JP7454809B2 - 建物躯体 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 1)平成31年3月27日 学校法人明治大学がウェブサイト(https://www.youtube.com/watch?v=zjYBDoAcNrg)にて公開 2)令和1年7月20日 2019年度大会(北陸)学術講演梗概集・建築デザイン発表梗概集 第70-71頁、第677-684頁(一般社団法人日本建築学会)にて公開
本発明は、複数の柱と、当該柱に支持される水平構造体とを備えた建物躯体に関する。
特許文献1において、木質版の支持スパンを大きくするフラットスラブ構造が提案されている。
このフラットスラブ構造は、柱の下側柱の柱頭部に設けられたキャピタルと、隅部や端部がキャピタルに支持された木質版と、を備えている。スラブは、木質版の上面にコンクリート版が接合された複合スラブである。キャピタルは、木質材で構成されている。柱は、木質材で構成され、上側の柱は、下側の柱の柱頭部に設けられ、木質版及びキャピタルよりも上部に突出する支持部材で支持されている。
特開2019-19504号公報
しかし、特許文献1のフラットスラブ構造は、キャピタルに木質版を隅部や端部で支持させて、キャピタル上面において、個々の木質版を、柱の中心線上に位置する隅部や端部を支点としてそれぞれ片持ち支持するため、木質版個々の支持スパンはさほど大きくすることはできない。
本発明の課題は、複数の柱に水平構造体を支持させた建物躯体において、柱頭部に支持された下層水平構造体の上面に支持される上層側水平構造体の支持スパンを大きくすることである。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、例えば図2、図11(b)、図12(b)、図13(b)、図15~図17、図20~図24に示すように、
水平断面形状が矩形状の複数の柱2と、
前記複数の柱2の上端面の上にそれぞれ載って前記複数の柱2にそれぞれ取り付けられ、前記柱2の水平断面形状の四つの角の上に中空を有する複数の柱頭金物5と、
前記複数の柱頭金物5に載せられて、前記複数の柱頭金物5の間に架け渡されるよう連続する床又は屋根板(水平構造体3)と、
前記床又は前記屋根(水平構造体3)を前記柱頭金物5に固定するボルトナット締結体(通しボルト8及びナット9)と、を備える建物躯体において、
前記ボルトナット締結体(通しボルト8及びナット9)が前記柱ごとに四つあり、
前記ボルトナット締結体(通しボルト8及びナット9)が前記柱頭金物5の中空から前記床又は前記屋根(水平構造体3)の上まで前記柱頭金物5の上部及び前記床又は前記屋根(水平構造体3)を上下に貫通して、前記柱頭金物5の上部及び前記床又は前記屋根(水平構造体3)を上下に締め付け、
前記床又は前記屋根(水平構造体3)が、
下層水平構造体30Lと、
前記下層水平構造体30Lの上面に載せられた上層側水平構造体と、
を有し、
前記下層水平構造体30Lが、前記柱2の水平方向断面積よりも大きい面積を有し、
前記上層側水平構造体が、前記下層水平構造体30Lの面積よりも大きい面積を有し、
前記上層側水平構造体が成す第1層が、前記下層水平構造体が成す第2層が前記柱2の上端の周囲において成すエッジから張り出すことによって、前記第1層の下面と前記第2層の下面との間の段差が前記エッジに沿って形成され、その段差が前記床又は前記屋根(水平構造体3)の下方から見えることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、柱2に支持された、当該柱2の水平方向断面積よりも大きい面積を有する下層水平構造体30Lの上面に、当該下層水平構造体30Lの面積よりも大きい面積を有する上層側水平構造体が、隅部及び端部以外の部分で載せられている。
これにより、下層水平構造体30L上面において、上層側水平構造体を、柱2に支持された、当該柱2の水平方向断面積よりも大きい面積を有する下層水平構造体30Lの全面で支持できるため、上層側水平構造体の支持スパンを大きくすることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の建物躯体において、例えば図12(b)及び図16(a)に示すように、前記上層側水平構造体は、前記下層水平構造体30Lが成す前記第2層に載せられ、長方形に成し、その長方形の短辺方向に配列された複数の中層水平構造体30Mと、前記複数の中層水平構造体30Mが成す中層に載せられ、長方形に成し、その長方形の短辺方向に配列された複数の上層水平構造体30Uと、を有し、前記複数の上層水平構造体30Uの長辺方向が前記複数の中層水平構造体30Lの短辺方向に沿い、前記複数の上層水平構造体30Uのそれぞれは前記複数の中層水平構造体30Mの隣り同士の境界を跨ぐよう配置されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、
請求項1に記載の建物躯体において、例えば図10(a)、図11、図15、図20~図24に示すように、
前記複数の柱2に、前記下層水平構造体30Lが架け渡されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、複数の柱2に、下層水平構造体30Lが架け渡されているので、複数の柱2に架け渡される長い下層水平構造体30Lを採用できるとともに、
その長い下層水平構造体30Lの支持スパンを大きくして、下層水平構造体30Lの幅も大きくすることができ、下層水平構造体30Lの面積を広くすることができる。
請求項に記載の発明は、
請求項1に記載の建物躯体において、例えば図10(b)、図12、図13、図16、図17に示すように、
前記柱2の各々に、前記下層水平構造体30Lが個別にそれぞれ支持されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、柱2の各々に、下層水平構造体30Lが個別にそれぞれ支持されているので、複数の柱2ごとに、下層水平構造体30L(小判の下層水平構造体30Ls)をそれぞれ支持することができる。
請求項5に記載の発明は、
請求項1、3又は4に記載の建物躯体において、例えば図14~図16、図20に示すように、
前記上層側水平構造体は、
前記下層水平構造体30Lの上面に載せられた、前記下層水平構造体30Lの面積よりも大きい面積を有する中層水平構造体30Mと、
複数の前記中層水平構造体30Mの上面に架け渡された上層水平構造体30Uと、
からなり、
前記上層水平構造体30Uが成す上層が、前記中層水平構造体30Mが成す中層が前記柱2の上端の周囲において成す第2エッジから張り出すことによって、前記上層の下面と前記中層の下面との間の段差が前記第2エッジに沿って形成され、その段差が前記床又は前記屋根の下方から見えることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、上層側水平構造体は、下層水平構造体30Lの上面に隅部及び端部以外の部分で載せられた、下層水平構造体30Lの面積よりも大きい面積を有する中層水平構造体30Mと、その複数の中層水平構造体30Mの上面に架け渡された上層水平構造体30Uと、からなる。
すなわち、下層水平構造体30Lの上面に隅部及び端部以外の部分で載せられた、下層水平構造体30Lの面積よりも大きい面積を有する複数の中層水平構造体30Mの上面に、上層水平構造体30Uが架け渡されているので、複数の中層水平構造体30Mに架け渡される長い上層水平構造体30Uを採用できるとともに、その長い上層水平構造体30Uの支持スパンを大きくして、上層水平構造体30Uの幅も大きくすることができる。
請求項に記載の発明は、
請求項に記載の建物躯体において、例えば図20、図24に示すように、
