最初に、図1及び図2を参照し、本発明の実施形態に係る建設機械としてのショベル(掘削機)について説明する。図1は、ショベル100の側面図である。図2は、ショベル100の上面図である。
本実施形態では、ショベル100の下部走行体1はクローラ1Cを含む。クローラ1Cは、下部走行体1に搭載されている走行アクチュエータとしての走行油圧モータ2Mによって駆動される。具体的には、クローラ1Cは左クローラ1CL及び右クローラ1CRを含む。走行油圧モータ2Mは、左走行油圧モータ2ML及び右走行油圧モータ2MRを含む。左クローラ1CLは左走行油圧モータ2MLによって駆動され、右クローラ1CRは右走行油圧モータ2MRによって駆動される。
下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。旋回機構2は、上部旋回体3に搭載されている旋回アクチュエータとしての旋回油圧モータ2Aによって駆動される。但し、旋回アクチュエータは、電動アクチュエータとしての旋回電動発電機であってもよい。
上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられている。アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例である掘削アタッチメントATを構成している。ブーム4はブームシリンダ7で駆動され、アーム5はアームシリンダ8で駆動され、バケット6はバケットシリンダ9で駆動される。ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9は、アタッチメントアクチュエータを構成している。
ブーム4は、上部旋回体3に対して上下に回動可能に支持されている。ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられている。ブーム角度センサS1は、ブーム4の回動角度であるブーム角度θ1を検出できるように構成されている。ブーム角度θ1は、例えば、ブーム4を最も下降させた状態からの上昇角度である。この場合、ブーム角度θ1は、ブーム4を最も上昇させたときに最大となる。
アーム5は、ブーム4に対して回動可能に支持されている。アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられている。アーム角度センサS2は、アーム5の回動角度であるアーム角度θ2を検出できるように構成されている。アーム角度θ2は、例えば、アーム5を最も閉じた状態からの開き角度である。この場合、アーム角度θ2は、アーム5を最も開いたときに最大となる。
バケット6は、アーム5に対して回動可能に支持されている。バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられている。バケット角度センサS3は、バケット6の回動角度であるバケット角度θ3を検出できるように構成されている。バケット角度θ3は、バケット6を最も閉じた状態からの開き角度である。この場合、バケット角度θ3は、バケット6を最も開いたときに最大となる。
図1の実施形態では、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3のそれぞれは、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせで構成されている。但し、ブーム角度センサS1は、加速度センサのみで構成されていてもよい。また、ブーム角度センサS1は、ブームシリンダ7に取り付けられたストロークセンサであってもよく、ロータリエンコーダ、ポテンショメータ、又は慣性計測装置等であってもよい。アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3についても同様である。
上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10が設けられ、且つ、エンジン11等の動力源が搭載されている。また、上部旋回体3には、空間認識装置70、向き検出装置71、測位装置73、通信装置74、機体傾斜センサS4、及び旋回角速度センサS5等が取り付けられている。キャビン10の内部には、操作装置26、情報入力装置72、表示装置D1、音出力装置D2、及び室内制御装置ID等が設けられている。なお、本書では、便宜上、上部旋回体3における、掘削アタッチメントATが取り付けられている側を前側とし、カウンタウェイトが取り付けられている側を後側とする。
空間認識装置70は、ショベル100の周囲の三次元空間に存在する物体を認識するように構成されている。空間認識装置70は、空間認識装置70又はショベル100から認識された物体までの距離を算出するように構成されていてもよい。空間認識装置70は、例えば、超音波センサ、ミリ波レーダ、単眼カメラ、ステレオカメラ、LIDAR、距離画像センサ、又は赤外線センサ等である。本実施形態では、空間認識装置70は、ショベル100の前方の空間を検出範囲とするようにキャビン10の上面前端に取り付けられた前方センサ70F、ショベル100の後方の空間を検出範囲とするように上部旋回体3の上面後端に取り付けられた後方センサ70B、ショベル100の左方の空間を検出範囲とするように上部旋回体3の上面左端に取り付けられた左方センサ70L、及び、ショベル100の右方の空間を検出範囲とするように上部旋回体3の上面右端に取り付けられた右方センサ70Rを含む。空間認識装置70は、上部旋回体3の上方の空間を検出範囲とするように上部旋回体3に取り付けられた上方センサを含んでいてもよい。
向き検出装置71は、ショベル100の向きを検出するように構成されている。ショベル100の向きは、上部旋回体3の向き、及び、下部走行体1の向きの少なくとも一方を含む。具体的には、向き検出装置71は、例えば、上部旋回体3の向きと下部走行体1の向きとの相対的な関係に関する情報を検出するように構成されている。向き検出装置71は、下部走行体1に取り付けられた地磁気センサと上部旋回体3に取り付けられた地磁気センサとの組み合わせで構成されていてもよい。或いは、向き検出装置71は、下部走行体1に取り付けられたGNSS受信機と上部旋回体3に取り付けられたGNSS受信機との組み合わせで構成されていてもよい。向き検出装置71は、ロータリエンコーダ又はロータリポジションセンサ等であってもよい。旋回電動発電機で上部旋回体3が旋回駆動される構成では、向き検出装置71は、レゾルバで構成されていてもよい。向き検出装置71は、下部走行体1と上部旋回体3との間の相対回転を実現する旋回機構2に関連して設けられるセンタージョイントに取り付けられていてもよい。
向き検出装置71は、上部旋回体3に取り付けられたカメラで構成されていてもよい。この場合、向き検出装置71は、上部旋回体3に取り付けられているカメラが撮像した画像に既知の画像処理を施してその画像に含まれる下部走行体1の画像を検出可能な状態にする。そして、向き検出装置71は、既知の画像認識技術を用いて下部走行体1の画像を検出することで、下部走行体1の長手方向を特定する。そして、向き検出装置71は、上部旋回体3の前後軸の方向と下部走行体1の長手方向との間に形成される角度を導き出す。上部旋回体3の前後軸の方向は、カメラの取り付け位置から導き出される。特に、クローラ1Cは上部旋回体3の輪郭から外側にはみ出ているため、向き検出装置71は、クローラ1Cの画像を検出することで下部走行体1の長手方向を特定できる。
