JP7446541B1 - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents

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Abstract

水熱耐久後におけるコールドスタート時のHC浄化性能が高い排ガス浄化用触媒が提供される。ここに開示される排ガス浄化用触媒は、基材と、炭化水素吸着層と、触媒層と、を備える。前記炭化水素吸着層は、前記炭化水素吸着層が前記基材側になるように、前記触媒層と積層されている。前記触媒層は、触媒金属を含有する。前記炭化水素吸着層は、排ガスの流れ方向に沿った前記炭化水素吸着層の一方の端部から、他方の端部まで、Siを実質的に含有しない分子篩を含有する。前記炭化水素吸着層における前記Siを実質的に含有しない分子篩の含有量が、80質量%以上である。前記Siを実質的に含有しない分子篩は、12員環を有するアルミノホスフェート分子篩である。

Description

本発明は、排ガス浄化用触媒に関する。なお、本出願は2022年12月23日に出願された日本国特許出願第2022-206103号に基づく優先権を主張しており、その出願の全内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
自動車エンジン等の内燃機関から排出される排ガスには、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)等の有害成分が含まれる。これら有害成分を排ガス中から効率よく反応・除去するために、従来から排ガス浄化用触媒が利用されている。排ガス浄化用触媒の一つの典型的な構成として、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Rh(ロジウム)等の触媒金属を含む触媒層を、セラミックス等の高耐熱性の基材の上に形成したものが挙げられる。
エンジン始動直後の排ガス浄化用触媒が十分に加熱されていない状態(いわゆる、コールドスタート)においては、排ガス浄化用触媒の温度が低いために、炭化水素(HC)の処理のための十分な触媒活性が得られ難い。そのため、HC吸着材を含有するHC吸着層の上に、触媒金属を含む触媒層を積層したHC吸着型排ガス浄化用触媒が開発されている(例えば、特許文献1~4参照)。HC吸着材としては、特許文献1~4に記載のように、ゼオライト等の分子篩が知られている。
日本国特許出願公開第平7-256114号公報 日本国特許出願公開第2009-167973号公報 日本国特許出願公開第2004-116331号公報 日本国公表特許第表2020-510519号公報
近年、排ガス規制のさらなる強化によって、排ガス浄化用触媒には、排ガスに含まれる有害成分のより高い除去性能が求められている。例えば、コールドスタート時でのより高い排ガス浄化性能が求められている。本発明者らが鋭意検討した結果、上記従来技術の排ガス浄化用触媒においては、水を含んだ高温の排気ガスに長時間晒された後(以下、これを「水熱耐久後」と称する)に、コールドスタート時でのHC浄化性能が大きく低下するという問題があることを見出した。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、水熱耐久後におけるコールドスタート時のHC浄化性能が高い排ガス浄化用触媒を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、ゼオライトを用いた上記従来技術の排ガス浄化用触媒において水熱耐久後に浄化性能が大幅に低下する原因が、水熱耐久中にゼオライト(アルミノシリケート塩)に含まれるSiが移動して、触媒金属である貴金属に悪影響を及ぼしていることにあることを見出した。そして、HC吸着材として、Siを実質的に含有しない分子篩を所定割合以上用いることによって、排ガス浄化用触媒の水熱耐久後におけるコールドスタート時のHC浄化性能が急激に高くなることを見出した。本発明者らがさらに鋭意検討した結果、Siを実質的に含有しない分子篩の中でも、12員環を有するアルミノホスフェート分子篩の使用によれば、排ガス浄化用触媒の水熱耐久後におけるコールドスタート時のHC浄化性能が顕著に高くなることを見出した。
すなわち、ここに開示される排ガス浄化用触媒[1]は、基材と、炭化水素吸着層と、触媒層と、を備える。前記炭化水素吸着層は、前記炭化水素吸着層が前記基材側になるように、前記触媒層と積層されている。前記触媒層は、触媒金属を含有する。前記炭化水素吸着層は、排ガスの流れ方向に沿った前記炭化水素吸着層の一方の端部から、他方の端部まで、Siを実質的に含有しない分子篩を含有する。前記炭化水素吸着層における前記Siを実質的に含有しない分子篩の含有量は、80質量%以上である。前記Siを実質的に含有しない分子篩は、12員環を有するアルミノホスフェート分子篩である。このような構成によれば、水熱耐久後におけるコールドスタート時のHC浄化性能が高い排ガス浄化用触媒を提供することができる。
ここに開示される排ガス浄化用触媒[2]は、上記排ガス浄化用触媒[1]において、前記炭化水素吸着材が、Siを実質的に含有しない分子篩を90質量%以上含有する。このような構成によれば、水熱耐久後におけるコールドスタート時のHC浄化性能がより高い排ガス浄化用触媒を提供することができる。
ここに開示される排ガス浄化用触媒[3]は、上記排ガス浄化用触媒[1]または[2]において、前記アルミノホスフェート分子篩の骨格構造が、AFI型である。このような構成によれば、水熱耐久後におけるコールドスタート時のHC浄化性能に有利である。
ここに開示される排ガス浄化用触媒[4]は、上記排ガス浄化用触媒[1]~[3]のいずれかにおいて、前記炭化水素吸着層の、前記排ガスの流れ方向に沿ったコート幅が、前記基材の全長の80%以上である。このような構成によれば、HC浄化性能がより高くなる。
ここに開示される排ガス浄化用触媒体[5]は、上記排ガス浄化用触媒[1]~[4]のいずれかにおいて、前記触媒層において、第1部分触媒層と、第2部分触媒層と、が積層されている。前記第1部分触媒層は、前記第2部分触媒層よりも前記基材側に位置する。前記第1部分触媒層および前記第2部分触媒層はそれぞれ、前記触媒金属を含有する。前記第1部分触媒層が、前記触媒金属として酸化触媒を含む。前記第2部分触媒層が、前記触媒金属として還元触媒を含む。このような構成によれば、排ガス浄化性能に特に優れる排ガス浄化用触媒を提供することができる。
第1実施形態に係る排ガス浄化システムを示す模式図である。 図1の排ガス浄化用触媒を模式的に示す斜視図である。 図1の排ガス浄化用触媒を筒軸方向に切断した部分断面図である。 図1の排ガス浄化用触媒の変形例の構成を示す部分断面図である。 実施例1~4および比較例1~5の水熱耐久処理後におけるHC50%浄化温度を示すグラフである。 実施例5および比較例6の水熱耐久処理後におけるHCエミッション量を示すグラフである。
