JP7432794B1 - 灰押出装置 - Google Patents
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Abstract
Description
それにも関わらず、駆動室内の貯留水の水位がこのように大幅に低下した場合に、当該低下した水位に基づいて給水制御を実施すると、スクレーパが駆動室側へ引き込まれたときに当該水位は基準水位に向かって上昇するので、結局、水の供給過多となり、貯留水が排水管をオーバーフローして排水されることになる。当該排水された水は、プラント内部での排水処理により浄化された上、プラント外部へ排出される。
従って、供給過多な給水に関する費用や、当該供給過多により水量が多くなった排水を薬品等により浄化する排水処理に関する費用の観点で、費用対効果を高めるための改善の余地があった。
そこで、本発明は、灰押出装置における貯留水への給水を適切に制御し、給水および排水に関する費用対効果を高めることが可能な灰押出装置を提供することを目的とする。
そして、本発明の灰押出装置における前記制御装置は、前記所定時間停止動作の際、前記水位計から受信した前記水位に関する情報に基づき、前記水位が基準水位より低い場合に、前記水位が前記基準水位に達するまで前記電磁弁を開弁して前記供給管から水を供給する第一給水を実施し、前記押出動作または前記引込動作の際には前記第一給水を実施しない。
このように、貯留水の水位が安定した所定時間停止動作中にだけ第一給水を実施しうるので、灰押出装置における貯留水への給水は供給過多にならず適切に制御され、当該供給過多による灰押出装置から排水される水量の増加はないので、結果として給水及び排水に関する費用対効果を高めることができる。
実施形態はあくまでも例示に過ぎず、明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本発明に必須の構成を除き、実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択したり、種々変形したりして実施することができる。
灰押出装置1は、焼却灰を冷却する貯留水が基準水位(図1の破線)に貯留された冷却槽2と、冷却槽2内に配置されたスクレーパ4と、冷却槽2における駆動室2a内に配置された駆動装置5とを有する。冷却槽2には、焼却灰が導入される導入口6及び冷却された焼却灰を排出する排出口7が設けられる。駆動室2aは、冷却槽2において駆動装置5が配置された部分であり、導入口6に対し排出口7の逆側に位置している。
なお、当該貯留水および後述の供給管11における噴射に使用される液体は、主成分が水であればよく、水道水、工業用水、または再利用水(プラント内で使用されたのち処理された水)であってもよいし、塩酸等が混合されて中性化された混合水であってもよい。ここでは、以下、当該貯留水に使用されるこれらの液体を単に「水」として説明する。
いわゆる「水封」の構成とするために、壁面8の下端は、冷却槽2内の貯留水の基準水位よりも下方に位置する。基準水位とは、冷却槽2内の貯留水の水量が所定量となるような水位として予め設定された位置(水位の基準線)である。
スクレーパ4は、後述のアーム5bに接続されており、押出板4bの下端(すなわちスクレーパ4の先端4d)が冷却槽2の底板9の全幅に亘って接しながら底板9に沿って前進及び後進する。
ここでは、スクレーパ4の「前進」とは、スクレーパ4が焼却灰を排出口7側へ押し出す方向(図1の+X軸方向、前進方向Df)に動くことを意味する。また、スクレーパ4の「後進」とは、スクレーパ4が、「前進」の逆方向(図1の-X軸方向、後進方向Dr)に動くことを意味する。さらに、冷却槽2の底板9の「全幅」とは、冷却槽2の内部の幅方向(図1の紙面に直交する方向)の寸法を意味する。
なお、排出口7から排出された焼却灰は、コンベヤ等の搬送装置3により所定の貯留場へ搬送される。
すなわち、第一傾斜面9aは、前進方向Dfに向かうにしたがって漸次高くなるよう形成される。また、第二傾斜面9bは、後進方向Drに向かうにしたがって漸次高くなるよう形成される。
なお、冷却槽2では、導入口6の直下の底板部分(以下、「最下面9c」という)が最も低く、底板9は、下に凸の曲面状となっている。冷却槽2の断面形状は幅方向に一様であり、第一傾斜面9a、最下面9c及び第二傾斜面9bの各幅寸法(図1の紙面に直交する方向の寸法)は全て同一である。
供給管11は、図示しない水源、例えば貯水タンクなどに接続されるとともに、先端にノズル11aを備えており、冷却槽2に水を供給(給水)する。供給管11には、図示しない水源とノズル11aとの間に電磁弁15が設けられており、供給管11からの給水と給水停止とは電磁弁15の開閉で制御される。なお、供給管11のノズル11aから噴射される水の全部または少なくとも一部により水位計10を自動的に洗浄できるように、ノズル11aは、水位計10の近傍に配置されている。
当該計測データは、例えば、冷却槽2内に溜められた貯留水の実際の水位である実水位(水位X)を示す情報である。