情報入力装置72は、ショベル100の操作者がショベル100に対して情報を入力できるように構成されている。本実施形態では、情報入力装置72は、表示装置D1の表示部に近接して設置されるスイッチパネルである。但し、情報入力装置72は、表示装置D1の表示部の上に配置されるタッチパネルであってもよく、キャビン10内に配置されているマイクロフォン等の音入力装置であってもよい。
測位装置73は、ショベル100の位置を測定するように構成されている。本実施形態では、測位装置73は、上部旋回体3に取り付けられるGNSS受信機であり、上部旋回体3の位置をショベル100の位置として測定するように構成されている。測位装置73は、GNSSコンパスであってもよい。この場合、測位装置73は、上部旋回体3の位置及び向きを検出できる。
通信装置74は、ショベル100の外部にある外部機器とショベル100との間の通信を制御するように構成されている。具体的には、通信装置74は、移動体通信網、衛星通信網、及びインターネット網等を含む各種の通信網を通じて外部機器と通信を行うように構成されている。例えば、通信装置74は、Bluetooth(登録商標)又はDSRC等の無線通信規格に対応する通信モジュールであってもよい。或いは、通信装置74は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、又は5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応する移動体通信モジュールであってもよく、衛星通信網に接続するための衛星通信モジュールであってもよい。
機体傾斜センサS4は、所定の平面に対する上部旋回体3の傾斜を検出するように構成されている。本実施形態では、機体傾斜センサS4は、水平面に関する上部旋回体3の前後軸回りの傾斜角及び左右軸回りの傾斜角を検出する加速度センサである。上部旋回体3の前後軸及び左右軸は、例えば、互いに直交してショベル100の旋回軸上の一点であるショベル中心点を通る。
旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角速度を検出するように構成されている。本実施形態では、旋回角速度センサS5は、ジャイロセンサである。旋回角速度センサS5は、レゾルバ又はロータリエンコーダ等であってもよい。旋回角速度センサS5は、旋回速度を検出してもよい。旋回速度は、旋回角速度から算出されてもよい。
以下では、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4、及び旋回角速度センサS5の少なくとも1つは、姿勢検出装置とも称される。掘削アタッチメントATの姿勢は、例えば、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3のそれぞれの出力に基づいて検出される。
表示装置D1は、情報を表示する装置である。本実施形態では、表示装置D1は、キャビン10内に設置された液晶ディスプレイである。但し、表示装置D1は、スマートフォン等の携帯端末のディスプレイであってもよい。
音出力装置D2は、音を出力する装置である。音出力装置D2は、キャビン10内の操作者に向けて音を出力する装置、及び、キャビン10外の作業者に向けて音を出力する装置の少なくとも1つを含む。音出力装置D2は、携帯端末のスピーカであってもよい。
操作装置26は、操作者がアクチュエータの操作のために用いる装置である。本実施形態では、操作装置26は、油圧式パイロット回路を備えた油圧式操作システムの一部を構成している。
図3は、上部旋回体3の内部を概略的に示す上面図である。図3はハウスカバー3d(図1参照。)が取り除かれた状態を示している。
図3に示すように、上部旋回体3の内部はエンジン室ER及びエアクリーナ室ARに区画され、エンジン室ER内にはエンジン11、冷却ファン52、熱交換部53、ターボチャージャ54、排気ガス処理装置55、及びバッテリ56等が設置されている。具体的には、エンジン11の左側(+Y側)に冷却ファン52が設置され、エンジン11の前側(+X側)にターボチャージャ54が設置され、エンジン11の右側(-Y側)に排気ガス処理装置55が設置されている。また、冷却ファン52の左側(+Y側)にラジエータ53A、オイルクーラ53B、インタークーラ53C、燃料クーラ53D、及びエアコンコンデンサ53E等を含む熱交換部53が設置されている。なお、エンジン室ERとエアクリーナ室ARとの間には仕切板PB(図5参照。)が配置されている。
エアクリーナ室AR内にはエアクリーナ57及び作動油タンク18等が設置されている。また、エアクリーナ室ARの前側(+X側)にはキャビン10及び燃料タンク19が設置され、燃料タンク19の前側(+X側)には工具等を収納可能な収納スペース20が設置されている。また、キャビン10はブーム4の左側(+Y側)に設置され、燃料タンク19及び収納スペース20はブーム4の右側(-Y側)に設置されている。
エアクリーナ57は外周部に形成された空気導入部57aを通じて空気を取り込むように構成されている。内部に取り込まれた空気は円筒フィルタ57bの周りでらせん流を形成しながら左側(+Y側)に進む。この過程において空気中のダスト(粉塵等)には遠心力が働くため空気とダストは分離される。具体的には、らせん流中のダストはエアクリーナ57の内壁に押し付けられてその内壁に沿って進み、バキュエータバルブ内に集められる。バキュエータバルブ内に集められたダストは、その重量が所定重量に達してバキュエータバルブが開くと、下方に排出される。一方、らせん流中の空気は円筒フィルタ57bの左側(+Y側)の端部まで達したところで円筒フィルタ57b内に進入する。そして、円筒フィルタ57b内に進入した空気は、空気排出部57cを介して排出され、ターボチャージャ54の遠心式圧縮機に供給される。
また、ハウスカバー3dは左側面に開閉カバー3d1及び3d2を有する。図3の斜線ハッチングで示す図形は閉じた状態の開閉カバー3d1及び3d2を表し、一点鎖線で示す図形は開いた状態の開閉カバー3d1及び3d2を表す。
以上のような構成において、エアクリーナ57を通じて取り込まれた空気は、ターボチャージャ54のコンプレッサで圧縮され且つインタークーラ53Cで冷却されてエンジン11の燃焼室に至る。また、エンジン11から排出される排気ガスは、ターボチャージャ54のタービンを回転させ且つ排気ガス処理装置55で浄化された後で排気口55Aから大気中に放出される。排気ガス処理装置55は、選択触媒還元(SCR)システム及びディーゼル微粒子捕集フィルタ(DPF)等を含む。
室内制御装置IDは、キャビン内に設置される制御装置である。本実施形態では、室内制御装置IDは、第1コントローラ30~第3コントローラ32を含む。
