JP7442229B1 - 把持システム、把持方法、制御装置、及びプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
このような、盛り付けを行うロボットに関する技術は、例えば、特許文献1に開示されている。
このようなユーザの要望を考慮し、特許文献1に開示の技術では、まず具材を容器に盛り付けた後に、この容器をベルトコンベアで下流に移送する。そして、下流に配置されている整形用の装置によって、移送された容器に盛り付けられている具材の形状を整形する。
しかしながら、このような構成とした場合、ベルトコンベアで容器を移送する過程において、具材の一部が崩れて容器外に落下してしまうおそれがある。また、盛り付ける工程、移送する工程、整形する工程というように、整形を完了するまでに複数の工程を経る必要があることから、作業効率が低下してしまう。
すなわち、従来の技術では、ロボットによって把持した対象物を解放する場合に、解放された対象物の形状を整形することについて、未だ改善の余地があった。
把持部材を備えたロボットと、前記ロボットの動作を制御する制御装置と、を備えた把持システムであって、
前記制御装置は、
解放先に解放すべき対象物を、前記把持部材により把持する把持動作と、
前記把持動作により把持した対象物を、前記把持部材により解放先に解放する解放動作と、
前記解放動作の実行を制御して、前記解放先に解放された前記対象物の形状を整形された形状とする整形動作と、
を前記ロボットに実行させることを特徴とすることを特徴とする。
[実施形態]
[構成]
図1及び図2は、本発明に係る把持システム1全体の構成を示す模式図であり、図1は、把持システム1が複数並べられた状態を示す斜視図、図2は、把持システム1の主要部を拡大した斜視図である。
本実施形態における把持システム1は、材料を盛り付けて盛り付けるシステムに本発明を適用することを想定したものである。以下の説明においては、把持システム1が、対象物として惣菜等の具材を把持し、この具材を個別の惣菜の容器に盛り付ける場合を例に挙げて説明する。なお、この個別の惣菜の容器への盛りつけは例示に過ぎず、他にも、例えば、複数の惣菜のそれぞれを、弁当の容器の対応する領域に個別に盛り付ける用途等に本実施形態を適用することも可能である。また、以下の説明において、盛り付けられる具材の量として、重量を例に挙げて説明するが、本発明は、重量以外であっても、体積、かさ、質量等、各種呼称の物理量を対象に適用することが可能である。
また、多関節ロボット30のハンド31を保持する関節には、ハンド31が把持部材31aにより把持した具材の物理量を取得する手段の一例として、把持した具材の重量を計測する重量センサ30Aが設置されている。また、多関節ロボット30のハンド31を保持する関節には、ハンド31が具材に接触したことを検出する手段の一例として、接触した具材からの反力(表面に接触されることで得られる力覚を含む)を計測する力センサ30Bが設置されている。重量センサ30Aによって計測された具材の重量(すなわち、把持された具材の重量)のデータや、力センサ30Bによって計測された具材からの反力(すなわち、具材への接触の検出結果)のデータは、制御装置40に出力される。
なお、図3においては、一対で用いられる把持部材31aの一方のみが示されている。
図3に示すように、本実施形態における把持部材31aは、天板部と、主板部と、第1側板部と、第2側板部と、により構成されている。天板部は、長方形状の平面を有している。また、主板部は、天板部の有する平面を水平な状態とした場合に、この平面の長手方向の一端から、この平面の長手方向の他端の鉛直下方の離間した位置に向かって傾斜して延在している。さらに、第1側板部と第2側板部は、天板部の有する平面を水平な状態とした場合に、この平面の両端それぞれから鉛直下方に向かって延在している。
なお、以下の説明において、これら一対の把持部材31aのそれぞれを区別することなく説明する際は、単に「把持部材31a」と称する。
また、ハンド31及びこれに結合された把持部材31aは、Z方向を回転軸として回転することが可能である。
このような構成により、本実施形態では、ハンド31及び把持部材31aの、位置や向きを任意に変化させることができ、これにより様々な動きで把持動作や整形動作等の動作を適切に実行することが可能となる。
また、把持をした一対の把持部材31aを盛り付け位置P1の惣菜の容器の上に移送した後に、一対の把持部材31aが開状態となり、容器形状の開口部が露出することで、把持により取り出した具材が解放され、惣菜の容器にほぼ一定量の具材を盛り付けることができる。
図6は、制御装置40のハードウェア構成を示す模式図である。
