JP7457960B2 - セメント含有吸湿材料の製造方法 - Google Patents

セメント含有吸湿材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はセメント系材料を用いた吸湿材料の製造方法に関する。
建物内に湿気がこもると壁等に結露が生じ、カビやダニの発生、壁材の腐食や変色の原因となる。これを防ぐために、建物の側壁材や天井板材として、吸湿材が混合された建築ボードなどが用いられる。例えば、特許文献1に開示されている吸湿材として塩化カルシウム、A型シリカゲル、B型シリカゲル等が挙げられている。
しかし、上述の塩化カルシウムは、一度吸湿した後は乾燥しても再利用できず、さらに、塩素分を含むため、鉄筋を含む建築構造物に使用した場合、鉄筋に接触すると腐食作用が惹起する。また、上述のA型シリカゲルは、塩化カルシウムと同様に一度吸湿した後は乾燥しても再利用できない。また、B型シリカゲルは吸湿後に乾燥することで再び吸湿性は戻るが、吸湿速度が比較的早いため、セメント系壁材に乾燥収縮によるひび割れが促進され好ましくない。さらに、B型シリカゲルはセメント中のアルカリ分と反応してアルカリシリカゲルを形成し、吸水に伴う膨潤によりセメント系ボードのひび割れや破断を招きやすく、セメント系ボードの吸湿材料としての利用には相応しくない。
一方、例えば、特許文献2には、消石灰や生石灰、セメントを粘土と混練し、水を加えて硬化させることで吸放湿性を有する吸湿材料を提供する技術が提案されている。このような吸湿材料は、シリカゲルや塩化カルシウムと比較して吸湿速度が緩やかであり、セメント硬化物に混練しても収縮やひび割れが起こりにくい。しかし、消石灰や生石灰には腐食性があり、釘、金網、鉄筋等と接触すると、これら金属の劣化を促進する傾向があり、セメント系ボードの吸湿材料としての利用には相応しくない。
また、近年では、埋立地の確保難や、資源の有効活用の観点から、建築物への施工、工場におけるプレカットで発生するセメント系材料の端材や粉末、また建築物の取り壊し等で発生するセメント系材料について、再利用技術の確立が急務となっている。しかし、このようなセメント系材料のうち、特に窯業系サイディングの場合、上述のような問題は皆無であるが、有機化合物の重量割合が高く、分離が困難なため、そのまま再利用することはできず、ほとんどが産業廃棄物として処分されているのが現状である。
上述のような背景から、窯業系サイディング粉粒体に対して助燃性ガスを導入しながら500~600℃で加熱することで、有機化合物を燃焼除去し、タール分や揮発性有機化合物が発生することなく除去できる。また、これだけでなく、水和自硬性も再生できる技術が特許文献3に提案されている。しかしながら、窯業系サイディングをはじめとしたセメント系材料の粉末を熱処理した場合、焼結により比表面積の低下や微細孔の閉塞が生じ、結果として吸湿性が低下することから、熱処理した窯業系サイディングの切断粉末を吸湿材料としてそのまま利用することは困難がある。
特開2004-10433号 特開2003-2727号 特開2019-77572号
上述したような問題を解消するため、本発明は、セメント系の住宅壁材などに混錬される吸湿材料として、不燃性であり、かつ腐食性であり、吸湿量が多く、吸湿速度が穏やかな性能を併せ持つセメント含有材料を用いた吸湿材料の製造技術を、提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するための本発明の手段1では、セメント系材料に有機化合物を添加する工程において、すなわち、有機化合物が添加混合されたセメント系材料の粉粒体に占める有機化合物の重量割合が1wt%以上50wt%以下となるように調整する工程を有する。また、前述の有機化合物が添加混合されたセメント系材料の粉粒体の圧縮圧力を5MPa以上60MPa以下とする圧縮成形する工程を有する。例えば、廃材の粉粒体を圧縮しつつ、任意の形状に成形する工程を有する。このような圧縮成形した後に、助燃性ガスを供給しながら500℃以上600℃以下の温度で有機化合物を燃焼除去する加熱工程により、圧縮成形品の内部に空隙を多く形成させた。この工程により吸湿性を向上できることが、見出できた。また、有機化合物が混合されたセメント系材料の粉粒体の圧縮により嵩密度が増大する。このため、単に有機化合物が混合されたセメント系材料粉粒体を熱処理した場合と比較して体積当たりの吸湿量も増加することを見出した。さらに、熱処理前に圧縮成形するため、セメント系材料粉粒体が飛散することもなく、廃材を利用させられることが可能となった。本発明の手段1によって、500~600℃で熱処理したセメント系材料の圧縮成形品は水和自硬性を有するため、混練による圧縮強度の低下も抑制できる。同時に、不燃性の材料となる。また、塩分が含まれていないことから腐食性は全くない。また、有機化合物を完全燃焼させて製造されることから、細孔容量を大きくし、水蒸気吸着量も大きく、上述の通り吸湿量を多くすることが可能である。さらに、本発明の吸湿材料を混練して作製されたセメントボードは、乾燥収縮が穏やかであり、ひび割れなどを引き起こすことがないなど、希求される特性を満足させる吸湿材料を提供することができる。
前述のセメント系材料粉粒体には、一般的に普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、エコセメントのうち、一種類以上が含有されている。最も多いのは普通ポルトランドセメントや早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメントであり、本発明のセメント含有吸湿材料を製造するのに非常に好ましい材料である。
上述の本発明によれば、セメント系の住宅壁材などに混錬される吸湿材料として、不燃性であり、腐食性でもあり、吸湿量が多く、吸湿速度が穏やかな性能を併せ持つセメント含有材料を用いた吸湿材料の製造方法を提供することできる。
(課題を解決するためのその他の手段)
上述の手段1の圧縮成形工程における下位概念の手段2として、セメント系材料粉粒体の圧縮圧力が5MPa以上60MPa以下の範囲であることにより、セメント含有の吸湿材料を製造する方法において、成形性が良く、例えば、円柱や、角柱のような立方体や直方体形状の個体とすることが可能であり、次の工程での加熱処理において、空隙容量、すなわち、細孔容量を適切な量にすることが可能となるセメント含有吸湿材料の製造方法を提供することができる。
上述の手段1の加熱工程における下位概念である手段3として、助燃性ガスが空気、酸素、オゾン、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素よりなる群から少なくとも1種類以上を含むように選択され、安価であり既定の温度範囲を保つことが可能となり、排除したい有機化合物を燃焼させるのに最適である。すなわち、吸湿材料とする際の吸収量を大きくするための細孔容量を、適切な量にすることが可能となるセメント含有吸湿材料の製造方法を提供することができる。
上述の手段1の下位概念である手段として、セメント系材料粉粒体に有機化合物を添加調整する工程を、有機化合物が混合されたセメント系材料粉粒体を圧縮成形する工程の前に設けた手段1もしくはにおけるセメント含有吸湿材料の製造方法を提供することができる。吸湿材料とした際の吸収量が不足する場合、有機化合物を添加して混合することにより、必要な細孔容量を得ることが出来、必要な吸収量のセメント含有吸湿材料の製造方法を提供することができる。

上述の手段1の下位概念となる手段5として、セメント系材料粉粒体に添加調整される有機化合物が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、フェノール系樹脂、アクリル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、スチレン-ブタジエンゴム、絹、羊毛、羽毛、木材、木綿、麻、リヨセル、テンセル、パルプ、レーヨン、キュプラ、アセテート、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、α-オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸から選択された1種類以上である手段1のセメント含有吸湿材料の製造方法を提供することができる。
上述した手段によれば、廃棄されてきたコンクリートやモルタル、サイディングといったセメント系材料の切削粉などの有効活用に寄与できるため、建築系廃棄物量の削減に寄与することができる。
本発明のコンクリートやモルタル、窯業系サイディングの有機化合物+セメント系材料の圧縮成形を行うためのプレス成形機を模式的に表す図である。 セメント系材料成形物の熱処理を行うための熱処理装置の助燃性ガスとして空気を用いる場合の熱処理装置を模式的に表す図である。 セメント系材料成形物の熱処理を行うための熱処理装置の助燃性ガスとして酸素、オゾン、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素の助燃性ガスを用いる場合の熱処理装置を模式的に表す図である。
本発明における工程の好適な実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。
(有機化合物が混合されたセメント系材料粉粒体を圧縮する工程の概要)
有機化合物が混合されたセメント系材料粉粒体(以下、「有機化合物+セメント系材料」と記載する。)を圧縮する工程では有機化合物が混合された有機化合物+セメント系材料を圧縮することで、任意の形状、例えば円柱状や角柱状の直方体や立方体に成形する。なお、圧縮の仕方や強さとなる圧力は後述する。
またこの時、成形性の向上や、その後の熱処理工程にて形成される空隙量を増大させることを目的として、コンクリートやモルタル、窯業系サイディングを切削したときに発生する切削粉末に有機化合物を予め添加しても良い。添加の詳細は後述する。以下、有機化合物+セメント系材料を圧縮する工程(以下、「圧縮成形工程」と記載する。)について詳述する。
有機化合物+セメント系材料は、図1に模式的に示すようなプレス成形機によって圧縮成形される。すなわち、台座1に載せた成形型2に鏡面板3aを設置し、この鏡面板3a上に有機化合物+セメント系材料4の任意の必要量を投入する。次に有機化合物+セメント系材料4の上に鏡面板3bを乗せた後、金属棒5を設置する。油圧プレス機のレバー6を上げ下げすることによりシリンダー7a中の油が油圧ホース8を通じてシリンダー7bへ移送され、ラム9が押し下げられる。これにより、金属棒5を通して有機化合物+セメント系材料4が圧縮され、その成形品(以下、「セメント系材料成形品」と記載する。)を得る。なお、圧縮圧力は圧力計10により表示され、数分間圧力をかける。また、シリンダー7b部分は金属製のフレーム11により支えられている。