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化することがある。各図における寸法関係(長さ、幅、厚み等)は、実際の寸法関係を必ずしも反映するものではない。また、本明細書において範囲を示す「A~B」(A,Bは任意の数値)の表記は、A以上B以下の意と共に、「好ましくはAより大きい」および「好ましくはBより小さい」の意を包含する。
≪排ガス浄化システム≫
図1は、排ガス浄化システム1の模式図である。排ガス浄化システム1は、内燃機関(エンジン)2と、排ガス浄化装置3と、エンジンコントロールユニット(Engine Control Unit:ECU)7と、を備えている。排ガス浄化システム1は、内燃機関2から排出される排ガスに含まれる有害成分、例えば、HC、CO、NOx等を、排ガス浄化装置3で浄化するように構成されている。なお、図1の矢印は排ガスの流動方向を示している。また、以下の説明では、排ガスの流れに沿って内燃機関2に近い側を上流側、内燃機関2から遠い側を下流側という。
内燃機関2は、ここではガソリン車両のガソリンエンジンを主体として構成されている。ただし、内燃機関2は、ガソリン以外のエンジン、例えばディーゼルエンジンやハイブリッド車に搭載されるエンジン等であってもよい。内燃機関2は、燃焼室(図示せず)を備えている。燃焼室は、燃料タンク(図示せず)に接続されている。燃料タンクには、ここではガソリンが貯留されている。ただし、燃料タンクに貯留される燃料は、ディーゼル燃料(軽油)等であってもよい。燃焼室では、燃料タンクから供給された燃料が酸素と混合され、燃焼される。これにより、燃焼エネルギーが力学的エネルギーへと変換される。燃焼室は、排気ポート2aに連通している。排気ポート2aは、排ガス浄化装置3に連通している。燃焼された燃料ガスは、排ガスとなって排ガス浄化装置3に排出される。
排ガス浄化装置3は、内燃機関2と連通する排気経路4と、圧力センサ8と、第1触媒9と、第2触媒10と、を備えている。排気経路4は、排ガスが流動する排ガス流路である。排気経路4は、ここではエキゾーストマニホールド5と排気管6とを備えている。エキゾーストマニホールド5の上流側の端部は、内燃機関2の排気ポート2aに連結されている。エキゾーストマニホールド5の下流側の端部は、排気管6に連結されている。排気管6の途中には、上流側から順に、第1触媒9と第2触媒10とが配置されている。ただし、第1触媒9と第2触媒10との配置は任意に可変であってよい。また、第1触媒9と第2触媒10との個数は特に限定されず、それぞれ複数個が設けられてもよい。また、第2触媒10の下流側には、さらに第3触媒が配置されていてもよい。
第1触媒9については従来と同様でよく、特に限定されない。第1触媒9は、例えば、排ガスに含まれるPMを除去するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter);排ガスに含まれるHCやCOを浄化するディーゼル酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst);排ガスに含まれるHC、CO、NOxを同時に浄化する三元触媒;通常運転時に(リーン条件下で)NOxを吸蔵し、燃料を多めに噴射した時に(リッチ条件下で)HC、COを還元剤としてNOxを浄化するNOx吸着還元(NSR:NOx Storage-Reduction)触媒;等であってもよい。第1触媒9は、例えば第2触媒10に流入する排ガスの温度を上昇させる機能を有していてもよい。なお、第1触媒9は必須の構成ではなく、他の実施形態において省略することもできる。
第2触媒10は、排ガス中の有害成分(例えばHC)を浄化する機能を有する。第2触媒10は、ここでは三元触媒である。第2触媒10は、ここに開示される排ガス浄化用触媒の一例である。なお、以下では、第2触媒10を「排ガス浄化用触媒」ということがある。第2触媒(排ガス浄化用触媒)10の構成については、後に詳述する。
ECU7は、内燃機関2と排ガス浄化装置3とを制御する。ECU7は、内燃機関2と、排ガス浄化装置3の各部位に設置されているセンサ(例えば、圧力センサ8や、温度センサ、酸素センサ等)とに、電気的に接続されている。なお、ECU7の構成については従来と同様でよく、特に限定されない。ECU7は、例えばプロセッサや集積回路である。ECU7は、入力ポート(図示せず)と出力ポート(図示せず)とを備えている。ECU7は、例えば、車両の運転状態や、内燃機関2から排出される排ガスの量、温度、圧力等の情報を受信する。ECU7は、センサで検知された情報(例えば、圧力センサ8で計測された圧力)を、入力ポートを介して受信する。ECU7は、例えば受信した情報に基づいて、出力ポートを介して制御信号を送信する。ECU7は、例えば内燃機関2の燃料噴射制御や点火制御、吸入空気量調節制御等の運転を制御する。ECU7は、例えば内燃機関2の運転状態や内燃機関2から排出される排ガスの量等に基づいて、排ガス浄化装置3の駆動と停止とを制御する。
≪排ガス浄化用触媒≫
図2は、排ガス浄化用触媒10を模式的に示す斜視図である。なお、図2の矢印は、排ガスの流れを示している。図2では、相対的に内燃機関2に近い排気経路4の上流側が左側に表され、相対的に内燃機関2から遠い排気経路の下流側が右側に表されている。また、図2において、符号Xは、排ガス浄化用触媒10の筒軸方向を表している。排ガス浄化用触媒10は、筒軸方向Xが排ガスの流動方向に沿うように排気経路4に設置されている。筒軸方向Xは、排ガスの流動方向である。以下では、筒軸方向Xのうち、一の方向X1を上流側(排ガス流入側、フロント側ともいう。)といい、他の方向X2を下流側(排ガス流出側、リア側ともいう。)ということがある。ただし、これは説明の便宜上の方向に過ぎず、排ガス浄化用触媒10の設置形態を何ら限定するものではない。
排ガス浄化用触媒10は、図3に例示されるように、ストレートフロー構造の基材11と、炭化水素(HC)吸着層20と、触媒層30と、を備えている。排ガス浄化用触媒10の一の方向X1の端部は排ガスの流入口10aであり、他の方向X2の端部は排ガスの流出口10bである。排ガス浄化用触媒10の外形は、ここでは円筒形状である。ただし、排ガス浄化用触媒10の外形は特に限定されず、例えば、楕円筒形状、多角筒形状、パイプ状、フォーム状、ペレット形状、繊維状等であってもよい。
基材11は、排ガス浄化用触媒10の骨組みを構成するものである。基材11としては特に限定されず、従来のこの種の用途に用いられる種々の素材および形態のものが使用可能である。基材11は、例えば、コージェライト、チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素等のセラミックスで構成されるセラミックス担体であってもよいし、ステンレス鋼(SUS)、Fe-Cr-Al系合金、Ni-Cr-Al系合金等で構成されるメタル担体であってもよい。図2に示すように、基材11は、ここではハニカム構造を有している。基材11は、筒軸方向Xに規則的に配列された複数のセル(空洞)12と、複数のセル12を仕切る隔壁(リブ)14と、を備えている。特に限定されるものではないが、基材11の体積(セル12の容積を含んだ見掛けの体積)は、概ね0.1~10L、例えば0.5~5Lであってもよい。また、基材11の筒軸方向Xに沿う平均長さ(全長)Lは、概ね10~500mm、例えば50~300mmであってもよい。
