JP7467590B2 - 車室暖房用ヒーターエレメント及び車室暖房用ヒーター - Google Patents

車室暖房用ヒーターエレメント及び車室暖房用ヒーター Download PDF

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Description

本発明は、車室暖房用ヒーターエレメント及び車室暖房用ヒーターに関する。
地球環境保護の観点から、自動車からのCO2排出量の低減要求が高まっている。また、都市部での環境基準達成の観点から、自動車からの窒素酸化物などのゼロエミッション化要求が高まっている。これらに対応可能な対策として、電気自動車が注目されている。しかしながら、電気自動車は従来暖房の熱源としていた内燃機関を持たないので、暖房の熱源が不足するという問題がある。
そこで、バッテリーの電力を有効に用いて暖房を行うために蒸気圧縮ヒートポンプが用いられてきた(特許文献1)。蒸気圧縮ヒートポンプは、媒体を電動コンプレッサーによって圧縮し、気相-液相間の相変化での吸熱及び放熱を利用して、冷たい外気から車室内へ熱をポンピングするものである。蒸気圧縮ヒートポンプは、投入電力に対し、ポンピングできる熱量が大きいので、電気エネルギーをより有効に利用できるという利点がある。
また、通電時の電気抵抗により発生するジュール熱を利用したヒーターも知られている(特許文献2)。ジュール熱を利用したヒーターでは、発熱体が熱交換器に配置されており、熱交換器を通過する流体が加熱される。ジュール熱を利用したヒーターは、車両始動時の急速加熱が必要なときや外気温が非常に低い時に有効である。発熱体としては、熱暴走を防止するためPTC材料を用いることが知られている。
一方で、ハニカム状のヒーターエレメントを用いたヒーター(以下、「ハニカムヒーター」という。)が知られている。例えば、特許文献3には、チタン酸バリウム系のPTCサーミスタを利用したハニカム状発熱体が、温風暖房機、乾燥機、ヘアドライヤなどの分野に使用されることが記載されている。また、特許文献4には、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン及び燃焼装置からの排ガスを加熱するのに有効な通電発熱用ハニカム構造体が記載されている。さらに、特許文献5においても、内燃機関の排ガスを処理するための電気加熱可能なハニカム体が記載されている。
特開2017-30724号公報 特表2015-519260号公報 実開昭54-123442号公報 特許第5261256号公報 特開2008-215351号公報
熱効率の観点からは蒸気圧縮ヒートポンプが優れているが、蒸気圧縮ヒートポンプは外気が極低温の時に作動が困難であること、及び車両始動時に急速に車室を温めることが困難であるといった問題がある。そこで、蒸気圧縮ヒートポンプを主たる暖房装置として使用しつつ、車両始動時の急速加熱が必要なときや外気温が非常に低い時に、ジュール熱を利用したヒーターを補助的に活用することは実用的であると考えられる。
しかしながら、従来のジュール熱を利用したヒーターは、大型化し易く、車内スペースを圧迫するという問題がある。このため、よりコンパクトなヒーターが提供されることが望ましい。この点、ハニカムヒーターは体積当たりの熱伝達面積を大きくすることができるため、ヒーターの小型化に資すると考えられる。しかしながら、特許文献4に記載の通電発熱用ハニカム構造体は、ハニカム構造体がNTC特性を有するため、過剰に発熱してしまい、車室暖房用ヒーターとしては適応し難い。また、特許文献5に記載の技術では、PTC材料からなる制御要素の温度がハニカム体の温度に追随せず、車室暖房用ヒーターとしては、過剰発熱の抑制効果が十分といえるものではない。これに対して、特許文献3に記載のPTCサーミスタを利用したハニカム状発熱体は、過剰な発熱を抑制できるため、車室暖房用ヒーターに適用できる可能性がある。
一方、蒸気圧縮ヒートポンプを主暖房装置として使用する車室暖房用ヒーターにハニカムヒーターを配置する場合、上流側に蒸気圧縮ヒートポンプの熱交換器(凝縮器及び蒸発器)が存在するため、熱交換器で発生する結露水がハニカムヒーターに飛散して付着することがある。したがって、特許文献3に記載のハニカム状発熱体を車室暖房用ヒーターに用いる場合、ハニカムヒーターの電気回路が結露水によって短絡する恐れがあることから、この問題を改善する必要があった。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、PTC材料を用いたヒーターエレメントにおいて、結露水などの水分による電気回路の短絡を抑制することが可能な車室暖房用ヒーターエレメント、及びこのような車室暖房用ヒーターエレメントを備えた車室暖房用ヒーターを提供することを目的とする。
上記課題は、以下の本発明によって解決されるものである。本発明は以下のように特定される。
すなわち、本発明は、外周壁と、外周壁の内側に配設され、第1端面から第2端面まで流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁とを有する柱状ハニカム構造部を備える、空気を加熱するための車両の車室暖房用ヒーターエレメントであって、
前記外周壁及び前記隔壁が、チタン酸バリウムを主成分とし、キュリー点が150℃以下であり、且つPTC特性を有する材料で構成されており、
前記柱状ハニカム構造部の少なくとも一部を被覆する気孔率が5%以下の絶縁膜を更に備え、前記絶縁膜が樹脂で構成され、前記絶縁膜の平均厚みが0.1~50μmである
