(第1実施形態)
以下、後処理装置及び印刷システムの第1実施形態を、図面を参照して説明する。印刷システムは、例えば、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを吐出し、媒体に対して文字や画像を印刷する印刷処理を行う印刷装置と、その印刷された媒体に対して処理の一例としての所定の後処理とを行う後処理装置とで、構成される。
<印刷システムの概要>
図1に示すように、印刷システム11は、媒体50に印刷する印刷装置13と、印刷された媒体50に後処理を施す後処理装置200とを備える。印刷装置13は、例えば、媒体50にインクを吐出し、文字や画像を印刷するインクジェット式のプリンターである。後処理装置200は、印刷された媒体50に施す後処理として、1枚毎の媒体50に孔を空けるパンチ処理や複数の媒体50を綴じるステープル処理等を行う。
印刷システム11には、印刷装置13から後処理装置200まで続く図1に二点鎖線で
示す搬送路17が設けられている。印刷システム11は、搬送モーター18の駆動により搬送路17に沿って媒体50を搬送する1つまたは複数の搬送ローラー対19を備える。なお、印刷装置13および後処理装置200は、搬送ローラー対19を駆動する搬送モーター18をそれぞれ装置ごとに備えている。印刷装置13および後処理装置200は、装置ごとに複数の搬送モーター18を備えてもよい。
図面では、印刷システム11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、Z軸と交差する面に沿う方向をX軸及びY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、好ましくは互いに直交し、X軸とY軸は、水平面に沿う。以下の説明では、X軸方向を幅方向X、Z軸方向を鉛直方向Zともいう。幅方向Xと直交して搬送路17に沿う方向を搬送方向Y1ともいう。搬送方向Y1は、媒体が搬送路17に沿って搬送される方向であり、搬送路17上の位置に応じて変化する。なお、搬送方向Y1のうち媒体50に印刷が行われる部分の搬送方向は、Y軸に平行であり、これを搬送方向Yともいう。
<印刷システムの全体構成と媒体処理の流れ>
最初に、印刷装置13の構成と媒体処理の流れについて説明する。
図1に示すように、印刷装置13には、媒体50を積層した状態で収容可能なカセット21が着脱可能に設けられている。印刷装置13は、カセット21に収容された媒体50のうち、最上位の媒体50を送り出すピックアップローラー22と、ピックアップローラー22により送り出された媒体50を1枚ずつ分離する分離ローラー23とを備える。
本実施形態においては、印刷装置13は1つのカセット21を備えているが、複数のカセット21を備えることもある。すなわち、カセット21が複数積み重なって構成される。
印刷装置13は、印刷部26を備える。印刷部26は、搬送路17沿いの位置に設けられて媒体50を支持する支持部25と、支持部25により支持された媒体50に液体を吐出して印刷する液体吐出部27とを有する。液体吐出部27は、搬送路17を挟んで支持部25と対向する位置に設けられている。液体吐出部27は、幅方向Xに亘って液体を同時に吐出可能なラインヘッドとしてもよいし、幅方向Xに移動しながら液体を吐出するシリアルヘッドとしてもよい。
印刷装置13は、搬送路17の一部分として、媒体50が排出される排出経路101と、媒体50がスイッチバック搬送されるスイッチバック経路102と、媒体50の姿勢が反転される反転経路103とを備える。液体吐出部27により印刷された媒体50は、排出経路101を通って排出部104に排出される。
図1に示すように、両面印刷を実行する際、片面に印刷された媒体50は、スイッチバック経路102へ搬送された後、逆方向に搬送され、スイッチバック経路102から反転経路103へ搬送される。反転経路103で反転した媒体50は、再び液体吐出部27へ給送され、液体吐出部27により、既に印刷された面とは反対側の面に印刷される。こうして印刷装置13は、媒体50に両面印刷を行う。
印刷装置13は、印刷した媒体50を排出部104または後処理装置200に向けて搬送する。すなわち、印刷装置13は、後処理が指示されていなければ、印刷した媒体50を排出部104へ排出し、後処理が指示されていれば、印刷した媒体50を後処理装置200に向けて搬送する。なお、本実施形態における後処理には、ステープル処理等の媒体50に加工を施す処理の他、媒体50を1部ずつ左右にずらすオフセット処理等の媒体50に加工を施さない処理も含まれる。
<後処理装置の構成と媒体処理の流れ>
次に、後処理装置200の構成と媒体処理の流れについて説明する。
図1に示すように、後処理装置200は、印刷装置13から搬出される媒体50を搬入する搬入部207と、搬入された媒体に後処理を行う中間トレイ210と、後処理が行われた媒体50を積載する排出スタッカー231とを備える。
搬入部207は、媒体50を受け入れる受入ローラー対201と、受入ローラー対201から中間排出ローラー対202まで印刷装置13が有する液体吐出部27が吐出した液体によって印刷された媒体50を搬送する搬送路17と、媒体50の後端を検出する受入センサー203とを有する。
図1に示すように、中間トレイ210は、搬送路17によって搬送された媒体50が積載される。中間トレイ210は、媒体50の後端が搬送路17を通過した後に、搬送されてきた媒体50の後端を搬送方向Y1上流側へと引き込む引き込み動作を開始する第1引き込み部材211と、第2引き込み部材212と、を有する。第2引き込み部材212は、第1引き込み部材211よりも搬送方向Y1下流側に設けられる。
更に、中間トレイ210は、第1引き込み部材211によって引き込まれた媒体50の後端と接触し、媒体50の後端を整合する後端整合部210a(図2参照)と、媒体50の後端と直交する辺である一対の側端を整合する一対の側端整合部材215とを有する。更に、中間トレイ210は、整合された媒体50に後処理を施す後処理機構240と、後処理後の媒体50を中間トレイ210から排出する排出ローラー対230を有する。
図2に示すように、後端整合部210aは、媒体50の後端が搬送方向Y1に整合されるときの基準面である。また、一対の側端整合部材215は、媒体50の側端を整合する時の基準面を有し、中間トレイ210に搬送される媒体50を挟むようにして幅方向Xに並んで配置されている。一対の側端整合部材215は幅方向Xで媒体50を挟み込む動作を繰り返すことで媒体50の側端を整合する。
図2に示すように、後処理装置200は制御部250を有する。制御部250は、第1引き込み部材211の動作と、第2引き込み部材212の動作と、側端整合部材215の動作と、後処理機構240の動作と、排出スタッカー231への積載動作とを制御する。
本実施形態においては、後処理装置200は、検出部の一例としての状態検知センサー217を備える。状態検知センサー217は、媒体50の表面を照射する光源217aと、媒体50からの反射光により媒体50の表面を撮像する撮像部217bと、撮像部217bによって時間間隔をおいて撮像された所定の大きさの面積の2つのパターンから、移動量と移動方向を検出する不図示の演算部とを有する。状態検知センサー217は、算出された媒体50の移動量と移動方向を制御部250に出力する。撮像された所定の大きさの面積を「撮像エリア」という。所定の大きさとは、例えば、直径0.1mm程度であり小さいが、状態検知センサー217は解像度が高いため、媒体50の媒体面の小さな凹凸や陰影を細かく判別する。
撮像エリアの一部のみの移動量と移動方向を出力する場合には、状態検知センサー217の不図示の演算部は、媒体50の後端が撮像エリア内にあると判断する。状態検知センサー217は媒体50の移動量と移動方向を出力するとともに、撮像結果を制御部250に出力し、制御部250によって媒体50の後端が撮像エリア内にあるかどうかを判断してもよい。撮像エリア内の移動量と移動方向を出力するエリアと、移動量と移動方向を出力しないエリアとの境界から、媒体50の後端が撮像エリア内にあるときの時刻と媒体50の後端の位置と斜行量とが検出できる構成となっている。
図3に示すように、第1引き込み部材211が第1引き込み動作を行う媒体50を第1の媒体51とし、その第1の媒体51が引き込まれ、第1引き込み動作を行うときに、中間トレイ210の一番上側に積載されている媒体50を第2の媒体52とする。第1引き込み部材211の引き込み動作を第1引き込み動作という。
受入センサー203は、中間排出ローラー対202よりも搬送方向Y1の少し上流の位置に配置されている。第1の媒体51は中間排出ローラー対202によって搬送される。媒体50が中間トレイ210に積載されるときの中間トレイ210側の面を裏面とし、裏面と反対側の面を表面とする。媒体50の表面と、媒体50の裏面とを合わせて媒体面とする。第1の媒体51の後端51cが中間排出ローラー対202を通過すると、第1の媒体51は第2の媒体52の上に落下する。
第1の媒体51が落下するときに、電動モーター235(図9参照)によって媒体落下部材216が時計回りに短い時間で回動し、すぐに反時計回りに短い時間で回動して元の位置に戻ることによって、媒体落下部材216は第1の媒体51の落下を加速させる。
第1の媒体51が中間トレイ210に落下した直後は、第1引き込み部材211及び第2引き込み部材212は、第1の媒体51と接触しない角度で回転を停止している。以降は、この角度を「待機角度」という。
図4に示すように、制御部250は、受入センサー203が第1の媒体51の後端51cを検出し、第1の媒体51の後端51cが中間排出ローラー対202を通過した後、中間トレイ210の上方に配置された第2引き込み部材212の動作の制御を開始する。すなわち、第2引き込み部材212がW2方向に回転を開始して、搬送方向Y1上流側の後端整合部210aの方向に、第1の媒体51を搬送する。
状態検知センサー217の検知エリアは、第1の媒体51の後端51cが中間トレイ210上に落下する位置よりも、搬送方向Y1上流側に設置されている。そのため、状態検知センサー217は、第1の媒体51の後端51cが搬送方向Y1下流側より撮像エリア内に入り、搬送方向Y1上流側より撮像エリア内から出ることを検出する。すなわち、状態検知センサー217は、第1の媒体51の後端51cが撮像エリア内を通過したことを検知する。このとき状態検知センサー217は、撮像部217bの撮像エリアのパターンから、第1の媒体51の後端51cが撮像エリア内を通過した時刻における、第1の媒体51の後端51cの位置と斜行量を検知する。状態検知センサー217の検知エリアは、第1引き込み部材211よりも搬送方向Y1下流側にある。
図5に示すように、中間トレイ210は、搬送方向Y1下流端よりも上流端の方が鉛直方向Zの下方に位置する向きに傾いた傾斜姿勢に配置されているため、中間トレイ210上に落下した第1の媒体51は、重力によって中間トレイ210の上面を搬送方向Y1上流に向かって滑り落ちる方向の力が働く。第2引き込み部材212は回転して、第1の媒体51を中間トレイ210の上面を搬送方向Y1上流側に引き込む。第2引き込み部材212の引き込み動作を第2引き込み動作という。
図6に示すように、制御部250は、第1の媒体51の後端51cが搬送路17を通過した後に、状態検知センサー217の出力より、第1の媒体51の後端51cが第1引き込み部材211に到達したことを検知すると、第1姿勢で搬送方向Y1上流側へ引き込む第1引き込み動作を開始する。到達したとは、媒体50の後端が停止した第1引き込み部材211に当たる直前であり、第1引き込み部材211が第1姿勢の高さに変更されて回転を開始したときに、媒体50の後端が第1引き込み部材211の第1羽根C211cに
当たらず、第1羽根A211aが第1の媒体51の表面51aを引き込むタイミングである(図5参照)。この第1引き込み動作によって第1の媒体51が搬送方向Y1上流側へと引き込まれる。
状態検知センサー217は、撮像部217bによって時間間隔をおいて撮像された2つのパターンから、媒体50の移動量と移動方向を出力するため、制御部250は、第1の媒体51の後端51cが第1引き込み部材211に到達するタイミングまたは時刻を算出できる構成となっている。更に制御部250は、第1の媒体51の後端51cが第1引き込み部材211に到達したそのときの撮像部217bの撮像エリアのパターンによって、第1の媒体51の後端51cの到達を判断できる構成となっている。
第1姿勢とは、第1引き込み部材211が所定の高さでW1方向に回転して第1の媒体51の後端51cを後端整合部210aへ引き込む姿勢である。第1引き込み部材211の高さとは、中間トレイ210の積載底面210bと、第1引き込み部材211の第1回転中心211e(図24参照)と、の距離である。所定の高さとは、ユーザーが印刷装置13で使用を推奨する種類の媒体50を引き込むのに適した高さである。制御部250は、第1上下動モーター253(図9参照)によって、第1引き込み部材211の姿勢が第1姿勢のときの、第1引き込み部材211の第1回転中心211e(図24参照)の高さを変更できる構成となっている。
図7に示すように、第1引き込み部材211はW1方向に回転し、第1の媒体51が引き込まれる力を発生させることによって、第1の媒体51の後端51cを後端整合部210aに到達させる。第1引き込み部材211は、第1の媒体51の後端51cを座屈させない程度に、第1の媒体51の後端51cの辺全体を後端整合部210aである基準面に突き当てる。後端整合部210aは、第1引き込み部材211によって引き込まれた第1の媒体51の後端51cと接触し、第1の媒体51の後端51cを整合する。
制御部250は、状態検知センサー217が第1の媒体51の後端51cを検知したときの第1の媒体51の後端51cの斜行量に対して、移動量と移動方向を加算することで、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達する時刻における第1の媒体51の斜行量を算出する。更に制御部250は、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達したそのときの撮像部217bの撮像エリアのパターンによって、第1の媒体51の斜行量を判断できる構成となっている。
制御部250は、状態検知センサー217の出力に応じて、第2引き込み動作を制御する。制御部250は、検出部300である状態検知センサー217の出力から、媒体50が後端整合部210aに到達したと判断したときには、第2引き込み部材212の第2引き込み動作を規制する。
第2引き込み動作を規制する方法として、制御部250は、第2引き込み部材212の回転を停止してもよいし、回転を遅くしてもよい。本実施形態では、制御部250は、第2引き込み動作を停止する。
第2引き込み動作を停止するタイミングは、第1の媒体51の後端51cを後端整合部210aに整合する直前でもよいし、整合するタイミングでもよい。制御部250は、第2回転モーター214(図9参照)によって、第2引き込み部材212の回転位置が待機角度の位置となるタイミングで、第2引き込み部材212の回転を停止する。
図7に示すように、第1の媒体51の後端51cの辺全体が、後端整合部210aの面に突き当たると、制御部250は、側端整合部材215を+X方向、-X方向に移動させ
る。すなわち側端整合部材215は、一対の側端整合部材215の基準面で第1の媒体51の両側端を挟み、そして離れることによって、第1の媒体51の側端を整合する。しかし、第1の媒体51のサイズや、第1の媒体51が中間トレイ210上への落下する位置によっては、側端整合部材215が第1の媒体51の側端を整合するときに、第1の媒体51が後端整合部210aの基準面に対して平行に動かない場合がある。
これに対して、本実施形態においては、少なくとも側端整合部材215が第1の媒体51の側端を整合する間は、制御部250は、第1引き込み部材211を回転させ続ける。すなわち、第1引き込み部材211が、第1の媒体51の後端51cを後端整合部210aの基準面に突き当てながら、側端整合部材215は、第1の媒体51の側端を整合する。第1の媒体51の側端が整合され、第1引き込み部材211が、第1の媒体51の後端51cを後端整合部210aに整合するとき、中間トレイ210に積載された全ての媒体50が後端整合部210aに整合される。
制御部250は、側端整合部材215が第1の媒体51の側端の整合が終了したときの撮像部217bの撮像エリアのパターンによって、第1の媒体51の後端51cが斜行していない状態で後端整合部210aの基準面に突き当てられたことを判断できる構成となっている。
側端整合部材215が第1の媒体51の側端の整合を終了するそのときに、第1の媒体51の後端51cが斜行していない状態で後端整合部210aの基準面に突き当てられているときは、制御部250は、第1引き込み動作を終了する。すなわち、制御部250は、検出部300である状態検知センサー217の出力から、媒体50が後端整合部210aに到達したと判断したときには、第1引き込み部材211の第1引き込み動作を規制する。
しかし、側端整合部材215が第1の媒体51の側端の整合を終了するそのときに、後端51cの辺の片方しか後端整合部210aの基準面に突き当たっていない場合がある。制御部250は、第1の媒体51がまだ斜行している状態であると判断し、第1の媒体51が斜行していない状態で後端整合部210aの基準面に突き当てられていることが確認できるまで、第1引き込み部材211の第1引き込み動作を継続する。媒体50の斜行量が大きいときには、制御部250は、第1引き込み部材211の引き込み量を多くする。すなわち、制御部250は、状態検知センサー217の出力から媒体50が斜行したと判断したときには、媒体50の斜行量に応じて第1引き込み部材211の引き込み量を変更する。
第1引き込み動作を規制する方法として、本実施形態のように、媒体50が後端整合部210aに到達したと判断したときに、側端整合部材215が第1の媒体51の側端を整合し、整合動作が終了した後に第1引き込み動作を規制してもよい。
第1引き込み動作を規制する方法として、制御部250は、第1引き込み部材211の高さを高くして、第1の媒体51への当たり方を弱くしてもよいし、第1引き込み部材211の回転を遅くしてもよい。
また、第1引き込み動作を規制する方法として、制御部250は、第1引き込み部材211を第2姿勢へと変化させてもよい。制御部250は、第1引き込み部材211が第1の媒体51に当たっている状態で、第1引き込み部材211の第1引き込み動作を停止し、第1引き込み部材211の高さを低くし、第1引き込み部材211によって第1の媒体51を押さえ付ける第2姿勢へと変化させることができる。
図8に示すように、中間排出ローラー対202を通過した媒体50は、次々と中間トレイ210に積載される。ユーザーが指定した枚数の媒体50が中間トレイ210に積載されると、後処理機構240は、積載された媒体50の束に対して後処理を行う。例えば、積載された媒体50の束には、ユーザーが指定した綴じ位置にステープル処理が施される。後処理が行われた媒体50の束は、排出ローラー対230によって後処理装置200の外面に沿って昇降可能に配置された排出スタッカー231上に排出される。
<後処理装置の媒体の整合に関するブロック図>
図9に示すように、後処理装置200は、制御部250を有する。更に後処理装置200は、中間トレイ210における媒体50の引き込み状態を検知する検出部300を複数有する。制御部250は、第1引き込み部材211の第1引き込み動作と、第2引き込み部材212の第2引き込み動作と、側端整合部材215の動作と、後処理機構240の動作とを制御する。
後処理装置200は、第1引き込み部材211を回転させる第1回転モーター213と、第1回転モーター213の電流値を検出する第1電流検出部251と、第1引き込み部材211の高さを変更する第1上下動モーター253と、第1引き込み部材211の回転位置を検知する第1回転位置センサー254とを有する。
後処理装置200は、第2引き込み部材212を回転させる第2回転モーター214と、第2回転モーター214の電流値を検出する第2電流検出部252と、第2引き込み部材212の回転位置を検知する第2回転位置センサー255とを有する。
検出部300の一例としての、第1電流検出部251と第2電流検出部252は、検知される電流値の変動状態によって、制御部250が媒体50の引き込み状態を推測するために使用される。第1引き込み部材211は、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達するまで回転し、後端整合部210aの近くに配置されるため、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達したときの負荷を直接受ける。そのため、第1電流検出部251は、電流値が所定の閾値を越えたときに、媒体50が後端整合部210aに到達したと判断する判断部を有する。
所定の閾値とは、第1引き込み部材211が第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達する前に示す電流値の最大値よりも大きく、第1引き込み部材211が第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達した後に示す電流値の最小値よりも小さい値である。
第1引き込み部材211または第2引き込み部材212の引き込み動作によって、中間トレイ210の中で媒体50がジャムになったときに、第1回転モーターまたは第2回転モーター214の電流値が急激に上昇にする。そのため、制御部250が媒体50のジャムを検知するために、第1回転モーター213または第2回転モーター214の電流値が使用される場合がある。
図9に示すように、後処理装置200は、側端整合部材215を移動させる側端整合モーター256と、側端整合部材215の位置を検知する側端整合位置センサー258とを有する。側端整合部材215の動作は、制御部250によって制御される。
後処理装置200は、中間トレイ210の上で後処理された媒体50の束を排出スタッカー231に排出する排出モーター232と、積載された媒体50の量に応じて積載面の高さを上下させるスタッカーモーター233と、積載面の高さを検知するスタッカー高さセンサー234とを有する。媒体50を排出スタッカー231に積載する動作は制御部2
50によって制御される。
<後処理装置の各部の動き>
次に、図10に示すタイミングチャートを参照し、状態検知センサー217の出力によって、第1引き込み動作を規制する場合について、複数の媒体50が中間トレイ210に整合されて積みあがっていくときの、後処理装置200の各部の動きを説明する。図10に示すt2~t8の時刻は、それぞれ図2~図8に対応する状態を示している。
図10に示すように、搬送モーター208は、後処理動作が開始されると回転を始め、媒体50の受け入れ準備が完了する。印刷ジョブの最終媒体を搬送すると、回転を止める。また、受入センサー203の出力がOFFになる度に、搬送モーター208は回転速度を一時的に遅くする。すなわち、媒体50の後端が中間排出ローラー対202を通過する度に、搬送モーター208が媒体50の搬送速度を落とすことによって、媒体50が中間排出ローラー対202から遠くに飛ばないようにする。
受入センサー203は、媒体50の有無を検知し、その検知対象位置を、媒体50が通過するときは出力がONになり、媒体50が通過しないときは出力がOFFになる。なお、受入センサー203の出力がOFFしても、搬送モーター208の回転速度を維持する構成でもよい。
図10に示すように、第1上下動モーター253は、第1引き込み部材211の高さを変更する。媒体50を引き込む姿勢である第1姿勢の高さと、媒体50を押さえる姿勢である第2姿勢の高さとを切り換えることができる。また、第1上下動モーター253は、第1姿勢の高さを変更することができる。図10は、第1引き込み部材211の姿勢が、第1姿勢と第2姿勢とで変化している状態を示している。
状態検知センサー217の出力状態は三つある。一つ目の状態は、中間トレイ210上に媒体50がない状態である。このとき、状態検知センサー217の撮像部217bは、中間トレイ210面を撮像する。媒体50と中間トレイ210面とは表面状態が大きく違うため、制御部250は媒体50の表面との判別が付く。図10に示す状態検知センサー217の出力においては、媒体なしと示している。
