JP7467817B1 - 上糸蓄糸‐繰り出し装置を含む上糸制御機構を有する本縫いミシン - Google Patents

上糸蓄糸‐繰り出し装置を含む上糸制御機構を有する本縫いミシン Download PDF

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【課題】縫製品の縫い目品質の向上ができるミシンを提供する。【解決手段】本発明の蓄糸‐繰り出し装置を上糸格納部(糸駒29等)と糸取りばね15との間に配置し、かつ、蓄糸‐繰り出し装置と糸取りばね15との間に本発明の独自の駆動源を有する補助天秤31を設けることにより、縫い目形成の他の機構要素の動作及び効果をほぼ変えることなく安定した適度の縫合力、及び、縫製品に適合した一目縫い目形態の安定した繰り返しを実現することができ、縫製品の良好な縫い目品質を得ることができる。【選択図】図9

Description

縫製機械の構造、及び縫製技術に関する技術である。
本発明が解決しようとする課題
縫製品の縫い目品質は、安定した適度の縫合力、及び、縫製品に適合した一目縫い目形態の安定した繰り返しが大きな評価要件となる。
しかし、「現行の一般的な「縫い目形成及び縫合力発生のメカニズム及びプロセス」」(以降「従来方式」又は「従来理論」と表記)は、縫製品の縫い品質が、縫い糸と布、縫い糸と縫い糸、縫い糸とミシン部品との間の摩擦力のバランスを「奇跡」に近いほど上手に使った経験則により成り立っている。
該摩擦力のコントロールは難しく、安定した適度の縫合力、及び、縫製品に適合した一目縫い目形態の安定した繰り返しを得る為のミシンの調節が難しいのが現状である。
該摩擦力に依存した「経験則に基づく奇跡のバランス」に頼ることなく、布等被縫製物の厚みを感知し、該厚みと被縫製物の移動量すなわちミシンの送り量から計算された1縫目に使用される上糸の量(長さ)を制御し、その上糸量を強制的に繰り出し、縫合力及び縫目形態の安定を制御しようとする「上糸強制繰り出し方式」の試みが1970年代後半から1980年代にかけて研究、考案され、実際に、実機搭載された機種もある。
しかし、該「上糸強制繰り出し方式」では、縫い目形成サイクル中に「従来理論」の天秤上死点位相の様に上糸に張力を発生させるプロセスが基本的になく、縫い目形成中の上糸に発生した張力の大部分も縫目に消費された上糸に伝達されることはなく、更に、布の下にあった余分な上糸を引き上げる際、引き上げる方向の糸と縫い目方向の糸との摩擦抵抗により上糸が縫い目方向へも移動することが考えられ、縫い目には最悪の場合たるみが発生する可能性も否定できず、縫合力、および、上下糸の結節点位置が不安定となる可能性を内在しているという弱点があるといえる。
一方、本発明者は、図1のモーションダイヤグラムの解析と、実機での上下糸の挙動の観察から、〔発明の詳細な説明〕の〔0015〕から〔0032〕に示すように「1縫目形成サイクルは約400°(天秤上死点近辺位相から下糸引き締め位相まで)」「従来「釜下糸繰り出し量」曲線と解釈されていた下糸挙動曲線は「下糸引き締め量」曲線であり、その下糸引き締め量は図2の20と図3の21の下糸量の差」であることを見つけ出し、縫い目形成プロセスと縫い目形成サイクルを理論化した新説(参考文献1)を確立した。
参考文献
1.江端美和 「ミシンの系統化調査報告」 技術の系統化調査報告31集 国立科学博物館2022 pp75―90
本発明者はこの新説を基に、特許第7108169号「縫目安定下糸制御装置」、特許第7125583号「縫目安定下糸制御装置」、特許第7266779号「上糸強制供給機能を有する本縫いミシン」、特許第7266780号「縫い糸制御機能を有する本縫いミシン」を取得した。
