20は、隔壁12に形成された排出口12aに連結され、チャンバ17内に蓄えられた掘削土砂を、掘削機本体10の後方側の第1方向に運搬する。第1スクリューコンベヤ20は、掘削機本体10の後方側に向けて、傾斜した第1方向(第1の運搬方向)に延びるように傾斜配置される。この第1方向は、掘削機本体10の後方に向かうにつれて登るように傾斜した方向である。第1方向の傾斜角は、例えば10~40°であり、トンネル掘削機1の口径や全長、他の設備の配置等の各種仕様に応じて適宜調整される。
第1スクリューコンベヤ20は、スクリュー羽根21と、筒体22と、駆動部23とを備える。
スクリュー羽根21は、礫等を含む掘削土砂の取込性能と運搬性能の観点からは、図8および図9に示すようなリボンタイプのスクリュー羽根であることが好ましい。ただし、スクリュー羽根21は、軸付タイプのスクリュー羽根(図示せず。)であってもよい。
筒体22は、スクリュー羽根21を内包する略円筒状のケーシングである。筒体22の前端の開口部である土砂取込口22aは、隔壁12に形成された排出口12aに接続されている。これにより、第1スクリューコンベヤ20の内部空間は、隔壁12の排出口12aおよび土砂取込口22aを通じてチャンバ17と連通可能になる。一方、筒体22の後部(駆動部23の前方付近)の周面のうち例えば下側には、土砂排出用の開口部である土砂排出口22bが形成されている。土砂排出口22bは、スクリュー羽根21により筒体22内の後方側に運搬された掘削土砂を、筒体22の外部に排出するための開口部である。この土砂排出口22bは、連結部材40の上側の開口部に接続されている。これにより、土砂排出口22bから排出された掘削土砂等は、連結部材40の内部空間に供給される。
駆動部23は、スクリュー羽根21を回転駆動させるモータ等の駆動装置で構成される。駆動部23は、例えば、筒体22の後端部に取り付けられ、スクリュー羽根21を回転可能に支持する。駆動部23によりスクリュー羽根21を回転させることで、スクリュー羽根21によって掘削土砂が筒体22内の前方側から後方側に向けて運搬される。
以上のように、第1スクリューコンベヤ20は、掘削機本体10の内部空間のうち隔壁12の直後に傾斜して配置される。第1スクリューコンベヤ20のスクリュー羽根21を回転駆動させることで、チャンバ17内に蓄えられた掘削土砂を土砂取込口22aから第1スクリューコンベヤ20内に取り込み、掘削機本体10の後方(第1の運搬方向)に向けて運搬し、土砂排出口22bから連結部材40に排出することができる。
第2スクリューコンベヤ30は、第1スクリューコンベヤ20の後段に設けられ、第1スクリューコンベヤ20により運搬された掘削土砂を、さらに後方に運搬する2次スクリューコンベヤとして機能する。第2スクリューコンベヤ30は、掘削機本体10の後方側に向けて、傾斜した第2方向(第2の運搬方向)に延びるように傾斜配置される。この第2方向は、掘削機本体10の後方に向かうにつれて登るように傾斜した方向である。第2方向の傾斜角は、上記第1方向の傾斜角よりも小さく、例えば10~20°であり、トンネル掘削機1の口径や全長、他の設備の配置等の各種仕様に応じて適宜調整される。このように、第2方向(第2の運搬方向)は、傾斜方向ではあるが、上記第1方向(第1の運搬方向)の傾斜方向とは異なる方向に設定されることが好ましい。これにより、スクリューコンベヤ20、30内の運搬流路における土砂圧の減衰効果を好適に発揮できる。
なお、第2方向の傾斜角を第1方向の傾斜角と同一にし、第1方向と第2方向が同一の傾斜方向に延びるようにしてもよい。この場合、第1方向と第2方向は、連結部材40を介していることで、同一直線上にない方向となり、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30とが、同一直線上にはない接続態様で接続された構成となる。かかる構成であっても、掘削土砂の流れに変化を生じさせることとなり、これらスクリューコンベヤ20、30内の運搬流路における土砂圧の減衰効果を発揮できる。
第2スクリューコンベヤ30は、スクリュー羽根31と、筒体32と、駆動部33と、第2ゲート34とを備える。
スクリュー羽根31は、例えば、図8および図9に示すような軸付タイプのスクリュー羽根であることが好ましい。これにより、第2スクリューコンベヤ30内でスクリュー羽根31により土砂圧を減衰させて、土砂排出口32bからの土砂の噴発を抑制することができる。ただし、スクリュー羽根31は、リボンタイプのスクリュー羽根(図示せず。)であってもよい。
筒体32は、スクリュー羽根31を内包する略円筒状のケーシングである。筒体32の前部の周面のうち例えば上側には、土砂取込用の開口部である土砂取込口32aが形成されている。土砂取込口32aは、連結部材40の下側の開口部に接続されている。これにより、第2スクリューコンベヤ30の内部空間は、連結部材40を介して第1スクリューコンベヤ20と連通可能になる。一方、筒体32の後部(駆動部33の前方付近)の下部側には、土砂排出用の開口部である土砂排出口32bが形成されている。土砂排出口32bは、スクリュー羽根31により筒体32内の後方側に運搬された掘削土砂を、筒体32の外部に排出するための開口部である。土砂排出口32bから排出された掘削土砂等は、例えば、ベルトコンベヤ50により、掘削機本体10のさらに後方に向けて運搬される。
