JP7435201B2 - 温度調整装置 - Google Patents

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Description

本発明は、温度調整装置に関し、特に、車両に搭載される走行モータを駆動するためのバッテリを温度調整対象として、当該バッテリに対する均一な温度調整を低コストで実現することが可能な温度調整装置に関する。
バッテリによって走行モータを駆動するHEV(Hybrid Electric Vehicle)又はBEV(Battery Electric Vehicle)等の車両においては、バッテリの入出力特性の向上と長寿命化とを図るべく、バッテリの温度を所定の範囲に保つ必要がある。
バッテリを対象とする温度調整方法としては、(1)バッテリの表面に沿って冷却水を循環させる方法、又は、(2)ペルチェ素子等の熱電変換素子を用いた冷却ユニットによってバッテリを冷却する方法等が知られている。
しかし、上記(1)の方法では、冷却水の流路の上流域で生じる熱交換によって冷却水の温度が上昇するため、下流域においてバッテリを十分に冷却できない。また、上記(2)の方法では、バッテリを均一に冷却することはできるが、ペルチェ素子は高価であるため、コストが上昇する。
そこで、ペルチェ素子を用いる方法よりは低コストで、バッテリの均一な温度調整を実現する方法として、相変化材等の蓄熱材を用いてバッテリの温度調整を行う方法が提案されている。例えば下記特許文献1には、複数層に積層された組電池の層間に、組電池と略同面積のブロック状の畜冷材がそれぞれ配置された、組電池の冷却構造が開示されている。
特開2013-229205号公報
しかし、上記特許文献1に開示された組電池の冷却構造によると、比較的高価な相変化材を大量に使用する必要があるため、依然としてコストが高い。
また、バッテリは、経年劣化が進行するほど、単位時間あたりの温度変化量(即ち温度変化速度)が大きくなる傾向にある。従って、経年劣化の度合いが大きいバッテリが温度調整対象である場合には、相変化材による温度調整可能速度がバッテリの温度変化速度を下回り、バッテリを十分に冷却できない状況が生じ得る。一方、経年劣化に起因する温度変化速度の上昇を見越して初期状態から相変化材の温度調整可能速度を高く設定すると、経年劣化が進行していない状況においてバッテリが過剰に冷却されて出力が低下する。
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、温度調整対象物に対する均一な温度調整を低コストで実現でき、かつ、温度調整対象物の温度変化速度が変動した場合であっても温度調整対象物の温度を適切に調整することが可能な温度調整装置を得ることを目的とする。
本願発明者らは、相変化材の濃度と熱伝達率との関係を鋭意分析した結果、相変化材の濃度を低下させることによって温度調整対象物に対する熱伝達率を向上でき、その結果、経年劣化等によって温度調整対象物の温度変化速度が高くなった場合であっても、それに応じて相変化材の濃度を低下させることによって適切な温度調整を実現できることを見出し、本願発明を完成するに至った。
本発明の一態様に係る温度調整装置は、温度調整対象物の温度を調整する温度調整装置であって、相変化材料が液体に混入され、固相と液相との間で相変化する相変化材と、前記温度調整対象物に接触し、前記相変化材が封入される流路と、前記流路内を流れる前記相変化材の濃度を調整する濃度調整手段と、前記温度調整対象物の動作時における温度変化速度を推定する推定手段と、前記推定手段によって推定された温度変化速度に応じて、前記相変化材の濃度を調整させるよう前記濃度調整手段を制御する濃度制御手段と、を備え、前記温度調整対象物は、車両に搭載される走行モータを駆動するためのバッテリであり、前記濃度制御手段は、前記推定手段が推定した温度変化速度が大きいほど前記相変化材の濃度を低下させるように前記濃度調整手段を制御するものである。
この態様によれば、潜熱蓄熱作用を有する相変化材との熱交換によって温度調整対象物の温度が調整されるため、温度調整対象物に対して均一な温度調整を実現できる。また、比較的高価な相変化材を大量に使用する必要がないため、コストを削減できる。さらに、濃度制御手段は、温度調整対象の温度変化速度に応じて相変化材の濃度を調整させるよう濃度調整手段を制御する。相変化材の濃度を低下させることにより、それに含まれる相変化材料の流体摩擦が低減し、流路中の相変化材料及び液体の乱流が高まるため、熱伝達率を上昇させることができる。相変化材の濃度を上昇させることにより、それに含まれる相変化材料の流体摩擦が増大し、流路中の相変化材料及び液体の乱流が弱まるため、熱伝達率を低下させることができる。従って、温度調整対象物の温度変化速度が変動した場合であっても、それに応じて相変化材の濃度を増減させることにより、相変化材によって温度調整対象物の温度を適切に調整することが可能となる。
この態様によれば、車両に搭載される走行モータを駆動するためのバッテリの温度を所定の範囲に保つことができるため、当該バッテリの入出力特性の向上と長寿命化とを図ることができる。
