JP7461177B2 - 銅張積層板 - Google Patents

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Description

本発明は、パワー半導体、半導体リレー、発光ダイオード(LED)等を実装するためのプリント基板として好適に使用される銅張積層板に関する。
銅張積層板は、回路パターン形成のための銅箔を表面に有し、この銅箔にエッチング等の手段によってパターンを形成して使用されるものである。
かかる銅張積層板として本発明者らは特許文献1において、「銅層、白色層、接着層および熱伝導率が200W/m・K以上の高熱伝導基板をこの順に有し、前記白色層がオルガノポリシロキサンのマトリックス中に、BN、ZrO、SiO、CaF、ダイヤモンドのうちいずれか1種または2種以上のフィラーを有する組成であり、前記接着層が熱硬化性樹脂である銅張積層板」を開示した。
この特許文献1の銅張積層板は、エッチングにより銅層が除去されて露出する白色層が可視光および紫外光に対して高い反射率を有し、紫外光耐性や耐熱性にも優れていることから、発光ダイオード(LED)実装用プリント基板に特に好適である。
しかし、この特許文献1の銅張積層板は、白色層と高熱伝導基板との間に熱硬化性樹脂である接着層(典型的にはエポキシ樹脂層)を有することから、銅層および白色層から高熱伝導基板への放熱性が十分とは言えなかった。
一方、特許文献2には、電気回路、金属箔又は回路基板が、シリコーンゴムと無機充填剤からなる低弾性接着剤を介して放熱板に積層されてなる積層物が開示されている。この特許文献2の積層物では、低弾性接着剤を介して、電気回路および回路基板が直接接合されている。
しかし、特許文献2の積層物では、低弾性接着剤としてシリコーンゴムを用いていることから、放熱性と耐電圧とを両立させることが困難である。
すなわち、シリコーンゴムは二次元鎖状構造であるから、三次元網目構造であるシリコーンレジンと比較して、分子構造上絶縁膜中に雰囲気中の水分子等の分子が侵入しやすい。時間経過とともに、侵入した分子がシロキサン結合を切断したり、フィラーを分解したりするなどして劣化し、単位厚さあたりの耐電圧が維持できなくなる。一般的に耐電圧は、膜厚にかかわらず4kV以上が必要とされているところ、シリコーンゴムを用いる場合であっても、膜厚を厚くすれば4kV以上の耐電圧は達成可能である、しかし、シリコーンゴムやシリコーンレジンなどのシリコーン樹脂の熱伝導率は、銅やアルミニウムなどの金属材と比較して2~3桁程度低いために、厚くするほど放熱性が大きく低下する。
近年、特にパワー半導体等では、放熱性能を確保するために、単位厚さあたりの耐電圧が高く、かつ膜厚の薄い絶縁層を有した銅張積層基板が求められている。放熱性と耐電圧とを両立させるには、単位厚さあたりの耐電圧を高くする必要あるが(図4参照。右上ほど、ハイスペック。)、シリコーンゴムは前述のとおり、時間経過と共に耐電圧が低下するため、放熱性と耐電圧とを両立させることが困難である。
さらに、シリコーンゴムを用いた場合、加熱により、接点障害の原因となる低分子シロキサンガスが発生するという問題もある。
他方、引用文献3には、基体層/絶縁体層/金属層なる構成を有し、基体層が炭化ケイ素粉末含有アルミニウムからなり、絶縁体層が硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂および酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の耐火物フィラーを含む硬化性組成物の硬化物からなる、回路基板用積層体が開示されている。
特許文献3の回路基板用積層体では、絶縁体層として硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂を用いている。硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂中のメチルフェニル基は、分子構造上隙間が生じやすく、水分子等の侵入により劣化しやすいため、やはり、放熱性と耐電圧とを両立させ維持することが困難である。さらに、硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂を用いた場合、防湿性および紫外光耐性が不十分となるという問題もある。
