本開示に係る製氷装置及び冷凍冷蔵庫を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。なお、本開示は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、又は各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
以下においては、原則として、冷凍冷蔵庫1が使用可能な状態に設置されたときを基準として、各方向を定義する。また、各図によって示される冷凍冷蔵庫1を構成する各部材の寸法、位置関係及び形状等は、実際のものとは必ずしも完全に一致しない場合がある。
実施の形態1.
図1から図8を参照しながら、本開示の実施の形態1について説明する。図1は製氷装置を備えた冷凍冷蔵庫の構成を示す正面図である。図2は製氷装置を備えた冷凍冷蔵庫の構成を示す縦断面図である。図3は製氷装置を備えた冷凍冷蔵庫の要部の構成を示す断面図である。図4は製氷装置を備えた冷凍冷蔵庫の制御系統の構成を示すブロック図である。図5から図7は製氷装置を備えた冷凍冷蔵庫の動作の一例を示すフロー図である。そして、図8は製氷装置を備えた冷凍冷蔵庫の変形例の動作を示すフロー図である。
この実施の形態に係る製氷装置を備えた冷凍冷蔵庫1は、断熱箱体90を有している。断熱箱体90は、外箱、内箱及び断熱材によって構成される。外箱は、例えば鋼鉄製である。内箱は、例えば樹脂製である。内箱は、外箱の内側に配置される。断熱材は、例えば、発泡ウレタン、真空断熱材等である。断熱材は、外箱と内箱との間の空間に充填されている。
断熱箱体90の正面は、開口している。断熱箱体90の内部には、貯蔵空間が形成されている。貯蔵空間は、食品等の被貯蔵物が収納される空間である。断熱箱体90の内部に形成された貯蔵空間は、1つ又は複数の仕切り部材によって、食品を収納保存するための複数の貯蔵室に区画されている。一例として、冷凍冷蔵庫1は、図1及び図2に示すように、複数の貯蔵室として、冷蔵室100、切替室200、製氷室300、冷凍室400及び野菜室500を備えている。これらの各貯蔵室は、断熱箱体90において、上下方向に4段構成となって配置されている。
冷蔵室100は、断熱箱体90の最上段に配置されている。図2に示すように、冷蔵室100の内部には、複数の棚板が設けられている。冷蔵室100の内部は、これらの棚板によって、上下方向に複数の空間に仕切られている。
切替室200は冷蔵室100の下方における左右の一側に配置されている。切替室200内の温度帯は、複数の温度帯のうちのいずれかに選択的に切り替えることができる。切替室200内の温度帯として選択可能な複数の温度帯は、例えば、冷凍温度帯、冷蔵温度帯、チルド温度帯、ソフト冷凍温度帯等である。冷凍温度帯は、例えば-18℃程度の温度帯である。冷蔵温度帯は、例えば5℃程度の温度帯である。チルド温度帯は、例えば0℃程度の温度帯である。ソフト冷凍温度帯は、例えば-7℃程度の温度帯である。
製氷室300は、切替室200の側方に隣接して配置される。製氷室300は、切替室200と並列に配置される。すなわち、製氷室300は、冷蔵室100の下方における左右の他側に配置されている。冷凍室400は、切替室200及び製氷室300の下方に配置されている。冷凍室400は、被貯蔵物を比較的長期にわたって冷凍保存する際に用いられる。また、野菜室500は、冷凍室400の下方の配置されている。野菜室500は、断熱箱体90の最下段に配置されている。野菜室500には、例えば、野菜及び容量の大きなペットボトル等が収納される。
冷蔵室100の正面部には、当該冷蔵室100を開閉するための冷蔵室扉7が設けられている。冷蔵室扉7は、例えば、両開きの回転式扉である。両開き式の冷蔵室扉7は、右扉7a及び左扉7bにより構成されている。冷蔵室扉7の外側表面には、操作パネル6が設けられている。図示の例では、操作パネル6は左扉7bに設けられている。操作パネル6は、各貯蔵室の保冷温度等を設定するための操作スイッチ(操作部)と、各貯蔵室の温度等を表示する液晶表示部(表示部)とを備えている。また、操作パネル6は、操作部と表示部を兼ねるタッチパネルを備えていてもよい。
