以下に添付図面を参照して、本発明に係る商品払出装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である商品払出装置が適用された自動販売機の内部構造を右側から見た場合を示す断面側面図である。ここで例示する自動販売機は、商品を冷却若しくは加熱した状態で販売するもので、本体キャビネット1、外扉2及び内扉3を備えて構成されている。
本体キャビネット1は、複数の鋼板を適宜組み合わせることによって前面に開口を有した直方状に構成されたもので、その内部に断熱構造の商品収容庫4を有している。外扉2は、本体キャビネット1の前面開口を覆うためのもので、本体キャビネット1の一側縁部に開閉可能に設けられている。この外扉2の前面には、ディスプレイウィンドウ、商品選択ボタン、紙幣挿通口、硬貨投入口、返却レバー、一体表示器、硬貨返却口、商品取出口2a等々、商品を販売する際に必要となるものが設けられている。内扉3は、商品収容庫4の前面開口を覆うための上下二分割された断熱扉であり、外扉2よりも内方となる位置において上部断熱扉3aは外扉2の一側縁部に開閉可能に配設され、下部断熱扉3bは本体キャビネット1の一側縁部に開閉可能に設けられている。この内扉3における下部断熱扉3bの下方部には、商品を商品収容庫4の外部に払い出すための商品搬出口3cが設けられている。
また上記自動販売機には、商品収容庫4の内部に商品シュータ5が設けられており、この商品シュータ5よりも下方となる領域(以下、「熱交換領域」ともいう)に温度調節ユニット6が設けられている一方、商品シュータ5よりも上方となる領域(以下、「商品収納領域」ともいう)に商品収納ラック10が設けられている。
商品シュータ5は、商品収納ラック10から搬出された商品を内扉3の商品搬出口3cに案内するためのプレート状部材であり、前方側に向けて漸次下方に傾斜する態様で設けられている。図には明示していないが、この商品シュータ5には、熱交換領域と商品収納領域との間を連通させる通気孔(図示せず)が多数穿設されている。
温度調節ユニット6は、商品収容庫4の内部雰囲気を所望の温度状態に維持するためのもので、冷凍サイクルの蒸発器6a、ヒータ6b及び送風ファン6cを備えて構成されている。この温度調節ユニット6においては、例えば冷凍サイクルを運転した状態で送風ファン6cを駆動すると、蒸発器6aにおいて冷却された空気が商品シュータ5の通気孔を通じて上方に送給されるため、商品収納領域を低温状態に維持することができる。一方、ヒータ6bに通電した状態で送風ファン6cを駆動すると、ヒータ6bによって加熱された空気が商品シュータ5の通気孔を通じて上方に送給されるため、商品収納領域を高温状態に維持することができる。尚、冷凍サイクルの圧縮機、凝縮器及び膨張弁は、図には明示しないがいずれも商品収容庫4の外部となる機械室7に設けられている。
上記商品収納ラック10は、前後3列に並ぶように配設されており、一対のベース側板11の間に通路構成要素12が架設されることによって上下方向に沿って蛇行状に構成された複数(図示の例では2つ)の商品収納通路13を備え、これら商品収納通路13の内部に上下方向に沿って複数の商品を横倒し姿勢で収納するものである。より詳細に説明すると、通路構成要素12は、商品収納通路13の前方側と後方側とに互いに対向するよう適宜配設されたものであって、ベース側板11に固定されている。これにより各商品収納ラック10においては、2つの商品収納通路13が互いに前後に隣接する態様で設けられている。
また通路構成要素12には、図には明示しないフラッパが設けられている。フラッパは、商品収納通路13に対して進退移動する態様で通路構成要素12に揺動可能に設けられている。このフラッパは、コイルバネ(図示せず)に付勢されて常態においては商品収納通路13に進出移動した姿勢となる。そして、商品収納通路13を通過する商品に当接することにより自身はコイルバネの付勢力に抗して蛇行状の商品収納通路13に沿うように退行移動して該商品の姿勢を修正するものである。
