本発明の一実施形態にかかる薬剤供給装置5について説明する。本実施形態にかかる薬剤供給装置5は、薬剤包装装置Aの一部として構成される。本実施形態の説明では、薬剤には、錠剤、カプセル、丸剤、固形サプリメント等の固形状の薬剤や、粉末又は粒状の散剤などを含むものとする。
はじめに、図1乃至図3を用いて、薬剤包装装置Aについて説明する。本実施形態において、薬剤包装装置Aは、一服用分の薬剤を包材Bに包装する分包機である。
図1に示すように、薬剤包装装置Aは、箱型の本体部1と、薬剤包装装置Aの状態や、包装した薬剤に関する情報を表示する報知部52と、薬剤包装装置A全体を制御する包装制御部と、を備える。本実施形態の報知部52は、本体部1の筐体に設けられるモニタ2と、紙に印刷する紙印刷装置3と、包材に印刷する包材印刷装置(図示しない)と、を備える。また、薬剤包装装置Aは、処方データに基づいて、薬剤を一服用分毎に包材Bに包装する。
図2に示すように、本体部1は、薬剤供給装置5と、薬剤供給装置5により供給される薬剤を包材Bに包装する包装部13と、を備える。薬剤供給装置5は、薬剤を種類毎に収容する薬剤収容部11と、計量部12と、を備える。本実施形態で、薬剤供給装置5は、薬剤収容部11から排出される薬剤を、計量部12を経由させ包装部13に供給するよう構成される。
薬剤収容部11は、薬剤を種類ごとにまとめて保持する薬剤保持部111と、薬剤保持部111から排出された薬剤を計量部12に誘導する薬剤誘導部112と、オペレータが薬剤を手作業で投入する薬剤手撒部(図示しない)と、を備える。薬剤保持部111は、左右に一対設けられ、種類ごとに薬剤を収容するための複数の薬剤収容カセット111Cを備え、それぞれの薬剤収容カセット111Cに1種類の薬剤が収容される。本実施形態において、薬剤収容カセット111Cは、収容する薬剤を1錠ずつ排出可能に構成されている。薬剤収容部11は、一服用分に必要な薬剤を計量部12に供給する。薬剤収容カセット111Cから排出された薬剤は、重力により落下して薬剤誘導部112を介して計量部12に供給される。また、薬剤手撒部は、本体部1の外部(薬剤保持部111以外)から薬剤を投入可能に構成され、薬剤手撒部に投入された薬剤は、薬剤収容カセット111Cから排出された薬剤と同様に、薬剤誘導部112を介して計量部12に供給される。
薬剤誘導部112は、薬剤収容カセット111Cから排出される薬剤を受ける受け部1121と、受け部1121から計量部12まで薬剤を誘導するシュータ1122と、を備える。本実施形態で、薬剤誘導部112は、右側の薬剤保持部111から排出された薬剤を受ける右側受け部1121R及び該右側受け部1121Rから計量部12まで薬剤を誘導する右側シュータ1122Rと、左側の薬剤保持部111から排出された薬剤を受ける左側受け部1121L及び該左側受け部1121Lから計量部12まで薬剤を誘導する左側シュータ1122Lと、を備え、右側シュータ1122R及び左側シュータ1122Lは、終端部分で連通して計量部12まで薬剤を誘導する。
図3に示すように、計量部12は、薬剤収容部11から供給される薬剤を受けると、薬剤の重量を計量してから薬剤を包装部13に供給するよう構成される。具体的に、計量部12は、薬剤収容部11から供給される一服用分の薬剤を受け止め、計量し、包材Bが配備された包装部13に供給する。図3に示すように、計量部12は、薬剤収容部11から供給される薬剤を受け止める薬剤収集部121と、収容する薬剤を計量可能な薬剤計量部122と、を備える。また薬剤収集部121の底部121a及び薬剤計量部122の底部122aは、開閉可能に構成され、包装制御部によって開閉制御される。
図2及び図3に示すように、包装部13は、薬剤収容部11から供給され、計量部12で計量された薬剤を包材Bに包装する。本実施形態では、包装部13は、短手方向に二つ折りされたシート状の分包紙をヒートシールすることで、収容体を形成する。薬剤計量部122から供給される一服用分の薬剤は、一つの収容体に収容される。
図1に示すように、本体部1の筐体正面の中央部分にはモニタ2が設けられる。モニタ2は、薬剤包装装置Aの状態や、包装した薬剤に関する情報を表示して薬剤師などに知らせる報知部52である。本実施形態では、モニタ2は、タッチパネルであり、各種の操作を入力するための操作パネルとして、さらに処方データDを入力可能な処方データ入力部51として機能する。