また、制御装置14は、駆動装置5に動作制御信号を送信して駆動装置5を駆動し、電磁弁15に開閉制御信号を送信して電磁弁15を開弁または閉弁させる。
まず、スクレーパ4の動作制御について説明する。
スクレーパ4の動作制御は、スクレーパ4を、前進方向Df(図1の+X軸方向)または後進方向Dr(図1の-X軸方向)に沿って往復動作させることにより、冷却槽2内の焼却灰を排出口7へ向かって押し出す制御である。
制御装置14は、駆動装置5を制御して、スクレーパ4の「押出動作」と「引込動作」と「所定時間停止動作」との三動作を順次繰り返し実施する。押出動作とは、スクレーパ4に排出口7に向かって焼却灰を押し出させる動作である。引込動作とは、押し出したスクレーパ4を駆動室2aに向かって引き込む動作である。所定時間停止動作とは、引き込んだスクレーパ4を第一所定時間だけ駆動室2a内で停止する動作である。第一所定時間は、例えば3分間である。
スクレーパ4が往復動作を一回実施した後(一旦、押出動作が実施され、その直後に引込動作が実施された後)、制御装置14が駆動軸5aの回転を第一所定時間だけ停止して、スクレーパ4を駆動室2a内で一時停止する(所定時間停止動作)。
そして、所定時間停止動作の後、再び、スクレーパ4の押出動作が実施される。
第一所定時間t(0<t)は、制御装置14の備えるタイマー(第一タイマー)で、作業員が適宜に設定可能である。第一タイマーは、所定時間停止動作が完了し、押出動作に移行した際に、リセットされる。
供給管11の給水制御は、供給管11に設置された電磁弁15を開弁して冷却槽2へ水を供給し、または、電磁弁15を閉弁して当該水の供給を停止する制御である。
供給管11の給水制御には、冷却槽2内の貯留水の水量を基準水位に保つために実施する水位調節用の給水制御(第一給水)と、水位計10を洗浄するために実施する水位計洗浄用の給水制御(第二給水)とが含まれている。
なお、第一給水の際にも、水位計10は洗浄される。
一方、第二給水については、制御装置14は、スクレーパ4の動作状況や貯留水の水位に関わらず、定期的に実施する。
まず、第一給水を所定時間停止動作の際に実施する理由を説明する。
スクレーパ4はゆっくり動作するものの、これらの押出動作中または引込動作中、すなわちスクレーパ4が移動している最中は、冷却槽2内の貯留水の水位が変動しやすい。特に、焼却灰の量や性状によっては、スクレーパ4の移動によって冷却槽2内の貯留水の水位が大幅に変動することがある。これに対して、スクレーパ4を一時停止する所定時間停止動作の間は、冷却槽2内の貯留水の水位が変動せず安定する。従って、水位が安定する所定時間停止動作中であれば、冷却槽2内の貯留水の水位を正確に計測し得る。そこで、制御装置14は、水位が安定する所定時間停止動作中に、第一給水を実施する。
制御装置14は、所定時間停止動作中であり、且つ、水位計10から受信した計測データ(貯留水の水位Xに対応する計測データ)が基準水位Sよりも低い場合に、電磁弁15を開弁して供給管11のノズル11aから水を噴射させて冷却槽2の内部に注水する。制御装置14は、水位Xが基準水位Sに達するまで電磁弁15を開弁し、注水を続ける。
なお、単位時間当たりの注水量は、所定時間停止動作中に基準水位Sまで余裕をもって増水することができるよう、予め設定される。
そして、制御装置14は、当該計測データに基づいて、貯留水の水位Xが基準水位S以上である場合、電磁弁15を閉弁して冷却槽2への注水を停止する。なお、過剰な貯留水は自動的に越流して排水管13から排出される。すなわち、冷却槽2内の貯留水の水位Xは、「基準水位S」に保たれるよう、制御装置14と排水管13とによって調整される。
ステップS1において、制御装置14は、スクレーパ4の動作制御(現時点での作動状態)が所定時間停止動作中であるか否かを判断する。制御装置14は、自身で実施しているスクレーパ4の動作制御の状況(すなわち、駆動装置5へ送信する動作制御信号)から、スクレーパ4が所定時間停止動作中であるか否かを判断できる。
所定時間停止動作中である場合(ステップS1のYES)、ステップS2において、制御装置14は、水位計10を起動(電源ON)して水位計10から計測データを受信する。
計測データが示す貯留水の水位Xが基準水位S以上に高い場合(ステップS3のNO)、制御装置14は、この周期での処理を終了する(リターン)。
計測データが示す貯留水の水位Xが基準水位Sよりも低い場合(ステップS3のYES)、ステップS4において、制御装置14は、電磁弁15を開弁して、供給管11から注水を開始する。注水中、制御装置14は、水位計10から計測データを受信し(ステップS5)、計測データが示す貯留水の水位Xが基準水位S以上になるまで注水とステップS5の処理を続ける(ステップS6のNO)。
貯留水の水位Xが基準水位S以上の高さに達したら(ステップS6のYES)、制御装置14は、電磁弁15を閉弁して供給管11の注水を停止するとともに水位計10を停止(電源OFF)して(ステップS7)、この周期での処理を終了する(リターン)。
なお、図2における処理フローがリターンに到達した場合、制御装置14は、図2におけるスタートから再び処理フローを実行する。
