JP7385955B1 - 把持システム、把持方法、制御装置、及びプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
このような盛り付けを行うロボットに関する技術は、例えば、特許文献1に開示されている。
この場合、ロボットによる作業の過程において、粘性あるいは粘着性が原因となり、対象物が容器の内壁面に付着してしまう。このように一旦容器に付着した対象物は、それ以後、ロボットによる把持が困難となる。そして、作業の継続に伴い容器に付着した対象物は増加していき、最終的には対象物の取り残しが多量に発生してしまう。
このように、従来の技術では、ロボットによって対象物を把持する作業を適切に行うために、未だ改善の余地があった。
把持対象となる対象物を把持部材により把持するロボットと、
前記ロボットの動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置による制御に従った前記ロボットは、前記把持部材を把持予定位置に接近させる経路において、前記対象物以外の他の物体に付着している前記対象物を、前記把持部材により前記把持予定位置に移動させる移動動作を行う、
ことを特徴とする。
[実施形態]
[構成]
図1及び図2は、本発明に係る把持システム1全体の構成を示す模式図であり、図1は、把持システム1が複数並べられた状態を示す斜視図、図2は、把持システム1の主要部を拡大した斜視図である。
本実施形態における把持システム1は、材料を取り分けるシステムに本発明を適用することを想定したものである。以下の説明においては、把持システム1が、材料として弁当に盛り付けられる総菜等の具材を把持し、この具材を弁当の容器に取り分ける場合を例に挙げて説明する。なお、以下の説明において、盛り付けられる具材の量として、重量を例に挙げて説明するが、本発明は、重量以外であっても、体積、かさ、質量等、各種呼称の物理量を対象に適用することが可能である。
また、多関節ロボット30のハンド31を保持する関節には、ハンド31が把持した具材の物理量を取得する手段の一例として、把持した具材の重量を計測する重量センサ30Aが設置されている。また、多関節ロボット30のハンド31を保持する関節には、ハンド31が具材に接触したことを検出する手段の一例として、接触した具材からの反力(表面に接触されることで得られる力覚を含む)を計測する力センサ30Bが設置されている。重量センサ30Aによって計測された具材の重量(すなわち、把持された具材の重量)のデータや、力センサ30Bによって計測された具材からの反力(すなわち、具材への接触の検出結果)のデータは、制御装置40に出力される。
なお、図3においては、一対で用いられる把持部材31aの一方のみが示されている。
図3に示すように、本実施形態における把持部材31aは、天板部と、主板部と、第1側板部と、第2側板部と、により構成されている。天板部は、長方形状の平面を有している。また、主板部は、天板部の有する平面を水平とした場合に、この平面の長手方向の一端から、この平面の長手方向の他端の鉛直下方の離間した位置に向かって傾斜して延在している。さらに、第1側板部と第2側板部は、天板部を有する平面を水平とした場合に、この平面の短手方向の両端それぞれから鉛直下方に向かって延在している。
なお、以下の説明において、これら一対の把持部材31aのそれぞれを区別することなく説明する際は、単に「把持部材31a」と称する。
図5は、制御装置40のハードウェア構成を示す模式図である。
図5に示すように、制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)711と、ROM(Read Only Memory)712と、RAM(Random Access Memory)713と、バス714と、入力部715と、出力部716と、記憶部717と、通信部718と、ドライブ719と、を備えている。
RAM713には、CPU711が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
出力部716は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声を出力する。
記憶部717は、ハードディスクあるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各サーバで管理される各種データを記憶する。
