JP7454897B1 - 杭基礎構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 大地震を想定し、横揺れのみならず縦揺れについても構築物との共振を抑えて構築物の被害を防止することが可能で低コストの実用的な杭基礎構造を提供する。【解決手段】 地中に埋設されて構築物9を支える杭1と構築物9との間に設けられた縁切り層3は、杭1と構築物9とを非連結にすることで大地震発生時の水平方向の剪断力が構築物9に伝わらないようにする。縁切り層3は、複数のブロック材4を水平方向に互いに非連結で敷き詰めて成る層を二層以上とした層であり、下の層のブロック材4と上の層のブロック材4とは篏合部分の平均の隙間が3mm以上である嵌め合いにより連結されていて、嵌め合いは上の層のブロック材4が下の層のブロック材4から浮いて離れるのを規制しない。【選択図】 図1

Description

この出願の発明は、各種構築物の基礎構造に関する発明であり、特に杭を採用した基礎構造に関する発明である。
ビルや橋梁のような大規模な構築物を構築する場合、洪積層のような硬い層の杭(支持杭)を打ち込み、構築物の沈下や傾斜(不同沈下)を防止する。支持層に到達させる支持杭の他、地盤の土壌との摩擦により沈下防止効果を得る摩擦杭や、現場の土壌とコンクリートを混合して流し込んで固める柱状改良杭なども知られている。
このような杭による構築物の基礎構造については、昭和39年に発生した新潟地震以降、基礎構造は支持杭でなければならないという傾向が強くなり、中規模の構築物についても、支持層に到達する支持杭が採用されることが多くなってきている。
特開2021-188379号公報 特開2021-147883号公報 特開平09-053248号公報 特開2012-140823号公報
https://www.kensetsu-plaza.com/kiji/post/34755(「熊本城の復興~歴史的遺産の将来への継承」) 「建築基礎構造設計指針」(2001年、社団法人日本建築学会発行) 「実務から見た基礎構造設計(改訂版)」(2006年,学芸出版社発行)
しかしながら、近年発生した幾つかの大震災においては、支持杭の欠点が顕著になってきている。例えば、2016年に発生した熊本地震では、熊本城の本丸が大きく損傷を受けて瓦が飛び散り、石垣も崩れる甚大な被害が発生した(非特許文献1)。この原因は、昭和35年の本丸再建時に支持杭方式を採用したことによる。昭和35年の再建時、大天守や小天守において、長さ47メートルもの深礎杭が合計12本、洪積支持層に打ち込まれている。深礎杭の杭頭は各天守の基礎に固定され、洪積支持層と各天守とが各深礎杭により連結された構造となっていた。このため、熊本地震発生時、地震の大きなエネルギーが各深礎杭を介して大天守や小天守にそのまま伝わり、大きく揺さぶられる結果、倒壊や瓦の飛び散り等の被害が出たのである。
他方、京都・奈良を始めとして、日本には古来からの多くの構築物があり、それらは幾多の大地震を経てもなお今、創建当時の姿を残している。この理由は、いわゆる礎石方式の基礎構造を採用しているからである。礎石方式とは、地盤中に杭を打ち込んで杭に構築物を固定する方式ではなく、礎石と呼ばれる石(上面が平らで頑丈な石)を地盤に嵌め込み、その上に柱を非連結で載せた方式の構造である。
発明者が実際に見分したところでも、2023年6月に発生した石川県珠州市の地震(震度6強)により須受八幡宮(珠洲市正院町正院23-25)では狛犬や一部の鳥居が倒れる等の被害が出たが、礎石方式を採用していた鳥居は倒壊を免れていた。倒壊した鳥居は、柱と礎石とが連結されていたものであった。熊本地震による熊本城の被害においても、礎石方式を採用していた櫓等は、被害が出なかったのである。
多くの歴史的構築物が礎石方式を採用しているために大地震の被害を免れてきたという背景には、固い地盤を選んで構築されているという点や、木造建築物であるために現代のコンクリート構築物に比べて格段に軽量であるという点がある。固い地盤の上に軽量な構築物を構築するため、杭を打つ必要がなく、地震のエネルギーを構築物に伝えない観点から礎石により単に荷重を受けるのみとする基礎構造が採用されてきたのである。
RC構造に代表される現代の構築物は塔状化が進んでおり、古来の木造建築に比べて地盤に係る重量負荷が格段に大きい。この点、高層ビル等において特に顕著である。加えて、都市化が進んだ現代では、沖積層のような比較的軟弱な地盤上に構築をせざるを得ない場合が多い。このため、深層の固い地盤に到達する支持杭を打ち込み、支持杭で支えて沈下を防止する構造を採用せざるを得ない。
それでも、最近では、上記のように支持杭が地震の震動を構築物に伝える役目を果たすという欠点が認識されるに至り、支持杭一辺倒の傾向が見直される機運が生じている。例えば、2001年改定版の「建築基礎構造設計指針」(非特許文献2)では、「支持杭に頼らない基礎」という記載がされるに至っている(59頁)。また、上野嘉久氏が書かれた「実務から見た基礎構造設計(改訂版)」(非特許文献3)においても、支持杭に頼り過ぎるのは危険である旨の指摘がされている(59~60頁)。
