JP7450276B2 - 昇降収納装置 - Google Patents

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Description

本発明は、昇降収納装置に関する。
従来、本出願人は、かつて、図8,図9に示すような昇降収納装置を提案している(特許文献1参照)。
図8,図9及び特許文献1に示した昇降収納装置は、次のような構成であった。
即ち、前方開口状箱型固定部51と、収納物を載置するための物品収納棚52とを、備え、さらに、物品収納棚52を、常時水平姿勢を保ちつつ、昇降案内するために、平行リンク機構53を有する。
そして、箱型固定部51の前方開口部54の上辺55の近傍位置には、扉56が、複雑な小型リンク機構57を介して矢印N1 ,N2 のように、開閉自在に取付けられている。
この小型リンク機構57の一つのアーム58に、第1枢着点P1 廻りに揺動自在に、扉開閉用押上杆60の上端が枢着される。この押上杆60の下端60Aは、平行リンク機構53の(上方リンク61・下方リンク62の内の)上方リンク61に、第2枢着点P2 廻りに揺動自在に枢着されている。
そして、図8の物品収納棚の格納状態から、図9に示した物品収納棚を最も引き出した最大引下状態のように、平行リンク機構53が作動(変化)し、扉56が連動して上方へ開く。
特許第5467776号公報
この図8と図9に示す昇降収納装置は、多くの優れた点を備えた発明ではあるが、以下のような問題点が残されている。
即ち、この昇降収納装置を初めて使用する場合、又は、物品収納棚52に全く収納物品が無い状態で、図8の格納状態から、図9の最大引下状態まで、人の手で(空荷の)物品収納棚52を引き出す(引き下す)ことは、容易に行い得る。
ところが、空荷の物品収納棚52内へ新たに収納物品を、両手を使って、収容せんとする際、物品収納棚52が、突然、上方移動(上昇)してしまうという問題が、残されている。
特に、図9に示すように、扉56の重量(ベクトルW56)が大きい場合に、物品収納棚52に、不意に急激な上昇を発生する点に、本発明者は着眼して、以下詳説する本発明を想到したものである。
そこで、本発明は、前方開口状箱型固定部と;収納物を載置するための物品収納棚と;該物品収納棚を常時水平姿勢を保ちつつ、昇降案内するための平行リンク機構と;上記箱型固定部の前方開口部の上辺に枢着された扉と;上記扉の裏面に上端が第1枢着点廻りに揺動自在として枢着されると共に、下端が上記平行リンク機構の上方リンクに第2枢着点廻りに揺動自在として枢着された扉開閉用押上杆と;を具備した昇降収納装置に於て;上記物品収納棚を最も引き出した最大引下状態において;上記上方リンクを上記箱型固定部へ枢着した第3枢着点と、上記第1枢着点とを結ぶ基準直線に対して、上記第2枢着点を側面視で前方下方位置になるように、設定して;上記扉の自重によって、空荷状態の物品収納棚が、不意に上方へ移動する阻止力を発揮するよう構成し上記扉開閉用押上杆の上端には、水平軸心廻りに回転自在な回転輪が付設され;上記扉の裏面には、上記回転輪が一側方から差込まれて保持される受け具が固着され上記受け具は、回転輪が差込まれる上記一側方において、扉裏面近く及び遠くの各位置に、回転軸離脱防止用小幅突起片部が突設されている。
本発明によれば、空荷の物品収納棚を、人の手で保持することなく、最も引き出した最大引下状態を、そのまま保持している。従って、人が両手で収納物品を持った状態でも、安心して、容易に積込みが可能であり、女性や身体弱者にとっても、収納物品の積込みがスムーズに行い得る。
物品収納棚の収納状態であって、かつ、扉の閉状態を示す本発明の実施の一形態の断面側面図である。 物品収納棚の最大引下状態を示す断面側面図である。 図2の最大引下状態におけるベクトルと回転モーメントの大きさと方向を示すベクトル線図である。 図3のIV-IV断面拡大図である。 受け具の一例を示す図であって、(A)は下方の一方向から見た斜視図、(B)は180°回転した下方の他方向から見た斜視図である。 図4のVI-VI断面図である。 側面図である。 従来例の収納状態を示した断面側面図である。 従来例の引出完了状態(最大引下状態)を示した断面側面図である。 図9の最大引下状態におけるベクトルと回転モーメントの大きさと方向を示すベクトル線図である。
