JP7435850B2 - 電池用外装材及び電池 - Google Patents

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Description

本発明は、電池用外装材及び電池に関する。
従来、電池用外装材として、金属を絞り成形し円筒形状又は角筒形状とした金属製容器(金属缶容器)や、樹脂層や金属箔層(主にアルミニウム箔)等を積層した積層フィルムを用いたラミネート型容器が使用されているが、ラミネート型容器を使用した電池(ラミネート型電池)は、軽量化、体積密度向上に適している。
リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池などの電池用外装材にラミネート型容器を使用する場合、その形態、使用方法としては、例えば、積層フィルムを、冷間絞り成形により周囲にフランジ部を備えたトレー状容器に成形し、形成された凹部に電池の構成材料を収納するとともに、電極端子を外側に延長し、その上部を積層フィルム製の蓋材で覆って、フランジ部で熱接着して密封し、電池を形成する方法、あるいは、積層フィルムを、三方シール形式、四方シール形式、ピローパウチ形式などで、一端が開口する袋状に製袋し、内部に電池の構成材料を収納するとともに、電極端子を内部から開口部を通して外側に延長し、その開口部を熱接着により封止して電池を形成する方法などがある。電池内容物をより多く収納し、エネルギー密度を高くできることから、前者が用いられることが多い。
このような電池の外装材に用いる積層フィルムは、外装の形状として、成形加工を施したトレー状容器形式を採るか、或いは、製袋による袋形式を採るかにより、積層材料の材質や厚さなどを若干変える必要があるが、できるだけ積層フィルムの厚さを薄くするためには、外側から、基材フィルム層、金属箔層、熱接着性樹脂層が順に積層された構成を基本とし、必要に応じて、これに接着層、表面保護層などを付加した構成を採ることができる。
ここで、積層フィルムを冷間絞り成形するタイプの電池用外装材の場合、成形性が特に重要となる。具体的には、積層フィルムの冷間絞り成形時にクラック、ピンホール等の不具合を生じることなく凹部を成形できること、該不具合を生じることなく成形し得る凹部の深さ(例えば深絞り成形における成型絞り深さ)の向上等が求められる。
例えば、特許文献1には、基材の一方の面に設けられた第一の接着剤層の赤外線吸収スペクトルにおける、C=OとN-Hとの吸収バンドの強度の比が0.8以上にしたリチウムイオン電池用外装材が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載のようなリチウムイオン電池用外装材では接着層の合成に際し過剰なポリイソシアネート系硬化剤を配合する必要があるため、接着層のウレタン結合による架橋が多くなって上記接着層が硬くなりすぎ、リチウムイオン電池用外装材の成形時に作用する引張応力を緩和できず成形性が低下するという問題があった。
特開2013-218990号公報
本発明は、上記現状に鑑みて、優れた成形性を有する電池用外装材及び該電池用外装材を用いてなる電池を提供することを目的とするものである。
本発明は、少なくとも、基材層、接着層、バリアー層、及び、熱接着性樹脂層が積層された電池用外装材であって、上記接着層は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で測定したN-Hピークの強度とC=Oピークの強度との比(N-H/C=O)が0.20以上0.50以下であることを特徴とする電池用外装材である。
本発明の電池用外装材において、上記接着層は、ポリエステルポリオール又はポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物からなる主剤と、ポリイソシアネート系硬化剤とを反応させてなるポリエステルウレタンを含有することが好ましい。
また、本発明は、少なくとも正極、負極、及び、電解質を備えた電池素子が本発明の電池用外装材を用いた包装体中に収容されていることを特徴とする電池でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、数値範囲について「以上」、「以下」と明記している箇所を除き、「~」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2~15mmは、2mm以上15mm以下を意味する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、基材層とバリアー層とを接着する接着層をフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)でN-Hピークの強度とC=Oピークの強度とを測定し、これらの比(N-H/C=O)が所定の範囲内となるよう制御することで、上記基材層とバリアー層との接着性が優れたものとなり、その結果、冷間絞り成形において成形性に優れた電池用外装材とすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の電池用外装材は、上述した構成からなるものであるため、成形性が極めて優れたものとなり、冷間絞り成形により好適に電池用容器の成形が可能となる。
本発明の電池用外装材の断面構造の一例を示す図である。
図1に示したように、本発明の電池用外装材10は、基材層11、接着層12、バリアー層13及び熱接着性樹脂層14が順次積層された積層体である。なお、図1は、本発明の電池用外装材の断面構造の一例を示す図である。
