(実施例1)
本開示の実施例を具体的に説明する前に、実施例の概要を説明する。本実施例は、複数の住宅が集合した集合住宅、例えばマンションに設けられ、1つの住宅に対する全館空調を実行する空調システムに関する。一般的に、戸建て住宅は、東西南北の4方向に設けられた壁、窓、扉が外部に面しているが、集合住宅に含まれる住宅は、北側と南側の2方向に設けられた壁、窓、扉が外部に面する。住宅における南側の部分の空間(以下、「南側空間」という)と、住宅における北側の部分の空間(以下、「北側空間」という)では、日照の時間帯が異なるので、温度の環境も異なる。また、南側空間にはリビング、ダイニング等が設けられ、北側空間には寝室等が設けられるので、住人の滞在の時間帯も異なる。集合住宅に含まれる住宅の全館空調を効率よく実行するためには、このような南側空間と北側空間との違いが考慮されるべきである。
これに対応するために、本実施例に係る空調システムは、南側空間に対して空気を搬送するための搬送ファン(以下、「南側搬送ファン」という)と、北側空間に対して空気を搬送するための搬送ファン(以下、「北側搬送ファン」という)を別に設ける。特に、空調システムは、南側搬送ファンに対する制御と北側搬送ファンに対する制御とを独立して実行する。そのため、空調システムは、南側空間に複数の部屋が含まれていても、それら複数の部屋に対する空気の搬送制御を共通にする。北側空間についても同様である。
以下に説明する実施例は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示す。よって、以下の実施例で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。したがって、以下の実施例における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
図1は、住宅1000の構成を示す見取り図である。住宅1000は、集合住宅における一世帯であり、居住者がプライベートな生活を営む場として提供された住居である。ここで、図1の上側が北側であり、下側が南側であり、左側が西側であり、右側が東側である。住宅1000は、図の左側と右側において別の住宅1000(図示せず)に接する。そのため、住宅1000の下側の壁、窓、扉である南面1010が外部に面するとともに、住宅1000の上側の壁、窓、扉である北面1020が外部に面する。ここで、南面1010が面する南側は、真南に限定されず、東あるいは西を含む略南であってもよい。つまり、南面1010は北面1020と比較して相対的に南を向いていればよい。北側、東側、西側についても同様である。
住宅1000は、南側空間10と北側空間20を含む。南側空間10は、建物の略南側に面し、南面1010を含む。北側空間20は、建物の略北側に面し、北面1020を含む。南側空間10には、第1洋室12、LDK14、キッチン16が含まれ、北側空間20には、第2洋室22、第3洋室24、玄関26が含まれる。また、住宅1000には、南側空間10と北側空間20とは独立して、全館空調ユニット120が設置される後述の空調室(図示せず)、トイレ32、浴室34も含まれる。トイレ32、浴室34は、南側空間10および北側空間20には属さない排気空間30に分類される。一般的に、排気空間30は、南側空間10と北側空間20との間に配置されるが、これに限定されない。また、空調室の空気が搬送される空間は、南側空間10と北側空間20の二空間のみである。
このような住宅1000に設置される空調システムは、外気導入口100と総称される第1外気導入口100a、第2外気導入口100b、外気導入ダクト102と総称される第1外気導入ダクト102a、第2外気導入ダクト102b、熱交換形換気扇104、排気ダクト106と総称される第1排気ダクト106aから第3排気ダクト106c、排気口108と総称される第1排気口108aから第3排気口108c、給気ダクト110、全館空調ユニット120、南側搬送ダクト130、南側分岐チャンバー132、南側分岐搬送ダクト134と総称される第1南側分岐搬送ダクト134aから第4南側分岐搬送ダクト134d、南側吹出口136と総称される第1南側吹出口136aから第4南側吹出口136d、北側搬送ダクト140、北側分岐チャンバー142、北側分岐搬送ダクト144と総称される第1北側分岐搬送ダクト144aから第4北側分岐搬送ダクト144d、北側吹出口146と総称される第1北側吹出口146aから第4北側吹出口146dを含む。
また、空調システムは、排気空間口150、排気空間ダクト152、レンジフード170、南側温度センサ190、北側温度センサ192、システムコントローラ300、入出力端末400を含む。外気導入ダクト102、排気ダクト106、給気ダクト110、南側搬送ダクト130、南側分岐搬送ダクト134、北側搬送ダクト140、北側分岐搬送ダクト144、排気空間ダクト152は、空気を運ぶ管、つまり風路である。南側空間10を「第1空間」と呼び、南側搬送ファン122を「第1搬送ファン」と呼ぶ場合、北側空間20は「第2空間」と呼ばれ、北側搬送ファン124は「第2搬送ファン」と呼ばれる。