本体部1の正面の中央部分には、紙印刷装置3が設けられる。紙印刷装置3は、包装した薬剤に関する情報を印刷媒体としての紙6に印刷して出力する。なお、印刷媒体としては、紙6の他、例えば樹脂フィルムやプレートなども採用可能である。
包装部13には、包材Bに印刷可能な包材印刷装置(図示しない)が設けられる。包材印刷装置は、包材Bに、包装した薬剤に関する情報を印刷する。本実施形態の包装部13は、包材Bの薬剤が収容されない空包部分に包装した薬剤に関する情報を印刷する。
包装制御部は、薬剤を包材Bに包装するように薬剤包装装置Aの全体を制御する。具体的に、包装制御部は、処方データ入力部51から入力された処方情報(処方データD)に従って、一服用分の薬剤を薬剤供給装置5に供給させ、薬剤供給装置5から供給された薬剤を包装部13に包装させるように薬剤包装装置Aの全体を制御する。また、薬剤包装装置Aとは別体の入力装置に処方データ入力部51を構成し、包装制御部は、この入力装置から入力された処方情報に従って、薬剤包装装置Aを制御するようにしてもよい。
次に、薬剤供給装置5について説明する。薬剤供給装置5は、薬剤包装装置Aに組み込まれている。図4に示すように、薬剤供給装置5は、計量部12と、供給制御部4と、処方データ入力部51と、報知部52と、を備える。本実施形態において、供給制御部4は、薬剤包装装置Aの全体を制御する包装制御部と1つの制御部を構成する。
図3に示すように、計量部12は、薬剤収容部11から供給された薬剤の重量を計量する。また、計量部12は、薬剤収容部11から供給された薬剤を一服用分毎に計量するよう構成される。換言すると、計量部12は、一つの収容体に収容される薬剤の重量を個別に計量するよう構成される。具体的に、計量部12は、薬剤収容部11から排出された薬剤を薬剤収集部121に収容する。薬剤収集部121に収容された薬剤は、薬剤計量部122に排出される。即ち、計量部12は、薬剤収容部11から供給される薬剤を、一旦薬剤収集部121に集めて、一服用分の薬剤がそろってから薬剤計量部122に薬剤を排出するよう構成される。また、薬剤収集部121から薬剤計量部122に薬剤が排出されると、計量部12は、薬剤収容部11から排出された次の一服用分の薬剤を薬剤収集部121に収容する。また、図4に示すように、薬剤計量部122は、薬剤収集部121から排出された薬剤の重量を計量し、計量結果(計量した重量に関する情報)を供給制御部4に送る。一服用分の薬剤の計量が済むと、薬剤は薬剤計量部122から包装部13に供給される。そして、薬剤計量部122は、次の一服用分の薬剤の計量を行う。本実施形態では、薬剤計量部122の底部122aが開かれることで、包装部13に薬剤が落下する様に構成される。
図4に示すように、処方データ入力部51は、処方データDを入力可能に構成される。本実施形態で、処方データ入力部51はモニタ2である。処方データDは、薬剤供給装置5に入力されるデータである。具体的に、処方データDは、図5に示すように、薬剤を処方する日数に関する処方日数情報D1と、一日の服用回数に関する一日当たりの服用回数情報D2と、包装順序に関する包装パターン情報D3と、処方される薬剤の種類に関する薬名情報D4と、一回服用量に関する用量情報D5と、を含む。処方データDは、少なくとも、処方日数情報D1と、服用回数情報D2と、包装パターン情報D3と、を含む。これらは、各服用分の薬剤をグループ分けするのに必要なデータである。なお、包装パターンとしては、同じ服用時点に服用する薬剤を連続して包装する(例えば、朝…朝、昼…昼、夕…夕のように分包する)連続パターンや、服用する順に薬剤を包装する(例えば、朝昼夕、朝昼夕、…のように包装する)繰り返しパターンがある。図5に示すように、本実施形態の処方データは、処方日数が7日分、1日当たりの服用回数は朝昼夕の3回で、包装パターンは連続パターンであるとして説明し、朝食後及び夕食後に服用される薬剤の種類及び薬剤の量は同一で、昼食後に処方される薬剤の量は朝食後及び夕食後とは異なるものとして説明する。また、処方データDは、服用開始時点の情報を含むようにすることもできる。服用開始時点の情報は、服用初日(1日目)に服用を開始する服用時点を表すデータである。さらに、処方データDは、服用終了時点の情報を含むようにすることもできる。服用終了時点の情報は、服用最終日(本実施形態では7日目)の最後に服用する服用時点を表すデータである。なお、本実施形態において、A錠剤は、薬剤収容カセット111Cに収容された薬剤であり、Bカプセルは、薬剤手撒部に投入された薬剤である。