駆動部33は、スクリュー羽根31を回転駆動させるモータ等の駆動装置で構成される。駆動部33は、例えば、筒体32の後端部に取り付けられ、スクリュー羽根31を回転可能に支持する。駆動部33によりスクリュー羽根31を回転させることで、スクリュー羽根31によって掘削土砂が筒体32内の前方側から後方側に向けて運搬される。
第2ゲート34は、第2スクリューコンベヤ30の土砂排出口32bを開閉する機能を有する。第2ゲート34は、例えば、アクチュエータ等の駆動装置によりゲート板をスライドさせるゲート装置で構成され、土砂排出口32bを閉塞するようにゲート板をスライドさせる。かかる第2ゲート34により、第2スクリューコンベヤ30の土砂排出口32bを開閉することで、土砂排出口32bからの掘削土砂の排出作業を実施または中断することができる。
連結部材40は、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30を連結する機能を有する。連結部材40は、筒状の部材で構成される。連結部材40は、第1スクリューコンベヤ20の後部下側の土砂排出口22bと、第2スクリューコンベヤ30の前部上側の土砂取込口32aとを連結する。連結部材40を設けることにより、第1スクリューコンベヤ20の内部空間が、連結部材40の内部空間を通じて、第2スクリューコンベヤ30の内部空間と連通する。
このように第2の実施形態でも、第1スクリューコンベヤ20、連結部材40および第2スクリューコンベヤ30の内部空間は、相互に連通しており、掘削土砂の運搬流路となる。また、連結部材40の内部の中空空間は、掘削土砂の運搬流路として機能するだけでなく、巨礫2等の異物(破砕対象物)を破砕するための破砕スペース3としても機能する。
図9に示すように、連結部材40は、筒体42と、第1ゲート44と、篩46とを備える。
筒体42は、筒状の部材、例えば金属管で構成される。連結部材40の筒体42の筒形状は、第1スクリューコンベヤ20の筒体22および第2スクリューコンベヤ30の筒体32の筒形状に合わせた形状と大きさを有することが好ましい。本実施形態では、連結部材40の筒体42は、円筒状を有するが、かかる例に限定されず、四角形、多角形、楕円形など任意の筒形状であってもよい。
筒体42の上端の開口部は、第1スクリューコンベヤ20の後部下側の土砂排出口22bと接続されている。連結部材40の下端の開口部は、第2スクリューコンベヤ30の前部上側の土砂取込口32aに接続されている。このように筒体42は、その軸方向が斜め上下方向または鉛直方向に延びるように配置され、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30を連結する。
また、第2の実施形態のように傾斜配置される第2スクリューコンベヤ30の前端部を連結部材40に接続する場合も、上記第1の実施形態の球面ジョイント43(図1参照。)のように、第2スクリューコンベヤ30の方向調整のための球面軸受(または単なる旋回用軸受)を連結部材40に設けてもよい。これにより、第2スクリューコンベヤ30の後部側が、カーブしたトンネルTの内壁や、トンネル掘削機1の他の設備と干渉することを回避できる。
なお、球面ジョイント43は、連結部材40と第1スクリューコンベヤ20との接続部に設けてもよい。
第1ゲート44は、連結部材40内の土砂の運搬流路を開閉する機能を有する。第1ゲート44は、連結部材40の筒体42の上部側に設けられる。第1ゲート44は、例えば、アクチュエータ等の駆動装置によりゲート板をスライドさせるゲート装置で構成され、筒体42を横断するようにゲート板をスライドさせる。かかる第1ゲート44により、連結部材40内の土砂の運搬流路を開閉することで、第1スクリューコンベヤ20の内部空間と第2スクリューコンベヤ30の内部空間とを連通させたり、遮断したりすることができる。第1ゲート44の作用効果は、第1の実施形態と同様である。
篩46は、連結部材40の内部に設けられ、掘削土砂を通過させつつ、当該掘削土砂に含まれる礫等の異物(破砕対象物)を分離する機能を有する。篩46は、連結部材40の筒体42の下部側に、筒体42を径方向に横断するように設置される。篩46のメッシュ幅は、破砕対象物である礫等の異物のサイズよりも小さく、かつ、掘削土砂の粒径よりも大きい。これにより、篩46は、比較的小さい掘削土砂と、比較的大きい礫等の異物(破砕対象物)とを篩い分けることができる。
かかる篩46を連結部材40内に設けることで、第1スクリューコンベヤ20の土砂排出口22bから連結部材40内に掘削土砂を排出した際、掘削土砂は篩46を通過するが、礫等の破砕対象物は、篩46を通過できずに、篩46の上に残存する。したがって、第2の実施形態では、連結部材40内の中空空間のうち篩46よりも上側の空間が、破砕対象物を破砕するための破砕スペース3として機能する。
なお、篩46は、連結部材40内を通過可能な礫等の破砕対象物のサイズを規制するための規制部材として機能する。この規制部材の詳細については後述する。
さらに、連結部材40には、破砕スペース3に対応する位置に少なくとも1つの押圧装置60が設けられている。第2の実施形態に係る押圧装置60は、第1の実施形態(図3等参照)と同様に、連結部材40の径方向の両側に設けられる一対の押圧機構62L、62Rを備えてもよいし、連結部材40の径方向の一側に設けられる1つの押圧機構62を備えてもよい。また、各押圧機構62は、第1の実施形態と同様に、ベース部63と、油圧ジャッキのボディ64およびピストンロッド65と、押圧部66とを備えてもよい。