(セメントの種類)
コンクリートやモルタル、窯業系サイディングの有機化合物+セメント系材料に含まれるセメントの種類は、本発明の吸収材料に再生するため、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、エコセメントなどが好ましい。さらには、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメントがより好ましい。また、普通ポルトランドセメントが最も好ましい。すなわち、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント等のポルトランドセメントは、カルシウムの割合が高く、より効率よく水和自硬性を付与できるためである。上述のコンクリートやモルタル、窯業系サイディングに含有されているのは、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメントのいずれかが含有されていることが多く一般的である。
(圧縮圧力)
上述した加圧成形時の成形圧力は、5MPa以上60MPa以下が好ましい。また、25MPa以上50MPa以下がより好ましく、35MPa以上45MPa以下が最も好ましい。なお、成形圧力が5MPaより低い場合には、セメント系材料成形品の圧縮強度が低く、熱処理した際に容易に形状が崩壊する可能性がある。また60MPaを超える場合には、セメント系材料成形品の細孔容量が低下し、吸湿性が損なわれる懸念があるためである。
上記の加圧成形の保持時間は、1分以上6分以下が好ましく、2分以上5分以下がより好ましく、
3分以上4分以下が最も好ましい。1分に満たないような短時間では十分な成形が確実に行われず、また、6分を超えても、産業上の意義が希薄になるためです。
(セメント系材料の嵩密度)
そして、吸収量がより大きな吸収材料とするため、セメント系材料粉粒体の嵩密度は、0.1g/cm以上2g/cm以下が好ましく、0.2g/cm以上1g/cm以下がより好ましく、0.5g/cm以上0.6g/cm以下が最も好ましい。粉粒体の嵩密度が0.1g/cm未満の場合には粉粒体が粗くなるため成形性が低下し、セメント系材料成形品の強度が不十分になることや、熱処理時に形状が崩壊することが懸念され、2g/cmより大きい場合には圧縮成形による体積当たりの吸湿量の増大がほとんど見られないためである。窯業系サイディングボードの切断加工により最も好ましい嵩密度の範囲のものが多いが、いづれにしても好ましい範囲に入るものがほとんどである。万一、範囲から外れる粒径が多い場合、乳鉢に入れてすり潰す工程を設けることにより、粒径を好ましい範囲に揃え、嵩密度を上げることが可能になる。
(セメント系材料の好適なサイズ)
上述のような適切な嵩密度を得られるようにするため、ふるいにかけることが好ましい。セメント系材料のサイズは、JIS Z8801に規定されている目開き4mm、線直径1.4mmのふるいを通過し、目開き250μm、線直径160μmのふるいを通過しないサイズが好ましく、目開き2mm、線直径0.9mmのふるいを通過し、目開き500μm、線直径315μmのふるいを通過しないサイズがより好ましく、目開き1.4mm、線直径0.71mmのふるいを通過し、目開き710μm、線直径450μmのふるいを通過しないサイズが最も好ましい。目開き250μm、線直径160μmのふるいを通過するサイズの場合、飛散しやすいために取り扱い性が悪く、また飛散して成形機の治具などの部品の隙間に入り込んだ場合、装置の故障原因となる可能性がある。一方、目開き4mm、線直径1.4mmのふるいを通過しないサイズの場合、圧縮成形における成形性が低下し、セメント系材料成形品の強度が不十分になる懸念があるためである。
(有機化合物の種類)
また、コンクリートやモルタル、窯業系サイディングのセメント系材料粉粒体に混合される有機化合物は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、フェノール系樹脂、アクリル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、スチレン-ブタジエンゴム、絹、羊毛、羽毛、木材、木綿、麻、リヨセル、テンセル、パルプ、レーヨン、キュプラ、アセテート、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、α-オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸のいずれかが含まれているのが一般的である。このような有機化合物であれば、温度処理により空隙を形成するのにいずれも好ましい。なお、現状の窯業系サイディングのセメント系材料粉粒体に混合される有機化合物は、木材、木綿、パルプなどが最も多く含まれている。
(有機化合物の重量割合)
さらには、圧縮成形時のセメント系材料に含まれる有機化合物の割合は1wt%以上50wt%以下が好ましく、5wt%以上35wt%以下がより好ましく、15wt%以上25wt%以下が最も好ましい。セメント系材料に含まれる有機化合物の割合が1wt%以下の場合にはセメント系材料成形品を熱処理した際の空隙が形成されない懸念がある。一方、50wt%より多い場合には、成形性の低下や、熱処理時にセメント系材料成形品が崩壊しやすい懸念がある。
また、吸湿材料とした際の空隙の形成が不足する場合、上記したような有機化合物から選択した粉末を、上述の最も好ましい範囲にセメント系材料粉粒体に均質に混合させることにより、適切な吸湿材料とすることができるように調節させることが可能である。また、これらの有機化合物は上述のように予めセメント系材料に混合されていても良いし、圧縮成形する前段に混合添加しても良い。具体的には、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などのような有機化合物を上述の最も好ましい範囲になるように混入させることによって、細孔容量を適切な容量にすることが可能である。
(セメント系材料成形品の熱処理工程の概要)
さらに、圧縮成形工程により得られたセメント系材料成形品の熱処理工程の概要について説明する。熱処理工程では窯業系サイディングに助燃性ガスを供給しながら500℃以上600℃以下で熱処理する。これによりセメント系材料成形品の表面吸着水や空隙中に保持された水分の脱離、セメント水和物(以下、「CSH」と記載する。)、水和水の脱水が進行すると共にセメント系材料中の有機化合物が燃焼ガス化して除去される。以下に、熱処理工程について詳細を説明する。
具体的に、セメント系材料成形品は図2に模式的に示すような熱処理装置によって熱処理される。すなわち、セメント系材料成形品12を石英管13内に設置する。助燃性ガスに空気を用いる場合、コンプレッサー14より配管15を通じて石英管13内へ空気が供給される。昇温には熱供給装置16を用い、熱電対17および温度調節器18により石英管13内の温度が把握される。また、温度調節器18と熱供給装置16は配線19により接続されており、石英管13内が所定温度に到達すると、熱供給装置16による熱供給が停止するようになっている。
また、熱処理中にセメント系材料成形品12が助燃性ガスの風圧により移動し、石英管13の外に放出することを防止するため、石英管13内に石英ウール20aおよび石英ウール20bを設置する。コンプレッサー14から空気が全量石英管13へ導入されるようにするため、石英管13と配管15とは耐熱材料よりなる栓21で接続する。さらに、助燃性ガスの流量調節はマスフローコントローラー22により行われる。助燃性ガスに空気以外のものを使用する場合には、図3に模式的に示すように、コンプレッサー14の代わりに圧力調整器23と助燃性ガスが充填された高圧ガスボンベ24を配管15に接続すればよい。
(熱処理温度)
さらに、セメント系材料成形品12中の有機化合物は、空気中で焼成することにより燃焼除去され、多孔質化する。この時の焼成温度は500℃以上600℃以下が好ましく、510℃以上570℃以下がより好ましく、520℃以上540℃以下が最も好ましい。500℃未満では、有機化合物が十分に除去されない懸念があり、また600℃より高い温度ではセメント分の焼結により、比表面積や細孔容量が減少し、その結果、吸湿量が著しく低下するためである。
(熱処理時間)
一方、熱処理時間は15分以上60分以内が好ましく、20分以上40分以下がより好ましく、25分以上35分以下が最も好ましい。熱処理時間が15分未満の場合には有機化合物が十分に燃焼除去されない懸念や、水和水の脱水、CSH保持水の脱離が十分に進行しない懸念があり、また60分より長い時間熱処理しても有機化合物の燃焼除去や空隙形成に変化は見られず、産業上の意義が希薄になるためである。
(熱供給装置16の熱源)
セメント系材料成形品の熱処理には電気、都市ガスやLPGのガスボイラー、灯油や重油等の液体燃料ボイラーなどいずれも好ましく利用できるが、電気による熱処理が最も好ましい。これは、セメント系材料成形品の昇温が均一に制御できるためである。
(助燃性ガスの種類)
助燃性ガスは空気、酸素、オゾン、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素が好ましく、空気および酸素がより好ましく、空気が最も好ましい。空気はコンプレッサーを用いて容易に供給可能で、かつ取り扱い性も良く、低コストなためである。また、酸素は入手が比較的容易で、効率よく窯業系サイディング中の有機化合物を熱分解除去できるため空気に次いで好ましい。さらにオゾン、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素は腐食性ガスであり、熱処理装置の金属部材が腐食しやすい懸念があるものの、空気よりも効率よく窯業系サイディング中の有機化合物を熱分解除去できるというメリットがある。なお、上記の助燃性ガスはそれぞれ単独で供給するのが一般的であるが、必要に応じて2種類以上を混合して供給してもよい。例えば、コンクリートやモルタル、窯業系サイディングに含まれる有機化合物の量が多く、耐熱性が高い有機化合物が含まれていると、空気のみでは、燃焼させることができず、タールなどの燃焼物が残ってしまう。このような場合、例えば、空気と酸素のような混合ガスで助燃させて加熱し、有機化合物を完全に燃焼させることができる。
(熱処理工程における助燃性ガス送り量)
