以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
(実施形態1)
図1~図5を参照して、本発明の実施形態1に係る照明システムSYSを説明する。照明システムSYSは、例えば、建造物の内部に配置される。建造物の内部は、例えば、一戸建て住宅の部屋、集合住宅の部屋、または、ビルディングのオフィスである。照明システムSYSは、対象者(以下、「対象者P」と記載する。)のメラトニンの分泌を制御する。
図1は、実施形態1に係る照明システムSYSを示す。図1に示すように、照明システムSYSは、照明制御装置100と、第1計測装置200と、位置検出装置300と、変更機構500と、照明器具600とを備える。照明システムSYSは、調整装置400をさらに備えていてもよい。第1計測装置200は、「第1計測部」の一例に相当する。位置検出装置300は、「位置検出部」の一例に相当する。
照明制御装置100は、第1計測装置200、位置検出装置300、調整装置400、変更機構500、および、照明器具600と、有線または無線によって接続される。例えば、照明制御装置100は、第1計測装置200、位置検出装置300、調整装置400、変更機構500、および、照明器具600と、ホームネットワークのようなLAN(Local Area Network)を介して通信し、または、ブルートゥース(登録商標)のような近距離無線通信規格に準拠して通信する。
第1計測装置200は、自然光の光量を計測して、自然光の光量を示す光量情報LT1を照明制御装置100に送信する。実施形態1では、第1計測装置200は、窓から室内に入射する自然光の光量を計測する。光量は、例えば、照度、光束、または、輝度によって表される。なお、第1計測装置200は、光量を間接的に表す物理量として、色温度を計測してもよい。
例えば、第1計測装置200は、自然光の照度を計測して、自然光の照度を示す光量情報LT1を照明制御装置100に送信する。この場合、第1計測装置200は、例えば、照度計を含む。例えば、第1計測装置200は、窓から室内に入射する自然光の照度を計測する。
位置検出装置300は、対象者Pの位置を検出して、対象者Pの位置を示す位置情報PSを照明制御装置100に送信する。実施形態1では、位置検出装置300は、室内の対象者Pの位置を検出する。
位置検出装置300は、例えば、デジタルカメラのような撮像装置、赤外線センサー、または、超音波センサーを含む。
例えば、撮像装置が部屋を撮像して、撮像結果を示す撮像画像を生成する。そして、位置検出装置300は、撮像画像を解析して、対象者Pの位置を特定し、対象者Pの位置を示す位置情報PSを照明制御装置100に送信する。または、位置検出装置300は、撮像画像を示す画像データを、対象者Pの位置を示す位置情報PSxとして照明制御装置100に送信する。そして、後述する第1推測部112が、位置情報PSxである撮像画像を解析して、対象者Pの位置を特定し、対象者Pの位置を示す位置情報PSを記憶部130に記憶させる。
調整装置400は、照明制御装置100の制御を受けて、窓から室内に入射する自然光の透過率を調整して、自然光の透過率を示す透過率情報TSを照明制御装置100に送信する。調整装置400は、例えば、ブラインド、または、光の透過率が異なる複数のロールスクリーンを含む。
変更機構500は、照明制御装置100の制御を受けて、照明器具600の照明光の向きを変更する。実施形態1では、変更機構500は、照明制御装置100の制御を受けて、照明器具600の向きを変更する。照明器具600の向きの変更によって照明器具600の照明光の向きが変更される。つまり、変更機構500は、照明制御装置100の制御を受けて、照明器具600による光の照射方向を変更する。
照明器具600は光を出射する。具体的には、照明器具600は、光を出射する単数または複数の光源を含む。光源は、例えば、単数または複数の発光素子を含む。発光素子は、例えば、LED(Light Emitting Diode)または有機EL(Electro-Luminescence)素子である。
照明制御装置100は、調整装置400、変更機構500、および、照明器具600を制御する。照明制御装置100は、制御部110と、記憶部130とを含む。
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。記憶部130は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。記憶部130は、半導体メモリーのような主記憶装置を含み、半導体メモリー及び/又はハードディスクドライブのような補助記憶装置を含んでいてもよい。記憶部130は、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。また、記憶部130は、ネットワーク上に配置された記憶装置を含んでいてもよい。
制御部110のプロセッサーは、記憶部130の記憶装置が記憶しているコンピュータープログラムを実行することによって、第1推測部112、第2推測部114、および、照明制御部116として機能する。
第1推測部112は、自然光の光量を示す光量情報LT1を第1計測装置200から取得する。第1推測部112は、照明器具600の光の状態を示す照明情報LT2を記憶部130から取得する。なお、第1推測部112は、照明情報LT2を照明器具600から取得してもよい。第1推測部112は、対象者Pの位置を示す位置情報PSを位置検出装置300から取得する。
第1推測部112は、自然光の光量情報LT1と、照明器具600の照明情報LT2と、対象者Pの位置情報PSとに基づいて、対象者Pの眼に入射する光の光量である入射光量(以下、「入射光量LA」と記載する。)を推測する。従って、入射光量LAは推測値である。そして、第1推測部112は、入射光量LAを示す入射光量情報を記憶するように、記憶部130を制御する。その結果、記憶部130は、対象者Pの眼に対する入射光量LAを示す入射光量情報を、対象者Pの眼に対する入射光量履歴データ134として記憶する。また、記憶部130は配置データ132を記憶している。配置データ132は、照明器具600が設置された部屋に配置された付属物の配置位置および配置方向を示す。付属物は、例えば、ソファー等の家具、窓、ドア、テレビ等の家電機器、および、照明器具である。
