JP7443739B2 - ポリカーボネート樹脂組成物および光学部品 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物およびそれを成形した光学部品に関し、詳しくは、良好な透明性および色相を有し且つ成形時の金型汚染が少ないポリカーボネート樹脂組成物およびそれを成形した光学部品に関する。
携帯電話等に使用されている液晶表示装置には導光板が組み込まれており、透明性、耐熱性が求められることからポリカーボネート樹脂が用いられている。
ポリカーボネート樹脂は、機械的性質、熱的性質、電気的性質、耐候性に優れるが、光線透過率は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂等に比べて低いことから、ポリカーボネート樹脂製の導光板と光源とから面光源体を構成した場合、輝度が低いという問題がある。また、最近では導光板の入光部と入光部から離れた場所の色度差を少なくすることが求められているが、ポリカーボネート樹脂はPMMA樹脂と比べて黄変しやすいという問題がある。
特許文献1では、直鎖アルキル基で構成されるポリアルキレングリコールを配合することにより、透過率や色相を改良する提案がなされている。ポリテトラメチレンエーテルグリコールを配合することで透過率や黄変度(イエローインデックス:YI)に改善が見られる。
しかし、特に最近、スマートフォンやタブレット型端末等の各種携帯端末においては、薄肉化や大型薄肉化が著しいスピードで進行しており、導光板への入光を直下型の代わりにエッジ型が採用されるようになり、超薄型の光源として十分な輝度が要求されてきている。このようなハイエンドの導光板においては、上記従来技術が達成する透過率やYIレベルでは要求スペックを満たさないというのが現状である。
また、光学部材用ポリカーボネート樹脂組成物を成形する際には、金型付着物の発生が大きな問題となっている。特に高性能な導光部材の成形時には、金型の清掃メンテナンスを頻繁に行うことが強いられる。
特許文献2は、スピロアセタール環構造を有するポリエーテルジオールを開示しており、以下のように記載している。「本ジオールは用いるアルキレンオキシドの種類、オキシアルキレン鎖の鎖長及び共重合型か否かにもよるが、低融点で溶剤への溶解度が高く、かつ、樹脂との相溶性も良好であるため、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、エポキシ樹脂等の高分子材料の原料や改質剤として好適であるばかりでなく、界面活性剤、潤滑油など極めて広汎な用途に利用できる。例えば、本発明のジオールはイソシヤネートとの相溶性が良く、ポリウレタン用ポリエーテルポリオールや架橋剤として有用であり、発泡体やエラストマーとして利用できる。また、二塩基酸とのエステル化反応で得られたポリエステルは同様にポリウレタン組成物や不飽和ポリエステルとして好適である。本発明のジオールの末端水酸基にエピクロルヒドリンを反応させたエポキシ化合物や、アクリル酸またはその誘導体との反応により得られるアクリルエステル化合物は接着剤、塗料用材料や光硬化性モノマーとして優れた物理特性が期待できる。」
しかし、特許文献2は、透明性や色相や成形時の金型汚染性に関しては、全く触れておらず、当該ポリエーテルジオールが広汎な用途に利用できるとの記載に留まるに過ぎない。
特許第5699188号 特開昭57-102891号
本発明は、上記従来における問題の少なくとも一つを解決することを課題とする。更に、本発明は、良好な透明性および色相を有し且つ成形時の金型汚染が少ないポリカーボネート樹脂組成物およびそれを成形した光学部品を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、式(b)で表されるポリエーテルジオールを所定の量配合することにより、良好な透明性および色相を有し且つ成形時の金型汚染が少ない光学部品用のポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の通りである。
<1> ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、下記式(b)で表されるポリエーテルジオール(B)を0.01~3質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物である。
Figure 0007443739000001
(式(b)中、mはそれぞれ独立に1~50の整数を表し、Rはそれぞれ独立にエチレン基、プロピレン基又はブチレン基を表す。)
<2> ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量(Mv)が10,000~15,000である、上記<1>に記載のポリカーボネート樹脂組成物である。
<3> 200mmの光路長で測定した波長420nmでの分光透過率が34%以上である、上記<1>または<2>に記載のポリカーボネート樹脂組成物である。
<4> 上記<1>から<3>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる光学部品である。
本発明の好ましい態様によれば、良好な透明性および色相を有し且つ成形時の金型汚染が少ないポリカーボネート樹脂組成物およびそれを成形した光学部品を提供することができる。
以下に本発明について説明する。なお、以下は本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されない。本願明細書において、「~」とは、特に断りがない場合、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、前記式(b)で表されるポリエーテルジオール(B)を0.01~3質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物である。ポリエーテルジオール(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは0.05~2.5質量部であり、より好ましくは0.1~2質量部である。