図6に示すように、制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)711と、ROM(Read Only Memory)712と、RAM(Random Access Memory)713と、バス714と、入力部715と、出力部716と、記憶部717と、通信部718と、ドライブ719と、を備えている。
RAM713には、CPU711が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
出力部716は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声を出力する。
記憶部717は、ハードディスクあるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各サーバで管理される各種データを記憶する。
通信部718は、ネットワークを介して他の装置との間で行う通信を制御する。
なお、上記ハードウェア構成は、制御装置40の基本的構成であり、一部のハードウェアを備えない構成としたり、付加的なハードウェアを備えたり、ハードウェアの実装形態を変更したりすることができる。
次に、制御装置40の機能的構成について説明する。
図7は、制御装置40の機能的構成を示すブロック図である。
図7に示すように、把持システム1の動作を制御するためのプログラムを実行することにより、制御装置40のCPU711においては、センサ情報取得部151と、具材状態判定部152と、具材量判定部153と、多関節ロボット制御部154と、容器供給制御部155と、記録制御部156と、が機能する。また、記憶部717には、パラメータ記憶部171と、履歴データベース(履歴DB)172と、が形成される。
本実施形態に係る把持システム1においては、具材及び使用される把持部材31aの種類に応じて、把持部材31aを具材に差し込む深さ(差し込み量)と、そのときに把持される具材の重量との関係が、予め把握されている。例えば、把持される具材の密度(単位深さあたりの重量を表すパラメータ)を予め計測しておき、具材の密度と把持部材31aを差し込む深さとの乗算値を要素とする関数によって、把持される重量を算出(推定)することができる。これにより、簡単な演算によって、把持される具材の重量を推定することができる。
図8に示すように、多関節ロボット30が具材を把持する場合、(1)具材にアプローチする、(2)具材の表面を検出する、(3)把持部材31aを具材に差し込む、(4)把持部材31aを閉じることで把持部材31aを閉状態とする、(5)把持した具材の重量(物理量)を計測する、という手順で具材が把持される。把持した重量が規定量に適合する場合、惣菜の容器に具材が移送されて解放される。なお、把持した重量が規定量に適合するとは、例えば、目標とする重量に対して、把持した具材の重量が所定誤差以内(±15%以内等)にあることをいう。ただし、把持部材31aに具材が粘着して解放されないケースを考慮し、把持した重量が規定量よりも多い場合の誤差を少ない場合の誤差よりも大きく設定することとしてもよい。一方、把持した重量が規定量に適合しない場合、さらに、(6)収容空間10Aにおける把持した位置に具材を解放する(具材を戻す)、(7)把持した具材の重量が超過していた場合(例えば、把持した具材の重量が規定量の範囲の上限を超えている場合)には、前回よりも把持部材31aを具材に差し込む深さを浅く修正して具材を把持する、(8)把持した具材の重量が不足していた場合(例えば、把持した具材の重量が規定量の範囲の下限を下回っている場合)には、前回よりも把持部材31aを具材に差し込む深さを深く修正して具材を把持する、という手順で具材が再把持される。
また、手順(3)で具材に把持部材31aを差し込む場合、多関節ロボット30の制御パラメータ(関節の回転角度等)から差し込み量を算出したり、手順(2)で具材の表面を検出して差し込みを開始してからの経過時間から差し込み量を算出したりすることが可能である。
次に、本実施形態における解放動作や整形動作について説明するが、その前提として、一般的な従来技術を用いて解放動作を行った場合に、どのような結果となるのかについて図9を参照して説明をする。ここで、図9は、従来技術を用いた場合の、解放動作の一例を示す模式図である。
なお、図9は、あくまでも、比較例として従来技術を適用した場合について説明するものであり、本実施形態において行われる解放動作や整形動作の作用及び効果を示すものではない。
なお、後述の図9(B)~図12の何れも同様の垂直断面(すなわち、YZ平面)を図示するものであるため、これらの図では各方向の図示を省略する。
