以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。第1実施形態の着用エアバッグ装置S1は、図1に示すように、装着者Mの腰部MWの周囲(詳細には、骨盤MPの周囲)に巻き付けるようにして、装着される構成である。実施形態では、上下,前後,左右の方向は、特に断らない限り、装着者Mに装着させた状態での装着者Mの上下,前後,左右の方向と一致するものである。
着用エアバッグ装置S1は、図1~3に示すように、エアバッグ10と、エアバッグ10に膨張用ガスを供給するガス発生器5と、装着者Mの転倒を検知するセンサ部2を備えてガス発生器5を作動させる作動制御装置1と、エアバッグ10の外周側を覆うアウタカバー25と、を備える構成とされている。着用エアバッグ装置S1では、エアバッグ10は、折り畳まれた状態でアウタカバー25内に収納されている。
作動制御装置1は、上下前後左右の3軸回りの角速度を検知可能な角速度センサと、3軸方向の加速度を検知可能な加速度センサと、を有するセンサ部2を、備えるとともに、センサ部2からの信号によって、装着者Mの通常動作と異なる転倒動作を検知すると、ガス発生器5を作動させるように、構成されている。具体的には、装着者Mが通常動作と異なった転倒動作を開始していると、作動制御装置1は、種々の閾値から判定可能な判定手段を備えていることから、その判定手段の判定に基づいて装着者Mの転倒を検出し、ガス発生器5を作動させることとなる。この作動制御装置1には、センサ部2の作動用やガス発生器5の作動用信号の出力のために、図示しない電池等からなる電源が、内蔵されている。
エアバッグ10は、可撓性を有したシート体から構成されて、内部に膨張用ガスを流入させて膨張可能に構成されるもので、実施形態の場合、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる織布から形成されている。エアバッグ10は、図4に示すように、外形形状を略同一として、装着時に装着者M側(内側)に配置される内側壁部10aと、外側に配置される外側壁部10bと、を有し、内側壁部10aと外側壁部10bとの周縁相互を、縫着(結合)させることにより、膨張完了形状を略板状とした袋状とされている。実施形態の場合、エアバッグ10は、図4に示すように、装着者Mの腰部MWの左右の側方を覆う2つの保護本体部13(13L,13R)と、保護本体部13の上端13a相互を連通する連通路部12(装着側部位)と、を備えている。すなわち、2つの保護本体部13L,13Rは、装着側部位としての連通路部12から下方に延びるように配置される構成とされている。エアバッグ10は、平らに展開した状態で、左右対称形とされている。
装着側部位としての連通路部12は、膨張完了形状を、左右方向に略沿った棒状として構成されるもので、アウタカバー25における後述する中央側部位30の領域内に配置される構成である。この連通路部12は、実施形態の場合、詳細な図示は省略するが、エアバッグ10の膨張完了時に、装着者Mの骨盤MPの後側となる位置に、配置される構成である。また、実施形態では、この連通路部12の部位に、ガス発生器5が、エアバッグ10の内部に膨張用ガスを供給可能に連結されている(図2参照)。ガス発生器5は、詳細な図示を省略するが、連通路部12の軸方向の中央付近に配置されるもので、図示しないリテーナを用いて、エアバッグ10に連結されている。ガス発生器5は、内部に圧縮ガスを封入させて構成されて、作動時に、封入状態を解除されて、エアバッグ10内にコールドガスを噴出可能な構成とされている。このガス発生器5は、上述した作動制御装置1と電気的に接続されており、装着者Mの転倒を検知した作動制御装置1からの作動信号を入力させて、作動される構成である。
各保護本体部13(13L,13R)は、連通路部12から左右の外方に延びつつ下方に延びるように、形成されている。実施形態の場合、保護本体部13は、エアバッグ10を平らに展開した状態で、上縁を、連通路部12の上縁に対して下側に位置させるように、連通路部12に対して段差を設けられて構成されている。すなわち、各保護本体部13(13L,13R)は、エアバッグ10の膨張完了時に、装着側部位としての連通路部12から下方に延びるように配置されるもので、保護対象部位としての装着者Mの大腿骨転子部TPの外側を覆う構成とされている。実施形態の場合、保護本体部13は、平らに展開した状態の外形形状を、エアバッグ10の膨張完了時に、大腿骨転子部TPの周囲を、大腿骨転子部TPから下方の転子下にかけての領域を含めて、広く覆うように、下端側にかけて僅かに狭幅とした略台形状として、構成されている(図4,9参照)。
また、実施形態のエアバッグ10では、各保護本体部13は、上端13a側における連通路部12から離れた側の端部側(装着時における各保護本体部13の前上端13c側)を、アウタカバー25に連結される構成とされている。具体的には、各保護本体部13における装着時の前上端13c側(平らに展開した状態の上縁側における両端側)には、アウタカバー25側に形成される連結部材を連結させるための連結用開口15が、形成されている(図4参照)。連結用開口15は、略円形に開口して形成されており、アウタカバー25における後述する内壁部26,外壁部27の内表面側に配設される連結部材としての一対の面状ファスナー32を、開口エリアで相互に結合可能な構成とされている(図5参照)。すなわち、実施形態のエアバッグ10では、各保護本体部13における装着時の前上端13c側が、連結部材としての面状ファスナー32と連結用開口15とを利用して、アウタカバー25における装着時の前上端側(詳細には、保護本体部収納部31と連結片部38との境界部位付近)に連結される構成である。そして、実施形態のエアバッグ10では、中央側に配置される連通路部12が、アウタカバー25の中央側部位30内で充満されるように膨張することから、各保護本体部13は、膨張完了時の上端13a側における両端側を、アウタカバー25側に保持されるような態様となる。
