JP7364282B1 - 把持システム、及び制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このような、盛り付けを行うロボットに関する技術は、例えば、特許文献1に開示されている。
すなわち、従来の技術では、ロボットによって対象物を把持する作業を適切に行うために、未だ改善の余地があった。
把持部材を備えたロボットと、前記ロボットの動作を制御する制御装置と、を備えた把持システムであって、
前記制御装置は、
把持対象となる対象物を前記把持部材により把持する第1把持動作と、
前記第1把持動作により把持した前記対象物を前記把持部材から解放する解放動作と、
前記解放動作により解放した前記対象物を再度把持する第2把持動作と、
を前記ロボットに実行させることを特徴とする。
[実施形態]
[構成]
図1及び図2は、本発明に係る把持システム1全体の構成を示す模式図であり、図1は、把持システム1が複数並べられた状態を示す斜視図、図2は、把持システム1の主要部を拡大した斜視図である。
本実施形態における把持システム1は、材料を取り分ける把持システムに本発明を適用することを想定したものである。以下の説明においては、把持システム1が、材料として弁当に盛り付けられる総菜等の具材を把持し、この具材を弁当の容器に取り分ける場合を例に挙げて説明する。なお、以下の説明において、盛り付けられる具材の量として、重量を例に挙げて説明するが、本発明は、重量以外であっても、体積、かさ、質量等、各種呼称の物理量を対象に適用することが可能である。
また、多関節ロボット30のハンド31を保持する関節には、ハンド31が把持部材31aにより把持した具材の物理量を取得する手段の一例として、把持した具材の重量を計測する重量センサ30Aが設置されている。また、多関節ロボット30のハンド31を保持する関節には、ハンド31が具材に接触したことを検出する手段の一例として、接触した具材からの反力(表面に接触されることで得られる力覚を含む)を計測する力センサ30Bが設置されている。重量センサ30Aによって計測された具材の重量(すなわち、把持された具材の重量)のデータや、力センサ30Bによって計測された具材からの反力(すなわち、具材への接触の検出結果)のデータは、制御装置40に出力される。
なお、図3においては、一対で用いられる把持部材31aの一方のみが示されている。
図3に示すように、本実施形態における把持部材31aは、天板部と、主板部と、第1側板部と、第2側板部と、により構成されている。天板部は、長方形状の平面を有している。また、主板部は、天板部の有する平面を水平とした場合に、この平面の長手方向の一端から、この平面の長手方向の他端の鉛直下方の離間した位置に向かって傾斜して延在している。更に、第1側板部と第2側板部は、天板部を有する平面を水平とした場合に、この平面の短手方向の両端それぞれから鉛直下方に向かって延在している。
そこで、本実施形態では、後述の「再把持動作」を行うことで、このような事態の発生を防止する。
なお、以下の説明において、これら一対の把持部材31aのそれぞれを区別することなく説明する際は、単に「把持部材31a」と称する。
図5は、制御装置40のハードウェア構成を示す模式図である。
図5に示すように、制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)711と、ROM(Read Only Memory)712と、RAM(Random Access Memory)713と、バス714と、入力部715と、出力部716と、記憶部717と、通信部718と、ドライブ719と、を備えている。
RAM713には、CPU711が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
出力部716は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声を出力する。
記憶部717は、ハードディスクあるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各サーバで管理される各種データを記憶する。
通信部718は、ネットワークを介して他の装置との間で行う通信を制御する。
なお、上記ハードウェア構成は、制御装置40の基本的構成であり、一部のハードウェアを備えない構成としたり、付加的なハードウェアを備えたり、ハードウェアの実装形態を変更したりすることができる。
次に、制御装置40の機能的構成について説明する。
図6は、制御装置40の機能的構成を示すブロック図である。