特許第6089144号公報 特開2005-076023号公報 特開2007-012876号公報
本発明が解決しようとする課題は、放熱性と耐電圧とを両立させることのできる銅張積層板を提供することにある。
本発明によれば、次の(1)および(2)の銅張積層板が提供される。
(1)
銅層、絶縁層および基板をこの順に有し、
前記絶縁層は、メチル基およびエチル基が全体の官能基のうち80%以上を占め、かつ三次元網目構造を有するシリコーンレジンのマトリックス中に、無機フィラーが分散した組織を有し、
前記絶縁層が前記銅層と前記基板にそれぞれ直接接合されており、かつ前記絶縁層の厚みが10~100μmであり、耐電圧がAC70kV/mm以上、DC130kV/mm以上である、銅張積層板。
(2)
銅層、絶縁層および基板をこの順に有し、
前記絶縁層は、メチル基およびエチル基が全体の官能基のうち80%以上を占め、かつ三次元網目構造を有するシリコーンレジンのマトリックス中に、無機フィラーが50~85体積%の割合で分散した組織を有し、
前記絶縁層が前記銅層と前記基板にそれぞれ直接接合されており、耐電圧がAC70kV/mm以上、DC130kV/mm以上である、銅張積層板。
本発明の銅張積層板によれば、絶縁層が銅層と基板にそれぞれ直接接合されているので、高い放熱性を実現できる。
また、本発明の銅張積層板において絶縁層は、メチル基およびエチル基が全体の官能基のうち80%以上を占めるシリコーンレジンのマトリックス中に無機フィラーが分散した組織を有することから、特許文献2に開示されているシリコーンゴムや特許文献3に開示されている硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂を用いた場合と比較して、単位厚さあたりの耐電圧を高く維持できる。具体的には膜厚1mmあたりの耐電圧は、AC70kV/mm以上、DC130kV/mm以上を維持できる。
すなわち本発明における絶縁層は、メチル基およびエチル基が全体の官能基のうち80%以上を占めるシリコーンレジンをマトリックスとしているため、分子構造上の隙間が形成されにくい。その隙間から水分子などが侵入しにくいため、分子(特に水分子)の侵入に起因する劣化が生じにくい。なお、この働きは、官能基に対してメチル基の占める割合が大きいほど高くなり、メチル基が90%以上であればより顕著となる。
以上より、本発明の銅張積層板によれば、放熱性と耐電圧とを両立させることができる。
さらに、シリコーンレジンは有機基(R)とケイ素原子(Si)との数の比(R/Si)が1.0~1.7の範囲にあり、三次元網目構造を有することから、加熱により接点障害の原因となる低分子シロキサンガスが発生することもない。
また、本発明で用いる、メチル基およびエチル基が全体の官能基のうち80%以上を占めるシリコーンレジンは、特許文献3に開示されている硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂と比較して、防湿性および紫外光耐性に優れ、それを維持できることから、パワー半導体、半導体リレー、発光ダイオード(LED)等を実装するためのプリント基板として好適に使用できる。
本発明の一実施形態である銅張積層板の製造方法の一例を示す模式図。 本発明の一実施形態である銅張積層板の銅張積層板の製造方法の他の例を示す模式図。 本発明の一実施例である銅張積層板の断面写真。 放熱性および耐電圧と膜厚との関係を示す概念図。
まず、本発明の一実施形態である銅張積層板の製造方法について説明する。
図1に、本発明の一実施形態である銅張積層板の製造方法の一例を模式的に示している。
