JP7445506B2 - 建設機械 - Google Patents

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Description

本発明は、建設機械に関し、詳しくは、エンジンパワーユニットを備えた建設機械に関する。
杭打機やアースドリル、油圧ショベルなどの建設機械は、動力源であるエンジンパワーユニットを駆動させると排ガスが発生するため、排気系に排ガス浄化装置を設置して排気中に含まれるNOx(窒素酸化物)やPM(粒子状物質)などを低減している。この種の建設機械は、その構造上、使用環境や運転状態によって排気管内に雨水が流入したり、結露による水滴が付着したりする。この状態に気が付かないまま長期間放置してしまうと、排気管の腐食が進んで排ガス浄化装置の機能が損なわれてしまう。また、結露が生じている状態でエンジンを始動すると、微量のすすが混ざった黒い液状の水滴が排気口から飛散して、エンジンカバーなどを汚してしまう。このような問題があることから、ディーゼルエンジンを搭載した建設機械では、排ガス浄化装置の保護やエンジンカバーの美観を保つための様々な浸水対策構造が提案されてきた(例えば、特許文献1,2,3参照。)。
特開2014-163237号公報 特開2010-7556号公報 特開平10-317957号公報
しかしながら、上述の各特許文献に記載された浸水対策構造では、いずれも排気管の変更を伴うため、構造が大掛かりになるだけでなく、品質評価に費やす時間も増大してしまい、ひいては開発期間の長期化とコストの増加につながるという課題があった。また、近年では、排ガス規制の強化に伴って各種部品が増加する傾向にあることから、製造段階においてリードタイムの短縮をいかにして達成するかが重要な課題となっていた。
そこで本発明は、組立性の向上を図りつつ排気管内の水分を効果的に排出可能な排気構造を備えた建設機械を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の建設機械は、クローラを備えた下部走行体と、該下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体と、該上部旋回体の前部に設けられた作業装置とを備え、前記上部旋回体は、機体フレームと、該機体フレーム上の車幅方向一側部に設けられ、前記作業装置の駆動力を発生させるエンジンパワーユニットと、該エンジンパワーユニットを収納可能なハウスとを備えている建設機械において、前記ハウスの天板上には、エンジンからの排ガスを消音しながら排出するマフラと、該マフラを収納する着脱可能なハウスカバーとが設けられ、前記ハウスカバーは、吊り動作によって前記マフラを上下方向に出し入れ可能な底部開口と、前記マフラを出し入れするときにテールパイプが通過可能な側面切欠き口とを有し、該側面切欠き口がある部分には、前記テールパイプの排気口から排ガスと共に吹き出た水滴を当てて捕捉する排気カバーが、前記ハウスカバーに着脱可能に設けられていることを特徴としている。
また、前記排気カバーは、前記排気口の下部を遮って配置された板状の水滴捕捉部と、捕捉した水滴を筒体の内部を伝って流下させる水滴誘導部とを有し、前記水滴誘導部の下端部には、排水用のホースを接続するホース接続部が設けられ、さらに、前記水滴捕捉部と前記水滴誘導部とが互いに分離可能に組み付けられ、この組み付けられた状態で、前記ハウスの外側面の位置よりも内側に位置することを特徴としている。加えて、前記排気口には、着脱可能なマフラーカッターが設けられ、該マフラーカッターは、前記排気口を挿通する取付部と、排ガスが流れる向きを変更する屈曲部とを有し、前記排気カバーが組み付けられた状態で、前記水滴捕捉部と前記マフラーカッターとが組み替え可能に構成されていることを特徴としている。
また、前記建設機械は、前記上部旋回体の前部に起伏可能なリーダを備えた杭打機であり、前記作業装置は、前記リーダの前面に沿って昇降可能に設けられたオーガであり、前記エンジンパワーユニットの稼働によってオーガ昇降用油圧モータを駆動させるように構成され、前記ハウスカバーは、前記ハウスに取り付けた状態で、上面が前記上部旋回体の前部及び後部間の行き来を可能にする足場となることを特徴としている。
