JP7427905B2 - 判別システム、および判別方法 - Google Patents

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Description

本発明は、判別装置、判別システム、および判別方法に関する。
近年、カラー印刷業界においては、電子写真方式のプリンター等の画像形成装置が広く活用されてきている。カラー印刷業界に対応するPP(プロダクションプリント)の分野では、オフィスで用いられる場合に比べて多様な用紙への適応が求められる。そして、これらの多様な用紙に対して高品質な印刷を行うために、給紙トレイに収容している用紙特性を複数項目で設定し、設定した項目に応じた画像形成条件で印刷を行う画像形成装置がある。
このような多様な用紙の設定を行うために、印刷に使用される用紙の特性を、自動的に検出するセンサーを備える画像形成装置がある。例えば、特許文献1では、用紙の物性値を検知した複数の検知出力量(信号強度)から平滑度を求める演算式を1次の回帰式として予め求めておき、その演算式を用いて平滑度を算出して紙種の判別を行うことが提案されている。また、上記の技術では、予め画像形成装置に記憶されている紙種データベース(ペーパープロファイル)の中から、検出された用紙の物性値および平滑度の値と、登録されている物性値および平滑度の値が最も近い紙種(銘柄)の候補が割り出されて表示される。
特開2017-223692号公報
しかしながら、上記特許文献1の技術では、予め記憶された紙種データベースに登録のない新しい用紙に対しては紙種(銘柄)の候補を割り出すことが出来ないという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、予め登録されていない種類の用紙に対しても、適切に紙種を判別することができる判別装置、判別システム、および判別方法を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
(1A)光源より光学系を介して記録媒体に所定の入射角で照射され、前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値と、前記記録媒体の表面で少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値と、前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値と、を取得する取得部と、
機械学習を行うことによって紙種判別用の学習済みモデルを生成する学習部と、
前記取得部によって取得された各値を、機械学習された前記学習済みモデルに入力して前記記録媒体の種別を判別する判別部と、
前記判別部による判別結果を出力する出力部と、
前記判別結果を変更するためのユーザーからの指示を受け付ける受付部と、
前記機械学習を実行するための教師データを記憶する記憶部と、を有し、
前記学習部は、変更された前記判別結果と、前記判別結果を得るために前記学習済みモデルに入力された情報とを含む変更情報を前記教師データとして用いて、前記学習済みモデルをさらに機械学習させる、判別システム。
(1B)光源より光学系を介して記録媒体に所定の入射角で照射され、前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値と、前記記録媒体の表面で少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値と、前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値と、を取得する取得部と、
機械学習を行うことによって紙種判別用の学習済みモデルを生成する学習部と、
前記取得部によって取得された各値を、機械学習された前記学習済みモデルに入力して前記記録媒体の種別を判別する判別部と、を有し
前記学習部は、予め設定されたタイミングで機械学習を実行する、判別システム。
(1C)光源より光学系を介して記録媒体に所定の入射角で照射され、前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値と、前記記録媒体の表面で少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値と、前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値と、を取得する取得部と、
機械学習を行うことによって紙種判別用の学習済みモデルを生成する学習部と、
前記取得部によって取得された各値を、機械学習された前記学習済みモデルに入力して前記記録媒体の種別を判別する判別部と、を有し
前記学習部は、ネットワークを介して画像形成装置に接続されるサーバーに設けられ、
前記取得部、および前記判別部は、前記画像形成装置に設けられ、
前記サーバーは、前記学習部に前記学習済みモデルをさらに機械学習させて、機械学習された前記学習済みモデルを前記画像形成装置に送信し、
前記画像形成装置の前記判別部は、前記サーバーから送信された前記学習済みモデルを用いて前記記録媒体の種別を判別させる判別システム。
(1D)光源より光学系を介して記録媒体に所定の入射角で照射され、前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値と、前記記録媒体の表面で少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値と、前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値と、を取得する取得部と、
機械学習を行うことによって紙種判別用の学習済みモデルを生成する学習部と、
前記取得部によって取得された各値を、機械学習された前記学習済みモデルに入力して前記記録媒体の種別を判別する判別部と、を有し
前記学習部、および前記判別部は、ネットワークを介して画像形成装置に接続されるサーバーに設けられ、
前記取得部は、前記画像形成装置に設けられ、
前記画像形成装置は、前記取得部において取得された各値を前記サーバーに送信し、
前記サーバーの前記判別部は、前記画像形成装置から送信された前記各値と、前記学習済みモデルとを用いて前記記録媒体の種別を判別する判別システム。
(1)光源より光学系を介して記録媒体に所定の入射角で照射され、前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値と、前記記録媒体の表面で少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値と、前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値と、を取得する取得部と、前記取得部によって取得された各値を、機械学習された紙種判別用の学習済みモデルに入力して前記記録媒体の種別を判別する判別部と、を有する判別装置。
(2)前記学習済みモデルは、ランダムフォレストにより構成される上記(1)に記載の判別装置。
(3)前記学習済みモデルは、ニューラルネットワークにより構成される上記(1)に記載の判別装置。
(4)上記(1)~(3)のいずれかに記載の判別装置と、前記正反射光量値と、前記拡散反射光量値と、前記記録媒体の厚さおよび坪量に関する値または前記記録媒体の密度に関する値とを教師データの入力因子とし、前記記録媒体の種類を前記教師データの出力因子として機械学習を行うことによって前記学習済みモデルを生成する学習部と、を有する判別システム。
(5)前記記録媒体に画像を形成するための画像形成装置をさらに有する上記(4)に記載の判別システム。
(6)前記画像形成装置は、光源と、前記光源からの光を照射領域にある記録媒体の表面に、所定の入射角で照射する光学系と、前記照射領域において前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量を検出する第1の受光部と、前記照射領域において前記記録媒体の表面で、少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量を検出する少なくとも1つの第2の受光部と、前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値を検出する検出部と、を有する上記(5)に記載の判別システム。
(7)前記学習部は、前記画像形成装置において画像形成処理が実行されていないタイミングで機械学習を実行する上記(5)または(6)に記載の判別システム。
(8)前記画像形成装置の制御部は、前記学習部において機械学習が実行されている間は、画像形成処理を実行するための指示を受け付けない上記(5)~(7)のいずれかに記載の判別システム。
(9)前記学習部は、予め設定されたタイミングで機械学習を実行する上記(5)~(8)のいずれかに記載の判別システム。
(10)前記判別部による判別結果を出力する出力部と、前記判別結果を変更するためのユーザーからの指示を受け付ける受付部と、前記機械学習を実行するための前記教師データを記憶する記憶部と、をさらに有し、前記学習部は、変更された前記判別結果と、前記判別結果を得るために前記学習済みモデルに入力された情報とを含む変更情報を前記教師データとして用いて、前記学習済みモデルをさらに機械学習させる上記(5)~(9)のいずれかに記載の判別システム。
(11)前記記憶部および前記学習部は、ネットワークを介して前記画像形成装置に接続されるサーバーに設けられ、前記取得部、前記判別部、前記出力部、および前記受付部は、前記画像形成装置に設けられ、前記画像形成装置は、前記受付部において受け付けられた前記変更情報を前記サーバーに送信し、前記サーバーは、前記画像形成装置から送信された前記変更情報を前記教師データとして前記記憶部に記憶させ、記憶された前記教師データを用いて前記学習部に前記学習済みモデルをさらに機械学習させて、機械学習された前記学習済みモデルを前記画像形成装置に送信し、前記画像形成装置の前記判別部は、前記サーバーから送信された前記学習済みモデルを用いて前記記録媒体の種別を判別させる上記(10)に記載の判別システム。
(12)前記記憶部、前記学習部、前記判別部は、ネットワークを介して前記画像形成装置に接続されるサーバーに設けられ、前記取得部、前記出力部、および前記受付部は、前記画像形成装置に設けられ、前記画像形成装置は、前記取得部において取得された各値を前記サーバーに送信し、前記サーバーの前記判別部は、前記画像形成装置から送信された前記各値と、前記学習済みモデルとを用いて前記記録媒体の種別を判別する上記(10)に記載の判別システム。
(13)前記画像形成装置から送信された前記変更情報を前記教師データとして前記記憶部に記憶させ、予め設定された実行条件に基づいて、記憶された前記教師データを用いて前記学習部に前記学習済みモデルをさらに機械学習させる上記(11)または(12)に記載の判別システム。
(14A)光源より光学系を介して記録媒体に所定の入射角で照射され、前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値と、前記記録媒体の表面で少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値と、前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値と、を取得するステップ(a)と、
教師データを用いて機械学習を行うことによって紙種判別用の学習済みモデルを生成するステップ(b)と、
前記ステップ(a)において取得された各値を、前記ステップ(b)で機械学習された前記学習済みモデルに入力して前記記録媒体の種別を判別するステップ(c)と、
前記ステップ(c)による判別結果を出力するステップ(d)と、
前記判別結果を変更するためのユーザーからの指示を受け付けるステップ(e)と、
を有し、
前記ステップ(b)では、変更された前記判別結果と、前記判別結果を得るために前記学習済みモデルに入力された情報とを含む変更情報を前記教師データとして用いて、前記学習済みモデルをさらに機械学習させる、判別方法。
(14B)光源より光学系を介して記録媒体に所定の入射角で照射され、前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値と、前記記録媒体の表面で少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値と、前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値と、を取得するステップ(a)と、
機械学習を行うことによって紙種判別用の学習済みモデルを生成するステップ(b)と、
前記ステップ(a)において取得された各値を、前記ステップ(b)で機械学習された前記学習済みモデルに入力して前記記録媒体の種別を判別するステップ(c)と、を有し、
前記ステップ(b)では、予め設定されたタイミングで機械学習を実行させる、判別方法。
(14C)光源より光学系を介して記録媒体に所定の入射角で照射され、前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値と、前記記録媒体の表面で少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値と、前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値と、を取得するステップ(a)と、
機械学習を行うことによって紙種判別用の学習済みモデルを生成するステップ(b)と、
前記ステップ(a)において取得された各値を、前記ステップ(b)で機械学習された前記学習済みモデルに入力して前記記録媒体の種別を判別するステップ(c)と、を有し、
前記ステップ(b)は、画像形成装置にネットワークを介して接続されるサーバーで実行され、
前記ステップ(a)、および前記ステップ(c)は、前記画像形成装置で実行され、
前記サーバーは、前記ステップ(b)で、前記学習済みモデルをさらに機械学習させて、機械学習された前記学習済みモデルを前記画像形成装置に送信し、
前記画像形成装置は、前記ステップ(c)では、前記サーバーから送信された前記学習済みモデルを用いて前記記録媒体の種別を判別する、判別方法。
(14D)光源より光学系を介して記録媒体に所定の入射角で照射され、前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値と、前記記録媒体の表面で少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値と、前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値と、を取得するステップ(a)と、
機械学習を行うことによって紙種判別用の学習済みモデルを生成するステップ(b)と、
前記ステップ(a)において取得された各値を、前記ステップ(b)で機械学習された前記学習済みモデルに入力して前記記録媒体の種別を判別するステップ(c)と、を有し、
前記ステップ(b)、および前記ステップ(c)は、画像形成装置にネットワークを介して接続されるサーバーで実行され、
前記ステップ(a)は、前記画像形成装置で実行され、
前記画像形成装置は、前記ステップ(a)で取得した各値を前記サーバーに送信し、
前記サーバーは、前記ステップ(c)では、前記画像形成装置から送信された前記各値と、前記学習済みモデルとを用いて前記記録媒体の種別を判別する、判別方法。
(14)光源より光学系を介して記録媒体に所定の入射角で照射され、前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値と、前記記録媒体の表面で少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値と、
前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値と、を取得するステップ(a)と、前記ステップ(a)において取得された各値を、機械学習された紙種判別用の学習済みモデルに入力して前記記録媒体の種別を判別するステップ(b)と、を有する判別方法。
本発明に係る判別装置によれば、記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値と、記録媒体の表面で少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値と、記録媒体の坪量に関する値および記録媒体の厚さまたは密度に関する値とを取得し、取得された各値を、機械学習された紙種判別用の学習済みモデルに入力して記録媒体の種別を判別する。これにより、予めデータベースに登録されていない種類の用紙に対しても、適切に紙種を判別することができる。