第1外気導入口100aは、南面1010に設置される。第1外気導入口100aから住宅1000の内部に向かって第1外気導入ダクト102aが延びる。第1外気導入ダクト102aは、熱交換形換気扇104に接続される。熱交換形換気扇104は、例えば、南側空間10と北側空間20の間、南側空間10における北側空間20側、北側空間20における南側空間10側、のいずれかに配置される。ここで、熱交換形換気扇104は、建物の略南側の端部および略北側の端部に接しない。熱交換形換気扇104には、第1排気ダクト106aも接続され、第1排気ダクト106aは南面1010に向かって延びる。南面1010には第1排気口108aが設置され、第1排気口108aには第1排気ダクト106aが接続される。また、熱交換形換気扇104には、給気ダクト110も接続される。
熱交換形換気扇104には、外気導入ファン(図示せず)が設置され、外気導入ファンの回転により、第1外気導入口100aから第1外気50aが取り込まれ、第1外気50aが第1外気導入ダクト102aを通って熱交換形換気扇104に流入される。また、熱交換形換気扇104には、住宅1000の内部から換気RA(Return Air:還気)52が流入される。換気RA52については後述するが、換気RA52は、住宅1000内を移動した給気に相当する。熱交換形換気扇104は、これらの間で熱交換を行う。熱交換形換気扇104における熱交換には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。熱交換形換気扇104は、熱交換の結果、排気ファン112の回転により、第1排気ダクト106aを通って第1排気口108aから第1排気54aを排出する。また、熱交換形換気扇104は、熱交換された給気を給気ダクト110経由で全館空調ユニット120に供給する。
全館空調ユニット120には、給気ダクト110から給気が流入される。また、全館空調ユニット120には、住宅1000の内部から循環RA56が流入される。循環RA56については後述するが、循環RA56は、換気RA52と同様に、住宅1000内を移動した給気に相当する。全館空調ユニット120は、給気と循環RA56とを混合した空気に対して空調を実行する。例えば、全館空調ユニット120では温度、湿度等が制御される。全館空調ユニット120には、南側搬送ダクト130と北側搬送ダクト140が接続される。
南側搬送ダクト130は、南側分岐チャンバー132まで延びて、南側分岐チャンバー132において第1南側分岐搬送ダクト134aから第4南側分岐搬送ダクト134dに分岐される。第1南側分岐搬送ダクト134aは、第1洋室12に設置された第1南側吹出口136aに接続される。第2南側分岐搬送ダクト134bは、LDK14に設置された第2南側吹出口136bに接続され、第3南側分岐搬送ダクト134cは、LDK14に設置された第3南側吹出口136cに接続される。第4南側分岐搬送ダクト134dは、キッチン16に設置された第4南側吹出口136dに接続される。
全館空調ユニット120の南側搬送ファン122は、空調された空気を南側搬送ダクト130、南側分岐チャンバー132、南側分岐搬送ダクト134、南側吹出口136経由で南側空間10の第1洋室12、LDK14、キッチン16に搬送する。複数の南側吹出口136は、南側搬送ファン122により搬送される空気を南側空間10に吹き出す。そのため、南側搬送ファン122は、南側空間10のみに対応する。南側搬送ファン122は複数備えられてもよい。ここで、南側搬送ダクト130における空気の送風量は、第1南側分岐搬送ダクト134aから第4南側分岐搬送ダクト134dの送風量の合計となるので、南側搬送ダクト130の径は南側分岐搬送ダクト134の径よりも大きくされる。
北側搬送ダクト140は、北側分岐チャンバー142まで延びて、北側分岐チャンバー142において第1北側分岐搬送ダクト144aから第4北側分岐搬送ダクト144dに分岐される。第1北側分岐搬送ダクト144aは、第2洋室22に設置された第1北側吹出口146aに接続される。第2北側分岐搬送ダクト144bは、玄関26に設置された第2北側吹出口146bに接続される。第3北側分岐搬送ダクト144cは、第3洋室24に設置された第3北側吹出口146cに接続され、第4北側分岐搬送ダクト144dは、第3洋室24に設置された第4北側吹出口146dに接続される。
全館空調ユニット120の北側搬送ファン124は、空調された空気を北側搬送ダクト140、北側分岐チャンバー142、北側分岐搬送ダクト144、北側分岐搬送ダクト144経由で北側空間20の第2洋室22、第3洋室24、玄関26に搬送する。複数の北側吹出口146は、北側分岐搬送ダクト144により搬送される空気を北側空間20に吹き出す。そのため、北側搬送ファン124は、北側空間20のみに対応する。北側搬送ファン124は複数備えられてもよい。ここでも、北側搬送ダクト140の径は北側分岐搬送ダクト144の径よりも大きくされる。
図2は、住宅1000の構成を示す断面図である。前述のごとく、住宅1000の南面1010には、第1外気導入口100aと第1排気口108aが設置される。第1外気導入口100aと第1排気口108aに接続される第1外気導入ダクト102a、第1排気ダクト106a、熱交換形換気扇104、給気ダクト110は天井裏42に配置される。空調室180の天井には給気口182が設置され、給気口182には給気ダクト110が接続される。給気口182は、給気ダクト110を介して熱交換形換気扇104からの給気60を空調室180に吹き出す。
