JP7468330B2 - 燃圧センサの異常診断装置 - Google Patents

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本発明は、燃圧センサの異常診断装置に関する。
エンジン停止時からその後の始動までの間に、燃圧センサの検出値が正常範囲に含まれるか否かに基づいて燃圧センサの異常を診断する異常診断が知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2018-096278号公報
例えば、エンジン停止直前の運転状態によっては、燃圧が高い状態に維持されたままエンジンが停止する場合がある。この場合には、エンジン停止中に燃圧が低下せずに、燃圧センサ自体は正常であるにも関わらず、燃圧センサの検出値が正常範囲よりも高い値を示し、燃圧センサに異常があるとの誤診断がなされるおそれがある。
そこで本発明は、誤診断が抑制された燃圧センサの異常診断装置を提供することを目的とする。
上記目的は、エンジンと、前記エンジンの気筒内に燃料を直接噴射する筒内噴射弁、前記エンジンの吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁、燃料を加圧する低圧ポンプ、前記低圧ポンプにより加圧された燃料を前記ポート噴射弁に供給する低圧燃料通路、前記低圧燃料通路から供給された燃料を更に加圧する高圧ポンプ、前記低圧燃料通路から分岐し前記高圧ポンプにより加圧された燃料を前記筒内噴射弁に供給する高圧燃料通路、及び前記高圧燃料通路内での燃圧を検出する燃圧センサ、を備えた車両のエンジンシステムに適用され、前記エンジンの停止時からその後の始動時までの期間中に前記燃圧センサの検出値に基づいて前記燃圧センサの異常診断を行う燃圧センサの異常診断装置において、前記車両の減速度、及び前記筒内噴射弁から燃料が噴射されずに前記ポート噴射弁のみから燃料が噴射される期間、の少なくとも一方に基づいて、前記高圧燃料通路内が高燃圧状態であるか否かを判定する判定部と、前記エンジンの停止時に前記判定部により肯定判定がなされた場合には、前記異常診断の実行を停止する停止部と、を備えた燃圧センサの異常診断装置によって達成できる。
本発明によれば、誤診断が抑制された燃圧センサの異常診断装置を提供できる。
図1は、本実施例のエンジンシステムの概略構成図である。 図2は、異常診断実行時の燃圧センサの検出値の推移を示したタイミングチャートである。 図3は、ECUが実行する異常診断停止制御の一例を示したフローチャートである。 図4は、ある車両での減速度とその頻度との関係を示したグラフである。 図5は、ポート噴射比率kpfiが100%となってからの高圧デリバリパイプ内の燃圧の推移を示したタイミングチャートである。
[エンジンシステムの概略構成]
図1は、本実施例のエンジンシステム1の概略構成図である。エンジンシステム1は、エンジン10と、エンジン10を制御するECU(Electronic Control Unit)40とを含む。エンジン10は、直列に配置された気筒111~114を含む気筒群11、筒内噴射弁群37、及びポート噴射弁群27を備えた火花点火式の直列4気筒エンジンである。ECU40は、燃圧センサの異常診断装置の一例である。
筒内噴射弁群37は、気筒111~114内にそれぞれ燃料を噴射する筒内噴射弁371~374を含む。ポート噴射弁群27は、気筒111~114に連通した吸気ポート13内にそれぞれ燃料を噴射するポート噴射弁271~274を含む。筒内噴射弁群37及びポート噴射弁群27のそれぞれは、所定の通電期間で電磁コイルを通電して弁座から弁体を離隔させることにより燃料噴射量が調整される電磁駆動式の開閉弁である。