本実施形態に係る画像形成装置を備える画像形成システムの概略構成を示す図である。 搬送路に配置したメディアセンサーの構成を示す側面図である。 坪量センサー、および表面性センサーの構成を示す斜視図である。 表面性センサーの断面図である。 表面性センサーの内部構成を示す斜視図である。 シャッターが開いた状態を示す表面性センサーの断面模式図である。 発光部、および受光部の配置位置を示す模式図である。 照射光の入射角度と受光部の配置角度を示す断面模式図である。 用紙表面におけるパルプ繊維の状態を示す模式図である。 用紙の微視的な繊維配向角の変動状態を示す模式図である。 用紙の表面分布と照射光の拡散状態を示す模式図である。 照射光の照射径と、発光部(光源)の配置位置を示す模式図である。 用紙表面を複数点測定した際の照射径の違いによる検出光量のばらつきを示すグラフである。 入力データに誤差を付与した場合の検出精度の推移を示すグラフである。 発光部の取付け精度のロバスト性を示すグラフである。 発光部の取付け精度のロバスト性を示すグラフである。 発光部の光の波長と、ベック平滑度との相関度合いを示す表である。 4種類の紙種(グロスコート紙、マットコート紙、普通紙、上質紙)でのベック平滑度と、測定結果による予測値との比較結果を示すグラフである。 画像形成装置の構成を示すブロック図である。 第1実施形態に係る画像形成装置の全体制御部の機能構成を示すブロック図である。 画像形成装置の印刷処理を示すフローチャートである。 用紙設定処理(ステップS10)を示すサブルーチンフローチャートである。 判定処理(S107)を示す制御ブロック図である。 用紙設定処理の手順を説明するための図である。 判定処理を開始する指示を受け付ける操作画面の例である。 判定処理を実行する指示を受け付ける操作画面の例である。 判定結果(紙種/坪量区分)を示す操作画面の例である。 判定結果(登録プロファイル)を示す操作画面の例である。 判定された用紙設定の変更処理を開始する指示を受け付ける操作画面の例である。 判定された用紙設定を変更する指示を受け付ける操作画面の例である。 判定された用紙設定を登録する指示を受け付ける操作画面の例である。 教師データのデータベースに登録される情報の一例を示す図である。 教師データを用いた機械学習によって生成されるランダムフォレストの学習済みモデルの一例を示す図である。 第2実施形態に係る画像形成装置の全体制御部の機能構成を示すブロック図である。 第2実施形態に係る画像形成装置において実行される変更情報の教師データへの追加処理を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る画像形成装置において実行される紙種判別モデルおよび紙種判別アルゴリズムの生成および更新処理を示すフローチャートである。 紙種判別モデルの生成処理および紙種判別モデルのバイナリーファイルへの変換処理の手順を示す図である。 紙種判別モデルの更新の実行条件の設定を受け付ける画面の一例である。 紙種判別モデルの選択を受け付ける画面の一例である。 サーバーの構成を示すブロック図である。 第3-1実施形態に係るサーバーの制御部の機能構成を示すブロック図である。 第3-1実施形態に係る画像形成装置の全体制御部の機能構成を示すブロック図である。 第3-1実施形態に係る画像形成装置において実行される変更情報の送信処理を示すフローチャートである。 第3-1実施形態に係るサーバーにおいて実行される教師データの追加処理を示すフローチャートである。 第3-1実施形態に係るサーバーにおいて実行される紙種判別モデルおよび紙種判別アルゴリズムの生成処理を示すフローチャートである。 第3-1実施形態に係る画像形成装置において実行される紙種判別アルゴリズムの更新処理を示すフローチャートである。 第3-2実施形態に係るサーバーの制御部の機能構成を示すブロック図である。 第3-2実施形態に係る画像形成装置の全体制御部の機能構成を示すブロック図である。 第3-2実施形態に係る画像形成装置において実行される用紙設定処理(図19のステップS10に相当)を示すフローチャートである。 第3-2実施形態に係るサーバーにおいて実行される紙種等の判別処理を示すフローチャートである。 第3-2実施形態に係るサーバーにおいて実行される変更情報の登録処理を示すフローチャートである。 第3-3実施形態に係るサーバーの制御部の機能構成を示すブロック図である。 第3-3実施形態に係る画像形成装置の全体制御部の機能構成を示すブロック図である。 第3-3実施形態に係るサーバーにおいて実行される変更情報の登録処理を示すフローチャートである。 第3-3実施形態に係るサーバーにおいて実行される紙種判別モデルおよび紙種判別アルゴリズムの生成および更新処理を示すフローチャートである。 教師データを用いて機械学習されたニューラルネットワークの学習済みモデルを用いて紙種を判別する例を示す図である。 表面画像を取得するための撮影機構を例示する図である。 撮影機構によって取得されたグロスコート紙、マットコート紙、上質紙、普通紙の表面画像と特性の一例を示す図である。 坪量センサーの構成を示す模式図である。 坪量センサーおよび制御部の機能構成を示すブロック図である。 第1透過率と公称坪量との関係を表す判定基準を示す図である。 第2透過率と公称坪量との関係を表す判定基準を示す図である。 波長における透過率と公称坪量との相関関係を示す図である。 透過率と坪量差との対応関係を表す指標と坪量閾値とを示す図である。 ペーパープロファイル情報の一例を示す図である。
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。図面においては、上下方向をZ方向、画像形成装置の正面、背面方向をX方向、これらのX、Z方向に直交する方向をY方向とする。X方向は、幅方向、または回転軸方向ともいう。また、メディアセンサー(後述のメディアセンサー15)周辺においては、水平面に対して傾斜する搬送路(後述の搬送路143)の面に平行で、X方向に直交する記録媒体の搬送方向をY’方向、これに直交する方向をZ’方向という(図2等参照)。本実施形態においては、記録媒体には、印刷用紙(以下、単に用紙という)、各種フィルムが含まれる。特に用紙としては、植物由来の機械パルプ、および/または化学パルプを用いて製造されたものが含まれる。また記録媒体の種類としては、コート紙のグロス紙およびマット紙(グロスコート紙およびマットコート紙)、ならびに非コート紙の普通紙および上質紙、等が含まれる。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10を備える画像形成システム1の概略構成を示す図である。図1に示すように画像形成システム1には、互いに機械的、および電気的に接続された画像形成装置10、給紙装置20、および後処理装置30が含まれる。
(画像形成装置10)
画像形成装置10は、制御部11、記憶部12、画像形成部13、給紙搬送部14、メディアセンサー15、操作パネル18、通信部(図示せず)、等を備える。これらは信号をやり取りするためのバス等の信号線を介して相互に接続される。図2は、搬送路143に配置したメディアセンサー15の構成を示す側面図である。メディアセンサー15は、紙厚センサー40、坪量センサー50、表面性センサー60、および用紙押圧部70で構成され、用紙特性を測定する。この表面性センサー60は光センサー装置として機能し、用紙特性、特に用紙の表面性を検知する。表面性センサー60を含むメディアセンサー15の詳細については後述する。本実施形態において、メディアセンサー15は、検出部として機能する。また、制御部11は、判別装置として機能する。さらに、制御部11は、出力部および受付部として機能する。
(制御部11)
制御部11は、CPU、ROM、RAM等により構成され、ROMや、後述の記憶部12に格納されているプログラムを実行することで、各種処理を実行し、プログラムにしたがって装置各部の制御や各種の演算処理を行う。
(記憶部12)
記憶部12は、予め各種プログラムや各種データを格納しておくROM、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM、各種プログラムや各種データを格納するハードディスク等の補助記憶部からなる。また、記憶部12は、各給紙トレイに収納されている用紙情報を記憶する。用紙情報としては、用紙の銘柄、サイズ(用紙幅、用紙長)、坪量(斤量)、用紙種類(グロスコート紙、マットコート紙、普通紙、上質紙、ラフ紙等)の情報が含まれ、後述する紙種判定処理により設定されたものである。また、記憶部12は、用紙銘柄、または用紙種類の判定に用いる学習済みモデル、およびペーパープロファイル(何れも後述する)が記憶されていてもよい。
(画像形成部13)
画像形成部13は、例えば電子写真方式により画像を形成する。画像形成部13は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の基本色のそれぞれに対応した書込部131、感光体ドラム132、および各色のトナー、キャリアからなる2成分現像剤を収容する現像器133、等を備える。また、画像形成部13は、さらに、中間転写ベルト134、2次転写部135、および定着部136を備える。各色の現像器133により、感光体ドラム132上に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト134上で重ね合わせされ、2次転写部135において搬送された用紙Sに転写される。用紙S上のトナー画像は下流側の定着部136で加熱、加圧されることで用紙S上に定着される。
(給紙搬送部14)
給紙搬送部14は、複数の給紙トレイ141、142、搬送路143、144、等を備える。搬送路143、144は、これらの搬送路に沿って設けられた複数の搬送ローラー対、およびこれらの搬送ローラー対を駆動する駆動モーター(図示せず)を含む。給紙トレイ141、142内に積載され載置した複数枚の用紙Sのうち最上位の用紙を送り出す送出しローラーを備え、給紙トレイ内の用紙Sを1枚ずつ下流側の搬送路に送り出す。搬送路143上のレジストローラーの上流側には、メディアセンサー15が配置される。図2に示すようにメディアセンサー15付近においては、搬送路143は、板金で形成された上ガイド1431、および下ガイド1432を含み、所定間隔で対向するこれらのガイドの間を用紙Sが通る。
給紙搬送部14は、給紙トレイ141等から給紙された用紙Sを搬送する。搬送路143を搬送された用紙Sは、画像形成部13で画像を形成された後、後続の後処理装置30を経由して排紙トレイ342上に排出される。用紙Sの裏面にも画像を形成する両面印刷を行う場合には、片面に画像形成された用紙Sを装置本体の下部にある両面画像形成用の搬送路144に搬送する。この搬送路144に搬送された用紙Sは、スイッチバック経路で表裏を反転された後、片面用の搬送路143に合流し、再び画像形成部13で用紙Sのもう一方の面に画像形成される。
(操作パネル18)
操作パネル18はタッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、画像形成装置10、または画像形成システム1の状態を表示し、ユーザーからの給紙トレイ141等に載置した用紙の種類等の設定、指示の入力に使用される。
(給紙装置20)
図1に示すように、給紙装置20は給紙搬送部24を備える。また、給紙装置20は、給紙搬送部24の他に、制御部、記憶部、および通信部(何れも図示せず)を備え、これらは信号をやり取りするためのバス等の信号線を介して相互に接続される。給紙搬送部24は、複数の給紙トレイ241、242、243、および搬送路244を備える。各給紙トレイから搬送された用紙Sは、下流側の画像形成装置10に搬送され、メディアセンサー15で用紙特性の測定がなされたり、画像形成部13で画像形成されたりする。
(後処理装置30)
図1に示すように、後処理装置30は後処理部31、搬送路341、および排紙トレイ342を備える。後処理部31は、ステイプル処理、裁断処理、穿孔処理(パンチ穴)、等の処理を、画像形成装置10から搬送された用紙Sに施す。また、後処理装置30は、これらの構成要素の他に、制御部、記憶部、および通信部(何れも図示せず)を備え、これらは信号をやり取りするためのバス等の信号線を介して相互に接続される。
(メディアセンサー15)
上述のようにメディアセンサー15は、紙厚センサー40、坪量センサー50、表面性センサー60、および用紙押圧部70で構成される。図2を参照すると、これらの構成要素のうち、搬送方向の最も上流側に紙厚センサー40が配置される。紙厚センサー40は、一対の搬送ローラー411、412、ならびにアクチュエーター、エンコーダ、発光・受光部で構成される押圧機構42で構成される。上側の搬送ローラー411は、押圧機構42により下側の搬送ローラー412に向けて付勢される。搬送ローラー411、412のニップに用紙Sが搬送されることで、用紙Sの厚みに対応した高さ分だけ、搬送ローラー411が上方に移動する。押圧機構42は、搬送ローラー411の高さ方向(厚み方向)の変位量に基づいて、用紙Sの紙厚を検知する。
図3は、坪量センサー50、および表面性センサー60の構成を示す斜視図である。図2、図3に示すように、坪量センサー50、および表面性センサー60は、搬送ローラー対1433、1434の間において、X方向(幅方向)に沿って並んで配置される。
坪量センサー50は、用紙の坪量を検出するセンサーであり、発光部と受光部を備え、用紙Sを透過する光の減衰量により、測定する。例えば、坪量センサー50は搬送路143の下方に発光部(図54参照:第1発光部51a、第2発光部51b)を、上方に受光部(図54参照:受光部52)を配置し、受光部で受ける光の強度で、用紙Sの坪量を検知する。坪量センサー50の詳細については、図54を参照して後述する。
(表面性センサー60)
次に、図2、図3とともに、図4から図8を参照し、表面性センサー60の構成について説明する。図4は、表面性センサー60の断面図であり、図5は表面性センサー60の内部構成を示す斜視図である。なお、図5では、表面性センサー60全体を覆うカバー(筐体61)の記載を省略している。
これらの図に示すように表面性センサー60は、筐体61、発光部62、コリメートレンズ63、複数の受光部64(受光部641,642)、および開閉機構65を備える。筐体61は、他の構成要素を覆い、外部光を遮光する。なお筐体61は底面にはなく、取り付けた状態において、上ガイド1431が、表面性センサー60の底面を覆う部材として機能する。発光部62、コリメートレンズ63、複数の受光部64(受光部641,642)についての詳細は後述する。なお、本実施形態としては、光源と照射領域の間に配置する光学系として、コリメートレンズを用いる例を示すが、コリメートレンズ以外のレンズを配置するようにしてもよい。例えば、砲弾型LEDを用いる場合には、LEDに光学レンズが実装される。また、LEDと、コリメーターレンズの間に凸レンズ等を配置してもよい。
開閉機構65は、シャッター651、接続部652、回転軸653、ウォームギア654、および駆動モーター655を備える。駆動モーター655の動力は、ウォームギア654、回転軸653、接続部652を通じてシャッター651に伝達する。シャッター651は、回転軸653周りを矢印方向に可動する。上ガイド1431には開口a1が、下ガイド1432には開口a20が設けられている。図4、図5では、通常時の用紙Sの用紙特性の測定を行わない状態を示しており、このときは、平面の板部材である板状のシャッター651により開口a1は閉じられる。シャッター651の開口a1の開閉動作は、制御部11が、駆動モーター655を制御することにより行う。
図6は、シャッターが開いた状態を示す表面性センサー60の断面模式図である。この図6は、用紙特性の測定を行う測定モードの状態を示している。なお、図6では、シャッター651以外の開閉機構65の構成の記載を省略している。開口a1は、略矩形の形状あり、孔サイズは例えば、横(X方向)が数十mm、縦(Y’方向)が十数mmである。用紙Sの搬送路143の搬送を妨げないように、シャッター651の下側の面には、複数のリブr1(図6参照)を設けている。各リブr1は、上ガイド1431の下面に対して、搬送方向の上流側では引っ込み、下流側では少し突出するように、搬送方向に沿って傾斜させている。このようなリブr1により、用紙Sの搬送を円滑に行える。また、シャッター651の上側の面には、キャリブレーション用の部材としての基準板6501が貼り付けられている。基準板6501は、例えば所定の表面性を備えた白色の板であり、用紙特性の測定を行う前に、閉状態のシャッター651の基準板6501を測定することで、表面性センサー60の校正を行う。
開口a20は、開口a1よりも広く、XY’平面において略同じ位置にあり、開口a20は、開口a1を包含する。下ガイド1432の下方には用紙押圧部70が配置される。用紙押圧部70は、XY’平面に平行な上面を有する押圧板71、およびこれを上下動させる駆動機構(図示せず)で構成される。駆動機構は、駆動モーター、カム、およびバネ等で構成される。通常時は、搬送する用紙Sが角に引っかからないように、押圧板71の搬送方向上流側の角を斜めにしたカット部(傾斜面)を有する形状とし、押圧板71の(カット部を除く)上面は、下ガイド1432の通紙面と、同じ高さ、またはこれよりも少し低い高さに位置する。押圧板71の上面は、開口a1よりも十分大きい。図6の測定モード時には、搬送方向において、用紙Sの先端を、開口a1、a20を越える位置まで搬送させた後、用紙Sを一時停止させる。その後、用紙押圧部70の駆動機構により押圧板71が持ち上がる。これにより押圧板71の上面と、上ガイド1431の下面(基準面)との間で、用紙Sを所定の付勢力で固定する。例えば押圧板71の上面は、開口a1の全周囲に渡って、十数mm幅以上大きいサイズであり、その周囲の幅領域で、用紙Sを押さえる。
図7は、発光部62、および複数の受光部64の配置位置を示す模式図であり、図8は、発光部62による照射光の入射角度(照射角度)と受光部の配置角度を示す断面模式図である。本実施形態においては、発光部62の配置角度は、照射光の基準面に対する入射角度が75°になるように設定している。この入射角75°は、JIS従った白紙光沢度測定で用いられる角度であり、被測定物の色の影響が少ない角度である。基準面は、上述のように上ガイド1431の下面を含む仮想面であり、測定時には、基準面に被測定物である用紙Sの表面が配置される。発光部62は、基板b1上に配置される。発光部62は、所定波長(例えば平均波長445nm以上500nm以下)の光を放出するLED等の光源としての発光素子を含み、光源(点光源)から放出された照射光は、コリメートレンズ63により略平行光になり、照射領域に照射される。照射領域は、Z’方向から視た場合に開口a1の内側領域であり、照射領域の中心(光軸)とXY’平面に平行な基準面とは交点p1で交わる。発光部62としては、面発光型のLEDを用いてもよく、または砲弾型のLEDを用いてもよい。また、砲弾型のLEDを用いる場合には、砲弾型の指向性にあったレンズ設計すれば所望の照射径(ビーム径ともいう)を得ることができる。
複数の受光部64それぞれは、フォトダイオード、フォトトランジスタ、等の受光素子を含み、照射領域からの正反射光を受光する第1の受光部64(受光部641)と、照射領域からの拡散反射光を受光する1つまたは複数の第2の受光部64(受光部642)を含む。図7に示すように(なお、入射、反射の角度については図8も参照のこと)、この第1の受光部641は、発光部62の入射角75°に対応する反射角75°の位置に配置され、正反射光を受光する。また、第2の受光部642は、反射角0°以上90°未満の範囲で、75°の位置を除く任意の反射角の位置に配置でき、拡散反射光を受光する。配置位置として好ましくは、反射角60°、30°、0°であり、より好ましくは、60°と30°の2箇所、または60°の1箇所である。図4、図6、図7の例では、反射角75°の正反射光受光用の第1の受光部641と、反射角30°の拡散反射光受光用の第2の受光部642を配置した例を示している。これらの図では、受光部641は、基板b2に配置され、受光部642は基板b3に配置される。
受光部641、642の受光経路上において、筐体61には、開口a3、a4が設けられている。開口a3、a4は同様の構造を有するので、以下、代表として開口a3の構造について説明する。開口a3は、図7の一部拡大図に示すように、例えば交点p1側から視た場合に、φ3mmの円形のスリットであり、光の入射側には、傾斜面61aが設けられている。傾斜面は入射側に向けて光軸からの距離が大きくなるように構成されており、全体としてすり鉢状の形状である。その傾斜角度は、光の入射角度に対して約45°である。このような傾斜面61aを設けることで、開口a3(スリット)のエッジで反射する光が、受光部641に入射することを防げ、ひいては、精度よく記録媒体の特性を検出できる。
(照射径)
図9は、用紙の微視的な繊維配向の変動状態を示す模式図であり、図10は用紙表面におけるパルプ繊維の状態を示す模式図である。一般に用紙は、木材等の植物から抽出したパルプ繊維をあらゆる方向(等方的)にランダムに絡み合わせてわせて作られているため、表面が不均一となって表面性にムラの分布がある(業界用語で「地合」ともいう)。この地合は、用紙のパルプ繊維の長さや太さにより異なる。図9のAに比べて図9のBでは、ムラが大きい。用紙の素材として針葉樹や広葉樹に由来するパルプ繊維が用いられるが、そのパルプ繊維は長さが平均して3.32mm~0.79mm(最大約5.7mm)、幅(太さ)が平均で39μm~19μm(最大約97μm)である(参考文献:論文「紙の表面形状の測定」(紙パ技協誌第18巻第2号 昭和39年2月)、王子製紙株式会社 中央研究所 畑幸徳著)。また、図10に示すようにパルプ繊維の長さやパルプ繊維同士の結束繊維(繊維の絡み合い)が生じることで表面性が不均一となる。
そのため、照射径をパルプ繊維の長さや結束繊維形状よりも絞りすぎると、用紙上の反射光の位置、すなわち用紙表面上の凹凸状態によって正反射光や拡散光の検出光量に差が生じ、同じ用紙面でも用紙表面状態に対して感度が高いセンサーとなる。そのため各反射光量に誤差が生じ、その誤差が含まれたままデータを用いて用紙種の判別を行うと紙種の誤判別を生じさせる虞がある。例えば、マットコート紙を上質紙として誤判別してしまう。
