JP7456752B2 - 唾液溶解性歯牙貼付シート - Google Patents

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Description

本発明は、唾液溶解性歯牙貼付シートに関する。
歯牙や歯肉等の歯牙周辺部に貼付して用いることのできる歯牙貼付シートは、審美性の付与や歯石や汚れの除去等、所望の目的に応じて種々の成分が含有されている。なかでも水溶性又は親水性の高分子は、有用性が高く、様々な歯牙貼付シートに用いられている。
例えば、特許文献1~2には、特定の層構造や形状を有する歯牙又は歯茎用貼付シートが開示されており、これらのシートを構成するために、セルロース誘導体やガム類等の水溶性高分子が用いられている。また、特許文献3には、ライナーの上で押し出し成形するための組成物として、水不溶性のポリマー、親水性ポリマーと特定のオリゴマーとの混合物、及び白化剤を包含する組成物が開示されている。
特開2001-322928号公報 特開2010-168370号公報 特表2006-516654号公報
しかしながら、上記文献に記載のシート又は組成物は、もっぱら薬剤を効果的に適用することや歯の美白化を試みるものであって、いずれも歯牙や歯牙周辺部に色を付与しようとすることには全く着目しておらず、なんらの検討もなされていない。
すなわち、本発明は、貼付した後の歯牙又は歯牙周辺部に所望の色を付与するための、唾液溶解性歯牙貼付シートに関する。
そこで本発明者は、種々検討したところ、歯牙又は歯牙周辺部に貼付する面を有し、水溶性高分子と着色剤とを特定の質量比で含有する貼付層を備え、柔軟性の指標となる引張応力20MPaでのひずみと水分率が制御された唾液溶解性の歯牙貼付シートであれば、優れた柔軟性により歯牙又は歯牙周辺部への追随性及び密着性が高く、次第に唾液に溶解しながら着色剤を効果的に残存及び転写させて、貼付した後の歯牙又は歯牙周辺部に所望の色を付与することができることを見出した。
したがって、本発明は、歯牙又は歯牙周辺部に貼付する面を有し、水溶性高分子(a)及び着色剤(b)を含有する貼付層(X)
を備え、
成分(a)の含有量と成分(b)の含有量との質量比((a)/(b))が300~40000であり、
引張応力が20MPaでのひずみが2%以上であり、かつ
水分率が5~16質量%である唾液溶解性歯牙貼付シート
を提供するものである。
本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートによれば、歯牙又は歯牙周辺部に貼付した際、優れた柔軟性を有することから歯牙又は歯牙周辺部への追随性及び密着性が高く、歯牙又は歯牙周辺部に良好に付着したまま唾液に徐々に溶解して、着色剤を有効に残存及び転写させることができる。
したがって、溶解後の歯牙又は歯牙周辺部に所望の色を効果的に付与することができ、様々な視覚的効果をもたらすことが可能となる。例えば、着色剤によりもたらされる色が青色又は緑色であれば、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートを貼付した後の歯牙又は歯牙周辺部に青色又は緑色を付与することができ、黄ばみのように色調が変化してしまった歯牙であっても効果的に白く見せることができる。また、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートは、着色剤によりもたらされる色によって外界からの識別性が高く、優れた柔軟性を有することとも相まって、歯牙又は歯牙周辺部への貼付時における操作性を高めることも可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、歯牙周辺部とは、歯肉、いわゆる歯茎を含む歯牙の周辺に位置する口腔内の器官を意味し、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートは、歯牙のみ、歯牙周辺部のみ、或いは歯牙及び歯牙周辺部の双方にわたり貼付して用いるシートである。以下、「歯牙又は歯牙周辺部」を「歯牙等」と総称し、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートを「シート」とも略称する。
また、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートを製造するために用いる原液以外、各質量については、乾燥状態(製品としての態様)での質量(乾燥質量)とする。
本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートは、歯牙等に貼付する面を有する層として、水溶性高分子(a)及び着色剤(b)を含有する貼付層(X)を備える。かかる唾液溶解性歯牙貼付シートは、貼付層(X)が有する歯牙等に貼付する面を歯牙等に直接貼付して用いるものであり、歯牙等に貼付した際、貼付層(X)が歯牙等へ良好に付着しつつ次第に唾液へと溶解する性質を有するシートである。そして、所定の条件下において特定のひずみを発現し、かつ特定の水分率を有することにより、優れた柔軟性を発揮して歯牙等への追随性及び密着性を高めることができるため、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートが溶解した後の歯牙等に、着色剤(b)によりもたらされる所望の色を有効に付与することができる。