二つ目の状態は、中間トレイ210上に媒体50がある状態である。状態検知センサー217の検知エリアよりも第1の媒体51の後端51cが搬送方向Y1下流側にあるとき、すなわち第1の媒体51が中間トレイ210上に排出されたばかりのときは、撮像部217bは、第2の媒体52の表面52aを撮像する。第2引き込み部材212が回転を開始して、状態検知センサー217の検知エリアに、第1の媒体51の後端51cが入ってきた以降は、撮像部217bは、第1の媒体51の表面51aを撮像する。図10に示す状態検知センサー217の出力においては、媒体ありと示している。
三つ目の状態は、状態検知センサー217と中間トレイ210との間であり、状態検知センサー217から非常に近い距離の位置に媒体50があり、中間トレイ210上の状態が確認できない状態である。状態検知センサー217が目隠しされた状態である。すなわち、中間排出ローラー対202が媒体50を排出している状態と、中間排出ローラー対202から排出された媒体50が落下中の状態が、三つ目の状態である。
三つ目の状態においては、状態検知センサー217から非常に近い距離に媒体50があるため、撮像部217bのピントが媒体50に合わない。三つ目の状態においては、撮像部217bのピントが合う位置に中間トレイ210の表面や媒体50があるときに検出される小さな凹凸や陰影が、撮像部217bによって鮮明に撮像されない。そのため、制御
部250は中間トレイ210の表面や中間トレイ210上に積載された媒体50の表面と、それ以外のものとの判別がつく。図10に示す状態検知センサー217の出力においては、媒体ありと媒体なしとの間の状態を示している。
図10に示すように、第2回転モーター214は、第2引き込み部材212を回転させる。受入センサー203の出力がONからOFFになるタイミングからの第2処理時間Δ2が経過すると、第2回転モーター214はONになる。すなわち、第2引き込み部材212が回転を開始する。第2回転モーター214はONになった後、第2回転時間N2だけ回転すると、第2回転モーター214はOFFになり、第2引き込み部材212が回転を停止する。第2回転時間N2は、状態検知センサー217の出力に応じて、制御部250が決定する。
第1回転モーター213は、第1引き込み部材211を回転させる。制御部250は、状態検知センサー217の出力より、第1の媒体51の後端51cが第1引き込み部材211に到達したことを検知すると、第1回転モーター213はONになる。すなわち、第1姿勢で搬送方向Y1上流側へ引き込む第1引き込み動作を開始する。
側端整合モーター256は、媒体50の後端が後端整合部210aに到達したところで短い時間だけONになり、媒体50の側端整合動作を行う。媒体50が部数単位の最終媒体のときは、ステープル処理が終了するまで、側端整合部材215が、中間トレイ210上の媒体束の側端を両側から押さえているため、最終用紙のときは側端整合モーター256がONの時間が長くなっている。なお、側端整合モーター256は、媒体50の後端が後端整合部210aに到達する前に、短い時間だけONになり、媒体50の側端整合動作を行ってもよい。この場合、各引き込み部材211,212の羽根のいずれもが媒体50の表面に当たらない期間に、側端整合モーター256を駆動させてもよい。
図10に示すように、状態検知センサー217の出力より、制御部250が、媒体50の側端整合動作の後に媒体50の動きが安定し、媒体50の後端が後端整合部210aに整合されたと判断したとき、媒体50の後端及び側端の整合動作が完了し、第1回転モーター213はOFFになる。すなわち、第1引き込み部材211が回転を停止する。そして同時に、第1上下動モーター253は、第1引き込み部材211の高さを第1姿勢の高さから第2姿勢の高さに変更する。
第1上下動モーター253によって、第1引き込み部材211の高さが第2姿勢の高さにあるときに、後続の媒体50が中間トレイ210上に排出されると、第2回転モーター214はONになり、第2引き込み部材212は回転を開始する。すなわち、制御部250は、第1引き込み部材211が第2姿勢にあるときに、第2引き込み部材212は第1の媒体51を搬送方向Y1上流側へと引き込む第2引き込み動作を開始する。
後続の媒体50の後端が第1引き込み部材211に到達するときに、第1上下動モーター253は、第1引き込み部材211の高さを第2姿勢の高さから第1姿勢の高さに変更し、第1回転モーター213は、第1引き込み部材211を再度回転させる。到達するときとは、媒体50の後端が第1引き込み部材211に当たる直前であり、第1引き込み部材211が第1姿勢の高さに変更されて回転を開始したときに、媒体50の後端が第1引き込み部材211の第1羽根C211cに当たらず、第1羽根A211aが第1の媒体51の表面51aを引き込むタイミングである(図5参照)。すなわち、制御部250は、第2引き込み部材212が第1の媒体51を所定量引き込んだ後に、第1引き込み部材211は第2姿勢から第1姿勢に戻り、第1引き込み動作を再開するように構成されている。後続の媒体50の後端が第1引き込み部材211に到達するまでに、第1上下動モーター253は、第1引き込み部材211の高さを第2姿勢の高さから第1姿勢の高さに変更
し、第1回転モーター213は、第1引き込み部材211を再度回転させてもよい。
所定量とは、検出部300の検出位置と方式によって異なる。例えば、図10に示すように、検出部300が状態検知センサー217の場合は、制御部250は第1の媒体51の後端位置を常に算出している。そのため、所定量とは、第2引き込み部材212が回転を開始してから、制御部250が第1の媒体51の後端51cが第1引き込み部材211に到達したと判断したときまでに、第2引き込み部材212が第1の媒体51を実際に引き込んだ量である。
例えば、検出部300が第1電流検出部251の場合は、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達する情報のみを出力する。状態検知センサー217の場合と異なり、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達するまで、制御部250は、第1の媒体51の後端51cと第1引き込み部材211との位置関係の情報が得られない。制御部250が所定量を大きく設定すると、第2姿勢で回転停止中の第1引き込み部材211に対して、第1の媒体51の後端51cが当たる可能性がある。そのため、所定量は第1の媒体51の後端51cが最も早く第1引き込み部材211に到達するときの値にすることが望ましい。すなわち、後処理装置200で使用される媒体50の中で最も摩擦係数の低い媒体50が、第1引き込み部材211に到達する値に設定する。その値が非常に小さな値であるなら、第2引き込み部材212の第2引き込み動作の開始と同時に、第1引き込み部材211を再開するように構成してもよい。
第1引き込み部材211よりも搬送方向Y1下流側に第2の検出部を設け、該第2の検出部が第1の媒体51の後端51cを検出したとき、第1引き込み部材211は第2姿勢から第1姿勢に戻り、第1引き込み動作を再開するように構成してもよい。または、該第2の検出部によって第1の媒体51の後端51cが検出されてから、第1引き込み部材211が第1の媒体51を所定量引き込んだ後に、第1引き込み部材211は第2姿勢から第1姿勢に戻り、第1引き込み動作を再開するように構成してもよい。このときの所定量は、後処理装置200で使用される媒体50の中で最も摩擦係数の低い媒体50が、第1引き込み部材211に到達する値に設定する。
本実施形態においては、後処理機構240はステープラーであり、媒体50が部数単位の最終媒体のときに、側端整合部材215が、中間トレイ210上の媒体束の側端を両側から押さえている間に、媒体束にステープル処理を行う。ニップモーター229は、ステープル処理の間と媒体束が排出スタッカー231に排出されるまでの間、ONになり、排出ローラー対230が媒体束を上下方向からニップする。排出モーター232は、ステープル処理の終了と同時にONになり、媒体束が排出スタッカー231に排出される。
次に、図11に示すタイミングチャートを参照し、第1電流検出部251の出力によって、第1引き込み動作を規制する場合について、複数の媒体50が中間トレイ210に整合されて積みあがっていくときの、後処理装置200の各部の動きを説明する。図11に示すt2~t7の時刻は、それぞれ図2~図7に対応する状態を示している。なお、説明が図10と重複する個所は説明を省略する。
図11に示すように、第1回転モーター213がONのときは、第1電流検出部251は値を出力する。第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達するまでは電流値は低い。第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達するときは、後端51cが後端整合部210aに当たる衝撃により、電流値は一瞬高くなる。第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達した後は、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに当たり続けるときの反力によって、電流値は高めである。
本実施形態においては、第1電流検出部251の値が閾値を超えたときに、制御部250は、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達したと判断して、第2回転モーター214をOFFにし、側端整合モーターをONにしている。すなわち、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達したときに、制御部250は、第2引き込み部材212の回転を停止し、側端部の整合動作を開始する。制御部250は、側端部の整合動作が終了し、媒体50の状態が落ち着いたところで第1回転モーター213をOFFにする。すなわち、第1電流検出部251の値が閾値を超えて安定すると、第1引き込み部材211の回転を停止し、媒体50の整合を終了する。
本実施形態の作用について説明する。
最初に、媒体50の引き込み状態を検知する検出部300として、状態検知センサー217を使用し、中間トレイ210上に50枚積載されて排出スタッカー231に排出される場合を説明する。
1枚目の第1の媒体51が中間トレイ210上に排出されるときは、図2が示す状態において、中間トレイ210上には媒体50がない状態である。状態検知センサー217の撮像部217bは、中間トレイ210の表面を撮像する。媒体50と中間トレイ210面とは表面状態が大きく違うため、制御部250は媒体50の媒体面との判別が付き、中間トレイ210上には媒体50がない状態と判断する。
中間排出ローラー対202が第1の媒体51を排出すると、第1の媒体51は状態検知センサー217と中間トレイ210の表面との間を横切る。この状態は、状態検知センサー217が目隠しされた状態である。状態検知センサー217から非常に近い距離に媒体50があるため、撮像部217bのピントが媒体50に合わない。撮像部217bのピントが合う位置に中間トレイ210の表面や媒体50があるときに検出される小さな凹凸や陰影が、撮像部217bによって鮮明に撮像されない。そのため、制御部250は中間トレイ210の表面や中間トレイ210上に積載された媒体50の表面と、それ以外のものとの判別がつく。この状態は、第1の媒体51が中間トレイ210上に落下するまで続く。
第1の媒体51が中間トレイ210上に落下すると第2引き込み部材212の第2引き込み動作が開始される。図4が示す状態において、中間トレイ210上には落下したばかりの第1の媒体51が1枚ある状態である。その第1の媒体51の後端51cの落下位置は撮像エリアよりも搬送方向Y1下流側であるため、撮像部217bは中間トレイ210の表面を撮像している。第2引き込み部材212の第2引き込み動作によって、第1の媒体51は搬送方向Y1上流側に引き込まれるため、第1の媒体51の後端51cが撮像エリア内を通過することによって、状態検知センサー217は、第1の媒体51の後端51cの位置と斜行量を検知し、制御部250に通知する。
状態検知センサー217が時間間隔をおいて出力する第1の媒体51の後端51cの移動量と移動方向より、制御部250は、第1の媒体51の後端51cが、第1引き込み部材211に到達する時刻を算出する。その時刻になると、第1引き込み部材211が回転し、第1引き込み部材211の第1引き込み動作が開始される。図6が示す状態において、中間トレイ210上には引き込み動作中の第1の媒体51が1枚ある状態である。
制御部250は、状態検知センサー217の出力より、第1の媒体51の後端51cが、第1引き込み部材211に到達したことを判断できる。制御部250は、第1の媒体51の後端51cが、第1引き込み部材211に到達したときに、第1引き込み部材211の第1引き込み動作を開始することができる。
制御部250は、第1の媒体51の後端51cが、後端整合部210aに到達するときの斜行量を算出する。第1の媒体51の後端51cが、後端整合部210aに到達すると、第2引き込み部材212が第1の媒体51の表面51aに当たらない角度で停止し、側端整合部材215が第1の媒体51の幅方向Xの側端を整合する。図7が示す状態において、中間トレイ210上には側端整合中の媒体50が1枚ある状態である。制御部250は、第1の媒体51の後端51cが、第1引き込み部材211に到達したときの実際の斜行量を確認できる。
側端整合部材215が側端整合動作を終了したとき、第1の媒体51が後端整合部210aに到達したときの斜行が、撮像部217bによって撮像される画像の中で修正され、制御部250が第1の媒体51の斜行が修正されたと判断するまで、第1引き込み部材211の第1引き込み動作の停止時刻を遅延させてもよい。また、第1の媒体51が後端整合部210aに到達したときの斜行が、撮像部217bによって撮像される画像の中で修正され、制御部250が第1の媒体51の斜行が修正されたと判断するまで、側端整合部材215が第1の媒体51の幅方向Xの側端を整合する回数を増やしてもよい。
制御部250は、撮像部217bが時間間隔をおいて撮像する画像より、第1の媒体51の後端51cが撮像部217bの撮像エリアを通過するときから、第1の媒体51の後端51cが第1引き込み部材211に到達し、第1引き込み部材211が停止するまでの斜行量を監視し続ける。第1の媒体51の後端51cが第1引き込み部材211に到達した以降に斜行量が増加し続ける場合には、制御部250は、ただちに第1引き込み動作を停止し、中間トレイ210の中での媒体50の不揃いや媒体50の座屈またはジャムが発生していると判断することもできる。制御部250は、ユーザーに通知してもよいし、ジャムが発生したときの処理を行ってもよい。
第1の媒体51の整合動作が終了すると、制御部250は、第1引き込み部材211は第1引き込み動作を停止して、第1引き込み部材211の高さを低くし、第1引き込み部材211の姿勢を、第1の媒体51を押さえ付ける第2姿勢へと変化させる。
制御部250は、撮像部217bが時間間隔をおいて撮像する画像より、第1の媒体51の後端51cが撮像部217bの撮像エリアを通過するときから、第1の媒体51の後端51cが第1引き込み部材211に到達し、第1引き込み部材211が停止するまでの第1の媒体51の後端51cの位置を監視し続ける。そのため、制御部250は、第1の媒体51が引き込まれない、または第1の媒体51が引き込まれ過ぎることによって、媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
2枚目の第1の媒体51が中間トレイ210上に排出されるときは、図2が示す状態において、中間トレイ210上に第2の媒体52が1枚ある状態である。状態検知センサー217の撮像部217bは、第2の媒体52の媒体面を撮像している。
中間排出ローラー対202が第1の媒体51を排出すると、第1の媒体51は状態検知センサー217の下を横切る。撮像部217bのピントが合わないため、制御部250は、状態検知センサー217の出力から、2枚目の第1の媒体51が中間トレイ210に排出されていると判断する。図3が示す状態において、中間トレイ210上に第2の媒体52が1枚ある状態である。
2枚目の第1の媒体51が中間トレイ210上に落下すると第2引き込み部材212の第2引き込み動作が開始される。図4が示す状態において、中間トレイ210上に第2の媒体52が1枚ある状態である。その第1の媒体51の後端51cの落下位置は撮像エリアよりも搬送方向Y1下流側であるため、撮像部217bは第2の媒体52の媒体面を撮
像している。第2引き込み部材212の第2引き込み動作によって、第1の媒体51は搬送方向Y1上流側に引き込まれる。状態検知センサー217の撮像エリア内の媒体50の表面のパターンにおいて、移動量と移動方向を出力するエリアと、移動量と移動方向を出力しないエリアとの両方があるときは、制御部250は、その2つのエリアの境界を2枚目の第1の媒体51の後端51cと判断する。そして制御部250は、2枚目の第1の媒体51が撮像エリア内に到達したと判断する。図5が示す状態において、中間トレイ210上には第2の媒体52が1枚ある状態である。そして制御部250は、第1の媒体51の後端51cの位置とその斜行量を取得する。
制御部250は、第1の媒体51の後端51cが、第1引き込み部材211に到達すると、第1引き込み部材211が回転し、第1引き込み部材211の第1引き込み動作が開始される。図6が示す状態において、中間トレイ210上には第2の媒体52が1枚ある状態である。制御部250は、状態検知センサー217の出力から、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達したと判断すると、第2引き込み部材212は第1の媒体51の表面51aに当たらない位置で停止し、側端整合部材215が第1の媒体51の幅方向Xの側端を整合する。図7が示す状態において、中間トレイ210上には第1の媒体51と第2の媒体52との2枚がある状態である。
側端整合部材215が整合動作を終了すると、第1の媒体51が後端整合部210aに到達したときの斜行量に応じて、第1引き込み部材211の第1引き込み動作の停止時刻を遅延させる。第1の媒体51の整合動作が終了すると、制御部250は、第1の媒体51が後端整合部210aに到達したときの斜行量が修正されていることを、状態検知センサー217の出力から判断する。第1引き込み部材211は第1引き込み動作を停止して、第1引き込み部材211の姿勢を、第1の媒体51を押さえ付ける第2姿勢へと変化させる。
この後、媒体50は次々と中間トレイ210上に積載されて整合される。中間トレイ210上に積載されている媒体50は増えていく。中間トレイ210上の媒体50が何枚であっても、制御部250は、第1の媒体51が引き込まれるときの第1の媒体51の状態と、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達したときの第1の媒体51の状態を取得して制御している。制御部250は、第1の媒体51の後端51cが撮像部217bの撮像エリアを通過するときから、第1引き込み部材211が停止するまで、第1の媒体51の後端51cの位置と斜行量を監視し続ける。そのため、積載枚数が多くなっても、第1の媒体51が引き込まれない、または第1の媒体51が引き込まれ過ぎることによって、媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
第1の媒体51の含水状態や坪量やサイズによって、周囲環境の温度と湿度によって、第1の媒体51が引き込みにくいときがある。そのときも、制御部250は、第1の媒体51が引き込まれるときの第1の媒体51の状態と、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達したときの第1の媒体51の状態を取得して制御している。制御部250は、第1の媒体51の後端51cが撮像部217bの撮像エリアを通過するときから、第1引き込み部材211が停止するまで、第1の媒体51の後端51cの位置と斜行量を監視し続ける。そのため、積載枚数が多くなっても、第1の媒体51が引き込まれない、または第1の媒体51が引き込まれ過ぎることによって、媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
制御部250は、50枚目の第1の媒体51においても同様に制御を行う。50枚目の第1の媒体51が適切に整合された後、中間トレイ210上の50枚の媒体50の束は、ユーザーが印刷ジョブで指定した位置にステープルされ、排出スタッカーに排出される。第1の媒体51が引き込まれない、または第1の媒体51が引き込まれ過ぎることによっ
て、媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生することを抑制できる。整合されてステープルされた冊子が排出スタッカー231に排出される。
次に、媒体50の引き込み状態を検知する検出部300として、第1電流検出部251を使用し、中間トレイ210上に50枚積載されて排出スタッカー231に排出される場合を説明する。
1枚目の第1の媒体51が中間トレイ210上に排出されるときは、図2が示す状態において、中間トレイ210上には媒体50がない状態である。第1の媒体51が中間トレイ210上に落下すると、第2引き込み部材212の第2引き込み動作が開始される。そして、第1の媒体51が第1引き込み部材211に到達すると、第1引き込み部材211は回転を開始する。
第1引き込み部材211は回転を開始すると、第1電流検出部251は第1回転モーター213の電流値を検出する。図6が示す状態において、中間トレイ210上には引き込み動作中の第1の媒体51が1枚ある状態である。第1の媒体51の表面51aの状態は全面が均一ではなく、バラツキがあるため、第1引き込み部材211が第1の媒体51を引き込むときの負荷は変動し、負荷に連動して電流値の値は変動する。第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達したとき、電流値は一瞬大きなピークを示す。図7が示す状態において、中間トレイ210上には側端整合中の媒体50が1枚ある状態である。第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに整合された後も、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに当たり続けるときの反力によって、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達する前よりも電流値の値は大きな値を示すが、電流値の変動は少なくなり、値は安定する。
電流値が一瞬大きなピークを示したとき、制御部250は第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達したと判断し、第2引き込み部材212の第2引き込み動作を停止し、側端整合部材215の側端整合動作を実行する。
電流値の大きなピークが連続して複数回発生しているときには、第1の媒体51の後端51cの辺が片当たりを交互に繰り返すため、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達しているにもかかわらず、電流値の値が安定しない場合がある。制御部250は、第1の媒体51の斜行量が修正されている状態と判断して、電流値の値が安定するまで、第1引き込み部材211の第1引き込み動作の停止時刻を遅延させてもよい。また、電流値の値が安定するまで、側端整合部材215が第1の媒体51の幅方向Xの側端を整合する回数を増やしてもよい。また最初から、斜行が修正される時間を含めて、第1引き込み部材211の第1引き込み動作の停止時刻が遅延されてもよい。
