JP7442517B2 - 光学素子又は偏光板及びこれらを用いたアイウェア - Google Patents

光学素子又は偏光板及びこれらを用いたアイウェア Download PDF

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Description

本発明はアイウェア用の偏光機能を有する素子等に関する。
サングラスやゴーグルといったいわゆるアイウェアには、高い防眩性を付与するために偏光機能を付与した偏光レンズが使用されている。偏光レンズに使用する偏光素子は、一般に二色性色素であるヨウ素及び/又は二色性染料をポリビニルアルコールフィルムに吸着・配向させたものを使用している。この偏光素子の両面に、透明な保護基材を貼り合わせて偏光板とし、曲げ加工を施して偏光レンズとしている。さらに、耐衝撃性を向上させる、あるいは視力矯正用レンズとする目的で、曲げ加工を施した後に、射出成型にてポリカーボネート系樹脂やポリアミド系樹脂で裏打ちされた射出偏光レンズも広く用いられている。
レンズ加工に意匠性を付与することは一般的に行われており、レンズにグラデーションを施したサングラスや、レンズの表面にミラーコートを施したサングラスが市販されている。さらには、特許文献1に示すように偏光ミラー機能を付与する目的で反射型偏光性フィルムと着色吸収型偏光性フィルムとを組み合わせて用いる技術が開示されている。また、特許文献2においては、コレステリック液晶フィルムからなるミラー層を付与した技術が開示されている。
国際公開第2013/051489号 国際公開第2016/002582号
これまでアイウェア用途では外光をカットする目的から、光を吸収もしくは反射する機能を付与することしかできなかった。これに対し、発光するという機能を付与することはできなかった。これはサングラス自身が発光すると本来の防眩機能が損なわれてしまうからである。本発明は、アイウェアに新たな機能と意匠性を付与するために、発光性と防眩性を兼ね備えた偏光素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下の構成を有する光学素子を見出し、本発明を完成した。
本発明は以下に関するが、それに限定されない。
[発明1]
可視域の光を偏光発光する偏光発光素子と可視域の光を吸収及び/又は反射する非発光偏光素子とを積層したことを特徴とする光学素子。
[発明2]
偏光発光素子の発光偏光軸と非発光偏光素子の偏光軸とが直交していることを特徴とする発明1に記載の光学素子。
[発明3]
偏光発光素子と非発光偏光素子とが接着層を介して積層されていることを特徴とする発明1又は2に記載の光学素子。
[発明4]
偏光発光素子と非発光偏光素子とが支持体を介して積層されていることを特徴とする発明1~3のいずれか一項に記載の光学素子。
[発明5]
発明1~4のいずれか一項に記載の光学素子の少なくとも片側に基材を備えていることを特徴とする偏光板。
[発明6]
偏光発光素子側に備えられた基材において、偏光発光に必要な光の波長の透過率が50%以上であることを特徴とする発明5に記載の偏光板。
[発明7]
発明1~4のいずれか一項に記載の光学素子又は発明5もしくは6に記載の偏光板を備え、かつ、偏光発光素子が外側になるよう配置されたことを特徴とするアイウェア用レンズ。
[発明8]
発明7に記載のアイウェアレンズを備えたアイウェア。
本発明により、発光性と防眩性を兼ね備えた偏光素子を提供できる。
本発明の光学素子の構成図である。 本発明の光学素子の他の形態を示した構成図である。 本発明の偏光板の構成図である。 本発明の偏光板の一形態を示した構成図である。 本発明の偏光板の一形態を示した構成図である。 本発明のアイウェア用レンズの構成図である。 本発明のアイウェア用レンズの他の形態を示した構成図である。 比較例で作製した積層体の構成図である。
本発明の光学素子は、可視域の光を偏光発光する偏光発光素子と可視域の光を吸収及び/又は反射する非発光偏光素子の積層体を備える。本発明で用いる非発光偏光素子には、可視光の偏光を吸収する吸収型偏光素子と可視光の偏光を反射する反射型偏光素子がある。吸収型偏光素子は、一般に二色性色素であるヨウ素及び/又は二色性染料をポリビニルアルコールフィルムに吸着・配向させたものからなり、通常偏光サングラスや液晶ディスプレイに使用されている偏光板に用いられているものが使用可能である。反射型偏光素子は、表面に微細な凹凸を有するワイヤーグリッド型偏光素子や、複屈折の異なるフィルムを多数積層した複屈折干渉型偏光素子や、コレステリック液晶を用いた偏光素子などが挙げられる。非発光偏光素子はアイウェアにした際に、眼球側に配置されるため、掛けた際の隙間から入る光が反射して眩しく感じることを防ぐために、吸収型偏光素子を用いことが好ましい。
吸収型偏光素子が一部の可視光の偏光を反射してもよく、反射型偏光素子が一部の可視光の偏光を吸収してもよい。
本発明で用いる偏光発光素子とは、光、好ましくは紫外光を含む光の吸収を利用して偏光発光可能な少なくとも1種の偏光発光色素を配向させた偏光発光素子である。発光した光の偏光度合いは高い方が偏光素子による吸収効率も向上するため好ましく、吸収された光の波長領域において偏光発光色素が示す偏光作用が最も高い波長において、下記式(I)で算出されるオーダーパラメーターの値(OPD)によって前記変更度合いの程度を示すことができ、好ましくは0.50~1.00、より好ましくは0.81~0.95である。
上記式(I)におけるKyは、偏光発光素子において最も高い光の吸収を示す軸に対して直交位に偏光した光が入射した場合の光透過率を表す。一方、Kzは、偏光発光素子において最も高い光の吸収を示す軸に対して平行位に偏光した光が入射した場合の光透過率を表す。
光の吸収を利用して偏光発光可能な偏光発光色素は、一般的には蛍光色素又は燐光発光色素に属するが、具体的には、特定の光を吸収し、その光を利用して発光エネルギーに変換しうる色素を指す。このような色素として、蛍光色素、燐光発光色素のいずれを用いてもよいが、蛍光色素を使用することが好適である。また、該色素は、吸収した光の波長と、発光する光とが異なることが多く、波長変換色素とも呼ばれることがある。このように、偏光発光素子に含まれる少なくとも1種の偏光発光色素は、蛍光発光特性を有することが好ましく、特に、紫外域~近紫外可視域の光を吸収することにより可視域の光を偏光発光可能な蛍光発光特性を有することがより好ましい。
また、偏光発光色素は、基材に配向させることにより、二色性色素のように、基材に配向した軸とその直交軸とで光吸収異方性を有し、光の吸収異方性、すなわち、偏光機能を発現する。
偏光機能を発現した偏光発光色素の各波長の透過率に着目し、偏光発光色素を配向させた偏光発光素子において最も高い光の吸収を示す軸に対して平行位に偏光した光が入射した場合の光透過率(すなわち、光の透過量が少ない軸での透過率)をKzとし、一方、偏光発光色素を配向させた偏光発光素子において最も高い吸収を示す軸に対して直交位に偏光した光が入射した場合の光透過率(すなわち、光の透過量が多い軸での透過率)をKyとする。そして、これらKy、Kzを上記式(I)に代入することより、オーダーパラメーター、すなわち配向秩序度を算出することができる。
