JP7432085B2 - 靴の中敷き - Google Patents

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Description

本発明は、靴の中敷きおよび靴下の底面に入れる中敷きに関するものである。
慣性の法則は、ある力が加えられるまでは、今静止している物体は静止を続け、今動いている物体は別の力が加わるまで今の運動を維持するという等速直線運動を続ける物理法則のことである。
人の身体も物体であり慣性の法則が働いている。
人が歩行するという作業は、足を上げて踵から着地し、身体全体が進行方向に移動していくことである。身体全体が進行方向へ移動していくと慣性の法則が働き、別方向への力が加えられない限りは、進行方向に移動する。
さらに、足の基節骨と中足骨で構成する中足趾節関節と、踵骨をつないでいる足裏腱膜の働きの中に、ウィンドラス機構と呼ばれる仕組みが存在する。
ウィンドラス機構とは、末節骨、中節骨、基節骨で構成する足趾(足指)が、背屈する(指が上がる)と、足底筋膜が引っ張られ、足のアーチが持ち上がる仕組みのことである。
歩行において、踵から着地した足を身体の中心軸が追い越して進行方向に進んでいくが、最終的にはこの足は地面から離れなければならない。この最終局面において足裏は、足趾以外の部分は地面から離れている。この時の、足趾とそれ以外の部位が作る形は、ウィンドラス機構が発動する形であり、自動的にウィンドラス機構が働く。
人間の足は疲労によって、歩行や走行の動作をする際に本来の快適さを得られていない。
日常生活とは、立ったり座ったり、眠ったり、歩いたり、走ったりといった動作が繰り返されることである。疲労に基づく動作の制約を受けながらの生活は、日々さらなる疲労が積み重なって行くことでもある。それは、生活の質の低下と連動する。疲労は、筋肉においては、その筋肉が縮まっていることを示す。力が入ったまま抜けなくなった状態であり、本来の柔軟な動きを失っていることを示している。
進行方向に進むことを維持させようと働く慣性に対して、筋肉の疲労が身体を引き戻す作用を果たしている。疲労により筋肉が伸びないからである。
この疲労に基づいた筋肉の作用は、身体全体の進行方向への移動に対してその運動を奪うことになっている。
ウィンドラス機構は立位時においては安定を強める機能として考えられるが、そもそも人間は樹木のように立位で静止して生きる生物ではない。常に身体を動かし、揺らし、移動し続ける生物である。
ウィンドラス機構も、身体が動くことにおいて真価を発揮するようになっている。常に身体を動かし、揺らし、移動し続ける生物のために用意された機能だからである。
それはすなわち、歩行、走行においてウィンドラス機構が働くと、アーチが持ち上がる時に持ち上がった分だけ身体を進行方向へ押し出す力が働き、歩行そのものを慣性によって補助することになるのである。
しかし現実において人間が歩行する時、疲労によって進行方向とは反対方向へ引き戻す力が働くため、慣性を有効利用できず、ウィンドラス機構が不完全になっている。本来の歩行、走行の能力を発揮できないことが人間の身体を不自由にしている。
これが、本発明が解決しようとする課題である。
複数枚の異なる板状材を連結し、各々の板状材が独自に可動する機能を特徴とした本発明の中敷きを靴の中敷きとして、あるいは靴下の底面に入れて使用する。
本発明を使用すると、未使用時に比べてウィンドラス機構が力強く発揮される。
身体が移動しているという事実の中に含まれる慣性を有効利用しているからである。
身体に対する慣性の影響は、静止状態から歩行や走行を始める時においてのみ働くのではなく、歩行中や走行中に作用している。
本発明は、この慣性が働くタイミングに関して、既に動いている状態の時に影響している慣性を特に有効に活用するのである。人間が常に動き続けることを基本とする生物だからこそ、既に今動いているという状態の中に含まれる慣性こそを活用するのである。
本発明により慣性による影響を未使用時よりも多く受け取ることができるので、ウィンドラス機構の本来の働きを実現することができる。