空調室180は、前述のごとく、南側空間10と北側空間20とは独立した空間であり、空調室180には全館空調ユニット120が設置される。空調室180には空調室温度センサ194が設置され、空調室温度センサ194は空調室180の温度を取得する。空調室温度センサ194は、無線通信等の通信機能を有し、取得した空調室180の温度をシステムコントローラ300に送信する。全館空調ユニット120に接続された南側搬送ダクト130は、空調室180から天井裏42まで延びる。天井裏42において、南側搬送ダクト130、南側分岐チャンバー132、第3南側分岐搬送ダクト134cが順に接続される。第3南側分岐搬送ダクト134cに接続された第3南側吹出口136cは、LDK14に設けられ、LDK14に側面から空気を吹き出す。
他の南側分岐搬送ダクト134、南側吹出口136についても同様に配置され、北側搬送ダクト140、北側分岐チャンバー142、北側分岐搬送ダクト144、北側吹出口146も同様に配置される。つまり、南側搬送ダクト130、北側搬送ダクト140、南側分岐搬送ダクト134、北側分岐搬送ダクト144は、少なくとも建物を構成する廊下40の天井裏42を通して配置される。
南側吹出口136、北側吹出口146から空気が吹き出されることによって、南側空間10と北側空間20とにもともと存在した空気は、扉18等を超えて住宅1000内を循環する。循環する空気の一部は循環RA56として空調室180に流入される。空調室180内では、循環RA56と給気60とが混合された空気が全館空調ユニット120に取り込まれる。また、循環する空気の別の一部は換気RA52として換気口114から熱交換形換気扇104に取り込まれる。第1外気50aが100リューベであり、かつ第1排気54aも100リューベである場合、換気RA52が100リューベであり、給気60も100リューベである。また、循環RA56が900リューベであると、全館空調ユニット120から搬出される空気の合計は1000リューベになる。この1000リューベの空気によって循環された空気のうち、900リューベ分が循環RA56となり、100リューベ分が換気RA52となる。
図3(a)-(b)は、全館空調ユニット120の構成を示す。図3(a)は、全館空調ユニット120の正面図であり、図3(b)は、全館空調ユニット120の側面図である。全館空調ユニット120は、南側搬送ファン122、北側搬送ファン124、空調機200、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ202、機器スイッチ204を含む。全館空調ユニット120の上段から順に空調機200、HEPAフィルタ202、南側搬送ファン122および北側搬送ファン124が配置される。
空調機200は、エアコンディショナであり、空調室180の空調を制御する。空調機200は、空調室180の空気の温度が設定された目標温度(空調室目標温度)となるように、空調室180の空気、つまり図2の循環RA56と給気60とが混合された空気を冷却または加熱する。空調室180における空調室目標温度は、システムコントローラ300により設定される。空調機200は、加湿および除湿機能を有してもよい。HEPAフィルタ202は、エアフィルタであり、空調機200において空調がなされた空気中からゴミ、塵埃などを取り除き、清浄された空気を出力する。
南側搬送ファン122は、HEPAフィルタ202において清浄された空気を南側搬送ダクト130、南側分岐チャンバー132、南側分岐搬送ダクト134経由で南側空間10に搬送する。北側搬送ファン124は、HEPAフィルタ202において清浄された空気を北側搬送ダクト140、北側分岐チャンバー142、北側分岐搬送ダクト144経由で北側空間20に搬送する。南側搬送ファン122および北側搬送ファン124の送風量は、システムコントローラ300によりそれぞれ設定される。機器スイッチ204は、全館空調ユニット120の電源をオン、オフするためのスイッチである。図1に戻る。
南側温度センサ190は、南側空間10、例えばLDK14に設置され、南側空間10の温度取得する。南側温度センサ190は、無線通信等の通信機能を有し、取得した南側空間10の温度をシステムコントローラ300に送信する。北側温度センサ192は、北側空間20、例えば玄関26に設置され、北側空間20の温度取得する。北側温度センサ192は、無線通信等の通信機能を有し、取得した北側空間20の温度をシステムコントローラ300に送信する。
システムコントローラ300は、空調システム全体を制御するコントローラである。システムコントローラ300は、南側搬送ファン122、北側搬送ファン124、空調機200、南側温度センサ190、北側温度センサ192、空調室温度センサ194と、無線通信により通信可能に接続される。無線通信で接続されることにより、複雑な配線工事が不要になる。しかしながら、これらのうちの少なくとも一部が有線通信により通信可能に接続されてもよい。
システムコントローラ300は、南側温度センサ190、北側温度センサ192、空調室温度センサ194のそれぞれから温度を受信する。システムコントローラ300は、受信した温度をもとに空調機200の温度を設定し、設定した温度を空調機200に送信する。また、システムコントローラ300は、受信した温度をもとに南側搬送ファン122と北側搬送ファン124のそれぞれの送風量を設定し、設定した送風量のそれぞれを南側搬送ファン122と北側搬送ファン124に送信する。このようにシステムコントローラ300は、南側搬送ファン122と北側搬送ファン124を制御する。