次に、図9(A)に示すように、多関節ロボット30は、把持をした一対の把持部材31aを盛り付け位置P1の惣菜の容器の上に移送する。そして、多関節ロボット30は、解放を行う高さまで把持部材31aを下降させる。
この場合、容器中央で解放された解放具材は、容器中央に対して盛り付けられる。そのため、解放具材の表面は、容器中央付近が相対的に高く、容器の外側になるに従って相対的に低くなる。すなわち、解放容器は、概ね山状の形状で盛り付けられる。
例えば、解放具材が卯の花等の結合しやすく比較的形状を維持しやすい特性を有している場合であっても、盛り付けられた解放具材の重心が容器の中央付近にはない場合(例えば、傾いた山状となっている場合)、解放具材は、解放具材に働きかける重力によって、容器外に向かって傾いていく(図中、黒矢印で示す)。すると、解放具材が容器外に落下して飛散したり、容器内の盛り付けるべき領域からはみ出したりしてしまう。
さらに、一般的に容器の端部には盛り付け後に、蓋と嵌合するための嵌合部が設けられている。しかし、はみ出した具材がこの嵌合部に入り込むと、蓋との嵌合を適切に行うことができなくなる。また、このような意図しない飛散やはみ出しは、例えば、ユーザの要望に応じて山状の形状をより高くするように盛り付けた場合には、より顕著に発生する。そのため、従来技術では、ユーザの要望に応じることが困難となる。
そこで、本実施形態では、このような飛散やはみ出しをする具材の発生を防ぐべく、以下に説明するようにして、本実施形態特有の解放動作や、整形動作を行う。
なお、図中及び以下の説明では、把持部材31aが解放した具材を適宜「解放具材」と称する。
まず、本実施形態における整形動作の概要について説明する。
多関節ロボット30は、把持動作により把持した把持具材を、把持部材31aにより解放先に解放することで解放動作を実現する。この場合に、多関節ロボット30は、この解放動作の実行を制御する。これにより、多関節ロボット30は、解放先に解放された対象物の形状を整形された形状とする整形動作を実現する。
このように、多関節ロボット30は、対象物を解放する際に、この解放動作を制御するのみで、解放先に解放された対象物の形状を整形された形状とすることができる。そのため、具材の盛り付けを行うと同時に、具材の形状を整形することができる。
以上が、本実施形態における整形動作の概要である。
なお、何れの整形動作を行う場合であっても、前提として、多関節ロボット30は、図8に示した本実施形態特有の把持動作を行うことで、差し込み深さ等から把持する具材の重量を推定し、収容空間10A内に収容されている具材を効率よく把持する。
まず、解放動作と共に行われる第1整形動作について説明をする。図10は、解放動作及び第1整形動作の一例を示す模式図である。
多関節ロボット30は、図9(A)に示した従来技術と同様にして、把持をした一対の把持部材31aを盛り付け位置P1の惣菜の容器の上に移送する。そして、多関節ロボット30は、解放を行う高さまで把持部材31aを下降させる。
この再把持動作を行うことにより、盛り付けられた解放具材は、再把持動作前の重心が傾いた不安定な形状(図中、二点鎖線で示す)から、平坦でありながら中央付近がやや隆起した、解放具材全体に対して均等に重力が働きかける安定した形状となる。
このように水平面の位置が同じ位置となるように把持部材31aを制御して、一貫して各動作を行うことで、当初は容器中央から傾いていた解放具材の重心を、徐々に容器中央に案内していくことができる。これにより、具材をより安定した形状に整形できると共に、具材の飛散等を防止することができる。
次に、解放動作と共に行われる第2整形動作について説明をする。図11は、解放動作及び第2整形動作の一例を示す模式図である。
多関節ロボット30は、図9(A)に示した従来技術と同様にして、把持をした一対の把持部材31aを盛り付け位置P1の惣菜の容器の上に移送する。そして、多関節ロボット30は、解放を行う高さまで把持部材31aを下降させる。
なお、図中及び以下の説明では、第2整形動作において、n回目(nは1以上の整数)の解放動作により容器に盛り付けられた解放具材を適宜「第n解放具材」と称する。例えば、一回目の解放動作により容器に盛り付けられた解放具材を、第1解放具材と称する。
なお、第2整形動作において、一部の具材の解放動作を繰り返す回数は任意であり、盛り付けに要することが許容される時間の長さ等に応じて所望の回数だけ一部の具材の解放動作を繰り返すことができる。
このように水平面の位置をずらすことなく、解放動作を連続して行うことで、各解放動作において解放される、各解放具材それぞれの重心を、全て容器中央とすることができる。これにより、具材をより安定した形状に整形できると共に、具材の飛散等を防止することができる。
次に、解放動作と共に行われる第3整形動作について説明をする。図12は、解放動作及び第3整形動作の一例を示す模式図である。