この例では、まず、官能基として炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のアルキル基(ただし、アルキル基の80%以上がメチル基およびエチル基)、およびヒドロキシル基を有するシリコーンレジンを有機溶媒にて希釈し無機フィラーを分散させ、絶縁塗料を得る。この際、有機溶媒は塗料の塗布方法に合わせて適した粘度となる量を添加する。場合によっては有機溶媒の添加はなくてもよい。なお、官能基のうち炭素-炭素結合の少ないメチル基およびエチル基の割合を多くすることで、より高い耐候性や絶縁性能を発揮することができる。具体的には80%以上で優れた耐候性および絶縁性能を発揮し、より好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは95%以上であるが、メチル基およびエチル基の割合を多くするほど絶縁層の硬度が上がる点を考慮する必要がある。また、エチル基に対するメチル基の割合は高ければ高いほど防湿性や耐候性に優れる。具体的にはエチル基とメチル基の合計に対するメチル基の割合は80%以上が好ましく、より好ましくは90%以上で、さらに好ましくは95%以上である。
次に、銅箔1上に絶縁塗料を乾燥状態で例えば10~120μmの厚みとなるよう塗布し、乾燥させて有機溶媒を揮発させ、絶縁層2を銅箔1上に形成する。この絶縁層2は、メチル基およびエチル基が全体の官能基のうち80%以上を占めるシリコーンレジンのマトリックス中に無機フィラーが分散した組織を有するものとなる。
絶縁塗料の塗布方法(コーティング方法)は、ディップコート法、スクリーン印刷法、溶液滴下法、印刷法、ロール・ツー・ロール法、スピンコート法、転写法、バーコート法、スキージ法、インクジェット法などが挙げられるが、絶縁塗料を塗布できれば塗布方法は限定されない。また、10~120μmの厚みを一度に塗ってもよいが、2回に分けて塗工することでピンホール等の欠陥を抑制することもできる。乾燥する温度は20~200℃であることが好ましく、温度が高ければ高いほど乾燥の時間を短くすることができるが、反応の制御や溶剤の突沸の抑制が難しくなり、基板とした際に十分な絶縁性能を発揮できない懸念がある。より好ましい乾燥温度は使用する溶媒の沸点近傍の温度から180℃以下の温度である。
基板と絶縁層の密着強度をより向上させたい場合には、乾燥させた絶縁層2上にシリコーンレジンよりなる(シリコーンレジンを有機溶媒にて希釈してなる)接合塗料を乾燥状態で例えば0.1~20μmの厚みになるよう塗布し、乾燥させてシリコーンレジンよりなる接合層3を絶縁層2上に形成する方法も有効である。この接合層3を構成するシリコーンレジンは、絶縁層2のマトリックスを構成するシリコーンレジンと同成分であることが好ましいが、必ずしもそうである必要はない。また、接合塗料の塗布方法(コーティング方法)は、ディップコート法、スクリーン印刷法、溶液滴下法、印刷法、ロール・ツー・ロール法、スピンコート法、転写法、バーコート法、スキージ法、インクジェット法などが挙げられるが、接合塗料を薄く塗布できれば塗布方法は限定されない。乾燥する温度は20~110℃であることが好ましく、より好ましくは70~100℃である。
このように絶縁層2および接合層3が順に形成された銅箔1上に接合したい基板4を置き、真空加圧加熱装置を用いて加熱および加圧した状態で接合(積層)すると、絶縁層2が銅箔1(銅層)と基板4にそれぞれ直接接合されている、本実施形態の銅張積層板が得られる。すなわち、接合層3はシリコーンレジンよりなり、絶縁層2のマトリックスもシリコーンレジンよりなるので、前述の加熱加圧接合により接合層3が絶縁層2に吸収されて、接合層3と絶縁層2が混然一体となった硬化体である絶縁層2’(図1(b)参照)となり、その結果、絶縁層2が基板4に直接接合されることになる。一方、絶縁層2は銅箔1上に塗布および乾燥により形成されているので、両者は直接接合されている。
このとき、絶縁層2および接合層3が順に形成された銅箔1上にさらに絶縁層2および接合層3が順に形成された銅箔1を接合するなどして多層化する手法をとってもよい。また、基板4には汎用的な1mm厚みの銅板やアルミ板を用いることもできるし、厚み10~100μm程の金属を用いることでフレキシブル基板とすることもできる。また、更に放熱性を高めたい場合はヒートシンクと一体化した基板を用いることもできる。