入出力端末400は、システムコントローラ300と無線通信により通信可能に接続され、空調システムを構築するために必要な情報の入力を受けつけてシステムコントローラ300に記憶させる。また、入出力端末400は、空調システムの状態をシステムコントローラ300から取得して表示する。入出力端末400は携帯情報端末であり、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末である。入出力端末400は、必ずしも無線通信によりシステムコントローラ300と接続される必要はなく、有線通信により通信可能にシステムコントローラ300と接続されてもよい。この場合、入出力端末400は、例えば、壁掛のリモートコントローラにより実現されてもよい。図1においてシステムコントローラ300と入出力端末400はLDK14に配置されているが、これらはLDK14以外の位置に配置されてもよい。
排気空間30の一例であるトイレ32の天井には排気空間口150が設置されており、排気空間口150には排気空間ダクト152が接続され、排気空間ダクト152は熱交換形換気扇104の排気ファン112に接続される。排気ファン112が回転することにより、トイレ32の空気は、排気空間口150、第1排気ダクト106aを通って第1排気口108aから建物外に排出される。一方、排気空間30には、南側搬送ファン122あるいは北側搬送ファン124により搬送される空気を吹き出すための南側吹出口136あるいは北側吹出口146が備えられない。
排気空間30の別の一例である浴室34の天井には浴室暖房乾燥機160が設置されており、浴室暖房乾燥機160には第3排気ダクト106cが接続され、第3排気ダクト106cは、北面1020に設置される第3排気口108cに接続される。浴室暖房乾燥機160における排気ファン(図示せず)が回転することにより、浴室34の空気は、第3排気ダクト106cを通って第3排気口108cから建物外に排出される。
南面1010には、第2外気導入口100bと第2排気口108bとが設置される。第2外気導入口100bには第2外気導入口100bが接続され、第2外気導入口100bは、キッチン16に設置されたレンジフード170に接続される。レンジフード170と第2排気口108bは第2排気ダクト106bにより接続される。レンジフード170は、第2外気導入口100bから第2外気導入ダクト102bを介して第2外気50bを取り込み、第2排気ダクト106bを介して第2排気口108bから第2排気54bを排出する。
図4は、システムコントローラ300の構成を示す。システムコントローラ300は、目標温度取得部310、空調室温度制御部312、送風量決定部314、ファン風量制御部316を含む。目標温度取得部310は、入出力端末400により南側空間10と北側空間20のそれぞれに設定された目標温度を取得する。
空調室温度制御部312は、冷房期、つまり南側空間10あるいは北側空間20の室内温度が高く、空調機200が冷房運転する場合であれば、空調室180の温度(空調室温度)が、目標温度取得部310が取得した南側空間10の目標温度と北側空間20の目標温度のうち、低い方の温度以下となるように、空調機200を制御する。空調室温度制御部312は、暖房期、つまり南側空間10あるいは北側空間20の室内温度が低く、空調機200が暖房運転する場合であれば、空調室180の温度が、目標温度取得部310が取得した南側空間10の目標温度と北側空間20の目標温度のうち、高い方の温度以上となるように、空調機200を制御する。このような処理により、空調室温度制御部312は、空調室180の温度を制御する。
送風量決定部314は、目標温度取得部310が取得した南側空間10の目標温度と北側空間20の目標温度と、空調室温度制御部312にて制御された空調室180の温度と、南側温度センサ190が取得した南側空間10の室内温度と、北側温度センサ192が取得した北側空間20の室内温度とをもとに、南側搬送ファン122と北側搬送ファン124のそれぞれの送風量を決定する。送風量の決定、変更手順については後述する。ファン風量制御部316は、送風量決定部314が決定した送風量で南側搬送ファン122と北側搬送ファン124のそれぞれの送風量を制御する。
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
図5(a)-(c)を参照して、システムコントローラ300により実行される空調処理について説明する。図5(a)-(c)は、システムコントローラ300による空調手順を示すフローチャートである。特に、図5(a)は、空調処理を示すフローチャートであり、図5(b)は、空調室温度制御処理を示すフローチャートであり、図5(c)は、ファン風量設定処理を示すフローチャートである。システムコントローラ300が実行する空調処理は、図5(a)に示すように、主に空調室温度制御処理S100、ファン風量設定処理S200により構成され、この順で実行される。