本発明の建設機械によれば、ハウスカバーの側面にテールパイプの排気口から吹き出た水滴を当てて捕捉する排気カバーを設けているので、排気系の構成をなんら変更することなく、ハウスカバーの形状を一部変更するだけの簡単な構成で排気口から水滴が飛散することを防止できる。また、ハウスカバーの吊り動作に伴って側面切欠き口がテールパイプを通過可能とし、側面切欠き口がある部分に、つまり排気口が位置する部分に排気カバーを着脱可能に設けているので、ハウスカバーの装着が容易かつ迅速に行えるだけでなく、その後に排気カバーを装着すれば、側面切欠き口を通じて見える内部の露出をなくして外観を保つことができる。
さらに、排気カバーが排気口の下部を遮って配置された板状の水滴捕捉部と、捕捉した水滴を筒体の内部を伝って流下させる水滴誘導部とを有しているので、テールパイプの底面に溜まった水滴を排ガスと分けて捕捉することや、捕捉した水滴をハウスカバーの下部へ滞りなく流すことが容易に行える。また、コンパクトな排気構造に加えて、水滴誘導部の下端部にホース接続部を設けているので、排水用のホースを用いた安価な排水構造が達成できることから、実用性にも優れている。
本発明の一形態例を示す杭打機の側面図である。 同じく要部側面図である。 同じく要部平面図である。 図2のIV-IV断面図である。 排気カバーの分解斜視図である。 排気構造の変形例を示す図である。
図1乃至図6は、本発明を建設機械の一例である杭打機に適用したもので、杭打機11は、図1に示すように、クローラ12aを備えた下部走行体12と、該下部走行体12上に旋回ベアリング13を介して旋回可能に設けられた上部旋回体14とで構成されたベースマシン15と、上部旋回体14の前部に立設したリーダ16と、該リーダ16を後方から支持するリーダ起伏シリンダ17とを備えている。また、上部旋回体14の前部には、リーダ16を起伏可能に支持するリーダサポート18が設けられ、上部旋回体14の前部上方には、リーダ16の後方で油圧配管を支持する配管支持部材19が設けられている。さらに、上部旋回体14の前後左右の4箇所に安定用のジャッキ20が設けられるとともに、上部旋回体14の後端部に杭打機11のバランスをとるためのカウンタウエイト21が搭載されている。
リーダ16は、前記リーダサポート18に設けられたベースマシン幅方向の支軸22に回動可能に取り付けられた基本リーダ23と、該基本リーダ23の上部に連結される上部リーダ24と、基本リーダ23の下部に連結される下部リーダ25とに分割形成され、さらに、上部リーダ24は、複数のリーダ部材に分割形成されている。これらの各リーダ部材は、上下端のフランジ部材によって連結され、ボルト・ナットを使用して着脱可能に構成されている。また、上部リーダ24の上端部にはトップシーブ26が、下部リーダ25の下部前方には着脱可能な振止部材27がそれぞれ配置されており、リーダ16の前面中央には、ラックピニオン式昇降装置の構成品の一つであるラックギヤ28が、両側面前端部には、左右一対のガイドパイプ29,29が、リーダ16の全長に亘ってそれぞれ連続的に設けられている。
作業装置の一例であるオーガ30は、前記ガイドパイプ29,29に摺接する左右一対のガイドギブ30a,30aが後方に突出して設けられるとともに、前記ラックギヤ28の両側に設けられている歯列に歯合する左右一対のピニオン(図示せず)をオーガ昇降用油圧モータ30bで回転駆動することにより、リーダ16の前面に沿って昇降する。この杭打機11を工事現場で使用する場合には、例えば、施工部材として鋼管杭が使用される。鋼管杭は、ギヤケース30cを貫通して取り付けたドライブロッド31の下端にロッドキャップ(図示せず)を介して連結され、オーガ駆動用油圧モータ30dの駆動を受けて、ロッドキャップを回転させながらオーガ30を降下させることにより地中に圧入される。