熱処理工程における助燃性ガスの送り量は、有機化合物+セメント系材料の重量および有機化合物+セメント系材料に含有される有機炭素の重量割合、および熱処理時間により決定される。なお、有機化合物+セメント系材料に含有される有機炭素の重量割合は以下の数1により定義される。aは有機化合物+セメント系材料に含有される有機炭素の重量割合(wt%)、W1は有機化合物+セメント系材料の重量(g)、W2は530℃の熱処理により有機化合物を除去した後のセメント系材料の重量(g)、C1は有機化合物+セメント系材料に含有される全炭素の重量割合(wt%)およびC2は530℃の熱処理により有機化合物を除去した後のセメント系材料に含有される全炭素の重量割合(wt%)をそれぞれ表す。

熱処理工程の助燃性ガスとして空気を用いる場合、助燃性ガスの送り量は、以下の数2を満たすことが好ましい。なお、Aは助燃性ガスの送り量(ml/min)、Wは有機化合物+セメント系材料の重量(g)を、aは有機化合物+セメント系材料に含有される有機炭素の重量割合(wt%)およびTは熱処理時間(分)をそれぞれ表す。
空気の供給量は100aW/T以上900aW/T以下が好ましく、200aW/T以上700aW/T以下がより好ましく、400aW/T以上500aW/T以下が最も好ましい。助燃性ガスの送り量が100aW/Tより少ない場合には、有機化合物が完全燃焼せず、十分に除去されない懸念がある。一方、900aW/Tより多い場合には、有機化合物の除去効果に変化が無いが、助燃性ガス自体の加熱に必要なエネルギーが大きくなり、処理コストの増大に繋がる可能性があるためである。
また、熱処理工程において、助燃性ガスとして酸素、オゾンおよび二酸化窒素のいずれかを用いる場合、助燃性ガスの送り量は、以下の数3を満たすことが好ましい。なお、数2と同様、Aは助燃性ガス送り量(ml/min)、Wは有機化合物+セメント系材料の重量(g)を、aは有機化合物+セメント系材料に含有される有機炭素の重量割合(wt%)およびTは熱処理時間(分)をそれぞれ表す。
この場合の助燃性ガスの供給量は20aW/T以上180aW/T以下が好ましく、60aW/T以上140aW/T以下がより好ましく、80aW/T以上100aW/T以下が最も好ましい。助燃性ガスの送り量が20aW/Tより少ない場合には有機物が不完全燃焼し、有機物を十分に除去できない懸念があり、一方180aW/Tより多い場合には有機化合物の除去効果に違いが見られず、産業上の意義が希薄になるためである。
さらに、熱処理工程において、助燃性ガスとして亜酸化窒素および一酸化窒素のいずれかを用いる場合、助燃性ガスの送り量は、以下の数4を満たすことが好ましい。なお、数2と同様、Aは助燃性ガスの送り量(ml/min)、Wは有機化合物+セメント系材料の重量(g)を、aは有機化合物+セメント系材料に含有される有機炭素の重量割合(wt%)およびTは熱処理時間(分)をそれぞれ表す。
この場合の助燃性ガスの供給量は40aW/T以上360aW/T以下が好ましく、80aW/T以上240aW/T以下がより好ましく、120aW/T以上150aW/T以下が最も好ましい。助燃性ガスの送り量が40aW/Tより少ない場合には有機物が不完全燃焼し、有機化合物を十分に除去できない懸念があり、一方360aW/Tより多い場合には有機化合物の除去効果に違いが見られず、産業上の意義が希薄になるためである。
以上の理論のうち、助燃性ガスとして酸素、オゾンおよび二酸化窒素のいずれかを用いる場合の説明を、かみ砕いて説明する。すなわち、サイディングの切削粉粒体の重量と含有する有機炭素分の量に応じて完全燃焼に必要な酸素量が決まる。すなわち、C+O2→CO2なので、炭素1molに対してO2が1mol(標準状態で22.4L)必要になる。つまり、サイディングの切削粉末の重量をW(g)、有機炭素顔料がa(%)の時、有機炭素の物質量はaW/100×1/12(mol)であり、同じ物質量のO2が必要ですので、体積にして22400/1200×aW(ml)≒18.7aW(ml)になる。これを熱処理時間で割るとガス供給量が18.7aW/T(ml/min)となる。これは燃焼に必要な最低限の酸素量なので、実際にはそれより過剰な20aW/Tから180aW/Tの範囲としている。なお、助燃性ガスが空気の場合、酸素は20%なので、その5倍の空気を必要とする。上述の数2を基に下記の実施例の助燃性ガスとその供給量を設定することになる。
(熱処理セメント系材料成形品の粉砕)
熱処理セメント系材料成形品については、用途に応じて粉砕して適宜調整することができる。以下に、好ましい熱処理セメント系材料成形品を得るための実施例を示し、より詳細に説明する。なお、実施例は発明を詳細に説明するためのものであり、本発明を限定的に捉えるものではない。
(有機化合物+セメント系材料)
本実施例における有機化合物+セメント系材料には、外壁裁断加工で生じた窯業系サイディング粉粒体(平均粒直径75μm、30~300μmの範囲)を使用した。また、本実施例で用いたセメント系材料について熱分解GC/MS分析により含有される有機化合物の定性分析を行ったところ、原綿およびスチレン・ブタジエンゴムが検出された。本実施例における有機化合物+セメント系材料について、熱重量示差熱分析装置(MACサイエンス製、DTM-2000)により、温度域を室温から600℃、昇温速度を10℃/minの条件で熱重量測定を行い、以下の数5により、有機化合物の重量割合を算出した。なお、Xは有機化合物の重量割合(wt%)、WR600は有機化合物+セメント系材料の熱重量測定を行った時の600℃時点における重量残存率(wt%)をそれぞれ表す。
ここで、なぜ、600℃時点における重量残存率(wt%)を示すのかを簡単に説明する。有機物は530℃近辺の温度で燃焼、熱分解し除去される。しかし、熱処理時間が短い場合、温度が低い場合には十分に除去されない可能性がある。除去程度を判断する方法の一つに熱重量測定がある。有機物が十分に除去されていれば、燃焼、熱分解温度以上の温度である600℃で加熱しても重量減少は起こらないはず。そこで、仮に重量減少が見られるようなら有機物がまだ残留していると言うことになる。このため、600℃での重量残存率を示せば、有機物除去程度の指標となるため、各実施例において、600℃での重量残存率を示した。
熱重量測定の結果、600℃時点における重量残存率は77.4wt%だったことから、有機化合物+セメント系材料に含有される有機化合物の重量割合は22.6wt%であることが示された。
(セメント系材料成形品の作製)
本実施例では、有機化合物+セメント系材料の圧縮成形として油圧式プレス機(ラボネクト製、ミニラボプレスMP-100)を用いた。有機化合物+セメント系材料0.52gを図1に示すように設置し、圧縮圧力40MPaで2分間圧縮して直径11mm、高さ3mmのペレットを得た。これを本実施例におけるセメント系材料成形品(以下、「セメント系材料ペレット」と記載する。)とした。
(熱処理セメント系材料成形品の作成)
得られたセメント系材料ペレットを図2に示す熱処理装置の石英管13内に設置した。なお、石英管13の直径は60mm、炉長は300mmとした。また、熱供給装置16には横置き型電気環状炉(光洋製、KTF030N1)を用い、助燃性ガスとして空気を180ml/minで供給しながら530℃で30分間熱処理を行った。熱処理後、室温になるまで自然冷却し、これを本実施例における熱処理セメント系材料成形品(以下、「熱処理セメント系材料ペレット」と記載する。)とした。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
得られた熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を基準として評価を行った。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本実施例で作製した熱処理セメント系材料ペレットについて前述の熱重量示差熱分析装置を用いて熱重量測定を行った。なお、温度域は室温から600℃とし、昇温速度は10℃/minとした。
(熱処理セメント系材料ペレット細孔容量の算出)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、多検体ガス吸着量測定装置(アントンパール製、Autosorb-iQ2-XR-VP)を用い、吸着ガス種を窒素として液体窒素温度における吸着等温線を測定した。また得られた吸着等温線からBJH法により細孔容量を算出した。なお、相対圧の範囲は0から1までとし、窒素吸着量は相対圧0.025毎に測定した。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、前述の多検体ガス吸着量測定装置を用い、相対湿度25%、50%および90%の時の水蒸気吸着量を測定した。相対湿度25%、50%および90%の時の水蒸気吸着量のそれぞれが5ml、10mおよび40ml以上すべてをクリヤーできれば「適」と評価を行う。
(外観評価)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて外観評価を行ったところ、その評価は5だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの重量残存率)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて熱重量測定を行った結果、600℃時点における重量残存率は99.6%だった。このことから、本実施例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物は燃焼されほとんど含まれていない。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.214mlだった。すなわち、基準とした細孔容量0.12mlを超えており、適切な状態であると判断した。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿量)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの相対湿度25%、50%および90%の時の水蒸気吸着量はそれぞれ14.3mg、21.0mgおよび79.6mgだった。このような水蒸気吸着量は、基準値の約2倍の値であり、吸湿量は多いものと判断できる。
(総合評価)
以上の結果から、有機化合物を完全に除去し、水蒸気吸湿量が十分大きいので、吸湿材料として本実施例の総合評価は適であった。
(有機化合物+セメント系材料)
本実施例における有機化合物+セメント系材料には、外壁裁断加工で生じた窯業系サイディング粉粒体(平均粒直径75μm、30~300μmの範囲)を使用した。また、本実施例で用いた有機化合物+セメント系材料について実施例1と同様の方法により、含有有機化合物の定性分析を行ったところ、パルプが検出された。また、実施例1と同様の方法により含有される有機化合物の重量割合を算出したところ、5.1wt%だった。