上記商品収納ラック10においては、商品収納通路13の上部にトップトレイ14が設けられている一方、商品収納通路13の下部に商品払出装置20が設けられている。
トップトレイ14は、平板状の板金を屈曲して構成されるもので、前方から後方に向けて漸次下方に傾斜する態様でベース側板11間に設けられている。このようなトップトレイ14の上面は、投入口を通じて投入された商品を商品収納通路13まで案内する商品案内通路15を構成している。
図2~図4は、それぞれ図1に示した1つの商品払出装置20を示すものであり、図2及び図3は斜視図、図4は分解斜視図である。尚、図2~図4では、商品が載置されていない状態を示している。
以下においては、前面が商品収納通路13を臨む商品払出装置20について説明し、この商品払出装置20と背中合わせで取り付けられる商品払出装置20は、左右方向が異なるだけで主たる構成は同じであるからその説明を割愛する。また以下においては、図1~図4に示した方向に従って各構成要素について説明する。
上記商品払出装置20は、図2~図4に示すように、商品収納通路13の下部に設けられている。この商品払出装置20は、対向する通路幅規定板16との間において商品の挙動を制御することにより、待機状態においては商品収納通路13に商品を収納する一方、払出指令が与えられて駆動する場合には対応する商品を1つずつ商品シュータ5に払い出すように機能するもので、ベース21を備えている。
図5~図7は、それぞれ図2~図4に示した商品払出装置20の要部を右方より見た場合を模式的に示す説明図である。以下の説明においては、これら図5~図7も適宜利用しつつ商品払出装置20の構成について説明する。
ベース21は、鋼板に切削加工及び屈曲加工を施して構成されたものであり、自身の表面を通路幅規定板16に対向させる態様で配設されている。このベース21は、両側部が屈曲されることで側壁21aが形成されている一方、中間部に第1挿通孔22及び第2挿通孔23が形成されている。第1挿通孔22及び第2挿通孔23の周縁は側壁21aと同様に屈曲されてフランジが形成されている。
第1挿通孔22と第2挿通孔23とは、互いに左右に並ぶよう形成されており上下寸法が同じ大きさを有している。これら第1挿通孔22と第2挿通孔23とでは、第1挿通孔22が第2挿通孔23の左側に位置しており、第1挿通孔22の左右幅が第2挿通孔23の左右幅よりも大きいものである。また第1挿通孔22と第2挿通孔23とは、互いに全体として略矩形状の形態を成す貫通開口(後述する下ペダル28及び上ペダル29をベース21内に退行させる凹部)である。
第1挿通孔22の左側縁部には第1左側軸受片22aが設けられ、かつ第1挿通孔22の右側縁部には第1右側軸受片22bが設けられており、第2挿通孔23の左側縁部には、第2左側軸受片23aが設けられ、かつ第2挿通孔23の右側縁部には、第2右側軸受片23bが設けられている。尚、第1左側軸受片22a及び第2右側軸受片23bは、第1挿通孔22及び第2挿通孔23の周縁に形成したフランジに相当するものである。また、第1右側軸受片22b及び第2左側軸受片23aは、後述する軸受部24を嵌合保持するところの、ベース21に一体に形成されるとともに横断面コ字状(不連続)に形成された軸受保持部におけるコ字状の両脚片をなす軸挿通フランジに形成されているものである。またこの軸受保持部は、全体として略矩形状の形態を成す第1挿通孔22と第2挿通孔23からなる大きな貫通開口をベース21に形成した場合にもベース21の強度を維持する機能を有する。
このような構成を有するベース21には、軸受部24及び売切検知スイッチ25が装着されている。軸受部24は、樹脂材料等により構成されるもので、第1右側軸受片22bと第2左側軸受片23aとの間に嵌装されている。売切検知スイッチ25は、いわゆるプッシュ型スイッチであり、図示せぬバネにより起立するよう付勢された接触子(図示せず)を備えている。かかる売切検知スイッチ25は、接触子が押圧されない状態では、オフ状態となってオフ信号を送出する一方、接触子が押圧されてバネの付勢力に抗して変位する場合には、オン状態となってオン信号を送出するものである。