オーダーパラメーターの値(配向秩序度)は、液晶等の物質の配向を計測するために用いる指標として一般的に使用され、オーダーパラメーターの値が高い数値を示すほど偏光発光素子が高い配向秩序を有していることを示している。一般的に、オーダーパラメーターの値の算出式は、下記式(II)のように表され(「ディスプレイ材料と機能性色素(CMC出版、中澄博行監修、2004年、P65)」参照)、数式(II)を変換すると、下記式(III)が導き出される。この式(III)をさらに変換することにより、オーダーパラメーターの値(OPD)を、上記式(I)で表すことができる。式(II)及び式(III)中、APARAは配向した偏光発光色素の吸収軸に対して平行方向の吸光度であり、ACROSSは配向した色素の吸収軸に対して直交方向の吸光度である。それぞれの吸光度はLog(A)によって算出される。式(III)において、Log(A)で算出されたそれぞれの吸光度に、Ky及びKzによって得られる吸光度を代入することによって、式(I)が導かれる。この式(I)に基づき、光の吸収を利用して偏光発光可能な色素の配向秩序度を制御し、これにより、高いコントラスト値を有する偏光発光を示す偏光発光素子を得ることができる。オーダーパラメーターの値は高い程好ましいが、生産上、安定して高いコントラストを有する偏光発光を示す発光偏光板を得るため、オーダーパラメーターの値の上限値は、0.95に設定されることがより好ましい。具体的には、オーダーパラメーターの値は好ましくは0.50~1.00、より好ましくは0.81~0.95、さらに好ましくは、0.85~0.94の範囲に制御するのがよい。
偏光発光色素を1種又は複数用いて基材中に含有させ、配向させることにより偏光発光を示す偏光発光素子が得られる。このような偏光発光素子は、偏光発光色素の配合割合を調整することによって、様々な発光色を示す。例えば、JIS Z 8781-4:2013に従って測定される色相aの絶対値が5以下であり、かつ色相bの絶対値が5以下であることによって、偏光発光素子からの発光色は白色を示す。JIS Z 8781-4:2013の基準に従う色相a値及び色相b値は、光の色相を示す指標として一般的に用いられる値である。
<偏光発光色素>
偏光発光色素は、スチルベン骨格又はビフェニル骨格を基本骨格として有する化合物又はその塩であることが好ましい。このような基本骨格を有する偏光発光色素が、蛍光発光特性を示しつつ、かつ、オーダーパラメーターの値が0.50~1.00の範囲に制御されるよう基材に配向されるにことにより、他の偏光発光色素よりも高い偏光度を有する光、すなわち、高いコントラストを有する光を発光させることができる。偏光発光色素の基本骨格としてのスチルベン骨格及びビフェニル骨格は、それぞれの骨格自体が蛍光発光特性を示し、かつ、基材に配向させることにより高い二色性を示す作用を有する。この作用は、スチルベン骨格及びビフェニル骨格の各基本骨格の構造に起因するため、基本骨格構造にはさらに任意の置換基が結合されていてもよい。ただし、基本骨格構造にアゾ基を置換する場合、所望とする発光光量が得るためにはその置換位置が重要となる。偏光発光色素は、1種単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて併用してもよい。
上述のように、偏光発光色素は、紫外域~近紫外可視域の光を吸収することにより可視域の光を偏光発光可能な蛍光発光特性を有することが好ましい。具体的には、偏光発光色素を基材に含有させた後、紫外域~近紫外可視域の光を照射することにより、可視域(一般には380~780nm)、例えば400~700nmの波長域において、0.04μW/cm以上の発光強度の偏光発光を示すことが好ましく、0.05μW/cm以上の発光強度の偏光発光を示すことがより好ましく、0.1μW/cm以上の発光強度の偏光発光を示すことがさらに好ましい。尚、一般的に紫外光は400nm以下の波長域の光を意味するものの、430nm以下の波長域の光も人間の視感度としては著しく低い。そのため、紫外域~近紫外可視域の光は、人の目に見えない光として定義することができ、例えば、偏光発光色素が吸収する光が300~430nm波長域の光であることが好ましい。偏光発光色素を使用することにより、目に見えない光を吸収して偏光発光可能な偏光発光素子を得ることができる。
(a)スチルベン骨格を有する偏光発光色素
スチルベン骨格を有する偏光発光色素は、好ましくは、下記式(1)で表される化合物又はその塩である。
上記式(1)中、L及びMは、例えば、各々独立して、ニトロ基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいカルボニルアミド基、置換基を有してもよいナフトトリアゾール基、置換基を有してもよいC-C20(炭素原子数1~20)アルキル基、置換基を有してもよいビニル基、置換基を有してもよいアミド基、置換を有してもよいウレイド基、置換基を有してもよいアリール基、及び置換基を有してもよいカルボニル基からなる群から選択されるが、これらに限定されるものではない。式(1)で示されるスチルベン骨格を有する化合物は、蛍光発光を示し、また、配向させることによって二色性が得られる。発光特性は、スチルベン骨格に起因するものであるため、L及びMの各基が結合し得る置換基は特に限定されるものではなく、任意の置換基であってよい。置換基がアゾ基を有さないことが好ましい。
前記各「置換基」としては、特に限定されるものではないが、例えば以下が挙げられる:
アミノ基;
ニトロ基;
シアノ基;
ヒドロキシル基;
スルホン酸基;
リン酸基;
カルボキシル基;
メチルカルボキシル基、エチルカルボキシル基等カルボキシアルキル基;
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;
フェノキシ基、ナフトキシ基等アリールオキシ基;
メチル基、エチル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ドデシル基、イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等のC-C20アルキル基;
フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基、環構成原子として窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1~3つのヘテロ原子を含む5員環又は6員環の複素環基等のアリール基;
メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n-ブチル-カルボニル基等のC-C20アルキルカルボニル基;
フェニルカルボニル基、ビフェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基等のアリールカルボニル基;
メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、n-ブチル-スルホニル基等のC-C20アルキルスルホニル基;
フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基等のアリールスルホニル基。
これらの置換基がさらなる置換基を有してもよく、前記さらなる置換基としても上述が挙げられる。また、そのような置換の連鎖の数は限定されない。例えば、後で例示する化合物例1-5は、置換基としてアミノ基を有し、アミノ基は置換基としてトリアジン基を有し、トリアジン基は置換基として2つのアミノ基を有し、アミノ基の1つは置換基としてフェニル基を有し、フェニル基は置換基としてスルホン酸基を有し、アミノ基のもう1つは置換基としてアミノ基を有し、そのアミノ基は置換基として2つのエチル基を有し、両エチル基は置換基としてヒドロキシ基を有する。
置換基を有してもよいアミノ基としては、例えば、以下が挙げられる:
非置換のアミノ基;
メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-ブチルアミノ基、tert-ブチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、エチルヘキシルアミノ基等の置換基を有してもよいC-C20アルキルアミノ基;
フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、N-フェニル-N-ナフチルアミノ基等の置換基を有してもよいアリールアミノ基;
メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、n-ブチル-カルボニルアミノ基等の置換基を有してもよいC-C20アルキルカルボニルアミノ基;
フェニルカルボニルアミノ基、ビフェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等の置換基を有してもよいアリールカルボニルアミノ基;
メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、プロピルスルホニルアミノ基、n-ブチル-スルホニルアミノ基等のC-C20アルキルスルホニルアミノ基;
フェニルスルホニルアミノ基、ナフチルスルホニルアミノ基等の置換基を有してもよいアリールスルホニルアミノ基。
これらのアミノ基の中でも、置換基を有してもよいC-C20アルキルカルボニルアミノ基、置換基を有してもよいアリールカルボニルアミノ基、C-C20アルキルスルホニルアミノ基、置換基を有してもよいアリールスルホニルアミノ基が好ましい。
置換基を有してもよいカルボニルアミド基としては、例えば、N-メチル-カルボニルアミド基(-CONHCH)、N-エチル-カルボニルアミド基(-CONHC)、N-フェニル-カルボニルアミド基(-CONHC)等が挙げられる。
置換基を有してもよいC-C20アルキル基のC-C20アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ドデシル基等の直鎖状のC-C12アルキル基;イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等の分岐鎖状のC-C10アルキル基;シクロヘキシル基、シクロペンチル基等の環状のC-Cアルキル基等が挙げられる。これらの中でも、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
置換基を有してもよいビニル基として、例えば、エテニル基、スチリル基、アルキル基を有するビニル基、アルコキシ基を有するビニル基、ジビニル基、ペンタジエニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアミド基として、例えば、アセトアミド基(-NHCOCH)、ベンズアミド基(-NHCOC)等が挙げられる。
置換基を有してもよいウレイド基として、例えば、モノアルキルウレイド基、ジアルキルウレイド基、モノアリールウレイド基、ジアリールウレイド基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリール基のアリール基として、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基等が挙げられ、好ましくはC-C12アリール基である。アリール基は、環構成原子として窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1~3つのヘテロ原子を含む5員環又は6員環の複素環基であってもよい。このような複素環基の中でも、窒素原子及び硫黄原子から選択される原子を環構成原子として含む複素環基であることが好ましい。
置換基を有してもよいカルボニル基としては、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n-ブチル-カルボニル基、フェニルカルボニル基等が挙げられる。
式(1)で示される化合物として、例えば、Kayaphorシリーズ(日本化薬社製)、Whitex RP等のホワイテックスシリーズ(住友化学社製)等が挙げられ、また、下記に式(1)で示される化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。
[化合物例1]
スチルベン骨格を有する他の化合物として下記式(2)又は式(3)で示される化合物又はその塩であることが好ましい。これらの化合物を用いることによって、より鮮明な白色発光をする偏光発光素子を得ることができる。さらに、下記式(2)及び式(3)で示される化合物もスチルベン骨格に起因して蛍光発光を示し、また、配向させることによって二色性が得られる。
上記式(2)において、Xは、ニトロ基又は置換基を有してもよいアミノ基を表す。置換基を有してもよいアミノ基は、上記式(1)における置換基を有してもよいアミノ基と同様に定義される。これらの中でも、Xは、ニトロ基、置換基を有してもよいC-C20アルキルカルボニルアミノ基、置換基を有してもよいアリールカルボニルアミノ基、C-C20アルキルスルホニルアミノ基、又は置換基を有してもよいアリールスルホニルアミノ基であることが好ましく、特に、ニトロ基であることがより好ましい。
上記式(2)中、Rは、水素原子、塩素原子、臭素原子又はフッ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、置換基を有してもいてもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、又は置換基を有してもよいアミノ基を表す。置換基を有してもよいアルキル基としては、上記式(1)における置換基を有してもよいC-C20アルキル基と同様に定義される。置換基を有してもいてもよいアルコキシ基は、好ましくはメトキシ基、又はエトキシ基等である。置換基を有してもよいアミノ基は、上記式(1)における置換基を有してもよいアミノ基と同様に定義され、好ましくはメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、又はフェニルアミノ基等である。これらの中でも、Rは、水素原子又はC-C20アルキル基であることが好ましく、RがC-C20アルキル基である場合、メチル基であることが好ましい。Rは、ナフトトリアゾール環中のナフタレン環の任意の炭素に結合していてよいが、トリアゾール環と縮合している炭素原子を1位、及び2位とした場合、3位、5位、又は8位に結合していることが好ましい。
上記式(2)中、nは0~3の整数であり、好ましくは1である。また、上記式(2)中、-(SOH)は、ナフトトリアゾール環中のナフタレン環の任意の炭素原子に結合していてよい。-(SOH)のナフタレン環における位置は、トリアゾール環と縮合している炭素原子を1位、2位とした場合、n=1であれば、4位、6位、又は7位であることが好ましく、n=2であれば、5位と7位、及び6位と8位であることが好ましく、n=3であれば、3位と6位と8位の組み合わせであることが好ましい。これらのうち、Rが水素原子であり、かつnが1又は2であることが特に好ましい。
式(3)中、Yは、置換基を有してもよいC-C20アルキル基、置換基を有してもよいビニル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表す。これらの中でも、置換基を有してもよいアリール基であることが好ましく、置換基を有してもよいナフチル基であることがさらに好ましく、置換基としてアミノ基とスルホ基が置換したナフチル基であることが特に好ましい。
式(3)中、Zは、上記式(2)におけるXと同様に定義され、ニトロ基、又は、置換基を有してもよいアミノ基を表し、ニトロ基であることが好ましい。