室外制御装置EDは、キャビン外に設置される制御装置である。本実施形態では、室外制御装置EDは、第4コントローラ33及び第5コントローラ34の組み合わせとして構成されている。
第1コントローラ30~第5コントローラ34のそれぞれは、CPU、揮発性記憶装置、及び不揮発性記憶装置等を備えたコンピュータで構成されている。そして、第1コントローラ30~第5コントローラ34のそれぞれは、各機能に対応するプログラムを不揮発性記憶装置から読み出して揮発性記憶装置にロードし、対応する処理をCPUに実行させる。
次に、図4を参照してショベル100の基本システムについて説明する。ショベル100の基本システムは、主に、エンジン11、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブユニット17、操作装置26、及び、第1コントローラ30~第5コントローラ34等を含む。
エンジン11はショベルの駆動源であり、例えば、所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。エンジン11の出力軸はメインポンプ14及びパイロットポンプ15のそれぞれの入力軸に接続される。
メインポンプ14は、作動油ライン16を介して作動油をコントロールバルブユニット17に供給する油圧ポンプである。本実施形態では、メインポンプ14は、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を変化させることができるように構成されている。本実施形態では、レギュレータ13は、メインポンプ14の斜板傾転角を変化させることでメインポンプ14の1回転当たりの押し退け容積を変化させるように構成されている。具体的には、レギュレータ13は、第1コントローラ30が出力する制御電流の変化に応じて斜板傾転角を変化させる。より具体的には、レギュレータ13は、制御電流の増加に応じ、斜板傾転角を大きくして、メインポンプ14の吐出量を大きくする。
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介して操作装置26等の各種油圧制御機器に作動油を供給するための油圧ポンプである。本実施形態では、パイロットポンプ15は、固定容量型油圧ポンプである。但し、パイロットポンプ15は、省略されてもよい。この場合、パイロットポンプ15が担っていた機能は、メインポンプ14によって実現されてもよい。すなわち、メインポンプ14は、コントロールバルブユニット17に作動油を供給する機能とは別に、絞り等により作動油の圧力を低下させた後で操作装置26等に作動油を供給する機能を備えていてもよい。
コントロールバルブユニット17は、油圧システムにおける作動油の流れを制御できるように構成されている。本実施形態では、コントロールバルブユニット17は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左走行用油圧モータ1A、右走行用油圧モータ1B、及び旋回油圧モータ2A(以下、集合的に、「油圧アクチュエータ」とする。)のうちの一又は複数のものに対し、メインポンプ14から作動油ライン16を通じて供給された作動油を選択的に供給する。そのため、コントロールバルブユニット17は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁を含む。
操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータの操作のために用いる装置である。操作装置26は、パイロットライン25を介してパイロットポンプ15から作動油の供給を受ける。そして、操作装置26は、パイロットライン25aを通じて、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートにその作動油を供給する。パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、典型的には、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量に対応する圧力とされる。本実施形態では、操作装置26は、左右一対の操作レバー、左右一対の走行レバー、及び左右一対の走行ペダルを含む。
第1コントローラ30は、ショベル100を制御するためのマシン・マネジメント・コントローラである。本実施形態では、第1コントローラ30は、CPU、RAM、及びROM等を備えたコンピュータで構成されている。そして、第1コントローラ30のCPUは、各種機能に対応するプログラムをROMから読み出してRAMにロードして実行することで、それらプログラムのそれぞれに対応する機能を実現させる。
例えば、第1コントローラ30は、制御ユニットとしての室内制御装置IDの一例であり、メインポンプ14の吐出量を制御するネガティブコントロール機能を有する。この機能では、第1コントローラ30は、レギュレータ13に対して出力する制御電流をネガティブコントロール圧に応じて変化させ、メインポンプ14の斜板傾転角を変化させることでメインポンプ14の吐出量を変化させる。
第2コントローラ31は、制御ユニットとしての室内制御装置IDの別の一例であり、表示システムに関する制御装置として機能するように構成されている。本実施形態では、第2コントローラ31は、空間認識装置70としての複数のカメラが撮像した画像に基づいて出力画像を合成し、その出力画像を表示装置D1に出力するように構成されている。そのため、空間認識装置70としての複数のカメラは、専用線を介して第2コントローラ31に接続されている。
第3コントローラ32は、制御ユニットとしての室内制御装置IDの更に別の一例であり、情報化施工システムに関する制御装置であるICT(Information and Communication Technology)コントローラとして機能するように構成されている。本実施形態では、第3コントローラ32は、操作者によるショベル100の手動操作をガイド(案内)するマシンガイダンス機能、及び、操作者によるショベル100の手動操作を支援したり或いはショベル100を自動的或いは自律的に動作させたりするマシンコントロール機能の少なくとも一方を有する。
そのため、第3コントローラ32は、姿勢検出装置(ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4、及び旋回角速度センサS5)に接続されており、姿勢検出装置の出力に基づいてバケット6の爪先の位置を算出するように構成されている。
第4コントローラ33は、制御ユニットとしての室外制御装置EDを構成する構成要素の一例であり、排気ガス処理装置55に関する制御装置であるDCU(Dosing Control Unit)として機能するように構成されている。そのため、第4コントローラ33は、排気ガス処理装置55におけるNOxセンサ、サプライモジュール、クーラントコントロールバルブ、及び尿素水噴射装置等に接続されている。サプライモジュールは、尿素水ポンプ及び尿素水フィルタを含む。また、第4コントローラ33は、尿素水タンクにおける尿素水残量センサ及び尿素水品質センサ等にも接続されている。