供給制御部4は、計量部12によって計量された計量結果(計量値)と、一服用分の薬剤の基準重量(換言すると、一服用分の薬剤の正規重量)に関する基準値と、に基づいて、供給される薬剤が一服用分の量として正しいか否かを判定する。また、供給制御部4は、入力された処方データD及び計量部12によって計量された計量値に基づいて、薬剤の計量値が、一服用分の薬剤の基準値に対して許容範囲内であるか否かを判定するよう構成される。具体的に、供給制御部4は、処方データ入力部51に入力された処方データDを受け付ける処方データ受付部41と、グループ分け部42と、判定部43と、基準決定部44と、を備える。
各服用分の薬剤に関するグループ分けの一例を説明する。グループ分け部42は、処方データDに基づいて各服用分の薬剤を1又は複数のグループに分ける。具体的に、グループ分け部42は、処方データDのうち、処方日数情報D1と、1日当たりの服用回数情報D2と、包装パターン情報D3と、薬名情報D4と、用量情報D5と、に基づいて各服用分の薬剤についてグループ分けをする。即ち、グループ分け部42は、処方日数情報D1、1日当たりの服用回数情報D2、包装パターン情報D3、薬名情報D4、用量情報D5に基づいて、各服用分として供給される薬剤を特定し、種類及び量(用量)が同一である一服用分の薬剤を同一グループとして、種類及び量(用量)の少なくとも一方が異なる薬剤の計量値を別グループとしてグループ分けする。即ち、グループ分け部42は、薬名情報D4及び用量情報D5に基づいて、供給する薬剤の種類及び量が同一である一服用分の薬剤を同一グループとして、種類及び量(用量)の少なくとも一方が異なる薬剤の計量値を別グループとしてグループ分けする。さらに、グループ分け部は、処方日数情報D1と、1日当たりの服用回数情報D2と、包装パターン情報D3と、に基づいて、薬名情報D4及び用量情報D5によりグループ分けをした各服用分の薬剤がどの包材Bに収容されているかを特定する。本実施形態において、朝食後及び夕食後に服用する一服用分の薬剤は、A錠剤を2錠、Bカプセルを2錠の薬剤の組み合わせを一服用分とするパターン1のグループであり、昼食後に服用する一服用分の薬剤は、A錠剤を1錠、Bカプセルを2錠の薬剤の組み合わせを一服用分とするパターン2のグループとしてグループ分けされる(図6参照)。即ち、図6に示すように、朝食後に服用される1包目から7包目まで、及び夕食後に服用される15包目から21包目はパターン1のグループとして、昼食後に服用される8包目から14包目はパターン2のグループとして分類される。このように、グループ分け部42は、処方データDに基づいて、一服用分の薬剤の種類と量が同じか否かでグループ分けする。具体的には、各服用分の薬剤のうち、薬剤の種類と量が同じものを同じグループとすることでグループ分けする。なお、グループ分けするために必要な処方データDとしては、処方日数情報D1、1日当たりの服用回数情報D2、包装パターン情報D3、薬名情報D4、用量情報D5、以外の情報(例えば、服用開始時点の情報や、服用終了時点の情報)を含むことも可能であるし、これらの情報の一部を含まないようにすることも可能である。また、処方データDに服用開始時点の情報を含む場合、処方日数情報D1と、1日当たりの服用回数情報D2と、包装パターン情報D3と、薬名情報D4と、用量情報D5と、服用開始時点の情報と、に基づいて各服用分の薬剤についてグループ分けをする。例えば、服用開始時点が昼食後に指定されていると、1日目の朝食後に服用する薬剤がないので、朝食後に服用される1包目から6包目(2日目分から7日目分)までの6包分はパターン1のグループとして、昼食後に服用される7包目から13包目(1日目分から7日目分)までの7包分はパターン2のグループとして、夕食後に服用される14包目から20包目(1日目分から7日目分)までの7包分はパターン3のグループとして分類される。