この加熱加圧接合は2段階で行うことができる。まず第1段階として、真空雰囲気にて90~155℃の温度で20~60分加熱する。その際に加える圧力は例えば2MPa以下である。好ましくは100~140℃の温度で1MPa程度の圧力を加える。次に第2段階として、170℃~300℃の温度で30~120分加熱する。その際に加える圧力は例えば2~7MPaである。好ましくは200~250℃の温度で3~5MPaの圧力を加える。その後任意の冷却速度にて冷却する。なお、第2段階において160℃以上の温度で真空雰囲気から大気圧に戻すとより密着性の良好な銅張積層板を得ることができるが、真空雰囲気のまま昇温を続けても構わない。また、加熱加圧接合は2段階でなく1段階で行うこともできる。
図2に、本発明の一実施形態である銅張積層板の製造方法の他の例を模式的に示している。図1の例では銅箔1上に絶縁層2および接合層3を形成し、この銅箔1上の接合層3と基板4とを加熱加圧接合するようにしたが、図2に示すように、基板4上に絶縁層2および接合層3を形成し、この基板4上の接合層3と銅箔1とを加熱加圧接合するようにしてもよい。この図2の製造方法によっても、絶縁層2が銅箔1(銅層)と基板4にそれぞれ直接接合されている、本実施形態の銅張積層板が得られる。すなわち、接合層3はシリコーンレジンよりなり、絶縁層2のマトリックスもシリコーンレジンよりなるので、前述の加熱加圧接合により接合層3が絶縁層2に吸収されて、接合層3と絶縁層2が混然一体となった硬化体である絶縁層2’(図2(b)参照)となり、その結果、絶縁層2が銅箔1に直接接合されることになる。一方、絶縁層2は基板4上に塗布および乾燥により形成されているので、両者は直接接合されている。
本実施形態の銅張積層板において絶縁層2のマトリックスは、前述のとおり、メチル基およびエチル基が全体の官能基のうち80%以上を占めるシリコーンレジンであるが、絶縁層2のマトリックスは、メチル基およびエチル基が全体の官能基のうち90%以上を占めるシリコーンレジンであることが好ましく、メチル基が全体の官能基のうち90%以上を占めるシリコーンレジンであることがより好ましい。
なお、絶縁層2のマトリックスを、メチル基およびエチル基が全体の官能基のうち90%以上を占めるシリコーンレジンとするには、前述の絶縁塗料の原料となるシリコーンレジンに含まれるアルキル基の90%以上をメチル基およびエチル基とすればよい。また、絶縁層2のマトリックスを、メチル基が全体の官能基のうち90%以上を占めるシリコーンレジンとするには、前述の絶縁塗料の原料となるシリコーンレジンに含まれるアルキル基の90%以上をメチル基とすればよい。
いずれの場合も、前述の絶縁塗料の原料となるシリコーンレジンの平均分子量は、2500~30万程度とすることができる。
本実施形態の銅張積層板において、前述の絶縁塗料および接合塗料の塗工時の膜厚を制御することで、絶縁層2’の厚みをコントロールすることができる。優れた放熱性能と絶縁性能を両立するためには、絶縁層2’の厚みを10~100μmの範囲とすればよい。また、例えば放熱性能をより高めるためには絶縁層2’の厚みを20~50μmの範囲、特に15~40μmとすることが好ましい。絶縁層2’の厚みが薄ければ薄いほど放熱性能に優れる。
また、実装するチップの種類によっては、放熱性能を保ったうえで、より高い絶縁性能が求められる場合がある。その際は絶縁層2’の厚みを30~100μm、好ましくは45~90μm、特に60~80μm程度とすることが有効であり、厚みが厚いほど絶縁性能を高めることができる。重要なのは、用途において十分な絶縁性能を確保でき範囲内で、できる限り絶縁層2’を薄くすることである。
本実施形態の銅張積層板において絶縁層2’に分散させる無機フィラーは、所望の特性に応じて適宜選択することができる。例えば、特許文献1と同様に可視光および紫外光に対する高い反射率を得たい場合には、無機フィラーは、BN、ZrO、Al、SiO、CaF、MgF、ダイヤモンドのいずれか1種または2種以上とすることができる。一方、高い熱伝導率(放熱性)を得たい場合には、AlN、ダイヤモンド、SiC、BNのいずれか1種または2種以上とすることができる。またこの場合、基板4は150W/m・K以上の熱伝導率を有するものとすることが好ましい。150W/m・K以上の熱伝導率を有する基板としては、アルミニウム、銅、銀、タングステン、炭素(カーボン(グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブを含む。))、ダイヤモンドの単体または混合体などが挙げられる。