しかしながら、現実には、震度4クラス程度の地震を想定した支持杭メインの耐震基礎構造でも十分に建築確認が得られてしまう現状があり、震度6クラスを超える大地震を考慮して支持杭一辺倒の考え方を根本的に見直すには至っていない。2019年版の「基礎構造設計指針」(日本建築学会)では、震度7クラスの地震を考慮した「二次設計」の指針が示され、その課題に摘示されてはいるが、コスト等も踏まえて採用可能な現実的な大地震対応の杭基礎構造は未だに提案されていない。
震度7クラスの大地震では、垂直方向の震動が1Gを超え、いわゆる重力の逆転現象(突き上げ)が生じる。震動は、3次元的なうねりとなって構築物に伝わる。そして、構築物との共振によって激震となり、特に強いピークを持つ破壊波(キラーパルス)が生じる。キラーパルスは、構築物の脆弱な部分を破壊するほか、構築物と杭基礎との連結部分を破壊したり、杭自体を破壊したりしてしまうこともある。実際、熊本地震では、震度7クラスの地震が2回も続いたため、キラーパルスにより免震装置が破壊されてしまった。このため、免震装置自体にさらに別のダンパーの免震装置を設けるといった解決方法が模索されるに至っている。ただ、コスト面の問題に加え、震度7クラスの強い衝撃に対してダンパーのような免震装置が果たして機能するのかという懸念も存在している。
大地震を想定した杭基礎構造において従来欠けている視点は、垂直方向の震動(縦揺れ)をどうやって軽減するかである。ゴム免震装置やダンパー免震装置は、水平方向の揺れを軽減するのみであり、垂直方向の揺れを軽減するのには殆ど機能していない。3次元的なうねりとなって構築物に伝わる大地震発生時の震動は、杭を介して地盤と構築物が連結されていると、縦方向にも共振して甚大な被害を発生させ得る。
尚、公開された特許文献について述べると、特許文献1~3では、杭頭を基礎に対して非連結にして滑動可能とした構造が開示されている。ただ、単に杭頭を滑動可能としただけでは、横にある構築物に杭頭が衝突し、衝撃により破損する恐れがある(熊本地震で免震装置が破壊されたのと同様)。杭頭を保護する緩衝材を介在させる提案もされているが、いなし効果はなく、ダンパーと同様に地震の衝撃をそのまま受け止めてしまうため、震度7クラスの大地震については効果に疑問が持たれる。
本願の発明は 上記のような従来技術の状況を考慮して為されたものであり、震度7クラスの大地震を想定した杭基礎構造であって、地震の震動を構築物に伝えてしまうのが抑制され、横揺れのみならず縦揺れについても構築物との共振を抑えて構築物の被害を防止することが可能であり、さらに材料コストや施工コストの点でも安価に達成できる極めて実用的な杭基礎構造を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、この明細書において、大地震を想定した杭基礎構造の発明が開示される。開示された発明に係る杭基礎構造は、地中に埋設されて構築物を支える杭と、杭と構築物との間に設けられた縁切り層とを備えている。
縁切り層は、杭と構築物とを非連結にすることで大地震発生時の水平方向の剪断力が構築物に伝わらないようにする層である。
また、縁切り層は、複数のブロック材(但し、粒状材料を袋に収容したものを除く。)を水平方向に互いに非連結で敷き詰めて成る層を二層以上とした層である。
下の層のブロック材(但し、粒状材料を袋に収容したものを除く。)と上の層のブロック材(但し、粒状材料を袋に収容したものを除く。)とは相互に連結されていないか、又は篏合部分の平均の隙間が3mm以上である嵌め合いにより連結されていて当該嵌め合いは上の層のブロック材(但し、粒状材料を袋に収容したものを除く。)が下の層のブロック材(但し、粒状材料を袋に収容したものを除く。)から浮いて離れるのを規制しない構造となっている。
また、上記課題を解決するため、開示された杭基礎構造において、ブロック材は、平面視が方形、円形又は楕円形の主板部と、主板部の周縁に延設され、主板部に対して垂直な端板部と、主板部の端板部が設けられた側の面に形成されたリブとから成るという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、開示された杭基礎構造において、ブロック材は、樹脂製であり得る。
また、上記課題を解決するため、開示された杭基礎構造において、ブロック材は、廃プラスチックリサイクル材料で形成され得る。
また、上記課題を解決するため、開示された杭基礎構造は、杭が複数設けられており、各杭の杭頭を連結した杭フーチングが設けられており、縁切り層は杭フーチングの上側に設けられていて杭フーチングに対して滑動可能となっているという構成を持ち得る。