特に、特許第7266779号「上糸強制供給機能を有する本縫いミシン」は、本発明者の新説を基に縫製品の縫い目品質を、該摩擦力に依存した「経験則に基づく奇跡のバランス」に頼ることなく、布等被縫製物の厚みを検知し、該厚みと被縫製物の移動量すなわちミシンの送り量(ジグザグミシンでは振幅量と送り量)から計算された1縫目に使用される上糸の量(長さ)を制御し、その上糸量を強制的に繰り出し、縫合力及び縫目形態の安定を制御したものであり、〔0006〕「該「「上糸強制繰り出し方式」の弱点」」を、下糸の引き締め位相と釜上糸必要量開始位相の間の位相で1縫目に使用される上糸の量(長さ)の強制供給を行うことにより解決した上糸強制供給機能を有する本縫いミシンを提供したものである。
しかし、特許第7266779号「上糸強制供給機能を有する本縫いミシン」は、上糸供給量曲線(天秤上糸供給量曲線)が実績のあるモーションダイヤグラムの曲線と大きく異なっている事、被縫製物(布)の厚みにより下糸引き締め位相を変化させなければならない事等、不安定要素、技術難易度の高さを内包している。
課題を解決するための手段
本発明は、モーションダイヤグラムの上糸供給曲線にほぼ合致するように上糸蓄糸‐繰り出し装置を考案提供するとともに、被縫製物(布)の厚みにより下糸引き締め位相を変化させる必要のないように上糸制御機構を考案新設することにより、〔0011〕記載の問題を解決する。
発明の効果
本発明を有する「上糸強制供給機能を有する本縫いミシン」を使用し縫製を行うことにより、安定した適度の縫合力、及び、縫製品に適合した一目縫い目形態のより安定した繰り返しを実現することができ、縫製品のより良好な縫い目品質を得ることができる。
発明の詳細な説明
最初に、図1のモデル化されたモーションダイヤグラムを使い本発明者が提唱する新説「縫い目形成及び縫合力発生のメカニズム及びプロセス」(以降「新理論」と表記)の説明をする。
縫い目形成プロセスは天秤上死点位相(位相1)から始まり機構内部への上糸の供給が開始される。その後、針の糸穴が針板(実際には被縫製物)を通過する位相(位相2)から釜上糸必要量が発生し、釜剣先の上糸ループ捕捉位相(位相4)、上糸ループをボビン(下糸格納部)が潜り抜ける位相(位相8)を経て、天秤下死点位相(位相7)からの天秤上昇により、位相8で解放された上糸の回収を始め、さらに、送り開始位相(位相6=送り歯が針板上面へ出てくる)を経て、再び天秤上死点位相(位相1’)において上糸の引き締めを行い、下糸引き締め位相(位相9)において最終縫目(下糸)引き締めを行い1縫目の形成を終了する。
図1のモーションダイヤグラムでは、送りの終了位相(位相10=送り歯が針板下面に沈み込む)が下糸引き締め位相(位相9)の後に来ているが、これは、下糸(上糸)の引き締めにより縫われた布や縫い糸が引き戻されるのを防止するためで、下糸引き締め位相(位相9)の時点で水平送り量のピークを過ぎていれば、送り量がこの位相で縫い目形態に影響を及ぼすことはない。
この天秤上死点位相(位相1及び1’)と下糸引き締め位相(位相9及び9’)の縫い目形態と縫目近辺の縫い糸(上糸及び下糸)の状態を図2、図3に示す。
そこで、図1のモーションダイヤグラムを例に「縫い目形成プロセスに伴う上糸及び下糸の挙動」を追っていく。
縫い目形成プロセスに伴う上糸の挙動は、位相1の天秤上死点から機構への上糸の供給(天秤上糸供給量曲線)が始まる。次に、位相2から機構の上糸の必要量の吸収(釜上糸必要量曲線)が始まる。
各位相における天秤上糸供給量と釜上糸必要量との差が上糸の「たるみ」となるのだが、この「たるみ」は糸取りばね15により吸収される。
位相が進み針棒下死点(位相3)を過ぎると、針の上昇とともに釜上糸必要量は減少を続け、天秤上糸供給量は増加し続けるので、「たるみ」は増加し続け、釜剣先の上糸ループ捕捉位相(位相4)では糸取りばね15の吸収容量限界(糸取りばねストロークの吸収容量限界)を超えて実際に「たるみ」が発生する。該「たるみ」は釜剣先が捕捉するための上糸ループとなる。
釜剣先の上糸ループ捕捉位相(位相4)を過ぎると再び釜上糸必要量は増加を始め、天秤上糸供給量と釜上糸必要量との差は糸取りばね15の吸収容量内に収まる。釜上糸必要量は増加をし続け上糸のループをボビン(下糸格納部)が潜り抜ける(位相8)と、上糸が釜剣先から解放され、一気に減少する。