ビフェニル骨格を有する化合物は、好ましくは下記式(4)で示される化合物又はその塩である。
上記式(4)において、P及びQは、それぞれ独立に、ニトロ基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいカルボニルアミド基、置換基を有してもよいナフトトリアゾール基、置換基を有してもよいC-C20アルキル基、置換基を有してもよいビニル基、置換基を有してもよいアミド基、置換基を有してもよいウレイド基、又は置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいカルボニル基を表すが、これらに限定されるものではない。ビフェニル骨格を有する前記化合物の蛍光発光を大きくするため、P及び/又はQはアゾ基を有さないことが好ましい。
上記式(4)で表される化合物は、好ましくは、下記式(5)で表される化合物である。
上記式(5)中、jは独立して0~2の整数を示す。また、-(SOH)が結合される位置は、-CH=CH-と結合している炭素原子を1位とした場合、2位、4位、6位が好ましく、4位が特に好ましい。
上記式(5)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、アラルキロキシ基、アルケニロキシ基、C-Cアルキルスルホニル基、C-C20アリールスルホニル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、カルボキシアルキル基である。R~Rが結合される位置は、特に限定されるものではないが、ビニル基と結合している炭素原子を1位とした場合、2位、4位、6位が好ましく、4位が特に好ましい。
-Cアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基等が挙げられる。
-Cアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、シクロブトキシ基等が挙げられる。
アラルキロキシ基としては、例えば、C-C18アラルキロキシ基等が挙げられる。
アルケニロキシ基としては、例えば、C-C18アルケニロキシ基等が挙げられる。
-Cアルキルスルホニル基としては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、n-ブチルスルホニル基、sec-ブチルスルホニル基、tert-ブチルスルホニル基、シクロブチルスルホニル基等が挙げられる。
-C20アリールスルホニル基としては、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、ビフェニルスルホニル基等が挙げられる。
上記式(5)で表される化合物は公知の方法で作製可能であり、例えば、4-ニトロベンズアルデヒド-2-スルホン酸をホスホネートと縮合させ、次いでニトロ基を還元することによって合成することができる。
式(5)で示される化合物の具体例としては、例えば、特開平4-226162号公報に記載されている下記の化合物が挙げられる。
式(1)~(5)で示される化合物の塩とは、上記各式で示される各化合物の遊離酸が無機陽イオン又は有機陽イオンと共に塩を形成している状態を意味する。無機陽イオンとしては、例えば、アルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等)の各陽イオン、又は、アンモニウム(NH )等が挙げられる。また、有機陽イオンとしては、例えば、下記式(D)で表される有機アンモニウム等が挙げられる。
式(D)中、Z1~Z4は、各々独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基又はヒドロキシアルコキシアルキル基を表し、かつ、Z1~Z4の少なくともいずれか1つは水素原子以外の基である。
1~Z4の具体例としては、例えば以下が挙げられる:
メチル基、エチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のC-Cアルキル基、好ましくはC-Cアルキル基;
ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、4-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル等のヒドロキシC-Cアルキル基、好ましくはヒドロキシC-Cアルキル基;
並びに、ヒドロキシエトキシメチル基、2-ヒドロキシエトキシエチル基、3-ヒドロキシエトキシプロピル基、3-ヒドロキシエトキシブチル基、2-ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシC-CアルコキシC-Cアルキル基、好ましくはヒドロキシC-CアルコキシC-Cアルキル基。
これらの無機陽イオン又は有機陽イオンの中でも、リチウム、ナトリウム、カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アンモニウム等の各陽イオンがより好ましく、リチウム、アンモニウム又はナトリウムの各無機陽イオンが特に好ましい。
上記のような構造を有する偏光発光色素は、分子中にアゾ基を有さないため、アゾ結合に起因する光の吸収が抑制される。特に、スチルベン骨格を有する化合物は、紫外光の照射により発光作用を示し、また、スチルベン骨格の強い炭素-炭素二重結合の存在により分子が安定する。そのため、このような特定構造を有する偏光発光色素を用いた偏光発光素子は、光を吸収し、そのエネルギーを利用して、可視域の光を偏光発光することができる。
(その他の色素)
上記の特性を示す偏光発光素子は、偏光発光素子の偏光性能を阻害しない範囲で、上述した偏光発光色素とは異なる少なくとも1種の蛍光染料及び/又は有機染料をさらに含んでいてもよい。併用される蛍光染料としては、例えば、C.I.Fluorescent Brightener 5、C.I.Fluorescent Brightener 8、C.I.Fluorescent Brightener 12、C.I.Fluorescent Brightener 28、C.I.Fluorescent Brightener 30、C.I.Fluorescent Brightener 33、C.I.Fluorescent Brightener 350、C.I.Fluorescent Brightener 360、C.I.Fluorescent Brightener 365等が挙げられる。
有機染料としては、例えば、シー.アイ.ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダイレクト.イエロー28、シー.アイ.ダイレクト.イエロー44、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ26、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ71、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ107、シー.アイ.ダイレクト.レッド2、シー.アイ.ダイレクト.レッド31、シー.アイ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイレクト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド247、シー.アイ.ダイレクト.ブルー69、シー.アイ.ダイレクト.ブルー78、シー.アイ.ダイレクト.グリーン80、及びシー.アイ.ダイレクト.グリーン59等が挙げられる。これらの有機染料は遊離酸であっても、あるいはアルカリ金属塩(例えばLi塩、Na塩、K塩)、アンモニウム塩又はアミン類の塩であってもよい。