そのことによって同一方向への移動の場合、歩行距離が延びたり、歩行や走行の速度が向上する。
運動、競技などで瞬時に様々な方向への移動が求められる場合にも俊敏な動作が可能になる。
本発明の一実施の形態の平面図である。 同実施の形態の底面図である。 参考図である。同実施の形態の、第1趾側からの側面図である。 参考図である。同実施の形態の、第5趾側からの側面図である。
図1と図2をもとに説明する。
本発明を実施するための本体を構成する板状材は、3枚から10枚で構成する。3枚、4枚、5枚、6枚、7枚、8枚、9枚、10枚で構成する本発明に基づく試作品で評価を行ったところ、4枚で構成することが最も効果的にウィンドラス機構を補助することが分かった。
そのため、本発明の板状材は、図1で示したA、B、C、Dの4枚で構成することを基本とする。本発明の知見では、本体を板状材1枚もしくは2枚で構成すると、目的とする効果は得られない。本体を5枚以上の板状材で構成すると、効果はあるが、4枚で構成した時よりも効果は弱くなる。
板状材A、B、C、Dは、それぞれが独立した材である。連結することで別々に可動する機能を有したままで、全体としては1枚の中敷きとして扱うことができる。
4枚の板状材がそれぞれが独立性を保つのは、独立していることによって得られる可動性が、ウィンドラス機構を適切に動作させるためである。
本体を構成する板状材を4枚とした時に、中央に位置する部位には図1のように空洞Eを設ける必要がある。これは板状材A、B、C、Dの効果的な可動に関わるからである。
この空洞Eに関して次の設定を設ける。
基本的な設計としてA、B、C、Dの厚みは1ミリ以上とする。そして、A、B、C、Dの厚みが1ミリから2ミリであり、図2で示した板状材A、B、C、Dに固定するL字型の補助材F、三角形の補助材G、J字型の補助材Hの厚みが1ミリ以下であれば、本体と空洞Eの段差は、足裏の感触として違和感を感じることが少ないため、空洞Eは空洞のままで本発明を実施してよい。
A、B、C、Dの厚みが2ミリを超え、L字型の補助材F、三角形の補助材G、J字型の補助材Hの厚みが1ミリを超える場合、空洞Eは、柔らかいフェルト、布、綿で埋める。その場合、曲げたり丸めたりする時には空洞Eを埋めた部材それ自体の硬さを感じないくらいに柔らかいことが必要条件となる。A、B、C、Dの可動に影響を与えないことが必要だからである。
E’を設ける場合はB、Cに対して糸あるいは皮革でつなげる。Aに対しては接続しない。
A、B、C、Dは素材にプラスチック、高密度フェルト、布、スポンジ、皮革、合成皮革、ゴム、竹皮、稲わら、イグサ、木を使用できる。
A、B、C、Dを連結させるリボンと糸、もしくはテープと糸は素材に、綿、プラスチック、皮革、合成皮革を使用できる。
L字型の補助材F、三角形の補助材G、J字型の補助材Hは素材に、硬質プラスチック、金属、木を使用できる。
L字型の補助材F、三角形の補助材G、J字型の補助材Hの厚みはそれぞれ0.5ミリから1ミリの中で収まることを基本とする。
ウィンドラス機構は足裏全体を俯瞰した運動であり、この運動をさらに細分化し、この3枚の補助材を組み合わせることで、ウィンドラス機構全体をさらに適切に補助する。
体重移動時には踵から着地し、足裏全体が地面に着き、そして身体の中心軸が足を越えて進行方向に進んだ結果、足は後ろ足となり、その足趾で地面を蹴る動作が起こる。この一連の動作の中で、かかとで着地した時から足裏全体が地面に接していく時間は、踵骨、距骨、脛骨、腓骨の、足首から上の骨で構成する部位が第5趾方向に向かって傾く。この動作を補助するのがJ字型の補助材Hである。
足裏全体が地面に接した状態から、身体の中心軸が足を越えて進行方向に進んだ状態においては、第5趾の中足骨と、それに繋がる立方骨が前上方向に持ち上がる。この動作を補助するのが三角形の補助材Gである。
身体の中心軸が足を越えて後ろ足になった状態から、足趾で地面を蹴る動作が起こる時には、第1趾の基節骨の第2趾側、第2趾の基節骨の第1趾側に力が集約する。この動作を補助するのがL字型の補助材Fである。