セル12は、排ガスの流路となる。セル12は、筒軸方向Xに延びている。セル12は、基材11を筒軸方向Xに貫通する貫通孔である。セル12の形状、大きさ、数等は、例えば、排ガス浄化用触媒10を流動する排ガスの流量や成分等を考慮して設計すればよい。セル12の筒軸方向Xに直交する断面の形状は特に限定されない。セル12の断面形状は、例えば、正方形、平行四辺形、長方形、台形等の四角形や、その他の多角形(例えば、三角形、六角形、八角形)、波形、円形等種々の幾何学形状であってよい。隔壁14は、セル12に面し、隣り合うセル12の間を区切っている。特に限定されるものではないが、隔壁14の平均厚み(表面に直交する方向の寸法。以下同じ。)は、機械的強度を向上する観点や圧損を低減する観点等から、概ね0.1~10mil(1milは、約25.4μm)、例えば0.2~5milであってもよい。隔壁14は、排ガスが通過可能なように多孔質であってもよい。
図3は、排ガス浄化用触媒10を筒軸方向Xに沿って切断した断面の一部を模式的に示す部分断面図である。図3に示すように、この基材11上に、HC吸着層20および触媒層30が積層される。HC吸着層20は、触媒層30よりも基材11側(すなわち、下層側)に配置される。このような配置によれば、HC吸着層20が吸着したHCを、触媒層30によって効率的に除去することができる。
HC吸着層20は、HC吸着材として、Siを実質的に含有しない分子篩を含有する。Siを実質的に含有しない分子篩が含まれる領域は、HC吸着層20の一方の端部20aから、他方の端部20bまでである。典型的には、HC吸着層20は、全体的にSiを実質的に含有しない分子篩を含有している。HC吸着材を含有するHC吸着層20を設けることにより、触媒層にHC吸着材を混合する場合に比べて、HC吸着材の量を多くすることができ、HC浄化性能を高くすることができる。
本明細書において、「分子篩がSiを実質的に含有しない」とは、分子篩を構成するすべて原子に対するSi原子の割合が、6原子%以下(好ましくは3原子%以下、より好ましくは1原子%以下、さらに好ましくは0原子%)であることをいう。よって、例えば、Siの移動、不可避的不純物等によって、分子篩にSiが含有されることは許容される。なお、分子篩を構成するすべて原子に対するSi原子の割合は、蛍光X線分析(XRF)により求めることができる。
そして、本実施形態では、このSiを実質的に含有しない分子篩として、12員環を有するアルミノホスフェート(ALPO)分子篩を用いる。ALPO分子篩は、ゼオライトと同じ、類似の、または異なる骨格構造を有するアルミノホスフェート(AlPO)であり得る。ALPO分子篩は、Siを実質的に含有しないが、ALPO分子篩のSiO/Al比(モル比)は、好ましくは1未満であり、より好ましくは0.5以下であり、さらに好ましくは0.1以下であり、最も好ましくは0である。ここで用いられるALPO分子篩は、Siを実質的に含有しないため、SiOに対するAlの含有割合を高めたアルミノホスフェート系ゼオライトとは異なる(低シリカゼオライトであっても、SiO/Al比は通常、1以上である)。なお、SiO/Al比は、蛍光X線分析(XRF)により求めることができる。
使用されるALPO分子篩の骨格構造は、12員環を有する限り特に限定はない。12員環を有する骨格構造の例としては、国際ゼオライト学会(IZA:International Zeolite Association)が定める骨格型コードとして、AFI、AFR、ATO、ATS、EZT、OSI、SAF、SFOなどが挙げられる。12員環を有するALPO分子篩の最大員環数は、典型的には12である。
本実施形態においては、HC吸着層20に含まれるHC吸着材は、12員環を有するALPO分子篩を80質量%以上含有する。すなわち、HC吸着層20に含まれるHC吸着材の全質量に対する12員環を有するALPO分子篩の質量割合が、80質量%以上である。
従来技術においては、HC吸着材としてゼオライト等の分子篩が使用されている。ゼオライトは、分子篩として機能する結晶性アルミノケイ酸塩であり、よって、SiおよびAlを含有する。本発明者らによる検討により得られた知見では、ゼオライトを含む触媒層に水熱耐久処理を施すと、ゼオライトに含まれるSiが移動して、触媒金属である貴金属に悪影響を及ぼし、これがコールドスタート時の排ガス浄化性能を低下させる。これは、高温還元雰囲気下においてゼオライトに含まれるSiOがSiOへ還元され、SiOxの形態での界面移動や蒸散が起こるためと考えられる。また、Siと貴金属との相互作用による被毒によるものと考えられる。
よって、本実施形態では、HC吸着材として、Siを実質的に含有しない分子篩を80質量%以上含有することにより、水熱耐久後であっても、コールドスタート時のHC浄化性能が高くなる。
また、HC吸着材として、ALPO分子篩が使用できることが知られている。本実施形態では、ALPO分子篩として12員環を有するものを用いる。ALPO分子篩の骨格構造が12員環を有することにより、HCを効率よく吸着することができ、水熱耐久後におけるHC浄化性能が顕著に高くなる。
一方、近年、排ガス規制は益々強化されており、ガソリンエンジン車からのNH排出量の低減が望まれている。12員環を有するALPO分子篩は、NH吸着材として機能することもできる。このため、本実施形態に係る排ガス浄化用触媒10によれば、排ガス中のNHの浄化を高効率で行うことができ、水熱耐久後においても高いNH浄化性能を有する。
水熱耐久後におけるコールドスタート時のHC浄化性能がより高くなることから、HC吸着層20に含まれるHC吸着材は、Siを実質的に含有しない分子篩を90質量%以上含有することが好ましく、95質量%以上含有することがより好ましく、97質量%以上含有することがさらに好ましく、100質量%含有することが最も好ましい。
HC吸着材が、Siを実質的に含有しない分子篩を80質量%以上100質量%未満含有する場合、HC吸着材は、12員環を有するALPO分子篩以外の吸着材(以下、「その他のHC吸着材」とも呼ぶ)を含む。その他のHC吸着材は、ゼオライト、12員環を有しないALPO分子篩等であってよい。その他のHC吸着材は、排ガス浄化用触媒のHC吸着材として用いられる従来公知のものであってよい。
排ガス浄化用触媒10におけるHC吸着材の量は、特に限定されず、基材11のセル12の大きさや排ガス浄化用触媒10に流通する排ガスの流量等を考慮して適宜設計することができる。基材11の体積1L当たりのHC吸着材の量として、例えば、1g/L以上、5g/L以上、10g/L以上、15g/L以上、または20g/L以上であってよく、例えば、200g/L以下、150g/L以下、100g/L以下、80g/L以下、60g/L以下、50g/L以下、または40g/L以下であってよい。