エアバッグ10は、実施形態の場合、各保護本体部13の領域を折り畳まれた状態でアウタカバー25内に収納される構成である。具体的には、各保護本体部13は、内側壁部10aと外側壁部10bとを重ねるように平らに展開した状態から、上下方向側の幅寸法を縮められるように折り畳まれるもので、上端13a側の領域を除いて、下縁13b側から装着者M側となる内側壁部10a側に巻くようなロール折りにより折り畳み、このロール折り部位20の内側に、上端13a側の領域を、折り返すようにして、折返部位19を配置させた折畳体18の状態で、アウタカバー25における後述する保護本体部収納部31内に、折り畳まれて収納されている(図3参照)。折返部位19は、詳細には、幅寸法を、ロール折り部位20の上下の幅寸法と略同一として、ロール折り部位20の内側を略全域にわたって覆うように、配置されている。
アウタカバー25は、折り畳まれたエアバッグ10の外周側を覆うように構成されるもので、可撓性を有したシート体、具体的には、エアバッグ10を構成する基布よりも触感の良好な可撓性を有した織布から、形成されている。アウタカバー25は、外形形状を略同一として、装着時に内側(装着者M側)に配置される内壁部26と、外側に配置される外壁部27と、を有し、内壁部26と外壁部27との外周縁相互を結合(縫着)させることにより、略袋状とされている。アウタカバー25は、実施形態の場合、図2に示すように、連通路部12を収納させる中央側部位30と、折り畳まれた各保護本体部13を収納させる2つの保護本体部収納部31(31L,31R)と、各保護本体部収納部31の上端側から延びる連結片部38(38L,38R)と、を備えている。アウタカバー25は、中央側部位30と保護本体部収納部31と連結片部38との上縁を連ならせるようにして、外形形状を、幅寸法を異ならせた略帯状とされている。このアウタカバー25も、平らに展開した状態で、左右対称形とされている。
中央側部位30は、平らに展開した状態で左右方向に略沿った帯状として、連通路部12を内部に収納可能に構成されるもので、平らに展開した状態の幅寸法を、連通路部12の幅寸法よりもわずかに大きく設定されている。
各保護本体部収納部31(31L,31R)は、折り畳まれた各保護本体部13(折畳体18)を収納可能に、実施形態の場合、平らに展開した状態で、中央側部位30よりもわずかに幅広とした帯状とされている。この保護本体部収納部31は、保護本体部13を折り畳んで形成される折畳体18を収納可能に、平らに展開した状態の上下左右の幅寸法を、折畳体18の上下左右の幅寸法よりも大きく設定されている。すなわち、保護本体部収納部31は、平らに展開した状態での左右方向側の幅寸法を、平らに展開した状態の保護本体部13の左右方向側の幅寸法よりも大きくするように、構成されている。各保護本体部収納部31の上端側における連結片部38近傍の内部には、上述したごとく、保護本体部13の上端13a側を連結させるための連結部材としての面状ファスナー32が、配設されている。面状ファスナー32は、内壁部26及び外壁部27の内表面側にそれぞれ配設される一対の鉤状側部32aとループ側部32bとから構成されるもので、実施形態の場合、外形形状を、エアバッグ10に形成される連結用開口15よりもわずかに大きな略四角形状とされている(図5参照)。この面状ファスナー32は、連結用開口15の開口エリアにおいて、鉤状側部32aとループ側部32bとを相互に結合させることにより、保護本体部13の上端13a側をアウタカバー25における保護本体部収納部31の上端側に連結させることとなる。
また、各保護本体部収納部31において、折り畳まれたエアバッグ10(折畳体18)の外側を覆うように配置される外壁部27の領域には、露出されるように形成された突出用開口34と、突出用開口34を覆うフラップ部36と、が、配設されている。
突出用開口34は、実施形態の場合、外壁部27において折畳体18の外側を覆うエリアを広く切り抜くようにして、略長方形状に開口して形成されている。実施形態の場合、突出用開口34は、長手方向側の幅寸法(装着時における腰回り方向に沿った方向側での開口幅寸法)を、折畳体18(すなわち、平らに展開した状態での保護本体部13)の長手方向側の幅寸法と略同一として、構成されている(図2参照)。また、突出用開口34は、短手方向側(上下方向側)の幅寸法を、折畳体18の短手方向側(上下方向側)の幅寸法よりも若干小さくするように構成されており、突出用開口34は、装着状態における折畳体18の下外側となる位置に、配設されている(図3,6のA参照)。
フラップ部36は、アウタカバー25と同様の可撓性を有したシート体から構成されるもので、外壁部27の内周面27a側から突出用開口34を塞ぐように配置されている。詳細には、フラップ部36は、外形形状を、突出用開口34よりも一回り大きな略長方形状として、突出用開口34を全面にわたって塞ぐように構成されている(図2,3参照)。このフラップ部36は、上端36a側を、略全長にわたって、外壁部27における突出用開口34の上縁34b側に、縫合糸を用いて縫着(結合)させ、下端36b側を、非結合状態の自由端として、構成されている。そして、エアバッグ10の膨張時には、フラップ部36は、下端36b側を突出用開口34から突出させつつ開かせるようにして、保護本体部収納部31の下端31a側に開口する突出用開口34から、膨張する保護本体部13を突出させることとなる(図6参照)。詳細には、実施形態の場合、フラップ部36は、外周縁を全周にわたって突出用開口34の周縁34aに重ね可能な大きさに設定されており、装着時における前縁,後縁,下縁を、それぞれ、突出用開口34の周縁34aの内側に重ねられた状態で、配置されることとなる。なお、フラップ部36は、上端36a側のみを外壁部27に結合される構成であるが、残りの端縁(前縁,後縁,下縁)を、折り畳まれた保護本体部13(折畳体18)と外壁部27との間で挟まれた状態で配置されることとなる。折畳体18は、図面上では、アウタカバー25との間に隙間を有するように表記されているが、実際には、アウタカバー25内に略隙間なく収納されていることから、フラップ部36は、装着状態においては、突出用開口34を開口させるように開くことを抑制される。