ユーザが空調処理を実行すると、システムコントローラ300は、図5(b)に示す空調室温度制御処理S100を実行する。空調室温度制御処理S100では、システムコントローラ300は、入出力端末400にて設定された冷暖房期設定を取得する(S101)。ここで冷暖房期設定とは、例えば気温が高くなり空調機200を冷房機として運転(稼働)させる夏季を冷房期と設定し、気温が低くなり空調機200を暖房機として運転させる冬季を暖房期と設定する。ユーザは、入出力端末400のカレンダー機能に対して、例えば六月から九月を冷房期と設定し、一二月から三月を暖房期と設定することで、システムコントローラ300は当該設定を取得することができる。次にシステムコントローラ300は、目標温度取得部310を介して入出力端末400により南側空間10と北側空間20のそれぞれに設定された目標温度を取得する(S102)。
目標温度を取得すると、空調室温度制御部312は、空調機200に空調室180の目標温度(空調室目標温度)を設定する(S103)。例えば、南側空間10は、室内温度が28℃、目標温度が25℃であり、北側空間20は、室内温度が27℃、目標温度が20℃である。空調室温度制御部312は、S101で取得した冷暖房期設定が冷房期、つまり冷房運転であるので、空調室目標温度を複数の目標温度のうち最も低い温度以下の温度に制御する。ここでは、複数の目標温度を比較し、最も低い20℃以下に設定する。例えば、空調室目標温度は20℃にされる。一方、暖房期、つまり暖房運転である場合には、空調室温度制御部312は、空調室目標温度を南側空間10と北側空間20の目標温度のうち最も高い温度以上の温度に制御する。
次に、システムコントローラ300は、図5(c)に示すファン風量設定処理S200を実行する。ファン風量設定処理S200において、システムコントローラ300は、空調室温度センサ194から空調室温度を取得する(S201)。システムコントローラ300は、南側温度センサ190から南側空間10の室内温度を取得し、北側温度センサ192から北側空間20の室内温度を取得する(S202)。システムコントローラ300は、目標温度取得部310を介して入出力端末400から南側空間10の目標温度と北側空間20の目標温度とを取得する(S203)。
送風量決定部314は、目標温度と空調室温度とを比較して温度差を算出する(S204)。送風量決定部314は、算出した温度差をもとに、搬送ファンの送風量を決定する(S205)。送風量の決定は、例えば次のようになされる。北側空間20の目標温度が20℃、空調制御された空調室180の温度が20℃である場合、北側空間20と空調室180とを結ぶ北側搬送ダクト140に対応する北側搬送ファン124の送風量を最大値とする。ここで送風量とは、搬送ファンの送風能力、あるいは動作ノッチとすることができる。例えば搬送ファンの送風量を送風量の小さいものから順に送風量「1」~送風量「10」の10段階の設定が可能とすると、ここでは北側搬送ファン124の送風量を「10」に決定する。つまり送風量決定部314は、北側空間20の室内温度を27℃から下げ、さらに目標温度の20℃を維持するために、空調室180の同温(20℃)の空気を最大量送風するよう、決定する。
また、南側空間10の目標温度が25℃、空調制御された空調室180の温度が20℃である場合、南側搬送ファン122の送風能力を最大値である送風量「10」とすると、南側空間10の目標温度が25℃を下回る可能性がある。そのため、送風量決定部314は、南側搬送ファン122の送風量を最大値より低い例えば送風量「5」とする。つまり、送風量決定部314は、目標温度と空調室の温度の差に応じて、例えば温度差が小さい空間(北側空間20:温度差0℃)に対しては、温度差が大きい空間(例えば南側空間10:温度差5℃)に対するよりも搬送ファンの送風量を大きくする。
上記処理は、すべての空間に対して行われる(S206N→S202・・・→S206Y)。送風量決定部314は、南側搬送ファン122と北側搬送ファン124の送風量を決定すると、南側搬送ファン122の送風量と北側搬送ファン124の送風量とを加算することによって、総合送風量を算出する。一方、送風量決定部314は、総合送風量の最大値「20」の例えば80%の値である「16」をしきい値として保持する。送風量決定部314は、算出した総合送風量としきい値とを比較する。総合送風量がしきい値以下である場合(S207のY)、ファン風量制御部316は、送風量決定部314において決定された送風量により、南側搬送ファン122と北側搬送ファン124を制御する(S209)。
一方、総合送風量がしきい値よりも大きい場合(S207のN)、送風量決定部314は、総合送風量がしきい値以下になるように、南側搬送ファン122の送風量と北側搬送ファン124の送風量とを調節する(S208)。その際、南側搬送ファン122の送風量と北側搬送ファン124の送風量との関係の変化が小さくなるように送風量の調節がなされる。例えば、南側搬送ファン122の送風量が「10」であり、北側搬送ファン124の送風量が「10」である場合、送風量決定部314は、南側搬送ファン122の送風量を「8」に変更し、北側搬送ファン124の送風量も「8」に変更する。ファン風量制御部316は、送風量決定部314において調節された送風量により、南側搬送ファン122と北側搬送ファン124を制御する(S209)。
前述のごとく、南側搬送ダクト130の径は南側分岐搬送ダクト134の径よりも大きくされ、かつ北側搬送ダクト140の径は北側分岐搬送ダクト144の径よりも大きくされる。南側搬送ダクト130、北側搬送ダクト140は天井裏42に配置されるので、南側搬送ダクト130と北側搬送ダクト140の径が大きくなると、天井裏42に配置できないおそれが生じる。以下では、このような状況に対応させるための変形例を説明する。
