JP7428024B2 - 半導体装置 - Google Patents

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  • Metal-Oxide And Bipolar Metal-Oxide Semiconductor Integrated Circuits (AREA)

Description

この発明は、半導体装置に関する。
従来、高電圧や大電流を制御するパワー半導体装置には、例えば、バイポーラトランジスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲートを備えたMOS型電界効果トランジスタ)、SBD(Schottky Barrier Diode:ショットキーバリアダイオード)など複数種類あり、これらは用途に合わせて使い分けられている。
例えば、バイポーラトランジスタやIGBTは、MOSFETと比べて電流密度が高く大電流化が可能であるが、高速にスイッチングさせることができない。具体的には、バイポーラトランジスタは数kHz程度のスイッチング周波数での使用が限界であり、IGBTは数十kHz程度のスイッチング周波数での使用が限界である。一方、MOSFETは、バイポーラトランジスタやIGBTに比べて電流密度が低く大電流化が難しいが、数MHz程度までの高速スイッチング動作が可能である。
パワー半導体装置の構成材料として、シリコン(Si)が用いられている。市場では大電流と高速性とを兼ね備えたパワー半導体装置への要求が強く、IGBTやMOSFETはその改良に力が注がれ、現在ではほぼ材料限界に近いところまで開発が進んでいる。このため、パワー半導体装置の観点からシリコンに代わる半導体材料が検討されており、低オン電圧、高速特性、高温特性に優れた次世代のパワー半導体装置を作製(製造)可能な半導体材料として炭化珪素(SiC)が注目を集めている。
炭化珪素は、化学的に非常に安定した半導体材料であり、バンドギャップが3eVと広く、高温でも半導体として極めて安定的に使用することができる。また、炭化珪素は、最大電界強度もシリコンより1桁以上大きいため、オン抵抗を十分に小さくすることができる半導体材料として期待される。このような炭化珪素の特長は、炭化珪素だけでなく、シリコンよりもバンドギャップの広いすべての半導体(以下、ワイドバンドギャップ半導体とする)も同様に有する。
また、MOSFETでは、大電流化に伴い、半導体チップのおもて面に沿ってチャネル(反転層)が形成されるプレーナゲート構造とする場合と比べて、ゲートトレンチの側壁に沿って半導体チップのおもて面と直交する方向にチャネルが形成されるトレンチゲート構造とすることはコスト面で有利である。その理由は、トレンチゲート構造が単位面積当たりの単位セル(素子の構成単位)密度を増やすことができるため、単位面積当たりの電流密度を増やすことができるからである。
単位面積当たりの電流密度を増加させた分、単位セルの占有体積に応じた温度上昇率が高くなるため、放電効率の向上と信頼性の安定化とを図るために両面冷却構造が必要になる。さらに、パワー半導体装置の主動作を行うメイン半導体素子と同一の半導体基板(半導体チップ)に、当該メイン半導体素子を保護・制御するための回路部として電流センス部、温度センス部および過電圧保護部等の高機能部を配置した高機能構造とすることで信頼性を向上させたパワー半導体装置が提案されている。
従来の半導体装置の構造について説明する。図13は、従来の半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。図13に示す従来の半導体装置220は、炭化珪素からなる同一の半導体基板210の活性領域201に、メイン半導体素子211と、当該メイン半導体素子211を保護・制御するための1つ以上の回路部を有する。メイン半導体素子211は縦型MOSFETであり、活性領域201の有効領域(以下、メイン有効領域とする)201aに配置されている。
メイン半導体素子211のソースパッド221aは、メイン有効領域201aにおいて半導体基板210のおもて面上に設けられている。活性領域201のうち、メイン有効領域201aを除く領域(以下、メイン無効領域とする)201bに、メイン半導体素子211と離れて、メイン半導体素子211を保護・制御するための回路部として、例えば、電流センス部212、温度センス部213、過電圧保護部(不図示)および演算回路部(不図示)等の高機能部が配置されている。
ソースパッド221a以外の電極パッドは、メイン無効領域201bにおいて半導体基板210のおもて面上に設けられている。図13には、メイン半導体素子211の電極パッド(ソースパッド221aおよびゲートパッド221b)、電流センス部212の電極パッド(以下、OCパッドとする)222、および温度センス部213の電極パッド(アノードパッド223aおよびカソードパッド223b)を、それぞれS、G、OC、AおよびKと付す。符号202はエッジ終端領域である。
従来の半導体装置として、p型不純物として中性子吸収捕獲断面積の小さい質量数11のボロン(11B)を用いることで、放射線耐性を強化した装置が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。また、放射線検出装置として、質量数10のボロン(10B)がドーピングされたp型層を有するpin(p-intrinsic-n)接合ダイオードを逆方向バイアスさせてi層内に生じる空乏層で、当該p型層への中性子の入射で生成されるα線を検出する装置が提案されている(例えば、下記特許文献2参照。)。
特開昭和60-183768号公報 特開昭和63-279192号公報
従来、宇宙空間(地球の大気外の空間)を飛び交う陽子や重粒子等の極めて小さな粒子の流れ(宇宙線)は、宇宙空間で使用される半導体装置に大きな悪影響を及ぼすことが知られているが、近年になり地球の大気中で使用される半導体装置にも悪影響を及ぼすことが判明した。宇宙線が地球の大気中に入射すると、宇宙線と地球の大気中の元素との衝突により陽子や中性子、中間子等の多数の二次粒子の流れ(二次宇宙線)が発生する。
この多数の二次粒子のうち、特に電荷を持たない中性子(以下、二次宇宙線中性子とする)は、地球の大気中の元素の原子核との衝突でしか減速されない。このため、毎時間(1hour)あたり10個/cm2程度の二次宇宙線中性子が10MeV以上の高エネルギーで地表に到達している。この高エネルギーの二次宇宙線中性子が電子機器の構成材料である半導体に入射されると、所定の割合で半導体中の元素と核反応を起こす。
具体的には、機能素子はボロン(B)ドープの半導体で形成されることが多い。ボロンの同位元素である質量数10のボロン(10B)は中性子吸収捕獲断面積が大きく、中性子と核反応を起こす。10Bと中性子との核反応では、10Bが中性子を吸収してリチウム(Li)に核変換し、かつHe(α線:放射線)が生成され放出される。この10Bと中性子(n)との核反応式は、次の(1)式および(2)式となる。
10B+n→Li+α(2.792MeV) ・・・(1)
10B+n→Li+α(2.31MeV) ・・・(2)
10Bと中性子とが上記(1)式で核反応を起こす割合は6%であり、上記(2)式で核反応を起こす割合は94%である。このため、二次宇宙線中性子の入射による半導体装置への悪影響は、上記(2)式の核反応で決まる。天然には質量数10のボロン(10B)と質量数11のボロン(11B)とが存在し、天然のボロン全体のうちの20%程度が10Bである。そして、11Bの中性子吸収捕獲断面積が0.005バーン(barn)であるのに対し、10Bの中性子吸収捕獲断面積は3832バーンと約7桁~8桁高い。
また、リン(P)の中性子吸収捕獲断面積は0.182バーンであり、砒素(As)の中性子吸収捕獲断面積は4.42バーンであり、アルミニウム(Al)の中性子吸収捕獲断面積は0.231バーンである。炭化珪素は、上述したようにシリコンよりもバンドギャップが広いため、炭化珪素を構成材料とする半導体装置は例えば200℃以上の高温動作時であってもリーク電流が小さい。一方、シリコンを構成材料とする半導体装置には、200℃以上の高温動作になるとリーク電流による悪影響が及ぶ。
例えば、シリコンを構成材料とした場合、200℃以上の高温動作になるとリーク電流がトリガーとなって、IGBTでは寄生サイリスタがオンして破壊に至る。MOSFETでは、寄生バイポーラトランジスタがオンしやすくなり、高温動作時の電気的特性へのα線によるダメージが大きい。また、シリコンを構成材料とした場合、半導体基板にp型領域を形成するためにボロンを導入することも原因の一つとなり、中性子の悪影響を受けやすく、炭化珪素を構成材料とする場合と比べて放射線耐性が劣る。
したがって、中性子による核反応が、半導体基板の、CMOS(Complementary MOS:相補型MOS)構造の半導体メモリ等の半導体装置を構成する半導体素子が配置される領域(以下、素子領域とする)、パワー半導体装置を構成するMOSFETやIGBT、ダイオードなどの半導体素子の素子領域、またはこれらの素子領域近傍で発生すると、当該核反応で生成されるα線によるエネルギーによって発生するキャリア(電荷)が原因となり、半導体素子の劣化や破壊が生じる。
特に近年、半導体装置の信頼性が向上して故障率が低減していることから、二次宇宙線による破壊が地球の大気中で使用される半導体装置においても顕著になってきている。さらに、半導体装置の微細化により、中性子による核反応で生成されるα線を原因として、ゲート絶縁破壊や、アバランシェ破壊、寄生バイポーラトランジスタ動作による破壊、寄生サイリスタによる破壊が増加している。
地球の大気中で使用されているパワー半導体装置を部品として適用し組み合わせたパワー半導体装置ユニットも地球から宇宙空間への移動手段となる乗り物の構成部品として使用されるようになっており、その使用頻度は増えている。このため、地球の大気中で使用されているパワー半導体装置についても宇宙線や二次宇宙線に対する信頼性(以下、まとめて宇宙線に対する信頼性とする)を向上させることが望まれる。
この発明は、上述した従来技術による課題を解消するため、宇宙線に対する信頼性を向上させることができる半導体装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。複数の絶縁ゲート型電界効果トランジスタは、シリコンよりもバンドギャップの広い半導体からなる半導体基板に互いに離れて設けられている。複数の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタは、同じセル構造を有する。前記半導体基板の第1主面に、前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタごとに複数の電極パッドが設けられている。複数の前記電極パッドは、対応する前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタに電気的に接続されている。前記電極パッドごとに複数の端子ピンが設けられている。複数の前記端子ピンは、対応する前記電極パッドにそれぞれめっき膜を介して接合され当該電極パッドの電位を取り出す。表面めっき膜は、前記端子ピンの表面を覆う。