図11は、用紙の表面分布と照射光の拡散状態を示す模式図であり、図12(a)、(b)は、照射光の照射径と、発光部62の配置位置を示す模式図であり、図12(a)は側面図であり、図12(b)は上面図である。本実施形態では、このような状況から、図11(a)に示すように、狭い領域を照射するよりも図11(b)に示すように広い領域を照射する方が、用紙表面性の分布の影響を少なくできる。換言すると、照射光の照射径を、用紙表面性の分布を生じさせるパルプ繊維が絡み合うエリアよりも十分広いエリアを照射する大きさにすることで、用紙表面の凹凸を含んだ用紙表面性の平均した反射光量にでき、ひいては用紙表面性の分布の影響を少なくできる。具体的には、照射領域での照射径を上述のパルプ繊維の最大長さ5.7mmよりも大きい6mm以上に設定する。ここでいう照射径とは、光軸が照射面(基準面)と交わる交点p1における光軸に直交する平面での光(ビーム)の直径である。一般にレンズの焦点距離、光源のサイズと照射径の拡がりは、
(照射径の拡がり)≒(光源のサイズ)/(レンズ焦点距離)・・(1)式
で表される。この式から焦点距離を長くするほど略平行光に近づけることが出来るが照射光の光量が下がるため、レンズを明るくする必要が有る。レンズの明るさを表す式として一般に、
(レンズの明るさ)=(レンズ焦点距離)/(レンズの直径)・・(2)式
で表される。(1)式から、光源のサイズをある程度持つことで照射径を広げることが出来る。すなわち、設定する照射径と照射光量にするために、前述に記載の条件を光学設計から求めることになる。
本実施形態では、図12(a)に示したように照射径をφ13mmに設定する。このような照射径にするために、光学設計と光学シミュレーションからレンズ仕様を焦点距離20.7mm、レンズ径φ7.5mmとして用いた場合、発光部62から交点p1までの距離は、50~70mmの範囲内であり、例えば60mmである。このように設計したときの照射径は、図12(b)に示すように、上面視(XY’平面上)では、短径(Y’方向長さ)はφ13mm、長径(X方向長さ)は50.2mm(=13/cos75°)になる。このような照射面積(512.6mm)とすることで、用紙の表面性の分布に対して感度を低くした正反射光や拡散光の光量検出が可能となることで、繊維配向の不均一性の影響が少なくなる。
図13は、用紙表面を複数点測定した際の照射径の違いによる検出光量のばらつきを示すグラフである。同図は、照射径φ13mmと、φ1mmの2水準において、サンプルNO.1~NO.10まで、1枚の普通紙において、異なる10点の位置を測定したときの、検出光量のばらつきを示している。同図に示す±8%は、以下に説明するように用紙判別の誤検知が生じ易くなる閾値である。照射径が小さいと用紙Sの地合の影響を受けやすく、紙種の誤判別が生じ易くなる。この図13に示すように、照射径φ13mmの方が、照射径φ1mmにくらべて誤検知のばらつきが少なく、±8%の閾値内に収まっている。
図14は、機械学習済みモデル(後述の図18Aから図20)を用いて用紙の紙判別を行った場合の入力データに誤差を付与した場合の検出精度の推移を示すグラフである。同図では、用紙種類としてグロスコート紙の「コートボール」を用いた例を示している。「コートボール」は、これを含め58種類の用紙の中で反射角75°に対して最も誤判別が生じ易い用紙であることからこれを用いた。反射角75°の正反射光検出用の第1の受光部641による測定値に、人為的に誤差を入力した場合に、判定の第1候補が本来(正判定)のグロスコート紙から、これと異なるマットコート紙と誤判定になる閾値を示している(X軸誤差のマイナス側)。-8%よりも絶対値の大きな誤差を入力すると、判定の第1候補に誤判定が生じることから反射角75°の正反射光検出部の閾値を±8%としている。すなわち反射角75°のセンサー検出精度を±8%内と設定した。以上では、反射角75°について説明したが、反射角30°、60°それぞれについても同様の検証を行った結果(図示省略)、±8%よりも第1候補が誤判定となる閾値が大きく、その検証結果から反射角30°、60°のそれぞれの閾値は±15%を採用した。すなわち反射角30°、60°のセンサー検出精度を±15%内と設定した。
(焦点距離に対する光源の配置位置)
再び図12(b)を参照して、本実施形態に係る表面性センサー60(光センサー装置)の光源としての発光部62の配置位置について説明する。発光部62の直下流側には、コリメートレンズ63を配置している。一般には、コリメートレンズの焦点位置に点光源を配置することで、すなわち、光軸上において、光源をコリメートレンズに対して、焦点距離と同じ距離に配置することで、点光源からの照射光を平行光にする。実施例1では、そのように焦点距離の位置に、光源を配置している。しかしながら、実施例2においては、あえて焦点距離よりも短い距離で、コリメートレンズ63に近い側に、発光部62を配置する。すなわち、焦点距離f>光源距離t0に設定している(ここでt0は、光軸上における発光部62とコリメートレンズ63の中心位置との距離であり、fは、コリメートレンズ63の焦点距離である)。
図15A、図15Bは、発光部62の取付け精度のロバスト性を示すグラフである。図15Aは、回転方向の取付け誤差に対する出力誤差感度を示す図であり、図15Bは、光軸方向の取付け誤差に対する出力誤差感度を示す図である。実施例2とともに、比較対象の実施例1として、焦点距離に光源を配置した場合のデータも示している。ここで回転方向の取付け誤差とは、光軸に垂直な軸を回転軸として回転させた場合の角度である(YAWに相当)。光軸方向の取付け誤差とは光軸に沿った前後方向の距離である。図15A、図15Bに示すように、実施例1に比べて、コリメートレンズの焦点距離よりも短い距離に光源を配置した実施例2の方が、誤差に対する変動が少なく、ロバスト性が高く、優れていることがわかる。
(光源からの光の波長)
発光部62の光の波長は、塗工紙の表面層の顔料で吸収されない青色の波長の光源を選択している。LEDを実験検証から、以下の結果となった。
405nm(紫):塗工紙は判別可能(正反射)。拡散光で上質、普通紙の識別は困難。
465nm(青):塗工紙は判別可能(正反射)。拡散光は30°、60°で識別可能。
525nm(緑):塗工紙は判別可能(正反射)。拡散光は60°で識別可能。
680nm(赤):特に拡散光で識別困難。
また、以下に示すようにベック平滑度との相関に関して、各波長との相関についても検証した。
図16は、発光部62の光の波長と、ベック平滑度との相関度合いを示す表であり、図17は、12種類の用紙(グロスコート紙、マットコート紙、普通紙、上質紙)でのベック平滑度と、測定結果による予測値との比較結果を示すグラフである。ここでベック平滑度(sec)とは、JISに規定されている測定方法であり、上方から0.1MPaの圧力を加え、真空ポンプで半気圧まで減圧した後、10ccの空気が、通過距離13mmで測定試料面とガラス面との間隙から流入する時間を測定するものである。
発光部62は入射角75°となる位置に配置し、その光源としては、波長405nm、465nm、525nmの3種類のLEDを用いた。また受光部64としては、反射角30、60、75°の3箇所に配置した(なお、波長525nmのテストでは全4箇所で、さらに0°にも配置した)。
紙種としては、グロスコート紙、マットコート紙、普通紙、上質紙の4種類を用いて、それぞれ4銘柄の異なる用紙を用いた(全部で16銘柄の用紙)。図17の横軸では、グロスコート紙の4銘柄をG1~G4、マットコート紙の4銘柄をM1~M4、普通紙の4銘柄をR1~R4、上質紙の4銘柄をF1~F4でそれぞれ示している。
図16に示すように、16銘柄の各用紙に対する、各受光部64からの測定値に所定の係数を掛けて加算して算出した平滑度予測値と、各用紙のベック平滑度の測定値(log)との間の相関を比較したところ、平均波長465nmのLEDを用いた場合が、重相関Rの数値が最も高いことがわかった(破線枠で示す)。このことから、光源の波長としては、405nmを超え、525nm未満の範囲が好ましく、より好ましくは445nm以上500nm以下の範囲であり、最も好ましい波長は、465nm前後である。
図17では、465nmのLEDを用いた場合の予測値と、ベック平滑度(log)との対応関係を示している。ここでの予測値は、
予測値=3.4518×V75-3.9595×V60+1.5383×V30-0.4789である。ここでV75、V60、V30は、それぞれ反射角75、60、30°の位置の受光部64の出力値である。図17に示すように、高い相関関係があることがわかる。
本実施形態に係る光センサー装置(表面性センサー60)では、発光部62による照射光の照射領域における照射径が、記録媒体の繊維配向の不均一性の影響が少なくなる照射面積になる照射径に設定している。より具体的には、照射領域(交点p1)における照射径(短径)を、パルプ繊維の最大長さよりも長い6mm以上に設定している。これにより、記録媒体の表面性分布の影響を受けずに精度よく記録媒体の特性を検出できる光センサー装置となる。
また、発光部62の直ぐ下流側にコリメートレンズ63を配置し、光軸上において、発光部62をコリメートレンズ63に対して、この焦点距離よりも短い距離に配置する。これにより、発光部62の取付け精度に対するロバスト性を高めることができる。
また、発光部62の発光波長を、445nm以上500nm以下とすることで、表面性を精度よく検知できる。具体的には、ベック平滑度との相関が高い検知データを得ることができる。
また、本実施系形態に係る光センサー装置は、照射領域を構成する開口a1を開閉するシャッター651を設けている。例えば光センサー装置を用紙搬送路に配置した場合に、搬送する用紙Sの紙粉がコリメートレンズ63、受光部64等の光学部品に付着し、測定精度が低下する虞がある。記録媒体の表面性の測定を行わないときには、このようなシャッター651により開口a1を閉じることで、紙粉による光センサー装置の各光学部品の汚れを防止し、ひいては測定精度の低下を防止できる。
(紙種判定処理)
次に、図18A~図29を参照し、画像形成装置10で行う紙種判定処理について説明する。図18Aは、画像形成装置の構成を示すブロック図である。図18Bは、第1実施形態に係る画像形成装置の全体制御部の機能構成を示すブロック図である。図19は、画像形成装置の印刷処理を示すフローチャートである。
図18Aに示すように、画像形成装置10は、ネットワークLを通じて、サーバー80、および他の画像形成装置10b、10cと接続している。同図においては、画像形成装置10の制御部11以外の構成については、図1等で説明済みであることから、同一符号を付すことにより説明を省略する。
制御部11は、全体制御部110、エンジン制御部120、メディアセンサー制御部130、後処理オプション制御部140、給紙オプション制御部150、搬送制御・画像形成制御部160として機能する。日付・時刻管理部121は、画像形成装置10において使用する日付および時刻を管理する。制御部11は、日付および時刻が必要とされる処理を実行する際には、日付・時刻管理部121から日付および時刻を取得して各種処理を実行する。例えば、後述する紙種判別モデルまたは紙種判別アルゴリズムの生成または更新処理の実行タイミングを判断する際に、日付・時刻管理部121において管理される日付および時刻が使用され得る。なお、日付・時刻管理部121において管理される日付および時刻は、例えばネットワークを介して外部の整時用サーバー(不図示)等と通信することによって、適宜更新・整時され得る。
図18Bに示すように、全体制御部110は、取得部111および判別部112として機能する。取得部111は、用紙の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値、用紙の表面で拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値、用紙の厚さに関する値、および用紙の坪量に関する値等を取得する。判別部112は、取得部111によって取得された、正反射光量値、拡散反射光量値、用紙の厚さに関する値、および用紙の坪量に関する値を、機械学習された紙種判別用の学習済みモデルに入力して用紙の種別を判別する。
全体制御部110は、操作パネル18や、ユーザーが操作するネットワーク接続されたPC等の外部端末から送られた指示により印刷ジョブが入力されると、入力された印刷ジョブの印刷設定情報に基づいて、エンジン制御部120により印刷ジョブを実行させる。全体制御部110は、記憶部12に記憶されている紙種判別エンジン(学習済みモデルである紙種判別モデル)、およびペーパープロファイルを用いて、紙種判定処理を実行する。ここで「ペーパープロファイル」は、ある用紙について、これのメディアセンサー15から得られた用紙物性に関する測定値およびこの測位値の演算値、ならびに、ユーザーから入力された特性データ、用紙サイズ、および任意の識別名(例えば紙銘柄)、等を対応づけて予め登録したものである。なお、メディアセンサー15からの測定値および演算値としては、例えば、後述する、用紙物性の表面性センサー60の75°、30°の反射光の測定値、坪量センサー50の測定値による坪量の演算値および/または坪量差演算値、紙厚センサー40の測定値による紙厚演算値がある。また、ユーザーから入力された特性データには、搬送系特性データ(表裏調整値、片寄り補正値、等)、画像形成用特性データ(定着温度値、濃度調整値、γ補正値、等)、給紙系特性値(給紙トレイの捌きファン風量調整値)、等の各種制御パラメータ値が含まれる。
「紙種判別エンジン」は、学習済みモデルとも称され、用紙Sのメディアセンサー15による検知出力を入力値、用紙Sのユーザーにより設定された紙種情報を正解ラベルとして、教師データを用いた教師あり学習により、生成された学習済みモデルである。教師データとしては、ネットワークLに接続された他の画像形成装置10b、10c等のデータをサーバー80で集約するようにしてもよい。学習済みモデルは、例えばランダムフォレストを用いた学習方法により生成される。なお、学習方法としては、これに限られず、教師あり学習であれば、種種の手法を取り得る。例えば、例えば、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン(SVM)、ブースティング(Boosting)、ベイジアン(Bsysian)ネットワーク線形判別法、非線形判別法、等を適用できる。また、機械学習を実行する学習機として、CPUおよびGPU(Graphics Processing Unit)のプロセッサを用いたスタンドアロンの高性能のコンピューター、またはクラウドコンピューターを用いて行える。機械学習による紙種判別モデルの生成方法について、詳細は後述する。
エンジン制御部120は、後処理オプション制御部140、給紙オプション制御部150、搬送制御・画像形成制御部160を制御することで、画像形成に関する処理を行う。後処理オプション制御部140は、後処理装置30を制御する。具体的には、後処理装置30に対して、用紙搬送タイミング、搬送する用紙の後処理の設定情報、等を送信する。給紙オプション制御部150は、給紙装置20を制御する。具体的には、給紙装置20と通信することで、用いる給紙トレイ、用紙搬送タイミング、等を送受信する。
搬送制御・画像形成制御部160は、給紙搬送部14(搬送路143、144、定着部136、等の駆動モーターを含む)を制御することで、用紙Sの給紙搬送を制御する。また、画像形成部13を制御し、画像形成条件や、用紙位置に合わせた画像形成タイミングの制御を行う。
メディアセンサー制御部130は、エンジン制御部120からの実行指示要求に応じて、紙厚センサー40、坪量センサー50、および表面性センサー60を制御し、用紙特性の測定を実行させる。また、メディアセンサー制御部130は、用紙押圧部70の動作を制御する。
次に図19を参照し、紙種判定処理について説明する。ステップS10~S30は、印刷準備処理である。ユーザーは、印刷ジョブの本印刷を行う前に、この印刷準備処理を行う。
(ステップS10)
ユーザーは、操作パネル18に表示した操作画面(図示せず)の用紙設定ボタンを操作する。制御部11は、ユーザーからこの操作を受け付けることで、用紙設定を開始する。この用紙設定の開始指示には、対象となる用紙が装填されている1つ以上の給紙トレイ(給紙トレイ141、142、241~243)の選択情報が含まれる。この用紙設定処理の詳細については図20を参照して後述する。
(ステップS20)
用紙設定の終了に応じて、設定された用紙特性に合わせた画像形成条件に設定し、図示していない印刷ボタン(スタートボタン)を押すことで印刷ジョブのテスト印刷(試し刷り)を行う。
(ステップS30)
ユーザーは、テスト印刷の結果が不満足である場合、または、1つの印刷ジョブで複数種類の用紙を用いる場合には、別の用紙に対してステップS10以下の処理を繰り返す(ステップS30:NO)。一方で、テスト印刷の結果が満足であり、全ての用紙種類に関する確認が終わった場合には(YES)、ユーザーによる準備完了の操作を受け付けることにより、制御部11は、処理をステップS40に進める。
(ステップS40)
制御部11は、画像形成部13等を制御して印刷ジョブの実行(本印刷)を行うことで、印刷処理を完了する(エンド)。
(用紙設定処理)
(ステップS100、S101)
図20は、用紙設定処理(ステップS10)を示すサブルーチンフローチャートである。制御部11の搬送制御・画像形成制御部160は、開閉機構65によりシャッター651の開動作を行ってから、ユーザーにより選択された給紙トレイ(例えば給紙トレイ141(以下、単に「選択トレイ」という))から、用紙Sを給紙し、搬送路143まで搬送する。
(ステップS102a)
メディアセンサー制御部130は、紙厚センサー40により用紙Sの紙厚の検知を行い、検知データ(以下、「測定値1」という)を、全体制御部110に渡す。
(ステップS102b、S102c)
メディアセンサー制御部130は、坪量センサー50、および表面性センサー60により、用紙の坪量、および表面性の検知を行い、検知データ(以下それぞれ「測定値2、3」という)を、全体制御部110に渡す。この測定は、用紙Sの先端が所定量、坪量センサー50、および表面性センサー60の検知位置を通過したところで、一端、用紙搬送を停止させ、用紙押圧部70の押圧板71を持ち上げ、表面性センサー60の照射領域に位置する用紙Sを固定する。なお、この1回目の測定の前に、基準板6501により表面性センサー60のキャリブレーションを行うようにしてもよい。
(ステップS103)
所定数N回の測定が行われていなければ、ステップS102b、S102cの処理を繰り返す。なお、次の測定を行う前に1回毎に、用紙押圧部70の上下動、および用紙Sの所定距離分の搬送(例えば数mm~50mm程度の任意の距離)を行うことで、同じ用紙Sの別の位置の測定を行う。N回としては例えば5回であり、5回分の測定が終了すれば(YES)、処理をステップS104に進める。
(ステップS104)
用紙Sの後端が、メディアセンサー15を通過した場合、具体的には用紙Sの後端が搬送ローラー1434を抜けたことを用紙センサー(図示せず)により検知した場合(YES)、処理をステップS105に進める。
(ステップS105)
ここでは制御部11は、開閉機構65によりシャッター651の閉動作を行い閉じた状態にする。これにより、メディアセンサー15で測定を行わないときに搬送される用紙Sによる紙粉等による表面性センサー60の汚れを防止する。