第5コントローラ34は、制御ユニットとしての室外制御装置EDを構成する構成要素の別の一例であり、エンジン11に関する制御装置であるECU(Engine Control Unit)として機能するように構成されている。そのため、第5コントローラ34は、第1コントローラ30に接続され、第1コントローラ30からの制御指令に応じ、エンジン回転数等を制御できるように構成されている。また、第5コントローラ34は、DCUとしての第4コントローラ33に接続され、排気ガス処理装置55の状態に応じて燃料噴射量等を制御できるように構成されている。
エンジン回転数調整ダイヤル75は、キャビン10内に設けられる、目標エンジン回転数を調整するためのダイヤルである。本実施形態では、エンジン回転数調整ダイヤル75は、操作者がRmax、R4、R3、R2及びR1の5段階で目標エンジン回転数を切り換えできるように構成されている。図4は、エンジン回転数調整ダイヤル75でR4が選択された状態を示す。
Rmaxは、最も高いエンジン回転数であり、作業量を優先させたい操作者によって選択される。R4は、二番目に高いエンジン回転数であり、作業量と燃費を両立させたい操作者によって選択される。R3及びR2は、三番目及び四番目に高いエンジン回転数であり、燃費を優先させながら低騒音でショベルを稼働させたい操作者によって選択される。R1は、最も低いエンジン回転数(アイドリング回転数)であり、エンジン11をアイドリング状態にしたい操作者によって選択される。エンジン11は、エンジン回転数調整ダイヤル75で設定された目標エンジン回転数で一定となるようにECUによって制御される。
バッテリ56は、ショベル100に搭載されている各種電気負荷に電力を供給するように構成されている。第1コントローラ30~第5コントローラ34及び表示装置D1等は、バッテリ56に蓄えられた電力で動作できるように構成されている。エンジン11のスタータ11bは、バッテリ56に蓄えられた電力で駆動され、エンジン11を始動させるように構成されている。また、バッテリ56は、オルタネータ11a(発電機)で発電した電力で充電されるように構成されている。
エンジン11は、上述のとおり、第5コントローラ34としてのECUにより制御される。第5コントローラ34は、エンジン11の状態を示す各種データ(例えば、水温センサ11cで検出される冷却水温を示すデータ)を第1コントローラ30に送信するように構成されている。吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧に関するデータを第1コントローラ30に送信するように構成されている。油温センサ14cは、作動油タンクとメインポンプ14との間の管路を流れる作動油の温度に関するデータを第1コントローラ30に送信するように構成されている。パイロット圧センサ15aは、パイロット圧に関するデータを第1コントローラ30に送信するように構成されている。第1コントローラ30は揮発性記憶装置にこれらのデータを蓄積しておき、必要に応じてこれらのデータを表示装置D1に送信できるように構成されている。
次に、図5を参照し、室外制御装置EDの取付位置について説明する。図5は、室外制御装置EDの取付位置を示す図である。図5(A)は開閉カバー3d1及び3d2が開いた状態にある上部旋回体3の左側面図である。図5(B)は開閉カバー3d2が開いた状態にある上部旋回体3の斜視図である。
本実施形態では、図5に示すように、室外制御装置EDは、上部旋回体3を構成する構造物の一例であるハウスカバー3dの一部である前壁FWに取り付けられている。前壁FWは、エアクリーナ室ARを区切る平板状部材であり、旋回フレーム3bに溶接されている。前壁FWは、旋回フレーム3bと同じ振動モードで振動するが、キャビン10とは異なる振動モードで振動する。キャビン10は、ダンパ等の制振部材を介して旋回フレーム3bに取り付けられているためである。すなわち、キャビン10は、旋回フレーム3b等の上部旋回体3を構成する構造物の振動が直接的には伝わらないように構成されているためである。
本実施形態では、室外制御装置EDは、外気にさらされないように、エアクリーナ室ARの内部に配置されている。但し、室外制御装置EDは、図5(A)において破線で示された室外制御装置EDa又は室外制御装置EDbのように、エンジン室ERの内部に配置されていてもよい。また、室外制御装置EDは、エアクリーナ室ARとエンジン室ERとを隔てる仕切板PBに取り付けられていてもよい。また、室外制御装置EDは、ハウスカバー3dの内部における他の部分に配置されていてもよい。例えば、室外制御装置EDは、上部旋回体3を構成する構造物の別の一例である、エンジン室ERの後壁RW、又は、エンジン室ERの底板BP等に取り付けられていてもよい。
室外制御装置EDは、望ましくは、できるだけ低い位置に取り付けられる。取付位置が低いほど、室外制御装置EDに伝わる振動が小さくなるためである。但し、室外制御装置EDは、図5(A)において破線で示された室外制御装置EDcのように、上部旋回体3を構成する構造物の更に別の一例であるハウスカバー3dの天井等の高い位置に取り付けられていてもよい。なお、室外制御装置EDは、取付位置が高いほど、塵埃が溜まりにくくなるため、塵埃の影響を受けにくくなる。
室外制御装置EDは、エアクリーナ室ARの内部のスペースが有効活用されるように、或いは、ワイヤーハーネスの取り付け等の作業が容易に行われるように、縦方向に延びる前壁FWに縦置きの状態で取り付けられている。但し、室外制御装置EDは、図5(A)において破線で示された室外制御装置EDaのように、エンジン室ERを構成する横方向に延びる底板BPに平置きの状態で取り付けられていてもよい。
次に、図6A、図6B、及び図7を参照し、室外制御装置EDの詳細について説明する。本実施形態では、室外制御装置EDは、第4コントローラ33、第5コントローラ34、及びカバー部材BRを含む。図6A及び図6Bは、前壁FWに取り付けられた室外制御装置EDを-X側から見たときの室外制御装置EDの斜視図である。図6Aは、カバー部材BRの一部(第4カバー部材BR4)が取り外された状態にある室外制御装置EDの斜視図である。また、図6Aは、カバー部材BRの内部が見えるように、カバー部材BRの一部(第2カバー部材BR2)については、その輪郭のみを破線で示している。図6Bは、第4カバー部材BR4が取り付けられた状態にある室外制御装置EDの斜視図である。図6Bは、カバー部材BRの全部が取り付けられた状態にある室外制御装置EDの斜視図である。また、図6Bは、カバー部材BRの内部が見えるように、カバー部材BRの一部(第4カバー部材BR4)については、その輪郭のみを破線で示している。図7は、+Y側から見た室外制御装置EDの側面図である。図7は、ワイヤーハーネスHN及び第4カバー部材BR4の図示を省略している。
カバー部材BRは、第4コントローラ33及び第5コントローラ34を取り囲む防水カバーとして機能するように構成されている。本実施形態では、カバー部材BRは、第1カバー部材BR1~第4カバー部材BR4を含み、略直方体状の内部空間ISの6面を覆うように構成されている。但し、第4コントローラ33及び第5コントローラ34のそれぞれが防水性の筐体で覆われている場合には、内部空間ISの6面のうちの少なくとも1つの面の少なくとも一部は、カバー部材BRで覆われていなくてもよい。