車室暖房用ヒーターエレメントである。
また、本発明は、前記車室暖房用ヒーターエレメント、
外気導入部又は車室と前記車室暖房用ヒーターエレメントの前記第1端面とを連通する流入配管、
前記車室暖房用ヒーターエレメントに電圧を印加するためのバッテリー、及び
前記車室暖房用ヒーターエレメントの第2端面と前記車室とを連通する流出配管
を備える車室暖房用ヒーターである。
本発明によれば、PTC材料を用いたヒーターエレメントにおいて、結露水などの水分による電気回路の短絡を抑制することが可能な車室暖房用ヒーターエレメント、及びこのような車室暖房用ヒーターエレメントを備えた車室暖房用ヒーターを提供することができる。
本発明の実施形態に係るヒーターエレメントの模式的な斜視図である。 図1のヒーターエレメントにおけるa-a’線の断面図である。 図2のヒーターエレメントにおけるb-b’線の断面図である。 図2のヒーターエレメントにおけるc-c’線の断面図である。 本発明の実施形態に係るヒーターエレメントに用いることが可能な他の柱状ハニカム構造部の模式的な斜視図である。 本発明の実施形態に係るヒーターエレメントに用いることが可能な他の柱状ハニカム構造部の模式的な斜視図である。 複数の柱状ハニカム構造部を接合した複合体の一例を示す模式的な端面図である。 本発明の実施形態に係る車室暖房用ヒーターの構成例を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し変更、改良などが適宜加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
(1.ヒーターエレメント)
本発明の実施形態に係るヒーターエレメントは、車両の車室暖房用のヒーターエレメントとして好適に利用可能である。車両としては、限定的ではないが、自動車及び電車が挙げられる。自動車としては、限定的ではないが、ガソリン車、ディーゼル車、CNG(圧縮天然ガス)やLNG(液化天然ガス)などを用いるガス燃料車、燃料電池自動車、電気自動車及びプラグインハイブリッド自動車が挙げられる。本発明の実施形態に係るヒーターエレメントは、とりわけ電気自動車及び電車のような内燃機関を持たない車両に好適に利用可能である。
図1は、本発明の実施形態に係るヒーターエレメントの模式的な斜視図である。図2は、図1のヒーターエレメントにおけるa-a’線の断面図である。図3は、図2のヒーターエレメントにおけるb-b’線の断面図である。図4は、図2のヒーターエレメントにおけるc-c’線の断面図である。
本発明の実施形態に係るヒーターエレメント100は、外周壁112と、外周壁112の内側に配設され、第1端面114から第2端面116まで流路を形成する複数のセル115を区画形成する隔壁113とを有する柱状ハニカム構造部を備える。また、ヒーターエレメント100は、柱状ハニカム構造部の少なくとも一部を被覆する緻密な絶縁膜120を更に備える。なお、図1の斜視図では、一例として、柱状ハニカム構造部の全体が緻密な絶縁膜120によって被覆されている場合を示している。
(1-1.柱状ハニカム構造部)
柱状ハニカム構造部は、例えば、端面(第1端面114及び第2端面116)が多角形(四角形(長方形、正方形)、五角形、六角形、七角形、八角形など)の柱状、端面が円形の柱状(円柱形状)、端面がオーバル形状の柱状などの任意の形状とすることができる。端面が多角形の場合、角部は面取りしてもよい。なお、後述する図5及び図6に示す柱状ハニカム構造部は、面取りされた長方形状の端面を有する。
セル115の流路方向に直交する断面におけるセル115の形状に制限はないが、四角形(長方形、正方形)、六角形、八角形、又はこれらの二種以上の組み合わせであることが好ましい。これらの中でも、正方形及び六角形が好ましい。セル115の形状をこのような形状にすることにより、柱状ハニカム構造部にガスを流したときの圧力損失を小さくすることができる。なお、図1に示すヒーターエレメント100における柱状ハニカム構造部は、セル115の流路方向に直交する断面におけるセル115の形状は正方形である。
ガス流量を確保するという観点から、柱状ハニカム構造部の各端面の面積は、50cm2以上とすることが好ましく、70cm2以上とすることがより好ましく、100cm2以上とすることが更により好ましい。ヒーターエレメント100をコンパクトにするという観点から、柱状ハニカム構造部の各底面の面積は、500cm2以下とすることが好ましく、300cm2以下とすることがより好ましく、更には200cm2以下とすることが更により好ましい。柱状ハニカム構造部の各端面の面積は、例えば50~500cm2とすることができる。
ヒーターエレメント100をコンパクトにするという観点から、柱状ハニカム構造部の長さ(各セル115の流路長さ)は、例えば40mm以下とすることが好ましく、30mm以下とすることがより好ましく、20mm以下とすることが更に好ましく、10mm以下とすることが更により好ましい。加熱性能及び強度を確保するという観点からは、柱状ハニカム構造部の長さ(各セル115の流路長さ)は、3mm以上とすることが好ましい。柱状ハニカム構造部の長さ(各セル115の流路長さ)は、例えば3~40mmとすることができる。
(1-1-1.柱状ハニカム構造部の材質)
柱状ハニカム構造部の外周壁112及び隔壁113は、通電によって発熱可能な材料から形成されている。従って、外気又は車室内空気のようなガスが、第1端面114から流入してから、複数のセル115を通過し、第2端面116から流出するまでに、当該ガスは発熱する外周壁112及び隔壁113からの伝熱によって加熱されることが可能である。