照明器具600の照明情報LT2は、照明器具600の光量情報と光色情報とオンオフ情報とのうちの少なくとも1つの情報を含む。光量情報は、照明器具600が出射する光の光量を示す。つまり、照明器具600の光の状態は光量によって表すことができる。光色情報は、照明器具600が出射する光の光色(例えば、色温度)を示す。つまり、照明器具600の光の状態は光色によって表すことができる。オンオフ情報は、照明器具600が点灯しているか消灯しているかを示す。つまり、照明器具600の光の状態は点灯または消灯によって表すことができる。さらに、照明情報LT2は、配光情報を含んでもよい。配光情報は、照明器具600の仕様の一つである配光角度(「狭角」、「広角」など)の情報である。さらに、照明情報LT2は、照明器具の向きを示す情報を含んでもよい。
以下、照明器具が出射する光の光量を制御することを「調光」と記載し、照明器具が出射する光の光色を制御することを「調色」と記載し、照明器具の点灯と消灯とを制御することを「オンオフ制御」と記載する。なお、例えば、「調光」は、照明器具の光量を段階的または連続的に変化させる制御である。例えば、「調色」は、照明器具の光色(例えば、色温度)を段階的または連続的に変化させる制御である。
なお、第1推測部112は、調整装置400から、窓から室内に入射する自然光の透過率を示す透過率情報TSを取得してもよい。そして、第1推測部112は、自然光の光量情報LT1と、照明器具600の照明情報LT2と、自然光の透過率情報TSと、対象者Pの位置情報PSとに基づいて、対象者Pの眼に入射する光の入射光量LAを推測してもよい。この場合、入射光量LAを推測するためのパラメータが増えるため、入射光量LAをさらに精度良く推測できる。
第2推測部114は、第1時間帯(以下、「第1時間帯T1」と記載する。)における入射光量LAの総量である第1総量TL1を推測する。従って、第1総量TL1は推測値である。「第1時間帯T1」は、「所定時間帯」の一例に相当する。第1時間帯T1は、対象者Pのメラトニンの分泌を制御するための時間帯を示す。第1総量TL1は「総量」の一例に相当する。
照明制御部116は、照明器具600の調光と調色とオンオフ制御とのうちの少なくとも1つの制御を実行する。そして、照明制御部116は、照明器具600の照明情報LT2を記憶するように記憶部130を制御する。その結果、記憶部130は照明情報LT2を記憶する。照明情報LT2は、調光に基づく光量情報と調色に基づく光色情報とオンオフ情報とのうちの少なくとも1つの情報を含む。
照明制御部116は、変更機構500を制御して、照明器具600の照明光の向きを制御する。具体的には、照明制御部116は、第1時間帯T1において、第1時間帯T1における第1総量TL1に基づいて、照明器具600の照明光の向きを制御する。特に、実施形態1では、照明制御部116は、変更機構500を制御して、照明器具600の向きを制御する。具体的には、照明制御部116は、第1時間帯T1において、第1時間帯T1における第1総量TL1に基づいて変更機構500を制御して、照明器具600の向きを制御する。従って、実施形態1によれば、第1時間帯T1において対象者Pの眼に実際に入射する光の光量を、第1総量TL1に応じて制御できる。その結果、対象者Pのメラトニンの分泌を効果的に制御できて、対象者Pに対して良好な睡眠を提供できる。
第1時間帯T1は、午前中の時間帯であることが好ましい。第1時間帯T1は、例えば、対象者Pが起床してから正午までの時間帯、または、正午前の3時間の時間帯である。第1時間帯T1が午前中の時間帯であることが好ましい理由は、次の通りである。
すなわち、「T. Kozaki et al., "Effects of day-time exposure to different light intensities on light-induced melatonin suppression at night", J Physiol Anthropol 34: 27, 2015」(以下、「文献A」と記載する。)には、午前中の3時間(午前9時から午後0時)に所定の光量以上の光が眼に入射されれば、夜間の照明によるメラトニン分泌抑制が軽減されることが記載されている。そこで、第1時間帯T1は、午前中の時間帯であることが好ましい。
具体的には、照明制御部116は、第1時間帯T1における第1総量TL1と閾値THとを比較して、比較結果に基づいて変更機構500を制御して、照明器具600の向きを制御する。例えば、照明制御部116は、第1総量TL1が閾値TH未満の場合に、変更機構500を制御して、照明器具600の向きを、現在の向きよりも更に対象者Pに向くように制御する。従って、第1時間帯T1において対象者Pの眼に実際に入射する光の光量を増加できる。その結果、夜間の照明によるメラトニン分泌抑制を軽減できる。例えば、照明制御部116は、第1総量TL1が閾値TH以上の場合は、変更機構500を制御せず、照明器具600の向きを変更しない。従って、第1時間帯T1において対象者Pの眼に過剰に光が入射することを抑制できる。
閾値THは、第1時間帯T1(例えば、午前中の時間帯)において眼に入射する光の光量の総量であって、夜間の照明によるメラトニン分泌抑制を軽減するために必要な最小の総量を示す。例えば、閾値THは、上記文献Aに基づき、13500lx・min以上18000lx・min以下の範囲で決定されることが好ましい。
次に、図1および図2を参照して、照明システムSYSの配置の一例を説明する。図2は、照明システムSYSの配置の一例を示す平面図である。図2では、建造物の部屋RMを天井側から見た状態が模式的に示される。また、図2では、天井に配置される各構成が点線で示されている。これらのことは、後述する図7および図13でも同様である。
図2に示すように、照明システムSYSは、光を出射する照明器具700をさらに備える。また、部屋RMは、窓WDと、扉DRとを有する。窓WDに対応して第1計測装置200および調整装置400が配置される。第1計測装置200は、調整装置400を介して窓WDから入射する自然光の光量を計測する。第1計測装置200、位置検出装置300、変更機構500、照明器具600、および、照明器具700は、天井に配置される。なお、照明制御装置100は、照明器具600の設置された部屋RMと同じ部屋に配置されてもよいし、異なる部屋に配置されてもよい。また、部屋RMには、ソファーSF、テーブルTB、および、テレビTEが配置される。
また、図1および図2に示すように、記憶部130は配置データ132を予め記憶している。配置データ132は、窓WD、扉DR、ソファーSF、テーブルTB、テレビTE、第1計測装置200、位置検出装置300、調整装置400、変更機構500、照明器具600、および、照明器具700の配置位置および配置方向を示す。