また、カバー部材BRは、カバー部材BRを含む室外制御装置EDの慣性質量が所定値以上となるように、金属で形成されている。室外制御装置EDは、後述のように防振部材RCによって全質量が支持されるように構成されているが、慣性質量が所定値未満の場合、防振部材RCによる防振効果を得ることができないためである。この場合、所定値は、防振部材RCのバネ定数に応じて変化する。但し、カバー部材BRは、慣性質量が所定値以上となるのであれば、少なくとも部分的には、合成樹脂等のより軽い材料で形成されていてもよい。
第1カバー部材BR1は、内部空間ISの前側(+X側)及び右側(-Y側)の2つの面を覆うように構成されている。本実施形態では、第1カバー部材BR1は、1枚の金属板に曲げ加工を施すことで形成されている。
第1カバー部材BR1は、防振部材RCを介して前壁FWに取り付けられている。第1カバー部材BR1は、防振部材RCに直接接触する部材である基部として機能する。すなわち、室外制御装置EDは、基部としての第1カバー部材BR1に取り付けられた防振部材RCによって全質量が支持されるように構成されている。
第1カバー部材BR1は、4つの防振部材RCを介して前壁FWに取り付けられている。すなわち、室外制御装置EDは、4つの防振部材RCを介して前壁FWに取り付けられている。但し、室外制御装置EDは、3つ以下の防振部材RCを介して前壁FWに取り付けられていてもよく、5つ以上の防振部材RCを介して前壁FWに取り付けられていてもよい。
4つの防振部材RCは、第1防振部材RC1~第4防振部材RC4を含む。なお、第4防振部材RC4は、図6A、図6B、及び図7では不可視となっている。4つの防振部材RCのそれぞれは、両ボルトタイプの防振部材であり、略円柱状の防振ゴムRBと、防振ゴムRBの中心軸に沿って2方向に延びる2つのスタッドボルトSBと、を含む。
具体的には、第1防振部材RC1は、図7に示すように、第1防振ゴムRB1と、第1防振ゴムRB1の中心軸に沿って前方(+X方向)に延びる第1前側スタッドボルトSB1Fと、第1防振ゴムRB1の中心軸に沿って後方(-X方向)に延びる第1後側スタッドボルトSB1Rとを含む。第1前側スタッドボルトSB1Fは、前壁FWに形成された貫通穴を通って延び、前壁FWの前面側(+X側)で第1前側ナットNT1Fと係合するように構成されている。第1後側スタッドボルトSB1Rは、第1カバー部材BR1に形成された貫通穴と第2カバー部材BR2に形成された貫通穴とを通って延び、第2カバー部材BR2の後面側(-X側)で第1後側ナットNT1Rと係合するように構成されている。第2防振部材RC2~第4防振部材RC4についても同様である。
第2カバー部材BR2は、内部空間ISの上側(+Z側)及び後側(-X側)の2つの面を覆うように構成されている。第3カバー部材BR3は、内部空間ISの下側(-Z側)の面を覆うように構成されている。本実施形態では、第2カバー部材BR2及び第3カバー部材BR3のそれぞれは、1枚の平板状の金属板に曲げ加工を施すことで形成されている。
第2カバー部材BR2は、防振部材RCを利用して第1カバー部材BR1に取り付けられるように構成されている。具体的には、第1防振部材RC1の第1後側スタッドボルトSB1Rは、上述のように、第1カバー部材BR1に形成された貫通穴と第2カバー部材BR2に形成された貫通穴とを通って延び、第2カバー部材BR2の後面側(-X側)で第1後側ナットNT1Rと係合する。同様に、第2防振部材RC2の第2後側スタッドボルトSB2Rは、第1カバー部材BR1に形成された貫通穴と第2カバー部材BR2に形成された貫通穴とを通って延び、第2カバー部材BR2の後面側(-X側)で第2後側ナットNT2Rと係合する。この構成により、第1カバー部材BR1は、第1防振ゴムRB1と第2カバー部材BR2とで挟まれた状態で第1後側スタッドボルトSB1R及び第1後側ナットNT1Rによって締結される。また、第1カバー部材BR1は、第2防振ゴムRB2と第2カバー部材BR2とで挟まれた状態で第2後側スタッドボルトSB2R及び第2後側ナットNT2Rによって締結される。
同様に、第3カバー部材BR3は、防振部材RCを利用して第1カバー部材BR1に取り付けられるように構成されている。具体的には、第3防振部材RC3の第3後側スタッドボルトSB3Rは、第1カバー部材BR1に形成された貫通穴と第3カバー部材BR3に形成された貫通穴とを通って延び、第3カバー部材BR3の後面側(-X側)で第3後側ナットNT3Rと係合する。同様に、第4防振部材RC4(不可視)の第4後側スタッドボルトSB4R(不可視)は、第1カバー部材BR1に形成された貫通穴と第3カバー部材BR3に形成された貫通穴とを通って延び、第3カバー部材BR3の後面側(-X側)で第4後側ナットNT4R(不可視)と係合する。この構成により、第1カバー部材BR1は、第3防振ゴムRB3と第3カバー部材BR3とで挟まれた状態で第3後側スタッドボルトSB3R及び第3後側ナットNT3Rによって締結される。また、第1カバー部材BR1は、第4防振ゴムRB4(不可視)と第3カバー部材BR3とで挟まれた状態で第4後側スタッドボルトSB4R(不可視)及び第4後側ナットNT4R(不可視)によって締結される。
また、第2カバー部材BR2及び第3カバー部材BR3は、ボルトBT(第1ボルトBT31及び第2ボルトBT32)とナットNT(第1ナットNT31及び第2ナットNT32(不可視))とによって、互いに締結される。具体的には、第1ボルトBT31は、図7に示すように、第2カバー部材BR2に形成された貫通穴と第3カバー部材BR3に形成された貫通穴とを通って延び、第3カバー部材BR3の前面側(+X側)で第1ナットNT31と係合する。同様に、第2ボルトBT32は、図7に示すように、第2カバー部材BR2に形成された貫通穴と第3カバー部材BR3に形成された貫通穴とを通って延び、第3カバー部材BR3の前面側(+X側)で第2ナットNT32(不可視)と係合する。
第4カバー部材BR4は、内部空間ISの左側(+Y側)の面を覆うように構成されている。本実施形態では、第4カバー部材BR4は、内部空間ISの左側(+Y側)の面に加え、上側(+Z側)の面の一部と、後側(-X側)の面の一部とを覆うように構成されている。第4カバー部材BR4は、内部空間ISの下側(-Z側)の面の一部を覆うように構成されていてもよい。この場合、内部空間ISの下側(-Z側)の面の一部を覆う部分は、ワイヤーハーネスHNを通すための貫通孔が形成されていてもよい。また、ワイヤーハーネスHNとその貫通孔との間には、防水用グロメット等が取り付けられていてもよい。
