JP7433355B2 - 回転電機用ステータの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、回転電機用ステータの製造方法に関する。
回転電機のステータでは、ステータ用コイルの導体の端部同士を結線するために、導体の端部の樹脂被膜が剥離された状態になっている。樹脂被膜が剥離されたコイル被膜剥離部には、結線後に樹脂被膜が形成されて絶縁される。コイル被膜剥離部に樹脂被膜を形成する方法としては、予め加熱した導体の端部を粉体樹脂に浸漬し、粉体樹脂を溶融させることによってコイル被膜剥離部に付着させる粉体樹脂塗装法が知られている。しかし、この方法では、ワーク(導体)を事前に加熱する必要があるとともに、隙間、段差及びエッジ部等の微細箇所への粉体樹脂の浸透性が悪く、コイル被膜剥離部に均質な塗膜を形成することが困難である。
そのため、従来、粉体樹脂に代えて、液状の樹脂材料を用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術は、導体の端部をゲル反応性の高い液状の樹脂材料中に浸漬させ、導体に通電することによって、その浸漬した先端部近傍の樹脂材料を加熱してゲル化させ、浸漬解除後にゲル化した部位を加熱硬化させるものである。この従来技術では、浸漬時に樹脂材料を加熱してゲル化させることで、浸漬解除時に樹脂材料が自重で垂れることを抑制できるようにしている。
特許第5728981号公報
しかしながら、上記の従来技術では、ワークの液体樹脂材料中への浸漬中に、樹脂材料をゲル化させるために導体を加熱する工程が必要である。そのため、上記の従来技術は、作業性が悪くなるとともに、製造設備に加熱用の設備を追加しなくてはならず、設備コスト及びエネルギーコストが掛かる上に、設備の設置スペースも必要となる。
本発明は、液体樹脂材料を用いて、コイル被膜剥離部の微細箇所まで良好な樹脂被膜を形成できるとともに作業性を向上させることができる回転電機用ステータの製造方法を提供することを目的とする。
(1) 本発明に係る回転電機用ステータの製造方法は、回転電機用ステータ(例えば、後述の回転電機用ステータ1)のコイル被膜剥離部(例えば、後述のコイル被膜剥離部122)に液体樹脂材料(例えば、後述の液体樹脂材料3)によって樹脂被膜(例えば、後述の樹脂被膜124)を形成する回転電機用ステータの製造方法であって、前記回転電機用ステータのコイル被膜剥離部を液体樹脂材料に浸漬させる浸漬工程と、浸漬解除後に前記液体樹脂材料を加熱硬化させて前記樹脂被膜を形成する加熱硬化工程と、を備え、前記液体樹脂材料は、チクソ性を有し、前記浸漬工程は、少なくとも前記コイル被膜剥離部を前記液体樹脂材料へ浸漬させている間に、少なくとも一度、前記回転電機用ステータを鉛直方向以外の方向へ移動させる工程を含む。
(2) 上記(1)に記載の回転電機用ステータの製造方法において、前記浸漬工程において、前記回転電機用ステータの鉛直方向以外の方向への移動は、前記鉛直方向に沿う回転軸を中心とする回転移動であってよい。
(3) 上記(1)又は(2)に記載の回転電機用ステータの製造方法において、前記浸漬工程において、前記コイル被膜剥離部を前記液体樹脂材料に浸漬している間に、前記回転電機用ステータの鉛直方向の移動速度を変化させてよい。
(4) 上記(1)~(3)のいずれに記載の回転電機用ステータの製造方法において、前記浸漬工程の前に、前記コイル被膜剥離部を、常温よりも高い温度に予熱する予熱工程を有してよい。