更に、天秤上糸供給量も天秤下死点(位相7)を経過し一気に減少する。この天秤上糸供給量の減少は釜剣先から解放された上糸を布上面に引き上げる役割を担っている。
また、このような現象と相前後して送り歯が針板の上面に現れ(位相6)水平送りが機能することによって、被縫製物の送り(移動)が行われ上糸は消費される。
更に位相が進み、再び、天秤上死点になった位相(位相1’)の縫い目形態及び縫い糸(上糸、下糸)の状態を示したのが図2である。
位相1から位相1’までの間に、送りと縫い目形成に使われ不足した上糸糸量(19から20までの糸量)は天秤下死点(位相7)から天秤上死点(位相1’)に向かい上糸の引き締め(回収)を行う過程において上糸調子器から糸調子圧に抗して引き出される。この時、縫い目には上糸糸調子圧に影響された安定した適度の縫合力が発生する。
次に、縫い目形成プロセスに伴う下糸の挙動について説明する。
下糸の挙動は前の縫い目の下糸引き締め位相(位相9’)から始まる。この位相9’では、釜のカム面あるいは下糸繰り出しレバーにより下糸糸道経路は図1のモーションダイヤグラム中の下糸引き締め量分12の下糸量が通常の下糸糸道経路より長くなっている。
従って、下糸引き締め位相(位相9’)を過ぎ通常の糸道経路に戻ると、下糸引き締め量分12の下糸量が「下糸のたるみ」となる。
この「下糸のたるみ」は「被縫合物の送り」あるいは「上糸との絡み」で消費されるのだが、(釜は360°の間に2回転するので)2回目の「釜に設けられたカム面」が下糸糸道経路に来た位相(位相5)までの間では「被縫合物の送り」および「上糸との絡み」が発生しないので、「下糸たるみ」が消費されることはない。すなわち、2回目の「釜に設けられたカム面」が下糸糸道経路に来た位相(位相5)での下糸の繰り出しはない。
この「下糸のたるみ量」は被縫合物の送り開始位相(位相6)から送り量の増加に従い順次消費され、上糸の引き締め位相(天秤上死点(位相1’))では上糸にも引き上げられ消費される。しかし、「被縫合物の送り」及び「上糸の引き締め」による下糸の消費量は「下糸のたるみ量」に比較してはるかに多く、「たるみ量」が消費され尽くした後は消費(位相)が進むに対応し、だらだらと下糸がボビン(下糸格納部)から下糸糸調子ばねに抗して引き出される。
その結果、天秤上死点位相(位相1’)での下糸は図2に示した形態となり、その後、下糸引き締め位相(位相9)において、図3に示すように下糸が引き締められ縫い目形態(18から21)が完成する。
次に、特許第7266779号「上糸強制供給機能を有する本縫いミシン」の説明をする。
〔0032〕までのような縫い目形成プロセスと上糸及び下糸の挙動から、縫い目の安定した適度の縫合力、及び、縫製品に適合した一目縫い目形態の安定した繰り返しが、縫い糸と布、縫い糸と縫い糸、縫い糸とミシン部品との間の摩擦力のバランスを「奇跡」に近いほど上手に使った経験則により成り立っていることがわかる。
しかし、該摩擦力のコントロールは難しく、安定した適度の縫合力、及び、縫製品に適合した一目縫い目形態の安定した繰り返しを得るためのミシンの調節が難しいのが現状であり、該摩擦力に依存した「経験則に基づく奇跡のバランス」に頼ることなく、布等被縫製物の厚みを感知し、該厚みと、被縫製物の移動量すなわちミシンの送り量から計算された1縫目に使用される上糸の量(長さ)を制御し、その上糸量を強制的に繰り出し、縫合力及び縫目形態の安定を制御しようとする「上糸強制繰り出し方式」の試みが1970年代後半から1980年代にかけて研究、考案され、実際に、実機搭載された機種もある。
該「上糸強制繰り出し方式」は、縫い目形成及び縫合力発生のメカニズムにおいて、「従来方式」が「最終的な縫いの品質が不安定な摩擦力の「経験則に基づく奇跡のバランス」により確保されている」ことによる縫い品質の不安定さ、すなわち縫目形態の不安定さを改善する目的で、1縫目において消費される上糸の量(長さ)を計算し、縫い目形成1サイクルの起点位相(位相1)通過後すぐにその量を強制的に供給し、縫い目形態を安定、制御しようというものである。
