JP7440803B2 - 信号検出装置、信号検出方法及びプログラム - Google Patents
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Description
本発明は、信号検出装置、信号検出方法及びプログラムに関する。
第5世代移動通信システム(5G)のサービスの開始と、高精細な動画の配信サービスと、IoT(Internet of Things)サービスの発展等とに伴い、光信号の通信トラヒックの需要は増加している。これまでは、伝送路に備えられた光ファイバの構造が変更されることなく、光ネットワークの端局に設置された光通信装置の高機能化と、光増幅器及び光スイッチの導入等とによって、増加した需要への対応がなされてきた。
現在、伝送路に備えられた光ファイバは、大容量の光ネットワークの基盤となっている。近距離向けの局所的なネットワーク(例えば、LAN(Local Area Network))を除き、シングルモードファイバは、伝送路の光ファイバとして広く用いられている。シングルモードファイバでは、光信号の通路となる単一のコアが、光ファイバのクラッド内に設けられている。
大容量の光ネットワークで用いられる波長帯(例えば、C帯及びL帯)では、シングルモードファイバは、単一モードの光信号の伝送のみを許容する。これによって、毎秒数テラビットに達する大容量の情報を安定的に長距離伝送する光ネットワークが実現されている。
また、デジタル信号処理技術とコヒーレント送受信技術とが組み合わされた伝送技術(デジタルコヒーレント伝送技術)が、毎秒100ギガビット級の光通信システムに導入されている。
デジタルコヒーレント伝送技術を用いて伝送された光信号の振幅と位相とに独立に載せられた情報が、コヒーレント受信技術を用いて光信号から取り出される。これによって、コヒーレント受信による受信感度が改善されるだけでなく、伝送された光信号の波形に生じた歪を高精度に補正することが可能である。
第1の簡単な例として、シングルモードファイバにおいて互いに直交する偏波の2個のモードを用いる偏波多重光伝送について説明する。
偏波多重光伝送では、互いに直交する偏波にそれぞれ異なる情報を載せることが可能である。伝送路では、これらの偏波が複雑に混合される。これらの偏波の直交軸は高速に変動するので、光デバイスを使って変動に追従することは困難である。そこで、偏波ダイバーシティ構造に対応した受信装置は、混合された偏波の多重光信号を受信する。受信装置は、偏波の多重光信号をデジタル信号に変換する。通信装置は、混合された偏波を、デジタル信号処理を用いて分離する。
このような分離処理のシステムは、無線通信システムで用いられている「2×2 MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)」のシステムとしてモデル化することが可能である。互いに直交する偏波に載せられた情報は、分離された信号から、偏波ごとに取り出される。これによって、送信装置と受信装置との間の通信が可能となる。
第2の簡単な例として、マルチモードファイバにおいて複数のモードを用いるモード多重光伝送について説明する。
モード多重光伝送では、マルチモードファイバのコア径は、シングルモードファイバのコア径と比較して長い。これによって、C帯等の波長帯において複数のモードを励振することが可能である。各モードの光信号には、それぞれ異なる情報を載せることが可能である。
モード多重光伝送では、マルチモードファイバを伝送されたモード多重された光信号(モード信号)は、偏波多重光伝送と同様に、伝送路において複雑に混合される。モードダイバーシティ構造に対応した受信装置は、混合されたモード多重光信号を受信する。受信装置は、モード多重光信号をデジタル信号に変換する。受信装置は、励振されたモードの個数に応じた規模のMIMOデジタル信号処理を用いて、混合されたモード多重光信号に基づく各デジタル信号を分離する。
より具体的な例として、2個のLP(Linearly Polarized)(2LP)モードを励振する数モードファイバ(few-mode fiber)について説明する。
2LPモード用の数モードファイバでは、基底モードとなる「LP01モード」と、高次モードとなる「LP11モード」とが励振される。さらに、「LP11モード」の縮退2モードである「LP11a」及び「LP11b」と、各モードの偏波モードである「X偏波」及び「Y偏波」とが活用されることによって、2LPモード用の数モードファイバでは、「LP01X」と「LP01Y」と「LP11aX」と「LP11aY」と「LP11bX」と「LP11bY」との計6個の空間モードの各光信号に、それぞれ異なる情報を載せることが可能である。
したがって、光ファイバの非線形光学効果を無視すれば、原理的な意味において、シングルモードファイバの3倍の伝送容量を2LPモード用の数モードファイバが達成することが可能である。
しかしながら、マルチモードファイバ又は数モードファイバを光信号の伝送路として、互いに独立した情報を各空間モードの光信号に載せるモード多重伝送では、空間チャネルごとの伝送特性の偏差が大きいという問題がある。ここで、光ファイバを伝送された光信号のパワーが損失すること、光ファイバの接続部で光信号のパワーが損失すること、及び、基底空間モードと比較して高次空間モードが劣化し易いことに起因して、空間チャネルごとの伝送特性の偏差が大きくなる場合がある。
このような現象は、モード依存損失による影響として総合的に評価可能である。特定の空間チャネルの伝送特性が劣化した場合、伝送容量と伝送距離とがモード多重伝送の恩恵を享受することは困難である。
線形MIMOチャネルにおけるモード依存損失が伝送容量と伝送距離とに与える影響について説明する。以下では、マルチモードファイバにおいて励振されるモードの個数は、N(Nは1以上の整数)個である。N個のモードは、信号の搬送モードとして用いられる。以下では、行列(ベクトル)の肩に記載された記号「T」は、転置を表す。送信信号ベクトル「x」に対応する受信信号ベクトル「y=[y1 y2 … yN]T」は、式(1)のように表される。
ここで、「x=[x1 x2 … xN]T」は、送信信号ベクトルを表す。「H」は、「N×N」サイズのフルランクの伝送路チャネル行列を表す。「n=[n1 n2 … nN]T」は、雑音ベクトルを表す。
式(1)では、伝送路チャネル行列「H」が、「H=[h1 h2 …hN]」のように展開されている。ここで、「hi(iは、1以上N以下の整数)」は、列ベクトルを表す。式(1)によれば、受信信号ベクトル「y」は、列ベクトル「hi」によって張られた線形空間内の離散的な点(格子)と雑音ベクトル「n」とが加算されたベクトルである。
以下では、数式又は関数(以下「数式等」という。)において文字の上に付されている記号は、文字の前に記載される。例えば、数式等において文字の上に付されている記号「^」は、以下では文字「x」の前に「^x」のように記載される。例えば、数式等において文字の上に付されている記号「~」は、以下では文字「x」の前に「~x」のように記載される。
次に、線形検出フィルタについて説明する。
線形検出フィルタは、受信信号ベクトル「y」に線形重み行列「WT」を乗算することによって、送信信号ベクトルの推定ベクトル「~x」を検出する。このような線形重み行列「WT」の設計規範として、例えば、最大比合成、ゼロフォーシング、又は、最小平均二乗誤差(Minimum means squared error : MMSE)が用いられる。
線形検出フィルタは、受信信号ベクトル「y」に線形重み行列「WT」を乗算することによって、送信信号ベクトルの推定ベクトル「~x」を検出する。このような線形重み行列「WT」の設計規範として、例えば、最大比合成、ゼロフォーシング、又は、最小平均二乗誤差(Minimum means squared error : MMSE)が用いられる。
最大比合成が用いられることによって設計された線形検出フィルタは、低い信号対雑音比(Signal-to-noise ratio : SNR)の領域の推定ベクトルに対して、良好な検出特性を示す。ゼロフォーシングが用いられることによって設計された線形検出フィルタは、高いSNRの領域の推定ベクトルに対して、良好な検出特性を示す。最小平均二乗誤差が用いられることによって設計された線形検出フィルタは、最大比合成又はゼロフォーシングが用いられることによって設計された線形検出フィルタと比較して、良好な検出特性を示す。
以下では、線形重み行列は、「WT=[w1 w2 … wN]T」と表記される。ここで、「wi」は、線形重み行列「WT」の第i列を表す。
送信信号ベクトル「x」の第i成分「xi」が検出されるように、線形重み行列「wi
T」が、式(1)の両辺に左から乗算される。
ここで、式(2)の第2項は、残留干渉成分を表す。式(2)の第3項は、雑音成分を表す。伝送路チャネル行列「H」の直交性が失われてモード依存損失が大きくなる場合、干渉成分の残留と雑音強調等とが発生する。これによって、送信信号ベクトル「x」の第i成分「xi」の検出精度が劣化する。
次に、格子基底簡約(Lattice reduction : LR)に基づく線形検出(linear detection : LD)について説明する。
格子基底簡約に基づく線形検出「LR-LD」は、信号の検出精度を向上させる検出方式である。ここで、格子基底簡約とは、与えられた格子を張る基底ベクトルについて、その格子と同じ格子を張る他の基底ベクトルのうちから、良好な特性を示す基底ベクトル(簡約基底)(reduced basis)を見つけることである。