この態様によれば、濃度制御手段は、温度調整対象の温度変化速度が大きいほど相変化材の濃度を低下させるように濃度調整手段を制御する。相変化材の濃度を低下させると、それに含まれる相変化材料の流体摩擦が低減して、流路中の相変化材料及び液体の乱流が高まり、熱伝達率を上昇させることができる。従って、経年劣化等によって温度調整対象の温度変化速度が大きくなった場合には、それに応じて相変化材の濃度を低下させて熱伝達率を上昇させることにより、相変化材によって温度調整対象物の温度を応答性良く制御することが可能となる。
上記態様において、前記推定手段は、前記バッテリの劣化度と入出力電流値とに基づいて当該バッテリの温度変化速度を推定することが望ましい。
この態様によれば、推定手段は、バッテリの劣化度と入出力電流値とに基づいて当該バッテリの温度変化速度を推定する。従って、バッテリの温度変化速度を簡易かつ高精度に推定することが可能となる。
上記態様において、前記制御手段は、前記相変化材の濃度を低下させることによって前記相変化材の温度調整可能量が不十分となる場合には、前記流路内を流れる前記相変化材の流速を上昇させることが望ましい。
この態様によれば、相変化材の流速を上昇させることによって、相変化材の温度調整可能量を増大させることができる。熱伝達率を上昇させるために濃度を低下させると、相変化材の温度調整可能量は低下する。従って、濃度の低下によって相変化材の温度調整可能量が不十分となった場合には、それに応じて相変化材の流速を上昇させることによって、低下した温度調整可能量を補填することができる。その結果、相変化材によって温度調整対象物を十分に温度調整することが可能となる。
上記態様において、前記濃度調整手段は、前記流路内を流れる前記相変化材料をフィルタによって捕捉することにより、前記相変化材の濃度を低下させる第1経路と、前記フィルタによって捕捉された前記相変化材料を前記流路内に解放することにより、前記相変化材の濃度を上昇させる第2経路と、前記第1経路及び前記第2経路を迂回することにより、前記相変化材の濃度を維持する第3経路と、前記第1経路、前記第2経路、及び前記第3経路を切り替える弁と、を含む濃度調整器を有することが望ましい。
この態様によれば、弁を用いて経路を切り替えるという低消費電力かつ簡易な構成によって、相変化材の濃度調整を実現することができる。
上記態様において、前記濃度調整手段は、前記液体を前記流路外で貯留する液体貯留室と、前記液体貯留室内の前記液体を前記流路内に移動させることにより、前記流路内の前記相変化材の濃度を低下させる第1移動手段と、前記流路内の前記液体を前記液体貯留室内に移動させることにより、前記流路内の前記相変化材の濃度を上昇させる第2移動手段と、を含む濃度調整器を有することが望ましい。
この態様によれば、流路と液体貯留室との間で液体を移動させるというコンパクトかつ簡易な構成によって、相変化材の濃度調整を実現することができる。
本発明によれば、温度調整対象物に対する均一な温度調整を低コストで実現でき、かつ、温度調整対象物の温度変化速度が変動した場合であっても温度調整対象物の温度を適切に調整することが可能となる。
本発明の実施の形態に係る温度調整装置の全体構成を簡略化して示すブロック図である。 図1のうちバッテリ付近の構造を抜き出して示す斜視図である。 マイクロカプセル化された相変化材料の一部断面構造を示す斜視図である。 制御部が有する機能を示す図である。 (A)は相変化材の濃度と熱伝導率との関係を示す図であり、(B)は相変化材の熱伝導率と熱伝達率との関係を示す図である。 (A)は相変化材の濃度と温度調整可能量との関係を示す図であり、(B)は相変化材の流速と温度調整可能量との関係を示す図である。 状態検出部の構成の一例を示すブロック図である。 相変化材の熱伝導率と固相液相割合との対応関係の一例を示す図である。 相変化材の固相液相割合と温度との関係を示す図である。 濃度調整部が備える濃度調整器の構成を模式的に示す図である。 濃度調整部が備える濃度調整器の構成を模式的に示す図である。 濃度調整部が備える濃度調整器の構成を模式的に示す図である。 濃度調整部が備える濃度調整器の構成を模式的に示す図である。 制御部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。 制御部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。 変形例に係る濃度調整器の構成を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
[温度調整装置の構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る温度調整装置1の全体構成を簡略化して示すブロック図である。本実施の形態の例において、温度調整装置1の温度調整対象物は、HEV(Hybrid Electric Vehicle)又はBEV(Battery Electric Vehicle)等の車両において走行モータを駆動するためのバッテリ2である。バッテリ2は、例えば、48Vの高電圧を出力するリチウムイオンバッテリである。バッテリ2の入出力特性の向上と長寿命化とを図るべく、バッテリ2の温度を所定の温度(例えば40℃)に保つことが要求され、温度調整装置1によってバッテリ2の温度調整が行われる。
