JP7452023B2 - 積層体及びこれを用いた包装袋 - Google Patents

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Description

本発明は、紙基材とシーラント層とを備える積層体、およびこれを用いた包装袋に関する。
従来、紙カップやトレー等の紙容器においては、紙基材層/シーラント層構成の積層体が知られており、また、シーラント層の構成をポリエチレン等のポリオレフィン樹脂の少なくとも一部を、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマスポリエチレンに置き換えることで、包装材料として化石燃料の使用を減らすことが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2017-196777号公報
しかしながら、紙カップのような容器とは異なり、坪量の低い紙基材層とシーラント層で構成され、可撓性を有する、いわゆる紙軟包装材料においては、シール部の埋まり不良による製袋適性の低下や、デッドホールド性の不足などの問題がある。
本発明の目的は、上記の課題を解決すべく、バイオマスポリエチレンを用いながら、製袋適性やデッドホールド性に優れる積層体及びこれを用いた包装袋を提供することにある。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
第1の発明は、少なくとも紙基材層(11)を含む基材層上に、直接又はアンカーコート層を介して、シーラント層(12)が形成されている積層体(10)であって、
前記紙基材層は、坪量Pが20g/m以上99g/m以下であり、
前記シーラント層は、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマスポリエチレン含み、バイオマス度が5%以上であり、
前記シーラント層は、厚さSが20μm以上60μm以下であり、
前記紙基材層の坪量P、前記シーラント層の厚さS、前記シーラント層の密度M、が以下の関係式(I)を満たす、積層体である。
0.33<(S×M)/P<1 ・・・(I)
第2の発明は、少なくとも紙基材層を含む基材層(11)上に、直接又はアンカーコート層を介して、接着樹脂層又は接着剤層(15)と、シーラント層(12A)とが順に形成されている積層体(10A)であって、
前記紙基材層は、坪量Pが20g/m以上99g/m以下であり、
前記シーラント層及び/又は前記接着樹脂層は、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマスポリエチレン含み、前記シーラント層及び前記接着樹脂層のバイオマス度が5%以上であり、
前記シーラント層の厚さSと前記接着樹脂層の厚さSの合計厚さSが20μm以上60μm以下であり、
前記紙基材層の坪量P、前記シーラント層の厚さS、前記シーラント層の密度M、前記接着樹脂層の厚さS、前記接着樹脂層の密度M、が以下の関係式(II)を満たす、積層体である。
0.33<(S×M+S×M)/P<1 ・・・(II)
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明の積層体を用いて形成される、ピロー包装袋(50)である。
第4の発明は、第1の発明又は第2の発明の積層体を用いて形成される、ガセット包装袋(70)である。
第5の発明は、第3の発明又は第4の発明の包装袋において、
前記包装袋内に収容される内容物が粉体又は粒体である、包装袋である。
本発明によれば、バイオマスポリエチレンを用いながら、製袋適性やデッドホールド性に優れる積層体及びこれを用いた包装袋を提供することができる。
第1実施形態(押出ラミネーション構成)の積層体の断面図である。 第2実施形態の(ポリエチレンサンドラミネーション構成)積層体の断面図である。 本発明の積層体を用いた包装袋の一例であるピロー包装袋の斜視図である。 図3における(a)裏面から見た平面図、(b)a-a断面図、(c)b-b断面図である。 本発明の積層体を用いた包装袋の一例であるガセット包装袋の斜視図である。 図5における(a)裏面から見た平面図、(b)c-c断面図、(c)d-d断面図である。
本発明による積層体について、図面を参照しながら説明する。本発明による積層体の断面図の例を図1、図2に示す。
<第1実施形態の積層体>
図1に示すように、本発明の第1の発明の一例である第1実施形態の積層体10は、紙基材層11を含む基材層に、接着樹脂層又は接着剤層を介さずに、シーラント層12が直接形成されている。この実施形態は、従来公知の押出コーティング法によってシーラント層12が形成されている積層構成であり、シーラント層12は、紙基材層11上に溶融押出されて形成されている。
また、紙基材層11におけるシーラント層12と反対側の面上には、絵柄層13と、表面層14が順次形成されている。
以下、積層体10を構成する各層について説明する。
(紙基材層)
紙基材層11は、シーラント層12を支持する基材層であり、坪量が100g/m以上である紙カップ用のカップ原紙や、紙容器用のミルクカートン原紙とは異なり、可撓性のある、いわゆる紙軟包装を構成する紙基材である。具体的には、紙基材の坪量Pが20g/m以上99g/m以下であり、好ましくは30g/m以上80g/m以下である。紙基材の坪量Pが20g/m以上99g/m以下であると、機械的強度が強く、所定のデッドホールド性を有し、包装袋としての可撓性を有する。紙基材層としては、クラフト紙、上質紙、コート紙、蒸着紙、バリア性を付与した紙(バリア紙)などが例示できる。
<バリア紙>
ここで、バリア性を付与した紙(バリア紙)は、例えば、日本製紙社製のシールドプラスを適用することができる。バリア紙は、上述のクラフト紙、上質紙、コート紙などの紙基材上に、一または複数のバリア層が形成されており、好ましくは、水蒸気バリア層、ガスバリア層が順に設けられている。水蒸気バリア層、ガスバリア層はそれぞれ水性の組成物を塗布、乾燥することにより形成されていることが好ましい。各層の組成物には、高分子バインダーを主として顔料、架橋剤などが添加されていてもよい。
<<高分子バインダー>>
バリア紙の水蒸気バリア層、ガスバリア層を構成する組成物の主成分として用いる高分子は、水を分散媒として使用することができる樹脂が適している。組成物は、高分子水溶液あるいはエマルジョンの形態が含まれる。この高分子はバインダーに該当する。
<<水蒸気バリア層>>
水蒸気バリア層に含有させる樹脂としては、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等を単独で、又は、2種類以上を混合して使用することが可能である。
水蒸気バリア層には、水蒸気バリア性を向上させ、また、水蒸気バリア層とガスバリア層との密着性を向上させる観点から、顔料を含有させることが好ましい。水蒸気バリア層に含有させる顔料としては、無機顔料、有機顔料を用いることができる。好ましくは無機顔料である。無機顔料としては、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトが例示できる。顔料は、扁平形状が適している。
これらの顔料の中でも、形状が扁平なカオリン等の無機顔料は、水蒸気のバリア性を向上させることができる。特に、平均粒子径5μm以上、かつ、アスペクト比10以上のカオリンがより好適である。扁平な顔料が塗工層に平行に分布することによって、水蒸気バリア層内に浸透した水蒸気は、扁平な顔料によって厚さ方向に移動することが遮られ、迂回して移動することとなり、水蒸気が水蒸気バリア層を通過する経路が長くなり、バリア性を向上させることができる。添加する顔料のアスペクト比が小さい場合、塗工層中を水蒸気が迂回する回数が減少し、移動する距離が短くなるため、結果として水蒸気バリア性は、扁平で大粒径の顔料よりも低下してしまう。扁平な顔料として、カオリンの他、マイカやモンモリロナイトを使用することも可能である。