更に、「上糸強制繰り出し方式」は、縫い目形態サイクルと縫い目形成サイクルを合致させる。すなわち、縫い目形成サイクルの起点である天秤上死点位相(位相1)を縫い目形態サイクルの起点とし、その次の天秤上死点位相(位相1’)では1縫目を完成させており(図4)、すなわち、縫い目形成1サイクルは360°となり、計算された新しい縫い目に必要な上糸の量(長さ)は天秤上死点位相(位相1)と釜上糸必要量開始位相(位相2)の間の位相で強制的に供給される。
「従来方式」における天秤上死点位相(位相1及び1’)での縫目形態を図2に、「上糸強制繰り出し方式」における天秤上死点位相(位相1及び1’)での縫目形態を図4に示す。
「従来方式」では、この位相(天秤上死点位相(位相1及び1’)で、下糸を布上面に引き上げ(前の縫い目18から「上糸調子器(16の方向)」までの上糸の長さを最短にして=図2)上糸に張力(上糸引き締め=縫合力)を発生させるとともに、前の天秤上死点位相(位相1あるいは1’)から1縫目の縫合に使用された上糸量(19から20までの糸量)を「上糸調子器(16の方向)」から引き出す。
一方、「上糸強制繰り出し方式」では、1縫目サイクル前のこの位相(天秤上死点位相(位相1及び1’))以降で予め供給されている1縫目の上糸供給量(18から21までの糸量)をこの位相(天秤上死点位相(位相1及び1’))までで消費し、1縫目形態を完了させる(図4)。
従って、「上糸強制繰り出し方式」では、縫い目形成サイクル中に「従来方式」の天秤上死点位相(図2)の様に上糸に張力を発生させるプロセス(位相)が基本的にないと言える。すなわち、「従来方式」の様に「上糸が下糸を布の上まで引き上げ(天秤上死点位相(位相1あるいは1’)=図2)、その後、下糸が引き締められ(下糸縫目引き締め位相(位相9あるいは9’)=図3)結節点が布の中間に位置、形成される」プロセスがなく、天秤上死点位相(位相1あるいは1’)において、上糸と下糸との結節点は、予め供給されている1縫目の上糸供給量に従い、いきなり、布の中間に位置、形成される(図4)。
この結果、21から16までの上糸には、布の下部から上糸を引き上げる際の布と上糸及びミシン部品との摩擦抵抗及び下糸を布の中に引き込む際の抵抗による張力が発生するが、縫目に消費された上糸(18から21までの上糸)には基本的に張力は発生せず、21から16までの上糸に発生した張力の大部分も縫目に消費された上糸(18から21までの上糸)に伝達されることはないと考えられる。更に、布の下にあった上糸は、この位相の前の位相で21~16の方向に引き上げられるのだが、この時、布には21~16の方向と21~18の方向の上糸がともに貫通しており、両糸の摩擦により、布の下にあった上糸は21~16の方向の引き上げにより21~18の方向へも移動することが考えられ、21~18の部分、すなわち、縫い目には最悪の場合たるみが発生する事が考えられる。このようなことから、縫合力、および、上下糸の結節点位置が不安定となる可能性があるといえる。
特許第7266779号「上糸強制供給機能を有する本縫いミシン」は、以上の「上糸強制繰り出し方式」における該問題点「縫合力、および、上下糸の結節点位置が不安定となる可能性」を改善したものである。
すなわち、「上糸強制繰り出し方式」では、縫い目形態サイクルと縫い目形成サイクルを合致させ、縫い目形成サイクルすなわち縫い目形態サイクルの起点及び終点を天秤上死点位相(位相1)としている(図4)が、特許第7266779号「上糸強制供給機能を有する本縫いミシン」では、縫い目形成サイクル及び縫い目形態サイクルの起点、終点を下糸縫目引き締め位相(位相9’及び9)とする。
特許第7266779号「上糸強制供給機能を有する本縫いミシン」での下糸引き締め位相(位相9’及び9)、すなわち、縫い目形態サイクル及び縫い目形成サイクルの起点、終点での縫目形態及び上糸の状態を図5に、天秤上死点位相(位相1及び1’)での縫目形態及び上糸の状態を図6に示す。