各保護本体部収納部31(31L,31R)の上端側から延びるように、アウタカバー25の端部25a,25b側に配設される連結片部38(38L,38R)には、装着者Mの腰部MWに巻き付けるための装着手段が、配設されている。装着手段としては、実施形態では、装着者Mの腰回りの寸法に応じて容易に微調整可能で、かつ、着脱を容易とするように、それぞれ、各連結片部38L,38Rに配置される鉤状側部39aとループ側部39bとを有して、連結片部38L,38R相互を連結可能な一対の面状ファスナー39が、用いられている。
第1実施形態の着用エアバッグ装置S1は、アウタカバー25の端部25a,25b側である連結片部38L,38R相互を、装着手段としての面状ファスナー39を利用して連結させることにより、装着者Mの腰部MW(骨盤MP)の周囲に巻き付けられるようにして、装着者Mに装着されることとなる。そして、実施形態の着用エアバッグ装置S1では、装着者Mに装着させた状態で、センサ部2が装着者Mの転倒を検知すれば、作動制御装置1からガス発生器5に作動信号が出力されて、エアバッグ10の内部に膨張用ガスが流入することとなり、エアバッグ10が、折りを解消するように展開しつつ膨張して、図1の二点鎖線及び図7~9に示すように、膨張を完了させることとなる。
そして、第1実施形態の着用エアバッグ装置S1では、エアバッグ10をアウタカバー25内に折り畳んで収納させた状態で、装着者Mに着用させる構成であることから、コンパクトにできて、快適に着用させることができる。そして、第1実施形態の着用エアバッグ装置S1では、エアバッグ10は、内部に膨張用ガスを流入させて、アウタカバー25に形成される突出用開口34から突出して保護対象部位(実施形態の場合、大腿骨転子部TP)を覆うように膨張する構成であることから、アウタカバー25内への収納状態よりも大きく膨張したエアバッグ10によって、保護対象部位としての大腿骨転子部TPを好適に安定して保護することができる。
したがって、第1実施形態の着用エアバッグ装置S1では、コンパクトな構成としても、保護対象部位を安定して保護することができる。
具体的には、第1実施形態の着用エアバッグ装置S1は、装着者Mの骨盤MP周囲に装着される構成であり、エアバッグ10は、膨張完了時の上端側となる位置であって骨盤MPの周囲に配置される装着側部位としての連通路部12と、膨張完了時に連通路部12から下方に延びるように配置されて装着者Mの左右の大腿骨転子部TPからなる保護対象部位の外側を覆う保護本体部13(13L,13R)と、を備えて、アウタカバー25内に折り畳まれて収納される保護本体部13を、アウタカバー25(保護本体部収納部31)の下端31a側の突出用開口34から下方に突出するように膨張させる構成である。そのため、着用時に、装着者Mの腰部MWの周囲で嵩張ることを抑制でき、かつ、アウタカバー25(保護本体部収納部31)の下端31a側の突出用開口34から下方に突出するように膨張する保護本体部13により、左右の大腿骨転子部TPからなる保護対象部位を的確に保護することができる。
また、第1実施形態の着用エアバッグ装置S1では、アウタカバー25が、装着時に折り畳まれたエアバッグ10(折畳体18)の外側を覆うように配置される外壁部27の領域に、露出されるように形成された突出用開口34と、外壁部27の内周面27a側から突出用開口34を塞ぐように配置されるフラップ部36と、を配設させる構成とされ、フラップ部36は、上端36a側を突出用開口34の上縁34b側に結合させ、下端36b側を被結合状態の自由端として、突出用開口34から保護本体部13を突出可能に構成されている。そのため、膨張する保護本体部13によってフラップ部36を押し開くことにより、保護本体部13を、外壁部27に予め形成されている突出用開口34から迅速に突出させることができ、また、フラップ部36によって、膨張する保護本体部13の保護対象部位(大腿骨転子部TP)から離隔するような外方への突出も、抑制することができる。その結果、保護本体部13を、迅速に保護対象部位としての大腿骨転子部TPの外側を覆うように配置させることができる。
さらに、第1実施形態の着用エアバッグ装置S1では、突出用開口34が、装着状態における腰回り方向に沿った方向側(実施形態の場合、アウタカバー25を平らに展開した状態での長手方向側)での開口幅寸法を、エアバッグ10を平らに展開した状態での保護本体部13の幅寸法と略同一として構成されていることから、突出用開口34の周縁34a(詳細には、装着時における前縁と後縁)により、膨張する保護本体部13の腰回り方向側(装着時における前後両側)が押えられるような態様となって、膨張する保護本体部13の腰回り方向側でのぶれも、抑制することができる。勿論、このような構成を考慮しなければ、突出用開口の開口幅寸法を、平らに展開した状態の保護本体部の幅寸法よりも大幅に大きくするように、構成してもよい。
さらにまた、第1実施形態の着用エアバッグ装置S1では、保護本体部13が、下縁13b側から装着者M側となる内側壁部10a側に向かって巻くようなロール折りにより、折り畳まれていることから、折りを解くように展開する際に、保護本体部13を、装着者Mに沿って展開させることができて(図10参照)、装着者Mから離隔するような浮き上がりを、一層抑制することができる。特に、第1実施形態の着用エアバッグ装置S1では、保護本体部13は、前上端13c側をアウタカバー25における保護本体部収納部31の上端側に連結させる構成とされており、また、保護本体部13の上端13a側の領域は、保護本体部13を折り畳んで形成される折畳体18において、折返部位19として、ロール折り部位20の内側を覆うように配置されている。そして、エアバッグ10の膨張初期には、この折返部位19が、連通路部12を経てまず内部に膨張用ガスを流入させて膨張することとなり、エアバッグ10の膨張初期に、この折返部位19の膨張により、ロール折り部位20が、フラップ部36側となる外側へ押し出されることとなる(図6のB参照)。このとき、折返部位19を構成している保護本体部13の上端13a側の領域は、アウタカバー25側に連結されていることから、下方へ大きく移動することなく、ロール折り部位20を安定して外側に押し出すことができ、外側へ押し出されるロール折り部位20によって、フラップ部36を円滑に押し開くことができて、かつ、ロール折り部位20を、円滑に、突出用開口34から突出させつつ、展開させることができる。