多関節ロボット30は、図9(A)及び図9(B)に示した従来技術と同様にして、把持部材31aの移送、及び把持具材の解放を行う。この場合、具材の特性によっては、解放具材が概ね山状の形状にもならず、解放具材の表面の高さに偏りがある形状となる場合がある。このような場合、第1整形動作のようにして、解放動作を行った位置で再把持動作を行ったとしても、所望の形状(例えば、山状の形状)に盛り付けることは、困難である。
これにより、図12(b)に示すように、解放具材の形状は、再把持動作前の表面の高さに偏りがある形状(図中、二点鎖線で示す)とは大きく異なり、重心が容器中央にあり、且つ、山状の安定した形状に整形される。
これにより、一度に盛り付けられる具材の高さを抑制し、具材を山形の形状という見栄えのよい形状に盛り付けることができる。また、具材を解放先の中央等に案内することができるので、盛り付けの過程において、具材が落下するようなことを防止できる。
このように水平面の位置が同じ位置となるように把持部材31aを制御して、一貫して各動作を行うことで、当初は容器中央から傾いていた解放具材の重心を、徐々に容器中央に案内していくことができる。特に第3整形動作では、把持部材31aが上昇しながら開口部同士を当接させることで、解放具材を寄せ集めて山状の形状に整形する。そのため、把持部材31aの中心がぶれないように制御して、当接する水平面の位置を容器中央とすることによって、容器中央に大きな頂点があるという、見栄えのよい山状の形状に具材を盛り付けることができる。
また、第3整形動作において、把持部材31aを閉状態としながら上昇することで解放具材を整形する場合に、具材の特性等の条件によっては、上昇途中に整形が終了する場合がある。すなわち、把持部材31aの開口部同士が当接する前に、把持部材31aで把持していた把持具材が全て容器内に解放される等して、整形が終了する場合がある。
この場合、把持部材31aがさらに上昇して、その後開口部同士が当接したとしても解放具材は再把持されることがない。そのため、再度の解放動作を行う必要はない。一方で、容器には、整形済みの解放具材が盛り付けられている。従って、そのまま第3整形動作を終了することができる。これにより、再把持動作も、再度の解放動作も行うことなく、迅速に第3整形動作を終了することができる。
以上説明した、第1整形動作~第3整形動作により、具材を解放する際に、この解放動作を制御するのみで、解放先に解放された具材の形状を整形された形状とすることができる。そのため、具材の盛り付けを行うと同時に、具材の形状を整形することができる。従って、一般的な技術のように、整形のために、いたずらに複数の工程を経る必要がない。また、整形のために移送を行う必要もないので、移送途中で具材が落下してしまうような問題も生じない。
すなわち、把持システム1によれば、多関節ロボット30によって把持した具材を解放する場合に、解放された具材の形状を、より効率的に整形することができる。
また、この整形動作は、把持や解放を行うための把持部材31aを動作させるのみで実現できる。そのため、解放具材を整形するための専用の装置や部材や機構等を別途用意する必要もない、という効果も奏する。
これにより、容器が停止している安定した状態において、整形を含めた盛り付けを実行することができる。
この場合、他の考慮すべき要素とは、具材の特性、盛り付けるべき具材の量、盛り付けに許容される時間の長さ、及びユーザが要望する盛り付け後の形状等である。
例えば、具材が汁気のある飛散しやすい特性を有する惣菜等の場合、具材を解放する際の、把持部材31aの高さを容器に可能な限り近づけるとよい。具体的には、容器おいて最も高さが高い容器端部より低く、且つ、容器において最も高さが低い容器底面より高い高さに把持部材31aの先端が位置するまで、把持部材31aを下降させる。そして、その位置において解放を行う。これにより、より低い位置から解放ができるので解放時に具材に働きかける重力の影響が低減し、具材が解放される際の勢いを抑制することができる。また、仮に飛散をしたとしても、飛散が容器内で収まる可能性が高くなる。そのため、容器外への飛散を防止することができる。
そこで、解放具材の最小単位の大きさ(すなわち、解放された際の高さ)よりも、深く把持部材31aを差し込むように、再把持動作時の差し込み深さを設定しておく。これにより、豆や唐揚げといった、具材個々(すなわち、最小単位)の大きさが、比較的大きい惣菜を対象とした場合であっても、再把持動作を適切に行うことができる。
この場合に、従来技術では、具材の解放時に具材が盛り付け領域からはみ出して、容器側嵌合部に入り込んでしまうことがあった。この場合、入り込んだ具材が、容器側嵌合部と、蓋側嵌合部との嵌合を阻害し、適切に蓋を閉じられないという問題生じる。