上記(1)によれば、少なくともコイル被膜剥離部を液体樹脂材料へ浸漬させている間に、少なくとも一度、回転電機用ステータを鉛直方向以外の方向へ移動させることによって、チクソ性を有する液体樹脂材料にせん断速度が与えられる。そのため、液体樹脂材料のせん断粘度が低下し、コイル被膜剥離部の微細箇所への液体樹脂材料の浸透を促すことができる。浸漬を解除した状態では、液体樹脂材料のせん断粘度が上昇することによって、コイル被膜剥離部に適切な膜厚の塗膜を形成することができるとともに、液垂れの発生も抑制される。液垂れを抑制するために浸漬工程において液体樹脂材料を加熱する必要がないため、液体樹脂材料を用いて、コイル被膜剥離部の微細箇所まで良好な樹脂被膜を形成できるとともに作業性も向上する。また、コイル被膜剥離部を液体樹脂材料に浸漬する際に、液体樹脂材料を流動等させる必要がないため、塗装のための設備を小型化できる。加熱硬化工程は、粉体樹脂塗装と同様の装置を使用することができるため、粉体樹脂塗装の既設設備をそのまま利用することも可能である。
上記(2)によれば、回転電機用ステータを、鉛直方向に沿う回転軸を中心として回転移動させることによって、浸漬工程において、チクソ性を有する液体樹脂材料のせん断粘度を低下させ、コイル被膜剥離部の微細箇所への浸透を効果的に促し、コイル被膜剥離部の微細箇所への浸透性をさらに高めることができる。
上記(3)によれば、鉛直方向の移動速度を変化させることによって、浸漬工程において、チクソ性を有する液体樹脂材料のせん断粘度を低下させ、コイル被膜剥離部の微細箇所への浸透を効果的に促し、コイル被膜剥離部の微細箇所への浸透性をさらに高めることができる。
上記(4)によれば、浸漬工程の前に、コイル被膜剥離部を、常温よりも高い温度に予熱することによって、コイル被膜剥離部を液体樹脂材料に浸漬した際に、液体樹脂材料のせん断粘度を低下させることができ、コイル被膜剥離部の微細箇所への浸透をより効果的に促し、コイル被膜剥離部の微細箇所への浸透性をさらに高めることができる。
回転電機用ステータを液体樹脂材料へ浸漬する前の状態を示す模式図である。 回転電機用ステータを液体樹脂材料への浸漬工程を示す模式図である。 回転電機用ステータを液体樹脂材料から浸漬解除工程を示す模式図である。 回転電機用ステータのコイル被膜剥離部に付着した液体樹脂材料を加熱硬化させる加熱硬化工程を示す模式図である。 回転電機用ステータのコイル被膜剥離部を示す斜視図である。 浸漬工程におけるコイル被膜剥離部の液面に対する位置と時間経過との関係を示すグラフである。 回転電機用ステータのコイル被膜剥離部に絶縁被膜を形成した状態を示す斜視図である。 液体樹脂材料のせん断速度に対するせん断粘度を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1に示すように、回転電機用ステータ1(以下、単にステータ1という場合がある。)は、ステータコア11と、ステータコア11に装着されるコイル12と、を有する。コイル12は、複数本のコイル導体121をステータコア11のスロット111(図5参照)に挿入することによって構成される。コイル導体121の表面には、樹脂製の絶縁被膜121aが形成されている。本実施形態に示すコイル12を構成するコイル導体121は、U字状に成形されたセグメントコイルによって形成される。しかし、コイル導体は、これに限らない。コイル導体は、ステータコア11の周方向に長尺な波巻コイルによって形成されてもよい。
ステータ1は、鉛直方向に沿って延びる中心軸Oに沿うステータコア11の一方の端面11aに、コイル導体121の端部が突出している。このコイル導体121の端部は、絶縁被膜121aが剥離されたコイル被膜剥離部122を有している。図1~図3において、ステータ1は、コイル12のコイル被膜剥離部122が、鉛直方向下方を向くように配置された状態とされている。
図1において、ステータ1の下方には、液体樹脂貯留槽2が配置されている。液体樹脂貯留槽2は、上方が開口し、ステータコア11から突出するコイル12の外径よりも大径な円筒状の槽である。液体樹脂貯留槽2の内部には、液体樹脂材料3が貯留されている。