(セメント系材料ペレットの作製)
セメント系材料ペレットの作製は、有機化合物+セメント系材料の重量を0.81g、圧縮圧力を15MPa、圧縮時間を2.2分間とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。これを本実施例におけるセメント系材料ペレットとした。
(熱処理セメント系材料ペレットの作製)
熱処理セメント系材料ペレットの作製には図3に示した熱処理装置を用いた。また、助燃性ガスは酸素とし、助燃性ガス導入量を10ml/min、熱処理温度を550℃、熱処理時間を35分とした以外は実施例1に記載の方法と同様の方法で作製した。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
本実施例の熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を行ったところ、評価は5だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で熱重量測定を行ったところ、600℃時点における重量残存率は99.5%だった。このことから、本実施例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物はほとんど含まれないと考えられた。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.164mlだった。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で相対湿度25%、50%及び90%の時の水蒸気吸着量を測定した。その結果、相対湿度25%、50%及び90%の時の熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの水蒸気吸着量はそれぞれ13.1mg、18.2mgおよび59.4mgだった。
(総合評価)
以上の結果から、有機化合物を完全に除去し、水蒸気吸湿量は基準の約1.5倍以上と十分大きいので、吸湿材料として本実施例の総合評価は適であった。
(有機化合物+セメント系材料)
本実施例における有機化合物+セメント系材料には、外壁裁断加工で生じた窯業系サイディング粉粒体(平均粒直径75μm、30~300μmの範囲)を使用した。また、本実施例で用いた有機化合物+セメント系材料について実施例1と同様の方法により、含有有機化合物の定性分析を行ったところ、原綿およびスチレン・ブタジエンゴムが検出された。また、実施例1と同様の方法により含有さ有機化合物の重量割合を算出したところ、15.4wt%だった。
(セメント系材料ペレットの作製)
セメント系材料ペレットの作製は、有機化合物+セメント系材料の重量を1.22g、圧縮圧力を25MPa、圧縮時間を3.0分間とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。これを本実施例におけるセメント系材料ペレットとした。
(熱処理セメント系材料ペレットの作製)
熱処理セメント系材料ペレットの作製には図3に示した熱処理装置を用いた。また、助燃性ガスは亜酸化窒素とし、助燃性ガス導入量を120ml/min、熱処理温度を550℃、熱処理時間を20分とした以外は実施例1に記載の方法と同様の方法で作製した。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
本実施例の熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を行ったところ、評価は5だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で熱重量測定を行ったところ、600℃時点における重量残存率は99.6%だった。このことから、本実施例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物はほとんど含まれないと考えられた。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.207mlだった。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で相対湿度25%、50%及び90%の時の水蒸気吸着量を測定した。その結果、相対湿度25%、50%及び90%の時の熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの水蒸気吸着量はそれぞれ14.5mg、20.5mgおよび75.1mgだった。
(総合評価)
以上の結果から、有機化合物を完全に除去し、水蒸気吸湿量は基準の約1.9倍以上と十分大きいので、吸湿材料として本実施例の総合評価は適であった。
(有機化合物+セメント系材料)
本実施例における有機化合物+セメント系材料には、外壁裁断加工で生じた窯業系サイディング粉粒体(平均粒直径75μm、30~300μmの範囲)を使用した。また、本実施例で用いた有機化合物+セメント系材料について実施例1と同様の方法により、含有有機化合物の定性分析を行ったところ、レーヨンが検出された。また、実施例1と同様の方法により含有さ有機化合物の重量割合を算出したところ、25.6wt%だった。
(セメント系材料ペレットの作製)
セメント系材料ペレットの作製は、有機化合物+セメント系材料の重量を0.55g、圧縮圧力を15MPa、圧縮時間を5.0分間とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。これを本実施例におけるセメント系材料ペレットとした。
(熱処理セメント系材料ペレットの作製)
熱処理セメント系材料ペレットの作製には図3に示した熱処理装置を用いた。また、助燃性ガスは酸素とし、助燃性ガス導入量を20ml/min、熱処理温度を600℃、熱処理時間を60分とした以外は実施例1に記載の方法と同様の方法で作製した。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
本実施例の熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を行ったところ、評価は5だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で熱重量測定を行ったところ、600℃時点における重量残存率は99.7%だった。このことから、本実施例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物はほとんど含まれないと考えられた。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.157mlだった。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で相対湿度25%、50%及び90%の時の水蒸気吸着量を測定した。その結果、相対湿度25%、50%及び90%の時の熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの水蒸気吸着量はそれぞれ8.9mg、13.8mgおよび51.3mgだった。
(総合評価)
以上の結果から、有機化合物を完全に除去し、水蒸気吸湿量は基準の約1.3倍以上と十分大きいので、吸湿材料として本実施例の総合評価は適であった。
(有機化合物+セメント系材料)
本実施例における有機化合物+セメント系材料には、外壁裁断加工で生じた窯業系サイディング粉粒体(平均粒直径75μm、30~300μmの範囲)を使用した。また、本実施例で用いた有機化合物+セメント系材料について実施例1と同様の方法により、含有有機化合物の定性分析を行ったところ、木材が検出された。また、実施例1と同様の方法により含有さ有機化合物の重量割合を算出したところ、1.3wt%だった。
(セメント系材料ペレットの作製)
セメント系材料ペレットの作製は、有機化合物+セメント系材料の重量を0.27g、圧縮圧力を20MPa、圧縮時間を1分間とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。これを本実施例におけるセメント系材料ペレットとした。
(熱処理セメント系材料ペレットの作製)
熱処理セメント系材料ペレットの作製には図2に示した熱処理装置を用いた。また、助燃性ガス導入量を8ml/min、熱処理温度を570℃、熱処理時間を15分とした以外は実施例1に記載の方法と同様の方法で作製した。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
本実施例の熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を行ったところ、評価は5だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で熱重量測定を行ったところ、600℃時点における重量残存率は99.4%だった。このことから、本実施例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物はほとんど含まれていないと考えられた。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.183mlだった。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で相対湿度25%、50%及び90%の時の水蒸気吸着量を測定した。その結果、相対湿度25%、50%及び90%の時の熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの水蒸気吸着量はそれぞれ12.4mg、18.4mgおよび62.4mgだった。
(総合評価)
以上の結果から、有機化合物を完全に除去し、水蒸気吸湿量は基準の約1.6倍以上と十分大きいので、吸湿材料として本実施例の総合評価は適であった。
(有機化合物+セメント系材料)
本実施例における有機化合物+セメント系材料には、外壁裁断加工で生じた窯業系サイディング粉粒体(平均粒直径75μm、30~300μmの範囲)を使用した。また、本実施例で用いた有機化合物+セメント系材料について実施例1と同様の方法により、含有有機化合物の定性分析を行ったところ、ポリエチレンが検出された。また、実施例1と同様の方法により含有さ有機化合物の重量割合を算出したところ、50.0wt%だった。