このように、本実施形態における各整形動作は、盛り付け後の解放具材を整形できるのみならず、その後の蓋を閉める作業の効率を向上させることも可能である。
次に、把持システム1の全体動作を説明する。
図14は、把持システム1が実行する具材盛り付け処理の流れを示すフローチャートである。具材盛り付け処理は、例えば、作業者によって具材盛り付け処理を開始させる操作が行われたことを契機として開始される。
ステップS15において、多関節ロボット制御部154は、決定された差し込み深さまで、具材に対して把持部材31aを差し込む。
ステップS16において、多関節ロボット制御部154は、把持部材31aを閉じて具材を把持する。
ステップS19において、多関節ロボット制御部154は、何れかの整形動作(上述した第1整形動作~第3整形動作に相当)による解放動作の制御を開始する。
ステップS21において、多関節ロボット制御部154は、実行する整形動作による制御に応じて、再把持動作を行うべきときか否かを判定する。再把持動作を行うべきときである場合は、ステップS21においてYesと判定され、処理はステップS22に進む。一方で、再把持動作を行うべきときでない場合は、ステップS21においてNoと判定され、処理はステップS23に進む。
ステップS23において、多関節ロボット制御部154は、実行する整形動作による制御に応じて、整形動作を終了するべきときか否かを判定する。整形動作を終了するべきときである場合は、ステップS23においてYesと判定され、処理はステップS24に進む。一方で、整形動作を終了するべきときでない場合は、ステップS23においてNoと判定され、処理はステップS19から再度行われる。なお、このステップS19からステップS23までの処理は、図10~図12参照して説明した各整形動作に相当する。
具材盛り付け処理を終了する条件に適合していない場合は、ステップS25においてNoと判定されて、処理はステップS12から再度行われる。一方で、具材盛り付け処理を終了する条件に適合している場合は、ステップS25においてYesと判定されて、具材盛り付け処理は終了する。
上述の実施形態では、第1整形動作~第3整形動作の何れかを単独で、あるいは、これらを組み合わせて実行していた。
これに限らず、さらに他の動作を組み合わせるようにしてもよい。例えば、整形動作の制御に基づいて、複数回の解放動作を行う際に、多関節ロボット30は、把持部材31aを開閉方向に開いて開状態とした状態で、把持部材31aを移動させるようにしてもよい。
この場合、把持部材31aを移動させるとは、把持部材31aを開閉方向(Y方向)や鉛直方向(Z方向)に、微小に往復運動をさせたり、あるいは、より微小に振動させたりすることである。これにより、例えば、把持部材31aの内面に付着しやすい特性を有する具材であっても、これを振り落として、解放すべき量の把持具材を全て解放することができる。従って、付着しやすい特性を有する具材であっても、解放された具材の形状を、より効率的に整形することができる。
上述の実施形態では、各整形動作の特徴と、具材の特性等の他の考慮すべき要素とに基づいて、何れの整形動作を単独又は組み合わせて行うのか、解放動作や再把持動作を何回繰り返すのか、といった事項を予め設定しておことを想定していた。
これに限らず、他の方法でこれらの事項について決定してもよい。例えば、予めこれらの事項について設定しておくのではなく、重量センサ30Aや重量センサ21により検出される把持具材や解放具材の重量や、力センサ30Bによって計測された具材からの反力といった情報に基づいて、リアルタイムにこれらの事項について決定するようにしてもよい。また、この場合に、後述の変形例4で得られる具材の画像を画像解析して得られる解析結果等も考慮して、これらの事項について決定するようにしてもよい。
上述の実施形態において、一対の把持部材31a(すなわち、2つの把持部材31a)を用いることを想定したが、これに限られない。3つ以上の複数の把持部材31aを用いるようにしてもよい。そして、各把持部材31aの開口部を近づけることで把持動作を行い、各把持部材31aの開口部を遠ざけることで解放動作を行うような構成としてもよい。
この場合、例えば、3つの把持部材31aを用いるのであれば、鉛直上方から俯瞰した場合に、それぞれの中心角が120°の3つの把持部材31aの先端を中央に近づけたり遠ざけたりするようにする。
このようにしても、上述した整形動作等の各動作を実行することができる。
上述の実施形態において、具材状態判定部152は、力センサ30Bによって計測された具材からの反力(すなわち、具材への接触の検出結果)のデータに基づいて、具材の状態を判定するものとしたが、これに限られない。