さらに、処方データDに、服用終了時点の情報を含む場合、処方日数情報D1と、1日当たりの服用回数情報D2と、包装パターン情報D3と、薬名情報D4と、用量情報D5と、服用終了時点の情報と、に基づいて各服用分の薬剤についてグループ分けをする。例えば、服用終了時点が昼食後に指定されていると、7日目の夕食後に服用する薬剤がないので、朝食後に服用される1包目から7包目(1日目分から7日目分)までの7包分はパターン1のグループとして、昼食後に服用される8包目から14包目(1日目分から7日目分)までの7包分はパターン2のグループとして、夕食後に服用される15包目から20包目(1日目分から6日目分)までの6包分はパターン3のグループとして分類される。このように、処方データDに服用開始時点の情報又は服用終了時点の情報を含む場合には、一服用分の薬剤の種類と量が同じであっても、各服用時点に服用する薬剤として包装される数(包数)が異なる場合には、別グループとして分類する。また、一服用分の薬剤の種類と量が同じであれば、同じグループとして分類してもよい。
次に、各服用分の薬剤に関するグループ分けの他の例を説明する。グループ分け部42は、処方データDに基づいて計量された各服用分の薬剤を1又は複数のグループに分ける。具体的に、グループ分け部42は、処方データDのうち、処方日数情報D1と、1日当たりの服用回数情報D2と、包装パターン情報D3と、に基づいて各服用分の薬剤についてグループ分けをする。即ち、グループ分け部42は、処方日数情報D1、1日当たりの服用回数情報D2、包装パターン情報D3に基づいて、服用時点が同一である一服用分の薬剤を同一グループとして、服用時点が異なる一服用分の薬剤を別グループとしてグループ分けする。具体的に、グループ分け部42は処方日数情報D1と、1日当たりの服用回数情報D2と、包装パターン情報D3と、に基づいて、各服用分の薬剤がどの包材Bに収容されているかを特定する。本実施形態において、朝食後に服用する薬剤はパターン1のグループであり、昼食後に服用する薬剤はパターン2のグループであり、夕食後に服用する薬剤はパターン3のグループとしてグループ分けされる。即ち、朝食後に服用される1包目から7包目まではパターン1のグループとして、昼食後に服用される8包目から14包目はパターン2のグループとして、夕食後に服用される15包目から21包目はパターン3のグループとして分類される。このように、グループ分け部42は、処方データDに基づいて、服用時点が同じか否かでグループ分けする。具体的には、各服用分の薬剤のうち、服用時点が同じものを同じグループとすることでグループ分けする。また、処方データDに服用開始時点の情報を含む場合、グループ分け部42は、処方データDのうち、処方日数情報D1と、1日当たりの服用回数情報D2と、包装パターン情報D3と、服用開始時点の情報と、に基づいて各服用分の薬剤についてグループ分けをする。例えば、服用開始時点が昼食後に指定されていると、1日目の朝食後に服用する薬剤がないので、朝食後に服用される1包目から6包目(2日目分から7日目分)までの6包分はパターン1のグループとして、昼食後に服用される7包目から13包目(1日目分から7日目分)までの7包分はパターン2のグループとして、夕食後に服用される14包目から20包目(1日目分から7日目分)までの7包分はパターン3のグループとして分類される。さらに、処方データDに、服用終了時点の情報を含む場合、処方日数情報D1と、1日当たりの服用回数情報D2と、包装パターン情報D3と、服用終了時点の情報と、に基づいて各服用分の薬剤についてグループ分けをする。例えば、服用終了時点が昼食後に指定されていると、7日目の夕食後に服用する薬剤がないので、朝食後に服用される1包目から7包目(1日目分から7日目分)までの7包分はパターン1のグループとして、昼食後に服用される8包目から14包目(1日目分から7日目分)までの7包分はパターン2のグループとして、夕食後に服用される15包目から20包目(1日目分から6日目分)までの6包分はパターン3のグループとして分類される。