(セメント系材料ペレットの作製)
セメント系材料ペレットの作製は、セメント系材料粉粒体の重量を2.11g、圧縮圧力を30MPa、圧縮時間を4分間とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。これを本実施例におけるセメント系材料ペレットとした。
(熱処理セメント系材料ペレットの作製)
熱処理セメント系材料ペレットの作製には図2に示した熱処理装置を用いた。また、助燃性ガス導入量を360ml/min、熱処理温度を530℃、熱処理時間を30分とした以外は実施例1に記載の方法と同様の方法で作製した。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
本実施例の熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を行ったところ、評価は5だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で熱重量測定を行ったところ、600℃時点における重量残存率は99.5%だった。このことから、本実施例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物はほとんど含まれないと考えられた。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.180mlだった。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で相対湿度25%、50%及び90%の時の水蒸気吸着量を測定した。その結果、相対湿度25%、50%及び90%の時の熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの水蒸気吸着量はそれぞれ12.0mg、17.9mgおよび60.1mgだった。
(総合評価)
以上の結果から、有機化合物を完全に除去し、水蒸気吸湿量は基準の約1.5倍以上と十分大きいので、吸湿材料として本実施例の総合評価は適であった。
(有機化合物+セメント系材料)
本実施例におけるセメント系材料には、普通ポルトランドセメント粉末(太平洋セメント製)を使用した。また、本実施例で用いたセメント系材料について実施例1と同様の方法により、含有有機化合物の定性分析を行ったところ、有機物由来のピークは検出されなかった。また、実施例1と同様の方法により含有さ有機化合物の重量割合を算出したところ、0wt%だった。このため、本実施例ではセメント系材料に対して酒石酸を混合割合が10.4wt%となるように混合し、これを有機化合物+セメント系材料とした。
(セメント系材料ペレットの作製)
セメント系材料ペレットの作製については、有機化合物+セメント系材料の重量0.53g、圧縮圧力を45MPa、圧縮時間を6分間とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。これを本実施例におけるセメント系材料ペレットとした。
(熱処理セメント系材料ペレットの作製)
熱処理セメント系材料ペレットの作製には図3に示した熱処理装置を用いた。また、助燃性ガスは酸素とし、助燃性ガス導入量を20ml/min、熱処理温度を530℃、熱処理時間を45分とした以外は実施例1に記載の方法と同様の方法で作製した。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
本実施例の熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を行ったところ、評価は5だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で熱重量測定を行ったところ、600℃時点における重量残存率は99.3%だった。このことから、本実施例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物はほとんど含まれないと考えられた。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.188mlだった。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で相対湿度25%、50%及び90%の時の水蒸気吸着量を測定した。その結果、相対湿度25%、50%及び90%の時の熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの水蒸気吸着量はそれぞれ13.3mg、19.6mgおよび65.7mgだった。
(総合評価)
以上の結果から、有機化合物を完全に除去し、水蒸気吸湿量は基準の約1.6倍以上と十分大きいので、吸湿材料として本実施例の総合評価は適であった。
(有機化合物+セメント系材料)
本実施例における有機化合物+セメント系材料には、外壁裁断加工で生じた窯業系サイディング粉粒体(平均粒直径75μm、30~300μmの範囲)を使用した。また、本実施例で用いた有機化合物+セメント系材料について実施例1と同様の方法により、含有有機化合物の定性分析を行ったところ、原綿およびスチレン・ブタジエンゴムが検出された。また、実施例1と同様の方法により含有さ有機化合物の重量割合を算出したところ、24.4wt%だった。
(セメント系材料ペレットの作製)
セメント系材料ペレットの作製は、有機化合物+セメント系材料の重量を0.52g、圧縮圧力を5MPa、圧縮時間を1分間とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。これを本実施例におけるセメント系材料ペレットとした。
(熱処理セメント系材料ペレットの作製)
熱処理セメント系材料ペレットの作製には図2に示した熱処理装置を用いた。また、助燃性ガス導入量を300ml/min、熱処理温度を500℃、熱処理時間を20分とした以外は実施例1に記載の方法と同様の方法で作製した。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
本実施例の熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を行ったところ、評価は5だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で熱重量測定を行ったところ、600℃時点における重量残存率は99.2%だった。このことから、本実施例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物はほとんど含まれないと考えられた。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.138mlだった。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で相対湿度25%、50%及び90%の時の水蒸気吸着量を測定した。その結果、相対湿度25%、50%及び90%の時の熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの水蒸気吸着量はそれぞれ6.4mg、11.5mgおよび42.1mgだった。
(総合評価)
以上の結果から、有機化合物を完全に除去し、水蒸気吸湿量は基準の約1.1倍程度と基準値を上回っているので、吸湿材料として本実施例の総合評価は適であった。
(有機化合物+セメント系材料)
本実施例における有機化合物+セメント系材料には、外壁裁断加工で生じた窯業系サイディング粉粒体(平均粒直径75μm、30~300μmの範囲)を使用した。また、本実施例で用いた有機化合物+セメント系材料について実施例1と同様の方法により、含有有機化合物の定性分析を行ったところ、木材が検出された。また、実施例1と同様の方法により含有さ有機化合物の重量割合を算出したところ、25.3wt%だった。
(セメント系材料ペレットの作製)
セメント系材料ペレットの作製は、有機化合物+セメント系材料の重量を0.53g、圧縮圧力を60MPa、圧縮時間を2分間とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。これを本実施例におけるセメント系材料ペレットとした。
(熱処理セメント系材料ペレットの作製)
熱処理セメント系材料ペレットの作製には図2に示した熱処理装置を用いた。また、助燃性ガス導入量を200ml/min、熱処理温度を520℃、熱処理時間を30分とした以外は実施例1に記載の方法と同様の方法で作製した。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
本実施例の熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を行ったところ、評価は5だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で熱重量測定を行ったところ、600℃時点における重量残存率は99.4%だった。このことから、本実施例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物はほとんど含まれないと考えられた。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.212mlだった。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で相対湿度25%、50%及び90%の時の水蒸気吸着量を測定した。その結果、相対湿度25%、50%及び90%の時の熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの水蒸気吸着量はそれぞれ14.7mg、20.6mgおよび78.2mgだった。
(総合評価)
以上の結果から、有機化合物を完全に除去し、水蒸気吸湿量は基準の約2.0倍以上と十分大きいので、吸湿材料として本実施例の総合評価は適であった。
(有機化合物+セメント系材料)
本実施例における有機化合物+セメント系材料には、外壁裁断加工で生じた窯業系サイディング粉粒体(平均粒直径75μm、30~300μmの範囲)を使用した。また、本実施例で用いた有機化合物+セメント系材料について実施例1と同様の方法により、含有有機化合物の定性分析を行ったところ、ポリ乳酸が検出された。また、実施例1と同様の方法により含有さ有機化合物の重量割合を算出したところ、21.2wt%だった。
(セメント系材料ペレットの作製)