以下に説明する通り、開示された発明に係る杭基礎構造によれば、杭によって沈下防止を達成しつつも震度7クラスの大地震における激しい震動を構築物に対して効果的に遮断する。このため、構築物の被害が防止される。この際、縁切り層は、各杭と構築物とを非固定とするのに加え、水平方向に相互に非連結として敷設した複数のブロック材を積層した構造が採用されているので、いなし効果によって水平剪断力が効果的に減衰される。このため、キラーパルスのような特に激しい瞬間的な震動が起きた場合でも、構築物の激しい揺れや破壊が防止される。その上、縁切り層は、上層のブロック材が下層のブロック材から離間するのを許容する構造であるため、垂直方向に対してもいなし効果が発揮され、大地震特有の三次元的な震動(突き上げを伴う揺れ)にも効果的に対応できる。
また、各ブロック材が樹脂製である構成によれば、ブロック材に適度な弾性を持たせることでブロック材自体に免震効果を発揮させることができる。これにより、上記効果がさらに高くできる。
この際、各ブロック材が廃プラスチックリサイクル材料で形成されていると、安価なコストで実現でき、リサイクルの観点からも好適となる。
実施形態に係る杭基礎構造の断面概略図である。 図1に示す杭基礎構造の縁切り層に採用されたブロック材を示した断面概略図である。 図1に示す杭基礎構造の縁切り層に採用されたブロック材を示した斜視概略図である。 図1に示す杭基礎構造の縁切り層に採用されたブロック材を示した斜視概略図である。 各嵌合孔及び各嵌合突起の形成位置について示した平面概略図である。 各嵌合孔及び各嵌合突起の形成位置について示した平面概略図である。 ブロック材の積層の際の嵌め合わせについて示した斜視概略図である。 ブロック材の積層の際の嵌め合わせについて示した斜視概略図である。 ブロック材の積層の際の嵌め合わせについて示した断面概略図である。 ブロック材を水平方向に敷き詰めた状態の斜視概略図である。 従来の杭基礎構造と実施形態の杭基礎構造とを比較した地震対策効果の図である。 実施形態の杭基礎構造におけるいなし効果について示した平面概略図である。 実施形態の杭基礎構造におけるいなし効果について示した正面概略図である。 平面視が円形のブロック材を並べて縁切り層を構成する際の好適な構成について示した平面概略図である。 他の免震装置を併用した杭基礎構造の実施形態を示した正面概略図である。 杭フーチングに関する他の実施形態について示した正面概略図である。
次に、この出願の発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。図1は、実施形態に係る杭基礎構造の断面概略図であり、垂直な断面構造を概略的に示したものとなっている。
図1に示すように、実施形態の杭基礎構造は、杭を採用した基礎構造であり、地中に埋設されて構築物9を支える杭1を備えている。杭1としては、支持層に到達する深さで打ち込まれた杭(支持杭)であっても良く、支持層には到達していないが地盤との摩擦力(周面摩擦力)によって支える摩擦杭であっても良い。さらには、地盤の土壌とセメントを混合して流し込んで柱状とした柱状改良杭であっても良い。杭1の本数や間隔は、杭1の種類や構築物9の荷重、地盤の強度等に応じて決定される。
この実施形態では、各杭1の杭頭11を水平方向に連結したフーチング(以下、杭フーチングという。)2を備えている。杭フーチング2は、配筋されたコンクリートの層である。
そして、実施形態の杭基礎構造は、杭1と構築物9との間に設けられた縁切り層3を備えている。縁切り層3は、実施形態の杭基礎構造を大きく特徴づけている。縁切り層3は、構築物9の荷重を各杭1に伝えて各杭1によって構築物9を支持しつつも地震発生時の水平方向の剪断力が構築物9に伝わらないように縁切りする層である。
縁切り層3は、複数のブロック材4を水平方向に互いに非連結で敷き詰めて成る層を二層以上とした層となっている。図2~図4は、図1に示す杭基礎構造の縁切り層3に採用されたブロック材4を示した概略図であり、図2は、垂直な断面で見た概略図(断面概略図)である。図3及び図4は、斜視概略図である。
図3及び図4に示すように、ブロック材4は、方形のプレート状の部材である。図3及び図4では長方形であるが、正方形であっても良い。この実施形態では、ブロック材4は樹脂製であり、例えば高密度ポリエチレンとポリプロピレンの混合材で形成されている。混合比は、重量比でポリプロピレン30~50%(高密度ポリプロピレン70~50%)程度である。高密度ポリエチレンは、樹脂の中でも比較的強度が高く、構造材として好適である。反面、柔軟性(弾性)に欠けるため、高密度ポリエチレンのみで樹脂ブロックを形成してしまうと、振動が伝わり易くなってしまう。この点を考慮し、ポリプロピレンを混合し、柔軟性を高めている。このようなブロック材4は、樹脂材料として廃プラスチック材料で形成されている。
図2~図4に示すように、ブロック材4は、主板部41と、主板部41の端から垂直に延びる端板部42とを有している。端板部42の高さは、ブロック材4の全体の高さ(厚さ)に相当している。以下、端板部42が延びる側を裏側、これとは反対側を裏側とする。図3は表側を上にした状態の斜視概略図であり、図4は裏側を上にした状態の斜視概略図である。また、図2は、表側を上にした状態の断面概略図であり、図3におけるA-Aでの断面概略図である。
