本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る加工装置を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る加工装置の構成例の一部を断面で示す側面図である。図2は、図1に示された加工装置のアンプユニットの要部の構成を示す斜視図である。図3は、実施形態1に係る加工装置の加工動作の一部のシーケンス図である。
図1に示す実施形態1に係る加工装置1は、図1に示す被加工物200を研削(加工に相当)する研削装置である。実施形態1において、被加工物200は、図1に示すように、シリコン、サファイア、又はガリウムヒ素などを基板201とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハである。被加工物200は、基板201の表面202に格子状に形成される複数の分割予定ラインによって区画された領域にそれぞれデバイスが形成されている。デバイスは、例えば、IC(Integrated Circuit)、あるいやLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、またはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等である。
被加工物200は、基板201の裏面203側が研削されて、所定の仕上げ厚さまで薄化された後等に、分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割される。
加工装置1は、被加工物200の基板201の裏面203側を研削し、被加工物200を所定の仕上げ厚さまで薄化する研削装置である。加工装置1は、図1に示すように、装置基台2と、保持テーブル10と、加工ユニットである研削ユニット20と、加工送りユニット30と、荷重センサ40と、アンプユニット50と、制御ユニット100とを備える。
保持テーブル10は、被加工物200の表面202側を保持面11で保持するものである。実施形態1において、保持テーブル10は、保持面11が水平方向に沿って平坦なポーラス形状であり、保持面11の下に形成された真空吸引経路(不図示)を介して真空吸引源(不図示)と接続されている。保持テーブル10は、保持面11に被加工物200の表面202側が載置され、保持面11が真空吸引源により吸引されることで、保持面11に載置された被加工物200を吸引、保持する。
また、実施形態1において、保持テーブル10は、鉛直方向と平行な軸心回りに回転される円盤状のターンテーブル3上に複数設けられている。複数の保持テーブル10は、ターンテーブル3上に周方向に等間隔に配置されている。また、保持テーブル10は、回転駆動源12により鉛直方向と平行でかつ中心を通る軸心回りに回転可能に設けられている。ターンテーブル3は、保持テーブル10が研削ユニット20により研削される加工領域4と、保持テーブル10に被加工物200が搬入又は保持テーブル10から搬出される搬入出領域とに位置するように、中心を通る軸心回りに間欠的に回転される。
研削ユニット20は、軸心回りに回転可能なスピンドル23の下端に装着された研削砥石21を含む研削ホイール22で保持テーブル10に保持された被加工物200の基板201の裏面203側を研削するものである。研削ユニット20は、加工送りユニット30を介して装置基台2から立設するコラム5に支持されている。研削ユニット20は、研削ホイール22と、スピンドル23と、スピンドルモータ24とを備える。
研削ホイール22は、保持テーブル10に保持された被加工物200を研削するものである。研削ホイール22は、円盤状のホイール基台25と、ホイール基台25の下面の外縁部に等間隔に複数設けられた研削砥石21とを備える。研削ホイール22は、スピンドルモータ24によりスピンドル23が軸心回りに回転されることで、研削砥石21が保持テーブル10に保持された被加工物200の裏面203側を研削する。
スピンドル23は、研削ホイール22を先端である下端に固定して支持する。スピンドル23は、加工送りユニット30により鉛直方向に移動自在に支持されたスピンドルハウジング26内に回転自在に収容されている。研削ユニット20のスピンドル23の軸心は、鉛直方向と平行なZ軸方向に沿って配置されている。スピンドルモータ24は、スピンドル23を軸心回りに回転させるものである。