複数の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの1つは、前記半導体基板に入射された中性子の核反応により生成されるα線を検出する中性子センス部である。前記半導体基板の第1主面と前記電極パッドとの間に、前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタを覆う第1層間絶縁膜が設けられている。前記半導体基板の第1主面と前記電極パッドとの間に、前記中性子センス部を覆う第2層間絶縁膜が設けられている。前記中性子センス部のゲート電極、前記第2層間絶縁膜、前記めっき膜、および、前記端子ピンの前記表面めっき膜の少なくとも一つは、前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタに含まれる元素よりも中性子吸収捕獲断面積の高い元素を含んでいる。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記中性子センス部のゲート電極、前記第2層間絶縁膜、前記めっき膜、および、前記端子ピンの前記表面めっき膜の少なくとも一つはボロンを含んでいることを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記中性子センス部のゲート電極、前記第2層間絶縁膜、前記めっき膜、および、前記端子ピンの前記表面めっき膜の少なくとも一つは質量数10のボロンを含んでいることを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタは質量数10のボロンを含んでいないことを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタは質量数11のボロンを含んでいることを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの前記めっき膜は、ニッケルめっき膜またはニッケル-リンめっき膜であることを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの前記端子ピンの前記表面めっき膜はニッケル-リンめっき膜であることを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの一つは、主動作を行うメイン半導体素子である。前記中性子センス部のゲート閾値電圧は、前記メイン半導体素子のゲート閾値電圧よりも高いことを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの一つは、主動作を行うメイン半導体素子である。前記中性子センス部のオン抵抗は、前記メイン半導体素子のオン抵抗よりも高いことを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの一つは、前記メイン半導体素子に流れる過電流を検出する電流センス部である。前記中性子センス部のゲート閾値電圧は、前記電流センス部のゲート閾値電圧よりも高いことを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの一つは、前記メイン半導体素子に流れる過電流を検出する電流センス部である。前記中性子センス部のオン抵抗は、前記電流センス部のオン抵抗よりも高いことを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記中性子センス部は、順方向電圧が印加され、かつオフ状態に維持されていることを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記半導体基板に前記α線が入射されたか否かを判定する判定部と、前記メイン半導体素子にゲート電圧を供給するゲート制御部と、をさらに備える。前記判定部によって前記半導体基板に前記α線が入射されたと判定されたときに、前記ゲート制御部による前記メイン半導体素子へのゲート電圧の供給を停止することを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記判定部は、前記中性子センス部がオン状態となったときに、前記半導体基板に前記α線が入射されたと判定することを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記判定部は、前記中性子センス部に印加されるゲート電圧とゲート閾値電圧との差分が許容範囲を超えたときに、前記半導体基板に前記α線が入射されたと判定することを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記判定部は、オフ状態の前記中性子センス部のドレイン・ソース間に流れるリーク電流量と、予め取得したリーク電流量の基準値と、の差分が許容範囲を超えたときに、前記半導体基板に前記α線が入射されたと判定することを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記判定部は、オン状態の前記メイン半導体素子のドレイン・ソース間に流れる電流量と、予め取得した通常オン動作時に前記メイン半導体素子のドレイン・ソース間に流れる電流量の基準値と、の差分が許容範囲を超えたときに、前記半導体基板に前記α線が入射されたと判定することを特徴とする。
上述した発明によれば、中性子センス部の中性子に対する反応感度を、中性子センス部と同一の半導体基板に作製された他の半導体素子よりも高くすることができる。これにより、半導体基板において中性子センス部の形成領域に高い割合でα線が生成され入射される。このため、中性子センス部のゲート印加電圧の変化量や、中性子センス部やメイン半導体素子のドレイン・ソース間に流れる電流の変化量を監視することにより、中性子線を起因として生成されるα線の入射の有無を検知することができる。
本発明にかかる半導体装置によれば、宇宙線に対する信頼性を向上させることができるという効果を奏する。
実施の形態1にかかる半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。 図1の活性領域の断面構造を示す断面図である。 図1の活性領域の断面構造を示す断面図である。 図1の活性領域の断面構造を示す断面図である。 実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態2にかかる半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。 実施の形態2にかかる半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。 従来の半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる半導体装置は、シリコン(Si)よりもバンドギャップが広い半導体(ワイドバンドギャップ半導体)を半導体材料として用いて構成される。実施の形態1にかかる半導体装置の構造について、ワイドバンドギャップ半導体として例えば炭化珪素(SiC)を用いた場合を例に説明する。図1は、実施の形態1にかかる半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。
図1に示す実施の形態1にかかる半導体装置20は、炭化珪素からなる同一の半導体基板(半導体チップ)10の活性領域1に、メイン半導体素子11と、当該メイン半導体素子11を保護・制御するための1つ以上の回路部と、を有する。活性領域1は、半導体基板10の略中央(チップ中央)に設けられている。メイン半導体素子11は、半導体装置20の主動作を行う縦型MOSFETであり、後述するソースパッド21aにより互いに並列接続された複数の単位セル(素子の機能単位)で構成される。
メイン半導体素子11は、活性領域1の有効領域(以下、メイン有効領域とする)1aに配置されている。メイン有効領域1aは、メイン半導体素子11のオン時に、半導体基板10の裏面からおもて面に向かう方向(深さ方向Zに対して反対方向)にメイン半導体素子11の主電流(ドリフト電流)が流れる領域である。メイン有効領域1aは、例えば略矩形状の平面形状を有し、活性領域1の大半の表面積を占める。略矩形状の平面形状のメイン有効領域1aの3辺が後述するエッジ終端領域2に隣接する。
メイン半導体素子11を保護・制御するための回路部は、例えば、電流センス部12、温度センス部13、中性子センス部15、過電圧保護部(不図示)および演算回路部(不図示)等の高機能部であり、活性領域1のメイン無効領域1bに配置される。メイン無効領域1bは、メイン半導体素子11の単位セルが配置されていない領域であり、メイン半導体素子11として機能しない。メイン無効領域1bは例えば略矩形状の平面形状を有し、略矩形状の平面形状のメイン有効領域1aの残りの1辺とエッジ終端領域2との間に配置される。
エッジ終端領域2は、活性領域1と半導体基板10の端部(チップ端部)との間の領域であり、活性領域1に隣接して設けられ、活性領域1の周囲を囲み、半導体基板10のおもて面側の電界を緩和して耐圧を保持する。エッジ終端領域2には、例えばフィールドリミッティングリング(FLR:Field Limiting Ring)や接合終端(JTE:Junction Termination Extension)構造等の耐圧構造(不図示)が配置される。耐圧とは、半導体装置が誤動作や破壊を起こさない限界の電圧である。
メイン半導体素子11のソースパッド(電極パッド)21aは、メイン有効領域1aにおいて半導体基板10のおもて面上に配置される。メイン半導体素子11は、他の回路部に比べて電流能力が大きい。このため、メイン半導体素子11のソースパッド21aは、メイン有効領域1aと略同じ平面形状を有し、メイン有効領域1aのほぼ全面を覆う。メイン半導体素子11のソースパッド21aは、当該ソースパッド21a以外の電極パッドと離れて配置されている。
ソースパッド21a以外の電極パッドは、メイン無効領域1bにおいて半導体基板10のおもて面上に互いに離れて配置される。ソースパッド21a以外の電極パッドとは、メイン半導体素子11のゲートパッド21b、電流センス部12の電極パッド(OCパッド)22、温度センス部13の電極パッド(アノードパッドおよびカソードパッド)23a,23b、中性子センス部15のソースパッド24、過電圧保護部の電極パッド(以下、OVパッドとする:不図示)、および演算回路部の電極パッド(不図示)等である。
ソースパッド21a以外の電極パッドは、例えば略矩形状の平面形状を有し、後述する端子ピン48b~48fやワイヤー(不図示)の接合に必要な表面積を有する。図1には、ソースパッド21a以外の電極パッドがメイン無効領域1bとエッジ終端領域2との境界に沿って一列に配置された場合を示す。また、図1には、ソースパッド21a、ゲートパッド21b、OCパッド22、アノードパッド23a、カソードパッド23bおよびソースパッド24を、それぞれS、G、OC、A、KおよびNと付した矩形状に図示する(図11,12においても同様)。
電流センス部12は、メイン半導体素子11に並列接続され、メイン半導体素子11と同じ条件で動作して、メイン半導体素子11に流れる過電流(OC:Over Current)を検出する機能を有する。電流センス部12は、メイン半導体素子11と離れて配置されている。電流センス部12は、メイン半導体素子11と同一構成の単位セルを、メイン半導体素子11の単位セルの個数(例えば1千個以上程度)よりも少ない個数(例えば10個程度)で備えた縦型MOSFETであり、メイン半導体素子11よりも表面積が小さい。