前記中層水平構造体30Mは、上層側に行くにつれて面積が大きくなる層が積層して形成されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、中層水平構造体30Mは、上層側に行くにつれて面積が大きくなる層が積層して形成されているので、一層目の中層水平構造体30M1の上に、面積が大きい二層目の中層水平構造体30M2を積層して、その上に、さらに面積が大きい三層目の中層水平構造体30M3を順次積層して、複数の柱2間を緩やかなアーチ状をなす中層水平構造体30M1・30M2・30M3及び上層水平構造体30Uで繋いだ支持構造により、荷重を支えることができ、かつ意匠性を高めることができる。
請求項に記載の発明は、
請求項5又は6に記載の建物躯体において、例えば図15(b)、図23、図24に示すように、
前記中層水平構造体30Mは、
水平方向に複数並べられ、離間して配置されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、中層水平構造体30Mは、水平方向に複数並べられ、離間して配置されているので、水平方向に複数並べられた中層水平構造体30Mの間に隙間Sを形成して、水平構造体30L・30M全体として軽量化することができる。
請求項に記載の発明は、
請求項5から7のいずれか一項に記載の建物躯体において、例えば図23に示すように、
前記上層水平構造体30Uは、水平方向に複数並べられ、離間して配置されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、上層水平構造体30Uは、水平方向に複数並べられ、離間して配置されているので、水平方向に複数並べられた上層水平構造体30Uの間に隙間Sを形成して、水平構造体30L・30M・30U全体として軽量化することができる。
また、上層水平構造体30U間の隙間Sと中層水平構造体30M間の隙間Sをオーバーラップさせることで、屋根に水平構造体30L・30M・30Uを用いた場合に、トップライト3TLを形成することができる。
請求項に記載の発明は、
請求項5から8のいずれか一項に記載の建物躯体において、例えば図22に示すように、
前記下層水平構造体30Lの上面と前記中層水平構造体30Mの下面とのいずれか一方に凹部30aが形成されており、
前記下層水平構造体30Lの上部又は前記中層水平構造30M体の下部が前記凹部30aに埋設されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、下層水平構造体30Lの上面と中層水平構造体30Mの下面とのいずれか一方に凹部30aが形成されており、その凹部30aに下層水平構造体30Lの上部又は中層水平構造30M体の下部が埋設されているので、下層水平構造体30Lと中層水平構造体30Mの意匠性を高めることができ、水平構造体30L・30Mの積層方向の寸法を抑えることができる。したがって、建物全体の高さも抑えることができる。
請求項10に記載の発明は、
請求項5から9のいずれか一項に記載の建物躯体において、例えば図21、図22に示すように、
前記中層水平構造体30Mの上面と前記上層水平構造体30Uの下面とのいずれか一方に凹部30aが形成されており、
前記中層水平構造体30Mの上部又は前記上層水平構造体30Uの下部が前記凹部30aに埋設されていることを特徴とする。
請求項10に記載の発明によれば、中層水平構造体30Mの上面と上層水平構造体30Uの下面とのいずれか一方に凹部30aが形成されており、その凹部30aに中層水平構造体30Mの上部又は上層水平構造体30Uの下部が埋設されているので、中層水平構造体30Mと上層水平構造体30Uの意匠性を高めることができ、水平構造体30M・30Uの積層方向の寸法を抑えることができる。したがって、建物全体の高さも抑えることができる。
本発明によれば、複数の柱に水平構造体を支持させた建物躯体において、柱頭部に支持された下層水平構造体の上面に支持される上層側水平構造体の支持スパンを大きくすることができる。
建物構成例1を示す概略斜視図である。 図1の水平構造体の支持構造を示す縦断面図である。 図2の柱及び柱脚金物を拡大した分解斜視図である。 図3の柱脚金物の拡大図である。 図2の柱頭板を拡大した平面図(a)及び側面図(b)である。 図5の柱頭板への凸部の取付例を示した要部分解斜視図である。 柱と柱脚及び柱頭の金物と板を示した分解斜視図である。 図2の水平構造体の納まり構造変形例を示した拡大図である。 図2の水平構造体に用いる木質系積層板材の一例を示す概略斜視図である。 柱上の一層目の下層積層板材構成例を示す斜視図で、下層積層板材が大判の場合を示した図(a)、下層積層板材が小判の場合を示した図(b)、オーバーハングしない場合を示した図(c)である。 二層目の中層積層板材構成例を示す斜視図で、図10(a)のような大判の下層積層板材に大判の中層積層板材を架け渡した場合を示した図(a)、同じく、図10(a)のような大判の下層積層板材に大判の中層積層板材を載せた場合を示した図(b)である。 二層目の他の中層積層板材構成例を示す斜視図で、図10(b)のような小判の下層積層板材に大判の中層積層板材を架け渡した場合を示した図(a)、図10(b)のような小判の下層積層板材に大判の中層積層板材を載せた場合を示した図(b)である。 二層目の他の中層積層板材構成例を示す斜視図で、図10(b)のような小判の下層積層板材に小判の中層積層板材を載せた場合を示した図(a)、同じく、図10(b)のような小判の下層積層板材に大判の中層積層板材を載せた場合を示した図(b)である。 二層目の他の中層積層板材構成例を示す斜視図で、図10(c)のような大判の下層積層板材に大判の中層積層板材を載せた場合を示した図である。 三層目の上層積層板材構成例を示す斜視図で、図11(a)のような大判の中層積層板材に大判の上層積層板材を架け渡した場合を示した図(a)、図11(b)のような大判の中層積層板材に大判の上層積層板材を架け渡した場合を示した図(b)である。 三層目の他の上層積層板材構成例を示す斜視図で、図12(b)のような大判の中層積層板材に大判の上層積層板材を架け渡した場合を示した図(a)、図12(a)のような大判の中層積層板材に大判の上層積層板材を架け渡した場合を示した図(b)、図13(a)のような小判の中層積層板材に大判の上層積層板材を架け渡した場合を示した図(c)である。 三層目の他の上層積層板材構成例を示す斜視図で、図13(b)のような大判の中層積層板材に大判の上層積層板材を載せた場合を示した図である。 建物構成例2を示す概略斜視図である。 図18の柱と柱脚金物及び柱頭金物を拡大した分解斜視図である。 建物構成例3を示す概略斜視図である。 図20における水平構造体の支持構造を縦断面で示す概略斜視図である。 図20の建物内を示した要部拡大図である。 図20の建物を構成する基礎と柱と床及び屋根の分解斜視図である。 他の水平構造体構成例を示した斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(建物構成例1)
先ず、図1は一層の水平構造体における支持構造を適用した建物の基礎1と柱2及び水平構造体3の概略構成例を示すものである。
図示例では、基礎1に所定間隔で多数本建てられた一階の柱2に二階床を構成する水平構面として機能する水平構造体3が支持されている。その二階床の水平構造体3に多数本建てられた二階の柱2に三階床を構成する水平構造体3が支持されている。その三階床の水平構造体3に多数本建てられた三階の柱2に屋根板を構成する水平構造体3が支持されている。一階、二階及び三階の各々の柱2は、図示のように、同一延長線上の位置にそれぞれ配置されている。
なお、基礎1の上には、図示しないが、一階床を構成する水平構造体が敷設される。
また、図示例において、水平構造体3は単層だが、後述する建物構成例2・3のような複層も含まれる。
次に、図2は図1の水平構造体3の支持構造を示す縦断面図で、図示のように、基礎1の上に柱脚金物4を介して一階の柱2が建てられており、この一階の柱2の上端面には、柱頭金物5及びその上の柱頭板、実施形態では、鋼板により形成された柱頭鉄板6を介して二階床を構成する水平構造体3が支持されている。
この二階床の水平構造体3の上には、柱脚鉄板7及びその上の柱脚金物4を介して二階の柱2が建てられて、この二階の柱2の上端面に柱頭金物5及び柱脚板、実施形態では、鋼板により形成された柱頭鉄板6を介して三階床を構成する水平構造体3が支持されている。