本発明の電池用外装材10において、基材層11が最外層になり、熱接着性樹脂層14が最内層になるが、例えば、基材層11の接着層12側と反対側面には公知の表面保護層が設けられていてもよい。
このような構成の本発明の電池用外装材10は、電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置する熱接着性樹脂層14同士を熱シールさせて電池素子を密封することにより、電池素子が封止され電池を得ることができる。
本発明の電池用外装材は、基材層を有する。
上記基材層を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に限定されるものではない。
上記基材層を形成する素材としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、珪素樹脂、フェノール樹脂、及びこれらの混合物や共重合物等の樹脂フィルムが挙げられる。これらの中でも、好ましくはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が挙げられ、より好ましくは2軸延伸ポリエステル樹脂、2軸延伸ポリアミド樹脂が挙げられる。
上記ポリエステル樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。
また、上記ポリアミド樹脂としては、具体的には、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等が挙げられる。
上記基材層は、1層の樹脂フィルムから形成されていてもよいが、耐ピンホール性や絶縁性を向上させるために、2層以上の樹脂フィルムで形成されていてもよい。
上記基材層を多層の樹脂フィルムで形成する場合、2以上の樹脂フィルムは、接着剤又は接着性樹脂などの接着成分とした接着層を介して積層させればよく、使用される接着成分の種類や量等については、後述する接着層の場合と同様である。
なお、2層以上の樹脂フィルムを積層させる方法としては特に限定されず、公知方法が採用でき、例えば、ドライラミネート法、サンドイッチラミネート法、共押出ラミネート法などが挙げられ、好ましくはドライラミネート法が挙げられる。
上記ドライラミネート法により積層させる場合には、上記接着層としてウレタン系接着剤を用いることが好ましい。このとき、接着層の厚みとしては、例えば2~5μm程度が挙げられる。なお、共押出ラミネート法による場合、共押出ラミネート法で積層した積層体に必要により延伸加工を行って2層以上の樹脂フィルムを積層させてもよい。
上記基材層の厚みについては、基材層としての機能を発揮すれば特に限定されないが、例えば、1~50μm程度、好ましくは3~25μm程度、より好ましくは3~15μm程度が挙げられる。
本発明の電池用外装材は、接着層を有する。
本発明において、上記接着層は、上記基材層とバリアー層とを強固に接着させるために、これらの間に設けられる層である。
本発明の電池用外装材において、上記接着層は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で測定したN-Hピークの強度とC=Oピークの強度との比(N-H/C=O)を所定の範囲に制御する。これは、本発明の電池用外装材において、上記接着層はウレタン結合を有する樹脂成分を含むことを意味しており、このようなウレタン結合を有する樹脂成分を含むことで、本発明の電池用外装材は、接着層の硬さが充分なものとなり基材層、接着層及びバリアー層が一体化したような積層体となり、成形性に優れたものとすることができる。
このようなウレタン結合を有する樹脂成分を含む接着層のFT-IRでは、1530cm-1付近にN-Hピークが現れ、1730cm-1付近にC=Oピークが現れる。
また、上記ウレタン結合を有する樹脂成分は、通常、主剤であるカルボキシル基を有するポリエステルと、イソシアネート系硬化剤との反応により合成されるが、上記FT-IRのN-Hピークは、主剤と硬化剤との反応により合成されるウレタン結合のN-Hに由来するため、上記主剤と硬化剤との反応の進行にともない増加する。一方、上記FT-IRのC=Oピークは、主剤と硬化剤との反応の前後で強度は変化しない。これは、上記C=Oピークは、反応後のウレタン結合、原料の主剤のカルボキシル基及び硬化剤のイソシアネート基に含まれるC=Oに由来するものであり、上記主剤と硬化剤との反応の前後でC=Oの数に変化がないため、上記C=Oピークの強度に反応の前後で変化がないのである。
なお、上述した従来のリチウムイオン電池用外装材の接着層のC=OとN-Hとの吸収バンドの強度の比は0.8以上であるが、このような高い値とするために、従来のリチウムイオン電池用外装材は、接着層の合成に際し過剰なポリイソシアネート系硬化剤を配合する。これは、上記C=Oに相当する吸収バンドがポリウレタン系接着剤の主剤のエステル結合のC=O、及び該主剤とポリイソシアネート系硬化剤との反応により形成されたウレタン結合のC=Oに起因するとしているためである。すなわち、従来のリチウムイオン電池用外装材における接着層は、ウレタン結合中と主剤のエステル結合とにだけC=Oを有するものである。
本発明の電池用外装材において、上記接着層のFT-IRで測定したN-Hピークの強度とC=Oピークの強度との比(N-H/C=O)は0.20以上0.50以下である。上記(N-H/C=O)が上記範囲にあるということは、上述したウレタン結合による架橋が進行して接着層の硬さが充分な範囲にあることを意味している。上記(N-H/C=O)が0.20未満であると、上記ウレタン結合による架橋が充分でなく接着層が柔らかいため、本発明の電池用外装材を成形する際に上記接着層に応力が集中し、基材層やバリアー層とに作用する応力のバランスが崩れ、基材層/接着層/バリアー層が一体化したような成形ができなくなって成形性が低下する。一方、上記(N-H/C=O)が0.50より大きいと、上記ウレタン結合による架橋が多くなり上記接着層が硬くなりすぎ、本発明の電池用外装材の成形時に作用する引張応力を緩和できず、成形性が低下する。上記(N-H/C=O)の好ましい下限は0.23、より好ましい下限は0.27であり、好ましい上限は0.45、より好ましい上限は0.40である。