<基材>
偏光発光素子は、偏光発光色素を配向させることにより得られる。配向させる方法に制限はないが、例えば、偏光発光色素を基材に含有させ、基材ごと配向させることによって偏光発光色素を配向する方法が挙げられる。本発明で用いる基材は、偏光発光色素を含有することができ、かつ、配向することができれば特に制限はない。そのような基材としては、例えば、偏光発光色素を吸着し、かつ、ホウ素誘導体等によって架橋しうる親水性高分子を含むことが好ましく、該親水性高分子を製膜して得られる親水性高分子フィルムがより好ましい。親水性高分子は、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、デンプン系樹脂が好ましい。親水性高分子は、偏光発光色素の染色性、加工性及び架橋性などの観点からポリビニルアルコール系樹脂又はその誘導体を含むことが好ましく、ポリビニルアルコールを含むことがより好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂又はその誘導体としては、例えば、ポリビニルアルコール又はその誘導体、ポリビニルアルコール又はその誘導体のいずれかをエチレン、プロピレンのようなオレフィンや、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、及びマレイン酸のような不飽和カルボン酸等で変性した樹脂等が挙げられる。これらのなかでも、偏光発光色素の吸着性及び配向性の点から、基材は、ポリビニルアルコール又は一部がエステル化されているポリビニルアルコール誘導体から作製されたフィルムが好ましい。
以下、ポリビニルアルコール系樹脂を含む基材を用いて本発明の偏光発光素子を作製する方法について例示する。ポリビニルアルコール系樹脂を含む基材としては、例えば、市販品を用いてもよく、ポリビニルアルコール系樹脂を製膜することにより作製してもよい。ポリビニルアルコール系樹脂の製膜方法は特に限定されるものではなく、例えば、含水ポリビニルアルコールを溶融押出する方法、流延製膜法、湿式製膜法、ゲル製膜法(ポリビニルアルコール水溶液を一旦冷却ゲル化した後、溶媒を抽出除去)、キャスト製膜法(ポリビニルアルコール水溶液を基盤上に流し、乾燥)、及びこれらの組み合わせによる方法等、公知の製膜方法を採用することができる。基材の厚さは適宜設計することができるが、通常10~100μmである、好ましくは20~80μmである。
(膨潤工程)
ポリビニルアルコール系樹脂の場合、偏光発光色素の吸着を容易にするために、膨潤処理を行うことがある。膨潤処理は、20~50℃の膨潤液に、上記基材を30秒~10分間浸漬させることにより行うことが好ましく、膨潤液は水であることが好ましい。膨潤液による基材の延伸倍率は、1.00~1.50倍に調整することが好ましく、1.10~1.35倍に調整することがより好ましい。
(染色工程)
上記膨潤工程にて膨潤処理を施して得られた基材に、少なくとも1種の偏光発光色素を含浸及び吸着させる。染色工程は、偏光発光色素を基材に含浸及び吸着させる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、基材を、偏光発光色素を含む染色溶液に浸漬させる方法、基材に該染色溶液を塗布し、吸着させる方法等が挙げられる。これらのうち、偏光発光色素を含む染色溶液に浸漬させる方法が好ましい。染色溶液中の偏光発光色素の濃度は、基材中に偏光発光色素が十分に吸着されるのであれば特に限定されるものではないが、例えば、染色溶液中に0.0001~1質量%であることが好ましく、0.001~0.5質量%であることがより好ましい。
染色工程における染色溶液の温度は、5~80℃が好ましく、20~50℃がより好ましく、40~50℃が特に好ましい。染色溶液に基材を浸漬する時間は、偏光発光素子が示すオーダーパラメーターの値を制御する際、重要である。オーダーパラメーターの値を所望の範囲に制御するため、染色溶液に基材を浸漬する時間は、6~20分の間で調節するのが好ましく、7~10分の間がより好ましい。
染色溶液に含まれる偏光発光色素は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記偏光発光色素は、化合物によりその発光色が異なるため、基材に、上記偏光発光色素を1種以上含有させることにより、生じる発光色を様々な色になるように適宜調整することができる。また、必要に応じて、染色溶液は、偏光発光色素とは異なる1種以上の有機染料及び/又は蛍光染料をさらに含んでいてもよい。
蛍光染料及び/又は有機染料を併用する場合、所望とする偏光素子の色調整のために、配合する染料を選択し、配合比率等を調整することが可能である。蛍光染料又は有機染料の配合割合は特に限定されるものではないが、一般的には、偏光素子100質量部に対して、これら蛍光染料及び/又は有機染料の総量が0.01~10質量部の範囲で用いることが好ましい。
また、上記の各染料に加え、必要に応じてさらに染色助剤を併用してもよい。染色助剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム(芒硝)、無水硫酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウム等が挙げられ、好ましくは硫酸ナトリウムである。染色助剤の含有量は、使用される二色性色素の染色性に基づく上記浸漬時間、染色時の温度等によって任意に調整可能であるが、染色溶液中に0.0001~10質量%であることが好ましく、0.0001~2質量%であることがより好ましい。
上記染色工程後、当該染色工程で基材の表面に付着した染色溶液を除去するために、任意に予備洗浄工程を実施することができる。予備洗浄工程を実施することによって、次に処理する液中に基材の表面に残存する偏光発光色素が移行することを抑制することができる。予備洗浄工程では、洗浄液として一般的には水が用いられる。洗浄方法は、洗浄液に染色した基材を浸漬することが好ましく、一方で、洗浄液を当該基材に塗布することによって洗浄することもできる。洗浄時間は、特に限定されるものではないが、好ましくは1~300秒であり、より好ましくは1~60秒である。この予備洗浄工程における洗浄液の温度は、基材を構成する材料が溶解しない温度であることが必要となり、一般的には5~40℃で洗浄処理が施される。尚、予備洗浄工程の工程がなくとも、偏光素子の性能には特段大きな影響を及ぼさないため、予備洗浄工程は省略することも可能である。
(架橋工程)