また、第2カバー部材BR2及び第4カバー部材BR4は、図6Bに示すように、第1ボルトBT41及び第2ボルトBT42と第1ナットNT41及び第2ナットNT42とによって、互いに締結される。具体的には、第1ボルトBT41は、図6Bに示すように、第2カバー部材BR2の舌部TP1に形成された貫通穴と第4カバー部材BR4の舌部TP2に形成された貫通穴とを通って延び、第2カバー部材BR2の舌部TP1の右面側(-Y側)で第1ナットNT41と係合する。同様に、第2ボルトBT42は、図6Bに示すように、第2カバー部材BR2の舌部TP3に形成された貫通穴と第4カバー部材BR4の舌部TP4に形成された貫通穴とを通って延び、第2カバー部材BR2の舌部TP3の右面側(-Y側)で第2ナットNT42と係合する。
第4コントローラ33としてのDCUは、図7に示すように、その後面(-X側の面)が第2カバー部材BR2の前面(+X側の面)と接触するように、第2カバー部材BR2に取り付けられている。第2カバー部材BR2をヒートシンクとして機能させることで第4コントローラ33の放熱性を高めるためである。具体的には、第4コントローラ33は、その後面に部分的に埋め込まれるようにして取り付けられた4つのスタッドボルトSBを含む。4つのスタッドボルトSBは、第1スタッドボルトSB21~第4スタッドボルトSB24を含む。第1スタッドボルトSB21は、第3カバー部材BR3に形成された貫通穴を通って延び、第3カバー部材BR3の後面側(-X側)で第1ナットNT21と係合する。第2スタッドボルトSB22~第4スタッドボルトSB24についても同様である。この構成により、第4コントローラ33は、その後面を第3カバー部材BR3の前面に接触させた状態で4組のスタッドボルトSB及びナットNTによって締結される。
第5コントローラ34としてのECUは、図7に示すように、その上面(+Z側の面)が第2カバー部材BR2の下面(-Z側の面)と接触するように、第2カバー部材BR2に取り付けられ、且つ、その下面(-Z側の面)が第3カバー部材BR3の上面(+Z側の面)と接触するように、第3カバー部材BR3に取り付けられている。具体的には、第5コントローラ34は、その上面に部分的に埋め込まれるようにして取り付けられた2つのスタッドボルトSBと、その下面に部分的に埋め込まれるようにして取り付けられた2つのスタッドボルトSBとを含む。4つのスタッドボルトSBは、第1スタッドボルトSB11~第4スタッドボルトSB14を含む。なお、第4スタッドボルトSB14は、図6A、図6B、及び図7では不可視となっている。第1スタッドボルトSB11は、第2カバー部材BR2に形成された貫通穴を通って延び、第2カバー部材BR2の上面側(+Z側)で第1ナットNT11と係合する。第2スタッドボルトSB12についても同様である。また、第3スタッドボルトSB13は、第3カバー部材BR3に形成された貫通穴を通って延び、第3カバー部材BR3の下面側(-Z側)で第3ナットNT13と係合する。第4スタッドボルトSB14(不可視)についても同様である。この構成により、第5コントローラ34は、その上面を第2カバー部材BR2の下面に接触させた状態で2組のスタッドボルトSB及びナットNTによって第2カバー部材BR2に締結され、且つ、その下面を第3カバー部材BR3の上面に接触させた状態で2組のスタッドボルトSB及びナットNTによって第3カバー部材BR3に締結される。
このように、第1カバー部材BR1~第3カバー部材BR3のそれぞれは、第4コントローラ33及び第5コントローラ34を前壁FWに取り付けるためのブラケットとしての機能も果たす。
また、第5コントローラ34は、図7に示すように、第4コントローラ33と接触しないように、すなわち、その後面と第4コントローラ33の前面との間に間隔が形成されるように配置されている。一方の熱が熱伝導によって他方に伝わるのを防止するためである。但し、第5コントローラ34は、熱的に問題がないのであれば、第4コントローラ33と接触するように配置されていてもよい。
また、第5コントローラ34は、図7に示すように、X軸方向において第4コントローラ33と重なるように配置されている。この重ね配置は、室外制御装置EDのY軸方向における長さ及びZ軸方向における長さが過度に大きくなるのを防止できる。
第4コントローラ33及び第5コントローラ34のそれぞれの左側(+Y側)には、図6A及び図6Bに示すように、ワイヤーハーネスHNのオスコネクタMCを接続するためのメスコネクタFCが配置されている。なお、第4コントローラ33及び第5コントローラ34のそれぞれの左側(+Y側)には、ワイヤーハーネスHNのメスコネクタを接続するためのオスコネクタが配置されていてもよい。この配置により、室外制御装置EDは、雨滴又は結露に起因する水分が、オスコネクタMC又はメスコネクタFCに関する凹部に溜まるのを防止できる。凹部が横向きになるためである。言い換えれば、コントローラの上側(+Z側)にコネクタが配置される場合、或いは、コントローラの下側(-Z側)にコネクタが配置される場合には、上向きの凹部に水分が溜まるおそれがあるためである。
以上の構成により、室外制御装置EDは、第4コントローラ33及び第5コントローラ34が過度に振動してしまうのを防止できる。防振部材RCを介して前壁FWに取り付けられるためである。すなわち、室外制御装置EDは、ショベル100の作業中に上部旋回体3が振動する場合であっても、第4コントローラ33及び第5コントローラ34が許容加速度より大きい加速度で動いてしまうのを防止できる。
また、上述の構成は、室外制御装置EDの設置面積を小さくすることができる。第2カバー部材BR2及び第3カバー部材BR3に取り付けられる第4コントローラ33と第5コントローラ34とがX軸方向において重なるように配置されるためである。すなわち、第4コントローラ33と第5コントローラ34との重ね配置は、室外制御装置EDが前壁FWにおける限られたスペースに取り付けられるのを可能にする。そのため、この重ね配置は、室外制御装置EDの省スペース化を実現できる。
また、上述の構成では、カバー部材BRは、第4コントローラ33及び第5コントローラ34を前壁FWに取り付けるためのブラケットとしての機能と、雨水等から第4コントローラ33及び第5コントローラ34を保護するための防水カバーとしての機能とを同時に実現するように構成されている。そのため、上述の構成は、ブラケットとしての機能と防水カバーとしての機能とが別々の部材で実現される場合に比べ、室外制御装置EDの省スペース性を高めることができる。また、上述の構成は、防水カバーとしての機能を実現するための別の部材を不要とするため、室外制御装置EDの組み立てに要する工数の削減を実現できる。
次に、図8を参照し、室外制御装置EDの別の構成例について説明する。図8は、室外制御装置EDの別の構成例の側面図であり、図7に対応する。
図8に示す室外制御装置EDは、カバー部材BRが前側カバー部材BR11、後側カバー部材BR12、及び第4カバー部材BR4(不図示)で構成されている点で、カバー部材BRが第1カバー部材BR1~第4カバー部材BR4で構成されている図7に示す室外制御装置EDと異なる。
前側カバー部材BR11は、内部空間ISの前側(+X側)、上側(+Z側)、下側(-Z側)、及び右側(-Y側)の4つの面を覆うように構成されている。すなわち、前側カバー部材BR11は、図7に示す第1カバー部材BR1と、第3カバー部材BR3と、第2カバー部材BR2のうちの、内部空間ISの後側(-X側)の面を覆う部分以外の部分と、を統合した部材に相当する。そのため、前側カバー部材BR11には、防振部材RCに直接接触する部材である基部(図7に示す第1カバー部材BR1に相当する部分)が一体的に統合されている。