HC吸着層20は、任意成分として、HC吸着材以外の成分を含み得る。HC吸着層20の任意成分の例としては、アルミナゾル、シリカゾル等のバインダ、各種添加剤などが挙げられる。
HC吸着層20は、その他の任意成分として、酸素吸放出能を有する酸素吸放出材(いわゆる、OSC材)、酸素吸放出能を有しない非酸素吸放出材(いわゆる、非OSC材)を含有していてもよい。OSC材、および非OSC材の例は、後述の触媒層30に含まれるOSC材、および非OSC材と同様である。
HC吸着層20におけるOSC材および非OSC材の含有量は、特に限定されない。HC吸着層20におけるHC吸着材の量が多いほど、HCを吸着できる。このため、HC吸着層20におけるOSC材および非OSC材の含有量はそれぞれ、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。
一方、HC吸着層20は、通常、触媒金属を含有しない。
好ましい形態の一つにおいては、HC吸着層20は、12員環を有するALPO分子篩、およびバインダ成分のみによって構成される。
基材11上には、基本的に単一のHC吸着層20が設けられる。すなわち、基材11に設けられるHC吸着層20は、基本的に1つのみである。HC吸着層20が単一であり、かつHC吸着層20の一方の端部20aから、他方の端部20bまで、12員環を有するALPO分子篩を含有することにより、水熱耐久後におけるコールドスタート時のHC浄化性能が顕著に高くなる。しかしながら、本発明の効果を阻害しない範囲内(特に、筒軸方向XにおけるHC吸着層20の長さの10%以下の長さ)で、別のHC吸着層が設けられていてもよい。
HC吸着層20の一部が、HC吸着層20の他の部分と異なる組成を有していてもよい。例えば、HC吸着層20の筒軸方向Xの上流側X1部分(フロント部)と下流側X2部分(リア部)とが、異なる組成を有していてもよい。具体的に例えば、HC吸着層20の筒軸方向Xの上流側X1部分(フロント部)と下流側X2部分(リア部)とが、異なる骨格構造の、12員環を有するALPO分子篩を含有していてもよい。
したがって、本明細書において、HC吸着材を含有し、組成の異なる2つの領域が接している場合には、単一のHC吸着層20とみなす。
HC吸着層20のコート量(すなわち、成形量)は、特に限定されない。当該コート量は、筒軸方向Xに沿ってHC吸着層20が形成されている基材の部分の体積1Lあたり、例えば3~200g/Lであり、10~100g/Lであってもよい。上記範囲を満たすことにより、有害成分の浄化性能の向上と圧損の低減とを高いレベルで両立することができる。また、耐久性や耐剥離性を向上することができる。
HC吸着層20の厚みは特に限定されず、耐久性や耐剥離性等を考慮して適宜設計すればよい。HC吸着層20の厚みは、例えば1~100μmであり、5~100μmであってよい。
HC吸着層20の筒軸方向Xのコート幅(平均長さ)は、特に限定されない。当該コート幅は、大きい方がHC浄化性能に優れるため、当該コート幅は、基材11の全長Lの例えば20%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上であり、基材11の全長Lと同じ長さであってもよい。
触媒層30は、排ガス中の有害成分を浄化する反応場である。触媒層30は、多数の細孔(空隙)を有する多孔質体である。排ガス浄化用触媒10に流入した排ガスは、排ガス浄化用触媒10の流路内(セル12)を流動している間に触媒層30と接触する。これによって、排ガス中の有害成分が浄化される。例えば、排ガスに含まれるHCやCOは、触媒層30によって酸化され、水や二酸化炭素等に変換(浄化)される。例えば、排ガスに含まれるNOxは、触媒層30によって還元され、窒素に変換(浄化)される。
触媒層30は、必須成分として少なくとも触媒金属を含む。触媒金属としては、有害成分の浄化にあたり酸化触媒や還元触媒として機能し得る種々の金属種を使用可能である。触媒金属の典型例としては、白金族、すなわち、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)が挙げられる。また、白金族にかえて、あるいは白金族に加えて、他の金属種を使用してもよい。例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)などの金属種を使用してもよい。また、これらの金属のうちの2種以上を合金化したものを用いてもよい。触媒金属としては、酸化活性が高い酸化触媒(例えばPdおよびPtのうちの少なくとも一方)、および還元活性が高い還元触媒(例えばRh)が好適であり、特にこれらを2種以上組み合わせることが好ましい。酸化触媒および還元触媒は、同じ(単一の)触媒層に存在していてもよいし、別個の触媒層に存在していてもよい。
触媒金属は、排ガスとの接触面積を高める観点から、十分に小さい粒径の微粒子として使用されることが好ましい。触媒金属の平均粒子径(具体的には、透過電子顕微鏡(TEM)観察により求められる、50個以上の触媒金属の粒径の平均値)は、概ね1~15nm、例えば10nm以下、さらには5nm以下であるとよい。
排ガス浄化用触媒10における触媒金属の量は、特に限定されず、触媒金属の種類等に応じて適宜決定することができる。基材11の体積1L当たりの触媒金属の量として、特に高い排ガス浄化性能の観点からは、例えば、0.01g/L以上、0.03g/L以上、0.05g/L以上、0.08g/L以上、または0.10g/L以上であってよい。排ガス浄化性能とコストとのバランスの観点からは、例えば、15.00g/L以下、10.00g/L以下、5.00g/L以下、3.00g/L以下、1.50g/L以下、1.00g/L以下、0.80g/L以下、または0.50g/L以下であってよい。
なお、本明細書において「基材の体積1L当たり」とは、基材の純体積にセル通路の容積も含めた全体の嵩容積1L当たりをいう。以下の説明において(g/L)と記載しているものについては、基材の体積1Lに含まれる量を示すものである。
触媒金属は、通常、担体に支持されている。よって、触媒層30は、触媒金属を担持する担体をさらに含有していてもよい。
触媒金属を担持する担体としては、排ガス浄化用触媒の触媒金属の担体として用いられる公知の材料を使用することができる。担体は、典型的には、無機多孔質体である。担体としては、酸化アルミニウム(Al、アルミナ)、酸化チタン(TiO、チタニア)、酸化ジルコニウム(ZrO、ジルコニア)、酸化ケイ素(SiO、シリカ)等の酸素貯蔵能を有しない材料(非OSC材);セリア(CeO)、セリアを含む複合酸化物等の酸素貯蔵能を有する材料(OSC材);などが挙げられる。担体は、非OSC材およびOSC材のいずれかであってよく、両方であってよい。
非OSC材として用いられる酸化物には、耐熱性等を向上させるために、Pr、Nd、La、Y等の希土類元素の酸化物が、少量(例えば、1質量%以上10質量%以下)添加されていてもよい。耐熱性および耐久性に特に優れることから、非OSC材は、Alが好ましく、Laが複合化されたAl(La-Al複合酸化物;LA複合酸化物)であることがより好ましい。