水蒸気バリア性の向上、及びガスバリア層との密着性の点から、平均粒子径5μm以上、かつ、アスペクト比10以上のカオリンを含有する水蒸気バリア層に、更に平均粒子径5μm以下の顔料を含有させることが好適である。重層的に存在する平均粒子径5μm以上、かつ、アスペクト比10以上のカオリンの間に平均粒子径5μm以下の顔料が入り込む構造となって、扁平なカオリンの面に沿って移動を余儀なくされる水蒸気は、この小さな顔料粒子により移動が阻止されることとなる。つまり、水蒸気バリア層に扁平性と平均粒子径の異なる顔料を含有させた場合、水蒸気バリア層中で、隣接する扁平で大きな粒子径の顔料の間に形成される空隙に小さな粒子径の顔料が充填された状態となるため、水蒸気は、顔料を迂回して通過し、小さな粒子径の顔料を混入していない水蒸気バリア層に比して、より高い水蒸気バリア性を実現することができる。
平均粒子径5μm以上、かつ、アスペクト比10以上のカオリンと平均粒子径5μm以下の顔料の配合比率が乾燥重量で、50/50~99/1であることが好適である。平均粒子径5μm以上、かつ、アスペクト比10以上のカオリンの比率が上記範囲より少ないと水蒸気が塗工層中を迂回する距離が短くなるため、十分な水蒸気バリア性を得ることができないため好ましくない。一方、上記範囲より多いと、塗工層中の大粒径顔料が形成する空隙を平均粒子径5μm以下の顔料で十分に埋めることができないため、水蒸気バリア性の向上は見られないため好ましくない。
平均粒子径5μm以下の顔料としては、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイト等の無機顔料、有機顔料、を単独又は2種類以上混合して使用することができる。これらの顔料の中では、炭酸カルシウム、なかでも重質炭酸カルシウムが好ましい。
水蒸気バリア層に顔料を含有させる場合、樹脂と顔料の配合量は、顔料(乾燥重量)100重量部に対して、樹脂(乾燥重量)5~200重量部の範囲で使用されることが好ましく、樹脂20~150重量部であることがより好ましい。また、水蒸気バリア層には、樹脂、顔料の他、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、染料、蛍光染料等の通常使用される各種助剤を使用することが可能である。
架橋剤は、水蒸気バリア層に含有されるバインダーと架橋反応を起こすため、水蒸気バリア層内の結合の数(架橋点)が増加する。つまり、水蒸気バリア層が緻密な構造となり、良好な水蒸気バリア性を発揮することができる。
水蒸気バリア層に含有させる架橋剤としては、特に限定されるものではなく、水蒸気バリア層に含有されるバインダーの種類に合わせて、多価金属塩(銅、亜鉛、銀、鉄、カリウム、ナトリウム、ジルコニウム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、チタン等の多価金属と、炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、珪酸イオン、窒素酸化物、ホウ素酸化物等のイオン性物質が結合した化合物)、アミン化合物、アミド化合物、アルデヒド化合物、ヒドロキシ酸等から適宜選択して使用することが可能である。
架橋剤の配合部数は、塗工可能な塗料濃度や塗料粘度の範囲内であれば特に限定されることなく配合可能である。なお、水蒸気バリア性に優れた効果を発揮するスチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系等のスチレン系の水蒸気バリア性樹脂を用いた場合、架橋効果発現の観点から、多価金属塩を使用することが好ましく、更に、カリウムミョウバンがより好ましい。
架橋剤の添加量は、水蒸気バリア層に使用されるバインダー樹脂100重量部に対して、1~10重量部であることが好ましく、3~5重量部であることがより好ましい。1重量部よりも少ない場合、十分な効果を売ることができず、また、10重量部よりも多い場合、塗工液の粘度が著しく増加するため、塗工困難になる。
<<ガスバリア層>>
ガスバリア層を形成する塗工料のバインダー樹脂として使用される水溶性高分子としては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、エチレン共重合ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等を使用することができる。これらの中では、ガスバリア性の点から、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースが好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。なお、ガスバリアとは、気体遮断性を意味し、酸素バリア性を含む意味である。
ガスバリア層に使用される顔料としては、上記の水蒸気バリア層に使用される顔料と同様のものが使用でき、平均粒子径3μm以上、かつ、アスペクト比が10以上の無機顔料(特にカオリン)を使用することが更に好ましく、平均粒子径5μm以上、かつ、アスペクト比が50以上の無機顔料(特にカオリン)を使用することが特に好ましい。ガスバリア層に顔料を含有させた場合、酸素等のガスは、顔料を迂回して通過するため、顔料を含有していないガスバリア層と比較して、良好なガスバリア性、特に高湿度雰囲気下における優れたガスバリア性を実現することができる。
ガスバリア層に含有する顔料と水溶性高分子の配合比率(乾燥重量)は顔料/水溶性高分子が1/100~1000/100であることが好ましい。顔料の比率が上記範囲外である場合、充分なガスバリア性が発揮することができない場合がある。
架橋剤についても、上記の水蒸気バリア層に使用される架橋剤と同様のものが使用できる。水溶性高分子の水酸基同士を架橋構造にて結合させるため、高湿度となった場合に結合が緩む(又は切れる)水酸基量が減少し、層全体の耐水性が向上するため、高湿度下での酸素バリア性の低下を抑制することが可能である。
架橋剤の添加量は、ガスバリア層に使用される樹脂100重量部に対して、1~10重量部が好ましく、3~5重量部がより好ましい。1重量部よりも少ない場合、十分な効果が得られず、また、10重量部よりも多い場合、組成物の粘度が著しく増加するため、塗工困難になる。
ガスバリア層には、水溶性高分子、顔料、架橋剤の他、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、染料、蛍光染料等の通常使用される各種助剤を使用することができる。
(基材層)
本発明においては、基材層は、紙基材層を含む。基材層は紙以外の層を更に含む複数の層で構成されてもよい。たとえば、最外層側から、紙/第2接合層/バリア層(/は積層を意味する)のように、バリア層として、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着フィルム、透明蒸着フィルムなどのバリア性フィルムを含んだ多層構成であっても本発明における基材層である。つまり、シーラント層を押出コーティングする前の構成が本発明における基材層である。なお、上記の第2接合層としては、ポリエチレンなどが例示でき、後述のバイオマスポリエチレンを含んでいてもよい。また、第2接合層によるポリサンドラミネーションのみならず、接着剤を介してドライラミネート法により積層されていてもよい。
また、基材層に対するシーラント層12の密着性向上の観点から、基材層のシーラント層が形成される面上にアンカーコート層を設けるようにして、基材層、アンカーコート層、シーラント層が順に積層されるようにしてもよい。ここで、アンカーコート層に用いられる材料としては、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン樹脂等を用いることができる。アンカーコート層は、その厚みが、例えば、0.1μm以上1.0μm以下で形成されるのが望ましい。
また、アンカーコート層を設けずに基材層の紙基材層の上にシーラント層12を直接設ける場合、紙基材層のシーラント層を形成する側の面にコロナ処理を行い、紙基材層に対するシーラント層12の密着性を向上させるようにしてもよい。
(シーラント層)
シーラント層12は、積層体を用いて包装袋を形成したときに、最内層となる層である。シーラント層12は、バイオマスポリエチレンを含み、これにより、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、本発明による積層体は、従来の化石燃料から得られる原料から製造されたポリエチレンのシーラント層と比べて、機械的特性等の物性面で遜色がないため、従来のポリオレフィン樹脂の積層体を代替することができる。なお、本発明において、「バイオマスポリエチレン」とは、原料として少なくとも一部にバイオマス由来(植物由来)の原料を用いたものであって、原料の全てがバイオマス由来である必要はない。