染色工程又は予備洗浄工程の後、基材に架橋剤を含有させることができる。基材に架橋剤を含有させる方法は、架橋剤を含む処理溶液に基材を浸漬させることが好ましく、一方で、当該処理溶液を基材に塗布又は塗工してもよい。処理溶液中の架橋剤としては、例えば、ホウ素化合物を含有する溶液を使用する。ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸、硼砂、酸化ホウ素、水酸化ホウ素等の無機化合物、ボロン酸であるアルケニルボロン酸、アリールボロン酸、アルキルボロン酸、ボロン酸エステル、トリフルオロボラート又はその塩等が挙げられ、ホウ酸、硼砂が好ましくは、ホウ酸が特に好ましい。処理溶液中の溶媒は、特に限定されるものではないが、水が好ましい。処理溶液中のホウ素誘導体の濃度は、0.1~15質量%であることが好ましく、0.1~10質量%であることがより好ましい。処理溶液の温度は、30~80℃が好ましく、40~75℃がより好ましい。また、この架橋工程の処理時間は30秒~10分が好ましく、1~6分がより好ましい。この架橋工程により、得られる偏光発光素子は、高いコントラストを示す。このことは、従来技術において、耐水性又は光透過性を改善する目的で使用されていたホウ素化合物の機能からは全く予期し得ない優れた作用である。また、架橋工程においては、必要に応じて、カチオン、カチオン系高分子化合物を含む水溶液で、フィックス処理をさらに併せて行ってもよい。カチオンとはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、バリウムなどの金属に由来するイオンであり、好ましくは2価のイオンが用いられる。具体例としては塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化鉄、塩化バリウム等に由来するカチオンが挙げられる。フィックス処理により、基材中における偏光発光色素の固定化が可能となる。このとき、カチオン系高分子化合物として、例えば、ジシアン系としてジシアンアミドとホルマリン重合縮合物、ポリアミン系としてジシアンジアミド・ジエチレントリアミン重縮合物、ポリカチオン系としてエピクロロヒドリン・ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリルアモンニウムクロライド・二酸化イオン共重合物、ジアリルアミン塩重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、アリルアミン塩の重合物、ジアルキルアミノエチルアクリレート四級塩重合物等が使用される。
(延伸工程)
上記架橋工程を行った後、延伸工程を実施する。延伸工程は、基材を一定の方向に一軸延伸することにより行われる。延伸方法は、湿式延伸法又は乾式延伸法のいずれであってもよい。基材の延伸倍率もまた、オーダーパラメーターの値を制御する際、重要である。偏光発光素子が示すオーダーパラメーターの値を所望の範囲に制御するため、基材の延伸倍率は、3.3倍以上であることが好ましく、3.3~8.0倍であることがより好ましく、3.5~6.0倍であることがさらに好ましく、4.0~5.0倍であることが特に好ましい。
上記湿式延伸法においては、水、水溶性有機溶剤又はその混合溶液中で基材を延伸することが好ましい。より好ましくは、架橋剤を少なくとも1種含有する溶液中に基材を浸漬しながら延伸処理を行う。架橋剤は、例えば、上記架橋工程におけるホウ素化合物を用いることができ、好ましくは、架橋工程で使用した処理溶液中で延伸処理を行うことができる。延伸温度は40~60℃であることが好ましく、45~58℃がより好ましい。延伸時間は通常30秒~20分であり、好ましくは2~7分である。湿式延伸工程は、一段階の延伸で実施しても、二段階以上の多段延伸で実施してもよい。尚、延伸処理は、任意に、染色工程の前に行ってもよく、この場合には、染色の時点で偏光発光色素の配向も一緒に行うことができる。
上記乾式延伸法において、延伸媒体が空気媒体である場合には、空気媒体の温度が常温~180℃で基材を延伸するのが好ましい。また、湿度は20~95%RHの雰囲気中であることが好ましい。基材の加熱方法としては、例えば、ロール間ゾーン延伸法、ロール加熱延伸法、熱間圧延伸法及び赤外線加熱延伸法等が挙げられるが、これらの延伸方法に限定されるものではない。乾式延伸工程は、一段階の延伸で実施しても、二段階以上の多段延伸で実施してもよい。乾式延伸工程においては、偏光発光色素を含有する基材にホウ素誘導体を含有させながら延伸させるか、又はホウ素化合物を基材に含有させた後に延伸させることができるが、ホウ素化合物を基材に含有させた後に延伸処理することが好ましい。ホウ素誘導体を適用する温度は40~90℃が好ましく、50~75℃がより好ましい。ホウ素化合物の濃度は1~10%であることが好ましく、3~8%であることがより好ましい。乾式延伸の処理時間は、1~15分であることが好ましく、2~12分であることがより好ましく、3~10分であることがさらに好ましい。
(洗浄工程)
上記延伸工程を実施した後には、基材の表面に架橋剤の析出又は異物が付着することがあるため、基材の表面を洗浄する洗浄工程を行うことができる。洗浄時間は1秒~5分が好ましい。洗浄方法は、基材を洗浄液に浸漬することが好ましく、一方で、洗浄液を基材に塗布又は塗工によって洗浄することもできる。洗浄液としては、水が好ましい。洗浄処理は一段階で実施しても、二段階以上の多段処理で実施してもよい。洗浄工程の洗浄液の温度は、特に限定されるものではないが、通常、5~50℃、好ましくは10~40℃であり、常温であってよい。
上記各工程で用いる溶液又は処理液の溶媒としては、上記水の他にも、例えば、ジメチルスルホキシド;N-メチルピロリドン;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール又はトリメチロールプロパン等のアルコール類;エチレンジアミン及びジエチレントリアミン等のアミン類等が挙げられる。当該溶液又は処理液の溶媒は、これらに限定されるものではないが、好ましくは水である。また、これらの溶液又は処理液の溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(乾燥工程)
上記洗浄工程の後、基材の乾燥工程を行う。乾燥処理は、自然乾燥により行うことができるものの、より乾燥効率を高めるため、ロールによる圧縮やエアーナイフ又は吸水ロール等による表面の水分除去等により行うことが可能であり、さらには、送風乾燥を行うことも可能である。乾燥処理の温度は、20~100℃であることが好ましく、60~100℃であることがより好ましい。乾燥時間は、30秒~20分であることが好ましく、5~10分であることがより好ましい。
上述の製造方法により、本発明に係る偏光発光素子を作製することができ、得られた偏光発光素子は、高い耐久性を有すると共に、高い偏光度(コントラスト)を有する偏光発光を示す。
上述の製造方法以外にも、あらかじめ偏光発光色素を含有したポリビニルアルコール系樹脂フィルムを作製し、染色工程を経ずに膨潤、延伸、洗浄、架橋、乾燥の各工程を行って本発明の偏光発光素子を作製することも可能である。
以上の例示した製造方法により、本発明に係る偏光発光素子を作製することができ、得られた偏光発光素子は、高い耐久性を有すると共に、高い偏光度(コントラスト)を有する偏光発光を示す。
偏光発光素子は、光の吸収、特に紫外域の光の吸収により得られたエネルギーを利用して、可視域の光を偏光発光する。この偏光発光の明度の差をより向上させるため、偏光発光が高い偏光度(コントラスト)を有することが好ましい。偏光発光素子より発光する光が可視域の偏光であることから、可視域の光に対して偏光機能を有する一般的な偏光板を介して偏光発光素子を観察した場合、その偏光板の軸の角度を変えることによって、偏光発光と非発光とを視認することができる。偏光発光素子が発光する偏光の偏光度は、例えば70%以上であり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは99%以上である。また、コントラストは高いほど好ましく、偏光度が高いほど、高い傾向を示す。偏光発光素子が、可視域の光を吸収せずに透過させる場合、偏光発光素子の可視域の光の透過率は、視感度補正透過率において、例えば60%以上であり、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。このような偏光発光素子は、高い偏光度を有するため、非発光状態において可視域の光の吸収が小さくなり、これにより、透明度の高い偏光発光素子を得ることができる。