液体樹脂材料3は、ワークであるステータ1のコイル12のコイル導体121の端部に塗膜を形成し、コイル被膜剥離部122及びその周辺を含む部位に、液体樹脂材料3からなる絶縁樹脂被膜を形成するためものである。
液体樹脂貯留槽2に貯留される液体樹脂材料3は、チクソ性を有する。詳しくは、液体樹脂材料3は、図8中の実線で示すように、せん断速度が低い時あるいはせん断速度が付与されない静止時にはせん断粘度が高く、液体樹脂材料3にせん断速度を与えることによって、静止時のせん断粘度よりも低粘度化する粘度特性を有するものである。但し、液体樹脂材料3のせん断粘度は、せん断速度が低い時及び高い時のいずれにおいても、液体樹脂貯留槽2の液面が平滑になる粘度を超えず、且つ液体樹脂材料3が液垂れしない粘度を下回ることはない。液体樹脂材料3は、液面が平滑になる粘度と液垂れしない粘度との間に収まる粘度特性を有し、且つせん断速度が低い時あるいはせん断速度が付与されない静止時に対して、せん断速度が高くなるとせん断粘度が低下する粘度特性を有する。
液体樹脂材料3は、例えば、エポキシ系樹脂を主成分とする主剤に対して、図8中の実線で示すような所望のチクソ性を付与するためのチクソ性付与剤としてのフィラーを配合することによって構成される。
フィラーをエポキシ系樹脂中に適量配合することによって、せん断速度が低いあるいはせん断速度が付与されない静止時には、フィラー間に働くファンデルワールス力によってフィラーの挙動が抑制された安定状態となる(高チクソ状態)。このとき、液体樹脂材料3は高粘度状態となる。この高粘度状態の液体樹脂材料3にせん断速度が付与されると、速度の入力によって、フィラー間に働くファンデルワールス力が低下し、液体樹脂材料3中のフィラーが動的に変化する状態となる。これによって、液体樹脂材料3は低粘度状態となる。その後、速度の入力が解除されると、液体樹脂材料3は再び初期の状態に戻り、フィラー間に働くファンデルワールス力によってフィラーの挙動が抑制された安定状態となる(高チクソ状態)。
このような液体樹脂材料3によれば、液体樹脂材料3のせん断粘度は、図8中の実線で示すように、ステータ1を液体樹脂材料3に浸漬する前及び浸漬解除後のいずれにおいても、液面が平滑になる粘度を超えず、且つ液垂れしない粘度を下回らないため、浸漬時には、ステータ1の移動によるせん断速度の付与によって液体樹脂材料3の粘度が低下して、コイル被膜剥離部122の微細箇所への浸透性が良好であるとともに、浸漬解除後には、液体樹脂材料3の粘度が適度に上昇して、コイル被膜剥離部122の微細箇所にも十分に浸透した液体樹脂材料3からなる適切な膜厚の塗膜を形成することができる。
具体的な液体樹脂材料3のせん断粘度は、23℃において、530Pa・s以下@0.01(1/s)、4Pa・s以上@10(1/s)、及び4Pa・s以下@1000(1/s)の条件を同時に満たすものであることが好ましい。
エポキシ系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、Bis-F型、Bis-A型、PPG型、アルコール型等を用いることができる。
また、フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、シリカ等を用いることができる。
液体樹脂材料3には、上記の他、液体樹脂材料3を加熱硬化させるための硬化剤等を含むことができる。
次に、図1~図4及び図6を参照して、本実施形態に係る回転電機用ステータの製造方法について説明する。図6は、コイル被膜剥離部122の液面3aに対する位置と時間経過との関係を示すグラフである。図1に示すように、ワークであるステータ1は、液体樹脂貯留槽2に貯留される液体樹脂材料3の液面3aよりも上方の空中に配置され、コイル被膜剥離部122は鉛直方向下方に向いている。なお、液体樹脂貯留槽2に貯留される液体樹脂材料3は、真空脱泡法、遠心脱泡法等を適用することによって、予め脱泡処理されている。