格子基底簡約に基づく線形検出「LR-LD」は、信号の検出精度を向上させる検出方式である。ここで、格子基底簡約とは、与えられた格子を張る基底ベクトルについて、その格子と同じ格子を張る他の基底ベクトルのうちから、良好な特性を示す基底ベクトル(簡約基底)(reduced basis)を見つけることである。
この「良好な特性を示す」とは伝送路チャネル行列「H」が直交性を有することである場合、信号を検出する方法として格子基底簡約を適用することが可能となる。例えば、最短ベクトル問題が解かれることによって、良好な特性を示す基底ベクトルを見つけることが可能である。最短ベクトル問題の近似解を効率よく解く方法として、「LLL(Lenstra-Lenstra-Lovasz)基底簡約」が知られている(非特許文献1参照)。
しかしながら、「LLL基底簡約」の実行に必要とされる演算量は多い。仮に、伝送路チャネル行列「H」に対して「LLL基底簡約」が実行された場合、必要とされる演算量は「0(N4logB)」と見積もられる(非特許文献2参照)。ここで、最大値「B」は、列ベクトル「hi」のL2ノルムの最大値を表す。
また、演算量が低減された基本変形に基づく格子基底簡約が、非特許文献3に開示されている。非特許文献3では、静的特性を持つ伝送路チャネルへの適用が想定されているので、格子基底簡約が1回だけ実行され、良好な特性を示す基底ベクトル(直交性をより高くする系)は更新されない。
A.K.Lenstra et al., "Factoring polynomials with rational coefficients," Mathematische Annalen, Vol.261, No.4, pp.515-534, 1982.
J.Park et al., "Lattice reduction aided MMSE decision feedback equalizers," IEEE transactions of signal processing, Vol.59, No.1, pp.436-441, 2011.
Q.Zhou and X.Ma, "Element-based lattice reduction algorithms for large MIMO detection," IEEE Journal on Selected Areas in Communications, Vol.31, No.2, pp.274-286, 2013.
格子基底簡約に基づく線形検出「LR-LD」が光通信システムに適用される場合には、動的特性(時変動性)を持つ伝送路チャネルに追従可能な基底簡約が用いられる必要がある。しかしながら、時変動性を持つ伝送路を伝送された光信号に載せられている情報の誤りを、所定閾値以下の演算量(低演算量)では低減することができない場合がある。
上記事情に鑑み、本発明は、時変動性を持つ伝送路を伝送された光信号に載せられている情報の誤りを所定閾値以下の演算量で低減することが可能である信号検出装置、信号検出方法及びプログラムを提供することを目的としている。
本発明の一態様は、分離行列を受信信号ベクトルに乗算することによって、送信信号ベクトルの推定ベクトルを導出する信号検出部と、ユニモジュラ行列の逆行列を用いて、前記送信信号ベクトルの推定ベクトルを、簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルに変換する第1変換部と、前記ユニモジュラ行列の逆行列と前記ユニモジュラ行列とを用いて、前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルを、送信信号ベクトルの判定値ベクトルに変換する第1判定部と、前記送信信号ベクトルの推定ベクトルと前記送信信号ベクトルの判定値ベクトルとの間の第1誤差信号ベクトルを用いて、前記分離行列を更新する第1更新部と、前記ユニモジュラ行列の逆行列を用いて、前記第1誤差信号ベクトルを、簡約基底に基づく第2誤差信号ベクトルに変換する第2変換部と、前記簡約基底に基づく第2誤差信号ベクトルを用いて、簡約基底に基づく誤差共分散行列を更新する第2更新部と、所定条件が成立したか否かを判定する第2判定部と、前記所定条件が成立したと判定された場合、前記ユニモジュラ行列と、前記ユニモジュラ行列の逆行列と、前記簡約基底に基づく誤差共分散行列とを更新する第3更新部とを備える信号検出装置である。
本発明の一態様は、簡約基底に基づく分離行列を受信信号ベクトルに乗算することによって、簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルを導出する信号検出部と、ユニモジュラ行列の逆行列を用いて前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの判定値ベクトルを導出し、前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルの判定値ベクトルと前記ユニモジュラ行列とを用いて前記送信信号ベクトルの判定値ベクトルを導出する第1判定部と、前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの判定値ベクトルと前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルとの間の誤差信号ベクトルを、前記簡約基底に基づく誤差信号ベクトルとして導出する誤差導出部と、前記簡約基底に基づく誤差信号ベクトルを用いて、前記簡約基底に基づく分離行列を更新する第1更新部と、前記簡約基底に基づく誤差信号ベクトルを用いて、簡約基底に基づく誤差共分散行列を更新する第2更新部と、所定条件が成立したか否かを判定する第2判定部と、前記所定条件が成立したと判定された場合、前記ユニモジュラ行列と、前記ユニモジュラ行列の逆行列と、前記簡約基底に基づく誤差共分散行列と、前記簡約基底に基づく分離行列とを更新する第3更新部とを備える信号検出装置である。
本発明の一態様は、信号検出装置が実行する信号検出方法であって、分離行列を受信信号ベクトルに乗算することによって、送信信号ベクトルの推定ベクトルを導出する信号検出ステップと、ユニモジュラ行列の逆行列を用いて、前記送信信号ベクトルの推定ベクトルを、簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルに変換する第1変換ステップと、前記ユニモジュラ行列の逆行列と前記ユニモジュラ行列とを用いて、前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルを、送信信号ベクトルの判定値ベクトルに変換する第1判定ステップと、前記送信信号ベクトルの推定ベクトルと前記送信信号ベクトルの判定値ベクトルとの間の第1誤差信号ベクトルを用いて、前記分離行列を更新する第1更新ステップと、前記ユニモジュラ行列の逆行列を用いて、前記第1誤差信号ベクトルを、簡約基底に基づく第2誤差信号ベクトルに変換する第2変換ステップと、前記簡約基底に基づく第2誤差信号ベクトルを用いて、簡約基底に基づく誤差共分散行列を更新する第2更新ステップと、所定条件が成立したか否かを判定する第2判定ステップと、前記所定条件が成立したと判定された場合、前記ユニモジュラ行列と、前記ユニモジュラ行列の逆行列と、前記簡約基底に基づく誤差共分散行列とを更新する第3更新ステップとを含む信号検出方法である。
本発明の一態様は、信号検出装置が実行する信号検出方法であって、簡約基底に基づく分離行列を受信信号ベクトルに乗算することによって、簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルを導出する信号検出ステップと、ユニモジュラ行列の逆行列を用いて前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの判定値ベクトルを導出し、前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルの判定値ベクトルと前記ユニモジュラ行列とを用いて前記送信信号ベクトルの判定値ベクトルを導出する第1判定ステップと、前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの判定値ベクトルと前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルとの間の誤差信号ベクトルを、前記簡約基底に基づく誤差信号ベクトルとして導出する誤差導出ステップと、前記簡約基底に基づく誤差信号ベクトルを用いて、前記簡約基底に基づく分離行列を更新する第1更新ステップと、前記簡約基底に基づく誤差信号ベクトルを用いて、簡約基底に基づく誤差共分散行列を更新する第2更新ステップと、所定条件が成立したか否かを判定する第2判定ステップと、前記所定条件が成立したと判定された場合、前記ユニモジュラ行列と、前記ユニモジュラ行列の逆行列と、前記簡約基底に基づく誤差共分散行列と、前記簡約基底に基づく分離行列とを更新する第3更新ステップとを含む信号検出方法である。
本発明の一態様は、上記の信号検出装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