電流センス部12の単位セルは、半導体基板10の、OCパッド22で覆われた領域の一部の領域(以下、センス有効領域とする)12aに配置されている。電流センス部12の単位セルは、例えば、メイン半導体素子11の単位セルが互いに隣接する方向に互いに隣接して配置され、OCパッド22により互いに並列接続されている。半導体基板10の、OCパッド22で覆われた領域のうち、センス有効領域12aを除く領域は、電流センス部12として機能しないセンス無効領域12bである。センス無効領域12bには、電流センス部12の単位セルが配置されていない。
温度センス部13は、ダイオードの温度特性を利用してメイン半導体素子11の温度を検出する機能を有する。温度センス部13は、アノードパッド23aおよびカソードパッド23bの直下に配置されている。温度センス部13は、例えば、半導体基板10のおもて面の層間絶縁膜(第1層間絶縁膜)40上のポリシリコン(poly-Si)層81,82(図4参照)で構成されたポリシリコンダイオードであってもよいし、半導体基板10の内部にp型領域とn型領域とのpn接合で形成された拡散ダイオードであってもよい。
中性子センス部15は、半導体基板10に入射された中性子(二次宇宙線中性子も含む:以下、まとめて「中性子」とする)を検出する機能を有する。中性子センス部15は、ソースパッド24の直下に、他の半導体素子と離れて配置されている。中性子センス部15は、メイン半導体素子11と同一構成の単位セルを、メイン半導体素子11の単位セルの個数よりも少なく、かつ電流センス部12の単位セルの個数よりも多い個数で備えた縦型MOSFETである。
中性子センス部15は、メイン半導体素子11よりも表面積が小さく、かつ電流センス部12よりも表面積が大きい。中性子センス部15は、単位セルの個数が多くなるほど、表面積が広くなり、中性子に対する反応感度が高くなる。中性子センス部15の単位セルは、半導体基板10のおもて面に平行な方向に互いに隣接して配置され、ソースパッド24により互いに並列接続されている。中性子センス部15の単位セルが互いに隣接する方向は、例えば、メイン半導体素子11の単位セルが互いに隣接する方向と同じである。
中性子センス部15は、中性子による核反応で生成されるHe(α線:放射線)が半導体基板10に入射されることにより発生する電荷(ホール・エレクトロンペア(e+-))によって生じる、例えば、メイン半導体素子11および電流センス部12等のMOSFETのゲート絶縁破壊や、アバランシェ破壊、寄生バイポーラトランジスタ動作による破壊等の問題が生じやすい箇所付近に配置されている。中性子センス部15は、例えば、メイン無効領域1bの複数個所(図1では2箇所)に配置されてもよい。
中性子センス部15(図4参照)の後述するゲート電極39f、層間絶縁膜(第2層間絶縁膜)60、めっき膜47f、および、端子ピン48fの表面めっき膜(不図示)の少なくとも一つは、中性子センス部15以外の半導体素子に含まれる元素よりも中性子吸収捕獲断面積の高い元素を含んでおり、具体的にはボロン(B)のいずれかの同位元素(以下、単に「ボロン」とする)を含むか、好ましくはボロンの同位元素である質量数10のボロン(10B)を含んでいることがよい。中性子センス部15は、ボロン(特に10B)を含む上記所定部を多く有するほど、中性子に対する反応感度が高くなる。このため、中性子センス部15とメイン半導体素子11とで上記所定部における10Bの濃度を比較すると、中性子センス部15は、メイン半導体素子11よりも10Bの濃度が高くなっている。
中性子センス部15以外の半導体素子は、ボロンを含んでいないか、または中性子センス部15に中性子吸収捕獲断面積の高い元素として10Bのみが含まれている場合には10Bよりも中性子吸収捕獲断面積の低い例えばボロンの同位元素である質量数11のボロン(11B)を含んでいてもよい。なお、中性子センス部15以外の半導体素子では、上記所定部における10Bの濃度を中性子センス部15よりも低くすればよく、11Bに不可避的に含まれる10Bを排除するものではない。例えば、ボロン全体に対して1%以下で10Bが含まれていてもよい。中性子センス部15以外の半導体素子とは、中性子センス部15と同一の半導体基板10に作製された他の半導体素子であり、メイン半導体素子11、電流センス部12、温度センス部13、過電圧保護部および演算回路部である。
過電圧保護部は、例えばサージ等の過電圧(OV:Over Voltage)からメイン半導体素子11を保護するダイオードである。電流センス部12、温度センス部13、中性子センス部15および過電圧保護部は、演算回路部により制御される。演算回路部は、電流センス部12、温度センス部13、中性子センス部15および過電圧保護部の出力信号に基づいてメイン半導体素子11を制御する。演算回路部は、CMOS回路など複数の半導体素子で構成される。
次に、実施の形態1にかかる半導体装置20の断面構造について説明する。図2~4は、図1の活性領域の断面構造を示す断面図である。図2~4のメイン半導体素子11は、複数の単位セルのうちの一部の単位セルのみを示す。メイン有効領域1aの各単位セルはすべて同じ構造であるため、図1の切断線X1’-X2’における断面構造は図1の切断線X1-X2における断面構造と同じである。図2の電流センス部12および図4の中性子センス部15は、それぞれ複数の単位セルのうちの一部の単位セルのみを示す。
図2には、メイン有効領域1aおよび電流センス部12の断面構造(図1の切断線X1-X2-X3-X4における断面構造)を示す。図3には、メイン有効領域1a、センス無効領域12bおよびゲートパッド部14の断面構造(図1の切断線X1-X2-X3および切断線Y2-Y3における断面構造)を示す。図4には、温度センス部13、メイン有効領域1aおよび中性子センス部15の断面構造(切断線Y1-Y2、図1の切断線X1’-X2’および切断線Y3-Y4における断面構造)を示す。
メイン半導体素子11は、メイン有効領域1aにおいて半導体基板10のおもて面側に、p型ベース領域34a、n+型ソース領域35a、トレンチ37a、ゲート絶縁膜38aおよびゲート電極39aで構成された一般的なトレンチゲート構造のMOSゲート(金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲート)を有する。半導体基板10は、炭化珪素からなるn+型出発基板71のおもて面上にn-型ドリフト領域32およびp型ベース領域34aとなる各炭化珪素層72,73を順にエピタキシャル成長させてなる。
+型出発基板71は、メイン半導体素子11および電流センス部12のn+型ドレイン領域31となる。半導体基板10の、p型炭化珪素層73側の主面をおもて面とし、n+型出発基板71側の主面(n+型出発基板71の裏面)を裏面とする。ここでは、メイン半導体素子11、および、メイン半導体素子11を保護・制御する回路部がピン状の配線部材(後述する端子ピン48a~48f)を用いた同一構成の配線構造を有する場合を例に説明するが、ピン状の配線部材に代えて、ワイヤーを用いた配線構造としてもよい。
トレンチ37aは、半導体基板10のおもて面(p型炭化珪素層73の表面)から深さ方向Zにp型炭化珪素層73を貫通してn-型炭化珪素層72に達する。トレンチ37aは、例えば、半導体基板10のおもて面に平行な方向に延びるストライプ状に配置されていてもよいし、半導体基板10のおもて面側から見てマトリクス状に配置されていてもよい。図2~5には、例えば電極パッド24,21b,23a,23b,22,24(図1参照)が並ぶ第1方向Xにストライプ状に延びるトレンチ37aを示す。
トレンチ37aの内部には、ゲート絶縁膜38aを介してゲート電極39aが設けられている。ゲート電極39aは、ボロンを含まないポリシリコン層であり、例えばリン(P)ドープのポリシリコン層であってもよい。または、中性子センス部15に中性子吸収捕獲断面積の高い元素として10Bのみが含まれている場合、ゲート電極39aは、10Bよりも中性子吸収捕獲断面積の低い例えば11Bドープのポリシリコン層であってもよい。すべてのゲート電極39aは、ゲートランナー(不図示)を介してゲートパッド21b(図1参照)に電気的に接続されている。
互いに隣り合うトレンチ37a間において、半導体基板10のおもて面の表面領域に、p型ベース領域34a、n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aがそれぞれ選択的に設けられている。p型ベース領域34a、n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aは、例えば、トレンチ37aと同じ第1方向Xに直線状に延在する。n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aは、半導体基板10のおもて面とp型ベース領域34aとの間に、それぞれ選択的に設けられている。
+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aは、p型ベース領域34aに接し、かつ半導体基板10のおもて面に露出されている。メイン半導体素子11において半導体基板10のおもて面に露出とは、後述する層間絶縁膜40の第1コンタクトホール40aの内部で後述するNiSi膜41aに接することである。n+型ソース領域35aは、p++型コンタクト領域36aよりもトレンチ37a側に設けられ、トレンチ37aの側壁においてゲート絶縁膜38aに接する。
++型コンタクト領域36aは設けられていなくてもよい。この場合、p++型コンタクト領域36aに代えて、p型ベース領域34aが半導体基板10のおもて面まで達する。メイン半導体素子11のすべてのp型領域(p型ベース領域34a、p++型コンタクト領域36a、後述する第1,2p+型領域61a,62a)はボロンを含んでいない。メイン半導体素子11のすべてのp型領域はp型ドーパントとしてボロン以外のp型不純物を含んでおり、例えば炭化珪素に対する拡散係数の大きいアルミニウム(Al)を含む。
半導体基板10の内部において、p型ベース領域34aとn+型ドレイン領域31との間に、これらの領域に接して、n-型ドリフト領域32が設けられている。p型ベース領域34aとn-型ドリフト領域32との間に、これらの領域に接して、n型電流拡散領域33aが設けられていてもよい。n型電流拡散領域33aは、キャリアの広がり抵抗を低減させる、いわゆる電流拡散層(Current Spreading Layer:CSL)である。
また、半導体基板10の内部において、p型ベース領域34aよりもn+型ドレイン領域31に近い位置に、トレンチ37aの底面にかかる電界を緩和させる第1,2p+型領域61a,62aが設けられていてもよい。第1p+型領域61aは、p型ベース領域34aと離れて設けられ、深さ方向Zにトレンチ37aの底面に対向する。第2p+型領域62aは、互いに隣り合うトレンチ37a間に、第1p+型領域61aおよびトレンチ37aと離れて設けられ、かつp型ベース領域34aに接する。
層間絶縁膜40は、メイン有効領域1aにおいて半導体基板10のおもて面のほぼ全面に設けられ、すべてのゲート電極39aを覆う。また、層間絶縁膜40は、メイン無効領域1bにおいて半導体基板10のおもて面の、ソースパッド24の直下以外の部分のほぼ全面に延在している。層間絶縁膜40を深さ方向Zに貫通して半導体基板10に達する第1コンタクトホール40aには、メイン半導体素子11のn+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aが露出されている。