まず、この状態において、ステータ1のコイル被膜剥離部122を、常温よりも高い温度に予熱する(予熱工程)。具体的には、予熱工程では、コイル被膜剥離部122を、例えば60℃程度まで予熱する。
具体的な予熱方法としては、コイル12に通電する方法であってもよいし、コイル被膜剥離部122に対して、ヒータ等によって外部から熱を加える方法であってもよい。コイル被膜剥離部122を予熱することによって、後段の浸漬工程において、比較的高いせん断粘度を有する静止状態の液体樹脂材料3にコイル被膜剥離部122が浸漬された際に、コイル被膜剥離部122の周辺の液体樹脂材料3のせん断粘度を低下させることができる。これによって、コイル被膜剥離部122の隙間、段差及びエッジ部等の微細箇所への液体樹脂材料3の浸透性をより高めることができる。
次に、コイル被膜剥離部122を予熱したステータ1を、液体樹脂材料3の液面3aに向けて所定の移動速度で鉛直方向下方へ移動させる。
ステータ1の移動は、例えば、ステータ1を把持するロボットアームやクレーン等の移動機構(図示せず)によって行うことができる。移動機構は、ステータ1の中心軸Oに沿う鉛直方向上方及び鉛直方向下方に、様々な速度でステータ1を移動させることができる。また、移動機構は、ステータ1の中心軸Oを中心とする任意の回転方向に、様々な速度でステータ1を回転移動させることもできる。
ステータ1の下方ヘの移動は、コイル被膜剥離部122の先端が液面3aに接触(浸漬開始)した後、さらに、図2に示すように、コイル被膜剥離部122の全体が液面3aよりも下方に位置し、コイル被膜剥離部122と絶縁被膜121aとの境界部122aが、液面3aよりもやや下方に位置する所定の浸漬深さに到達する(浸漬移動終了)まで継続される。これによって、ステータ1のコイル被膜剥離部122の全体を含むその周辺部位が、液体樹脂材料3に浸漬される(浸漬工程)。なお、このときのステータ1の移動速度は、図6に示すように一定速度である。
浸漬前の静止領域にある液体樹脂材料3は、図8中の実線で示すように、せん断速度が付与されていないため、高チクソ状態であり、比較的高いせん断粘度を有する。しかし、液面3aは平滑に保たれている。コイル被膜剥離部122の浸漬開始によってコイル被膜剥離部122の先端が液面3aを通過すると、液体樹脂材料3に僅かながらもせん断速度が付与され、液体樹脂材料3のせん断粘度が低下し始める。コイル被膜剥離部122に接した液体樹脂材料3のせん断粘度は、予熱されたコイル被膜剥離部122の熱によっても低下する。そのため、液体樹脂材料3は、コイル被膜剥離部122の隙間、段差及びエッジ部等への微細箇所へも浸透し易い。
なお、図8中の破線で示す高粘度材のように、せん断速度が低いあるいはせん断速度が付与されない静止領域において、より高いせん断粘度を有する場合では、液体樹脂貯留槽に貯留される液体樹脂材料の液面が平滑になりにくい。この場合は、コイル被膜剥離部122を浸漬した際に気泡を巻き込み易く、且つコイル被膜被覆部122の微細箇所へ液体樹脂材料を十分に浸透させることができない。
ここで、ステータ1が下方への移動を開始してコイル被膜剥離部122の先端が液面3aに接する直前から、コイル被膜剥離部122が所定の浸漬深さに到達するまで、ステータ1を鉛直方向以外の方向へ移動させる。