基準決定部44は、薬剤の基準重量に関する値である基準値G2を決定する。また、基準決定部44は、計量部12が一服用分の薬剤について個別に計量した計量値(計量結果G1)に基づいて基準値G2を決定する。さらに、基準決定部44は、基準値G2をグループごとに決定する。即ち、図6に示すように、基準決定部44は、グループ分け部42及び計量部12から送られる情報に基づいてグループごとの基準値G2を決定する。また、基準決定部44は、一服用分として供給する薬剤の種類及び量毎に基準値G2を決定する。具体的に、一服用分の薬剤は、該薬剤を服用する時点に応じて小分けされており、基準決定部44は、一服用分の薬剤として小分けにされる薬剤の種類及び量が同じとなる一服用分の薬剤に対して共通の基準値G2を決定する。本実施形態において、基準決定部44は、同一グループ内の各服用分の薬剤をすべて計量してから、計量結果G1に基づいて基準値G2を決定する。具体的に、基準決定部44は、同一グループ内の、計量結果G1としての各計量値の平均に関する値である平均関連値を基準値G2として決定する。本実施形態において、基準値G2は、各グループ内の計量結果G1としての計量値の素の平均値から、一定値以上離れた計量値を除いた計量値の平均値である。また、平均値の計算から除かれる計量値として、例えば、素の平均値に対して、標準偏差の2倍以上離れた値を除くこととしたり、素の平均値に対してあらかじめ定められた値以上離れた値を除くこととしたりすることができる。さらに、本実施形態において、基準決定部44は、薬剤供給装置が、処方データDに基づく全服用分(本実施形態では21包分)の薬剤を包装部13に供給したのちに、基準値G2を決定する。なお、基準決定部44は、一服用分の薬剤の服用時点毎に基準値G2を決定してもよい。具体的に、一服用分の薬剤は、該薬剤を服用する時点に応じて小分けされており、基準決定部44は、該服用時点が同じとなる一服用分の薬剤に対して共通の基準値G2を決定する。
判定部43は、処方データDに従って薬剤供給装置により供給される薬剤が、一服用分の量として正しいか否かを判定する。具体的に、図6に示すように、判定部43は、計量部12から各服用分の薬剤の計量値に関する計量結果G1を受け取り、各服用分の薬剤の計量値が、薬剤の基準重量に関する基準値G2に対して許容範囲内であるか否かを判定するよう構成される。また、判定部43は、グループ分けした一つのパターンPに属する薬剤の各計量値である計量結果G1が、グループごとに決定される基準値G2に対して許容範囲内であるか否かを判定するよう構成される。ここで判定部43は、計量結果G1としての各計量値を計量部12から受け取り、計量結果G1に基づく基準値G2に対しての差G3が許容範囲内であるか否かの良否判定をする。具体的には、判定部43は、前記差G3が許容範囲内である場合には「良」と判定し、許容範囲外である場合には「否」と判定する。さらに、判定部43は、「否」と判定した一服用分の薬剤の計量値については基準値G2に対してどのくらい離れているか、その程度を判定する。本実施形態において、判定部43は、一服用分の薬剤の計量値について、基準値G2に対して許容範囲内(例えば、差G3が-0.05から+0.05)であると、良否判定において「良」と判定する(〇判定4311)。判定部43は、良否判定において「良」と判定すると、処方データDに従って供給される薬剤が、一服用分の量として正しいと判定する。一方、一服用分の薬剤の計量値について、基準値G2に対して許容範囲外であると、良否判定において「否」と判定する(△判定4312、▲判定4313、または×判定4314)。判定部43は、良否判定において「否」と判定すると、処方データDに従って供給される薬剤が一服用分の量として正しくない(可能性がある)と判定する。また、本実施形態において、判定部43は、良否判定において、否と判定した一服用分の薬剤の計量値については、差G3に基づき、基準値G2に対してどのくらい離れているかの程度判定を行う。この場合、判定部43は、差G3の大きさに応じて、処方データDに従って、薬剤供給装置により供給される薬剤が一服用分の量として正しくない程度(誤って供給されている可能性の程度)を判定する。