第1の媒体51の整合動作が終了すると、制御部250は第1引き込み部材211の第1引き込み動作を規制する。制御部250は、第1引き込み部材211は第1引き込み動作を停止して、第1引き込み部材211の高さを低くし、第1引き込み部材211の姿勢を、第1の媒体51を押さえ付ける第2姿勢へと変化させる。制御部250は第1回転モーター213の電流値に応じて第1引き込み動作を規制するため、第1の媒体51が引き込まれない、または第1の媒体51が引き込まれ過ぎることによって、媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
2枚目の第1の媒体51が中間トレイ210上に排出されるときにも、制御部250は同様の動作を行う。
この後、媒体50は次々と中間トレイ210上に積載されて整合される。中間トレイ210上に積載されている媒体50は増えていく。中間トレイ210上の媒体50が何枚で
あっても、制御部250は、第1電流検出部251の電流値の出力状態を取得し、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達したと判断して、中間トレイ210の第1引き込み部材211の第1引き込み動作を制御している。そのため、積載枚数が多くなっても、第1の媒体51が引き込まれない、または第1の媒体51が引き込まれ過ぎることによって、媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
第1の媒体51の含水状態や坪量やサイズによって、周囲環境の温度と湿度によって、第1の媒体51が引き込みにくいときがある。そのときも、制御部250は、第1電流検出部251の電流値の出力状態を取得し、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達したと判断して、中間トレイ210の第1引き込み部材211の第1引き込み動作を制御している。そのため、積載枚数が多くなっても、第1の媒体51が引き込まれない、または第1の媒体51が引き込まれ過ぎることによって、媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
制御部250は、50枚目の第1の媒体51においても同様に制御を行う。50枚目の第1の媒体51が適切に整合された後、中間トレイ210上の50枚の媒体50の束は、ユーザーが印刷ジョブで指定した位置にステープルされ、排出スタッカー231に排出される。第1の媒体51が引き込まれない、または第1の媒体51が引き込まれ過ぎることによって、媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生することを抑制できる。整合されてステープルされた冊子が排出スタッカー231に排出される。
本実施形態の効果について説明する。
(1)制御部250は、検出部300の出力から、媒体50が後端整合部210aに到達したと判断したときには、第1引き込み部材211の第1引き込み動作を規制する。制御部250は、第1の媒体51が引き込まれるときの第1の媒体51の状態と、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達したときの第1の媒体51の状態を取得して第1引き込み動作を制御する。制御部250は、第1の媒体51の後端51cが撮像部217bの撮像エリアを通過するときから、第1引き込み部材211が停止するまで、第1の媒体51の後端51cの位置と斜行量を監視し続ける。液体吐出部27によって吐出された液体により印刷された媒体50が整合される場合、中間トレイ210において、第1引き込み部材211によって引き込まれる第1の媒体51と、中間トレイ210に先に積載された第2の媒体52との間の摩擦係数が、パラメーターの条件に応じて変化する。媒体間の摩擦係数が変化したことによって、媒体50の後端が後端整合部210aに到達するまでに要する時間が変化したときも、制御部250は、検出部300が検知した媒体50の引き込み状態から媒体50の後端が後端整合部210aに到達したときと判断した場合に、第1引き込み動作を規制する。更に、制御部250は、第1の媒体51の後端51cが状態検知センサー217の撮像エリア内を通過したときから、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達するまでの第1の媒体51の状態を取得して第1引き込み動作を規制する。そのため、媒体50が引き込まれない、または媒体50が引き込まれ過ぎることによって、媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
第1引き込み動作を規制する方法として、制御部250は、第1引き込み部材211を第2姿勢へと変化させる方法がある。制御部250は、検出部300が検知した媒体50の引き込み状態から媒体50の後端が後端整合部210aに到達したときと判断した場合に回転を停止し、第1引き込み部材211が第1の媒体51を押さえ付けることによって、媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
(2)検出部300は、撮像部217bによって時間間隔をおいて撮像された2つのパターンから媒体50の移動量と移動方向を出力する。
制御部250は、第1の媒体51の後端51cが第1引き込み部材211に到達する時刻を算出できる。制御部250は、時間間隔をおいて撮像された2つのパターンから媒体50の移動量と移動方向を検出し、第1の媒体51の後端51cが、実際に第1引き込み部材211に到達したことを判断できる。第1の媒体51の後端51cが、実際に第1引き込み部材211に到達したときに、第1引き込み部材211の第1引き込み動作を開始することができる。
制御部250は、制御部250は、時間間隔をおいて撮像された2つのパターンから媒体50の移動量と移動方向を検出し、媒体50の後端が後端整合部210aへ到達したことを判断できる。そのため、制御部250は、第1引き込み部材211の第1引き込み動作を正確に規制できる。なお、検出部300が画像を撮像する位置が、第1引き込み部材211よりも搬送方向Y1下流側の位置である場合、制御部250は、媒体50の後端が第1引き込み部材211に到達する時刻を算出できる。また、制御部250は、時間間隔をおいて撮像される画像より、媒体50の後端が、実際に第1引き込み部材211に到達したことを判断できる。更に媒体50の後端が、実際に第1引き込み部材211に到達したときに、第1引き込み部材211の第1引き込み動作を開始することができる。この場合、第1引き込み部材211の第1引き込み動作を一層正確に規制できる。
検出部300の撮像エリアの一部のみが移動量と移動方向を出力する場合には、状態検知センサー217は、媒体50の後端が撮像エリア内にあると判断できる。撮像エリア内の移動量と移動方向を出力するエリアと、移動量と移動方向を出力しないエリアとの境界から、媒体50の後端が撮像エリア内にあるときの媒体50の後端の位置と斜行量が検出できる。制御部250は、検出部300が検知した第1の媒体51の後端51cの撮像エリア内の通過状態と、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aへの到達状態とを比較して、第1の媒体51の斜行量を算出できる。
(3)検出部300の出力から第1の媒体51が斜行したと判断したときには、制御部250は、媒体50の斜行量に応じて、第1引き込み部材211の引き込み量を変更する。第1引き込み部材211が第1引き込み動作を行っている第1の媒体51が斜行しているときに、制御部250が、第1引き込み部材211の引き込み量を変更することで、媒体50の斜行が修正される。第1引き込み部材211によって引き込まれた媒体50が斜行していることによって、媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
(4)検出部300によって検出された第1回転モーター213の電流値が所定の閾値を越えたときに、媒体50が後端整合部210aに到達したと判断する。液体吐出部27によって吐出された液体により印刷された媒体50が整合される場合、中間トレイ210において、第1引き込み部材211によって引き込まれる第1の媒体51と、中間トレイ210に先に積載された第2の媒体52との間の摩擦係数が、印刷された媒体50の条件に応じて変化する。媒体間の摩擦係数が変化することによって、媒体50の後端が後端整合部210aに到達するまでに要する時間が変化したときも、媒体50の引き込み状態を検知することで、制御部250が媒体50の後端が後端整合部210aに到達したと判断する。制御部250が、媒体50の後端が後端整合部210aに到達したと判断したときに、第1引き込み動作を規制する。そのため、制御部250は、第1引き込み部材211の第1引き込み状態を正確に検知でき、媒体50の後端が第1引き込み部材211に到達したことを正確に判断できる。
(5)制御部250は、媒体50の引き込み状態から媒体50が後端整合部210aに到達したと判断した場合には、第1引き込み部材211の第1引き込み動作を停止し、第1引き込み部材211の高さを低くし、第1引き込み部材211によって媒体50を押さ
え付ける第2姿勢へと変化させる。整合済みの第2の媒体52を押さえているため、整合済みの第2の媒体52が動くことを抑制できる。
(6)制御部250は、第1引き込み部材211が第2姿勢にあるときに、第2引き込み部材212に第1の媒体51を搬送方向Y1上流側へと引き込む第2引き込み動作を開始させ、第1の媒体51の後端が第1引き込み部材211に到達するときに、第1引き込み部材211を第2姿勢から第1姿勢に戻し、第1引き込み動作を再開させる。第1引き込み部材211は、第1引き込み部材211が第2姿勢にあることによって整合済みの第2の媒体52が動くことの抑制と、第1引き込み部材211の第1姿勢による第1の媒体51の整合とを両立することができる。
(7)制御部250は、第1の媒体51の後端が第1引き込み部材211に到達するときに、第1引き込み部材211は第2姿勢から第1姿勢に戻り、第1引き込み動作を再開する。検出部300によって、制御部250は、第1の媒体51の後端51cが第1引き込み部材211に到達したことを正確に判断できる。すなわち、制御部250は、第1の媒体51の後端51cが、実際に第1引き込み部材211に到達したときに、第1引き込み部材211の第1引き込み動作を開始することができる。また、第1引き込み部材211は、第1引き込み部材211が第2姿勢にあることによって整合済みの第2の媒体52が動くことの抑制と、第1引き込み部材211の第1姿勢による第1の媒体51の整合とを両立することができる。
(8)制御部250は、検出部300の出力から、媒体50が後端整合部210aに到達したと判断したときには、第1引き込み部材211の第1引き込み動作を規制する。制御部250は、第1の媒体51が引き込まれるときの第1の媒体51の状態と、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達したときの第1の媒体51の状態を取得して第1引き込み動作を制御する。制御部250は、第1の媒体51の後端51cが撮像部217bの撮像エリアを通過するときから、第1引き込み部材211が停止するまで、第1の媒体51の後端51cの位置と斜行量を監視し続ける。液体吐出部27によって吐出された液体により印刷された媒体50が整合される場合、中間トレイ210において、第1引き込み部材211によって引き込まれる第1の媒体51と、中間トレイ210に先に積載された第2の媒体52との間の摩擦係数が、印刷された媒体50の条件に応じて変化する。媒体間の摩擦係数が変化したことによって、媒体50の後端が後端整合部210aに到達する時間が変化したときも、制御部250は、検出部300が検知した媒体50の引き込み状態から媒体50の後端が後端整合部210aに到達したときと判断した場合に、第1引き込み動作を規制する。更に、制御部250は、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達するまでの第1の媒体51の状態を取得して第1引き込み動作を規制する。そのため、印刷システム11は、第1の媒体51が引き込まれない、または第1の媒体51が引き込まれ過ぎることによって、媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
(第2実施形態)
以下、後処理装置及び印刷システムの第2実施形態を、図面を参照して説明する。なお、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明は省略する。
<後処理装置の構成と媒体処理の流れ>
後処理装置200の構成と媒体処理の流れについて説明する。
図1に示すように、後処理装置200は、印刷装置13から搬出される媒体50を搬入する搬入部207と、搬入された媒体に後処理を行う中間トレイ210と、後処理が行われた媒体50を積載する排出スタッカー231とを備える。
搬入部207は、媒体50を受け入れる受入ローラー対201と、受入ローラー対201から中間排出ローラー対202まで印刷装置13が有する液体吐出部27が吐出した液体によって印刷された媒体50を搬送する搬送路17と、媒体50の後端を検出する受入センサー203とを有する。搬送路17は、上側搬送面204と下側搬送面205とで構成される。媒体50は、上側搬送面204と下側搬送面205との間を、受入ローラー対201と中間排出ローラー対202とによって搬送される。
図1に示すように、搬送路17によって搬送された媒体50が積載される中間トレイ210は、中間トレイ210に設けられ、搬送されてきた媒体50の後端を搬送方向Y1上流側に引き込む引き込み動作を開始する第1引き込み部材211と、第2引き込み部材212と、を有する。第2引き込み部材212は、第1引き込み部材211よりも搬送方向Y1下流側に設けられる。更に、中間トレイ210は、媒体50の後端を整合する後端整合部210a(図12参照)と、媒体50の後端と直交する辺である一対の側端を整合する一対の側端整合部材215とを有する。更に、中間トレイ210は、整合された媒体50に後処理を施す後処理機構240と、後処理後の媒体50を中間トレイ210から排出する排出ローラー対230を有する。
図12に示すように、後端整合部210aは、媒体50の後端が搬送方向Y1に整合されるときの基準面である。また、一対の側端整合部材215は、媒体50の側端を整合する時の基準面を有し、中間トレイ210に搬送される媒体50を挟むようにして幅方向Xに並んで配置されている。一対の側端整合部材215は幅方向で媒体50を挟み込む動作を繰り返すことで媒体50の側端を整合する。
図12に示すように、後処理装置200は、制御部250を有する。制御部250は、第1引き込み部材211の動作と、第2引き込み部材212の動作と、側端整合部材215の動作と、後処理機構240の動作とを制御する。
後処理装置200は、中間トレイ210における媒体50の引き込み状態を検知する検出部300(図20参照)の一例としての厚み検出センサー218を有する。検出部300(図20参照)は中間トレイ210上に積載されている媒体50の累積の厚みを検出するセンサーである。
検出部300(図20参照)の一例としての厚み検出センサー218は媒体50の端部通過を検知するセンサーである。制御部250は、厚み検出センサー218によって検知した媒体50の端部通過の情報に基づいて、中間トレイ210における媒体50の引き込み状態を検知する。
例えば、厚み検出センサー218は中間トレイ210上の媒体50に非常に軽い力で押しあてられたローラーと、中間トレイ210表面とローラー表面との距離を出力するリニアセンサーで構成される。制御部250は、リニアセンサーの出力が不連続に増加したことを検知すると、ローラーと中間トレイ210表面との間に、媒体50が1枚増えたと判断する。
厚み検出センサー218は中間トレイ210上方の搬送方向Y1上流側端部に設けられる。前記制御部250は、媒体50が第1引き込み部材211によって引き込まれたときに、中間トレイ210上に積載されている媒体50の累積厚さの増加に基づいて、媒体50の引き込み状態を検知する。
図13に示すように、第1引き込み部材211が第1引き込み動作を行う媒体50を第1の媒体51とし、その第1の媒体51が引き込まれ、第1引き込み動作を行うときに、
中間トレイ210の一番上側に積載されている媒体50を第2の媒体52とする。第1引き込み部材211の引き込み動作を第1引き込み動作という。
受入センサー203は、中間排出ローラー対202よりも搬送方向Y1の少し上流の位置に配置されている。第1の媒体51は中間排出ローラー対202によって搬送される。媒体50が中間トレイ210に積載されるときの中間トレイ210側の面を裏面とし、裏面と反対側の面を表面とする。媒体50の表面と、媒体50の裏面とを合わせて媒体面とする。第1の媒体51の先端51dが中間排出ローラー対202を通過すると、第1の媒体51は第2の媒体52の上に落下する。
第1の媒体51が落下するときに、電動モーター235(図20参照)によって媒体落下部材216が時計回りに短い時間で回動し、すぐに反時計回りに短い時間で回動して元の位置に戻ることによって、媒体落下部材216は第1の媒体51の落下を加速させる。
第1の媒体51が中間トレイ210に落下した直後は、第1引き込み部材211及び第2引き込み部材212は、第1の媒体51と接触しない角度で停止している。以降は、この角度を「待機角度」という。
図14に示すように、第1の媒体51の後端51cが受入センサー203を通過してから第2処理時間Δ2(図19参照)の経過後に、制御部250は、中間トレイ210の上方に配置された第2引き込み部材212の動作の制御を開始する。すなわち、第2引き込み部材212がW2方向に回転を開始して、搬送方向Y1上流側の後端整合部210aの方向に、第1の媒体51を搬送する。
図15に示すように、中間トレイ210は、搬送方向Y1下流端よりも上流端の方が鉛直方向Zの下方に位置する向きに傾いた傾斜姿勢に配置されているため、中間トレイ210上に落下した第1の媒体51は、重力によって中間トレイ210の上面を搬送方向Y1上流に向かって滑り落ちる方向の力が働く。第2引き込み部材212は回転して、第1の媒体51を中間トレイ210の上面を搬送方向Y1上流側に引き込む。第2引き込み部材212の引き込み動作を第2引き込み動作という。
図16に示すように、制御部250は、第1の媒体51の後端51cが第1引き込み部材211に到達するとき、搬送方向Y1上流側かつ中間トレイ210の上方に配置された第1引き込み部材211の第1引き込み動作の制御を開始する。到達するときとは、媒体50の後端が第1引き込み部材211に当たる直前であり、第1引き込み部材211が第1姿勢の高さに変更されて回転を開始したときに、媒体50の後端が第1引き込み部材211の第1羽根C211cに当たらず、第1羽根A211aが第1の媒体51の表面51aを引き込むタイミングである(図15参照)。この第1引き込み動作によって第1の媒体51が搬送方向Y1上流側へと引き込まれる。すなわち、第1の媒体51の後端51cが搬送路17を通過した後に、第1引き込み部材211が、第1回転モーター213(図20参照)によって、第1姿勢で搬送方向Y1上流側へ引き込む第1引き込み動作を開始する。
第1姿勢とは、第1引き込み部材211が所定の高さでW1方向に回転して第1の媒体51の後端51cを後端整合部210aへ引き込む姿勢である。第1引き込み部材211の高さとは、中間トレイ210の積載底面210bと、第1引き込み部材211の第1回転中心211e(図24参照)と、の距離である。所定の高さとは、ユーザーが印刷装置13で使用を推奨する種類の媒体50を引き込むのに適した高さである。制御部250は、第1上下動モーター253(図20参照)によって、第1引き込み部材211の姿勢が第1姿勢のときの、第1引き込み部材211の第1回転中心211e(図24参照)の高
さを変更できる。
図17に示すように、第1引き込み部材211はW1方向に回転し、第1の媒体51が引き込まれる力を発生させることによって、第1の媒体51の後端51cが、厚み検出センサー218を通過する。厚み検出センサー218は中間トレイ210上に積載されている媒体50の累積の厚みが媒体50の厚さ1枚分の不連続に変化したことを検出すると、制御部250は、第1の媒体51の後端51cが厚み検出センサー218を通過したと判断する。
厚み検出センサー218が累積の厚みの不連続な変化を検知するとき、その検知した不連続な変化量が、媒体50の厚さ1枚分の値よりも多い場合がある。例えば、その検知した不連続な変化量が、媒体50の厚さ2枚分よりも大きな値であったときは、制御部250は、先端が折れた第1の媒体51が引き込まれたと判断して、後処理装置200を停止し、印刷装置13の液晶ディスプレイ等に表示し、ユーザーに通知してもよい。また、制御部250はジャムが発生したときの処理を行ってもよい。例えば、その検知した不連続な変化量が、媒体50の厚さ1枚分を超える値であり、その後すぐに、累積の厚みの変化量が媒体50の厚さ1枚分の値となったときは、制御部250は、先端部分が上方にカールした状態の第1の媒体51の後端51cが厚み検出センサー218を通過したと判断して、通常の動作を継続してもよい。
厚み検出センサー218が累積の厚みの不連続な変化を検知した直後に、次第に累積の厚みが増加するときには、制御部250は、先端部分が下方にカールした状態の第1の媒体51の後端51cが通過したと判断して通常の動作を継続してもよい。その累積の厚みの増加分が所定の厚さを超えるときには、引き込まれた第1の媒体51の後端51cのカールや座屈によって中間トレイが塞がったと判断して、制御部250は、ユーザーに通知してもよいし、ジャムが発生したときの処理を行ってもよい。例えば、所定の厚さとは媒体の厚さ10枚分程度である。所定の厚さは媒体50の剛性や厚み検出センサー218のローラーが媒体50を押し付ける力によって異なる。
厚み検出センサー218が累積の厚みの不連続な変化を検知するタイミングで、その累積の厚みの増加分が所定の厚さを超えるときや、その累積の厚みの増加分が変化しないときにも、制御部250は、ユーザーに通知してもよいし、ジャムが発生したときの処理を行ってもよい。
第1引き込み部材211は第1の媒体51の後端51cを後端整合部210aに到達させる。第1引き込み部材211は、第1の媒体51の後端51cを座屈させない程度に、第1の媒体51の後端51cの辺全体を後端整合部210aである基準面に突き当てる。後端整合部210aは、第1引き込み部材211によって引き込まれた第1の媒体51の後端51cと接触し、第1の媒体51の後端51cを整合する。
第1の媒体51の後端51cが厚み検出センサー218を通過してからの第2積算回転数が、第1の媒体51の後端51cを後端整合部210aに整合するために必要な第2必要回転数に達する。そのときに、制御部250は、第2引き込み動作を規制するように構成されている。
第2引き込み動作を規制する方法として、制御部250は、第2引き込み部材212の回転を停止してもよいし、回転を遅くしてもよい。本実施形態では、制御部250は、第2引き込み動作を停止する。
第2引き込み動作を停止するタイミングは、第1の媒体51の後端51cを後端整合部
210aに整合する直前でもよいし、整合するタイミングでもよい。ただし、第1引き込み部材211が第1引き込み動作を停止するタイミングよりは先である。制御部250は、第2回転モーター214(図20参照)によって、第2引き込み部材212の回転位置が待機角度の位置となるタイミングで、第2引き込み部材212の回転を停止する。
図17に示すように、第1の媒体51の後端51cの辺全体が、後端整合部210aの面に突き当たると、制御部250は、側端整合部材215を+X方向、-X方向に、移動させる。すなわち側端整合部材215は、一対の側端整合部材215の基準面で第1の媒体51の両側端を挟み、そして離れることによって、第1の媒体51の側端を整合する。
本実施形態においては、少なくとも側端整合部材215が第1の媒体51の側端を整合する間は、制御部250は、第1引き込み部材211を回転させ続ける。第1の媒体51の側端が整合され、第1引き込み部材211が、第1の媒体51の後端を後端整合部210aに整合するとき、中間トレイ210に積載された全ての媒体50が後端整合部210aに整合される。