(ステップS106)
ここでは、ステップS102b、S102cで取得したN回分の坪量、表面性の検知データ(測定値2、3)に対して平均化処理を行う。
(ステップS107)
全体制御部110は、ステップS102a~S102cで取得した測定値1~3(またはこれらの平均データ)、学習済みモデル(紙種判別エンジン)、および坪量区分確率演算処理を用いて、紙種判定、および坪量区分の判定を行う。また、ステップS102a~S102cで取得した測定値1~3(またはこれらの平均データ)とプロファイル選択処理を用いて登録済みペーパープロファイルデータから、近似度が高いペーパープロファイルの候補判定を行う。
この紙種判定、および坪量区分の判定処理について、図21を参照してより詳しく説明する。図21は、判定処理(S107)を示す制御ブロック図である。この図21では、紙種判定、および坪量区分の判定処理に加えて、ユーザー毎(装置毎)に作成した、ペーパープロファイルを用いて判定した登録プロファイル候補の判定処理も合わせて示している。
(S701~S703)
全体制御部110は、ステップS102a~S102cで取得した測定値1~3を用いて坪量換算値、紙厚換算値、表面性測定値を得る。なお、ここでは、坪量換算値は、測定値3の表面性測定値(S703)、画像形成システム1の周囲環境情報(温度、湿度)で決まる係数と計算式によって、第1坪量、第2坪量の値から、坪量、および坪量差を算出する。ここで坪量差=第1坪量-第2坪量である。坪量センサー50は、異なる波長の照射光を照射する複数のLEDを備える。第1坪量は、波長(750nm~900nm)の照射光を出力する第1のLEDを用い、この照射光の用紙Sを通る透過光量により求めたものである。第2坪量は、波長(400nm~470nm)の照射光を出力する第2のLEDを用い、この照射光の用紙Sを通る透過光量により求めたものである。坪量は、ステップS711、S712、S714に送られ、坪量差(第1坪量-第2坪量)は、ステップS713、S714に送られる。また紙厚は、ステップS712、S713に送られる。表面性の測定値は、ステップS701、S713、S714に送られる。
(ステップS711)
全体制御部110は、ステップS701で算出した坪量から坪量区分確率を算出する。坪量区分の例としては、下記の12区分である。
~61g/m
62~75 g/m
76~81 g/m
82~92 g/m
93~106 g/m
107~136 g/m
137~177 g/m
178~217 g/m
218~257 g/m
258~301 g/m
302~351 g/m
352 g/m
算出した坪量は正規分布に従い、所定の標準偏差でばらつくと仮定し、各区分の確率を判定する。例えば、いずれかの区分の中央に近い場合には、その区分確率は高く、100%に近くなる。一方で、区分の中央から遠い程、すなわち境界に近いほど、確率は低くなる。区分確率は、坪量区分スコアとして、ステップS721に送られる。
(ステップS712)
全体制御部110は、坪量と紙厚を用いて、密度(=坪量/紙厚)を算出する。算出した密度は、ステップS713に送られる。
(ステップS713)
全体制御部110は、密度、紙厚、および表面性の測定値の紙特性データと、学習済みモデルを用いて、紙種判別を行う。判別結果は、紙種スコアとして、ステップS721に送られる。
(ステップS714)
全体制御部110は、密度、紙厚、および表面性の測定値の紙特性データと、予めユーザー等により登録されたペーパープロファイルのリストを用いて、その中から適合率が高い登録プロファイルを選択する。このペーパープロファイルのリストには、坪量値、紙厚値、坪量差値、表面性測定値(例として受光部641、642からの測定値)からなる用紙物性を表すデータを持っており、全体制御部110は、ステップS102a~S102cで取得した測定値1~3(またはこれらの演算データ)を用いて、登録されているペーパープロファイルの中から登録済み用紙物性のデータに最も近い順にペーパープロファイルの候補の選択を行う。近さの判断方法については、例えば、全体制御部110は、各データ項目同士の数値の距離を演算し、演算結果に重み付け係数を乗算した値の総和が小さい順に近いと判断し、近いものを候補として選択する。選択結果は、適合率のスコアを付与した候補ペーパープロファイルリストにして、ステップS722に送られる。
(ステップS721)
全体制御部110は、坪量区分スコア、および紙種スコアに応じて、確率の高い順に、1つ、または複数の紙種/坪量の候補を表示し、ユーザーに提示する。この処理の詳細については、図25を参照して後述する。
(ステップS722)
全体制御部110は、適合率スコアに応じて、スコアの高い順に、1つ、または複数の登録プロファイルの候補を表示し、ユーザーに提示する。この処理の詳細については、図26を参照して後述する。
(ステップS108)
再び図20を参照する。ここでは、全体制御部110は、判定結果を表示する。この処理は、上述の図22、図24、およびステップS721、S722に対応する。
(ステップS109)
ユーザーが紙種を変更するのであれば(YES)、処理をステップS110に進め、変更せずに判定結果を受け入れるのであれば(NO)、処理をステップS111に進める。
(ステップS110)
全体制御部110は、ユーザーからの操作パネル18を通じた入力操作を受け付け、受け付けた変更後の紙種を、選択トレイの紙種情報として設定する。
(ステップS111)
全体制御部110は、設定変更がない場合(例えば図22でボタン84の操作を受け付けた場合)には、ステップS107で行った、判定結果を選択トレイの紙種情報として設定する。
(ステップS112)
選択トレイの印刷条件を、設定した紙種に対応する印刷条件に設定し、以下、図19の処理に戻り、ステップS10以下の処理を行う(リターン)。
次に、上記の用紙設定処理においてユーザーによって実行される処理の手順について、画像形成装置10に表示される画面の例を含めて説明する。
図22は、用紙設定処理の手順を説明するための図である。図23は、判定処理を開始する指示を受け付ける操作画面の例である。図24は、判定処理を実行する指示を受け付ける操作画面の例である。図25は、判定結果(紙種/坪量区分)を示す操作画面の例である。図26は、判定結果(登録プロファイル)を示す操作画面の例である。図27は、判定された用紙設定の変更処理を開始する指示を受け付ける操作画面の例である。図28は、判定された用紙設定を変更する指示を受け付ける操作画面の例である。図29は、判定された用紙設定の変更を登録する指示を受け付ける操作画面の例である。
(ステップS1)
図22に示すように、まず、ユーザーは、測定対象の用紙をトレイにセットし、画像形成装置10の操作パネル18に表示された図23のような画面において、自動用紙設定ボタン180aを選択する。
(ステップS2)
操作パネル18には、図24のような画面が表示され、ユーザーが用紙をセットしたトレイを選択して用紙種類検出ボタン180bを選択することによって、用紙設定処理が開始される。
(ステップS3)
続いて、画像形成装置10によって、図20に示すような用紙搬送、測定、判定処理が実行される。
(ステップS4)
続いて、図25および図26のような画面において判定結果が表示される。
(ステップS5)
ユーザーは、表示された候補の中から使用するものを選択して、画像形成装置10に設定を適用する。
図25は、操作パネル18に表示した、判定結果(紙種/坪量区分)を示す操作画面の例である。図25の操作画面では、スコアの高い順に2つの紙種/坪量の候補を表示している。ユーザーは、第1候補である欄181(グロスコート紙/坪量177~216)の判定結果を受け入れる場合には、ボタン184を操作することで、トレイ1(給紙トレイ141)に、選択されている欄181の判定結果が適用される。第2候補である欄182(普通紙/坪量172~216)を適用する場合には、ユーザーは欄182を選択した後に、ボタン184を操作する。一方で、トレイ1、2の両方に、選択されている判定結果を適用したい場合には、ユーザーは、ボタン185を操作する。また、ボタン183を操作することで、判定結果を採用せず、廃棄できる。ユーザーは、試し刷りを行い画質や搬送に満足しない場合、第2候補の欄182を選択し直してボタン184またはボタン185を操作してトレイに再適用してから試し刷りを行う。ユーザーにより選択された判定結果は、正解データとして画像形成装置10の記憶部またはサーバー80等に蓄積され、その後の機械学習の教師データとして利用するようにしてもよい。また、修正は、ユーザーが各種設定を直接入力するマニュアル設定により受け付けられるようにしてもよい。
図26は、操作パネル18に表示した、判定結果(登録プロファイル)を示す操作画面の例である。図26の操作画面では、スコアの高い順に3つの登録プロファイルの候補を表示している。登録プロファイルは、ユーザーが以前にメディアセンサー15で測定した紙特性、または、操作パネル18を通じて手入力した紙特性、をメディア名に対応付けて登録したものである。過去に測定した紙特性と同じであれば、登録したそのメディア名が第1候補として表示される。第1候補である欄186(用紙プロファイルデータ21)の判定結果を受け入れる場合には、ボタン184、185等を操作することで、トレイ1等に、選択されている欄186の判定結果が適用される。なお、登録プロファイルの候補として、ユーザーの指示等に基づいて、装置に予め登録されているプリセットプロファイルが表示されてもよい。また、上記のように判定された結果に基づいて適用された各種設定によって図19のS20のテスト印刷(試し刷り)を行った結果、画質や給紙搬送処理がユーザーの要求を満たさない場合、ユーザーは第2候補を選択し直してテスト印刷をことが出来る。また、ユーザーは各種設定値をマニュアル設定(手作業での設定)してもよい。マニュアル設定された各種設定は、ユーザーの指示等にしたがい、画像形成装置10等に記憶されたり、各種測定値等とともに後述する教師データベースに追加されたりしてもよい。登録プロファイルを判定する処理について、詳細は後述する。
ここで、ユーザーは、判定された用紙設定内容を修正して画像形成装置10に設定することもできる。例えば、図27に示されるような用紙設定画面において、用紙種別が「グロスコート紙」と判別されていることが表示されている。図27の画面において、ユーザーが設定変更ボタン187を選択すると、図28に示されるような用紙設定を変更するための画面が表示される。図28の画面において、左側には設定項目の一覧と現在の設定内容が示されている。そして、設定変更する項目として、用紙種類の項目が選択されているため、図28の画面の右側には、用紙種類の現在の設定である「グロスコート紙」と、用紙種類を変更する候補が表示されている。ここで、図29に示される画面のように、画面の右側の用紙種類を変更する候補の中から「上質紙」が選択されると、画面の左側の設定項目の一覧においても、用紙種類が「上質紙」に変更されることが表示される。このように、ユーザーが選択された用紙種類(紙種)を「グロスコート紙」から「上質紙」に変更し、「OK」または「登録&OK」のボタンを押下することによって、「上質紙」の設定が適用され、画像形成装置10に登録される。なお、後述するように、このとき登録された内容が機械学習の教師データとして追加されてもよい。また、機械学習の教師データとして追加するための指示をユーザーから受け付けるボタン等が別途設けられてもよい。なお、後述するように、用紙種類が「カラー用紙」、「封筒」、「エンボス紙」等の所定の種類に変更された場合、機械学習の教師データに追加されないようにしてもよい。
このように、本実施形態に係る画像形成装置10では、取得された正反射光量値、拡散反射光量値を含む測定値を、機械学習された紙種判別用の学習済みモデルに入力して紙種を判別する。これにより、予め紙種データベースに登録されていない種類の用紙に対しても、適切に紙種の候補を判別することができる。
(機械学習による紙種判別モデルの生成)
図30は、教師データのデータベースに登録される情報の一例を示す図である。図31は、教師データを用いた機械学習によって生成されるランダムフォレストの学習済みモデルの一例を示す図である。
図30に示すように、機械学習に使用する教師データの入力因子としては、表面性センサー60から取得される光量である、反射光75°(正反射光)、反射光60°(拡散反射光)、反射光30°(拡散反射光)、ならびに、紙厚センサー40および坪量センサー50から取得さる坪量差(第1坪量-第2坪量)、密度に関する情報が使用される。密度に代わり、坪量および紙厚の情報が使用されてもよい。また、教師データの出力因子としては、紙種(用紙種類)が使用される。図30の例では、800セット以上の教師データが準備されている。
図30に示すような教師データを使用して、ランダムフォレスト(Random Forest)モデルを用いた機械学習を行うことによって、図31に例示されるような学習済みモデル(紙種判別モデル)が生成される。本実施形態では、ノード数が約500個の紙種判別モデルとして生成される。なお、教師データを用いたランダムフォレストモデルの生成およびランダムフォレストモデルを用いた判別方法については、公知であるため詳細な説明を割愛する。ランダムフォレストモデルは、ツリー状の構成で各ノード(Node)において閾値条件によって分岐(判断)する形式であるため、判別アルゴリズムとしてプログラムに組み込む際には簡単な条件分岐として実装される。このため、判別にかかる処理時間が短く、画像形成装置10等においてリアルタイム処理として組み込んだ場合にも、問題とならないという利点がある。本実施形態では、生成された紙種判別モデルが、紙種判別アルゴリズムに変換されて予めプログラムに組み込まれ、画像形成装置10の全体制御部110によって実行される。
(教師データの入力因子の選定)
本発明者らは、用紙から測定可能な情報に基づいて精度よく紙種を判別できる紙種判別モデルを生成するために機械学習において使用するパラメータについて鋭意検討した結果、図30に示す教師データの入力因子が有効であることを見出した。以下、入力因子の選定方法について、詳細に説明する。
まず、用紙から測定可能な各種物性値について、紙種判別モデルの入力因子としての判定精度が検討された。判別精度の観点から、透気度、密度、ベック平滑度、摩擦係数、剛度、白色度、表面抵抗、含水率の順に寄与度が高いことが判明した(下記表1)。さらに寄与度が最上位である透気度を入力因子から除いた場合でも、判別精度に問題がないことを確認した上でさらなる選定が行われた。透気度は、画像形成装置等に搭載して使用できる透気度センサーがまだ実用化レベルにないため入力因子から除外された。
選定にあたっては、実際に画像形成装置10に搭載された各センサーの出力に基づいて紙種の判別を行い、寄与度、判別精度、再現性の観点から最も良好な値となる有効な入力因子が選定された。また、同様の意味を持つ複数の因子は、過剰判断の原因となるため一つに絞られた。密度は、寄与度が高く、坪量と紙厚から算出できるため、入力因子として選定された。ベック平滑度は、上述のように、表面性センサー60によって測定される正反射光および拡散反射光の光量と相関があることが検証の結果判明しているため、正反射光および拡散反射光の光量が入力因子として選定された。入力因子として、正反射光量と拡散反射光量の比のデータ等も検討されたが、検討の結果除外された。
このようにして、上記の8個の入力因子から4個の入力因子に絞り込まれ、最終的に、正反射光量(75°)、拡散反射光量(30°)、坪量センサー50から取得される坪量差(第1坪量-第2坪量:用紙透過光量)、および密度(坪量と厚さから計算された結果が用いられても良い)が選定された(下記表2)。なお、坪量差(第1坪量-第2坪量)は、後述するようにグロス紙と非グロス紙との判別に使用できることが、検証の結果判明したため、入力因子として採用された。第1坪量および第2坪量の取得方法および紙種判別への使用例について、詳細は図54~図59を参照して後述する。上記のように選定された入力因子と、出力因子である紙種とを関連付けて作成された教師データを用いて機械学習して求められた紙種判別モデルの判定精度は、98%(再現性97%)であった(下記表3)。
なお、正反射光および拡散反射光の光量と平滑度の間には相関があるため、上述された平滑度の推定式(複合重回帰分析の結果により求められたもの)に、正反射光および拡散反射光の光量を入力することによって平滑度を算出し、算出された平滑度の値を機械学習の入力因子として使用してもよい。教師データのパラメータとして使用する値は上記の例に限定されず、紙種を判別するために有効な任意のパラメータが採用され得る。
(第2実施形態)
第1実施形態では、画像形成装置10に、紙種判別アルゴリズムを予め組み込んで用紙判別処理を行う例について説明した。第2実施形態では、画像形成装置10において、機械学習を行い、紙種判別モデルおよび紙種判別アルゴリズムを生成および更新する例について説明する。
第2実施形態の画像形成装置10の構成は、第1実施形態の画像形成装置10と同様であり、図30に示すような機械学習を行うための教師データのデータベースが記憶部12に記憶される点において、第1実施形態の画像形成装置10とは異なる。本実施形態において、画像形成装置10または制御部11(全体制御部110)は、判別装置または判別システムとして機能する。
図32は、第2実施形態に係る画像形成装置の全体制御部の機能構成を示すブロック図である。
図32に示すように、第2実施形態の画像形成装置10の全体制御部110は、取得部111、判別部112、および学習部113として機能する。
取得部111および判別部112の機能は、第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
学習部113は、図30に示されるような教師データを用いて機械学習を行い、図31に示されるようなランダムフォレストモデルによる紙種判別モデルを生成する。また、学習部113は、紙種判別モデル(または変換された紙種判別アルゴリズム)によって判別された結果がユーザーによって変更された場合、変更された内容を教師データとして追加し、追加された教師データを用いてさらに機械学習を行うことによって、新たな紙種判別モデルを生成できる。上記のような学習部113の処理について、以下、詳細に説明する。
(変更情報の教師データへの追加)
まず、変更情報の教師データへの追加処理について説明する。
図33は、第2実施形態に係る画像形成装置において実行される変更情報の教師データへの追加処理を示すフローチャートである。以下、図33を参照しつつ説明する。
(ステップS201)
画像形成装置10の全体制御部110は、判別部112による紙種等の判定結果が、ユーザーによって変更されたか否かを判断する。
変更されていない場合(ステップS201:NO)、全体制御部110は、処理を終了する。
変更されている場合(ステップS201:YES)、全体制御部110は、ステップS202の処理に進む。
(ステップS202)
全体制御部110は、変更された紙種等を画像形成に使用する用紙設定として設定する。
(ステップS203)
全体制御部110は、対応する測定値情報を取得する。対応する測定値情報とは、判別部112において紙種等を判定するために学習済みモデルに入力した、紙厚、坪量(密度)、用紙表面性等の測定値に関する情報である。
(ステップS204、S205)
全体制御部110は、記憶部12に記憶された教師データベースのアドレス情報を読み込み、教師データベースの最終アドレスを取得する。
(ステップS206)