層間絶縁膜40は、ボロンを含まない絶縁膜であり、例えばPSG(Phospho Silicate Glass)やNSG(Non doped Silicate Glass)等である。中性子センス部15に中性子吸収捕獲断面積の高い元素として10Bのみが含まれている場合、層間絶縁膜40は、10Bよりも中性子吸収捕獲断面積の低い例えば11Bを含む11BPSG(Boron-11 doped PSG)または11BSG(Boron-11 doped Silicate Glass)であってもよい。
ニッケルシリサイド(NiSi、Ni2Siまたは熱的に安定なNiSi2:以下、まとめてNiSiとする)膜41aは、第1コンタクトホール40aの内部において半導体基板10にオーミック接触し、n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aに電気的に接続されている。p++型コンタクト領域36aが設けられていない場合、p++型コンタクト領域36aに代えて、p型ベース領域34aが第1コンタクトホール40aに露出され、NiSi膜41aに電気的に接続される。
メイン有効領域1aにおける層間絶縁膜40およびNiSi膜41aの表面全体に、層間絶縁膜40およびNiSi膜41aの表面に沿ってバリアメタル46aが設けられている。バリアメタル46aは、バリアメタル46aの各金属膜間またはバリアメタル46aを挟んで対向する領域間での相互反応を防止する機能を有する。バリアメタル46aは、例えば、第1窒化チタン(TiN)膜42a、第1チタン(Ti)膜43a、第2TiN膜44aおよび第2Ti膜45aを順に積層した積層構造を有していてもよい。
第1TiN膜42aは、層間絶縁膜40の表面全体を覆う。第1TiN膜42aは、NiSi膜41aが形成された部分における半導体基板10のおもて面上には設けられていない。第1Ti膜43aは、第1TiN膜42aおよびNiSi膜41aの表面に設けられている。第2TiN膜44aは、第1Ti膜43aの表面に設けられている。第2Ti膜45aは、第2TiN膜44aの表面に設けられている。バリアメタル46aは、例えば、温度センス部13には設けられていない。
ソースパッド21aは、第2Ti膜45aの表面全面に設けられ、バリアメタル46aおよびNiSi膜41aを介してn+型ソース領域35aおよびp型ベース領域34aに電気的に接続されている。ソースパッド21aは、例えば、5μm程度の厚さのアルミニウム(Al)膜、アルミニウム-シリコン(Al-Si)膜またはアルミニウム-シリコン-銅(Al-Si-Cu)膜であってもよい。ソースパッド21a、バリアメタル46aおよびNiSi膜41aは、メイン半導体素子11のソース電極として機能する。
ソースパッド21aの上には、めっき膜47aおよびはんだ層(不図示)を介して、端子ピン48aの一方の端部が接合されている。端子ピン48aの他方の端部は、半導体基板10のおもて面に対向するように配置された金属バー(不図示)に接合されている。また、端子ピン48aの他方の端部は、半導体基板10を実装したケース(不図示)の外側に露出し、外部装置(不図示)と電気的に接続される。端子ピン48aは、所定直径を有する丸棒状(円柱状)の配線部材である。
端子ピン48aは、ソースパッド21aの電位を外部に取り出す外部接続用端子であり、外部の接地電位(最低電位)に接続される。端子ピン48aは、半導体基板10のおもて面に対して略垂直に立てた状態でめっき膜47aにはんだ接合されている。めっき膜47aは、ボロンを含まない金属めっき膜であり、例えばニッケル(Ni)-リン(P)めっき膜である。中性子センス部15に中性子吸収捕獲断面積の高い元素として10Bのみが含まれている場合、めっき膜47aは、10Bよりも中性子吸収捕獲断面積の低い例えば11Bを含むNi-11Bめっき膜であってもよい。
端子ピン48aの表面は、ボロンを含まない金属めっき膜(以下、表面めっき膜とする)で覆われている。端子ピン48aの表面めっき膜は、例えばNi-Pめっき膜であってもよい。この場合、端子ピン48aのNi-Pめっき膜の表面は、例えば一般的な無電解金(Au)めっき処理により形成されるAuめっき膜で覆われている。中性子センス部15に中性子吸収捕獲断面積の高い元素として10Bのみが含まれている場合、端子ピン48aの表面めっき膜は、10Bよりも中性子吸収捕獲断面積の低い例えば11Bを含むNi-11Bめっき膜であってもよい。
ソースパッド21aの表面のめっき膜47a以外の部分は第1保護膜49aで覆われている。めっき膜47aと第1保護膜49aとの境界は第2保護膜50aで覆われている。第1,2保護膜49a,50aは例えばポリイミド膜である。ドレイン電極51は、半導体基板10の裏面(n+型出発基板71の裏面)全面にオーミック接触している。ドレイン電極51上には、例えば、Ti膜、ニッケル(Ni)膜および金(Au)膜を順に積層した積層構造でドレインパッド(電極パッド:不図示)が設けられている。
ドレインパッドは、絶縁基板の例えば銅箔等で形成された金属ベース板(不図示)にはんだ接合されている。ドレインパッドの少なくとも一部が金属ベース板を介して冷却フィン(不図示)のベース部に接触している。n+型ドレイン領域31、n-型ドリフト領域32、ドレイン電極51およびドレインパッドは、メイン半導体素子11、後述する電流センス部12および後述する中性子センス部15で共通であり、チップ中央からチップ端部まで延在している。
このように半導体基板10のおもて面のソースパッド21aに端子ピン48aを接合し、かつ裏面のドレインパッドを絶縁基板の金属ベース板にはんだ接合することで、半導体基板10は両主面それぞれに冷却構造を備えた両面冷却構造となっている。半導体基板10で発生した熱は、半導体基板10の裏面のドレインパッドに接合された金属ベース板を介して冷却フィンのフィン部から放熱され、かつ半導体基板10のおもて面の端子ピン48aを接合した金属バーから放熱される。
電流センス部12は、メイン半導体素子11の対応する各部と同じ構成のp型ベース領域34b、n+型ソース領域35b、p++型コンタクト領域36b、トレンチ37b、ゲート絶縁膜38b、ゲート電極39bおよび層間絶縁膜40を備える。電流センス部12のMOSゲートの各部は、メイン無効領域1bのセンス有効領域12aに設けられている。p型ベース領域34bは、半導体基板10のおもて面の表面領域のn-型領域32aにより、メイン半導体素子11のp型ベース領域34aと分離されている。
p型ベース領域34bは、センス有効領域12aから、メイン無効領域1bの、中性子センス部15を除く領域のほぼ全域に延在している。電流センス部12は、メイン半導体素子11と同様に、n型電流拡散領域33bおよび第1,2p+型領域61b,62bを有していてもよい。p++型コンタクト領域36bは、メイン半導体素子11と同様に、設けられていなくてもよい。すべてのゲート電極39bは、ゲートランナーを介してゲートパッド21b(図1参照)に電気的に接続されている。すべてのゲート電極39bは、層間絶縁膜40に覆われている。
センス有効領域12aにおいて層間絶縁膜40には、深さ方向Zに貫通して半導体基板10に達する第2コンタクトホール40bが設けられ、n+型ソース領域35bおよびp++型コンタクト領域36bが露出されている。センス有効領域12aにおいて半導体基板10のおもて面には、メイン半導体素子11と同様に、NiSi膜41bおよびバリアメタル46bが設けられている。符号42b~45bは、それぞれバリアメタル46bを構成する第1TiN膜、第1Ti膜、第2TiN膜および第2Ti膜である。
NiSi膜41bは、第2コンタクトホール40bの内部において半導体基板10にオーミック接触し、n+型ソース領域35bおよびp++型コンタクト領域36bに電気的に接続されている。p++型コンタクト領域36bが設けられていない場合、p++型コンタクト領域36bに代えて、p型ベース領域34bが第2コンタクトホール40bに露出され、NiSi膜41bに電気的に接続される。バリアメタル46bは、センス無効領域12bにおける層間絶縁膜40上に延在している。
バリアメタル46bの表面全面に、OCパッド22が設けられている。OCパッド22は、バリアメタル46bおよびNiSi膜41bを介してn+型ソース領域35bおよびp型ベース領域34bに電気的に接続されている。OCパッド22は、例えば、ソースパッド21aと同じ材料で、ソースパッド21aと同時に形成される。OCパッド22、バリアメタル46bおよびNiSi膜41bは、電流センス部12のソース電極として機能する。
OCパッド22上に、ソースパッド21a上の配線構造と同じ配線構造で、端子ピン48bが接合される。端子ピン48bは、メイン半導体素子11の端子ピン48aよりも小さい直径を有する丸棒状の配線部材である。端子ピン48bは、例えばOCパッド22の電位を外部に取り出す外部接続用端子であり、外部の抵抗体(不図示)を介してOCパッド22を接地電位に接続する。符号47b,49b,50bは、それぞれOCパッド22上の配線構造を構成するめっき膜および第1,2保護膜である。
電流センス部12のすべてのp型領域(p型ベース領域34b、p++型コンタクト領域36b、第1,2p+型領域61b,62b)は、メイン半導体素子11のp型領域と同様にボロンを含んでいない。電流センス部12のゲート電極39b、層間絶縁膜40、めっき膜47b、および、端子ピン48bの表面めっき膜は、それぞれ、メイン半導体素子11のゲート電極39a、層間絶縁膜40、めっき膜47a、および端子ピン48aの表面めっき膜と同様に同じ材料で形成されている。
メイン有効領域1aのp型ベース領域34a、センス有効領域12aのp型ベース領域34b、および、中性子センス部15の後述するp型ベース領域34f(図4)は、半導体基板10の表面領域の図示省略するn-型領域により、素子分離のためのp型領域(不図示)と分離されている。素子分離のためのp型領域とは、エッジ終端領域2に活性領域1の周囲を囲む略矩形状に設けられ、n-型ドリフト領域32とのpn接合により、活性領域1とエッジ終端領域2とを電気的に分離するフローティングのp型領域である。
温度センス部13は、例えば、p型アノード領域であるp型ポリシリコン層81とn型カソード領域であるn型ポリシリコン層82とのpn接合で形成されたポリシリコンダイオードである(図4)。p型ポリシリコン層81およびn型ポリシリコン層82は、メイン無効領域1bにおいて、層間絶縁膜40上に設けられている。温度センス部13は、層間絶縁膜40により、半導体基板10、メイン半導体素子11、電流センス部12および中性子センス部15と電気的に絶縁されている。
アノードパッド23aおよびカソードパッド23bは、それぞれ、これらを覆う層間絶縁膜83の第3,4コンタクトホール83a,83bにおいてp型ポリシリコン層81およびn型ポリシリコン層82に接する。アノードパッド23aおよびカソードパッド23bは、例えば、ソースパッド21aと同じ材料で、ソースパッド21aと同時に形成される。アノードパッド23a上およびカソードパッド23b上には、それぞれ、ソースパッド21a上の配線構造と同じ配線構造で端子ピン48c,48dが接合されている。