本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートが備える貼付層(X)は、成分(a)として、水溶性高分子を含有する。これにより、歯牙等の表面における凹凸への追随性及び密着性を高めるとともに、唾液に対する良好な溶解性を発揮することができるため、歯牙等へ良好に付着して、後述する成分(b)の着色剤のシートから歯牙等への良好な転写性を保持したまま、唾液に次第に溶解することが可能となり、成分(b)の歯牙等への残存性を有効に高めることができる。
成分(a)としては、唾液に対する良好な溶解性を確保する観点、及び歯牙等への追随性及び密着性を高める優れた柔軟性を付与する観点から、20℃において飽和水溶液100質量%中の溶解量が10質量%以上の水溶性高分子であるのが好ましい。
かかる成分(a)としては、より具体的には、プルラン、デキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、酢酸デンプン等のデンプン分解物或いはデンプン誘導体;
メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;
ゼラチン、寒天、ペクチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、トラガントガム、アラビアガム、グルコマンナン、グアガム、HPグアガム、チューベロース多糖体等の天然高分子又はその誘導体から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
なかでも、成分(b)の着色剤の歯牙又は歯牙周辺部への残存性及び転写性を一層高める観点から、プルラン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グアガム、ゼラチン、タマリンドガム、ペクチン、アラビアガム、キサンタンガム、トラガントガム、ローカストビーンガム、デキストリン、デキストラン、寒天、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロースから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、プルランがより好ましい。
成分(a)の含有量は、歯牙等への追随性及び密着性と唾液への溶解性とを確保する観点、及び成分(b)の着色剤の歯牙等への残存性及び転写性を有効に高める観点から、唾液溶解性歯牙貼付シートの貼付層(X)100質量%中に、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは25質量%以上であり、さらに好ましくは45質量%以上である。また、成分(a)の含有量は、引張応力20MPaでのひずみを所定の範囲に有効に制御して、優れた柔軟性を付与する観点から、好ましくは80質量%以下であり、より好ましくは70質量%以下であり、さらに好ましくは55質量%以下である。
本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートが備える貼付層(X)は、成分(b)として、着色剤を含有する。これにより、上記成分(a)と相まって、貼付後の歯牙等に所望の色を付与することができる。加えて、所望の色が付与された貼付層(X)を介し、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートに着色剤によりもたらされる色をもたらすことができ、外界からのシートの識別性が高く、視認によってもシートの存在や位置を容易に判別することができる。そのため、優れた柔軟性を有することとも相まって、歯牙又は歯牙周辺部への貼付の際、歯牙又は歯牙周辺部での位置決めや着脱等、シート自体の操作性を高めることも可能となる。
かかる成分(b)としては、色素及び顔料から、適宜歯牙等に付与する所望の色に応じて選択すればよい。
色素とは、水や油等の媒体に対して溶解性又は分散性を示し、「染料」とも称され得る着色剤であり、具体的には、例えば、ブリリアントブルー、インジゴカルミン、ファストグリーン、フィコシアニン、テルナチン等の合成色素又は天然色素から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
顔料とは、水に不溶の着色剤であり、具体的には、例えば、赤土、黄土、緑度、孔雀石、胡粉、黒鉛等の天然鉱物顔料;紺青、亜鉛華、コバルト青、エメラルド緑、ビリジャン、チタン白等の合成無機顔料;アルカリブルー、リゾールレッド、カーミン6B、ジスアゾエロー、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、イソインドリンエロー等の有機顔料;蛍光顔料;金属粉顔料;パール顔料等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
なかでも、黄ばみ等の色調が変化してしまっている歯牙等であっても、付与された色によって、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートを使用した後の歯牙等を白くみせ、すなわちL***表色系に基づく測定方法によるL*値が有効に高められ、審美性を高める観点から、成分(b)として、L***表色系におけるb*値がマイナスの値を示す色素(b1)又は顔料(b2)を含むのが好ましい。
かかる成分(b1)としては、具体的には、例えば、ブリリアントブルー、インジゴカルミン、ファストグリーン、フィコシアニン、及びテルナチンから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
かかる成分(b2)としては、具体的には、例えば、コバルトブルー、及びコバルトグリーンから選ばれる1種又は2種が挙げられる。