このように、ウィンドラス機構は細分化すると、その運動の中で、必要とされる動作が変わって行く。このように動作の違いがあるので、本体を構成する板状材と、L字型、三角形、J字型の補助材を適切に配置することによってさらなる慣性の有効利用が可能になる。
本発明は、簡単な構成で人体の不健康な状態を改善できる。歩行においてウィンドラス機構の作用を十分に得られていないのは万人共通なので、本発明の対象者は自立歩行をする人全員である。
健常者と評される人でも慢性疲労に困っている人にとっては、快適な暮らしを取り戻す一助となる。
交通事故に遭うなどして加療、リハビリテーションを必要とする人や、病気などで筋肉、神経の緊張度が強い人にとっては、身体動作時の困難が軽減される。その恩恵は本人だけが得るのではない。本人の身体が自由度を高めたことで、家族など看護、介護を行う介護者の労を減らす。介護など室内での有効性も高いため、本発明は靴の中敷きはもちろんのこと、靴下の中に入れても使う。
さらに、介護者が本発明を使用することで介護者自身の身体操作が楽になるため、日々の介護の作業における身体の負担を減らすことができる。
運動時に使えば身体操作が容易になりパフォーマンスが向上し、走行のタイムが短縮されるなどアスリートにとっても重要なアイテムになる。
本発明を用いて身体操作の向上に関するモニター調査をしているが、マラソンを走る選手は、タイムが縮まっている。
高齢で足腰が弱く、歩く時には歩行器が必要なモニターの場合は、本発明を使用することで歩行がスムーズになっている。
A 本発明を構成する4枚の板状材のひとつである。第1趾(拇趾)の末節骨から中足骨までを主として支える領域とした1枚の板状材。
B 本発明を構成する4枚の板状材のひとつである。第2趾、第3趾、第4趾、第5趾の末節骨から基節骨までを主として支える領域とした1枚の板状材。
C 本発明を構成する4枚の板状材のひとつである。第5趾の中足骨と立方骨を主として支える領域とした1枚の板状材。
D 本発明を構成する4枚の板状材のひとつである。第1趾の中足骨から内側楔状骨、舟状骨、踵骨、および中間楔状骨を主として支える領域とした1枚の板状材。
E 空洞。
E’ A、B、C、Dの厚みが2ミリを超え、L字型、三角形、J字型の補助材の厚みが1ミリを超える場合、柔らかいフェルト、布、綿でE’を作り、空洞Eを埋める段差解消材。
F Aの底面に設置するL字型の補助材。
G Cの底面に設置する三角形の補助材。
H Dの底面に設置するJ字型の補助材。
ABR AとBをつなぐリボンもしくはテープ。
ABRS ABRをA、Bと留めるための糸。
ADR AとDをつなぐリボンもしくはテープ。
ADRS ADRをA、Dと留めるための糸。
BCR BとCをつなぐリボンもしくはテープ。
BCRS BCRをB、Cと留めるための糸。
CDR CとDをつなぐリボンもしくはテープ。
CDRS CDRをC、Dと留めるための糸。
1 第1趾の末節骨。
2 第1趾の基節骨。
3 第1趾の中足骨。
4 内側楔状骨。
5 舟状骨。
6 踵骨。
7 距骨。
8 脛骨。
9 第5趾の末節骨。
10 第5趾の中節骨。
11 第5趾の基節骨。
12 第5趾の中足骨。
13 立方骨。
14 腓骨。
15 足の全体像。
16 第1趾の爪。
17 第4趾の爪。
18 第5趾の爪。


Claims (3)

  1. 複数枚の異なる板状材を連結し、各々の板状材が独自に可動する機能を特徴とした屋内外で使う履物の中敷きであって、第1趾(拇趾)の末節骨から中足骨までを主として支える領域とした1枚の板状材と、第2趾、第3趾、第4趾、第5趾の末節骨から基節骨までを主として支える領域とした1枚の板状材と、第5趾の中足骨および立方骨を主として支える領域とした1枚の板状材と、第1趾の中足骨から内側楔状骨、舟状骨、踵骨および中間楔状骨を主として支える領域とした1枚の板状材によって構成する中敷き。
  2. 前記4枚の板状材の厚さによって、履いた時に空洞部分の段差を感じさせないための段差解消材を設けた請求項1に記載の中敷き。
  3. 前記段差解消材は、フェルト、布、スポンジ、綿を材料とする請求項2に記載の中敷き。
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