全体制御部110は、教師データベースの最終アドレスの次のアドレスに、ユーザーによって変更された紙種の情報および対応する測定値情報を、新たな教師データとして追加する。たとえば、図30の教師データベースにおいて、最終のアドレスに記録された教師データが「No.802」の教師データである場合、新たな教師データは、No.803のデータとして追加される。続いて、全体制御部110は、教師データを追加した回数である更新回数N1を1つカウントアップ(インクリメント)して記憶部12に記憶し、処理を終了する。
(紙種判別モデルおよび紙種判別アルゴリズムの生成および更新)
次に、紙種判別モデルおよび紙種判別アルゴリズムの生成および更新処理について説明する。
図34は、第2実施形態に係る画像形成装置において実行される紙種判別モデルおよび紙種判別アルゴリズムの生成および更新処理を示すフローチャートである。以下、図34を参照しつつ説明する。
(ステップS211)
画像形成装置10の全体制御部110は、教師データの更新回数N1を記憶部12から読み出す。
(ステップS212)。
全体制御部110は、教師データの更新回数N1が、紙種判別モデル更新の実行条件として予め記憶部12に設定された所定の回数以上であるか否かを判断する紙種判別モデル更新の実行条件の設定について、詳細は図36Aおよび図36Bを参照して後述する。
教師データの更新回数N1が所定の回数以上でない場合(ステップS212:NO)、全体制御部110は、処理を終了する。
教師データの更新回数N1が所定の回数以上である場合(ステップS212:YES)、全体制御部110は、ステップS213の処理に進む。
(ステップS213)
全体制御部110は、教師データの更新回数N1をゼロに設定する。
(ステップS214)
全体制御部110は、実行条件として予め記憶部12に設定された更新タイミングが「待機状態」であるか否かを判断する。
実行条件として予め設定された更新タイミングが「待機状態」である場合(ステップS214:YES)、全体制御部110は、ステップS215の処理に進む。
実行条件として予め設定された更新タイミングが「待機状態」でない場合(ステップS214:NO)、全体制御部110は、ステップS216の処理に進む。
(ステップS215)
全体制御部110は、画像形成装置10が待機状態であるか否かを判断する。
待機状態でない場合(ステップS215:NO)、全体制御部110は、画像形成装置10が待機状態となるまで画像形成装置10の状態を監視する処理を継続する。あるいは、全体制御部110は、一旦処理を終了し、所定のタイミングで図34の処理を再度実行してもよい。
待機状態である場合(ステップS215:YES)、全体制御部110は、ステップS218の処理に進む。
(ステップS216)
全体制御部110は、実行条件として予め設定された更新タイミングが「指定時間」であるか否かを判断する。
実行条件として予め設定された更新タイミングが「指定時間」である場合(ステップS216:YES)、全体制御部110は、ステップS217の処理に進む。
実行条件として予め設定された更新タイミングが「指定時間」でない場合(ステップS216:NO)、全体制御部110は、更新の実行条件が設定されていないものとして処理を終了する。あるいは、全体制御部110は、所定のデフォルト設定等に基づいて更新の実行条件を判断してもよい。
(ステップS217)
全体制御部110は、日付・時刻管理部121において管理されている日付および時刻を参照し、予め設定されている指定時間が到来しているか否かを判断する。
指定時間が到来していない場合(ステップS217:NO)、全体制御部110は、指定時間が到来する時間を監視する処理を継続する。あるいは、全体制御部110は、一旦処理を終了し、所定のタイミングで図34の処理を再度実行してもよい。
指定時間が到来している場合(ステップS217:YES)、全体制御部110は、ステップS218の処理に進む。
(ステップS218)
全体制御部110は、画像形成装置10の印刷動作または調整動作等に関するユーザー等からの指示の受付を禁止する。
(ステップS219)
全体制御部110は、記憶部12に記憶された教師データベース(図30)に基づいて、ランダムフォレストによる紙種判別モデル(図31)を生成する。
(ステップS220)
全体制御部110は、生成された紙種判別モデルに基づいて、プログラムとして実行可能な紙種判別アルゴリズムを生成する。ステップS219およびステップS220の処理について、詳細は図35を参照して後述する。
(ステップS221)
全体制御部110は、生成された紙種判別アルゴリズムを、全体制御部110が有するCPUのフラッシュメモリーの指定セグメントに書き込む。
(ステップS222)
全体制御部110は、ステップS218において禁止した画像形成装置10の印刷動作または調整動作等に関するユーザー等からの指示の受付を許可(禁止解除)する。
なお、全体制御部110は、生成される紙種判別モデルまたは紙種判別アルゴリズムのバージョン情報を管理し、使用しているバージョン情報を操作パネル18に表示してもよい。また、全体制御部110は、上記のバージョン情報の一覧表を更新履歴として操作パネル18に表示してもよい。バージョン情報としては、例えば連番の番号が自動的に付与される。一覧表には、バージョン情報と更新日時(作成日時)等が表示される。例えば、ユーザーが更新されたバージョンの紙種判別モデルによる判別結果に満足しない場合、一覧表に表示された以前のバージョン情報を選択することによって、以前のバージョンの紙種判別モデルに戻すことができる。また、図36Bを参照して後述するように、ユーザーは一つ前のバージョンの紙種判別モデルに戻したり、一つ後のバージョンの紙種判別モデルに戻したりすることもできる。
(紙種判別モデルの生成および紙種判別アルゴリズムへの変換)
図35は、紙種判別モデルの生成処理および紙種判別モデルのバイナリーファイルへの変換処理の手順を示す図である。
図35に示す処理は、例えば、LinuxOSがインストールされたCPUを用いて、Linux上でR(アール)を稼働させることによって実行され得る。なお、Rの代わりにPhthonを用いて紙種判別モデルの生成等が実行されてもよい。
図35の上段に示すように、教師データが入力されると、データ欠損処理、データ分析処理等が行われた後、ランダムフォレストによる判別モデルが生成され、ノード状態を表すTree情報ファイルとして出力される。続いて、図35の下段に示すように、出力されたTree情報ファイルから、実行ファイルに組み込み可能な紙種判別アルゴリズム(バイナリーファイル)が生成され、Treeバイナリーファイルとして出力される。紙種判別アルゴリズム(バイナリーファイル)は、CPU内部のフラッシュメモリー領域に予め設けられた、紙種判別アルゴリズム専用の書き換え可能領域(セグメント)に書き込まれる。
(紙種判別モデル更新の実行条件の設定)
図36Aは、紙種判別モデルの更新の実行条件の設定を受け付ける画面の一例である。図36Bは、紙種判別モデルの選択を受け付ける画面の一例である。
画像形成装置10は、例えば図36Aに示すような画面を操作パネル18に表示して、ユーザーから紙種判別モデルの更新の実行条件の設定を受け付ける。
図36Aの画面において、ユーザーは、実行条件である更新タイミング(更新時期)について、「待機状態」または「指定時間」をタッチパネルボタンの操作によって選択できる。更新タイミングとして「指定時間」が選択された場合、ユーザーは、更新時間(更新が行われる時刻)を、タッチパネルボタンの「△」「▽」のアップ、ダウンボタンを押すことで、または、図示していないテンキーまたはソフトキー等を用いて指定する。更新時間としては、時刻以外に、曜日や日付等が設定されてもよい。あるいは、更新時間として、前回の更新からの経過時間が設定されてもよい。また、ユーザーは、実行条件である教師データの更新回数N1に関する処理の回数を更新時間の設定と同じ設定方法で設定できる。図36Aの例では、所定の回数は10に設定されており、新たな教師データが10セット追加された場合に、教師データの更新回数に関する実行条件が満たされる。また、ユーザーは、図36Aの画面の紙種判別モデル欄のボタンを選択することにより、紙種判別モデルを更新するかしないか、あるいは前のバージョンを選択するかを指定することができる。図36Aの画面において「前のバージョンを選択」のボタンが操作されると、たとえば図36Bに示されるような画面が表示される。図36Bの画面において、ユーザーは、1つ前のバージョンの紙種判別モデルを使用するか、1つ後のバージョンの紙種判別モデルを使用するか、あるいはデフォルトモデルを使用するか等を選択できる。ユーザーは、「1つ前のモデルを選択」のタッチパネルボタンを押す毎に、現在選択されているバージョンの紙種判別モデルから、前のバージョンの紙種判別モデルにさかのぼることができる。逆に、「1つ後のモデルを選択」のタッチパネルボタンを押す毎に、紙種判別モデルを、最も新しい更新バージョンの方向に戻すことができる。この場合も、図示していないが、紙種判別モデルのバージョンが登録された日付を表示して、ユーザーが選択している紙種判別モデルのバージョンを、ユーザーに認識させる表示が設けられる。また、「1つ前のモデルを選択」または「1つ後のモデルを選択」のタッチパネルボタンを押し続けて、紙種判別モデルの選択候補がなくなった場合には、選択候補がなくなったことを示す警告が表示されてもよく、あるいは、デフォルトのモデルの紙種判別モデルが選択されることや、最新のバージョンの紙種判別モデルが選択されること等を示す警告が表示されてもよい。
第2実施形態によれば、更新された最新の紙種判別アルゴリズムを用いて判別処理を実行することができる。また、紙種判別モデルを紙種判別アルゴリズムとしてプログラムに組み込むことにより、判別処理にかかる時間を短縮することができる。したがって、本実施形態にかかる用紙設定処理を、画像形成装置10が使用される現場の業務シーケンス内に収めることができる。その一方で、処理に時間がかかる紙種判別モデルの生成および紙種判別アルゴリズムへの変換とプログラムへの組込処理を、画像形成装置10の待機状態または印刷・調整等の稼働状態以外で行うことによって、画像形成装置10の通常使用への影響を極小化できる。
また、第2実施形態によれば、画像形成装置10ごとに紙種判別モデルが生成されるため、画像形成装置10ごとの使用状況に応じた適切な紙種判別モデルを生成することができる。
(第3実施形態)
第1および第2実施形態では、画像形成装置10が単体で用紙判別処理や機械学習処理等を行う例について説明した。第3実施形態では、各画像形成装置10が、ネットワークLを介して接続されるサーバー80と協働して各種処理を行う例について説明する。第3実施形態については、各構成が実行する機能によって第3-1実施形態~第3-3実施形態に分けて説明する。
(第3-1実施形態)
第3-1実施形態では、サーバー80に教師データベースおよび機械学習機能が設けられ、サーバー80において学習済みモデルである紙種判別モデルおよび紙種判別アルゴリズムが生成される。生成された紙種判別アルゴリズムは、サーバー80から画像形成装置10に送信され、画像形成装置10において、紙種判別アルゴリズムを用いた用紙判別処理が実行される。以下、第3-1実施形態の構成および処理について詳細に説明する。
第3-1実施形態の画像形成装置10のハードウェア構成は、第1および第2実施形態の画像形成装置10と同様であるため、詳細な説明を省略する。
(サーバー80)
図37は、サーバーの構成を示すブロック図である。
図37に示すように、サーバー80は、制御部81、通信部82、および記憶部83(データベースとも称される)を備え、各構成は、バスによって、相互に通信可能に接続されている。サーバー80は、画像形成装置10と同じ場所に設けられてもよく、遠隔地に設けられ、ネットワークを介して接続されるようにしてもよい。例えば、サーバー80は、インターネット等のネットワーク上に配置された複数のサーバーによって仮想的に構築されるクラウドサーバーであってもよい。本実施形態において、サーバー80または制御部81は、画像形成装置10と連携して判別システムを構成する。また、本実施形態において、画像形成装置10または制御部11(全体制御部110)は、判別装置として機能する。
制御部81は、画像形成装置10の制御部11と同様の構成として、CPU、RAM、ROM等を備える。
通信部82は、イーサネット(登録商標)等の規格による有線通信や、Wi-Fi等の規格を用いた無線通信が可能である。
記憶部83は、各画像形成装置10において画像形成を行う際に必要となる設定情報や、機械学習に用いる教師データのデータベース等の各種情報を記憶する。
図38は、第3-1実施形態に係るサーバーの制御部の機能構成を示すブロック図である。図39は、第3-1実施形態に係る画像形成装置の全体制御部の機能構成を示すブロック図である。
図38に示すように、サーバー80の制御部81は、取得部811および学習部812として機能する。取得部811は、教師データとなる測定値情報および紙種情報等を画像形成装置10等から取得する。学習部812は、教師データに基づいて機械学習を行い、学習済みモデルである紙種判別モデルおよび紙種判別アルゴリズムを生成する。学習部812の機能は、図32において説明した画像形成装置10の全体制御部110の学習部113における処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。
図39に示すように、画像形成装置10の全体制御部110は、取得部111、判別部112、出力部114、および受付部115として機能する。取得部111および判別部112の機能は、第1および第2実施形態の画像形成装置10と同様であるため、詳細な説明を省略する。出力部114は、判別部112による判別結果を、操作パネル18に表示させること等によって出力する。受付部115は、出力部114によって出力された判別結果を変更するための指示を受け付ける。
以下、各構成によって実行される処理について説明する。
(画像形成装置での変更情報のサーバーへの送信)
図40は、第3-1実施形態に係る画像形成装置において実行される変更情報の送信処理を示すフローチャートである。以下、図40を参照しつつ説明する。
(ステップS301)
画像形成装置10の全体制御部110は、判別部112による紙種等の判定結果が、ユーザーによって変更されたか否かを判断する。
変更されていない場合(ステップS301:NO)、全体制御部110は、処理を終了する。
変更されている場合(ステップS301:YES)、全体制御部110は、ステップS302の処理に進む。
(ステップS302)
全体制御部110は、変更された紙種等を画像形成に使用する用紙設定として設定する。
(ステップS303)
全体制御部110は、紙種4種以外が選択(設定)されているか否かを判断する。本実施形態では、紙種4種としてグロスコート紙、マットコート紙、普通紙、上質紙が設定されている。
紙種4種以外が選択されている場合(ステップS303:YES)、例えば、図29の例において、「カラー用紙」、「封筒」「エンボス紙」に変更された場合、全体制御部110は、処理を終了する。
紙種4種が選択されている場合(ステップS303:NO)、全体制御部110は、ステップS304の処理に進み、教師データベースに追加する処理を実行する。なお、本実施形態では、変更された紙種が所定の4種であるか否かを判断する例について説明したが、所定の紙種の数や種類はこれに限定されない。
(ステップS304)
全体制御部110は、対応する測定値情報を取得する対応する。測定値情報とは、判別部112において紙種等を判定するために学習済みモデルに入力した、紙厚、坪量(密度)、用紙表面性等の測定値に関する情報である。
(ステップS305)
全体制御部110は、ユーザーによって変更された紙種の情報および対応する測定値情報を、教師データベースに追加する新たな教師データ(追加教師データ)としてサーバー80に送信する。このとき、全体制御部110は、追加教師データと共に、画像形成装置10を識別するためのシリアル番号等の識別情報をサーバー80に送信してもよい。これにより、サーバー80では、どの画像形成装置10から送信された追加教師データであるかを把握して画像形成装置10ごとの教師データの追加履歴を管理できる。その結果、サーバー80においても、画像形成装置10ごとの教師データベースを作成して画像形成装置10ごとの紙種判別モデルを生成することができる。
(サーバーでの変更情報の教師データへの追加)
図41は、第3-1実施形態に係るサーバーにおいて実行される教師データの追加処理を示すフローチャートである。以下、図41を参照しつつ説明する。
(ステップS311)
サーバー80の制御部81は、画像形成装置10から送信された追加教師データがあるか否かを判断する。
追加教師データがない場合(ステップS311:NO)、制御部81は、処理を終了する。
追加教師データがある場合(ステップS311:YES)、制御部81は、ステップS312の処理に進む。
(ステップS312、S313)
制御部81は、記憶部83に記憶された教師データベースのアドレス情報を読み込み、教師データベースの最終アドレスを取得する。
(ステップS314)
制御部81は、教師データベースの最終アドレスの次のアドレスに、ユーザーによって変更された紙種の情報および対応する測定値情報である追加教師データを書き込む。
(ステップS315)
制御部81は、教師データを追加した回数である更新回数N1を1つカウントアップ(インクリメント)して記憶部83に記憶し、処理を終了する。
(サーバーでの紙種判別モデルおよび紙種判別アルゴリズムの生成)
図42は、第3-1実施形態に係るサーバーにおいて実行される紙種判別モデルおよび紙種判別アルゴリズムの生成処理を示すフローチャートである。以下、図42を参照しつつ説明する。
(ステップS321)
サーバー80の制御部81は、教師データの更新回数N1を記憶部83から読み出す。
(ステップS322)
制御部81は、教師データの更新回数N1が、紙種判別モデル更新の実行条件として予め記憶部83に設定された所定の回数以上であるか否かを判断する。紙種判別モデル更新の実行条件については、第2実施形態と同様であり、ユーザーによって画像形成装置10または設定用のPC(不図示)等を介して設定され、サーバー80の記憶部83に記憶される。
教師データの更新回数N1が所定の回数以上でない場合(ステップS322:NO)、制御部81は、処理を終了する。
教師データの更新回数N1が所定の回数以上である場合(ステップS322:YES)、制御部81は、ステップS323の処理に進む。
(ステップS323)
制御部81は、教師データの更新回数N1をゼロに設定する。
(ステップS324)
制御部81は、記憶部83に記憶された教師データベース(図30)に基づいて、ランダムフォレストによる紙種判別モデル(図31)を生成する。なお、制御部81は、実行条件として予め設定されたタイミングに紙種判別モデルを生成してもよい。
(ステップS325)
制御部81は、生成された紙種判別モデルに基づいて、プログラムとして実行可能な紙種判別アルゴリズムを生成する。ステップS325およびステップS326の処理は、図34のステップS219およびステップS220の処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。なお、制御部81は、実行条件として予め設定されたタイミングに紙種判別アルゴリズムを生成してもよい。
(ステップS326)
制御部81は、生成された紙種判別アルゴリズムを、バージョン情報と共に参照アルゴリズムとして記憶部83に記憶する。