図3に示すように、主板部41には、小さな開口410が多数設けられている。この例では、開口410は円形である。開口410は、ブロック材4全体の重量を軽くする目的と、水平方向(板面内の方向)の力に対して適度な弾性を持たせる目的で設けられている。開口410の数が多くなったり、1個の開口410の面積が大きくなったりすると、あまりにも弾性が大きくなってしまい、水平方向の力に対する耐力が低下するので注意が必要である。主板部41の面積に対する比率でいうと、開口410の全面積の比率(開口率)は、10~30%とすることが好ましい。
図4に示すように、主板部41の裏側には多数のリブ411が設けられている。リブ411は、方形の升目状であり、主板部41の方形の各辺の方向に延びている。リブ411の高さは端板部42の高さとほぼ等しく、リブ411の下端は端板部42の下端とほぼ面一となっている。端板部42及びリブ411を有しているため、軽量化しつつも、ブロック材4の厚さ方向の剛性は十分なものとなっている。十分な剛性とは、構築物9の荷重を支えるのに十分であるという意味である。
また、図4に示すように、主板部41から裏側に延びるようにして嵌合突起43が形成されている。この嵌合突起43が嵌め込まれる部位として、主板部41の表側の面と裏側の面には、それぞれ嵌合孔44,45が形成されている。
図5及び図6は各嵌合孔44,45及び各嵌合突起43の形成位置について示した平面概略図である。図5は主板部41の裏側の面を概略図に示しており、図6は主板部41の表側の面を示している。
図5において、説明のための補助線として、主板部41の辺の中央において当該辺に垂直に交差する線(以下、中央垂線という。)を一点鎖線で示す。この実施形態では、嵌合突起43は四つ設けられている。四つの嵌合突起43の形成位置は、主板部41の中心に対して中心対称の位置となっている。したがって、各嵌合突起43の形成位置と中心とを結んだ線は、中心垂線に対して同じ角度(反時計回りの角度)θを成している。
嵌合突起43が嵌め込まれる嵌合孔44,45は、この実施形態では、表側と裏側に設けられている。図3及び図6に示すように、表側には四つの嵌合孔44が設けられている。以下、主板部41の表側の面に設けられた嵌合孔44を表側嵌合孔と呼ぶ。各表側嵌合孔44は、各嵌合突起43と水平方向の同じ位置に設けられている。即ち、図2に示すように、表側嵌合孔44の直下の位置に嵌合突起43が形成されている。表側嵌合孔44は断面円形であって円筒状の部位となっている。この円筒状の部分の先に細い円筒状の部分がさらに延設されており、この部分が嵌合突起43となっている。
そして、嵌合孔45が、主板部41の裏側の面に形成されている。以下、この嵌合孔45を裏側嵌合孔と呼ぶ。図4及び図5に示すように、裏側嵌合孔45は四つ設けられている。四つの裏側嵌合孔45は、主板部41の裏側の面において中心対称上の位置に設けられている。図5においても、中心垂線が理解のため示されている。各裏側嵌合孔45は、中心垂線に対して反時計回りに-θの角度の線上に設けられている。各裏側嵌合孔45は、各表側嵌合孔44と同様に円筒状の部位によって形成されており、その内径は表側嵌合孔44と同じである。
このような各嵌合突起43及び各嵌合孔44,45は、このようなブロック材4を重ね合わせて積層する際に互いに嵌め合わされる部位となっている。図7~9は、この点を示した図であり、ブロック材4の積層の際の嵌め合わせについて示した概略図である。このうち、図7及び図8は斜視概略図、図9は断面概略図である。
積層の際の嵌め合わせには二つのものがあり、一つは、表側を上にしたブロック材4に対して同じように表側を上にして上から別のブロック材4を重ね合わせる重ね合わせ方である。以下、この重ね合わせを「順重ね」と呼ぶ。別の重ね合わせは、下側のブロック材4を表裏逆にして裏側が上になるようにし、これに対して裏側を下にした別のブロック材4を重ね合わせる重ね合わせ方である。以下、互いの裏側を対向させたこの重ね合わせを「対向重ね」と呼ぶ。
図7及び図9(1)には順重ねが示されており、図8及び図9(2)には対向重ねが示されている。図7及び図9(1)に示すように、順重ねの場合には、上側のブロック材4の各嵌合突起43が下側のブロック材4の各表側嵌合孔44に嵌合する。図8及び図9(2)に示すように、対向重ねの場合には、上側のブロック材4の各嵌合突起43が下側のブロック材4の各裏側嵌合孔45に嵌合するとともに、下側のブロック材4の各嵌合突起43が上側のブロック材4の各裏側嵌合孔45に嵌合する。
これら嵌合孔44,45に対する嵌合突起43の嵌合は、きっちりしたものではなく、隙間のある緩いものとなっている。隙間は、嵌合孔44,45の内径と嵌合突起43の外径の差である(図2にdで示す)。隙間の大きさは、大地震発生時の水平方向剪断力の緩和の観点から重要である。この点については後述する。