図5に示すように、下糸引き締め位相では前の縫い目が完成した縫い目終点位相9’となっており、当然のごとく縫い目形態サイクルの起点位相ともなっている。
また、この位相では上糸、下糸とも緊張状態(たるんでいない状態)となっており、この位相以降の位相で機構内部での上糸供給が開始される、すなわち、縫い目形成サイクルの起点位相ともなっている。
また、機構外部から新しい縫い目に供給される、計算された「1縫目において消費される上糸の量(長さ)」は、縫目1サイクルの起点である下糸引き締め位相(位相9’)と釜上糸必要量開始位相(位相2)の間の位相で強制的に供給される。
強制的に供給された「1縫目において消費される上糸の量(長さ)」は図5の終点位相(下糸引き締め位相(位相9及び9’)になった時、18~21の上糸長さにより消費される。
縫目形成サイクルの途中の天秤上死点位相(位相1’及び1)の縫い目形態と縫い糸の状態を図6に示しているが、起点位相(図5)と天秤上死点位相(図6)とで上糸の長さ(13~天秤糸穴14~16の長さ)が大きく異なり、この違いにより上糸の引き締め張力が18~13の上糸にも発生、伝達される。終点位相(図5)と縫目形成サイクルの途中の天秤上死点位相(図6)との上糸長さの関係は、基本的に(図5の18~21~13~17の位置の天秤糸穴14~16の長さ)=(図6の18~13~天秤糸穴14~16の長さ)となる。
この時、図5の18~21は起点以降の位相で強制的に供給された「1縫目において
Figure 0007467817000002
コントロールすることにより天秤上死点位相での上糸の引き締め張力を制御することができることとなる。
Figure 0007467817000003
点位相(下糸引き締め位相(位相9及び9’)の13~16間の上糸経路長さを変えなければならない。
これは、天秤糸穴14の位置17を変えることにより対応が取れる。すなわち、検出された被縫製物の厚みに対応して終点位相(下糸引き締め位相(位相9及び9’))を変化させることにより対応が取れることとなる。
Figure 0007467817000004
る。「縫い目交差率」とは上糸と下糸の結節点が被縫製物の上糸側から見て被縫製物の厚みの何%の位置にあるかを示す数値であり、基準はこれまで述べてきた50%であるが、一般的には「縫い目公差率60%」が被縫製物の縫い目を上糸側から見た「美しさ」が良く、かつ縫合力にも影響を与えないと言われている。
しかし、特許第7266779号「上糸強制供給機能を有する本縫いミシン」にも不安定要素が内在する。それは上糸供給量曲線(天秤上糸供給量曲線)が実績のあるモーションダイヤグラムの曲線と大きく異なっている事、被縫製物(布)の厚みにより下糸引き締め位相を変化させなければならない事である。
本発明は、〔0055〕記載の不安定要素を解決すべく、モーションダイヤグラムの上糸供給曲線にほぼ合致するように上糸蓄糸‐繰り出し装置を考案するとともに、被縫製物(布)の厚みにより下糸引き締め位相を変化させる必要のないように上糸制御機構を考案したものである。
本発明は、図7及び図8に示す様に独自の駆動源を有する1個の蓄糸レバー22又は複数個以上の蓄糸レバー(図8では複数個以上を代表として蓄糸レバー23、及び蓄糸レバー24の2個の蓄糸レバーの動作を示す)を有し、蓄糸レバーの両端にそれぞれ独自の駆動源を有する糸供給側糸保持稼働部材25及び縫製部側糸保持稼働部材26を配置した蓄糸‐繰り出し装置を上糸格納部(糸駒29)と糸取りばね15との間に配置する。
図7及び図8では蓄糸レバーの両端に糸道部材27、糸道部材28が配置されているが蓄糸量を説明するためであり、糸供給側糸保持稼働部材25及び縫製部側糸保持稼働部材26がその役目を担う事、あるいは一体となっていても何の問題は発生しない。また、上糸格納部(糸駒29)と蓄糸‐繰り出し装置の間にプリテンション30が配置されているが、これは、蓄糸‐繰り出し装置内での糸のたるみを防ぐためである。
図7を代表として本発明の蓄糸‐繰り出し装置の動作を説明する。