すなわち、第1の媒体51の側端の整合と、第1の媒体51の後端の整合が終了したとき、第1の媒体51の後端51cが厚み検出センサー218を通過してからの第1積算回転数が、第1の媒体51の後端51cを後端整合部210aに整合するために必要な第1必要回転数に達する。そのときに、制御部250は、第1引き込み動作を規制するように構成されている。
第1引き込み動作を規制する方法として、制御部250は、第1引き込み部材211の回転を停止してもよいし、回転を遅くしてもよい。
第1引き込み動作を規制する方法として、制御部250は、第1引き込み部材211を第2姿勢へと変化させてもよい。制御部250は、第1引き込み部材211が第1の媒体51に当たっている状態で、第1引き込み部材211の引き込み動作を停止し、第1引き込み部材211の高さを低くし、第1引き込み部材211によって第1の媒体51を押さえ付ける第2姿勢へと変化させることができる。
第1引き込み部材211及び第2引き込み部材212は、それぞれ第1必要回転数、第2必要回転数だけ回転することで、第1の媒体51の後端51cを確実に後端整合部210aに突き当てて整合することができる。そのため、第1引き込み部材211及び第2引き込み部材212の積算の回転数である第1積算回転数、第2積算回転数が第1必要回転数及び第2必要回転数に達したときに、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達したと判断することができる。この第1必要回転数及び第2必要回転数は媒体の状態に応じて変更することができる。以上が、媒体50の整合・積載動作である。
図18に示すように、中間排出ローラー対202を通過した媒体50は、次々と中間トレイ210に積載される。ユーザーが指定した枚数の媒体50が中間トレイ210に積載されると、後処理機構240は、積載された媒体50の束に対して後処理を行う。後処理が行われた媒体50の束は、排出ローラー対230によって後処理装置200の外面に沿って昇降可能に配置された排出スタッカー231上に排出される。
<後処理装置の各部の動き>
次に、図19に示すタイミングチャートを参照し、第1引き込み部材211の姿勢が第1姿勢から第2姿勢に変化する場合について、複数の媒体50が中間トレイ210に整合されて積みあがっていくときの、後処理装置200の各部の動きを説明する。図19に示すt2~t8の時刻は、それぞれ図12~図18に対応する状態を示している。
受入センサー203は、媒体50の有無を検知し、媒体50が通過するときは出力がONになり、媒体が通過しないときは出力がOFFになる。なお、受入センサー203の出力がOFFしても、搬送モーター208の回転速度を維持する構成でもよい。
第2回転モーター214は、第2引き込み部材212を回転させる。受入センサー203の出力がONからOFFになるタイミングからの第2処理時間Δ2が経過すると、第2回転モーター214はONになる。すなわち、第2引き込み部材212が回転を開始する。厚み検出センサー218の値が変化した後、第2回転時間N2だけ回転すると、第2回転モーター214はOFFになり、第2引き込み部材212が回転を停止する。すなわち、制御部250は、第1の媒体51の後端51cが厚み検出センサー218を通過してからの第2積算回転数が、第1の媒体51の後端を後端整合部210aに整合するために必要な第2必要回転数に達したときに、第2引き込み動作を規制するように構成される。
第1上下動モーター253は、第1引き込み部材211の高さを変更する。媒体50を引き込む姿勢である第1姿勢の高さと、媒体50を押さえる姿勢である第2姿勢の高さとを切り換えることができる。また、第1上下動モーター253は、第1姿勢の高さを変更することができる。図19は、第1引き込み部材211の姿勢が、第1姿勢と第2姿勢とで変化している状態を示している。
第1回転モーター213は、第1引き込み部材211を回転させる。受入センサー203の出力がONからOFFになるタイミングから、第1処理時間Δ1が経過すると、第1回転モーター213はONになる。すなわち、第1引き込み部材211が回転を開始する。
側端整合モーター256は、媒体50の後端が後端整合部210aに到達したところで短い時間だけONになり、媒体50の側端整合動作を行う。媒体50が部数単位の最終媒体のときは、ステープル処理が終了するまで、側端整合部材215が、中間トレイ210上の媒体束の側端を両側から押さえているため、最終用紙のときは側端整合モーター256のONの時間が長くなっている。
媒体50の側端整合動作の後に媒体50の動きが安定したとき、媒体50の後端及び側端の整合動作が完了し、第1回転モーター213はOFFになる。すなわち、第1引き込み部材211が回転を停止する。このとき、第1回転モーター213は第1の媒体51の後端51cが厚み検出センサー218を通過してからN1だけ回転して回転を停止することによって、第1引き込み部材211が回転を停止する。そして同時に、第1上下動モーター253は、第1引き込み部材211の高さを第1姿勢の高さから第2姿勢の高さに変更する。すなわち、制御部250は、第1積算回転数が第1必要回転数に達したときに、第1引き込み部材211が第1の媒体51に当たっている状態で、第1引き込み部材211の引き込み動作を停止する。そして、制御部250は、第1引き込み部材211の高さを低くし、第1引き込み部材211によって第1の媒体51を押さえ付ける第2姿勢へと変化させる。
第1上下動モーター253によって、第1引き込み部材211の高さが第2姿勢の高さにあるときに、後続の媒体50が中間トレイ210上に排出されると、第2回転モーター214はONになり、第2引き込み部材212は回転を開始する。すなわち、制御部250は、第1引き込み部材211が第2姿勢にあるときに、第2引き込み部材212は第1の媒体51を搬送方向Y1上流側へと引き込む第2引き込み動作を開始する。
後続の媒体50の後端が第1引き込み部材211に到達するときに、第1上下動モーター253は、第1引き込み部材211の高さを第2姿勢の高さから第1姿勢の高さに変更
し、第1回転モーター213は、第1引き込み部材211を再度回転させる。すなわち、制御部250は、第2引き込み部材212が第1の媒体51を所定量引き込んだ後に、第1引き込み部材211は第2姿勢から第1姿勢に戻り、第1引き込み動作を再開するように構成されている。所定量とは、第1の媒体51の後端51cが第1引き込み部材211に到達する量である。
本実施形態においては、後処理機構240はステープラーであり、媒体50が部数単位の最終媒体のときに、側端整合部材215が、中間トレイ210上の媒体束の側端を両側から押さえている間に、媒体束にステープル処理を行う。
ニップモーター229は、ステープル処理の間と媒体束が排出スタッカー231に排出されるまでの間、ONになり、排出ローラー対230が媒体束を上下方向からニップする。排出モーター232は、ステープル処理の終了と同時にONになり、媒体束が排出スタッカー231に排出される。
<印刷システムの媒体の整合に関するブロック図>
図20に示すように、印刷システム11は、印刷装置13と後処理装置200とで構成される。後処理装置200は、中間トレイ210における媒体50の引き込み状態を検知する検出部300を複数有する。本実施形態においては、後処理装置200は、検出部300の一例としての厚み検出センサー218を有する。
印刷装置13は、印刷装置制御部60によって制御される。印刷装置13は、印刷装置制御部60と、送信部65と、印刷部26と、搬送部64と、操作部62と、環境センサー61とを有する。印刷装置13は、印刷装置13の機能によって、他の要素を有する場合があるが、図20においては、後処理装置200における媒体50の整合に関係しない要素については省略されている。
図20に示すように、送信部65は、外部のネットワークNWに接続されており、ネットワークNWに接続されたサーバーやコンピューター等より印刷命令を受ける。印刷命令には、媒体50のサイズと、媒体50の坪量と、印刷ページ数と各ページにおける印刷データと、片面印刷または両面印刷の指定と、印刷部数と、後処理の種類と、印刷に必要なその他の印刷情報とが含まれる。
印刷情報において、サーバーやコンピューター等が指定するサイズかつ指定する坪量の媒体50が、印刷装置13のカセット21(図1参照)に収容されているときに、送信部65は、その印刷命令を受け付ける。送信部65は、印刷情報を印刷装置制御部60に通知する。印刷装置制御部60は、印刷装置制御部60が送信部65より受け取った印刷命令に応じて、印刷部26と搬送部64の動作を制御して印刷を行う。
図20に示すように、環境センサー61は、環境センサー61が設置された位置の温度と湿度を測定し、印刷装置制御部60に通知する。環境センサー61の目的は、印刷される媒体50の環境の温度と湿度を測定することである。そのため、環境センサー61は印刷部26の近くに設置される。
操作部62は、例えば液晶ディスプレイを兼ねたタッチパネルである。印刷システム11がネットワークNWを通じて印刷命令を受けなくても、操作部62からの印刷命令によって、印刷システム11は印刷を行うことができる。
図20に示すように、印刷装置13が有する印刷装置制御部60と、後処理装置200が有する制御部250と、は互いに情報の受け渡しを行う。媒体50が印刷装置13から
後処理装置200に対して搬送されるとき、印刷装置制御部60は、制御部250に対して、これから搬送される媒体50のサイズと、媒体50の坪量とを通知する。その媒体50が部数単位の最終媒体であるときは、部数単位の最終媒体であることを示す信号と、部数単位への後処理の種類とを通知する。
例えば、媒体50が10枚綴じのステープル処理をして排出スタッカー231に排出されるときは、1枚目から9枚目までは、印刷装置制御部60は制御部250に対して、これから搬送される媒体50のサイズと、媒体50の坪量とを通知する。10枚目のときは、これから搬送される媒体50のサイズと、媒体50の坪量とに加えて、媒体セットの最終媒体であることを示す信号と、後処理がステープル処理であることとを通知する。したがって、媒体50が10枚綴じのステープル処理をされて排出スタッカー231に排出される。そして、制御部250は、印刷装置制御部60に対して、全ての処理が正常に終了したことを通知する。送信部65は、ネットワークNWを通じて、印刷命令を受けたサーバーやコンピューター等に、印刷と後処理とが正常に終了したことを通知する。
図20に示すように、本実施形態においては、後処理装置200の制御部250は、媒体50の印刷デューティーの情報と、媒体50の印刷時間に関する情報と、を媒体50の媒体面状態に影響する含水情報として、印刷装置13の印刷装置制御部60から取得する。更に、制御部250は、環境センサー61によって得られた印刷装置13が設置されている環境の温度と、印刷装置13が設置されている環境の湿度と、を媒体50の媒体面状態に影響する含水情報として、印刷装置13の印刷装置制御部60から取得する。媒体面状態とは、含水率だけでなく、含水や部分的な含水によって発生した媒体50の波うち、部分的な変形、カールを含む。
ここで、印刷デューティーは、媒体50の面積当たりの液体吐出量をいう。印刷デューティーは0~100%で示される。本実施形態においては、液体吐出部27は、例えば、大中小の3種類のドットサイズで印刷を行う。最大ドットサイズである大ドットの液滴を全てのノズルを用いて吐出して印刷するベタ印刷時における媒体50の面積当たりの液体吐出量を、印刷デューティー100%とする。つまり、印刷デューティーは、ベタ印刷時における面積当たりの液体吐出量を100%とするパラメーターである。また、印刷デューティーは、液体吐出部27の全てのノズルを用いて吐出される液体のドットサイズが同じであれば、印刷解像度が高いほど大きくなる。なお、液体吐出部27は、1種類のドットサイズの液体を吐出する構成でもよい。
媒体50の印刷時間に関する情報は、液体吐出部27が吐出した液体によって印刷された媒体50における印刷時間と、液体吐出部27が吐出した液体によって印刷された媒体50における印刷後の待機時間と、を含む。媒体50の印刷時間に関する情報は、液体吐出部27が吐出した液体によって印刷された媒体50における印刷装置内の搬送時間を含んでもよい。媒体50の印刷時間に関する情報は、媒体の表面に関する情報と、裏面に関する情報と、の両方がある。
以下の説明では、液体吐出部27が吐出した液体によって印刷された媒体50における印刷時間は「印刷時間」、液体吐出部27が吐出した液体によって印刷された媒体50における印刷後の待機時間は「待機時間」という。
待機時間とは印刷デューティーが大きい際に、媒体50を印刷装置13内で待機させる時間のことである。これは、媒体50の坪量が小さく印刷デューティーが大きいときに、媒体50の含水率が非常に高くなり、媒体50が搬送路17を正常に搬送できなくなることを防止するために設定される。この待機時間を設定することで、媒体50の含水率が低下し、媒体50の搬送が可能になる。
待機時間は、媒体50の印刷デューティーに応じて、印刷後に媒体50が待機する時間を調整し、媒体50の搬送が可能になるまで媒体50の含水率を低下させる時間であるから、待機時間によって媒体50の含水率はほとんど変わらない。しかし、印刷デューティーが高いほど待機時間は長い。そのため、待機時間における媒体50の乾燥過程での媒体面の収縮によって、待機時間が長いほど媒体面状態は悪くなる。すなわち、媒体面状態の良化に対して、待機時間は影響しない。
印刷デューティーには、搬送路17によって搬送された媒体50の表面に吐出された液体のデューティーである表面デューティーと、搬送路17によって搬送された媒体50の裏面に吐出された液体のデューティーである裏面デューティーがある。
また、媒体50の表面であり、第1引き込み部材211が媒体50と接触する領域、または接触する領域と重なる領域における印刷デューティーを接触部表面デューティーという。媒体50の裏面であり、第1引き込み部材211が媒体50と接触する領域と重なる領域における印刷デューティーを接触部裏面デューティーという。接触部表面デューティーと接触部裏面デューティーとを合わせて、接触部デューティーという。
図20に示すように、本実施形態においては、媒体50が印刷装置13から後処理装置200に対して搬送されるとき、印刷装置制御部60は、制御部250に対して、表面デューティーと、裏面デューティーと、接触部表面デューティーと、接触部裏面デューティーとを通知する。
接触部表面デューティーと接触部裏面デューティーは、いずれも、第1引き込み部材211が媒体50と接触する領域、または接触する領域と重なる領域と、全く同じ領域でなくてもよい。第1引き込み部材211が媒体50と接触する領域、または接触する領域と重なる領域が含まれている領域でもよい。例えば、媒体50を搬送方向Y1に対して三分割し、媒体50の後端側にある媒体50の1/3の領域でもよい。また、例えば、媒体50を幅方向Xに三以上の複数の領域に分割し、これら複数の領域のうち第1引き込み部材211が接触する2つの領域でもよい。第1引き込み部材211が媒体50と接触する領域、または接触する領域と重なる領域が含まれていなくても近い領域であればよい。
液体吐出部27が吐出した液体によって印刷された媒体50における印刷後の搬送時間は、制御部250が印刷装置制御部60より通知されたジョブ内容に基づき、制御部250によって算出される。媒体50が印刷装置13の搬送路17を搬送される時間は、媒体50の印刷装置13の搬送路17における搬送速度と、印刷装置13の搬送路17の搬送距離とを使用して、制御部250によって算出される。媒体50が後処理装置200の搬送路17を搬送される時間は、媒体50の後処理装置200の搬送路17における搬送速度と、後処理装置200の搬送路17の搬送距離とを使用して、制御部250によって算出される。印刷装置制御部60が、媒体50が印刷装置13の搬送路17を搬送される時間を算出して制御部250に通知し、制御部250が、媒体50が後処理装置200の搬送路17を搬送される時間を算出してもよい。
制御部250は、媒体50が印刷装置13の搬送路17を搬送される時間と、媒体50が後処理装置200の搬送路17を搬送される時間とを加えることで、液体吐出部27が吐出した液体によって印刷された媒体50における印刷後の搬送時間を算出する。以降は、液体吐出部27が吐出した液体によって印刷された媒体50における印刷後の搬送時間は、「印刷後の搬送時間」という。
制御部250は更に、第1引き込み動作を開始してから次の第1引き込み動作を開始す
るまでの媒体50の搬送ピッチ時間を算出に使用する。以降は、第1引き込み動作を開始してから次の第1引き込み動作を開始するまでの時間を「搬送ピッチ時間」という。制御部250は、第1の媒体51が液体吐出部27が吐出した液体によって印刷されてから、第1引き込み部材211が第1引き込み動作を開始するまでの経過時間を算出する。以降は、第1の媒体51が液体吐出部27が吐出した液体によって印刷されてから、第1引き込み部材211が第1引き込み動作を開始するまでの時間を「経過時間」という。印刷時間、印刷後の搬送時間、搬送ピッチ時間、のうちの少なくともいずれか一つを使用して経過時間としてもよい。
制御部250は、経過時間を構成する時間の中で、媒体面状態の良化に対して影響が大きい時間のみを用いて経過時間としてもよい。例えば、搬送時間が非常に長く、経過時間に対して印刷後の搬送時間が支配的な場合には、制御部250は、印刷後の搬送時間のみを用いて経過時間としてもよい。すなわち、媒体面状態の良化に対して印刷後の搬送時間が支配的な場合には、制御部250は、印刷後の搬送時間のみを用いて経過時間としてもよい。
本実施形態においては、制御部250は、第1の媒体51の裏面の経過時間と、第2の媒体52の表面の経過時間とを算出する。両面印刷の場合には、媒体50の表面と裏面とで経過時間が異なる。本実施形態の場合は、両面印刷の場合は、先に印刷される媒体50の面が裏面となり、後に印刷される媒体50の面が表面となる。すなわち、裏面の経過時間の方が、表面の経過時間よりも長くなる。以降は、表面の経過時間は「表面経過時間」、裏面の経過時間は「裏面経過時間」と区別していう。
第1の媒体51の裏面経過時間は、裏面の印刷時間と、裏面の待機時間と、表面の印刷時間と、表面の待機時間と、印刷後の搬送時間とによって算出される。第2の媒体52の表面経過時間は、表面の印刷時間と、表面の待機時間と、印刷後の搬送時間と、搬送ピッチ時間とによって、算出される。
経過時間は、印刷デューティーにも影響を受ける。例えば印刷デューティーが大きいときと、印刷デューティーが小さいときとを比較すると、印刷デューティーが小さいときの方が、印刷時間と待機時間が短い。すなわち、印刷デューティーが小さいときは、経過時間が短くなる。
<媒体の媒体面状態とパラメーターとの関係>
図21に示すように、第1引き込み動作開始時の第1の媒体51の裏面51bの媒体面状態と、第2の媒体52の表面52aの媒体面状態と、中間トレイ210に積載された第2の媒体52を含む媒体50の含水状態とは複数のパラメーターに影響を受ける。
印刷直後の媒体50の含水状態は、主に媒体50の印刷デューティーと、媒体50の坪量によって決まる。媒体50の坪量が小さく、媒体50の印刷デューティーが大きいときに、含水量は大きくなり、波うちやカールも大きくなる。
印刷直後の媒体50の裏面の含水状態は、主に媒体50の裏面の印刷デューティーと、媒体50の坪量によって決まる。媒体50の坪量が小さく、媒体50の裏面の印刷デューティーが大きいときに、含水量は高くなり、波うちやカールも大きくなる。
図21に示すように、第1引き込み動作開始時の第1の媒体51の裏面の媒体面状態は、印刷直後の媒体50の裏面の媒体面状態と、媒体50が印刷されてからの経過時間と、媒体50のサイズと、印刷装置13が設置されている環境の温度と、印刷装置13が設置されている環境の湿度との影響を受ける。以降は、印刷装置が設置されている環境の温度
は「環境温度」、印刷装置が設置されている環境の湿度は「環境湿度」という。
印刷直後の媒体50の裏面の媒体面状態が悪いときに、第1引き込み動作開始時の第1の媒体51の裏面51bの媒体面状態が悪くなる。媒体面状態が悪いとは、含水率が高く、波うちやカールが大きいことを意味する。
印刷からの経過時間が長いときは、乾燥時間が長くなるため含水率は低下する。ただし、経過時間が長い場合のほとんどは、印刷デューティーの高い印刷が行なわれ、待機時間が長くなった場合である。そのため、経過時間が長く、含水率が低下した媒体であっても、経過時間が一定以上の媒体の含水率は、搬送路17が搬送できる上限の含水率である。
媒体面の変化の仕方は媒体の種類によって異なる。媒体50の種類とは、媒体50の材質や成分、媒体50のサイズ、媒体50が用紙の場合には紙目方向、媒体50の坪量等である。
環境湿度が高い方が、環境湿度が低い場合に比べて媒体50が乾燥しにくく、媒体面状態が悪くなる。また、環境温度が低い方が、環境温度が高い場合に比べて媒体50が乾燥しにくく、媒体面状態が悪くなる。しかし、環境温度による影響は環境湿度による影響に比べて少ない。
図21に示すように、第1引き込み動作開始時の第2の媒体52の表面52aの媒体面状態は、印刷直後の媒体50の表面の含水状態と、媒体50が印刷されてからの経過時間と、媒体50のサイズと、環境温度と、環境湿度と、の影響を受ける。すなわち、第2の媒体52の表面は、第1の媒体51の裏面と同じパラメーターから影響を受ける。
図21に示すように、第1引き込み動作開始時の今まで積載された媒体50の含水状態は、印刷直後の媒体50の表面の含水状態と、印刷直後の媒体50の裏面の含水状態と、印刷からの各々の媒体50の経過時間と、媒体50のサイズと、媒体50の積載枚数と、環境温度と、環境湿度と、の影響を受ける。
第1引き込み動作開始時のそれまでに積載された媒体50の媒体面状態は、印刷からの各々の媒体50の経過時間が短い方が、乾燥時間が短くなり、含水状態が良くなるが、第1の媒体51や第2の媒体52ほどの影響はない。
媒体50のサイズが大きいときは、中間トレイ210に積載されている媒体50の含水率は下がりにくい。積載された媒体50は、空気に触れている場所から乾燥が進む。空気に触れている場所とは、一番上に積載されている第2の媒体52の表面52aと、積載されている全ての媒体50の四辺である。すなわち、先端の辺、後端の辺、および二か所の側端の辺である。
媒体50のサイズが大きいときは、媒体50の中央から四辺までの距離が遠くなるため、媒体50が乾燥する時間が長くかかり、積載されている媒体50の含水率は下がりにくい。すなわち、媒体50のサイズが大きいときは、中間トレイ210に積載されている媒体50の含水率の中央部と端部の差が大きくなるため、波うちが発生しやすくなる傾向にある。媒体50の積載枚数が多いときほど、その影響は大きい。波うちが発生しやすさは媒体50の種類によって異なる。
第1引き込み動作開始時のそれまでに積載された媒体50の含水状態は、環境湿度が高い方が、媒体50が乾燥しないまま、波うちはむしろ悪化し、含水状態が悪くなる。また、環境温度が低い方が乾燥過程による含水状態の良化がみられず、含水状態が悪くなる。
しかし、環境温度による影響は環境湿度による影響に比べて少ない。
すなわち、表面デューティーと、裏面デューティーと、表面経過時間と、裏面経過時間と、環境温度と、環境湿度と、媒体50のサイズと、媒体50の坪量と、のいずれもが、第1引き込み動作開始時の媒体50の含水状態のパラメーターである。以降は、第1の媒体51においての印刷デューティーは、「第1表面デューティー」、「第1裏面デューティー」という。同様に、第2の媒体52においての印刷デューティーは、「第2表面デューティー」、「第2裏面デューティー」という。
図21において、「媒体の表面」を「媒体の表面であり、第1引き込み部材211が媒体と接触する領域、または接触する領域と重なる領域」と言いかえても、同じ関係が示される。また、「媒体の裏面」を「媒体の裏面であり、第1引き込み部材211が媒体と接触する領域と重なる領域」と言いかえても、同じ関係が示される。すなわち、各媒体50における接触部表面デューティーと、接触部裏面デューティーと、のいずれもが、第1引き込み動作開始時の媒体の含水状態のパラメーターである。