図2の例では、例えば、第1推測部112は、次のようにして、対象者Pの眼に対する入射光量LAを推測する。
すなわち、第1推測部112は、位置検出装置300により検出された対象者Pの位置情報PSと、記憶部130に記憶された配置データ132とを参照して、ソファーSFの配置位置と対象者Pの位置とが一致する場合、対象者PがソファーSFに座っていると推測する。そして、第1推測部112は、配置データ132によって示されるソファーSFの配置方向が東向きの場合、対象者Pは東向きに座っていると推測する。さらに、第1推測部112は、対象者Pの位置および向きと、配置データ132によって示される窓WDの配置位置および配置方向と、自然光の光量情報LT1と、照明器具600の照明情報LT2と、照明器具700の照明情報と、自然光の透過率情報TSとに基づいて、対象者Pの眼に対する入射光量LAを推測する。なお、照明器具700の照明情報は、照明器具600の照明情報LT2と同様である。
次に、図1および図3を参照して、変更機構500および照明器具600を説明する。図3は、変更機構500および照明器具600を示す斜視図である。図3に示すように、変更機構500は、ベース部材501と、支持体503と、第1モーター505と、第2モーター507とを含む。なお、図3の例では、図1に示す照明制御装置100はベース部材501に搭載されているが、照明制御装置100の配置は特に限定されない。
ベース部材501は、支持体503が回動軸線AX1の回りに回動可能なように、支持体503を支持する。ベース部材501には、第1モーター505が配置される。第1モーター505の回転軸が支持体503に固定されているため、第1モーター505は、支持体503を回動軸線AX1の回りに回動する。その結果、支持体503に支持された照明器具600が回動軸線AX1の回りに回動する。実施形態1では、回動軸線AX1は鉛直方向に略平行である。ベース部材501は、例えば、天井に固定される。
支持体503は、照明器具600が回動軸線AX2の回りに回動可能なように、照明器具600を支持する。支持体503は、例えば、略U字形状を有する。支持体503には、第2モーター507が配置される。第2モーター507の回転軸が照明器具600に固定されているため、第2モーター507は、照明器具600を回動軸線AX2の回りに回動する。その結果、照明器具600が回動軸線AX2の回りに回動する。実施形態1では、回動軸線AX2は水平方向に略平行である。回動軸線AX2は回動軸線AX1に対して略直交する。
照明器具600が、回動軸線AX1と回動軸線AX2とのうちの少なくとも一方の回動軸線の回りに回動すると、照明器具600の向きが変更される。つまり、照明器具600の光の出射面602の向き(光の照射方向)が変更される。なお、変更機構500は、第1モーター505と第2モーター507とのうちの少なくとも1つのモーターを有していればよい。
図1および図3に示すように、照明制御部116は、第1制御信号M1によって第1モーター505を制御して、照明器具600を回動軸線AX1の回りに回動させて、照明器具600の向きを変更する。また、照明制御部116は、第2制御信号M2によって第2モーター507を制御して、照明器具600を回動軸線AX2の回りに回動させて、照明器具600の向きを変更する。
なお、第1モーター505および第2モーター507の種類は特に限定されず、照明制御部116は、第1モーター505および第2モーター507の種類に応じて第1制御信号M1および第2制御信号M2を生成する。また、例えば、照明制御部116は、第1モーター505および第2モーター507を駆動および制御するモータードライバーを有する。
また、変更機構500は、上記のような機械制御によって照明器具600の照明光の向きを制御する場合に限らず、光学制御等によって照明器具600の照明光の向きを制御してもよい。
次に、図1、図4、および、図5を参照して、実施形態1に係る照明制御方法を説明する。照明制御方法は照明制御装置100によって実行される。図4は、実施形態1に係る照明制御方法を示すフローチャートである。図4に示すように、照明制御方法は、工程S1~工程S9を含む。
図1および図4に示すように、工程S1において、第1計測装置200は、窓から入射する自然光の光量を計測する。そして、照明制御装置100の第1推測部112は、窓から入射する自然光の光量を示す光量情報LT1を第1計測装置200から取得する。
次に、工程S2において、位置検出装置300は、対象者Pの位置を計測する。そして、第1推測部112は、対象者Pの位置を示す位置情報PSを位置検出装置300から取得する。
次に、工程S3において、第1推測部112は、自然光の透過率情報TSを調整装置400から取得する。
次に、工程S4において、第1推測部112は、照明器具600の照明情報LT2を記憶部130または照明器具600から取得する。
なお、工程S1~工程S4の処理は、任意の順序で実行されてもよく、並行に実行されてもよい。
次に、工程S5において、第1推測部112は、工程S1~工程S4で取得された自然光の光量情報LT1と照明器具600の照明情報LT2と自然光の透過率情報TSと対象者Pの位置情報PSとに基づいて、対象者Pの眼に入射する光の入射光量LAを推測する。
そして、第1推測部112は、照明制御装置100に含まれるクロック回路から出力される時刻の情報に基づいて、対象者Pの眼に対する入射光量LAを推測した日時と関連付けて、入射光量LAを示す入射光量情報を、記憶部130に記憶させる。その結果、記憶部130は、入射光量LAを推測した日時と関連付けて、入射光量LAを示す入射光量情報を、入射光量履歴データ134として記憶する。
図4は、記憶部130に記憶された入射光量履歴データ134を示す図である。図4に示すように、対象者Pの眼に対する入射光量履歴データ134は、入射光量LAを推測した日時と入射光量LAと関連付けたデータであり、対象者Pの眼に対する入射光量LAの履歴を示している。
図4の例では、入射光量履歴データ134は、対象者Pが起床したことにより、第1推測部112が対象者Pに対する入射光量LAの推測を8時40分から開始したことを示している。ただし、第1推測部112は、対象者Pが起床する前の時刻(例えば、日の出の時刻)から対象者Pに対する入射光量LAの推測を開始してもよい。この場合、第1推測部112は、対象者Pが起床する前の時刻から対象者Pが起床した時刻までの入射光量LAを「0」と推測することが好ましい。なお、入射光量LAを推測する時間間隔は、特に限定されない。