例えば、計量結果G1と基準値G2との差G3が0.06から0.07又は、-0.07から-0.06の間の場合(△判定4312)には、薬剤が一服用分の量として正しくない程度は小であると判定し、計量結果G1と基準値G2との差G3が0.08から0.09又は、-0.09から-0.08の間の場合(▲判定4313)には、薬剤が一服用分の量として正しくない程度は中である判定し、計量結果G1と基準値G2との差G3が0.10以上又は-0.10以下である場合(×判定4314)には、薬剤が一服用分の量として正しくない程度は大であると判定する。
本実施形態において、判定部43は、同一グループ内の一服用分の薬剤をすべて計量してから、一服用分の薬剤の計量値が、薬剤の基準重量に関する基準値G2に対して許容範囲内であるか否か、即ち、処方データDに従って一服用分の薬剤が薬剤供給装置により正しく供給されたか否かを判定する。具体的に、判定部43は、処方データに基づいて、全服用回数を導出し、各服用分の薬剤を計量部12が計量したのちに、基準値G2を用いて判定を行う。本実施形態で、判定部43は、薬剤供給装置が、処方データDに基づく全服用分(本実施形態では21包分)の薬剤を包装部13に供給したのちに、処方データDに従って薬剤供給装置により供給される薬剤が、一服用分の量として正しいか否か判定を行う。
判定部43が判定した判定結果431は、報知部52によって薬剤師などの人に報知される。具体的に、判定結果431は、紙印刷装置3によって印刷される紙6に表示されることで報知される。また、判定結果431は、モニタ2に表示されることで報知される。さらに、判定結果431は、包材印刷装置によって各服用分の薬剤を収容した包材B(例えば薬剤を収容していない空包部分)に印刷されることで報知される。本実施形態において、報知部52は、薬剤供給装置が処方データDに基づいて、全服用分(本実施形態では21包分)の薬剤を計量部12で計量し、判定部43が判定を行ったのちに、判定結果431を報知する。判定結果431を表示するのは、薬剤供給装置が全服用分の薬剤を供給する前であっても後であってもよい。また、薬剤供給装置5が薬剤包装装置Aに組み込まれる場合には、図7-9に示すように、包装した薬剤に関する情報と共に判定結果431を表示するようにしてもよい。
図7に示すように、紙印刷装置3によって印刷された紙6には、判定結果431が表示される。具体的に、印刷された紙6は、包装完了情報として、受付番号91、患者に関する情報である患者情報92、及び、処方される薬剤の情報である薬剤情報93などが表示される処方情報表示部61と、判定結果431を表示する判定結果表示部62と、を備える。判定結果表示部62には、処方データDに従って供給される薬剤が、一服用分の量として正しいか否かを示す情報が表示される。具体的に、判定結果表示部62は、判定結果431に基づいて、図6に示す△判定4312、▲判定4313、及び×判定4314に分けて、一服用分の量として正しいか否かを示す情報を各服用分について表示する(「1日目の昼」、「2包目」)。本実施形態において、図7に示すように、第一警告部621には、×判定4314の各服用分の情報を「必ずチェック」と表示し、第二警告部622には、▲判定4313の「気をつけてみて」と表示し、第三警告部623には、△判定4312の「軽く気にしてみて」と表示する。また、図7及び図8に示すように、包装パターンが連続の場合にも、繰り返しの場合にも、紙6には、同様に判定結果431が表示される。例えば、図7及び図8の判定結果表示部62に示すように、処方日数7日、1日当たりの服用回数が1日3回のとき、連続パターンの場合には、2包目に2020年1月2日の朝食後に服用分の薬剤が収容されるが、繰り返しパターンの場合には、2包目に、2020年1月1日の昼食後に服用分の薬剤が収容される。