上記ベース21には、第1揺動支持軸28a及び第2揺動支持軸29aが設けられている。第1揺動支持軸28aは、略水平方向に沿って延在する態様でベース21や軸受部24に形成された各貫通孔を貫通して架設された軸状部材であり、その中間部に下ペダル28を支承している。また第1揺動支持軸28aの右端部には、図示せぬ売切リンクが配設されている。
第2揺動支持軸29aは、第1揺動支持軸28aよりも上方域において、略水平方向に沿って延在する態様でベース21及び軸受部24に形成された各貫通孔を貫通して架設された軸状部材であり、その中間部に上ペダル29を支承している。
下ペダル28は、プレート状部材であり、基端部に第1揺動支持軸28aを挿通させることによりこの第1揺動支持軸28aの中心軸回りに揺動可能となる態様で配設されている。下ペダル28の先端部は、第1揺動支持軸28aの径外方向に向けて延在しており、第1揺動支持軸28aの中心軸回りに揺動した場合に第1挿通孔22及び第2挿通孔23を通じて商品収納通路13に進退移動することが可能である。つまり、下ペダル28は、商品収納通路13に対し進退移動する態様で揺動可能に配設されている。
下ペダル28とベース21との間には、下ペダルバネ28bが介装されている。下ペダルバネ28bは、商品収納通路13に対して下ペダル28を進出移動する方向に向けて常時付勢するものである。より詳細に説明すると、下ペダルバネ28bは、図5に示すように下ペダル28の先端部が第1揺動支持軸28aよりも上方に位置するよう下ペダル28を待機姿勢(以下、商品無待機姿勢ともいう)にさせるものである。そして、下ペダルバネ28bは、下ペダル28の上面に商品が載置される場合には、図6に示すように下ペダル28の先端部が第1揺動支持軸28aと同等の高さレベルに位置するよう下ペダル28を待機姿勢(以下、商品有待機姿勢ともいう)にさせるものである。これにより、下ペダル28は、商品無待機姿勢となる場合には、商品有待機姿勢となるときよりも先端部が上方に位置することとなる。
そして、下ペダル28が商品無待機姿勢となる場合、上記売切リンクが売切検知スイッチ25の接触子を押圧することにより、売切検知スイッチ25では、接触子が押圧されてバネの付勢力に抗して後方に変位することでオン状態となって、オン信号を図示せぬ制御部に出力することとなる。その一方、下ペダル28が商品有待機姿勢となる場合、上記売切リンクがフリーな状態となることにより、売切検知スイッチ25では、接触子がバネに付勢されることで起立した姿勢となることでオフ状態となって、オフ信号を制御部に出力することとなる。
上記下ペダル28は、板状のペダル本体部281と、一対のペダル案内部282とを備えている。ペダル本体部281は、上面が載置面281aとなり、その後方側である基端部側に上方に向けて突出する突部281bが形成されている。
一対のペダル案内部282は、上記ペダル本体部281の背面側に設けられている。各ペダル案内部282は、上下方向に沿って延在する板状部材であり、互いに対向するよう形成されている。各ペダル案内部282の互いに対向する対向面にはペダル案内溝283が形成されている。
ペダル案内溝283は、下ペダル28を商品収納通路13に対して最も進出移動させた進出位置に配置した状態(図5に示す状態)において、最も下方に位置し、かつ後述する回動ストッパ36のペダル操作軸361が嵌入されるペダル嵌入部283aと、下ペダル28を商品収納通路13に対して最も退行移動させた退行位置に配置した状態(図7に示す状態)において、最も上方に位置し、かつ回動ストッパ36のペダル操作軸361が当接するペダル当接部283dと、これらペダル嵌入部283a及びペダル当接部283dとが連続するよう接続する第1ペダル案内部283b及び第2ペダル案内部283cとを備えている。