図1および図4に戻って、次に、工程S6において、第2推測部114は、記憶部130から、対象者Pの眼に対する入射光量履歴データ134を読み出す。第2推測部114は、対象者Pが起床してから現在の時刻までの入射光量履歴データ134が示す入射光量LAに基づいて、第1時間帯T1(例えば、正午までの午前中の時間帯)における対象者Pの眼に対する入射光量LAの第1総量TL1を推測する。
例えば、第2推測部114は、対象者Pが起床してから現在の時刻までに5分毎に推測された入射光量LAに対して一次関数で外挿し、現在の時刻から正午までの5分毎に眼に入射する光の入射光量LAを推測する。そして、第2推測部114は、起床してから現在の時刻までに5分毎に推測された入射光量LAと、外挿により推測された現在の時刻から正午までの5分毎の入射光量LAとを加算して、起床してから正午までの入射光量LAの加算値ADD1を算出する。さらに、第2推測部114は、加算値ADD1に推測時間間隔である5分を乗算することで、第1時間帯T1(例えば、正午までの午前中の時間帯)における対象者Pの眼に対する入射光量LAの第1総量TL1を推測する。第1総量TL1の単位は、例えば、lx・min(ルクス・分)である。
次に、工程S7において、照明制御部116は、工程S6で推測した第1時間帯T1における第1総量TL1が閾値TH以上か否かを判定する。
そして、工程S7で第1総量TL1が閾値TH以上であると判定された場合、処理は工程S9に進む。第1総量TL1が閾値TH以上であると判定されたことは、夜間の照明によるメラトニン分泌抑制を軽減するために必要な光量の光が第1時間帯T1において対象者Pの眼に入射すると推測されたことに相当する。工程S7で第1総量TL1が閾値TH以上であると判定された場合、照明制御部116は照明器具600の向きを変更しない。
一方、工程S7で第1総量TL1が閾値TH未満であると判定された場合、処理は工程S8に進む。第1総量TL1が閾値TH未満であると判定されたことは、夜間の照明によるメラトニン分泌抑制を軽減するために必要な光量の光が第1時間帯T1において対象者Pの眼に入射しないと推測されたことに相当する。
次に、工程S8において、照明制御部116は、工程S6で推測する第1時間帯T1(例えば、正午までの午前中の時間帯)における第1総量TL1が閾値TH以上になるように、変更機構500を介して照明器具600の向きを制御する。具体的には、照明制御部116は、変更機構500を制御して、工程S6で推測する第1時間帯T1における第1総量TL1が閾値TH以上になるように、照明器具600の向きを、現在の向きよりも更に対象者Pに向くように制御する。
次に、工程S9において、照明制御部116は、照明制御装置100に含まれる入力装置を介して、対象者Pによる入力操作により終了指示を受けたか否かを判定する。入力装置は、制御部110および記憶部130と同じ場所に配置されていてもよいし、異なる場所に配置されていてもよい。
工程S9で終了指示を受けていないと判定された場合、処理は工程S1に進む。一方、工程S9で終了指示を受けたと判定された場合、処理は終了する。
以上、図4を参照して説明したように、実施形態1に係る照明制御方法では、照明制御部116は、第1時間帯T1(例えば、正午までの午前中の時間帯)における入射光量LAの第1総量TL1に基づいて照明器具600の向きを制御する。つまり、照明制御部116は、第1時間帯T1(例えば、正午までの午前中の時間帯)における入射光量LAの第1総量TL1に基づいて照明器具600の照明光の向きを制御する。従って、第1時間帯T1において対象者Pの眼に実際に入射する光の光量を、推測値である第1総量TL1に応じて制御できる。その結果、対象者Pのメラトニンの分泌を効果的に制御できて、対象者Pに対して良好な睡眠を提供できる。
(実施形態2)
図6および図7を参照して、本発明の実施形態2に係る照明システムSYSAを説明する。実施形態2に係る照明システムSYSAの位置検出装置300AがマーカーMKを有する点で、実施形態2は実施形態1と主に異なる。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
図6は、実施形態2に係る照明システムSYSAを示す。図6に示すように、照明システムSYSAは、位置検出装置300Aを備える。位置検出装置300Aは、「位置検出部」の一例に相当する。照明制御装置100は、位置検出装置300Aと、有線または無線によって接続される。位置検出装置300Aは、対象者Pの位置を検出して、対象者Pの位置を示す位置情報PS1を照明制御装置100に送信する。
具体的には、位置検出装置300Aは、マーカーMKを含む。マーカーMKは、有線または無線によって、照明制御装置100に接続される。例えば、照明制御装置100は、マーカーMKと、ホームネットワークのようなLANを介して通信し、または、ブルートゥース(登録商標)のような近距離無線通信規格に準拠して通信する。
マーカーMKは、対象者Pに配置され、対象者Pの位置を示す。従って、実施形態2によれば、位置検出装置300Aは、マーカーMKによって対象者Pの位置を精度良く検出できる。その結果、第1推測部112は、マーカーMKの位置として示される対象者Pの位置を示す位置情報PS1と、自然光の光量情報LT1と、照明器具600の照明情報LT2とに基づいて、対象者Pの眼に対する入射光量LAを精度良く推測できる。また、照明制御部116は、マーカーMKの位置に応じて照明器具600の向きを的確に制御できる。
例えば、第1推測部112は、マーカーMKの位置を追尾して、マーカーMKの位置に応じて、対象者Pの眼に対する入射光量LAを推測する。例えば、照明制御部116は、マーカーMKの位置を追尾して、マーカーMKの位置に応じて、変更機構500を介して照明器具600の向きを制御する。
引き続き図6を参照して位置検出装置300Aの詳細を説明する。実施形態2では、対象者Pの位置を示す位置情報PS1は、実質的には、マーカーMKの位置を示す。
具体的には、マーカーMKは近距離無線通信機310を含む。近距離無線通信機310は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)のようなブルートゥース(登録商標)によって定められた近距離無線通信規格に準拠して通信する。