第2の実施形態に係る押圧装置60は、連結部材40のうち篩46よりも上方の位置に設置される。押圧装置60の押圧部66は、連結部材40内における篩46の上側の破砕スペース3に対して進退可能に設けられる。押圧装置60は、第1スクリューコンベヤ20の土砂排出口22bから排出されて連結部材40内に落下した掘削土砂のうち、篩46の上側の破砕スペース3に残存している破砕対象物を、押圧部66により押圧して破砕する。
以上、説明したように、第2の実施形態によれば、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30はともに傾斜配置されている。第1スクリューコンベヤ20の土砂排出口22bは、筒体22の後部の周面に設けられ、第2スクリューコンベヤ30の土砂取込口32aは、筒体32の前部の周面に設けられ、連結部材40は、土砂排出口22bと土砂取込口32aとを連結している。例えば、図8および図9の例では、第1スクリューコンベヤ20の土砂排出口22bは、筒体22の後部の下側に設けられている。また、第2スクリューコンベヤ30の土砂取込口32aは、筒体32の前部の上側に設けられ、第1スクリューコンベヤ20の土砂排出口22bの下方に配置されている。そして、連結部材40は、第1スクリューコンベヤ20の土砂排出口22bと第2スクリューコンベヤ30の土砂取込口32aとを上下方向に連結する。
このように、第2の実施形態では、複数のスクリューコンベヤ20、30を直列的に並設する構成において、傾斜配置された第1スクリューコンベヤ20の土砂排出口22bを下に向け、第2スクリューコンベヤ30も傾斜配置されている。かかるスクリューコンベヤ20、30の配置構成は、第1スクリューコンベヤ20のスクリュー羽根21をメンテナンスするためにスクリュー羽根21を後方に引き抜く機構を装備する場合などに、採用される。
かかるスクリューコンベヤ20、30の配置構成において、連結部材40内には、破砕対象物よりも小さいメッシュ幅を有する篩46が設けられており、押圧装置60は、連結部材40内において篩46よりも上側に位置する破砕スペース3で、破砕対象物を押圧して破砕する。
このように、第2スクリューコンベヤ30内に一定サイズ以上の礫等の異物を取り込まないように、第2スクリューコンベヤ30の土砂取込口32aの上側の連結部材40内に篩46が設けられとともに、この篩46の上側の破砕スペース3に対応する位置に押圧装置60が設置される。したがって、第1スクリューコンベヤ20により巨礫2等の破砕対象物を取り込んだ場合であっても、第1スクリューコンベヤ20から排出された破砕対象物を連結部材40内の篩46の上の破砕スペース3に溜めて、押圧装置60により当該破砕対象物を押圧して、一体サイズ以下の細片に破砕できる。破砕された細片は、篩46を通過して、第2スクリューコンベヤ30に導入される。よって、第2スクリューコンベヤ30は、破砕された細片と掘削土砂を取り込んで運搬すればよいので、第2スクリューコンベヤ30による掘削土砂の取込および運搬時に、巨礫2等の異物による障害が発生しない。
また、第2の実施形態では、第1スクリューコンベヤ20の後端部と第2スクリューコンベヤ30の前端部を、連結部材40により上下方向に接続し、当該連結部材40が、両スクリューコンベヤ20、30による土砂の運搬方向を変化させる役割を果たしている。このように、連結部材40を用いて第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30による土砂の運搬方向(第1方向と第2方向)を変えることで、掘削土砂の流れに変化を生じさせることとなり、両スクリューコンベヤ20、30内の土砂圧の減衰を促進することができる。よって、第2スクリューコンベヤ30の土砂排出口32bにおける土砂の噴発を抑制することが可能になる。
なお、上記の第2の実施形態では、2つのスクリューコンベヤ20、30(1次、2次スクリューコンベヤ)を傾斜配置する例について説明したが、3つ以上のスクリューコンベヤ(1次、2次、3次スクリューコンベヤなど)を傾斜配置してもよい。この場合、2次スクリューコンベヤと3次スクリューコンベヤとを連結する第2連結部材にも押圧装置60を設置して、破砕対象物を破砕可能にしてもよい。また、3つ以上のスクリューコンベヤのうち1つ以上を傾斜配置し、他の1つ以上を水平配置してもよい。
[9.規制部材]
次に、図10~図14を参照して、上記第1、第2の実施形態に係るスクリューコンベヤ構造の連結部材40に設けられる規制部材70について説明する。図10は、上記第1の実施形態に係るスクリューコンベヤ構造(図1等参照)の連結部材40に規制部材70を追加設置した例を示す部分拡大側面図である。
図10に示すように、規制部材70は、上述した第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30を連結する連結部材40に設けられ、連結部材40内における破砕対象物(異物)の通過を規制するための部材である。規制部材70は、第1スクリューコンベヤ20から連結部材40内に搬送された掘削土砂に含まれる破砕対象物のうち所定サイズ以上の破砕対象物が、連結部材40よりも下流側に通過しないように規制し、当該破砕対象物が第2スクリューコンベヤ30に取り込まれることを防止する。
規制部材70は、連結部材40のうち、筒体42の後端部側、即ち、掘削土砂の搬送方向の下流側(第2スクリューコンベヤ30側)に設けられる。連結部材40のうち規制部材70の上流側(第1スクリューコンベヤ20側)に、上記破砕スペース3および押圧装置60が配置される。換言すると、規制部材70は、連結部材40のうち破砕スペース3および押圧装置60よりも下流側(後方側)であって、第2スクリューコンベヤ30の前端よりも上流側(前方側)に配置される。これにより、連結部材40のうち第2スクリューコンベヤ30の直前の位置に、破砕対象物の通過を規制する規制部材70を配置して、連結部材40から第2スクリューコンベヤ30に所定サイズ以上の破砕対象物が進入することを制限できる。