また、外周壁112及び隔壁113は、PTC(Positive Temperature Coefficient)特性を有する材料で構成されている。つまり、外周壁112及び隔壁113は、温度が上昇してキュリー点を超えると、急激に抵抗値が上昇して電気が流れ難くなるという特性を有する。外周壁112及び隔壁113がPTC特性を有することによって、ヒーターエレメント100が高温になったときに、これらに流れる電流が制限されるので、ヒーターエレメント100の過剰な発熱が防止される。
通電発熱可能であり、且つ、PTC特性を有するという観点から、外周壁112及び隔壁113は、チタン酸バリウムを主成分とする材料で構成されるセラミックスであることが好ましく、チタン酸バリウムを70質量%以上含有する材料で構成されるセラミックスであることがより好ましく、チタン酸バリウムを90質量%以上含有する材料で構成されるセラミックスであることが更により好ましい。当該セラミックスは、希土類元素などの添加物を一種以上含有することが所望のPTC特性を得る上で好ましい。添加物としては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのような半導体化剤、Sr、Sn及びZrのような低温側のシフター、(Bi-Na)、(Bi-K)のような高温側のシフター、Mnのような特性改善剤、酸化バナジウム及び酸化イットリウムのような金属酸化物(特に希土類元素の酸化物)、並びにカーボンブラック及びニッケルのような導電体粉末が挙げられる。このほかのPTC材料として、クリストバライト相SiO2を母材とし導電フィラーを含む複合材がある。クリストバライト相SiO2母材の代替にトリジマイト相SiO2、クリストバライト相AlPO4、トリジマイト相AlPO4を用いることもできる。
外周壁112及び隔壁113を構成する材料のキュリー点は、暖房用に空気を効率良く加熱する観点から、100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましく、125℃以上であることが更により好ましい。また、外周壁112及び隔壁113を構成する材料のキュリー点は、車室又は車室近傍に置かれる部品としての安全性の観点から、250℃以下であることが好ましく、225℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることが更により好ましく、150℃以下であることが特に好ましい。
なお、外周壁112及び隔壁113を構成する材料のキュリー点は、外周壁112及び隔壁113を被覆する絶縁膜120の種類と関係する。詳細については下記で説明する。
外周壁112及び隔壁113を構成する材料のキュリー点は、シフターの種類及び添加量によって調整可能である。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)のキュリー点は約120℃であるが、Ba及びTiの一部をSr、Sn及びZrの一種以上で置換することにより、キュリー点を低温側にシフトさせることができる。また、Baの一部をPbで置換することにより、キュリー温度を高温側にシフトさせることができる。
本発明において、キュリー点は以下の方法により測定される。試料を測定用の試料ホルダーに取りつけ、測定槽(例:MINI-SUBZERO MC-810P タバイ エスペック社製)内に装着して、10℃から昇温したときの温度変化に対する試料の電気抵抗の変化を、直流抵抗計(例:マルチメーター3478A YHP製)を用いて測定する。測定により得られた電気抵抗-温度プロットにより、抵抗値が室温(20℃)における抵抗値の2倍になるときの温度をキュリー点とする。
(1-1-2.柱状ハニカム構造部の隔壁113の平均厚み)
初期電流を抑えるという観点からは、電流通路を小さくして電気抵抗を大きくすることが有利である。従って、ハニカム構造部における隔壁113の平均厚みは、0.13mm以下であることが好ましく、0.10mm以下であることがより好ましく、0.08mm以下であることが更により好ましい。但し、ハニカム構造部の強度を確保するという観点からは、隔壁113の平均厚みは、0.02mm以上であることが好ましく、0.04mm以上であることがより好ましく、0.06mm以上であることが更により好ましい。
本発明において、隔壁113の厚みとは、セル115の流路方向に直交する断面において、隣接するセル115の重心同士を線分で結んだときに当該線分が隔壁113を横切る長さを指す。隔壁113の平均厚みは、隔壁113の厚みを10点測定したときの平均値を指す。
隔壁113の厚みを薄くしていくと、柱状ハニカム構造部の強度が低下し易い。そこで、隔壁113の厚みが大きな隔壁Aと、隔壁113の厚みが小さな隔壁Bとを設けることで強度を補うこともできる。柱状ハニカム構造部を補強するという観点からは、最も外周側のセル群を形成する隔壁113は少なくとも厚くすることが好ましい。例えば、隔壁113の平均厚みとしては上述した範囲を維持しつつ、一部の隔壁A(例えば、全隔壁数の60%以内、好ましくは10%~30%)の厚みを0.12mm以上、好ましくは0.15mm以上、より好ましくは0.18mm以上、例えば0.12~0.18mm、典型的には0.15~0.18mmとし、残りの隔壁Bの厚みを0.10mm以下、好ましくは0.08mm以下、より好ましくは0.06mm以下、例えば0.05~0.10mm、典型的には0.05~0.08mmとすることができる。