エンジン10には、気筒群11のそれぞれ対応する複数の吸気ポート13を有する吸気通路12と、不図示の複数の排気ポートを有する排気通路とが形成されている。気筒群11のそれぞれでは、不図示のピストンが収納されて燃焼室が画定される。燃焼室は、吸気バルブ及び排気バルブにより開閉される。更にエンジン10には、図示しない点火プラグを備えている。また、エンジン10は、複数のピストンに連動したクランクシャフト14と、クランクシャフト14に連動して吸気バルブを駆動する吸気カムシャフト15を備えている。クランクシャフト14の回転角を検出するクランク角センサ14aや、吸気通路12に導入される吸入空気量Gaを検出するエアフロメータ12aが設けられている。
また、エンジンシステム1は、燃料タンク21、低圧燃料ポンプ22、プレッシャレギュレータ23、低圧燃料配管25、低圧デリバリパイプ26、及び燃圧センサ28を含む。燃料タンク21には、燃料であるガソリンが貯留されている。低圧燃料ポンプ22は、燃料を加圧して低圧燃料配管25内に吐出する。プレッシャレギュレータ23は、低圧燃料配管25内に吐出される燃料を予め設定された低圧側の供給圧に調圧する。低圧燃料ポンプ22は、ECU40により駆動が制御される。
低圧燃料配管25及び低圧デリバリパイプ26は、低圧燃料ポンプ22から吐出された燃料をポート噴射弁群27に供給する。低圧燃料ポンプ22により所定の圧力レベルまで加圧されプレッシャレギュレータ23により低圧側の供給圧に調圧された燃料は、低圧燃料配管25を介して低圧デリバリパイプ26に導入される。低圧燃料配管25及び低圧デリバリパイプ26は、低圧燃料通路の一例である。
ポート噴射弁群27は、低圧デリバリパイプ26に接続されており、気筒群11にそれぞれ対応した吸気ポート13内に燃料を噴射する。燃圧センサ28は、低圧デリバリパイプ26内の燃圧値を検出する。
また、エンジンシステム1は、高圧燃料ポンプ31、高圧燃料配管35、高圧デリバリパイプ36、及び燃圧センサ38を含む。高圧燃料ポンプ31は、低圧燃料配管25から分岐した分岐配管25aから燃料を吸入して、低圧燃料ポンプ22からの供給圧レベルより高圧の高圧レベルに加圧する。分岐配管25aには、分岐配管25a内の燃圧脈動を抑制するパルセーションダンパ29が設けられている。
高圧燃料ポンプ31は、具体的には、ポンプハウジング31hと、ポンプハウジング31h内を摺動可能なプランジャ31pと、ポンプハウジング31h及びプランジャ31p間で画定される加圧室31aとを含む。加圧室31aの容積は、プランジャ31pの変位に応じて変化する。加圧室31aには、電磁弁32が開いた状態で、低圧燃料ポンプ22により加圧された燃料が分岐配管25aを介して導入される。加圧室31a内の燃料は、プランジャ31pにより高圧に加圧されて高圧燃料配管35内に吐出される。
エンジン10の吸気カムシャフト15には、プランジャ31pを駆動するポンプカム19が装着されている。高圧燃料ポンプ31は、ポンプカム19により昇降されるフォロアリフタ31fと、フォロアリフタ31fをポンプカム19側に付勢するポンプスプリング31gとを有している。フォロアリフタ31fにプランジャ31pが連動し、フォロアリフタ31fと共にプランジャ31pも昇降する。
高圧燃料ポンプ31の加圧室31aの燃料導入口部には、電磁弁32が設けられている。電磁弁32は、弁体32vと、弁体32vを駆動するコイル32cと、弁体32vを常に開方向に付勢するスプリング32kとを有している。コイル32cへの通電は、ECU40により制御される。コイル32cが通電されると、弁体32vは、スプリング32kの付勢力に抗して低圧燃料配管25の分岐配管25aと加圧室31aとを遮断する。コイル32cが非通電の状態では、弁体32vは、スプリング32kの付勢力により開状態が維持される。
高圧燃料ポンプ31と筒内噴射弁群37との間の高圧燃料配管35には、ばね付の逆止弁34が設けられている。逆止弁34は、高圧燃料ポンプ31内の燃圧が高圧燃料配管35内の燃圧より所定の分だけ高くなったときに開く。