鉛直方向以外の方向は、鉛直方向以外の任意の方向であってよい。したがって、ステータ1を鉛直方向に対して斜めに交差する方向であってもよい。液体樹脂材料3へのコイル被膜剥離部122の浸漬深さを変えないようにする観点では、鉛直方向以外の方向は、ステータ1の中心軸Oに沿う回転軸を中心とする回転移動であることが好ましい。回転方向は、時計方向又は反時計方向のいずれか一方向でもよいし、時計方向及び反時計方向の両方向に反復させるものでもよい。図2は、浸漬工程において、ステータ1の中心軸Oを回転軸として、ステータ1を、時計方向及び反時計方向の両方向に反復して回転移動させる場合を示している。回転角度は、例えば180°以内とすることができる。
ステータ1を鉛直方向以外の方向に移動させることによって、液体樹脂材料3には、コイル12によってせん断され、高いせん断速度が付与される。そのため、液体樹脂材料3のせん断粘度は、図8中の実線で示すように、液面が平滑になる粘度と液垂れしない粘度との間に収まった状態を保ちつつ、さらに低下する。これによって、液体樹脂材料3はさらに流動性を示すようになり、コイル被膜剥離部122の隙間、段差及びエッジ部等への微細箇所への液体樹脂材料3の浸透性はさらに向上する。
なお、図8中の鎖線で示す低粘度材のように、液体樹脂材料がより低いせん断粘度を有する場合では、コイル被膜剥離部122の微細箇所への浸透性は良くなるが、液体樹脂材料にせん断速度が付与された際に、液体樹脂材料のせん断粘度が液垂れしない粘度を下回ってしまい、液垂れが発生し易くなる。
ステータ1の鉛直方向以外の方向への移動は、コイル被膜剥離部122の先端が液面3aに接する直前から、コイル被膜剥離部122が所定の浸漬深さに到達するまで継続して行う。コイル被膜剥離部122が所定の浸漬深さに到達して所定時間経過した後(本実施形態では5秒経過した後)、ステータ1を鉛直方向上方へ移動させる。
ステータ1を鉛直方向上方へ移動させる際は、ステータ1の移動速度を複数に変化させることが好ましい。詳しくは、図6に示すように、ステータ1を鉛直方向上方へ移動させる速度(グラフの傾き)は一定ではなく、2以上の移動速度を組み合わせる。本実施形態では、図6に示すように、ステータ1の鉛直方向上方への移動開始後、15秒でコイル被膜剥離部122の先端が液面3aから離脱するが、この15秒間に、異なる4つの移動速度を組み合わせている。4つの移動速度には、ステータ1の鉛直方向下方への移動速度よりも速い速度と遅い速度とを含む。これによって、ステータ1の鉛直方向上方への移動時に、液体樹脂材料3をコイル被膜剥離部122の隙間、段差及びエッジ部等の微細箇所への浸透性をさらに高めることができる。
但し、ステータ1の鉛直方向上方への移動速度は、コイル被膜剥離部122の先端が少なくとも液面3aから離脱する直前においては、ステータ1の鉛直方向下方への移動速度に対して遅くすることが好ましい。液体樹脂材料3がコイル被膜剥離部122の微細箇所に浸透した状態で、液体樹脂材料3に付与されるせん断速度が低下して液体樹脂材料3のせん断粘度が上昇するため、コイル被膜剥離部122の微細箇所まで浸透した均質な塗膜の形成促進に寄与することができる。しかも、液体樹脂材料3のせん断粘度が上昇することによって、コイル被膜剥離部122の先端が液面3aから完全に離れる際の液離れが良好になるとともに、液体樹脂材料3の液垂れもさらに抑制される。
図3に示すように、コイル被膜剥離部122の先端が液面3aから所定の距離(例えば、2mm~10mm)までステータ1を鉛直方向上方に移動させ、その位置で一時停止させる。これによって、コイル被膜剥離部122の浸漬は完全に解除され、コイル被膜剥離部122を含むその周辺の部位には、液体樹脂材料3からなる塗膜123が形成される。
その後、ステータ1を所定の高さまで鉛直方向上方にさらに移動させた後、図4に示すように、コイル被膜剥離部122が鉛直方向上方を向くようにステータ1を上下反転させ、その状態でステータ1を恒温槽4内に収容する。恒温槽4は、ステータ1を、コイル被膜剥離部122に付着した塗膜123の硬化温度(例えば180℃)まで昇温させる。これによって、ステータ1を所定時間(例えば1時間)加熱し、コイル被膜剥離部122に付着した塗膜123を加熱硬化させる(加熱硬化工程)。