通信部718は、ネットワークを介して他の装置との間で行う通信を制御する。
なお、上記ハードウェア構成は、制御装置40の基本的構成であり、一部のハードウェアを備えない構成としたり、付加的なハードウェアを備えたり、ハードウェアの実装形態を変更したりすることができる。
次に、制御装置40の機能的構成について説明する。
図6は、制御装置40の機能的構成を示すブロック図である。
図6に示すように、把持システム1の動作を制御するためのプログラムを実行することにより、制御装置40のCPU711においては、センサ情報取得部151と、具材状態判定部152と、具材量判定部153と、多関節ロボット制御部154と、容器供給制御部155と、記録制御部156と、が機能する。また、記憶部717には、パラメータ記憶部171と、履歴データベース(履歴DB)172と、が形成される。
図8に示すように、多関節ロボット30により把持等の動作を行うことに伴い、収容空間10Aの内壁面に具材が付着していってしまう。本実施形態では、このように内壁面に具材が付着することを想定して、図9に示すように、多関節ロボット30が付着具材移動動作を行い、把持部材31aによって内壁面に付着した具材を、把持予定位置まで移動させる。ここで、把持予定位置とは、把持部材31aを閉じることで把持動作を行うことを予定している位置である。また、付着具材移動動作における移動とは、例えば、付着している具材を把持部材31aによって押し当てて下方に押し込むことや、付着している具材を把持部材31aによって剥離させて落下させることにより実現される。
また、ハンド31及びこれに結合された把持部材31aは、Z方向を回転軸として回転することが可能である。
そして、付着具材移動動作では、把持部材31aを把持予定位置に接近させる経路において、収容空間10Aに付着している具材を、把持部材31aにより収容空間10A内の把持予定位置に移動させる。
この脱着機構を実現するために、第1結合部材は、複数のロッドと、ベース部材を備えている。複数のロッドは、所定間隔で並べて設置され、結合時に第2結合部材と対向する方向(図10中の-x方向)にロッド先端部が突出した形状をしている。また、ベース部材は、この複数のロッドを保持すると共にハンド31の先端に配置される。
一方で、第2結合部材は、ベース部材と、磁石とを備えている。ベース部材は、第1結合部材のロッド間隔に合わせて設置された複数の挿通穴を有すると共に、把持部材31aの天板部に配置される。磁石は、挿通穴それぞれの内部における奥側の端部(ロッドが挿入される側とは逆の端部)に固定される。
そして、作業者が第1結合部材の各ロッドを、図中の-X方向(図中「差し込み方向」)に向けて、第2結合部材の各挿通穴に挿通することで、各ロッドの先端が各挿通穴内で磁石に磁力で吸着される。このような構造により、脱着機構は実現される。
例えば、衝突等が発生した場合に、脱着機構において、把持部材31aに対して、図中の-X方向(図中「差し込み方向」)に力が作用するのであれば、ロッドと磁石との当接力が更に増すことになるので、把持部材31aが外れることはない。一方で、衝突等が発生した場合に、把持部材31aに対して、図中の+X方向(図中「引抜き方向」)に力が作用した場合、その作用する力が、ロッドと磁石との磁力による吸着力による保持力を超えてしまい、把持部材31aが外れてしまうおそれがある。
そこで、付着具材移動動作では、仮に衝突等が発生しても、把持部材31aが外れないように、把持部材31aにおける、図中+X方向(図中「引抜き方向」)側の外面ではなく、図中の-X方向(図中「差し込み方向」)側の外面(図中において第2結合部材が配置されていない側の外面)を用いて、収容空間10Aに付着している具材を、把持予定位置に移動させる。これにより、仮に衝突等が発生しても、脱着機構において、図中+X方向(図中「引抜き方向」)ではなく、図中の-X方向(図中「差し込み方向」)に力が作用することになるので、把持部材31aが外れてしまうような事態を防止することができる。
さらに、付着具材移動動作では、内壁面に付着した具材を移動させることで、収容空間10A内の具材の表面を平坦化させたり、具材の深さを均一化させたりすることができる。つまり、付着具材移動動作により、具材の表面を、より理想的な状態にすることが可能となる。特に、付着具材移動動作を周期的に行い、内壁面に付着した具材を頻繁に移動させることで、このような具材の表面の理想的な状態は常に維持される。すなわち、付着具材移動動作によれば、具材の表面の平坦度合いや具材の高さが、多関節ロボット制御部154の制御において意図していないほど大きく変動することを防止できる。そのため、多関節ロボット制御部154の制御による、把持部材31aを具材に差し込む深さに基づいた定量把持の精度を担保することができる。
