JP7429608B2 - 跳ね出し壁構造 - Google Patents
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Description
かかる特許文献1の建築物では、外柱(2)と梁(6)が形成する構面の外方の2階以上に片持ち梁(3)を設け、上下一対の片持ち梁(3)に対して跳ね出し壁部材としての耐震壁(20)を支持させている。
このような従来の跳ね出し壁構造では、一般的に、跳ね出し状態で支持される跳ね出し壁部材の回転を拘束し、更には跳ね出し壁部材を耐震壁として機能させるべく、上下一対の片持ち梁に対して跳ね出し壁部材を固定する上下の固定部において跳ね出し壁部材の変位は完全に阻止される構成が採用されている。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、片持ち状態で支持柱に支持された上下一対の片持ち梁に対して跳ね出し壁部材を跳ね出し状態で支持させてなる跳ね出し壁構造において、地震時における固定部及び跳ね出し壁部材の損傷を抑制し、跳ね出し壁部材の大型化を実現可能な技術を提供する点にある。
前方側端部を当該片持ち梁の先端部よりも前方に位置させる跳ね出し状態で前記上下一対の片持ち梁に支持された跳ね出し壁部材と、を備えた跳ね出し壁構造であって、
前記上下一対の片持ち梁のうちの一方側に位置する第1片持ち梁に対して前記跳ね出し壁部材を固定する第1固定部が、前記跳ね出し壁部材の面内方向及び面外方向での変位を阻止する構成を有し、
前記上下一対の片持ち梁のうちの他方側に位置する第2片持ち梁に対して前記跳ね出し壁部材を固定する第2固定部が、前記跳ね出し壁部材の面内方向での変位を許容しながら面外方向での変位を阻止する構成を有する点にある。
従って、本発明により、片持ち状態で支持柱に支持された上下一対の片持ち梁に対して跳ね出し壁部材を跳ね出し状態で支持させてなる跳ね出し壁構造において、地震時における固定部及び跳ね出し壁部材の損傷を抑制し、跳ね出し壁部材の大型化を実現可能な技術を提供することができる。
前記上下一対の片持ち梁としての前記上階側片持ち梁及び前記中間片持ち梁に支持された上側跳ね出し壁部材と、前記上下一対の片持ち梁としての前記中間片持ち梁及び前記下階側片持ち梁に支持された下側跳ね出し壁部材と、を分離して備えた点にある。
図1に示すように、本実施形態の建物100は5階建ての建物として構成されている。建物100の2階以上の各階及び屋上のスラブ3は、躯体外壁部1よりも前後方向及び正面(図1の左下側の面)から見て右側の側方に庇状に跳ね出された形状を有する。
躯体外壁部1においてスラブ3が跳ね出された側には窓(図示省略)などが設けられており、その外周部には、例えばルーバータイプのカーテンウォール35が設けられている。そして、2階及び屋上のスラブ30は、そのカーテンウォール35よりも外方に跳ね出された形状を有する。
以下、この跳ね出し壁構造101の詳細構成について、図2及び図3を参照して説明を加える。
また、上下に並設された跳ね出し壁部材8の間の隙間において躯体外壁部1の外面に対応する箇所には、外部から建物100内への雨水の侵入を防止するために段状に構成された雨水侵入防止部36が設けられている。
夫々の跳ね出し壁部材8は、その前方側端部8aを片持ち梁5の先端部5aよりも前方に位置させる跳ね出し状態で、上下一対の片持ち梁5に支持されている。
また、上端側固定部10において、固定用ブラケット11に形成されたボルト孔11aは、挿通されるボルトBの径方向への移動を阻止可能な大きさの丸孔形状に形成される。または、当該ボルトBが挿通される角座金13の周縁部は、固定用ブラケット11に溶接により接合される。
このような構成により、上端側固定部10は、跳ね出し壁部材8の上端側部分を固定した状態において、当該跳ね出し壁部材8の面内方向及び面外方向での変位を阻止する構成を有するものとなる。
尚、本実施形態において、上端側片持ち梁5Xの下フランジの下面に2個の固定用ブラケット11を並設し、夫々の固定用ブラケット11において4つのボルト孔11aを四方に配置したが、固定用ブラケット11やボルト孔11aの個数については、負担すべき荷重等の設計条件に応じて適宜変更可能である。
また、下端側固定部20において、固定用ブラケット21に形成されたボルト孔21aは、挿通されるボルトBの径方向のうちの水平方向への移動を許容可能な大きさの跳ね出し壁部材8の跳ね出し方向(前後方向)に沿って長い長孔形状に形成されている。