絶縁層2’中の無機フィラーの割合については、放熱性と耐電圧を両立するうえで、絶縁層2’中に占める体積割合で50~85体積%とすることが有利である。絶縁層2’中の無機フィラーの割合は高いほど絶縁性能と放熱性能は向上するが、一方で耐衝撃性が低下する懸念があるので、絶縁層2’中のフィラーの割合は53~75体積%、さらに好ましくは56~68体積%とすることで、この懸念が軽減される。
また、絶縁層2’の厚みを薄くするためには無機フィラーの粒径をある程度小さくすることが有効である。例えば、絶縁層2’の厚みに対してその30%以下の大きさを平均粒径(D50)として有する無機フィラーを使用することでより充填性を高め、より優れた絶縁性能を発揮する銅張積層板を得ることができる。充填性をさらに高めるうえで、無機フィラーの平均粒径(D50)は、絶縁層2’の厚みに対して20%以下であることが好ましく、絶縁性の均一性をさらに求める場合には同じく10%以下であることがより好ましい。具体的には無機フィラーの粒径は、平均粒径(D50)で2.0μm以下であることが好ましい。
一方、熱伝導率を重点的に追求する場合には無機フィラーの粒径は大きい方が好ましく、この場合、無機フィラーの平均粒径(D50)は絶縁層2’の厚みに対して20~45%とすることが好ましい。
[実施例1]
室温で固体であって、官能基として炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のアルキル基(ただし、アルキル基の90%以上がメチル基)、およびヒドロキシル基を有する、重量平均分子量Mw=3000のシリコーンレジン12質量部、D50=0.7μmのZrOフィラー70質量部、1-ブタノール18質量部を混合し、絶縁塗料(A)を得た。
室温で固体であって、官能基として炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のアルキル基(ただし、アルキル基の90%以上がメチル基)、およびヒドロキシル基を有する、重量平均分子量Mw=3000のシリコーンレジン45質量部、1-ブタノール55質量部を混合し、接合塗料(B)を得た。
プリント配線基板用の片面粗化処理銅箔(古河電気工業株式会社製 GTS-MP 35μm)にドクターブレード法により絶縁塗料(A)を厚み55μmになるように粗化処理面に塗工し、175℃/15分の乾燥を実施し、絶縁膜付銅箔(C)を得た。
絶縁膜付銅箔(C)の絶縁膜上に、マイクログラビア法により接合塗料(B)を厚み10μmになるように塗工し、100℃/10分の乾燥を実施し、接合層付絶縁膜付銅箔(D)を得た。
1mmのAl板(A5052)を100℃の純水中で5分間煮沸処理を施し、Al板表面に-OH基を付与し、Al基板(E)を得た。
Al基板(E)に接合層付絶縁膜付銅箔(D)を、接合層が(D)と(E)の接触面に来るように積層させ、250℃/3.5MPaで1時間真空加圧積層を実施し、絶縁層(前記(A)(B)に由来の部分)のマトリックスであるシリコーンレジンが有する官能基のうち90%がメチル基であり、他の官能基として炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数2~5のアルキル基およびヒドロキシル基を有する、三次元網目構造を持ったシリコーン硬化体の銅張積層基板を得た。
得られた銅張積層基板の絶縁層の厚さは約50μmであり、絶縁層中のZrOフィラーの割合は約60体積%であった。
また、得られた銅張積層基板の耐電圧はAC80kV/mm、DC150kV/mmであった。銅張積層基板を雰囲気温度60℃、雰囲気湿度80%の環境下に1000時間暴露した後に耐電圧を測定したところ、AC80kV/mm、DC150kV/mmであり、劣化は認められなかった。銅張積層基板の絶縁層について、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)により低分子シロキサンの検出を試みたが、低分子シロキサンに相当するD3~D12のいずれも検出されなかった。