端子ピン48c,48dは、それぞれアノードパッド23aおよびカソードパッド23bの電位を外部に取り出す外部接続用端子である。端子ピン48c,48dは、温度センス部13の電流能力に応じた所定の直径を有する丸棒状の配線部材である。符号47c,47dは、それぞれアノードパッド23a上の配線構造およびカソードパッド23b上の配線構造を構成するめっき膜である。符号49c,50cは、それぞれ温度センス部13上の配線構造を構成する第1,2保護膜である。
p型ポリシリコン層81は、ボロンを含まないポリシリコン層であり、例えばp型ドーパントとしてボロン以外のp型不純物(例えばアルミニウム)がドープされている。または、中性子センス部15に10Bが含まれる場合、p型ポリシリコン層81は、10Bよりも中性子吸収捕獲断面積の低い例えば11Bドープのポリシリコン層であってもよい。温度センス部13の層間絶縁膜40,83、めっき膜47c,47d、および、端子ピン48c,48dの表面めっき膜は、それぞれ、メイン半導体素子11の層間絶縁膜40、めっき膜47a、および、端子ピン48aの表面めっき膜と同じ材料で形成されている。
メイン無効領域1bには、電流センス部12、温度センス部13および後述する中性子センス部15の他に、ゲートパッド部14が設けられている。ゲートパッド部14は、メイン半導体素子11のゲートパッド21b(図1参照)が設けられた領域である(図3)。ゲートパッド部14に、メイン有効領域1aからメイン半導体素子11のMOSゲートが延在していてもよい。ゲートパッド部14における半導体基板10のおもて面全面が層間絶縁膜40で覆われている。
ゲートパッド21bは、メイン無効領域1bにおける層間絶縁膜40上に、他の電極パッドと離れて設けられている。ゲートパッド21bは、例えば、ソースパッド21aと同じ材料で、ソースパッド21aと同時に形成される。ゲートパッド21bと層間絶縁膜40との間にバリアメタル46eが設けられていてもよい。符号42e~45eは、それぞれバリアメタル46eを構成する第1TiN膜、第1Ti膜、第2TiN膜および第2Ti膜である。ゲートパッド21b上には、ソースパッド21a上の配線構造と同じ配線構造で、端子ピン48eが接合されている。
端子ピン48eは、ゲートパッド21bの電位を外部に取り出す外部接続用端子である。端子ピン48eは、ゲートパッド21bの電流能力に応じた所定の直径を有する丸棒状の配線部材である。符号47e,49e,50eは、それぞれゲートパッド21b上の配線構造を構成するめっき膜および第1,2保護膜である。ゲートパッド部14の層間絶縁膜40、めっき膜47e、および、端子ピン48eの表面めっき膜は、それぞれ、メイン半導体素子11の層間絶縁膜40、めっき膜47a、および、端子ピン48aの表面めっき膜と同じ材料で形成されている。
中性子センス部15は、メイン無効領域1bにおいて半導体基板10のおもて面側に、メイン半導体素子11のMOSゲートと同じ構成のp型ベース領域34f、n+型ソース領域35f、p++型コンタクト領域36f、トレンチ37f、ゲート絶縁膜38fおよびゲート電極39fで構成されたMOSゲートを有する。p型ベース領域34fは、半導体基板10のおもて面の表面領域のn-型領域32aにより、メイン半導体素子11のp型ベース領域34aおよび電流センス部12のp型ベース領域34bと分離されている。
中性子センス部15は、メイン半導体素子11と同様に、n型電流拡散領域33fおよび第1,2p+型領域61f,62fを有していてもよい。p++型コンタクト領域36fは、メイン半導体素子11と同様に、設けられていなくてもよい。すべてのゲート電極39fは、ゲートランナーを介してゲートパッド21b(図1参照)に電気的に接続されている。すべてのゲート電極39fは、層間絶縁膜60に覆われている。層間絶縁膜60には、n+型ソース領域35fおよびp++型コンタクト領域36fを露出する第5コンタクトホール60aが設けられている。
中性子センス部15において半導体基板10のおもて面には、メイン半導体素子11と同様に、NiSi膜41fおよびバリアメタル46fが設けられている。符号42f~45fは、それぞれバリアメタル46fを構成する第1TiN膜、第1Ti膜、第2TiN膜および第2Ti膜である。NiSi膜41fは、第5コンタクトホール60aの内部において半導体基板10にオーミック接触し、n+型ソース領域35fおよびp++型コンタクト領域36fに電気的に接続されている。
++型コンタクト領域36fが設けられていない場合、p++型コンタクト領域36fに代えて、p型ベース領域34fが第5コンタクトホール60aに露出され、NiSi膜41fに電気的に接続される。バリアメタル46fの表面全面に、ソースパッド24が設けられている。ソースパッド24は、バリアメタル46fおよびNiSi膜41fを介してn+型ソース領域35fおよびp型ベース領域34fに電気的に接続されている。ソースパッド24は、例えば、ソースパッド21aと同じ材料で、ソースパッド21aと同時に形成される。
ソースパッド24、バリアメタル46fおよびNiSi膜41fは、中性子センス部15のソース電極として機能する。ソースパッド24上に、めっき膜47fおよびはんだ層(不図示)を介して、端子ピン48fが接合されている。端子ピン48fは、メイン半導体素子11の端子ピン48aよりも小さい直径を有する丸棒状の配線部材である。端子ピン48fは、例えばソースパッド24の電位を外部に取り出す外部接続用端子である。符号47f,49f,50fは、それぞれソースパッド24上の配線構造を構成するめっき膜および第1,2保護膜である。
中性子センス部15がメイン半導体素子11と異なる点は、次の3点である。1つ目の相違点は、上述したように、ゲート電極39f、層間絶縁膜60、めっき膜47f、および、端子ピン48fの表面めっき膜(不図示)の少なくとも一つが中性子センス部15以外の半導体素子に含まれる元素よりも中性子吸収捕獲断面積の高い元素(ボロンまたは10B)を含んでいる点である。ソースパッド24上の配線構造は、めっき膜47f、および、端子ピン48fの表面めっき膜の材料が異なる以外はソースパッド21a上の配線構造と同じである。
具体的には、ゲート電極39fは、ボロンまたは10Bを含んだポリシリコン層である。層間絶縁膜60は、BPSGもしくはBSG、または、10BPSG(Boron-10 doped PSG)もしくは10BSG(Boron-10 doped Silicate Glass)である。めっき膜47fは、ニッケル(Ni)-ボロン(B)めっき膜、または、10Bを含むNi-10Bめっき膜である。端子ピン48fの表面めっき膜は、Ni-Bめっき膜またはNi-10Bめっき膜である。
2つ目の相違点は、中性子センス部15のゲート閾値電圧がメイン半導体素子11のゲート閾値電圧および電流センス部12のゲート閾値電圧よりも高い点である。3つ目の相違点は、中性子センス部15のオン抵抗がメイン半導体素子11のオン抵抗および電流センス部12のオン抵抗よりも高い点である。中性子センス部15は、1つ目の相違点を備えることによって中性子センス部15以外の半導体素子よりも中性子に対する反応感度が高くなっており、特に10Bを含むことで中性子に対する反応感度がさらに高くなる。なお、2つ目および3つ目の相違点は必須ではない。例えば、1つ目の相違点だけある中性子センス部15として、当該中性子センス部15を電流センス部12と兼ねることも可能である。
半導体基板10に中性子が入射されたとき、中性子センス部15に含まれるボロン(または10B)が中性子を吸収してリチウム(Li)に核変換し、かつHe(α線)が生成され放出されるため(例えば上記(1)式または上記(2)式参照)、中性子センス部15にα線が入射される。このα線を、中性子センス部15によって上記2つ目または上記3つ目の相違点を利用して後述するように検知することで、半導体基板10に中性子が入射されたことを判定することができる。
実施の形態1にかかる半導体装置20の動作について説明する。メイン半導体素子11のソース電極(ソースパッド21a)に対して正の電圧(順方向電圧)がドレイン電極51に印加された状態で、メイン半導体素子11のゲート電極39aにゲート制御部(不図示:例えばメイン半導体素子11を保護・制御するための回路部として配置)からゲート閾値電圧以上の電圧が印加されると、メイン半導体素子11のp型ベース領域34aのトレンチ37aに沿った部分にチャネル(n型の反転層)が形成される。それによって、メイン半導体素子11のn+型ドレイン領域31からn+型ソース領域35aへ向かって電流が流れ、メイン半導体素子11がオンする。
メイン半導体素子11と同じ条件で、電流センス部12のソース電極(OCパッド22)に対して正の電圧(順方向電圧)がドレイン電極51に印加された状態で、電流センス部12のゲート電極39bにゲート制御部からゲート閾値電圧以上の電圧が印加されると、電流センス部12のp型ベース領域34bのトレンチ37bに沿った部分にチャネル(n型の反転層)が形成される。それによって、電流センス部12のn+型ドレイン領域31からn+型ソース領域35bへ向かって電流(以下、センス電流とする)が流れ、電流センス部12がオンする。
メイン半導体素子11のオン時に、電流センス部12をオンさせた状態とする。電流センス部12にセンス電流が流れることで、電流センス部12のn+型ソース領域35bと接地点との間に接続された抵抗体(不図示)で電圧降下が生じる。メイン半導体素子11に流れる電流の大きさに応じて電流センス部12のセンス電流が大きくなるため、当該抵抗体での電圧降下も大きくなる。したがって、この抵抗体での電圧降下の大きさを監視することで、メイン半導体素子11での過電流を検知可能である。
また、メイン半導体素子11は、ゲート電極39aにゲート閾値電圧未満の電圧が印加されたときに、第1,2p+型領域61a,62aとn型電流拡散領域33aおよびn-型ドリフト領域32とのpn接合が逆バイアスされることで、オフ状態を維持する。電流センス部12についても、メイン半導体素子11と同様に、ゲート電極39bにもゲート閾値電圧未満の電圧が印加され、電流センス部12は、第1,2p+型領域61b,62bとn型電流拡散領域33bおよびn-型ドリフト領域32とのpn接合が逆バイアスされることで、オフ状態を維持する。
このメイン半導体素子11や電流センス部12などの、中性子センス部15以外の半導体素子は、上述したようにボロンを含んでいないか、または中性子センス部15に含まれる元素(例えば10B)よりも中性子吸収捕獲断面積の低い元素(例えば11B)を含んでいる。中性子センス部15以外の半導体素子に中性子が入射されると、半導体素子に含まれる元素の中性子吸収捕獲断面積に応じて、中性子の核反応が所定の割合で起こってα線が生成され、当該α線の入射箇所で半導体素子の劣化や破壊が生じる。
一方、中性子センス部15は、ボロンまたは10Bが積極的に導入されていることで、同一の半導体基板10に作製される他の半導体素子よりも中性子に対する反応感度が高くなっている。このため、半導体基板10において中性子センス部15の形成領域に、中性子センス部15以外の半導体素子の形成領域と比べて高い割合でボロン(または10B)と中性子との核反応が起こり、中性子センス部15に高い割合で当該中性子の核反応により生成されたα線が入射される。
したがって、上述したように、中性子センス部15のゲート閾値電圧を、メイン半導体素子11のゲート閾値電圧および電流センス部12のゲート閾値電圧よりも高い設定にする。もしくは、中性子センス部15のオン抵抗を、メイン半導体素子11のオン抵抗および電流センス部12のオン抵抗よりも高い設定にする。または、中性子センス部15は、これら両方の設定を満たす。このように、中性子センス部15は、メイン半導体素子11および電流センス部12の正常動作時に動作しない程度に高抵抗に設定される。