第1ペダル案内部283bは、下ペダル28を商品収納通路13に対して最も進出移動させた位置(進出位置)に配置した状態において、ペダル嵌入部283aからベース21に対して離隔するよう斜め上方に傾斜した後、ベース21に対して近接するよう斜め上方に傾斜してペダル当接部283dに至る態様でペダル案内部282に形成されている。
第2ペダル案内部283cは、下ペダル28を商品収納通路13に対して最も進出移動させた位置(進出位置)に配置した状態において、ペダル当接部283dからベース21に対して離隔するよう斜め下方に傾斜してペダル嵌入部283aに至る態様でペダル案内部282に形成されている。
このような下ペダル28の第1揺動支持軸28aからの径外方向の長さは、商品収納通路13に対して最も進出移動した位置(進出位置)に位置する場合に、通路幅規定板16との間に最大幅の小さい商品の最大幅よりも小さい間隙を確保することが可能な長さに設定されている。
上ペダル29は、プレート状部材であり、基端部に第2揺動支持軸29aを挿通させることによりこの第2揺動支持軸29aの中心軸回りに揺動可能となる態様でベース21に配設されている。
上ペダル29の先端部は、第2揺動支持軸29aの径外方向に向けて延在しており、第2揺動支持軸29aの中心軸回りに揺動した場合に第1挿通孔22及び第2挿通孔23を通じて商品収納通路13に進退移動することが可能である。つまり、上ペダル29は、商品収納通路13に対し進退移動する態様で揺動可能に配設されている。
上ペダル29とベース21との間には、上ペダルバネ(図示せず)が介装されている。上ペダルバネは、商品収納通路13に対して上ペダル29が退行移動する方向に向けて常時付勢するものである。
上記上ペダル29には、押圧傾斜面291、凹部292、ストッパ当接部293及び突起部294が設けられている。押圧傾斜面291は、上ペダル29の先端部分に設けられており、上ペダル29を商品収納通路13に対して退行移動させた場合には、商品収納通路13に向けて漸次低くなる態様で形成された湾曲状の傾斜面である。凹部292は、上ペダル29の背面側に設けられており、上ペダル29の両側面に開口する態様で形成した略水平方向に沿って延在する一条の凹所である。ストッパ当接部293は、後述するストッパピン34aが当接する部位であり、上ペダル29の背面において凹部292の上方に傾斜する態様で設けられている。突起部294は、上ペダル29の基端部において商品収納通路13に向けて突出した態様で設けられている。
この上ペダル29は、上記上ペダルバネの付勢力によって商品収納通路13に退行移動するよう付勢されているが、上記凹部292にストッパピン34aが当接することにより商品収納通路13に対して退行移動した状態に初期位置が設定されている。
このような上ペダル29は、商品収納通路13に対して最も進出移動した位置(進出位置)に位置する状態(図7に示す状態)において、第2揺動支持軸29aを通過する鉛直面に対して前傾した状態にある。そして上ペダル29の第2揺動支持軸29aからの径外方向の長さは、上述した前傾した状態において、通路幅規定板16との間に最大幅の小さい商品の最大幅よりも小さい間隙を確保することが可能な長さに設定されている。
上記ベース21においては、軸受部24と第2右側軸受片23bとの間には、ストッパピン34a、ペダルストッパピン34b及びストッパ軸34cが架設されている。
ストッパピン34aは、軸受部24と第2右側軸受片23bとの間に略水平方向に沿って配設された軸状部材である。このストッパピン34aは、ペダルリンク35に結合されており、当該ペダルリンク35の上下方向への移動に伴って上下方向に沿っての移動が可能である。またストッパピン34aは、初期位置にある上ペダル29の凹部292に当接している。
ペダルストッパピン34bは、軸受部24と第2右側軸受片23bとの間に略水平方向に沿って配設された軸状部材である。このペダルストッパピン34bは、ペダルリンク35に結合されており、当該ペダルリンク35の上下方向への移動に伴って上下方向に沿っての移動が可能である。