なお、L***表色系におけるb*値は、分光測色計(CM-700d、コニカミノルタ社製)、又はデジタルカメラD1x(ニコン社製)と白色フラッシュ光源(コニカミノルタ社製)を用いて無反射画像を撮影し、測色を行いたい無反射画像の領域をROIで囲んだ後、さらにAdobe Photoshop(アドビシステムズ社製)を用いてROIで囲んだ領域のL***値を測定し、得られる値を意味する。
また、L***表色系におけるL*値も同様に、分光測色計(CM-700d、コニカミノルタ社製)、又はデジタルカメラD1x(ニコン社製)と白色フラッシュ光源(コニカミノルタ社製)を用いて無反射画像を撮影し、測色を行いたい無反射画像の領域をROIで囲んだ後、さらにAdobe Photoshop(アドビシステムズ社製)を用いてROIで囲んだ領域のL***値を測定し、得られる値を意味する。
成分(b)の含有量は、成分(a)とも相まって、歯牙等への成分(b)の残存性及び転写性を高める観点から、唾液溶解性歯牙貼付シートの貼付層(X)100質量%中に、好ましくは0.0009質量%以上であり、より好ましくは0.0015質量%以上であり、さらに好ましくは0.002質量%以上であり、よりさらに好ましくは0.0025質量%以上である。また、成分(b)の含有量は、優れた柔軟性を確保しつつ、歯牙等への不適切又は過剰な色の付与を回避する観点から、好ましくは0.15質量%以下であり、より好ましくは0.09質量%以下であり、さらに好ましくは0.05質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.02質量%以下である。
本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートにおいて、成分(a)の含有量と成分(b)の含有量との質量比((a)/(b))は、300~40000である。これにより、優れた柔軟性とともに、歯牙等への追随性及び密着性と唾液への溶解性とを確保しつつ、成分(b)の着色剤の歯牙等への残存性及び転写性を有効に高めることができる。
成分(a)の含有量と成分(b)の含有量との質量比((a)/(b))は、好ましくは1000~35000であり、より好ましくは1700~30000であり、さらに好ましくは2000~25000であり、よりさらに好ましくは2500~20000である。
本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートが備える貼付層(X)は、上記成分のほか、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記以外の成分として、例えば、フィチン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸及びこれらの塩、硝酸カリウム、フッ素等の薬用成分;ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン界面活性剤;香料;水酸化ナトリウム等のpH調整剤;グリセリン等の湿潤剤;サッカリンナトリウムやスクラロール等の甘味料;保存料等を含有することができる。
なお、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートの使用時において、後述するように唾液溶解性歯牙貼付シートの水分率を所定の範囲に制御することによって、優れた柔軟性を保持させ歯牙等への追随性及び密着性を確保する観点、含有する成分の唾液への溶解性又は分散性を確保する観点、及び成分(b)の着色剤の歯牙等への残存性及び転写性を有効に高める観点から、乾燥工程を経た後の貼付層(X)において適度な水分量を保持しているのが望ましい。かかる水分量は、貼付層(X)100質量%中に、好ましくは5~16質量%であり、より好ましくは6~15質量%であり、さらに好ましくは7~14質量%である。
本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートは、引張応力が20MPaでのひずみが2%以上である。これにより、表面に大小様々な凹凸が多々存在する歯牙等へ貼付するためのシートとして、優れた柔軟性を発現するため歯牙等への追随性及び密着性が優れたものとなるとともに、成分(b)の残存性及び転写性を有効に高めることができる。
本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートの、引張応力が20MPaでのひずみは、歯牙等への優れた追随性及び密着性を確保しつつ、良好な貼付性を保持する観点から、2%以上であって、好ましくは3%以上であり、より好ましくは4%以上である。
なお、ひずみとは、レオメーターにて、20MPaの引張応力に対するひずみを測定した結果に基づき得られる値を意味する。
ひずみを測定するにあたっては、測定治具としてユニバーサル伸長測定システム(UXF12/UNI)を使用し、レオメーター(AntonPaar製、MCR502)を用いてひずみの測定を行い、解析ソフトとしてRheoplus32を使用する。
具体的には、測定対象のシートを測定治具にセットし、室温環境下(約25℃)にて測定時間30秒とし、引張応力を1ポイント/1秒で線形的に制御して1~20MPaまで変化させ、ひずみを計測する。そして、回転式ドラムと固定ドラムに挟まれたシートの初期長さからの変化量を%で示し、20MPaの引張応力に対するひずみの値とする。
本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートは、水分率が5~16質量%である。このような高い水分率を有することにより、優れた柔軟性を確保することが可能になり、歯牙等への追随性及び密着性とともに、成分(b)の残存性及び転写性を有効に高めることができる。