そのため、スクレーパ4の往復動作に起因する水位変動による不必要な給水を防止することができる。よって、貯留水への給水を適切に制御して、灰押出装置1における、給水に関する費用対効果を高めることができる。
また、判断条件(2)を用いて、水位Xが基準水位Sよりも所定値T以上低い場合に第一給水を実施すると、第一給水の実施機会が抑制されやすくなるので、給水に関する費用対効果をより高めることができる。
さらに、第一給水において、ステップS4で供給管11から供給される水で、水位計10の洗浄が自動的になされる。図1の供給管11では先端にノズル11aが設けられているので、水位計10の洗浄がより効果的に実施できる。
そこで、制御装置14は、スクレーパ4の動作状況や貯留水の水位に関わらず、定期的に第二給水を実施してもよい。
第二給水では、制御装置14は、所定の短時間だけ電磁弁15を開弁して、供給管11から水を供給し、水位計10を洗浄する。そして、所定の短時間の経過後、直ちに電磁弁15を閉弁して、供給管11の注水を停止する。所定の短時間は、水位計10の定期的洗浄に必要な時間として予め設定された時間であり、例えば「10秒間」に設定される。この時間は、通常、第一給水に必要な時間よりも短い時間となる。
以下、第二給水の詳細を説明する。
スクレーパ4の往復動作回数は、押出動作と、引込動作と、所定時間停止動作との三動作を1サイクル行う回数である。例えば、当該所定回数を「10回」に設定することができる。第二所定時間は、水位計10に汚れが付着するなどして水洗浄が必要となる時間として適宜に設定された時間である。例えば、当該第二所定時間を「1時間」に設定することができる。
条件1における往復動作回数のカウンターによる計数や、条件2における第二所定時間の第二タイマーによる計時は、例えば、灰押出装置1の稼働開始とともにスタートし、第二給水が一回実施される毎にリセットされ、再スタートする。すなわち、灰押出装置1の稼働開始後一回目の第二給水は、灰押出装置1の稼働開始時点から、条件1または条件2が達成された際に実施される。
二回目以降の第二給水は、すでに実施された第二給水の直後から往復動作回数をカウンターで1から昇順に計数して当該往復動作回が所定回数となったとき、または、すでに実施された第二給水の直後から第二タイマーを0秒からスタートして第二所定時間を計時したときに実施される。
第二給水の開始条件として、条件1と条件2の何れを用いるかは、予め設定される。
2 冷却槽
2a 駆動室
3 搬送装置
4 スクレーパ
4a 上板
4b 押出板
4c 側板
4d 先端
5 駆動装置
5a 駆動軸
5b アーム
6 導入口
7 排出口
8 壁面
9 底板
9a 第一傾斜面
9b 第二傾斜面
9c 最下面
10 水位計
11 供給管(注水管)
11a ノズル
12 駆動室天井板
13 排水管
14 制御装置
15 電磁弁
Df 前進方向
Dr 後進方向
Claims (5)
- 焼却灰が導入される導入口及び貯留水で冷却された前記焼却灰を排出する排出口を備えた冷却槽と、
前記冷却槽において前記導入口に対し前記排出口と逆側に配置された駆動室内に設置され、前記焼却灰を前記排出口側へ押し出すスクレーパを前記排出口に向けて往復動作させる駆動装置と、
前記駆動室に設置され前記冷却槽に水を供給する供給管と、
前記供給管に設置された電磁弁と、
前記供給管の近傍に配置され前記貯留水の水位を計測する水位計と、
前記駆動装置を制御して、前記スクレーパに前記排出口に向かって前記焼却灰を押し出させる押出動作と、前記駆動室に向かって前記スクレーパを引き込む引込動作と、前記引き込んだ前記スクレーパを第一所定時間だけ停止する所定時間停止動作との三動作を順次繰り返して実施する制御装置とを有し、
前記制御装置は、
前記所定時間停止動作の際、前記水位計から受信した前記水位に関する情報に基づき、前記水位が基準水位より低い場合に、前記水位が前記基準水位に達するまで前記電磁弁を開弁して前記供給管から水を供給する第一給水を実施し、前記押出動作または前記引込動作の際には前記第一給水を実施しない灰押出装置。 - 前記制御装置は、前記三動作を順次繰り返して実施している間、前記水位計を洗浄するため、定期的に前記電磁弁を開弁して前記供給管から水を供給する第二給水を実施する請求項1に記載の灰押出装置。
- 前記制御装置は、前記往復動作の回数を計数し前記回数が所定回数となった場合、または、第二所定時間を計時した場合に、前記第二給水を実施する請求項2に記載の灰押出装置。
- 前記制御装置は、前記所定時間停止動作の際、前記水位計から受信した前記水位に関する前記情報に基づき、前記水位が前記基準水位よりも所定値以上低い場合にのみ、前記第一給水を実施する請求項3に記載の灰押出装置。
- 前記供給管は、その先端にノズルを備え、前記第一給水または第二給水の際に、前記ノズルから水を噴射して前記水位計を洗浄する請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の灰押出装置。
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