これにより、図10に「クリアランス」として示すように、ハンド31と、収容空間10Aとの距離を保ったまま付着具材移動動作を行うことができ、ハンド31に具材が付着するような事態を防止することができる。
また、このように内壁面に沿って、時計回りあるいは反時計回りの順に付着具材移動動作と、把持動作とを繰り返し行うことにより、収容空間10Aの内壁面に沿っていない領域(ここでは、領域B2、領域B3、及び領域B4)に、残りの具材が集まりやすくなる。これを考慮して、付着具材移動動作と把持動作とを、内壁面に沿って時計回りあるいは反時計回りの順に一周(あるいは、複数周)行った後に、残りの具材が集まっている、内壁面に沿っていない領域に対して、付着具材移動動作と把持動作とを行うようにしてもよい。このようにすれば、内壁面に沿っているか否かを問うことなく、収容空間10Aの全ての領域における具材の表面の平坦度合いや具材の深さや均一化することができる。
すなわち、把持システム1によれば、ロボットによって対象物を把持する作業をより適切に行うという課題を解決することができる。
また、この付着具材移動動作は、把持予定位置に接近するという把持動作における一連の動作の過程にて行われ、把持に際して不要な経路を大きく移動するような必要がないので、把持動作を妨げることがない。さらに、この移動動作は、把持部材31aにより行うので、付着した対象物を移動させるための専用の部材や機構等を別途用意する必要もない。
また、図12は、レベリング動作の概念を示す模式図、図13は、スクレイピング動作の概念を示す模式図である。
図11に示すように、収容空間10A内の具材の表面の平坦度合が低い(荒れている)場合、図12に示すように、多関節ロボット30がレベリング動作を行い、把持部材31aによって表面を平坦化する。なお、レベリング動作を行う場合、把持部材31aの先端が平坦である(直線状の縁部を有する)ことを利用し、収容空間10Aの底面と把持部材31aの先端とが平行な状態を維持して、把持部材31aを収容空間10Aの底面から同一の高さで移動させることができる。また、レベリング動作において、把持部材31aの外面が平面であることを利用して、具材に把持部材31aの外面を押し付けて平坦化したり、把持部材31aの外面で具材表面をなでることで平坦化したりすることも可能である。
本実施形態に係る把持システム1においては、具材及び使用される把持部材31aの種類に応じて、把持部材31aを具材に差し込む深さ(差し込み量)と、そのときに把持される具材の重量との関係が、予め把握されている。例えば、把持される具材の密度(単位深さあたりの重量を表すパラメータ)を予め計測しておき、具材の密度と把持部材31aを差し込む深さとの乗算値を要素とする関数によって、把持される重量を算出(推定)することができる。これにより、簡単な演算によって、把持される具材の重量を推定することができる。
そして、具材の表面の平坦度合及び深さが具材を把持するための条件に適合している場合、基本的な動作パターンに従って、以下のように把持動作が行われる。
図14に示すように、ハンド31が具材を把持する場合、(1)具材にアプローチする、(2)具材の表面を検出する、(3)把持部材31aを具材に差し込む、(4)把持部材31aを閉じる、(5)把持した具材の重量(物理量)を計測する、という手順で具材が把持される。把持した重量が規定量に適合する場合、弁当の容器に具材が移送されてリリースされる。なお、把持した重量が規定量に適合するとは、例えば、目標とする重量に対して、把持した具材の重量が所定誤差以内(±15%以内等)にあることをいう。ただし、把持部材31aに具材が粘着してリリースされないケースを考慮し、把持した重量が規定量よりも多い場合の誤差を少ない場合の誤差よりも大きく設定することとしてもよい。一方、把持した重量が規定量に適合しない場合、さらに、(6)収容空間10Aにおける把持した位置に具材をリリースする(具材を戻す)、(7)把持した具材の重量が超過していた場合(例えば、把持した具材の重量が規定量の範囲の上限を超えている場合)には、前回よりも把持部材31aを具材に差し込む深さを浅く修正して具材を把持する、(8)把持した具材の重量が不足していた場合(例えば、把持した具材の重量が規定量の範囲の下限を下回っている場合)には、前回よりも把持部材31aを具材に差し込む深さを深く修正して具材を把持する、という手順で具材が再把持される。