(画像形成装置での紙種判別アルゴリズムの更新)
図43は、第3-1実施形態に係る画像形成装置において実行される紙種判別アルゴリズムの更新処理を示すフローチャートである。以下、図43を参照しつつ説明する。
(ステップS331)
画像形成装置10の全体制御部110は、サーバー80にアクセスして紙種判別アルゴリズムの更新情報を取得する。例えば、全体制御部110は、サーバー80に記憶されている最新の紙種判別アルゴリズムのバージョン情報を取得する。
(ステップS332)
全体制御部110は、サーバー80から取得した最新の紙種判別アルゴリズムのバージョン情報と、自機が使用している紙種判別アルゴリズムのバージョン情報と比較することによって、紙種判別アルゴリズムが更新されているか否かを判断する。
更新されていない場合(ステップS332:NO)、全体制御部110は、処理を終了する。
更新されている場合(ステップS332:YES)、全体制御部110は、ステップS333の処理に進む。
(ステップS333)
全体制御部110は、紙種判別モデル更新の実行条件に関する情報を、サーバー80または画像形成装置10の記憶部12等から取得する。
(ステップS334)
全体制御部110は、実行条件として予め設定された更新タイミングが「待機状態」であるか否かを判断する。
実行条件として予め設定された更新タイミングが「待機状態」である場合(ステップS334:YES)、全体制御部110は、ステップS335の処理に進む。
実行条件として予め設定された更新タイミングが「待機状態」でない場合(ステップS334:NO)、全体制御部110は、ステップS336の処理に進む。
(ステップS335)
全体制御部110は、画像形成装置10が待機状態であるか否かを判断する。
待機状態でない場合(ステップS335:NO)、全体制御部110は、画像形成装置10が待機状態となるまで画像形成装置10の状態を監視する処理を継続する。あるいは、全体制御部110は、一旦処理を終了し、所定のタイミングで図43の処理を再度実行してもよい。
待機状態である場合(ステップS335:YES)、全体制御部110は、ステップS338の処理に進む。
(ステップS336)
全体制御部110は、実行条件として予め設定された更新タイミングが「指定時間」であるか否かを判断する。
実行条件として予め設定された更新タイミングが「指定時間」である場合(ステップS336:YES)、全体制御部110は、ステップS337の処理に進む。
実行条件として予め設定された更新タイミングが「指定時間」でない場合(ステップS336:NO)、全体制御部110は、更新の実行条件が設定されていないものとして処理を終了する。あるいは、全体制御部110は、所定のデフォルト設定等に基づいて更新の実行条件を判断してもよい。
(ステップS337)
全体制御部110は、日付・時刻管理部121において管理されている日付および時刻を参照し、予め設定されている指定時間が到来しているか否かを判断する。
指定時間が到来していない場合(ステップS337:NO)、全体制御部110は、指定時間が到来する時間を監視する処理を継続する。あるいは、全体制御部110は、一旦処理を終了し、所定のタイミングで図43の処理を再度実行してもよい。
指定時間が到来している場合(ステップS337:YES)、全体制御部110は、ステップS338の処理に進む。
(ステップS338)
全体制御部110は、画像形成装置10の印刷動作または調整動作等に関するユーザー等からの指示の受付を禁止する。
(ステップS339)
全体制御部110は、サーバー80に対して最新の紙種判別アルゴリズムを要求して取得する。
(ステップS340)
全体制御部110は、サーバー80から取得した最新の紙種判別アルゴリズムを、全体制御部110が有するCPUのフラッシュメモリーの指定セグメントに書き込む。
(ステップS341)
全体制御部110は、ステップS338において禁止した画像形成装置10の印刷動作または調整動作等に関するユーザー等からの指示の受付を許可(禁止解除)する。
第3-1実施形態によれば、処理時間がかかる紙種判別モデルの生成処理がサーバー80において実行されるため、紙種判別モデルの生成処理に伴う画像形成装置10の印刷処理等の閉塞時間が短縮される。また、更新された最新の紙種判別アルゴリズムをサーバー80が生成して保有することによって、サーバー80に接続された複数の画像形成装置10が最新の紙種判別アルゴリズムを共有できる。また、サーバー80において、画像形成装置10ごとの教師データベースを作成することによって、画像形成装置10ごとの使用状況等に応じた紙種判別アルゴリズムを生成することもできる。
(第3-2実施形態)
第3-2実施形態では、サーバー80に学習済みモデルである紙種判別アルゴリズムが実装され、サーバー80において用紙判別処理が実行される。以下、第3-2実施形態の構成および処理について詳細に説明する。
第3-2実施形態の画像形成装置10およびサーバー80のハードウェア構成は、第3-1実施形態と同様である。
図44Aは、第3-2実施形態に係るサーバーの制御部の機能構成を示すブロック図である。
図44Aに示すように、サーバー80の制御部81は、取得部811および判別部813として機能する。取得部811の機能は、図37において説明した第3-1実施形態のサーバー80の取得部811と同様であるため、詳細な説明を省略する。判別部813の機能は、図18Bにおいて説明した画像形成装置10の全体制御部110の判別部112における処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。本実施形態において、サーバー80または制御部81は、判別装置として機能する。
図44Bは、第3-2実施形態に係る画像形成装置の全体制御部の機能構成を示すブロック図である。
図44Bに示すように、画像形成装置10の全体制御部110は、取得部111、出力部114、および受付部115として機能する。取得部111、出力部114、および受付部115の機能は、第3-1実施形態の画像形成装置10と同様であるため、詳細な説明を省略する。
以下、各構成によって実行される処理について説明する。
(画像形成装置での用紙設定処理)
図45は、第3-2実施形態に係る画像形成装置において実行される用紙設定処理(図19のステップS10に相当)を示すフローチャートである。以下、図45を参照しつつ説明する。
(ステップS350、S351)
制御部11の搬送制御・画像形成制御部160は、開閉機構65によりシャッター651の開動作を行ってから、選択トレイから、用紙Sを給紙し、搬送路143まで搬送する。
(ステップS352a)
メディアセンサー制御部130は、紙厚センサー40により用紙Sの紙厚の検知を行い、検知データ(測定値1)を、全体制御部110に渡す。
(ステップS352b、S352c)
メディアセンサー制御部130は、坪量センサー50、および表面性センサー60により、用紙の坪量、および表面性の検知を行い、検知データ(測定値2、3)を、全体制御部110に渡す。ステップS352b、およびステップS352cの処理は、図20のステップS102bおよびS102cと同様であるため、詳細な説明を省略する。
(ステップS353)
全体制御部110は、所定数N回の測定が行われているか否かを判断する。
所定数N回の測定が行われていなければ(ステップS353:NO)、全体制御部110は、ステップS352b、S352cの処理を繰り返す。
所定数N回の測定が行われていれば(ステップS353:YES)、全体制御部110は、ステップS354の処理に進む。
(ステップS354)
用紙Sの後端が、メディアセンサー15を通過した場合、具体的には用紙Sの後端が搬送ローラー1434を抜けたことを用紙センサー(図示せず)により検知した場合(YES)、処理をステップS355に進める。
(ステップS355)
ここでは制御部11は、開閉機構65によりシャッター651の閉動作を行い閉じた状態にする。これにより、メディアセンサー15で測定を行わないときに搬送される用紙Sによる紙粉等による表面性センサー60の汚れを防止する。
(ステップS356)
全体制御部110は、ステップS352b、S352cで取得されたN回分の坪量、表面性の検知データ(測定値2、3)に対して平均化処理を行う。全体制御部110は、ステップS352a~S356の処理において取得された情報を、測定値情報として記憶部12に記憶する。
(ステップS357)
全体制御部110は、測定値情報をサーバー80に送信する。
(ステップS358)
全体制御部110は、測定値情報に基づいてサーバー80において判定された紙種/坪量区分等の判定結果をサーバー80から取得する。サーバー80での判別処理については、後述する。
(ステップS359)
全体制御部110は、測定値情報に基づいてサーバー80において判定された登録プロファイルの判定結果をサーバー80から取得する。
(ステップS360)
全体制御部110は、サーバー80から取得した判定結果を操作パネル18に表示し、ユーザーからの紙種や登録プロファイル、制御パラメータ等の適用または変更等の指示を受け付ける。
(ステップS361)
全体制御部110は、判定結果として取得された紙種等の情報がユーザーによって変更されたか否かを判断する。
判定結果として取得された情報が変更されずに受け入れられた場合(ステップS361:NO)、全体制御部110は、ステップS362の処理に進む。
判定結果として取得された情報が変更された場合(ステップS361:YES)、全体制御部110は、ステップS363の処理に進む。
(ステップS362)
全体制御部110は、取得された紙種等の情報を画像形成装置10の選択トレイに設定する。
(ステップS363)
全体制御部110は、変更された紙種等の情報を画像形成装置10の選択トレイに設定し、変更情報の登録指示をサーバー80に送信する。
(ステップS364)
全体制御部110は、選択トレイの印刷条件を、設定した紙種等の情報に対応する印刷条件に設定する。
(サーバーでの判別処理)
図46は、第3-2実施形態に係るサーバーにおいて実行される紙種等の判別処理を示すフローチャートである。以下、図46を参照しつつ説明する。
(ステップS371)
サーバー80の制御部81は、図45のステップS357の処理において、画像形成装置10から送信される測定値情報を取得する。
(ステップS372)
制御部81は、測定値情報に基づいて紙種および坪量区分を判定する。ステップS372の処理は、図20のステップS107の紙種判定、および坪量区分の判定処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。
(ステップS373)
制御部81は、記憶部83に予め記憶されている登録プロファイルであるプリセットプロファイルを読み出す。
(ステップS374)
制御部81は、ステップS372において判定された紙種および坪量区分に基づいて、使用するプリセットプロファイルの候補を判定する。
(ステップS375)
制御部81は、ユーザーによって登録されて記憶部83に記憶される登録プロファイルであるユーザープロファイルを読み出す。
(ステップS376)
制御部81は、ステップS372において判定された紙種および坪量区分に基づいて、使用するユーザープロファイルの候補を判定する。使用するプロファイルの候補の判定処理について、詳細は図60を参照して後述する。
(ステップS377)
制御部81は、ステップS372において判定された紙種および坪量区分、ステップS374において判定されたプリセットプロファイル、およびステップS376において判定されたユーザープロファイルの候補等を示す情報を画像形成装置10に送信する。
(サーバーでの変更情報の登録処理)
図47は、第3-2実施形態に係るサーバーにおいて実行される変更情報の登録処理を示すフローチャートである。以下、図47を参照しつつ説明する。
(ステップS381)
サーバー80の制御部81は、図45のステップS363の処理において画像形成装置10から送信される変更情報の登録指示を受信しているか否かを判断する。
受信していない場合(ステップS381:NO)、制御部81は、処理を終了する。
受信している場合(ステップS381:YES)、制御部81は、ステップS382の処理に進む。
(ステップS382、S383)
制御部81は、画像形成装置10から変更された紙種、登録プロファイル、制御パラメータ等の情報を含む変更情報を取得し、取得した変更情報を記憶部83に登録する。
第3-2実施形態によれば、判別処理がサーバー80において実行されるため、ネットワークを介して接続された複数の画像形成装置10間で判別処理を共通化することができ、異なる画像形成装置10であっても同じ判別結果を得ることが可能となる。
また、画像形成装置10ごとに記憶されるユーザープロファイルや制御パラメータ等の設定情報を、画像形成装置10ごとにサーバー80に記憶することもでき、例えばある画像形成装置10に登録された特定のユーザーのユーザープロファイルや制御パラメータを、他の画像形成装置10においても使用することができる。
(第3-3実施形態)
第3-3実施形態では、第3-1実施形態と同様に、サーバー80に教師データベースおよび機械学習機能が設けられ、サーバー80において学習済みモデルである紙種判別モデルおよび紙種判別アルゴリズムが生成される。さらに、第3-3実施形態では、第3-2実施形態と同様に、生成された紙種判別アルゴリズムがサーバー80に実装され、サーバー80において紙種判別アルゴリズムを用いた用紙判別処理が実行される。以下、第3-3実施形態の構成および処理について詳細に説明する。
第3-3実施形態の画像形成装置10およびサーバー80のハードウェア構成は、第3-1実施形態および第3-2実施形態と同様である。
図48Aは、第3-3実施形態に係るサーバーの制御部の機能構成を示すブロック図である。
図48Aに示すように、サーバー80の制御部81は、取得部811、学習部812、および判別部813として機能する。取得部811および学習部812の機能は、図37において説明した第3-1実施形態のサーバー80の取得部811と同様であるため、詳細な説明を省略する。また、判別部813の機能は、図44において説明した第3-2実施形態のサーバー80の判別部813と同様であるため、詳細な説明を省略する。本実施形態において、サーバー80または制御部81は、判別装置または判別システムとして機能する。
図48Bは、第3-3実施形態に係る画像形成装置の全体制御部の機能構成を示すブロック図である。
図48Bに示すように、画像形成装置10の全体制御部110は、取得部111、出力部114、および受付部115として機能する。取得部111、出力部114、および受付部115の機能は、第3-1および第3-2実施形態の画像形成装置10と同様であるため、詳細な説明を省略する。
以下、各構成によって実行される処理について説明する。
(画像形成装置での用紙設定処理)
第3-3実施形態の画像形成装置10において実行される用紙設定処理は、図45において説明した第3-2実施形態の画像形成装置10における用紙設定処理と同様である。
(サーバーでの変更情報の登録および教師データへの追加)
図49は、第3-3実施形態に係るサーバーにおいて実行される変更情報の登録処理を示すフローチャートである。以下、図49を参照しつつ説明する。
(ステップS391)
サーバー80の制御部81は、図45のステップS363の処理において画像形成装置10から送信される変更情報の登録指示を受信しているか否かを判断する。
受信していない場合(ステップS391:NO)、制御部81は、ステップS394の処理に進む。
受信している場合(ステップS391:YES)、制御部81は、ステップS392の処理に進む。
(ステップS392、S393)
制御部81は、画像形成装置10から変更された紙種、登録プロファイル、制御パラメータ等の情報を含む変更情報を取得し、取得した変更情報を記憶部83に登録する。
(ステップS394)
制御部81は、画像形成装置10から教師データへの追加に関する指示を受信しているか否かを判断する。
受信していない場合(ステップS394:NO)、制御部81は、処理を終了する。
受信している場合(ステップS394:YES)、制御部81は、ステップS395の処理に進む。
(ステップS395、S396)
制御部81は、画像形成装置10から変更された紙種と対応する測定値情報を取得して関連付けて、関連付けた情報を記憶部83の教師データベースに追加登録する。教師データベースへの追加処理は、図41において説明した第3-1実施形態のサーバー80における教師データベースへの追加処理と同様である。
(サーバーでの紙種判別モデルおよび紙種判別アルゴリズムの生成)
図50は、第3-3実施形態に係るサーバーにおいて実行される紙種判別モデルおよび紙種判別アルゴリズムの生成および更新処理を示すフローチャートである。以下、図50を参照しつつ説明する。
(ステップS3101~S3105)
ステップS3101~S3105の処理は、図42において説明した第3-1実施形態のサーバー80におけるステップS321~S325の処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。
(ステップS3106)
サーバー80の制御部81は、ステップS3105の処理において生成された実行可能な紙種判別アルゴリズムを、制御部81が有するCPUのフラッシュメモリーの指定セグメントに書き込み、処理を終了する。
第3-3実施形態によれば、処理時間がかかる紙種判別モデルの生成および更新処理がサーバー80において実行されるため、紙種判別モデルの生成および更新処理に伴う画像形成装置10の印刷処理等の閉塞時間が極小化される。また、更新された最新の紙種判別アルゴリズムをサーバー80が生成して実行することによって、サーバー80に接続された複数の画像形成装置10が最新の紙種判別アルゴリズムを共有できる。また、サーバー80において、画像形成装置10ごとの教師データベースを作成することによって、画像形成装置10ごとの使用状況等に応じた紙種判別アルゴリズムを生成して実行することもできる。たとえば、紙種判別アルゴリズムは、画像形成装置10の同機種において個体別に設けられてもよい。この場合、画像形成装置10という一つの機種の異なる機体である、画像形成装置10a、10b、10c等に対してそれぞれ紙種判別アルゴリズムが設けられる。また、紙種判別アルゴリズムは、画像形成装置10の機種別に設けられてもよい。この場合、画像形成装置10の異なる機種である、画像形成装置ア、画像形成装置イ、画像形成装置ウ等に対してそれぞれ紙種判別アルゴリズムが設けられる。あるいは、紙種判別アルゴリズムは、画像形成装置10の機種別かつ個体別に設けられてもよい。この場合、画像形成装置10の異なる機種である、画像形成装置ア、画像形成装置イ、画像形成装置ウ等の異なる機体である、画像形成装置ア-10a、画像形成装置ア-10b、画像形成装置ア-10c等、画像形成装置イ-10a’、画像形成装置イ-10b’、画像形成装置イ-10c’等、画像形成装置ウ-10a”、画像形成装置ウ-10b”、画像形成装置ウ-10c”等に対してそれぞれ紙種判別アルゴリズムが設けられる。
(学習済みモデルとしてニューラルネットワークを用いる変形例)
上記の実施形態では、ランダムフォレストモデルを用いて学習済みモデルである紙種判別モデルを生成する例について説明したが、紙種判別モデルはニューラルネットワーク等の他の機械学習モデルを用いて生成されてもよい。
図51は、教師データを用いて機械学習されたニューラルネットワークの学習済みモデルを用いて紙種を判別する例を示す図である。