セメント系材料ペレットの作製は、有機化合物+セメント系材料の重量を0.52g、圧縮圧力を25MPa、圧縮時間を2分間とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。これを本実施例におけるセメント系材料ペレットとした。
(熱処理セメント系材料ペレットの作製)
熱処理セメント系材料ペレットの作製には図2に示した熱処理装置を用いた。また、助燃性ガス導入量を200ml/min、熱処理温度を530℃、熱処理時間を30分とした以外は実施例1に記載の方法と同様の方法で作製した。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
本実施例の熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を行ったところ、評価は5だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で熱重量測定を行ったところ、600℃時点における重量残存率は99.7%だった。このことから、本実施例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物はほとんど含まれないと考えられた。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.204mlだった。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本実施例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で相対湿度25%、50%及び90%の時の水蒸気吸着量を測定した。その結果、相対湿度25%、50%及び90%の時の熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの水蒸気吸着量はそれぞれ14.1mg、20.3mgおよび74.2mgだった。
(総合評価)
以上の結果から、有機化合物を完全に除去し、水蒸気吸湿量は基準の約1.9倍以上と十分大きいので、吸湿材料として本実施例の総合評価は適であった。
(比較例1)
(有機化合物+セメント系材料)
本比較例における有機化合物+セメント系材料には、外壁裁断加工で生じた窯業系サイディング粉粒体(平均粒直径75μm、30~300μmの範囲)を使用した。また、本比較例で用いた有機化合物+セメント系材料について実施例1と同様の方法により、含有有機化合物の定性分析を行ったところ、原綿が検出された。また、実施例1と同様の方法により含有さ有機化合物の重量割合を算出したところ、20.5wt%だった。
(セメント系材料ペレットの作製)
セメント系材料ペレットの作製は、有機化合物+セメント系材料の重量を0.52g、圧縮圧力を80MPa、圧縮時間を1.3分間とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。これを本比較例におけるセメント系材料ペレットとした。
(熱処理セメント系材料ペレットの作製)
熱処理セメント系材料ペレットの作製には図2に示した熱処理装置を用いた。また、助燃性ガス導入量を100ml/min、熱処理温度を530℃、熱処理時間を20分とした以外は実施例1に記載の方法と同様の方法で作製した。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
本比較例の熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を行ったところ、評価は5だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で熱重量測定を行ったところ、600℃時点における重量残存率は99.4%だった。このことから、本比較例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物がほとんど残存していないといえる。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.076mlだった。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で相対湿度25%、50%及び90%の時の水蒸気吸着量を測定した。その結果、相対湿度25%、50%及び90%の時の熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの水蒸気吸着量はそれぞれ2.4mg、3.7mgおよび11.2mgだった。
(総合評価)
本比較例では、有機化合物を完全に除去し、水蒸気吸湿量は基準の約0.3倍と非常に小さい。原因としては、吸湿材料としてセメント系材料ペレット作製時の圧縮圧力を高めすぎたため、空隙量が減少したと考えられる。以上の結果から本比較例の総合評価は不適であった。
(比較例2)
(有機化合物+セメント系材料)
本比較例における有機化合物+セメント系材料には、外壁裁断加工で生じた窯業系サイディング粉粒体(平均粒直径75μm、30~300μmの範囲)を使用した。また、本比較例で用いた有機化合物+セメント系材料について実施例1と同様の方法により、含有有機化合物の定性分析を行ったところ、原綿及びスチレン・ブタジエンゴムが検出された。また、実施例1と同様の方法により含有さ有機化合物の重量割合を算出したところ、20.2wt%だった。
(セメント系材料ペレットの作製)
セメント系材料ペレットの作製は、有機化合物+セメント系材料の重量を0.31g、圧縮圧力を20MPa、圧縮時間を0.1分間とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。これを本比較例におけるセメント系材料ペレットとした。
(熱処理セメント系材料ペレットの作製)
熱処理セメント系材料ペレットの作製には図2に示した熱処理装置を用いた。また、助燃性ガス導入量を100ml/min、熱処理温度を530℃、熱処理時間を30分とした以外は実施例1に記載の方法と同様の方法で作製した。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
本比較例の熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を行ったところ、評価は5だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で熱重量測定を行ったところ、600℃時点における重量残存率は99.5%だった。このことから、本比較例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物がほとんど残存していないと判断できる。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.099mlだった。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で相対湿度25%、50%及び90%の時の水蒸気吸着量を測定した。その結果、相対湿度25%、50%及び90%の時の熱処理セメント系材料ペレット1当たりの水蒸気吸着量はそれぞれ6.0mg、8.8mgおよび29.1mgだった。
(総合評価)
本比較例では、有機化合物を完全に除去しても、水蒸気吸湿量は基準の約0.7倍以下と非常に小さい。原因としては、圧縮時間が短く、十分に圧縮できなかったため、明らかに水蒸気吸着量が少なすぎる。以上の結果から、本比較例の総合評価は不適であった。
(比較例3)
(セメント系材料)
本比較例におけるセメント系材料には、普通ポルトランドセメント粉末と水とを1:1の割合で混合し、硬化したものを使用した。また、本比較例で用いたセメント系材料について実施例1と同様の方法により、含有有機化合物の定性分析を行ったところ、有機化合物に由来するピークは検出されなかったが、実施例1と同様の方法により含有さ有機化合物の重量割合を算出したところ、やはり、0wt%だった。
(セメント系材料ペレットの作製)
セメント系材料ペレットの作製は、セメント系材料の重量を3.13g、圧縮圧力を20MPa、圧縮時間を2.5分間とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。これを本比較例におけるセメント系材料ペレットとした。
(熱処理セメント系材料ペレットの作製)
熱処理セメント系材料ペレットの作製には図2に示した熱処理装置を用いた。また、助燃性ガス導入量を100ml/min、熱処理温度を530℃、熱処理時間を30分とした以外は実施例1に記載の方法と同様の方法で作製した。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
本比較例の熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を行ったところ、評価は5だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で熱重量測定を行ったところ、600℃時点における重量残存率は99.6%だった。このことから、本比較例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物がほとんど残存していないと考えられた。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.104mlだった。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で相対湿度25%、50%及び90%の時の水蒸気吸着量を測定した。その結果、相対湿度25%、50%及び90%の時の熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの水蒸気吸着量はそれぞれ6.3mg、9.1mgおよび29.4mgだった。
(総合評価)
本比較例ではセメント系材料ペレットに有機化合物がほとんど含有されておらず、熱処理セメント系材料ペレットの空隙量が少なかったため、水蒸気吸着量が基準の0.8倍以下と少なすぎる。以上の結果から、本比較例の総合評価は不適であった。
(比較例4)
(有機化合物+セメント系材料)
本比較例におけるセメント系材料粉粒体には、普通ポルトランドセメント粉末(太平洋セメント製)を使用した。また、本比較例で用いたセメント系材料について実施例1と同様の方法により、含有有機化合物の定性分析を行ったところ、有機物由来のピークは検出されなかったが、実施例1と同様の方法により含有さ有機化合物の重量割合を算出したところ、0wt%だった。そこで、本比較例ではセメント系材料に対して酒石酸を混合割合が24.6wt%となるように混合し、これを有機化合物+セメント系材料とした。