高圧燃料ポンプ31の吸入行程では、電磁弁32が開きプランジャ31pが下降して、燃料が低圧燃料配管25の分岐配管25aから加圧室31aに充填される。加圧行程では、電磁弁32が閉じプランジャ31pの上昇に伴い加圧室31aの容積が減少し、加圧室31a内の燃料が昇圧される。吐出行程では、加圧室31a内の燃圧による力が逆止弁34のばねの付勢力より大きくなったときに逆止弁34が開き、昇圧された燃料が高圧燃料配管35及び高圧デリバリパイプ36へ供給される。上述したようにプランジャ31pの昇降は、ポンプカム19の回転により実現され、ポンプカム19は吸気カムシャフト15を介してクランクシャフト14に連動しているため、高圧燃料ポンプ31はクランクシャフト14に連動して駆動される。
高圧デリバリパイプ36には、高圧燃料ポンプ31により加圧された高圧の燃料が高圧燃料配管35を介して蓄圧されている。高圧燃料配管35及び高圧デリバリパイプ36は、高圧燃料ポンプ31から筒内噴射弁371~374に高圧の燃料を供給する。高圧燃料配管35及び高圧デリバリパイプ36は、高圧燃料通路の一例である。
筒内噴射弁群37は、高圧デリバリパイプ36内から気筒111~114のそれぞれの内部に所定の順序で高圧燃料を直接に噴射する。燃圧センサ38は、高圧デリバリパイプ36内の燃圧を検出する。
ECU40は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を含む。ECU40は、ROM内に予め格納された制御プログラムに従って、センサからの情報や予めROMに格納されている情報等に基づいて、後述する異常診断制御を実行する。また、ECU40は、判定部及び停止部を機能的に実現する。詳しくは後述する。ECU40には、アクセル操作量Accを検出するためのアクセル操作量センサ41や、イグニッションのON、OFFを検出するイグニッションスイッチ42、その他上述した燃圧センサ28及び38が電気的に接続されている。
ECU40は、クランク角センサ14aによって検出されたエンジン10の回転速度NEと、アクセル操作量センサ41によって検出されたアクセル操作量Accとに基づいて、筒内噴射弁群37とポート噴射弁群27の燃料噴射の分担比率を決定する。次に、分担比率と回転速度NEとアクセル操作量Accとに基づいて、筒内噴射弁371~374の各目標噴射量Qdtと、筒内噴射弁371~374のそれぞれから燃料を噴射する際の高圧デリバリパイプ36の燃圧の目標値である目標燃圧Pdtとを算出する。目標燃圧Pdtは、原則的に、回転速度NEが高いときには低いときに比して高くなるように算出され、アクセル操作量Accが多いときには小さいときに比して高くなるように算出される。次にECU40は、目標噴射量Qdtと目標燃圧Pdtとに基づいて、筒内噴射弁371~374の各燃料噴射の実行時間である噴射時間Fdiを算出する。噴射時間Fdiは、目標噴射量Qdtが多いときには少ないときに比して長くなるように算出され、目標燃圧Pdtが高いときには低いときに比して短くなるように算出される。ECU40は、所定のクランク角間隔で筒内噴射弁371、373、374、372の順に、算出された噴射時間Fdiだけ通電する。このようにして、筒内噴射弁371~374の各燃料噴射量が目標噴射量Qdtに制御される。
同様にECU40は、上述した分担比率と回転速度NEとアクセル操作量Accとに基づいて、ポート噴射弁271~274の各目標噴射量Qptと、ポート噴射弁271~274のそれぞれから燃料を噴射する際の低圧デリバリパイプ26の燃圧の目標値である目標燃圧Pptとを算出する。次にECU40は、目標噴射量Qptと目標燃圧Pptとに基づいて、ポート噴射弁271~274の各燃料噴射の実行時間である噴射時間Fpiを算出する。ECU40は、所定のクランク角間隔でポート噴射弁271、273、274、272の順に、算出された噴射時間Fpiだけ通電する。このようにして、ポート噴射弁271~274の各燃料噴射量が目標噴射量Qptに制御される。尚、目標燃圧Pdt及びPptは、原則的には高負荷運転時には高い値に設定され、低負荷運転時には低い値に設定される。