加工送りユニット30は、装置基台2に立設するコラム5に設置され、研削ユニット20のスピンドル23を保持面11と直交する加工送り方向であるZ軸方向に移動させるものである。加工送りユニット30は、研削ユニット20のスピンドル23を下降させて研削砥石21を加工領域4の保持テーブル10に保持された被加工物200に近付け、研削ユニット20を上昇させて研削砥石21を加工領域4の保持テーブル10に保持された被加工物200から遠ざける。
加工送りユニット30は、Z軸方向と平行に配置されかつ軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ31とボールねじ31を軸心回りに回転させてスピンドルハウジング26を介してスピンドル23をZ軸方向に移動させるモーター32と研削ユニット20をZ軸方向に移動自在に支持する周知の図示しないガイドレールとを備える。
また、加工装置1は、研削前後の被加工物200を収容する図示しないカセットと、研削後の被加工物を洗浄する図示しない洗浄ユニットと、被加工物200をカセットと搬入出領域の保持テーブル10と洗浄ユニットとの間で搬送する図示しない搬送ユニットと、研削ユニット20のZ軸方向の位置を測定する図示しない位置測定ユニットとを備える。
荷重センサ40は、保持テーブル10の下方に設置され、研削時に加工送りされる研削ユニット20により保持テーブル10上の被加工物200が押圧されることにより生じるZ軸方向に沿った荷重を測定するものである。実施形態1では、荷重センサ40は、圧電素子を有する押圧センサにより構成され、ターンテーブル3と保持テーブル10との間に設置されている。実施形態1では、荷重センサ40は、荷重の大きさにより変化する電荷をアンプユニット50に出力する。
アンプユニット50は、荷重センサ40が出力した荷重に大きさに応じた電荷を電圧に変換し、変換した電圧を増幅するものである。アンプユニット50は、図2に示すように、箱状の筐体51と、筐体51内に収容されたチャージアンプ52と、AD変換部53と、サブ制御ユニット54と、複数の入出力ユニット55,56とを備える。
チャージアンプ52は、入出力ユニット55を介して、荷重センサ40と電気的に接続し、荷重センサ40からの電荷が入力する。チャージアンプ52は、荷重センサ40から入力した電荷を電圧に変換するとともに、変換された電圧を増幅して、AD変換部53に出力する。AD変換部53は、チャージアンプ52が変換、増幅した電圧をデジタル信号に変換して、サブ制御ユニット54に出力する。実施形態1では、AD変換部53は、単一の回路部品又は複数の回路部品により構成される。
なお、AD変換部53によりデジタル信号に変換された電圧300は、研削中に研削ユニット20から被加工物200に作用する荷重と対応している。実施形態1では、増幅された電圧300は、荷重が大きくなるにしたがって大きくなり、荷重と比例する。
サブ制御ユニット54は、制御ユニット100のメイン制御ユニット101とは別途設けられスピンドル23の加工送りであるZ軸方向の移動を専門に制御するものである。サブ制御ユニット54は、メイン制御ユニット101とは別体であり、入出力ユニット56を介してモーター32と電気的に接続している。サブ制御ユニット54は、チャージアンプ52から出力されかつAD変換部53によりデジタル信号に変換された電圧300を監視し、デジタル信号に変換された電圧300が、適切な値であり事前に設定した値でもあるしきい値301を超えた場合にスピンドル23の加工送り方向への移動であるZ軸方向に沿って保持テーブル10に近付く移動を停止する信号をモーター32に発信する。なお、しきい値301は、研削時に被加工物200に加工不良が生じる荷重の値であって、しきい値301を超えると被加工物200に加工不良が生じ、しきい値301以下であると被加工物200の加工不良を抑制できる値である。
なお、サブ制御ユニット54は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサー、又は並列プログラム化したプロセッサー等の専用の処理回路(ハードウェア)で構成される。また、本発明では、サブ制御ユニット54は、コンピュータプログラムを記憶したメモリなどの記憶装置と、記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置とにより構成され、演算処理装置が記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムを実行することで、機能が実現されても良い。