こうして得られた偏光発光素子と非発光偏光素子とを積層することにより、本発明の光学素子を得ることができる。図1には偏光発光素子1と非発光偏光素子2とを積層した本発明の光学素子3を示した。
非発光偏光素子2が吸収型偏光素子の場合、吸収型偏光素子の偏光軸と偏光発光素子1の発光偏光軸とが直交するように積層することが好ましい。このことは吸収型偏光素子の吸収軸と偏光発光素子の発光偏光軸とが平行になるように積層されていることを意味する。また、非発光偏光素子2が反射型偏光素子である場合、反射型偏光素子の透過偏光軸と偏光発光素子1の発光偏光軸とが直交するように積層することが好ましい。このことは、反射型偏光素子の反射偏光軸と偏光発光素子の発光偏光軸とが平行になるように積層されていることを意味する。図1及び以降の図面ではいずれも接着層は省略しているが、積層する際には接着剤、粘着剤、プラズマ接合処理等種々の接着手段を用いることができる。接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、もしくは変性ポリビニルアルコールの水溶液等に必要に応じて、グリオキザール等の架橋剤を添加した水溶性接着剤や、エポキシ系、ウレタン系、アクリル系の熱硬化させるウレタン系接着剤等の熱硬化型接着剤や、紫外線硬化型樹脂と光重合開始剤とを含む紫外線硬化型接着剤等が挙げられるが、光が透過でき、所望の接着力を得ることができれば特に制限はない。また、粘着剤としては、例えば、アクリル酸や複数のアクリル酸エステルの共重合体からなるアクリルポリマーにイソシアネート等の硬化剤を用いて架橋させたアクリル系粘着剤やシリコーン樹脂からなるシリコーン粘着剤などが挙げられる。さらには、偏光素子表面を不活性ガス中での大気圧プラズマ処理により活性化させ、積層して接着させるプラズマ接合処理を用いてもよい。
また、図2に示すように、偏光発光素子1と非発光偏光素子2を積層する際、その間に支持体4を介していてもよい。支持体は光が透過できる程度に透明であれば特に制限がないが、色調性やデザイン性の観点から意図的に着色しないのであれば、できるだけ透明であることが好ましく、400nm~700nmにおける可視光透過率が80%~100%、より好ましくは85%~98%、さらに好ましくは90%~95%程度である。支持体の材質には特に制限はないが、ガラス、樹脂などが挙げられる。樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、ポリオレフィン樹脂等種々の樹脂を用いることが可能である。これら樹脂からなる支持体には必要に応じて可塑剤、フィラー等種々の添加材を加えることも可能である。この支持体は1層でも2層以上用いてもよい。また、この支持体は非発光偏光素子又は偏光発光素子のそれぞれ、もしくはいずれかと接着剤や粘着剤等で貼り合わされていてもよいし、偏光素子と実用上十分な密着性があるならば接着剤を介することなく直接積層されていてもよい。接着剤又は粘着剤は特に制限されないが、水溶性接着剤、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤やアクリル系の粘着剤等を用いるのが好ましい。
本発明の光学素子は、表面を保護するために、光学素子の片側に支持体を備えたり、光学素子の両側を支持体で挟持してもよい。支持体を備えたり、挟持する手段は特に制限はないが、接着剤又は粘着剤を用いる場合、水溶性接着剤、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤やアクリル系の粘着剤等を用いるのが好ましい。また、支持体の材質としては、ガラス、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、ポリオレフィン樹脂等種々の樹脂素材が使用できる。偏光発光素子側に配置される支持体、及び接着剤には、偏光発光素子の発光を妨げないよう、該素子が吸収する光の波長における基材もしくは接着剤層の透過率が、好ましくは50~100%、より好ましくは70~98%、さらに好ましくは80~95%程度が良い。本発明における支持体は、偏光発光素子の吸収波長の光を吸収しないことが好ましい。例えば、支持体中には紫外線吸収剤が含有している場合が多いため、偏光発光素子の吸収波長が350~380nmである紫外線の場合、紫外線吸収剤を含まない支持体を用いることが好ましい。図3には本発明の光学素子3が、支持体4と偏光発光に必要な波長の光を透過する支持体5によって挟持された本発明の偏光板6が示してある。また、図4に示すように偏光発光素子1と非発光偏光素子2との間に支持体4が存在し、それらが支持体4と支持体5によって挟持された本発明の偏光板7の構成にしてもよい。図5示すように、偏光発光素子1を支持体4、5で挟持し、一方非発光偏光素子2を支持体4、で挟持し、それぞれを積層した本発明の偏光板8の構成にしてもよい。
本発明の光学素子を支持体で挟持した本発明の偏光板を作製する方法としては、例えば、上記のように作製した非発光偏光素子、及び発光偏光素子の片面に、支持体を接着等を用いて貼り合わせる。次いで、それぞれを偏光素子同士が向き合うように接着剤等も用いて貼り合わせればよい。
こうして得られた本発明の光学素子を挟持して得られた本発明の偏光板を用いて、レンズ加工することにより、本発明のアイウェア用レンズを得ることができる。本発明のアイウェア用レンズとは、本発明の偏光板をレンズ形状に曲げ加工した状態を含む物品を指す。図6には、本発明の偏光板6を曲げ加工することによって得られた本発明のアイウェア用レンズ9が示してある。本発明のアイウェア用レンズを作製する方法としては、例えば、本発明の偏光板を曲げ加工機を用いて所望の曲面形状に加工し、さらに所望の形状にカットする。なお、本発明のアイウェア用レンズは、偏光発光素子側が最終的に凸面となるように配置する必要がある。次に、インサート成形を行う場合は、最終的に偏光発光素子が凸面側になるようにしてインサート成形を行う。この時インジェクションする樹脂はポリカーボネートやポリアミド等適宜選択される。さらに、凸面側にハードコートや防汚処理などを施し、所望の形状に切削、研磨することにより、レンズ形状に仕上げることができる。図7にはそのようなインサート成形樹脂10を用いて上述のようにレンズ形状に加工した本発明のアイウェア用レンズ11の一形態を示した(ハードコートや防汚処理層は省略)。
さらに、本発明のアイウェア用レンズをサングラスやゴーグルのフレームに取り付けることで、本発明のアイウェアを得ることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されない。
実施例1
(偏光発光素子の作製)
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製 VF-PS#7500)を40℃の温水に3分間浸漬して、フィルムを膨潤させた。膨潤して得られたフィルムを、化合物例5-1に記載の4,4’-ビス-(スルホスチリル)ビフェニル2ナトリウム水溶液(BASF社製 Tinopal NFW Liquid)を0.05部、芒硝1.0部、水1000部を含む45℃の水溶液に10分間浸漬させた。得られたフィルムを3%ホウ酸水溶液中に50℃で5分間浸漬し、5.0倍に延伸した。延伸して得られたフィルムを、緊張状態を保ったまま常温の水で20秒間水洗し、乾燥して偏光発光素子を得た。得られた偏光発光素子を分光光度計(日立製作所製:U-4100)を用いて測定したところ、吸収ピークは370nmであり、視感度補正単体透過率(Ys)は92.3%、オーダーパラメーターの値(OPD)は0.886であった。
(支持体の積層)