以下、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を構成する各成分、光学部品等につき、詳細に説明する。
[ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明において使用するポリカーボネート樹脂の種類に制限はなく、ポリカーボネート樹脂は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂は、式:-[-O-X-O-C(=O)-]-で示される炭酸結合を有する基本構造の重合体である。
式中、Xは一般には炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、及び脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類できるが、いずれを用いることもできる。なかでも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限はないが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなるポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしてもよい。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いてもよい。また、ポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このようなポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物としては、ビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4-ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が挙げられる。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。
ポリカーボネート樹脂(A)の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量(Mv)で、10,000~15,000であることが好ましく、より好ましくは11,000以上、特に好ましくは12,000以上であり、より好ましくは14,500以下である。粘度平均分子量を上記範囲の下限値以上とすることにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、粘度平均分子量を上記範囲の上限値以下とすることにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて薄肉成形加工を容易に行えるようになる。
なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
なお、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10-4Mv0.83 から算出される値を意味する。また、極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 0007443739000002
[ポリエーテルジオール(B)]
本発明で使用されるポリエーテルジオール(B)は、スピロアセタール環構造を有するポリエーテルジオールである。
スピロアセタール環構造を有するジオールとしては、従来、下記式(I)のβ,β,β′,β′-テトラメチル-2,4,8,10-テトラオキサスピロー(5,5)-ウンデカン-3,9-ジエタノール(以下、「スピログリコール」と略称する)が知られている。例えば、米国特許2,945,008によれば、スピログリコールはポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネートの原料として有用であり、高融点のポリマーが得られると言われている。
Figure 0007443739000003
しかしながら、該ジオールは高融点の固体粉末であり、また溶剤に溶けにくい、樹脂との相溶性が悪いなどの欠点があつた。
一方、本発明で使用されるポリエーテルジオール(B)は、上記式(I)のスピログリコールとアルキレンオキシドをアルカリ触媒下に重合させて得られる下記式(b)のポリエーテルジオールである。
Figure 0007443739000004
式(b)中、mはそれぞれ独立に1~50の整数(好ましくは3~40の整数、より好ましくは5~30の整数)を表し、Rはそれぞれ独立にエチレン基、プロピレン基又はブチレン基(好ましくは、エチレン基又はプロピレン基)を表す。
詳しくはスピログリコールを開始剤として得られるオキシアルキレン鎖が、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン及び共重合型のポリ(オキシプロピレン)ポリ(オキシエチレン)、ポリ(オキシブチレン)ポリ(オキシエチレン)であるポリエーテルジオールである。
本ジオールは用いるアルキレンオキシドの種類、オキシアルキレン鎖の鎖長及び共重合型か否かにもよるが、低融点で溶剤への溶解度が高く、かつ、樹脂との相溶性も良好である。本発明者らは、ポリカーボネート樹脂(A)に対し、特定量のポリエーテルジオール(B)を用いることによって、良好な透明性および色相を有し且つ成形時の金型汚染が少ないポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出した。
本発明に使用されるスピログリコールは、公知の方法(米国特許3,092,640)によりペンタエリスリトールとヒドロキシピバルアルデヒドを酸触媒下に反応させて容易に得られる。
アルキレンオキシドとしてはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはブチレンオキシドが使用される。アルキレンオキシドの使用量は、前記式(b)においてm=1~50となる量である。触媒としては苛性ソーダ、苛性カリ及びアミン系化合物等で例示される一般的なアルカリ触媒が使用される。反応媒体を使用する場合は反応に不活性な溶媒が用いられ、ベンゼン、キシレン等の不活性溶媒は好適に用いられる。