図6に示すように、把持システム1の動作を制御するためのプログラムを実行することにより、制御装置40のCPU711においては、センサ情報取得部151と、具材状態判定部152と、具材量判定部153と、多関節ロボット制御部154と、容器供給制御部155と、記録制御部156と、が機能する。また、記憶部717には、パラメータ記憶部171と、履歴データベース(履歴DB)172と、が形成される。
また、ハンド31及びこれに結合された把持部材31aは、Z方向を回転軸として回転することが可能である。
このような構成により、多関節ロボット制御部154は、各動作を実行する際に、ハンド31及び把持部材31aの、位置や向きを任意に変化させることができ、これにより各動作を適切に実行することが可能となる。
また、説明の前提として、図9~図11に示すように、収容空間10A内にはこれから把持動作の対象となる具材が収容されている。なお、図中及び以下の説明では、この収容されている具材を適宜「収容具材」と称する。
なお、把持部材31aの材質や形状や、把持動作における把持力や、具材の性質にもよるが、当接した先端部や側板部によって具材が切断される場合であれば、新たな一塊の具材として、より一層扱いやすくなるので、具材の切断が許容されるような盛り付け作業であれば、このように具材が切断されるように把持動作を行うとよい。
次に図11(g)に示すように、多関節ロボット30は、検出した解放具材の表面から把持部材31aを差し込む。この際、状況によっては、把持部材31aは解放具材を貫通し、先端の一部が収容具材まで差し込まれる。そして、多関節ロボット30は、多関節ロボット制御部154が算出した、差し込む深さまで把持部材31aを差し込むと、把持部材31aの下降を停止する。
これにより、第1把持動作、開放動作、及び第2把持動作という、再把持動作に含まれる一連の動作は終了する。すなわち、再把持動作が終了する。なお、図11(h)に示すように、第2把持動作により把持しきれなかった解放具材は、新たな収容具材として再利用され、以後、多関節ロボット30に把持される対象となる。
そのため、第2把持動作において、把持部材に具材が付着することを抑制し、具材を規定量だけ把持することができる。なお、この効果は、ポテトサラダのように粘性あるいは粘着性を有する具材を把持する際に、特に顕著である。
また、新たな一塊の具材として具材を把持して、これを盛り付けられることから、具材を盛り付けた場合に、想定していたような美しい見栄えで盛り付けることができる。なお、この効果は、ごぼうサラダや千切りにしたキャベツのように、棒状あるいは線状の絡まってしまいやすい具材を把持する際に、特に顕著である。
さらに、具材の切断が許容されるような盛り付け作業を行う場合、把持部材31aの材質や形状や、把持動作における把持力や、具材の性質等を調整することで、当接した先端部や側板部によって具材が切断されようにすれば、新たな一塊の具材として、より一層扱いやすくなるのでよい。
また、把持システム1が行うこれらの動作は、把持部材31aが移動することで実現される。そのため、これらの動作を実現するための専用の部材や機構等を別途用意する必要もない、という効果も奏する。
更に、解放した具材を収容空間10Aに戻して、再度把持することで、具材を無駄にすることなく活用できる、という効果も奏する。
まず図12(a)に示すように、多関節ロボット30は、把持動作を完了して把持具材を把持している状態の把持部材31aの先端と、把持動作をした領域に隣接する付近の領域の収容具材の表面とが同等の高さとなるまで、把持部材31aを上昇させる。
この場合、把持部材31aの移動方向は適宜設定できるが、例えば、収容具材により形成される表面に対して平行な方向に把持部材31aを移動させる。本実施形態であれば、収容具材の表面は略水平面であるので、把持部材31aの天板部が水平となった状態及び図12(a)で上昇させた把持部材31aの高さを維持しつつ、水平方向に把持部材31aを移動させる。
このように、多関節ロボット30は、具材の特性である粘性あるいは粘着性を利用し、付着具材を収容具材に対してあたかも擦り付けるようにすることで、付着具材を把持部材31aから除去をする。
これにより除去動作は完了し、規定量の具材が把持されたか否かの判定が行われることになる。
また、図14は、レベリング動作の概念を示す模式図、図15は、スクレイピング動作の概念を示す模式図である。
図13に示すように、収容空間10A内の具材の表面の平坦度合が低い(荒れている)場合、図14に示すように、多関節ロボット30がレベリング動作を行い、把持部材31aによって表面を平坦化する。なお、レベリング動作を行う場合、把持部材31aの先端が平坦である(直線状の縁部を有する)ことを利用し、収容空間10Aの底面と把持部材31aの先端とが平行な状態を維持して、把持部材31aを収容空間10Aの底面から同一の高さで移動させることができる。また、レベリング動作において、把持部材31aの外面が平面であることを利用して、具材に把持部材31aの外面を押し付けて平坦化したり、把持部材31aの外面で具材表面をなでることで平坦化したりすることも可能である。