また、第2実施形態の着用エアバッグ装置S2として、図10に示すような構成のものを使用してもよい。この着用エアバッグ装置S2では、エアバッグ10は、保護本体部13の折畳形状を若干異ならせる以外は、前述のエアバッグ10と同一の構成である。また、着用エアバッグ装置S2では、アウタカバー25Aにおける保護本体部収納部31Aが、外壁部に突出用開口とフラップ部とを設けず、外壁部27Aと内壁部26Aとの下端26a,27b相互を、仮結合部位42により、結合させる構成とされている。この仮結合部位42は、保護本体部13の膨張時に、結合状態を解除可能に構成されるもので、実施形態の場合、膨張する保護本体部13により連結状態を解除可能な面状ファスナーから、構成されている。そして、第2実施形態の着用エアバッグ装置S2では、仮結合部位42(面状ファスナー)の連結状態(結合状態)の解除時に、保護本体部収納部31Aの下端31a側に、保護本体部13を突出可能な突出用開口43が、形成される構成である(図10のB,C参照)。この着用エアバッグ装置S2では、保護本体部13は、下縁13b側から装着者M側となる内側壁部10a側に向かって巻くように形成されるロール折り部位20の上側に、内側壁部10aと外側壁部10bとを重ねられた状態の上端13a側の領域を蛇腹折りして形成される蛇腹折り部位45を、配設させるような折畳体18Aの状態で、保護本体部収納部31A内に収納される構成である。
第2実施形態の着用エアバッグ装置S2では、膨張する保護本体部13により、内壁部26Aと外壁部27Aとの下端26a,27b相互の結合を解除させて形成される突出用開口43から、保護本体部13を突出させる構成であることから、膨張する保護本体部13の保護対象部位(大腿骨転子部TP)から離隔するような浮き上がりを抑制することができて、保護本体部13を、迅速に保護対象部位としての大腿骨転子部TPの外側を覆うように配置させることができる。また、アウタカバー25Aは、外壁部27Aと内壁部26Aとの下端26a,27b相互の結合状態を解除させた際に突出用開口43を形成する構成であり、換言すれば、装着状態ではアウタカバー25Aに突出用開口43は形成されていないことから、装着時におけるアウタカバー25A内への異物の混入も、的確に防止することができる。
また、第2実施形態の着用エアバッグ装置S2においても、保護本体部13を、下縁13b側から装着者M側(内側壁部10a側)に向かって巻くようなロール折りにより、折り畳んでいることから、折りを解くように展開する際に、保護本体部13を、装着者Mに沿って展開させることができて、装着者Mから離隔するような浮き上がりを、一層的確に抑制することができる。特に、第2実施形態の着用エアバッグ装置S2では、保護本体部13における上端13a側の部位が、蛇腹折り部位45として、ロール折り部位20の上側に重ねられるように配置されることから、連通路部12を経て保護本体部13内に流入する膨張用ガスが、まず、蛇腹折り部位45の折りを解消するように、この上端13a側の部位を膨張させて、ロール折り部位20を下方に押し出すこととなり(図10のB参照)、仮結合部位42の結合状態を迅速に解除させて、突出用開口43を迅速に開口させることができる。
着用エアバッグ装置S1,S2では、保護本体部13を、下縁13b側から装着者M側に向かって巻くように折り畳んでいるが、上記点を考慮しなければ、保護本体部を、下縁側から装着者から離隔した側に向かって巻く(外側壁部側に向かって巻く)ようなロール折りや、蛇腹折り等によって、折り畳むように構成してもよい。
なお、第1,第2実施形態の着用エアバッグ装置S1,S2では、エアバッグ10として、骨盤MPの周囲に配置されて装着側部位を構成する連通路部12によって連通される2つの保護本体部13を有し、各保護本体部13により、左右の保護対象部位(大腿骨転子部TP)を保護する構成のものを使用しているが、エアバッグの構成は実施形態に限定されるものではなく、左右の保護対象部位をそれぞれ保護可能に、別体のエアバッグと、各エアバッグに膨張用ガスを供給するガス発生器と、を、配設させる構成としてもよい。このような構成とする場合、エアバッグは、骨盤周囲から下方の大腿骨転子部にかけて覆うとともに、ガス発生器を上端側に配設させる構成として、エアバッグにおいて、ガス発生器を配設させている上端側のエリアが、骨盤周囲に配設される装着側部位を構成し、ガス発生器から離れた下端側の領域が、保護対象部位を保護する保護本体部を構成することとなる。
次に、第3実施形態の着用エアバッグ装置S3について説明をする。第3実施形態の着用エアバッグ装置S3も、第1,第2実施形態の着用エアバッグ装置S1,S2と同様に、装着者Mの腰部MW(骨盤MP)の周囲に巻き付けられて装着されるもので、図11に示すように、エアバッグ50と、エアバッグ50に膨張用ガスを供給するガス発生器5Bと、作動制御装置1と、エアバッグ50の外周側を覆うアウタカバー65と、を備える構成とされている。作動制御装置1は、前述の着用エアバッグ装置S1における作動制御装置1と同様の構成であることから、詳細な説明を省略する。
エアバッグ50は、前述のエアバッグ10と同様に、可撓性を有したシート体(具体的には、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる織布)から形成されるもので、外形形状を略同一として、装着時に装着者M側(内側)に配置される内側壁部50aと、外側に配置される外側壁部50bと、を有し、内側壁部50aと外側壁部50bとの周縁相互を、後述する連結部54の端部54a,54b側を除いて、縫着(結合)させることにより、膨張完了形状を略板状とした袋状とされている。エアバッグ50は、図12のAに示すように、2つの保護膨張部57(57L,57R)と、保護膨張部57の上端57a相互を連通する連通路部52と、連通路部52の略中央となる位置に配置されてガス発生器5Bを連結させるための連結部54と、を備えている。このエアバッグ50も、平らに展開した状態で、左右対称形とされている。