同様に、三階床の水平構造体3の上に柱脚鉄板7及び柱脚金物4を介して三階の柱2が建てられて、この三階の柱2の上端面に柱頭金物5及び柱頭鉄板6を介して屋根板を構成する水平構造体3が支持されている。
柱2は、図3にも示すように、四隅部の軸材21と、その軸材21間の四辺部の建築用パネル26と、を主体として構成されて、四角筒状に形成されている。
軸材21は、上下階間に亘って設けられた長尺木質材(いわゆる角材)であり、柱2の四隅に配置されている。
また、軸材21は、下端面から突出するとともに柱脚金物4との連結に用いられる連結ボルト22と、下端面に設けられて当該下端面を補強する金属製の補強キャップ23と、を有する。
さらに、軸材21は、上端面から突出するとともに柱頭金物5との連結に用いられる連結ボルト24と、上端面に設けられて当該上端面を補強する金属製の補強キャップ25と、を有する。
建築用パネル26は、住宅等の建物の建築に使用される、いわゆる木質接着パネルである。この建築用パネル26は、図7に示すように、縦横の框材27aが矩形状に組み立てられるとともに、このように形成された矩形枠の内部に補助桟材27bが適宜組み付けられて枠体27が構成され、この枠体27の両面に面材28が貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。その内部中空な部分には、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填されている。このように中空状の建築用パネル26を用いることで、柱2の軽量化を図ることができる。
また、柱2を形成するに当たって、この建築用パネル26は複数用いられており、これら複数の建築用パネル26が、軸材21の長さ方向に沿って上下に重ねられた状態で、軸材21に固定されている。
そして、本実施形態においては、上下二枚の建築用パネル26が、隣り合う軸材21・21間に積み重ねられるようにして設けられて、これら隣り合う軸材21・21同士を連結している。つまり、本実施形態における柱2は、四隅の軸材21と、柱2の四側面に設けられた上下二枚の建築用パネル26とによって、その本体部分(柱として主要な部分)が形成された状態となっている。
柱脚金物4は、柱2の脚部(下端面)に取り付けられるものであり、本実施形態では、柱2を基礎1に接合するため、柱2の一体性を高めるために用いられている。
この柱脚金物4は、図4にも拡大して示すように、前後左右に離間して配置された四つの箱形金物41と、これら箱形金物41同士を連結する四つの連結部材46とを備えて枠状に形成されている。
箱形金物41は、四角筒状に形成された筒部材42と、この筒部材42の上下端面を塞ぐようにして当該筒部材42の上下端にそれぞれ溶接等によって固定された矩形状の板部材43・44とによって構成されている。
筒部材42の一つの側面には矩形状の開口部42aが形成されている。また、上下の板部材43・44の略中央部には取付孔43a・44aが一つ形成されている。
連結部材46は、ウェブ47と、上フランジ48と、下フランジ49と、を有する溝形鋼であり、柱脚金物4の四隅に設けられた四つの箱形金物41同士を連結している。
ウェブ47には、複数の重量軽減窓47aが形成されている。
上フランジ48の上面と、箱形金物41における上の板部材43の上面は面一となっており、下フランジ49の下面と、箱形金物41における下の板部材44の下面は面一となっている。
上フランジ48には、その長さ方向に間隔を空けて複数のビス孔48aが形成されており、当該上フランジ48に当接する柱2における建築用パネル26の下端面にビスを打ち込んで固定できるようになっている。そのため、下フランジ49は、ウェブ47からの突出寸法が、上フランジ48よりも短く設定されており、ビスを打ち込みやすくなっている。
このような柱脚金物4は、図2に示すように、柱2における四本の軸材21の下端面から突出する四本の連結ボルト22が、各筒部材42における上の板部材43に形成された取付孔43aにそれぞれ挿通されるとともに、補強キャップ23が箱形金物41の上面に当接されたうえで、連結ボルト22にナット14が螺合されて締め付けられている。
さらに、柱2の建築用パネル26の下端面が連結部材46の上フランジ48の上面に接着剤を介して当接されたうえで、この上フランジ48に形成された多数のビス孔48aから図示しないビスが建築用パネル26の下端面にねじ込まれる。
このようにして、軸材21の下端面と建築用パネル26の下端面とがそれぞれ箱形金物41の上面と上フランジ48の上面(接合面)に接合され、これによって、柱2の下端面が柱脚金物4の上面に接合されている。
また、柱脚金物4は、基礎1の上面に設置されている。基礎1は鉄筋コンクリートで形成されており、この基礎1に突設されたアンカーボルト11が、箱形金物41における下の板部材44の取付孔44aに挿通され、この挿通されたアンカーボルト11にナット12が螺合されて締め付けられている。
このようにして、柱2の下端面が柱脚金物4を介して基礎1の上面に接合されている。換言すれば、このようにして基礎1上に柱2を立設することができる。
なお、基礎1上に柱2を立設する際における、連結ボルト22にナット14を螺合する作業や、アンカーボルト11にナット12を螺合する作業は、箱形金物41に形成された開口部42aを利用して行われる。
柱頭金物5は、柱脚金物4と上下が逆の構成である。
したがって、柱頭金物5は、柱2における四本の軸材21の上端面から突出する四本の連結ボルト24が、各筒部材42における板部材43に形成された取付孔43aにそれぞれ挿通されるとともに、補強キャップ25が箱形金物41の下面に当接されたうえで、連結ボルト24にナット15が螺合されて締め付けられている。
さらに、柱2の建築用パネル26の上端面が、柱頭金物5の各連結部材46における下フランジ48の下面に接着剤を介して当接されたうえで、この下フランジ48に形成された多数のビス孔48aから図示しないビスが建築用パネル26の上端面にねじ込まれる。
このようにして、軸材21の上端面と建築用パネル26の上端面とが箱形金物41の下面と下フランジ48の下面(接合面)にそれぞれ接合され、これによって、柱2の上端面が柱頭金物5の下面に接合されている。
柱頭鉄板6は、図5(a)及び(b)に拡大して示すように、柱2の水平方向断面積よりも面積が大きい平面視正方形で、その上下面には摩擦抵抗を上げるための塗装が施されている。
この柱頭鉄板6の上面における四辺の中央内側に凸部61が各々備えられている。
凸部61は鉄製円板で、図5に示すように、その中心に形成した取付孔61aに通した六角穴付きねじ62を、柱頭鉄板6の四辺の中央内側に各々形成した取付孔6aにそれぞれ通して、六角穴付きねじ62の下端部に平座金63及びナット64をそれぞれ装着する。
そして、各々の六角穴付きねじ62の上端部にナット65をそれぞれ装着して、その六角穴付きねじ62に対し下方のナット64をそれぞれ締め込むことで、柱頭鉄板6の上面に四個の凸部61をそれぞれ固定する。
凸部61は、図示のように、上面に周辺部を除いて窪み部61bが形成されており、この窪み部61bの内部に六角穴付きねじ62の上端部及びナット65が収納状態となっている。
さらに、柱頭鉄板6の四隅部には、上下に貫通する取付孔66がそれぞれ形成されている。この取付孔66は、柱頭金物5の柱脚金物4と同様の板部材44における各々の取付孔44aの位置とそれぞれ対応する。
以上の柱頭鉄板6は、図2に示すように、柱2の上端面に載せた柱頭金物5の上面に載せられている。
ここで、二階床の水平構造体3には、予め柱頭鉄板6の位置と対応して、その四隅部の取付孔66が位置する個所にボルト通し孔3aをそれぞれ形成しておく。
さらに、水平構造体3の下面において、柱頭鉄板6が位置する個所には、その四個の凸部61が収納されてそれぞれ係合する、図示しない凹部を形成しておく。
したがって、柱2の上端面に載せた柱頭金物5の上面にさらに載せた柱頭鉄板6に二階床の水平構造体3を載せる際に、柱頭鉄板6上面の凸部61が水平構造体3下面の凹部にそれぞれ係合して位置決め状態となる。