OSC材に関し、セリアを含む複合酸化物としては、セリアとジルコニアとを含む複合酸化物(セリア-ジルコニア複合酸化物(いわゆる、CZ複合酸化物またはZC複合酸化物))などが挙げられる。OSC材に酸化ジルコニウムが含有されている場合には、酸化セリウムの熱劣化を抑制できることから、OSC材としては、セリア-ジルコニア複合酸化物が好ましい。
OSC材は、特性(特に耐熱性と酸素吸放出特性等)の向上を目的として、希土類元素の酸化物を含んでいても良い。希土類元素の例としては、Sc、Y、La、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luなどが挙げられる。希土類元素の酸化物としては、好適にはPr、Nd、La、およびYである。
OSC材が酸化セリウムを含む複合酸化物である場合、その酸素吸蔵能を十分に発揮させる観点から、当該複合酸化物における酸化セリウムの含有率は、好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上である。一方、酸化セリウムの含有率が高過ぎると、OSC材の塩基性が高くなり過ぎるおそれがある。そのため、酸化セリウムの含有率は、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である。
一例として、触媒層30は、OSC材、および非OSC材を含み、触媒金属は、OSC材、および非OSC材の両方に担持される。
触媒層30は、触媒金属を担持しない形態で、上記のOSC材および/または上記の非OSC材をさらに含有していてもよい。担体として使用されるOSC材および非OSC材、ならびに非担体として使用されるOSC材および非OSC材は、Siを含有しないことが好ましい。
排ガス浄化用触媒10におけるOSC材および非OSC材の量は、特に限定されず、基材11のセル12の大きさや排ガス浄化用触媒10に流通する排ガスの流量等を考慮して適宜設計することができる。基材11の体積1L当たりのOSC材および非OSC材の合計量(担体および非担体の両方を含めたOSC材および非OSC材の合計量)として、例えば、50g/L以上、70g/L以上、80g/L以上、90g/L以上、または100g/L以上であってよく、例えば、500g/L以下、400g/L以下、300g/L以下、250g/L以下、200g/L以下、180g/L以下、または160g/L以下であってよい。
触媒層30は、触媒金属の担体として、または、触媒金属を担持しない形態で、OSC材を含むことが好ましい。このとき、例えば車両の走行条件などによって排ガスの空燃比が変動したときにも、安定して優れた浄化性能を発揮することができる。
触媒層30は、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)等のアルカリ土類元素を含んでていてもよい。アルカリ土類元素によって、触媒金属(特に酸化触媒)の被毒を抑制することができる。また、アルカリ土類元素によって、触媒金属の分散性が高められ、触媒金属の粒成長に伴うシンタリングを抑制することができる。また、触媒層30が、OSC材と共にアルカリ土類元素を含む場合には、理論空燃比よりも燃料が薄いリーン雰囲気(酸素過剰雰囲気)において、OSC材への酸素吸収量をさらに向上させることができる。アルカリ土類元素は、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物等の形態で含有され得る。
また、触媒層30は、NOx吸蔵能を有するNOx吸着材や、安定化剤等を含んでいてもよい。安定化剤としては、例えば、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジウム(Nd)等の希土類元素が挙げられる。なお、希土類元素は、酸化物の形態で触媒層30に存在しうる。
触媒層30のその他の任意成分としては、アルミナゾル、シリカゾル等のバインダ、各種添加剤などが挙げられる。バインダは、Siを含有しないものが好ましく、よってアルミナゾルが好ましい。
触媒層30は、HC吸着材を含んでいてもよいが、本実施形態に係る排ガス浄化用触媒10は、HC吸着層20を有しているため、触媒層30が、HC吸着材を含んでいないことが好ましい。
特に限定されるものではないが、触媒層30のコート量(成形量)は、排ガス浄化用触媒10の体積(基材11の体積)1Lあたり、概ね30g/L以上、典型的には50g/L以上、好ましくは70g/L以上、例えば100g/L以上であってよく、概ね500g/L以下、典型的には400g/L以下、例えば、300g/L以下であってもよい。上記範囲を満たすことにより、浄化性能の向上と圧損の低減とを高いレベルで兼ね備えることができる。なお、本明細書において「コート量」とは、排ガス浄化用触媒10の単位体積あたりに含まれる固形分の質量をいう。
触媒層30の長さや厚みは、例えば、基材11のセル12の大きさや排ガス浄化用触媒10に流通する排ガスの流量等を考慮して適宜設計することができる。触媒層30は、基材11の隔壁14に連続的に設けられていてもよく、断続的に設けられていてもよい。触媒層30は、例えば、排ガスの流入口10aから筒軸方向Xに沿って設けられていてもよいし、排ガスの流出口10bから筒軸方向Xに沿って設けられていてもよい。
特に限定されるものではないが、触媒層30の筒軸方向Xの全体のコート幅(平均長さ)は、基材11の全長Lの概ね20%以上、好ましくは50%以上、典型的には80%以上、例えば90%以上であるとよく、基材11の全長Lと同じ長さであってもよい。特に限定されるものではないが、触媒層30のコート厚み(平均厚み)は、概ね1~300μm、典型的には5~200μm、例えば10~100μmである。これにより、浄化性能の向上と圧損の低減とを高いレベルで兼ね備えることができる。
触媒層30の一部が、触媒層30の他の部分と異なる組成を有していてもよい。例えば、触媒層30の筒軸方向Xの上流側X1部分(フロント部)と下流側X2部分(リア部)とが、異なる組成を有していてもよい。具体的に例えば、触媒層30の筒軸方向Xの上流側X1部分(フロント部)と下流側X2部分(リア部)とが、異なる触媒金属を含有していてもよい。
図3に例示される排ガス浄化用触媒10は、HC吸着層20および触媒層30のみを有している。しかしながら、排ガス浄化用触媒10は、これら以外の層をさらに有していてもよい。例えば、排ガス浄化用触媒10は、HC吸着層20と触媒層30との間に別の層(中間層とも呼ばれ得る)を有していてもよいし、基材11とHC吸着層20との間に別の層(下地層とも呼ばれ得る)を有していてもよいし、触媒層30の上に別の層を有していてもよい。
図3に例示される排ガス浄化用触媒10の触媒層30は、単層構造を有している。しかしながら、触媒層30は、各層が触媒金属を含有する複層構造を有していてもよい。以下、触媒層30が複層構造である場合の排ガス浄化用触媒の例について説明する。
≪排ガス浄化用触媒10の変形例≫