連通路部52は、膨張完了形状を、左右方向に略沿った棒状として構成されるもので、実施形態の場合、平らに展開した状態の上下方向側の幅寸法を、平らに展開した状態の保護膨張部57の上下方向側の幅寸法の1/2程度に、設定されている。この連通路部52も、前述のエアバッグ10における連通路部12と同様に、エアバッグ10の膨張完了時に、装着者Mの骨盤MPの後側となる位置に、配置される構成であり、詳細には、前述のエアバッグ10における連通路部12と比較すると、連通路部12よりも上下に幅広とされている。また、この連通路部52は、中央側の領域の上縁側を、ガス発生器5Bを連結するための連結部54を配置させるために、部分的に下方に凹ませるようにして、構成されている。連通路部52において、上側に連結部54を配置させている中央側部位52cは、上下方向側の幅寸法を、各保護膨張部57と連結される端側部位52a,52bの5/8程度に、設定されている。
ガス発生器5Bを連結させるための連結部54は、上述したごとく、連通路部52における中央側部位52cの上側に配置されるもので、軸方向を、連通路部52の軸方向(すなわち、左右方向)に沿わせて構成されるとともに、ガス発生器5Bを挿通可能な略筒状とされている。詳細には、実施形態の場合、連結部54は、両方の端部54a,54b側を開口させた略筒状とされるもので、軸方向の中央側に、軸直交方向の下方に延びる筒状の連通部55を配置させて、連通路部52の中央付近(中央側部位52c)と連通される構成とされている。ガス発生器5Bは、外形形状を円柱状として、前述の着用エアバッグ装置S1で使用されるガス発生器5と同様に、内部に圧縮ガスを封入させる構成とされるもので、軸方向の略中央(連結部54への挿通時に連通部55に対応した位置)の外周面に、膨張用ガスを吐出させるためのガス吐出口5aを、配設させる構成とされている。そして、ガス発生器5Bは、連結部54に挿通された状態で、ガス吐出口5aの両側となる位置(連通部55の両側となる位置)において、クランプ63,63を連結部54の外周側から嵌めることにより、連結部54に連結される構成である。ガス発生器5Bのガス吐出口5aから吐出された膨張用ガスGは、連通部55を経て連通路部52内を左右に流れ、各保護膨張部57L,57R内に流入することとなる(図12のA参照)。
各保護膨張部57(57L,57R)は、エアバッグ50を平らに展開した状態において、上縁を、連通路部52における端側部位52a,52bの上縁と略一致させるように構成されるもので、膨張完了時に、装着者Mの骨盤MPから、保護対象部位としての大腿骨転子部TPにかけての外側を覆うように、構成されている(図13のB参照)。実施形態の場合、各保護膨張部57は、平らに展開した状態の外形形状を、下端57b側にかけて僅かに狭幅とした略台形状として、エアバッグ50の膨張完了時に、大腿骨転子部TPの周囲を、上方の骨盤MPから下方の転子下にかけてを含めて、広く覆うように、構成されている。すなわち、このエアバッグ50では、保護膨張部57は、前述の着用エアバッグ装置S1のエアバッグ10の保護本体部13よりも、上下に幅広に構成されている。このエアバッグ50においても、各保護膨張部57は、前述のエアバッグ10と同様に、上端57a側における連通路部12から離れた側の端部側(装着時における各保護膨張部57の前上端57c側)を、連結用開口58と面状ファスナー71とを用いて、アウタカバー65に連結される構成とされている。
エアバッグ50は、実施形態の場合、各保護膨張部57の領域を折り畳まれた状態でアウタカバー65内に収納される構成である。具体的には、各保護膨張部57は、膨張完了時の下端57b(先端)側を内周面側に折り込んで、折込部61を形成するようにして、折り畳まれる構成である。各保護膨張部57を折り畳んで形成される折畳体60は、上下方向側の幅寸法を、平らに展開した状態の連通路部52(詳細には、連通路部52における端側部位52a,52b)の上下方向側の幅寸法を略同一に設定されている(図12のB参照)。
折り畳まれたエアバッグ50の外周側を覆うアウタカバー65は、前述の着用エアバッグ装置S1におけるアウタカバー25と同様に、可撓性を有したシート体、具体的には、エアバッグ50を構成する基布よりも触感の良好な可撓性を有した織布から、形成されている。アウタカバー65は、外形形状を略同一として、装着時に内側(装着者M側)に配置される内壁部66と、外側に配置される外壁部67と、を有し、内壁部66と外壁部67との外周縁相互を結合(縫着)させることにより、略袋状とされている。アウタカバー65は、実施形態の場合、図11に示すように、連通路部52及び連結部54を収納させる中央側部位69と、折り畳まれた各保護膨張部57(折畳体60)を収納させる2つの保護膨張部収納部70(70L,70R)と、各保護膨張部収納部70(70L,70R)の上端側から延びる連結片部74(74L,74R)と、を備えている。アウタカバー65は、中央側部位69と保護膨張部収納部70と連結片部74との上縁を連ならせるような略帯状として構成されるもので、詳細には、中央側部位69と保護膨張部収納部70の幅寸法を略同一とし、連結片部74を若干狭幅として構成されている。中央側部位69と連結片部74とは、前述のアウタカバー25における中央側部位30及び連結片部38と同様の構成とされており、連結片部74には、連結片部38と同様に、装着手段としての面状ファスナー39Bが、配設されている。
保護膨張部57を折り畳んで形成される折畳体60を収納させる保護膨張部収納部70は、前述の着用エアバッグ装置S2におけるアウタカバー25Aの保護本体部収納部31Aと同様に、外壁部67と内壁部66との下端66a,67a相互を、面状ファスナーから構成される仮結合部位72により、結合させる構成とされている(図13のA参照)。そして、この着用エアバッグ装置S3においても、保護膨張部57の膨張時に、仮結合部位72(面状ファスナー)の連結状態(結合状態)が解除されて、保護膨張部収納部70の下端70a側に、保護膨張部57を突出可能な突出用開口73が、形成される構成である(図13のB参照)。
第3実施形態の着用エアバッグ装置S3においても、装着者Mに装着させた状態で、センサ部2が装着者Mの転倒を検知すれば、作動制御装置1からガス発生器5に作動信号が出力されて、エアバッグ50の内部に膨張用ガスが流入することとなり、エアバッグ50が、折りを解消するように展開しつつ膨張して、図13のBに示すように、膨張を完了させることとなる。