また、実施形態1では、アンプユニット50は、筐体51内に収容され、チャージアンプ52、AD変換部53、サブ制御ユニット54及び入出力ユニット55,56を実装してこれらを互いに接続した基板58を備えている。このために、実施形態1では、サブ制御ユニット54は、チャージアンプ52を備えるアンプユニット50の筐体51内に配置されている。実施形態1では、アンプユニット50の入出力ユニット55,56は、互いに別体である。
制御ユニット100は、図1に示すように、サブ制御ユニット54と、メイン制御ユニット101とを備える。メイン制御ユニット101は、サブ制御ユニット54とは別体のコンピュータであり、加工装置1を構成する上述した各機構からの複数種類の信号を処理して、各機構をそれぞれ制御するものである。即ち、メイン制御ユニット101は、被加工物200に対する加工動作を加工装置1に実行させるものである。メイン制御ユニット101は、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インタフェース装置とを有し、コンピュータプログラムを実行可能なコンピュータである。
メイン制御ユニット101の演算処理装置は、ROMに記憶されているコンピュータプログラムをRAM上で実行して、加工装置1を制御するための制御信号を生成する。メイン制御ユニット101の演算処理装置は、生成した制御信号を入出力インタフェース装置を介して加工装置1の各構成要素に出力する。なお、図1は、メイン制御ユニット101がモーター32とAD変換部53と接続していることを示し、他の機構と接続していることを省略している。
また、メイン制御ユニット101は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される図示しない表示手段や、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力手段と接続されている。入力手段は、表示手段に設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。
また、メイン制御ユニット101は、AD変換部53からデジタル信号に変換された電圧300が入力される。メイン制御ユニット101は、研削中、AD変換部53から入力した電圧300に基づいて、被加工物200に作用する荷重が適正な値になるように、スピンドル23のZ軸方向の移動を制御する。メイン制御ユニット101は、被加工物200の研削中にチャージアンプ52から出力されAD変換部53から入力した電圧300を監視し、電圧300が適切な値であるしきい値301になるようにモーター32を駆動させ、モーター32がスピンドル23のX軸方向の位置を上下動させて調整しながら所定の荷重を維持した状態で被加工物200を研削する。
具体的には、例えば、メイン制御ユニット101は、研削中、AD変換部53から入力した電圧300が事前に設定した値であるしきい値301よりも低い下限電圧303以下になると、スピンドル23のZ軸方向へ下降させ、AD変換部53から入力した電圧300が事前に設定した値であるしきい値301を超えると、スピンドル23のZ軸方向の移動速度が減速するまたは停止させる信号をモーター32に発信して、モーター32を制御する。こうして、メイン制御ユニット101は、AD変換部53から入力した電圧300が事前に設定した値であるしきい値301になるための信号をモーター32に発信して、電圧300が事前に設定した値であるしきい値301になるようにモーター32を駆動させ、モーター32がスピンドル123のZ軸方向の位置を上下導させて調整しながら所定の荷重を維持した状態で被加工物200を研削する。
また、メイン制御ユニット101は、研削中、位置測定ユニットの測定結果に基づいて、被加工物200が所定の仕上げ厚さまで薄化された否かを判定し、被加工物200が所定の厚みまで薄化さされると被加工物200に対する研削を終了する。
また、実施形態1に係る加工装置1は、モーター32にメイン制御ユニット101と電気的に接続した入出力ユニット321と、この入出力ユニット321と別体でかつサブ制御ユニット54と電気的に接続した入出力ユニット322とを設けている。
次に、実施形態1に係る加工装置1の加工動作を説明する。加工動作では、まず、オペレータが加工内容情報をメイン制御ユニット101に登録し、オペレータが研削前の被加工物200を収容したカセットを装置基台2に設置する。加工動作は、オペレータから加工動作の開始指示があった場合に開始される。なお、加工内容情報は、しきい値301、仕上げ厚さ、研削時の研削ユニットの加工送り速度、スピンドルの回転数等が含まれる。