このとき、柱頭金物5における四隅部の取付孔44aに、その上の柱頭鉄板6の取付穴66、その上の水平構造体3のボルト通し孔3aがそれぞれ一致した状態となる。
そして、上方から通しボルト8をボルト通し孔3a、取付穴66、取付孔44aにそれぞれ通して、その通しボルト8の下端部にナット9をそれぞれ装着しておく。
次に、柱脚鉄板7は、前記柱頭鉄板6と上下が逆の構成である。
したがって、柱脚鉄板7は、図2に示すように、水平構造体3に載せる際に、下面の凸部61が水平構造体3上面の凹部にそれぞれ係合して位置決め状態となる。
以上の柱脚鉄板7に、図2に示すように、柱脚金物4を載せる。
このとき、水平構造体3のボルト通し孔3aから突出した通しボルト8の上端部が、その上の柱脚鉄板7の取付穴66、その上の柱脚金物4の取付孔44aを通ってそれぞれ突出状態となる。
その通しボルト8の上端部にナット9をそれぞれ装着して、上下のナット9をそれぞれ締め込むことで、図2に示したように、水平構造体3を挟んで上下の柱頭金物5及び柱頭鉄板6と柱脚鉄板7及び柱脚金物4とが固定状態となる。
こうして、二階床の水平構造体3上に柱脚鉄板7を介して固定された柱脚金物4に二階の柱2を固定してから、その柱2に柱頭金物5及び柱頭鉄板6を介して三階床の水平構造体3を載せる。
さらに、その三階床の水平構造体3上に柱脚鉄板7を介して固定した柱脚金物4に三階の柱2を前述と同様に固定してから、その柱2に柱頭金物5及び柱頭鉄板6を介して屋根板の水平構造体3を載せる。
そして、その屋根板の水平構造体3上に柱脚鉄板7を載せて、図2に示すように、通しボルト8の上端部にナット9をそれぞれ締め込んで固定する。
図7は柱2と柱脚金物4、柱頭金物5、柱頭板6及び柱脚板7を示した分解斜視図である。
(水平構造体の納まり構造変形例)
図8は図2の水平構造体3の納まり構造変形例を示した拡大図である。
すなわち、図示のように、水平構造体3の上面において、鉄板7の配置箇所に窪み部3bを形成して、この窪み部3bに鉄板7と通しボルト8の上端部及びナット9が収納状態となるようにしている。
これにより、床材やルーフィングの敷設が容易に行える。
(水平構造体の構成例)
次に、図9は図2の水平構造体3に用いる木質系積層板材の一例を示すもので、図示のように、水平構造体3に用いる木質系建築材料である木質系積層板材30は、下層板材31と中層板材32と上層板材33とが互いに重ねられて貼り合わされて形成されるものであり、住宅等の建築材料として利用されている。
木質系積層板材は、図示例では三層構造となっているが、三層を超える層構造であってもよく、例えば三層構造の木質系積層板材30に対して中層板材32と上層板材33が重ねられて貼り合わされた五層構造としてよい。
木質系積層板材としては、例えばCLTや集成材、合板、LVL(Laminated Veneer Lumber:単板積層材)が挙げられる。本実施形態における木質系積層板材は、CLTである。
下層板材31と中層板材32と上層板材33は、複数の材料用板31a・32a・33aが並べられて、木質系積層板材における層を成すように形成されたものである。本実施形態における木質系積層板材30はCLTであるため、材料用板31a・32a・33aとしては、挽き板が用いられている。
また、下層と上層の材料用板31a・33aは、木質系積層板材30の長さ方向に沿って長く形成されており、強軸材とも呼ばれている。さらに、中層の材料用板32aは、木質系積層板材30の長さ方向と直交する幅方向に沿って長く形成されており、弱軸材とも呼ばれている。
なお、本実施形態では、下層板材31を構成する複数の材料用板31a同士、中層板材32を構成する複数の材料用板32a同士、上層板材33を構成する複数の材料用板33a同士は、それぞれ並べられた状態で接合されている。
材料用板31a・32a・33aは、12mm~50mmの範囲で、かつ、木質系積層板材30における層ごとに均等な厚さに設定されている。すなわち、下層板材31と中層板材32と上層板材33は、それぞれ異なる厚さの層となるように形成されてもよいし、略等しい厚さの層となるように形成されてもよい。本実施形態における下層板材31と中層板材32と上層板材33は、略等しい厚さの層となるように形成されている。
また、材料用板31a・32a・33aの幅寸法(長さ方向および厚さ方向と直交する方向の寸法)は、一本一本が略等しくなるように設定されている。ただし、これに限られるものではなく、材料用板31a・32a・33aの幅寸法は一様でなくてもよい。すなわち、幅寸法は、木質系積層板材全体の長さ寸法と幅寸法に合わせて、それぞれ異なる幅寸法に設定されていてもよい。
また、本実施形態における木質系積層板材30はCLTであるため、下層板材31と上層板材33には同じ繊維方向の材料用板31a・33aが材料として使用され、中層板材32には、下層板材31及び上層板材33と交差する繊維方向の材料用板32aが材料として使用されている。また、材料用板31a・32a・33aの長さ方向と繊維方向は揃った状態となっている。
実施形態において、水平構造体3は、木質系積層板材30による下層積層板材30L、中層積層板材30M及び上層積層板材30Uを重ねて組み立てた複数層積層体により構成されている。
このように、水平構造体3は、木質系板材31・32・33が三枚積層された木質系積層板材30による下層積層板材30L、中層積層板材30M及び上層積層板材30Uを、三層積層した三層積層体により構成されているので、その木質系積層板材30の三層積層体によって、水平構造体3の厚みと強度を確保することができる。
そして、図10から図17は柱2上の複数層積層板材構成例を示すものである。
先ず、図10は柱2上の一層目の下層積層板材構成例を示す斜視図である。
すなわち、図10(a)に示すように、大形状をなす大判の長方形に形成された下層積層板材30Lの場合は、互いに離間して配置した二本の柱2ごとに長方形の下層積層板材30Lをオーバーハングさせてそれぞれ架け渡す。
この下層積層板材30Lは、図示のように、その長手方向と直交する方向に平行にそれぞれ隣接して互いに連続させる。
このように、一層目から連続床となる。
また、図10(b)に示すように、小形状をなす小判の略正方形に形成された下層積層板材30Lsの場合は、互いに離間して配置した柱2の各々に、略正方形の下層積層板材30Lsを個別にそれぞれ載せる。
このように、一層目では連続床にならない。
そして、図10(c)に示すように、オーバーハングしない場合は、互いに離間して配置した二本の柱2ごとに長方形の下層積層板材30Lを、その端部を柱2の真ん中に各々位置させてそれぞれ架け渡す。
この下層積層板材30Lは、図示のように、その長方形の長手方向にそれぞれ隣接して互いに連続させるとともに、長手方向と直交する方向に平行にそれぞれ隣接して互いに連続させる。
このように、一層目から連続床となる。
図11は二層目の中層積層板材構成例を示す斜視図である。
すなわち、図10(a)のような大判の下層積層板材30Lの場合は、図11(a)に示すように、互いに離間した二枚の下層積層板材30Lごとに、長方形の中層積層板材30Mを、その長手方向を直交させてそれぞれ架け渡す。
この中層積層板材30Mは、図示のように、一端部を一方の下層積層板材30Lに重ねて揃え、他端部を他方の下層積層板材30Lの真ん中に重ねて架け渡す。
そして、中層積層板材30Mは、その長方形の長手方向にそれぞれ隣接して互いに連続させるとともに、長手方向と直交する方向に平行にそれぞれ隣接して互いに連続させる。
このように、二層目から連続床になる。
また、図11(b)に示すように、一枚の下層積層板材30Lごとに、長方形の中層積層板材30Mを、その長手方向を直交させて中央部をそれぞれ載せ、両端部をそれぞれオーバーハングさせる。
この中層積層板材30Mも、図示のように、その長方形の長手方向にそれぞれ隣接して互いに連続させるとともに、長手方向と直交する方向に平行にそれぞれ隣接して互いに連続させる。
このように、二層目から連続床になる。
図12は二層目の他の中層積層板材構成例を示す斜視図である。