[添加剤等]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、顔料、染料、他のポリマー、難燃剤、耐衝撃改良剤、帯電防止剤、可塑剤、相溶化剤などの添加剤を含有することができる。これらの添加剤は一種または二種以上を配合してもよい。これらのうち、特に、熱安定剤と酸化防止剤を含有することが好ましい。
熱安定剤としては、特に制限はないが、例えばリン系化合物が好ましく挙げられる。リン系化合物としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第10族金属のリン酸塩、有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられる。
なかでも、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の有機ホスファイトが好ましい。
熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.7質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。熱安定剤が少なすぎると熱安定効果が不十分となる可能性があり、熱安定剤が多すぎると効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
また、酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a”-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン,2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。このようなフェノール系酸化防止剤としては、具体的には、例えば、BASFジャパン社製「イルガノックス1010」(登録商標、以下同じ)、「イルガノックス1076」、ADEKA社製「アデカスタブAO-50」、「アデカスタブAO-60」等が挙げられる。
なお、酸化防止剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下である。酸化防止剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、酸化防止剤としての効果が不十分となる可能性があり、酸化防止剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
[ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、ポリカーボネート樹脂(A)及びポリエーテルジオール(B)、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240~320℃の範囲である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、高い分光透過率を示し、200mmの光路長で測定した波長420nmでの分光透過率が、好ましくは34%以上、より好ましくは35%以上、特に好ましくは36%以上という高い分光透過率を有することができる。
波長420nmでの分光透過率は、導光板等の光学部品でも多用される青色LEDの波長領域に近接する波長域での透過率であり、またこの波長域での透過率が低いと黄色味が増加することになる。
なお、波長420nmでの分光透過率は、射出成形された長光路成形品(200mm×10mm×8mm)を用い200mmの光路長で測定され、具体的には後記実施例に記載の方法に従って行われる。
[光学部品]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記したポリカーボネート樹脂組成物をペレタイズしたペレットを各種の成形法で成形して光学部品を製造することができる。また、ペレットを経由せずに、押出機で溶融混練された樹脂を直接、成形して光学部品にすることもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、流動性に優れ、薄肉の成形品にした場合でも、白点異物のない成形品外観に優れ、透過率や色相を両立できることから、射出成形法により、薄肉の光学部品を成形するのに好適に用いられる。射出成形の際の樹脂温度は、一般にポリカーボネート樹脂の射出成形に適用される温度である260~300℃よりも高い樹脂温度にて成形することが好ましく、305~380℃の樹脂温度が好ましい。樹脂温度は310℃以上であるのがより好ましく、315℃以上がさらに好ましく、320℃以上が特に好ましく、370℃以下がより好ましい。従来のポリカーボネート樹脂組成物を用いた場合には、薄肉成形品を成形するために成形時の樹脂温度を高めると、成形品の表面に白点異物が生じやすくなるという問題もあったが、本発明の樹脂組成物を使用することで、上記の温度範囲であっても、良好な外観を有する薄肉成形品を製造することが可能となる。
なお、樹脂温度とは、直接測定することが困難な場合はバレル設定温度として把握される。
本発明において薄肉成形品とは、通常肉厚が1mm以下、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.6mm以下の板状部を有する成形品をいう。ここで、板状部は、平板であっても曲板状になっていてもよく、平坦な表面であっても、表面に凹凸等を有してもよく、また断面は傾斜面を有していたり、楔型断面等であってもよい。
光学部品としては、LED、有機EL、白熱電球、蛍光ランプ、陰極管等の光源を直接または間接に利用する機器・器具の部品が挙げられ、導光板や面発光体用部材等が代表的なものとして例示される。
導光板は、液晶バックライトユニットや各種の表示装置、照明装置の中で、LED等の光源の光を導光するためのものであり、側面または裏面等から入れた光を、通常表面に設けられた凹凸により拡散させ、均一の光を出す。その形状は、通常平板状であり、表面には凹凸を有していても有していなくてもよい。
導光板の成形は、通常、好ましくは射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法などにより行われる。