加工動作を開始すると、図3に示すように、荷重センサ40が測定結果である電荷をチャージアンプ52に出力し、チャージアンプ52が電荷を電圧に変換、増幅し、AD変換部53がデジタル信号に変換してサブ制御ユニット54及びメイン制御ユニット101に出力する(ステップST1)。なお、実施形態1では、加工動作が終了するまで、所定の周波数で繰り返して、荷重センサ40が測定結果である電荷をチャージアンプ52に出力し、チャージアンプ52が電荷を電圧に変換、増幅し、AD変換部53がデジタル信号に変換してサブ制御ユニット54及びメイン制御ユニット101に出力する。
メイン制御ユニット101は、しきい値301をサブ制御ユニット54に出力し、サブ制御ユニット54のしきい値301が設定される(ステップST2)とともに、加工開始を示す信号をサブ制御ユニット54に出力する(ステップST3)。加工動作では、メイン制御ユニット101は、スピンドルモータ24でスピンドル23を軸心回りに回転し、搬送ユニットにカセットから被加工物200を取り出させ、搬入出領域に位置する保持テーブル10上に搬入し、被加工物200の表面202側を保持テーブル10に吸引保持し、ターンテーブル6を回転して被加工物200を加工領域4に搬送する。
メイン制御ユニット101は、加工開始を示す信号をサブ制御ユニット54に出力した(ステップST3)後、被加工物200を加工領域4に位置させ、モーター32を加工内容情報に基づいて制御して、研削ユニット20を加工内容情報の加工送り速度で加工させて、被加工物200の研削を開始し、モーター32に被加工物200に作用する荷重が適正な値になるための信号を発信して、スピンドル23のZ軸方向の移動速度を制御する(ステップST4)。また、サブ制御ユニット54は、メイン制御ユニット101から加工開始を示す信号を受信すると、デジタル変換された電圧300を監視し、デジタル変換された電圧300がしきい値301を超えた否かの判定を開始する(ステップST5)。なお、実施形態1では、サブ制御ユニット54は、メイン制御ユニット101からの加工終了を示す信号を受信するまで、所定の周波数で繰り返し判定する。
サブ制御ユニット54は、被加工物200の研削中に、デジタル変換された電圧300がしきい値301を超えたと判定すると、メイン制御ユニット101及びモーター32にモーター32を停止するための停止信号を出力する(ステップST6)。モーター32は、停止信号を受信すると、停止する(ステップST7)。メイン制御ユニット101は、停止信号を受信すると、位置測定センサの測定結果に基づいて、被加工物200の研削が終了した否かの判定を実施する(ステップST8)。実施形態1では、ステップST8では、メイン制御ユニット101は、被加工物200が仕上げ厚さまで薄化されていると判定すると、被加工物200の研削が終了したと判定し、被加工物200が仕上げ厚さまで薄化されていないと判定すると、被加工物200の研削が終了していないと判定する。
メイン制御ユニット101は、被加工物200の研削が終了していないと判定すると、加工を再開する信号をサブ制御ユニット54に出力する(ステップST9)。メイン制御ユニット101は、加工を再開する信号をモーター32に出力するとともに、モーター32を加工内容情報に基づいて制御して、被加工物200の研削を再開して、モーター32に被加工物200に作用する荷重が適正な値になるための信号を発信して、スピンドル23のZ軸方向の移動速度を制御する(ステップST10)。
また、サブ制御ユニット54は、メイン制御ユニット101から加工を再開する信号を受信すると、デジタル変換された電圧300を監視し、デジタル変換された電圧300がしきい値301を超えた否かの判定を再開する(ステップST11)。なお、実施形態1では、サブ制御ユニット54は、メイン制御ユニット101からの加工終了を示す信号を受信するまで、所定の周波数で繰り返し判定する。
メイン制御ユニット101は、被加工物200の研削が終了したと判定すると、加工終了を示す信号をサブ制御ユニット54に出力する(ステップST12)とともに、モーター32を制御して研削ユニット20を上昇させて、被加工物200の研削を終了する。サブ制御ユニット54は、メイン制御ユニット101から加工終了を示す信号を受信すると、デジタル変換された電圧300がしきい値301を超えた否かの判定を終了する(ステップST13)。