上部旋回体14は、下面に旋回ベアリング13が取り付けられる矩形箱状のメインフレーム32と、該メインフレーム32の車幅方向両側部に枠組みされたフロアフレーム33(反対側は図示せず)とが一体的に結合されている機体フレームを有しており、各種大型部品は主にメインフレーム32に装着されている。右側のフロアフレーム上の前部には、オーガ30や上部旋回体14、下部走行体12などを駆動させる操作がなされる運転室34が設置されている。また、右側のフロアフレーム上の後部には、作動油タンクなどの油圧機器を収納する機器収納ハウス(図示せず)が設けられている。一方、左側のフロアフレーム33上には、エンジンの駆動を受けて圧油を供給するための油圧源装置として、エンジンパワーユニットや、これに付属する燃料タンク、排ガス浄化装置などの複数の関連機器を収納するエンジン収納ハウス35が設けられている。各ハウス35は、略矩形箱型に形成され、複数の点検扉35a(反対側は図示せず)がそれぞれ設けられている。また、エンジン収納ハウス35の前部側には、階段35b及び転落防止用の手摺35cが設けられており、ハウスに上がって車体上の機器の保守などが行えるようになっている。
エンジンパワーユニットは、図示は省略するが、フロアフレーム33上に防振状態で搭載されたディーゼルエンジン(以下、エンジンと称する)と、該エンジンにおける冷却ファンの存在側とは反対側となる後部側に、片持ち状に取り付けられた油圧ポンプ装置とを有して構成されている。また、フロアフレーム33上のエンジンの前部側、つまり冷却ファンによる冷却風の流れ方向の上流側には、冷却ファンと対面して配置されたラジエータが設けられている。さらに、フロアフレーム33前端のケース35d内には還元剤タンクが、エンジン収納ハウス35内における階段35bの真下付近には燃料タンクがそれぞれ配置されている。
エンジンの吸気管には、エンジン収納ハウス35の天板35e上に設置されたエアクリーナ36が接続されており、該エアクリーナ36で吸い込んだ新気(外部空気)をエンジンの各気筒に対して供給可能になっている。一方、エンジンの排気管には、高次の排ガス規制に対応する排ガス浄化装置が設けられている。排ガス浄化装置は、尿素水を還元剤とするSCR(Selective Catalytic Reduction:選択還元型触媒)や、排気管のSCRに対して上流側に配置されるとともに、排気管内の排ガスに向けて尿素水を噴射する噴射ノズルなどを有している。これにより、燃焼後の排ガスは、排ガス浄化装置で浄化処理がなされた後、ハウス35の天板35e上に設置された消音用のマフラ37を通って排気口38から外部に排出される。具体的には、尿素水が噴射されると、高温雰囲気下の尿素水の分解反応でアンモニアが生成され、該アンモニアによって排ガス中のNOxが還元されて水と窒素に分解されるようになっている。
エンジンを駆動すると、エンジンパワーユニットから必要となる動力が、例えば、オーガ昇降用油圧モータ30b及びオーガ駆動用油圧モータ30dを作動させる圧油が得られ、オーガ30の昇降及び回転駆動を含む各種動作が行える。
ところで、尿素SCRシステムを装備したエンジンパワーユニットでは、NOxの還元によって生成された水は、通常、高温の排気管内で蒸発して排ガスと共に外部へ排出されるが、例えば、アイドリング状態や軽負荷運転時のような、排気管の温度が低い状態では液状のまま排出される。この場合、排気管内にすすが付着していると水分がすすを巻き込んで飛び散り、エンジン収納ハウス35の表面を汚してしまうおそれがある。そこで、このような事情から、杭打機11には、排気口38から排ガスと共に吹き出た水滴を捕捉するための排気構造が備わっている。
前記排気構造は、図2乃至図5に示すように、マフラ37を収納するハウスカバー39と、該ハウスカバー39の外側面に設けられる排気カバー40とからなり、基本的には、両カバー39,40の組付性を考慮しつつ、ハウスカバー39と排気カバー40とが一体で機能するもので、排気口38から吹き出た排ガスや水分の排出を円滑に達成させる構造である。