このような構成により、下端側固定部20は、跳ね出し壁部材8の下端側部分を固定した状態において、当該跳ね出し壁部材8の面内方向での変位を許容しながら面外方向での変位を阻止する構成を有するものとなる。
尚、本実施形態において、下端側片持ち梁5Yに固定されたベース部材17の上フランジの上面に2個の固定用ブラケット21を並設し、夫々の固定用ブラケット21において2つのボルト孔11aを横並びに配置したが、固定用ブラケット21やボルト孔21aの個数については、負担すべき荷等の設計条件に応じて適宜変更可能である。
よって、地震時等により上下一対の片持ち梁5X,5Yの跳ね出し壁部材8の面内方向に沿った相対変位が生じた場合に、上端側固定部10及び下端側固定部20の夫々と跳ね出し壁部材8との間に大きな力が作用することを回避することができる。このことで、大型の跳ね出し壁部材8を比較的スパンが大きい上下一対の片持ち梁5X,5Yに対して跳ね出し状態で支持させるような構成が採用されている。
また、跳ね出し壁部材8の下端側部分には、下端側片持ち梁5Yに固定されたベース部材17に対する跳ね出し壁部材8の垂直位置を調整するための垂直位置調整部25と、同ベース部材17に対する跳ね出し壁部材8の水平位置を調整するための水平位置調整部26が設けられている。尚、これら位置調整部25,26は、跳ね出し壁部材8に固定されたブラケットに取り付けた押しボルトによりベース部材17を押し込んで当該ベース部材17との距離を調整可能に構成されている。
尚、跳ね出し壁部材8を上端側固定部10及び下端側固定部20で本固定した後は、これら仮固定用ブラケット6、垂直位置調整部25、及び水平位置調整部26は取り外すことができる。
そして、上下一対の片持ち梁5としての上階側片持ち梁5A及び中間片持ち梁5Bに支持された上側跳ね出し壁部材8Aと、上下一対の片持ち梁5としての中間片持ち梁5B及び下階側片持ち梁5Cに支持された下側跳ね出し壁部材8Bとが分離して設けられている。
この構成により、上階側片持ち梁5A及び下階側片持ち梁5Cに支持された一枚の跳ね出し壁部材を設ける場合と比較して、跳ね出し壁部材8の上下幅が小さくなると共に、それを支持する上下一対の片持ち梁5の間隔が狭くなる。よって、下端側固定部20において許容される跳ね出し壁部材8の面内方向での変位を許容範囲内に収めることができる。
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
5 片持ち梁
5A 上階側片持ち梁
5B 中間片持ち梁
5C 下階側片持ち梁
5X 上端側片持ち梁(第1片持ち梁)
5Y 下端側片持ち梁(第2片持ち梁)
5a 先端部
8 跳ね出し壁部材
8A 上側跳ね出し壁部材
8B 下側跳ね出し壁部材
8a 前方側端部
8b 後方側端部
10 上端側固定部(第1固定部)
20 下端側固定部(第2固定部)
100 建物
101 跳ね出し壁構造
Claims (3)
- 先端部を前方へ張り出させる片持ち状態で支持柱に支持された上下一対の片持ち梁と、
前方側端部を当該片持ち梁の先端部よりも前方に位置させる跳ね出し状態で前記上下一対の片持ち梁に支持された跳ね出し壁部材と、を備えた跳ね出し壁構造であって、
前記上下一対の片持ち梁のうちの一方側に位置する第1片持ち梁に対して前記跳ね出し壁部材を固定する第1固定部が、前記跳ね出し壁部材の面内方向及び面外方向での変位を阻止する構成を有し、
前記上下一対の片持ち梁のうちの他方側に位置する第2片持ち梁に対して前記跳ね出し壁部材を固定する第2固定部が、前記跳ね出し壁部材の面内方向での変位を許容しながら面外方向での変位を阻止する構成を有する跳ね出し壁構造。 - 前記片持ち梁として、上階側に設けられた上階側片持ち梁と、その下階側に設けられた下階側片持ち梁と、当該上階側片持ち梁と当該下階側片持ち梁との中間に設けられた中間片持ち梁と、を備え、
前記上下一対の片持ち梁としての前記上階側片持ち梁及び前記中間片持ち梁に支持された上側跳ね出し壁部材と、前記上下一対の片持ち梁としての前記中間片持ち梁及び前記下階側片持ち梁に支持された下側跳ね出し壁部材と、を分離して備えた請求項1に記載の跳ね出し壁構造。 - 前記支持柱が前記跳ね出し壁部材の後方側端部よりも後方に設けられている請求項1又は2に記載の跳ね出し壁構造。
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