図10は、図2~図9に示すブロック材4を水平方向に敷き詰めた状態の斜視概略図である。図10に示すように、多数のブロック材4が縦横に並べて敷き詰められて縁切り層3の一つの層が形成される。敷き詰められるとはいうものの、単に並べていくだけであり、側方から圧接して型に嵌め込むような施工はしない。このため、隣り合うブロック材4の端板部42同士の間には、0~10mm程度の隙間が形成される。また、隣り合うブロック材4同士は、特に連結されない。
図10に示すようにブロック材4を敷き詰め、この層を2~5層程度積層することで縁切り層3が形成されている。尚、一番下の層の各ブロック材4とその上の層の各ブロック材4とは、図8及び図9(2)に示す対向重ねで重ね合わされている。二番目から上の各ブロック材4は、図7及び図9(1)に示す順重ねで重ね合わされている。したがって、縁切り層3の一番下の面は、最下層のブロック材4の主板部41の表側の面となっており、一番上の面は最上層のブロック材4の主板部41の表側の面となっている。
このような縁切り層3の上には、上側シート材51を介して上部基礎6(基礎フーチングや布基礎等)等の基礎が設けられ、その上に構築物9が構築されている。構築物9は、例えばRC構造やSRC構造のビルやマンションである。上側シート材51は、上部基礎6の施工の際、流し込んだコンクリートがブロック材4内に入り込まないようにするために設けられており、例えば土木安定シートが使用される。また、縁切り層3と杭フーチング2との間にも、土木安定シートのような下側シート材52が介在されている。杭フーチング2の養生が完全に完了した後に縁切り層3の施工をする場合、杭フーチング2と縁切り層3との間の下側シート材52は設けられないこともある。
尚、上部基礎6、縁切り層3、杭フーチング2は敷地の地中に位置しており、周囲にはH鋼及び土留め板から成る山留め壁7が設けられている。山留め壁7の内側には、充填部71が設けられている。充填部71は、砕石及び埋め戻し土砂とされたり、樹脂ブロック材や土木発泡板等を並べた構造とされたりする。また、各杭頭11の周囲には地業部12(割栗地業及び砕石地業)が設けられている。
このような杭基礎構造の作用について、図11を参照して説明する。図11は、従来の杭基礎構造と実施形態の杭基礎構造とを比較した地震対策効果の図である。
現行の建築基準法による耐震建築物の地震力想定では、レベル2(震度6弱)を想定している。しかしながら、阪神淡路大震災など、現実には震度6を超えるレベル3(震度7クラス)が起きている。
震度7クラスの大地震の場合、支持地盤が全体に激しく震動するため、杭基礎も激しく震動する。この際、図11(A)に示すように各杭頭11が構築物9に固定されている従来の杭基礎構造では、各杭1が激しい震動を構築物9に伝達する役目を果たす。震動は、構築物9の上端(例えば屋根)に反射して戻るために共振現象となる。このため、構築物9において激しい揺れが生じ、構築物9の破壊や内部の施設の損壊等が生じ得る。図11(A)中に、横揺れ(水平剪断力)を矢印F1で示す。
また、各杭1は、下端部分が支持層に固定されているのに対し、杭頭11は構築物9の揺れに伴って激しく水平方向に振れる。杭頭11の周囲の地盤土壌は、図1中に矢印F2で示すように杭頭11の振れを抑えるように作用するが、杭フーチング2とその上の基礎が剛体であってそれらが固定されているため、各杭1には杭頭11付近に大きな曲げモーメントが作用し、杭1が破損してしまうこともあり得る。図11(A)中に、杭1に作用する曲げモーメントを二点鎖線で示す。
一方、図11(B)に示すように、実施形態の杭基礎構造では、各杭1と構築物9とが縁切り層3で縁切りされており、地震の震動が各杭1から構築物9に伝達するのが抑制される。この際、縁切り層3は、各杭1と構築物9とを非固定とするのに加え、水平方向に相互に非連結として敷設した複数のブロック材4を積層した構造が採用されているので、いなし効果によって水平剪断力F1が効果的に減衰される。このため、キラーパルスのような特に激しい瞬間的な震動が起きた場合でも、構築物9の激しい揺れや破壊が防止される。その上、縁切り層3は、上層のブロック材4が下層のブロック材4から離間するのを許容する構造であるため、垂直方向に対してもいなし効果が発揮され、大地震特有の三次元的な震動(突き上げを伴う揺れ)にも効果的に対応できる。
上記のいなし効果について、図12及び図13を参照してより詳しく説明する。図12及び図13は、実施形態の杭基礎構造におけるいなし効果について示した概略図であり、図12は平面概略図、図13は正面概略図である。
実施形態の杭基礎構造において、震度7クラスの大地震が発生した場合、各杭1を含む地盤全体が上述したように三次元的に激しく震動する。この際、水平方向(水平剪断力)については、各杭頭11を連結した杭フーチング2が縁切り層3に対して固定されていないので、縁切り層3に対して水平方向に滑動する(礎石方式と同様の効果)。尚、下側シート材52が杭フーチング2に対して固定されている場合、縁切り層3は下側シート材52上を滑動する。