ハウスカバー39は、マフラ37やその上部に接続したテールパイプ41が程よく収まる大きさの箱形状であって、クレーンの吊り動作によってマフラ37を上下方向に出し入れ可能な底部開口39aと、マフラ37を出し入れするときにテールパイプ41の排気口38の部分が通過可能な側面切欠き口39bとを有している。側面切欠き口39bは、テールパイプ41の外径に対応した幅と、ハウスカバー39の組付状態において、テールパイプ41が位置する高さに対応した切込み深さとを有している。また、ハウスカバー39の上面39cは、貫通孔や突出部のない平坦状に形成されており、例えば、車体上で機器の保守を行う際に、上部旋回体14の前部及び後部間の行き来を可能にする足場となる。
排気カバー40は、ハウスカバー39の側面切欠き口39bがある部分において、露出したマフラ37が隠れるように、上下左右4本のボルト42で着脱可能に設けられている。また、排気カバー40は、排気口38から吹き出た水滴を捕捉する機能をもつ水滴捕捉部43と、捕捉した水滴を排水する機能をもつ水滴誘導部44とからなり、4本のボルト42のうちの上側の2本を用いて水滴捕捉部43が水滴誘導部44に対して分離可能に組み付けられている。水滴捕捉部43と水滴誘導部44とが上下一組となってハウスカバー39に組み付けられた状態では、両部品43,44が、つまり排気カバー40全体がエンジン収納ハウス35の外側面の位置よりも内側に位置される。
水滴捕捉部43は、排気口38の下部を遮って配置される立板43aと、ボルト孔を有する左右一対の取付片43b,43bと、上下方向の位置決め用途を兼ねた左右一対の側板43c,43cとを備えている。立板43aは、略コ字状の板材をクランク状に曲げることにより、両取付片43b,43bとの間に下方内向きの傾斜部43dを有して一体的に形成され、その上端部には排ガスの通気性と水滴の捕捉性とのバランスを考慮した円弧切欠き部43eが設けられている。また、立板43aにおける円弧切欠き部43eの反対側には、前記傾斜部43dを矩形状に切り欠いた斜面切欠き部43fが設けられている。
水滴誘導部44は、ハウスカバー39の側面切欠き口39bの切込み深さに対応した長さをもつ矩形断面の筒体44aと、該筒体44aを側面切欠き口39bの部分に保持する板状の枠体44bとを備えている。筒体44aは、角パイプの上下端が斜めに切断されて、上端に水滴捕捉部43の傾斜部43dに当接可能な傾斜断面44cを有し、下端には底蓋44dが設けられている。また、筒体44aの内側下端部には、排水用のホース45を接続するホース接続部44eが設けられている。
枠体44bは、ハウスカバー39の裏ナット(溶接ナット)39dの位置に対応した4箇所のボルト孔を有するとともに、上端部には、ハウスカバー39の後部外側面に設けた段差部39eに係合可能な係合部44fを有している。係合部44fは、枠体44bの上部を内側に曲げて形成することによって、その高さ位置が筒体44aにおける傾斜断面44cの内側(谷側)の高さ位置に揃えられている。また、係合部44fの板面に設けられた開口と、筒体44aの内側上端部に設けられた切欠きとで、筒体44aの幅と略同一の長さをもつ三角柱状の空間Sが形成され、係合部44fには、この空間Sに整合させた下方外向きの傾斜部44gが設けられている。
水滴捕捉部43と水滴誘導部44とは、互いのボルト孔を一致させて重ね合わせると、傾斜部43dの板面と傾斜断面44cとが、両側板43c,43cの下端と係合部44fの板面とがそれぞれ当接し、この位置決めがなされた状態で、立板43aの板面と筒体44aの外側面とが略面一に保持される(図4)。これにより、ハウスカバー39に対して水滴捕捉部43と水滴誘導部44とをそれぞれ組み付けた状態では、水滴捕捉部43の立板43aによって、実質的に、水滴誘導部44における筒体44aの上部外側面が拡幅して延長され、排気口38の下部が遮蔽される(図2)。一方、上側のボルト42による共締めを解除して、水滴捕捉部43を水滴誘導部44から分離すると、排気口38は、下部を遮るものがなくなってその全体が露出する(図示せず)。