シーラント層12は、1層でもよく、2層以上で共押出されていてもよい。1層の場合、バイオマスポリエチレン単独で構成されていてもよく、化石燃料由来のポリエチレンとブレンドされていてもよい。2層以上の共押出構成の場合、必ずしも最内層にバイオマスポリエチレンの層がなくてもよく、たとえば、最外層の基材層側から、バイオマスポリエチレン/化石燃料由来ポリエチレンの構成であってもよい。化石燃料由来の他の樹脂としては、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖低密度ポリエチレン)、MDPE(中密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)が例示でき、これらをバイオマスポリエチレンとブレンドしてもよく、上述のように、共押出層として用いてもよい。
シーラント層12の厚さSは20μm以上60μm以下である。上記のように、シーラント層12が多層で構成される場合には、その全厚さを意味する。厚さSが20μm以上60μm以下であると、十分なシール強度が得られ、包装袋を形成した際のシール部の埋まりが十分となり、更に、紙と積層した際には適度のデッドホールド性も有する。更に、20μm以上40μm以下であれば、更に、紙と積層した際の手切れ性(開封性)にも優れる。
(バイオマスポリエチレン)
シーラント層12は、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマスポリエチレン含み、バイオマス度が5%以上である。シーラント層12には、化石燃料由来のポリオレフィンなどをさらに含んでもよい。
「バイオマス度」(バイオマスポリエチレン中のバイオマス由来の炭素濃度)とは、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値である。大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、シーラント層12中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。本発明においては、シーラント層12中のC14の含有量をPC14とした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioは、以下のようにして求めることができる。
Pbio(%)=PC14/105.5×100
理論上、シーラント層12の原料として、全てバイオマス由来のエチレンを用いれば、バイオマス度は100%であり、シーラント層12のバイオマス度は100%となる。また、化石燃料由来の原料のみで製造されたシーラント層中のバイオマス由来の炭素濃度は0%であり、シーラント層のバイオマス度は0%となる。
シーラント層12中のバイオマス度は、5%以上であり、好ましくは10%以上であり、より好ましくは15%以上であり、さらに好ましくは20%以上である。
シーラント層12の密度は、好ましくは0.91g/cm以上0.93g/cm以下、より好ましくは0.911g/cm以上0.928g/cm以下、さらに好ましくは0.915g/cm以上0.925g/cm以下である。密度は、JIS K6760-1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112-1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。密度が0.91g/cm以上0.93g/cm以下であれば、加工や成形を容易にすることができる。
バイオマスポリエチレンは、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体である。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のエチレンを用いているため、重合されたポリエチレンはバイオマス由来となる。なお、ポリエチレンの原料モノマーは、バイオマス由来のエチレンを100質量%含むものでなくてもよい。バイオマスポリエチレンの原料であるモノマーは、化石燃料由来のエチレンのモノマーおよび/または化石燃料由来のα-オレフィンのモノマーをさらに含んでもよいし、バイオマス由来のα-オレフィンのモノマーをさらに含んでもよい。すなわち、バイオマスポリエチレンには、バイオマスLDPE以外に、バイオマスLLDPEも含まれる。他にバイオマスMDPEやバイオマスHDPEも本発明のバイオマスポリエチレンに含まれる。これらは単独で用いてもよく、二種以上混合して用いてもよい。
上記のα-オレフィンは、炭素数は特に限定されないが、通常、炭素数3~20のものを用いることができ、ブチレン、ヘキセン、またはオクテンであることが好ましい。ブチレン、ヘキセン、またはオクテンであれば、バイオマス由来の原料であるエチレンの重合により製造することが可能となるからである。また、このようなα-オレフィンを含むことで、重合されてなるバイオマスポリエチレンはアルキル基を分岐構造として有するため、単純な直鎖状のものよりも柔軟性に富むものとすることができる。
バイオマスポリエチレンは、好ましくは0.91g/cm以上0.93g/cm以下、より好ましくは0.912g/cm以上0.928g/cm以下、さらに好ましくは0.915g/cm以上0.925g/cm以下の密度を有するものである。バイオマスポリエチレンの密度は、JIS K6760-1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112-1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。バイオマスポリエチレンの密度が0.91g/cm以上であれば、バイオマスポリエチレンを含むシーラント層の剛性を高めることができ、包装袋の内層として好適に用いることができる。また、バイオマスポリエチレンの密度が0.93g/cm3以下であれば、バイオマスポリエチレンを含むポリオレフィン樹脂層の透明性や機械的強度を高めることができ、包装袋の内層として好適に用いることができる。
バイオマスポリエチレンのメルトフローレート(MFR)MFRは、0.1g/10分以上10g/10分以下、好ましくは0.2g/10分以上9g/10分以下、より好ましくは1g/10分以上8.5g/10分以下である。MFRは、JIS K7210-1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。MFRが0.1g/10分以上であれば、成形加工時の押出負荷を低減することができる。また、MFRが10g/10分以下であれば、バイオマスポリエチレンを含むポリオレフィン樹脂層の機械的強度を高めることができる。
本発明において、好適に使用されるバイオマスポリエチレンとしては、Braskem社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度95%)、Braskem社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SPB681、密度:0.922g/cm、MFR:3.8g/10分、バイオマス度95%)等が挙げられる。
本実施形態の積層体10は、紙基材層の坪量Pとし、シーラント層12の厚さSとし、シーラント層12の密度Mとしたときに、以下の関係式(I)を満たす。
0.33<(S×M)/P<1 ・・・(I)
(S×M)/Pは、単位面積あたりの、紙基材層11の重さにおける、シーラント層12の重さの比を意味する。特許文献1に記載されているような従来の紙カップや紙容器などにおいては、この比が1以上と大きく、すなわち、紙の坪量のほうが相対的に大きいので、軟包装材料のような可撓性を有しない。本発明においては、関係式(I)を満たすことにより、バイオマスポリエチレンを用いながら、製袋適性やデッドホールド性に優れる可撓性を備える積層体10を実現することができる。
(絵柄層)
絵柄層13は、基材層(紙基材層11)のシーラント層12とは反対側の面に設けられ、絵柄を印刷した印刷層である。ここで、絵柄とは、基材層(紙基材層11)に記録または印刷され得る種々の態様の記録対象のことであり、特に限定されることなく、図、文字、模様、パターン、記号、柄、マーク等を広く含む。とりわけ、積層体10が、食品を内包することが意図された包装袋に用いられる場合、絵柄として、内容物の図や、内容物の商品名、賞味期限、製造日、製造番号等の情報を示す文字が用いられる。なお、絵柄層13は、商品の仕様等に応じて基材層(紙基材層11)に積層されるものであるので、絵柄層13は省略されてもよい。