また、位置検出装置300Aは、互いに異なる位置から電波を発信する発信部303を含む。具体的には、発信部303は、互いに異なる位置に配置される3以上のビーコンBCを含む。実施形態2では、発信部303は、互いに異なる位置に配置される4つのビーコンBCを含む。ビーコンBCの各々は電波を発信する。ビーコンBCが発信する電波はビーコンBCの識別情報を含む。例えば、ビーコンBCは、BLEのようなブルートゥース(登録商標)によって定められた近距離無線通信規格に準拠した電波を発信する。
そして、マーカーMKの近距離無線通信機310は、各ビーコンBCから電波を受信する。そして、マーカーMKは、各ビーコンBCから受信した電波の強度と各ビーコンBCの識別情報とを、マーカーMKの位置を間接的に示す位置情報PS1として照明制御装置100に送信する。
一方、記憶部130は、各ビーコンBCの配置位置を配置データ132として記憶している。
そして、第1推測部112は、マーカーMKが受信したビーコンBCの電波の強度から、ビーコンBCごとに、ビーコンBCとマーカーMKとの間の距離を算出する。そして、第1推測部112は、3点測位方式に基づいて、照明器具600の設置された部屋におけるマーカーMKの位置を測位する。3点測位方式では、第1推測部112は、3つのビーコンBCとマーカーMKとの間の各距離と、3つのビーコンBCの配置位置とに基づいて、マーカーMKの位置を測位する。第1推測部112は、測位したマーカーMKの位置を示す位置情報PS2を記憶するように、記憶部130を制御する。その結果、記憶部130は位置情報PS2を記憶する。
さらに、第1推測部112は、自然光の光量情報LT1と、照明器具600の照明情報LT2と、対象者Pの位置情報PS2とに基づいて、対象者Pの眼に対する入射光量LAを推測する。
次に、図7を参照して、照明システムSYSAの配置の一例を説明する。図7は、照明システムSYSAの配置の一例を示す平面図である。図7に示すように、マーカーMKは、対象者Pに装着される。また、複数のビーコンBCは、部屋RMの4隅において、部屋RMの天井側に配置される。
次に、図4および図6を参照して、実施形態2に係る照明制御方法を説明する。照明制御方法は照明制御装置100によって実行される。実施形態2に係る照明制御方法は、図4に示す実施形態1に係る照明制御方法と同様に、工程S1~工程S9を含む。
ただし、実施形態2では、工程S2において、位置検出装置300AのマーカーMKは、各ビーコンBCから電波を受信して、ビーコンBCの受信電波の強度と識別情報とを、マーカーMKの位置を間接的に示す位置情報PS1として照明制御装置100に送信する。マーカーMKが各ビーコンBCから電波を受信することは、対象者Pの位置を検出することに相当する。具体的には、マーカーMKが各ビーコンBCから電波を受信することは、対象者Pの位置を間接的に検出することに相当する。第1推測部112は、位置情報PS1と配置データ132とに基づいて、3点測位方式によってマーカーMKの位置を測位して、マーカーMKの位置を示す位置情報PS2を取得する。マーカーMKは対象者Pの位置を示すため、位置情報PS2は、実質的には、対象者Pの位置を示す。
また、実施形態2では、工程S5において、第1推測部112は、工程S1~工程S4で取得された自然光の光量情報LT1と照明器具600の照明情報LT2と自然光の透過率情報TSと対象者Pの位置情報PS2とに基づいて、対象者Pの眼に入射する光の入射光量LAを推測する。
さらに、実施形態2では、工程S8において、照明制御部116は、変更機構500を制御して、工程S6で推測する第1時間帯T1における第1総量TL1が閾値TH以上になるように、照明器具600の向きを、現在の向きよりも更に対象者Pに向くように制御する。この場合、照明制御部116は、位置情報PS2が示すマーカーMKの位置に基づいて、変更機構500を介して照明器具600の向きを制御する。
換言すれば、照明制御部116は、変更機構500を制御して、工程S6で推測する第1時間帯T1における第1総量TL1が閾値TH以上になるように、照明器具600の照明光の向きを、現在の向きよりも更に対象者Pに向くように制御する。この場合、照明制御部116は、位置情報PS2が示すマーカーMKの位置に基づいて、変更機構500を介して照明器具600の照明光の向きを制御する。
以上、図4、図6、および、図7を参照して説明したように、実施形態2に係る照明システムSYSAは、図1に示す実施形態1に係る照明システムSYSと同様の構成を有する。従って、実施形態2では、実施形態1と同様に、対象者Pのメラトニンの分泌を効果的に制御できて、対象者Pに対して良好な睡眠を提供できる。その他、実施形態2では、実施形態1と同様の効果を有する。
なお、マーカーMKの位置の検出手法は、マーカーMKの位置が特定できる限りにおいては、特に限定されない。例えば、位置検出装置300Aは、発信部303に代えて、カメラのような撮像装置を有していてもよい。撮像装置は、例えば、部屋RMの天井に配置される。そして、撮像装置が、マーカーMKを撮像して、撮像結果を示す撮像画像を、マーカーMKの位置を示す位置情報PSyとして、照明制御装置100に送信する。そして、第1推測部112は、位置情報PSyである撮像画像を解析して、マーカーMKの位置を特定し、マーカーMKの位置を示す位置情報PS2を取得する。マーカーMKの位置は対象者Pの位置を示す。例えば、マーカーMKは、特定の形状、特定の発光体(例えばLED)、または、特定の反射体(例えば再帰反射体)を有していることが好ましい。撮像画像からマーカーMKの画像を特定し易いからである。
(実施形態3)
図8および図9を参照して、本発明の実施形態3に係る照明システムSYSBを説明する。実施形態3に係る照明システムSYSBのマーカーMKAが光量を計測する第2計測装置320を有する点で、実施形態3は実施形態2と主に異なる。以下、実施形態3が実施形態2と異なる点を主に説明する。
図8は、実施形態3に係る照明システムSYSBを示す。図8に示すように、照明システムSYSBは、位置検出装置300Bを備える。位置検出装置300Bは、「位置検出部」の一例に相当する。照明制御装置100は、位置検出装置300Bと、有線または無線によって接続される。
位置検出装置300Bは、対象者Pの位置を検出して、対象者Pの位置を示す位置情報PS1を照明制御装置100に送信する。位置検出装置300Bは、マーカーMKAを含む。マーカーMKAは、対象者Pに配置され、対象者Pの位置を示す。マーカーMKAは、図6を参照して説明した実施形態2に係るマーカーMKの構成に加えて、第2計測装置320をさらに含む。第2計測装置320は、「第2計測部」の一例に相当する。