第1スクリューコンベヤ20から連結部材40内に導入された掘削土砂や、所定サイズよりも小さい礫等は、連結部材40内の規制部材70を通過可能である。一方、所定サイズ以上の大きな破砕対象物は、規制部材70により通過が規制されるため、連結部材40内において規制部材70よりも上流側に位置する破砕スペース3に滞留する。これにより、押圧装置60は、当該破砕スペース3に滞留している所定サイズ以上の大きな破砕対象物を押圧して、確実かつ安定的に破砕することが可能になる。押圧装置60により所定サイズ未満に破砕された破砕対象物の破片は、掘削土砂とともに規制部材70を通過して、第2スクリューコンベヤ30に取り込まれる。
以上、図10を参照して、上記第1の実施形態に係るスクリューコンベヤ構造(図1等参照)の連結部材40に対して、規制部材70を適用する例について説明した。同様に、第2の実施形態に係るスクリューコンベヤ構造(図8等参照)の連結部材40に対しても、規制部材70を適用可能である。上述した第2の実施形態では、図9に示すように、規制部材70の一例としてメッシュ構造の篩46を連結部材40に設置する場合について説明した。篩46は、そのメッシュ幅よりも大きなサイズの破砕対象物と掘削土砂を選別し、当該破砕対象物が篩46を通過することを規制する。
次に、図11~図14を参照して、規制部材70の各種の構成例について説明する。これら規制部材70の各種の構成例は、上述した第1および第2の実施形態に適用可能である。
(1)メッシュ構造の篩80
まず、図11を参照して、規制部材70がメッシュ構造の篩80で構成される例について説明する。なお、図11に示すメッシュ構造の篩80は、上述した第2の実施形態に係る篩46(図9参照。)に対応している。
図11に示すように、篩80は、複数の棒材81、82が上下および左右方向に矩形格子状に組み合わされたメッシュ構造を有する。複数の棒材81は、上下方向に延在し、左右方向に相互に所定間隔を空けて連結部材40に取り付けられる。一方、複数の棒材82は、左右方向に延在し、上下方向に相互に所定間隔を空けて連結部材40に取り付けられる。このような複数の棒材81、82により、篩80のメッシュ構造が構成される。かかるメッシュ構造の篩80を規制部材70として用いることにより、上下および左右の2方向(連結部材40の径方向)で、破砕対象物の通過を規制できる。
篩80のメッシュ幅(開口幅)は、通過を規制したい破砕対象物の所定サイズよりも小さい幅であって、かつ、通過を許容したい掘削土砂や破砕対象物のサイズよりも大きい幅に設定される。掘削施工される地山によって異なる破砕対象物のサイズに合わせて、複数の棒材81、82の配置間隔(つまり、メッシュ幅)を調整することが好ましい。このように、規制部材70としての篩80は、篩80を通過可能な破砕対象物のサイズを調整できるように、メッシュ幅(開口幅)を変更可能に構成されることが好ましい。
そこで、図11に示すメッシュ構造の篩80では、一部または全部の棒材81、82が連結部材40の筒体42に対して脱着可能に設けられている。図11(a)の例では、上下方向に延びる5本の棒材81と、左右方向に延びる5本の棒材82が連結部材40の筒体42に取り付けられている。かかる棒材81、82はそれぞれ、筒体42に貫通形成された挿入孔83、84を通じて挿抜可能である。
図11(b)は、図11(a)の状態から、それぞれ5本の棒材81、82のうち2本の棒材81、82を間引くようにして取り外した状態を示す。この図11(b)の状態では、それぞれ3本の棒材81、82の間隔(メッシュ幅)が、図11(a)の状態よりも広くなっている。したがって、図11(b)の状態では、図11(a)の状態よりも、大きなサイズの破砕対象物が篩80を通過可能になる。
通過を規制したい破砕対象物のサイズが比較的小さい場合には、図11(a)に示すように篩80のメッシュ幅を狭い幅に設定すればよい。これにより、篩80は、当該小さいサイズ以上の破砕対象物の通過を規制して、これら破砕対象物を押圧装置60により十分に破砕可能となる。一方、通過を規制したい破砕対象物のサイズが比較的大きい場合には、図11(b)に示すように篩80のメッシュ幅を広い幅に設定すればよい。これにより、篩80は、比較的小さいサイズの破砕対象物の通過を許容しつつ、比較的大きいサイズの破砕対象物の通過を規制して、当該大きいサイズの破砕対象物だけを破砕スペース3に滞留させて、押圧装置60により破砕する。したがって、篩80を通過できない多くの破砕対象物の滞留により篩80が目詰まりすることを防止できるので、連結部材40内における掘削土砂の排土性を向上できる。
さらに、図11(c)に示すように、全ての棒材81、82を連結部材40から取り外して、規制部材70である篩80を連結部材40から撤去することも可能である。このように、篩80の棒材81、82は、連結部材40に対して脱着可能に設けられ、必要に応じて連結部材40から取り外すことができる。これにより、地山に含まれる土砂中に破砕対象物が出現しない施工区間において、連結部材40内における掘削土砂の流通が規制部材70(即ち、篩80)により妨げられないので、排土効率を高めることができる。