例えば、撮像装置によって撮像された具材の画像から、具材の体積を推定し、密度と推定された体積を乗算すること等により、具材の重量を算出することも可能である。
この場合、重量センサ30Aや重量センサ21を用いることなく、具材の重量を算出する手段を実装することができる。
以上のように、本実施形態における把持システム1は、開閉する把持部材31aを備えた多関節ロボット30と、多関節ロボット30の動作を制御する制御装置40と、を備える。
制御装置40は、
解放先に解放すべき対象物を、把持部材31aにより把持する把持動作と、
把持動作により把持した対象物を、把持部材31aにより解放先に解放する解放動作と、
解放動作の実行を制御して、解放先に解放された対象物の形状を整形された形状とする整形動作と、
を多関節ロボット30に実行させる。
これにより、対象物を解放する際に、この解放動作を制御するのみで、解放先に解放された対象物の形状を整形された形状とすることができる。そのため、具材の盛り付けを行うと同時に、具材の形状を整形することができる。従って、一般的な技術のように、整形のために、いたずらに複数の工程を経る必要がない。また、整形のために移送を行う必要もないので、移送途中で具材が落下してしまうような問題も生じない。
すなわち、把持システム1によれば、ロボットによって把持した対象物を解放する場合に、解放された対象物の形状を、より効率的に整形することができる。
また、この整形動作は、把持や解放を行うための把持部材31aを動作させるのみで実現できる。そのため、解放対象物を整形するための専用の装置や部材や機構等を別途用意する必要もない、という効果も奏する。
整形動作は、解放先に対象物を解放した後に、再把持動作により再度把持された対象物の一部を、解放先に再度解放することで、複数回の解放を実現する。
これにより、一度盛り付けた対象物の一部を、再度盛り付けなおすことができ、対象物の形状を、より安定した形状とすることができる。そのため、盛り付けの過程において、対象物が落下するようなことを防止できる。
これにより、一度に解放してしまうと、その勢いで対象物が解放先(例えば、容器)の外部に飛散したり、はみ出したりする場合であっても、解放の勢いを抑制することができるので、飛散やはみ出しを防止することができる。
整形動作は、把持部材31aを開状態とすることで解放を行った後に、把持部材31aが解放した対象物に接触した状態で、把持部材31aを閉状態としながら上昇することで、解放により解放先に解放された対象物の形状を山状の形状に整形することを行う。
これにより、対象物を、山形の形状という見栄えのよい形状に盛り付けることができる。また、対象物を解放先の中央等に案内することができるので、盛り付けの過程において、対象物が落下するようなことを防止できる。
これにより、容器が停止している安定した状態において、整形を含めた盛り付けを実行することができる。
これにより、開口部を閉塞する部材(例えば、蓋)と嵌合するための容器に解放する場合に、上述した整形動作による整形を行うことによって嵌合部に対象物が入り込んでしまうようなことを防止できる。従って、その後の嵌合を適切に行うことができる。
例えば、上述の実施形態及び変形例において、惣菜を盛り付ける把持システムに本発明を適用する場合を例に挙げて説明したが、本発明は、種々の対象物を把持するシステムに適用することができる。例えば、練ったモルタル、コンクリート、漆喰、粘土等、粘性あるいは粘着性が高い材料を把持するシステムに本発明を適用することができる。本発明は、作業温度又は室温において中粘度以上(5000mPa・s)以上の粘度を有する対象物を把持する際に好適である。
また、上述の実施形態に記載された例を適宜組み合わせて、本発明を実施することが可能である。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図7の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。すなわち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が把持システム1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図7の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
Claims (7)
- 板状部を有する一対の把持部材を備えたロボットと、前記ロボットの動作を制御する制御装置と、を備えた把持システムであって、
前記制御装置は、
解放先に解放すべき対象物を、前記一対の把持部材それぞれの前記板状部同士が当接して形成される容器形状により第1位置において把持する把持動作と、