支持体として、370nmにおける透過率が90%である紫外線を透過するトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 ZRD-60)の両面を、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液を用いて35℃で10分間処理し、水洗し、次いで、70℃で10分乾燥させた。水酸化ナトリウムで処理したトリアセチルセルロースフィルムを、上記で作製した偏光発光素子の片面に4%のポリビニルアルコール樹脂(日本酢ビポバール社製 NH-26)を含む水溶液を介して積層し、偏光素子のもう一方の面には保護フィルム(サンエー化研製 NSA-33T)を貼り合わせて、60℃で10分間乾燥させることにより、片面に紫外線を透過するトリアセチルセルロースフィルムを有する偏光発光素子を得た。
(吸収型偏光素子と支持体の積層)
吸収型偏光素子として、単体透過率Ys=29%、透過色相a*=0.64、透過色相b*=1.03、視感度補正偏光度Py=99.9%である染料系偏光素子(ポラテクノ製 Grey-30)を用い、基材として370nmにおける透過率が0.5%以下である紫外線吸収剤を含有したトリアセチルセルロースフィルム(タックブライト社製 Tacphan P980GL)を用いる以外は、上記と同様の操作により、片面に紫外線を吸収するトリアセチルセルロースフィルムを有する吸収型偏光素子を得た。
(本発明の光学素子を支持体で挟持した偏光板の作製)
上記の、片面に紫外線を透過するトリアセチルセルロースフィルムを有する偏光発光素子と片面にほとんど紫外線を透過しないトリアセチルセルロースフィルムを有する吸収型偏光素子とをそれぞれの保護フィルムを剥離してから、4%のポリビニルアルコール樹脂(日本酢ビポバール社製 NH-26)を含む水溶液を介して、それぞれの偏光素子が向き合うように(保護フィルムを剥離した面同士が向き合うように)、かつ、偏光発光素子の発光軸方向と、吸収型偏光素子の吸収軸方向とが平行になるように配置して積層し、60℃で10分間乾燥させることにより、図3に示すような本発明の光学素子が支持体により挟持された本発明の偏光板6を得た。
実施例2
吸収型偏光板の代わりに、反射型偏光子として550nmにおける偏光透過率96.1=%、偏光反射率=0.21%であるワイヤーグリッド型偏光素子(ポラテクノ製 PFU01C)を用い、実施例1で作製した片面に紫外線を透過するトリアセチルセルロースフィルムを有する偏光発光素子とを、偏光発光素子の発光軸方向と、反射型偏光子の反射軸方向とが平行になるように配置して粘着剤を用いて貼り合わせて、本発明の偏光板を得た。
(実施例1の評価)
本発明の偏光板に晴天時の太陽光を偏光発光素子側にあてた際、偏光発光層は青白い発光を示した。この状態で吸収型偏光素子側から該偏光素子の吸収軸が地面に対して水平になるようにして周囲を観察したが、眩しさは感じられなかった(10人のモニターによる統一見解)。また、水面からの太陽光の反射光が強い場所において、偏光発光素子が水面側になるように配置して、さらに偏光発光軸が水面とほぼ平行であって、かつ、吸収型偏光素子の透過軸が直交(吸収軸が偏光発光素子の発光軸と平行)となるような位置で水面を観察したところ、偏光発光素子は強く発光したが、吸収型偏光子側から水面を観察したところ、眩しさは感じられず、しかも水面の反射が大幅に軽減されており、良好な視認性であった(10人のモニターによる統一見解)。
(実施例2の評価)
本発明の偏光板を実施例1と同様の評価を行ったところ、実施例1よりも強い発光を示した。この状態で反射型偏光子側から該偏光子の反射軸が地面に対して水平になるようにして周囲を観察したが、眩しさは感じられなかった(10人のモニターによる統一見解)。また、水面からの太陽光の反射光が強い場所において、偏光発光素子が水面側になるように配置して、さらに偏光発光軸が水面とほぼ平行であって、かつ、反射型偏光素子の透過軸が直交(反射軸が偏光発光素子の発光軸と平行)となるような位置で水面を観察したところ、偏光発光素子は強く発光したが、反射型偏光子側から水面を観察したところ、眩しさは感じられず、しかも水面の反射が大幅に軽減されており、良好な視認性であった(10人のモニターによる統一見解)。
比較例
吸収型偏光板の代わりに、単体透過率Ys=30%、透過色相a*=1.65、透過色相b*=-4.63である着色されたトリアセチルセルロースフィルム(IHI社製 13SG80S-LH)を用いること以外は実施例1と同様の操作により、図8に示すような偏光発光素子が紫外線を透過するトリアセチルセルロースフィルムと着色されたトリアセチルセルロースフィルム12に挟持された積層体13を得た。
(比較例の積層体の評価)
積層体を実施例1と同様の環境下で観察したところ、晴天時の太陽光を偏光発光素子側にあてた際、偏光発光層は青白い発光を示した。この状態で着色されたトリアセチルセルロースフィルム側から周囲を観察したが、眩しく感じられた(10人のモニターによる統一見解)。また、水面からの太陽光の反射光が強い場所において、偏光発光素子が水面側になるように配置して、さらに偏光発光軸が水面とほぼ平行になるような位置で、着色されたトリアセチルセルロースフィルム側から水面を観察したが、眩しく感じられ、視認性は良くなかった(10人のモニターによる統一見解)。
本発明のアイウェアを用いることで、屋外での紫外線の強さを発光の程度で推定することができ、サングラスを掛けるべきかどうかを判断する指標とすることが可能である。さらに、外光に含まれる紫外域~近紫外可視域の光により、偏光発光素子を発光させることができ、従来にない意匠性を付与できる。しかも、発光光は偏光となっているために、積層している非発光偏光素子により発光光は反射及び/又は吸収される。そのため偏光サングラスとしての機能を維持することができる。
1:偏光発光素子
2:非発光偏光素子
3:本発明の光学素子
4:支持体
5:偏光発光に必要な波長の光を透過する支持体
6:本発明の偏光板
7:本発明の偏光板
8:本発明の偏光板
9:本発明のアイウェア用レンズ
10:インジェクション樹脂
11:本発明のアイウェア用レンズ
12:着色されたトリアセチルセルロースフィルム
13:積層体

Claims (5)

  1. 外光の入射側に紫外線吸収剤を含まない支持体1、基材を有し可視域の光を偏光発光する偏光発光素子と、
    紫外線吸収剤を含む支持体2、可視域の光を吸収及び/又は反射する吸収型偏光素子とを備え、
    外光の入射側から眼球側の順に、
    (1)支持体1、前記偏光発光素子、支持体2、及び前記吸収型偏光素子を、又は
    (2)支持体1、前記偏光発光素子、前記吸収型偏光素子、及び支持体2を、
    層し
    前記偏光発光素子の吸収波長が350~380nmである、
    アイウェア用レンズ
  2. 前記偏光発光素子の発光偏光軸と前記吸収型偏光素子の偏光軸とが直交していることを特徴とする請求項1に記載のアイウェア用レンズ
  3. 前記偏光発光素子と前記吸収型偏光素子とが接着層を介して積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のアイウェア用レンズ
  4. 前記偏光発光素子と前記吸収型偏光素子とが支持体3を介して積層されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のアイウェア用レンズ
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載のアイウェア用レンズを備えたアイウェア。
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