[燃圧センサ38の異常診断]
ECU40は、エンジン10の停止後のソーク期間中においてエンジン10の停止から所定時間が経過した場合に、燃圧センサ38の検出値が正常範囲に含まれる場合には燃圧センサ38は正常であると診断し、正常範囲に含まれない場合には燃圧センサ38には異常があると診断する。ここで正常範囲は、大気圧を含む所定の範囲に設定されている。即ち上記の所定時間は、燃圧センサ38が正常であるならばエンジン10の停止後に燃圧センサ38の検出値が大気圧近傍にまで低下するのに要する時間である。
図2は、異常診断実行時の燃圧センサ38の検出値の推移を示したタイミングチャートである。時刻t1でイグニッションがオンに切り替えられてエンジン10が始動し、時刻t2でイグニッションがオフに切り替えられエンジン10が停止して、時刻t3で燃圧センサ38の異常診断が実行される場合を例に説明する。燃圧検出値P1及びP2は、ともに燃圧センサ38が正常である場合の燃圧センサ38の検出値を示すが、燃圧検出値P1は時刻t3で正常範囲に含まれ燃圧センサ38は正常と診断されるのに対し、燃圧検出値P2は時刻t3で正常範囲よりも高い値を示し燃圧センサ38は異常と誤診断される。この理由は、エンジン10が停止した時刻t2から燃圧は時間経過とともに低下するが、時刻t2での燃圧検出値P2が通常想定される燃圧よりも高い値を示しており、時刻t3では燃圧検出値P2が未だ高い値を示しているからである。
例えば、エンジン10が停止した時刻t2での燃圧が高い場合に上述のような誤診断を防止するために、異常診断そのものを実行しないことが考えられる。ここで時刻t2での燃圧を燃圧センサ38の検出値に基づいて取得すると、燃圧センサ38の異常診断の実行の可否を、異常診断実行前の燃圧センサ38の検出値に基づいて決定することになり、精度よく異常診断を実行することができない。このため本実施例のECU40は、以下のように燃圧センサ38の検出値に基づかずに、エンジン10の停止時での燃圧が異常診断に適していないほどに高いか否かを推定し、この推定結果に基づいて異常診断の実行の可否を決定する。
[異常診断停止制御]
図3は、ECU40が実行する異常診断停止制御の一例を示したフローチャートである。本制御は繰り返し実行される。ECU40は、高圧デリバリパイプ36内の燃圧が、燃圧センサ38の異常診断を適切に実行することができないほどに高い高燃圧状態にあるか否かを判定する(ステップS1)。具体的には、(A)車両の減速度[mph/s]が閾値α以上となる急減速を検知したこと、及び(B)ポート噴射比率kpfiが100%となってから所定時間βが経過したこと、の少なくとも一方が成立する場合に、高圧デリバリパイプ36内が高燃圧状態であると推定する。ECU40は、車速センサの検出値に基づいて上記の減速度を取得する。また、ポート噴射比率kpfiは、ポート噴射弁群27及び筒内噴射弁群37から噴射される燃料量に対するポート噴射弁群27から噴射される燃料量の比率である。ステップS1の処理は、判定部が実行する処理の一例である。
上記の(A)について説明する。図4は、ある車両での減速度とその頻度との関係を示したグラフである。横軸は減速度を示し、縦軸はその頻度を示している。図4に示すように、減速度が閾値α以上となることは稀である。減速度が閾値α以上となる場合とは、例えば車両が高速運転状態から急停止してアイドル運転状態に移行した場合であり、より詳細には、筒内噴射弁群37のみから燃料が噴射されている状態から短時間でポート噴射弁群27のみから燃料が噴射される状態に移行した場合である。この場合には、高圧デリバリパイプ36内が高燃圧状態となって筒内噴射弁群37から燃料が噴射されていた状態から、直ちに燃料が噴射されない状態となるため、筒内噴射弁群37から燃料が噴射されない限り高圧デリバリパイプ36内は高燃圧状態に長期間にわたって維持される。このような理由により上記の(A)が成立する場合には、高圧デリバリパイプ36内は高燃圧状態であると推定できる。尚、閾値αは、予め実験により取得されECU40に記憶されており、例えば15[mph/s]である。