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1~図3に於て、本発明の実施の一形態を示し、1は、前方開口状の箱型の固定部であり、図示省略の壁等に、固着される。箱型固定部1は、キャビネットと呼ばれる場合もある。
10は、各種の収納物を載置(収納)することができる物品収納棚である。この物品収納棚10を、常時水平姿勢を保ちつつ、昇降案内するための平行リンク機構Zを備えている。即ち、図2に示すように、この平行リンク機構Zは、上方リンク12と下方リンク11を、有する。本発明の説明では、図2の物品収納棚10の最大引下状態において、「上方」及び「下方」に在るリンクを、各々、「上方リンク12」「下方リンク11」と呼ぶこととする。
さらに、具体的に説明すれば、平行リンク機構Zの下方リンク11は、その基盤が一軸心O11廻りに揺動可能として、固定部1の左右側壁内面4に固着した基台6に、枢着されている。また、平行リンク機構Zの上方リンク12は、その基端が別の一軸心O12廻りに揺動可能として上記基台6に枢着されている。
また、下方リンク11の先端は一軸心O21廻りに揺動可能として、かつ、上方リンク12の先端は一軸心O22廻りに揺動可能として、各々、物品収納棚10に枢着されている。
そして、上記箱型固定部1の前方開口部1Pの上辺(上端縁)15には、扉20が、枢着具16によって揺動開閉自在に、枢着保持されている。なお、枢着具16としては、揺動自在に枢着するのみならず、微小寸法だけ前後移動可能な(公知の)スライド式枢着具が望ましい。
そして、18は扉開閉用押上杆である。この押上杆18は扉20の裏面に、上端18Aが連結される。即ち、扉開閉用押上杆18の上端18Aは、第1枢着点P1 廻りに揺動自在として、枢着される。しかも、押上杆18の下端18Bは、平行リンク機構Zの上方リンク12に、第2枢着点P2 廻りに揺動自在として、枢着される(図1,図2の側面視参照)。
ここで、上方リンク12を箱型固定部1(の基台6)へ枢着した点を、第3枢着点P3 と呼ぶ。即ち、図1,図2における前述の一軸心O12が、この第3枢着点P3 に、該当する。
図2に示す如く、物品収納棚10を最も引き出した最大引下状態において、上記第3枢着点P3 と上記第1枢着点P1 とを、結ぶ基準直線L0 に対して、前記第2枢着点P2 を、側面視で、前方下方位置になるように、各点P1 ,P2 ,P3 の位置を、設定している。
このように設定すれば、図2から明らかとなるように、扉20の自重W20によって、空荷状態の物品収納棚10が、不意に、上方へ移動する阻止力を発揮する。
具体的に説明すれば、図2に於て、扉20は、その自重W20によって、枢着具16の枢支点を中心として下方向への(押下げ)モーメントM20を生ずる。
図2に示すように、下方向へのモーメントM20は、第1枢着点P1 を介して、押上杆18に伝達されて、押上杆18には、ベクトルF18(にて示した力)を第2枢着点P2 に伝達する。
図2に示した第1枢着点P1 と第3枢着点P3 とを結んだ基準直線L0 に対して、第2枢着点P2 は前方下方の位置に存在するため、図3に示したような(反時計廻りの)回転モーメントM12が、第3枢着点P3 廻りに生ずることとなる。
即ち、M12=F18×R3 …(数式1)
なお、上記数式1に於て、R3 は、第3枢着点P3 からベクトルF18へ(直角に)降ろした垂線の距離(腕の長さ)である。
このようにして、扉20の自重W20によって、空荷状態の物品収納棚10が、不意に上方へ移動(上昇)しようとした場合に、上記数式1の回転モーメントM12が、上昇を防ぐための阻止力として、働く。
本発明のこのような作用(効果)及び利点を明確にするために、ここで、従来例を示した図8~図10に関して、既述の図1~図3と対比しつつ、補足説明すると、次の通りである。
図9は、従来例における物品収納棚52が最大引下状態にある場合を示し、(既述の)第3枢着点P3 と、第1枢着点P1 とを、結ぶ基準直線L0 に対して、第2枢着点P2 が、側面視で、後方上方位置になるように、各点P1 ,P2 ,P3 の位置が、設定されていた。