本発明により、時変動性を持つ伝送路を伝送された光信号に載せられている情報の誤りを所定閾値以下の演算量で低減することが可能である。
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、通信システム1aの構成例を示す図である。通信システム1aは、送信装置2と、マルチモードファイバ3と、受信装置4aとを備える。送信装置2は、各モードの送信器として、N台の送信器20を備える。受信装置4aは、各モードの受信器として、N台の受信器40を備える。また、受信装置4aは、信号検出装置41a(MIMO信号検出部)を備える。
(第1実施形態)
図1は、通信システム1aの構成例を示す図である。通信システム1aは、送信装置2と、マルチモードファイバ3と、受信装置4aとを備える。送信装置2は、各モードの送信器として、N台の送信器20を備える。受信装置4aは、各モードの受信器として、N台の受信器40を備える。また、受信装置4aは、信号検出装置41a(MIMO信号検出部)を備える。
通信システム1aは、光信号を用いて通信するシステムである。以下、互いに独立した情報系列を「データ系列」という。通信システム1aは、N個のデータ系列(送信信号ベクトル)を、受信装置4aに向けて送信装置2から伝送する。
送信器20-1~20-Nは、N個のデータ系列を、N個の電気信号に符号化する。送信器20-1~20-Nは、N個のデータ系列の電気信号を、N個のデータ系列の光信号に変換する。マルチモードファイバ3は、N個のデータ系列の光信号を、各空間モードの光信号として受信装置4aに伝送する。
受信器40-1~40-Nは、伝送されたN個のデータ系列の光信号を受信する。受信器40-1~40-Nは、N個のデータ系列の光信号を、N個のデータ系列の電気信号(受信信号ベクトル)に変換する。信号検出装置41aは、デジタル信号処理によって、波形に生じた歪等をN個のデータ系列の電気信号から除去する。信号検出装置41aは、伝送によって各データ系列に生じた誤りを、デジタル信号処理によって訂正する。これによって、N個の元のデータ系列(送信信号ベクトル)の分離と、N個のデータ系列(受信信号ベクトル)の取り出しとが可能となる。
次に、信号検出装置41aにおける信号分離処理について説明する。
以下では、行列「A」に対して逆行列の演算が実行されることなく導出される逆行列は、「Ainv」と表記される。これによって、逆行列の演算が実行されることによって導出される逆行列「A-1」と、逆行列「Ainv」とは、互いに区別される。
以下では、行列「A」に対して逆行列の演算が実行されることなく導出される逆行列は、「Ainv」と表記される。これによって、逆行列の演算が実行されることによって導出される逆行列「A-1」と、逆行列「Ainv」とは、互いに区別される。
以下、ユニモジュラ行列「T(k)」又はユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」を用いて変換された系(基底)であって、伝送路チャネル行列「H」の直交性をより高くする系(簡約基底)を、「LRドメイン」という。ユニモジュラ行列とは、各成分が整数である行列であって、行列式の絶対値が1である行列である。
図2は、信号検出装置41a(MIMO信号検出部)の構成例を示す図である。信号検出装置41aは、記憶部410と、信号検出部411aと、基底変換部412aと、第1判定部413aと、誤差導出部414aと、分離行列更新部415aと、誤差基底変換部416aと、第1共分散行列更新部417aと、第2判定部418と、ユニモジュラ行列更新部419aと、ユニモジュラ逆行列更新部420aと、第2共分散行列更新部421aと、時刻更新部422とを備える。
以下では、LRドメインに基づくベクトル又は行列を表す文字は、その文字の前にチルダ「~」を付けて表記される。
図3は、各データベースの記憶対象の例を示す図である。記憶部410は、データベース「DB-1」と、データベース「DB-2」と、データベース「DB-3」とを保持する。データベース「DB-1」に保持される対象は、サンプリング時刻「k(kは、1以上の整数)」に関して、分離行列「W(k)」と、LRドメインに基づく分離行列「~W(k)」とである。データベース「DB-2」に保持される対象は、サンプリング時刻「k」に関して、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」である。データベース「DB-3」に保持される対象は、サンプリング時刻「k」に関して、ユニモジュラ行列「T(k)」と、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」とである。
信号検出部411aは、受信器40-1~40-Nから入力された電気信号(受信信号)に対して、サンプリング処理を実行する。これによって、信号検出部411aは、入力された電気信号(受信信号ベクトル)を検出する。サンプリング時刻「k」において、送信信号ベクトル「x」の推定ベクトル「^x(k)」は、式(3)のように表される。
ここで、「W(k)」は、分離行列(信号分離行列)を表す。
基底変換部412aは、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」を用いて、送信信号ベクトルの推定ベクトル「^x(k)」を、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの推定ベクトル「^~x(k)」に、式(4)のように変換する。
第1判定部413aは、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの推定ベクトル「^~x(k)」を用いて、LRドメイン(伝送路チャネル行列「H」の直交性をより高くする系)において信号を判定する。すなわち、第1判定部413aは、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルについて、送信信号ベクトル(第1データから第Nデータまでの各データ系列)のサンプリング値(判定値ベクトル)を導出する。第1判定部413aは、判定値ベクトル(出力信号)を、所定の装置(不図示)に出力する。
例えば、第1判定部413aは、ユニモジュラ行列「T(k)」を用いて、式(5)のように、送信信号ベクトルの判定値ベクトル「xHD」を導出する。
ここで、「Q(・)」は、信号判定関数を表す。信号の形式が例えばQAM信号である場合、信号判定関数「Q(・)」は、与えられたベクトル「a」とユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」とを用いて、式(6)のように表される。
ここで、同相成分及び直交成分について、各シンボル点の間のユークリッド距離は2である。また、「1N×1」は、「N×1」サイズの列ベクトルを表す。「1N×1」の全ての成分は1である。式(6)の第1項において分数を囲む記号は、丸め処理を表す。誤差導出部414aは、誤差信号ベクトルを、式(7)のように導出する。
分離行列更新部415aは、分離行列「WT(k)」を更新する。例えば、分離行列更新部415aは、LMS(Least mean square)法を逐次的に用いて誤差を小さくするように、式(8)のように分離行列「WT(k+1)」を導出する。
ここで、「μ」は、ステップサイズを表すパラメータである。
誤差基底変換部416aは、式(7)に示された誤差信号ベクトルを、LRドメインに基づく誤差信号ベクトルに、式(9)のように変換する。すなわち、誤差基底変換部416aは、式(7)に示された誤差信号ベクトルに、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」を、式(9)のように左から乗算する。
第1共分散行列更新部417aは、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」を、式(10)のように更新する。
ここで、「δ」は忘却係数である。以下では、「δ」は0以上1以下の任意の実数である。
第2判定部418は、所定の回数(自然数)「K」でサンプリング時刻「k」が割り切れるか否かを判定する。所定の回数「K」でサンプリング時刻「k」が割り切れると判定された場合、ユニモジュラ行列「T(k)」と、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」と、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」とが更新される。
次に、ユニモジュラ行列「T(k)」の更新と、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」の更新と、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」の更新とについて説明する。
これらの行列は、所定の回数「K」でサンプリング時刻「k」が割り切れると判定された場合、置換処理が実行されることによって更新される。ここで、所定の回数「K」が1である場合には、これらの行列は、サンプリング時刻「k」ごとに更新される。
ユニモジュラ行列更新部419aは、整数「λi,j(k)」を、式(11)のように導出する。
ここで、「~ri,j(k)」は、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」の第(i,j)成分を表す。したがって、「i=j」が成立している(i,j)のペアでは、整数「λi,j(k)」の値は「-1」である。