図3に、得られた銅張積層板の断面写真を示している。図3より、絶縁層2が銅層1と基板2にそれぞれ直接接合されていることが確認された。また、絶縁層2と基板4との接合界面に注目すると、絶縁層2と基板4との接合界面の一部が無機フィラーを含まない絶縁層2aで構成されていた。
なお、前述した図1の製造方法では絶縁層2上に接合層3を形成するが、前述のとおり加熱加圧接合により接合層3が絶縁層2に吸収されて混然一体となる。すなわち、図3において絶縁層2と基板4との接合界面に表れている無機フィラーを含まない絶縁層2aは、前述の加熱加圧接合により接合層3と絶縁層2が混然一体となった絶縁層2’(図1(b)参照)の一部であり、本発明において「直接接合されている」とは、無機フィラーを含まない絶縁層2aを有しない接合形態を含むことはもとより、図3のように無機フィラーを含まない絶縁層2aを有する接合形態も含む概念であり、例えば、前記特許文献1のような接着層や接着剤の層を有さないということである。
また、本実施形態において、「銅箔上」、「絶縁層上」、「基板上」とは、上下の位置関係を限定するものではない。すなわち、「銅箔上」、「絶縁層上」、「基板上」とは、言い換えれば「銅箔の一面側」、「絶縁層の一面側」、「基板の一面側」という意味であり、図1および図2を上下逆転した形態や、図1および図2を鉛直にした形態を含む概念である。
[実施例2]
室温で固体であって、官能基として炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のアルキル基(ただし、アルキル基の90%以上がメチル基)、およびヒドロキシル基を有する、重量平均分子量Mw=275000のシリコーンレジン12質量部、D50=0.7μmのZrOフィラー70質量部、1-ブタノール18質量部を混合し、絶縁塗料(A)を得た。
室温で固体であって、官能基として炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のアルキル基(ただし、アルキル基の90%以上がメチル基)、およびヒドロキシル基を有する、重量平均分子量Mw=275000のシリコーンレジン45質量部、1-ブタノール55質量部を混合し、接合塗料(B)を得た。
プリント配線基板用の片面粗化処理銅箔(古河電気工業株式会社製 GTS-MP 35μm)にドクターブレード法により絶縁塗料(A)を厚み55μmになるように粗化処理面に塗工し、175℃/15分の乾燥を実施し、絶縁膜付銅箔(C)を得た。
絶縁膜付銅箔(C)の絶縁膜上に、マイクログラビア法により接合塗料(B)を厚み10μmになるように塗工し、100℃/10分の乾燥を実施し、接合層付絶縁膜付銅箔(D)を得た。
1mmのAl板(A5052)を100℃の純水中で5分間煮沸処理を施し、Al板表面に-OH基を付与し、Al基板(E)を得た。
Al基材(E)に接合層付絶縁膜付銅箔(D)を、接合層が(D)と(E)の接触面に来るように積層させ、250℃/3.5MPaで1時間真空加圧積層を実施し、絶縁層のマトリックスであるシリコーンレジンが有する官能基のうち90%がメチル基であり、他の官能基として炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数2~5のアルキル基およびヒドロキシル基を有する、三次元網目構造を持ったシリコーン硬化体の銅張積層基板を得た。
得られた銅張積層基板の絶縁層の厚さは約50μmであり、絶縁層中のZrOフィラーの割合は約60体積%であった。
また、得られた銅張積層基板の耐電圧はAC80kV/mm、DC150kV/mmであった。銅張積層基板を雰囲気温度60℃、雰囲気湿度80%の環境下に1000時間暴露した後に耐電圧を測定したところ、AC80kV/mm、DC150kV/mmであり、劣化は認められなかった。銅張積層基板の絶縁層について、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)により低分子シロキサンの検出を試みたが、低分子シロキサンに相当するD3~D12のいずれも検出されなかった。