なお、絵柄層13を構成するインキは、着色顔料と樹脂とを備えるものであるが、本発明においては、このインキを構成する樹脂、たとえばニトロセルロースをバイオマス由来の樹脂としてもよい。このようなインキは市販されており、バイオマス樹脂成分を含むグラビアインキであるサイアスHR(DICグラフィック社製)などを適宜用いることができる。これにより、化石燃料由来の樹脂の使用量を更に削減することができる。
(表面層)
表面層14は、絵柄層13上に設けられた層であり、積層体10を包装袋に使用した場合、最も容器外方側に位置する層である。表面層14は、例えば、オーバープリントニス(OPニス)により形成されており、絵柄層13の擦れ等による消失を抑制したり、絵柄の改ざんを抑制したりすることができる。
なお、表面層14のOPニスも、樹脂を含んでいるが、本発明においては、このOPニスを構成する樹脂、たとえばニトロセルロースをバイオマス由来の樹脂としてもよい。このようなインキは市販されており、バイオマス樹脂成分を含むOPニスであるKS-10(DICグラフィックス社製)などを適宜用いることができる。これにより、化石燃料由来の樹脂の使用量を更に削減することができる。
上述の第1実施形態の積層体は、例えば、以下のような層構成により形成することができる。
1)絵柄層/紙基材層/シーラント層
この場合、紙基材層が基材層であり、紙基材層は、坪量が20g/m以上99g/m以下のクラフト紙である。シーラント層は、バイオマスLDPEを含む層であり、20μm以上60μm以下の範囲で、それぞれ形成されるのが望ましい。
2)絵柄層/紙基材層/アンカーコート層/シーラント層
この場合、紙基材層が基材層であり、紙基材層は、坪量が20g/m以上99g/m以下のクラフト紙である。アンカーコート層は、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン樹脂である。シーラント層は、バイオマスLDPEを含む層であり、20μm以上60μm以下の範囲で、それぞれ形成されるのが望ましい。
3)絵柄層/紙基材層/第2接合層/アルミニウム箔層/アンカーコート層/シーラント層
この場合、紙基材層からアルミニウム箔層までが基材層であり、紙基材層及びアルミニウム箔層を接合する第2接合層は、例えば、ポリエチレン樹脂である。紙基材層は、坪量が20g/m以上99g/m以下のクラフト紙である。アンカーコート層は、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン樹脂である。シーラント層は、バイオマスLDPEを含む層である。
ここで、第2接合層は、3μm以上20μm以下の範囲で、アルミニウム箔層は、6μm以上25μm以下の範囲で、シーラント層は、20μm以上60μm以下の範囲で、それぞれ形成されるのが望ましい。
4)絵柄層/紙基材層/第2接合層/PET層/アンカーコート層/シーラント層
この場合、紙基材層からPET層までが基材層であり、紙基材層及びPET層を接合する第2接合層は、例えば、ポリエチレン樹脂である。紙基材層は、坪量が20g/m以上99g/m以下のクラフト紙である。PET層は、シート状のポリエチレンテレフタレート樹脂基材である。紙基材層及びPET層は、ドライラミネーション法により接合される。アンカーコート層は、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン樹脂である。シーラント層は、バイオマスLDPEを含む層である。
ここで、第2接合層は、3μm以上20μm以下の範囲で、PET層は、5μm以上25μm以下の範囲で、シーラント層は、20μm以上60μm以下の範囲で、それぞれ形成されるのが望ましい。
5)絵柄層/紙基材層/第2接合層/蒸着フィルム層/アンカーコート層/シーラント層
この場合、紙基材層から蒸着フィルム層までが基材層であり、紙基材層及び蒸着フィルム層を接合する第2接合層は、EMAA(エチレン・メタアクリル酸共重合樹脂)である。紙基材層は、坪量が20g/m以上99g/m以下のクラフト紙である。蒸着フィルム層は、金属蒸着フィルム、無機酸化物(金属酸化物)蒸着フィルムなどの酸素、水蒸気バリア層を備えるプラスチックフィルムである。金属蒸着フィルムとしては、アルミニウム蒸着フィルムなどが例示でき、無機酸化物(金属酸化物)蒸着フィルムとしは、シリカ蒸着フィルムや、アルミナ蒸着フィルムなどが例示できる。また、プラスチックフィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリアミドフィルム(PA)などが例示できる。アンカーコート層は、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン樹脂である。シーラント層は、バイオマスLDPEを含む層である。
ここで、第2接合層は、3μm以上20μm以下の範囲で、蒸着フィルム層は、5μm以上25μm以下の範囲で、シーラント層は、20μm以上60μm以下の範囲で、それぞれ形成されるのが望ましい。
6)絵柄層/紙基材層/第2接合層/アルミニウム箔層/第3接合層/PET層/アンカーコート層/シーラント層
この場合、紙基材層からPET層までが基材層である。アルミニウム箔層及びPET層を接合する第3接合層は、例えば、ウレタン系樹脂や、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂を用いることができ、アルミニウム箔層及びPET層は、ドライラミネーション法により互いに接合される。また、紙基材層及びアルミニウム箔層を接合する第2接合層は、例えば、ポリオレフィン樹脂や、ウレタン系樹脂などを用いることができる。紙基材層は、坪量が20g/m以上99g/m以下のクラフト紙である。PET層は、シート状のポリエチレンテレフタレート樹脂基材である。アンカーコート層は、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン樹脂である。シーラント層は、バイオマスLDPEを含む層である。
ここで、第2接合層は、3μm以上20μm以下の範囲で、アルミニウム箔層は、6μm以上25μm以下の範囲で、第3接合層は、3μm以上20μm以下の範囲で、PET層は、5μm以上25μm以下の範囲で、シーラント層は、20μm以上60μm以下の範囲で、それぞれ形成されるのが望ましい。
7)絵柄層/紙基材層/アンカーコート層/シーラント層
この場合、紙基材層が基材層である。紙基材層は、上述のバリア性を付与した紙(バリア紙)であり、例えば、日本製紙社製のシールドプラスが用いられる。例えば、バリア紙は、坪量が、30g/m以上99g/m以下を用いることができる。アンカーコート層は、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン樹脂である。シーラント層は、バイオマスLDPEを含む層である。
ここで、シーラント層は、20μm以上60μm以下の範囲で形成されるのが望ましい。
上述の積層体の3)~7)の各例は、いずれも基材層に、紙基材層に加えアルミニウム箔層やPET層等のバリア機能を有する層を設けることによって、バリア性を有する積層体を実現することができる。
なお、上述の積層体の3)~7)の各例において、第2接合層には、バイオマス由来の樹脂を含むようにしてもよい。また、上述の積層体の各例において、絵柄層の表面に必要に応じて、更に表面層を形成してもよい。更に、上述の積層体の各例において、アンカーコート層は省略してもよい。
次に、本発明による第2の積層体について、図面を参照しながら説明する。
<第2実施形態の積層体>
図2に示すように、本発明の第2の発明の一例である第2実施形態の積層体10Aは、紙基材層11を含む基材層上に、接合層15を介して、シーラント層12Aが形成されている。この実施形態は、従来公知のポリエチレンサンドラミネーション法によってシーラント層12Aが形成されている積層構成であり、シーラント層12Aは、別途シーラントフィルムとして形成されている。