以上のように、トンネル掘削機1による施工場所の土質条件などに応じて、メッシュ構造の篩80のメッシュ幅を調整したり、連結部材40に対して篩80を脱着したりして、連結部材40内を通過可能な破砕対象物のサイズを調整することが好ましい。
(2)スリット構造の篩90
次に、図12を参照して、規制部材70がスリット構造の篩90で構成される例について説明する。
図12に示すように、篩90は、複数の棒材81が相互に平行に配列されたスリット構造を有する。複数の棒材81は、上下方向に延在し、左右方向に相互に所定間隔を空けて連結部材40に取り付けられる。このような複数の棒材81により、篩90のスリット構造が構成される。かかるスリット構造の篩90を規制部材70として用いても、破砕対象物の通過を規制できる。
篩90のスリット幅(開口幅)は、通過を規制したい破砕対象物のサイズよりも小さい幅であって、かつ、通過を許容したい掘削土砂や破砕対象物のサイズよりも大きい幅に設定される。掘削施工される地山によって異なる破砕対象物のサイズに合わせて、複数の棒材81の配置間隔(つまり、スリット幅)を調整することが好ましい。このように、規制部材70としての篩90は、篩90を通過可能な破砕対象物のサイズを調整できるように、スリット幅(開口幅)を変更可能に構成されることが好ましい。
そこで、図12に示すスリット構造の篩90でも、上記図11に示したメッシュ構造の篩80と同様に、一部または全部の棒材81が連結部材40の筒体42に対して脱着可能に設けられている。図12(a)の例では、上下方向に延びる5本の棒材81が連結部材40の筒体42に取り付けられ、かかる棒材81はそれぞれ、筒体42に貫通形成された挿入孔83を通じて挿抜可能である。
したがって、図12(b)に示すように、5本の棒材81のうち2本の棒材81を間引くようにして取り外すことにより、3本の棒材81の間隔(スリット幅)が、図12(a)の状態よりも広くなる。したがって、図12(b)の状態では、図12(a)の状態よりも、大きなサイズの破砕対象物が篩90を通過可能になる。このように、スリット構造の篩90でも、上記メッシュ構造の篩80と同様に、通過を規制したい破砕対象物のサイズに応じて、篩90のスリット幅を調整することができる。
さらに、図12(c)に示すように、スリット構造の篩90の全ての棒材81を連結部材40から取り外して、規制部材70である篩90を連結部材40から撤去することも可能である。このように、スリット構造の篩90を連結部材40に脱着可能にすることにより、上記メッシュ構造の篩80と同様に、連結部材40内における掘削土砂の流通が規制部材70(即ち、篩90)により妨げられないので、排土効率を高めることができる。
以上のように、トンネル掘削機1による施工場所の土質条件などに応じて、スリット構造の篩90のスリット幅を調整したり、連結部材40に対して篩90を脱着したりして、連結部材40内を通過可能な破砕対象物のサイズを調整することが好ましい。
ここで、図13を参照して、上記メッシュ構造の篩80やスリット構造の篩90において、当該メッシュ構造やスリット構造を構成する棒材81を連結部材40に対して挿抜するための構造の例について説明する。なお、説明の便宜上、図13では、1本の棒材81を連結部材40の筒体42に対して挿抜する構造を示しているが、他の棒材81、82にも同様な挿抜構造を適用できる。
図13に示すように、棒材81は、連結部材40の筒体42に貫通形成された挿入孔83を通じて、筒体42の内部に挿入可能である。この挿入孔83の周囲には、円筒状のガイド部85が、筒体42から外側に向けて突設されている。棒材81が挿入孔83を通じて挿抜されるときに、ガイド部85は当該棒材81の移動をガイドする。ガイド部85の内周面と棒材81との隙間には、シール材86が設けられている。
また、連結部材40の筒体42の内周面のうち、棒材81の先端が当接する箇所には、棒材81の先端を受け止める凹部87が形成されている。さらに、棒材81の先端付近には、突起状のストッパー88が形成されている。また、棒材81の後端には、棒材81を挿抜する際に作業員が掴むための取っ手89が設けられている。
図13(a)に示すように、棒材81が連結部材40内に挿入された状態では、棒材81の先端は、連結部材40の凹部87に係合する。これにより、棒材81の先端は凹部87により支持され、棒材81の後端はガイド部85により支持される。したがって、挿入された棒材81を安定的に支持できるので、連結部材40内を移動する掘削土砂や破砕対象物が棒材81に衝突したとしても、棒材81の位置がずれることを防止できる。
また、図13(b)に示すように、棒材81を連結部材40から引き抜くときには、作業員は、棒材81の取っ手89を掴んで引き抜く。このとき、棒材81は、ガイド部85に沿って真っ直ぐに移動して、退避位置まで引き抜かれる。また、引き抜かれる棒材81とガイド部85との隙間は、シール材86によりシールされている。これにより、当該隙間から連結部材40内の掘削土砂や水などが連結部材40の外部に漏れ出すことがなく、連結部材40内の土砂圧も維持される。さらに、棒材81を退避位置まで引き抜いたとき、棒材81の先端付近のストッパー88が連結部材40の筒体42の内周面に当接するため、棒材81が係止され、それ以上の移動が制限される。したがって、棒材81が連結部材40から完全に引き抜かれないので、退避位置にある棒材81を連結部材40内に再挿入することが容易になる。