切替室200、製氷室300、冷凍室400及び野菜室500のそれぞれは、引出し式の扉によって開閉される。これらの引出し式の扉は、各貯蔵室の左右の内壁面に水平に設けられたレールに沿って冷凍冷蔵庫1の奥行方向にスライドできるようになっている。この実施の形態の冷凍冷蔵庫1の使用者は、引出し式の扉をスライドさせることで、切替室200、製氷室300、冷凍室400及び野菜室500を開閉できる。
切替室200の内部及び冷凍室400の内部には、食品等を内部に収納できる切替室収納ケース201及び冷凍室収納ケース401が、それぞれ引き出し自在に格納されている。同様に、野菜室500内には、食品等を内部に収納できる野菜室収納ケース501が、引き出し自在に格納されている。
冷凍室収納ケース401は、冷凍室400を開閉する扉に設けられたフレームによって支持されている。冷凍室収納ケース401は、冷凍室400を開閉する扉に連動して引き出される。同様に、野菜室収納ケース501は、野菜室500を開閉する扉に設けられたフレームによって支持されている。野菜室収納ケース501は、野菜室500を開閉する扉に連動して引き出される。
なお、冷凍冷蔵庫1に備えられた貯蔵室の数、貯蔵室の配置、貯蔵室を開閉するための扉の構成等は、以上で説明した例に限定されるものではない。例えば、冷蔵室100を開閉するための扉は、スライド式であってもよい。また、切替室200、製氷室300、冷凍室400及び野菜室500を開閉するための扉は、回転式であってもよい。冷凍室収納ケース401及び野菜室収納ケース501は、それぞれ2つ以上設けられてもよい。
冷凍冷蔵庫1は、各貯蔵室へ供給する空気を冷却するための冷凍機構として、圧縮機2、冷却器3、送風ファン4及び風路5等を備えている。圧縮機2及び冷却器3は、図示を省略している凝縮器及び絞り装置等と、冷凍サイクル回路を構成している。圧縮機2は、冷凍サイクル回路内の冷媒を、圧縮して吐出する。凝縮器は、圧縮機2から吐出された冷媒を凝縮させる。絞り装置は、凝縮器から流出した冷媒を膨張させる。冷却器3は、絞り装置で膨張した冷媒によって、各貯蔵室へ供給する空気を冷却する。圧縮機2は、例えば、図2に示すように、冷凍冷蔵庫1の背面側の下部に配置されている。
風路5は、冷凍サイクル回路によって冷却された空気を各貯蔵室へ供給するためのものである。風路5は、断熱箱体90の内部に形成されている。図示の構成例では、風路5は冷凍冷蔵庫1の背面側に配置されている。冷凍サイクル回路を構成している冷却器3は、この風路5内に設置される。また、風路5内には、冷却器3で冷却された空気を各貯蔵室へ送るための送風ファン4も設置されている。
送風ファン4が動作すると、冷却器3で冷却された空気、すなわち冷気が、風路5を通って、冷凍室400、切替室200、製氷室300及び冷蔵室100へ送られる。これにより、各貯蔵室内が冷却される。また、野菜室500には、冷蔵室100から戻った冷気が図示しない風路を介して導入される。これにより、野菜室500内が冷却される。野菜室500を通過した空気は、冷却器3が設置されている風路5内へと戻される。風路5内へと戻された空気は、再び冷却器3によって冷却され、冷凍冷蔵庫1内を循環する。
また、風路5からそれぞれの貯蔵室へと通じる中途の箇所には、ダンパが設けられている。このダンパは、図1及び図2においては図示を省略している。各ダンパの開閉状態を変化させることで、各貯蔵室へと供給される冷気の風量が調節される。貯蔵室へと供給される冷気の風量は、送風ファン4の運転が制御されることによっても調節される。また、各貯蔵室へと供給される空気の温度は、圧縮機2の運転が制御されることで調節される。
各貯蔵室には、内部の温度を検知するサーミスタが設置される。このサーミスタは、図1及び図2においては図示を省略している。ダンパ、送風ファン4及び圧縮機2は、サーミスタの検知結果に基づいて制御される。ダンパ、送風ファン4及び圧縮機2は、各貯蔵室内の温度が予め設定された設定温度になるように制御される。この実施の形態において、以上のように設けられた圧縮機2と冷却器3とを含む冷凍サイクル回路、送風ファン4、風路5及びダンパは、貯蔵室の内部を冷却する冷却機構を構成している。
この実施の形態の冷凍冷蔵庫1は、制御装置8を備えている。制御装置8は、例えば、図2に示すように、冷凍冷蔵庫1の背面側の上部に設けられる。制御装置8には、冷凍冷蔵庫1の動作を制御するための制御回路等が備えられている。制御装置8の各機能は、この制御回路によって実現される。