メイン制御ユニット101は、ターンテーブル3を回転して研削後の被加工物200を搬入出領域に搬送し、搬送ユニットにより洗浄ユニットに搬入し、洗浄ユニットで洗浄し、洗浄後の被加工物200を搬送ユニットによりカセット内に搬入する。メイン制御ユニット101は、ステップST3からステップST13を繰り返して、カセット内の被加工物200を順に研削し、カセット内の全ての被加工物200を研削すると、加工動作を終了する。
以上説明した実施形態1に係る加工装置1は、各機構の制御を行うメイン制御ユニット101と、研削中にチャージアンプ52が出力しAD変換された電圧を監視し、電圧がしきい値301を超えた場合に停止する信号のみをモーター32に発信するサブ制御ユニット54とを別途設けている。このために、加工装置1は、サブ制御ユニット54の処理内容を限定することができるので、研削中にチャージアンプ52が出力しAD変換された電圧がしきい値301を超えた場合にモーター32の停止までにかかる所要時間を抑制することができる。その結果、加工装置1は、信号遅延による過剰な研削等に起因する加工品質の低下を抑制することができるという効果を奏する。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る加工装置を図面に基づいて説明する。図4は、実施形態2に係る加工装置の構成例の一部を断面で示す側面図である。図5は、図4に示された加工装置のアンプユニットの要部の構成を示す斜視図である。図6は、実施形態2に係る加工装置の加工動作の一部のシーケンス図である。なお、図4、図5及び図6は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態2に係る加工装置1は、サブ制御ユニット54が、研削中、AD変換部53から入力した電圧300に基づいて、被加工物200に作用する荷重が適正な値になるように、スピンドル23のZ軸方向の移動速度を制御すること以外、実施形態1と同じである。サブ制御ユニット54は、被加工物200の研削中にチャージアンプ52から出力されAD変換部53から入力した電圧300を監視し、電圧300が事前に設定した値であるしきい値301になるための信号をモーター32に発信して、電圧300が事前に設定した値であるしきい値301になるようにモーター32を駆動させ、モーター32がスピンドル23のZ軸方向の位置を上下動させて調整しながら所定の荷重を維持した状態で被加工物200を研削する。
具体的には、例えば、サブ制御ユニット54は、研削中、AD変換部53から入力した電圧300が事前に設定した値であるしきい値301よりも低い下限電圧303以下になると、スピンドル23のZ軸方向の移動速度が増速し、AD変換部53から入力した電圧300が事前に設定した値であるしきい値301を超えると、スピンドル23のZ軸方向の移動速度が減速する信号をモーター32に発信して、モーター32を制御する。
実施形態2では、サブ制御ユニット54は、図4及び図5に示すように、入出力ユニット56を介してモーター32と電気的に接続して実施形態1と同様に停止する信号をモーター32に発信するとともに、入出力ユニット55,56と別体の入出力ユニット57を介してモーター32に電気的に接続して被加工物200に作用する荷重が適正な値になるための信号をモーター32に出力する。
また、実施形態2に係る加工装置1は、モーター32に入出力ユニット321,322と別体でかつサブ制御ユニット54と電気的に接続した入出力ユニット323を設けている。
実施形態2に係る加工装置1は、加工動作では、まず、オペレータが加工内容情報をメイン制御ユニット101に登録し、オペレータが研削前の被加工物200を収容したカセットを装置基台2に設置する。加工動作は、オペレータから加工動作の開始指示があった場合に開始される。なお、加工内容情報は、しきい値301、仕上げ厚さ、研削時の研削ユニットの加工送り速度、スピンドルの回転数等が含まれる。
加工動作を開始すると、図6に示すように、荷重センサ40が測定結果である電荷をチャージアンプ52に出力し、チャージアンプ52が電荷を電圧に変換、増幅し、AD変換部53がデジタル信号に変換してサブ制御ユニット54及びメイン制御ユニット101に出力する(ステップST1)。なお、実施形態2では、加工動作が終了するまで、所定の周波数で繰り返して、荷重センサ40が測定結果である電荷をチャージアンプ52に出力し、チャージアンプ52が電荷を電圧に変換、増幅し、AD変換部53がデジタル信号に変換してサブ制御ユニット54及びメイン制御ユニット101に出力する。