ここで、部分的に隔壁113の厚みが大きい箇所を設けた柱状ハニカム構造部の一例を図5及び図6に示す。図5及び図6において、図1~4に示されている符号と同一の符号は、それぞれ図1~4と同様の説明が当てはまるので、説明を省略する。図5に示す柱状ハニカム構造部においては、最も外周側のセル群を区画形成する隔壁113と、当該セル群を除いて最も外周側のセル群を区画形成する隔壁113が、他の隔壁113よりも厚くなっている。図6に示す柱状ハニカム構造部においては、図5の柱状ハニカム構造部で説明した隔壁113に加えて、柱状ハニカム構造部の端面の中心を通って十文字状に配列されたセル群を区画形成する隔壁113も、他の隔壁113より厚くなっている。
上記の補強方法に加えて、又は上記の補強方法に代えて、外周壁112の厚みを大きくすることによって柱状ハニカム構造部の強度を補うこともできる。柱状ハニカム構造部を補強するという観点からは、外周壁112の厚みは、0.05mm以上であることが好ましく、0.06mm以上であることがより好ましく、0.08mm以上であることが更により好ましい。ただし、電気抵抗を大きくし、初期電流を抑える観点、及びガス通過時の圧力損失を低減する観点からは、外周壁112の厚みは、1mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましく、0.4mm以下であることが更により好ましく、0.3mm以下であることが更により好ましい。
本発明において、外周壁112の厚みは、セル115の流路に直交する断面において、外周側壁と最も外周側のセル115又は隔壁113との境界から柱状ハニカム構造部の側面までの、当該側面の法線方向の長さを指す。
(1-1-3.柱状ハニカム構造部の開口率)
初期電流を抑えるという観点から、開口率(OFA)は大きいほうが有利である。従って、ハニカム構造部の各端面における開口率は、0.81以上であることが好ましく、0.83以上であることがより好ましく、0.85以上であることが更により好ましい。また、開口率(OFA)を大きくすることにより、通風抵抗をより抑えることが可能である。但し、ハニカム構造部の強度を確保するという観点からは、ハニカム構造部の各端面における開口率は0.92以下であることが好ましく、0.90以下であることがより好ましく、0.88以下であることが更により好ましい。
本発明において、柱状ハニカム構造部の各端面における開口率は、セル115の開口部を含む各端面の面積に対する当該端面におけるセル115の開口部の面積の比率を指す。
(1-1-4.柱状ハニカム構造部のセル密度)
柱状ハニカム構造部は、セル密度が93セル/cm2以下であることが好ましく、90セル/cm2以下であることがより好ましい。このような範囲にセル密度を制御することにより、通風抵抗を抑えて送風機の出力を抑制することができる。また、柱状ハニカム構造部は、セル密度が60セル/cm2以上であることが好ましく、80セル/cm2以上であることがより好ましい。先述した隔壁113の平均厚みの好適な範囲と組み合わせてセル密度を上記範囲に規制することで、初期電流を抑えながら、急速加熱に適した柱状ハニカム構造部とすることができる。
なお、本発明において、柱状ハニカム構造部のセル密度は、柱状ハニカム構造部の各端面の面積でセル数を除して得られる値である。
(1-1-5.柱状ハニカム構造部のガスへの熱伝達率)
みかけの熱伝達率h(単位:W/m2/K)に総表面積(単位:m2)Sを乗じた値(h×S)は、柱状ハニカム構造部からガスへの熱伝達率を表す指標となる。加熱性能を高めて柱状ハニカム構造部を小型化する上では、h×Sの下限は、20W/K以上であることが好ましく、25W/K以上であることがより好ましく、30W/K以上であることが更により好ましく、40W/K以上であることが更により好ましい。また、柱状ハニカム構造部が冷気により冷やされるために生じる熱衝撃による破壊を回避する観点からは、h×Sの上限は、80W/K以下であることが好ましく、75W/K以下であることがより好ましく、70W/K以下であることが更により好ましい。
みかけの熱伝達率hは、下記式(1)によって求められる。
h=(Nu/d)×λ ・・・(1)
式(1)中、Nuは固定値として3.63、dはセル115の水力直径(m)を示し、λは空気の熱伝導率(W/m/K)を示し、λ=2.5×10-2とする。
総表面積Sは、下記式(2)によって求められる。
S=GSA×V ・・・(2)
式(2)中、Vは柱状ハニカム構造部の容積(m3)を示し、GSAは柱状ハニカム構造部の容積あたりの表面積(m2/m3)を示し、GSAは下記式(3)によって求められる。
GSA={4(P-t)×Li}/{Li×P2} ・・・(3)
式(3)中、Liは単位長さ(1m)を示し、Pは平均セルピッチ(m)を示し、tは隔壁113の平均厚み(m)を示す。
セル115の水力直径d(m)は、平均セルピッチP(m)から隔壁113の平均厚みt(m)を控除することによって求められる値(d=P-t)である。
柱状ハニカム構造部の容積は、柱状ハニカム構造部の外形寸法に基づいて測定される容積値を指す。
平均セルピッチ(P)とは、以下の計算によって求められる値を指す。まず、柱状ハニカム構造部の外周壁112を除く部分の端面の面積をセル115の数で割り、1セル当たりの面積を算出する。次いで、1セル当たりの面積の平方根を算出し、これを平均セルピッチとする。
隔壁113の平均厚みは先述した通りである。
(1-1-6.柱状ハニカム構造部同士の接合)