このように形成された杭打機11は、製造工程の終盤においてハウスカバー39及び排気カバー40が組み付けられる。具体的には、エアクリーナ36やマフラ37などの吸排気系部品がエンジン収納ハウス35の天板35e上に設置された後、用意したハウスカバー39に吊り治具を固定してクレーン操作によって吊り上げるとともに、水平移動させてハウスカバー39の後端角部とハウス35の後端角部とを揃える。次いで、ハウスカバー39を降下させ、底部開口39aを通じてマフラ37をハウスカバー39内に収納する。ここで、テールパイプ41は、クレーンの巻下操作に伴って、その排気口38の部分がハウスカバー39の側面切欠き口39bに入り込み、そのまま通過して側面切欠き口39bの最深部まで、つまりハウスカバー39の外側面上端部まで移動する。
ハウスカバー39をハウス35の上面にボルト止めした後、用意した排気カバー40をハウスカバー39の側面切欠き口39bがある部分に取り付ける。具体的には、まず先に、水滴誘導部44の係合部44fをハウスカバー39の段差部39eに係合させた状態で、ハウスカバー39の裏ナット39dにボルト孔を一致させた後、下側の2本のボルト42で仮締めする。
次いで、水滴捕捉部43について、両側板43c,43cの下端を係合部44fの板面にそれぞれ当接させ、両取付片43b,43bを上側の2本のボルト42で仮締めする。これにより、立板43aの板面と筒体44aの外側面とが略面一に保持される。そして、4本のボルト42を全て本締めすることにより、立板43aが排気口38の下部を遮った位置にて固定される。最後に、ホース接続部(エルボ配管)44eにホース45を差し込み、ホースバンド46を使用して抜け止めを行うことにより、一連の組付作業が完了する。ここで、ホース45の接続作業は、所定長さのホース45を、あらかじめ、ホース接続部44eが設置される部分(上部)とフロアフレーム33の後端部(下部)との間で、ハウス35の後部内壁面に沿った引き回しがなされている。これにより、作業者は、点検扉35aを開けてハウス35内にあるホース45の端部を手に取り、該ホース45の接続作業が行える。
ホース45の接続を終えると、杭打機11は、燃料や作動油、尿素水の供給工程を経て完成状態となり、エンジンパワーユニットを稼働することよって必要な動力が、例えば、オーガ昇降用油圧モータ30b及びオーガ駆動用油圧モータ30dを作動させる圧油が得られ、オーガ30の昇降及び回転駆動を含む各種動作によって杭打ち機能を発揮できる状態となる。その後、動作確認を終えた杭打機11は、本塗装がなされて工場から出荷される。
ここで、エンジンパワーユニットを稼働すると、NOxの還元によって生成された水が液状のまま排出されてしまう場合があるが、この場合であっても、排気口38から排ガスと共に吹き出た水滴は、排気カバー40において、水滴捕捉部43の立板43aに当たって捕捉された後、下方内向きの傾斜部43dを通じて斜面切欠き部43fから水滴誘導部44の筒体44a内に流下する。また、アクセルを吹かすなどして排ガスの吹き出し量が急激に増した場合であっても、立板43aに当たって跳ね返った水滴は、両側板43c,43cよって捕捉された後、例えば、下方外向きの傾斜部44gがある空間Sを通じて筒体44a内に流下する。こうして、底蓋44dの部分に誘導された水滴は、ホース45内を通って地上に排出される。
このように、本発明の建設機械によれば、ハウスカバー39の側面にテールパイプ41の排気口38から吹き出た水滴を当てて捕捉する排気カバー40を設けているので、排気系の構成をなんら変更することなく、ハウスカバー39の形状を一部変更するだけの簡単な構成で排気口38から水滴が飛散することを防止できる。また、ハウスカバー39の吊り動作に伴って側面切欠き口39bがテールパイプ41を通過可能とし、側面切欠き口39bがある部分に、つまり排気口38が位置する部分に排気カバー40を着脱可能に設けているので、ハウスカバー39の装着が容易かつ迅速に行えるだけでなく、その後に排気カバー40を装着すれば、側面切欠き口39bを通じて見える内部の露出をなくして外観を保つことができる。