すなわち、図10(b)のような小判の下層積層板材30Lsの場合は、図12(a)に示すように、互いに離間した二枚の下層積層板材30Lsごとに、長方形の中層積層板材30Mをそれぞれ架け渡す。
この中層積層板材30Mは、図示のように、一端部を一方の下層積層板材30Lsに重ねて揃え、他端部を他方の下層積層板材30Lsの真ん中に重ねて架け渡す。
そして、中層積層板材30Mは、その長方形の長手方向にそれぞれ隣接して互いに連続させるとともに、長手方向と直交する方向に平行にそれぞれ隣接して互いに連続させる。
このように、二層目から連続床になる。
また、図12(b)に示すように、互いに離間した一枚の下層積層板材30Lsごとに、長方形の中層積層板材30Mを個別に、その中央部をそれぞれ載せて、両端部をそれぞれオーバーハングさせる。
この中層積層板材30Mも、図示のように、その長方形の長手方向にそれぞれ互いに隣接して連続させるとともに、長手方向と直交する方向に平行にそれぞれ隣接して互いに連続させる。
このように、二層目から連続床になる。
図13は二層目の他の中層積層板材構成例を示す斜視図である。
すなわち、図10(b)のような小判の下層積層板材30Lsの場合は、図13(a)に示すように、互いに離間した小判の下層積層板材30Lsの各々に、正方形の中層積層板材30Msを個別にそれぞれ載せる。
このように、二層目までは連続床にならない。
また、図13(b)に示すように、互いに離間した三枚の下層積層板材30Lsごとに、長方形の中層積層板材30Mを各々載せて、両端部をそれぞれオーバーハングさせる。
このように、二層目までは連続床にならない。
図14は二層目の他の中層積層板材構成例を示す斜視図である。
すなわち、図10(c)のような大判の下層積層板材30Lを長手方向及びその直交方向に並べた場合は、図14に示すように、互いに隣接した二枚の下層積層板材30Lごとに、長方形の中層積層板材30Mを、その長手方向を直交させて各々載せて、両端部をそれぞれオーバーハングさせる。
この中層積層板材30Mは、図示のように、その長方形の長手方向と直交する方向に平行にそれぞれ隣接して互いに連続させる。
また、その横並びの中層積層板材30Mの両側部は、両側部の下層積層板材30Lからオーバーハングしている。
このように、二層目も連続床になる。
図15は三層目の上層積層板材構成例を示す斜視図である。
すなわち、図11(a)のような大判の中層積層板材30Mを長手方向及びその直交方向に並べた場合は、図15(a)に示すように、短手方向に中層積層板材30Mが並んだ四枚ごとに、長方形の上層積層板材30Uを、その長手方向を直交させて載せて、中層積層板材30Mに端部を揃える。
そして、上層積層板材30Uは、図示のように、長手方向と直交する方向に平行にそれぞれ隣接して互いに連続させる。
こうして、三層の連続床を構成する。
また、図11(b)のような大判の中層積層板材30Mを長手方向に並べた場合は、図15(b)に示すように、短手方向に中層積層板材30Mが平行に離間した三枚ごとに、その長手方向の両端部から、長方形の上層積層板材30Uを、その長手方向を直交させて架け渡して、中層積層板材30Mに端部を揃える。こうして、平行する中層積層板材30M間に隙間Sが形成される。
そして、両端部において、上層積層板材30Uは、図示のように、長手方向と直交する方向に平行に二枚それぞれ隣接して互いに連続させる。
さらに、両端部間の中間部には、長方形の上層積層板材30Uを、その長手方向を合わせてそれぞれ架け渡して、中層積層板材30Mに端部をそれぞれ揃えるとともに、両端部の直交する上層積層板材30Uに互いにそれぞれ連続させる。
そして、両端部間の中間部において、上層積層板材30Uは、図示のように、長手方向に互いにそれぞれ連続させる。
こうして、三層の連続床を構成する。
ここで、CLTの単枚は製造の限界で3m×12mであるが、CLTを複数層で積層することで、図15(b)に示したように、CLTを三層積層した三層積層体30L+30M+30Uによれば、短手方向二本の柱2・2の芯々間隔が9mで、長手方向二本の柱2・2の芯々間隔17mのような大空間の連続床が実現可能となる。
図16は三層目の他の上層積層板材構成例を示す斜視図である。
すなわち、図12(b)のような大判の中層積層板材30Mを長手方向及びその直交方向に並べた場合は、図16(a)に示すように、互いに隣接して平行する三枚の中層積層板材30Mに、長方形の上層積層板材30Uを、その長手方向を直交させて載せて、中層積層板材30Mに端部を揃える。
そして、上層積層板材30Uは、図示のように、長手方向と直交する方向に平行にそれぞれ隣接して互いに連続させる。
こうして、三層の連続床を構成する。
また、図12(a)のような大判の中層積層板材30Mを長手方向に並べた場合は、図16(b)に示すように、互いに離間して平行する三枚の中層積層板材30Mに、長方形の上層積層板材30Uを、その長手方向を直交させて架け渡して、中層積層板材30Mに端部を揃える。
そして、上層積層板材30Uは、図示のように、長手方向と直交する方向に平行にそれぞれ隣接して互いに連続させる。
こうして、三層の連続床を構成する。
また、図13(a)のような互いに離間した小判の中層積層板材30Msの場合は、図16(c)に示すように、互いに長手方向に離間する二枚の中層積層板材30Msごとに、互いに離間した二枚の中層積層板材30Msごとに、長方形の上層積層板材30Uをそれぞれ架け渡す。
この上層積層板材30Uは、図示のように、一端部を一方の中層積層板材30Msに重ねて揃え、他端部を他方の中層積層板材30Msの真ん中に重ねて架け渡す。
そして、上層積層板材30Uは、その長方形の長手方向にそれぞれ隣接して互いに連続させるとともに、長手方向と直交する方向に平行にそれぞれ隣接して互いに連続させる。
こうして、三層の連続床を構成する。
図17は三層目の他の上層積層板材構成例を示す斜視図である。
すなわち、図13(b)のような互いに離間した大判の中層積層板材30Mの場合は、図22に示すように、互いに離間した一枚の中層積層板材30Mごとに、長方形の上層積層板材30Uを、その中央部をそれぞれ載せて、両端部をそれぞれオーバーハングさせる。
この上層積層板材30Uは、図示のように、その長方形の長手方向にそれぞれ互いに隣接して連続させるとともに、長手方向と直交する方向に平行にそれぞれ隣接して互いに連続させる。
こうして、三層の連続床を構成する。
以上のとおり、水平構造体3は、木質系板材31・32・33が複数枚積層された木質系積層板材30を、三層積層して構成した三層積層体30L+30M+30Uなので、その木質系積層板材30の三層積層体30L+30M+30Uによって、床版としての水平構造体3の厚みと強度を確保することができる。
以上のように、柱2の上端面と水平構造体3の下面との間に介在された、柱2の水平方向断面積よりも面積が大きい柱頭鉄板6を備えるので、CLTのような強度の高い床を使って高層の建物を構築する場合において、梁が無くても、柱2の上端に掛かる水平構造体3の荷重を、柱2の水平方向断面積よりも面積が大きい柱頭鉄板6より分散することができる。また、水平構造体3の下面に対する柱2のめり込み防止に繋がる。
さらに、柱2の上端面と水平構造体3の下面との間に介在された柱頭鉄板6の存在により、柱2と水平構造体3の各々に対するせん断抵抗がそれぞれ大きくなって、柱2と水平構造体3との滑りを防止することができる。
しかも、柱頭鉄板6の上下面に摩擦抵抗を上げる塗装が施されているので、摩擦抵抗が上がり、柱2と水平構造体3の各々に対するせん断抵抗がそれぞれより大きくなって、柱2と水平構造体3との滑りをより効果的に防止することができる。
したがって、柱2の上端における水平構造体3の支持強度を確保することができる。
すなわち、柱2の上端面と床3の下面との間に介在された、柱2の水平方向断面積よりも面積が大きい柱頭板6を備える建物なので、CLTのような強度の高い床を使った高層の建物において、梁が無くても、柱2の上端に掛かる床3の荷重を、柱2の水平方向断面積よりも面積が大きい柱頭板6より分散することができる。また、床3の下面に対する柱2のめり込み防止に繋がる。