前の縫い目への繰り出し機能を終えた位相あるいは下糸引き締め位相を過ぎた位相にて縫製部側糸保持稼働部材26が動作し縫製部側からの上糸の移動を遮断し、糸供給側糸保持稼働部材25が動作し上糸格納部(糸駒29)側からの上糸の移動を可能にし、蓄糸レバー22が動作し、縫い目に必要な糸量を蓄糸する。
〔0060〕で記した「前の縫い目への繰り出し機能を終えた位相あるいは下糸引き締め位相を過ぎた位相にて・・・」について、請求項1では「前の縫い目への繰り出し機能を終えた位相」は位相位置が安定しないことから安定した位相位置の「下糸引き締め位相を過ぎた位相」を採用している。
蓄糸を終えた蓄糸‐繰り出し装置は、ミシン機構外部から供給された糸量の消費が始まる位相(それは、ほとんどのミシンが送りの開始位相である)の前の位相にて糸供給側糸保持稼働部材25が動作し上糸格納部材(糸駒29)側からの上糸の移動を遮断し、縫製部側糸保持稼働部材26が動作し縫製部側への上糸の移動を可能にし、蓄糸レバー22が動作し、ミシン機構外部から供給された糸量の消費に合わせ順次上糸を供給する。図8に代表される複数個以上の蓄糸レバーを有する蓄糸‐繰り出し装置も同様である。
〔0062〕で記した「ミシン機構外部から供給された糸量の消費が始まる位相(それは、ほとんどのミシンが送りの開始位相である)の前の位相にて・・・」について、請求項1では「シン機構外部から供給された糸量の消費が始まる位相(それは、ほとんどのミシンが送りの開始位相である)の前の位相」は位相位置が安定しないことから、シン機構外部から供給された糸量の消費が始まる位相の前の位相に含まれ、安定した位相位置の「針先端が針板から抜ける位相近辺」を採用している。
ミシン機構外部から供給された糸量とは縫い目に必要な糸量、すなわち一縫目に消費される糸量のことであり、送り量及び縫合部で消費される糸量であり、ジグザグミシンでは振幅量も含まれ、送り量、振幅量はミシンの設定により算出され、縫合部で消費される糸量は布(被縫製物)の厚さを検知することにより算出される。布(被縫製物)の厚さは押さえの上昇量を差動トランスなどで計測することにより、逐次計測することができる。
蓄糸‐繰り出し装置内の蓄糸量は、図7、図8における糸道部材27と糸道部材28の間の上糸量である実線aと破線bとの長さの差である。
また、本発明は、図9及び図10に示す様に、下糸引き締め位相を固定する為に蓄糸‐繰り出し装置と糸取りばね15との間に独自の駆動源を有する補助天秤31を設けた。
この補助天秤31は、特許第7266779号「上糸強制供給機能を有する本縫いミシン」の上糸強制供給機構において〔0049〕から〔0053〕で説明した様に布の厚さに対応し下糸引き締め位相を変えなければならない不安定要素を解決する為、下糸引き締め位相をミシンの仕様である最大布厚の位相に固定し、天秤上死点から下糸引き締め位相までに天秤の下降により発生した上糸量から縫合部で消費される糸量を差し引いた天秤上糸供給量を吸収する動作を行う。この動作を行った補助天秤31は下糸引き締め位相を過ぎると吸収した糸量を一気に開放し、上糸供給量曲線は図1の天秤上糸供給量曲線とほぼ合致することとなる。
特許第7266779号「上糸強制供給機能を有する本縫いミシン」と本発明の本縫いミシンとにおいて、最も重要なことは、天秤上死点位相と下糸引き締め位相の両位相において上糸の緊張状態を確保することである。
〔0067〕で得られた上糸供給量曲線35を図1のモーションダイヤグラムに追加した図を図11に示す。