また、「i≠j」が成立している(i,j)のいずれかのペアについて整数「λi,j(k)」の値が「0以外」である場合には、ユニモジュラ行列「T(k)」と、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」と、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」(関連する統計量)とが更新されることによって、LRドメインにおいて信号を検出することが可能となる。
「i≠j」が成立している(i,j)のいずれかのペアについて整数「λi,j(k)」の値が「0以外」であるという条件は、全ての(i,j)のペアについての整数「λi,j(k)」の絶対値の和がモードの個数「N」よりも大きくなるという条件と、読み替えることが可能である。
ユニモジュラ行列更新部419aは、「i≠j」が成立している(i,j)のうちの特定のペアとして、「Δi,j(k)」を最小にする(i,j)のペアを、式(12)のように選択する。
ここで、「Δi,j(k)」は、式(13)のように表される。
「Δi,j(k)」を最小にする(i,j)のペアを選択する処理は、出力信号と希望信号との間の二乗平均誤差を最小にする(i,j)のペアを選択する処理に相当する。
さらに、全ての(i,j)のペアについての整数「λi,j(k)」の絶対値の和がモードの個数「N」よりも大きいと判定された場合、式(14)から式(18)までに示された各処理は、演算量を低減するために例えば1回ずつ実行される。
第(i,j)成分に「λi,j(k)」を持ち、対角成分に1を持ち、他の各成分に0を持つ行列「Λi,j(k)」は、式(14)のように表される。
ここで、「ep」は、「N×1」サイズの列ベクトルを表す。「ep」における第p成分は1である。「ep」における他の各成分は0である。「p」は、N以下の自然数である。
ユニモジュラ行列更新部419aは、逆行列の演算を実行することなく、逆行列「Λi,j
inv(k)」を式(15)のように導出する。
ここで、「Λi,j
inv(k)」は、行列「Λi,j(k)」の逆行列「Λi,j
-1(k)」を表す。
ユニモジュラ行列更新部419aは、式(14)に示された整数「Λi,j(k)」と、式(15)に示された整数「Λi,j
inv(k)」とに基づいて、式(16)のようにユニモジュラ行列「T(k)」を更新する。
以下では、数式に記載された記号「←」は、置換処理を表す。ユニモジュラ逆行列更新部420aは、式(17)のようにユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」を更新する。
第2共分散行列更新部421aは、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」を、式(18)のように更新する。
時刻更新部422は、サンプリング時刻を「k+1」に更新する。サンプリング時刻「k+1」において、信号検出装置41aは、サンプリング時刻「k」において実行された処理と同様の処理を実行する。
次に、信号検出装置41aの動作例を説明する。
図4は、信号検出装置41aの動作のアルゴリズム例を示す図である。1行目に示されているように、信号検出部411aは、入力された電気信号(受信信号ベクトル)の推定ベクトルを、式(3)のように検出する。2行目に示されているように、基底変換部412aは、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」を用いて、推定ベクトル「^x(k)」を、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの推定ベクトル「^~x(k)」に、式(4)のように変換する。
図4は、信号検出装置41aの動作のアルゴリズム例を示す図である。1行目に示されているように、信号検出部411aは、入力された電気信号(受信信号ベクトル)の推定ベクトルを、式(3)のように検出する。2行目に示されているように、基底変換部412aは、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」を用いて、推定ベクトル「^x(k)」を、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの推定ベクトル「^~x(k)」に、式(4)のように変換する。
3行目及び4行目に示されているように、第1判定部413aは、ユニモジュラ行列「T(k)」を用いて、送信信号ベクトルの判定値ベクトル「xHD」を式(5)のように導出する。5行目に示されているように、誤差導出部414aは、誤差信号ベクトルを、式(7)のように導出する。6行目に示されているように、分離行列更新部415aは、分離行列「WT(k+1)」を、式(8)のように導出する。
7行目に示されているように、誤差基底変換部416aは、式(7)に示された誤差信号ベクトルに、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」を、式(9)のように左から乗算する。8行目に示されているように、第1共分散行列更新部417aは、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」を、式(10)のように更新する。
9行目に示されているように、第2判定部418は、所定の回数(自然数)「K」でサンプリング時刻「k」が割り切れるか否かを判定する。所定の回数「K」でサンプリング時刻「k」が割り切れると判定された場合、10行目に示されているように、ユニモジュラ行列更新部419aは、整数「λi,j(k)」を、式(11)のように導出する。
11行目に示されているように、ユニモジュラ行列更新部419aは、全ての(i,j)のペアについての整数「λi,j(k)」の絶対値の和がモードの個数「N」よりも大きいか否かを判定する。絶対値の和がモードの個数「N」よりも大きいと判定された場合、12行目に示されているように、ユニモジュラ行列更新部419aは、「i≠j」が成立している(i,j)のうちの特定のペアとして、「Δi,j(k)」を最小にする(i,j)のペアを、式(12)のように選択する。
13行目に示されているように、ユニモジュラ行列更新部419aは、整数「Λi,j(k)」と整数「Λi,j
inv(k)」とに基づいて、ユニモジュラ行列「T(k)」を式(16)のように更新する。14行目に示されているように、ユニモジュラ逆行列更新部420aは、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」を、式(17)のように更新する。15行目に示されているように、第2共分散行列更新部421aは、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」を、式(18)のように更新する。
図5は、信号検出装置41aの動作例を示すフローチャートである。図5に示されたフローチャートの動作は、サンプリング時刻「k」ごとに開始される。信号検出部411aは、入力された電気信号(受信信号ベクトル)の推定ベクトルを、式(3)のように検出する(ステップS101)。
基底変換部412aは、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」を用いて、推定ベクトル「^x(k)」を、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの推定ベクトル「^~x(k)」に、式(4)のように変換する(ステップS102)。
第1判定部413aは、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの推定ベクトル「^~x(k)」を用いて、式(5)のようにLRドメインにおいて信号を判定する(ステップS103)。誤差導出部414aは、誤差信号ベクトルを、式(7)のように導出する(ステップS104)。分離行列更新部415aは、分離行列「WT(k)」を、式(8)のように更新する(ステップS105)。
誤差基底変換部416aは、誤差信号ベクトルを、LRドメインに基づく誤差信号ベクトルに、式(9)のように変換する(ステップS106)。第1共分散行列更新部417aは、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」を、式(10)のように更新する(ステップS107)。第2判定部418は、所定の回数「K」でサンプリング時刻「k」が割り切れるか否かを判定する(ステップS108)。
所定の回数「K」でサンプリング時刻「k」が割り切れると判定された場合(ステップS108:YES)、ユニモジュラ行列更新部419aは、整数「Λi,j(k)」と整数「Λi,j
inv(k)」とに基づいて、ユニモジュラ行列「T(k)」を式(16)のように更新する。ユニモジュラ逆行列更新部420aは、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」を、式(17)のように更新する。第2共分散行列更新部421aは、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」を、式(18)のように更新する。時刻更新部422は、サンプリング時刻を「k+1」に更新する。サンプリング時刻「k」に関して、信号検出装置41aは、図5に示されたフローチャートの動作を終了する。