次に、この実施の形態の冷凍冷蔵庫1が備える製氷装置に関係する構成について説明する。図2及び図3に示すように、製氷室300の前面には、製氷室扉9が設けられている。製氷室300の内部には、貯氷ケース10及び製氷皿11が収容されている。貯氷ケース10は、製氷室扉9のフレーム(図示せず)によって支持されている。製氷室扉9を前方へと引き出すと、貯氷ケース10は製氷室扉9及びそのフレームと一体となって前方へと引き出される。貯氷ケース10は、製氷皿11の下方に配置されている。貯氷ケース10は、製氷皿11から離氷された氷を受け、氷を貯めておくものである。
また、冷蔵室100の内部には、給水タンク12及び給水ポンプ13が設けられている。図示の構成例では、給水タンク12及び給水ポンプ13は、冷蔵室100の内部の最下段部に配置されている。給水ポンプ13には、給水パイプ14の一端が接続されている。給水パイプ14は、冷蔵室100と製氷室300とを連通して設けられている。給水パイプ14の他端は、製氷室300内における製氷皿11の上方に配置されている。給水タンク12には、製氷用の水が貯められている。給水ポンプ13は、給水タンク12内の水を汲み上げるためのものである。給水ポンプ13により汲み上げられた水は、給水パイプ14を通って、製氷皿11へと供給される。製氷皿11を含む製氷室300は、製氷を行う製氷部である。そして、給水ポンプ13及び給水パイプ14は、給水タンク12内の水を製氷部に供給する給水手段である。
給水タンク12が設けられた冷蔵室100の最下段区画の背面部には、タンクサーミスタ15が設けられている。タンクサーミスタ15は、給水タンク12の温度を検知するためのものである。また、給水タンク12が設けられた冷蔵室100の最下段区画の背面部には、第1冷気吹出口16が形成されている。第1冷気吹出口16は、風路5に通じている。第1冷気吹出口16には、ダンパ17が設けられている。ダンパ17を開閉することで、冷蔵室100の最下段区画内への冷気流入を調節して給水タンク12の温度を調整できる。以上のように構成された第1冷気吹出口16及びダンパ17と、前述した冷却機構とにより、給水タンク12を冷却する冷却手段が構成されている。
製氷室300の背面部には、第2冷気吹出口18が形成されている。第2冷気吹出口18は、風路5に通じている。第2冷気吹出口18からは、前述した冷却機構の風路5を通って冷気が製氷室300の内部へと吹き出す。第2冷気吹出口18から製氷室300の内部へと吹き出した冷気は、製氷皿11の水を冷却する。
製氷室300内には、回転装置19、検氷レバー20及び温度センサ21が備えられている。製氷皿11は、製氷室300内において、上下が反転するように回転可能に支持されている。回転装置19は、製氷皿11を回転させて製氷皿11の上下を反転させることができる。検氷レバー20は、貯氷ケース10内の氷の量を検出するためのものである。貯氷ケース10内の氷に接触するまで検氷レバー20を下げていくことで、貯氷ケース10内の氷の高さを検出することができる。温度センサ21は、製氷室300内における製氷皿11の上方に配置されている。温度センサ21は、製氷皿11内の水の温度を検出する。
次に、以上のように構成された製氷装置を備えた冷凍冷蔵庫1の制御系統の構成について、図4を参照しながら説明する。制御装置8の制御回路には、例えば、プロセッサ8a及びメモリ8bが備えられている。制御装置8は、メモリ8bに記憶されたプログラムをプロセッサ8aが実行することによって予め設定された処理を実行し、冷凍冷蔵庫1を制御する。
プロセッサ8aは、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリ8bには、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM及びEEPROM等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、または磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク及びDVD等が該当する。
なお、制御装置8の制御回路は、例えば、専用のハードウェアとして形成されてもよい。制御装置8の制御回路の一部が専用のハードウェアとして形成され、且つ、当該制御回路にプロセッサ8a及びメモリ8bが備えられていてもよい。一部が専用のハードウェアとして形成される制御回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。