そして、第3実施形態の着用エアバッグ装置S3においても、エアバッグ50をアウタカバー65内に折り畳んで収納させた状態で、装着者Mに着用させる構成であることから、コンパクトにできて、快適に着用させることができる。第3実施形態の着用エアバッグ装置S3においても、エアバッグ50は、内部に膨張用ガスを流入させて、アウタカバー65に形成される突出用開口73から突出して保護対象部位(実施形態の場合、大腿骨転子部TP)を覆うように膨張する構成であることから、アウタカバー65内への収納状態よりも大きく膨張したエアバッグ50によって、保護対象部位としての大腿骨転子部TPを好適に安定して保護することができる。
したがって、第3実施形態の着用エアバッグ装置S3においても、コンパクトな構成としても、保護対象部位を安定して保護することができる。
また、第3実施形態の着用エアバッグ装置S3では、エアバッグ50は、保護膨張部57を折り畳んだ状態で、幅寸法を略一定とした帯状となることから、エアバッグ50をコンパクトに折り畳むことができ、また、エアバッグ50の外周側を覆うアウタカバー65を、幅寸法を略一定とした帯状とすることができて、嵩張りを抑制して、違和感なく装着させることができる。さらに、第3実施形態の着用エアバッグ装置S3では、各保護膨張部57は、折り込み状態を解除するように、先端(下端57b)を下方に向かって突出させるようにして膨張することから(図13のBの二点鎖線参照)、膨張時に、装着者Mから浮き上がることも、的確に抑制することができ、膨張した保護膨張部57により、保護対象部位としての大腿骨転子部TPの外側を迅速に覆うことができる。
さらに、第3実施形態の着用エアバッグ装置S3では、ガス発生器5Bを、エアバッグ50に対して、2つのクランプ63を利用して取り付けることができることから、取付プレートや取付具等の複数の部材からなるガス発生器取付用のリテーナが不要となり、装置全体をコンパクト化することができ、また、軽量化も図ることができる。また、第3実施形態の着用エアバッグ装置S3では、ガス発生器5Bを連結させる連結部54が、エアバッグ50において保護膨張部57間を連通させる連通路部52の略中央に配置されることから、ガス発生器5Bの軸方向の略中央に形成されるガス吐出口5aから吐出される膨張用ガスGを、2つの保護膨張部57L,57Rに略均等に流入させることができて、保護膨張部57L,57Rを、時間差を生じさせることなく、略同時に膨張させることができる。
次に、第4実施形態の着用エアバッグ装置S4について説明する。第4実施形態の着用エアバッグ装置S4は、装着者Mの上半身MUに装着させるベスト型とされるもので、図14に示すように、エアバッグ100と、エアバッグ100に膨張用ガスを供給するガス発生器5Cと、作動制御装置1と、エアバッグ100の外周側を覆うアウタカバーとしての保持体90と、を備える構成とされている。作動制御装置1としては、前述の着用エアバッグ装置S1における作動制御装置1と同様の構成のものが、保持体90に、配設されている。
アウタカバーとしての保持体90は、装着者Mの上半身MUに装着可能なベストとして構成されるもので、装着者Mの上半身MUの正面を覆う左前部93及び右前部94と、装着者Mの上半身MUの背面を覆う背面部92と、を備える構成とされている。左前部93及び右前部94は、対向する内縁相互を、ファスナー等の締結具95によって、結合可能に、構成されている。保持体90は、可撓性を有したシート体(織布)から構成されるもので、装着時に内側(装着者M側)に配置される内壁部90aと、外側に配置される外壁部90bと、を有し、内壁部90aと外壁部90bとの間に、折り畳まれたエアバッグ100を収納させて、折り畳まれたエアバッグ100の外周側を覆うように、構成されている(図16参照)。保持体90は、背面部92の上端92a側と、背面部92,左前部93,右前部94の下端92b,93a,94a側と、に、エアバッグ100を突出させるための突出用開口96,97を、有する構成とされている。突出用開口96,97は、詳細な図示は省略するが、前述の着用エアバッグ装置S2,S3と同様に、仮結合手段等により、エアバッグ100の膨張前の状態では、閉塞状態とされている。
エアバッグ100は、可撓性を有したシート体(具体的には、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる織布)から形成されるもので、外形形状を略同一として、装着時に装着者M側(内側)に配置される内側壁部100aと、外側に配置される外側壁部100bと、を有し、内側壁部100aと外側壁部100bとの周縁相互を縫着(結合)させることにより、膨張完了形状を略板状とした袋状とされている。実施形態の場合、エアバッグ100は、図15に示すように、膨張完了時に装着者Mの腰部MWを保護可能に構成される下側膨張部102と、膨張完了時に装着者Mの頭部MHを保護可能に構成される上側膨張部110と、下側膨張部102と上側膨張部110とを連通させる連通路部107と、を備える構成とされている。
下側膨張部102は、保持体90における背面部92から左右の左前部93及び右前部94にかけての下端側に、折り畳まれて収納されるものであり、膨張時に、保持体90の下端側に形成される突出用開口96から下方に突出して、装着者Mの腰部MW(特に、左右の大腿骨転子部)の外側を覆うように膨張する構成とされている。下側膨張部102は、膨張完了時に、左右の大腿骨転子部TPの側方をそれぞれ覆うように膨張する左側部103,右側部104と、左側部103と右側部104との上端相互を連結する中央側部105と、を備える構成とされて、実施形態の場合、中央側部105の部位に、ガス発生器5Cが、連結されている(図14,15参照)。ガス発生器5Cは、前述の着用エアバッグ装置S1におけるガス発生器5と同様の構成であり、詳細な説明は省略する。
下側膨張部102と上側膨張部110とを連通させる連通路部107は、下側膨張部102の中央側部105と、上側膨張部110における後述する収納側領域112と、を連通させるように、保持体90の背面部92における下側の領域の内部において、上下方向に略沿って配設されている。実施形態の場合、連通路部107内には、弁体108が配設されており、この弁体108は、上側膨張部110の膨張を遅らせるように、下側膨張部102の膨張後に、開弁されて、上側膨張部110側に膨張用ガスを流す構成とされている。