柱状ハニカム構造部は、二つ以上を外周壁112同士で接合した複合体として用いることができる。小さな柱状ハニカム構造部を複数接合して大きな複合体とすることで、クラックの発生を抑えながらガスの流量確保に重要なセル115の総断面積を増やすことが可能となる。このような柱状ハニカム構造部の複合体の一例について、模式的な端面図を図7に示す。図7には、端面が略正方形であって同サイズの四つの柱状ハニカム構造部A~Dを外周壁112同士で接合材117を介して上下左右に二個ずつ接合することで形成された、端面が略正方形の大きな柱状ハニカム構造部の複合体の模式的な端面図が示されている。
柱状ハニカム構造部A~Dの外周壁112同士を接合するための接合材117としては、限定的ではないが、セラミックス材料に、水などの溶媒を加えてペースト状にしたものを用いることができる。接合材117は、PTC特性を有するセラミックスを含有してもよく、外周壁112及び隔壁113と同一のセラミックスを含有してもよい。接合材117は、柱状ハニカム構造部A~D同士を接合する役割に加えて、柱状ハニカム構造部A~Dを接合した後の大きな複合体全体の外周コート材として用いることも可能である。
(1-2.緻密な絶縁膜120)
緻密な絶縁膜120は、結露水などの水分がヒーターエレメント100に付着した場合に、ヒーターエレメント100における電気回路の短絡を抑制する役割を果たす。
緻密な絶縁膜120は、結露水などの水分が付着する部分を被覆していればよい。緻密な絶縁膜120は、柱状ハニカム構造部の外周壁112の外側表面、流路の表面、第1端面114及び第2端面116から選択される少なくとも1つを被覆していることが好ましい。
本発明において、緻密な絶縁膜120とは、気孔率が小さい絶縁膜120のことを指す。絶縁膜120の気孔率は、5%以下であることが好ましく、4%以下であることが好ましく、3%以下であることが好ましい。このような範囲の気孔率であれば、絶縁膜120を水分が通過することを安定して抑制することができる。
(1-2-1.緻密な絶縁膜120の材質)
緻密な絶縁膜120は、絶縁性を有する材料から形成されている。
絶縁性を有する材料としては、特に限定されないが、例えば、樹脂(ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリアミドイミドなど)、ガラス、セラミックスなどを用いることができる。セラミックスとしては、アルミナ、ムライト、スピネルなどが挙げられる。
キュリー点が150℃以下の材料で外周壁112及び隔壁113が構成されている場合、緻密な絶縁膜120に要求される耐熱性のレベルが低くなる。そのため、緻密な絶縁膜120の材料として樹脂を選択することが可能である。樹脂としては、絶縁性及び耐熱性の観点から、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、ポリイミド樹脂が好ましい。
一方、キュリー点が150℃を超える材料で外周壁112及び隔壁113が構成されている場合、緻密な絶縁膜120に要求される耐熱性のレベルが高くなる。そのため、緻密な絶縁膜120の材料としては、ガラスやセラミックスを選択することが好ましい。
(1-2-2.緻密な絶縁膜120の平均厚み)
緻密な絶縁膜120の平均厚みは、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが更により好ましい。このような範囲に平均厚みを制御することにより、ガスへの熱伝達性に対する影響が少なく、圧力損失も大きくなり難い。一方、緻密な絶縁膜120の平均厚みが小さすぎると、電気回路の短絡を抑制する効果が十分に得られないことがある。そのため、緻密な絶縁膜120の平均厚みは、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、1.0μm以上であることが更により好ましい。
本発明において、緻密な絶縁膜120の厚みとは、セル115の流路方向に直交する断面において、緻密な絶縁膜120が形成される基材(外周壁112の外側表面、流路の表面、第1端面114及び第2端面116)に対して垂直な方向の長さを指す。緻密な絶縁膜120の平均厚みは、絶縁膜120の厚みを10点測定したときの平均値を指す。
(1-3.電極層118)
本発明の実施形態に係るヒーターエレメント100は、第1端面114及び第2端面116における外周壁112及び隔壁113の表面に電極層118を有することができる(図2及び図3参照)。
電極層118は、セル115を塞ぐことなく各端面に電極層118を設けることが好ましく、セル115を塞ぐことなく各端面全体に電極層118を設けることがより好ましい。
電極層118としては、例えば、Cu、Ag、Al及びSiから選択される少なくとも一種を含有するものを使用することができる。また、PTC特性を有する外周壁112及び/又は隔壁113とオーミック接触が可能なオーミック電極層を使用することもできる。オーミック電極層は、例えば、ベース金属としてAu、Ag及びInから選択される少なくとも一種を含有し、ドーパントとしてn型半導体用のNi、Si、Ge、Sn、Se及びTeから選択される少なくとも一種を含有するオーミック電極層を使用することができる。
本発明の実施形態に係るヒーターエレメント100が電極層118を有する場合、電極層118の少なくとも一部、好ましくは全体が、絶縁膜120によって被覆されていることが好ましい。このような構成とすることにより、結露水などの水分がヒーターエレメント100に付着した場合に、電気回路の短絡を抑制することができる。
(1-4.導電部材121)