このように他の半導体素子の正常動作時に動作しない中性子センス部15の電気的特性の変化量を監視することで、中性子を要因として問題が生じたことを容易に確認することができる。このため、中性子センス部15は、ソース電極(ソースパッド24)に対して正の電圧(順方向電圧)をドレイン電極51に印加した状態で、ゲート電極39fをオープン(開放)にしてオンしない状態とするか、またはゲート電極39fに負の電圧を印加して電流を流さない状態としておくことで、オフ状態を維持しておく。
中性子に起因して生成されたα線の入射箇所において半導体基板10の内部に、電荷(ホール・エレクトロンペア(e+-))が発生する。中性子センス部15に含まれるボロン(または10B)と中性子との核反応により生成されたα線は中性子センス部15の形成領域において半導体基板10に入射されるため、中性子センス部15の形成領域において半導体基板10の内部に電荷が発生する。このとき、α線の入射により発生した電荷の電子(エレクトロン(e-))が中性子センス部15のゲート絶縁膜38fに蓄積される。
ソース・ドレイン間に順方向電圧を印加した中性子センス部15のゲート絶縁膜38fに電子が蓄積されると、p型ベース領域34fのゲート絶縁膜38fに沿った部分にチャネル(n型の反転層)が形成されてオン状態となったり、ドレイン・ソース間に電流が流れやすくなる。このため、中性子センス部15のゲート印加電圧の変化量や、中性子センス部15やメイン半導体素子11のドレイン・ソース間に流れる電流の変化量により、α線の入射の有無を検知することができる。
具体的には、中性子センス部15のゲート印加電圧の変化量を用いる場合(以下、第1検知方法とする)、例えば、外部電源による図示省略するIC(Integrated Circuit:集積回路)を用いて、中性子センス部15のゲート印加電圧を監視する。そして、中性子センス部15のゲート印加電圧が低くなり、当該ゲート印加電圧の実測値と中性子センス部15の予め取得したゲート閾値電圧(基準値)との差分(変化量)により、中性子の入射の有無を検知することができる。
ドレイン・ソース間のドリフト電流の変化量を用いる場合、次の2つの方法(以下、第2,3検知方法とする)が挙げられる。第2検知方法においては、例えば、外部電源による図示省略するICを用いて、中性子センス部15のオン抵抗を監視する。そして、中性子センス部15のオン抵抗が小さくなり、中性子センス部15のオン抵抗の実測値と予め取得したオン抵抗の基準値(設計値)と、の差分(変化量)により、中性子の入射の有無を検知することができる。
第3検知方法においては、例えば、外部電源による図示省略するICを用いて、メイン半導体素子11のソース電極(ソースパッド21a)と接地点との間に抵抗体を接続し、オン状態のメイン半導体素子11のドレイン・ソース間電流が当該抵抗体(不図示)を流れた時に生じる電圧降下を監視する。そして、当該抵抗体での電圧降下が大きくなり、その抵抗体での電圧降下の実測値と、予め取得したメイン半導体素子11の通常動作時のドレイン・ソース間電流による当該抵抗体での電圧降下の基準値と、の差分(変化量)により、中性子の入射の有無を検知することができる。
中性子センス部15のドレイン・ソース間のリーク電流の変化量を用いる場合(以下、第4検知方法とする)、α線の入射により発生した電荷の正孔(ホール(e+))により、オフ状態の中性子センス部15において、アバランシェ降伏の発生箇所からソースパッド24へ向かって流れ込む正孔電流(以下、リーク電流とする)が増加する。このリーク電流量と、予め取得したα線の悪影響のない通常のアバランシェ降伏によるリーク電流量(基準値)と、の差分(変化量)により、中性子の入射の有無を検知することができる。
例えばメイン半導体素子11をインバータ用デバイスとして用いる場合、メイン半導体素子11はインバータ動作時に高電圧および大電流の条件でスイッチングされる。メイン半導体素子11のターンオフ時、n-型ドリフト領域32内には空乏層が広がっている。n-型ドリフト領域32に空乏層が広がっているときに、n-型ドリフト領域32にα線が照射されると、n-型ドリフト領域32内に過剰に電荷(ホール・エレクトロンペア(e+-))が発生し、アバランシェ降伏によるリーク電流が増加する。
シリコンを構成材料とする半導体装置では、200℃以上の高温動作になると自身に流れるリーク電流で寄生素子がオンして破壊に至る。それに対して、炭化珪素を構成材料とする半導体装置においては、上述したようにシリコンと比べて炭化珪素のバンドギャップが約3倍広いため、400℃程度までリーク電流が増加しない。このため、炭化珪素を構成材料とする半導体装置に上記第4検知方法を適用することで、シリコンを構成材料とする半導体装置よりもリーク電流の変化量を精度よく検知することができる。
上記第1~4検知方法のいずれの方法を用いた場合においても、実測値との比較データ(基準値)を予め取得して記憶手段(不図示)に記憶させておく。そして、判定部(不図示:例えばメイン半導体素子11を保護・制御するための回路部として配置)によって、実測値を読み込んで、記憶手段に予め記憶させた基準値と比較する。実測値と基準値との差分(変化量)が許容範囲を超えたときに、判定部によって、半導体基板10に中性子に起因して生成されたα線が入射されたと判定してアラームを発生させて、ゲート制御部によるメイン半導体素子へのゲート電圧の供給を停止してメイン半導体素子11の動作を停止させる。また、中性子センス部15を電流センス部12と兼ねる場合、電流センス部12の破壊を検知した場合に中性子が入射したものと判断し、メイン半導体素子11の動作を停止されればよい。
中性子センス部15の検知結果に基づいてメイン半導体素子11の動作を停止させることで、半導体基板10に作製されたすべての半導体素子や、当該半導体基板10を実装した半導体装置ユニットを中性子から保護することができる。または、上述したように他の半導体素子よりも中性子に対する反応感度が高い中性子センス部15が破壊に至った場合に、メイン半導体素子11の破壊の原因がメイン半導体素子11の構造上の問題によるものではなく、中性子によるものと瞬時に判断することができる。
なお、本実施の形態で説明した差分の算出処理は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラム等は、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD-ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
次に、実施の形態1にかかる半導体装置20の製造方法について説明する。図5~10は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。図5~10には、メイン半導体素子11のみを示すが、同一の半導体基板10に作製されるすべての半導体素子(図1~5を参照)の各部はメイン半導体素子11の各部と同じ不純物濃度および深さの各部と同時に形成される。
まず、図5に示すように、炭化珪素からなるn+型出発基板(半導体ウエハ)71として、例えば窒素(N)ドープの炭化珪素単結晶基板を用意する。次に、n+型出発基板71のおもて面に、n+型出発基板71よりも低濃度に窒素がドープされたn-型炭化珪素層72をエピタキシャル成長させる。メイン半導体素子11が耐圧3300Vクラスである場合、n-型炭化珪素層72の厚さt1は、例えば30μm程度であってもよい。
次に、図6に示すように、フォトリソグラフィおよびボロン(B)以外の例えばAl等のp型不純物のイオン注入により、メイン有効領域1aにおいてn-型炭化珪素層72の表面領域に、第1p+型領域61aおよびp+型領域91をそれぞれ選択的に形成する。第1p+型領域61aおよびp+型領域91は、例えば、第1方向Xに交互に繰り返し配置され、第2方向Yにストライプ状に延在する(横方向:図2~4参照)。
次に、フォトリソグラフィおよび例えば窒素等のn型不純物のイオン注入により、メイン有効領域1aの全域にわたってn-型炭化珪素層72の表面領域にn型領域92を形成する。n型領域92は、第1p+型領域61aとp+型領域91との間に、これらp+型領域61a,91に接して形成される。n型領域92と、p+型領域61a,91と、の形成順序を入れ替えてもよい。
互いに隣り合うp+型領域61a,91間の距離d2は例えば1.5μm程度である。p+型領域61a,91は、例えば深さd1および不純物濃度がそれぞれ0.5μm程度および5.0×1018/cm3程度である。n型領域92の深さd3および不純物濃度は、例えば、それぞれ0.4μm程度および1.0×1017/cm3程度である。n-型炭化珪素層72の、イオン注入されていない部分がn-型ドリフト領域32となる。
次に、図7に示すように、n-型炭化珪素層72上にさらに例えば窒素等のn型不純物をドープしたn-型炭化珪素層を例えば0.5μm程度の厚さt2でエピタキシャル成長させて、n-型炭化珪素層72の厚さを厚くする。これによって、n-型炭化珪素層72の厚さが所定厚さになる。n-型炭化珪素層72の厚さを増した部分72aの不純物濃度は、例えば3×1015/cm3であってもよい。
次に、フォトリソグラフィおよびボロン以外の例えばAl等のp型不純物のイオン注入により、n-型炭化珪素層72の厚さを増した部分72aに、p+型領域91に達するp+型領域93を選択的に形成する。次に、フォトリソグラフィおよび例えば窒素などのn型不純物のイオン注入により、n-型炭化珪素層72の厚さを増した部分72aに、n型領域92に達するn型領域94を選択的に形成する。
これによって、深さ方向Zに隣接するp+型領域91,93同士が連結されて第2p+型領域62aが形成される。深さ方向Zに隣接するn型領域92,94同士が連結されてn型電流拡散領域33aが形成される。p+型領域93およびn型領域94の不純物濃度等の条件は、例えばそれぞれp+型領域91およびn型領域92と同様である。p+型領域93とn型領域94との形成順序を入れ替えてもよい。
次に、図8に示すように、n-型炭化珪素層72上に、ボロン以外の例えばAl等のp型不純物をドープしたp型炭化珪素層73をエピタキシャル成長させる。p型炭化珪素層73の厚さt3および不純物濃度は、例えば、それぞれ1.3μm程度および4.0×1017/cm3程度である。ここまでの工程により、n+型出発基板71上にn-型炭化珪素層72およびp型炭化珪素層73を順に積層した半導体基板10(半導体ウエハ)が作製される。
次に、フォトリソグラフィおよびリン(P)等のn型不純物のイオン注入により、メイン有効領域1aにおいてp型炭化珪素層73の表面領域に、n+型ソース領域35aを選択的に形成する。次に、フォトリソグラフィおよびボロン以外の例えばAl等のp型不純物のイオン注入により、メイン有効領域1aにおいてp型炭化珪素層73の表面領域に、p++型コンタクト領域36aを選択的に形成する。
メイン有効領域1aにおいてp型炭化珪素層73の表面領域の全面にn+型ソース領域35aを形成し、n+型ソース領域35aの一部をp型にしてp++型コンタクト領域36aとしてもよい。p型炭化珪素層73の、n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aとn-型炭化珪素層72との間の部分がp型ベース領域34aとなる。n+型ソース領域35aとp++型コンタクト領域36aとの形成順序を入れ替えてもよい。