ストッパ軸34cは、軸受部24と第2右側軸受片23bとの間に略水平方向に沿って配設された軸状部材である。このストッパ軸34cは、その中間部に回動ストッパ36を支承している。
回動ストッパ36は、基端部の挿通孔にストッパ軸34cを挿通させ、かつこのストッパ軸34cの中心軸回りに揺動可能となる態様で軸受部24と第2右側軸受片23bとの間に配設されている。
回動ストッパ36の先端部は、ストッパ軸34cの径外方向に向けて延在しており、ストッパ軸34cの中心軸回りに揺動した場合に第2挿通孔23を通じて商品収納通路13に進退移動することが可能である。
この回動ストッパ36は、先端部の貫通孔36aをペダル操作軸361が貫通することで該ペダル操作軸361を有している。ペダル操作軸361は、略水平方向に沿って配設された軸状部材であり、その両端部を上記下ペダル28のペダル案内溝283に嵌入されている。
上記回動ストッパ36とベース21との間には、ペダル操作バネ(図示せず)が介装されている。ペダル操作バネは、商品収納通路13に対して回動ストッパ36を進出移動させる方向に向けて常時付勢するものである。
このような回動ストッパ36は、ペダル操作バネによって商品収納通路13に対して進出移動する方向に向けて付勢され、該回動ストッパ36の窪部36bにペダルストッパピン34bが進入して当該ペダルストッパピン34bに当接することにより退行移動する方向への移動が規制されており、商品収納通路13に対して進出移動した状態での初期位置が設定されている。また、下ペダル28が下ペダルバネ28bに付勢されているため、回動ストッパ36は、ペダル操作軸361の両端がペダル案内溝283のペダル嵌入部283aに位置しており、下ペダル28が商品収納通路13に対して進出移動した位置に初期位置が設定されている。
そして、このような回動ストッパ36には、その背面側、すなわち窪部36bの背面側に上方に向けて延在する平板状の目隠部36cが設けられている。この目隠部36cは、ペダルストッパピン34bの商品収納通路13と反対側の部分を覆うものである。より詳細には、目隠部36cは、上下方向に移動するペダルストッパピン34bの商品収納通路13と反対側の部分を覆うものである。
上記ペダルリンク35は、上下方向に沿って延在する長尺板状部材であり、上部が前方に向けて屈曲された後に上方に向けて延在している。このペダルリンク35の上部には、後方に向けて延在した後に斜め上方に向けて延在するリンク当接片351が設けられるとともに、リンクバネ35aを係止するリンク係止部352が設けられている。このリンクバネ35aは、ペダルリンク35とベース21との間に介在するもので、ペダルリンク35を下方に向けて常時付勢するものである。
ペダルリンク35がリンクバネ35aによって付勢されて下方に配置された状態では、ストッパピン34aに、退行位置に配置された上ペダル29の凹部292が当接している。しかもペダルストッパピン34bに進出位置に配置された回動ストッパ36が当接しており、回動ストッパ36の退行移動が規制されている。また進出位置に配置された回動ストッパ36のペダル操作軸361は上記下ペダル28のペダル嵌入部283aに嵌入してあり、これにより進出位置に配置された下ペダル28の退行移動が規制されている。
これに対してリンクバネ35aの付勢力に抗してペダルリンク35が上方に配置された状態では、図7に示すように、上記ストッパピン34aに上ペダル29のストッパ当接部293が当接することにより、上ペダル29の退行移動が規制され、上ペダルバネの付勢力に抗して上ペダル29が進出移動して進出位置に配置される。