所定の回数「K」でサンプリング時刻「k」が割り切れないと判定された場合(ステップS108:NO)、時刻更新部422は、サンプリング時刻を「k+1」に更新する。サンプリング時刻「k」に関して、信号検出装置41aは、図5に示されたフローチャートの動作を終了する。
以上のように、信号検出部411aは、分離行列「W」を受信信号ベクトル「y」に乗算することによって、受信信号ベクトルに対応する送信信号ベクトル「x」の推定ベクトル「^x」を導出する。基底変換部412a(第1変換部)は、ユニモジュラ行列の逆行列「Tinv」を用いて、送信信号ベクトルの推定ベクトル「^x」を、LRドメイン(簡約基底)に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトル「^~x」に変換する。第1判定部413aは、ユニモジュラ行列の逆行列「Tinv」とユニモジュラ行列「T」とを用いて、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの推定ベクトル「^~x」を、送信信号ベクトルの判定値ベクトル「xHD」に変換する。
分離行列更新部415a(第1更新部)は、送信信号ベクトルの推定ベクトル「^x」と送信信号ベクトルの判定値ベクトル「xHD」との間の第1誤差信号ベクトルを用いて、分離行列「W」を更新する。誤差基底変換部416a(第2変換部)は、ユニモジュラ行列の逆行列「Tinv」を用いて、第1誤差信号ベクトルを、LRドメインに基づく第2誤差信号ベクトルに、式(9)のように変換する。第1共分散行列更新部417a(第2更新部)は、LRドメインに基づく第2誤差信号ベクトルを用いて、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re」を更新する。
第2判定部418は、所定条件が成立したか否かを判定する。この所定条件とは、例えば、所定の回数「K」でサンプリング時刻「k」が割り切れるという条件と、全ての(i,j)のペアについての整数「λi,j(k)」の絶対値の和がモードの個数「N」よりも大きいという条件とである。
ユニモジュラ行列更新部419a(第3更新部)は、所定条件が成立したと判定された場合、ユニモジュラ行列「T」を更新する。ユニモジュラ逆行列更新部420a(第3更新部)は、所定条件が成立したと判定された場合、ユニモジュラ行列の逆行列「Tinv」を更新する。第2共分散行列更新部421a(第3更新部)は、所定条件が成立したと判定された場合、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re」を更新する。
これによって、時変動性を持つ伝送路を伝送された光信号に載せられている情報の誤りを所定閾値以下の演算量で低減することが可能である。
(第2実施形態)
第2実施形態では、式(16)から式(18)までの各数式が用いられることなく、ユニモジュラ行列と、ユニモジュラ逆行列と、LRドメインに基づく誤差共分散行列とが更新される点が、第1実施形態と相違する。第2実施形態では第1実施形態との相違点を主に説明する。
第2実施形態では、式(16)から式(18)までの各数式が用いられることなく、ユニモジュラ行列と、ユニモジュラ逆行列と、LRドメインに基づく誤差共分散行列とが更新される点が、第1実施形態と相違する。第2実施形態では第1実施形態との相違点を主に説明する。
第2実施形態の通信システムの構成は、第1実施形態の通信システム1aの構成の同様である。すなわち、第2実施形態の通信システムは、送信装置2と、マルチモードファイバ3と、受信装置とを備える。
図6は、信号検出装置41b(MIMO信号検出部)の構成例を示す図である。信号検出装置41bは、受信装置に備えられる。信号検出装置41bは、記憶部410と、信号検出部411bと、基底変換部412bと、第1判定部413bと、誤差導出部414bと、分離行列更新部415bと、誤差基底変換部416bと、第1共分散行列更新部417bと、第2判定部418と、ユニモジュラ行列更新部419bと、ユニモジュラ逆行列更新部420bと、第2共分散行列更新部421bと、時刻更新部422とを備える。
信号検出装置41bは、ユニモジュラ行列「T(k)」と、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」と、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」とを、第1実施形態において式(16)から式(18)までに示された各行列演算を用いることなく更新する。すなわち、信号検出装置41bは、ユニモジュラ行列「T(k)」と、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」と、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」とを、行列の行基本変形又は列基本変形を用いて更新する。これによって、第1実施形態における演算量と比較して、演算量の削減が可能となる。
ユニモジュラ行列更新部419bは、ユニモジュラ行列「T(k)」を、式(19)のように更新する。
ここで、「ti」は、ユニモジュラ行列「T(k)」の第i列を表す。
ユニモジュラ逆行列更新部420bは、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」を、式(20)のように更新する。
ここで、「tinv(i)」は、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」の第i行を表す。
第2共分散行列更新部421bは、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」を、式(21)のように行基本変形を用いて更新する。
ここで、「~ri(k)」は、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」の第i列を表す。「~rj(k)」は、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」の第j列を表す。
ここで、「~r(i)(k)」は、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」の第i行を表す。「~r(j)(k)」は、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」の第j行を表す。
次に、信号検出装置41bの動作例を説明する。
図7は、信号検出装置41bの動作のアルゴリズム例を示す図である。図7の1行目から12行目までに示された動作は、図4の1行目から12行目までに示された動作と同様である。
図7は、信号検出装置41bの動作のアルゴリズム例を示す図である。図7の1行目から12行目までに示された動作は、図4の1行目から12行目までに示された動作と同様である。
13行目に示されているように、ユニモジュラ行列更新部419bは、ユニモジュラ行列「T(k)」を、式(19)のように更新する。14行目に示されているように、ユニモジュラ逆行列更新部420bは、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」を、式(20)のように更新する。
15行目に示されているように、第2共分散行列更新部421bは、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」の第j列「~rj(k)」を、式(21)のように更新する。16行目に示されているように、第2共分散行列更新部421bは、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」の第i行「~r(i)(k)」を、式(22)のように更新する。
以上のように、信号検出部411bは、分離行列「W」を受信信号ベクトル「y」に乗算することによって、受信信号ベクトルに対応する送信信号ベクトル「x」の推定ベクトル「^x」を導出する。基底変換部412b(第1変換部)は、ユニモジュラ行列の逆行列「Tinv」を用いて、送信信号ベクトルの推定ベクトル「^x」を、LRドメイン(簡約基底)に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトル「^~x」に変換する。第1判定部413bは、ユニモジュラ行列の逆行列「Tinv」とユニモジュラ行列「T」とを用いて、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの推定ベクトル「^~x」を、送信信号ベクトルの判定値ベクトル「xHD」に変換する。
分離行列更新部415b(第1更新部)は、送信信号ベクトルの推定ベクトル「^x」と送信信号ベクトルの判定値ベクトル「xHD」との間の第1誤差信号ベクトルを用いて、分離行列「W」を更新する。誤差基底変換部416b(第2変換部)は、ユニモジュラ行列の逆行列「Tinv」を式(9)のように用いて、第1誤差信号ベクトルを、LRドメインに基づく第2誤差信号ベクトルに変換する。第1共分散行列更新部417b(第2更新部)は、LRドメインに基づく第2誤差信号ベクトルを用いて、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re」を更新する。