次に、イオン注入で形成した拡散領域(第1,2p+型領域61a,62a、n型電流拡散領域33a、n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36a)について、例えば1700℃程度の温度で2分間程度の熱処理(活性化アニール)により不純物活性化を行う。活性化アニールは、すべての拡散領域の形成後にまとめて1回行ってもよいし、イオン注入により拡散領域を形成するごとに行ってもよい。
また、電流センス部12、中性子センス部15、過電圧保護部(不図示)および演算回路部(不図示)等の各拡散領域を、メイン半導体素子11の拡散領域と同じ不純物濃度や深さの拡散領域と同時に形成する。したがって、メイン半導体素子11の拡散領域と同時に、メイン半導体素子11と同一構成の単位セルを備えた電流センス部12および中性子センス部15の各拡散領域が形成される。
メイン半導体素子11、電流センス部12および中性子センス部15は、それぞれ、半導体基板10のおもて面の表面領域に互いに離れて形成された島状のp型ベース領域34a,34b,34fに配置する。メイン半導体素子11、電流センス部12および中性子センス部15は、それぞれ、p型ベース領域34a,34b,34fとn-型ドリフト領域32とのpn接合により互いに分離される。
次に、図9に示すように、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、メイン有効領域1aにおいて、半導体基板10のおもて面からn+型ソース領域35aおよびp型ベース領域34aを貫通してn型電流拡散領域33aに達し、第1p+型領域61aの内部で終端するトレンチ37aを形成する。
次に、図10に示すように、半導体基板10のおもて面およびトレンチ37aの内壁に沿ってゲート絶縁膜38aを形成する。ゲート絶縁膜38aは、例えば、酸素(O2)雰囲気中において1000℃程度の温度で半導体表面を熱酸化することで形成した熱酸化膜であってもよいし、高温酸化(HTO:High Temperature Oxide)による堆積膜であってもよい。
次に、トレンチ37aの内部に埋め込むように、半導体基板10のおもて面に、ボロン以外のp型不純物がドープされたポリシリコン層、またはリン等のn型不純物がドープされたポリシリコン層を堆積する。次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、当該ポリシリコン層を選択的に除去して、ポリシリコン層の、ゲート電極39aとなる部分のみをトレンチ37aの内部に残す。
また、メイン半導体素子11のトレンチ37a、ゲート絶縁膜38aおよびゲート電極39aとそれぞれ同時に、メイン無効領域1bのセンス有効領域12aに、電流センス部12のトレンチ37b、ゲート絶縁膜38bおよびゲート電極39bを形成する。過電圧保護部および演算回路部等のトレンチ、絶縁膜およびポリシリコン層を、それぞれ、メイン半導体素子11のトレンチ37a、ゲート絶縁膜38aおよびゲート電極39aと同時に形成してもよい。
次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、メイン無効領域1bにおいて、半導体基板10のおもて面からn+型ソース領域35fおよびp型ベース領域34fを貫通してn型電流拡散領域33fに達し、第1p+型領域61fの内部で終端するトレンチ37fを形成する。次に、例えばメイン半導体素子11のゲート絶縁膜38aの形成と同様の方法で、半導体基板10のおもて面およびトレンチ37fの内壁に沿ってゲート絶縁膜38fを形成する。
次に、一般的な原料ガスに11Bまたは10Bを添加したガスを用いて、トレンチ37fの内部に埋め込むように、半導体基板10のおもて面に、ボロンドープまたは10Bドープのポリシリコン層を堆積する。次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、当該ポリシリコン層を選択的に除去して、ポリシリコン層の、ゲート電極39fとなる部分のみをトレンチ37fの内部に残す。
メイン無効領域1bの、中性子センス部15の形成領域を除く部分において、半導体基板10のおもて面全面に、ボロンを含まない層間絶縁膜40を形成する。次に、メイン無効領域1bの、中性子センス部15の形成領域において、半導体基板10のおもて面全面に、ボロンまたは10Bを含んだ層間絶縁膜60を形成する。温度センス部13は、所定のタイミングで層間絶縁膜40上にp型ポリシリコン層81およびn型ポリシリコン層82(図4参照)を形成して、層間絶縁膜83で覆えばよい。
次に、深さ方向Zに層間絶縁膜40およびゲート絶縁膜38aを貫通する第1~4コンタクトホール40a,40b,83a,83bを形成する。次に、深さ方向Zに層間絶縁膜60およびゲート絶縁膜38fを貫通する第5コンタクトホール60aを形成する。第1コンタクトホール40aには、メイン半導体素子11のn+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aを露出させる。
第2コンタクトホール40bには、電流センス部12のn+型ソース領域35bおよびp++型コンタクト領域36bを露出させる。第3,4コンタクトホール83a,83bには、それぞれ、温度センス部13のp型ポリシリコン層81およびn型ポリシリコン層82を露出させる。第5コンタクトホール60aには、それぞれ、中性子センス部15のn+型ソース領域35fおよびp++型コンタクト領域36fを露出させる。次に、熱処理により層間絶縁膜40,60,83を平坦化(リフロー)する。
次に、層間絶縁膜40のみを覆う第1TiN膜42aを形成する。次に、半導体基板10のおもて面の、第1コンタクトホール40aに露出される部分にNiSi膜41aを形成する。次に、NiSi膜41aおよび第1TiN膜42aを覆うように、第1Ti膜43a、第2TiN膜44aおよび第2Ti膜45aを順に積層してバリアメタル46aを形成する。次に、第2Ti膜45a上にソースパッド21aを堆積する。
また、第2コンタクトホール40b内にも、NiSi膜41aおよびバリアメタル46aと同時にそれぞれと同じ構成でNiSi膜41bおよびバリアメタル46bを形成する。第5コンタクトホール60a内にも、NiSi膜41aおよびバリアメタル46aと同時にそれぞれと同じ構成でNiSi膜41fおよびバリアメタル46fを形成する。
また、第2~5コンタクトホール40b,83a,83b,60a内のそれぞれに、ソースパッド21aと同時に、ソースパッド21aと同じ構成で、OCパッド22、アノードパッド23a、カソードパッド23bおよびソースパッド24を形成する。また、半導体基板10の裏面にオーミック接触するドレイン電極51を形成し、ドレイン電極51の表面に例えばTi膜、Ni膜および金(Au)膜を順に積層してドレインパッド(不図示)を形成する。
次に、半導体基板10のおもて面にポリイミドからなる第1保護膜49a~49fを選択的に形成し、これら第1保護膜49a~49fの開口部にそれぞれ異なる各電極パッド21a,21b,22,23a,23b,24を露出させる。次に、一般的なめっき前処理後に、一般的なめっき処理により、電極パッド21a,21b,22,23a,23bの、第1保護膜49a~49eの開口部に露出する部分に、ボロンを含まないめっき膜47a~47eを形成する。
次に、一般的なめっき前処理後に、一般的なめっき処理により、中性子センス部15のソースパッド24の、第1保護膜49fの開口部に露出する部分に、ボロンまたは10Bを含んだめっき膜47fを形成する。次に、めっき膜47a~47fを乾燥させるための熱処理(ベーク)を行う。次に、ポリイミドからなる第2保護膜50a~50fを形成し、めっき膜47a~47fと第1保護膜49a~49fとの各境界を覆う。
次に、ポリイミド膜(第1保護膜49a~49fおよび第2保護膜50a~50f)の強度を向上させるための熱処理(キュア)を行う。次に、めっき膜47a~47e上に、それぞれ、ボロンを含まない表面めっき膜で覆われた端子ピン48a~48eをはんだ接合する。めっき膜47f上に、ボロンまたは10Bを含んだ表面めっき膜で覆われた端子ピン48fをはんだ接合する。
その後、半導体基板10(半導体ウエハ)をダイシング(切断)して個々のチップ状に個片化することで、図1~4に示す半導体装置20が完成する。
以上、説明したように、実施の形態1によれば、中性子センス部はメイン半導体素子と同一構成の単位セルを備え、かつゲート電極、層間絶縁膜、めっき膜、および、端子ピンの表面めっき膜の少なくとも一つで、同一の半導体基板に作製された他の半導体素子に含まれる元素よりも中性子吸収捕獲断面積の高い元素(ボロンまたは10B)を含んでおり、他の半導体素子よりも中性子に対する反応感度が高くなっている。このため、半導体基板において中性子センス部の形成領域に高い割合でα線が生成され入射される。
また、中性子センス部は、メイン半導体素子およびメイン半導体素子と同一構成の単位セルを備えた電流センス部と比べて、ゲート閾値電圧およびオン抵抗が高く設定されている。それに加えて、中性子センス部は、ソース・ドレイン間に順方向電圧を印加し、かつオフ状態に維持されている。これによって、半導体基板にα線が入射されたときに、中性子センス部がオン状態になったり、メイン半導体素子および電流センス部と比べて中性子センス部のドレイン・ソース間に電流が流れやすくなる。
したがって、中性子センス部のゲート印加電圧の変化量や、中性子センス部やメイン半導体素子のドレイン・ソース間に流れる電流の変化量を監視することにより、α線の入射の有無を検知することができる。そして、中性子センス部によってα線の入射を検知した場合に、メイン半導体素子の動作を停止させることで、α線を原因としてメイン半導体素子の破壊が生じることを防止することができる。このため、宇宙線や二次宇宙線に対する信頼性を向上させることができる。
また、中性子センス部は、上述したように同一の半導体基板に作製された他の半導体素子よりも中性子に対する反応感度が高い。このため、中性子センス部の破壊を確認することで、中性子センス部以外の半導体素子の破壊の原因が当該半導体素子の構造上の問題によるものではなく、中性子によるものであると瞬時に判断することができる。したがって、中性子センス部以外の半導体素子の宇宙線に対する信頼性を向上させることができる。また、半導体素子の破壊の原因を調査するための時間やコストを削減することができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる半導体装置について説明する。図11,12は、実施の形態2にかかる半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトの一例を示す平面図である。図11,12に示す実施の形態2にかかる半導体装置20’が実施の形態1にかかる半導体装置20(図1参照)と異なる点は、同一の半導体基板10の活性領域1に、メイン半導体素子11、電流センス部12および中性子センス部15のみを備える点である。