また、手順(3)で具材に把持部材31aを差し込む場合、多関節ロボット30の制御パラメータ(関節の回転角度等)から差し込み量を算出したり、手順(2)で具材の表面を検出して差し込みを開始してからの経過時間から差し込み量を算出したりすることが可能である。
また、手順(6)において具材がリリースされる場合、具材の種類に応じて、単純に把持部材31aを開いてリリースしたり、把持部材31aを開いた後に、ハンド31を降下させて急激に停止させることにより、具材を振るい落としてリリースしたりすることができる。また、具材を振るい落とす動作を繰り返すこととしてもよい。
次に、把持システム1の動作を説明する。
図15及び図16は、把持システム1が実行する具材取り分け処理の流れを示すフローチャートである。
具材取り分け処理が開始されると、図15のステップS1において、多関節ロボット制御部154は、具材を把持するためのデータ(動作パターンのデータ及びハンド31の差し込み量のデータ等)をパラメータ記憶部171から読み込むことで、具材を把持するための準備を行う。
具材の表面の平坦度合が具材を把持するための条件に適合していない場合、ステップS4においてNOと判定されて、処理はステップS5に移行する。
具材の表面の平坦度合が具材を把持するための条件に適合している場合、ステップS4においてYESと判定されて、処理はステップS6に移行する。
ステップS5において、多関節ロボット制御部154は、具材の表面を平坦化するためのレベリング動作を実行する。
収容空間10A内の具材の深さが具材を把持するための条件に適合していない場合、ステップS6においてNOと判定されて、処理はステップS7に移行する。
収容空間10A内の具材の深さが具材を把持するための条件に適合している場合、ステップS6においてYESと判定されて、処理はステップS8に移行する。
ステップS7において、多関節ロボット制御部154は、具材を寄せ集めるスクレイピング動作を実行する。
決定した把持予定位置が付着具材移動動作を行う条件に適合していない場合、ステップS9においてNOと判定されて、処理はステップS11に移行する。
決定した把持予定位置が付着具材移動動作を行う条件に適合している場合、ステップS9においてYESと判定されて、処理はステップS10に移行する。
ステップS10において、多関節ロボット制御部154は、収容空間10Aの内壁面に付着した具材を把持予定位置に移動する付着具材移動動作を実行する。
一度の把持動作で規定量の具材を把持可能ではない場合、ステップS11においてNOと判定されて、処理はステップS12に移行する。
一度の把持動作で規定量の具材を把持可能である場合、ステップS11においてYESと判定されて、処理はステップS17に移行する。
ステップS13において、多関節ロボット制御部154は、把持部材31aを閉じて具材を把持する。
ステップS14において、多関節ロボット制御部154は、他の位置(具材が平坦な位置)へハンド31を移送する。
ステップS16において、多関節ロボット制御部154は、把持部材31aを閉じて具材を把持する。
ステップS16の後、処理はステップS19に移行する。
ステップS18において、多関節ロボット制御部154は、把持部材31aを閉じて具材を把持する。
ステップS20において、具材量判定部153は、規定量の具材が把持されているか否かの判定を行う。
規定量の具材が把持されていない場合、ステップS20においてNOと判定されて、処理はステップS21に移行する。
ステップS21において、多関節ロボット制御部154は、直前に把持した位置に具材を戻す。
ステップS23において、多関節ロボット制御部154は、把持部材31aを閉じて具材を把持する。
ステップS23の後、処理はステップS20に移行する。
具材取り分け処理を終了する条件に適合していない場合、ステップS26においてNOと判定されて、図15に遷移し、処理はステップS2に移行する。
具材取り分け処理を終了する条件に適合している場合、ステップS26においてYESと判定されて、具材取り分け処理は終了する。
すなわち、把持システム1によれば、ロボットによって対象物を把持する作業をより適切に行うことができる。