本発明の電池用外装材において、上記接着層は、ポリエステルポリオール又はポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物からなる主剤と、ポリイソシアネート系硬化剤とを反応させてなるポリエステルウレタンを含有することが好ましい。このような構成の接着層は、上記(N-H/C=O)を好適に制御することができる。
主剤としてのポリエステルポリオールとしては、例えば、少なくとも1種の多塩基酸と、少なくとも1種のジオールを反応させて得られるものが挙げられる。
上記多塩基酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸などの脂肪族系二塩基酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族系二塩基酸等の二塩基酸等が挙げられる。
また、上記ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなど脂肪族系ジオール、シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリーコル等の脂環式系ジオール、キシリレングリーコルなどの芳香族系ジオール等が挙げられる。
また、上記主剤としてのポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物としては、例えば、上記ポリエステルポリオールの両末端の水酸基を、イソシアネート化合物の単体、又は少なくとも一種のイソシアネート化合物からなるアダクト体、ビューレット体もしくはイソシアヌレート体を用いて鎖伸長したポリエステルウレタンポリオールなどが挙げられる。
上記イソシアネート化合物としては、例えば、2,4-若しくは2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4-もしくは2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル-4,4’-ジイソシアネート等が挙げられる。
これらの主剤は、求められる機能や性能に応じて、いずれか1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記ポリイソシアネート系硬化剤に含まれるイソシアネート系化合物としては、具体的には、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリフェニルメタンジイソシアネート(ポリメリックMDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ビス(4-イソシアネートシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(1,5-NDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニレンジイソシアネート(TODI)、キシレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族ジイソシアネート;トラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;1,5-ナフタレンジイソシアネート(1,5-NDI)等の多環芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。
上記アダクト体としては、具体的には、上記ポリイソシアネートに、トリメチロールプロパン、グリコール等を付加したものが挙げられる。
これらのイソシアネート系化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記ポリエステルウレタンにおけるポリイソシアネート系硬化剤の配合量としては、上記主剤の水酸基価と上記ポリイソシアネート系硬化剤のイソシアネート価とに応じて、接着層の(N-H/C=O)が上述した範囲となるよう適宜制御する。具体的には、上記主剤の水酸基価に対して、上記ポリイソシアネート系硬化剤のイソシアネート価の下限が2倍、上限が5倍となることが好ましい。
上記(N-H/C=O)の測定は、市販のフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いて実施できる。
上記(N-H/C=O)は、以下の手順で求めることができる。
すなわち、本発明の電池用外装材の基材層を剥がして接着層を露出させ、そのIRスペクトルを、KRS-5プリズムやZnSeプリズム等を用いたATR法により測定する。得られた吸収スペクトルにおけるバックグラウンドからC=O、N-Hの吸収バンドのピークトップまでの高さを、測定装置に付属の演算ソフト等を用いて求め、その結果から、強度比(N-H/C=O)を算出する。
上記接着層の厚さについては、接着層としての機能を発揮すれば特に限定されないが、例えば、1~10μm程度、好ましくは2~5μm程度が挙げられる。
本発明の電池用外装材はバリアー層を有する。