図1を参照して、温度調整装置1は、制御部11、ラジエータ12、状態検出部13、ポンプ14、温度センサ15、電流値センサ16、濃度調整部17、濃度検出部18、及び流路Rを備えている。状態検出部13、ポンプ14、濃度調整部17、濃度検出部18、バッテリ2、及び蓋材3は、断熱筐体100内に収容されている。バッテリ2が断熱筐体100内に収容されることにより、車両の外気温がバッテリ2に及ぼす影響が緩和されている。
図2は、図1のうちバッテリ2付近の構造を抜き出して示す斜視図である。バッテリ2は、その側面及び上面に当接する蓋材3によって覆われている。また、パイプ状の流路Rが、蓋材3の上面に接触して配置されている。蓋材3及び流路Rの材質は、熱伝導率の高い銅又はアルミニウム等の金属である。蓋材3の上面内において流路Rは蛇行しており、これにより蓋材3と流路Rとの接触面積の増大が図られている。流路R内には、熱媒体としての相変化材が封入されている。
熱伝導率の高い金属製の蓋材3及び流路Rを介してバッテリ2と相変化材との間で熱交換が行われることにより、バッテリ2の温度調整が行われる。すなわち、相変化材の相変化温度よりもバッテリ2の温度が高い場合には、相変化材がバッテリ2から熱を奪う熱交換が行われることによって、バッテリ2は冷却され、相変化材は固相から液相に相変化する。一方、相変化材の相変化温度よりもバッテリ2の温度が低い場合には、相変化材がバッテリ2に熱を与える熱交換が行われることによって、バッテリ2は加熱され、相変化材は液相から固相に相変化する。
本実施の形態に係る温度調整装置1では、マイクロカプセル化された相変化材料30が水等の液体に所定の濃度で混入された態様の相変化材が使用される。
図3は、マイクロカプセル化された相変化材料30の一部断面構造を示す斜視図である。パラフィン系炭化水素又は遷移金属系セラミックス等から成る球体状のコア31が、酸化アルミニウム等から成る薄膜状のシェル32によって被覆されている。
図4は、制御部11が有する機能を示す図である。図4に示すように制御部11は、推定手段111、濃度制御手段112、及び流速制御手段113として機能する。これらの手段は、ROM等のメモリから読み出したプログラムをCPU等の情報処理装置が実行することによってソフトウェア的に実現されても良いし、FPGA等の専用回路を用いてハードウェアとして構成されても良い。
温度調整対象物であるバッテリ2は、その経年劣化の度合い、充放電率、又は外気温等に応じて、単位時間あたりの温度変化量(即ち温度変化速度)が変動する。推定手段111は、現在のバッテリ2を対象として、その動作時における温度変化速度の最大値である最大温度変化速度Vを推定する。以下、本実施の形態では、経年劣化によってバッテリ2の最大温度変化速度Vが初期状態より大きくなった場合の例について説明する。具体的に、推定手段111は、バッテリ2の現在の内部抵抗値(r)を計測することによって、バッテリ2の劣化度を取得する。バッテリ2は、経年劣化が進行するほどその内部抵抗値が大きくなる傾向にある。また、推定手段111は、直近の所定期間(例えば30日間)又は所定走行距離(例えば1000km)を対象とする動作履歴情報を解析することにより、電流値センサ16によって検出されたバッテリ2の入出力電流の最大値(i)を取得する。推定手段111は、内部抵抗値(r)と、単位時間あたりの入出力電流の最大値(I)とを用いて、r×Iなる演算を行うことにより、現在のバッテリ2に関する最大温度変化速度Vを推定する。
濃度制御手段112は、推定手段111が推定したバッテリ2の最大温度変化速度Vに応じて、相変化材の濃度を調整させるよう、制御信号S5によって濃度調整部17を制御する。具体的に、濃度制御手段112は、バッテリ2の最大温度変化速度Vが初期状態から変動した場合には、その変動方向及び変動量に応じて、後述する濃度調整制御によって相変化材の濃度を初期状態よりも低下又は上昇させることにより、相変化材の熱伝導率を初期状態よりも高める又は低めることが可能である。本実施の形態の例ではバッテリ2の経年劣化を対象としているため、濃度制御手段112は、バッテリ2の最大温度変化速度Vが初期状態から上昇した場合に、その変動量に応じて、濃度調整制御によって相変化材の濃度を初期状態よりも低下させることにより、相変化材の熱伝導率を初期状態よりも高める。
図5(A)は、相変化材の濃度と熱伝導率との関係を示す図であり、図5(B)は、相変化材の熱伝導率と熱伝達率との関係を示す図である。
図5(A)に示すように、相変化材の濃度を低くすると熱伝導率は高くなり、相変化材の濃度を高くすると熱伝導率は低くなることが分かる。本実施の形態に係る温度調整装置1において、液体に相変化材料が混入されることによる相変化材の初期状態の濃度は、十分に低濃度であり、例えば3%である。本実施の形態に係る温度調整装置1では、相変化材の濃度と熱伝導率との対応関係を記述したテーブル情報(以下「濃度-熱伝導率テーブル」と称す)が予め作成されて、制御部11が参照可能な不揮発性メモリに格納されている。