本実施形態に係る把持システム1では、具材及び使用される把持部材31aの種類に応じて、把持部材31aを具材に差し込む深さ(差し込み量)と、そのときに把持される具材の重量との関係が、予め把握されている。例えば、把持される具材の密度(単位深さあたりの重量を表すパラメータ)を予め計測しておき、具材の密度と把持部材31aを差し込む深さとの乗算値を要素とする関数によって、把持される重量を算出(推定)することができる。これにより、簡単な演算によって、把持される具材の重量を推定することができる。
そして、具材の表面の平坦度合及び深さが具材を把持するための条件に適合している場合、図9や図11に示したような動作パターンに従って、再把持動作における、第1把持動作や第2把持動作が行われる。
例えば、第1把持動作にて把持した具材の重量が超過していた場合(例えば、把持した具材の重量が規定量の範囲の上限を超えている場合)には、第1把持動作よりも把持部材31aを具材に差し込む深さを浅く修正して第2把持動作にて具材を把持する。一方で、第1把持動作にて把持した具材の重量が不足していた場合(例えば、把持した具材の重量が規定量の範囲の下限を下回っている場合)には、第1把持動作よりも把持部材31aを具材に差し込む深さを深く修正して第2把持動作にて把持をする。
このように、多関節ロボット制御部154は、第1把持動作の結果に基づいて、第2把持動作での差し込む深さを調整することで、具材を適正量だけ精度高く把持することができる。
次に、把持システム1の動作を説明する。
図16及び図17は、把持システム1が実行する具材取り分け処理の流れを示すフローチャートである。
具材の表面の平坦度合が具材を把持するための条件に適合していない場合、ステップS4においてNOと判定されて、処理はステップS5に移行する。
具材の表面の平坦度合が具材を把持するための条件に適合している場合、ステップS4においてYESと判定されて、処理はステップS6に移行する。
ステップS5において、多関節ロボット制御部154は、具材の表面を平坦化するためのレベリング動作を実行する。
収容空間10A内の具材の深さが具材を把持するための条件に適合していない場合、ステップS6においてNOと判定されて、処理はステップS7に移行する。
収容空間10A内の具材の深さが具材を把持するための条件に適合している場合、ステップS6においてYESと判定されて、処理はステップS8に移行する。
ステップS7において、多関節ロボット制御部154は、具材を寄せ集めるスクレイピング動作を実行する。
ステップS9において、多関節ロボット制御部154は、把持部材31aを閉じて具材を把持する。これにより、第1把持動作が実現される。
ステップS11において、多関節ロボット制御部154は、少なくとも計測した具材の重量(物理量)に基づいて、第2把持動作において、把持部材31aを具材に差し込む深さ(差し込み量)を算出する。そして、算出した、差し込む深さを第2把持動作の差し込む深さとして再設定する。
ステップS12において、多関節ロボット制御部154は、解放動作を実行して第1把持動作において把持した具材を開放する。
ステップS13において、多関節ロボット制御部154は、把持部材31aを閉じて具材を把持する。これにより、第2把持動作が実現される。
このようにステップS9~ステップS14を一連の動作として実行することで、再把持動作は実現される。
ステップS17において、具材量判定部153は、規定量の具材が把持されているか否かの判定を行う。
規定量の具材が把持されていない場合、ステップS17においてNOと判定されて、処理はステップS11に移行する。そして、このステップS11では、
多関節ロボット制御部154は、少なくとも移行直前のステップS16において計測された、具材の重量(物理量)に基づいて、再度の第2把持動作において、把持部材31aを具材に差し込む深さ(差し込み量)を算出する。そして、算出した、差し込む深さを再度の第2把持動作の差し込む深さとして再設定する。すなわち、多関節ロボット制御部154は、一度行った第2把持動作の結果に基づいて、再度の第2把持動作での差し込む深さを調整することで、具材を適正量だけ精度高く把持することができる。
具材取り分け処理を終了する条件に適合していない場合、ステップS20においてNOと判定されて、図16に遷移し、処理はステップS2に移行する。
具材取り分け処理を終了する条件に適合している場合、ステップS20においてYESと判定されて、具材取り分け処理は終了する。
すなわち、把持システム1によれば、ロボットによって具材を把持する作業をより適切に行うことができる。