上記の(B)について説明する。図5は、ポート噴射比率kpfiが100%となってからの高圧デリバリパイプ36内の燃圧の推移を示したタイミングチャートである。図5では、エンジン10の回転速度NE、ポート噴射比率kpfi、及び高圧デリバリパイプ36内での燃圧を示している。時刻t11でエンジン10の回転速度NEがアイドル回転数に維持されてポート噴射比率kpfiが100%となると、高圧デリバリパイプ36内の燃圧の目標値は低い値に設定される。しかしながら、筒内噴射弁群37からは燃料が噴射されずに、ポート噴射弁群27から燃料が噴射されて燃焼することにより、高圧デリバリパイプ36内の燃料がこれらの熱を受けて燃圧が上昇する。この状態で時刻t11から所定時間βが経過した時刻t12では、高圧デリバリパイプ36内が高燃圧状態となる。このような理由により上記の(B)が成立する場合には、高圧デリバリパイプ36内は高燃圧状態であると推定できる。尚、所定時間βは、予め実験により取得されECU40に記憶されており、例えば10分である。
図3に戻ってステップS1でYesの場合、ECU40は燃圧センサ38の異常診断の実行の可否を決定する診断停止フラグをONに設定する(ステップS2)。
次にECU40は、高圧デリバリパイプ36内の燃圧の低下度合いの指標となる燃圧低下パラメータの算出を開始する(ステップS3)。燃圧低下パラメータは、診断停止フラグがONに設定された状態で算出され、具体的には、筒内噴射比率kdiに吸入空気量Gaを乗算した値を時間経過とともに積算した値である。筒内噴射比率kdiに吸入空気量Gaを乗算する理由は、吸入空気量Gaが増大するほど、ポート噴射弁群27及び筒内噴射弁群37から噴射される燃料噴射量も増大するように調整されるからである。従って、燃圧低下パラメータが増大するほど、高圧デリバリパイプ36内の燃料が噴射されたことを示し、即ち高圧デリバリパイプ36内の燃圧が低下することを示す。尚、筒内噴射比率kdiは、ポート噴射弁群27及び筒内噴射弁群37から噴射される燃料量に対する筒内噴射弁群37から噴射される燃料量の比率である。
次にECU40は、上記の燃圧低下パラメータに基づいて高圧デリバリパイプ36内の燃圧が燃圧センサ38の異常診断を適切に実行できる程度に低下したか否かを判定する(ステップS4)。詳細には、燃圧低下パラメータが所定値γ以上の場合には、高圧デリバリパイプ36内の燃圧が燃圧センサ38の異常診断を適切に実行できる程度に低下したものと判定され、所定値γ未満の場合には、高圧デリバリパイプ36内は未だ高燃圧状態にあると判定する。所定値γは、予め実験により取得されECU40に記憶されている。所定値γは、固定値であるが変動値であってもよい。例えば、ステップS1で(A)が成立したことにより診断停止フラグがONに設定された場合には、減速度が大きいほど所定値γも大きな値に設定してもよい。また、ステップS1で(B)が成立したことにより診断停止フラグがONに設定された場合には、ポート噴射比率kpfiが100%となってからの経過時間が長いほど所定値γを大きな値に設定してもよい。
ステップS4でYesの場合には、燃圧センサ38の異常診断を適切に実行できる程度に高圧デリバリパイプ36内の燃圧が低下したものとみなして、ECU40は診断停止フラグをOFFに設定し(ステップS5)、燃圧低下パラメータの値をリセットして算出を停止する(ステップS6)。ステップS4でNoの場合には、診断停止フラグはONに設定されたままであり、燃圧低下パラメータの算出も継続される。
次にECU40は、イグニッションがOFFであるか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7でNoの場合には、本制御は終了する。ステップS7でYesの場合、ECU40は診断停止フラグがONであるか否かを判定する(ステップS8)。