加熱硬化工程において、ステータ1のコイル被膜剥離部122に付着した塗膜123には、せん断速度が付与されておらず、塗膜123は高いせん断粘度を示すため、恒温槽4に収容するためにステータ1を上下反転させても、液垂れは生じにくい。
この加熱硬化工程終了後、ステータ1は、恒温槽4から取り出されて自然冷却される。これによって、ステータ1のコイル12のコイル被膜剥離部122を含むその周辺の部位の表面には、図7に示すように、液体樹脂材料3からなる塗膜123が硬化した樹脂被膜124が形成される。樹脂被膜124は、コイル被膜剥離部122の隙間、段差及びエッジ部等の微細箇所まで浸透し、コイル被膜剥離部122を含むその周辺の部位の表面全体を被覆する。樹脂被膜124の一部は、コイル導体121に元々形成されている絶縁被膜121aの領域まで差し掛かっている。そのため、コイル12の絶縁性が保持される。
以上のとおり、本実施形態に係る回転電機用ステータの製造方法によれば、以下の効果を奏する。すなわち、回転電機用ステータ1のコイル被膜剥離部122に液体樹脂材料3によって樹脂被膜124を形成する回転電機用ステータ1の製造方法であって、回転電機用ステータ1のコイル被膜剥離部122を液体樹脂材料3に浸漬させる浸漬工程と、浸漬解除後に液体樹脂材料3を加熱硬化させて樹脂被膜124を形成する加熱硬化工程と、を備え、液体樹脂材料3は、チクソ性を有し、浸漬工程は、少なくともコイル被膜剥離部122を液体樹脂材料3へ浸漬させている間に、少なくとも一度、回転電機用ステータ1を鉛直方向以外の方向へ移動させる工程を含む。
これによれば、少なくともコイル被膜剥離部122を液体樹脂材料3へ浸漬させている間に、少なくとも一度、回転電機用ステータ1を鉛直方向以外の方向へ移動させることによって、チクソ性を有する液体樹脂材料3にせん断速度が与えられる。そのため、液体樹脂材料3のせん断粘度が低下し、コイル被膜剥離部の微細箇所への液体樹脂材料の浸透を促すことができる。浸漬を解除した状態では、液体樹脂材料3のせん断粘度が上昇することによって、コイル被膜剥離部122に適切な膜厚の塗膜123を形成することができるとともに、液垂れの発生も抑制される。液垂れを抑制するために浸漬工程において液体樹脂材料3を加熱する必要がないため、液体樹脂材料3を用いて、コイル被膜剥離部122の微細箇所まで良好な樹脂被膜124を形成できるとともに作業性も向上する。また、コイル被膜剥離部122を液体樹脂材料3に浸漬する際に、液体樹脂材料3を流動等させる必要がないため、塗装のための設備を小型化できる。加熱硬化工程は、粉体樹脂塗装と同様の装置を使用することができるため、粉体樹脂塗装の既設設備をそのまま利用することも可能である。
本実施形態において、浸漬工程において、回転電機用ステータ1の鉛直方向以外の方向への移動は、鉛直方向に沿う回転軸を中心とする回転移動である。
これによれば、回転電機用ステータ1を、鉛直方向に沿う回転軸を中心として回転移動させることによって、浸漬工程において、チクソ性を有する液体樹脂材料3のせん断粘度を低下させ、コイル被膜剥離部122の微細箇所への浸透を効果的に促し、コイル被膜剥離部122の微細箇所への浸透性をさらに高めることができる。
本実施形態において、浸漬工程において、コイル被膜剥離部122を液体樹脂材料3に浸漬している間に、回転電機用ステータ1の鉛直方向の移動速度を変化させる。
これによれば、鉛直方向の移動速度を変化させることによって、浸漬工程において、チクソ性を有する液体樹脂材料3のせん断粘度を低下させ、コイル被膜剥離部の微細箇所への浸透を効果的に促し、コイル被膜剥離部122の微細箇所への浸透性をさらに高めることができる。