縁切り層3は、全体としては礎石方式と同様に滑動によって水平剪断力F1を遮断する作用を有するほか、内部において各ブロック材4によるいなし効果を生じる。図12において、大地震発生時の水平剪断力の向きの一例を矢印F1で示す。水平剪断力F1は、ブロック材4の辺(方形の一辺)に対して垂直に作用することは希であり、多くの場合、斜めに作用する。この場合、水平剪断力F1によってブロック材4は隣りのブロック材4を押圧するが、この押圧の方向は、水平剪断力F1と同じ向きではない。図12中に矢印Mで示すように、ブロック材4同士がお互いの端板部42で擦れ合いながら変位するため、水平剪断力F1の向きとは異なる方向に各ブロック材4は少しずつ変位していく。
この実施形態では、上下のブロック材4は嵌合孔44,45に対する嵌合突起43の嵌め込みによって連結されているので、上記変位Mは、嵌合孔44,45と嵌合突起43との隙間がもたらす変位である。尚、図1に示すように、縁切り層3の周囲には、各ブロック材4の変位を想定して若干の空間が形成されている。
上記嵌合孔44,45と嵌合突起43との隙間は数ミリ~数十ミリ程度であるが、ブロック材4が積層された多層構造になっているため、全体としては相当量の変位を許容する構造となっている。嵌合孔44,45と嵌合突起43との隙間が例えば片側1cmである場合、両側で2cmであるので、一層あたり2cmの変位を許容する。これが例えば5層積層されていると、全体で10cmの変位を許容することになる。
上記変位Mにおいて重要なことは、図13に示すように、水平剪断力F1とは異なる方向にそれぞれのブロック材4が変位するので、水平剪断力F1をいなす効果が生じるということである。ダンパーのような制振材は、水平剪断力F1をそのまま受け止めてしまう(正面から受け止めてしまう)ので、震動の衝撃をそのまま(100%)受けてしまう。しかしながら、実施形態の杭基礎構造では、各ブロック材4は、水平剪断力F1を受けつつもそれとは異なる方向に自身が変位し、異なる方向に力を変換しながら(力を逸らして)隣りのブロック材4に伝えていく。このため、水平剪断力は、縁切り層3中を伝搬する過程で大きく減衰し、その上の構築物9には、大きく減衰した状態で水平剪断力F1が伝搬する。加えて、この実施形態では、各ブロック材4は樹脂製であり、自身がある程度の弾性を有している。このため、各ブロック材4中での震動の減衰も生じる。このため、水平剪断力F1の減衰効果が高くなっている。
図13は、垂直方向の震動のいなし効果について示した概略図である。上述したように、震度7クラスの大地震では、重力の逆転が生じて下方から上方に向かう突き上げ力(図13に矢印F3で示す。)が生じ得る。この際、各杭1が構築物9に対して固定されていると、各杭1を含む地盤の上下振動と同期するようにして構築物9も上下動してしまう(いわゆる縦揺れ)。この結果、構築物9に甚大な被害が出易い。
一方、実施形態の杭基礎構造では、縁切り層3が杭フーチング2に対して固定されておらず、杭フーチング2に対して縁切り層3は全体として浮き上がることができる。加えて、縁切り層3内においても、各層のブロック材4は上下方向で固定されておらず、嵌合孔44,45に嵌合突起43が緩く嵌合する構造であるため、図13に示すように上層のブロック材4は下層のブロック材4から浮き上がることができる。このような構造のため、垂直方向の震動(突き上げ力F3)に対してもいなし効果が発揮され、縦揺れによる構築物9の被害が防止される。
震度7クラスの大地震が大きな縦揺れを含んでいる場合、上部基礎6から上の層の構造物(縁切り層3、上部基礎6、構築物9等)は、いったん浮き上がった後、重力により落下する。重力に落下する際のタイミングは、縦揺れの周期とは一致せずにずれているので、縦揺れの震動成分も大きく減衰し、縦揺れによる被害が防止される。
尚、嵌合突起43が嵌合孔44,45に緩く嵌合している構造は、上層のブロック材4が浮き上がった後に落下する際、元の嵌合突起43内の位置に容易に収まることができるという意味も有する。即ち、落下した際に嵌合突起43や嵌合孔44,45内に入れずに損傷してしまう恐れが小さくなっている。
このように実施形態の杭基礎構造は、杭1によって沈下防止を達成しつつも震度7クラスの大地震における激しい震動を構築物9に対して効果的に遮断する。このため、構築物9の被害が防止される。
また、実施形態の杭基礎構造では、各ブロック材4が樹脂製であって適度な弾性を有するので、ブロック材4自体が免震効果を有している。このため、上記効果がさらに高くなっている。この際、各ブロック材4が廃プラスチック材料で形成されているので、安価なコストで実現でき、リサイクルの観点からも好適となっている。