また、バッテリ2に対する相変化材の熱伝達率は、相変化材の熱伝導率、流速、比重、及び粘度等によって定まる。熱伝導率以外のパラメータを固定値として考えた場合には、図5(B)に示すように、相変化材の熱伝導率が大きいほど熱伝達率も大きくなる。熱伝達率が大きいということは、応答性が高いということであり、つまり、相変化材によって単位時間あたりに調整可能なバッテリ2の温度変化量の最大値である温度調整可能速度Wが大きいということである。本実施の形態に係る温度調整装置1では、相変化材の熱伝導率と温度調整可能速度Wとの対応関係を記述したテーブル情報(以下「熱伝導率-温度調整可能速度テーブル」と称す)が予め作成されて、制御部11が参照可能な不揮発性メモリに格納されている。
このように、濃度制御手段112による濃度調整制御によって相変化材の濃度が低下すると、相変化材の熱伝導率は高くなり(図5(A))、それに伴ってバッテリ2に対する相変化材の熱伝達率も高くなり(図5(B))、その結果、相変化材によるバッテリ2の温度調整可能速度Wが大きくなる。なお、図5(A)に示すように、本実施の形態に係る温度調整装置1では、相変化材の最低濃度は例えば0.3%である。但し、相変化材の初期状態の濃度(3%)及び最低濃度(0.3%)の値は一例であり、これらの値には限定されない。
図6(A)は、相変化材の濃度と温度調整可能量(蓄熱可能量)との関係を示す図であり、図6(B)は、相変化材の流速と温度調整可能量との関係を示す図である。
図6(A)に示すように、相変化材は、濃度が高くなるほど相変化材料30の含有量が多くなるため温度調整可能量は増大し、濃度が低くなるほど温度調整可能量は減少する。また、図6(B)に示すように、相変化材は、流速が大きくなるほど熱交換が活発化するため温度調整可能量は増大し、流速が小さくなるほど温度調整可能量は減少する。バッテリ2の経年劣化の度合いに応じて濃度制御手段112が相変化材の濃度を低下させる濃度調整制御を行ったことに起因して、相変化材の温度調整可能量が不十分となった場合には、流速制御手段113は、その不足分に応じてポンプ14の出力を上げることによって、流路R内を流れる相変化材の流速を上昇させる流速制御を行う。これにより、バッテリ2の経年劣化に応じて相変化材の応答性を向上しつつ、必要な温度調整可能量を確保することができる。本実施の形態に係る温度調整装置1では、図6(A)に示したように相変化材の濃度と温度調整可能量との対応関係を記述したテーブル情報(以下「濃度-温度調整可能量テーブル」と称す)が予め作成されて、制御部11が参照可能な不揮発性メモリに格納されている。また、本実施の形態に係る温度調整装置1では、図6(B)に示したように相変化材の流速と温度調整可能量との対応関係を記述したテーブル情報(以下「流速-温度調整可能量テーブル」と称す)が予め作成されて、制御部11が参照可能な不揮発性メモリに格納されている。
図1を参照して、温度センサ15は、バッテリ2の温度を検出して、その検出値をデータS2として制御部11に入力する。電流値センサ16は、バッテリ2の充電時及び放電時にバッテリ2に流れる入出力電流の電流値を検出して、その検出値をデータS3として制御部11に入力する。ラジエータ12は、相変化材の固相と液相との混合割合(固相液相割合)を調整するための状態調整手段として機能する。
流路Rは、蓋材3を介してバッテリ2に接触する第1流路R1と、第1流路R1に繋がりバッテリ2から離間する第2流路R2とを有している。図1,2に示したように、蛇行する第1流路R1において、相変化材とバッテリ2との間で熱交換が行われる。
第2流路R2は、バッテリ2、ポンプ14、濃度検出部18、濃度調整部17、ラジエータ12、及び状態検出部13を経由する。
制御部11は、制御信号S4によってポンプ14の駆動を制御する。ポンプ14が駆動されることにより、流路R内で相変化材が循環される。詳細は後述するが、制御部11は、走行モータの駆動開始後において、ラジエータ12によって相変化材を冷却させる冷却処理を実行する時に、ポンプ14を駆動する。ラジエータ12は、例えば車両のフロントグリルの内側に配置されており、車両の走行時に生じる走行風によって、第2流路R2内の相変化材を冷却する。冷却処理によって、液相から固相への相変化が促され、液相割合が低められて固相割合が高められる。制御部11は、走行モータの駆動開始後において、上記冷却処理を実行しない時には、ポンプ14を駆動しない。
状態検出部13は、流路R内における相変化材の固相液相割合を検出して、その検出値をデータS1として出力する。データS1は制御部11に入力される。制御部11は、データS1に基づいて、上記状態調整手段による調整量を設定する。つまり制御部11は、データS1に基づいて、流路R内における相変化材の固相液相割合が所定範囲に収まるように、ポンプ14のオン又はオフ、並びにポンプ14の出力に基づく相変化材の流速を制御する。
図7は、状態検出部13の構成の一例を示すブロック図である。図7の接続関係で示すように、状態検出部13は、熱伝導率センサ41、記憶部42、及び固相液相割合検出部43を備えている。熱伝導率センサ41は、例えば、第2流路R2内に配置されたプローブの温度変化に基づいて、相変化材の熱伝導率を測定する。また、相変化材の熱伝導率と固相液相割合との対応関係を表すテーブル情報が予め作成されて、当該テーブル情報が、不揮発性の記憶部42に記憶されている。