本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートの水分率は、歯牙等への優れた追随性及び密着性を確保しつつ、良好な貼付性を保持する観点、及び成分(b)の残存性及び転写性を有効に高める観点から、5~16質量%であって、好ましくは6~15質量%であり、より好ましくは7~14質量%である。
なお、水分率とは、カールフィッシャー法を利用した水分計(例えば平沼自動水分測定装置AQV-300シリーズ)を用いた測定方法に基づき、得られる値を意味する。
本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートが備える貼付層(X)の厚みは、優れた柔軟性を確保して歯牙等への追随性及び密着性を高め、貼付時におけるシートの操作性の向上を図る観点、成分(b)の残存性及び転写性を有効に高める観点、及び着色剤(b)がもたらす色によって、シート全体の透明性が不当に損なわれるのを回避する観点から、好ましくは20~500μmであり、より好ましくは40~300μmであり、さらに好ましくは60~70μmである。
本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートは、貼付層(X)が有する歯牙又は歯牙周辺部に貼付する面とは反対側の面に、貼付層(X)よりも唾液への溶解性が低い保護層(Y)を備えることができる。これにより、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シート全体の成形性を高めることができる。加えて、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートを歯牙等に貼付した際、貼付層(X)に比べて唾液への溶解性が低い保護層(Y)が、先に唾液へと溶解する貼付層(X)を被覆・保護しつつ、着色剤(b)が歯牙等以外に転写するのを有効に防止することが可能となる。また、保護層(Y)を透して、貼付層(X)における着色剤(b)の歯牙等への残存及び転写の経時的変化を視認することも可能である。すなわち、保護層(Y)は、薬用成分(xa)の作用後に、歯ブラシによるブラッシングによって容易に除去する層、すなわち、着色剤(b)の歯牙等への残存及び転写を良好に進行させるための一時的な保護層として作用し得る。
かかる保護層(Y)は、貼付層(X)よりも唾液への溶解性を低める観点から、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートフタレート、ヒプロメロースフタル酸エステル、セラック、ポリビニルアセテート、ポリメチルメタクリレート、メタクリロイルエチルベタイン/メタクリレート共重合体、メタクリル酸共重合体、アミノアルキルメタクリレート共重合体及び寒天から選ばれる1種又は2種以上の水不溶性高分子を含有するのが好ましい。なかでも、保護層(Y)における白濁部の出現を防ぎ、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シート全体の透明性を高める観点から、エチルセルロース及びセラックから選ばれる1種又は2種が好ましく、エチルセルロースがより好ましい。
また保護層(Y)は、透明性を高める観点、及び歯ブラシによるブラッシングによって容易に除去する観点から、上記水不溶性高分子とともに、さらにプロピレングリコール及びグリセリンから選ばれる1種又は2種を含有するのが好ましい。
かかるプロピレングリコール及びグリセリンから選ばれる1種又は2種の合計含有量は、保護層(Y)の良好な成形性とブラッシングによる崩壊性をも確保する観点から、保護層(Y)100質量%中に、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは7質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上であり、よりさらに好ましくは40質量%以上であり、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以下である。
保護層(Y)は、上記成分のほか、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記以外の成分として、上記着色剤(b)を含有し、貼付層(X)と同様、所望の色を付与してもよく、また例えば、保存料、香料等を含有することもできる。
保護層(Y)の厚みは、優れた柔軟性を確保しつつ、歯牙等への残存及び転写を良好に進行させる観点、及び歯ブラシによるブラッシングによって容易に除去する観点から、好ましくは0.4~10μmであり、より好ましくは0.6~5μmであり、さらに好ましくは0.8~1.6μmである。
本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートは、上記貼付層(X)及び保護層(Y)のほか、さらに貼付層(X)と保護層(Y)の層間において形成される中間層(M)を備えることができる。これにより、例えば貼付層(X)により歯牙等に着色剤(b)を残存及び転写させつつ、続いて中間層(M)が含有する所望の成分を口腔内に放出させることが可能となり、また段階的な溶解性を付与することも容易となる。中間層(M)が含有する所望の成分としては、例えば、フィチン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸及びこれらの塩、硝酸カリウム、フッ素等の薬用成分等が挙げられる。