また、この付着具材移動動作は、把持予定位置に接近するという把持動作における一連の動作の過程にて行われ、把持に際して不要な経路を大きく移動するような必要がないので、把持動作を妨げることがない。さらに、この付着具材移動動作は、把持部材31aにより行うので、付着した対象物を移動させるための専用の部材や機構等を別途用意する必要もない。
そのため、多関節ロボット30によって同様の把持動作を行うことで、ばらつきが抑制された正確な量の具材を取り分けることが可能となる。
すなわち、把持システム1によれば、ロボットによって具材を取り分ける作業をより適切に行うことができる。
したがって、把持部材31aをより正確な差し込み量で具材に差し込むことができるため、具材をより適切に取り分けることができる。
そのため、具材が少ない状態であっても、具材を把持するために必要な深さに調整することができ、具材を有効活用できると共に、具材を供給する頻度を低下させることができる。
したがって、ロボットによって具材を取り分ける作業をより効率的に実行することが可能となる。
したがって、収容空間10A内の具材の量が減少した場合や一度の把持で規定量の具材を把持し難い具材を取り分ける場合等において、より柔軟な動作によって、必要な重量の具材を把持することが可能となる。
上述の実施形態において、傾斜して延在する主板部を備えた形状の把持部材31a(図3参照)を用いる例について説明したが、これに限られない。
例えば、下述するような目的で、主板部の形状を変更するようにしてもよい。図17は、把持部材31aの変形例である把持部材31bの形状例を示す模式図である。図17に示すように、把持部材31bは、把持部材31aと同様に、天板部と、主板部と、第1側板部と、第2側板部と、により構成されている。天板部は、長方形状の平面を有している。また、主板部は、天板部の有する平面を水平とした場合に、この平面の長手方向の一端から鉛直化下法に向かって延在すると共に、その下部(すなわち、一対の把持部材31bの開閉方向における底部を形成する部分)の形状は、下部に突出して湾曲する形状である。
上述の実施形態において、具材状態判定部152が具材の表面の状態を認識し、具材の表面の平坦度合が具材を把持するための条件に適合していない場合にレベリング動作が行われるものとしたが、これに限られない。
例えば、把持動作毎に具材の表面における把持位置をずらすピッチが設定されていることから、収容空間10A内の具材の表面全体から具材を把持した後(すなわち、所定回数の把持動作が行われる毎)に、レベリング動作を行うこととしてもよい。
なお、上述の実施形態におけるレベリング動作に対し、所定回数の把持動作が行われる毎のレベリング動作を併せて実行することとしてもよい。
上述の実施形態において、具材状態判定部152が具材の深さを認識し、具材の深さが具材を把持するための条件に適合していない場合にスクレイピング動作が行われるものとしたが、これに限られない。
例えば、把持動作毎に具材の表面から取り出される具材の量(把持部材31aが差し込まれる深さ)が設定されていることから、収容空間10A内の具材の表面全体から具材を把持した後(すなわち、所定回数の把持動作が行われる毎)に、スクレイピング動作を行うこととしてもよい。
なお、上述の実施形態におけるスクレイピング動作に対し、所定回数の把持動作が行われる毎のスクレイピング動作を併せて実行することとしてもよい。
上述の実施形態において、具材状態判定部152は、力センサ30Bによって計測された具材からの反力(すなわち、具材への接触の検出結果)のデータに基づいて、具材の状態を判定するものとしたが、これに限られない。
また、具材状態判定部152は、撮像装置によって撮影された具材の画像に基づいて、具材の状態を判定する。例えば、具材状態判定部152は、撮像装置によって撮影された具材の画像から、収容空間10A内の具材の深さ(収容空間10A内の具材表面から収容空間10A底面までの深さ)、表面の平坦度合(表面がどの程度荒れているか)を認識する。この場合に、具材状態判定部152は、撮像装置によって撮影された具材の画像に加えて、さらに力センサ30Bによって計測された具材からの反力(すなわち、具材への接触の検出結果)のデータにも基づいて、具材の状態を判定するようにしてもよい。
この場合、被写体を撮影することで、カラー画像と共に、各部の正確な深度情報を容易に取得することができる。
そのため、各部の深度情報によって、具材表面や収容空間10A等の立体的な形状を把握することが可能となる。
したがって、具材表面の平坦度合を判定し、レベリング動作の要否を決定したり、具材の深さを判定し、スクレイピング動作の要否を決定したりすることが可能となる。