図6は、住宅1000の構成を示す。住宅1000は、図1と同様に示されるが、図1の南側搬送ダクト130、南側分岐チャンバー132、南側分岐搬送ダクト134の代わりに、南側搬送ダクト600と総称される第1南側搬送ダクト600aから第4南側搬送ダクト600dを含む。また、住宅1000は、図1の北側搬送ダクト140、北側分岐チャンバー142、北側分岐搬送ダクト144の代わりに、北側搬送ダクト610と総称される第1北側搬送ダクト610aから第4北側搬送ダクト610dを含む。
全館空調ユニット120には、第1南側搬送ダクト600aから第4南側搬送ダクト600d、第1北側搬送ダクト610aから第4北側搬送ダクト610dが接続される。第1南側搬送ダクト600aは、第1洋室12に設置された第1南側吹出口136aに接続される。第2南側搬送ダクト600bは、LDK14に設置された第2南側吹出口136bに接続され、第3南側搬送ダクト600cは、LDK14に設置された第3南側吹出口136cに接続される。第4南側搬送ダクト600dは、キッチン16に設置された第4南側吹出口136dに接続される。全館空調ユニット120の南側搬送ファン122は、空調された空気を第1南側搬送ダクト600aから第4南側搬送ダクト600d経由で南側空間10の第1洋室12、LDK14、キッチン16に搬送する。南側搬送ダクト600における空気の送風量は、図1の南側分岐搬送ダクト134における空気の送風量と同等であるので、南側搬送ダクト600の径は南側分岐搬送ダクト134の径と同等である。そのため、南側搬送ダクト600の径は図1の南側搬送ダクト130の径よりも小さくなる。
第1北側搬送ダクト610aは、第2洋室22に設置された第1北側吹出口146aに接続される。第2北側搬送ダクト610bは、玄関26に設置された第2北側吹出口146bに接続される。第3北側搬送ダクト610cは、第3洋室24に設置された第3北側吹出口146cに接続され、第4北側搬送ダクト610dは、第3洋室24に設置された第4北側吹出口146dに接続される。北側搬送ダクト610における空気の送風量は、図1の北側分岐搬送ダクト144における空気の送風量と同等であるので、北側搬送ダクト610の径は北側分岐搬送ダクト144の径と同等である。そのため、北側搬送ダクト610の径は図1の北側搬送ダクト140の径よりも小さくなる。
本実施例によれば、空調室180の空気は、南側空間10と北側空間20のみに搬送されるので、集合住宅を構成する住宅1000に適した空調を実行できる。また、集合住宅を構成する住宅1000に適した空調が実行されるので、集合住宅を構成する住宅1000に対する空調を効率的に実行できる。また、南側空間10のみに対応する南側搬送ファン122と、北側空間20のみに対応する北側搬送ファン124が空気を搬送するので、制御が簡単でありながらも効率を向上できる。また、制御が簡単でありながらも効率が向上するので、安価に構成できる。また、南側空間10と北側空間20に分けるので、夏は南側空間10が高負荷、冬は北側空間20が高負荷に合わせた制御を実行できる。また、夏は南側空間10が高負荷、冬は北側空間20が高負荷に合わせた制御が実行されるので、快適さを低コストで実現できる。
また、南側搬送ダクト130、北側搬送ダクト140は、天井裏42を通して配置されるので、集合住宅を構成する住宅1000に適した配管を実現できる。また、南側空間10および北側空間20には属さない排気空間30が別に配置されるので、排気のみの空間を設定できる。また、熱交換形換気扇104は、熱交換された給気を空調室180に供給するので、給気を効率的に実行できる。また、熱交換形換気扇104は、住宅1000の中央部分に配置できるので、南側搬送ダクト130、北側搬送ダクト140の長さを短くできる。また、空調室180の温度を制御するので、集合住宅を構成する住宅1000の空調を実現できる。
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の空調システムは、複数の住宅(1000)が集合した集合住宅に設けられ、1つの住宅(1000)に対する空調を行う空調システムであって、住宅(1000)のうちの空調室(180)に設けられ、空調室(180)の空気を空調する空調機(200)と、空調室(180)の空気を空調室(180)とは独立した複数の空間に搬送する複数の搬送ファンと、複数の搬送ファンを制御するシステムコントローラ(300)と、空調室(180)の温度を取得してシステムコントローラ(300)に送信する空調室温度センサ(194)と、を備える。システムコントローラ(300)は、複数の空間のそれぞれに設定された目標温度を取得する目標温度取得部(310)と、目標温度取得部(310)が取得した複数の空間のそれぞれの目標温度と、空調室(180)の温度とをもとに、複数の搬送ファンのそれぞれの送風量を決定する送風量決定部(314)と、送風量決定部(314)が決定した送風量で複数の搬送ファンのそれぞれの送風量を制御するファン風量制御部(316)と、を備える。空調室(180)の空気が搬送される複数の空間は、建物の略南側に面する南側空間(10)と、建物の略北側に面する北側空間(20)と、の二空間のみにより構成され、複数の搬送ファンは、南側空間(10)のみに対応する1または複数の南側搬送ファン(122)と、北側空間(20)のみに対応する1または複数の北側搬送ファン(124)と、により構成される。