上記バリアー層は、本発明の電池用外装材の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光などが侵入することを防止するためのバリアーとして機能する層である。
上記バリアー層は金属で構成されていることが好ましく、上記金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタンなどが挙げられ、好ましくはアルミニウムが挙げられる。
上記バリアー層は、例えば、金属箔や、金属蒸着膜、無機酸化物蒸着膜、これらの蒸着膜を設けたフィルムなどにより形成することができ、金属箔により形成することが好ましく、アルミニウム箔又はステンレス鋼箔により形成することがより好ましい。
本発明の電池用外装材の製造時に、バリアー層にしわやピンホールが発生することを防止する観点からは、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS H4160:1994 A8021H-O、JIS H4160:1994 A8079H-O、JIS H4000:2014 A8021P-O、JIS H4000:2014 A8079P-O)など軟質アルミニウム箔により形成することがさらに好ましい。
また、ステンレス鋼箔としては、オーステナイト系、フェライト系、オーステナイト・フェライト系、マルテンサイト系、析出硬化系のステンレス鋼箔などが挙げられる。さらに成形性に優れた蓄電デバイス用外装材を提供する観点から、ステンレス鋼箔は、オーステナイト系のステンレス鋼により構成されていることが好ましい。
上記ステンレス鋼箔を構成するオーステナイト系のステンレス鋼の具体例としては、SUS304、SUS301、SUS316Lなどが挙げられ、これら中でも、SUS304が特に好ましい。
上記バリアー層の厚みは、バリアー層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、10~50μm程度、好ましくは20~40μm程度とすることができる。
また、上記バリアー層は、接着の安定化、溶解や腐食の防止などのために、少なくとも一方の面、好ましくは両面が化成処理されていることが好ましい。ここで、化成処理とは、バリアー層の表面に耐酸性皮膜を形成する処理をいう。化成処理としては、例えば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロムなどのクロム酸化合物を用いたクロム酸クロメート処理;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、ポリリン酸などのリン酸化合物を用いたリン酸クロメート処理;下記一般式(1)~(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体を用いたクロメート処理などが挙げられる。なお、当該アミノ化フェノール重合体において、下記一般式(1)~(4)で表される繰り返し単位は、1種類単独で含まれていてもよいし、2種類以上の任意の組み合わせであってもよい。
Figure 0007435850000001
Figure 0007435850000002
Figure 0007435850000003
Figure 0007435850000004
一般式(1)~(4)中、Xは、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基又はベンジル基を示す。また、R及びRは、それぞれ同一または異なって、ヒドロキシル基、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。
一般式(1)~(4)において、X、R及びRで示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基などの炭素数1~4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。また、X、R及びRで示されるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、1-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、4-ヒドロキシブチル基などのヒドロキシ基が1個置換された炭素数1~4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。上記一般式(1)~(4)において、X、R及びRで示されるアルキル基及びヒドロキシアルキル基は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記一般式(1)~(4)において、Xは、水素原子、ヒドロキシル基又はヒドロキシアルキル基であることが好ましい。
上記一般式(1)~(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、例えば、500~100万であることが好ましく、1000~2万程度であることがより好ましい。