かかる中間層(M)の材質としては、貼付層(X)と同様の水溶性高分子(a)を用いることができる。
本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートのシート厚み(総厚み)は、引張応力20MPaでのひずみが所定の値を示し、優れた柔軟性を確保して、歯牙等への追随性及び密着性を有効に高める観点から、好ましくは20~500μmであり、より好ましくは40~300μmであり、さらに好ましくは60~70μmである。
本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートのヘーズ(曇り度)値は、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シート全体の透明性を高めて、成分(b)の残存及び転写により、歯牙等に付与された色の効果を充分に享受する観点から、好ましくは80以下であり、より好ましくは65以下であり、さらに好ましくは50以下である。
なお、ヘーズ(曇り度)値とは、ヘーズメーター(日本電色工業社製、商品名「NDH7000II」)を用いて測定される、シートの透明性の指標となる値である。本発明では、サンプル上の任意の53点の測定結果から、その平均値を算出して得られる値をヘーズ値とする。
本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートは、常法にしたがって、貼付層(X)、及び必要に応じて保護層(Y)や中間層(M)の単一層からなるシートを各々形成した後、これらを積層して製造してもよく、また基材の上に順次積層して製造してもよい。これらの層は、いずれも所定の成分を含有する原液を用いて層状にした後、乾燥工程及び圧着工程を経ることにより形成することができる。
なお、貼付層(X)が有する歯牙等に貼付する面上に、さらに剥離層(Z)を設け、剥離層(Z)と本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートとが積層されてなるシートとするのが好ましい。シートの使用時には、剥離層(Z)を剥離して貼付層(X)を露出させ、歯牙等に貼付する面を歯牙等に当接するよう貼付すればよい。
これにより、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートを製造する際には、剥離層(Z)を基材として用いることができ、貼付層(X)や保護層(Y)等を順次担持させつつ積層することが可能となる。また、シートの製造後から使用時までには、貼付層(X)の過度な乾燥や外界への曝露等による不要な溶解を防止するための保護層としても、活用することができる。
かかる剥離層(Z)の材質としては、基材としての有用性及び剥離性等の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリプロピレン(PP)が好ましい。また、剥離層(Z)における貼付層(X)と当接させる面には、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートの剥離層(Z)からの不要な脱離を阻止しつつ、使用時における、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートの剥離層(Z)からの良好な剥離性を確保する観点から、予めエンボス加工等の処理を施していてもよい。
さらに、剥離層(Z)の色としては、シートの使用時に剥離層(Z)を剥離する際、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートと剥離層(Z)とを判別しやすいよう、或いは本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートが呈する形状を視認しやすいよう、着色剤(b)がもたらす色とは異なる色を選択するのが好ましく、着色剤(b)のなかから適宜選択してもよい。
本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートを歯牙等に貼付した際、貼付した直後から、貼付層(X)が唾液に溶解するまでの時間は、好ましくは3分以上であり、より好ましくは5分以上であり、さらに好ましくは7分以上であり、好ましくは60分以下であり、より好ましくは45分以下であり、さらに好ましくは30分以下であり、さらに好ましくは15分以下である。着色剤(b)によりもたらされる色の歯牙等における保持時間は、唾液溶解性歯牙貼付シートの溶解後から、好ましくは0.5時間以上であり、より好ましくは1時間以上であり、さらに好ましくは3時間以上であり、好ましくは12時間以下であり、より好ましくは6時間以下である。
なお、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートは、歯牙等に貼付し、貼付層(X)が唾液に十分に溶解した後に、歯ブラシでブラッシングすることにより崩壊させて除去するという使用態様を適用するのが好ましい。本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートであれば、かかるブラッシング後においても、着色剤(b)を有効に残存させることができる。