そのため、多関節ロボット30によって同様の把持動作を行うことで、ばらつきが抑制された正確な量の具材を取り分けることが可能となる。
すなわち、把持システム1によれば、ロボットによって具材を取り分ける作業をより適切に行うことができる。
したがって、把持部材31aをより正確な差し込み量で具材に差し込むことができるため、具材をより適切に取り分けることができる。
そのため、具材が少ない状態であっても、具材を把持するために必要な深さに調整することができ、具材を有効活用できると共に、具材を供給する頻度を低下させることができる。
したがって、ロボットによって具材を取り分ける作業をより効率的に実行することが可能となる。
したがって、収容空間10A内の具材の量が減少した場合や一度の把持で規定量の具材を把持し難い具材を取り分ける場合等において、より柔軟な動作によって、必要な重量の具材を把持することが可能となる。
上述の実施形態において、制御装置40による多関節ロボット30の制御について説明したが、これに限られない。本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、制御装置40による多関節ロボット30の制御について種々に変更や追加や省略を行うことができる。
例えば、上述の実施形態において、第2把持動作の後に除去動作を行うこととしていたが、これに限られない。例えば、把持する具材がそれほど粘性あるいは粘着性がない具材であれば、把持部材31aへの付着は発生しにくいので、このような場合は、作業全体の迅速化のために、除去動作の実行を省略するようにしてもよい。他にも、例えば、第2把持動作で差し込む深さをより高精度で算出するために、第1把持動作後にも除去動作を行うようにし、この除去動作後に計測した重量(物理量)に基づいて、算出を行うようにしてもよい。
上述の実施形態において、具材状態判定部152が具材の表面の状態を認識し、具材の表面の平坦度合が具材を把持するための条件に適合していない場合にレベリング動作が行われるものとしたが、これに限られない。
例えば、把持動作毎に具材の表面における把持位置をずらすピッチが設定されていることから、収容空間10A内の具材の表面全体から具材を把持した後(すなわち、所定回数の把持動作が行われる毎)に、レベリング動作を行うこととしてもよい。
なお、上述の実施形態におけるレベリング動作に対し、所定回数の把持動作が行われる毎のレベリング動作を併せて実行することとしてもよい。
上述の実施形態において、具材状態判定部152が具材の深さを認識し、具材の深さが具材を把持するための条件に適合していない場合にスクレイピング動作が行われるものとしたが、これに限られない。
例えば、把持動作毎に具材の表面から取り出される具材の量(把持部材31aが差し込まれる深さ)が設定されていることから、収容空間10A内の具材の表面全体から具材を把持した後(すなわち、所定回数の把持動作が行われる毎)に、スクレイピング動作を行うこととしてもよい。
なお、上述の実施形態におけるスクレイピング動作に対し、所定回数の把持動作が行われる毎のスクレイピング動作を併せて実行することとしてもよい。
上述の実施形態において、具材状態判定部152は、力センサ30Bによって計測された具材からの反力(すなわち、具材への接触の検出結果)のデータに基づいて、具材の状態を判定するものとしたが、これに限られない。
また、具材状態判定部152は、撮像装置によって撮影された具材の画像に基づいて、具材の状態を判定する。例えば、具材状態判定部152は、撮像装置によって撮影された具材の画像から、収容空間10A内の具材の深さ(収容空間10A内の具材表面から収容空間10A底面までの深さ)、表面の平坦度合(表面がどの程度荒れているか)を認識する。この場合に、具材状態判定部152は、撮像装置によって撮影された具材の画像に加えて、更に力センサ30Bによって計測された具材からの反力(すなわち、具材への接触の検出結果)のデータにも基づいて、具材の状態を判定するようにしてもよい。
この場合、被写体を撮影することで、カラー画像と共に、各部の正確な深度情報を容易に取得することができる。
そのため、各部の深度情報によって、具材表面や収容空間10A等の立体的な形状を把握することが可能となる。
したがって、具材表面の平坦度合を判定し、レベリング動作の要否を決定したり、具材の深さを判定し、スクレイピング動作の要否を決定したりすることが可能となる。
上述の実施形態において、多関節ロボット30が把持した具材の重量あるいは弁当の容器に取り分けられた具材の重量を重量センサ30A,21によって計測するものとしたが、これに限られない。
例えば、撮像装置によって撮像された具材の画像から、具材の体積を推定し、密度と推定された体積を乗算すること等により、具材の重量を算出することも可能である。