一方、回動ストッパ36は、ペダルストッパピン34bによる退行移動の規制が解除されるので、ストッパ軸34cを中心として退行移動の規制が解除される。ここで、回動ストッパ36には当該回動ストッパ36によって進出位置に維持されている下ペダル28に当接した商品の荷重がかかっており、回動ストッパ36が退行移動の規制が解除されたことによって回動ストッパ36は退行移動を開始する。回動ストッパ36の退行移動が開始されるとペダル操作軸361が下ペダル28のペダル嵌入部283aから外れるため、下ペダル28は第1揺動支持軸28aを中心として退行移動を許容されて商品の荷重によって下ペダルバネ28bの弾性付勢力に抗して退行移動することとなる(図7参照)。
そして、このように下ペダル28が退行移動する場合、売切リンクがフリーな状態となることにより、売切検知スイッチ25では、接触子がバネに付勢されることで起立した姿勢となることでオフ状態を維持する。つまり、下ペダル28が退行移動する場合も商品有待機姿勢と同様に、売切リンクが売切検知スイッチ25の接触子を押圧しない。
そのような構成を有する商品払出装置20は、上記構成の他に、駆動ユニット40、レバー部材50及びアタッチメント部材60を備えている。
駆動ユニット40は、モータを内蔵した筐体であり、払出指令が与えられた場合に駆動するものである。この駆動ユニット40は、駆動する場合に、ペダルリンク35をリンクバネ35aの付勢力に抗して上方に向けて移動させるものである。
レバー部材50は、ベース21の右側上端部のレバー開口214を貫通した状態で、商品収納通路13に対して進退移動可能となる態様で揺動可能に配設されている。より詳細に説明すると、ベース21の背面側におけるレバー開口214の両側縁部には、後方に向けて突出する左右一対のレバー係止片215が形成されており、レバー部材50は、図3に示すように、レバー係止片215に架設された軸部51の軸心回りに揺動可能に配設されている。このレバー部材50とベース21との間には、軸部51を巻回する態様でレバーバネ52が介装されており、かかるレバーバネ52に付勢されてレバー部材50は、常態においては先端部が商品収納通路13に進出移動した姿勢となっている。
アタッチメント部材60は、例えば板金等を加工して形成された板状体であり、下ペダル28に対して着脱可能に設けられている。このアタッチメント部材60は、図8に示すように、当接面形成部61、係止片部62及び係止爪部63が一定的に成形されて構成されている。
当接面形成部61は、下ペダル28におけるペダル本体部281の上面である載置面281aの全域を被覆するのに十分な大きさを有している。このような当接面形成部61は、傾斜延在部分611と、頂部分612と、傾斜案内部分613及び当接面部分614を備えている。
傾斜延在部分611は、後方より前方に向かうに連れて漸次上方に傾斜する態様で延在する部分である。頂部分612は、傾斜延在部分611に連続し、この傾斜延在部分611より前方に向けて水平に延在する部分である。傾斜案内部分613は、頂部分612に連続し、この頂部分612より前方に向かうに連れて漸次下方に傾斜する態様で延在する部分である。当接面部分614は、傾斜案内部分613に連続し、この傾斜案内部分613より前方に向かうに連れて水平に延在する部分である。この当接面部分614の上面は当接面を構成している。
係止片部62は、当接面形成部61の後端部分の左方側に連続して形成されている。この係止片部62は、当接面形成部61より後方に向かうに連れて漸次下方に傾斜する態様で延在し、その延在端部より下方に向けて後方に凸となる態様で湾曲して構成されている。
係止爪部63は、当接面形成部61の前端部分における左右方向の中央部分に連続して形成されている。この係止爪部63は、前方に向かうに連れて漸次下方に傾斜する態様で延在し、その延在端部の左右両端部分より後方に向けて突出する左右一対の係止爪631が形成されて構成されている。