前記把持動作により把持した対象物を、前記把持動作を行った一対の把持部材が形成する前記容器形状を開口することで第2位置において解放先に解放する解放動作と、
前記解放動作により前記解放先に解放された対象物の一部を前記一対の把持部材により再度把持する再把持動作と、
前記再把持動作により再度把持された前記対象物の一部を、前記一対の把持部材により前記解放先に再度解放して、複数回の解放を実現することにより、前記解放先に解放された前記対象物の形状を前記第2位置において整形された形状とする整形動作と、
を前記ロボットに実行させることを特徴とする把持システム。 - 板状部を有する一対の把持部材を備えたロボットと、前記ロボットの動作を制御する制御装置と、を備えた把持システムであって、
前記把持部材は、閉状態となることで把持動作を行い、開状態となることで解放動作を行う機構を有しており、
前記制御装置は、
解放先に解放すべき対象物を、前記一対の把持部材それぞれの前記板状部同士が当接して形成される容器形状により第1位置において把持する把持動作と、
前記把持動作により把持した対象物を、前記把持動作を行った一対の把持部材が形成する前記容器形状を開口することで第2位置において解放先に解放する解放動作と、
前記把持部材を開状態とすることで解放を行った後に、前記一対の把持部材が前記解放した対象物に接触した状態で、該一対の把持部材を閉状態としながら上昇することで、前記解放先に解放された対象物の形状を前記第2位置において山状の形状に整形する整形動作と、
を前記ロボットに実行させることを特徴とする把持システム。 - 前記制御装置は、前記解放動作と前記整形動作とを、連続した一連の動作として前記ロボットに実行させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の把持システム。 - 前記制御装置は、停止している容器を前記解放先として、前記解放動作、及び整形動作を前記ロボットに実行させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の把持システム。 - 前記解放先は、前記対象物が解放される開口部と、前記対象物が解放された後に前記開口部を閉塞する部材と嵌合するために前記開口部の周辺に設けられた嵌合部と、を備えた容器である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の把持システム。 - 板状部を有する一対の把持部材を備えたロボットの動作を制御する制御手段を備えた制御装置であって、
前記制御手段は、
解放先に解放すべき対象物を、前記一対の把持部材それぞれの前記板状部同士が当接して形成される容器形状により第1位置において把持する把持動作と、
前記把持動作により把持した対象物を、前記把持動作を行った一対の把持部材が形成する前記容器形状を開口することで第2位置において解放先に解放する解放動作と、
前記解放動作により前記解放先に解放された対象物の一部を前記一対の把持部材により再度把持する再把持動作と、
前記再把持動作により再度把持された前記対象物の一部を、前記一対の把持部材により前記解放先に再度解放して、複数回の解放を実現することにより、前記解放先に解放された前記対象物の形状を前記第2位置において整形された形状とする整形動作と、
を前記ロボットに実行させることを特徴とする制御装置。 - 板状部を有する一対の把持部材を備えたロボットの動作を制御する制御手段を備えた制御装置であって、
前記把持部材は、閉状態となることで把持動作を行い、開状態となることで解放動作を行う機構を有しており、
前記制御手段は、
解放先に解放すべき対象物を、前記一対の把持部材それぞれの前記板状部同士が当接して形成される容器形状により第1位置において把持する把持動作と、
前記把持動作により把持した対象物を、前記把持動作を行った一対の把持部材が形成する前記容器形状を開口することで第2位置において解放先に解放する解放動作と、
前記把持部材を開状態とすることで解放を行った後に、前記一対の把持部材が前記解放した対象物に接触した状態で、該一対の把持部材を閉状態としながら上昇することで、前記解放先に解放された対象物の形状を前記第2位置において山状の形状に整形する整形動作と、
を前記ロボットに実行させることを特徴とする制御装置。
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JP2020082271A (ja) | 2018-11-26 | 2020-06-04 | 日本製粉株式会社 | 被操作物を手繰り寄せる装置、被操作物を押し広げる装置、及び、被操作物の高さを均す装置 |
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