以上のように、図13に示すような棒材81の挿抜構造を採用することで、連結部材40に対して棒材81を容易に挿抜可能になる。したがって、連結部材40に対する棒材81、82の設置数を容易に変更できるので、破砕対象物のサイズに合わせて、複数の棒材81、82からなる篩80、90のメッシュ幅やスリット幅(開口幅)を容易に調整可能となる。さらに、連結部材40に対して篩80、90を容易に装着したり撤去したりすることも可能になる。
(3)ゲート100
次に、図14を参照して、規制部材70がゲート100で構成される例について説明する。
図14に示すように、ゲート100は、連結部材40の筒体42の内部空間(掘削土砂の運搬流路)を開閉する装置である。ゲート100を部分的に閉めて、連結部材40の内部空間を部分的に閉塞することで、連結部材40内のゲート100の位置を通過可能な破砕対象物のサイズを規制できる。
ゲート100は、ケーシング101と、開閉用ジャッキ102と、ゲート板103とを備える。
ケーシング101は、連結部材40の筒体42の外側に取り付けられる。ケーシング101は、その内部に収容されたゲート板103を覆う。
ゲート板103は、連結部材40の筒体42に貫通形成された挿入孔106を通じて、筒体42の内部に挿入可能である。この挿入孔106の周囲には、ガイド部107が、筒体42から外側に向けて突設されている。ガイド部107には、ゲート板103を挿通するための穴が形成されており、当該ガイド部107の穴の断面形状は、ゲート板103の断面形状と略同一である。ゲート板103が挿入孔106を通じて挿抜されるときに、ガイド部107は当該ゲート板103の移動をガイドする。ガイド部107の内周面とゲート板103との隙間には、シール材108が設けられている。
開閉用ジャッキ102は、ゲート板103を開閉するための駆動装置である。開閉用ジャッキ102は、例えば、油圧ジャッキで構成されるが、それ以外にも、空圧式または電動式のアクチュエータなどで構成されてもよい。開閉用ジャッキ102は、ボディ104と、ピストンロッド105とから構成される。開閉用ジャッキ102のボディ104は、ケーシング101の外部に配置され、ピストンロッド105を駆動する駆動力を発生させる。ピストンロッド105の先端はゲート板103の背面に固定され、ピストンロッド105の後端はボディ104内に配置される。ピストンロッド105がボディ104に対して伸縮することにより、ゲート板103が軸方向に移動して、連結部材40の内部空間を開閉する。
図14の例では、連結部材40の左右両側にゲート100、100が対向設置されており、左右一対のゲート板103、103により、連結部材40の内部空間が開閉されるようになっている。一対のゲート板103、103を閉じる(即ち、相互に接近する方向に移動させる)ことにより、連結部材40の内部空間が遮断される。一方、一対のゲート板103、103を開ける(相互に離隔する方向に移動させる)ことにより、連結部材40の内部空間が開放される。
このように開閉されるゲート100の開度(即ち、一対のゲート板103、103の先端間の隙間)は、開閉用ジャッキ102により調整される。ゲート100の開度を小さくすれば、ゲート100の位置における連結部材40内の土砂の運搬流路が狭くなり、ゲート100を通過可能な破砕対象物のサイズも小さくなる。一方、ゲート100の開度を大きくすれば、当該運搬流路が広くなり、ゲート100を通過可能な破砕対象物のサイズも大きくなる。かかるゲート100の開度は、通過を規制したい破砕対象物のサイズよりも小さい幅であって、かつ、通過を許容したい掘削土砂や破砕対象物のサイズよりも大きい幅に設定される。
以上のように、規制部材70としてゲート100を連結部材40に設けることで、連結部材40内における破砕対象物の通過を規制できる。そして、図14(a)に示すように、ゲート100の開度を調整することで、連結部材40内のゲート100の位置を通過可能な破砕対象物のサイズを調整できる。ゲート100の開度は、開閉用ジャッキ102により容易に調整可能であるので、上述した篩80、90を用いる場合と比べて、通過可能な破砕対象物のサイズの調整を容易かつ迅速に実行でき、当該サイズ調整の自由度も高い。
また、図14(b)に示すように、一対のゲート板103、103を最大限に離隔させて連結部材40から退避させ、ゲート100を全開にすることもできる。ゲート100を全開にすれば、連結部材40内の運搬流路がゲート板103、103により閉塞されず、開放された状態となる。これにより、地山に含まれる土砂中に破砕対象物が出現しない施工区間において、連結部材40内における掘削土砂の流通がゲート100により妨げられないので、排土効率を高めることができる。
以上のように、トンネル掘削機1による施工場所の土質条件などに応じて、ゲート100の開度を適切に調整して、連結部材40内を通過可能な破砕対象物のサイズを調整することが好ましい。
また、規制部材70としてゲート100を用いた場合、破砕対象物の通過領域が、一対のゲート板103、103の間の一箇所の領域になるので、大型サイズの破砕対象物の規制に有効である。連結部材40内に張り出したゲート板103が、連結部材40内を流動する掘削土砂の通過抵抗になる可能性は高いが、連結部材40内のプラグゾーン4におけるプラグの形成には有利となる。
[10.まとめ]
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、土圧(泥土圧)シールドマシンなどのトンネル掘削機1において、排土装置として、2つ以上のスクリューコンベヤを直列的に配置する構成において、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30とを連結する連結部材40内に、スクリュー羽根21、31が常時存在しない破砕スペース3を形成する。さらに、連結部材40のうち当該破砕スペース3に対応する位置に、礫等の異物を破砕するクラッシャーとして機能する押圧装置60を設置する。