図4は、排ガス浄化用触媒10の変形例である排ガス浄化用触媒10’を筒軸方向Xに沿って切断した断面の一部を模式的に示す部分断面図である。排ガス浄化用触媒10’は、基材11と、基材11に設けられたHC吸着層20と、複層構造の触媒層30’と、を備えている。HC吸着層20が、触媒層30’よりも基材11側になるように、HC吸着層20と触媒層30’とが積層されている。触媒層30’が複層構造であることにより、排ガス浄化性能をさらに高めることができる。
基材11およびHC吸着層20については上記と同様である。触媒層30’は、図3に示す例とは異なり、複層構造を有している。具体的には、触媒層30’は、第1部分触媒層(下層)31と第2部分触媒層(上層)32とが、厚み方向に積層された積層構造を有している。したがって、下層31が、基材11側に配置されている。図示例では、HC吸着層20の表面に接するように下層31が設けられ、下層31の上面に接するように上層32が設けられている。図示例では、触媒層30’は、2層構造を有しているが、触媒層30’は、3層以上の積層構造を有していてもよい。例えば、触媒層30’は、下層31と上層32との間に中間層を有していてもよいし、触媒層30’は、上層32の上にさらに別の層を有していてもよい。
下層31および上層32はそれぞれ、触媒金属を含有している。ここで、下層31と上層32は、同じ触媒金属を含んでいてよいし、異なる触媒金属を含んでいてもよく、異なる触媒金属を含有することが好ましい。
具体的に、例えば、下層31は、触媒金属として、酸化触媒(例えばPdおよびPtのうちの少なくとも一方)を含み、上層32は、触媒金属として還元触媒(例えばRh)を含む。この場合、排ガス浄化用触媒10’は、排ガス浄化性能に特に優れる。より高い排ガス浄化性能の観点から、下層31の触媒金属がPtであり、上層32の触媒金属がRhであることが有利である。この場合、パラフィンの浄化に特に有利である。あるいは、より高い排ガス浄化性能の観点から、下層31の触媒金属がPdであり、上層32の触媒金属がRhであることが有利である。この場合、オレフィンの浄化に特に有利である。
なお、下層31が、Ptを含む場合、下層31に含まれる触媒金属のうちの好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、最も好ましくは100質量%が、Ptである。下層31が、Pdを含む場合、下層31に含まれる触媒金属のうちの好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、最も好ましくは100質量%が、Pdである。上層32が、Rhを含む場合、上層32に含まれる触媒金属のうちの好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、最も好ましくは100質量%が、Rhである。
下層31および上層32は、上記した触媒層30と同様の任意成分を含有していてもよい。
≪排ガス浄化用触媒10の製造方法≫
排ガス浄化用触媒10は、例えば以下のような方法で製造することができる。まず、基材11と、HC吸着層20を形成するためのHC吸着層形成用スラリーと、触媒層30を形成するための触媒層形成用スラリーを用意する。
HC吸着層形成用スラリーは、例えば、12員環を有するALPO分子篩を80質量%以上含有するHC吸着材と、その他の任意成分(例えば、非OSC材、OSC材、バインダ、各種添加剤等)とを、分散媒中で混合することにより、調製することができる。触媒層形成用スラリーは、例えば、触媒金属源(例えば、触媒金属をイオンとして含む溶液)と、その他の任意成分(例えば、非OSC材、OSC材、バインダ、各種添加剤等)とを、分散媒中で混合することにより、調製することができる。分散媒としては、例えば、水、水と水溶性有機溶媒の混合物等を使用し得る。これらのスラリーの性状(例えば、粘度、固形分率等)は、使用する基材11のサイズや、セル12(隔壁14)の形態、HC吸着層20および触媒層30への要求特性等によって適宜決定することができる。
次に、HC吸着層形成用スラリーを用いて、基材11にHC吸着層20を形成する。HC吸着層20の形成は、従来公知の方法(例えば、含浸法、ウォッシュコート法等)により行うことができる。具体的に例えば、HC吸着層形成用スラリーを基材11の端部からセル12に流入させ、筒軸方向Xに沿って所定の長さまで供給する。スラリーは、流入口10aと流出口10bのいずれから流入させてもよい。このとき、余分なスラリーは反対側の端部から吸引してもよい。また、反対側の端部から送風を行う等して、余分なスラリーをセル12から排出させてもよい。
次に、スラリーを供給した基材11を所定の温度および時間で焼成する。焼成の方法は従来と同様であってよい。また、焼成の前に乾燥を行って、分散媒を除去してもよい。これにより、基材11上にHC吸着層20を形成することができる。
続いて、触媒層形成用スラリーを用いて、触媒層30を形成する。触媒層30の形成は、従来公知の方法(例えば、含浸法、ウォッシュコート法等)により行うことができる。例えば、上記と同様にして、触媒層形成用スラリーを基材11の端部からセル12に流入させ、筒軸方向Xに沿って所定の長さまで供給し、基材11に形成されたHC吸着層20上に、触媒層形成用スラリーを塗工する。
次に、これを、所定の温度および時間で焼成する。焼成の方法は従来と同様であってよい。また、焼成の前に乾燥を行って、分散媒を除去してもよい。これにより、基材11に形成されたHC吸着層20上に触媒層30を形成することができる。以上のようにして、排ガス浄化用触媒10を得ることができる。
≪排ガス浄化用触媒10の用途≫
排ガス浄化用触媒10は、自動車やトラック等の車両や、自動二輪車や原動機付き自転車をはじめとして、船舶、タンカー、水上バイク、パーソナルウォータークラフト、船外機等のマリン用製品;草刈機、チェーンソー、トリマー等のガーデニング用製品;ゴルフカート、四輪バギー等のレジャー用製品;コージェネレーションシステム等の発電設備;ゴミ焼却炉;等の内燃機関から排出される排ガスの浄化に好適に用いることができる。なかでも、自動車等の車両に対して好適に用いることができ、特に、ガソリンエンジンを備える車両に対して好適に用いることができる。
以下、本発明に関する試験例を説明するが、本発明を以下の試験例に示すものに限定することを意図したものではない。
〔実施例1〕
基材として、ハニカム基材(コージェライト製、容積:0.0175L、基材の全長:24mm、セル数:400セル、セル形状:四角形、隔壁の厚み:6mil)を用意した。HC吸着材として、AFI型ALPO-5(最大員環数12)を用意した。また、触媒層の原料として、以下を用意した。
非OSC材:La複合化Al、La含有量1~10質量%
OSC材:CeO-ZrO系複合酸化物、CeO含有量15~40質量%、Pr、Nd、La、Yが微量添加され、高耐熱化が施されたもの
HC吸着材(すなわち、AFI型ALPO-5)、Al系バインダ、および水溶媒を混合して、HC吸着層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、基材に流し込み、ブロアーで不要部分を吹き払うことで、基材表面をHC吸着層形成用の材料でコーティングした。これを120℃に設定した通風乾燥機内に2時間置いて水分を除去し、その後、電気炉内で500℃で1時間焼成した。このようにして、基材上にHC吸着層を形成した。