本発明の実施形態に係るヒーターエレメント100は、電極層118の少なくとも一部に、外部電源と接続可能な導電部材121を有することができる(図2及び図4参照)。
導電部材121は、電極層118と電気的に接続されていることが好ましい。すなわち、導電部材121と電極層118とが接触していることが好ましく、導電部材121と電極層118との接触面には絶縁膜120が介在しないことが好ましい。
導電部材121は、第1端面114及び第2端面116の外周壁112に設けられた電極層118上に配置されていることが好ましい。このような構成とすることにより、電極層118全体に効率的に通電させることができる。
導電部材121は、板状であり、導電性に優れる材料から形成される。例えば、導電部材121は、銅板、ステンレス板などの金属から形成される。
本発明の実施形態に係るヒーターエレメント100が導電部材121を有する場合、導電部材121の少なくとも一部、好ましくは全体が、絶縁膜120によって被覆されていることが好ましい。このような構成とすることにより、結露水などの水分がヒーターエレメント100に付着した場合に、電気回路の短絡を抑制することができる。
導電部材121は、一部が表面に露出しており、当該部分が外部電源からの電線119と接続される。導電部材121には、電線119を拡散接合、機械的な加圧機構、溶接などによって接続することができ、例えばバッテリーから電線119を介して給電可能である。
(1-5.ヒーターエレメント100の使用方法)
本発明の実施形態に係るヒーターエレメント100は、例えば、各端面に配置された一対の電極層118間に電圧を印加することで発熱させることができる。印加電圧としては、急速加熱の観点から、200V以上の電圧を印加することが好ましく、250V以上の電圧を印加することがより好ましい。先述したように、本発明の実施形態に係るヒーターエレメント100は、高電圧を印加したときにでも初期電流を抑えることができるので、安全性が高い。また、安全仕様が重くならないため、ヒーター周りの機器を低コストで製造可能である。
ヒーターエレメント100が、電圧の印加によって発熱しているときに、セル115にガスを流すことで、ガスを加熱することができる。セル115に流入するガスの温度としては、例えば-60℃~20℃とすることができ、典型的には-10℃~20℃とすることができる。
(1-6.ヒーターエレメント100の製造方法)
次に、本発明の実施形態に係るヒーターエレメント100を製造する方法について例示的に説明する。まず、セラミックス原料に、分散媒及びバインダを含有する原料組成物を混ぜ合わせ、混練して坏土を調製した後、坏土を押出成形してハニカム成形体を作製する。原料組成物中には分散剤、半導体化剤、シフター、金属酸化物、特性改善剤、導電体粉末などの添加剤を必要に応じて配合することができる。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚み、セル密度などを有する口金を用いることができる。
セラミックス原料は、焼成後に残存し、セラミックスとしてハニカム構造部の骨格を構成する部分の原料である。セラミックス原料は例えば粉末の形態で提供することができる。セラミックス原料としては、チタン酸バリウムの主成分となるTiO2やBaCO3などの酸化物や炭酸塩原料が使用可能である。また、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのような半導体化剤、Sr、Sn及びZrのような低温側のシフター、(Bi-Na)、(Bi-K)のような高温側のシフター、Mnのような特性改善剤などとして、これらの酸化物や炭酸塩、あるいは焼成後に酸化物になるシュウ酸塩を用いてもよい。導電率を制御するため、カーボンブラック及びニッケルのような導電体粉末を添加してもよい。NaやKのアルカリ金属元素の添加は、アルカリ金属元素を含むバインダの形態で用いることもできる。
また、例えば、TiO2やBaCO3などの原料粉末に、La(NH33・6H2Oを加えた後、分散剤及びバインダを更に加え、焼成体としてBaO(50.3mol%)、TiO2(49.6mol%)、La23(0.05mol%)、K2O(0.033mol%)、Na2O(0.002mol%)になるように配合することで、鉛フリーのハニカム構造部を得ることができる。ただし、この組成に限らず、組成式が下記式で表されるセラミックスが90質量%以上を占めるように配合することで、希土類元素とアルカリ金属元素を含み、鉛を用いないハニカム構造部とすることができる。
(Ba1-x-yA1xA2y)TiO3
式中、A1は一種又は二種以上の希土類元素を表し、A2は一種又は二種以上のアルカリ金属元素を表し、0.001≦x≦0.01、0≦y≦0.01、0.001≦x+y≦0.02である。
分散媒としては、水、又は水とアルコールなどの有機溶媒との混合溶媒などを挙げることができるが、特に水を好適に用いることができる。
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールなどの有機バインダを例示することができる。特に、メチルセルロース及びヒドロキシプロポキシルセルロースを併用することが好適である。また、バインダの含有量は、ハニカム成形体の強度を高めるという観点から、セラミックス原料100質量部に対して4質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、6質量部以上であることが更により好ましい。バインダの含有量は、焼成工程での異常発熱によるキレ発生を抑制する観点から、セラミックス原料100質量部に対して9質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であるのがより好ましく、7質量部以下であるのが更により好ましい。バインダは、1種類を単独で使用するものであっても、2種類以上を組み合わせて使用するものであってもよい。