制御装置8には、各種の信号が入力される。制御装置に入力される信号としては、例えば以下のものが挙げられる。
・各貯蔵室の内部の温度を検知するサーミスタからの信号
・タンクサーミスタ15が検知した給水タンク12の温度に関する信号
・検氷レバー20により検出された氷の高さに関する信号
・温度センサ21が検出した製氷皿11内の水の温度に関する信号
・操作パネル6の操作部6aになされた操作に関する操作信号
そして、制御装置8は、これら各種の入力信号に応じて、製氷装置を含む冷凍冷蔵庫1が備える各種のアクチュエータに制御信号を出力し、これらのアクチュエータの動作を制御する。制御装置8が制御するアクチュエータとしては、例えば以下のものが挙げられる。
・前述した冷却機構の圧縮機2、送風ファン4及びダンバ
・給水タンク12を冷却する前述した冷却手段のダンパ17
・前述した給水手段の給水ポンプ13
・前述した製氷部の回転装置19
・操作パネル6の表示部6b
例えば、制御装置8は、各貯蔵室の内部の温度を検知するサーミスタからの信号及び操作部6aからの操作信号等に基づいて、各貯蔵室の温度がそれぞれ設定された温度に維持されるように、前述した冷却機構の圧縮機2、送風ファン4及びダンバ等を制御する。また、制御装置8は、タンクサーミスタ15から入力された信号に基づいて、給水タンク12の温度が設定温度に維持されるように、圧縮機2、送風ファン4及びダンパ17等を制御する。すなわち、制御装置8は、給水タンク12の温度が設定温度になるように前述の冷却手段を制御する制御手段である。さらに、制御装置8は、検氷レバー20及び温度センサ21からの検出信号、並びに、操作部6aから操作信号等に基づいて、冷凍冷蔵庫1が備える製氷装置の動作を制御する。
次に、制御装置8による製氷動作の制御について説明する。使用者が操作パネル6を操作して「製氷」モードをONにすると、制御装置8は、製氷装置の製氷動作を開始する。製氷動作を開始すると、制御装置8は、予め設定された給水時間だけ給水ポンプ13を動作させる。これにより、給水タンク12内の水が、給水パイプ14を通って製氷皿11へと供給される。
ここで、製氷皿11は製氷室300内において冷凍温度帯で冷却されている一方で、給水タンク12は冷蔵室100にあるため給水タンク12の水温は冷蔵温度帯である。このため、給水タンクの水が製氷皿11に入ると、製氷皿11の温度が上昇する。制御装置8は、給水ポンプ13を動作させた後、温度センサ21の検出結果を確認する。そして、給水ポンプ13の動作前と比較して温度センサ21により検出された製氷皿11の温度が上昇していた場合には、制御装置8は、給水タンク12内に水があり、製氷皿11内に水が入ったと判定する。
なお、制御装置8は、給水ポンプ13の動作前と比較して温度センサ21により検出された製氷皿11の温度が予め設定された温度幅以上上昇していた場合に、給水タンク12内に水があり、製氷皿11内に水が入ったと判定するようにしてもよい。この際の温度幅は、例えば5℃とする。
製氷皿11内の水は、第2冷気吹出口18から製氷室300の内部へと吹き出した冷気により冷却されて凍結する。制御装置8は、製氷皿11内に水が入ったと判定した後、温度センサ21により検知された製氷皿11内の水の温度が予め設定された基準温度以下になってから、予め設定された基準時間が経過した場合に、製氷が完了したと判定する。基準温度は、具体的に例えば-6℃に設定される。基準時間は、具体的に例えば60分に設定される。温度センサ21の検知温度が基準温度以下になってから基準時間が経過するまで待つことで、温度センサ21の検知温度に誤差が生じた場合にも、製氷皿11内の水全体の凍結を確実に完了させることができる。
制御装置8は、製氷が完了したと判定すると、検氷レバー20を動作させて貯氷ケース10内の氷の量を検出する。そして、貯氷ケース10内の氷の量が満氷量に達していない場合には、制御装置8は、回転装置19により製氷皿11を回転させる。この際、製氷皿11を捻るように回転させることで、製氷皿11を一時的に変形させて、製氷皿11からの離氷を促す。満氷量は、貯氷ケース10内の氷の高さが製氷皿11の回転軌跡の最低位置よりも低い位置になるように予め設定される。