硝酸系Pt水溶液、上記La複合化Al、上記CeO-ZrO系複合酸化物、硫酸Ba、Al系バインダ、および水溶媒を混合して、下側触媒層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、HC吸着層を形成した基材に流し込み、ブロアーで不要部分を吹き払うことで、HC吸着層を下側触媒用形成用の材料でコーティングした。これを120℃に設定した通風乾燥機内に2時間置いて水分を除去し、その後、電気炉内で500℃で1時間焼成した。このようにして、基材上にPt触媒を含有する下側触媒層を形成した。
次に、硝酸Rh水溶液、上記La複合化Al、上記CeO-ZrO系複合酸化物、Al系バインダ、および水溶媒を混合して、上側触媒層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、下側触媒層を形成した基材に流し込み、ブロアーで不要部分を吹き払うことで、下側触媒層の表面を上側触媒層形成用の材料でコーティングした。これを120℃に設定した通風乾燥機内に2時間置いて水分を除去し、その後、電気炉内で500℃で1時間焼成した。このようにして、下側触媒層上にRh触媒を含有する上側触媒層を形成し、実施例1の排ガス浄化用触媒を得た。得られた排ガス浄化用触媒において、基材の体積1L当たりのPtの含有量は0.3g/L、Rhの含有量は0.06g/L、担体(非OSC材+OSC材)の含有量は150g/L、HC吸着材の含有量は116g/Lであった。
〔実施例2〕
HC吸着材として、AFI型ALPO-5とBEA型ゼオライト(SiO/Al比=500)の質量比95:5の混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2の排ガス浄化用触媒を作製した。
〔実施例3〕
HC吸着材として、AFI型ALPO-5とBEA型ゼオライト(SiO/Al比=500)の質量比90:10の混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3の排ガス浄化用触媒を作製した。
〔比較例1〕
HC吸着層形成用スラリーを使用せずにHC吸着層を形成しなかった以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1の排ガス浄化用触媒を作製した。
〔比較例2〕
AFI型ALPO-5に代えて、リン酸アルミニウムを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、比較例2の排ガス浄化用触媒を作製した。
〔比較例3〕
AFI型ALPO-5に代えて、ERI型ALPO-17(最大員環数8)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、比較例3の排ガス浄化用触媒を作製した。
〔比較例4〕
AFI型ALPO-5に代えて、BEA型ゼオライト(最大員環数12、SiO/Al比=500)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、比較例4の排ガス浄化用触媒を作製した。
〔実施例4〕
硝酸系Pd水溶液、上記La複合化Al、上記CeO-ZrO系複合酸化物、硫酸Ba、Al系バインダ、および水溶媒を混合して、下側触媒層形成用スラリーを調製した。この下側触媒層形成用スラリーを用いて、Pd触媒を含有する下側触媒層を形成した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例4の排ガス浄化用触媒を作製した。
〔比較例5〕
AFI型ALPO-5に代えて、BEA型ゼオライト(最大員環数12、SiO/Al比=500)を用いてHC吸着層を形成し、実施例4で作製した下側触媒層形成用スラリーを用いて、Pd触媒を含有する下側触媒層を形成した以外は、実施例1と同様の方法で、比較例5の排ガス浄化用触媒を作製した。
[水熱耐久処理]
各実施例および各比較例の排ガス浄化用触媒に、RichガスとLeanガスとを交互に、10分ごとに切り替えながら、900℃で10時間流通させた。このRichガスの組成は、CO:5%、水:10%、N:残部とし、このLeanガスの組成は、O:2.5%、水:10%、N:残部とした。
[HCに対する触媒活性評価]
上記水熱耐久処理を施した各実施例および各比較例の排ガス浄化用触媒に、前処理ガスAを流通させながら100℃から500℃まで20℃/分で昇温を行い、5分間500℃に保持した。次いで、不活性ガス(Nガス)を流通させながら100℃まで降温させた。温度が安定した後、反応ガスAを流通させながら550℃まで50℃/分で昇温を行い、反応ガスのHCの浄化率が50%に到達する温度(HC50%浄化温度:T50)を求めた。なお、前処理ガスAおよび反応ガスAとしては、以下のものを用いた。各実施例および各比較例のHC50%浄化温度のグラフを図5に示す。
前処理ガスA
A/F比:14.6;
:2400ppmC、C:600ppmC、CO:0.5%、
NO:800ppm、HO:10%、CO:10%、O:0.6%、N:残部
反応ガスA
A/F比:14.5;
:1500ppmC、C1022:1500ppmC、HO:3%、
CO:10%、O:0.3%、N:残部
図5のグラフより、HC吸着層のHC吸着材として、12員環を有するアルミノホスフェート分子篩を用いた実施例1~4の排ガス浄化用触媒は、比較例1~5の排ガス浄化用触媒と比べてHC50%浄化温度が大幅に低いことがわかる。すなわち、12員環を有するアルミノホスフェート分子篩を用いた実施例1~4の排ガス浄化用触媒は、水熱耐久後であっても、コールドスタート時のHC浄化性能が顕著に高いことがわかる。この結果より、ここに開示される排ガス浄化用触媒によれば、水熱耐久後におけるコールドスタート時の優れたHC浄化性能が得られることがわかる。
[NHに対する触媒活性評価]
上記水熱耐久処理を施した実施例1および比較例1、2,4の排ガス浄化用触媒に、上記前処理ガスAを流通させながら100℃から500℃まで20℃/分で昇温を行い、5分間500℃に保持した。次いで、不活性ガス(Nガス)を流通させながら100℃まで降温させた。温度が安定した後、反応ガスBを流通させながら650℃まで50℃/分で昇温を行い、反応ガスのNHの浄化率が50%に到達する温度(NH50%浄化温度:T50)を求めた。なお、反応ガスBとしては、以下のものを用いた。
反応ガスB
NH:500ppm、HO:3%、CO:10%、O:0.3%、N:残部
実施例1の排ガス浄化用触媒は、比較例1、2,4の排ガス浄化用触媒よりも、低いNH50%浄化温度を示した。
〔比較例6〕
基材として、ハニカム基材(コージェライト製、容積:0.0175L、基材の全長:12.5mm、セル数:400セル、セル形状:四角形、隔壁の厚み:6mil)を用意した。HC吸着材として、AFI型ALPO-5(最大員環数12)を用意した。また、触媒層の原料として、以下を用意した。
非OSC材:Al