接合層15は、基材層とシーラント層とを接合するために設けられた接着樹脂層又は接着剤層であり、例えば、接着樹脂層としては、ポリエチレンや、EMAAなどを使用することができ、ポリエチレンを使用する場合、バイオマスポリエチレンを含んでいてもよい。また、接着剤層としては、従来公知のものを利用することができ、特に限定されないが、例えば、ウレタン系、エポキシ系等の主剤と硬化剤とからなる2液硬化型の接着剤等を適宜使用することができる。
接合層15は、接着樹脂層の場合、厚みが5μm以上30μm以下となるようして形成されるのが望ましく、10μm以上20μm以下となるようして形成されるのがより望ましい。仮に、厚みが5μm未満であると、塗布量が不十分で厚みが薄くなり過ぎてしまい、基材層とシーラント層とを十分に接合することができなくなるため、望ましくない。また、厚みが30μmよりも大きい場合、塗布量が多すぎて厚みが厚くなり過ぎてしまい、積層体のデッドホールド性や、手切れ性が低下してしまうので、望ましくない。
接合層15は、接着剤層の場合、乾燥厚みが1μm以上10μm以下となるようして形成されるのが望ましく、2μm以上5μm以下となるようして形成されるのがより望ましい。仮に、乾燥厚みが1μm未満であると、塗布量が不十分で厚みが薄くなり過ぎてしまい、基材層とシーラント層とを十分に接合することができなくなるため、望ましくない。また、乾燥厚みが10μmよりも大きい場合、乾燥不良となる可能性が高くなるので、望ましくない。
ここで、紙基材層11を含む基材層に対する接合層15の密着性向上の観点から、基材層の接合層が形成される面上にアンカーコート層を設けるようにして、基材層、アンカーコート層、接合層が順に積層されるようにしてもよい。ここで、アンカーコート層に用いられる材料としては、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン樹脂等を用いることができる。アンカーコート層は、その厚みが、例えば、0.1μm以上1.0μm以下で形成されるのが望ましい。
また、アンカーコート層を設けずに基材層の紙基材層の上に接合層15を直接設ける場合、紙基材層の接合層15を形成する側の面にコロナ処理を行い、紙基材層に対する接合層15の密着性を向上させるようにしてもよい。
なお、紙基材層11におけるシーラント層12Aと反対側の面上には、絵柄層13と、表面層14が順次形成されている。ここで、紙基材層11、絵柄層13、表面層14については、第1実施形態と同様であるので、同様の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の積層体10Aは、接合層15が接着樹脂層の場合、シーラント層12Aの厚さSと接着樹脂層15の厚さSの合計厚さSが、20μm以上60μm以下に形成されている。つまり、ポリエチレンサンドラミネーション法における関係式(II)においては、「シーラント層12A+接着樹脂層15」を便宜的に関係式(I)のシーラント層12と置き換えて適用したものである。
この場合、バイオマス度も「シーラント層12A+接着樹脂層15」において計算される。このため、バイオマスポリエチレンは、接着樹脂層15に用いられていてもよく、シーラント層12Aに用いられていてもよく、シーラント層12A+接着樹脂層15の両方に含まれていてもよい。
また、本実施形態の積層体10Aは、紙基材層の坪量Pとし、シーラント層12Aの厚さSとし、シーラント層12の密度Mとし、接着樹脂層15の厚さSとし、接着樹脂層15の密度Mとしたときに、以下の関係式(II)を満たす。
0.33<(S×M+S×M)/P<1 ・・・(II)
上記関係式(II)を満たすことにより、第1実施形態の積層体10と同様に、バイオマスポリエチレンを用いながら、製袋適性やデッドホールド性に優れる積層体10Aを実現することができる。
なお、接合層15が接着剤層の場合は、上述の関係式(II)において、接着樹脂層の厚さS3はS3=0として計算される。すなわち、上述の関係式(I)と同様、シーラント層のみの場合と同様に、0.33<(S×M)/P<1を満たす。
上述の第2実施形態の積層体は、例えば、以下のような層構成により形成することができる。
1)絵柄層/紙基材層/接合層/シーラント層
この場合、紙基材層が基材層であり、紙基材層は、坪量が20g/m以上99g/m以下のクラフト紙である。接合層は、LDPEである。シーラント層は、バイオマスLDPE又はバイオマスLLDPEを含む層である。
ここで、接合層は、10μm以上20μm以下の範囲で、シーラント層は、30μm以上40μm以下の範囲で、それぞれ形成されるのが望ましい。
2)絵柄層/紙基材層/アンカーコート層/接合層/シーラント層
この場合、紙基材層が基材層であり、紙基材層は、坪量が20g/m以上99g/m以下のクラフト紙である。アンカーコート層は、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン樹脂である。接合層は、LDPEである。シーラント層は、バイオマスLDPE又はバイオマスLLDPEを含む層である。
ここで、接合層は、10μm以上20μm以下の範囲で、シーラント層は、30μm以上40μm以下の範囲で、それぞれ形成されるのが望ましい。
3)絵柄層/紙基材層/第2接合層/アルミニウム箔層/アンカーコート層/接合層/シーラント層
この場合、紙基材層からアルミニウム箔層までが基材層であり、紙基材層及びアルミニウム箔層を接合する第2接合層は、例えば、ポリエチレン樹脂である。紙基材層は、坪量が20g/m以上99g/m以下のクラフト紙である。アンカーコート層は、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン樹脂である。接合層は、LDPEである。シーラント層は、バイオマスLDPE又はバイオマスLLDPEを含む層である。
ここで、第2接合層は、3μm以上20μm以下の範囲で、アルミニウム箔層は、6μm以上25μm以下の範囲で、接合層は、10μm以上20μm以下の範囲で、シーラント層は、30μm以上40μm以下の範囲で、それぞれ形成されるのが望ましい。
4)絵柄層/紙基材層/第2接合層/PET層/アンカーコート層/接合層/シーラント層
この場合、紙基材層からPET層までが基材層であり、紙基材層及びPET層を接合する第2接合層は、例えば、ポリエチレン樹脂である。紙基材層は、坪量が20g/m以上99g/m以下のクラフト紙である。PET層は、シート状のポリエチレンテレフタレート樹脂基材である。アンカーコート層は、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン樹脂である。接合層は、LDPEである。シーラント層は、バイオマスLDPE又はバイオマスLLDPEを含む層である。
ここで、第2接合層は、3μm以上20μm以下の範囲で、PET層は、5μm以上25μm以下の範囲で、接合層は、10μm以上20μm以下の範囲で、シーラント層は、30μm以上40μm以下の範囲で、それぞれ形成されるのが望ましい。
5)絵柄層/紙基材層/第2接合層/蒸着フィルム層/アンカーコート層/接合層/シーラント層
この場合、紙基材層から蒸着フィルム層までが基材層であり、紙基材層及び蒸着フィルム層を接合する第2接合層は、EMAA(エチレン・メタアクリル酸共重合樹脂)である。紙基材層は、坪量が20g/m以上99g/m以下のクラフト紙である。蒸着フィルム層は、金属蒸着フィルム、無機酸化物(金属酸化物)蒸着フィルムなどの酸素、水蒸気バリア層を備えるプラスチックフィルムである。金属蒸着フィルムとしては、アルミニウム蒸着フィルムなどが例示でき、無機酸化物(金属酸化物)蒸着フィルムとしは、シリカ蒸着フィルムや、アルミナ蒸着フィルムなどが例示できる。また、プラスチックフィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリアミドフィルム(PA)などが例示できる。アンカーコート層は、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン樹脂である。接合層は、LDPEである。シーラント層は、バイオマスLDPE又はバイオマスLLDPEを含む層である。
ここで、第2接合層は、5μm以上20μm以下の範囲で、蒸着フィルム層は、5μm以上25μm以下の範囲で、接合層は、10μm以上20μm以下の範囲で、シーラント層は、30μm以上40μm以下の範囲で、それぞれ形成されるのが望ましい。
6)絵柄層/紙基材層/第2接合層/アルミニウム箔層/第3接合層/PET層/アンカーコート層/接合層/シーラント層