上記実施形態の構成において、上層のブロック材4が下層のブロック材4に対して嵌合突起43の嵌合孔44,45への嵌合により連結される構造は必ずしも必須ではない。各ブロック材4が嵌合突起43や嵌合孔44,45を有さず、単に上に積み重ねただけの構造であっても良い。但し、嵌合構造を有していた方が水平方向の移動(変位)量をある程度規制できるので免震性能がより高くなるし、施工や資材の保管の際に便利である。尚、キラーパルスのような特に強い震動が縁切り層3に与えられた場合、嵌合突起43が折れてしまう場合があり得る。また、強い縦揺れによって上層のブロック材4が下層のブロック材4から浮き上がり、その後重力によって落下した場合、嵌合突起43が嵌合孔44,45の部分に落下しないと、衝撃で嵌合突起43が破損することになる。これらが生じた場合でも、その後に大地震が生じた際には、当該ブロック材4によるいなし効果は変わりなく得られる。
このような構成及び効果を有する実施形態の杭基礎構造の施工方法について、以下に概略的に説明する。実施形態の杭基礎構造を施工する場合、まず各杭1を施工(杭打ち)し、その後、掘り下げながら山留め壁7を施工する。杭1は、既製杭や鋼管杭のような支持杭でも良く、摩擦杭や柱状改良杭でも良い。各杭1及び山留め壁7の施工が終わったら、各杭頭11の周囲に地業部12を設けた後、杭フーチング2の施工をする。即ち、型枠を施工し、配筋をした後、セメントを流し込んで養生して杭フーチング2を形成する。柱状改良杭の場合には杭フーチング2の施工をしないこともあり得る。
その後、杭フーチング2の上に下側シート材52を敷き、その上に縁切り層3を施工する。即ち、図2に示すように各ブロック材4を縦横に並べ基礎部分をカバーするように一番下の層を形成する。この際、各ブロック材4は主板部41を下側にして下側シート材52の上に載せる。その後、主板部41を上にした状態で各ブロック材4を重ね、同様に縦横に並べていき順次積層していく。縁切り層3におけるブロック材4の積層数は、構築物9の荷重や敷地面積等を勘案し、基礎構造設計において予め決定される。この数の積層を行うと、縁切り層3が完成する。その後、上側シート材51を敷き、その上に上部基礎6の施工をする(型枠施工、配筋施工、セメント打ち込み、養生)。これにより、実施形態の杭基礎構造が完成する。その後は、構築物9の施工が行われる。
縁切り層3におけるブロック材4の積層数について補足すると、例えばRC構造の3~5階程度の低層ビルであれば4層程度の積層とされる。6~8階程度の中層ビルの場合、5層程度の積層とされる。10階を超える高層ビルの場合、6層以上の積層数とされる。これらの例において、一層の高さ(一個のブロック材4の高さ)は、3~5cm程度である。
上記実施形態の杭基礎構造は、縁切り層3が中空構造となっているので、想定外の大地震により部分的に損壊して構築物9の傾斜が生じた場合、注入工法によって修繕することが可能である。即ち、図2等から解るように、ブロック材4を並べて積層した構造では、主板部41の下側に端板部42の高さ分の空間が形成される。したがって、一部のブロック材4が損壊してこの部分の落ち込みにより構築物9に傾斜が生じた場合、損壊したブロック材4に対して薬液を注入して加圧し、固化させることで傾斜補正をすることができる。
上記実施形態では、縁切り層3を構成する各ブロック材4は、平面視が方形であったが、他の形状であっても良い。例えば、平面視が円形、楕円形、三角形や五角形等の四角以外の多角形であっても良い。平面視が円形のブロック材4を採用する場合の好適な構成について、図14を参照して説明する。図14は、平面視が円形のブロック材4を並べて縁切り層3を構成する際の好適な構成について示した平面概略図である。
平面視が円形のブロック材4を並べる場合、図14(A)に示すように各ブロック材4の中心が直角格子の交点上に位置するように並べる構成(図14(A))と、千鳥状に並べる構成(図14(B))とがある。図14(A)の構成の場合、大地震発生時の水平剪断力Fが直角格子の直交するいずれかの方向にちょうど作用してしまうと、水平剪断力を隣りのブロック材4にそのまま伝えてしまうため、いなし効果が低下してしまう。一方、図14(B)に示すように千鳥状に配置した場合、水平剪断力がどの向きにあってもいなし効果が十分に発揮される。
また、上記実施形態の杭基礎構造は、他の免震装置を併用した構成とすることも可能である。この点について、図15を使用して説明する。図15は、他の免震装置を併用した杭基礎構造の実施形態を示した正面概略図である。
図15に示す例は、他の免震装置8としてゴム免震装置を採用した例となっている。即ち、他の免震装置8は、免震ゴム81を介して構築物9を支える構造となっている。この場合、縁切り層3は、免震装置8の基礎として下側に設けられる。即ち、免震装置8に対してキラーパルスのような特に激しい震動が加わらないようにして免震装置8を保護する役目を縁切り層3は有している。縁切り層3が設けられているため、高価な免震装置8の破損が防止され、またダンパーのような高価でその性能に限界がある他の保護装置をさらに設ける必要がなくなる。
上記実施形態では、各杭頭11は杭フーチング2で連結されたが、杭フーチング2を設けない構成や杭フーチング2を部分的に設ける構成もあり得る。この点について、図16を参照して説明する。図16は、杭フーチング2に関する他の実施形態について示した正面概略図である。