上述の実施形態において、多関節ロボット30が把持した具材の重量あるいは弁当の容器に取り分けられた具材の重量を重量センサ30A,21によって計測するものとしたが、これに限られない。
例えば、撮像装置によって撮像された具材の画像から、具材の体積を推定し、密度と推定された体積を乗算すること等により、具材の重量を算出することも可能である。
この場合、重量センサ30A,21を用いることなく、具材の重量を算出する手段を実装することができる。
上述の実施形態において、レベリング動作を実行する場合、図12に示すように、収容空間10Aの底面と把持部材31aの先端とが平行な状態を維持して、把持部材31aを収容空間10Aの底面から同一の高さで移動させるものとして説明したが、これに限られない。
すなわち、レベリング動作を実行する場合、具材表面を平坦化可能な各種形態の動作を実行することができる。
図20は、レベリング動作の一例を示す模式図である。
図20に示すように、レベリング動作を実行する場合、具材の表面に把持部材31aの先端が接触する状態(図20(a)参照)で、把持部材31aを開閉させる動作(図20(b)参照)を実行し、把持部材31aが開閉動作する範囲の具材表面を平坦化(図20(c)参照)することが可能である。
この場合、一対の把持部材31aの中央に位置する具材の表面が平坦化されるため、次に具材を把持する予定の位置を確実に平坦化することができる。また、ハンド31自体を搬送する動作が必要ないため、レベリング動作に要する時間を短縮することができる。
上述の実施形態において、スクレイピング動作を実行する場合、図13に示すように、具材に把持部材31aの外面を押し当てて移動させることによって、具材を寄せ集める例や、具材を把持部材31aで把持し、他の部分の具材の上に積み上げることで寄せ集める例について説明したが、これに限られない。
すなわち、スクレイピング動作を実行する場合、具材を寄せ集めることが可能な各種形態の動作を実行することができる。
例えば、一対の把持部材31aの少なくとも一方の形状を、具材を寄せ集めるために好適な形状(一例として、平板状等)とすることも可能である。この場合、スクレイピング動作を実行する際には、この把持部材31aをスクレイピング用のブレードとして機能させ、効率的に具材を寄せ集めることができる。
上述の実施形態において、多関節ロボット30のハンド31が、把持部材31aを具材の物理量が所定量になると推定される深さまで具材収容部10の具材に差し込むことにより、目的とする量の具材を把持する例について説明したが、これに限られない。
すなわち、把持部材31aの開き具合を調整して具材に差し込むことで、把持部材31aが把持する具材の量を調整することも可能である。例えば、把持した具材の重量が超過していた場合(例えば、把持した具材の重量が規定量の範囲の上限を超えている場合)には、把持部材31aを具材に差し込む際の把持部材31aの開き具合を前回よりも狭く修正して具材を把持する、把持した具材の重量が不足していた場合(例えば、把持した具材の重量が規定量の範囲の下限を下回っている場合)には、把持部材31aを具材に差し込む際の把持部材31aの開き具合を前回よりも広く修正して具材を把持する、といったことが可能である。
これにより、把持部材31aを具材に差し込む深さ(差し込み量)を調整できない場合であっても、把持する具材の量を調整することが可能となる。
上述の実施形態において、具材を把持のし易さを反映させて、把持部材31aで具材を把持する際の動作を調整することとしてもよい。
例えば、把持部材31aで具材を把持する際に、具材の一部が把持部材31aから漏れて(逃げて)把持位置の周囲に移動するという現象が起こり得る。
発明者らの検証により、把持部材31aが具材を把持する位置(すなわち、収容空間10Aの内壁面や底面からの距離等)によって、具材の逃げ易さに相違が生じることが判明した。
特に壁際では、把持部材31aの向きが具材の逃げ易さに影響することが判明した。具体的には、把持部材31aから具材が漏れ易い方向に壁が存在する場合、具材は逃げ場所が無いため、逃げ易さが低下(すなわち、把持のし易さが向上)した。
このことを踏まえ、把持位置(すなわち、収容空間10Aの内壁面や底面からの距離)と把持部材31aの向きという2つ要素と、具材の逃げ易さ(又は取り込み易さ)というパラメータの関係性を機械学習によって取得し、その結果に応じて、把持部材31aが具材を把持する把持位置における把持部材31aを差し込む深さ(差し込み量)を調整することができる。例えば、具材が逃げ易い把持位置では、把持部材31aを具材に差し込む深さ(差し込み量)をより大きく設定する等の調整を行うことができる。