[比較例1]
室温で液体であって、官能基として炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のアルキル基(ただし、アルキル基の90%以上がメチル基)、およびヒドロキシル基を有する、重量平均分子量Mw=275000のシリコーンゴム12質量部、D50=0.7μmのZrOフィラー70質量部、1-ブタノール18質量部を混合し、絶縁塗料(A)を得た。
室温で液体であって、官能基として炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のアルキル基(ただし、アルキル基の90%以上がメチル基)、およびヒドロキシル基を有する、重量平均分子量Mw=275000のシリコーゴム45質量部、1-ブタノール55質量部を混合し、接合塗料(B)を得た。
プリント配線基板用の片面粗化処理銅箔(古河電気工業株式会社製 GTS-MP 35μm)にドクターブレード法により絶縁塗料(A)を厚み55μmになるように粗化処理面に塗工し、175℃/15分の乾燥を実施し、絶縁膜付銅箔(C)を得た。
絶縁膜付銅箔(C)の絶縁膜上に、マイクログラビア法により接合塗料(B)を厚み10μmになるように塗工し、100℃/10分の乾燥を実施し、接合層付絶縁膜付銅箔(D)を得た。
1mmのAl板(A5052)を100℃の純水中で5分間煮沸処理を施し、Al板表面に-OH基を付与し、Al基板(E)を得た。
Al基板(E)に接合層付絶縁膜付銅箔(D)を、接合層が(D)と(E)の接触面に来るように積層させ、250℃/3.5MPaで1時間真空加圧積層を実施し、絶縁層のマトリックスであるシリコーンゴムが有する官能基のうち90%がメチル基であり、他の官能基として炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数2~5のアルキル基およびヒドロキシル基を有する、二次元鎖状構造を持ったシリコーン硬化体の銅張積層基板を得た。
得られた銅張積層基板の絶縁層の厚さは約50μmであり、絶縁層中のZrOフィラーの割合は約60体積%であった。
また、得られた銅張積層基板の耐電圧はAC80kV/mm、DC150kV/mmであった。銅張積層基板を雰囲気温度60℃、雰囲気湿度80%の環境下に1000時間暴露した後に耐電圧を測定したところ、その耐電圧はAC60kV/mm、DC110kV/mmであり、劣化が見られた。
また、銅張積層基板の絶縁層について、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)により低分子シロキサンの検出を試みたところ、低分子シロキサンに相当するD3~D12が確認された。
1 銅箔(銅層)
2 絶縁層
2’ 接合層と絶縁層が混然一体となった絶縁層
2a 無機フィラーを含まない絶縁層
3 接合層
4 基板

Claims (2)

  1. 銅層、絶縁層および基板をこの順に有し、
    前記絶縁層は、メチル基およびエチル基が全体の官能基のうち80%以上を占め、かつ三次元網目構造を有するシリコーンレジンのマトリックス中に、無機フィラーが分散した組織を有し、
    前記絶縁層が前記銅層と前記基板にそれぞれ直接接合されており、かつ前記絶縁層の厚みが10~100μmであり、耐電圧がAC70kV/mm以上、DC130kV/mm以上である、銅張積層板。
  2. 銅層、絶縁層および基板をこの順に有し、
    前記絶縁層は、メチル基およびエチル基が全体の官能基のうち80%以上を占め、かつ三次元網目構造を有するシリコーンレジンのマトリックス中に、無機フィラーが50~85体積%の割合で分散した組織を有し、
    前記絶縁層が前記銅層と前記基板にそれぞれ直接接合されており、耐電圧がAC70kV/mm以上、DC130kV/mm以上である、銅張積層板。
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