図8は、相変化材の熱伝導率と固相液相割合との対応関係の一例を示す図である。縦軸の固相液相割合(0/100)は、固相割合が0%で液相割合が100%であることを意味している。また、固相液相割合(100/0)は、固相割合が100%で液相割合が0%であることを意味している。図8の特性で示されるように、相変化材の固相割合は熱伝導率にほぼ比例しており、熱伝導率が高いほど、固相割合が大きく液相割合が小さい。この特性は、液体に混入される相変化材料の濃度に応じて異なる。同一の固相液相割合であっても、相変化材の濃度が高いほど熱伝導率は低く、相変化材の濃度が低いほど熱伝導率は高い。従って、実際に流路R内に封入される相変化材を対象とした実験又はシミュレーション等によって、この特性を表すテーブル情報が予め作成されて、当該テーブル情報が記憶部42に記憶されている。
固相液相割合検出部43は、記憶部42に記憶されているテーブル情報を参照することにより、熱伝導率センサ41から入力された熱伝導率Xに対応する固相液相割合Yを割り出す。そして、固相液相割合検出部43は、割り出した固相液相割合Yを示すデータS1を、制御部11に入力する。また、熱伝導率センサ41は、測定した相変化材の熱伝導率Xを示すデータを、制御部11に入力する。
図9は、相変化材の固相液相割合と温度との関係を示す図である。固相と液相とが混在している状態、つまり、固相液相割合が(100/0)超かつ(0/100)未満である場合には、相変化材の温度は相変化温度TPで一定である。従って、バッテリ2の目標温度(例えば40℃)と同一又は近似する相変化温度TPを有する相変化材を選択し、かつ、相変化材の状態として固相と液相とが混在した状態(以下「固液混在状態」と称す)を保つことによって、バッテリ2の温度を目標温度付近で維持することができる。本実施の形態に係る温度調整装置1では、固相液相割合が例えば(70/30)の許容下限値VLと、例えば(30/70)の許容上限値VHとが設定されている。これにより、許容下限値VL以上かつ許容上限値VH以下の許容範囲が設定されている。相変化温度TP、許容下限値VL、及び許容上限値VHは、制御部11が参照可能な不揮発性の記憶部に予め格納されている。制御部11は、状態検出部13から入力されたデータS1に基づいて、流路R内における相変化材の固相液相割合が当該許容範囲に収まるように、上記状態調整手段を制御する。
図10~13は、濃度調整部17が備える濃度調整器50の構成を模式的に示す図である。濃度調整器50は、流路Rに繋がる相変化材の流入口60と、流入口60に繋がる部屋62,63と、部屋62,63及び流路Rに繋がる流出口61とを有している。部屋62には、マイクロカプセル化された相変化材料30を捕捉可能なフィルタ70が設けられている。相変化材の液体はフィルタ70を通過可能である。また、濃度調整器50は、流入口60に対して部屋62と部屋63とを切り替える弁51と、部屋62と部屋63との導通の可否を切り替える弁52と、部屋62と流出口61との導通の可否を切り替える弁53と、部屋63と流出口61との導通の可否を切り替える弁54とを有している。濃度調整器50は、制御部11から入力された制御信号S8に基づいて、弁51~54の駆動を制御する。
図10には、弁51によって部屋62が流入口60に繋げられ、弁52が閉じられ、弁53が開けられることによって部屋62が流出口61に繋げられ、弁54が閉じられた状況(第1経路)を示している。かかる状況では、流入口60から濃度調整器50内に流入してきた相変化材料30がフィルタ70によって捕捉されることにより、流路R内を流れる相変化材の濃度は低下する。フィルタ70によって捕捉された相変化材料30は、部屋62内に貯留される。
図11には、弁51によって部屋62が流入口60に繋げられ、弁52が開けられることによって部屋62,63間が導通され、弁53が閉じられ、弁54が開けられることによって部屋63が流出口61に繋げられた状況(第2経路)を示している。かかる状況では、第1経路(図10)においてフィルタ70によって捕捉され部屋62内に貯留されていた相変化材料30が、部屋63及び流出口61を介して流路R内に解放されることにより、流路R内を流れる相変化材の濃度は上昇する。
図12には、第1経路(図10)の設定後に、弁51によって部屋63が流入口60に繋げられ、弁52,53が閉じられ、弁54が開けられることによって部屋63が流出口61に繋げられた状況(第3経路)を示している。かかる状況では、多くの相変化材料30が部屋62内に貯留された状況が維持されたまま、第1経路(図10)及び第2経路(図11)が迂回されることにより、流路R内を流れる相変化材の濃度が低濃度状態で維持される。
図13には、第2経路(図11)の設定後に、弁51によって部屋63が流入口60に繋げられ、弁52,53が閉じられ、弁54が開けられることによって部屋63が流出口61に繋げられた状況(第3経路)を示している。かかる状況では、相変化材料30が部屋62から流路R内に解放された状況が維持されたまま、第1経路(図10)及び第2経路(図11)が迂回されることにより、流路R内を流れる相変化材の濃度が高濃度状態で維持される。
本実施の形態の例では、図13に示した第3経路が相変化材の濃度が3%の初期状態であり、濃度制御手段112は、流路R内の相変化材の濃度を低下させる濃度調整制御を行う際に、図10に示した第1経路に設定する。その後、濃度制御手段112は、相変化材の濃度が目的の濃度まで低下すると、図12に示した第3経路に設定する。