この場合、紙基材層からPET層までが基材層である。アルミニウム箔層及びPET層を接合する第3接合層は、例えば、ウレタン系樹脂や、エポキシ系樹脂のドライラミネート接着剤等を用いることができ、アルミニウム箔層及びPET層は、ドライラミネーション法により互いに接合される。また、紙基材層及びアルミニウム箔層を接合する第2接合層は、例えば、ポリエチレン樹脂を用いることができる。紙基材層は、坪量が20g/m以上99g/m以下のクラフト紙である。PET層は、シート状のポリエチレンテレフタレート樹脂基材である。アンカーコート層は、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン樹脂である。接合層は、LDPEである。シーラント層は、バイオマスLDPE又はバイオマスLLDPEを含む層である。
ここで、第2接合層は、5μm以上20μm以下の範囲で、アルミニウム箔層は、6μm以上25μm以下の範囲で、第3接合層は、1μm以上10μm以下の範囲で、PET層は、5μm以上25μm以下の範囲で、接合層は、10μm以上20μm以下の範囲で、シーラント層は、30μm以上40μm以下の範囲で、それぞれ形成されるのが望ましい。
7)絵柄層/紙基材層/アンカーコート層/接合層/シーラント層
この場合、紙基材層が基材層である。紙基材層は、上述のバリア性を付与した紙(バリア紙)であり、例えば、日本製紙社製のシールドプラスが用いられる。例えば、バリア紙は、坪量が、30g/m以上99g/m以下を用いることができる。アンカーコート層は、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン樹脂である。接合層は、LDPEである。シーラント層は、バイオマスLDPE又はバイオマスLLDPEを含む層である。
ここで、接合層は、10μm以上20μm以下の範囲で、シーラント層は、30μm以上40μm以下の範囲で、それぞれ形成されるのが望ましい。
上述の積層体の3)~7)の各例は、いずれも基材層に、紙基材層だけでなくアルミニウム箔層やPET層等のバリア機能を有する層を設けることにより、バリア性を有する積層体を実現することができる。
なお、上述の積層体の3)~6)の各例において、第2接合層には、バイオマス由来の樹脂を用いるようにしてもよい。また、上述の積層体の各例において、絵柄層の表面に必要に応じて、更に表面層を形成してもよい。更に、上述の積層体の各例において、アンカーコート層は省略してもよい。
次に、本発明の積層体を用いた包装袋について、図面を参照しながら説明する。
上述の第1実施形態の積層体10、第2実施形態の積層体10Aは、それぞれ、粉体や、粒体の内容物を収容する包装袋に好適に用いることができる。収容される内容物の容量としては、1g以上200g以下にすることが、包装袋を落下させた場合等における包装袋の破損(破れ)を回避する観点から望ましい。
(ピロー包装袋)
まず、包装袋の一例であるピロー包装袋の例について説明する。
図3は、本発明の積層体を用いた包装袋の一例であるピロー包装袋の斜視図である。
図4は、図3における(a)裏面から見た平面図、(b)a-a断面図、(c)b-b断面図である。
ピロー包装袋50は、積層体10(10A)をヒートシール等により製袋して形成されたピロー型の包装袋である。
ピロー包装袋50は、図3及び図4に示すように、積層体10(10A)の内面(シーラント層12側の面)同士を接合するシール部60(後述する背シール部61及び上部シール部62、下部シール部63)を備えている。このシール部60は、ピロー包装袋50の内側に内容物が収容される収容部65を形成し、この袋を封止するように構成されている。
ピロー包装袋50は、上側となる上部52と、上部52に対向する下側となる下部53と、上部52から下部53へ延びる一対の側部54とを有する矩形状の外形を有する。また、ピロー包装袋50は、裏面部55とその反対側に位置する表面部56とを有し、これらは、1枚の積層体10(10A)を折り返すことによって形成されている。
さらに、ピロー包装袋50は、1枚の積層体10(10A)の左右の側端縁をその内面同士が重ね合わされて形成された合掌部51が、裏面部55側に設けられている。なお、裏面部55は、合掌部51を境界にして左側裏面部55Aと右側裏面部55Bとを有する。
合掌部51は、裏面部55から飛び出るように形成されている。本実施形態では、図3及び図4に示すように、合掌部51は、右側に倒され、合掌部51よりも右側に位置する右側裏面部55B上に重ねられている。なお、これに限らず、合掌部51は、左側に倒され、左側裏面部55A上に重ねられるようにしてもよい。
合掌部51は、図4(b)、(c)に示すように、1枚の積層体10(10A)の側端縁となる左側合掌部51Aと、右側合掌部51Bとを有しており、左側合掌部51A及び右側合掌部51Bは、内面(シーラント層12側の面)同士がヒートシールされることにより接合され、合掌部51に背シール部61が形成される。
背シール部61は、図3及び図4(a)に示すように、ピロー包装袋50の上下方向に沿って上部52から下部53にかけて設けられている。背シール部61の延在方向は、積層体10(10A)の上側端縁及び下側端縁の延在方向に略直交する。
上部52には、これに沿って延びる上部シール部62が設けられ、下部53には、これに沿って延びる下部シール部63が設けられている。これら上部シール部62及び下部シール部63は、積層体10(10A)の内面(シーラント層12側の面)同士をヒートシールにより接合することにより形成される。
ここで、ピロー包装袋50は、収容部65に内容物が収容される前は、上部シール部62又は下部シール部63がヒートシールされていない未シール状態のシール予定部となる。本実施形態では、例えば、内容物が収容される前は、ピロー包装袋50の上部52がシール予定部になっており、収容部65に内容物が収容された後に、シール予定部がヒートシールされて上部シール部62が形成され、内容物がピロー包装袋50に密閉される。
以上より、上述のピロー包装袋50は、デッドホールド性に優れ、可撓性を備える積層体10(10A)を用いているので、積層体10(10A)から容易にピロー包装袋50を製袋することができ、また、ピロー包装袋50を開封した後、開封した開口部を折り曲げて再封する場合に、その折り曲げ状態を容易に維持することができる。
また、ピロー包装袋50は、紙軟包装を構成する紙基材を用いているため、砂糖などを包装するスティック包装として用いた場合、上部又は下部のシール部を手で切り離して容易に開封することができる。
また、ピロー包装袋50は、バイオマスポリエチレンを含んだ積層体10(10A)を用いているため、従来の包装袋に比して化石燃料の使用量を減らすことができ、環境負荷を低減することができる。
更に、ピロー包装袋50に用いられる積層体10(10A)のシーラント層12は、バイオマスポリエチレンを含んでいるが、化石燃料から得られる原料から製造されたポリエチレンのシーラント層と比べて、機械的特性等の物性面で遜色がないため、ピロー包装袋50を製袋した場合に、各シール部を隙間なく形成することができる。
より具体的には、図4(c)に示すように、ピロー包装袋50の下部53において、背シール部61及び下部シール部63が、合掌部51と表面部56と裏面部55とが重なる部分のように、折り重ねられた積層体10(10A)間においても隙間なく形成される。同様に、ピロー包装袋50の上部52においても、背シール部61及び上部シール部62が、合掌部51と表面部56と裏面部55とが重なる部分のように、折り重ねられた積層体10(10A)間においても隙間なく形成される。これにより、積層体10(10A)により形成されたピロー包装袋50は、収容部65を十分に密閉することができる。
(ガセット包装袋)
次に、上述の第1実施形態の積層体10、第2実施形態の積層体10Aを、包装袋の他の例であるガセット包装袋に適用した例について説明する。
図5は、本発明の積層体を用いた包装袋の一例であるガセット包装袋の斜視図である。
図6は、図5における(a)裏面から見た平面図、(b)c-c断面図、(c)d-d断面図である。
ガセット包装袋70は、可撓性を有する矩形状の積層体10(10A)により構成される。ガセット包装袋70は、図5及び図6に示すように、内容物を収容する収容部90、収容部90の周りを取り囲むシール部80を備える。