さらに、排気カバー40が排気口38の下部を遮って配置された板状の水滴捕捉部43と、捕捉した水滴を筒体44aの内部を伝って流下させる水滴誘導部44とを有しているので、テールパイプ41の底面に溜まった水滴を排ガスと分けて捕捉することや、捕捉した水滴をハウスカバー39の下部へ滞りなく流すことが容易に行える。また、コンパクトな排気構造に加えて、水滴誘導部44の下端部にホース接続部44eを設けているので、排水用のホース45を用いた安価な排水構造が達成できることから、実用性にも優れている。
さらに、排気カバー40をハウスカバー39に組み付けた状態で、排気カバー40がエンジン収納ハウス35の外側面の位置よりも内側(面一を含む)に位置するので、排気カバー40を周辺の構造物に当てて損傷させるおそれがなくなるだけでなく、外観上の見栄えを良くして商品性を高めることもできる。
加えて、起伏可能なリーダ16を備えた杭打機11に本発明を適用することで、保守のためにハウス35の昇降を頻繁に行うような事情があっても、排気口38の横出し構造と相俟って、ハウスカバー39の上面39cを平坦な足場にすることができる。これにより、排気口38の存在を気にすることなく作業が行えるので、高所作業の安全に寄与するものである。
図6は、本発明の排気構造を備えた杭打機の変形例を示している。なお、以下の説明において、前記形態例に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本形態例では、ハウスカバー39の特徴的な構成をそのまま有し、排気カバー40の構成から水滴捕捉部43のみを除くことにより、テールパイプ41に対してマフラーカッターの着脱を可能にしている。マフラーカッター47は、排気ガスの排出方向を横向きから上向き又は後ろ向きに変更する目的で用いられ、L字状パイプの取付部(基端部)47aに排気口38を挿通するとともに排ガス出口(先端部)47bを、例えば、上向きに調整した装着位置で、ボルト48によって押圧固定されている。また、パイプ底面には、水滴誘導部44の筒体44aに対応する位置に水抜き孔47cが設けられている。これにより、排気口38から同時に吹き出た排ガス及び水滴は、マフラーカッター47の屈曲部47dによって、排ガスについては、その流れの向きが変更された後、排ガス出口47bから外部へ排出され、一方、水滴は捕捉された後、水抜き孔47cから筒体44a内に流れ落ちる。
そして、このように構成された本形態例においても、上述の水滴捕捉部43を用いた場合と同様の効果が発揮でき、さらに、本形態例の場合には、必要時に簡単な組み替え作業で排ガスの排出方向を横向きから上向きに、又は、その逆の向きに変更することができる。しかも、マフラーカッター47の排ガス出口47bから流入した雨水も同様にして排出できるので、排気管が腐食してしまうことを防止できる。すなわち、多様な使用環境に広く対応することが可能な杭打機11の排気構造が得られる。
なお、本発明は、建設機械として杭打機を例示したが、これに限られず、アースドリルやクレーンなど、掘削装置や荷役装置の動力源としてエンジンパワーユニットを備えた各種建設機械に適用することができる。この場合、水滴を捕捉する排気構造を設ける際に、排ガス浄化装置を含む排気系の構造変更を伴わないので、モデルチェンジや新型開発を円滑に進めることが可能となる。とりわけ、製造や保守などでハウスカバーの着脱が予定されるが、側面切欠き口の存在により、クレーンを巻き上げたり巻き下げたりするだけの簡単な操作で、真上からハウスカバーの装着と取外しが行えることから、作業効率を高める効果がより顕著に得られる。これに加えて、排気カバーは、板金構造を採用することにより、軽量かつ安価で、その取り扱いも良好なものであるが、構造は特に限定されず、例えば、水滴捕捉部と水滴誘導部とを一体的に形成するなど適宜に変更することができる。