さらに、柱2の上端面と床3の下面との間に介在された柱頭板6の存在により、柱2と床3の各々に対するせん断抵抗がそれぞれ大きくなって、柱2と床3との滑りを防止することができる。
したがって、柱2の上端における床3の支持強度を確保することができる。
さらに、水平構造体3の上面における柱2の延長線上の位置に配置された、柱2の水平方向断面積よりも面積が大きい柱脚鉄板7を備えるので、水平構造体3の上面に掛かる柱2の荷重を、柱2の水平方向断面積よりも面積が大きい柱脚鉄板7より分散して、水平構造体3の上面における柱2の支持強度を確保することができる。また、水平構造体3の上面に対する柱2のめり込み防止に繋がる。
また、水平構造体3の上面と柱2の下端面との間に介在された柱脚鉄板7の存在により、水平構造体3と柱2の各々に対するせん断抵抗がそれぞれ大きくなって、水平構造体3と柱2との滑りを防止することができる。
そして、水平構造体3と柱頭鉄板6及び柱脚鉄板7に通しボルト8を貫通して、その通しボルト8に装着したナット9を、上下から柱頭鉄板6及び柱脚鉄板7に固定することで、柱頭鉄板6と柱脚鉄板7との間に水平構造体3を挟んで、通しボルト8を引張材として上下のナット9間に強固に固定することができる。また、水平構造体3の上下両面に対する柱2のめり込みを防止できる。
また、柱頭鉄板6の上面に備えた上面凸部61が、水平構造体3の下面に形成した下面凹部に係合されているので、上面凸部61と下面凹部の係合によって、水平構造体3と柱頭鉄板6とのズレを防止することができる。
そして、柱脚鉄板7の下面に備えた下面凸部が、水平構造体3の上面に形成した上面凹部に係合されているので、下面凸部と上面凹部に係合によって、水平構造体3と柱脚鉄板7とのズレを確実に防止することができる。
さらに、柱2の上端面と柱頭鉄板6の下面との間に介在された柱頭金物5の上部に通しボルト8が貫通して、その柱頭金物5の上部内にナット9が固定されているので、柱2と柱頭鉄板6との間に柱頭金物5を挟んで、通しボルト8を引張材として上下のナット9間に強固に固定することができる。
また、柱脚鉄板7の上面と、その上方に配置される上階用柱2の下端面との間に介在された柱脚金物4の下部に通しボルト8が貫通して、その柱脚金物4の下部内にナット9が固定されているので、柱2と柱脚鉄板7との間に柱脚金物4を挟んで、通しボルト8を引張材として上下のナット9間に強固に固定することができる。
そして、水平構造体3は、木質系板材31・32・33が複数枚積層された木質系積層板材30を、さらに複数層積層して構成されているので、その木質系積層板材30の複数層積層体によって、水平構造体3の厚みと強度を確保することができる。
すなわち、複数本の柱2に架け渡された木質系積層板材30による複数の平行する下層積層板材30Lと、その複数の平行する下層積層板材30Lに対し、その架け渡し方向と直交する方向に架け渡された木質系積層板材30による複数の平行する上層側積層板材30M・30Uとによって、水平構造体3の厚みと強度を確保することができる。
つまり、複数本の柱2に架け渡された複数の平行する下層積層板材30Lと、その複数の平行に隣接する下層積層板材30Lに対し、その架け渡し方向と直交する方向に架け渡された複数の平行に隣接する中層積層板材30Mと、その複数の平行する中層積層板材30Mに対し、その架け渡し方向と直交する方向に架け渡された複数の平行に隣接する上層積層板材30Uとによって、水平構造体3の厚みと強度を確保することができる。
また、複数本の柱2に対し、端部をオーバーハングしないで架け渡された複数の平行に隣接する下層積層板材30Lと、その複数の平行に隣接する下層積層板材30Lに対し、その架け渡し方向と直交する方向に端部をオーバーハングさせて架け渡された複数の平行に隣接する上層積層板材30Uとによっても、水平構造体3の厚みと強度を確保することができる。
また、複数本の柱2に個別に載せられた複数の下層積層板材30Lと、その複数の下層積層板材30Lに架け渡された複数の上層側積層板材30M・30Uとによって、水平構造体3の厚みと強度を確保することができる。
つまり、複数本の柱2に個別に載せられた木質系積層板材による複数の下層積層板材30Lと、その複数の下層積層板材30Lに架け渡された複数の平行する中層積層板材30Mと、その複数の平行する中層積層板材30Mに対し、その架け渡し方向と直交する方向に架け渡された複数の平行に隣接する上層積層板材30Uとによって、水平構造体3の厚みと強度を確保することができる。
また、複数本の柱2に個別に載せられた複数の小形状に形成された下層積層板材30Lsと、その複数の小形状に形成された下層積層板材30Lsに個別に載せられた複数の上層側積層板材30M・30Uとによって、水平構造体3の厚みと強度を確保することができる。
つまり、複数本の柱2に個別に載せられた複数の小形状に形成された下層積層板材30Lsと、その複数の小形状に形成された下層積層板材30Lsに個別に載せられた複数の小形状に形成された中層積層板材30Msと、その複数の小形状に形成された中層積層板材30Msに架け渡された複数の平行に隣接する上層積層板材30Uとによって、水平構造体3の厚みと強度を確保することができる。
また、複数本の柱2に個別に載せられた複数の小形状に形成された下層積層板材30Lsと、その複数の小形状に形成された下層積層板材30Lsに個別に載せられた複数の平行する中層積層板材30Mと、その複数の平行する中層積層板材30Mに対し、その架け渡し方向と直交する方向に架け渡された複数の平行に隣接する上層積層板材30Uとによって、水平構造体3の厚みと強度を確保することができる。
そして、柱2は、四隅部に離間して配置された垂直方向の軸材21と、四辺部に配置されて、離間した軸材21同士を連結する建築用パネル26とからなるので、大断面かつ欠損の少ない柱として機能させることができる。
さらに、軸材21の上端面から突出する上側連結ボルト24が、柱頭金物5の四隅部にナット15で固定されているので、柱2上の四隅部において、軸材21に柱頭金物5を上側連結ボルト24及びナット15で強固に固定することができる。
また、軸材21の下端面から突出する下側連結ボルト22が、柱脚金物4の四隅部にナット14で固定されているので、柱2下の四隅部において、軸材21に柱脚金物4を下側連結ボルト22及びナット14で強固に固定することができる。
(建物構成例2)
次に、図18は建物構成例2を示す概略斜視図である。
図示のように、基礎1に柱脚金物4を介して、所定間隔で多数本建てられた一階の柱2に柱頭金物5を介して、二階床を構成する水平構造体3F2が支持されている。その二階床の水平構造体3F2に柱脚金物4を介して、多数本建てられた二階の柱2に柱頭金物5を介して、三階床を構成する水平構造体3F3が支持されている。その三階床の水平構造体3F3に柱脚金物4を介して、多数本建てられた三階の柱2に柱頭金物5を介して、屋根板を構成する水平構造体3Tが支持されている。
なお、一階、二階及び三階における各々の柱2は、図示のように、同一延長線上の位置にそれぞれ配置されている。
そして、二階床、三階床及び屋根板における各々の水平構造体3F2・3F3・3Tは、一階の柱2に架け渡したCLTによる下層積層板材30Lの上に上層積層板材30Uを架け渡してそれぞれ構成されている。
図19は図18の柱2と柱脚金物4及び柱頭金物5を拡大した分解斜視図である。
図示のように、柱2は、四隅部の軸材21が四辺部の建築用パネル26に対し外側に突出しており、その軸材21の上端面には、補強キャップ25から四本の連結ボルト24が突出している。
なお、軸材21の下端面には、補強キャップ23から四本の連結ボルト22(図略)が突出している。
柱脚金物4は、四隅部の軸材21が外側に突出した柱2の形状に対応して、四隅部の箱形金物41が四辺部の連結部材46に対し外側に突出しており、その箱形金物41の上下両端面には、ボルト通し用に四個の取付孔がそれぞれ形成されている。
同様に、柱頭金物5も、四隅部の軸材21が外側に突出した柱2の形状に対応して、四隅部の箱形金物41が四辺部の連結部材46に対し外側に突出しており、その外側に突出した箱形金物41の上下両端面には、ボルト通し用に四個の取付孔がそれぞれ形成されている。