上側膨張部110は、膨張完了形状を、装着者Mの頭部MHの後方から背中MBの上下の略中央にかけてを覆うような板状として、構成されるもので、膨張完了時に頭部MHの後方を覆う頭部保護領域111と、保持体90内において背中MB側に配置される収納側領域112と、を備えている。実施形態の場合、上側膨張部110は、頭部保護領域111と収納側領域112との幅寸法を略同一として、膨張完了時の外形形状を、略長方形板状として、構成されている。具体的には、上側膨張部110は、膨張した頭部保護領域111によって頭部MHの後方を左右上下に広く覆い可能な寸法に、設定されている。上側膨張部110は、内側壁部100aと外側壁部100bとを重ねるように平らに展開した状態で、膨張完了時の先端側を元部側に接近させるように、折り返された状態で、アウタカバーとしての保持体90内に収納されている。具体的には、上側膨張部110は、頭部保護領域111を、上端111aを収納側領域112の下端112aに接近させるようにして、収納側領域112の後面に位置させるように折り返された二つ折りの折畳体115の状態で、保持体90における背面部92内に収納されている(図16参照)。また、上側膨張部110の左縁110a側と右縁110b側とにおいて、頭部保護領域111と収納側領域112との境界部位には、被支持膨張部113L,113Rが、膨張完了時に、装着者Mの左右の肩MSの上側を覆うように、部分的に前方に突出して、肩MSに支持されるように、配置されている。この被支持膨張部113L,113Rは、実施形態の場合、保持体90における左前部93及び右前部94の上内縁93b,94b側の内部に、平らに展開した状態で収納されており、上側膨張部110の膨張時に、保持体90の内部で膨張して、左右の肩MSの上側を覆うように、配置されて、肩MSに支持されることとなる(図16,18参照)。
第4実施形態の着用エアバッグ装置S4は、締結具95を利用して、装着者Mの上半身MUを覆うように、装着者Mに装着されることとなる。そして、第4実施形態の着用エアバッグ装置S4では、装着者Mが図19のA,Bに示すように転倒すると、ガス発生器5Cが作動されて、ガス発生器5Cから吐出される膨張用ガスにより、まず、エアバッグ100の下側膨張部102が、保持体90から下方に突出するように膨張して、腰部MWの周囲を覆うこととなる。その後、連通路部107を経て、上側膨張部110内に膨張用ガスが流入すると、上側膨張部110が、折返状体を解消するように展開しつつ膨張して、頭部MHの後方を覆うように、膨張を完了させることとなる(図17及び19のC,D参照)。
そして、第4実施形態の着用エアバッグ装置S4においても、エアバッグ100をアウタカバーとしての保持体90内に折り畳んで収納させた状態で、装着者Mに着用させる構成であることから、コンパクトにできて、快適に着用させることができる。第4実施形態の着用エアバッグ装置S4においても、エアバッグ100は、内部に膨張用ガスを流入させて、保持体90に形成される突出用開口96,97から突出して保護対象部位(実施形態の場合、大腿骨転子部TP及び頭部MH)を覆うように膨張する構成であることから、アウタカバーとしての保持体90内への収納状態よりも大きく膨張したエアバッグ100によって、保護対象部位としての大腿骨転子部TPと頭部MHとを好適に安定して保護することができる。
したがって、第4実施形態の着用エアバッグ装置S4においても、コンパクトな構成としても、保護対象部位を安定して保護することができる。
また、第4実施形態の着用エアバッグ装置S4では、装着者Mの背中MB側に、エアバッグ100の上側膨張部110をコンパクトに収納させることができる。また、エアバッグ100における上側膨張部110は、膨張完了時には、外形形状を略板状として、頭部MHの後方から背中MBの上下の略中央にかけてを覆うように配置されることから、背中MB側に配置される収納側領域112が、装着者Mの背中MB自体に支持されるようにして、頭部保護領域111が頭部MHから離隔するように移動することを抑制でき、頭部保護領域111により、頭部MHの後方を安定して覆うことができる。
さらに、第4実施形態の着用エアバッグ装置S4では、エアバッグ100が、膨張完了時における頭部保護領域111と収納側領域112との境界部位において、装着者Mの左右の肩MSの上側を覆うように、部分的に、前方に突出して肩MSに支持される被支持膨張部113L,113Rを、有していることから、左右の被支持膨張部113L,113Rが、装着者Mの左右の肩MSにより安定して支持されて、被支持膨張部113L,113Rから上方に延びる頭部保護領域111の頭部MHに対する配置位置を、一層、安定させることができる。なお、このような点を考慮しなければ、エアバッグの上側膨張部として、被支持膨張部を備えない構成のものを使用してもよい。
次に、第5実施形態の着用エアバッグ装置S5について説明する。第5実施形態の着用エアバッグ装置S5も、前述の第4実施形態の着用エアバッグ装置S4と同様に、装着者Mの上半身MUに装着されるベスト型とされるもので、図20に示すように、エアバッグ125と、エアバッグ125に膨張用ガスを供給するガス発生器5Cと、作動制御装置1と、エアバッグ125の外周側を覆うアウタカバーとしての保持体90Dと、を備える構成とされている。この着用エアバッグ装置S5では、エアバッグ125及びアウタカバーとしての保持体90D以外の部材は、前述の着用エアバッグ装置S4と同一の構成とされているから、同一の部材には、同一の図符号の末尾に「D」を付して詳細な説明を省略する。