これにより、第1スクリューコンベヤ20を通過してきた礫等の異物を、連結部材40内の破砕スペース3に導入し、押圧装置60により押圧して破砕した上で、連結部材40から第2スクリューコンベヤ30に導入することができる。したがって、スクリューコンベヤ20、30を稼働させながら、押圧装置60により破砕動作を実施できる。よって、スクリューコンベヤ20、30による排土作業を中断することなく、礫等の破砕作業を実施できるので、排土作業と破砕作業の作業性と効率性を向上することができる。
また、上記特許文献2に記載の従来技術では、スクリューコンベヤに設けられたスライド機構によりスクリュー羽根を後方に退避させることで、スクリューコンベヤの先端部内に、スクリュー羽根が存在しない破砕スペースを一時的に形成する構造であった。かかる構造であると、スクリューコンベヤによる排土作業を中断した上で、スライド機構によりスクリュー羽根を後退させる作業を実施する必要がある。このため、スクリュー羽根を後退させるために大掛かりな追加作業と時間が必要となり、排土作業や破砕作業の効率性と作業性が低下するという問題があった。
これに対し、本実施形態によれば、中空の連結部材40内に破砕スペース3が常時確保されているので、スライド機構によりスクリュー羽根を後退させる作業が不要である。よって、スクリューコンベヤ20、30による排土作業と、押圧装置60による破砕作業を同時並行で実施できるので、排土作業と破砕作業の効率性と作業性を向上できる。
また、上記特許文献2のようなスライド機構を用いずに、スクリューコンベヤの先端部内に破砕スペースを確保するためには、当該スクリューコンベヤの筒体内において、スクリュー羽根の先端を破砕スペースの分だけ予め後退させた位置に配置する必要がある。そうすると、スクリューコンベヤの先端部内にスクリュー羽根が常に存在しないことになるため、チャンバからスクリューコンベヤへの土砂取込性能が低下し、排土作業の効率性が低下するという問題があった。
これに対し、本実施形態によれば、第1スクリューコンベヤ20と第2スクリューコンベヤ30との間の連結部材40内に破砕スペース3を確保できるので、第1スクリューコンベヤ20の先端部内に破砕スペース3を形成する必要がない。したがって、第1スクリューコンベヤ20の先端部内にスクリュー羽根21を配置できるので、チャンバ17から第1スクリューコンベヤ20への土砂取込性能を維持でき、排土作業の効率性を向上できる。
また、上記特許文献2に記載の構造では、傾斜配置されたスクリューコンベヤの先端部内の破砕スペースにおいて、押圧装置で礫等を押圧して破砕しようとすると、礫等が斜め下方に逃げてしまう場合があり、破砕作業の安定性に改善の余地があった。これに対し、第1の実施形態によれば、水平配置された連結部材40内で礫等の破砕対象物を安定的に押圧して破砕できる。また、第2の実施形態によれば、連結部材40内の篩46の上に載置された破砕対象物を安定的に押圧して破砕できる。よって、いずれの実施形態でも、破砕対象物の逃げを抑制でき、破砕作業の安定性を向上できる。
また、上記特許文献2に記載の従来技術では、隔壁の直後のスクリューコンベヤの先端部に押圧装置を設置していた。このため、押圧装置の設置位置が隔壁の裏側の狭い空間となるので、クラッシャーのメンテナンス性が低いという問題もあった。これに対し、本実施形態によれば、隔壁12の直後における他の設備で混み合った設置スペースではなく、第1スクリューコンベヤ20の後部側で比較的余裕のある設置スペースに押圧装置60を設置できる。これにより、押圧装置60の設置場所の周囲に空間的余裕があるので、押圧装置60の点検、修理、交換等のメンテナンス性を向上できる。
さらに、本実施形態によれば、第1スクリューコンベヤ20の後方の広い空間に押圧装置60を設置できるので、図6および図7に示したように、複数の押圧装置60A、60Bを設置して、複数の押圧部66による押圧動作を交互に実施することが可能になる。これにより、スクリューコンベヤ20、30および連結部材40内の運搬流路の容積変動と土砂圧の変動を低減できるので、排土の制御性を維持でき、土砂排出口32bにおける土砂の噴発を抑制できる。また、複数の押圧装置60A、60Bにより、破砕対象物をより確実に破砕可能となる。
また、本実施形態によれば、第2スクリューコンベヤ30の前段の連結部材40内で、巨礫2等の破砕対象物を破砕した上で、第2スクリューコンベヤ30に導入できる。したがって、第2スクリューコンベヤ30およびその後段に設けられるベルトコンベヤ50などの排土装置は、サイズの大きい礫等を運搬しなくて済むので、これらの排土装置の損傷を防止でき、負担を軽減することもできる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、破砕対象物として巨礫2の例を挙げて説明したが、本発明の破砕対象物は、巨礫2の例に限定されない。掘削対象物は、掘削土砂に含まれる異物であって、スクリューコンベヤによる運搬が困難な大きさのものであれば、例えば、粘土塊、流木、人工の地中残置物(例えば、コンクリート塊)等であってもよいし、これらの組合せであってもよい。