後側カバー部材BR12は、内部空間ISの後側(-X側)の面を覆うように構成されている。すなわち、後側カバー部材BR12は、図7に示す第2カバー部材BR2のうちの、内部空間ISの後側(-X側)の面を覆う部分に相当する。
この構成により、図8に示す室外制御装置EDは、図7に示す室外制御装置EDによる効果と同様の効果を実現できる。
その上で、図8に示す室外制御装置EDは、図7に示す室外制御装置EDに比べ、防水性及び組立性を高めることができる。図8に示す室外制御装置EDは、2つのカバー部材BR(前側カバー部材BR11及び後側カバー部材BR12)で内部空間ISの5つの面(前側(+X側)、上側(+Z側)、下側(-Z側)、右側(-Y側)、及び後側(-X側)の面)を覆うように構成されているためである。これに対し、図7に示す室外制御装置EDは、3つのカバー部材BR(第1カバー部材BR1~第3カバー部材BR3)で内部空間ISの5つの面を覆うように構成されている。
次に、図9を参照し、室外制御装置EDの更に別の構成例について説明する。図9は、室外制御装置EDの更に別の構成例の側面図であり、図8に対応する。
図9に示す室外制御装置EDは、4つの防振部材RCのうちの2つ(第3防振部材RC3及び第4防振部材RC4)の中心軸がZ軸方向に平行に延びるように配置されている点で、4つの防振部材RCの全ての中心軸がX軸方向に平行に延びるように配置されている図8に示す室外制御装置EDと異なる。
すなわち、図9に示す室外制御装置EDは、第1防振部材RC1及び第2防振部材RC2の前壁FWに対する取り付け角度と、第3防振部材RC3及び第4防振部材RC4の前壁FWに対する取り付け角度とが90度だけ異なるように構成されている。
また、図9に示す例では、前壁FWは、Z軸方向に平行に延びる第1部分FW1と、X軸方向に平行に延びる第2部分FW2とを含む。そして、4つの防振部材RCのうちの2つである第3防振部材RC3及び第4防振部材RC4は、前壁FWの第2部分FW2と、前側カバー部材BR11との間に配置されている。なお、第2防振部材RC2及び第4防振部材RC4は、図9では不可視となっている。
この構成により、図9に示す室外制御装置EDは、図8に示す室外制御装置EDによる効果と同様の効果を実現できる。
その上で、図9に示す構成は、室外制御装置EDの振動をより確実に抑えることができる。取り付け角度の異なる防振部材RCを備えているためである。なお、室外制御装置EDの振動は、X軸に平行な軸回りの振動、Y軸に平行な軸回りの振動、及び、Z軸に平行な軸回りの振動を含む。
また、取り付け角度の違いは、90度未満であってもよく、90度以上であってもよい。また、室外制御装置EDは、3つ以上の防振部材RCのそれぞれの取り付け角度が互いに異なるように構成されていてもよい。
次に、図10を参照し、防振ゴムRBの別の構成例である防振ゴムRBaについて説明する。図10(A)は、防振ゴムRBaの斜視図である。図10(B)は、室外制御装置EDを前壁FWに取り付ける際に利用された防振ゴムRBaの断面図である。
図10(A)に示すように、防振ゴムRBaは、略円筒形状をなし、中央部には段付きねじSCを受け入れる貫通孔Hrを有し、且つ、円筒面には第1カバー部材BR1を受け入れる溝部GRを有するように構成されている。
防振ゴムRBaは、図10(B)に示すように、第1カバー部材BR1に形成された貫通孔Hbと溝部GRとがかみ合うように貫通孔Hbに嵌め込まれる。
段付きねじSCは、図10(B)に示すように、ワッシャWSに形成された貫通孔Hwと防振ゴムRBaに形成された貫通孔Hrとを貫通し、且つ、前壁FWに形成されたねじ穴Hfにねじ込まれるように構成されている。
このようにして、室外制御装置EDの基部を構成する第1カバー部材BR1は、防振ゴムRBaを介して前壁FWに取り付けられる。
次に、図11を参照し、室外制御装置EDの更に別の構成例について説明する。図11は、室外制御装置EDの更に別の構成例の側面図であり、図7に対応する。
図11に示す室外制御装置EDは、図10(A)に示すような防振ゴムRBaが第1カバー部材BR1及び第2カバー部材BR2の前側(+X側)及び後側(-X側)に延びるように配置されている点で、防振ゴムRBが第1カバー部材BR1の前側(+X側)のみに配置されている図7に示す室外制御装置EDと異なる。
具体的には、防振ゴムRBaは、第1防振ゴムRBa1~第4防振ゴムRBa4を含む。図11では、第2防振ゴムRBa2及び第4防振ゴムRBa4は不可視となっている。
図11に示す例では、第1防振ゴムRBa1は、第1カバー部材BR1に形成された貫通孔Hb1と第2カバー部材BR2に形成された貫通孔Hb2とが重ね合わされた状態で、貫通孔Hb1及び貫通孔Hb2と溝部GRとがかみ合うように貫通孔Hb1及び貫通孔Hb2に嵌め込まれる。
そして、第1防振ゴムRBa1は、第1スタッドボルトSB1、第1前側ナットNT1F、第1後側ナットNT1R、及び2つのワッシャWSを用いて前壁FWに取り付けられる。
具体的には、第1スタッドボルトSB1は、ワッシャWSに形成された貫通孔Hw(図10(B)参照。)と、第1防振ゴムRBa1に形成された貫通孔Hr(図10(A)参照。)と、前壁FWに形成された貫通孔Hf1とを貫通するように配置される。そして、第1スタッドボルトSB1は、前壁FWの前面側(+X側)で第1前側ナットNT1Fと係合するように、且つ、第2カバー部材BR2の後面側(-X側)で第1後側ナットNT1Rと係合するように構成されている。第2防振ゴムRBa2~第4防振ゴムRBa4についても同様である。
このようにして、室外制御装置EDは、防振ゴムRBaを介して前壁FWに取り付けられる。
上述のように、本発明の実施形態に係るショベル100は、例えば図7に示すように、ショベル100の本体に防振部材RCを介して取り付けられる基部としての第1カバー部材BR1と、第1カバー部材BR1を覆うカバー部材としての第2カバー部材BR2~第4カバー部材BR4と、を有する。そして、第1カバー部材BR1~第4カバー部材BR4で形成された内部空間ISにはコントローラとしての第4コントローラ33及び第5コントローラ34が配置されている。ショベル100の本体は、例えば、旋回フレーム3b、ハウスカバー3d、又はハウスフレーム等の上部旋回体3を構成する構造物を含む。第4カバー部材BR4は省略されてもよい。
このように、ショベル100は、コントローラが設置される位置をより柔軟に決定できるように構成されている。所望の防水性及び防振性を実現しながら第4コントローラ33及び第5コントローラ34がキャビン10の外部に設置されるのを可能にするためである。
内部空間ISには、複数のコントローラが離間した状態で重なるように配置されていてもよい。例えば、内部空間ISには、図7に示すように、第4コントローラ33としてのDCUと第5コントローラ34としてのECUとが離間した状態でX軸方向において重なるように配置されている。