第2判定部418は、所定条件が成立したか否かを判定する。ユニモジュラ行列更新部419b(第3更新部)は、所定条件が成立したと判定された場合、ユニモジュラ行列「T」を更新する。ユニモジュラ逆行列更新部420b(第3更新部)は、所定条件が成立したと判定された場合、ユニモジュラ行列の逆行列「Tinv」を更新する。第2共分散行列更新部421b(第3更新部)は、所定条件が成立したと判定された場合、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re」を更新する。
これによって、時変動性を持つ伝送路を伝送された光信号に載せられている情報の誤りを所定閾値以下の演算量で低減することが可能である。
次に、信号検出装置41bの動作による効果例(モード多重伝送された2個のデータ系列についてのシミュレーション結果)を説明する。
送信装置2は、モード多重信号として送信されるデータ系列(送信信号ベクトル)のビット列を、16QAM信号として変調する。伝送路チャネルのモード依存損失は、一例として、20dBである。伝送路チャネルにおいて、モード多重信号は互いに混合される。このため、信号検出装置41bは、デジタル信号処理を用いて、モード多重信号を分離する。
信号検出装置41bは、最尤復号(Maximum likelihood : ML)に基づく検出処理と、最小平均二乗誤差(MMSE)に基づく線形検出処理と、格子基底簡約(LR)に基づくMIMO信号検出処理とを、互いに精度が比較される各分離検出方法として実行する。
最尤復号に基づく検出処理は、信号の発生頻度に関する事前知識が得られない場合における最適な復号方法として知られている。しかしながら、最尤復号に基づく検出処理に必要とされる演算量は非常に多い。
図8は、信号対雑音比(SNR)とビット誤り率(BER)との関係例を分離検出方法ごとに示す図である。検出精度が定量的に比較されるように、図8ではビット誤り率が採用された。
図8では、最尤復号に基づく検出処理が、最も良好な検出精度を示した。また、最小平均二乗誤差に基づく線形検出では、広いSNR領域にわたって検出精度が、モード依存損失の影響によって大きく劣化している。
これらに対して、信号検出装置41bにおける、格子基底簡約に基づくMIMO信号検出処理は、最小平均二乗誤差に基づく線形検出と比較して、良好な検出精度を示している。また、信号検出装置41bにおける、格子基底簡約に基づくMIMO信号検出処理による検出精度は、最尤復号に基づく検出処理による検出精度に漸近している。
図9は、送信信号の数と乗算数(複素乗算数)との関係例を示す図である。図9では、受信信号に基づいてN個の送信信号が検出される際に必要とされる演算量が、分離検出方法ごとに示されている。16QAM信号とQPSK信号とに対して、最尤検出(Maximum. Likelihood Detection : MLD)法がそれぞれ実行された。また、演算量が定量的に比較されるように、複素乗算数は採用された。
最尤復号に基づく検出処理では、送信信号の候補が総当たりで探索される。このため、最尤復号に基づく検出処理では、演算量が非常に多くなる。また、信号の多値数の増加に応じて送信信号の候補数が増加する。このため、例えば「N=10」個の16QAM信号が検出される際に、1014回もの複素乗算が必要とされる。
最小平均二乗誤差に基づく線形検出処理は、演算量の少ない簡易な検出方法である。しかしながら、図8に示されているように、最小平均二乗誤差に基づく線形検出処理による検出精度は低い。
これに対して、信号検出装置41bにおける、格子基底簡約に基づくMIMO信号検出処理の演算量は、最小平均二乗誤差に基づく線形検出処理の演算量の約3倍に抑えられている。なお、最小平均二乗誤差に基づく線形検出処理の演算量と、格子基底簡約に基づくMIMO信号検出処理の演算量とは、検出される信号のフォーマットには依存しない。
このように、モード依存損失を有する伝送路チャネルを備える通信システム1aにおいて、格子基底簡約に基づくMIMO信号検出は、所定閾値以下の演算量で、情報の誤りを所定閾値以下の演算量で低減することが可能である。
(第3実施形態)
第3実施形態では、信号分離の更新と分離行列の更新とを信号検出装置がLRドメインで直接実行するという点が、第1実施形態及び第2実施形態と相違する。第3実施形態では第1実施形態及び第2実施形態との相違点を主に説明する。
第3実施形態では、信号分離の更新と分離行列の更新とを信号検出装置がLRドメインで直接実行するという点が、第1実施形態及び第2実施形態と相違する。第3実施形態では第1実施形態及び第2実施形態との相違点を主に説明する。
第3実施形態の通信システムの構成は、第1実施形態の通信システム1aの構成の同様である。すなわち、第3実施形態の通信システムは、送信装置2と、マルチモードファイバ3と、受信装置とを備える。
図10は、信号検出装置41cの構成例を示す図である。信号検出装置41cは、受信装置に備えられる。信号検出装置41cは、記憶部410と、信号検出部411cと、第1判定部413cと、誤差導出部414cと、分離行列更新部415cと、第1共分散行列更新部417cと、第2判定部418と、ユニモジュラ行列更新部419cと、ユニモジュラ逆行列更新部420cと、時刻更新部422と、第2共分散行列更新部421cと、第2分離行列更新部423cとを備える。
信号検出部411dは、入力された電気信号(受信信号)を検出する。サンプリング時刻「k」において、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの推定ベクトル「^~x(k)」は、式(23)のように表される。
ここで、「~W(k)」は、LRドメインに基づく分離行列(信号分離行列)を表す。
第1判定部413cは、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの推定ベクトル「^~x(k)」を用いて、LRドメイン(伝送路チャネル行列「H」の直交性をより高くする系)において信号を判定する。すなわち、第1判定部413cは、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルについて、受信信号ベクトルのサンプリング値(判定値ベクトル)を導出する。例えば、第1判定部413cは、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」を用いて、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの判定値ベクトル「~xHD(k)」を、式(24)のように導出する。
また、第1判定部413cは、ユニモジュラ行列「T(k)」と、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの推定値ベクトルの判定値ベクトル「^~xHD(k)」とを用いて、送信信号ベクトルの判定値ベクトル「xHD(k)」を、式(25)のように導出する。
誤差導出部414cは、LRドメインに基づく誤差信号ベクトルを、式(26)のように導出する。
分離行列更新部415cは、LRドメインに基づく分離行列「~W(k)」を更新する。すなわち、分離行列更新部415cは、LRドメインに基づく分離行列「~W(k)」を式(27)のように更新することによって、LRドメインに基づく分離行列「~W(k+1)」を導出する。
第1共分散行列更新部417cは、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」を、式(28)のように更新する。
ユニモジュラ行列更新部419cによる整数「Λi,j(k)」の導出方法と、ユニモジュラ行列更新部419cによる(i,j)のペアの選択方法と、ユニモジュラ行列更新部419cによるユニモジュラ行列「T(k)」の更新方法とは、第1実施形態において説明されたユニモジュラ行列更新部419aによる各方法と同様である。
ユニモジュラ逆行列更新部420cによるユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」の更新方法は、第1実施形態において説明されたユニモジュラ逆行列更新部420aによる更新方法と同様である。
第2共分散行列更新部421cによるLRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」の更新方法は、第1実施形態において説明された第2共分散行列更新部421aによる更新方法と同様である。
第2分離行列更新部423cは、LRドメインに基づく分離行列「~W(k)」を、式(29)のように更新する。
第2分離行列更新部423cは、LRドメインに基づく分離行列「~W(k)」を、式(30)のように更新してもよい。
次に、信号検出装置41cの動作例を説明する。
図11は、信号検出装置41cの動作のアルゴリズム例を示す図である。1行目に示されているように、信号検出部411cは、入力された電気信号(受信信号)を、式(23)のように検出する。2行目に示されているように、第1判定部413cは、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」を用いて、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの判定値ベクトル「~xHD(k)」を、式(24)のように導出する。