ガセット包装袋70を構成する積層体10(10A)は、表面を形成する表面部75と、裏面を形成する裏面部74と、左右の側部のガセット折込部を形成する側面部76と、裏面部74において1枚の積層体10(10A)の側端縁を接合する合掌部71とを備える。つまり、ガセット包装袋70は、側部にガセット折込部を備える側部ガセット袋形状を有する。見方を変えると、ガセット包装袋70は、表面部75によって形成された表面と、裏面部74によって形成された裏面と、側部のガセット折込部(側面部76)によって形成された側面とを有する。
ここで、裏面部74には、上述のように1枚の積層体10(10A)の側端縁が重ね合わされた合掌部71が設けられており、裏面側から見て、合掌部71よりも左側の裏面部が左側裏面部74Aであり、右側の裏面部が右側裏面部74Bである。
合掌部71は、左側裏面部74Aに連接する左側合掌部71Aと、右側裏面部74Bに連接する右側合掌部71Bとを有し、合掌部71は、左側合掌部71A及び右側合掌部71Bが重ね合わされることにより形成される。
側面部76は、裏面側から見て、左側に左側側面部76Aと、右側に右側側面部76Bとを有する。
ガセット折込部は、ガセット包装袋70の側部に設けられる。収容部90に内容物が収納された場合には、図5に示すように、ガセット折込部は十分に広がる。そのため、側部にガセット折込部を備えない平パウチの場合と比べて、収容部90の容積を大きくすることができる。一方、収容部90に内容物が収納されていない場合には、ガセット折込部を形成する側面部76(76A、76B)は、図6に示すように、合掌部71側に折り返し部77(77A、77B)により折り返される。これにより、ガセット包装袋70の全体の厚さは小さくなる。
また、ガセット包装袋70は、製袋前において、1枚の矩形状の積層体10(10A)により形成されている。より具体的には、1枚の積層体10(10A)の一方の側端縁から順に、左側合掌部71A、左側裏面部74A、左側側面部76A、表面部75、右側側面部76B、右側裏面部74B、右側合掌部71Bが連接している。
この積層体10(10A)を、シーラント層12が、容器内方側に位置するようして左側合掌部71Aと右側合掌部71Bとを重ね合わせ、ヒートシールすることによって、左側合掌部71Aと右側合掌部71Bとを接合する背シール部81が形成される。これにより、矩形状の積層体10(10A)は、対向する側端縁が接合された筒形状に形成される。
なお、筒形状に形成された積層体10(10A)の内側が収容部90となる。
ガセット包装袋70の下部73においては、筒形状に形成された積層体(表面部75、左側側面部76A、裏面部74、右側側面部76B)が、図6(c)に示すように、左右の側面部76A、76Bが表面部75及び裏面部74間の合掌部71側へ折り返し部77により2つ折りに折り畳まれた状態で、各フィルムの下部をヒートシールすることにより接合される。ここで、折り返し部77で2つ折りにされた側面部76の表面側は、表面部75と接合され、裏面側は、裏面部74と接合される。これにより、ガセット包装袋70の下部73には、下部シール部83が形成される。
また、同様に、ガセット包装袋70の上部72においては、筒形状に形成された積層体(表面部75、左側側面部76A、裏面部74、右側側面部76B)が、左右の側面部76A、76Bが表面部75及び裏面部74間の合掌部71側へ折り返し部77により2つ折りに折り畳まれた状態で、各フィルムの上部をヒートシールすることにより接合される。ここで、折り返し部77で2つ折りにされた側面部76の表面側は、表面部75と接合され、裏面側は、裏面部74と接合される。これにより、ガセット包装袋70の上部72には、上部シール部82が形成される。
なお、ガセット包装袋70は、内容物が収容される前は、上部シール部82又は下部シール部83が、未シール状態のシール予定部となっており、このシール予定部から内容物を収容部90に収容し、シール予定部をヒートシール(接合)することにより、内容物を密閉することができる。
以上より、上述のガセット包装袋70は、デッドホールド性に優れ、可撓性を備えた積層体10(10A)を用いているので、積層体10(10A)から容易にガセット包装袋70を製袋することができ、また、ガセット包装袋70を開封した後、開封した開口部を折り曲げて再封する場合に、その折り曲げ状態を容易に維持することができる。
また、ガセット包装袋70は、紙軟包装を構成する紙基材層を用いているため、上部又は下部のシール部を手で切り離して容易に開封することができる。
また、ガセット包装袋70を形成する積層体10(10A)が、バイオマスポリエチレンを含んでいるため、従来の包装袋に比して化石燃料の使用量を減らすことができ、環境負荷を低減することができる。
更に、ガセット包装袋70に用いられる積層体10(10A)のシーラント層12は、バイオマスポリエチレンを含んでいるが、化石燃料から得られる原料から製造されたポリエチレンのシーラント層と比べて、機械的特性等の物性面で遜色がないため、ガセット包装袋70を製袋した場合に、各シール部を隙間なく形成することができる。
より具体的には、図6(c)に示すように、ガセット包装袋70の下部73において、背シール部81及び下部シール部83が、側面部76と表面部75と裏面部74とが重なる部分や、合掌部71と表面部75と裏面部74とが重なる部分のように、折り重ねられた積層体10(10A)間においても隙間なく形成される。同様に、ガセット包装袋70の上部72において、背シール部81及び上部シール部82が、側面部76と表面部75と裏面部74とが重なる部分や、合掌部71と表面部75と裏面部74とが重なる部分のように、折り重ねられた積層体10(10A)間においても隙間なく形成される。これにより、積層体10(10A)により形成されたガセット包装袋70は、収容部90を十分に密閉することができる。
以下、実施例に基づき、本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
(第1実施形態に相当する押出ラミネーション構成)
紙基材として、クラフト紙60g/m(森林認証 ナゴヤ晒竜 大王製紙社製)にバイオマス樹脂成分を含む紙用表刷りグラビアインキであるサイアスHR(DICグラフィックス社製)を用いて乾燥厚さ1μmで絵柄印刷を行い、次いで、絵柄印刷上にOP(オーバープリント)ニスとしてKS-10(DICグラフィックス社製)を乾燥厚さ1μmで塗工した。次いで、紙基材の印刷面と反対面に、シーラント層として、バイオマス低密度ポリエチレン(LDPE)であるSBS818(Braskem社製、密度0.918g/m、MFR=8.1)を樹脂温度335℃、ライン速度100m/分、厚さ30μmで押出コーティングし、以下の構成の積層体を製造した。シーラント層のバイオマス度は95%であり、式(I)における(S×M)/Pの値は0.46であった。
<実施例1の層構成>
OPニス/インキ/紙基材(60g/m)/バイオマスLDPE(30μm)
[実施例2]
(第1実施形態に相当する押出ラミネーション構成)
実施例1において、シーラント層を、バイオマスLDPEの厚みを50μmとした以外は、実施例1と同じ構成として、以下の構成の積層体を製造した。シーラント層のバイオマス度は95%であり、式(I)における(S×M)/Pの値は0.77であった。
<実施例2の層構成>
OPニス/インキ/紙基材(60g/m)/バイオマスLDPE(50μm)
[実施例3]
(第1実施形態に相当する押出ラミネーション構成)
実施例1において、シーラント層を、バイオマスLDPEの厚みを30μmと、石油由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であるカーネルKC577T(日本ポリエチレン製、密度0.910g/m、MFR=15)の15μmを樹脂温度335℃、ライン速度100m/分で、共押出しとした以外は、実施例1と同じ構成として、以下の構成の積層体を製造した。全シーラント層45μmのバイオマス度は63%であり、式(I)における(S×M)/Pの値は0.69であった。
<実施例3の層構成>
OPニス/インキ/紙基材(60g/m)/バイオマスLDPE(30μm)/LLDPE(15μm)
[実施例4]
(第1実施形態に相当する押出ラミネーション構成)