以降は、第1引き込み部材211が媒体50と接触する領域、または接触する領域と重なる領域においては、「第1接触部表面デューティー」、「第1接触部裏面デューティー」という。同様に、第2引き込み部材212が媒体50と接触する領域と重なる領域においては、「第2接触部表面デューティー」、「第2接触部裏面デューティー」という。第2の媒体52の下側に積載される媒体50においての印刷デューティーも、同様にいう。
なお、媒体50の坪量と積載枚数は、中間トレイ210に積載された媒体50の高さを規定し、引き込み部材211,212の中心から第1の媒体51の表面までの各々の距離を変化させる。これらの距離は、引き込み部材211,212が引き込み動作の過程で第1の媒体51の表面を垂直方向に押す力の強さを変化させる。第1の媒体51を第2の媒体52の表面を滑らせるときに第1の媒体51が受ける摩擦力は、第1の媒体51が第2の媒体52の表面から受ける抗力と、第2の媒体52に対する第1の媒体51の摩擦係数との積で与えられる。この抗力は、引き込み部材211,212が第1の媒体51の表面を押す力が強いほど大きくなる。この点から、抗力に影響する媒体50の坪量および積載枚数は、摩擦係数に影響する媒体50の含水状態を決めるパラメーターとは独立に、引き込み部材211,212の動作を決めるパラメーターとなりうる。
<第1引き込み部材と第2引き込み部材の動作の決定方法>
後処理装置200においては、制御部250が、第1引き込み部材211と第2引き込み部材212の動作を制御することによって、媒体50が中間トレイ210上で整合される。図19に示すフローチャートを参照し、制御部250が、第1引き込み部材211と第2引き込み部材212の動作を決定する流れを説明する。図22は印刷部数が1部の場合を示している。
図22に示すように、ステップS501において、印刷装置制御部60は、印刷命令により印刷ジョブの構成を取得する。印刷ジョブの構成には、使用する媒体50のサイズと、使用する媒体50の坪量と、印刷ページ数と各ページにおける印刷データと、片面印刷または両面印刷の指定と、印刷部数と、後処理の種類とが含まれる。
ステップS502において、印刷装置制御部60は、各ページにおける印刷データより各媒体50の表面デューティーと、各媒体50の裏面デューティーと、各媒体50の接触部表面デューティーと、各媒体50の接触部裏面デューティーとを算出する。例えば、印刷ジョブが100ページの両面印刷である場合には、出力物を構成する50枚分の媒体50において、4種類のデューティーを算出する。
ステップS503において、印刷装置制御部60は、環境温度と環境湿度を環境センサー61より取得する。印刷装置制御部60は、後処理装置200の制御部250に対して、後処理の準備命令と共に、環境温度と環境湿度を通知する。
ステップS504において、後処理装置200は初期動作を行い、媒体50を受け入れて後処理を行う準備を完了する。
ステップS505において、印刷装置制御部60は、後処理装置200の制御部250から、後処理装置200の初期動作完了の通知を受ける。印刷装置13は印刷ジョブを開始する。
ステップS506において、印刷装置制御部60は、印刷を終えて後処理装置200に送り出す媒体50が、部数単位の最終媒体であるか、部数単位の最終媒体でないかを判断する。部数単位の最終媒体であるときと、部数単位の最終媒体でないときとでは、印刷装置制御部60が制御部250に通知する内容が異なるためである。
後処理装置200に送り出す媒体50が部数単位の最終媒体であるときは、ステップS506がYESになり、印刷装置制御部60は、処理をステップS507に移行する。後処理装置200に送り出す媒体50が部数単位の最終媒体でないときは、ステップS506がNOになり、印刷装置制御部60は、処理をステップS508に移行する。後処理装置200に送り出す媒体50が印刷ジョブの最初の媒体50であっても、1枚のみをプリントするときは、部数単位の最終媒体である。一般的には、1枚のみをプリントするときは、印刷装置13の排出部104を排出先に選択し、排出先に後処理装置200を選択するときは、部数単位は複数枚数で構成される。そのため、1枚目の媒体50を後処理装置200に送り出すときは、ステップS506がNOになり、印刷装置制御部60は、処理をステップS508に移行する。
ステップS508において、印刷装置制御部60が後処理装置に媒体50を送り出すときに、媒体50のサイズと、媒体50の坪量と、表面デューティーと、裏面デューティーと、接触部表面デューティーと、接触部裏面デューティーと、印刷時間に関する情報とを制御部250に通知する。一般的には、部数単位では媒体50のサイズと坪量は全て同じであることが殆どである。稀にA4サイズの媒体の部数単位の中に、数枚のA3サイズの媒体が入ることもある。また、稀にステープルが部数単位で行われるときに、表紙と裏表紙の2枚だけが坪量の大きな媒体としてユーザーが指定する場合がある。
そして、ステップS509において、第1引き込み部材211と第2引き込み部材212の動作方法を決定する図23に示すサブルーチンを実行する。
ステップS511において、ステップS509で決定した動作方法によって、後処理装置200が媒体50の整合動作を開始する。整合動作が開始すると、ステップS506に戻り、2枚目の媒体50の処理に移行する。後処理装置200に送り出す媒体50が部数単位の最終媒体であるときは、ステップS506がYESになり、印刷装置制御部60は、処理をステップS507に移行する。
ステップS507において、印刷装置制御部60が後処理装置に媒体50を送り出すときに、ステップS508において制御部250に通知する情報に加えて、最終媒体情報と、後処理の種類とを制御部250に通知する。
そして、ステップS509において、第1引き込み部材211と第2引き込み部材212の動作方法を決定する図23に示すサブルーチンを実行する。
ステップS510において、ステップS509で決定した動作方法によって、後処理装
置200が媒体50の整合動作と、後処理動作と、排出動作とを実行する。制御部250は、後処理の種類を取得すると、中間トレイ210に積載された媒体50の束が排出スタッカーに排出される前に、指定された後処理を行う。例えば、中間トレイ210に積載された媒体50の束に対して、指定された位置にステープル処理を行う。制御部250は、最終媒体情報を取得すると、その媒体50が部数単位の最終媒体であると判断して、中間トレイ210に積載された媒体50の束を排出スタッカー231に排出する。印刷装置制御部60と後処理装置200の制御部250は処理を終了する。
次に、図23に示すフローチャートを参照し、第1引き込み部材211と第2引き込み部材212の動作方法を決定するサブルーチンを説明する。なお、以下は、両面印刷の場合を例にする。
図23に示すように、ステップS601において、制御部250は、印刷装置制御部60より取得した印刷時間に関する情報から、印刷からの引き込み動作までの経過時間を算出する。本実施形態においては、制御部250は、第1の媒体51の裏面経過時間と、第2の媒体52の表面経過時間とを算出する。
ステップS602において、制御部250は複数の条件より第1の媒体51の裏面51bの媒体面状態を推定する。複数の条件とは、媒体50のサイズと、媒体50の坪量と、裏面デューティーと、接触部裏面デューティーと、裏面経過時間と、である。図21に示すように、これらの複数の条件によって、第1の媒体51の裏面51bの媒体面状態は変化する。
ステップS603において、同様に、制御部250は複数の条件より第2の媒体52の表面52aの媒体面状態を推定する。複数の条件とは、媒体50のサイズと、媒体50の坪量と、表面デューティーと、接触部表面デューティーと、表面経過時間と、である。図21に示すように、これらの複数の条件によって、第2の媒体52の表面52aの媒体面状態は変化する。
ステップS604において、制御部250は、印刷装置13より搬送された媒体50をカウントすることにより、第1引き込み部材211が第1引き込み動作を開始するときに、中間トレイ210上に積載されている枚数を算出する。
ステップS605において、制御部250は、複数の条件より中間トレイ210上に積載された媒体50の高さを推定する。複数の条件とは、中間トレイ210上に積載された各媒体50のサイズと、各媒体50の坪量と、各媒体50の表面デューティーと、各媒体50の裏面デューティーと、各媒体50の表面経過時間と、各媒体50の裏面経過時間と、中間トレイ210の積載枚数とである。
図21に示すように、これらの複数の条件によって、中間トレイ210に積載された媒体50の含水状態は変化する。これらの複数の条件は全て使用されなくてもよいし、複数の条件を加工して使用されてもよい。例えば、制御部250は、媒体50の坪量と、積載された媒体50のデューティーの平均値と、積載された媒体50の印刷後の待機時間の平均値とを使用し、中間トレイ210に積載された媒体50の高さを推定してもよい。さらに、媒体50の坪量と媒体50の積載枚数のみを用いて媒体50の高さを推定してもよい。
ステップS606において、制御部250は、媒体50のサイズと、媒体50の坪量と、第1の媒体51の裏面51bの媒体面状態と、第2の媒体52の表面52aの媒体面状態と、中間トレイ210に積載された媒体50の高さと、によって、第1引き込み部材2
11の動作方法と第2引き込み部材212の動作方法を決定する。
図22、23に示すように、表面デューティーと、裏面デューティーと、接触部表面デューティーと、接触部裏面デューティーと、表面経過時間と、裏面経過時間と、環境温度と、環境湿度とは、制御部250が、第1引き込み部材211と第2引き込み部材212の動作方法を決めるパラメーターである。更に、媒体50のサイズと、媒体50の坪量と、中間トレイ210の積載枚数とは、制御部250が、第1引き込み部材211と第2引き込み部材212の動作方法を決めるパラメーターである。環境温度と、環境湿度と、媒体50のサイズと、媒体50の坪量と、中間トレイ210に積載されている媒体50の枚数と、のうちの少なくともいずれか一つをパラメーターとして用いてもよい。
制御部250は、第1引き込み部材211と第2引き込み部材212の動作方法として、第1引き込み部材211の第1必要回転数と、第1引き込み部材211の高さと、第2引き込み部材212の第2必要回転数と、をパラメーターの条件に応じて決定する。
制御部250は、状態検知センサー217による媒体50の引き込み状態の検知結果と、パラメーターの条件とに基づいて、第1引き込み部材211の第1引き込み動作を規制する。
制御部250は、第1の媒体51の後端51cが検出部300を通過してからの第1積算回転数が、媒体50の後端を後端整合部210aに整合するために必要な第1必要回転数に達したときに第1引き込み動作を規制するように構成される。制御部250は、第1必要回転数を、媒体50の引き込み状態の検知結果と、パラメーターの条件とに応じて決定する。
制御部250は、第1の媒体51の後端51cが検出部300を通過してからの第2積算回転数が、媒体50の後端を後端整合部210aに整合するために必要な第2必要回転数に達したときに第2引き込み動作を規制するように構成される。制御部250は、第2必要回転数を、媒体50の引き込み状態の検知結果と、パラメーターの条件とに応じて決定する。
印刷装置制御部60と後処理装置200の制御部250は、第1引き込み部材と第2引き込み部材の動作を決定する処理を終了する。なお、片面印刷の場合は、裏面デューティー、接触部裏面デューティーおよび裏面経過時間の各パラメーターの算出および通知がなされない。このため、制御部250は、これらの裏面印刷に係るパラメーターを使用せず、引き込み部材211,212の動作方法を決定する。
<第1引き込み部材の構成>
図24に示すように、第1引き込み部材211が備える第1羽根211a,211b,211cは、摩擦係数が大きい材料で形成され、少しの力でもよく撓む形状にすることで、媒体50の積載高さが変わっても、第1の媒体51を引き込む力の変化が少なくなるように構成されている。例えば、細長いゴム材料の羽根が、第1コア211dの複数個所に固定される。本実施形態では、第1コア211dの3個所に第1羽根211a,211b,211cが固定される。
制御部250は、第1回転モーター213(図20参照)によって、第1引き込み部材211を一定速度で回転させる。第1羽根A211aが第1の媒体51の表面51aに当たることによって、第1羽根A211aによる媒体50を引き込む力である引込力F11が発生する。
第1引き込み部材211が回転を続けると、第1羽根B211bが第1の媒体51の表面51aに当たることによって、第1羽根B211bによる引込力F11が発生する。第1羽根B211bが第1の媒体51の表面51aに当たり始めるに近いタイミングで、第1羽根A211aは第1の媒体51の表面51aから離れる。
更に、第1引き込み部材211が回転を続けると、第1羽根C211cが第1の媒体51の表面51aに当たることによって、引込力F11が発生する。第1羽根C211cが第1の媒体51の表面51aに当たり始めるに近いタイミングで、第1羽根B211bは第1の媒体51の表面51aから離れる。
更に、第1引き込み部材211が回転を続けると、第1羽根C211cは第1の媒体51の表面51aから離れる。更に第1引き込み部材211が回転を続けると、第1引き込み部材211は、第1羽根211a,211b,211cのいずれもが第1の媒体51の表面51aに当たらない位置となり、引込力F11が発生しない期間がある。
図24に示すように、中間トレイ210は第1回転位置センサー254(図20参照)を有しており、制御部250は、第1羽根211a,211b,211cの位置がわかるように構成されている。例えば、第1回転位置センサー254(図20参照)はフォトインタラプタ型の光学センサーとし、第1引き込み部材211の回転軸に、第1回転位置センサーの発光部と受光部の間を遮蔽する不図示の遮蔽板が設けられる。
第1引き込み部材211が1回転するときに、第1引き込み部材211の不図示の遮蔽板が、第1回転位置センサー254の発光部と受光部の間を、第1引き込み部材211が所定の角度のときに、遮蔽するように構成する。例えば、所定の角度とは、第1羽根C211cの根本が中間トレイ210の積載底面210bと直角になったときの角度である。
不図示の遮蔽板が第1回転位置センサー254(図20参照)の発光部と受光部の間を遮蔽したときを基準として、第1引き込み部材211が回転した時間、または第1引き込み部材211が回転した回転数によって、制御部250は、第1羽根211a,211b,211cの位置を把握することができる。すなわち、制御部250は、第1羽根211a,211b,211cのいずれもが第1の媒体51の表面51aに当たらない状態で、第1引き込み部材211の回転を停止することによって、引込力F11を発生させない状態にすることができる。
更に、第1引き込み部材211が回転を続けると、第1羽根A211aが第1の媒体51の表面51aに当たることによって、第1羽根A211aによる引込力F11が再度発生する。第1引き込み部材211が回転を続けると、このサイクルが繰り返される。
図25に示すように、図24に示す状態から、第1引き込み部材211が第1引き込み動作を続けると、第1の媒体51の後端51cは後端整合部210aに到達する。しかし、第1の媒体51が中間トレイ210上に落下するときに、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aと平行な状態で落下することは少ない。また、第1引き込み部材211はローラーではないため、真っすぐに第1の媒体51を搬送することも少ない。そのため、第1引き込み部材211が、第1引き込み動作によって第1の媒体51の後端51cを後端整合部210aに到達させたときは、後端51cのX方向におけるどちらかの後端角部が先に後端整合部210aに接触する。しかし、第1引き込み部材211が、第1必要回転数だけ回転することによって、第1の媒体51の後端51cの辺が後端整合部210aに確実に当接する。また、より確実に、第1の媒体51の後端51cを後端整合部210aに当接させるために、第1引き込み部材211の第1積算回転数が第1必要回転数に達した後に所定量引き込む構成としてもよい。
<第1引き込み部材が第1の媒体を引き込むときに発生する力>
図24には図16に示す中間トレイ210の状態において、第1引き込み部材211が第1の媒体51を引き込むときに発生する力を示されている。第1引き込み部材211が駆動するときに、搬送方向Y1において、発生する力は主に五つある。
図24に示すように、一つ目の力は、第1引き込み部材211に働く引込力F11である。引込力F11は、第1の媒体51を搬送方向Y1上流側へ引き込む力である。
引込力F11は、第1引き込み部材211と第1の媒体51の表面51aとの摩擦係数μ1aと、第1引き込み部材211が第1の媒体51の表面51aを押し付ける力である押付力T1と、によって決まる。摩擦係数μ1aと押付力T1とのいずれかが大きくなると、引込力F11は大きくなる。押付力T1は、第1引き込み部材211の高さと、中間トレイ210に積載されている媒体50の積み上げ高さと、によって決まる。押付力T1が大きくなると、引込力F11は大きくなる。
引込力F11が大きいときは、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達する時間が短くなる。逆に、引込力F11が小さいときは、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達する時間が長くなる。
図24に示すように、二つ目の力は、第1の媒体51と第2の媒体52の間に働く摩擦力F12である。摩擦力F12は、第1の媒体51と第2の媒体52が密着することによって生じる摩擦力で、引込力F11を妨げる力である。
第1の媒体51の裏面51bと第2の媒体52の表面52aとの摩擦係数μ1bと、摩擦力F12は、第1引き込み部材211が第1の媒体51の表面51aを押し付ける力である押付力T1と、によって決まる。摩擦係数μ1bと押付力T1とのいずれかが大きくなると、摩擦力F12は大きくなる。
図24に示すように、摩擦力F12は、第1引き込み部材211が媒体50と接触する領域と重なる領域において発生する力である。摩擦力F12は第1の媒体51の裏面51bと、第2の媒体52の表面52aとの間で働く。すなわち、摩擦力F12は、第1引き込み部材211が第1引き込み動作を行っているときの第1の媒体51の裏面51bの媒体面状態と、第2の媒体52の表面52aの媒体面状態に影響を受ける。特に、第1引き込み部材211が第1の媒体51と接触する領域と重なる領域における、第1の媒体51の裏面51bの媒体面状態と、第2の媒体52の表面52aの媒体面状態とに影響を受ける。
摩擦力F12は、引込力F11と比べて媒体50の媒体面状態の影響が大きい。媒体50が含水したときに、第1羽根211a,211b,211cの材料の摩擦係数が上がる割合よりも、媒体50の摩擦係数が上がる割合が大きいためである。そのため、媒体50が含水すると、第1引き込み部材211が第1の媒体51を引き込み難くなる。
摩擦力F12が大きいときは、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達する時間が長くなる。摩擦力F12が非常に大きいと、引込力F11の大きさによっては、第1の媒体51が全く動かない場合がある。逆に、摩擦力F12が小さいときは、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達する時間が短くなる。
図24に示すように、三つ目と四つ目の力は、第1の媒体51と第2の媒体52との間で働く抵抗力F13と落下力F14である。抵抗力F13は第1の媒体51が引き込まれるときに抵抗となる力であり、落下力F14は第1の媒体51が重力により斜面を滑り落
ちる力である。
第1引き込み部材211が引込力F11によって第1の媒体51を引き込むときに、第1の媒体51は第2の媒体52の上に載っている。第1引き込み部材211が第1の媒体51と接触する領域以外においても、第2の媒体52の表面52aには、第1の媒体51の自重が掛かっている。すなわち、媒体50のサイズが大きいときや媒体50の坪量が大きいときは、抵抗力F13と落下力F14は大きくなる。落下力F14は引込力F11を助ける力であり、抵抗力F13は摩擦力F12と共に、引込力F11を妨げる力である。すなわち、搬送方向Yの長さが長く、坪量の大きい用紙ほど抵抗力F13が大きくなるため、第1引き込み部材211の引込力F11を大きく設定する必要がある。
図25に示すように、五つ目の力は、第1の媒体51の後端51cと後端整合部210aとの間で働く制止力F15である。制止力F15は、第1引き込み部材211が、第1引き込み動作によって第1の媒体51の後端51cを後端整合部210aに到達させたときに、第1の媒体51が、後端51cを後端整合部210aに当てたままの状態で制止する力である。制止力F15によって、第1の媒体51の後端51cが中間トレイ210の後端整合部210aに突き当たるときに、第1の媒体51の剛性によって、第2の媒体を動かないようにする。
第1の媒体51が後端整合部210aに接触したとき、第1の媒体51の自重が大きく、落下力F14が大きい場合には、第1引き込み部材211が第1引き込み動作を行っていないときにおいても、坪量の小さい媒体50が座屈しやすくなる。
第1引き込み部材211が第1引き込み動作を行っているときの第1の媒体51の含水率が高くなると第1の媒体51の剛性が低くなって撓み易くなり、制止力F15が小さくなる。第1の媒体51の後端51cの辺が後端整合部210aに当接した後も、第1引き込み部材211が第1引き込み動作を続けたときは、第1の媒体51の後端51cが座屈し易くなる。
制止力F15が、引込力F11の加速度の力に耐えられなくなると、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに当接したまま、第1の媒体51の後端51cに近い部分が一旦上方に凸形状に浮き上がる。第1の媒体51の後端51cに近い部分が曲がったままの状態は、さらに曲がりやすい状態であるため、制止力F15は小さくなる。そのため、次第に第1の媒体51の後端51cがカールし、第1の媒体51の後端51cが折れ曲がって積載される虞や、媒体50の座屈が発生する虞がある。回転している時間が長ければ長いほど、その虞は大きくなる。
<第2引き込み部材が第1の媒体を引き込むときに発生する力>
図26は図14に示す中間トレイ210の状態において、第2引き込み部材212が第1の媒体51を引き込むときに発生する力を示している。第2引き込み部材212が駆動するときに、搬送方向Y1において、発生する力は主に四つある。
図26に示すように、引込力F21と、摩擦力F22と、落下力F24については、第1引き込み部材の場合と同じ説明になるため、説明を省略する。第1引き込み部材211の場合と同様に、以降は、押付力は「押付力T2」という。第1引き込み部材211の場合と異なるのは、抵抗力F23であり、第1引き込み部材211の場合と異なる個所のみを説明する。
第2引き込み部材212が第2引き込み動作を開始するときは、第1の媒体51の後端51cと、第2の媒体52の後端52cとの距離が離れている。しかし、第2の媒体52
の先端52dからはみ出している部分の第1の媒体51の重さが、第2の媒体52の先端52dの部分に集中してかかるため、重なっている面積が少なくても第1引き込み部材211のときとほぼ同じだけの抵抗力F23が発生する。すなわち、搬送方向Yの長さが長く、坪量の大きい用紙ほど抵抗力F23が大きくなるため、第2引き込み部材212の引込力F21を大きく設定する必要がある。
<中間排出ローラー対が媒体を排出するときに発生する力>
図27に示すように、中間排出ローラー対が第1の媒体を排出するときに、搬送方向Y1において、発生する力は主に三つある。図27は、図13に示す中間トレイ210の状態において、中間排出ローラー対202が第1の媒体51を中間トレイ210に排出するときに発生する力を示している。
一つ目の力は、第1の媒体51と、第2の媒体52との間で働く力の突押力F31である。中間排出ローラー対202が第1の媒体51を中間トレイ210に排出するとき、突押力F31が発生する。突押力F31は、第1の媒体が第2の媒体を突き押す力である。