本発明の樹脂組成物を用いて成形した導光板は、白濁や透過率の低下がなく、透過率および色相が極めて良好である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物による導光板は、液晶バックライトユニットや各種の表示装置、照明装置の分野で好適に使用できる。このような装置の例としては、携帯電話、モバイルノート、ネットブック、スレートPC、タブレットPC、スマートフォン、タブレット型端末等の各種携帯端末、カメラ、時計、ノートパソコン、各種ディスプレイ、照明機器等が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1~3)
[ポリエーテルジオール(B)の製造]
スピログリコール(三菱ガス化学(株)製)51.2g(0.168モル)及び粉砕した苛性カリ0.2gを撹拌機付きステンレス製オートクレーブに仕込み、窒素ガスでオートクレーブ内を充填置換した。プロピレンオキシド48.8g(0.840モル)を仕込み密閉した後、攪拌下に110℃まで昇温した。反応温度を110~120℃に制御しつつ5時間攪拌を続けると当初の圧力約8kg/cm・Gが0kg/cm・Gとなり反応が終了した。この反応生成物にベンゼン100mLを加えて溶解し、1:1塩酸を添加して中和した。中和反応液を分液ロートに移し純粋30mLで3回洗浄した。油層を分取し、ベンゼンを留去することで、グリース状のポリエーテルジオール(B)(前記式(b)におけるmが平均値で8.9、Rがプロピレンに相当)を得た(90.4g)。
[ポリカーボネート樹脂組成物の製造]
以下の表1に記した割合(質量部)になるよう、ポリカーボネート樹脂(ユーピロンH-7000F、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)、上記で得られたポリエーテルジオール(B)、及びリン酸系酸化防止剤(PEP-36、ADEKA社製)をタンブラーにより混合した。得られたポリカーボネート樹脂混合物を、二軸押出し機(スクリュー径=30mm、L/D=31.5)を用いて、シリンダー温度240℃、ダイ温度240℃、スクリュー回転数200rpmの条件で溶融混合した。
(比較例1)
実施例1において、ポリエーテルジオール(B)の代わりに、HO(CHCHCHCHO)H、n=14で表されるポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、商品名「PTMG1000」、数平均分子量1,000)を0.5質量部使用した以外は、実施例1と同様にポリカーボネート樹脂組成物を製造した。
(比較例2)
実施例1において、ポリエーテルジオール(B)の代わりに、HO(CH(CH)CHO)H、n=17で表されるポリ(2-メチル)エチレンエーテルグリコール(日油社製、商品名「ユニオールD-1000」、数平均分子量1,000)を0.5質量部使用した以外は、実施例1と同様にポリカーボネート樹脂組成物を製造した。
(比較例3)
実施例1において、ポリエーテルジオール(B)を使用しなかった以外は、実施例1と同様にポリカーボネート樹脂組成物を製造した。
[色相(YI)と光線透過率の測定]
実施例1~3及び比較例1~3で得られたペレットを120℃で5~7時間、真空乾燥機により乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業社製「SE130-DU」)により、シリンダー温度340℃、金型温度80℃で長光路成形品(200mm×10mm×8mm)を成形した。この長光路成形品について、200mmの光路長でYI(黄変度)と波長420nmの分光透過率(単位:%)の測定を行った。測定には長光路分光透過色計(日本電色工業社製「ASA1」、C光源、2°視野)を使用した。測定結果を下記表1に示す。
[金型汚染性の評価(モールドデポジット)]
射出成形における汚染性評価(金型汚れ)
実施例1~3及び比較例1~3で得られたペレットを、120℃で5~7時間、真空乾燥機により乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業社製「SE130-DU 」)により、シリンダー温度340℃、成形サイクル60秒、金型温度80℃の条件にて、50ショット射出成形し、終了後の金型のガスベント付近に発生する汚れの状態を、比較例3と比較した下記の基準で、目視にて評価判定した。評価結果を下記表1に示す。
〇:金型汚染の状態は、比較例3の50ショット成形後の状態と同等または良く、耐金型汚染性は良好である。
△:金型汚染の状態は、比較例3の50ショット成形後の状態よりやや劣る。
×:金型汚染の状態は、比較例3の50ショット成形後の状態より明らかに劣る。
Figure 0007443739000005
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、良好な透明性および色相を有し且つ成形時の金型汚染が少ないので、光学部品に極めて好適に利用でき、産業上の利用性は非常に高い。

Claims (4)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、下記式()で表されるポリエーテルジオール(B)を0.1質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 0007443739000006
    (式(b)中、mはそれぞれ独立に30の整数を表し、Rはそれぞれ独立にエチレン基、プロピレン基又はブチレン基を表す。)
  2. ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量(Mv)が10,000~15,000である、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 200mmの光路長で測定した波長420nmでの分光透過率が34%以上である、請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる光学部品。
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