ステップS8でYesの場合、ECU40は燃圧センサ38の異常診断を停止する(ステップS9)。即ち、燃圧センサ38の異常診断は実行されない。ステップS8でNoの場合には、ECU40は燃圧センサ38の異常診断を実行する(ステップS10)。ステップS9の処理は、停止部が実行する処理の一例である。
上述したステップS1でNoの場合、ECU40は診断停止フラグがONであるか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11でYesの場合には、ECU40は高圧デリバリパイプ36内の燃圧が燃圧センサ38の異常診断を適切に実行できる程度に低下したか否かを判定する(ステップS4)。ステップS11でNoの場合には、ECU40はイグニッションがOFFであるか否かを判定する(ステップS7)。
以上のように、燃圧センサ38の検出値に基づかずにエンジン10の停止時での高圧デリバリパイプ36内が高燃圧状態であるか否かを判定し,高燃圧状態であると判定された場合には燃圧センサ38の異常診断を停止する。これにより、燃圧センサ38の異常診断の誤診断が抑制される。
[その他]
上記実施例ではステップS1において(A)及び(B)の少なくとも一方が成立した場合に高圧デリバリパイプ36内が高燃圧状態であると推定したが、(A)及び(B)の双方が成立した場合に高圧デリバリパイプ36内が高燃圧状態であると推定してもよい。
上記の実施の形態の燃圧センサの異常診断装置は、車両用のエンジンシステム1に適用した例について説明したが、動力源としてエンジンを用いるものであれば適用可能であり、例えば、所謂ハイブリッド車や自動二輪車等に搭載されるエンジンシステムにも適用可能である。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
1 エンジンシステム
10 エンジン
11 気筒群
111~114 気筒
12 吸気通路
12a エアフロメータ
14 クランクシャフト
14a クランク角センサ
15 吸気カムシャフト
19 ポンプカム
22 低圧燃料ポンプ
25 低圧燃料配管(低圧燃料通路)
26 低圧デリバリパイプ(低圧燃料通路)
27 ポート噴射弁群
271~274 ポート噴射弁
28、38 燃圧センサ
31 高圧燃料ポンプ
35 高圧燃料配管(高圧燃料通路)
36 高圧デリバリパイプ(高圧燃料通路)
37 筒内噴射弁群
371~374 筒内噴射弁
40 ECU
42 イグニッションスイッチ

Claims (1)

  1. エンジンと、前記エンジンの気筒内に燃料を直接噴射する筒内噴射弁、前記エンジンの吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁、燃料を加圧する低圧ポンプ、前記低圧ポンプにより加圧された燃料を前記ポート噴射弁に供給する低圧燃料通路、前記低圧燃料通路から供給された燃料を更に加圧する高圧ポンプ、前記低圧燃料通路から分岐し前記高圧ポンプにより加圧された燃料を前記筒内噴射弁に供給する高圧燃料通路、及び前記高圧燃料通路内での燃圧を検出する燃圧センサ、を備えた車両のエンジンシステムに適用され、前記エンジンの停止時からその後の始動時までの期間中に前記燃圧センサの検出値に基づいて前記燃圧センサの異常診断を行う燃圧センサの異常診断装置において、
    前記車両の減速度、及び前記筒内噴射弁から燃料が噴射されずに前記ポート噴射弁のみから燃料が噴射される期間、の少なくとも一方に基づいて、前記高圧燃料通路内が高燃圧状態であるか否かを判定する判定部と、
    前記エンジンの停止時に前記判定部により肯定判定がなされた場合には、前記異常診断の実行を停止する停止部と、を備えた燃圧センサの異常診断装置。
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