複数の搬送ファンのそれぞれにより搬送される空気を複数の空間に吹き出すための複数の吹出口をさらに備えてもよい。空調室(180)と複数の吹出口とを接続するダクトは、少なくとも建物を構成する廊下(40)の天井裏(42)を通して配置され、複数の吹出口のそれぞれは、空間に側面から吹き出す。
住宅(1000)には、南側空間(10)および北側空間(20)には属さない排気空間(30)がさらに備えられ、排気空間(30)は、搬送ファンにより搬送される空気を複数の空間に吹き出すための吹出口を備えず、本空調システムは、排気空間(30)の空気を建物外に排気するための排気ファン(112)をさらに備える。
外気と給気との間で熱交換を行う熱交換形換気扇(104)を備えてもよい。熱交換形換気扇(104)は、熱交換された給気を空調室(180)に供給してもよい。
熱交換形換気扇(104)は、南側空間(10)と北側空間(20)の間、南側空間(10)における北側空間(20)側、北側空間(20)における南側空間(10)側、のいずれかに配置され、建物の略南側の端部および略北側の端部に接しない。
システムコントローラ(300)は、空調室(180)の温度を制御する空調室温度制御部(312)をさらに備えてもよい。
(実施例2)
次に実施例2を説明する。実施例2は、実施例1と同様に、複数の住宅が集合した集合住宅、例えばマンションに設けられ、1つの住宅に対する全館空調を実行する空調システムに関する。実施例2では、南側空間にガス型床暖房機が設置されている状況を想定する。ガス型床暖房機がオンにされると、南側空間の温度が上昇する。そのため、南側空間への送風量を小さくしても目標温度の実現が可能になる。また、南側空間への送風量を小さくすることによって、北側空間への送風量を大きくすることが可能になる。以下では、実施例1との差異を中心に説明する。
図7は、住宅1000の構成を示す。住宅1000は、図1の構成に対してガス型床暖房機500をさらに含む。ガス型床暖房機500は、南側空間10のうちの第1洋室12、LDK14に設置される。ガス型床暖房機500は、南側空間10のうちのLDK14だけに設置されてもよく、キッチン16にも設置されてもよい。一方、ガス型床暖房機500は北側空間20に設置されない。実施例2では、空調機200(図示せず)が空調室180の空気を加熱する状況を想定する。
入出力端末400は、ガス型床暖房機500をオンあるいはオフする指示を居住者から受けつける。入出力端末400は、オンあるいはオフする指示が示された信号(以下、「指示信号」という)をガス型床暖房機500とシステムコントローラ300に送信する。ガス型床暖房機500は、無線通信等の通信機能を有し、システムコントローラ300からの指示信号を受信する。ガス型床暖房機500は、指示信号に応じて、暖房をオンしたり、オフしたりする。
システムコントローラ300は、前述のごとく、南側温度センサ190、北側温度センサ192、空調室温度センサ194のそれぞれから温度を受信する。また、システムコントローラ300は、入出力端末400から指示信号を受信する。システムコントローラ300は、受信した温度をもとに空調機200の温度を設定し、設定した温度を空調機200に送信する。また、システムコントローラ300は、受信した温度をもとに南側搬送ファン122と北側搬送ファン124のそれぞれの送風量を設定し、設定した送風量のそれぞれを南側搬送ファン122と北側搬送ファン124に送信する。その際、指示信号をもとに、ガス型床暖房機500の動作状況が反映される。
図8は、システムコントローラ300の構成を示す。システムコントローラ300は、図4の構成に対して床暖房動作取得部320、計時部322をさらに含む。床暖房動作取得部320は、ガス型床暖房機500から指示信号を受信し、指示信号により示されたオンあるいはオフの指示をもとに、ガス型床暖房機500の動作状況を取得する。ガス型床暖房機500の動作状況は、ガス型床暖房機500がオンであるか、あるいはオフであるかを示す。計時部322は、時計機能を有し、現在の時刻を取得する。
送風量決定部314は、床暖房動作取得部320において取得した動作状況、計時部322において取得した時刻をもとに、送風量を決定するための動作を選択する。図9は、送風量決定部314に保持されるテーブルのデータ構造を示す。図示のごとく、ガス型床暖房機500の動作状況と時間との組合せに対して動作が規定される。ここでは、一例として、昼間が「7時から19時」と規定され、夜間が「19時から翌7時」と規定される。昼間と夜間の規定はこれに限定されない。送風量決定部314は、計時部322において取得した時刻をもとに、昼間であるか、あるいは夜間であるかを特定する。
送風量決定部314は、ガス型床暖房機500の動作状況がオンを示す場合、つまりガス型床暖房機500が動作している旨を取得した場合、南側弱送風動作を選択する。また、送風量決定部314は、ガス型床暖房機500の動作状況がオフを示し、時間が夜間である場合、つまりガス型床暖房機500が動作していない旨を取得し、かつ所定の夜時間に該当する場合も南側弱送風動作を選択する。一方、送風量決定部314は、ガス型床暖房機500の動作状況がオフを示し、時間が昼間である場合、通常動作を選択する。