また、上記バリアー層に耐食性を付与する化成処理方法として、リン酸中に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズなどの金属酸化物や硫酸バリウムの微粒子を分散させたものをコーティングし、150℃以上で焼付け処理を行うことにより、上記バリアー層の表面に耐食処理層を形成する方法が挙げられる。また、耐食処理層の上には、カチオン性ポリマーを架橋剤で架橋させた樹脂層をさらに形成してもよい。ここで、カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフト重合させた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノフェノールなどが挙げられる。これらのカチオン性ポリマーとしては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する化合物、シランカップリング剤などが挙げられる。これらの架橋剤としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記化成処理は、1種類の化成処理のみを行ってもよいし、2種類以上の化成処理を組み合わせて行ってもよい。さらに、これらの化成処理は、1種の化合物を単独で使用して行ってもよく、また2種以上の化合物を組み合わせて使用して行ってもよい。化成処理の中でも、クロム酸クロメート処理や、クロム酸化合物、リン酸化合物、及びアミノ化フェノール重合体を組み合わせたクロメート処理などが好ましい。
上記化成処理において、上記バリアー層の表面に形成させる耐酸性皮膜の量については特に限定されないが、例えば、上記のクロメート処理を行う場合であれば、上記バリアー層の表面1m当たり、クロム酸化合物がクロム換算で好ましくは約0.5~約50mg、より好ましくは約1.0~約40mg、リン化合物がリン換算で好ましくは約0.5~約50mg、より好ましくは約1.0~約40mg、及び、アミノ化フェノール重合体が好ましくは約1~約200mg、より好ましくは約5.0~150mgの割合で含有されていることである。
上記化成処理は、耐酸性皮膜の形成に使用する化合物を含む溶液を、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法などによって、上記バリアー層の表面に塗布した後に、上記バリアー層の温度が70℃~200℃程度になるように加熱することにより行われる。また、上記バリアー層に化成処理を施す前に、予め上記バリアー層を、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法などによる脱脂処理に供してもよい。このように脱脂処理を行うことにより、上記バリアー層の表面の化成処理をより効率的に行うことが可能となる。
本発明の電池用外装材は、熱接着性樹脂層を有する。
上記熱接着性樹脂層は、本発明の電池用外装材の最内層に該当し、電池の組み立て時に上記熱接着性樹脂層同士が熱溶着して電池素子を密封する層である。
上記熱接着性樹脂層に使用される樹脂成分については、熱溶着可能であることを限度として特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンが挙げられる。
上記ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等のポリプロピレン;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマー;等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
上記環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、上記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4-メチル-1-ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン、等が挙げられる。
また、上記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくは環状アルケン、更に好ましくはノルボルネンが挙げられる。
上記カルボン酸変性ポリオレフィンとは、上記ポリオレフィンをカルボン酸でブロック重合又はグラフト重合することにより変性したポリマーである。変性に使用されるカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
上記カルボン酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、α,β-不飽和カルボン酸又はその無水物に代えて共重合することにより、或いは環状ポリオレフィンに対してα,β-不飽和カルボン酸又はその無水物をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。
上記カルボン酸変性される環状ポリオレフィンについては、上記と同様である。また、変性に使用されるカルボン酸としては、上記ポリオレフィンの変性に使用されるものと同様である。
上記熱接着性樹脂層に使用される樹脂成分の中でも、好ましくはカルボン酸変性ポリオレフィン;更に好ましくはカルボン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
上記熱接着性樹脂層は、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。更に、上記熱接着性樹脂層は、1層のみで形成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上で形成されていてもよい。
また、上記熱接着性樹脂層の厚みとしては、上記熱接着性樹脂層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、10~100μm程度、好ましくは15~50μm程度が挙げられる。
[本発明の電池用外装材の製造方法]
本発明の電池用外装材の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り特に限定されないが、例えば、以下の方法が例示される。