なお、建物構成例1のような柱頭板及び柱脚板も使用してよい。
(建物構成例3)
次に、図20は建物構成例3の概略斜視図である。
図示のように、基礎1に所定間隔で多数本建てられた一階の柱2に二階床を構成する水平構造体3F2が支持されている。
その二階床の水平構造体3F2に多数本建てられた二階の柱2と、基礎1に一本建てられた通し柱2Aとに三階床を構成する水平構造体3F3が支持されている。
その三階床の水平構造体3F3に多数本建てられた三階の柱2と、基礎1の一辺に四本並んで建てられた通し柱2Bと、二階床の水平構造体3F2に離間して二本建てられた通し柱2C(図23参照)とに屋根板を構成する水平構造体3Tが支持されている。
なお、一階、二階及び三階における各々の柱2と通し柱2A・2Bは、図示のように、同一延長線上の位置にそれぞれ配置されている。
そして、二階床の水平構造体3F2は、一階の柱2に架け渡したCLTによる下層積層板材で形成された下層水平構造体30Lの上に、CLTによる中層積層板材で形成された中層水平構造体30Mを架け渡して、その中層水平構造体30Mの上に、CLTによる上層積層板材で形成された上層水平構造体30Uを架け渡して構成されている。
なお、二階床の水平構造体3F2は、二つに分割されていて、その分割された水平構造体3F2・3F2間は下層水平構造体30L、中層水平構造体30M及び上層水平構造体30Uで接続されている。
三階床の水平構造体3F3は、一階の通し柱2Aと二階の柱2に架け渡した下層水平構造体30Lの上に中層水平構造体30Mを架け渡して、その中層水平構造体30Mの上に上層水平構造体30Uを架け渡して構成されている。
屋根板の水平構造体3Tは、一階の通し柱2Bと二階の柱2と通し柱2Cに架け渡した下層水平構造体30Lの上に一層目の中層水平構造体30M1を載せて、その中層水平構造体30M1の上に面積の大きな二層目の中層水平構造体30M2を載せている。
その二層目の中層水平構造体30M2の上に、さらに複数枚の三層目をなす中層水平構造体30M3を平行に離間させて載せ、その上段の中層水平構造体30M3の上に上層水平構造体30Uを架け渡して構成されている。
図21は図20における水平構造体3の支持構造を縦断面で示す概略斜視図である。
図示のように、柱2上端に固定した柱頭金物5の上に下層水平構造体30L、中層水平構造体30M、上層水平構造体30Uの順に載せている。
その上層水平構造体30Uの上に載せた柱脚金物4と下方の柱頭金物5との間を、外側に突出した四隅部の箱形金物41において、四本の通しボルト8及びナット9(図略)でそれぞれ固定している。
なお、建物構成例1のような柱頭板及び柱脚板も使用してよい。
そして、柱2において、外側に突出した四隅部の軸材21に沿った厚さ35mmの燃えしろ設計範囲2fを示して、床及び屋根板の水平構造体3においても、下層水平構造体30L、中層水平構造体30M及び上層水平構造体30Uの下面及び外側面に沿った厚さ35mmの燃えしろ設計範囲3fを示している。
なお、上層水平構造体30Uの下面に凹部30aが形成されて、この凹部30aに中層水平構造体30Mの上部が埋設されている。
図22は図20の建物内を示した要部拡大図である。
図示のように、二階床の水平構造体3F2は、中層水平構造体30Mの上下両面に凹部30aがそれぞれ形成されている。
この中層水平構造体30M下面の凹部30aに下層水平構造体30Lの上部が埋設されて、中層水平構造体30M上面の凹部30aに上層水平構造体30Uの下部が埋設されている。
三階床の水平構造体3F3は、下層水平構造体30Lの上面に凹部30aが形成されて、 この凹部30aに中層水平構造体30Mの下部が埋設されている。
なお、上層水平構造体30Uの下面に凹部30aを形成して、この凹部30aに中層水平構造体30Mの上部を埋設してもよい。
図23は図20の建物を構成する基礎1と柱2・2A・2B・2Cと床の水平構造体3F2・3F3と屋根板の水平構造体3Tの分解斜視図である。
図示のように、二階床の分割された水平構造体3F2には、三階床の水平構造体3F3を載せる複数本の柱2と、屋根板の水平構造体3Tを載せる通し柱2Cとが建てられている。
屋根板の水平構造体3Tは、複数枚の上層水平構造体30Uが平行に離間させて配置されており、その平行に離間させて配置された上層水平構造体30Uの間で、その下の平行に離間させて配置された上段の中層水平構造体30M3の間において、平行に離間させて配置された複数のトップライト3TLが形成されている。
(他の水平構造体構成例)
図24は水平構造体3の構成例を示した斜視図である。
図示のように、水平構造体3は、離間した柱2の上端間に架け渡した三枚の下層水平構造体30Lごとに、長方形で長さが半分の中層水平構造体30M1を、その長手方向を直交させて中央部をそれぞれ載せ、両端部をそれぞれオーバーハングさせる。
すなわち、真ん中の下層水平構造体30Lに、長さが半分の中層水平構造体30M1を、その長手方向を直交させて中央部をそれぞれ載せて、その両端部をそれぞれオーバーハングさせる。この中層水平構造体30M1を平行に離間させて三枚配置する。こうして、平行する中層水平構造体30M1間に隙間Sが形成される。
また、両端部の下層積層板材30Lには、長さが半分の中層水平構造体30M1を、その長手方向を直交させて外端部を揃えてそれぞれ載せる。この中層水平構造体30M1を平行に離間させて三枚配置する。こうして、平行する中層水平構造体30M2間にも隙間Sが形成される。
そして、その平行に離間させて三枚配置した中層水平構造体30M1ごとに、大判の中層水平構造体30M2を長手方向に並べてそれぞれ載せる。
すなわち、真ん中の中層水平構造体30M1に、大判の中層水平構造体30M2を、その長手方向に沿って中央部をそれぞれ載せて、その両端部をそれぞれオーバーハングさせる。
また、両端部の中層水平構造体30M1には、大判の中層水平構造体30M2を、その長手方向を直交させて外端部を揃えてそれぞれ載せる。
なお、真ん中及び両端部における大判の中層水平構造体30M2は、図示のように、長手方向に互いにそれぞれ連続させる。
さらに、短手方向に中層水平構造体30M2が平行に離間した三枚ごとに、その長手方向の両端部から、長方形の上層水平構造体30Uを、その長手方向を直交させて架け渡して、中層水平構造体30M2に端部を揃える。
すなわち、両端部の中層水平構造体30M2において、上層水平構造体30Uは、図示のように、長手方向と直交する方向に平行に二枚それぞれ隣接して互いに連続させる。
また、真ん中及びその両側の平行に離間した三枚の中層水平構造体30M2において、四枚の上層水平構造体30Uを、その長手方向を合わせて短手方向に並べてそれぞれ載せて、両端部の直交する上層水平構造体30Uに互いにそれぞれ連続させる。
こうして、四層の連続床を構成する。
以上、実施形態によれば、柱2に支持された、当該柱2の水平方向断面積よりも大きい面積を有する下層水平構造体30Lの上面に、当該下層水平構造体30Lの面積よりも大きい面積を有する上層側水平構造体が、隅部及び端部以外の部分で載せられている。
これにより、下層水平構造体30L上面において、上層側水平構造体を、柱2に支持された、当該柱2の水平方向断面積よりも大きい面積を有する下層水平構造体30Lの全面で支持できるため、上層側水平構造体支持スパンを大きくすることができる。
そして、複数の柱2に、下層水平構造体30Lが架け渡されているので、複数の柱2に架け渡される長い下層水平構造体30Lを採用できるとともに、その長い下層水平構造体30Lの支持スパンを大きくして、下層水平構造体30Lの幅も大きくすることができ、下層水平構造体30Lの面積を広くすることができる。
また、柱2の各々に、下層水平構造体30Lが個別にそれぞれ支持されているので、例えば図10(b)、図12、図13、図16、図17に示すように、複数の柱2ごとに、下層水平構造体30L(小判の下層水平構造体30Ls)をそれぞれ支持することができる。
さらに、上層側水平構造体は、下層水平構造体30Lの上面に隅部及び端部以外の部分で載せられた、下層水平構造体30Lの面積よりも大きい面積を有する中層水平構造体30Mと、その複数の中層水平構造体30Mの上面に架け渡された上層水平構造体30Uと、からなる。