図9に示すように、モニタ2には、処方データDに従って供給される薬剤が、一服用分の量として正しいか否かを示す情報が表示される。本実施形態では、包装した薬剤に関する情報と共に判定結果431を示す。具体的に、判定結果表示7には、薬剤が収容される収容体の情報を示す、収容体情報表示部71と、各収容体に収容される一服用分の薬剤の計量値についての判定結果431を示す、判定表示部72と、が含まれる。判定表示部72は、〇表示721、△表示722、▲表示723、又は×表示724のいずれかを表示する。即ち、判定表示部72は、〇判定4311の薬剤が収容される収容体について各服用分の薬剤の計量値についての判定結果431を、△判定4312の薬剤が収容される収容体について各服用分の薬剤の計量値についての判定結果431を、▲判定413の薬剤が収容される収容体について各服用分の薬剤の計量値についての判定結果431を、×判定4314の薬剤が収容される収容体について各服用分の薬剤の計量値についての判定結果431を表示する。
図10に示すように、モニタ2は、総合判定結果を一覧にした、総合判定結果表示8を表示する。具体的に、総合判定結果表示8には、どの処方データDに対する総合判定結果であるかを特定するための処方特定情報表示部81と、総合判定結果表示8を表示する総合判定表示部82と、を備える。処方特定情報表示部81には、例えば、処方日94や、受付番号91、患者情報92、包数95などが表示される。また、総合判定表示部82には、一服用分の薬剤の計量値のうち、基準値G2から最も離れている計量値に係る判定結果431を総合判定結果として表示する。即ち、各処方データDにおいて、各服用分の薬剤の計量値について、全て良否判定で良判定となった処方データD(判定結果431がすべて〇判定)については、総合判定表示部82に〇表示821がされ、各服用分の薬剤の計量値について、良否判定で1以上の一服用分の薬剤の計量値について否判定がされた処方データDについては、〇表示821以外の表示がされる。本実施形態で、良否判定で1以上の一服用分の薬剤の計量値について否判定がされた処方データDについては、程度判定の結果によって、×判定4314がされた一服用分の薬剤の計量値が含まれる処方データDには×表示824が、×判定4314がなく、▲判定4313がされた一服用分の薬剤の計量値が含まれる処方データDには▲表示823が、×判定4314及び▲判定4313がなく、△判定4312がされた一服用分の薬剤の計量値が含まれる処方データDには、△表示822がされる。
以上のような薬剤供給装置5によれば、供給制御部4は、計量値(計量結果G1)と、基準値G2と、に基づいて供給される薬剤が一服用分の量として正しいか否かを判定するので、例えば薬剤同士が重なっていたとしても判定することができる。
また、計量部12が計量した計量値に基づいて基準値G2が決定されるので、供給制御部4は、供給される薬剤が実際に計量した計量値に基づいて一服用分の量として正しいか否かを判定することができる。
さらに、基準値G2は、全服用分の計量値に基づいて決定されるので、計量値を有効に活用して基準値G2を決定することができる。
また、基準値G2は、服用時点毎に決定されるので、服用時点毎に異なる薬剤が処方される場合でも正確に判定できる。
さらに、基準値G2は、一服用分として供給される薬剤の種類及び量ごとに決定されるので、一服用分として処方される薬剤の組み合わせが複数組ある場合でも組み合わせに応じて正確に判定できる。
また、薬剤包装装置Aが薬剤を包装する際に、薬剤供給装置5が供給する薬剤について判定をし、判定結果431を報知することができるので、薬剤の包装後の薬剤鑑査を支援することができる。
さらに、判定結果431が包材Bに印刷されるので、薬剤の包装が完了後の薬剤鑑査の際に判定結果を確認しやすい。
また、判定結果431が印刷媒体である紙6に印刷されるので、判定結果431を持ち運ぶことができる。
さらに、判定結果431はモニタ2に表示されるので、判定結果431を確認しやすい。
また、グループ分け部42は、処方データDに基づいて各服用分の薬剤をグループ分けするので、各服用分の薬剤を処方データD通りにグループ分けすることができるため、正確に判定することができる。
さらに、複数服用分の薬剤について、処方データDに基づいてグループ分けして、判定部43は、グループごとに決定される基準値G2によって判定するため、正確に判定することができる。
また、基準値G2は、少なくとも計量部12が計量結果G1としての計量した重量の平均値に関する値を用いて決定されるので、複数の服用分の薬剤の重量の平均値から逸脱した薬剤を判定できる。