従って、図9から明らかとなるように、扉56の自重W56によって、空荷状態の物品収納棚52が、不意に上昇───上方移動───することを、(阻止するどころか、逆に)助長する。さらに説明すると、図9に於て、扉56は、その自重W56によって、下方向への(押下げ)モーメントM56を生ずる。
図9に示すように、下方向へのモーメントM56は、小型リンク機構57及び第1枢着点P1 を介して、押上杆60に伝達されて、押上杆60は、ベクトルF60(にて示した力)を第2枢着点P2 に伝達する。
図9に於て、第1枢着点P1 と第3枢着点P3 とを結んだ基準直線L0 に対して、第2枢着点P2 は後方上方の位置に存在するため、図10に示したような(時計廻りの)回転モーメントM53が、第3枢着点P3 廻りに生ずることとなる。
即ち、M53=F60×R4 …(数式2)
なお、上記数式2に於て、R4 は、第3枢着点P3 からベクトルF60へ(直角に)降ろした垂線の距離(腕の長さ)である。
このように、扉56の自重W56によって、空荷状態の物品収納棚52が、本発明(図2と図3参照)と比較して逆方向に、作用する。即ち、図9,図10に示す従来例にあっては、空荷状態の物品収納棚52は、扉56の自重W56によって、不意に上昇する虞れがある。
このように、図8~図10に示した従来例にあっては、空荷状態で物品収納棚52が最大引出(最大引下)状態から、急に上昇して、収納物品の積込み作業が至難となり、使い勝手が良くない。
次に、押上杆18の上端には、図4,図6に示す如く、水平軸心L25廻りに回転自在として、プラスチック製等の回転輪25が、付設されている。
また、図4~図7に示すように、扉20の裏面には、プラスチック製等の受け具26が、固着される。この受け具26は、ボルト又はネジ等を挿通する2個の孔27,27を有する取付片部28と、回転輪25を回転可能に収納・保持する収納空間29を有する保持部30とを、一体に有する。
しかも、回転輪25は、受け具26の一側方(矢印S1 参照)からのみ差込自在である。つまり、回転輪25は、一側方S1 から収納空間29内に差込まれて、保持される。
図5(A)のように、一側面は大きく開口状であり、図5(B)のように他側面は、大半部分が、閉鎖壁部31にて閉じられている。
具体例では、収納空間29は、競技場トラックを短軸にて切断した半トラック型であり、この半トラック型の収納空間29の横寸法W29は、回転輪25の外径寸法Dより、僅かに大きく設定されている。
しかし、図4~図7に於ける収納空間29の上下方向寸法Hは、回転輪25の外径寸法Dよりも十分に大きく、図6に示すように(上下方向の)十分な遊び代ΔHがある。
そして、受け具26は、回転輪25が(やり送り状として)差込まれる一側方S1 においては、扉20の裏面近く及び遠くの各位置───即ち、図4の上位置・下位置───に、小幅突起片部32,33が突設されている。
この一側方S1 側の上下の小幅突起片部32,33は、図4と図7から明らかなように、回転輪25が収納空間29から外側方へ、離脱するのを防止する機能を発揮する。
しかも、図2の状態に於て、(図示省略するが)扉20と、押上杆18とを、分離した状態下で、主要部材を、箱型固定部1内にセット(取付)を完了できる。そのような主要部材を箱型固定部1内にセット完了の後に、(図4からも明らかに理解できるように、)回転軸25付の押上杆18の上端18Aを、僅かに傾斜姿勢で収納空間29内へ差込めば、図4の如く、回転軸25を収納でき、連結・接続を容易に行い得ると共に、小幅突起片部32,33によって、離脱しないように、維持可能である。
要するに、前記主要部材の箱型固定部1内へのセット(設置)作業が、著しく容易に行い得る利点がある。