すなわち、下層水平構造体30Lの上面に隅部及び端部以外の部分で載せられた、下層水平構造体30Lの面積よりも大きい面積を有する複数の中層水平構造体30Mの上面に、上層水平構造体30Uが架け渡されているので、複数の中層水平構造体30Mに架け渡される長い上層水平構造体30Uを採用できるとともに、その長い上層水平構造体30Uの支持スパンを大きくして、上層水平構造体30Uの幅も大きくすることができる。
しかも、中層水平構造体30Mは、上層側に行くにつれて面積が大きくなる層が積層して形成されているので、一層目の中層水平構造体30M1の上に、面積が大きい二層目の中層水平構造体30M2を積層して、その上に、さらに面積が大きい三層目の中層水平構造体30M3を順次積層して、複数の柱2間を緩やかなアーチ状をなす中層水平構造体30M1・30M2・30M3及び上層水平構造体30Uで繋いだ支持構造により、荷重を支えることができ、かつ意匠性を高めることができる。
また、中層水平構造体30Mは、水平方向に複数並べられ、離間して配置されているので、水平方向に複数並べられた中層水平構造体30Mの間に隙間Sを形成して、水平構造体30L・30M全体として軽量化することができる。
さらに、上層水平構造体30Uは、水平方向に複数並べられ、離間して配置されているので、水平方向に複数並べられた上層水平構造体30Uの間に隙間Sを形成して、水平構造体30L・30M・30U全体として軽量化することができる。
そして、上層水平構造体30U間の隙間Sと中層水平構造体30M間の隙間Sをオーバーラップさせることで、屋根に水平構造体30L・30Mを用いた場合に、トップライト3TLを形成することができる。
また、下層水平構造体30Lの上面と中層水平構造体30Mの下面とのいずれか一方に凹部30aが形成されており、その凹部30aに下層水平構造体30Lの上部又は中層水平構造30M体の下部が埋設されているので、下層水平構造体30Lと中層水平構造体30Mの意匠性を高めることができ、水平構造体30L・30Mの積層方向の寸法を抑えることができる。したがって、建物全体の高さも抑えることができる。
そして、中層水平構造体30Mの上面と上層水平構造体30Uの下面とのいずれか一方に凹部30aが形成されており、その凹部30aに中層水平構造体30Mの上部又は上層水平構造体30Uの下部が埋設されているので、中層水平構造体30Mと上層水平構造体30Uの意匠性を高めることができ、水平構造体30M・30Uの積層方向の寸法を抑えることができる。したがって、建物全体の高さも抑えることができる。
(変形例)
以上の実施形態においては、水平構造体を複数層の木質系積層板材から構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、単層の木質系積層板材や他の板材や角材等の集合材であってもよく、さらに、コンクリート版や鋼版であってもよい。
また、実施形態では、水平構造体を平行に並べたり直交させたりしたが、水平構造体を斜め方向に配置してもよい。
さらに、建物構成例1における水平構造体の支持構造を建物構成例2・3に適用し、建物構成例2における水平構造体の支持構造を建物構成例1・3に適用し、建物構成例3における水平構造体の支持構造を建物構成例1・2に適用してもよい。
また、柱や水平構造体の形状等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
2 柱
3 水平構造体
30L 下層水平構造体
30M 中層水平構造体
30U 上層水平構造体
30a 凹部

Claims (10)

  1. 水平断面形状が矩形状の複数の柱と、
    前記複数の柱の上端面の上にそれぞれ載って前記複数の柱にそれぞれ取り付けられ、前記柱の水平断面形状の四つの角の上に中空を有する複数の柱頭金物と、
    前記複数の柱頭金物に載せられて、前記複数の柱頭金物の間に架け渡されるよう連続する床又は屋根板と、
    前記床又は前記屋根を前記柱頭金物に固定するボルトナット締結体と、を備える建物躯体において、
    前記ボルトナット締結体が前記柱ごとに四つあり、
    前記ボルトナット締結体が前記柱頭金物の中空から前記床又は前記屋根の上まで前記柱頭金物の上部及び前記床又は前記屋根を上下に貫通して、前記柱頭金物の上部及び前記床又は前記屋根を上下に締め付け、
    前記床又は前記屋根が、
    下層水平構造体と、
    前記下層水平構造体の上面に載せられた上層側水平構造体と、
    を有し、
    前記下層水平構造体が、前記柱の水平方向断面積よりも大きい面積を有し、
    前記上層側水平構造体が、前記下層水平構造体の面積よりも大きい面積を有し、
    前記上層側水平構造体が成す第1層が、前記下層水平構造体が成す第2層が前記柱の上端の周囲において成すエッジから張り出すことによって、前記第1層の下面と前記第2層の下面との間の段差が前記エッジに沿って形成され、その段差が前記床又は前記屋根の下方から見える
    ことを特徴とする建物躯体。
  2. 請求項1に記載の建物躯体において、
    前記上層側水平構造体は、
    前記下層水平構造体が成す前記第2層に載せられ、長方形に成し、その長方形の短辺方向に配列された複数の中層水平構造体と、
    前記複数の中層水平構造体が成す中層に載せられ、長方形に成し、その長方形の短辺方向に配列された複数の上層水平構造体と、
    を有し、
    前記複数の上層水平構造体の長辺方向が前記複数の中層水平構造体の短辺方向に沿い、前記前記複数の上層水平構造体のそれぞれは前記複数の中層水平構造体の隣り同士の境界を跨ぐよう配置されている
    ことを特徴とする建物躯体。
  3. 請求項1に記載の建物躯体において、
    前記複数の柱に、前記下層水平構造体が架け渡されていることを特徴とする建物躯体。
  4. 請求項1に記載の建物躯体において、
    前記柱の各々に、前記下層水平構造体が個別にそれぞれ支持されていることを特徴とする建物躯体。
  5. 請求項1、3又は4に記載の建物躯体において、
    前記上層側水平構造体は、
    前記下層水平構造体の上面に載せられた、前記下層水平構造体の面積よりも大きい面積を有する中層水平構造体と、
    複数の前記中層水平構造体の上面に架け渡された上層水平構造体と、
    からなり、
    前記上層水平構造体が成す上層が、前記中層水平構造体が成す中層が前記柱の上端の周囲において成す第2エッジから張り出すことによって、前記上層の下面と前記中層の下面との間の段差が前記第2エッジに沿って形成され、その段差が前記床又は前記屋根の下方から見える
    ことを特徴とする建物躯体。
  6. 請求項に記載の建物躯体において、
    前記中層水平構造体は、上層側に行くにつれて面積が大きくなる層が積層して形成されていることを特徴とする建物躯体。
  7. 請求項5又は6に記載の建物躯体において、
    前記中層水平構造体は、水平方向に複数並べられ、離間して配置されていることを特徴とする建物躯体。
  8. 請求項5から7のいずれか一項に記載の建物躯体において、
    前記上層水平構造体は、水平方向に複数並べられ、離間して配置されていることを特徴とする建物躯体。
  9. 請求項5から8のいずれか一項に記載の建物躯体において、
    前記下層水平構造体の上面と前記中層水平構造体の下面とのいずれか一方に凹部が形成されており、
    前記下層水平構造体の上部又は前記中層水平構造体の下部が前記凹部に埋設されていることを特徴とする建物躯体。
  10. 請求項5から9のいずれか一項に記載の建物躯体において、
    前記中層水平構造体の上面と前記上層水平構造体の下面とのいずれか一方に凹部が形成されており、
    前記中層水平構造体の上部又は前記上層水平構造体の下部が前記凹部に埋設されていることを特徴とする建物躯体。
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