本実施形態において、浸漬工程の前に、コイル被膜剥離部122を、常温よりも高い温度に予熱する予熱工程を有する。
これによれば、浸漬工程の前に、コイル被膜剥離部122を、常温よりも高い温度に予熱することによって、コイル被膜剥離部122を液体樹脂材料3に浸漬した際に、コイル被膜剥離部122の周囲の液体樹脂材料3のせん断粘度を低下させることができ、コイル被膜剥離部122の微細箇所への浸透をより効果的に促し、コイル被膜剥離部の微細箇所への浸透性をさらに高めることができる。
以上、本発明に係る回転電機用ステータの製造方法の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、回転電機用ステータの製造方法の細部の構成を適宜変更してもよい。
例えば、以上の実施形態では、浸漬工程において、ステータ1の鉛直方向以外の方向への移動(回転移動)を、コイル被膜剥離部122の先端が液面3aに接する直前に開始し、ステータ1の上方への移動を開始するまで継続させるようにしたが、これに限定されない。ステータ1の鉛直方向以外の方向への移動は、少なくともコイル被膜剥離部122が液体樹脂材料3中に浸漬されている間に、少なくとも一度実施されればよい。
また、以上の実施形態では、ステータ1を鉛直方向上方へ移動させる際に、ステータ1の移動速度を複数に変化させるようにしたが、ステータ1を鉛直方向下方へ移動させる際にもステータ1の移動速度を複数に変化させてもよい。ステータ1の移動速度を複数に変化させる工程は、ステータ1の鉛直方向上方への移動時及び鉛直方向下方への移動時のいずれか一方のみでもよい。
1 回転電機用ステータ
3 液体樹脂材料
122 コイル被膜剥離部
124 樹脂被膜


Claims (5)

  1. 回転電機用ステータのコイル被膜剥離部に液体樹脂材料によって樹脂被膜を形成する回転電機用ステータの製造方法であって、
    前記回転電機用ステータのコイル被膜剥離部を液体樹脂材料に浸漬させる浸漬工程と、
    浸漬解除後に前記液体樹脂材料を加熱硬化させて前記樹脂被膜を形成する加熱硬化工程と、を備え、
    前記液体樹脂材料は、液面が平滑になる粘度と前記コイル被膜剥離部の浸漬解除時に液垂れしない粘度との間に収まる粘度特性を有し、且つせん断速度が低い時あるいはせん断速度が付与されない静止時に対して、せん断速度が高くなるとせん断粘度が低下するチクソ性を有し、
    前記浸漬工程は、前記回転電機用ステータを加熱することなく、少なくとも前記コイル被膜剥離部を前記液体樹脂材料へ浸漬させている間に、少なくとも一度、前記回転電機用ステータを鉛直方向以外の方向へ移動させる工程を含む、回転電機用ステータの製造方法。
  2. 前記液体樹脂材料のせん断粘度は、23℃において、530Pa・s以下@0.01(1/s)、4Pa・s以上@10(1/s)、及び4Pa・s以下@1000(1/s)の条件を同時に満たす、請求項1に記載の回転電機用ステータの製造方法。
  3. 前記浸漬工程において、前記回転電機用ステータの鉛直方向以外の方向への移動は、前記鉛直方向に沿う回転軸を中心とする回転移動である、請求項1又は2に記載の回転電機用ステータの製造方法。
  4. 前記浸漬工程において、前記コイル被膜剥離部を前記液体樹脂材料に浸漬している間に、前記回転電機用ステータの鉛直方向の移動速度を変化させる、請求項1~3のいずれか1項に記載の回転電機用ステータの製造方法。
  5. 前記浸漬工程の前に、前記コイル被膜剥離部を、常温よりも高い温度に予熱する予熱工程を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の回転電機用ステータの製造方法。
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