突押力F31は、第1の媒体51の裏面51bと、第2の媒体52の表面51aとの間の摩擦係数μ1bと、第1の媒体51の裏面51bが第1の媒体51の表面51aを押し付ける力である押付力T3と、によって決まる。押付力T3と摩擦係数μ1bとのいずれかが大きくなると、突押力F31は大きくなる。
第1の媒体51の剛性が大きい場合に押付力T3が大きい。中間排出ローラー対202が第1の媒体51を排出するときの、第1の媒体51のサイズや坪量が大きいときに、第1の媒体51の剛性が大きいため、押付力T3が大きい。第1の媒体51の後端51cが中間トレイ210に排出されるときの中間排出ローラー対202から搬送された搬送方向Y1の長さが長い場合には、第1の媒体51が第2の媒体52を押している部分の面積が大きくなるため、押付力T3が大きい。中間トレイ210に積載されている媒体50の積み上げ高さが高い場合には、媒体50の撓み量が大きくなるため、押付力T3が大きい。
摩擦係数μ1bについては、第1引き込み部材の摩擦力F12場合と同じ説明になるため、説明を省略する。
図27に示すように、二つ目の力は、第1の媒体51と第2の媒体52との間で働く抵抗力F32である。抵抗力F32は、第1の媒体51の裏面51bが第2の媒体52の表面51aをこすりながら突き押すときに抵抗となる摩擦力と、第2の媒体52の後端52cが重力によって後端整合部210aに突き当たったままの状態を維持しようとする落下力の合力である。
第1引き込み部材211及び第2引き込み部材212が第1の媒体51を引き込む方向が重力に倣う方向であるのに対して、第1の媒体51が第2の媒体52を突き押す方向は、重力に逆らう方向である。したがって、抵抗力と落下力が同じ方向の力となるため、二つの合力が抵抗力F32となる。抵抗力F32は第2の媒体52を動かそうとする突押力F31とは逆向きの力であり、第2の媒体52を整合位置のままで把持する力である。
図27に示すように、三つ目の力は、第1引き込み部材211と第2の媒体52の表面との間で働く把持力F33である。
図27に示すように、本実施形態においては、制御部250は、第1上下動モーター(図20参照)253によって第1引き込み部材211の高さを低くし、かつ、第1羽根B211bと第1羽根C211cの両方を第1の媒体51の表面51aに当たったままの状態で、第1引き込み部材211の回転を停止させる。すなわち、第1引き込み部材211が第1の媒体51に当たっている状態で、第1引き込み部材211の第1引き込み動作を
停止し、第1引き込み部材211の高さを低くし、第1引き込み部材211によって第1の媒体51を押さえ付ける第2姿勢へと変化させることができる構成になっている。この構成によって、第1引き込み部材211は突押力F31による整合ずれを防止することができる。
また、第1引き込み部材211の姿勢を第2姿勢に変更する際に、第1引き込み部材211が回転を停止せず、回転する速度を落とす構成としてもよい。この場合でも突押力F31による整合ずれを防止することができる。
第1引き込み部材211は、速度を落とさず回転を続け、第1姿勢のまま媒体50を押さえ続けることもできる。しかし、引込力F11を与え続けることによって、次第に第2の媒体52の後端52cがカールし、第2の媒体52の後端52cが折れ曲がって積載される虞や、中間トレイ210の中で座屈が発生する虞や、擦れ跡や押し跡等が付く虞がある。回転している時間が長ければ長いほど、その虞は大きくなる。
そのため、図19に示すように、制御部250は、パラメーター条件に応じて、第1積算回転数が第1必要回転数に達したときに、第1引き込み部材211を第1姿勢から第1の媒体から離間する第3姿勢へと移動させることができる構成になっている。制御部250は、第1引き込み部材211が第1の媒体51の表面51aに当たらない状態にすることによって、擦れ跡や押し跡等が付きにくい構成となっている。
突押力F31は、第1の媒体51と第2の媒体52の条件によっては、第2の媒体52を整合位置のままで把持する力である抵抗力F32だけで抑えることができる。しかし、第1の媒体51と第2の媒体52の含水率が高いときには、媒体間の摩擦係数μ1bが高くなるため、突押力F31が中間トレイ210の上で整合が済んでいる第2の媒体52を動かす場合がある。突押力F31によって、第1引き込み部材211が当たる範囲から第2の媒体52の後端52cが離れてしまったときは、第2の媒体52の後端52cを後端整合部210aに戻す手段は何もなく、第2の媒体52の後端52cが後端整合部210aから離れたままの状態で第1の媒体の第1引き込み動作が開始される。そのため、第1の媒体51の裏面51bと第2の媒体52の表面52aの媒体面状態に影響するパラメーター条件に応じて、第1引き込み部材211の姿勢を変更することでこのような整合ずれを防止することができる。
<パラメーターによる必要回転数の増加分の制御テーブル>
印刷システム11の標準動作環境における環境温度、環境湿度で、印刷システム11を動作させた場合に、印刷が全くされていない標準媒体に対して、後処理装置を動作させるときの、第1引き込み部材211の第1必要回転数を第1標準回転数と、第2引き込み部材の第2必要回転数を第2標準回転数とする。例えば、標準媒体はA4LEFサイズかつ70gsmの媒体で、ユーザーに印刷装置で使用を推奨する種類の媒体である。LEFとは横方向給紙の略であり、媒体50は長い方の辺を先端にして搬送され、SEFとは縦方向給紙の略であり、媒体50は短い方の辺を先端にして搬送される。
媒体50の含水率の上昇と、その後の乾燥過程で生じる波うちの影響によって、第1必要回転数と第2必要回転数とは、後処理装置200を印刷が全くされていない媒体50に対して動作させるときの、第1標準回転数と第2標準回転数とに比べて大きくなる。
図28は、媒体50の搬送方向長さが210mm以下のときに、第1引き込み部材211と第2引き込み部材212に適用する必要回転数の増加分の制御テーブルである。制御部250は設置環境が常温常湿条件のときに、パラメーターの条件に応じて、必要回転数の増加分を決定する。制御テーブルには各パラメーター条件のときの必要回転数の増加分
が記載されている。「+1」は標準回転数に対して1段階分の回転数を増やすことを示している。
1段階を何回転にするかは、装置の構成によって異なる。装置の構成とは、例えば、液体吐出部27で使用する液体の種類や第1引き込み部材211の材質や形状等の引込力F11と摩擦力F12等を決める因子である。なお、F%、H枚、Jsecの値は装置の構成によって決められる。1段階を何回転にするかは、第1必要回転数と第2必要回転数とで変えてもよい。
図28の制御テーブルにおいては、本実施形態においては、印刷デューティーは2分割または3分割、経過時間に相当する待機時間は2分割で記載されているが、これは何分割でも構わない。媒体50の坪量と積載枚数も何分割されても構わない。しかし、印刷デューティーの範囲が広い等によって媒体面状態の変化が大きい場合には、摩擦係数μ1bの範囲が広くなるため、パラメーター条件の分割数が多いほど、正確な制御が可能となる。
第1引き込み部材211が第1の媒体51を引き込むときの、第1の媒体51の裏面51bと第2の媒体52の表面52aとの摩擦係数μ1bによって、第1の媒体51の引き込み易さが決まる。そのため、第1の媒体51の裏面51bのパラメーター条件と第2の媒体52の表面52aのパラメーター条件とによって、第1引き込み部材211の必要回転数の増加分を決定できる。
図28に示すように、例えば、A4LEFサイズかつ坪量が90gsmの媒体を両面印刷した場合に、第2の媒体の表面デューティーがF%以上、積載枚数がH枚数を超えているとする。そのとき、第1の媒体51の裏面デューティーがF%以上で、待機時間がJsecを超えるときは、第1必要回転数と第2必要回転数は、第1標準回転数と第2標準回転数とに対して、6段階多くする。
坪量が小さい媒体50は、裏面は表面の、表面は裏面の含水の影響を受けるため、この表に対して、裏面は表面の、表面は裏面の含水状態が加味され、パラメーターの条件として数値が調整されてもよい。特に、中間トレイ210上に積載された媒体50が多い場合には、第2の媒体52の媒体面状態は、これまでに積載された媒体50の含水状態の影響を受け、波うちが大きくなり、高さが変動する。そのため、これまでに積載された媒体50の含水状態の影響が加味され、パラメーターの条件として数値が調整されてもよい。
図29は、媒体50の搬送方向長さが210mm以上のときに、第1引き込み部材211と第2引き込み部材212に適用する必要回転数の増加分の制御テーブルである。制御部250は設置環境が常温常湿条件のときに、パラメーターの条件に応じて、必要回転数の増加分を決定する。図29の制御テーブルにおいても、印刷デューティーと待機時間は何分割されても構わない。媒体50の坪量と積載枚数も何分割されても構わない。
媒体50の搬送方向Y1長さが長くなると、媒体50の全体の印刷デューティーは、第1引き込み部材211と第2引き込み部材212が当たる場所の印刷デューティーと差がある場合がある。そのため、本実施形態においては、制御部250は、媒体50の搬送方向Y1長さが長いときは、印刷デューティーの代わりに、接触部デューティーを使う。
図28、図29においては、制御部250は、常温常湿条件のときの制御テーブルを使用したが、環境条件に応じて、高温高湿、低温低湿、高温低湿、低温高湿の制御テーブルを使用する。一般的には、待機時間が経過時間に対して最も支配的な場合が多いため、図28、図29の制御テーブルでは待機時間を経過時間として使用したが、搬送速度が遅い場合や、印刷時間が遅い場合には、搬送速度や印刷時間がパラメーターとして制御テーブ
ルに加えられてもよい。また、搬送ピッチ時間が長い場合には搬送ピッチ時間がパラメーターとして制御テーブルに加えられてもよい。
また、制御テーブルに使用するパラメーターはもっと少なくてもいい。制御部250は、待機時間と、印刷デューティーと、媒体50のサイズとのうちの少なくともいずれか一つをパラメーターとして用いてもよい。図28、図29が示すように、待機時間と、印刷デューティーと、媒体50のサイズとのいずれかをパラメーターとして用いられるときは、パラメーターの値が大きくなるほど、第1引き込み部材211の第1必要回転数は大きくなる。
液体吐出部27が吐出した液体によって印刷された媒体50を処理する後処理装置200においては、第1引き込み部材211が引込力F11を与え続けることによって、次第に第2の媒体52の後端52cがカールし、第2の媒体52の後端52cが折れ曲がって積載される虞や、媒体50の座屈が発生する虞がある。回転している時間が長ければ長いほど、その虞は大きくなる。
また、含水による媒体面状態の悪化によって媒体間の摩擦係数μ1bが大きいときは、第1引き込み部材211が引込力F11を与え続ける時間が少ないと、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに至らない。そのため、制御部250は、適切な第1標準回転数まで第1引き込み部材211を回転させる必要がある。
本実施形態の作用について説明する。
<印刷ジョブにおける作用>
最初に、印刷ジョブにおいて、液体吐出部27が吐出した液体によって印刷された媒体50を後処理装置200で処理するときの作用を説明する。
A4LEFサイズかつ坪量が90gsmの媒体50が両面印刷され、中間トレイ210上に50枚積載されて排出スタッカー231に排出される場合を説明する。図28の制御テーブルが使用される。
1枚目の第1の媒体51においては、表面デューティーがF%以上かつ待機時間Jsec超え、裏面デューティーがF%未満とする。
1枚目の第1の媒体51が中間トレイ210上に排出されるときは、中間トレイ210上には1枚も媒体50がない。第1引き込み部材211は、待機角度で回転を停止して待機している。このとき、第1の媒体51の搬送方向Y1の長さが短いため、第1の媒体51の先端51dが中間トレイ210上にほとんど当たらない状態で、中間トレイ210上に落下する。すなわち、突押力F31と抵抗力F32がほとんど発生しない。中間トレイ210上に媒体50がないので、図12が示す状態において、第2の媒体52がない状態である。
第1の媒体51が中間トレイ210上に落下すると、第2引き込み部材212の動作が開始される。図26において、中間トレイ210上にA4LEFサイズの媒体50が1枚落下した状態である。このとき摩擦力F22は、第1の媒体51の裏面と中間トレイ210の表面との間で働くため、含水状態の影響はあまりない。媒体50の搬送方向Y1の長さが短いため、抵抗力F13の影響も少ない。すなわち、第2必要回転数は第2標準回転数と比べて、同じにする。第2引き込み部材212が第2必要回転数だけ回転した後、制御部250は、第2回転モーター214(図20参照)によって、第2引き込み部材212の回転位置が待機角度の位置となるタイミングで、第2引き込み部材212の回転を停止する。
第1の媒体51が第1引き込み部材211に到達すると、第1引き込み部材211はその姿勢を第1姿勢とし、第1引き込み部材211は回転を開始する。第2引き込み部材212のときと同じ理由で、第1引き込み部材211の第1必要回転数は第1標準回転数と比べて、同じにする。次の2枚目の媒体50が中間トレイ210上に排出されるときは、第1引き込み部材211と第2引き込み部材212は回転を止め、その姿勢を第2姿勢(図27参照)に変化させる。
第2引き込み動作を停止するタイミングは、第1の媒体51の後端51cを後端整合部210aに整合する直前でもよいし、整合するタイミングでもよい。ただし、第1引き込み部材211が第1引き込み動作を停止するタイミングよりは先である。
2枚目の第1の媒体51においても、表面デューティーがF%以上かつ待機時間Jsec超え、裏面デューティーがF%未満とする。
2枚目の第1の媒体51が中間トレイ210上に排出されるときは、図19において、中間トレイ210上にA4LEFサイズの媒体50が1枚ある状態である。第1引き込み部材211は、第2姿勢(図27参照)の状態で待機している。
2枚目の第1の媒体51が中間排出ローラー対202によって中間トレイ210上に排出されるときに、第1の媒体51の裏面51bが第2の媒体52の表面52aに当たるため、突押力F31が発生する。図27において、中間トレイ210上にA4LEFサイズの媒体50が1枚ある状態である。第1引き込み部材211の第2姿勢によって把持力F33が発生するため、突押力F31が発生しても第2の媒体52は動かない。
第1の媒体51が中間トレイ210上に落下すると、第2引き込み部材212の第2引き込み動作が開始される。図26において、中間トレイ210上にA4LEFサイズの媒体50が2枚ある状態である。第1の媒体51の裏面51bは第2の媒体52の表面51aに当たる。両方の媒体面の含水状態は少し悪化しており、摩擦係数μ1bが大きくなるため、摩擦力F22と抵抗力F23は大きくなる。ただし、媒体50のサイズがA4LEFであり、搬送方向Y1方向の長さが短く、第2の媒体52の自重がかかる面積が狭いため、抵抗力F23は小さい。制御部250は図28の制御テーブルを参照し、第2必要回転数を第2標準回転数と比べて1段階大きくする。第2引き込み部材212が第2必要回転数だけ回転した後、制御部250は第2引き込み部材212の回転を停止する。
第1の媒体51が第1引き込み部材211に到達すると、第1引き込み部材211は回転を開始する。第2引き込み部材212のときと同じ理由で、第1引き込み部材211の第1必要回転数は第1標準回転数と比べて1段階大きくする。第1引き込み部材211が第1必要回転数だけ回転した後、第1引き込み部材211と第2引き込み部材212は回転を止め、第1引き込み部材211はその姿勢を第2姿勢(図27参照)に変化させる。第1の媒体51が引き込まれない、または第1の媒体51が引き込まれ過ぎることによって、媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
3枚目の第1の媒体51においては、表面デューティーがF%未満、裏面デューティーがF%以上かつ待機時間Jsec超え、とする。
3枚目の第1の媒体51が中間トレイ210上に排出されるときは、2枚目の第1の媒体51のときと同様に、第1引き込み部材211の姿勢は第2姿勢(図27参照)である。
3枚目の第1の媒体51が中間トレイ210上に排出されるときに、突押力F31が発生する。図27において、中間トレイ210上にA4LEFサイズの媒体50が2枚ある状態である。把持力F33によって第2の媒体52は動かない。
第1の媒体51が中間トレイ210上に落下すると、第2引き込み部材212の第2引き込み動作が開始される。図26において、中間トレイ210上にA4LEFサイズの媒体50が3枚ある状態である。
3枚目の第1の媒体51を引き込むときは、第1の媒体51の裏面51bの裏面デューティーと第2の媒体52の表面52aの表面デューティーとの両方のデューティーがF%以上であるため、2枚目の第1の媒体51を引き込むときよりも摩擦係数μ1bは大きくなる。すなわち、摩擦力F22はかなり大きくなる。媒体50のサイズがA4LEFであり、搬送方向Y1方向の長さが短いため、抵抗力F23は大きくなるが摩擦力F22よりは影響は少ない。制御部250は図28の制御テーブルを参照し、第2必要回転数を第2標準回転数と比べて5段階大きくする。第2引き込み部材212が第2必要回転数だけ回転した後、制御部250は第2引き込み部材212の回転を停止する。
第1の媒体51が第1引き込み部材211に到達すると、第1引き込み部材211は回転を開始する。第2引き込み部材212のときと同じ理由で、第1引き込み部材211の第1必要回転数は第1標準回転数と比べて5段階大きくする。第1引き込み部材211が第1必要回転数だけ回転した後、第1引き込み部材211は回転を止め、その姿勢を第2姿勢(図27参照)に変化させる。媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
4枚目の第1の媒体51においては、表面デューティーがF%以上かつ待機時間Jsec以下、裏面デューティーがF%未満とする。
4枚目の第1の媒体51が中間トレイ210上に排出されるときは、3枚目の第1の媒体51のときと同様に、第1引き込み部材211の姿勢は第2姿勢(図27参照)である。
4枚目の第1の媒体51が中間トレイ210上に排出されるときに、突押力F31が発生する。図27において、中間トレイ210上にA4LEFサイズの媒体50が3枚ある状態である。把持力F33が発生するため、第2の媒体52は動かない。
第1の媒体51が中間トレイ210上に落下すると、第2引き込み部材212の第2引き込み動作が開始される。図26において、中間トレイ210上にA4LEFサイズの媒体50が4枚ある状態である。
第1の媒体51の裏面51bと第2の媒体52の表面52aの印刷デューティーがどちらもF%未満であるため、摩擦力F22と抵抗力F23の増加はほとんどない。制御部250は図28の制御テーブルを参照し、第2必要回転数を第2標準回転数と同じにする。第2引き込み部材212が第2必要回転数だけ回転した後、制御部250は第2引き込み部材212の回転を停止する。
第1の媒体51が第1引き込み部材211に到達すると、第1引き込み部材211は回転を開始する。第2引き込み部材212のときと同じ理由で、第1引き込み部材211の第1必要回転数は第1標準回転数と同じにする。第1引き込み部材211が第1必要回転数だけ回転した後、第1引き込み部材211は回転を止め、第2姿勢(図27参照)に変化する。媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
この後、媒体50は次々と中間トレイ210上に積載されて整合される。中間トレイ210上に積載されている媒体50は増えていく。中間トレイ210の積載枚数と、各媒体50の表面デューティーと、各媒体50の裏面デューティーと、各媒体50の表面経過時
間と、各媒体50の裏面経過時間と、によって中間トレイ210上に積載された媒体50の高さを推定する。
中間トレイ210上に積載された媒体50の推定された積載高さが、標準積載高さよりも高い場合は、第1引き込み部材211の引込力F11と第2引き込み部材212の引込力F21が大きくなるため、制御部250は、第1必要回転数と第2必要回転数との値を適切に調整してもよい。そのため、第1の媒体51が引き込まれない、または第1の媒体51が引き込まれ過ぎることによって、媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
中間トレイ210上に積載された媒体50の高さが高くなると、第1の媒体51が中間排出ローラー対202によって中間トレイ210上に排出されるときに、第1の媒体51の裏面51bが、第2の媒体52の表面52aに強く当たるために、突押力F31が増加する。図27において、媒体50の搬送方向Y1の長さが短く、中間トレイ210上に積載された媒体50の枚数が多い場合である。
積載高さが低いときは、第2の媒体52は抵抗力F32によって動かないが、積載高さが高いときは、突押力F31が抵抗力F32よりも大きくなる。しかし、第1引き込み部材211は第1必要回転数だけ回転した後、第1引き込み部材211は回転を止め、その姿勢を第2姿勢(図27参照)に変化させているため、第2の媒体52は動かない。
第1引き込み部材211の姿勢を第2姿勢(図27参照)に変化させることによって、中間トレイ210上で整合が済んでいる第2の媒体52を動かさないようにする把持力F33が発生する。積載高さが高くなって突押力F31が大きくなったときも、把持力F33によって、整合が既に済んでいる第2の媒体52が動いて、整合が乱れてしまうことを抑制できる。
媒体50の積載枚数が増え、49枚目の第1の媒体51においては、表面デューティーがF%未満、裏面デューティーがF%以上かつ待機時間Jsec超え、とする。また、既に中間トレイ210上に積載されている48枚目の第2の媒体52においては、表面デューティーがF%未満、とする。49枚目の第1の媒体51が中間トレイ210上に排出されるときは、図27が示す状態において、中間トレイ210の上には媒体50が48枚積載された状態である。第1引き込み部材211は、第2姿勢の状態で待機している。
突押力F31が抵抗力F32よりも大きくなるため、突押力F31は、第2の媒体52の後端52cを後端整合部210aより離そうとする。しかし、第1引き込み部材211の把持力F33によって、第2の媒体52は動かない。
第1の媒体51が中間トレイ210の上に落下すると、第2引き込み部材212の動作が開始される。図28に示すように、第2引き込み部材212の第2必要回転数は第2標準回転数と比べて4段階大きくし、第1引き込み部材211の第1必要回転数は第1標準回転数と比べて4段階大きくする。第2引き込み部材212が第2必要回転数だけ回転した後、第2引き込み部材212は回転を止める。そして、第1引き込み部材211が第1必要回転数だけ回転した後、第1引き込み部材211は回転を止め、その姿勢を第2姿勢(図27参照)へと変化させる。
49枚目の第1の媒体51が適切に整合された後、第1引き込み部材211と第2引き込み部材212は回転を停止する。そのため、第1の媒体51が引き込まれない、または第1の媒体51が引き込まれ過ぎることによって、媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
制御部250は、50枚目の第1の媒体51においても同様に制御を行う。50枚目の第1の媒体51が適切に整合された後、中間トレイ210上の50枚の媒体50の束は、ユーザーが印刷ジョブで指定した位置にステープルされ、排出スタッカー231に排出される。媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生することを抑制できる。整合されてステープルされた冊子が排出スタッカー231に排出される。
搬送方向Y1の長さが210mmを超える媒体50に対しては、制御部250は、図29に示す制御テーブルを使用してパラメーターの条件に応じて制御を行う。本実施形態においては、制御部250は、媒体の搬送方向Y1長さが長いため、媒体50の全体の印刷デューティーの代わりに、接触部デューティーを使って制御を行う。