この場合、重量センサ30A,21を用いることなく、具材の重量を算出する手段を実装することができる。
上述の実施形態において、レベリング動作を実行する場合、図12に示すように、収容空間10Aの底面と把持部材31aの先端とが平行な状態を維持して、把持部材31aを収容空間10Aの底面から同一の高さで移動させるものとして説明したが、これに限られない。
すなわち、レベリング動作を実行する場合、具材表面を平坦化可能な各種形態の動作を実行することができる。
図18は、レベリング動作の一例を示す模式図である。
図18に示すように、レベリング動作を実行する場合、具材の表面に把持部材31aの先端が接触する状態(図18(a)参照)で、把持部材31aを開閉させる動作(図18(b)参照)を実行し、把持部材31aが開閉動作する範囲の具材表面を平坦化(図18(c)参照)することが可能である。
この場合、一対の把持部材31aの中央に位置する具材の表面が平坦化されるため、次に具材を把持する予定の位置を確実に平坦化することができる。また、ハンド31自体を搬送する動作が必要ないため、レベリング動作に要する時間を短縮することができる。
上述の実施形態において、スクレイピング動作を実行する場合、図13に示すように、具材に把持部材31aの外面を押し当てて移動させることによって、具材を寄せ集める例や、具材を把持部材31aで把持し、他の部分の具材の上に積み上げることで寄せ集める例について説明したが、これに限られない。
すなわち、スクレイピング動作を実行する場合、具材を寄せ集めることが可能な各種形態の動作を実行することができる。
例えば、一対の把持部材31aの少なくとも一方の形状を、具材を寄せ集めるために好適な形状(一例として、平板状等)とすることも可能である。この場合、スクレイピング動作を実行する際には、この把持部材31aをスクレイピング用のブレードとして機能させ、効率的に具材を寄せ集めることができる。
上述の実施形態において、多関節ロボット30のハンド31が、把持部材31aを具材の物理量が所定量になると推定される深さまで具材収容部10の具材に差し込むことにより、目的とする量の具材を把持する例について説明したが、これに限られない。
すなわち、把持部材31aの開き具合を調整して具材に差し込むことで、把持部材31aが把持する具材の量を調整することも可能である。例えば、把持した具材の重量が超過していた場合(例えば、把持した具材の重量が規定量の範囲の上限を超えている場合)には、把持部材31aを具材に差し込む際の把持部材31aの開き具合を前回よりも狭く修正して具材を把持する、把持した具材の重量が不足していた場合(例えば、把持した具材の重量が規定量の範囲の下限を下回っている場合)には、把持部材31aを具材に差し込む際の把持部材31aの開き具合を前回よりも広く修正して具材を把持する、といったことが可能である。
これにより、把持部材31aを具材に差し込む深さ(差し込み量)を調整できない場合であっても、把持する具材の量を調整することが可能となる。
上述の実施形態において、具材を把持のし易さを反映させて、把持部材31aで具材を把持する際の動作を調整することとしてもよい。
例えば、把持部材31aで具材を把持する際に、具材の一部が把持部材31aから漏れて(逃げて)把持位置の周囲に移動するという現象が起こり得る。
発明者らの検証により、把持部材31aが具材を把持する位置(すなわち、収容空間10Aの内壁面や底面からの距離等)によって、具材の逃げ易さに相違が生じることが判明した。
特に壁際では、把持部材31aの向きが具材の逃げ易さに影響することが判明した。具体的には、把持部材31aから具材が漏れ易い方向に壁が存在する場合、具材は逃げ場所が無いため、逃げ易さが低下(すなわち、把持のし易さが向上)した。
このことを踏まえ、把持位置(すなわち、収容空間10Aの内壁面や底面からの距離)と把持部材31aの向きという2つ要素と、具材の逃げ易さ(又は取り込み易さ)というパラメータの関係性を機械学習によって取得し、その結果に応じて、把持部材31aが具材を把持する把持位置における把持部材31aを差し込む深さ(差し込み量)を調整することができる。例えば、具材が逃げ易い把持位置では、把持部材31aを具材に差し込む深さ(差し込み量)をより大きく設定する等の調整を行うことができる。
これにより、多関節ロボット30によって具材を把持する際に、状況に応じて、より適切な把持動作を行うことが可能となる。
上述の実施形態において、図3に示すように、先端が平坦な板状部材の左右に、側板を備えた形状の把持部材31aを用いる例について説明したが、これに限られない。
例えば、固形物の割合が多い具材を取り分ける場合等には、先端に爪を有する把持部材31aの形状とすることができる。