図1を参照して、濃度検出部18は、流路R内における相変化材の濃度を検出して、その検出値をデータS6として出力する。データS6は制御部11に入力される。濃度検出部18は、流路R内の所定の箇所に配置されたカメラを備えており、当該カメラで撮像された画像を解析することによって、単位面積あたりに含まれる相変化材料30の個数に基づいて相変化材の濃度を検出する。濃度制御手段112は、濃度検出部18による濃度検出結果に基づいて、流路R内の相変化材の濃度が目的の濃度まで低下したか否かを判定する。
[走行モータ駆動開始前の処理フロー]
図14は、車両の電源が投入された後、走行モータの駆動が開始される前に、制御部11が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
まずステップSP101において推定手段111は、上述したバッテリ2の内部抵抗値(r)と単位時間あたりの入出力電流の最大値(I)とを用いてr×Iなる演算を行うことにより、現在のバッテリ2に関する最大温度変化速度Vを推定する。
次にステップSP102において濃度制御手段112は、熱伝導率センサ41が測定した相変化材の熱伝導率と、上記熱伝導率-温度調整可能速度テーブルとに基づいて、現在の相変化材の温度調整可能速度Wを導出する。
次にステップSP103において濃度制御手段112は、ステップSP102で導出した温度調整可能速度Wが、ステップSP101で推定した最大温度変化速度V以上であるか否かを判定する。
温度調整可能速度Wが最大温度変化速度V以上である場合(ステップSP103:YES)は、次にステップSP104において制御部11は、状態検出部13からデータS1を取得することにより、その時点での相変化材の固相液相割合を検出し、当該固相液相割合を所定のメモリに記録する。
温度調整可能速度Wが最大温度変化速度V未満である場合(ステップSP103:NO)は、次にステップSP105において濃度制御手段112は、温度調整可能速度Wが最大温度変化速度V以上となる熱伝導率(以下「適正熱伝導率」と称す)を、上記熱伝導率-温度調整可能速度テーブルに基づいて導出する。また、濃度制御手段112は、適正熱伝導率に対応する相変化材の濃度(以下「適正濃度」と称す)を、上記濃度-熱伝導率テーブルに基づいて導出する。
次にステップSP106において濃度制御手段112は、上記濃度-温度調整可能量テーブルを参照することにより、相変化材の濃度を適正濃度まで低下させた場合の相変化材の最大の温度調整可能量として、吸熱可能量Pを導出する。また、濃度制御手段112は、上述の内部抵抗値(r)と入出力電流の最大値(i)とを用いてr×iなる演算を行うことにより、現在のバッテリ2の最大発熱量として、吸熱対象量Qを算出する。
次にステップSP107において濃度制御手段112は、吸熱可能量Pが吸熱対象量Q以上であるか否かを判定する。
吸熱可能量Pが吸熱対象量Q以上である場合(ステップSP107:YES)は、次にステップSP108において濃度制御手段112は、相変化材の濃度調整制御を実行する。具体的に、濃度制御手段112は、制御信号S5によって濃度調整部17を制御することにより、相変化材の濃度を適正濃度まで低下させる。
吸熱可能量Pが吸熱対象量Q未満である場合(ステップSP107:NO)は、次にステップSP109において流速制御手段113は、相変化材の流速制御を実行する。具体的に、流速制御手段113は、吸熱可能量Pが吸熱対象量Q以上となる相変化材の流速(以下「適正流速」と称す)を、上記流速-温度調整可能量テーブルに基づいて導出し、当該適正流速を所定のメモリに記録する。走行モータの駆動開始後にポンプ14を駆動する必要がある場合には、流速制御手段113は、当該メモリから当該適正流速を読み出し、流路R内を流れる相変化材の流速が当該適正流速となるように、ポンプ14の出力を制御する。ステップSP109に引き続き、ステップSP108において濃度制御手段112は相変化材の濃度調整制御を実行する。
制御部11は、ステップSP108に続いてステップSP104を実行する。
[走行モータ駆動開始後の処理フロー]
図15は、車両の走行モータの駆動が開始された後に制御部11が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
まずステップSP201において制御部11は、温度センサ15からデータS2を取得することにより、その時点でのバッテリ2の温度を計測する。
次にステップSP202において制御部11は、ステップSP201で計測したバッテリ2の温度が相変化材の相変化温度TPを超えているか否かを判定する。
ステップSP201で計測したバッテリ2の温度が相変化温度TP以下である場合(ステップSP202:NO)には、相変化材の冷却処理は不要であるため、制御部11は、ステップSP201,SP202の処理を繰り返し実行する。なお、ステップSP202の実行時点でポンプ14が駆動されている場合には、次にステップSP210において制御部11は、制御信号S4によってポンプ14の駆動を停止する。つまり制御部11は、走行モータの駆動後において相変化材の冷却処理を実行しない時には、ポンプ14を駆動しない。