は一般的ミシンの機構の動き及び縫い糸(上糸及び下糸)の挙動をモデル化したモーションダイヤグラムである。 は「従来方式」の天秤上死点位相(位相1及び1’)の縫い目形態と縫目近辺の縫い糸(上糸及び下糸)の状態を示した図である。 は「従来方式」の下糸引き締め位相(位相9及び9’)の縫い目形態と縫目近辺の縫い糸(上糸及び下糸)の状態を示した図である。 は「上糸強制繰り出し方式」の天秤上死点位相(位相1及び1’)の縫い目形態と縫目近辺の縫い糸(上糸及び下糸)の状態を示した図である。 は特許第7266779号「上糸強制供給機能を有する本縫いミシン」の下糸引き締め位相(位相9及び9’)の縫い目形態と縫目近辺の縫い糸(上糸及び下糸)の状態を示した図である。 は特許第7266779号「上糸強制供給機能を有する本縫いミシン」の天秤上死点位相(位相1及び1’)の縫い目形態と縫目近辺の縫い糸(上糸及び下糸)の状態を示した図である。 は請求項1の独自の駆動源を有する1個の蓄糸レバーを有する蓄糸‐繰り出し装置を糸駒と糸取りばねの間に配置した構造概念図である。 は請求項1の独自の駆動源を有する複数個(2個)の蓄糸レバーを有する蓄糸‐繰り出し装置を糸駒と糸取りばねの間に配置した構造概念図である。 は請求項2の蓄糸‐繰り出し装置と糸取りばね15との間に独自の駆動源を有する補助天秤31を配置した構造概念図である。 は請求項2の蓄糸‐繰り出し装置と糸取りばね15との間に独自の駆動源を有する補助天秤31を配置した構造概念図である。 は本発明で得られた上糸供給量曲線を図1のモーションダイヤグラムに追加した図である
1及び1’・・・天秤上死点位相、2・・・針の糸穴が針板(実際には被縫製物)を通過する位相、3・・・針棒下死点位相、4・・・釜剣先の上糸ループ捕捉位相、5・・・2回目の「釜に設けられたカム面」が下糸糸道経路に来た位相、6・・・送りの開始位相(送り歯が針板の上面に現れる)、7・・・天秤下死点位相、8・・・上糸ループをボビン(下糸格納部)が潜り抜ける位相、9及び9’・・・下糸引き締め位相、10・・・送りの終了位相(送り歯が針板下面に沈み込む)、11・・・水平送り量、12・・・下糸引き締め量、13・・・上糸と押さえの接触点、14・・・天秤糸穴、15・・・糸取りばね、16・・・上糸糸調子器(糸供給機)への方向、17・・・下糸引き締め位相(位相9及び9)’での天秤糸穴位置、18・・・1針前の縫い目、19・・・1針前の縫い目の20の位置、20・・・天秤上死点位相での上糸基準位置、21・・・新しい縫い目位置、22・・・蓄糸レバー、23・・・蓄糸レバー、24・・・蓄糸レバー、25・・・糸供給側糸保持稼働部材、26・・・縫製部側糸保持稼働部材、27・・・糸道部材、28・・・糸道部材、29・・・糸駒、30・・・プリテンション、31・・・補助天秤、32・・・上糸、33・・・天秤、34・・・針、35・・・上糸供給量曲線

Claims (2)

  1. 独自の駆動源を有する1個の蓄糸レバー又は複数個以上の蓄糸レバーを有し、蓄糸レバーの両側にそれぞれ独自の駆動源を有する糸供給側糸保持稼働部材及び縫製部側糸保持稼働部材を配置した蓄糸‐繰り出し装置を上糸格納部(糸駒等)と糸取りばねとの間に配置し、下糸引き締め位相を過ぎた位相にて縫製部側糸保持稼働部材が動作し縫製部側からの上糸の移動を遮断し、糸供給側糸保持稼働部材が動作し上糸格納部(糸駒等)側からの上糸の移動を可能にし、蓄糸レバーが動作し、縫い目に必要な糸量を蓄糸し、針先端が針板から抜ける位相近辺にて糸供給側糸保持稼働部材が動作し上糸格納部(糸駒等)側からの上糸の移動を遮断し、縫製部側糸保持稼働部材が動作し縫製部側への上糸の移動を可能にし、蓄糸レバーが動作し、ミシン機構外部から供給された糸量の消費に合わせ順次上糸を供給することを特徴とする上糸供給機能を搭載した本縫いミシン。
  2. 請求項1の上糸供給機能を搭載した本縫いミシンにおいて、蓄糸‐繰り出し装置と糸取りばねとの間に独自の駆動源を有する補助天秤を設け、下糸引き締め位相を固定し、天秤上死点から下糸引き締め位相までに天秤の下降により発生した上糸量から縫合部で消費される上糸量を差し引いた天秤上糸供給量を吸収する動作を行い下糸引き締め位相にて上糸の緊張状態を作り出し、下糸引き締め位相を過ぎると吸収した糸量を開放し、縫い目形成機構が必要とする上糸量を過不足なく供給することを特徴とする上糸供給機能を搭載した本縫いミシン。
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