(セメント系材料ペレットの作製)
セメント系材料ペレットの作製については、まず本比較例の有機化合物+セメント系材料の重量を0.52g、圧縮圧力を1MPa、圧縮時間を2.2分間とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。これを本比較例におけるセメント系材料ペレットとした。
(熱処理セメント系材料ペレットの作製)
熱処理セメント系材料ペレットの作製には図2に示した熱処理装置を用いた。また、助燃性ガス導入量を200ml/min、熱処理温度を530℃、熱処理時間を30分とした以外は実施例1に記載の方法と同様の方法で作製した。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
本比較例の熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を行ったところ、評価は5だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で熱重量測定を行ったところ、600℃時点における重量残存率は99.7%だった。このことから、本比較例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物がほとんど残存してないと考えられた。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.091mlだった。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で相対湿度25%、50%及び90%の時の水蒸気吸着量を測定した。その結果、相対湿度25%、50%及び90%の時の熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの水蒸気吸着量はそれぞれ5.9mg、8.8mgおよび27.2mgだった。
(総合評価)
本比較例ではセメント系材料ペレット作製時の圧縮圧力が低く、十分に圧縮されなかったために、水蒸気吸着量が基準の0.7倍以下であった。本比較例の総合評価は不適であった。
(比較例5)
(有機化合物+セメント系材料)
本比較例における有機化合物+セメント系材料には、外壁裁断加工で生じた窯業系サイディング粉粒体(平均粒直径75μm、30~300μmの範囲)を使用した。また、本比較例で用いた有機化合物+セメント系材料について実施例1と同様の方法により、含有有機化合物の定性分析を行ったところ、原綿及びスチレン・ブタジエンゴムが検出された。そこで、実施例1と同様の方法により含有さ有機化合物の重量割合を算出したところ、24.3wt%だった。
(セメント系材料ペレットの作製)
セメント系材料ペレットの作製は、有機化合物+セメント系材料の重量を0.52g、圧縮圧力を30MPa、圧縮時間を2.2分間とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。これを本比較例におけるセメント系材料ペレットとした。
(熱処理セメント系材料ペレットの作製)
熱処理セメント系材料ペレットの作製には図2に示した熱処理装置を用いた。また、助燃性ガス導入量を200ml/min、熱処理温度を200℃、熱処理時間を30分とした以外は実施例1に記載の方法と同様の方法で作製した。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
本比較例の熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を行ったところ、評価は2だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で熱重量測定を行ったところ、600℃時点における重量残存率は77.5%だった。このことから、本比較例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物が残存していると考えられた。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.093mlだった。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で相対湿度25%、50%及び90%の時の水蒸気吸着量を測定した。その結果、相対湿度25%、50%及び90%の時の熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの水蒸気吸着量はそれぞれ6.9mg、9.1mgおよび27.4mgだった。
(総合評価)
本比較例では熱処理温度が低く、十分に有機化合物を除去できず、また水蒸気吸着量が基準の0.7倍以下と少なかった。以上の結果から、本比較例の総合評価は不適であった。
(比較例6)
(有機化合物+セメント系材料)
本比較例における有機化合物+セメント系材料には、外壁裁断加工で生じた窯業系サイディング粉粒体(平均粒直径75μm、30~300μmの範囲)を使用した。また、本比較例で用いた有機化合物+セメント系材料について実施例1と同様の方法により、含有有機化合物の定性分析を行ったところ、原綿及びスチレン・ブタジエンゴムが検出された。そこで、実施例1と同様の方法により含有さ有機化合物の重量割合を算出したところ、24.5wt%だった。
(セメント系材料ペレットの作製)
セメント系材料ペレットの作製は、有機化合物+セメント系材料の重量を1.19g、圧縮圧力を40MPa、圧縮時間を2.2分間とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。これを本比較例におけるセメント系材料ペレットとした。
(熱処理セメント系材料ペレットの作製)
熱処理セメント系材料ペレットの作製には図2に示した熱処理装置を用いた。また、助燃性ガス導入量を450ml/min、熱処理温度を530℃、熱処理時間を0.2分とした以外は実施例1に記載の方法と同様の方法で作製した。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
本比較例の熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を行ったところ、評価は3だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で熱重量測定を行ったところ、600℃時点における重量残存率は82.6%だった。このことから、本比較例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物が残存していると考えられた。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.084mlだった。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で相対湿度25%、50%及び90%の時の水蒸気吸着量を測定した。その結果、相対湿度25%、50%及び90%の時の熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの水蒸気吸着量はそれぞれ6.4mg、7.2mgおよび24.5mgだった。
(総合評価)
本比較例では熱処理時間が短いために十分に有機化合物を除去できず、また水蒸気吸着量が基準の0.6倍程度と少なかった。以上の結果から、本比較例の総合評価は不適であった。
(比較例7)
(有機化合物+セメント系材料)
本比較例における有機化合物+セメント系材料には、外壁裁断加工で生じた窯業系サイディング粉粒体(平均粒直径75μm、30~300μmの範囲)を使用した。また、本比較例で用いた有機化合物+セメント系材料について実施例1と同様の方法により、含有有機化合物の定性分析を行ったところ、ポリエチレンが検出された。そこで、実施例1と同様の方法により含有さ有機化合物の重量割合を算出したところ、61.8wt%だった。
(セメント系材料ペレットの作製)
セメント系材料ペレットの作製は、有機化合物+セメント系材料の重量を0.61g、圧縮圧力を30MPa、圧縮時間を3分間とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。これを本比較例におけるセメント系材料ペレットとした。
(熱処理セメント系材料ペレットの作製)
熱処理セメント系材料ペレットの作製には図2に示した熱処理装置を用いた。また、助燃性ガス導入量を500ml/min、熱処理温度を530℃、熱処理時間を30分とした以外は実施例1に記載の方法と同様の方法で作製した。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
本比較例の熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を行ったところ、評価は4だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で熱重量測定を行ったところ、600℃時点における重量残存率は91.7%だった。このことから、本比較例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物が残存していると考えられた。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.089mlだった。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で相対湿度25%、50%及び90%の時の水蒸気吸着量を測定した。その結果、相対湿度25%、50%及び90%の時の熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの水蒸気吸着量はそれぞれ5.1mg、9.4mgおよび26.1mgだった。
(総合評価)
本比較例では有機化合物の重量割合が多く、熱処理により十分に有機化合物を除去なかったこと、また熱処理セメント系材料ペレット中のセメント分の割合が少ないために水蒸気吸着量が基準の0.7倍以下と少なかった。以上の結果から、本比較例の総合評価は不適であった。
(比較例8)
(有機化合物+セメント系材料)
本比較例における有機化合物+セメント系材料には、外壁裁断加工で生じた窯業系サイディング粉粒体(平均粒直径75μm、30~300μmの範囲)を使用した。また、本比較例で用いた有機化合物+セメント系材料について実施例1と同様の方法により、含有有機化合物の定性分析を行ったところ、木材が検出された。そこで、実施例1と同様の方法により含有さ有機化合物の重量割合を算出したところ、20.7wt%だった。