第2計測装置320は、マーカーMKAが受ける光の光量を計測して、マーカーMKAが受ける光の光量を示す光量情報LT3を照明制御装置100に送信する。マーカーMKAは対象者Pに配置されるため、マーカーMKAが受けた光の光量は、対象者Pに近接した位置の光量を示す。光量は、例えば、照度、光束、または、輝度によって表される。なお、第2計測装置320は、光量を間接的に表す物理量として、色温度を計測してもよい。
例えば、第2計測装置320は、マーカーMKAが受ける光の照度を計測して、マーカーMKAが受ける光の照度を示す光量情報LT3を照明制御装置100に送信する。この場合、第2計測装置320は、例えば、照度計を含む。
第1推測部112は、自然光の光量情報LT1と、照明器具600の照明情報LT2と、第2計測装置320によって計測された光の光量を示す光量情報LT3と、対象者Pの位置情報PS2とに基づいて、対象者Pの眼に対する入射光量LAを推測する。つまり、自然光の光量情報LT1と、照明器具600の照明情報LT2と、マーカーMKAが受けた光の光量を示す光量情報LT3と、対象者Pの位置情報PS2とに基づいて、対象者Pの眼に対する入射光量LAを推測する。従って、実施形態3によれば、対象者Pに近接するマーカーMKAが受けた光の光量が、対象者Pの眼に対する入射光量LAの推測に反映される。従って、対象者Pの眼に対する入射光量LAの推測の精度をさらに向上できる。
次に、図8および図9を参照して、実施形態3に係る照明制御方法を説明する。照明制御方法は照明制御装置100によって実行される。図9は、実施形態3に係る照明制御方法を示すフローチャートである。図9に示すように、照明制御方法は、工程S21~工程S30を含む。
図8および図9に示すように、工程S21において、第2計測装置320は、マーカーMKAが受ける光の光量を計測する。そして、照明制御装置100の第1推測部112は、マーカーMKAが受ける光の光量を示す光量情報LT3をマーカーMKAから取得する。
次に、工程S22~工程S25が実行される。工程S22~工程S25は、それぞれ、図4および図6を参照して説明した実施形態2に係る工程S1~工程S4と同様であり、説明を省略する。
次に、工程S26において、第1推測部112は、工程S21~工程S25で取得されたマーカーMKAが受けた光の光量情報LT3と自然光の光量情報LT1と照明器具600の照明情報LT2と自然光の透過率情報TSと対象者Pの位置情報PS2とに基づいて、対象者Pの眼に入射する光の入射光量LAを推測する。
次に、工程S28~工程S30が実行される。工程S28~工程S30は、それぞれ、図4および図6を参照して説明した実施形態2に係る工程S7~工程S9と同様であり、説明を省略する。
以上、図8および図9を参照して説明したように、実施形態3に係る照明システムSYSBは、図6に示す実施形態2に係る照明システムSYSAと同様の構成を有する。従って、実施形態3では、実施形態2と同様に、対象者Pのメラトニンの分泌を効果的に制御できて、対象者Pに対して良好な睡眠を提供できる。その他、実施形態3では、実施形態2と同様の効果を有する。
(実施形態4)
図1、図10、および、図11を参照して、本発明の実施形態4に係る照明システムSYSを説明する。実施形態4では、第1時間帯T1(例えば、午前中の時間帯)と異なる第2時間帯(例えば、夜間の時間帯)においても対象者Pの眼に入射する入射光量LAを推測する点で、実施形態4は実施形態1と主に異なる。以下、実施形態4が実施形態1と異なる点を主に説明する。
実施形態4に係る照明システムSYSの構成は、図1を参照して説明した実施形態1に係る照明システムSYSの構成と同様である。従って、実施形態4の説明において、図1を適宜参照する。
図1に示すように、第2推測部114は、実施形態1と同様に、第1時間帯T1における入射光量LAの総量である第1総量TL1を推測する。
加えて、第2推測部114は、第1時間帯T1と異なる第2時間帯(以下、「第2時間帯T2」と記載する。)における入射光量LAの総量である第2総量TL2を推測する。従って、第2総量TL2は推測値である。第2時間帯T2は、第1時間帯T1よりも遅い時間帯を示す。
照明制御部116は、第2時間帯T2において、第2時間帯T2における第2総量TL2に対する第1時間帯T1における第1総量TL1の比率RT(=TL1/TL2)に基づいて変更機構500を制御して、照明器具600の照明光の向きを制御する。実施形態4では、照明制御部116は、第2時間帯T2において、第2時間帯T2における第2総量TL2に対する第1時間帯T1における第1総量TL1の比率RT(=TL1/TL2)に基づいて変更機構500を制御して、照明器具600の向きを制御する。従って、実施形態4によれば、第2時間帯T2において対象者Pの眼に実際に入射する光の光量を、比率RTに応じて制御できる。その結果、対象者Pのメラトニンの分泌をさらに効果的に制御できて、対象者Pに対してさらに良好な睡眠を提供できる。その他、実施形態4では、実施形態1と同様の効果を有する。
第2時間帯T2は、夜間の時間帯であることが好ましい。夜間とは、日没から日の出までの時間帯のことである。第2時間帯T2は、例えば、夜間のうち対象者Pが就寝する3時間前の時間帯、夜間のうち対象者Pが帰宅してから就寝するまでの時間帯、または、日没から対象者Pが就寝するまでの時間帯である。
第2時間帯T2における第2総量TL2に対する第1時間帯T1における第1総量TL1の比率RTに基づいて照明器具600の向きを制御する理由、つまり、比率RTに基づいて対象者Pの眼に実際に入射する光の光量を制御する理由は次の通りである。
すなわち、上記文献Aに基づくと、夜間の照明によるメラトニンの分泌抑制を軽減するには、午前中において対象者Pの眼に入射する光の光量の総量が夜間において対象者Pの眼に入射する光の総量の半分以上となることが好ましい。従って、比率RTに基づいて対象者Pの眼に実際に入射する光の光量を制御することで、対象者Pのメラトニンの分泌を効果的に制御できる。
具体的には、照明制御部116は、第2時間帯T2における第2総量TL2に対する第1時間帯T1における第1総量TL1の比率RTと所定値PVとを比較して、比較結果に基づいて変更機構500を制御して、照明器具600の向きを制御する。
所定値PVは、例えば、上記文献Aに基づき、0.5以上、好ましくは0.5以上0.7以下の範囲であることが好ましい。すなわち、夜間の照明によるメラトニンの分泌抑制を軽減するには、午前中において対象者Pの眼に入射する光の光量の総量が夜間において対象者Pの眼に入射する光の総量の半分以上となることが好ましい。例えば、午前中において対象者Pの眼に入射する光の光量の総量が、13500lx・min以上18000lx・min以下の場合、夜間において対象者Pの眼に入射する光の光量が、27000lx・min程度であれば、夜間の照明によるメラトニンの分泌抑制を効果的に軽減できる。