これにより、多関節ロボット30によって具材を把持する際に、状況に応じて、より適切な把持動作を行うことが可能となる。
多関節ロボット30は、把持対象となる対象物を把持部材31aにより把持する。
制御装置40は、多関節ロボット30の動作を制御する。
制御装置40による制御に従った多関節ロボット30は、把持部材31aを把持予定位置に接近させる経路において、対象物以外の他の物体に付着している対象物を、把持部材31aにより把持予定位置に移動させる移動動作を行う。
これにより、他の物体に付着しており把持が困難な状態となった対象物を、把持が容易な把持予定位置に移動し、適切に把持を行うことが可能となる。
すなわち、把持システム1によれば、ロボットによって対象物を把持する作業をより適切に行うことができる。
また、この移動動作は、把持予定位置に接近するという把持動作における一連の動作の過程にて行われ、把持に際して不要な経路を大きく移動するような必要がないので、把持動作を妨げることがない。さらに、この移動動作は、把持部材31aにより行うので、付着した対象物を移動させるための専用の部材や機構等を別途用意する必要もない。
制御装置40による制御に従った多関節ロボット30は、移動動作において、収容空間10Aを形成する内壁面に付着している対象物を、把持部材31aにより収容空間10A内の把持予定位置まで移動させる。
これにより、所定の収容空間での把持において付着してしまう対象物を、収容空間内で把持することができる。すなわち、所定の収容空間の中だけで、移動動作を実現することができる。
これにより、対象物が付着する他の物体が近傍に存在する把持予定位置では移動動作を行う一方で、他の物体が近傍に存在しない把持予定位置では移動動作を省略する等の処理が実現でき、より効率よく把持動作を行うことができる。
把持予定位置において、把持部材31aを対象物の物理量が所定量になると推定される深さまで対象物の表面から差し込んで把持する。
これにより、付着している対象物を移動させた理想的な環境下において、多関節ロボット30によって同様の把持動作を行うことで、ばらつきが抑制された正確な量の対象物を把持することができる。
制御装置40による制御に従った多関節ロボット30は、複数の外面の内の所定の外面を他の物体と対向させてから、移動動作を行う。
これにより、移動動作により適した外面を用いて、移動動作を行うことができる。
これにより、ハンド31と、他の物体との距離を保つことができ、ハンド31に対象物が付着するような事態を防止することができる。
一対の把持部材の開閉方向における底部の形状は、下部に突出して湾曲する形状である。
これにより、底部近傍の対象物の取り残しを減少させたり、対象物の表面を平坦にしたりすることができる。
制御装置40による制御に従った多関節ロボット30は、
一対の把持部材を閉じた状態で、移動動作を行い、
その後一対の把持部材を開いた状態に切り替えて、対象物に接触し、
その後一対の把持部材を閉じた状態に切り替えて、対象物を把持する、
という開閉動作を行う。
これにより、一対の把持部材を閉じたことにより形成される移動動作に適した形状の外面により、移動動作を行うことができる。
例えば、上述の実施形態及び変形例において、総菜を取り分ける把持システムに本発明を適用する場合を例に挙げて説明したが、本発明は、種々の対象物を把持するシステムに適用することができる。例えば、練ったモルタル、コンクリート、漆喰、粘土等、粘性あるいは粘着性が高い材料を把持するシステムに本発明を適用することができる。本発明は、作業温度又は室温において中粘度以上(5000mPa・s)以上の粘度を有する対象物を把持する際に好適である。
また、上述の実施形態に記載された例を適宜組み合わせて、本発明を実施することが可能である。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図6の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。すなわち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が把持システム1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図6の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