制御部250は、環境に応じて、高温高湿、低温低湿、高温低湿、低温高湿の制御テーブルを使用する。制御部250は、温度、湿度共に区分を多くして、さらに多くの制御テーブルを使用してもよい。
制御部250は、第1引き込み部材211の第1必要回転数を第1標準回転数と比べて何段階か大きくする代わりに、第1引き込み部材211の第1姿勢のときの高さを何段階か低くして、引込力F11を大きくしてもよい。制御部250は、図28、図29に示すテーブルを使用して、第1引き込み部材211の高さを制御する。
制御部250が、1段階で第1引き込み部材211の高さを動かす距離は、装置の構成によって異なる。装置の構成とは、例えば、液体の種類や第1引き込み部材211の材質や形状等の引込力F11と摩擦力F12を決める因子である。また、第1引き込み部材211の第1羽根211a,211b,211cの長さが短いほど、引込力F11が高さで変化する割合が大きいため、細かい調整が必要になる。制御部250は、第1引き込み部材211の第1必要回転数と、第1引き込み部材211の第1姿勢のときの高さとの両方を制御してもよい。
本実施形態の効果について説明する。
(9)検出部300によって検知された印刷された媒体50の引き込み状態と、媒体50のパラメーターの条件とに基づいて、第1引き込み部材211の第1引き込み動作を規制する。液体吐出部27によって吐出された液体により印刷された媒体50が整合される場合、中間トレイ210において、第1引き込み部材211によって引き込まれる第1の媒体51と、中間トレイ210に先に積載された第2の媒体52との間の摩擦係数μ1bが、パラメーターの条件に応じて変化する。このため、摩擦係数μ1bの変化により、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達するまでに要する時間が変化する。媒体間の摩擦係数μ1bが変化したことによって、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達する時間が変化したときも、制御部250は、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達する直前の引き込み状態を取得する。制御部250は、引き込み状態とパラメーターの条件に基づいて第1引き込み部材211の第1引き込み動作を規制する。よって、中間トレイ210で媒体50を整合する場合、媒体50の後端が後端整合部210aに到達しないことに起因する媒体50の不揃いや、媒体50の後端が後端整合部210aに到達した後も引き込んでしまうことに起因する媒体50の座屈を抑制できる。
第1引き込み動作を規制する方法として、制御部250は、第1引き込み部材211を第2姿勢へと変化させる方法がある。適切な回転数で回転を停止し、第1引き込み部材211が第1の媒体51を押さえ付けることによって、第1の媒体51が引き込まれない、または第1の媒体51が引き込まれ過ぎることによって、媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
(10)検出部300は、検知した第1の媒体51の後端部通過の情報に基づいて第1の媒体51の引き込み状態を検知する。検出部300は、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達する近傍において、第1の媒体51の後端51cの通過を検知して引き込み状態を取得する。制御部250は、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達する直前に、第1の媒体51の後端51cの通過を検知することができる。
(11)検出部300は、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達する近傍において、第1の媒体51が第1引き込み部材211によって引き込まれたときに、中間トレイ210上に積載されている媒体50の累積厚さの増加に基づいて、第1の媒体51の引き込み状態を検知する。制御部250は、検出部300の出力が不連続に増加すると、媒体50の枚数が1枚増えたと判断する。第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達する直前に、第1の媒体51の後端51cの通過を正確に検知することができる。
検出部300が検知した不連続な変化量が、媒体50の厚さ2枚分よりも大きな値であったときには、制御部250は、先端が折れた第1の媒体51が引き込まれたと判断する。制御部250は、ステープル等の後処理が行われる前に後処理装置200を停止し、印刷装置13の液晶ディスプレイ等に表示し、ユーザーに通知することができる。
検出部300が検知した累積の厚みの増加分が、所定の厚さを超えるときには、制御部250は、引き込まれた第1の媒体51の後端51cのカールや座屈によって中間トレイ210が塞がったと判断する。制御部250は、ステープル等の後処理が行われる前に後処理装置200を停止し、印刷装置13の液晶ディスプレイ等に表示し、ユーザーに通知することができる。
(12)制御部250は、第1の媒体51の後端51cが検出部300を通過してからの第1積算回転数が、第1の媒体51の後端51cを後端整合部210aに整合するために必要な第1必要回転数に達したときに第1引き込み動作を規制する。液体吐出部27によって吐出された液体により印刷された媒体50が整合される場合、中間トレイ210において、第1引き込み部材211によって引き込まれる第1の媒体51と、中間トレイ210に先に積載された第2の媒体52との間の摩擦係数μ1bが、パラメーターの条件に応じて変化する。このため、摩擦係数μ1bの変化により、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達するまでに要する時間が変化する。このため、制御部250はパラメーターの条件に応じて適切な第1必要回転数を設定する。よって、中間トレイ210で媒体50を整合する場合、媒体50の後端が後端整合部210aに到達しないことに起因する媒体50の不揃いや、媒体50の後端が後端整合部210aに到達した後も引き込んでしまうことに起因する媒体50の座屈を抑制できる。
(13)制御部250は、印刷装置13が設置されている環境の温度を、印刷装置13が設置されている環境の湿度を、媒体50のサイズを、媒体50の坪量を、パラメーターの条件として用いる。環境の温度が低いときに媒体50に付着した液体が乾燥しにくく、媒体間の摩擦係数μ1bが大きくなるため、摩擦力F12が大きくなる。また、環境の湿度が高いときに媒体50に付着した液体が乾燥しにくく、媒体間の摩擦係数μ1bが大きくなるため、摩擦力F12が大きくなる。さらに、媒体50のサイズが大きいほど媒体間の接触面積が大きくなるので、媒体50の搬送方向Y1の長さが長いときに第1引き込み部材が引き込むときに、抵抗力F13が大きくなる。また、坪量の大きい媒体50ほど媒体50の重量が大きいので、第1引き込み部材211が引き込むときに、抵抗力F13が大きくなる。坪量の小さい媒体50ほど媒体50の剛性が弱いので、制止力F15が小さ
くなるため、第1の媒体51が座屈しやすくなる。また、中間トレイ210に積載されている媒体50の枚数が多いほど、媒体束の積載高さが高くなって、第1の媒体51が第1引き込み部材211に近づくことになり、第1引き込み部材211が第1の媒体51を引き込むときの押付力T1が大きくなるので、摩擦力F12が大きくなる。制御部250は、環境の温度、環境の湿度、媒体50のサイズ、媒体50の坪量、中間トレイ210に積載されている媒体50の枚数、のうちの少なくともいずれか一つのパラメーターに応じて、第1必要回転数を適切に変化させる。よって、中間トレイ210で媒体50を整合する場合、媒体50の不揃いや媒体50の座屈を抑制できる。
(14)制御部250は、液体吐出部27が吐出した液体によって媒体50の印刷が開始されてから、第1引き込み部材211が該媒体50を引き込む第1引き込み動作を開始するまでの経過時間、該媒体50における印刷後の待機時間、該媒体50に吐出された液体の印刷デューティー、のうちの少なくともいずれか一つをパラメーターとして用いる。媒体50に印刷されてから第1引き込み動作が開始されるまでの経過時間が短いほど、印刷された媒体50の待機時間が長いほど、印刷デューティーが大きいほど、媒体50に付着又は浸透した液体の乾燥度合が低く、媒体面の含水状態が悪化する傾向にある。媒体面の含水状態が悪化すると、媒体間の摩擦係数μ1bが大きくなるため、摩擦力F12が大きくなる。制御部250は、経過時間、待機時間、印刷デューティーのうちの少なくともいずれか一つのパラメーターに応じて、第1必要回転数を適切に変化させる。よって、中間トレイ210で媒体50を整合する場合、媒体50の不揃いや媒体50の座屈を抑制できる。
(15)経過時間は、液体吐出部27が吐出した液体によって印刷された媒体50における印刷時間、液体吐出部27が吐出した液体によって印刷された媒体50における搬送時間、第1引き込み動作を開始してから、次の第1引き込み動作を開始するまでの媒体50の搬送ピッチ時間、のうちの少なくともいずれか一つである。印刷時間、搬送時間、搬送ピッチ時間のうち少なくとも一つが短いほど、媒体面の含水状態が悪化する傾向にある。媒体面の含水状態が悪化すると、媒体間の摩擦係数μ1bが大きくなるため、摩擦力F12が大きくなる。このため、制御部は、印刷時間、搬送時間、搬送ピッチ時間のうち少なくとも一つのパラメーターに応じて、第1必要回転数を適切に変化させることによって、媒体50の不揃いや媒体50の座屈を抑制できる。
(16)制御部250は、待機時間、液体の印刷デューティー、媒体50のサイズ、のうちの少なくとも一つをパラメーターとして用い、パラメーターの数値が大きくなるほど第1必要回転数は多くなる。待機時間が長いときは、媒体50の乾燥時間を長く確保する必要がある。そのため、媒体面の含水状態がまだ悪化したままの状態で、更に媒体面の波うちが大きくなり、媒体間の摩擦係数μ1bが大きくなるため、摩擦力F12が大きくなる。また、印刷デューティーが大きいときは、媒体面の含水状態がまだ悪化したままの状態にあり、媒体間の摩擦係数μ1bが大きくなるため、摩擦力F12が大きくなる。さらに、媒体50のサイズが大きいときは、接触面積が大きいことから、第1引き込み部材211が引き込むときに、抵抗力F13が大きくなる。制御部250は、待機時間、印刷デューティー、媒体50のサイズのうちの少なくとも一つのパラメーターの数値が大きくなるほど、第1必要回転数を多くすることによって、媒体50の不揃いや媒体50の座屈を抑制できる。
(17)制御部250は、第1の媒体51の裏面51bの印刷デューティーと、第1の媒体51のサイズをパラメーターとして用いる。印刷デューティーが大きいときは、媒体面の含水状態の悪化によって、媒体間の摩擦係数μ1bが大きくなるため、摩擦力F12が大きくなる。印刷デューティーは第1の媒体51の裏面51bの媒体面状態に最も影響の大きいパラメーターである。第1の媒体51のサイズが大きいときは、抵抗力F13が
大きくなる。すなわち、制御部250は、シンプルな制御テーブルを使用して、第1の媒体51のサイズが変化しても媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
(18)制御部250は、第1の媒体51の裏面51bの印刷デューティーと、環境の湿度をパラメーターとして用いる。印刷デューティーが大きいときは、媒体面の含水状態の悪化によって、媒体間の摩擦係数μ1bが大きくなるため、摩擦力F12が大きくなる。印刷デューティーは第1の媒体51の裏面51bの媒体面状態に最も影響の大きいパラメーターである。環境湿度が高いときには、媒体間の摩擦係数μ1bが大きくなるため、摩擦力F12が大きくなる。すなわち、制御部250は、シンプルな制御テーブルを使用して、環境の湿度が変化しても媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
(19)制御部250は、第1引き込み部材211の第1姿勢における高さをパラメーターの条件に応じて決定することで、引込力F11が適切に調整できる。引込力F11を適切に決定することによって、媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
(20)制御部250は、媒体50の引き込み状態から媒体50が後端整合部210aに到達したと判断した場合には、第1引き込み部材211の第1引き込み動作を停止し、第1引き込み部材211の高さを低くし、第1引き込み部材211によって媒体50を押さえ付ける第2姿勢へと変化させる。第1引き込み部材211は、整合済みの第2の媒体52を押さえているため、整合済みの第2の媒体52が動くことを抑制できる。
(21)制御部250は、第1引き込み部材211が第2姿勢にあるときに、第2引き込み部材212に第1の媒体51を搬送方向Y1上流側へと引き込む第2引き込み動作を開始させ、第1の媒体51の後端が第1引き込み部材211に到達するときに、第1引き込み部材211を第2姿勢から第1姿勢に戻し、第1引き込み動作を再開させる。第1引き込み部材211は、第1引き込み部材211が第2姿勢にあることによって整合済みの第2の媒体52が動くことの抑制と、第1引き込み部材211の第1姿勢による第1の媒体51の整合とを両立することができる。
(22)制御部250は、前記第2引き込み部材212が前記第1の媒体51を所定量引き込んだ後に、前記第1引き込み部材211は第2姿勢から第1姿勢に戻り、第1引き込み動作を再開する。制御部250は、第1の媒体51の後端51cが第1引き込み部材211に到達する前に第1引き込み動作を再開できる。
(23)印刷システム11は、検出部300によって検知された媒体50の引き込み状態と媒体50のパラメーター条件に基づいて、第1引き込み部材211の第1引き込み動作を規制する。検出部300は、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達する近傍において、第1の媒体51の引き込み状態を取得する。含水していない媒体50を整合する場合に比べて、媒体間の摩擦係数μ1bが変化したことによって、媒体50の後端が後端整合部210aに到達する時間が変化したときも、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達する直前の引き込み状態を取得する。そのため、第1の媒体51が引き込まれない、または第1の媒体51が引き込まれ過ぎることによって、媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生することを正確に抑制できる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・引き込み状態を検知する検出部300は、本実施形態の厚み検出センサー218のよ
うに媒体50の媒体面に接触する接触式のセンサーでもよいし、他の部分に接触する接触式のセンサーでもよい。例えば、接触式のセンサーの場合は感圧式やひずみゲージ式のセンサーでもよい。接触式のセンサーの検知部分が後端整合部210aの整合面に設けられ、媒体50の後端が後端整合部210aに到達するときの圧力をセンサーが検出してもよい。センサーが圧力の瞬間的なピークを検出したときに、媒体50の後端が後端整合部210aに到達したと判断してもよい。
・引き込み状態を検知する検出部300は、本実施形態の厚み検出センサー218のように媒体50に接触する接触式のセンサーでもよいし、媒体50に接触しない静電容量式や光学式の非接触式のセンサーでもよい。
・引き込み状態を検知する検出部300が検出した媒体50が、第1引き込み部材211または第2引き込み部材212によって引き込まれる速度、または一定時間内に進んだ距離が所定値以下であったときには、媒体50の後端が後端整合部210aに到達するより前に、制御部250は第1引き込み部材211の高さを低くしてもよい。
・引き込み状態を検知する検出部300は、音を検出するセンサーでもよい。検出部300は、音検出部と周波数解析を行う解析部を備え、制御部250は、検出部300によって検出された音の周波数解析の結果から、媒体50が後端整合部210aに到達したことを判断してもよい。
・引き込み状態を検知する検出部300が、所定時間内に媒体50の後端を検知しなかったときには、制御部250は、その状態が媒体50の後端が後端整合部210aにいつまでも到達しない状態だと判断してもよい。すなわち、制御部250は、中間トレイ210内でジャムが発生したと判断してもよい。
・制御部250は、検出部300による媒体50の引き込み状態の検知による第1引き込み部材211の第1引き込み動作の規制に加えて、印刷デューティーを含むパラメーターに応じて、第1引き込み部材211が第1姿勢にあるときの高さを決定する構成としてもよい。
・第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aの基準面に突き当てられたことを判断した以降に、状態検知センサー217の出力から、制御部250は、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aの基準面よりも更に搬送方向Y1上流側に動いたと判断する場合がある。制御部250は、その第1の媒体51の後端51cが動いた量に応じて、中間トレイ210の中での媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生したと判断し、ステープル等の後処理が行われる前にユーザーに通知してもよい。制御部250は、中間トレイ210内でジャムが発生したと判断し、ステープル等の後処理が行われる前にジャムが発生した時の処理を行ってもよい。すなわち、制御部250は、中間トレイ210の中での媒体50の不揃いや媒体50の座屈を早期に検出できる。
・後処理装置200は搬送路17を備えず、印刷装置13側の搬送路に対して、中間トレイ210を接続してもよい。その場合、後処理装置200へ媒体50を排出する印刷装置13の搬送ローラー対を中間排出ローラー対202として用いてもよい。また、印刷装置13の用紙検知センサーを受入センサー203として用いてもよい。
・第1引き込み部材211は、第1コア211d表面の第1回転中心211eの半周の範囲に、第1羽根211a,211b,211cを備えているが、全周の範囲に、第1羽根を備えるようにしてもよい。
・第1引き込み部材211は、3本の第1羽根211a,211b,211cを備えているが、その数は限定されない。通常は第1羽根の数は3本から6本の範囲である。
・第1引き込み部材211の姿勢が第2姿勢のとき、その角度は本実施形態の角度に限定されない。
・第2引き込み部材212は、3本の第2羽根212a,212b,212cを備えているが、その数は限定されない。通常は第1羽根の数は3本から6本の範囲である。
・第1引き込み部材211と第2引き込み部材212は、ローラーでもよい。摩擦係数を樹脂とゴムの中間に設定可能なスポンジ状の低摩擦シリコーン等の材料とすることで、第1の媒体51は弱い力で搬送されることができる。第1の媒体51が第1の媒体51の媒体面とローラー表面との間でスリップすることで、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに当たったときに、第1の媒体51は座屈しない。
・第2引き込み部材212は、第2回転中心212eの半周の範囲に、第2羽根212a,212b,212cを備えているが、全周の範囲に、第2羽根を備えるようにしてもよい。全周の範囲に、第2羽根を備える場合には、第2引き込み部材212の角度にかかわらず、いずれかの第2羽根が第1の媒体51の表面51aに当たるため、第2引き込み部材212の高さを上下動させるモーターが構成に追加される。そのときは、第2引き込み部材212の高さを高くすることによって、第2引き込み部材212の第2羽根が第1の媒体51の表面51aに当たらない構成とする。
・中間トレイ210の上方、かつ搬送路17の延長線上に、エアーで第1の媒体51を吸着しながら、第1の媒体51が搬送される搬送ベルトを有してもよい。その場合、第1の媒体51の後端51cが第1引き込み部材211の第1羽根211a,211b,211cに当たらない位置まで、搬送ベルトが第1の媒体51を搬送し、媒体を吸着するためのエアーの流れを停止し、第1の媒体51を落下させる。
・第1引き込み動作を規制する方法として、第1引き込み部材211が第1の媒体51に当たらない位置で適切な回転数で回転を停止してもよい。第1の媒体51が引き込まれない、または第1の媒体51が引き込まれ過ぎることによって、媒体50の不揃いや媒体50の座屈が発生することを抑制できる。
・第1引き込み動作を規制する方法として、第1引き込み部材211が第1の媒体51に当たらない位置まで高さをあげてもよい。
・第1引き込み動作の規制は、第1の媒体51に対して複数回行ってもよい。例えば、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達したときに、制御部250が、第1引き込み部材211の第1回転中心211eの高さを少し高くすることで、第1引き込み部材211が第1の媒体51を引き込む力を少し弱くする。これが1回目の第1引き込み動作の規制である。したがって、第1引き込み部材211が第1の媒体51を引き込み過ぎることを抑制できる。その後、側端整合部材215が第1の媒体51の側端を整合する。第1の媒体51の側端の整合が終了し、第1引き込み部材211が第1の媒体51の後端51cを後端整合部210aに対して整合が終了したときに、第1引き込み部材211は、第1引き込み部材211の姿勢を第2姿勢に変化させる。これが2回目の第1引き込み動作の規制である。
・制御部250は、媒体50の後端が後端整合部210aに到達したときに、第1引き込み部材211の高さを高くし、第1引き込み部材211を第1姿勢から、中間トレイ210上の媒体50から離間する第3姿勢へと変化させてもよい。
・第1引き込み部材211の姿勢を第2姿勢に変化させる代わりに、第2の媒体52の
後端部分を押さえる部材を設け、第2の媒体52の後端部分を押さえる部材が第2の媒体52の後端部分を押さえている間は、第1引き込み部材211が媒体50から離間する構成としてもよい。さらに、引き込み状態を検知する検出部300が媒体50の先端を検出したときに、第2の媒体52の後端部分を押さえる部材は押さえる動作を止めて中間トレイ210上の媒体50の通過経路から退避し、第1引き込み部材211が第1引き込み動作を再開してもよい。
・後処理装置200は制御部250を備えず、全て印刷装置制御部60が制御する構成としてもよい。
・印刷装置13と後処理装置200は、別個の筐体を有するのではなく、筐体を一体とした構成であってもよい。
・制御部250は、テストパターンが印刷された媒体50が、中間トレイ210に搬入されて第2引き込み部材212の第2引き込み動作が開始されてから、その媒体50の後端が後端整合部210aに達したことを状態検知センサー217が検知するまでの所要時間を計測する。そして、制御部250が、その計測した所要時間と基準時間との差分に基づいて予め設定された補正テーブルを参照して、第1必要回転数と、第1引き込み部材211の高さと、第2必要回転数との少なくともいずれか一つを変更する構成でもよい。ここで基準時間とは、変更の対象とする項目が、その基準値にあるときに、媒体50の後端がちょうど後端整合部210aに達するように設定された時間である。
・媒体50の表面が複数のエリアに分割され、その複数のエリアに対して含水率が算出され、その複数のエリアの含水率のバラツキの大きさをパラメーターとしてもよい。複数のエリアの含水率のバラツキが大きいときは、搬送方向Y1だけでなく、幅方向Xに対しても媒体50の反りや歪みが発生しやすい。そのため、媒体50が中間トレイ210上に落下するときにスキューが大きくなり、後端の整合に時間がかかる虞がある。媒体50が歪むことによって凸部が発生したときは、その凸部に力が集中することで突押力F31が大きくなるため、第1の媒体51を押さえ付ける第2姿勢の効果は大きくなる。