例えば、照明制御部116は、比率RTが所定値PV以上の場合は、変更機構500を制御して、照明器具600の向きを、現在の向きよりも対象者Pから離れる方向を向くように制御する。従って、第2時間帯T2において対象者Pの眼に過剰に光が入射することを抑制できる。
例えば、照明制御部116は、比率RTが所定値PV未満の場合に、変更機構500を制御して、照明器具600の向きを、現在の向きよりも更に対象者Pに向くように制御する。従って、第2時間帯T2において対象者Pの眼に実際に入射する光の光量を増加できる。その結果、メラトニン分泌抑制の軽減に必要な量の夜間の光量を確保できる。
図1、図10、および、図11を参照して、実施形態4に係る照明制御方法を説明する。照明制御方法は照明制御装置100によって実行される。図10および図11は、実施形態4に係る照明制御方法を示すフローチャートである。図10および図11に示すように、照明制御方法は、工程S41~工程S52を含む。
図10に示す工程S41~工程S48の処理は、それぞれ、図4を参照して説明した工程S1~工程S8と同様である。
ただし、工程S47で第1総量TL1が閾値TH未満であると判定された場合、処理は工程S48に進む。
一方、工程S47で第1総量TL1が閾値TH以上であると判定された場合、処理は図11の工程S49に進む。
図1および図11に示すように、工程S49において、照明制御部116は、照明制御装置100のクロック回路から出力される時刻の情報に基づいて、日が沈んだか否かを判定する。日が沈んだか否かの判定は、夜間か否かの判定に相当する。
工程S49で日が沈んでないと判定された場合、処理は、工程S52に進む。
一方、工程S49で日が沈んだと判定された場合、処理は、工程S50に進む。
ここで、日没の時刻は、例えば、対象者Pの自宅の地理的な位置情報(例えば、緯度経度)と、カレンダー情報(例えば、年月日)とに基づいて太陽高度を計算することにより算出できる。なお、対象者Pの自宅の地理的な位置情報は、例えば、記憶部130に予め記憶しておいてもよいし、GPS(Global Positioning System)受信機から取得するようにしてもよい。また、カレンダー情報は、例えば、照明制御装置100に含まれる時計のカレンダー機能から取得できる。
次に、工程S50において、第2推測部114は、記憶部130から、対象者Pの眼に対する入射光量履歴データ134を読み出す。第2推測部114は、対象者Pが就寝する3時間前の時刻から現在の時刻までの入射光量履歴データ134が示す入射光量LAに基づいて、第2時間帯T2(例えば、夜間の時間帯)における対象者Pの眼に対する入射光量LAの第2総量TL2を推測する。
例えば、第2推測部114は、対象者Pが就寝する3時間前から現在の時刻までに5分毎に推測された入射光量LAに対して一次関数で外挿し、就寝までの5分毎に眼に入射する光の入射光量LAを推測する。そして、第2推測部114は、対象者Pが就寝する3時間前から現在の時刻までに5分毎に推測された入射光量LAと、外挿により推測された就寝までの5分毎の入射光量LAとを加算して、対象者Pが就寝する3時間前から就寝するまでの入射光量LAの加算値ADD2を算出する。さらに、第2推測部114は、加算値ADD2に推測時間間隔である5分を乗算することで、第2時間帯T2(例えば、夜間の時間帯)における対象者Pの眼に対する入射光量LAの第2総量TL2を推測する。
次に、工程S51において、照明制御部116は、第2時間帯T2における第2総量TL2に対する第1時間帯T1における第1総量TL1の比率RT(=TL1/TL2)に基づいて変更機構500を制御して、照明器具600の向きを制御する。
次に、工程S52において、照明制御部116は、照明制御装置100に含まれる入力装置を介して、対象者Pによる入力操作により終了指示を受けたか否かを判定する。
工程S52で終了指示を受けていないと判定された場合、処理は図10の工程S41に進む。一方、工程S52で終了指示を受けたと判定された場合、処理は終了する。
(実施形態5)
図12および図13を参照して、本発明の実施形態5に係る照明システムSYSCを説明する。実施形態5に係る照明システムSYSCが携帯端末800を有する点で、実施形態5は実施形態1と主に異なる。以下、実施形態5が実施形態1と異なる点を主に説明する。
図12は、実施形態5に係る照明システムSYSCを示す。図12に示すように、照明システムSYSCは、図1を参照して説明した照明システムSYSの第1計測装置200および位置検出装置300に代えて、携帯端末800を備える。携帯端末800は、有線または無線により、照明制御装置100に接続される。携帯端末800は、例えば、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)またはブルートゥース(登録商標)のような通信規格に基づいて、または移動体通信網を介して、照明制御装置100との間で通信する。
携帯端末800は、例えば、スマートフォン、または、タブレット型端末である。携帯端末800は、カメラ200Aと、センサー300Cとを含む。カメラ200Aは、「第1計測部」の一例に相当する。センサー300Cは、「位置検出部」の一例に相当する。
カメラ200Aは携帯端末800に配置される。カメラ200Aは、例えば、デジタルカメラである。カメラ200Aは、対象者Pの周囲を撮像し、撮像結果を示す撮像画像を生成する。カメラ200Aは、撮像画像を示す画像データを、光量情報LT4として照明制御装置100に送信する。
そして、第1推測部112は、カメラ200Aから受信した撮像画像を解析して、対象者Pの周囲における自然光の光量(例えば、照度)を示す光量情報LT5を取得する。
センサー300Cは携帯端末800に配置される。センサー300Cは、携帯端末800の位置および向きを検出して対象者Pの位置および向きを検出し、検出した対象者Pの位置および向きを位置情報PS3として照明制御装置100に送信する。センサー300Cは、例えば、加速度センサー、電子ジャイロ、および、GPS受信機を含む。
また、携帯端末800は、対象者Pに携帯されるため、対象者Pが外出中でも対象者Pの位置情報および対象者Pの位置における照度を取得できる。従って、照明制御装置100は、対象者Pの帰宅時において、対象者Pの日中の活動に合わせた調整装置400および照明器具600を制御できる。