図11は、信号検出装置41cの動作のアルゴリズム例を示す図である。1行目に示されているように、信号検出部411cは、入力された電気信号(受信信号)を、式(23)のように検出する。2行目に示されているように、第1判定部413cは、ユニモジュラ逆行列「Tinv(k)」を用いて、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの判定値ベクトル「~xHD(k)」を、式(24)のように導出する。
3行目に示されているように、第1判定部413cは、LRドメインに基づく誤差信号ベクトルを、式(26)のように導出する。4行目に示されているように、第1判定部413cは、ユニモジュラ行列「T(k)」を用いて、送信信号ベクトルの判定値ベクトル「xHD(k)」を、式(25)のように導出する。
5行目に示されているように、分離行列更新部415cは、LRドメインに基づく分離行列「~W(k)」を式(27)のように更新することによって、LRドメインに基づく分離行列「~W(k+1)」を導出する。6行目に示されているように、第1共分散行列更新部417cは、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re(k)」を、式(28)のように更新する。
図11に示された7行目から13行目までの各動作は、図4に示された9行目から15行目までの各動作と同様である。14行目に示されているように、第2分離行列更新部423cは、LRドメインに基づく分離行列「~W(k)」を、式(29)のように更新する。
以上のように、信号検出部411cは、LRドメイン(簡約基底)に基づく分離行列「~W」を受信信号ベクトル「y」に乗算することによって、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの推定ベクトル「^~x」を導出する。第1判定部413cは、ユニモジュラ行列の逆行列「Tinv」を式(24)のように用いて、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの判定値ベクトル「~xHD」を導出する。第1判定部413cは、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルの判定値ベクトル「^~xHD」とユニモジュラ行列「T」とを式(25)のように用いて、送信信号ベクトルの判定値ベクトル「xHD」を導出する。
誤差導出部414cは、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの判定値ベクトル「~xHD」と、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの推定ベクトル「^~x」との間の誤差信号ベクトルを、LRドメインに基づく誤差信号ベクトルとして式(26)のように導出する。分離行列更新部415c(第1更新部)は、LRドメインに基づく誤差信号ベクトルを用いて、LRドメインに基づく分離行列「~W」を更新する。第1共分散行列更新部417c(第2更新部)は、LRドメインに基づく誤差信号ベクトルを用いて、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re」を更新する。
第2判定部418は、所定条件が成立したか否かを判定する。ユニモジュラ行列更新部419c(第3更新部)は、所定条件が成立したと判定された場合、ユニモジュラ行列「T」を更新する。ユニモジュラ逆行列更新部420c(第3更新部)は、所定条件が成立したと判定された場合、ユニモジュラ行列の逆行列「Tinv」を更新する。第2共分散行列更新部421c(第3更新部)は、所定条件が成立したと判定された場合、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re」を更新する。第2分離行列更新部423c(第3更新部)は、所定条件が成立したと判定された場合、LRドメインに基づく分離行列「~W」を更新する。
これによって、時変動性を持つ伝送路を伝送された光信号に載せられている情報の誤りを所定閾値以下の演算量で低減することが可能である。
(第4実施形態)
第4実施形態では、第3実施形態に示された方法で信号分離が実行され、且つ、第2実施形態に示された各方法でユニモジュラ行列とユニモジュラ逆行列とLRドメインに基づく誤差共分散行列とが更新されるという点が、第1実施形態と相違する。第4実施形態では第1実施形態との相違点を主に説明する。
第4実施形態では、第3実施形態に示された方法で信号分離が実行され、且つ、第2実施形態に示された各方法でユニモジュラ行列とユニモジュラ逆行列とLRドメインに基づく誤差共分散行列とが更新されるという点が、第1実施形態と相違する。第4実施形態では第1実施形態との相違点を主に説明する。
第4実施形態の通信システムの構成は、第1実施形態の通信システム1aの構成の同様である。すなわち、第4実施形態の通信システムは、送信装置2と、マルチモードファイバ3と、受信装置とを備える。
図12は、信号検出装置41dの構成例を示す図である。信号検出装置41dは、受信装置に備えられる。信号検出装置41dは、記憶部410と、信号検出部411dと、第1判定部413cと、誤差導出部414dと、分離行列更新部415dと、第1共分散行列更新部417dと、第2判定部418と、ユニモジュラ行列更新部419dと、ユニモジュラ逆行列更新部420dと、時刻更新部422と、第2共分散行列更新部421dと、第2分離行列更新部423dとを備える。
分離行列更新部415cは、LRドメインに基づく分離行列「~W(k)」を、式(31)のように更新する。
ここで、「~wi(k)」は、LRドメインに基づく分離行列「~W(k)」の第i列を表す。
次に、信号検出装置41dの動作例を説明する。
図13は、信号検出装置41dの動作のアルゴリズム例を示す図である。図13に示された1行目から10行目までの各動作は、第3実施形態における図11に示された1行目から10行目までの各動作と同様である。図13に示された11行目から14行目までの各動作は、第2実施形態における図7に示された13行目から16行目までの各動作と同様である。図13の15行目に示されているように、分離行列更新部415cは、LRドメインに基づく分離行列「~W(k)」を、式(31)のように更新する。
図13は、信号検出装置41dの動作のアルゴリズム例を示す図である。図13に示された1行目から10行目までの各動作は、第3実施形態における図11に示された1行目から10行目までの各動作と同様である。図13に示された11行目から14行目までの各動作は、第2実施形態における図7に示された13行目から16行目までの各動作と同様である。図13の15行目に示されているように、分離行列更新部415cは、LRドメインに基づく分離行列「~W(k)」を、式(31)のように更新する。
以上のように、信号検出部411dは、LRドメイン(簡約基底)に基づく分離行列「~W」を受信信号ベクトル「y」に乗算することによって、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの推定ベクトル「^~x」を導出する。第1判定部413dは、ユニモジュラ行列の逆行列「Tinv」を式(24)のように用いて、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの判定値ベクトル「~xHD」を導出する。第1判定部413dは、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルの判定値ベクトル「^~xHD」とユニモジュラ行列「T」とを式(25)のように用いて、送信信号ベクトルの判定値ベクトル「xHD」を導出する。
誤差導出部414dは、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの判定値ベクトル「~xHD」と、LRドメインに基づく送信信号ベクトルの推定ベクトル「^~x」との間の誤差信号ベクトルを、LRドメインに基づく誤差信号ベクトルとして式(26)のように導出する。分離行列更新部415d(第1更新部)は、LRドメインに基づく誤差信号ベクトルを用いて、LRドメインに基づく分離行列「~W」を更新する。第1共分散行列更新部417d(第2更新部)は、LRドメインに基づく誤差信号ベクトルを用いて、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re」を更新する。
第2判定部418は、所定条件が成立したか否かを判定する。ユニモジュラ行列更新部419d(第3更新部)は、所定条件が成立したと判定された場合、ユニモジュラ行列「T」を更新する。ユニモジュラ逆行列更新部420d(第3更新部)は、所定条件が成立したと判定された場合、ユニモジュラ行列の逆行列「Tinv」を更新する。第2共分散行列更新部421d(第3更新部)は、所定条件が成立したと判定された場合、LRドメインに基づく誤差共分散行列「~Re」を更新する。第2分離行列更新部423d(第3更新部)は、所定条件が成立したと判定された場合、LRドメインに基づく分離行列「~W」を、式(31)のように更新する。
これによって、時変動性を持つ伝送路を伝送された光信号に載せられている情報の誤りを所定閾値以下の演算量で低減することが可能である。
次に、信号検出装置41のハードウェア構成例を説明する。