OSC材:CeO-ZrO系複合酸化物、CeO含有量15~40質量%、Pr、Nd、Laが微量添加され、高耐熱化が施されたもの
HC吸着材(すなわち、AFI型ALPO-5)、バインダ、および水溶媒を混合して、HC吸着層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、基材の上流側端部から、基材長の50%のところまでウォッシュコートにより塗布して、基材フロント部の表面をHC吸着層形成用の材料でコーティングした。これを120℃に設定した通風乾燥機内に2時間置いて水分を除去し、その後、電気炉内で500℃で1時間焼成した。このようにして、基材のフロント部に、AFI型ALPO-5を含むHC吸着層を形成した。
硝酸系Pd水溶液、硝酸系Rh水溶液、上記Al、上記CeO-ZrO系複合酸化物、バインダ、および水溶媒を混合して、触媒層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、基材の上流側端部から、基材長の50%のところまでウォッシュコートにより塗布して、フロント部のHC吸着層を触媒用形成用の材料でコーティングした。これを120℃に設定した通風乾燥機内に2時間置いて水分を除去し、その後、電気炉内で500℃で1時間焼成した。このようにして、基材のフロント部に、HC吸着層上に触媒金属を含有する触媒層を形成した。
HC吸着材(すなわち、ZSM-5)、バインダ、および水溶媒を混合して、HC吸着層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、基材の下流側端部から、基材長の50%のところまでウォッシュコートにより塗布して、基材リア部の表面をHC吸着層形成用の材料でコーティングした。これを120℃に設定した通風乾燥機内に2時間置いて水分を除去し、その後、電気炉内で500℃で1時間焼成した。このようにして、基材のリア部に、ZSM-5を含有するHC吸着層を形成した。
次に、硝酸系Pd水溶液、硝酸系Rh水溶液、上記Al、上記CeO-ZrO系複合酸化物、バインダ、および水溶媒を混合して、触媒層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、基材の下流側端部から、基材長の50%のところまでウォッシュコートにより塗布して、リア部のHC吸着層を触媒層形成用の材料でコーティングした。これを120℃に設定した通風乾燥機内に2時間置いて水分を除去し、その後、電気炉内で500℃で1時間焼成した。このようにして、基材のリア部にも、HC吸着層上に触媒金属を含有する触媒層を形成した。これにより、比較例6の排ガス浄化用触媒を得た。得られた排ガス浄化用触媒(フロント部およびリア部)において、基材の体積1L当たりのPdの含有量は8g/L、Rhの含有量は0.7g/L、担体(非OSC材+OSC材)の含有量は417g/L、HC吸着材の含有量は116g/Lであった。
〔実施例5〕
HC吸着材(すなわち、AFI型ALPO-5)、バインダ、および水溶媒を混合して、HC吸着層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、比較例6で用いたものと同じ基材の上流側の端部から下流側の端部まで塗布し、基材の長さの100%にわたって、基材の表面をHC吸着層形成用の材料でコーティングした。これを120℃に設定した通風乾燥機内に2時間置いて水分を除去し、その後、電気炉内で500℃で1時間焼成した。このようにして、基材に、AFI型ALPO-5を含有するHC吸着層を形成した。
その後、比較例6と同じ方法で、HC吸着層上に触媒層を形成し、実施例5の排ガス浄化用触媒を得た。
[水熱耐久処理およびHCに対する触媒活性評価]
上記と同じ方法で、実施例5および比較例6の排ガス浄化用触媒に対して水熱耐久処理を施した。その後、上記前処理ガスAを流通させながら100℃から500℃まで20℃/分で昇温を行い、5分間500℃に保持した。次いで、不活性ガス(Nガス)を流通させながら100℃まで降温させた。温度が安定した後、反応ガスAを流通させながら500℃まで50℃/分で昇温を行い、このときのHCエミッション量のプロファイルを取得した。結果を図6に示す。
図6において、blankは、排ガス浄化用触媒がない場合のHCエミッション量を示している。実施例5と比較例6では、特に230℃~280℃の温度範囲において、顕著な差が見られた。この結果より、排ガス浄化用触媒のHC吸着層からHCが放出されると、排ガス中のHC濃度が一時的に3000ppmCよりも高くなるが、実施例5の排ガス浄化触媒は、比較例6の排ガス浄化触媒よりも、このときのHC浄化性能が特に高いことがわかる。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本発明は、他にも種々の形態にて実施することができる。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。

Claims (5)

  1. 基材と、炭化水素吸着層と、触媒層と、を備える排ガス浄化用触媒であって、
    前記炭化水素吸着層は、前記炭化水素吸着層が前記基材側になるように、前記触媒層と積層されており、
    前記触媒層は、触媒金属を含有し、
    前記炭化水素吸着層は、炭化水素吸着材を含有し、
    前記炭化水素吸着材は、Siを実質的に含有しない分子篩を80質量%以上含有し、
    前記炭化水素吸着層は、排ガスの流れ方向に沿った前記炭化水素吸着層の一方の端部から、他方の端部まで、前記Siを実質的に含有しない分子篩を含有し
    前記Siを実質的に含有しない分子篩が、12員環を有するアルミノホスフェート分子篩である、
    排ガス浄化用触媒。
  2. 前記炭化水素吸着材が、前記Siを実質的に含有しない分子篩を90質量%以上含有する、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  3. 前記アルミノホスフェート分子篩の骨格構造が、AFI型である、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  4. 前記炭化水素吸着層の、前記排ガスの流れ方向に沿ったコート幅が、前記基材の全長の80%以上である、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  5. 前記触媒層において、第1部分触媒層と、第2部分触媒層と、が積層されており、
    前記第1部分触媒層は、前記第2部分触媒層よりも前記基材側に位置し、
    前記第1部分触媒層および前記第2部分触媒層はそれぞれ、前記触媒金属を含有し、
    前記第1部分触媒層が、前記触媒金属として酸化触媒を含み、
    前記第2部分触媒層が、前記触媒金属として還元触媒を含む、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
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