そのようなアタッチメント部材60は、図2、図3及び図9に示すように、当接面形成部61がペダル本体部281の上面(載置面281a)の全域を被覆する態様で装着される。より詳細に示すと、当接面形成部61で載置面281aの全域を被覆するように配置した後、係止爪部63を当接面形成部61との境界部分を中心にして後方に向けて回動して係止爪631をペダル本体部281の先端下部に係止させてアタッチメント部材60が下ペダル28に装着される。尚、係止爪部63を上記境界部分を中心にして前方に向けて回動することで係止爪631がペダル本体部281の先端下部から離隔することにより、アタッチメント部材60を下ペダル28から離脱させることができる。
そして、アタッチメント部材60が下ペダル28に装着される場合、頂部分612がペダル本体部281に形成された突部281bの上方に位置し、傾斜延在部分611が突部281bの基端部側に位置し、傾斜案内部分613が突部281bの先端部側に位置しており、当接面形成部61が下ペダル28の載置面281aの形状に沿って延在する。つまり傾斜案内部分613が、下ペダル28が商品収納通路13に進出移動した場合に、該下ペダル28の先端部に向かうに連れて漸次下方に傾斜する態様で延在している。
以上のように構成された商品払出装置20では、アタッチメント部材60が装着されていない状態で、次のように動作する。
待機状態では駆動ユニット40が駆動停止しており、図3に示したように、ペダルリンク35が下方に配置された状態にある。また商品収納通路13に投入された商品により下ペダル28におけるペダル本体部281の載置面281aに商品が載置されることで下ペダル28が商品有待機姿勢となっており、かつ上ペダル29が商品収納通路13から退行移動した姿勢となっている。このように下ペダル28が商品有待機姿勢であるので、売切検知スイッチ25は接触子が起立した姿勢となってオフ状態となっている。
そして、商品収納通路13に収納された商品の払出指令が与えられた場合には、商品払出装置20は次のように動作する。駆動ユニット40のモータが駆動することにより、該駆動ユニット40のリンクレバーがペダルリンク35のリンク当接片351に当接し、ペダルリンク35がリンクバネ35aの付勢力に抗して上方に向けて所定距離だけ移動させる。このペダルリンク35の上方への移動に伴い、ストッパピン34aは上方に移動するとともに、ペダルストッパピン34bは上方に移動する。
このときストッパピン34aが上ペダル29の凹部292の縁壁に当接しながら上方に移動するため、上ペダル29は、上ペダルバネの付勢力に抗して初期位置から進出移動する。この上ペダル29の進出移動は、ストッパピン34aの上方への移動により行われる。そして、ストッパピン34aが所定の上端部に到達した時点でストッパ当接部293に当接して上ペダル29の退行を規制する。
そして、進出移動した上ペダル29は、最下位から2番目の商品(以下、次商品とも称する)に当接し、次商品が下方に向けて移動することを規制する。
一方、回動ストッパ36は、進出位置に維持されている下ペダル28に当接した商品の荷重がかかっているので、上記ペダルストッパピン34bの上方への移動により退行移動の規制が解除されたことによって回動ストッパ36は退行移動を開始する。
このように回動ストッパ36が退行移動を開始すると、ペダル操作軸361がペダル嵌入部283aから抜け出し、商品の自重によって下ペダルバネ28bの付勢力に抗して下ペダル28が退行移動を開始する。ペダル嵌入部283aから抜け出した回動ストッパ36のペダル操作軸361は、第1ペダル案内部283bに沿い、第1ペダル案内部283bと第2ペダル案内部283cとが交差する位置に向けて移動する。
この後、最下位の商品の自重により下ペダル28が退行移動し、最下位の商品の下方への移動が許容され、最下位の商品は下方に搬出される(図7参照)。搬出された商品は、商品シュータ5を通じて商品搬出口3cに案内され、更に商品取出口2aを介して取り出し可能な状態になる。