本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートは、歯牙等に貼付することで、歯牙等に残存した着色剤(b)によりもたらされる色を一時的に歯牙等の表面に付与することができる。歯牙等に付与された色は、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートの除去後、口腔内において次第に薄くなりつつ周囲に同化していくため、被貼付体の歯牙等に過度な負荷をかけることなく、種々のシチュエーションやファッション等に合わせて着色した歯牙等を自由に体感することが可能である。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
[実施例1、比較例1]
表1に示す貼付層(X)が得られるよう、精製水を溶媒として用いつつ、成分(a)の水溶性高分子としてのプルラン、及び成分(b1)の着色剤としてのブリリアントブルー(青色1号)、及び薬用成分であるフィチン酸を混合して原液(X)を調製した。同様に、表1に示す保護層(Y)が得られるよう、エタノールを溶媒として用いつつ、水不溶性高分子及びプロピレングリコールを混合して原液(Y)を調製した。
次いで、厚みを勘案しつつ、得られた原液(X)を剥離層(Z)のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗工し、乾燥させて貼付層(X)を得た。
次に、貼付層(X)の上から原液(Y)を塗工し、乾燥させて、表1に記載の水分率を有する貼付層(X)63μmにエタノールが完全に揮散された保護層(Y)1.5μmが積層されてなる、シート厚みが64.5μmの唾液溶解性歯牙貼付シートを得た。
なお、対照として用いた比較例1は、成分(b1)を用いることなく製造し、評価の指標とした。
[実施例2~4、比較例2~3]
実施例1と同様にして、表2~3に示す貼付層(X)を得、保護層(Y)を積層することなく、貼付層(X)を単層で備える唾液溶解性歯牙貼付シートを得た。
《水分率、柔軟性(引張応力20MPaでのひずみ測定)及びヘーズ値の測定》
得られたシートを用い、上記記載の方法にしたがって、水分率、引張応力20MPaでのひずみ(測定環境温度:25℃、シートの初期長さ:20mm)及びヘーズ値を測定した。
結果を表1~3に示す。
《L***表色系におけるL*値の測定》
モデル歯牙として、黄色の耐水研磨歯を用い、得られた各シートを剥離層(Z)から剥離して露出させた貼付層の面を耐水研磨歯表面に貼付した。次いで大気雰囲気下において、RH100%、温度25℃にて5分間静置した後、シートを耐水研磨歯から剥離し、上記L***表色系に基づく測定方法により、剥離後の耐水研磨歯表面の色のL*値を求めた。
結果を表1~3に示す。
Figure 0007456752000001
Figure 0007456752000002
Figure 0007456752000003
表1~3の結果によれば、実施例のシートでは、ひずみ及び水分率が所定の範囲に制御されて優れた柔軟性を有することも相まって、L*値が有効に高められ、歯表面の明るさが増大して白化されていることがわかる。一方、比較例のシートでは、L*値が変化しない、或いはL*値が低下してしまうこととなり、歯表面の明るさが改善されないことがわかる。
このように、本発明の唾液溶解性歯牙貼付シートであれば、着色剤によりもたらされる色として青色を選択すれば、黄ばみのように色調が変化してしまった歯牙であっても、L***表色系に基づく測定方法によるL*値が有効に高められ明るく白く見せて審美性を高めることができる。

Claims (8)

  1. 歯牙又は歯牙周辺部に貼付する面を有し、水溶性高分子(a)及び着色剤(b)を含有する貼付層(X)
    を備え、
    成分(a)はプルランであり、かつ成分(b)はブリリアントブルー、インジゴカルミン、ファストグリーン、フィコシアニン、及びテルナチンから選択される1種又は2種以上であり、
    成分(a)の含有量と成分(b)の含有量との質量比((a)/(b))が1700~20000であり、
    引張応力が20MPaでのひずみが2%以上であり、かつ
    水分率が5~16質量%である唾液溶解性歯牙貼付シート。
  2. 成分(a)の含有量が、唾液溶解性歯牙貼付シートの貼付層(X)100質量%中に、5質量%以上80質量%以下である請求項1に記載の唾液溶解性歯牙貼付シート。
  3. 成分(b)の含有量が、唾液溶解性歯牙貼付シートの貼付層(X)100質量%中に、0.0009質量%以上0.15質量%以下である請求項1又は2に記載の唾液溶解性歯牙貼付シート。
  4. シート厚みが、20~500μmである請求項1~のいずれか1項に記載の唾液溶解性歯牙貼付シート。
  5. 貼付層(X)が有する歯牙又は歯牙周辺部に貼付する面とは反対側の面に、貼付層(X)よりも唾液への溶解性が低い保護層(Y)を備える請求項1~のいずれか1項に記載の唾液溶解性歯牙貼付シート。
  6. 保護層(Y)が、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートフタレート、ヒプロメロースフタル酸エステル、セラック、ポリビニルアセテート、ポリメチルメタクリレート、メタクリロイルエチルベタイン/メタクリレート共重合体、メタクリル酸共重合体、アミノアルキルメタクリレート共重合体及び寒天から選ばれる1種又は2種以上の水不溶性高分子を含有する請求項5に記載の唾液溶解性歯牙貼付シート。
  7. ヘーズ値が、80以下である請求項1~のいずれか1項に記載の唾液溶解性歯牙貼付シート。
  8. 唾液溶解性歯牙貼付シートを歯牙に貼付した後、歯ブラシでブラッシングすることにより崩壊させて除去するための、請求項1~7のいずれか1に記載の唾液溶解性歯牙貼付シート。
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