Claims (9)
- 把持対象となる対象物を把持部材により把持するロボットと、
前記ロボットの動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置による制御に従った前記ロボットは、前記把持部材を把持予定位置に接近させる経路において、前記対象物の有する粘性あるいは粘着性が原因となり前記対象物以外の他の物体に付着している前記対象物を、前記把持部材により前記把持予定位置に移動させる移動動作を行う、
ことを特徴とする把持システム。 - 把持対象となる対象物を把持部材により把持するロボットと、
前記ロボットの動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置による制御に従った前記ロボットは、
前記把持部材を把持予定位置に接近させる経路において、前記対象物以外の他の物体に付着している前記対象物を、前記把持部材により前記把持予定位置に移動させる移動動作と、
前記移動動作の後に、前記経路を介して前記把持部材を前記把持予定位置に接近させ、該把持予定位置において前記対象物を、前記把持部材により把持する把持動作と、
を連続した一連の動作として行う、
ことを特徴とする把持システム。 - 前記他の物体は、前記対象物を収容する収容空間を有する容器であり、
前記制御装置による制御に従った前記ロボットは、前記移動動作において、前記収容空間を形成する内壁面に付着している前記対象物を、前記把持部材により前記収容空間内の把持予定位置まで移動させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の把持システム。 - 前記制御装置による制御に従った前記ロボットは、前記把持予定位置が前記収容空間の何れの位置であるかに基づいて、前記移動動作を行うか否かを選択する、
ことを特徴とする請求項3に記載の把持システム。 - 前記制御装置による制御に従った前記ロボットは、前記移動動作を行った後に、
前記把持予定位置において、前記把持部材を前記対象物の物理量が所定量になると推定される深さまで前記対象物の表面から差し込んで把持する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の把持システム。 - 前記把持部材は、複数の外面を形成しており、
前記制御装置による制御に従った前記ロボットは、前記複数の外面の内の所定の外面を前記他の物体と対向させてから、前記移動動作を行う、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の把持システム。 - 前記所定の外面は、前記他の物体と対向させた場合に、前記複数の外面の内の他の外面を前記他の物体と対向させた場合よりも、前記把持部材を支持する支持部材が前記他の物体から遠方となるよう配置されている外面である、
ことを特徴とする請求項6に記載の把持システム。 - 把持対象となる対象物を把持部材により把持するロボットの動作を制御する制御手段を備えた制御装置であって、
前記制御手段は、前記把持部材を把持予定位置に接近させる経路において、前記対象物の有する粘性あるいは粘着性が原因となり前記対象物以外の他の物体に付着している前記対象物を、前記把持部材により前記把持予定位置に移動させる移動動作を行うよう前記ロボットを制御する、
ことを特徴とする制御装置。 - 把持対象となる対象物を把持部材により把持するロボットの動作を制御する制御手段を備えた制御装置であって、
前記制御手段は、
前記把持部材を把持予定位置に接近させる経路において、前記対象物以外の他の物体に付着している前記対象物を、前記把持部材により前記把持予定位置に移動させる移動動作と、
前記移動動作の後に、前記経路を介して前記把持部材を前記把持予定位置に接近させ、該把持予定位置において前記対象物を、前記把持部材により把持する把持動作と、
を連続した一連の動作として行うよう前記ロボットを制御する、
ことを特徴とする制御装置。
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JP2021030407A (ja) * | 2019-08-29 | 2021-03-01 | キヤノン株式会社 | 情報処理装置、情報処理方法及びプログラム |
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