図51に示すように、入力層、出力層、および複数の隠れ層(中間層)を有するニューラルネットワークであるディープニューラルネットワーク(DNN)が構成され、教師データを用いたディープラーニング(深層学習)が実行される。図51に示すDNNの例では、入力層には、表面性センサー60によって測定された正反射光量および拡散反射光量にそれぞれ平均化処理を加えたデータと、坪量センサー50および紙厚センサー40によって測定された坪量および紙厚に関する値それぞれに平均化処理を加えたデータが入力される。さらに、入力層には、後述するカメラによって撮影された用紙の表面画像に所定の前処理を加えたデータも入力される。出力層からは、グロスコート紙、マットコート紙、上質紙、普通紙等の判別紙種に関するデータが出力される。図30に示される教師データを用いて図51に示されるDNNを機械学習させることによって、紙種判別モデルが生成される。なお、教師データを用いたニューラルネットワークおよびDNNの機械学習処理および学習済みモデルを用いた判別処理については、公知であるため詳細な説明を割愛する。
図52は、表面画像を取得するための撮影機構を例示する図である。図53は、撮影機構によって取得されたグロスコート紙、マットコート紙、上質紙、普通紙の表面画像と、それぞれの特性を例示する図である。
図52に示すように、撮影機構1500は、カメラ1501、LED1502、反射板1503を有する。撮影機構1500は、例えば画像形成装置10内の用紙Sの搬送経路に設けられる。カメラ1501は、例えば近接マクロレンズが設けられCMSカラーカメラモジュールであり、画素サイズが2μmから10μmのものである。搬送される用紙Sは、用紙押さえ機構によって所定の用紙位置に配置される。LED1502から出力される光は、反射板1503において反射し、所定の用紙位置に配置された用紙Sの表面を照射する。LED1502は、白色発光のLEDを用いている。用紙Sに対する照射角は95°~80°の範囲の設定において用紙面画像差を検出可能である。95°に近づけるほど斜め光を当てることになるので、用紙Sの表面の凸凹の差を検出しやすいが検証の結果、90°が望ましい。被写体の距離と深度は、レンズの焦点距離と明るさにより設定できるが、用紙表面状態の画像を精度良く読み込むためには、表面性センサー60と同じように用紙Sを止めて押し上げ板で用紙を固定して読み込んでいる。カメラ1501は、LED1502から出力された光が照射される部分の用紙Sの表面を撮影して、図53のような各種類の用紙Sの表面画像を取得する。図53に示すように、グロスコート紙、マットコート紙、上質紙、普通紙の順に、用紙表面の平滑度が低く表面は粗くなり、画像濃度は高くなる。なお、上記では、用紙表面色も読み取るためにLED1502を白色発光のLEDとしたが、用紙表面の画像の特徴を抽出するために、白色以外の発光色や赤外色のLEDを採用してもよい。また、白色発光のLEDを使用し、カメラのレンズの前に特定の光波長のみ通すカットフィルターを装着してもよい。
撮影機構1500によって取得された表面画像を示すデータは、例えば制御部11(全体制御部110)によって所定の前処理が加えられた後、画像形成装置10またはサーバー80に記憶されている教師データベースに追加される。所定の前処理として、例えば、用紙表面の凹凸の特徴量を取得するために、表面画像を周波数解析した際の所定の周波数帯域の積分値化処理が実行されてもよい。あるいは、所定の前処理として、平均諧調(全体としての散乱光量)と画像1ラインの標準偏差(濃淡バラツキ)を出力する処理が実行されてもよい。また、所定の前処理として、用紙表面の凸凹の特徴が顕出するような閾値を用いた2値化処理が実行されてもよい。
このように、ニューラルネットワーク(ディープニューラルネットワーク)を用いて紙種判別モデルを生成することによって、機械学習の入力因子として表面画像を導入することが容易となる。これにより、表面画像における濃度のバラツキ量等として表出する用紙表面の凹凸の特徴や状態を、紙種判別のパラメータとして使用することができるため、精度よく紙種判別を実行できる。なお、機械学習を行う際にニューラルネットワークの各層の重みをチューニング(調整)する処理に時間がかかる。したがって、上記の各実施形態のように、学習済みモデルを生成したり更新したりする処理の実施有無、実施タイミング、実施する構成等を制御して画像形成装置10の通常使用への影響を抑止する処置の効果がより顕著に発揮される。
(第1坪量および第2坪量について)
以下、第1坪量および第2坪量の取得方法および坪量差(第1坪量-第2坪量)の紙種判別への使用例について説明する。
まず、坪量センサー50の構成について詳細に説明する。
(坪量センサー50の構成)
図54は、坪量センサー50の構成を示す模式図である。上述のように、坪量センサー50は、用紙の坪量を検出する透過型の光学式センサーであり、発光部と受光部を備え、用紙Sを透過する光の減衰量により、測定する。
図54に示すように、坪量センサー50は、複数の発光部51、単一の受光部52を含む。発光部51は、第1発光部51a、第2発光部51b、第3発光部51cを含む。第1、第2、第3発光部からは、それぞれ第1、第2、第3照射光が照射領域に照射される。この照射領域(第2の照射領域)は、Z’方向から視た場合に開口a12の内側領域である。開口a12は、上ガイド1431に設けられている。また下ガイド1432にも、開口a12に対向する位置に開口a22が設けられている。開口a22、a12は同じ形状であり、例えば、矩形である。開口a22、a12には、搬送路143を通過する用紙Sからの紙粉等の異物が付着するのを防止するために、PET等で構成された、各照射光の波長が透過する透明のシート54a、54bを取り付けている。
第1発光部51aは、第1の波長を有する第1照射光を照射する。第1の波長は、例えば、可視光線の波長よりも長い近赤外線の波長である。より具体的には、第1の波長は、例えば750nmから900nmまでの間の波長を含む。第2発光部51bは、第2の波長を有する第2照射光を照射する。第2の波長は、例えば、可視光線に含まれる青色の光線の波長である。より具体的には、第2の波長は、例えば400nmから470nmまでの間の波長を含む。第1発光部51a、および第2発光部51bは、ともに搬送路143に対して、受光部52とは反対側に配置されており、第3発光部51cは、受光部52と同じ側であって、受光部52の近傍に設けられている。第3発光部51cは、照射領域(開口a12)に向けて第3の波長を有する第3照射光を照射する。第3の波長は、例えば可視光線のうち緑色の光線の波長である。より具体的には、第3の波長は、例えば495nm~570nmまでの間の波長を含む。第3の波長は、第1の波長(例えば、750nmから900nmまでの間の波長)、および、第2の波長(例えば、400nmから470nm)とは異なる波長である。
第3照射光は、上下ガイド1431、1432内の搬送経路143に向けて照射される。第1発光部51aおよび第2発光部51bの近傍に設けられた下ガイド1432の内側には、反射部53が設けられている。反射部53は、例えば、第3照射光と同色の緑色で塗装されており、第3照射光を反射する。なお、反射部53は、同色ではない第1照射光(近赤外線)および第2照射光(青色の光線)は反射しない。
本実施形態では、制御部11は、測定時には、第1発光部51a、第2発光部51bを制御して、それぞれ、異なるタイミングで、第1照射光と第2照射光とを照射する。受光部52は、第1照射光と第2照射光を受光して、それぞれの照射光の光量を検出し、検出した第1照射光の光量と第2照射光の光量とを制御部11に出力する。また、開口a12の位置まで搬送された用紙Sに対しても同様に、第1照射光と第2照射光とを照射する。受光部52は、第1照射光と第2照射光の透過光(第1透過光、第2透過光)を受光して、それぞれの照射光の光量を検出し、検出した第1透過光の光量と第2透過光の光量とを制御部11に出力する。すなわち、受光部52は、用紙Sがないときの第1照射光、第2照射光、および用紙Sが開口a12にあるときの第1透過光、第2透過光を検出する。
また、第3発光部51cに関しても同様に、受光部52は、用紙Sがないときの反射部53で反射した第1反射光、および用紙Sが開口a12にあるときに用紙Sの表面で反射した第2反射光を検出する。
制御部11は、第1透過光の光量を第1照射光の光量で除算して、第1透過率を算出する。また、同様に第2透過光の光量を第2照射光の光量で除算して、第2透過率を算出する。そしてこれらの第1、第2透過率と、記憶部12に記憶されている判定基準から、用紙Sの種類を判定する。
また、制御部11は、第1、第2透過率に加えて、第3反射光の光量を、第1反射光の光量で除算して、反射率を算出し、この反射率を加味して、用紙Sの種類を判定するようにしてもよい。なお、本実施形態では、第3発光部51c、および反射部53を設けているがこれらは省略してもよい。
次に、坪量センサー50の機能について説明する。
(坪量センサー50の機能)
図55は、第3発光部51c、および反射部53を省略した坪量センサーおよび制御部の機能構成を示すブロック図である。
以下、図55を参照して、発光部51を制御する機能を最初に説明し、それ以降に実行される機能について順に説明する。制御部11は、発光部51が照射光を照射するタイミングを制御する照射制御部1100として機能する。照射制御部1100は、第1発光部51aおよび第2発光部51bに対して、照射光の照射を指示する指示信号を出力する。第1発光部51aおよび第2発光部51bは、それぞれ異なるタイミングで、第1照射光と第2照射光とを照射する。
受光部52は、第1照射光と第2照射光とを受光して、それぞれの照射光の光量を検出し、検出した第1照射光の光量と第2照射光の光量とを制御部11に出力する。用紙Sが搬送されたときに、受光部52は、第1照射光が用紙Sを透過した第1透過光と、第2照射光が用紙Sを透過した第2透過光とを受光して、検出した第1透過光の光量と第2透過光の光量とを制御部11に出力する。
制御部11は、透過率算出部1120として、照射光の光量および透過光の光量に基づいて透過率を算出する。透過率算出部1120は、第1透過光の光量を第1照射光の光量で除算して、第1透過率を算出する。透過率算出部1120は、第2透過光の光量を第2照射光の光量で除算して、第2透過率を算出する。
制御部11は、種類判定部1140として、算出された第1透過率および第2透過率により、坪量を換算するための式を選択するための用紙Sの種類である坪量導出用紙種を判定する。より具体的には、種類判定部1140は、第1透過率および第2透過率と、記憶部12に格納された複数の判定基準124のうち予め定められた判定基準と、坪量閾値126とを用いて用紙Sの坪量導出用紙種を判定する。あるいは、表面性センサー60によって検出される反射光量値から、用紙Sの坪量導出部1160で使用される坪量導出用紙種が判定されてもよい。
制御部11は、坪量導出部1160として、判定された用紙Sの坪量導出用紙種に基づく判定基準に応じた坪量として、第1坪量および第2坪量を導出する。第1坪量および第2坪量を取得する処理の詳細は後述する。
以下、判定基準について説明する。
(判定基準)
図56~図58を参照して判定基準について説明する。図56は、第1透過率と公称坪量との関係を表す判定基準を示す図である。より具体的には、図56には、第1の波長を有する第1照射光(近赤外線)を普通紙、コート紙および再生紙に照射したとき得られたそれぞれの透過率と、公称坪量との関係が示されている。透過率は、実験により得られた値である。公称坪量は、用紙Sを製造するメーカー等が公表した、用紙Sの公称坪量である。
図56では、普通紙の透過率と公称坪量との関係を示す指標をひし形、コート紙の透過率と公称坪量との関係を示す指標を四角形、再生紙の透過率と公称坪量との関係を示す指標を三角形で示す。例えば、指標601は、ある普通紙において、実験により算出された透過率が約25%であり、実験に使用された普通紙の公称坪量は約100g/mであることを示す。別の例として、指標602は、あるコート紙において、実験により算出された透過率が約30%であり、実験に使用されたコート紙の公称坪量は約100g/mであることを示す。また、再生紙の透過率も実験により算出され、実験に使用された再生紙の公称坪量が指標により示されている。
実験では、普通紙における複数の指標と、コート紙における複数の指標と、再生紙における複数の指標とが算出される。これらの指標に基づいて、例えば最小二乗法を用いた近似線が、実験に使用されるPC(Personal Computer)に設けられた制御部(図示せず)によって導出される。より具体的には、普通紙における判定基準611(一点鎖線)と、コート紙における判定基準612(実線)と、再生紙における判定基準613(破線)とが導出される。判定基準611~613を含む複数の判定基準124は、記憶部12に格納される。
図57は、第2透過率と公称坪量との関係を表す判定基準を示す図である。より具体的には、図57には、第2の波長を有する第2照射光(可視光線に含まれる青色の光線)を普通紙、コート紙および再生紙に照射したとき得られたそれぞれの透過率と、公称坪量との関係が示されている。図57では、普通紙の透過率と公称坪量との関係を示す指標をひし形、コート紙の透過率と公称坪量との関係を示す指標を四角形、再生紙の透過率と公称坪量との関係を示す指標を三角形で示す。
普通紙、コート紙および再生紙は、それぞれ複数の指標が算出される。これらの指標に基づいて、例えば最小二乗法を用いた近似線が実験に使用されるPCに設けられた制御部によって導出される。より具体的には、普通紙における判定基準711(一点鎖線)と、コート紙における判定基準712(実線)と、再生紙における判定基準713(破線)とが導出される。記憶部12は、判定基準711~713を含む複数の判定基準124を格納可能である。
記憶部12は、近似線の判定基準をテーブルとして格納してもよいし、当該近似線に対応する数式を格納してもよい。例えば、判定基準611~613において、坪量をy1としたときの数式は以下の式(1)となる。
y1=exp(b1×Log(x1)+b2)・・・(1)
x1は第1透過率を表し、b1およびb2は定数を表す。式(1)で用いられる第1透過率は、当該透過率を100で除算した値(例えば、透過率25%の場合、25÷100=0.25)である。制御装置101は、記憶部12に格納された式(1)を読み出し、式(1)に透過率を代入することで坪量を導出する。なお、b1およびb2の少なくともいずれかの定数を変更することで、判定基準611、判定基準612および判定基準613のいずれか対応した数式が生成される。
例えば、判定基準711~713において、坪量をy2としたときの数式は以下の式(2)となる。
y2=exp(a1×Log(x2)+a2×Log(x2)+a3)・・・(2)
x2は、第2透過率を表し、a1、a2、および、a3は定数を表す。式(2)で用いられる第2透過率は、当該透過率を100で除算した値(例えば、透過率30%の場合、30÷100=0.3)である。制御装置101は、記憶部12に格納された式(2)を読み出し、式(2)に透過率を代入することで坪量を導出する。なお、a1、a2、およびa3の少なくともいずれかの定数を変更することで、判定基準711、判定基準712および判定基準713のいずれかに対応した数式が生成される。
透過率を算出する場合に、第1の波長と第2の波長とを用いるのは、これらの波長が他の波長と比べて、判定基準における近似線を構成する指標のばらつきが小さいためである。より具体的には、第1の波長および第2の波長における透過率と公称坪量との関係を示す指標は、他の波長における透過率と公称坪量との関係を示す指標よりも近似線上にまたは近似線から近い位置に多く存在する。第1の波長および第2の波長は、透過率と坪量との相関が他の波長よりも高い波長である。したがって、第1の波長を有する第1照射光と第2の波長を有する第2照射光とが、坪量を導出するための透過率の算出に用いられる。
図58は、波長における透過率と公称坪量との相関関係を示す図である。図58を参照して、波長(nm)が比較的長い近赤外線の波長(750nm~900nm)に相当する第1の波長と、可視光線のうち青色の光線の波長(400nm~470nm)に相当する第2の波長とは、他の波長(例えば、500nm~700nm)に比べて、決定係数が「1」に近い値を示す。ある波長における決定係数が「1」に近い値となる場合、当該波長を有する照射光は、透過率と公称坪量との相関が高い。透過率と公称坪量との相関が高い場合は相関が低い場合よりも、近似線に対する、複数の指標のばらつきが小さくなる。図58を参照すると、第1の波長と第2の波長とにおける決定係数が「1」に近い値となるため、これらの波長を有する照射光は、透過率と公称坪量との相関が高くなる。なお、図58の波長における透過率と坪量との相関を示す値は、図56および図57において説明した実験によって得られたものである。また、図58では普通紙における相関を示すものであるが、他の種類(例えば、コート紙等)の用紙Sも同様の相関を有する。
波長によって相関関係が異なる理由は、用紙Sの種類が同じであっても用紙Sを構成する成分が異なるためである。用紙Sの種類が同じの場合は、公称坪量はほぼ同じ坪量となるが、成分が異なると、用紙Sに照射光が照射されたときに検出される透過率が異なることがある。用紙Sには、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、および、サチンホワイト等のうちの少なくともいずれかの成分が含まれる。これらの成分が用紙Sに含まれる場合に、第1の波長を有する第1照射光に基づく指標と、第2の波長を有する第2照射光に基づく指標とは、近似線に対するばらつきが小さく、他の波長の照射光に基づく指標は、近似線に対するばらつきが大きくなる。
画像形成装置10は、他の波長と比べて透過率と公称坪量との相関が高い波長を有する照射光を用いて透過率を算出し、当該透過率に対応する坪量を導出することで、正確な坪量を導出できる。なお、相関が高い波長を有する照射光により、坪量を導出した場合であっても、用紙Sの成分によっては導出された坪量と公称坪量との差が極端に大きくなることがある。そのため、相関が高い波長を有する複数の照射光(例えば、第1の波長を有する第1照射光と、第2の波長を有する第2照射光)を用いて、それぞれの坪量に基づいて、公称坪量との差が小さい坪量を導出する。公称坪量との差が小さい坪量を導出する処理の詳細は後述する。
(坪量差(第1坪量-第2坪量)および坪量閾値について)
図59は、透過率と坪量差との対応関係を表す指標と坪量閾値126とを示す図である。より具体的には、指標は、普通紙における透過率と坪量差との対応関係と、コート紙における透過率と坪量差との対応関係とを表す。透過率および坪量差は、実験により得られた値である。透過率は、例えば第1の波長の第1照射光(近赤外線)を用いて算出された第1透過率である。坪量差は、上述のように、第1坪量と第2坪量との差である。第1坪量は、図56で示した、第1の波長における普通紙の判定基準611を用いて導出された透過率に対応する坪量である。第2坪量は、図57で示した、第2の波長における普通紙の判定基準711を用いて導出された透過率に対応する坪量である。
図59では、普通紙の透過率と坪量差との関係を示す指標をひし形で表す。普通紙の指標は、透過率に対応する坪量差が約-10g/m以上の位置にプロットされている。コート紙の透過率と坪量差との関係を示す指標を四角形で表す。コート紙の指標は、透過率に対応する坪量差が約-15g/m以下の位置にプロットされている。普通紙およびコート紙における坪量差より、普通紙とコート紙との種類を判定する閾値が設定される。例えば、坪量差を-12g/mとする坪量閾値126が設定され、記憶部12に格納される。