このような形状の把持部材31aとした場合、爪が固形物を押し退けること等により、具材に対して把持部材31aを差し込み易くなるという効果を有する。また、このとき、具材の表面に対して、爪を斜交させて差し込むことにより、把持部材31aをより差し込み易くすることができる。
なお、ハンド31の一対の把持部材31aを異なる種類の把持部材31aで構成することとしてもよい。
例えば、ハンド31が備える一対の把持部材31aの一方を図3に示す先端が平坦な形状とし、他方を先端に爪を有する形状とすることも可能である。
この場合、具材の状態等に応じて、適切な形状の把持部材31aを選択して、把持動作、レベリング動作あるいはスクレイピング動作を行うことができる。
制御装置40は、
把持対象となる対象物を把持部材31aにより把持する第1把持動作と、
第1把持動作により把持した対象物を把持部材31aから解放する解放動作と、
解放動作により解放した対象物を再度把持する第2把持動作と、
を多関節ロボット30に実行させる。
これにより、第1把持動作により対象物同士を適切に分離し、新たな一塊の対象物として扱いやすくした上で第2把持動作やその後の対象物の盛り付け動作を行える。
そのため、第2把持動作において、把持部材に対象物が付着することを抑制し、対象物を規定量だけ把持することができる。なお、この効果は、ポテトサラダのように粘性あるいは粘着性を有する対象物を把持する際に、特に顕著である。
また、新たな一塊の対象物として対象物を盛り付けられることから、対象物を盛り付けた場合に、想定していたような美しい見栄えで盛り付けることができる。なお、この効果は、ごぼうサラダや千切りにしたキャベツのように、棒状あるいは線状の絡まってしまいやすい対象物を把持する際に、特に顕著である。
すなわち、把持システム1によれば、ロボットによって対象物を把持する作業をより適切に行うことができる。
また、把持システム1が行うこれらの動作は、把持部材31aが移動することで実現される。そのため、これらの動作を実現するための専用の部材や機構等を別途用意する必要もない、という効果も奏する。
更に、解放した対象物を収容空間10Aに戻して、再度把持することで、対象物を無駄にすることなく活用できる、という効果も奏する。
第1把持動作、解放動作、及び第2把持動作を、対象物の表面上の同一箇所で多関節ロボット30に実行させる。
これにより、第1把持動作と解放動作により具材同士を適切に分離した対象物の表面上で、第2把持動作を行い、把持部材への具材の付着をより抑制することができる。
制御装置40は、少なくとも第1把持動作により把持した対象物の物理量に基づいて、第2把持動作の際に多関節ロボット30が把持部材31aを対象物の表面に差し込む深さを算出する。
これにより、多関節ロボット30が把持部材31aを対象物の表面に差し込む深さを調整し、より精度高く具材を規定量把持することができる。
第1把持動作、解放動作、及び第2把持動作の実行に伴い把持部材31aに付着した対象物を目標物に接触させた状態で把持部材31aを移動することにより、把持部材31aに付着した対象物を目標物に新たに付着させて除去する除去動作を、第2把持動作実行後の多関節ロボット30に実行させる。
これにより、把持部材31aに付着していた具材を除去することができる。
第1把持動作後に把持部材31aを上昇させると共に、解放動作において把持部材31aを下降させながら対象物を把持部材31aから解放するよう多関節ロボット30を制御する。
これにより、付着した対象物に対しては下降方向の慣性力が保たれるので、付着した対象物を効率よく落下させることができる。
制御装置40は、
第1把持動作及び第2把持動作の少なくとも何れかを実行する際に、一対の把持部材31aを閉状態とすることで、当接する形状で対象物を切断するよう多関節ロボット30を制御する。
これにより、具材の切断が許容されるような盛り付け作業を行う場合、当接した先端部や側板部によって具材が切断されるようにして、新たな一塊の具材として、より一層扱いやすることができる。
これにより、具材同士を適切に分離するという効果を、具材の性質に合致させて充分に奏することができる。
例えば、上述の実施形態及び変形例において、総菜を取り分ける把持システムに本発明を適用する場合を例に挙げて説明したが、本発明は、種々の対象物を把持するシステムに適用することができる。例えば、練ったモルタル、コンクリート、漆喰、粘土等、粘性あるいは粘着性が高い材料を把持するシステムに本発明を適用することができる。本発明は、作業温度又は室温において中粘度以上(5000mPa・s)以上の粘度を有する対象物を把持する際に好適である。