実施の形態2においては、メイン無効領域1bにゲートパッド21b、OCパッド22および中性子センス部15の電極パッド(ソースパッド24)のみが配置されている。このため、メイン半導体素子11と同一の半導体基板10に、メイン半導体素子11を保護・制御するための回路部として、電流センス部12および中性子センス部15とともに、電流センス部12および中性子センス部15以外の高機能部も配置されている場合と比べて、メイン無効領域1bの表面積が小さくなっている。
メイン有効領域1a’の平面形状は、例えば略矩形状の平面形状のメイン無効領域1bの2辺を囲むL字状であってもよい。ゲートパッド21bおよび中性子センス部15の電極パッドが配置されるメイン無効領域1b’と、OCパッド22が配置されるメイン無効領域1b’と、が互いに離れて配置されていてもよい(図12)。この場合、互いに隣り合うメイン無効領域1b’の間の部分1cに、メイン半導体素子11の単位セルが配置されてもよい。
以上、説明したように、実施の形態2によれば、同一の半導体基板の活性領域にメイン半導体素子、電流センス部および中性子センス部のみを備える場合においても、実施の形態1~3と同様の効果を得ることができる。
以上において本発明は、上述した各実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。また、炭化珪素を半導体材料にすることに代えて、炭化珪素以外のワイドバンドギャップ半導体やシリコンを半導体材料とした場合においても本発明を適用可能である。シリコンを半導体材料とした場合、一般的に11Bのイオン注入によりp型領域が形成されるため、中性子センス部以外の半導体素子は10Bを含まない構成とし、中性子センス部は10Bを含んだ構成とすればよい。また、本発明は、導電型(n型、p型)を反転させても同様に成り立つ。
以上のように、本発明にかかる半導体装置は、CMOS構造の半導体メモリ等の半導体装置を構成する半導体素子や、高電圧や大電流を制御するパワー半導体装置を構成するMOSFETやIGBT、ダイオードなどの半導体素子に有用である。
1 活性領域
1a,1a’ メイン有効領域
1b,1b’ メイン無効領域
1c 互いに隣り合うメイン無効領域の間の部分
2 エッジ終端領域
10 半導体基板
11 メイン半導体素子
12 電流センス部
12a センス有効領域
12b センス無効領域
13 温度センス部
14 ゲートパッド部
15 中性子センス部
20,20’ 半導体装置
21a,24 ソースパッド(電極パッド)
21b ゲートパッド(電極パッド)
22 OCパッド(電極パッド)
23a アノードパッド(電極パッド)
23b カソードパッド(電極パッド)
31 n+型ドレイン領域
32 n-型ドリフト領域
32a n-型領域
33a,33b,33f n型電流拡散領域
34a,34b,34f p型ベース領域
35a,35b,35f n+型ソース領域
36a,36b,36f p++型コンタクト領域
37a,37b,37f トレンチ
38a,38b,38f ゲート絶縁膜
39a,39b,39f ゲート電極
40,60,83 層間絶縁膜
40a,40b,60a,83a,83b コンタクトホール
41a,41b,41f NiSi膜
42a,42b,42e,42f 第1TiN膜
43a,43b,43e,43f 第1Ti膜
44a,44b,44e,44f 第2TiN膜
45a,45b,45e,45f 第2Ti膜
46a,46b,46e,46f バリアメタル
47a~47f めっき膜
48a~48f 端子ピン
49a~49f 第1保護膜
50a~50f 第2保護膜
51 ドレイン電極
61a,61b,61f,62a,62b,62f,91,93 p+型領域
71 n+型出発基板
72 n-型炭化珪素層
72a n-型炭化珪素層の厚さを増した部分
73 p型炭化珪素層
81 p型ポリシリコン層
82 n型ポリシリコン層
92,94 n型領域
d1 p+型領域の深さ
d2 互いに隣り合うp+型領域間の距離
d3 n型領域の深さ
t1 n-型炭化珪素層の、n+型出発基板上に最初に積層する厚さ
t2 n-型炭化珪素層の、厚さを増した部分の厚さ
t3 p型炭化珪素層の厚さ
X 半導体基板のおもて面に平行な方向(第1方向)
Y 半導体基板のおもて面に平行でかつ第1方向と直交する方向(第2方向)
Z 深さ方向

Claims (17)

  1. シリコンよりもバンドギャップの広い半導体からなる半導体基板と、
    前記半導体基板に互いに離れて設けられ、かつ同じセル構造を有する複数の絶縁ゲート型電界効果トランジスタと、
    前記半導体基板の第1主面に、前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタごとに設けられ、対応する前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタに電気的に接続された複数の電極パッドと、
    前記電極パッドごとに設けられ、対応する前記電極パッドにそれぞれめっき膜を介して接合され当該電極パッドの電位を取り出す複数の端子ピンと、
    前記端子ピンの表面を覆う表面めっき膜と、
    を備え、
    複数の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの1つは、前記半導体基板に入射された中性子の核反応により生成されるα線を検出する中性子センス部であり、
    前記半導体基板の第1主面と前記電極パッドとの間に、前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタを覆う第1層間絶縁膜が設けられ、
    前記半導体基板の第1主面と前記電極パッドとの間に、前記中性子センス部を覆う第2層間絶縁膜が設けられ、
    前記中性子センス部のゲート電極、前記第2層間絶縁膜、前記めっき膜、および、前記端子ピンの前記表面めっき膜の少なくとも一つは、前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタに含まれる元素よりも中性子吸収捕獲断面積の高い元素を含んでいることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記中性子センス部のゲート電極、前記第2層間絶縁膜、前記めっき膜、および、前記端子ピンの前記表面めっき膜の少なくとも一つはボロンを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記中性子センス部のゲート電極、前記第2層間絶縁膜、前記めっき膜、および、前記端子ピンの前記表面めっき膜の少なくとも一つは質量数10のボロンを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  4. 前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタは質量数10のボロンを含んでいないことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の半導体装置。
  5. 前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタは質量数11のボロンを含んでいることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
  6. 前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの前記めっき膜は、ニッケルめっき膜またはニッケル-リンめっき膜であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の半導体装置。
  7. 前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの前記端子ピンの前記表面めっき膜はニッケル-リンめっき膜であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の半導体装置。
  8. 前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの一つは、主動作を行うメイン半導体素子であり、
    前記中性子センス部のゲート閾値電圧は、前記メイン半導体素子のゲート閾値電圧よりも高いことを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の半導体装置。
  9. 前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの一つは、主動作を行うメイン半導体素子であり、
    前記中性子センス部のオン抵抗は、前記メイン半導体素子のオン抵抗よりも高いことを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の半導体装置。
  10. 前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの一つは、前記メイン半導体素子に流れる過電流を検出する電流センス部であり、
    前記中性子センス部のゲート閾値電圧は、前記電流センス部のゲート閾値電圧よりも高いことを特徴とする請求項8または9に記載の半導体装置。
  11. 前記中性子センス部以外の前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタの一つは、前記メイン半導体素子に流れる過電流を検出する電流センス部であり、
    前記中性子センス部のオン抵抗は、前記電流センス部のオン抵抗よりも高いことを特徴とする請求項8または9に記載の半導体装置。
  12. 前記中性子センス部は、順方向電圧が印加され、かつオフ状態に維持されていることを特徴とする請求項8~11のいずれか一つに記載の半導体装置。
  13. 前記半導体基板に前記α線が入射されたか否かを判定する判定部と、
    前記メイン半導体素子にゲート電圧を供給するゲート制御部と、
    をさらに備え、
    前記判定部によって前記半導体基板に前記α線が入射されたと判定されたときに、前記ゲート制御部による前記メイン半導体素子へのゲート電圧の供給を停止することを特徴とする請求項8~12のいずれか一つに記載の半導体装置。
  14. 前記判定部は、前記中性子センス部がオン状態となったときに、前記半導体基板に前記α線が入射されたと判定することを特徴とする請求項13に記載の半導体装置。
  15. 前記判定部は、前記中性子センス部に印加されるゲート電圧とゲート閾値電圧との差分が許容範囲を超えたときに、前記半導体基板に前記α線が入射されたと判定することを特徴とする請求項13に記載の半導体装置。
  16. 前記判定部は、オフ状態の前記中性子センス部のドレイン・ソース間に流れるリーク電流量と、予め取得したリーク電流量の基準値と、の差分が許容範囲を超えたときに、前記半導体基板に前記α線が入射されたと判定することを特徴とする請求項13に記載の半導体装置。
  17. 前記判定部は、オン状態の前記メイン半導体素子のドレイン・ソース間に流れる電流量と、予め取得した通常オン動作時に前記メイン半導体素子のドレイン・ソース間に流れる電流量の基準値と、の差分が許容範囲を超えたときに、前記半導体基板に前記α線が入射されたと判定することを特徴とする請求項13に記載の半導体装置。
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