ステップSP201で計測したバッテリ2の温度が相変化温度TPを超えている場合(ステップSP202:YES)には、次にステップSP203において制御部11は、制御信号S4によってポンプ14の駆動を開始する。これにより、流路R内において相変化材が循環される。つまり制御部11は、走行モータの駆動後においてラジエータ12による相変化材の冷却処理を実行する時に、ポンプ14を駆動する。
次にステップSP204において制御部11は、状態検出部13からデータS1を取得することにより、その時点での相変化材の固相液相割合を検出する。
次にステップSP205において制御部11は、電流値センサ16からデータS3を取得することによって、その時点でのバッテリ2の電流値(i)を検出する。そして、制御部11は、その時点でのバッテリ2の内部抵抗値(r)と電流値(i)とを用いてr×iなる演算を行うことにより、その時点でのバッテリ2の発熱量を算出する。
次にステップSP206において制御部11は、ステップSP204で検出した固相液相割合と、固液混在状態における固相液相割合の最大値(0/100)との差に基づいて、その時点での相変化材の吸熱可能量Pを算出する。この吸熱可能量Pは、バッテリ2から移動させて相変化材で蓄熱できる熱量(つまり相変化材の温度調整可能量)であり、上記の固相液相割合の差が大きいほど吸熱可能量Pは大きい。
次にステップSP207において制御部11は、データS2を取得してその時点でのバッテリ2の温度を検出し、当該温度と、ステップSP205で算出したバッテリ2の発熱量とに基づいて、バッテリ2に対する相変化材の吸熱対象量Qを算出する。この吸熱対象量Qは、相変化材によってバッテリ2から吸熱しなければならない熱量であり、バッテリ2の温度が高いほど吸熱対象量Qは大きく、バッテリ2の発熱量が大きいほど吸熱対象量Qは大きい。
次にステップSP208において制御部11は、ステップSP206で算出した吸熱可能量Pが、ステップSP207で算出した吸熱対象量Q以上であるか否かを判定する。
吸熱可能量Pが吸熱対象量Q以上である場合(ステップSP208:YES)は、ラジエータ12による冷却だけで相変化材を十分に冷却可能ということであるため、制御部11は、ステップSP201~SP208の処理を繰り返し実行する。
吸熱可能量Pが吸熱対象量Q未満である場合(ステップSP209:NO)は、ラジエータ12による冷却だけでは相変化材を十分に冷却できないため、次にステップSP209において流速制御手段113は、相変化材の流速制御を実行する。具体的に、流速制御手段113は、ステップSP206で算出した吸熱可能量PがステップSP207で算出した吸熱対象量Q以上となる相変化材の適正流速を、上記流速-温度調整可能量テーブルに基づいて導出する。流速制御手段113は、流路R内を流れる相変化材の流速が当該適正流速となるように、ポンプ14の出力を制御する。その後、制御部11は、ステップSP201以降の処理を繰り返し実行する。
[作用効果]
本実施の形態に係る温度調整装置1によれば、潜熱蓄熱作用を有する相変化材との熱交換によって温度調整対象物であるバッテリ2の温度が調整されるため、バッテリ2に対して均一な温度調整を実現できる。また、比較的高価な相変化材を大量に使用する必要がないため、コストを削減できる。さらに、濃度制御手段112は、バッテリ2の最大温度変化速度Vに応じて相変化材の濃度を調整させるよう濃度調整部17を制御する。相変化材の濃度を低下させることにより、それに含まれる相変化材料の流体摩擦が低減し、流路R中の相変化材料及び液体の乱流が高まるため、熱伝達率を上昇させることができる。相変化材の濃度を上昇させることにより、それに含まれる相変化材料の流体摩擦が増大し、流路R中の相変化材料及び液体の乱流が弱まるため、熱伝達率を低下させることができる。従って、バッテリ2の最大温度変化速度Vが変動した場合であっても、それに応じて相変化材の濃度を増減させることにより、相変化材によってバッテリ2の温度を適切に調整することが可能となる。
また、本実施の形態に係る温度調整装置1によれば、車両に搭載される走行モータを駆動するためのバッテリ2の温度を所定の範囲に保つことができるため、バッテリ2の入出力特性の向上と長寿命化とを図ることができる。
また、本実施の形態に係る温度調整装置1によれば、濃度制御手段112は、バッテリ2の最大温度変化速度Vが大きいほど相変化材の濃度を低下させるように濃度調整部17を制御する。相変化材の濃度を低下させると、それに含まれる相変化材料30の流体摩擦が低減して、流路R中の相変化材料30及び液体の乱流が高まり、熱伝達率を上昇させることができる。従って、経年劣化等によってバッテリ2の最大温度変化速度Vが大きくなった場合には、それに応じて相変化材の濃度を低下させて熱伝達率を上昇させることにより、相変化材によってバッテリ2の温度を応答性良く制御することが可能となる。
また、本実施の形態に係る温度調整装置1によれば、推定手段111は、バッテリ2の劣化度(r)と入出力電流値(I)とに基づいてバッテリ2の最大温度変化速度Vを推定する。従って、バッテリ2の最大温度変化速度Vを簡易かつ高精度に推定することが可能となる。