まず、図1に示した基材層11、接着層12、バリアー層13が順に積層された積層体(以下、「積層体A」と表記することもある)を形成する。上記積層体Aの形成は、具体的には、基材層11上又は必要に応じて表面が化成処理されたバリアー層13に接着層12の形成に使用される接着剤を、押出し法、グラビアコート法、ロールコート法等の塗布方法で塗布・乾燥した後に、当該バリアー層13又は基材層11を積層させて接着層12を硬化させるドライラミネート法によって行うことができる。
次いで、積層体Aのバリアー層13上に、熱接着性樹脂層14を積層させる。バリアー層13上に熱接着性樹脂層14を直接積層させる場合には、積層体Aのバリアー層13上に、熱接着性樹脂層14を構成する樹脂成分をグラビアコート法、ロールコート法等の方法により塗布すればよい。また、バリアー層13と熱接着性樹脂層14の間に接着層(図示せず)を設ける場合には、例えば、(1)積層体Aのバリアー層13上に、接着層及び熱接着性樹脂層14を共押出しすることにより積層する方法(共押出しラミネーション法)、(2)別途、接着層と熱接着性樹脂層14が積層した積層体を形成し、これを積層体Aのバリアー層14上にサーマルラミネート法により積層する方法、(3)積層体Aのバリアー層13上に、接着層(図示せず)を形成させるための接着剤を押出し法や溶液コーティングした高温で乾燥さらには焼き付ける方法等により積層させ、この接着層上に予めシート状に製膜した熱接着性樹脂層14をサーマルラミネート法により積層する方法、(4)積層体Aのバリアー層13と、予めシート状に製膜した熱接着性樹脂層14との間に、溶融させた接着層を流し込みながら、接着層を介して積層体Aと熱接着性樹脂層14を貼り合せる方法(サンドイッチラミネート法)等が挙げられる。
上記のようにして、基材層11/接着層12/必要に応じて表面が化成処理されたバリアー層13/必要に応じて設けられる接着層/熱接着性樹脂層14からなる積層体が形成されるが、接着層12及び必要に応じて設けられる接着層の接着性を強固にするために、更に、熱ロール接触式、熱風式、近又は遠赤外線式等の加熱処理に供してもよい。このような加熱処理の条件としては、例えば150~250℃で1~5分間が挙げられる。
本発明の電池用外装材において、積層体を構成する各層は、必要に応じて、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボス成形)適性等を向上又は安定化するために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活性化処理を施していてもよい。
[電池用外装材の用途]
本発明の電池用外装材は、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容するための包装材料として使用される。
具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を、本発明の電池用外装材で、上記正極及び負極の各々に接続された金属端子が外側に突出させた状態で、電池素子の周縁にフランジ部(熱接着性樹脂層同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、上記フランジ部の熱接着性樹脂層同士をヒートシールして密封させることによって、電池用外装材を使用した電池が提供される。なお、本発明の電池用外装材を用いて電池素子を収容する場合、本発明の電池用包該装材の熱接着性樹脂層部分が内側(電池素子と接する面)になるようにして用いられる。
本発明の電池用外装材は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池である。本発明の電池用外装材が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、本発明の電池用包装材料の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例及び比較例のみに限定されるものではない。
なお、文中、「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り、質量基準である。
(実施例1~7、比較例1、2)
基材層として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、厚み12μm)と二軸延伸ナイロンフィルム(ON、厚み15μm)とが、下記表1の配合比の2液硬化型ウレタン接着剤(ポリオール化合物:主剤(東洋モートン社製)と芳香族イソシアネート化合物:硬化剤(東洋モートン社製))により形成された接着剤層(硬化後の厚み3μm)により積層された積層フィルムを用意した。
次に、基材層の二軸延伸ナイロンフィルムの上に、両面に耐酸性皮膜を形成したアルミニウム合金箔(ALM、厚み40μm)からなるバリア層をドライラミネート法により積層させた。具体的には、両面に耐酸性皮膜を形成したアルミニウム合金箔の一方面に、下記表1の配合比の2液硬化型ウレタン接着剤(ポリオール化合物:主剤(東洋モートン社製)と芳香族イソシアネート化合物:硬化剤(東洋モートン株式会社製))を塗布し、アルミニウム合金箔上に接着剤層(硬化後の厚み3μm)を形成した。
次いで、アルミニウム合金箔上の接着剤層と二軸延伸ナイロンフィルムを積層した後、エージング処理を実施することにより、基材層/接着剤層/バリア層の積層体を作製した。