分散剤には、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコールなどの界面活性剤を用いることができる。分散剤は、1種類を単独で使用するものであっても、2種類以上を組み合わせて使用するものであってもよい。分散剤の含有量は、セラミックス原料100質量部に対して0~2質量部であることが好ましい。
次いで、得られたハニカム成形体を乾燥する。乾燥工程においては、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥などの従来公知の乾燥方法を用いることができる。なかでも、成形体全体を迅速かつ均一に乾燥することができる点で、熱風乾燥と、マイクロ波乾燥又は誘電乾燥とを組み合わせた乾燥方法が好ましい。
次いで、乾燥後のハニカム成形体に対して焼成を行うことで柱状ハニカム構造部を有するヒーターエレメントを製造可能である。焼成の前にバインダを除去するための脱脂工程を行うこともできる。焼成条件は、ハニカム成形体の材質によって適宜決定することができる。例えば、ハニカム成形体の材質がチタン酸バリウムを主成分とする場合、焼成温度は、1100~1400℃が好ましく、1200~1300℃が更に好ましい。また、焼成時間は、1~4時間程度とすることが好ましい。
脱脂工程を実施する際の雰囲気としては、例えば大気雰囲気、不活性雰囲気、減圧雰囲気とすることができる。これらの中でも、原料の酸化による焼結不足を防ぎ、また原料内に含まれる酸化物を還元し易い、不活性雰囲気かつ減圧雰囲気とすることが好ましい。
焼成炉としては、特に限定されないが、電気炉、ガス炉などを用いることができる。
このようにして得られた柱状ハニカム構造部の第1端面114及び第2端面116に、電極層118を形成する。電極層118は、スパッタリング、蒸着、電解析出、化学析出のような金属析出法によって形成することができる。また、電極層118は、電極ペーストを塗布した後、焼き付けることによって形成することもできる。さらに、電極層118は、溶射によって形成することもできる。電極層118は単層であってよいが、組成の異なる複数層であってもよい。上記の方法で電極層118を形成するとき、電極層118の厚みが過度に大きくならないように設定すれば、セル115を塞がないようにすることができる。例えば、電極層118の厚みは、ペーストの焼付けでは5~30μm程度、スパッタリング及び蒸着のような乾式めっきでは100~1000nm程度、溶射では10~100μm程度、電解析出及び化学析出のような湿式めっきでは5~30μm程度とすることが好ましい。
次に、電極層118上の所定の位置に導電部材121を配置して接合する。接合方法としては、特に限定されず、拡散接合、機械的な加圧機構、溶接などを用いることができる。
次に、電極層118及び導電部材121を配置した柱状ハニカム構造部の所定の表面に緻密な絶縁膜120を形成する。緻密な絶縁膜120の形成方法は、使用する材料の種類に応じて当該技術分野において公知の方法を選択すればよい。具体的には、CVD、PVD、浸漬コーティング、スプレーコーティングなどを用いることができる。また、緻密な絶縁膜120の材料としてセラミックスを選択する場合、セラミックス原料のスラリーで浸漬コーティングを行った後に熱処理を行うことによってセラミックス膜を形成してもよい。
(2.車室暖房用ヒーター)
図8は、本発明の実施形態に係る車室暖房用ヒーターの構成例を示す模式図である。
本発明の実施形態に係る車室暖房用ヒーター200は、ヒーターエレメント100、外気導入部又は車室130とヒーターエレメント100の第1端面114とを連通する流入配管132(132a、132b)、ヒーターエレメント100に電圧を印加するためのバッテリー134、及びヒーターエレメント100の第2端面116と車室130とを連通する流出配管136を備える。
ヒーターエレメント100は、例えば、バッテリー134と電線119で接続し、その途中の電源スイッチをONにすることでヒーターエレメント100を通電発熱するように構成することが可能である。
ヒーターエレメント100の上流側には蒸気圧縮ヒートポンプ150を設置することができる。車室暖房用ヒーター200において、蒸気圧縮ヒートポンプ150が主暖房装置として構成されており、ヒーターエレメント100が補助ヒーターとして構成されている。蒸気圧縮ヒートポンプ150は、熱交換器を備える。熱交換器は、冷房時に外部から熱を吸収して冷媒を蒸発させる働きをする蒸発器160、及び暖房時に冷媒ガスを液化させて熱を外部へ放出する働きをする凝縮器170を備える。蒸気圧縮ヒートポンプ150を作動させると、蒸気圧縮ヒートポンプ150の熱交換器において結露水が発生する。結露水は、空気の流れによって下流側のヒーターエレメント100に飛散して付着する。ヒーターエレメント100は、上述の通り、柱状ハニカム構造部の少なくとも一部が緻密な絶縁膜120によって被覆されているため、結露水による電気回路の短絡が生じ難いため、補助ヒーターとして安定的に作動させることができる。なお、蒸気圧縮ヒートポンプ150としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。