図16(1)は、杭フーチング2を設けない構成が示している。この場合には、各杭頭11の周囲には割栗地業及び砕石地業をした地業部12が設けられる。そして、各杭頭11と地業部12とを覆うようにして下側シート材52が敷設され、その上に縁切り層3が施工される。この構成は、摩擦杭1や柱状改良杭1が採用されており、低層のビルや戸建て住宅のような塔状化の程度が低い構築物9の場合に特に採用され得る。
図16(2)は、杭フーチング2が部分的に設けられた構成を示している。各杭頭11は、杭フーチング2によって補強され、水平剪断力による曲げモーメントに対する抗力が増す。この場合も、杭フーチング2の周囲には地業部12が設けられる。この構成は、中層程度のビルのような構築物9の場合に特に採用され得る。この構成では、杭フーチング2と地盤表面とにまたがって下側シート材52が敷設され、その上に縁切り層3が施工される。
上記実施形態の杭基礎構造において、上下の層のブロック材4の嵌合構造は円形であったが、四角形や三角形等の他の形状であっても良い。例えば、断面方形の嵌合孔に対して断面方形の嵌合突起43が嵌まり込む形状でも良い。この場合にも、片側3mm以上の隙間が形成されることが好ましい。
片側3mm以上は、両側で3mm以上となるから、周方向に平均して3mm以上の隙間が形成されるということである。この点は、断面円形の嵌合孔及び嵌合突起の場合も同様である。
また、嵌合する部分が嵌合突起43のようにブロック材4の一部として設けられることは必須ではなく、別の部材として設けられても良い。即ち、上下のブロック材に設けられた嵌合孔が重なり合う(水平方向で同じ位置となる)ようにし、両者を貫くようにしたダボピン(ピン状のダボ材)を嵌め込む構造であっても良い。この場合も、嵌め込みにおける隙間(クリアランス)dは上記のようにある程度大きくしておく(緩い嵌合としておく)。
上記実施形態において、各ブロック材4は廃プラスチックを再利用した樹脂材料で形成されていたが、他の樹脂材料でも良く、樹脂以外の材料で形成されていても良い。例えば、スチールやセラミックス、さらには防腐処理木材等である。但し、適度な弾性を得やすく軽量であり、耐久性に優れている点で、樹脂材料が好ましい。
尚、各ブロック材4における適度な弾性は、水平剪断力に対する弾性である。垂直方向については、構築物9を支える観点から十分な剛性を有するものとされる。この点は、端板部42をそれほど高くしないようにするとともに、端板部42を厚くし、さらに十分な量のリブ411を設けることで達成される。
上記説明では、構築物はRC構造のビルを例示したが、構築物としては他の構造のビルやマンションでも良く、軽量鉄骨や木造等の戸建て住宅でも良い。さらに、構築物は、倉庫や工場、駐車場、スタジアム、劇場等の建築物でも良く、橋梁や擁壁、ダム等の建築物以外の構築物であって良い。
1 杭
11 杭頭
2 杭フーチング
3 縁切り層
4 ブロック材
41 主板部
42 端板部
43 嵌合突起
44 表側嵌合孔
45 裏側嵌合孔
51 上側シート材
52 下側シート材
6 上部基礎
7 山留め壁
8 他の免震装置
9 構築物

Claims (5)

  1. 大地震を想定した杭基礎構造であって、
    地中に埋設されて構築物を支える杭と、
    杭と構築物との間に設けられた縁切り層と
    を備えた杭基礎構造であり、
    縁切り層は、杭が構築物に固定されていない状態とすることで地震による水平方向の剪断力が構築物に伝わらないようにする層であり、
    縁切り層は、複数のブロック材(但し、粒状材料を袋に収容したものを除く。)を水平方向に互いに非連結の状態で並べて成る層を二層以上とした層であり、
    下の層のブロック材(但し、粒状材料を袋に収容したものを除く。)と上の層のブロック材(但し、粒状材料を袋に収容したものを除く。)とは相互に連結されていないか、又は篏合部分の平均の隙間が3mm以上である嵌め合いにより連結されていて当該嵌め合いは上の層のブロック材(但し、粒状材料を袋に収容したものを除く。)が下の層のブロック材(但し、粒状材料を袋に収容したものを除く。)から浮いて離れるのを規制しない構造であることを特徴とする杭基礎構造。
  2. 前記ブロック材は、平面視が方形、円形又は楕円形の主板部と、主板部の周縁に延設され、主板部に対して垂直な端板部と、主板部の端板部が設けられた側の面に形成されたリブとから成ることを特徴とする請求項1記載の杭基礎構造。
  3. 前記ブロック材は、樹脂製であることを特徴とする請求項2記載の杭基礎構造。
  4. 前記ブロック材は、廃プラスチックリサイクル材料で形成されていることを特徴とする請求項3記載の杭基礎構造。
  5. 前記杭は複数設けられており、各杭の杭頭を連結した杭フーチングが設けられており、前記縁切り層は杭フーチングの上側に設けられていて杭フーチングに対して滑動可能となっていることを特徴とする請求項1記載の杭基礎構造。
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