さらに、判定部43は、計量部12の計量結果G1が、一服用分の薬剤の基準重量に関する基準値G2に対して許容範囲内であるか否かを判定する良否判定と、良否判定において許容範囲外と判定した収容体に収容される薬剤について、計量結果G1としての計量した重量が基準値G2に対してどのくらい逸脱しているかによって、逸脱の程度を判定する程度判定をし、報知部52は、判定結果に程度判定の結果を含めて表示するよう構成される。よって、基準値G2からの逸脱度合いが報知部52によって表示されるため、鑑査者は逸脱度合い応じて効率よく鑑査できる。
また、計量部12は、薬剤保持部111から投入される薬剤を一旦溜める薬剤収集部121と、収容する薬剤の重量を計測可能な薬剤計量部122と、を備え、薬剤収集部121は、溜めた薬剤を薬剤計量部122に供給可能に構成される。よって、薬剤計量部122が一収容体に収容される薬剤の重量を計量するのと並行して、薬剤収集部121に次に計量する薬剤を投入することができるので、判定を高速化することができる。さらに、本実施形態では、薬剤は、計量部12に落下してくるので、薬剤収集部121で一旦受けて、落ち着かせてから薬剤計量部122に受け渡すことができるため、正確かつ迅速に計量できる。
さらに、薬剤供給装置5は、処方データDに基づいて薬剤を包材Bに収容して包装する薬剤包装装置Aに接続される又は組み込まれ、供給制御部4は、処方データDに基づく一処方に対応する包装数の全部を包装したのちに判定を行い、報知部52は、包装完了情報とともに判定結果431を表示する。よって、薬剤包装装置Aによる包装が完了したのちに行う薬剤鑑査を支援することができる。
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
例えば、薬剤供給装置5は、薬剤包装装置Aの一部として構成されるとして説明したが、薬剤供給装置5単体として構成されてもよい。
また、基準値G2は、計量結果G1としての計測した重量の平均値に関する値に基づいて決定される場合について説明したが、この構成に限らず、例えば、薬剤の添付文書に記載される参考重量に基づいて基準値G2が決定されることとしてもよい。また、同一グループの全服用分の薬剤の計量値ではなく、一部の服用分の薬剤(例えば最初に供給される一服用分の薬剤)の計量値を基準値G2として扱うように構成されてもよい。最初の計量結果G1を基準値G2にした場合、その後に供給される一服用分の薬剤については、計量の都度判定し、判定結果431を報知することができる。
さらに、グループ分け部42は、各服用分の薬剤をグループ分けするとして説明したが、各服用分の薬剤の計量値をグループ分けしてもよい。即ち、グループ分け部42は、計量部12の計量に先立って各服用分の薬剤をグループ分けすることもできるし、計量部12の計量の後に各計量値をグループ分けすることもできる。各服用分の薬剤の計量値をグループ分けする場合には、例えば、計量値に基づいて、供給された薬剤の種類及び量が同一と推定される一服用分の薬剤を同一グループとしてグループ分けすることができる。また、各服用分の薬剤の計量値をグループ分けする場合は、各計量値にグループ分けに関連した情報が紐づけられる。
また、モニタ2は、計量結果G1としての計量値が基準値G2に対して許容範囲内である場合と許容範囲外の場合と両方を表示するとして説明したが、いずれか一方だけを表示することとしてもよい。
さらに、報知部52は、モニタ2への表示と、紙印刷装置3による印刷した紙6の出力と、包材印刷装置による包材Bへの印刷と、によって判定結果431を報知するとして説明したが、このような構成に限らず、モニタ2、紙6又は包材Bのいずれかにのみ判定結果431を表示してもよいし、モニタ2、紙6及び包材B以外、例えば薬剤師などが携帯している携帯電子機器などに表示する構成としてもよい。なお、音によって報知することも可能である。
また、包装制御部と、供給制御部4は、一つの制御部を構成するとして説明したが、別々の制御部として構成されてもよい。
さらに、包材Bとして分包紙の他、ブリスターパック、バイアル瓶などの容器を用いることができる。