また、上述の実施形態に記載された例を適宜組み合わせて、本発明を実施することが可能である。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図6の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。すなわち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が把持システム1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図6の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
Claims (8)
- 把持部材を備えたロボットと、前記ロボットの動作を制御する制御装置と、を備えた把持システムであって、
前記把持部材は、開閉する機構を有する一対の把持部材であって、さらに先端が直線状の縁部を有する板状部材を備えると共に、閉状態となった場合に互いの前記板状部材の縁部が当接する形状を有しており、
前記制御装置は、
把持対象となる対象物を前記一対の把持部材により把持する第1把持動作と、
前記第1把持動作により把持した前記対象物を前記一対の把持部材から解放する解放動作と、
前記解放動作により解放した前記対象物を再度把持する第2把持動作と、
を前記ロボットに実行させると共に、
前記第1把持動作及び前記第2把持動作の少なくとも何れかを実行する際に、前記一対の把持部材を閉状態とすることで、前記当接する形状で前記対象物を切断するよう前記ロボットを制御する、
ことを特徴とする把持システム。 - 前記制御装置は、
前記一対の把持部材を閉状態として前記対象物を切断して把持した状態で、前記一対の把持部材を把持していない他の対象物から遠ざけるように移動させることで、前記把持をしている対象物と、前記他の対象物とを分離するよう前記ロボットを制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の把持システム。 - 前記制御装置は、
前記第1把持動作、前記解放動作、及び前記第2把持動作を、前記対象物の表面上の同一箇所で前記ロボットに実行させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の把持システム。 - 前記第1把持動作及び第2把持動作は前記対象物の表面に対する前記一対の把持部材の差し込みを伴う把持動作であり、
前記制御装置は、少なくとも前記第1把持動作により把持した前記対象物の物理量に基づいて、前記第2把持動作の際に前記ロボットが前記一対の把持部材を前記対象物の表面に差し込む深さを算出する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の把持システム。 - 前記制御装置は、
第1把持動作、前記解放動作、及び前記第2把持動作の実行に伴い前記一対の把持部材に付着した前記対象物を目標物に新たに付着させて除去する除去動作を、前記第2把持動作実行後の前記ロボットに実行させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の把持システム。 - 前記制御装置は、
前記第1把持動作後に前記一対の把持部材を上昇させると共に、前記解放動作において前記一対の把持部材を下降させながら前記対象物を前記一対の把持部材から解放するよう前記ロボットを制御する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の把持システム。 - 前記対象物は、前記第1把持動作及び第2把持動作により、収容空間に収容されている状態から一部が分離して把持される対象物である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の把持システム。 - 把持部材を備えたロボットの動作を制御する制御手段を備えた制御装置であって、
前記把持部材は、開閉する機構を有する一対の把持部材であって、さらに先端が直線状の縁部を有する板状部材を備えると共に、閉状態となった場合に互いの前記板状部材の縁部が当接する形状を有しており、
前記制御手段は、
把持対象となる対象物を前記一対の把持部材により把持する第1把持動作と、
前記第1把持動作により把持した前記対象物を前記一対の把持部材から解放する解放動作と、
前記解放動作により解放した前記対象物を再度把持する第2把持動作と、
を前記ロボットに実行させると共に、
前記第1把持動作及び前記第2把持動作の少なくとも何れかを実行する際に、前記一対の把持部材を閉状態とすることで、前記当接する形状で前記対象物を切断するよう前記ロボットを制御する、
ことを特徴とする制御装置。
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