(セメント系材料ペレットの作製)
セメント系材料ペレットの作製は、有機化合物+セメント系材料の重量を0.83g、圧縮圧力を40MPa、圧縮時間を3分間とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。これを本比較例におけるセメント系材料ペレットとした。
(熱処理セメント系材料ペレットの作製)
熱処理セメント系材料ペレットの作製には図2に示した熱処理装置を用いた。また、助燃性ガス導入量を250ml/min、熱処理温度を700℃、熱処理時間を30分とした以外は実施例1に記載の方法と同様の方法で作製した。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
本比較例の熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を行ったところ、評価は5だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で熱重量測定を行ったところ、600℃時点における重量残存率は99.8%だった。このことから、本比較例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物はほとんど残存していないと考えられた。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.007mlだった。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で相対湿度25%、50%及び90%の時の水蒸気吸着量を測定した。その結果、相対湿度25%、50%及び90%の時の熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの水蒸気吸着量はそれぞれ0.5mg、0.9mgおよび2.3mgだった。
(総合評価)
本比較例では熱処理温度が高く、熱処理時にセメント系材料ペレット中のセメント分の焼結により空隙が少なくなったため、水蒸気吸着量が基準の0.06倍以下と著しく少ない。以上の結果から、本比較例の総合評価は不適であった。
(比較例9)
(有機化合物+セメント系材料)
本比較例における有機化合物+セメント系材料には、外壁裁断加工で生じた窯業系サイディング粉粒体(平均粒直径75μm、30~300μmの範囲)を使用した。また、本比較例で用いた(有機化合物+セメント系材料)について実施例1と同様の方法により、含有有機化合物の定性分析を行ったところ、ポリエチレンが検出された。そこで、実施例1と同様の方法により含有さ有機化合物の重量割合を算出したところ、0.5wt%だった。
(セメント系材料ペレットの作製)
セメント系材料ペレットの作製は、有機化合物+セメント系材料の重量を0.59g、圧縮圧力を40MPa、圧縮時間を3分間とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。これを本比較例におけるセメント系材料ペレットとした。
(熱処理セメント系材料ペレットの作製)
熱処理セメント系材料ペレットの作製には図2に示した熱処理装置を用いた。また、助燃性ガス導入量を5ml/min、熱処理温度を530℃、熱処理時間を30分とした以外は実施例1に記載の方法と同様の方法で作製した。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
本比較例の熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を行ったところ、評価は5だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で熱重量測定を行ったところ、600℃時点における重量残存率は99.6%だった。このことから、本比較例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物はほとんど残存していないと考えられた。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.079mlだった。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で相対湿度25%、50%及び90%の時の水蒸気吸着量を測定した。その結果、相対湿度25%、50%及び90%の時の熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの水蒸気吸着量はそれぞれ6.5mg、9.6mgおよび23.7mgだった。
(総合評価)
本比較例では有機化合物の含有量が少ないために空隙が少なくなり、水蒸気吸着量が基準の0.6倍以下と著しく少なかった。以上の結果から、本比較例の総合評価は不適であった。
(比較例10)
(有機化合物+セメント系材料)
本比較例における有機化合物+セメント系材料には、外壁裁断加工で生じた窯業系サイディング粉粒体(平均粒直径75μm、30~300μmの範囲)を使用した。また、本比較例で用いた有機化合物+セメント系材料について実施例1と同様の方法により、含有有機化合物の定性分析を行ったところ、原綿及びスチレン・ブタジエンゴムが検出された。そこで、実施例1と同様の方法により含有さ有機化合物の重量割合を算出したところ、22.0wt%だった。
(セメント系材料ペレットの作製)
セメント系材料ペレットの作製は、有機化合物+セメント系材料の重量を0.66g、圧縮圧力を25MPa、圧縮時間を4.2分間とした以外は実施例1と同様の方法で作製した。これを本比較例におけるセメント系材料ペレットとした。
(熱処理セメント系材料ペレットの作製)
熱処理セメント系材料ペレットの作製は、図3に示した熱処理装置を用いて不燃性ガスである窒素を流量200ml/minで導入し、熱処理温度を530℃、熱処理時間を30分とした以外は実施例1に記載の方法と同様の方法で作製した。
(熱処理セメント系材料ペレットの外観評価)
本比較例の熱処理セメント系材料ペレットおよび熱処理後の石英管13内の外観について、表1に示す5段階評価を行ったところ、評価は1だった。
(熱処理セメント系材料ペレットの熱重量測定)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で熱重量測定を行ったところ、600℃時点における重量残存率は81.7%だった。このことから、本比較例の熱処理セメント系材料ペレットに有機化合物が残存していると考えられた。
(熱処理セメント系材料ペレットの細孔容積)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線から細孔容量を算出したところ、熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの細孔容量は0.079mlだった。
(熱処理セメント系材料ペレットの吸湿性評価)
本比較例で得られた熱処理セメント系材料ペレットについて、実施例1と同様の方法で相対湿度25%、50%及び90%の時の水蒸気吸着量を測定した。その結果、相対湿度25%、50%及び90%の時の熱処理セメント系材料ペレット1ml当たりの水蒸気吸着量はそれぞれ3.6mg、5.5mgおよび19.4mgだった。
(総合評価)
本比較例では不燃性ガスである窒素を導入しながらセメント系材料ペレットの熱処理を行ったために有機化合物を十分に除去できなかったため、水蒸気吸着量が基準の0.5倍以下と少ない。以上の結果から、本比較例の総合評価は不適であった。
実施例1~10および比較例1~10で行ったセメント系材料ペレット調製条件および熱処理セメント系材料ペレット製造条件を表2に、また熱処理セメント系材料ペレットの外観評価、熱重量測定による600℃時点の重量残存率、水蒸気吸着量および総合評価を表3にまとめて示す。
以上のような本発明の実施例によれば、吸湿量の度合いを示す細孔容量は、基準の0.12(ml/ml)を越える0.138~0.214(ml/ml)の範囲であった。同時に相対湿度により変化する水蒸気吸着量からみても基準である相対湿度25%、50%および90%のそれぞれの条件においても基準を十分に満たす範囲であり、25%時6.4~14.7の範囲、50%時11.5~21.0の範囲および90%時42.1~79.6の範囲であった。また、建築物のセメント系ボードなどの吸湿材料として使用した際の吸湿速度は適切な範囲であり、収縮やひび割れ等おこすことのない目的に沿うセメント系の吸湿材料を提供できることが実証できた。
本発明によれば、建築構造物の耐久性を損なわず、不燃性であり、腐食性がなく、吸湿性が十分な吸湿材料を提供することができる。この他、建築材料としての用途だけでなく、例えばプラスチックを始めとした有機高分子材料への吸湿性フィラーとしての用途も期待できる。さらに、これまで廃棄されてきたコンクリートやモルタル、サイディングといったセメント系材料の有効利活用に寄与できるため、建築系廃棄物量の削減にもつなげることが可能である。
1 台座
2 成形型
3a 鏡面板
3b 鏡面板
4 有機化合物+セメント系材料
5 金属棒
6 レバー
7a シリンダー
7b シリンダー
8 油圧ホース
9 ラム
10 圧力計
11 フレーム
12 セメント系材料成形品
13 石英管
14 コンプレッサー
15 配管
16 熱供給装置
17 熱電対
18 温度調節器
19 配線
20a 石英ウール
20b 石英ウール
21 栓
22 マスフローコントローラー
24 圧力調整器
25 高圧ガスボンベ

Claims (3)

  1. 有機化合物が添加混合されたセメント系材料粉粒体における有機化合物の重量割合が、1wt%以上50wt%以下となるように調整する工程と、
    前記有機化合物が混合されたセメント系材料粉粒体を圧縮する圧力を5MPa以上60MPa以下とする圧縮成形する工程と、
    前記圧縮する工程の後、助燃性ガスを供給しながら500℃以上600℃以下の温度で加熱する工程と、
    を有するセメント含有吸湿材料の製造方法。
  2. 前記助燃性ガスが空気、酸素、オゾン、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素よりなる群から少なくとも1種類以上を含有する請求項1に記載のセメント含有吸湿材料の製造方法。
  3. セメント系材料粉粒体に対して有機化合物を添加調整する工程を、有機化合物が混合されたセメント系材料粉粒体を圧縮成形する工程の前に有する請求項1もしくは2に記載のセメント含有吸湿材料の製造方法。
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