この重ね配置は、室外制御装置EDのY軸方向における長さ及びZ軸方向における長さが過度に大きくなるのを防止できる。また、この重ね配置は、室外制御装置EDが前壁FWにおける限られたスペースに取り付けられるのを可能にする。そのため、この重ね配置は、室外制御装置EDの省スペース化を実現できる。
内部空間ISに配置された複数のコントローラのうちの少なくとも1つは、カバー部材BRに取り付けられていてもよい。例えば、図7に示すように、内部空間ISに配置された第4コントローラ33は、第2カバー部材BR2と第3カバー部材BR3とに取り付けられており、第5コントローラ34は、第2カバー部材BR2に取り付けられている。そして、第2カバー部材BR2及び第3カバー部材BR3は何れも、ブラケット及び防水カバーとして機能するように構成されている。この構成は、ブラケットとしての機能と防水カバーとしての機能とが別々の部材で実現される場合に比べ、室外制御装置EDの省スペース性を高めることができる。また、この構成は、防水カバーとしての機能を実現するための別の部材を不要とするため、室外制御装置EDの組み立てに要する工数の削減を実現できる。
防振部材RCは、異なる取り付け角度で建設機械の本体に取り付けられていてもよい。例えば、図9に示す例では、4つの防振部材RCのうちの2つである第1防振部材RC1及び第2防振部材RC2の前壁FWに対する取り付け角度と、4つの防振部材RCのうちの別の2つである第3防振部材RC3及び第4防振部材RC4の前壁FWに対する取り付け角度とが90度だけ異なるように構成されている。そのため、図9に示す構成は、室外制御装置EDの振動をより確実に抑えることができる。3軸回りの振動(X軸に平行な軸回りの振動、Y軸に平行な軸回りの振動、及び、Z軸に平行な軸回りの振動)のそれぞれを、取り付け角度の異なる2種類の防振部材RCを利用して抑えることができるためである。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、別々に説明された特徴は、技術的な矛盾が生じない限り、組み合わせが可能である。
例えば、上述の実施形態では、第1コントローラ30~第3コントローラ32は、室内制御装置IDとしてキャビン10の内部に設置されている。そして、第4コントローラ33及び第5コントローラ34は、室外制御装置EDの構成要素として、キャビン10の外部に設置されている。しかしながら、第1コントローラ30~第3コントローラ32のうちの少なくとも1つは、室外制御装置EDの構成要素として、キャビン10の外部に設置されていてもよい。また、第4コントローラ33及び第5コントローラ34の少なくとも1つは、室内制御装置IDとしてキャビン10の内部に設置されていてもよい。例えば、第1コントローラ30~第5コントローラ34の全ては、室外制御装置EDの構成要素として、キャビン10の外部に設置されていてもよい。この場合、5つのコントローラは、3段重ね、4段重ね、又は5段重ねとなるように配置されていてもよい。
何らかの理由により全てのコントローラをキャビン10の内部に設置できない場合、何れのコントローラをキャビン10の外部に設置するかを決定する必要がある。この場合、典型的には、制御対象が共通化されている等の理由により、サイズ(太さ)の異なる複数種類のワイヤーハーネスが接続される可能性が低い1又は複数のコントローラは、室内制御装置IDとしてキャビン10の内部に設置される。一方で、制御対象(例えばエンジン11又は排気ガス処理装置55)が共通化されていない等の理由により、サイズ(太さ)の異なる複数種類のワイヤーハーネスが接続される可能性が高い1又は複数のコントローラは、室外制御装置EDの構成要素としてキャビン10の外部に設置される。サイズ(太さ)の異なる複数種類のワイヤーハーネスが接続される可能性が高い1又は複数のコントローラがキャビン10の内部に設置された場合、ワイヤーハーネス等をキャビン10の内部に通すためにキャビン10に形成されている貫通孔とそのコントローラに接続される(太い)ワイヤーハーネスとが干渉したり、或いは、その貫通孔とそのコントローラに接続される(細い)ワイヤーハーネスとの間に大きな隙間が生じてしまったりするおそれがあるためである。また、キャビン10に形成される貫通孔は、そのサイズを容易に変更できないためである。
上述の実施形態では、サイズ(太さ)の異なる複数種類のワイヤーハーネスが接続される可能性が高い1又は複数のコントローラは、DCUとしての第4コントローラ33、及び、ECUとしての第5コントローラである。ショベルの機種によっては、ICTコントローラとしての第3コントローラ32は、サイズ(太さ)の異なる複数種類のワイヤーハーネスが接続される可能性が高いコントローラとなり得る。また、サイズ(太さ)の異なる複数種類のワイヤーハーネスが接続される可能性が低い1又は複数のコントローラは、マシン・マネジメント・コントローラとしての第1コントローラ30、表示システムに関する制御装置としての第2コントローラ31、及び、ICTコントローラとしての第3コントローラ32である。
また、上述の実施形態では、第4コントローラ33は、第5コントローラ34の後側(-X側)で、X軸方向において第5コントローラ34と重なるように配置されているが、図12に示すように、第5コントローラ34の前側(+X側)で、X軸方向において第5コントローラ34と重なるように配置されていてもよい。
図12は、室外制御装置EDの更に別の構成例であり、図8に対応している。図12に示す室外制御装置EDは、前側カバー部材BR11が内部空間ISの前側(+X側)の面を覆うように構成され、且つ、後側カバー部材BR12が内部空間ISの後側(-X側)、上側(+Z側)、下側(-Z側)、及び右側(-Y側)の4つの面を覆うように構成されている点においても、図8に示す室外制御装置EDと異なる。この場合、第4コントローラ33は、その上面が第2カバー部材BR2の下面と接触するように第2カバー部材BR2に取り付けられ、且つ、その下面が第3カバー部材BR3の上面と接触するように第3カバー部材BR3に取り付けられていてもよい。また、第5コントローラ34は、その後面(-X側の面)が第2カバー部材BR2の前面(+X側の面)と接触するように、第2カバー部材BR2に取り付けられていてもよい。
また、第4コントローラ33と第5コントローラ34とは、X軸方向において互いに重ならないように配置されていてもよい。この場合、第4コントローラ33は、前壁FWまでの距離が、第5コントローラ34と前壁FWとの間の距離と等しくなるように配置されていてもよい。
また、上述の実施形態では、室外制御装置EDは、2つのコントローラ(第4コントローラ33及び第5コントローラ34)を含むように構成されているが、1つのコントローラのみを含むように構成されていてもよく、3つ以上のコントローラを含むように構成されていてもよい。
また、上述の実施形態では、室外制御装置EDは、建設機械の一例としてのショベル100を構成する構造物に取り付けられているが、アスファルトフィニッシャ又はロードローラ等の他の建設機械を構成する構造物に取り付けられていてもよい。