ここで、最下位の商品が下ペダル28を擦り抜けると、下ペダル28は下ペダルバネ28bの弾性付勢力によって進出位置に向かって移動するとともに、回動ストッパ36もペダル操作バネの弾性付勢力によって進出位置に向かって移動する。下ペダル28及び回動ストッパ36が進出位置に向かって移動すると、第1ペダル案内部283bと第2ペダル案内部283cとが交差する位置に保持されていたペダル操作軸361がペダル嵌入部283aに向けて第2ペダル案内部283cに沿って移動し、下ペダル28及び回動ストッパ36が進出位置に復帰する。
この間、ペダルリンク35が上方に移動し、ストッパピン34aが所定の上端部に位置し、かつペダルストッパピン34bが所定の上端部に位置することになる。
その後、駆動ユニット40が駆動停止することで、ペダルリンク35は、リンクバネ35aに付勢されて下方に移動する。このペダルリンク35の下方への移動により、ストッパピン34aは下方に移動するとともに、ペダルストッパピン34bは下方に移動する。
ペダルストッパピン34bが下方に移動すると進出位置に復帰した回動ストッパ36の背面側の窪部36bにペダルストッパピン34bが当接する。これにより退行移動する方向への移動が規制され、下ペダル28は下ペダルバネ28bの付勢力により商品収納通路13に対して進出移動した商品無待機姿勢にまで復帰する。
一方、上ペダル29は、上ペダルバネに付勢されて、ストッパピン34aの下方への移動に伴い退行移動する。これにより次商品の下方への移動が許容され、その後該次商品は進出移動した下ペダル28に当接して下方への移動が規制される一方、下ペダル28は商品有待機姿勢に移行して待機状態に戻る。
このような動作を行う商品払出装置20の下ペダル28にアタッチメント部材60が装着されると、アタッチメント部材60の当接面形成部61の傾斜案内部分613が、下ペダル28の突部281bよりも該下ペダル28の先端部側に位置しており、下ペダル28が商品収納通路13に進出移動した場合に該下ペダル28の先端部に向かうに連れて漸次下方に傾斜する態様で延在しているので、図10に示すように、最下位の商品を通路幅規定板16に寄せた状態で当接面部分614に当接させて保持させることができる。
そして、商品の払出指令が与えられて駆動ユニット40のモータが駆動することにより、図11に示すように、下ペダル28が退行移動して最下位の商品を下方に払い出すことができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態である商品払出装置20によれば、載置面281aを当接面形成部61が被覆する態様で下ペダル28に装着されたアタッチメント部材60には、当接面形成部61における載置面281aに形成された突部281bよりも先端部に近接する部位に、最下位の商品を通路幅規定板16に寄せるための傾斜案内部分613が形成されているので、容器の容量や寸法が小さい小型軽量商品であっても保持することができ、払出指令に応じて良好に払い出すことができる。
上記商品払出装置20によれば、アタッチメント部材60が下ペダル28に着脱可能に設けられているので、既存の自動販売機に適用することができ、しかも商品収納通路13の前後方向の寸法を調整する必要もないので、容易に小型軽量商品の収納及び払い出しを行うことができる。
上記商品払出装置20によれば、アタッチメント部材60の当接面形成部61が下ペダル28の載置面281aの形状に沿って延在するので、アタッチメント部材60と下ペダル28との隙間を最小限の大きさにすることができ、アタッチメント部材60自身が商品と当接することにより変形することを抑制することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
上述した実施の形態では、傾斜案内部分613が頂部分612に連続する態様で形成されていたが、本発明においては、傾斜案内部分は、下ペダルの突部よりも該下ペダルの先端部側に位置し、下ペダルが商品収納通路に進出移動した場合に該下ペダルの先端部に向かうに連れて漸次下方に傾斜する態様で延在していれば、頂部分に連続している必要はなく、また傾斜案内部分の上面が当接面を構成してもよい。