メイン制御ユニット101は、しきい値301をサブ制御ユニット54に出力し、サブ制御ユニット54のしきい値301が設定される(ステップST2)とともに、加工開始を示す信号をサブ制御ユニット54に出力する(ステップST3)。加工動作では、メイン制御ユニット101は、スピンドルモータ24でスピンドル23を軸心回りに回転し、搬送ユニットにカセットから被加工物200を取り出させ、搬入出領域に位置する保持テーブル10上に搬入し、被加工物200の表面202側を保持テーブル10に吸引保持し、ターンテーブル6を回転して被加工物200を加工領域4に搬送する。
メイン制御ユニット101は、加工開始を示す信号をサブ制御ユニット54に出力した(ステップST3)後、被加工物200を加工領域4に位置させ、モーター32を加工内容情報に基づいて制御して、研削ユニット20を加工内容情報の加工送り速度で加工させて、被加工物200の研削を開始する(ステップST4-2)。また、サブ制御ユニット54は、メイン制御ユニット101から加工開始を示す信号を受信すると、モーター32に被加工物200に作用する荷重が適正な値になるための信号を発信して、スピンドル23のZ軸方向の移動速度を制御する(ステップST20)。また、サブ制御ユニット54は、メイン制御ユニット101から加工開始を示す信号を受信すると、デジタル変換された電圧300を監視し、デジタル変換された電圧300がしきい値301を超えた否かの判定を開始する(ステップST5)。なお、実施形態1では、サブ制御ユニット54は、メイン制御ユニット101からの加工終了を示す信号を受信するまで、所定の周波数で繰り返し判定する。
サブ制御ユニット54は、被加工物200の研削中に、デジタル変換された電圧300がしきい値301を超えたと判定すると、メイン制御ユニット101及びモーター32にモーター32を停止するための停止信号を出力する(ステップST6)。モーター32は、停止信号を受信すると、停止する(ステップST7)。メイン制御ユニット101は、停止信号を受信すると、位置測定センサの測定結果に基づいて、被加工物200の研削が終了した否かの判定を実施する(ステップST8)。実施形態1では、ステップST8では、メイン制御ユニット101は、被加工物200が仕上げ厚さまで薄化されていると判定すると、被加工物200の研削が終了したと判定し、被加工物200が仕上げ厚さまで薄化されていないと判定すると、被加工物200の研削が終了していないと判定する。
メイン制御ユニット101は、被加工物200の研削が終了していないと判定すると、加工を再開する信号をサブ制御ユニット54に出力する(ステップST9)。メイン制御ユニット101は、加工を再開する信号をモーター32に出力するとともに、モーター32を加工内容情報に基づいて制御して、被加工物200の研削を再開する(ステップST10-2)。サブ制御ユニット54は、メイン制御ユニット101から加工を再開する信号を受信すると、モーター32に被加工物200に作用する荷重が適正な値になるための信号を発信して、スピンドル23のZ軸方向の移動速度を制御する(ステップST21)。
また、サブ制御ユニット54は、メイン制御ユニット101から加工を再開する信号を受信すると、デジタル変換された電圧300を監視し、デジタル変換された電圧300がしきい値301を超えた否かの判定を再開する(ステップST11)。なお、実施形態1では、サブ制御ユニット54は、メイン制御ユニット101からの加工終了を示す信号を受信するまで、所定の周波数で繰り返し判定する。
メイン制御ユニット101は、被加工物200の研削が終了したと判定すると、加工終了を示す信号をサブ制御ユニット54に出力する(ステップST12)とともに、モーター32を制御して研削ユニット20を上昇させて、被加工物200の研削を終了する。サブ制御ユニット54は、メイン制御ユニット101から下降終了を示す信号を受信すると、デジタル変換された電圧300がしきい値301を超えた否かの判定を終了する(ステップST13)。
メイン制御ユニット101は、ターンテーブル3を回転して研削後の被加工物200を搬入出領域に搬送し、搬送ユニットにより洗浄ユニットに搬入し、洗浄ユニットで洗浄し、洗浄後の被加工物200を搬送ユニットによりカセット内に搬入する。メイン制御ユニット101は、ステップST3からステップST13を繰り返して、カセット内の被加工物200を順に研削し、カセット内の全ての被加工物200を研削すると、加工動作を終了する。