11…杭打機、12…下部走行体、12a…クローラ、13…旋回ベアリング、14…上部旋回体、15…ベースマシン、16…リーダ、17…リーダ起伏シリンダ、18…リーダサポート、19…配管支持部材、20…ジャッキ、21…カウンタウエイト、22…支軸、23…基本リーダ、24…上部リーダ、25…下部リーダ、26…トップシーブ、27…振止部材、28…ラックギヤ、29…ガイドパイプ、30…オーガ、30a…ガイドギブ、30b…オーガ昇降用油圧モータ、30c…ギヤケース、30d…オーガ駆動用油圧モータ、31…ドライブロッド、32…メインフレーム、33…フロアフレーム、34…運転室、35…エンジン収納ハウス、35a…点検扉、35b…階段、35c…手摺、35d…ケース、35e…天板、36…エアクリーナ、37…マフラ、38…排気口、39…ハウスカバー、39a…底部開口、39b…側面切欠き口、39c…上面、39d…裏ナット、39e…段差部、40…排気カバー、41…テールパイプ、42…ボルト、43…水滴捕捉部、43a…立板、43b…取付片、43c…側板、43d…傾斜部、43e…円弧切欠き部、43f…斜面切欠き部、44…水滴誘導部、44a…筒体、44b…枠体、44c…傾斜断面、44d…底蓋、44e…ホース接続部、44f…係合部、44g…傾斜部、45…ホース、46…ホースバンド、47…マフラーカッター、47a…取付部、47b…排ガス出口、47c…水抜き孔、47d…屈曲部、48…ボルト

Claims (5)

  1. クローラを備えた下部走行体と、該下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体と、該上部旋回体の前部に設けられた作業装置とを備え、前記上部旋回体は、機体フレームと、該機体フレーム上の車幅方向一側部に設けられ、前記作業装置の駆動力を発生させるエンジンパワーユニットと、該エンジンパワーユニットを収納可能なハウスとを備えている建設機械において、
    前記ハウスの天板上には、エンジンからの排ガスを消音しながら排出するマフラと、該マフラを収納する着脱可能なハウスカバーとが設けられ、
    前記ハウスカバーは、吊り動作によって前記マフラを上下方向に出し入れ可能な底部開口と、前記マフラを出し入れするときにテールパイプが通過可能な側面切欠き口とを有し、該側面切欠き口がある部分には、前記テールパイプの排気口から排ガスと共に吹き出た水滴を当てて捕捉する排気カバーが、前記ハウスカバーに着脱可能に設けられていることを特徴とする建設機械。
  2. 前記排気カバーは、前記排気口の下部を遮って配置された板状の水滴捕捉部と、捕捉した水滴を筒体の内部を伝って流下させる水滴誘導部とを有し、
    前記水滴誘導部の下端部には、排水用のホースを接続するホース接続部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の建設機械。
  3. 前記排気カバーは、前記水滴捕捉部と前記水滴誘導部とが互いに分離可能に組み付けられ、この組み付けられた状態で、前記ハウスの外側面の位置よりも内側に位置することを特徴とする請求項2記載の建設機械。
  4. 前記排気口には、着脱可能なマフラーカッターが設けられ、該マフラーカッターは、前記排気口を挿通する取付部と、排ガスが流れる向きを変更する屈曲部とを有し、前記排気カバーが組み付けられた状態で、前記水滴捕捉部と前記マフラーカッターとが組み替え可能に構成されていることを特徴とする請求項3記載の建設機械。
  5. 前記建設機械は、前記上部旋回体の前部に起伏可能なリーダを備えた杭打機であり、前記作業装置は、前記リーダの前面に沿って昇降可能に設けられたオーガであり、前記エンジンパワーユニットの稼働によってオーガ昇降用油圧モータを駆動させるように構成され、前記ハウスカバーは、前記ハウスに取り付けた状態で、上面が前記上部旋回体の前部及び後部間の行き来を可能にする足場となることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の建設機械。
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