なお、携帯端末800は、携帯端末800のプロセッサーが携帯端末800のメモリーに記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、照明制御装置100として動作してもよい。この場合、携帯端末800は、Wi-Fiおよびブルートゥース(登録商標)のような通信規格に基づいて、または移動体通信網を介して、調整装置400および照明器具600との間で通信することが好ましい。その結果、照明システムSYSCは、より対象者Pの活動に応じた照明制御を実現できる。
次に、図13を参照して、照明システムSYSCの配置の一例を説明する。図13は、照明システムSYSCの配置の一例を示す平面図である。図13に示すように、携帯端末800は、対象者Pに携帯されるため、センサー300Cが検出する対象者Pの位置情報には、対象者Pの位置および向きが含まれる。従って、実施形態5では、記憶部130は、図1に示す配置データ132を記憶していなくてもよい。そして、第1推測部112は、センサー300Cにより検出される対象者Pの位置および向きに基づいて、対象者Pの眼に対する入射光量LAを推測できる。
なお、実施形態5において、照明システムSYSCは、図6および図7に示すビーコンBCを備えていてもよい。そして、携帯端末800は、各ビーコンBCから電波を受信して、実施形態2に係る第1推測部112と同様にして、携帯端末800の位置を測位してもよい。携帯端末800は対象者Pに携帯されているため、携帯端末800の位置は、対象者Pの位置を示す。
次に、図4および図12を参照して、実施形態5に係る照明制御方法を説明する。照明制御方法は照明制御装置100によって実行される。実施形態5に係る照明制御方法は、図4に示す実施形態1に係る照明制御方法と同様に、工程S1~工程S9を含む。
ただし、実施形態5では、工程S1において、第1推測部112は、携帯端末800のカメラ200Aにより撮像された対象者Pの周囲の画像を示す画像データを、光量情報LT4として携帯端末800から取得する。そして、第1推測部112は、画像を解析して、対象者Pの周囲における自然光の光量(例えば、照度)を取得する。
また、実施形態5では、工程S2において、第1推測部112は、センサー300Cにより検出された対象者Pの位置情報PS3を、携帯端末800から取得する。
以上、図4、図12、および、図13を参照して説明したように、実施形態5に係る照明システムSYSCは、図1に示す実施形態1に係る照明システムSYSと同様の構成を有する。従って、実施形態5では、実施形態1と同様に、対象者Pのメラトニンの分泌を効果的に制御できて、対象者Pに対して良好な睡眠を提供できる。その他、実施形態5では、実施形態1と同様の効果を有する。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
(1)実施形態1~実施形態5において、照明制御部116は、照明器具600の向きの制御に加えて、第1時間帯T1において、第1時間帯T1における第1総量TL1に基づいて、照明器具600および/または照明器具700の調光と調色とオンオフ制御とのうちの少なくとも1つの制御を実行してもよい。具体的には、照明制御部116は、照明器具600の向きの制御に加えて、第1時間帯T1における第1総量TL1と閾値THとを比較して、比較結果に基づいて照明器具600および/または照明器具700の調光と調色とオンオフ制御とのうちの少なくとも1つの制御を実行してもよい。この場合、第1時間帯T1において対象者Pの眼に実際に入射する光をさらに適切に制御できる。その結果、夜間の照明によるメラトニン分泌抑制をさらに軽減できる。
(2)実施形態1~実施形態5において、照明制御部116は、照明器具600の向きの制御に加えて、第1時間帯T1において、第1時間帯T1における第1総量TL1に基づいて、照明器具600および/または照明器具700の調光と調色とオンオフ制御と調整装置400による透過率の制御とのうちの少なくとも1つの制御を実行してもよい。具体的には、照明制御部116は、照明器具600の向きの制御に加えて、第1時間帯T1における第1総量TL1と閾値THとを比較して、比較結果に基づいて照明器具600および/または照明器具700の調光と調色とオンオフ制御と調整装置400による透過率の制御とのうちの少なくとも1つの制御を実行してもよい。この場合、第1時間帯T1において対象者Pの眼に実際に入射する光をさらに適切に制御できる。その結果、夜間の照明によるメラトニン分泌抑制をさらに軽減できる。
(3)実施形態1~実施形態3および実施形態5に係る照明制御方法において、図11を参照して説明した実施形態4に係る工程S49~工程S51が実行されてもよい。
そして、この場合、実施形態1~実施形態5において、照明制御部116は、照明器具600の向きの制御に加えて、第2時間帯T2において、第2総量TL2に対する第1総量TL1の比率RT(=TL1/TL2)に基づいて、照明器具600および/または照明器具700の調光と調色とオンオフ制御とのうちの少なくとも1つの制御を実行してもよい。また、照明制御部116は、第2時間帯T2において、照明器具600の向きの制御に加えて、比率RTに基づいて、照明器具600および/または照明器具700の調光と調色とオンオフ制御と調整装置400による透過率の制御とのうちの少なくとも1つの制御を実行してもよい。
(4)図4、図9、および、図10において、照明制御方法は、工程S3、工程S24、および、工程S43を含まなくてもよい。この場合は、入射光量LAの推測には、自然光の透過率情報TSは反映されない。
(5)図1、図6、および、図8に示す第1計測装置200は、デジタルカメラのような撮像装置であってもよい。この場合、第1計測装置200は、配置された部屋を撮像して画像を生成する。第1計測装置200は、生成した画像のデータを照明制御装置100に送信する。そして、第1推測部112は、第1計測装置200から受信した画像を解析して、窓から入射する自然光の光量(例えば、照度)を取得する。
また、第1計測装置200が自然光の輝度および色温度を計測する場合、入射光量履歴データ134の代わりに、視野内輝度分布履歴または視野内輝度・色度分布履歴のデータが、記憶部130に記憶されることが好ましい。この好ましい例では、照明制御装置100は、色温度も考慮した制御が可能となる。この場合、第1推測部112は、視野内輝度分布履歴または視野内輝度・色度分布履歴のデータを照度に変換することが好ましい。