以上説明した実施形態2に係る加工装置1は、各機構の制御を行うメイン制御ユニット101と、研削中にチャージアンプ52が出力しAD変換された電圧を監視し、電圧がしきい値301を超えた場合に停止する信号と被加工物200に作用する荷重が適正な値になるための信号とをモーター32に発信するサブ制御ユニット54とを別途設けている。その結果、実施形態2に係る加工装置1は、研削中にチャージアンプ52が出力しAD変換された電圧がしきい値301を超えた場合にモーター32の停止までにかかる所要時間や適切な荷重に調整する所要時間を抑制することができ、実施形態1と同様に、信号遅延による加工品質の低下を抑制することができるという効果を奏する。
また、実施形態2に係る加工装置1は、サブ制御ユニット54が研削中に被加工物200に作用する荷重が適正な値になるための信号をモーター32に発信して、スピンドル23のZ軸方向の移動速度を制御するので、メイン制御ユニット101の処理内容を実施形態1の場合よりも削減でき、メイン制御ユニット101の各機構を制御する信号の遅延を抑制することができる。
〔変形例1〕
本発明の実施形態1及び実施形態2の変形例1に係る加工装置を図面に基づいて説明する。図7は、実施形態1及び実施形態2の変形例1に係る加工装置の構成例の一部を断面で示す側面図である。なお、図7は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
図7に示す変形例1に係る加工装置1-1は、被加工物200の裏面203を研磨(加工に相当)する加工ユニットである研磨ユニット20-1を備える研磨装置であること以外、実施形態1と同じである。変形例1に係る加工装置1-1は、図7に示すように、研磨ユニット20-1のスピンドル23の先端である下端に取り付けられ、被加工物200の裏面203を研磨する研磨パッド27を備える。また、変形例1に係る加工装置1は、ターンテーブル3の代わりに保持テーブル10を保持面11と平行なX軸方向に沿って移動させるX軸移動ユニット60を備える。X軸移動ユニット60は、装置基台2上に設置され、保持テーブル10をX軸方向に沿って搬入出領域と加工領域4とに亘って移動させるものである。X軸移動ユニット60は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ61とボールねじ61を軸心回りに回転させる周知のパルスモータ62と保持テーブル10をX軸方向に移動自在に支持する周知の図示しないガイドレールとを備える。
変形例1に係る加工装置1-1は、メイン制御ユニット101と、サブ制御ユニット54とを別途設けているので、研磨中にチャージアンプ52が出力しAD変換された電圧がしきい値301を超えた場合にモーター32の停止までにかかる所要時間を抑制することができ、実施形態1と同様に、信号遅延による加工品質の低下を抑制することができるという効果を奏する。また、変形例1に係る加工装置1-1は、実施形態2と同様に、サブ制御ユニット54が研磨中に被加工物200に作用する荷重が適正な値になるための信号をモーター32に発信して、スピンドル23のZ軸方向の移動速度を制御しても良い。
〔変形例2〕
本発明の実施形態1及び実施形態2の変形例2に係る加工装置を図面に基づいて説明する。図8は、実施形態1及び実施形態2の変形例2に係る加工装置の研削ユニットの一部を断面で示す側面図である。なお、図8は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
変形例2に係る加工装置1-2は、図8に示すように、研削ユニット20-2のスピンドル23がスピンドルモータ24により軸心回りに回転される回転軸体23-1と、回転軸体23-1を内側に収容する通常のケーシング部23-2とを備え、スピンドルハウジング26の下端部とケーシング部23-2の下端部との間に荷重センサ40を設けて、スピンドル23の下端部に荷重センサ40を設けていること以外、実施形態1と同じである。
変形例2に係る加工装置1-2は、メイン制御ユニット101と、サブ制御ユニット54とを別途設けているので、研削中にチャージアンプ52が出力しAD変換された電圧がしきい値を超えた場合にモーター32の停止までにかかる所要時間を抑制することができ、実施形態1と同様に、信号遅延による加工品質の低下を抑制することができるという効果を奏する。また、変形例2に係る加工装置1-2は、実施形態2と同様に、サブ制御ユニット54が研削中に被加工物200に作用する荷重が適正な値になるための信号をモーター32に発信して、スピンドル23のZ軸方向の移動速度を制御しても良く、変形例1と同様に、研磨パッド27を備える研磨装置でも良い。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。