本発明は、以上詳述したように、前方開口状箱型固定部1と;収納物を載置するための物品収納棚10と;該物品収納棚10を常時水平姿勢を保ちつつ、昇降案内するための平行リンク機構Zと;上記箱型固定部1の前方開口部1Pの上辺15に枢着された扉20と;上記扉20の裏面に上端18Aが第1枢着点P1 廻りに揺動自在として枢着されると共に、下端18Bが上記平行リンク機構Zの上方リンク12に第2枢着点P2 廻りに揺動自在として枢着された扉開閉用押上杆18と;を具備した昇降収納装置に於て;上記物品収納棚10を最も引き出した最大引下状態において;上記上方リンク12を上記箱型固定部1へ枢着した第3枢着点P3 と、上記第1枢着点P1 とを結ぶ基準直線L0 に対して、上記第2枢着点P2 を側面視で前方下方位置になるように、設定して;上記扉20の自重W20によって、空荷状態の物品収納棚10が、不意に上方へ移動する阻止力を発揮するよう構成したので、初めて昇降収納装置を使用する際、又は、全く収納物品が無い状態となった場合に、最大引下(引出)状態下で、人の手を物品収納棚10に当てることなく、収納物品を両手で持って、容易に、かつ、安全に、物品収納棚10に積込む(収容する)ことが、可能である。特に、女性や身体弱者にとっては、安全かつスムーズに、空荷状態かつ最大引下状態の物品収納棚10に、収納物品を積込むことが可能となって、安全かつ使い勝手が良い。また、従来では、図9に示したナックルキャッチ64を付設して、上方リンク61が不意に上方へ揺動することを防止せねばならなかったが、本発明ではこれを省略できる(図1,図2参照)。
また、本発明は、上記扉開閉用押上杆18の上端には、水平軸心L25廻りに回転自在な回転輪25が付設され;上記扉20の裏面には、上記回転輪25が一側方S1 から差込まれて保持される受け具26が固着されているので、扉20の裏面と扉開閉押上杆18とを非連結状態のままで、扉20を大きく上方へ開放して、箱型固定部1の内部に、平行リンク機構Z等の「主要部材」を、セット(設定)し、その後に、回転輪25を、受け具26の一側方から差込んで扉開閉用押上杆18を、取付ける作業手順となり、上記「主要部材」の設置作業が著しく容易となり、作業能率が改善される。
また、上記受け具26は、回転輪25が差込まれる上記一側方S1 において、扉裏面近く及び遠くの各位置に、回転軸離脱防止用小幅突起片部32,33が突設されているので、前述の「主要部材」を箱型固定部1の内部に設置した後に、扉開閉用押上杆18の上端を一側方S1 からスムーズに差込みできる。しかも、一旦、差込んだ後は、不意に離脱せずに、扉20の開閉作動は確実かつスムーズに行われる。
1 固定部
1P 前方開口部
10 物品収納棚
11 下方リンク
12 上方リンク
15 上辺
18 押上杆
18A 上端
18B 下端
20 扉
25 回転輪
26 受け具
32 小幅突起片部
33 小幅突起片部
0 基準直線
25 水平軸心
1 第1枢着点
2 第2枢着点
3 第3枢着点
1 一側方
20 自重
Z 平行リンク機構

Claims (1)

  1. 前方開口状箱型固定部(1)と、
    収納物を載置するための物品収納棚(10)と、
    該物品収納棚(10)を常時水平姿勢を保ちつつ、昇降案内するための平行リンク機構(Z)と、
    上記箱型固定部(1)の前方開口部(1P)の上辺(15)に枢着された扉(20)と、
    上記扉(20)の裏面に上端(18A)が第1枢着点(P1 )廻りに揺動自在として枢着されると共に、下端(18B)が上記平行リンク機構(Z)の上方リンク(12)に第2枢着点(P2 )廻りに揺動自在として枢着された扉開閉用押上杆(18)と、
    を具備した昇降収納装置に於て、
    上記物品収納棚(10)を最も引き出した最大引下状態において、
    上記上方リンク(12)を上記箱型固定部(1)へ枢着した第3枢着点(P3 )と、上記第1枢着点(P1 )とを結ぶ基準直線(L0 )に対して、上記第2枢着点(P2 )を側面視で前方下方位置になるように、設定して、
    上記扉(20)の自重(W20)によって、空荷状態の物品収納棚(10)が、不意に上方へ移動する阻止力を発揮するよう構成し
    上記扉開閉用押上杆(18)の上端には、水平軸心(L 25 )廻りに回転自在な回転輪(25)が付設され、
    上記扉(20)の裏面には、上記回転輪(25)が一側方(S 1 )から差込まれて保持される受け具(26)が固着され、
    上記受け具(26)は、回転輪(25)が差込まれる上記一側方(S 1 )において、扉裏面近く及び遠くの各位置に、回転軸離脱防止用小幅突起片部(32)(33)が突設されていることを特徴とする昇降収納装置。
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