実施例1において、シーラント層を、バイオマスLDPEと石油由来の低密度ポリエチレン(LDPE)であるノバテックLC520(日本ポリエチレン社製、密度0.923g/m、MFR=3.6)を1:1の割合でブレンドし、樹脂温度335℃、ライン速度100m/分で、50μmの厚みで押出コーティングした以外は、実施例1と同じ構成として、以下の構成の積層体を製造した。シーラント層のバイオマス度は47.5%であり、式(I)における(S×M)/Pの値は0.77であった。
<実施例4の層構成>
OPニス/インキ/紙基材(60g/m)/バイオマスLDPE+LDPE(50μm)
[実施例5]
(第1実施形態に相当する押出ラミネーション構成)
実施例1において、紙基材の坪量を99g/m、バイオマスLDPEの厚みを36μmとした以外は、実施例1と同じ構成として、以下の構成の積層体を製造した。シーラント層のバイオマス度は95%であり、式(I)における(S×M)/Pの値は0.33であった。
<実施例5の層構成>
OPニス/インキ/紙基材(99g/m)/バイオマスLDPE(36μm)
[実施例6]
(第1実施形態に相当する押出ラミネーション構成)
実施例1において、紙基材の坪量を36g/m、バイオマスLDPEの厚みを37μmとした以外は、実施例1と同じ構成として、以下の構成の積層体を製造した。シーラント層のバイオマス度は95%であり、式(I)における(S×M)/Pの値は0.94であった。
<実施例6の層構成>
OPニス/インキ/紙基材(36g/m)/バイオマスLDPE(37μm)
[実施例7]
(第2実施形態に相当するポリエチレンサンドラミネーション構成)
紙基材として、クラフト紙60g/m(森林認証 ナゴヤ晒竜 大王製紙社製)にバイオマス樹脂成分を含む紙用表刷りグラビアインキであるサイアスHR(DICグラフィックス社製)を用いて乾燥厚さ1μmで絵柄印刷を行い、次いで、絵柄印刷上にOPニスとしてKS-10(DICグラフィックス社製)を乾燥厚さ1μmで塗工した。次いで、バイオマス度が95%のバイオマス低密度ポリエチレン(LDPE)を厚さ40μmで、インフレーション法にて製膜した(大日本印刷社製)。OPニス塗布後の紙と、上記のバイオマスLDPE40μmフィルムを、溶融したバイオマス低密度ポリエチレン(LDPE)であるSBS818(Braskem社製、密度0.918g/m、MFR=8.1)の15μmを介して接着樹脂層とし、樹脂温度335℃、ライン速度100m/分で、ポリエチレンサンドラミネーションを行い、以下の構成の積層体を製造した。接着樹脂層(15μm)+シーラント層(40μm)の全55μmにおけるバイオマス度は95%であり、関係式(II)における(S×M+S×M)/Pの値は0.84であった。
<実施例7の層構成>
OPニス/インキ/紙基材(60g/m)/バイオマスLDPE(15μm)/バイオマスLDPEフィルム(40μm)
[実施例8]
(第1実施形態に相当する押出ラミネーション構成)
実施例1において、紙基材をバリア紙66g/m(シールドプラス、日本製紙社製)とした以外は、実施例1と同じ構成として、以下の構成の積層体を製造した。シーラント層のバイオマス度は95%であり、式(I)における(S×M)/Pの値は0.42であった。
<実施例8の層構成>
OPニス/インキ/紙基材(66g/m)/バイオマスLDPE(30μm)
[比較例1]
実施例1において、シーラント層を、バイオマスLDPEの厚みを18μmとした以外は、実施例1と同じ構成として、以下の構成の積層体を製造した。シーラント層のバイオマス度は95%であり、式(I)における(S×M)/Pの値は0.28であった。
<比較例1の層構成>
OPニス/インキ/紙基材(60g/m)/バイオマスLDPE(18μm)
[比較例2]
実施例7において、バイオマスLDPEフィルムを60μmとした以外は、実施例7と同じ構成として、以下の構成の積層体を製造した。接着樹脂層(15μm)+シーラント層(60μm)の全75μmにおけるバイオマス度は95%であり、関係式(II)における(S×M+S×M)/Pの値は1.15であった。
以上の実施例、比較例の積層体をまとめて表1に示す。
Figure 0007452023000001
[製袋適性の評価]
実施例及び比較例にて作製した積層体を用いて、ピロー包装袋(巾40mm×流れ100mm、背シール10mm、上下シール10mm)、及び、サイドガセット袋(巾60mm×流れ200mm、サイド折込10mm、背シール10mm、上下シール10mを作製した。
作製後に、シール部の埋まりを、商品名「エージレス(登録商標)シールチェック」で確認し、チェック液の漏れがない場合を〇、漏れがある場合を×として評価した。
[デッドホールド性確認]
実施例および比較例の積層体について、シーラント層が外側に、基材層が内側になるようにして半分に折り曲げ、折り目を手でしごいたのち、室温で30秒間放置した際の折り曲げ状態を目視で確認した。折り曲げ状態を維持していた場合を〇、元の状態に戻りかけていた場合を×とした。評価結果をまとめて表2に示す。
Figure 0007452023000002
表2に示すように、実施例においては、製袋適性、デッドホールド性のいずれも良好であった。これに対し、比較例1においては、(S×M)/Pの値が本発明の範囲より小さく、積層体が重なる位置においてシール部の埋まりが不十分であった。例えば、ピロー包装袋の場合、図4(c)に示すように、合掌部51(51A、51B)と表面部56と裏面部55とが折り重なる部分においてシール部の埋まりが不十分となる。また、ガセット包装袋の場合、図6(c)に示すように、合掌部71(71A、71B)と表面部75と裏面部74とが折り重なる部分や、2つに折り畳まれた側面部76と表面部75と裏面部74とが折り重なる部分においてシール部の埋まりが不十分となる。
また、比較例2においては、(S×M+S×M)/Pの値が本発明の範囲より大きく、デッドホールド性に劣るものであることが理解できる。
10、10A 積層体
11 紙基材層
12、12A シーラント層
13 絵柄層
14 表面層
50 ピロー包装袋
51 合掌部
52 上部
53 下部
54 側部
55 裏面部
56 表面部
61 背シール部
62 上部シール部
63 下部シール部
70 ガセット包装袋
71 合掌部
72 上部
73 下部
74 裏面部
75 表面部
76 側面部
81 背シール部
82 上部シール部
83 下部シール部

Claims (5)

  1. 少なくとも紙基材層を含む基材層上に、直接又はアンカーコート層を介して、シーラント層が形成されている積層体であって、
    前記紙基材層は、坪量Pが20g/m以上99g/m以下であり、
    前記シーラント層は、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマスポリエチレン含み、バイオマス度が5%以上であり、
    前記シーラント層は、厚さSが20μm以上60μm以下であり、
    前記紙基材層の坪量P、前記シーラント層の厚さS、前記シーラント層の密度M、が以下の関係式(I)を満たす、積層体。
    0.69≦(S×M)/P<1 ・・・(I)
  2. 少なくとも紙基材層を含む基材層上に、直接又はアンカーコート層を介して、接着樹脂層又は接着剤層と、シーラント層とが順に形成されている積層体であって、
    前記紙基材層は、坪量Pが20g/m以上99g/m以下であり、
    前記シーラント層及び/又は前記接着樹脂層は、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマスポリエチレン含み、前記シーラント層及び前記接着樹脂層のバイオマス度が5%以上であり、
    前記シーラント層の厚さSと前記接着樹脂層の厚さSの合計厚さSが20μm以上60μm以下であり、
    前記紙基材層の坪量P、前記シーラント層の厚さS、前記シーラント層の密度M、前記接着樹脂層の厚さS、前記接着樹脂層の密度M、が以下の関係式(II)を満たす、積層体。
    0.69≦(S×M+S×M)/P<1 ・・・(II)
  3. 請求項1又は請求項2に記載の積層体を用いて形成される、ピロー包装袋。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の積層体を用いて形成される、ガセット包装袋。
  5. 請求項3又は請求項4の包装袋において、
    前記包装袋内に収容される内容物が粉体又は粒体である、包装袋。
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