・媒体50の印刷時間に関する情報として、印刷装置制御部60が後処理装置200の制御部250対して、媒体50の表面の印刷終了時刻と、媒体50の裏面の印刷終了時刻とを通知してもよい。制御部250は、後処理装置200内で媒体50が引き込み動作までに経過する時間を推測し、それらを加算することによって、印刷からの経過時間を算出できる。制御部250が、印刷からの経過時間を算出できる情報であれば、これに限定されない。制御部250は、媒体50の印刷時間に関する情報として、媒体50の印刷開始時刻を通知してもよい。
・液体吐出部27が吐出した液体によって印刷された媒体50における搬送時間は、印刷装置制御部60が制御部250に対して、通知されなくてもよい。印刷装置制御部60が制御部250に対して、ジョブ内容を通知することによって、後処理装置200の制御部250が搬送時間を算出してもよい。
・印刷装置制御部60は、印刷デューティーを媒体50の表面と裏面を複数の区画に分割して通知してもよい。その場合、印刷装置制御部60は、それぞれの区画が印刷された印刷終了時刻または印刷開始時刻を通知してもよい。
・媒体50の印刷時間に関する情報として、印刷装置制御部60は、媒体50の表面の印刷終了からの経過時間と、媒体50の裏面の印刷終了からの経過時間とを通知してもよい。制御部250は、後処理装置200内で媒体50が引き込み動作までに経過する時間を推測し、それらを加算することによって、印刷からの経過時間を算出できる。
・本実施形態においては、制御部250は、媒体50の搬送方向Y1の長さが短いときは表面デューティーと裏面デューティーとを、媒体50の搬送方向Y1の長さが長いときは接触部表面デューティーと接触部裏面デューティーとを使用したが、媒体50の媒体面全面と接触部との両方のデューティーを使用してもよい。
・接触部デューティーは、第1引き込み部材211が接触する部分の印刷デューティーでもよいし、第2引き込み部材212が接触する部分の印刷デューティーでもよい。
・印刷デューティーが高いときは、第1の媒体51と第2の媒体52との摩擦係数μ1bが高くなって、媒体50が引き込まれ難くなる。しかし、印刷デューティーが高い媒体50は高い印刷品質が求められるため、媒体面に第1引き込み部材211の擦れ跡を付けられないため、第1引き込み部材211の高さは標準よりも高く設定され、その代わりに第1引き込み部材211の回転数が更に大きく設定されてもよい。媒体50の引き込み時間が多くかかるため生産性は低くなるが、後処理装置200は、高い印刷品質の印刷物の出力が可能となる。
・本実施形態では、制御部250は、制御テーブルを用いたが、パラメーターを変数とした計算式や条件式によって、第1必要回転数、第2必要回転数、第1引き込み部材211が第1姿勢にあるときの高さ、を求めるようにしてもよい。
・媒体50の種類によって、第1必要回転数と第2必要回転数は変わる。代表的な媒体50の種類に対応する制御テーブルを複数用意しておき、サービスマンが操作部62を操作して、制御テーブルを切り換えるようにしてもよい。
・後処理装置200は、サービスマンが第1引き込み部材211の高さを変更できる機構を有してもよい。
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)後処理装置は、液体吐出部が吐出した液体によって印刷された媒体を搬送する搬送路と、前記搬送路によって搬送された前記媒体が積載される中間トレイと、前記中間トレイに設けられ、前記媒体の後端が前記搬送路を通過した後に、前記媒体を搬送方向上流部へと引き込む第1引き込み動作を開始する第1引き込み部材と、前記第1引き込み部材によって引き込まれた媒体の後端と接触し、該媒体を整合する後端整合部と、前記第1引き込み部材の動作を制御する制御部と、前記中間トレイにおける前記媒体の引き込み状態を検知する検出部と、を備え、前記制御部は、前記検出部の出力から、前記媒体が前記後端整合部に到達したと判断したときには、前記第1引き込み部材の第1引き込み動作を規制する。
この構成によれば、制御部は、媒体が引き込まれるときの媒体の状態と、媒体の後端が後端整合部に到達したときの媒体の状態を取得して第1引き込み動作を制御する。また、制御部は、媒体が引き込まれるときから、第1引き込み動作を規制するまで、媒体の引き込み状態を検知し続ける。液体吐出部によって吐出された液体により印刷された媒体が整合される場合、中間トレイにおいて、第1引き込み部材によって引き込まれる媒体と、中間トレイに先に積載された媒体との間の摩擦抵抗が、パラメーターの条件に応じて変化する。媒体間の摩擦抵抗の変化により、媒体の後端が後端整合部に到達するまでに要する時間が変化したときも、制御部は、検出部が検知した媒体の引き込み状態から媒体の後端が後端整合部に到達したときと判断した場合に、第1引き込み動作を規制する。更に、制御部250は、第1の媒体51の後端51cが状態検知センサー217の撮像エリア内を通過したときから、第1の媒体51の後端51cが後端整合部210aに到達するまでの第
1の媒体51の状態を取得して第1引き込み動作を規制する。そのため、媒体が引き込まれない、または媒体が引き込まれ過ぎることによって、媒体の不揃いや媒体の座屈が発生することを抑制できる。
(B)上記後処理装置において、前記検出部は、前記媒体の表面を照射する光源と、前記媒体からの反射光により該表面のパターンを撮像する撮像部と、を備え、前記検出部は、前記撮像部によって時間間隔をおいて撮像された2つのパターンから前記媒体の移動量と移動方向を出力してもよい。
この構成によれば、制御部は、時間間隔をおいて撮像された2つのパターンから媒体の移動量と移動方向を検出し、媒体の後端が後端整合部へ到達したことを判断できる。そのため、制御部は、第1引き込み部材の第1引き込み動作を正確に規制できる。なお、検出部が画像を撮像する位置が、第1引き込み部材よりも搬送方向下流側の位置である場合、制御部は、媒体の後端が第1引き込み部材に到達する時刻を算出できる。また、制御部は、時間間隔をおいて撮像される画像より、媒体の後端が、実際に第1引き込み部材に到達したことを判断できる。更に媒体の後端が、実際に第1引き込み部材に到達したときに、第1引き込み部材の第1引き込み動作を開始することができる。この場合、第1引き込み部材の第1引き込み動作を一層正確に規制できる。
(C)上記後処理装置において、前記制御部は、前記出力から前記媒体が斜行したと判断したときには、前記媒体の斜行量に応じて前記第1引き込み部材の引き込み量を変更してもよい。
この構成によれば、第1引き込み部材が第1引き込み動作行っている媒体が斜行しているときに、制御部が、第1引き込み部材の引き込み量を変更することで、媒体の斜行が修正される。第1引き込み部材によって引き込まれた媒体が斜行していることによって、媒体の不揃いや媒体の座屈が発生することを抑制できる。
(D)上記後処理装置において、前記第1引き込み部材を回転駆動させる第1回転モーターを備え、前記検出部は、前記第1回転モーターの電流値を検出する検出部であって、前記電流値が所定の閾値を越えたときに、前記媒体が前記後端整合部に到達したと判断してもよい。
この構成によれば、液体吐出部によって吐出された液体により印刷された媒体が整合される場合、中間トレイにおいて、第1引き込み部材によって引き込まれる媒体と、中間トレイに先に積載された媒体との間の摩擦抵抗が、パラメーターの条件に応じて変化する。媒体間の摩擦抵抗の変化により、媒体の後端が後端整合部に到達するまでに要する時間が変化したときも、媒体の引き込み状態を検知することで、制御部が媒体の後端が後端整合部に到達したと判断する。制御部が、媒体の後端が後端整合部に到達したと判断したときに、第1引き込み動作を規制する。そのため、制御部は、第1引き込み部材の第1引き込み状態を正確に検知でき、媒体の後端が第1引き込み部材に到達したことを正確に判断できる。
(E)上記後処理装置において、印刷装置が有する液体吐出部が吐出した液体によって印刷された媒体を搬送する搬送路と、前記搬送路によって搬送された前記媒体が積載される中間トレイと、前記中間トレイに設けられ、前記媒体の後端が前記搬送路を通過した後に、前記媒体を搬送方向上流部へと引き込む第1引き込み動作を開始する第1引き込み部材と、前記第1引き込み部材によって引き込まれた媒体の後端と接触し、該媒体を整合する後端整合部と、前記第1引き込み部材の動作を制御する制御部と、前記中間トレイにおける前記媒体の引き込み状態を検知する検出部と、を備え、前記制御部は、前記媒体の前
記引き込み状態と、前記媒体のパラメーターの条件とに基づいて、前記第1引き込み部材の第1引き込み動作を規制する。
この構成によれば、検出部は、媒体の後端が後端整合部に到達する近傍において、媒体の引き込み状態を取得する。液体吐出部によって吐出された液体により印刷された媒体が整合される場合、中間トレイにおいて、第1引き込み部材によって引き込まれる媒体と、中間トレイに先に積載された媒体との間の摩擦抵抗が、パラメーターの条件に応じて変化する。媒体間の摩擦抵抗の変化により、媒体の後端が後端整合部に到達するまでに要する時間が変化したときも、制御部は、媒体の後端が後端整合部に到達する直前の引き込み状態を取得する。制御部は、引き込み状態とパラメーターの条件に基づいて第1引き込み部材の第1引き込み動作を規制する。そのため、媒体が引き込まれない、または媒体が引き込まれ過ぎることによって、媒体の不揃いや媒体の座屈が発生することを正確に抑制できる。
(F)上記後処理装置において、前記検出部は前記媒体の後端部通過を検知するセンサーであって、前記制御部は、前記センサーによって検知した前記媒体の端部通過の情報に基づいて前記媒体の前記引き込み状態を検知してもよい。
この構成によれば、検出部は、媒体の後端が後端整合部に到達する近傍において、媒体の後端の通過を検知して引き込み状態を取得する。媒体の後端が後端整合部に到達する直前に、媒体の後端の通過を検知することができる。
(G)上記後処理装置において、前記検出部は前記中間トレイ上に積載されている媒体の累積の厚みを検出するセンサーであって、前記センサーは前記中間トレイ上方の搬送方向上流側端部に設けられ、前記制御部は、前記媒体が前記第1引き込み部材によって引き込まれたときに、前記中間トレイ上に積載されている媒体の累積厚さの増加に基づいて、前記媒体の前記引き込み状態を検知してもよい。
この構成によれば、制御部は、検出部の出力が不連続に増加すると、媒体の枚数が1枚増えたと判断するため、制御部は、媒体の後端が後端整合部に到達する直前に、媒体の後端の通過を正確に検知することができる。制御部は、検出部の出力が不連続に増加したとき、その増加分が媒体2枚分の厚さ以上の場合には、先端が折れた媒体が引き込まれたと判断するため、ステープル等の後処理が行われる前に後処理装置を停止し、ユーザーに通知することができる。制御部は、検出部の出力が所定の厚さを超えるときには、引き込まれた媒体のカールや座屈によって中間トレイが塞がったと判断するため、ステープル等の後処理が行われる前に後処理装置を停止し、ユーザーに通知することができる。
(H)上記後処理装置において、前記制御部は、前記媒体の後端が前記検出部を通過してからの第1積算回転数が、前記媒体の後端を前記後端整合部に整合するために必要な第1必要回転数に達したときに前記第1引き込み動作を規制するように構成され、前記制御部は、前記第1必要回転数を、前記媒体の前記引き込み状態の検知結果と、パラメーターの条件とに応じて決定してもよい。
この構成によれば、液体吐出部によって吐出された液体により印刷された媒体が整合される場合、中間トレイにおいて、第1引き込み部材によって引き込まれる媒体と、中間トレイに先に積載された媒体との間の摩擦抵抗が、パラメーターの条件に応じて変化する。このため、媒体間の摩擦抵抗の変化により、媒体の後端が後端整合部に到達するまでに要する時間が変化する。このため、制御部はパラメーターの条件に応じて適切な第1必要回転数を設定する。よって、中間トレイで媒体を整合する場合、媒体の後端が後端整合部に到達しないことに起因する媒体の不揃いや、媒体の後端が後端整合部に到達した後も引き
込んでしまうことに起因する媒体の座屈を抑制できる。
(I)上記後処理装置において、前記制御部は、前記印刷装置が設置されている環境の温度、前記印刷装置が設置されている環境の湿度、前記媒体のサイズ、前記媒体の坪量、前記中間トレイに積載されている前記媒体の枚数、のうちの少なくともいずれか一つを、前記パラメーターとして用いてもよい。
この構成によれば、環境の温度が低いときに媒体に付着した液体が乾燥しにくく、媒体間の摩擦抵抗が大きくなる。また、環境の湿度が高いときに媒体に付着した液体が乾燥しにくく、媒体間の摩擦抵抗が大きくなる。さらに、媒体のサイズが大きいほど媒体間の接触面積が大きくなるので、媒体が動くときの摩擦抵抗が大きくなる。また、坪量の大きい媒体ほど媒体の重量が大きいので、第1引き込み部材が引き込むときに、媒体間の摩擦抵抗が大きくなる。また、中間トレイに積載されている媒体の枚数が多いほど、媒体束の積載高さが高くなって、引き込み対象の媒体が第1引き込み部材に近づくことになり、第1引き込み部材が媒体を引き込むときに押し付ける押付力が大きくなるので、媒体間の摩擦抵抗が大きくなる。制御部は、環境の温度、環境の湿度、媒体のサイズ、媒体の坪量、中間トレイに積載されている媒体の枚数、のうちの少なくともいずれか一つのパラメーターに応じて、第1必要回転数を適切に変化させる。よって、中間トレイで媒体を整合する場合、媒体の不揃いや媒体の座屈を抑制できる。
(J)上記後処理装置において、前記制御部は、前記液体吐出部が吐出した液体によって前記媒体の印刷が開始されてから、前記第1引き込み部材が当該媒体を引き込む前記第1引き込み動作を開始するまでの経過時間、前記液体吐出部が吐出した液体によって印刷された前記媒体における印刷後の待機時間、前記液体吐出部により前記媒体に吐出された液体の面積当たりの液体吐出量、のうちの少なくともいずれか一つを、前記パラメーターとして用いてもよい。
この構成によれば、媒体に印刷されてから第1引き込み動作が開始されるまでの経過時間が短いほど、印刷された媒体の待機時間が長いほど、面積当たりの液体吐出量が大きいほど、媒体に付着又は浸透した液体の乾燥度合が低くなる傾向にある。液体の乾燥度合が低いと、媒体間の摩擦抵抗が大きくなる。制御部は、経過時間、待機時間、面積当たりの液体吐出量のうちの少なくともいずれか一つのパラメーターに応じて、第1必要回転数を適切に変化させる。よって、中間トレイで媒体を整合する場合、媒体の不揃いや媒体の座屈を抑制できる。
(K)上記後処理装置において、前記経過時間は、前記液体吐出部が吐出した液体によって印刷された前記媒体における印刷時間、前記液体吐出部が吐出した液体によって印刷された前記媒体における搬送時間、前記第1引き込み動作を開始してから、次の前記第1引き込み動作を開始するまでの前記媒体の搬送ピッチ時間、のうちの少なくともいずれか一つであってもよい。
この構成によれば、印刷時間、搬送時間、搬送ピッチ時間のうち少なくとも一つが短いほど、媒体の乾燥度合が低く媒体面の含水状態がまだ悪化したままの状態にあり、媒体間の摩擦抵抗が大きい。このため、制御部は、印刷時間、搬送時間、搬送ピッチ時間のうち少なくとも一つのパラメーターに応じて、第1必要回転数を適切に変化させることによって、媒体の不揃いや媒体の座屈を抑制できる。
(L)上記後処理装置において、前記制御部は、前記待機時間、前記液体の面積当たりの液体吐出量、前記媒体のサイズ、のうちの少なくとも一つを前記パラメーターとして用い、前記パラメーターの数値が大きくなるほど前記第1必要回転数は多くなってもよい。
この構成によれば、待機時間が長いときは、媒体の乾燥時間を長く確保する必要があるので、媒体面の含水状態がまだ悪化したままの状態にあり、媒体間の摩擦抵抗が大きい。また、面積当たりの液体吐出量が大きいときは、媒体面の含水状態がまだ悪化したままの状態にあり、媒体間の摩擦抵抗が大きい。さらに、媒体のサイズが大きいときは、接触面積が大きいため媒体間の摩擦抵抗が大きい。制御部は、待機時間、面積当たりの液体吐出量、媒体のサイズのうちの少なくとも一つのパラメーターの数値が大きくなるほど、第1必要回転数を多くすることによって、媒体の不揃いや媒体の座屈を抑制できる。
(M)上記後処理装置において、前記媒体が前記中間トレイに積載されるときの当該中間トレイ側の面を裏面とし、前記第1引き込み部材が前記第1引き込み動作を行う前記媒体を第1の媒体としたとき、前記制御部は、前記第1の媒体の裏面の面積当たりの液体吐出量と、前記第1の媒体のサイズと、を前記パラメーターとして用いてもよい。
この構成によれば、面積当たりの液体吐出量が大きいときは、媒体面の含水状態の悪化によって、媒体間の摩擦抵抗が大きくなるため、媒体間が密着する力が大きくなる。面積当たりの液体吐出量は媒体面の状態に最も影響の大きいパラメーターである。媒体のサイズが大きいときは、媒体を動かすときの抵抗が大きくなる。すなわち、制御部は、媒体のサイズが変化しても、少ないパラメーターで、媒体の不揃いや媒体の座屈が発生することを抑制できる。
(N)上記後処理装置において、前記媒体が前記中間トレイに積載されるときの当該中間トレイ側の面を裏面とし、前記第1引き込み部材が前記第1引き込み動作を行う前記媒体を第1の媒体としたとき、前記制御部は、前記第1の媒体の裏面の面積当たりの液体吐出量と、前記印刷装置が設置されている環境の湿度と、を前記パラメーターとして用いてもよい。
この構成によれば、面積当たりの液体吐出量が大きいときは、媒体面の含水状態の悪化によって、媒体間の摩擦抵抗が大きくなるため、媒体間が密着する力が大きくなる。面積当たりの液体吐出量は媒体面の含水状態に最も影響の大きいパラメーターである。環境湿度が高いときには、媒体間が密着する力が大きくなる。すなわち、制御部は、環境湿度が変化しても、少ないパラメーターで、媒体の不揃いや媒体の座屈が発生することを抑制できる。
(O)上記後処理装置において、前記媒体が前記中間トレイに積載されるときの当該中間トレイ側の面と反対側の面を表面とし、前記第1引き込み部材が前記第1引き込み動作を行う前記媒体を第1の媒体とし、前記第1引き込み部材が前記第1引き込み動作を行うときに前記中間トレイの一番上側に積載されている前記媒体を第2の媒体としたとき、前記制御部は、前記第1の媒体の裏面の面積当たりの液体吐出量と、前記第2の媒体の表面の面積当たりの液体吐出量と、前記第1の媒体の裏面経過時間と、前記第2の媒体の表面経過時間と、を前記パラメーターとして用いてもよい。
この構成によれば、制御部は、第1引き込み部材が第1引き込み動作を行うときの、第1の媒体の裏面の含水状態と、第2の媒体の表面の含水状態との間で発生する媒体間が密着する力の変化を正確に把握して制御することができる。すなわち、制御部は、媒体の接触面両面の含水状態および液体吐出面積に応じた正確な制御によって、媒体の不揃いや媒体の座屈が発生することを抑制できる。
(P)上記後処理装置において、前記第1引き込み部材が前記第1引き込み動作を行う前記媒体を第1の媒体とし、前記第1引き込み部材が第1の媒体を引き込む姿勢を第1姿
勢としたとき、前記制御部は、前記中間トレイの前記媒体を積載する底面と、前記第1引き込み部材の回転中心と、の距離である前記第1引き込み部材の高さを前記パラメーターの条件に応じて決定してもよい。
この構成によれば、制御部は、第1引き込み部材の第1姿勢における高さをパラメーターの条件に応じて決定することで、第1の媒体を引き込む力が適切に調整できる。第1の媒体を引き込む力を適切に決定することによって、媒体の不揃いや媒体の座屈が発生することを抑制できる。
(Q)上記後処理装置において、前記制御部は、前記媒体の前記引き込み状態から前記媒体が前記後端整合部に到達したと判断した場合には、前記第1引き込み部材の第1引き込み動作を停止し、前記第1引き込み部材の高さを低くし、前記第1引き込み部材によって前記媒体を押さえ付ける第2姿勢へと変化させてもよい。
この構成によれば、第1引き込み部材は、整合済みの媒体を押さえているため、整合済みの媒体が動くことを抑制できる。
(R)上記後処理装置において、前記第1引き込み部材が前記第1引き込み動作を行う前記媒体を第1の媒体とし、前記第1引き込み部材が前記第1引き込み動作を行うときに前記中間トレイの一番上側に積載されている前記媒体を第2の媒体としたとき、前記中間トレイは、前記第1引き込み部材よりも搬送方向下流側に設けられた第2引き込み部材を有し、前記第1引き込み部材が前記第1の媒体を引き込む姿勢を第1姿勢としたとき、前記制御部は、前記第1引き込み部材が前記第2姿勢にあるときに、前記第2引き込み部材に前記第1の媒体を搬送方向上流側へと引き込む第2引き込み動作を開始させ、前記第1の媒体の後端が前記第1引き込み部材に到達するまでに、前記第1引き込み部材を前記第2姿勢から前記第1姿勢に戻し、第1引き込み動作を再開するように構成されてもよい。
この構成によれば、第1引き込み部材は、第1引き込み部材が第2姿勢にあることによって整合済みの第2の媒体が動くことの抑制と、第1引き込み部材の第1姿勢による第1の媒体の整合とを両立することができる。
(S)上記後処理装置において、前記制御部は、前記第2引き込み部材が前記第1の媒体を所定量引き込んだ後に、前記第1引き込み部材は前記第2姿勢から前記第1姿勢に戻り、第1引き込み動作を再開するように構成してもよい。
この構成によれば、制御部は、媒体の後端が第1引き込み部材に到達する前に第1引き込み動作を再開できる。
(T)印刷システムは、液体吐出部が吐出した液体によって印刷された媒体を搬送する搬送路と、前記搬送路によって搬送された前記媒体が積載される中間トレイと、前記中間トレイに設けられ、前記媒体の後端が前記搬送路を通過した後に、前記媒体を搬送方向上流部へと引き込む第1引き込み動作を開始する第1引き込み部材と、前記第1引き込み部材によって引き込まれた媒体の後端と接触し、該媒体を整合する後端整合部と、前記第1引き込み部材の動作を制御する制御部と、前記中間トレイにおける前記媒体の引き込み状態を検知する検出部と、を備え、前記制御部は、前記検出部の出力から、前記媒体が前記後端整合部に到達したと判断したときには、前記第1引き込み部材の第1引き込み動作を規制する。
この構成によれば、制御部は、検出部が検知した媒体の引き込み状態から、媒体の後端が後端整合部に到達したときと判断した場合に、第1引き込み動作を制御する。また、制御部は、媒体が引き込まれるときから、第1引き込み動作を規制するまで、媒体の引き込み状態を検知し続ける。液体吐出部によって吐出された液体により印刷された媒体が整合
される場合、中間トレイにおいて、第1引き込み部材によって引き込まれる媒体と、中間トレイに先に積載された媒体との間の摩擦抵抗が、パラメーターの条件に応じて変化する。媒体間の摩擦抵抗が高くなったことによって、媒体の後端が後端整合部に到達する時間が長くなったときも、制御部は、媒体の後端が後端整合部に到達したときの媒体の状態を取得して第1引き込み動作を規制する。そのため、印刷システムは、媒体が引き込まれない、または媒体が引き込まれ過ぎることによって、媒体の不揃いや媒体の座屈が発生することを抑制できる。
(U)上記印刷システムにおいて、液体吐出部が吐出した液体によって印刷された媒体を搬送する搬送路と、前記搬送路によって搬送された前記媒体が積載される中間トレイと、前記中間トレイに設けられ、前記媒体の後端が前記搬送路を通過した後に、前記媒体を搬送方向上流部へと引き込む第1引き込み動作を開始する第1引き込み部材と、前記第1引き込み部材によって引き込まれた媒体の後端と接触し、該媒体を整合する後端整合部と、前記第1引き込み部材の動作を制御する制御部と、前記中間トレイにおける前記媒体の引き込み状態を検知する検出部と、を備え、前記制御部は、前記媒体の前記引き込み状態と、前記媒体のパラメーター条件とに基づいて、前記第1引き込み部材の第1引き込み動作を規制する。
この構成によれば、検出部は、媒体の後端が後端整合部に到達する近傍において、媒体の引き込み状態を取得する。含水した媒体が整合される場合は、含水していない媒体が整合される場合に比べて、媒体間の摩擦係数が高くなる。媒体間の摩擦係数が高くなったことによって、媒体の後端が後端整合部に到達する時間が長くなったときも、制御部は、媒体の後端が後端整合部に到達する直前の引き込み状態を取得する。そのため、媒体が引き込まれない、または媒体が引き込まれ過ぎることによって、媒体の不揃いや媒体の座屈が発生することを正確に抑制できる。