また、本実施の形態に係る温度調整装置1によれば、相変化材の流速を上昇させることによって、相変化材の温度調整可能量を増大させることができる。熱伝達率を上昇させるために濃度を低下させると、相変化材の温度調整可能量は低下する。従って、濃度の低下によって相変化材の温度調整可能量が不十分となった場合には、それに応じて相変化材の流速を上昇させることによって、低下した温度調整可能量を補填することができる。その結果、相変化材によってバッテリ2を十分に温度調整することが可能となる。
また、本実施の形態に係る温度調整装置1によれば、弁51~54を用いて経路を切り替えるという低消費電力かつ簡易な構成の濃度調整器50によって、相変化材の濃度調整を実現することができる。
[変形例]
図16は、変形例に係る濃度調整器80の構成を模式的に示す図である。図16に示すように濃度調整器80は、流路Rに繋がる濃縮室81と、相変化材の液体を流路R外で貯留する液体貯留室82とを備えている。本変形例において、相変化材の液体は、水よりも低沸点の例えばハイドロフルオロエーテル(HFE)である。
濃縮室81内には、相変化材を加熱するためのヒータ83が配置されている。液体貯留室82の上方には、コンデンサ等の凝縮器84が配置されている。凝縮器84の蒸気導入口は、濃縮室81の天井面に形成された蒸気排出口に連通している。また、液体貯留室82の底面に形成された液体排出口は、バルブ85を介して流路Rに連通している。バルブ85には図略の逆止弁が配置されており、この逆止弁の作用によって、液体貯留室82から流路Rへの液体の移動は許容される一方、流路Rから液体貯留室82への相変化材の移動は規制される。
相変化材の濃度を上昇させる場合には、制御部11は、バルブ85を閉じた状態で、ヒータ83及び凝縮器84を駆動する。これにより、ヒータ83の加熱によって相変化材の液体の一部が気化し、その蒸気が凝縮器84によって凝縮(液化)されることにより、液体貯留室82内に貯留される。その結果、相変化材の液体の一部が濃縮室81から液体貯留室82に移動することによって、流路R内の相変化材の濃度が上昇する。濃縮室81から液体貯留室82への液体の移動量を制御することによって、相変化材の濃度上昇量を調整することができる。
一方、相変化材の濃度を低下させる場合には、制御部11は、ヒータ83及び凝縮器84の駆動を停止した状態で、バルブ85を開ける。これにより、液体貯留室82内に貯留されていた液体が流路R内に移動し、その結果、流路R内の相変化材の濃度が低下する。液体貯留室82から流路Rへの液体の移動量を制御することによって、相変化材の濃度低下量を調整することができる。
本変形例によれば、濃縮室81又は流路Rと液体貯留室82との間で液体を移動させるというコンパクトかつ簡易な構成によって、相変化材の濃度調整を実現することができる。
1 温度調整装置
2 バッテリ
11 制御部
17 濃度調整部
50,80 濃度調整器
111 推定手段
112 濃度制御手段
113 流速制御手段
R 流路

Claims (5)

  1. 温度調整対象物の温度を調整する温度調整装置であって、
    相変化材料が液体に混入され、固相と液相との間で相変化する相変化材と、
    前記温度調整対象物に接触し、前記相変化材が封入される流路と、
    前記流路内を流れる前記相変化材の濃度を調整する濃度調整手段と、
    前記温度調整対象物の動作時における温度変化速度を推定する推定手段と、
    前記推定手段が推定した温度変化速度に応じて、前記相変化材の濃度を調整させるよう前記濃度調整手段を制御する濃度制御手段と、
    を備え
    前記温度調整対象物は、車両に搭載される走行モータを駆動するためのバッテリであり、
    前記濃度制御手段は、前記推定手段が推定した温度変化速度が大きいほど前記相変化材の濃度を低下させるように前記濃度調整手段を制御する、温度調整装置。
  2. 前記推定手段は、前記バッテリの劣化度及び電流値に基づいて当該バッテリの温度変化速度を推定する、請求項に記載の温度調整装置。
  3. 前記濃度制御手段が前記相変化材の濃度を低下させる制御を行うことによって前記相変化材の温度調整可能量が不十分となる場合に、前記流路内を流れる前記相変化材の流速を上昇させる流速制御手段をさらに備える、請求項1又は2に記載の温度調整装置。
  4. 前記濃度調整手段は、
    前記流路内を流れる前記相変化材料をフィルタによって捕捉することにより、前記相変化材の濃度を低下させる第1経路と、
    前記フィルタによって捕捉された前記相変化材料を前記流路内に解放することにより、前記相変化材の濃度を上昇させる第2経路と、
    前記第1経路及び前記第2経路を迂回することにより、前記相変化材の濃度を維持する第3経路と、
    前記第1経路、前記第2経路、及び前記第3経路を切り替える弁と、
    を含む濃度調整器を有する、請求項1~3のいずれか一つに記載の温度調整装置。
  5. 前記濃度調整手段は、
    前記液体を前記流路外で貯留する液体貯留室と、
    前記液体貯留室内の前記液体を前記流路内に移動させることにより、前記流路内の前記相変化材の濃度を低下させる第1移動手段と、
    前記流路内の前記液体を前記液体貯留室内に移動させることにより、前記流路内の前記相変化材の濃度を上昇させる第2移動手段と、
    を含む濃度調整器を有する、請求項1~3のいずれか一つに記載の温度調整装置。
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