コート紙の指標が普通紙の指標と比べて坪量差が大きい理由は、第1透過率に対応する坪量と第2透過率に対応する坪量とを、予め定められた判定基準(例えば、普通紙の判定基準)を用いて導出するためである。
より具体的には、コート紙の指標が普通紙の指標と比べて坪量差が大きいのは以下の理由による。最初に、用紙Sが普通紙の場合に、普通紙の判定基準である判定基準611および判定基準711のいずれを用いた場合でもほぼ同じ坪量が導出されると仮定する。また、用紙Sがコート紙の場合に、コート紙の判定基準である判定基準612および判定基準712のいずれを用いた場合でもほぼ同じ坪量が導出されると仮定する。
次に、普通紙の判定基準711を用いて、用紙Sの透過率に対応する坪量を導出した場合は、コート紙の判定基準712を用いて、同じ透過率に対応する坪量を導出した場合と比べて坪量の差は比較的小さくなる。坪量の差が比較的小さい例としては、図57に示すある透過率における判定基準711の公称坪量と、同じ透過率における判定基準712の公称坪量との差である。坪量の差が比較的小さいため、用紙Sの種類がコート紙であっても普通紙であっても、ある透過率に対応する坪量の差は小さい。これに対して、普通紙の判定基準611を用いて、用紙Sの透過率に対応する坪量を導出した場合は、コート紙の判定基準612を用いて、同じ透過率に対応する坪量を導出した場合と比べて、普通紙とコート紙との坪量の差は比較的大きくなる。坪量の差が比較的大きい例としては、図56に示すある透過率における判定基準611の公称坪量と、同じ透過率における判定基準612の公称坪量との差である。同じ透過率に対応するコート紙の坪量は、普通紙の坪量よりも大きくなる。コート紙の透過率は、波長が長くなると普通紙の透過率よりも大きくなる傾向があるためである。
そして、上記の仮定によると、普通紙の判定基準611と判定基準711とを用いて坪量を導出すると、用紙Sが普通紙の場合は、それぞれの判定基準により導出される坪量はほぼ同じ値になる。これに対して、用紙Sがコート紙の場合は、普通紙の判定基準611で導出した坪量は、用紙Sの実際の坪量(コート紙の判定基準612を用いて導出した坪量)よりも小さくなる。普通紙の判定基準711で導出した坪量は、実際の坪量(コート紙の判定基準712を用いて導出した坪量)とほぼ同じ値となる。したがって、用紙Sがコート紙の場合に、判定基準611により導出された坪量から、判定基準711により導出された坪量を差し引いた値は、用紙が普通紙の場合に、判定基準611により導出された坪量から、判定基準711により導出された第2坪量を差し引いた値よりも小さくなる。
制御部11は、第1透過率および第2透過率と、普通紙の判定基準611および711とにより、第1坪量および第2坪量を導出して、第1坪量から第2坪量を差し引いた値が、坪量閾値126の値以上の場合は、用紙Sの種類を普通紙であると判定する。また、制御部11は、第1坪量から第2坪量を差し引いた値が坪量閾値126の値未満の場合は、用紙Sの種類をコート紙であると判定する。すなわち、第1坪量-第2坪量の値は、紙種判別に関する一つの指標として取り扱うことが可能であり判別因子として有利に機能することが確認されたため、上述のように紙種判別モデルの入力因子としても使用することにした。
(登録プロファイルの候補判定処理)
図60は、ペーパープロファイル情報の一例を示す図である。
図60に示すように、ペーパープロファイル情報として、登録プロファイルの名称を示すプロファイル名、用紙のサイズ、表裏調整値等の画像形成装置10の各種調整値の設定を含む制御パラメータ、および用紙物性値等が、相互に関連付けられて画像形成装置10の記憶部12またはサーバー80の記憶部83等に記憶される。用紙物性値に含まれる各項目は、メディアセンサー15によって測定される測定値の各項目と対応している。
測定値およびペーパープロファイルから登録プロファイルの候補を判定する処理は、ペーパープロファイルに登録されている各登録プロファイルの用紙物性値と、メディアセンサー15による用紙Sの測定によって取得された測定値とを比較することで実行される。すなわち、測定値と最も近い用紙物性値を有する登録プロファイルが候補として判定される。以下、具体的な判定方法の例について説明する。
判定に用いられる測定値および各登録プロファイルの用紙物性値は、予め正規化される。測定値の各項目の値と、各登録プロファイルの用紙物性値の各項目の値との距離が計算される。ここで、各項目に予め重み付け係数を設定し、各項目に重み付け係数を掛けて距離が算出されてもよい。そして、算出された距離の値が最も小さい登録プロファイルが候補として判定される。なお、同じ種類(銘柄)の用紙において、坪量90、100、160、200、250、300といった、いくつかの坪量のバリエーションが存在することがある。紙種判別モデルを用いた判別によって、同じ種類の用紙の坪量のバリエーションまで判別できない場合でも、上記のように、登録プロファイルの判定の計算において坪量値を含めることにより、用紙の紙種と坪量に応じた適切な登録プロファイルを選択することができる。
以上に説明した画像形成装置10またはサーバー80等の構成は、上記の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。また、一般的な画像形成装置またはサーバー等が備える構成を排除するものではない。例えば、表面性センサー60を、画像形成装置10の搬送路143上に配置した例を示したが、これに限られず、画像形成装置10とは独立した装置としてもよい。この場合、ユーザーが、用紙を表面性センサー60の照射領域に配置することで紙特性を測定できる。また、紙厚センサー40にかわり、用紙の密度を測定可能な密度センサーが設けられてもよい。この場合、測定値として、用紙の紙厚に関する値にかわり、用紙の密度が取得される。
さらに、図1等では、画像形成装置10は、オプションの給紙装置20、後処理装置30に連結した構成を示したが、これらのオプションがない単体の画像形成装置10であってもよい。また、上記の各実施形態において、画像形成装置10により実行されるものとして説明した各処理は、画像形成装置10に接続されたコントローラーやPC等によって実行されてもよい。
また、本実施形態では、紙種の判定結果として、図22に示したように優先度(スコア)の高い順に、優先度(「推奨度」)を表示する例を示したが、優先度の表示を省略してもよい。また、候補が1つしか無い場合(あるいは2番目以降との差が所定値以上の解離がある場合)には、操作性を向上させるために、選択されている給紙トレイに自動的に適用して、試し刷り(ステップS20)の操作を直ぐに(ワンタッチで)実行できる操作画面を表示するようにしてもよい。
1 画像形成システム
10 画像形成装置
11 制御部
110 全体制御部
14 搬送部
141、142 給紙トレイ
143、144 搬送路
1431 上ガイド
a1 開口
1432 下ガイド
15 メディアセンサー
40 紙厚センサー
50 坪量センサー
60 表面性センサー
61 筐体
a2、a3 開口
61a 傾斜面
b1、b2、b3 基板
62 発光部
63 コリメートレンズ
64、641、642 受光部
70 用紙押圧部
18 操作パネル
20 給紙装置
30 後処理装置
80 サーバー
81 制御部
82 記憶部
83 通信部

Claims (17)

  1. 光源より光学系を介して記録媒体に所定の入射角で照射され、前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値と、前記記録媒体の表面で少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値と、前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値と、を取得する取得部と、
    機械学習を行うことによって紙種判別用の学習済みモデルを生成する学習部と、
    前記取得部によって取得された各値を、機械学習された前記学習済みモデルに入力して前記記録媒体の種別を判別する判別部と、
    前記判別部による判別結果を出力する出力部と、
    前記判別結果を変更するためのユーザーからの指示を受け付ける受付部と、
    前記機械学習を実行するための教師データを記憶する記憶部と、を有し、
    前記学習部は、変更された前記判別結果と、前記判別結果を得るために前記学習済みモデルに入力された情報とを含む変更情報を前記教師データとして用いて、前記学習済みモデルをさらに機械学習させる、判別システム
  2. 光源より光学系を介して記録媒体に所定の入射角で照射され、前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値と、前記記録媒体の表面で少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値と、前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値と、を取得する取得部と、
    機械学習を行うことによって紙種判別用の学習済みモデルを生成する学習部と、
    前記取得部によって取得された各値を、機械学習された前記学習済みモデルに入力して前記記録媒体の種別を判別する判別部と、を有
    前記学習部は、予め設定されたタイミングで機械学習を実行する、判別システム
  3. 光源より光学系を介して記録媒体に所定の入射角で照射され、前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値と、前記記録媒体の表面で少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値と、前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値と、を取得する取得部と、
    機械学習を行うことによって紙種判別用の学習済みモデルを生成する学習部と、
    前記取得部によって取得された各値を、機械学習された前記学習済みモデルに入力して前記記録媒体の種別を判別する判別部と、を有
    前記学習部は、ネットワークを介して画像形成装置に接続されるサーバーに設けられ、
    前記取得部、および前記判別部は、前記画像形成装置に設けられ、
    前記サーバーは、前記学習部に前記学習済みモデルをさらに機械学習させて、機械学習された前記学習済みモデルを前記画像形成装置に送信し、
    前記画像形成装置の前記判別部は、前記サーバーから送信された前記学習済みモデルを用いて前記記録媒体の種別を判別させる判別システム
  4. 光源より光学系を介して記録媒体に所定の入射角で照射され、前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値と、前記記録媒体の表面で少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値と、前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値と、を取得する取得部と、
    機械学習を行うことによって紙種判別用の学習済みモデルを生成する学習部と、
    前記取得部によって取得された各値を、機械学習された前記学習済みモデルに入力して前記記録媒体の種別を判別する判別部と、を有
    前記学習部、および前記判別部は、ネットワークを介して画像形成装置に接続されるサーバーに設けられ、
    前記取得部は、前記画像形成装置に設けられ、
    前記画像形成装置は、前記取得部において取得された各値を前記サーバーに送信し、
    前記サーバーの前記判別部は、前記画像形成装置から送信された前記各値と、前記学習済みモデルとを用いて前記記録媒体の種別を判別する判別システム
  5. 前記学習済みモデルは、ランダムフォレストにより構成される請求項1から4のいずれか一項に記載の判別システム
  6. 前記学習済みモデルは、ニューラルネットワークにより構成される請求項1から4のいずれか一項に記載の判別システム
  7. 請求項1~のいずれか一項に記載の判別システムにおいて
    前記学習部は、前記正反射光量値と、前記拡散反射光量値と、前記記録媒体の厚さおよび坪量に関する値または前記記録媒体の密度に関する値とを教師データの入力因子とし、前記記録媒体の種類を前記教師データの出力因子として機械学習を行うことによって前記学習済みモデルを生成する、判別システム。
  8. 前記記録媒体に画像を形成するための画像形成装置をさらに有する請求項1、または請求項2に記載の判別システム。
  9. 前記画像形成装置は、
    光源と、
    前記光源からの光を照射領域にある記録媒体の表面に、所定の入射角で照射する光学系と、
    前記照射領域において前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量を検出する第1の受光部と、
    前記照射領域において前記記録媒体の表面で、少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量を検出する少なくとも1つの第2の受光部と、
    前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値を検出する検出部と、
    を有する請求項3、4、または8に記載の判別システム。
  10. 前記学習部は、前記画像形成装置において画像形成処理が実行されていないタイミングで機械学習を実行する請求項3、4、8、または9に記載の判別システム。
  11. 前記画像形成装置の制御部は、前記学習部において機械学習が実行されている間は、画像形成処理を実行するための指示を受け付けない請求項3、4、8、9、または10に記載の判別システム。
  12. 前記判別部による判別結果を出力する出力部と、
    前記判別結果を変更するためのユーザーからの指示を受け付ける受付部と、
    前記機械学習を実行するための教師データを記憶する記憶部と、をさらに有し、
    前記記憶部は、前記サーバーに設けられ、
    前記学習部は、変更された前記判別結果と、前記判別結果を得るために前記学習済みモデルに入力された情報とを含む変更情報を前記教師データとして用いて、前記学習済みモデルをさらに機械学習させる請求項3または4に記載の判別システム。
  13. 前記画像形成装置から送信された前記変更情報を前記教師データとして前記記憶部に記憶させ、予め設定された実行条件に基づいて、記憶された前記教師データを用いて前記学習部に前記学習済みモデルをさらに機械学習させる請求項12に記載の判別システム。
  14. 光源より光学系を介して記録媒体に所定の入射角で照射され、前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値と、前記記録媒体の表面で少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値と、前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値と、を取得するステップ(a)と、
    教師データを用いて機械学習を行うことによって紙種判別用の学習済みモデルを生成するステップ(b)と、
    前記ステップ(a)において取得された各値を、前記ステップ(b)で機械学習された前記学習済みモデルに入力して前記記録媒体の種別を判別するステップ()と、
    前記ステップ(c)による判別結果を出力するステップ(d)と、
    前記判別結果を変更するためのユーザーからの指示を受け付けるステップ(e)と、
    を有し、
    前記ステップ(b)では、変更された前記判別結果と、前記判別結果を得るために前記学習済みモデルに入力された情報とを含む変更情報を前記教師データとして用いて、前記学習済みモデルをさらに機械学習させる、判別方法。
  15. 光源より光学系を介して記録媒体に所定の入射角で照射され、前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値と、前記記録媒体の表面で少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値と、前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値と、を取得するステップ(a)と、
    機械学習を行うことによって紙種判別用の学習済みモデルを生成するステップ(b)と、
    前記ステップ(a)において取得された各値を、前記ステップ(b)で機械学習された前記学習済みモデルに入力して前記記録媒体の種別を判別するステップ()と、を有し、
    前記ステップ(b)では、予め設定されたタイミングで機械学習を実行させる、判別方法。
  16. 光源より光学系を介して記録媒体に所定の入射角で照射され、前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値と、前記記録媒体の表面で少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値と、前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値と、を取得するステップ(a)と、
    機械学習を行うことによって紙種判別用の学習済みモデルを生成するステップ(b)と、
    前記ステップ(a)において取得された各値を、前記ステップ(b)で機械学習された前記学習済みモデルに入力して前記記録媒体の種別を判別するステップ()と、を有し、
    前記ステップ(b)は、画像形成装置にネットワークを介して接続されるサーバーで実行され、
    前記ステップ(a)、および前記ステップ(c)は、前記画像形成装置で実行され、
    前記サーバーは、前記ステップ(b)で、前記学習済みモデルをさらに機械学習させて、機械学習された前記学習済みモデルを前記画像形成装置に送信し、
    前記画像形成装置は、前記ステップ(c)では、前記サーバーから送信された前記学習済みモデルを用いて前記記録媒体の種別を判別する、判別方法。
  17. 光源より光学系を介して記録媒体に所定の入射角で照射され、前記記録媒体の表面で正反射した正反射光の光量に関する正反射光量値と、前記記録媒体の表面で少なくとも1つの反射角度において拡散反射した拡散反射光の光量に関する拡散反射光量値と、前記記録媒体の坪量に関する値および前記記録媒体の厚さまたは密度に関する値と、を取得するステップ(a)と、
    機械学習を行うことによって紙種判別用の学習済みモデルを生成するステップ(b)と、
    前記ステップ(a)において取得された各値を、前記ステップ(b)で機械学習された前記学習済みモデルに入力して前記記録媒体の種別を判別するステップ()と、を有し、
    前記ステップ(b)、および前記ステップ(c)は、画像形成装置にネットワークを介して接続されるサーバーで実行され、
    前記ステップ(a)は、前記画像形成装置で実行され、
    前記画像形成装置は、前記ステップ(a)で取得した各値を前記サーバーに送信し、
    前記サーバーは、前記ステップ(c)では、前記画像形成装置から送信された前記各値と、前記学習済みモデルとを用いて前記記録媒体の種別を判別する、判別方法。
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