通常動作は、実施例1と同一の動作である。そのため、送風量決定部314は、図5(b)の空調室温度制御処理を実行した後に、図5(c)ファン風量制御処理を実行する。一方、南側弱送風動作は、通常動作と比較して、図5(c)のファン風量制御処理のうちのステップ205の処理が異なる。送風量決定部314は、北側搬送ファン124の送風量を実施例1と同様に決定する。
一方、送風量決定部314は、北側搬送ファン124の送風量を小さくすることによって、南側搬送ファン122の送風量を決定する。ここで、送風量決定部314は、南側搬送ファン122の送風量を実施例1と同様に決定した後、決定した送風量が北側搬送ファン124の送風量以上である場合に、北側搬送ファン124の送風量を小さくすることによって、南側搬送ファン122の送風量を最終的に決定してもよい。北側搬送ファン124の送風量を小さくすることは、北側搬送ファン124の送風量を一定量、例えば「2」だけ小さくすることに相当する。また、北側搬送ファン124の送風量を小さくすることは、北側搬送ファン124の送風量を一定割合、例えば「20%」だけ小さくすることであってもよい。このように、南側搬送ファン122の送風量を小さくすることによって、総合送風量がしきい値よりも大きくなりにくくなる。その結果、南側搬送ファン122の送風量は北側搬送ファン124の送風量よりも小さくなる。
以上の構成による空調システムの動作を説明する。図10は、システムコントローラ300による空調手順を示すフローチャートである。ガス型床暖房機500が動作中であれば(S500のY)、送風量決定部314は南側弱送風動作を選択する(S504)。ガス型床暖房機500が動作中でない場合(S500のN)、昼間でなければ(S502のN)、送風量決定部314は南側弱送風動作を選択する(S504)。昼間であれば(S502のY)、送風量決定部314は通常動作を選択する(S506)。
本実施例によれば、ガス型床暖房機500が動作している旨を取得した場合に、ガス型床暖房機500が備えられた南側空間10に空気を搬送する南側搬送ファン122の送風量を北側搬送ファン124の送風量よりも小さくするので、集合住宅を構成する住宅1000に対する空調を効率的に実行できる。空調機200によるエネルギー使用量は、冷房よりも暖房の方が1.5倍ほど多いので、南側空間10でガス型床暖房機500がオンになった場合に、空調機200による暖房を北側空間20に振り分けることによって、電気による暖房の負荷を下げることができる。また、電気による暖房の負荷が下げられるので、エネルギー消費量を低減できる。また、集合住宅では供給電力量が棟単位で限られているので、電力消費の多い時間のピーク電力をカットできる。また、電力消費の多い時間のピーク電力がカットされるので、少ない契約電力でも全館空調を実現できる。また、床暖房と全館空調を併用するので、空調電力で大きな割合を占める冬場のピークカットを実現できる。また、ガスでの床暖房をベースとして、北側空間20のみを全館空調で補うので、消費電力を抑制できる。また、夜間で床暖房がオフになる場合、居住していない南側空間10の設定温度を下げ負荷を軽減させ、居住している北側空間20にエネルギーをシフトできる。
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の空調システムは、複数の住宅(1000)が集合した集合住宅に設けられ、1つの住宅(1000)に対する空調を行う空調システムであって、住宅(1000)のうちの空調室(180)に設けられ、空調室(180)の空気を加熱する空調機(200)と、空調室(180)の空気を空調室(180)とは独立した第1空間に搬送する第1搬送ファンと、空調室(180)の空気を、空調室(180)とは独立した第2空間であって、かつ第1空間とは別の第2空間に搬送する第2搬送ファンと、第1搬送ファンと第2搬送ファンを制御するシステムコントローラ(300)と、第1空間に設けられるガス型床暖房機(500)と、を備える。システムコントローラ(300)は、ガス型床暖房機(500)の動作状況を取得する床暖動作取得部(320)を備える。床暖動作取得部(320)がガス型床暖房機(500)が動作している旨を取得した場合に、第1搬送ファンの送風量を第2搬送ファンの送風量よりも小さくする。
システムコントローラ(300)は、床暖動作取得部(320)がガス型床暖房機(500)が動作していない旨を取得し、かつ所定の夜時間に該当する場合に、第1搬送ファンの送風量を第2搬送ファンの送風量よりも小さくしてもよい。
第1空間と第2空間のそれぞれの温度を取得してシステムコントローラ(300)に送信する温度センサと、空調室(180)の温度を取得してシステムコントローラ(300)に送信する空調室温度センサ(194)と、をさらに備えてもよい。システムコントローラ(300)は、第1空間と第2空間に設定された目標温度を取得する目標温度取得部(310)と、目標温度取得部(310)が取得した目標温度と、温度センサが取得した第1空間と第2空間のそれぞれの温度と、空調室(180)の温度とをもとに、第1搬送ファンと第2搬送ファンの送風量を決定する送風量決定部(314)と、送風量決定部(314)が決定した送風量で第1搬送ファンと第2搬送ファンの送風量を制御するファン風量制御部(316)と、を備えてもよい。
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。