次に、得られた積層体のバリア層側に、接着層としての無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa、厚み40μm)と、熱接着性樹脂層としてのポリプロピレン(厚み40μm)とを共押出しすることにより、バリア層/接着層/熱接着性樹脂層となるように接着層と熱接着性樹脂層とを積層させた。
次に、得られた積層体をエージングし、加熱することにより、ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/接着剤層(3μm)/二軸延伸ナイロンフィルム(15μm)/接着剤層(3μm)/バリア層(40μm)/接着層(40μm)/熱接着性樹脂層(40μm)がこの順に積層された電池用外装材を得た。
(実施例8~10、比較例3、4)
基材層としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、厚み9μm)の上に、両面に耐酸性皮膜を形成したステンレス鋼箔(SUS304、厚さ20μm)からなるバリア層をドライラミネート法により積層させた。具体的には、両面に耐酸性皮膜を形成したステンレス鋼箔の一方面に、カーボンブラックを含有する2液硬化型ウレタン接着剤(下記表2の配合比の2液硬化型ウレタン接着剤(ポリオール化合物:主剤(東洋モートン社製)と芳香族イソシアネート化合物:硬化剤(東洋モートン社製))を塗布し、ステンレス鋼箔上に黒色の接着剤層(硬化後の厚み3μm)を形成した。
次いで、ステンレス鋼箔上の接着剤層とポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した後、エージング処理を実施することにより、基材層/接着剤層/バリア層の積層体を作製した。
次に、得られた積層体のバリア層側に、2液硬化型接着剤(酸変性ポリプロピレンとエポキシ化合物)を塗布し、ステンレス鋼箔上に接着層(硬化後の厚み2μm)を形成した。
次に、接着層の上から、熱接着性樹脂層としての未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP、厚み23μm)をドライラミネート法により積層して、バリア層/接着層/熱接着性樹脂層となるように接着層と熱接着性樹脂層とを積層させた。
次に、得られた積層体のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、グラビアコートで、フィラーとしての平均粒子径1μmの沈降性硫酸バリウムと、エルカ酸アミドと、平均粒子径2μmのアクリレート樹脂とを含む樹脂組成物(硬化後の厚みが3μm)を塗布し、マット調の表面被覆層を形成した。
次に、得られた積層体をエージングし、加熱することにより、表面被覆層(3μm)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(9μm)/接着剤層(3μm)/バリア層(20μm)/接着層(2μm)/熱接着性樹脂層(23μm)がこの順に積層された電池用外装材を得た。
実施例及び比較例で得られた電池用外装材について、以下の評価を行った。
[N-Hピークの強度とC=Oピークの強度との比(N-H/C=O)]
得られた電池用外装材の基材層を剥がし、硬化させた接着層を露出させ、IRスペクトルをフーリエ変換型赤外分光光度計で、KRS-5プリズムを用いたATR法により測定した。得られた吸収スペクトルにおけるバックグラウンドからC=O、N-Hの吸収バンドのピークトップまでの高さを、測定装置に付属の演算ソフトを用いて求め、その結果から、強度比(N-H/C=O)を算出した。
[成形性の評価]
各電池用外装材を長さ(MD方向)90mm×幅(TD方向)150mmの長方形に裁断して試験サンプルとした。電池用外装材のMDが、アルミニウム合金箔又はSUS箔の圧延方向(RD)に対応し、電池用外装材のTDが、アルミニウム合金箔又はSUS箔のTDに対応する。
このサンプルを25℃の環境下にて、31.6mm(MD方向)×54.5mm(TD方向)の矩形状の口径を有する成形金型(雌型、表面は、JIS B 0659-1:2002附属書1(参考)比較用表面粗さ標準片の表2に規定される、最大高さ粗さ(Rzの呼び値)が3.2μmである。コーナーR2.0mm、稜線R1.0mm)と、これに対応した成形金型(雄型、表面は、JIS B 0659-1:2002附属書1(参考)比較用表面粗さ標準片の表2に規定される、最大高さ粗さ(Rzの呼び値)が1.6μmである。コーナーR2.0mm、稜線R1.0mm)を用いて、押さえ圧(面圧)0.25MPaで0.5mmの成形深さから0.5mm単位で成形深さを変えて、それぞれ10個のサンプルについて冷間成形(引き込み1段成形)を行った。このとき、雄型側に熱融着性樹脂層側が位置するよう、雌型上に上記試験サンプルを載置して成形を行った。また、雄型及び雌型のクリアランスは、0.3mmとした。
冷間成形後のサンプルについて、暗室の中にてペンライトで光を当てて、光の透過によって、アルミニウム箔又はSUS箔にピンホールやクラックが生じているか否かを確認した。アルミニウム箔又はSUS箔にピンホール、クラックが10個のサンプル全てにおいて発生しない最も深い成形深さをAmm、バリア層(アルミニウム合金箔又はステンレス鋼箔)にピンホール等が発生した最も浅い成形深さにおいてピンホール等が発生したサンプルの数をB個とし、以下の式により算出される値を小数点以下2桁目で四捨五入し、電池用包装材料の限界成形深さとした。
限界成形深さ=Amm+(0.5mm/10個)×(10個-B個)
Figure 0007435850000005
Figure 0007435850000006
表1、表2に示したように、実施例に係る電池用外装材は、比較例に係る電池用外装材よりも成形性に優れたものであった。