ヒーターエレメント100の上流側又は下流側には送風機138を設置することができる。高電圧の部品をできるだけ車室130から離して配置して安全を確保する観点から、送風機138はヒーターエレメント100の上流側に設置することが好ましい。送風機138を駆動すると、車室130内又は車室130外から空気が流入配管132(132a、132b)を通ってヒーターエレメント100に流入する。発熱中のヒーターエレメント100を通過する間に空気は加熱される。加熱された空気は、ヒーターエレメント100から流出し、流出配管136を通って車室130内に送られる。流出配管136の出口は車室130内でも特に暖房効果が高くなるよう乗員の足元近傍に配置してもよいし、座席シート内へ配管出口を配置して座席シートを内側から温めるようにしてもよいし、ウィンドウ近傍に配置してウィンドウの曇りを抑制する効果を合わせ持たせてもよい。
車室暖房用ヒーター200は、外気導入部とヒーターエレメント100の第1端面114とを連通する流入配管132aを備える。また、車室暖房用ヒーター200は、車室130とヒーターエレメント100の第1端面114を連通する流入配管132bを備える。流入配管132aと流入配管132bは途中で合流する。流入配管132a及び流入配管132bには、合流地点よりも上流側において、バルブ139(139a、139b)を設置することができる。バルブ139(139a、139b)の開閉を制御することで、外気をヒーターエレメント100に導入するモードと、車室130内空気をヒーターエレメント100に導入するモードの間で切り替えることができる。例えば、バルブ139aを開き、バルブ139bを閉じると、外気をヒーターエレメント100に導入するモードとなる。バルブ139a及びバルブ139bの両者を開いて、外気及び車室130内空気を同時にヒーターエレメント100に導入することも可能である。
100 ヒーターエレメント
112 外周壁
113 隔壁
114 第1端面
115 セル
116 第2端面
117 接合材
118 電極層
119 電線
120 絶縁膜
121 導電部材
130 車室
139(139a、139b) バルブ
132(132a、132b) 流入配管
134 バッテリー
136 流出配管
138 送風機
150 蒸気圧縮ヒートポンプ
160 蒸発器
170 凝縮器
200 車室暖房用ヒーター

Claims (10)

  1. 外周壁と、外周壁の内側に配設され、第1端面から第2端面まで流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁とを有する柱状ハニカム構造部を備える、空気を加熱するための車両の車室暖房用ヒーターエレメントであって、
    前記外周壁及び前記隔壁が、チタン酸バリウムを主成分とし、キュリー点が150℃以下であり、且つPTC特性を有する材料で構成されており、
    前記柱状ハニカム構造部の少なくとも一部を被覆する気孔率が5%以下の絶縁膜を更に備え、前記絶縁膜が樹脂で構成され、前記絶縁膜の平均厚みが0.1~50μmである
    車室暖房用ヒーターエレメント。
  2. 前記外周壁の外側表面、前記流路の表面、前記第1端面及び前記第2端面から選択される少なくとも1つが、前記絶縁膜によって被覆されている、請求項1に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
  3. 前記隔壁の平均厚みが0.13mm以下である、請求項1又は2に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
  4. セル密度が93セル/cm2以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
  5. 前記第1端面及び前記第2端面における前記外周壁及び前記隔壁の表面に電極層を備える、請求項1~のいずれか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
  6. 前記電極層の少なくとも一部に、外部電源と接続可能な導電部材が配置され、
    前記導電部材と前記電極層とが電気的に接続されている、請求項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
  7. 前記電極層及び前記導電部材の少なくとも一部が、前記絶縁膜によって被覆されている、請求項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
  8. 請求項1~のいずれか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント、
    外気導入部又は車室と前記車室暖房用ヒーターエレメントの前記第1端面とを連通する流入配管、
    前記車室暖房用ヒーターエレメントに電圧を印加するためのバッテリー、及び
    前記車室暖房用ヒーターエレメントの第2端面と前記車室とを連通する流出配管
    を備える車室暖房用ヒーター。
  9. 前記車室暖房用ヒーターが、主暖房装置として構成されている蒸気圧縮ヒートポンプを有する車室暖房用ヒーターである、請求項に記載の車室暖房用ヒーター。
  10. 前記車室暖房用ヒーターエレメントの上流側に蒸気圧縮ヒートポンプの熱交換器が配置されている、請求項に記載の車室暖房用ヒーター。
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