また、上記実施形態では、押圧装置60は、連結部材40の径方向の両側に一対の押圧機構62L、62Rを備えていたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、連結部材40の径方向の一側のみに1つの押圧機構62を備え、当該1つの押圧機構62の押圧部66により破砕対象物を片側から押圧する構成にしてもよい。この場合、当該1つの押圧部66と、連結部材40の筒体42の内周面との間で、破砕対象物を挟み込んで押圧してもよい。あるいは、当該1つの押圧部66と、別途設置した固定部材(例えば、連結部材40内に設置された固定板)との間で、破砕対象物を挟み込んで押圧してもよい。
また、上記実施形態では、左右方向に対向する2つの押圧機構62L、62Rを配置し、双方の押圧機構62L、62Rの押圧方向を同一方向(左右方向)としたが、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、2つの押圧機構62L、62Rが対向する方向は、破砕スペース3を間に挟んで対向する方向であれば、上記の左右方向以外にも、上下方向または傾斜方向など、任意の方向であってもよい。
また、2つの押圧機構62L、62Rを対向配置する場合、必ずしも、両者を正対(同一直線上で真正面に対向するように配置)させる必要はなく、斜めに対向するように配置してもよい。この場合、例えば、2つの押圧機構62L、62Rは平面視でハの字型に配置され、当該2つの押圧機構62L、62Rの押圧方向は交差する方向となり、その交差角度は180°未満となる。この場合であっても、傾斜して対向配置された2つの押圧機構62L、62Rの押圧部66、66により、破砕対象物を挟持して破砕することは可能である。
また、以上の説明では、1つまたは2つの押圧装置60を設置する例について説明したが、3つ以上の押圧装置60を設置してもよい。これにより、押圧装置60により押圧する方向(軸数)を増やすことができるので、押圧に際して、荷重点(荷重作用点)が増えて、破砕対象物の当該位置への固定の確実性が増すことや、1か所当たりの押圧荷重を減らすことができ、押圧装置60のコンパクト化につながるというメリットがある。また、押圧装置60の設置数を3つ以上に増やしていくことで、破砕対象物が移動可能な方向(逃げられる方向)をなくしていくことが可能になるので、より確実に押圧できるようになる。
また、押圧装置60の設置数が1つ又は2つ以上のいずれの場合においても、押圧部66の進退量(ストローク)を、ストロークセンサなどの検出装置で計測することが好ましい。これにより、押圧部66により破砕対象物を押圧したときのストローク値を確認することで、破砕対象物の破砕直前の大きさや破砕後の大きさ、破砕対象物を破砕できたか否かなどを、確認できる。
また、押圧部66の進退に伴うアクチュエータ(例えば、上記の油圧ジャッキ)の出力を検出する検出装置(例えば、油圧圧力センサ)を設けて、アクチュエータの出力を監視してもよい。これにより、アクチュエータの出力が低ければ、破砕スペース3に礫等の破砕対象物は存在しないことが分かり、一方、アクチュエータの出力が高ければ、破砕スペース3に何らかの異物が存在し、押圧装置60が破砕機能を発揮していることを把握できるというメリットがある。
そして、これらの破砕対象物の破砕直前の大きさや破砕対象物の有無の把握をもとに、所定サイズ以上の破砕対象物が下流側に通過しないように規制する規制部材について、破砕対象物のサイズに合わせて規制量を調整し、また、破砕対象物がない時には規制部材を撤去するなど、その調整や着脱を行うことで、必要以上に掘削土砂の通過抵抗を立てなくするようにして、掘削土砂の搬送や排出を適切に制御することができる。
また、上記第2の実施形態(図8、図9参照。)では、第1スクリューコンベヤ20の後部における筒体22の周面の下側に土砂排出口22bが設けられ、第2スクリューコンベヤ30の前部における筒体32の周面の上側に土砂取込口32aが設けられ、連結部材40は、当該土砂排出口22bと土砂取込口32aとを上下方向に連結したが、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、第1スクリューコンベヤ20の土砂排出口22bは、第1スクリューコンベヤ20の後部における筒体22の周面のうち、任意の位置(例えば、当該周面のうち一側の側面)に設けられてもよく、同様に、第2スクリューコンベヤ30の土砂取込口32aは、第2スクリューコンベヤ30の前部における筒体32の周面のうち、任意の位置(例えば、当該周面のうち他側の側面)に設けられてもよい。この場合、連結部材40は、当該土砂排出口22bと土砂取込口32aとを、左右方向もしくは斜め方向に連結してもよい。このような連結構造であっても、上記第2の実施形態と同様な効果を奏することができる。また、連結部材40により土砂排出口22bと土砂取込口32aを左右方向もしくは斜め方向に連結する場合、連結部材40に上記篩46等の規制部材70を設置しなくてもよい。この場合、連結部材40内で掘削土砂や破砕対象物が自重により落下せず、比較的ゆっくりと流動するため、連結部材40に規制部材70を設置しなくても、連結部材40内の破砕スペース3において押圧装置60により破砕対象物を好適に破砕可能である。
また、連結部材40において、破砕対象物を破砕しきれなかった場合に、破砕対象物を取り出す必要が生じるため、これに対応するためとして、連結部材40に開閉可能なメンテナンス用開口部を設けてもよい。
また、連結部材40は、プラグゾーン4を兼ねており、掘削土砂の圧密による固着が発生する可能性もあるため、掘削土砂の固着を解消する添加材を添加するための添加材注入孔を連結部材40に設けてもよい。