図14は、各実施形態における、信号検出装置41のハードウェア構成例を示す図である。本発明の各装置はコンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
図14は、各実施形態における、信号検出装置41のハードウェア構成例を示す図である。本発明の各装置はコンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
信号検出装置41の各機能部のうちの一部又は全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ100が、不揮発性の記録媒体(非一時的な記録媒体)を有する記憶装置200とメモリ300とに記憶されたプログラムを実行することにより、ソフトウェアとして実現される。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置などの非一時的な記録媒体である。
信号検出装置41の各機能部の一部又は全部は、例えば、LSI(Large Scale Integration circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いた電子回路(electronic circuit又はcircuitry)を含むハードウェアを用いて実現されてもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
上記の各実施形態では、通信システムは、一例としてマルチモードファイバ又は数モードファイバにおける空間モードを用いる多重光伝送を実行した。通信システムは、通信を実行するシステムであれば、特定の通信を実行するシステムに限定されない。例えば、通信システムは、結合マルチコアファイバにおける空間モードを用いる多重光伝送を実行してもよい。例えば、通信システムは、無線通信システムと、衛星通信システムと、記録媒体とチップとの間の通信システム等とのいずれでもよい。
本発明は、MIMO型の信号処理によって複数の信号を分離及び検出する装置に適用可能である。
1a…通信システム、2…送信装置、3…マルチモードファイバ、4a,4b,4c,4d…受信装置、20…送信器、40…受信器、41,41a,41b,41c,41d…信号検出装置、100…プロセッサ、200…記憶装置、300…メモリ、411a,411b,411c,411d…信号検出部、412a,412b…基底変換部、413a,413b,413c,413d…第1判定部、414a,414b,414c,414d…誤差導出部、415a,415b,415c,415d…分離行列更新部、416a,416b…誤差基底変換部、417a,417b,417c,417d…第1共分散行列更新部、418…第2判定部、419a,419b,419c,419d…ユニモジュラ行列更新部、420a,420b,420c,420d…ユニモジュラ逆行列更新部、421a,421b,421c,421d…第2共分散行列更新部、422…時刻更新部、423c,423d…第2分離行列更新部
Claims (5)
- 分離行列を受信信号ベクトルに乗算することによって、送信信号ベクトルの推定ベクトルを導出する信号検出部と、
ユニモジュラ行列の逆行列を用いて、前記送信信号ベクトルの推定ベクトルを、簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルに変換する第1変換部と、
前記ユニモジュラ行列の逆行列と前記ユニモジュラ行列とを用いて、前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルを、送信信号ベクトルの判定値ベクトルに変換する第1判定部と、
前記送信信号ベクトルの推定ベクトルと前記送信信号ベクトルの判定値ベクトルとの間の第1誤差信号ベクトルを用いて、前記分離行列を更新する第1更新部と、
前記ユニモジュラ行列の逆行列を用いて、前記第1誤差信号ベクトルを、簡約基底に基づく第2誤差信号ベクトルに変換する第2変換部と、
前記簡約基底に基づく第2誤差信号ベクトルを用いて、簡約基底に基づく誤差共分散行列を更新する第2更新部と、
所定条件が成立したか否かを判定する第2判定部と、
前記所定条件が成立したと判定された場合、前記ユニモジュラ行列と、前記ユニモジュラ行列の逆行列と、前記簡約基底に基づく誤差共分散行列とを更新する第3更新部と
を備える信号検出装置。 - 簡約基底に基づく分離行列を受信信号ベクトルに乗算することによって、簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルを導出する信号検出部と、
ユニモジュラ行列の逆行列を用いて前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの判定値ベクトルを導出し、前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルの判定値ベクトルと前記ユニモジュラ行列とを用いて前記送信信号ベクトルの判定値ベクトルを導出する第1判定部と、
前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの判定値ベクトルと前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルとの間の誤差信号ベクトルを、前記簡約基底に基づく誤差信号ベクトルとして導出する誤差導出部と、
前記簡約基底に基づく誤差信号ベクトルを用いて、前記簡約基底に基づく分離行列を更新する第1更新部と、
前記簡約基底に基づく誤差信号ベクトルを用いて、簡約基底に基づく誤差共分散行列を更新する第2更新部と、
所定条件が成立したか否かを判定する第2判定部と、
前記所定条件が成立したと判定された場合、前記ユニモジュラ行列と、前記ユニモジュラ行列の逆行列と、前記簡約基底に基づく誤差共分散行列と、前記簡約基底に基づく分離行列とを更新する第3更新部と
を備える信号検出装置。 - 信号検出装置が実行する信号検出方法であって、
分離行列を受信信号ベクトルに乗算することによって、送信信号ベクトルの推定ベクトルを導出する信号検出ステップと、
ユニモジュラ行列の逆行列を用いて、前記送信信号ベクトルの推定ベクトルを、簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルに変換する第1変換ステップと、
前記ユニモジュラ行列の逆行列と前記ユニモジュラ行列とを用いて、前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルを、送信信号ベクトルの判定値ベクトルに変換する第1判定ステップと、
前記送信信号ベクトルの推定ベクトルと前記送信信号ベクトルの判定値ベクトルとの間の第1誤差信号ベクトルを用いて、前記分離行列を更新する第1更新ステップと、
前記ユニモジュラ行列の逆行列を用いて、前記第1誤差信号ベクトルを、簡約基底に基づく第2誤差信号ベクトルに変換する第2変換ステップと、
前記簡約基底に基づく第2誤差信号ベクトルを用いて、簡約基底に基づく誤差共分散行列を更新する第2更新ステップと、
所定条件が成立したか否かを判定する第2判定ステップと、
前記所定条件が成立したと判定された場合、前記ユニモジュラ行列と、前記ユニモジュラ行列の逆行列と、前記簡約基底に基づく誤差共分散行列とを更新する第3更新ステップと
を含む信号検出方法。 - 信号検出装置が実行する信号検出方法であって、
簡約基底に基づく分離行列を受信信号ベクトルに乗算することによって、簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルを導出する信号検出ステップと、
ユニモジュラ行列の逆行列を用いて前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの判定値ベクトルを導出し、前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルの判定値ベクトルと前記ユニモジュラ行列とを用いて前記送信信号ベクトルの判定値ベクトルを導出する第1判定ステップと、
前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの判定値ベクトルと前記簡約基底に基づく送信信号ベクトルの推定ベクトルとの間の誤差信号ベクトルを、前記簡約基底に基づく誤差信号ベクトルとして導出する誤差導出ステップと、
前記簡約基底に基づく誤差信号ベクトルを用いて、前記簡約基底に基づく分離行列を更新する第1更新ステップと、
前記簡約基底に基づく誤差信号ベクトルを用いて、簡約基底に基づく誤差共分散行列を更新する第2更新ステップと、
所定条件が成立したか否かを判定する第2判定ステップと、
前記所定条件が成立したと判定された場合、前記ユニモジュラ行列と、前記ユニモジュラ行列の逆行列と、前記簡約基底に基づく誤差共分散行列と、前記簡約基底に基づく分離行列とを更新する第3更新ステップと
を含む信号検出方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の信号検出装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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