本発明の電池用外装材は、電池素子を収容する電池用外装材に極めて好適に使用することができる。
10 電池用外装材
11 基材層
12 接着層
13 バリアー層
14 熱接着性樹脂層

Claims (10)

  1. 少なくとも、基材層、接着層、バリアー層、及び、熱接着性樹脂層が積層された電池用外装材であって、
    前記基材層は、ポリエステルフィルムとポリアミドフィルムとが積層された積層フィルムであり、
    前記接着層は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で測定したN-Hピークの強度とC=Oピークの強度との比(N-H/C=O)が0.20以上0.50以下であり、ポリエステルポリオール又はポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物からなる主剤と、ポリイソシアネート系硬化剤とを反応させてなるポリエステルウレタンを含有することを特徴とする電池用外装材。
  2. 少なくとも、基材層、接着層、バリアー層、及び、熱接着性樹脂層が積層された電池用外装材であって、
    前記基材層の厚さが、50μm以下であり、
    前記接着層は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で測定したN-Hピークの強度とC=Oピークの強度との比(N-H/C=O)が0.20以上0.50以下であり、ポリエステルポリオール又はポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物からなる主剤と、ポリイソシアネート系硬化剤とを反応させてなるポリエステルウレタンを含有することを特徴とする電池用外装材。
  3. 前記バリアー層がアルミニウム箔又はステンレス鋼箔により形成されている請求項1又は2記載の電池用外装材。
  4. 前記熱接着性樹脂は、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン及びカルボン酸変性環状ポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂である請求項1又は2記載の電池用外装材。
  5. 前記熱接着性樹脂は、2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成されている請求項1又は2記載の電池用外装材。
  6. 前記熱接着性樹脂は、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上で形成されている請求項1又は2記載の電池用外装材。
  7. 少なくとも、基材層、接着層、バリアー層、及び、熱接着性樹脂層がこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、
    前記基材層が、ポリエステルフィルムとポリアミドフィルムとの積層体であり、
    前記接着層は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で測定したN-Hピークの強度とC=Oピークの強度との比(N-H/C=O)が0.20以上0.50以下であり、ポリエステルポリオール又はポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物からなる主剤と、ポリイソシアネート系硬化剤とを反応させてなるポリエステルウレタンを含有する
    ことを特徴とする電池用外装材の製造方法。
  8. 少なくとも、基材層、接着層、バリアー層、及び、熱接着性樹脂層がこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、
    前記基材層の厚さが、50μm以下であり、
    前記接着層は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で測定したN-Hピークの強度とC=Oピークの強度との比(N-H/C=O)が0.20以上0.50以下であり、ポリエステルポリオール又はポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物からなる主剤と、ポリイソシアネート系硬化剤とを反応させてなるポリエステルウレタンを含有することを特徴とする電池用外装材の製造方法。
  9. 前記バリアー層と前記熱接着性樹脂層との間に接着層(A)を積層し、
    前記接着層(A)と前記熱接着性樹脂層とを、
    (1)前記接着層(A)及び前記熱接着性樹脂層を共押出しすることにより積層する方法、
    (2)前記接着層(A)と前記熱接着性樹脂層とを積層した積層体を形成し、当該積層体を前記バリアー層上にサーマルラミネート法により積層する方法、
    (3)前記バリアー層上に、前記接着層(A)を形成させるための接着剤を押出し又は溶液コーティングして前記接着層(A)を形成し、前記接着層(A)上に予めシート状に製膜した前記熱接着性樹脂層をサーマルラミネート法により積層する方法、又は、
    (4)前記バリアー層と、予めシート状に製膜した前記熱接着性樹脂層との間に、溶融させた前記接着層(A)を流し込みながら、前記接着層(A)を介して前記バリアー層と前記熱接着性樹脂層とを貼り合せる方法、
    により形成する請求項7又は8記載の電池用外装材の製造方法。
  10. 前記熱着性樹脂層を、同一又は異なる樹脂によって2層以上で形成する請求項7又は8記載の電池用外装材の製造方法。
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