アウタカバーとしての保持体90Dは、エアバッグ125における後述する上側膨張部127を折り畳んで形成される折畳体130を収納させる折畳体収納部118を、備えている以外は、前述の着用エアバッグ装置S4における保持体90と同様の構成であり、同一の部材には、同一の図符号の末尾に「D」を付して詳細な説明を省略する。折畳体収納部118は、折畳体130の外周側を覆うように、構成されるものであり、具体的には、保持体90Dの背面部92D,左前部93D,右前部94Dの上端側において、装着者Mの首周りとなる位置に、配設されている。この折畳体収納部118は、折畳体130の周囲を覆う周壁119の先端119aを折畳体130の下方に入れ込むように構成されており(図21のA参照)、この先端119aを、アウタカバー90Dの外壁部90bと仮結合されている。そして、折畳体収納部118は、上側膨張部127の膨張時に、先端119a側の外壁部90bとの結合状態を解除されて、周壁119を押し上げられるように開かれ、この開き時に形成される突出用開口120から、上側膨張部127を突出させる構成である(図21のB参照)。そして、この折畳体収納部118の周壁119は、上側膨張部127の展開膨張時に、展開する上側膨張部127と装着者Mの頭部MHの間に介在されることとなり、この周壁119が、保護カバー部を、構成している。保護カバー部としての周壁119は、上側膨張部127の膨張完了時には、上側膨張部127の下半分程度の領域の内側を覆うように配置されることとなる(図22,23参照)。
エアバッグ125は、可撓性を有したシート体(具体的には、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる織布)から形成されるもので、外形形状を略同一として、装着時に装着者M側(内側)に配置される内側壁部125aと、外側に配置される外側壁部125bと、を有し、内側壁部125aと外側壁部125bとの周縁相互を縫着(結合)させることにより、膨張完了形状を略板状とした袋状とされている。エアバッグ125は、図20,22に示すように、膨張完了時に装着者Mの腰部MWを保護可能な下側膨張部102Dと、膨張完了時に装着者Mの頭部MHを保護可能な上側膨張部127と、下側膨張部102Dと上側膨張部127とを連通させる連通路部107Dと、を備える構成である。エアバッグ125において、上側膨張部127以外は、前述の着用エアバッグ装置S4におけるエアバッグ100と略同一の構成であることから、同一の部材には、同一の図符号の末尾に「D」を付して詳細な説明を省略する。
上側膨張部127は、膨張完了形状を、装着者Mの頭部MHの周囲において、頭部MHの両側方から後方にかけてを覆うような略板状として、構成されている。具体的には、上側膨張部127は、上下方向に略沿うような縦膨張部128を、複数個(実施形態の場合、7個)並設させるようにして、構成されている(図22,24参照)。各縦膨張部128は、膨張完了時における上側膨張部127の下端側を除いて、上下の略全域にわたって相互に区画されるように構成されている。実施形態のエアバッグ125では、上側膨張部127が、複数の縦膨張部128を並設させるように構成されていることから、膨張完了時に、頭部MHの周方向に沿って湾曲されるようにして、頭部MHの周囲を、左右の側方から後方にかけてを安定して広く覆うこととなる(図24参照)。この上側膨張部127は、内側壁部125aと外側壁部125bとを重ねるように平らに展開した状態で、上縁127a側から、装着者Mから離隔した側となる外側壁部125b側に巻くようなロール折りにより折り畳まれた折畳体130の状態で、保持体90における装着者Mの首MNの周囲に配置される折畳体収納部118内に、収納されている(図21のA参照)。
第5実施形態の着用エアバッグ装置S5においても、エアバッグ125をアウタカバーとしての保持体90D内に折り畳んで収納させた状態で、装着者Mに着用させる構成であることから、コンパクトにできて、快適に着用させることができる。第5実施形態の着用エアバッグ装置S5においても、エアバッグ125は、内部に膨張用ガスを流入させて、保持体90Dに形成される突出用開口から突出して保護対象部位(実施形態の場合、大腿骨転子部TP及び頭部MH)を覆うように膨張する構成であることから、アウタカバーとしての保持体90D内への収納状態よりも大きく膨張したエアバッグ125によって、保護対象部位としての大腿骨転子部TPと頭部MHとを好適に安定して保護することができる。
したがって、第5実施形態の着用エアバッグ装置S5においても、コンパクトな構成としても、保護対象部位を安定して保護することができる。
また、第5実施形態の着用エアバッグ装置S5では、エアバッグ125において、膨張完了時に頭部MHの両側方から後方にかけてを覆う上側膨張部127を、首MNの周囲に折り畳んで収納させていることから、装着者Mの首MNの周囲に、膨張完了時に頭部MHの周囲を両側方から後方にかけて広く覆うようなエアバッグ125(上側膨張部127)を、コンパクトに収納させることができる。また、エアバッグ125の上側膨張部127は、膨張完了時の上縁127a側から、装着者Mから離隔した側(外側壁部125b側)に向かって巻くようなロール折りにより折り畳まれていることから、折りを解消するように展開する際に、図21のBに示すように、一旦頭部MHから離れる方向(上外方)に向かって突出しつつ展開するような態様となり、頭部MH側に接近することを抑制されて、頭部MH(具体的には装着者Mの顔面)との接触を抑制されつつ、膨張させることができる。
さらにまた、第5実施形態の着用エアバッグ装置S5では、アウタカバーとしての保持体90Dが、突出用開口120の周縁部位に、展開するエアバッグ125(上側膨張部127)と装着者Mの頭部MHとの間に介在される保護カバー部としての折畳体収納部118の周壁119を、備えていることから、折畳体収納部118の周壁119を介在させることにより、展開する上側膨張部127が装着者Mの頭部MHと接触(摺接)することを的確に抑制できる。勿論、このような点を考慮しなければ、アウタカバーとして、保護カバー部を備えない構成のものを使用してもよい。また、実施形態では、折畳体収納部118の周壁119が、保護カバー部を構成しているが、保護カバー部は、折畳体収納部と別体として、折り畳まれた上側膨張部とともに、折畳体収納部内に収納させる構成としてもよい。
実施形態の着用エアバッグ装置S1,S2,S3,S4,S5では、エアバッグ10,50,100,125によって、装着者Mの大腿骨TBの付け根付近(大腿骨転子部TP)を安定して保護することができることから、装着者Mが、転倒によって、治療の長引く大腿骨TBを骨折することを、抑制することができ、高齢者に好適に使用することができる。