このようにして、製氷装置は満氷になるまで一連の製氷動作を繰り返し行う。この製氷動作の繰り返しに伴い、給水タンク12内の水が使用されて減少する。このため、満氷になる前に、給水タンク12内の水が無くなり、製氷用の水の量が不足することがある。給水タンク12内の水が無くなって製氷用の水の量が不足した状態を、ここでは「水量不足状態」と呼ぶことにする。この水量不足状態では、前述の給水時間だけ給水ポンプ13を動作させても、製氷皿11に水が供給されない。
制御装置8は、給水ポンプ13を動作させた後、給水ポンプ13の動作前と比較して温度センサ21により検出された製氷皿11の温度が上昇していない場合には、製氷皿11内に水が入らなかった、すなわち、給水タンク12内の水が無くなった水量不足状態であると判定する。この際、制御装置8は、給水ポンプ13の動作前と比較して温度センサ21により検出された製氷皿11の温度が前述した温度幅以上上昇しない場合に、水量不足状態であると判定してもよい。
以上のような給水ポンプ13、温度センサ21及び制御装置8は、給水タンク12内の水が無くなった水量不足状態を検知する水量不足検知手段を構成している。そして、この実施の形態の水量不足検知手段は、前述の給水手段が給水動作を行っても製氷部に水が供給されなかった場合に水量不足状態を検知する。なお、水量不足検知手段は、以上で説明した温度センサ21を用いるものに限られない。他に例えば、光学センサ、カメラ、重量センサ等により給水タンク12の水位、水量を検出することで、水量不足状態を検知するようにしてもよい。
水量不足検知手段が水量不足状態を検知した場合、制御装置8は以降の製氷動作を行わない。すなわち、制御装置8は、製氷完了の判定を実施せず、したがって、検氷レバー20による貯氷ケース10内の氷の量を検出動作も、回転装置19により製氷皿11を回転させる離氷動作も実施されない。また、水量不足検知手段が水量不足状態を検知した場合に、その旨を使用者に報知してもよい。この報知は、例えば、使用者に給水を促すメッセージを操作パネル6の表示部6bに表示したり、操作パネル6のランプを点灯させたりすることで行うことが考えられる。
水量不足検知手段が水量不足状態を検知した場合、制御装置8は、予め設定された一定時間が経過した後に、再び給水ポンプ13を動作させる。そして、給水ポンプ13の動作前と比較して温度センサ21により検出された製氷皿11の温度が上昇したか否かを判定することで、制御装置8は再び給水タンク12が水量不足状態であるか否かを判定する。すなわち、水量不足検知手段は、予め設定された一定時間毎に水量不足状態か否かの検知を行う。この際の一定時間は、例えば2時間とする。
制御装置8は、水量不足状態が解消されるまで、前述の一定時間毎に水量不足検知手段による水量不足状態か否かの検知を実施する。そして、水量不足検知手段が水量不足状態を検知しなくなったら、制御装置8は、給水タンク12内に水が補給されたとして、製氷動作を再開する。
一方、制御装置8は、水量不足検知手段が予め設定された回数以上連続して水量不足状態を検知した場合に、前述の水量不足状態が継続していると判定する。この際の判定基準とする回数は、例えば12回とする。前述したように、水量不足検知手段が水量不足状態を検知している間は、制御装置8は2時間が経過する毎に給水を試行して水量不足検知手段による水量不足状態の検知を実施する。したがって、水量不足検知手段が12回以上連続して水量不足状態を検知した場合、24時間以上水量不足状態が継続していることになる。
そして、制御装置8は、水量不足状態が継続している場合に、給水タンク12の設定温度を第1温度から第2温度に変更する。第1温度は、通常の冷蔵室100の設定温度である。第2温度は、第1温度より低い温度である。すなわち、制御装置8は、水量不足状態が継続している場合に、給水タンク12の設定温度を低下させる。第1温度は、例えば4℃である。第2温度は、0℃以下とする。具体的に例えば、第2温度は0℃とする。
以上のように構成された製氷装置及び冷凍冷蔵庫1によれば、水を補給することなく製氷を続けることで給水タンク12内が空となり、給水タンク12の水量不足状態が継続している場合に、給水タンク12の設定温度を例えば0℃に変更し、温度を低下させる。これにより、給水タンク12は、水を補給水されるまで低温で維持される。したがって、給水タンク12内に少量の水が残っていたとしても、給水タンク12を低温で維持することで微生物の繁殖を抑制し、給水タンク12内の衛生状態悪化を抑制できる。
なお、水量不足検知手段が水量不足状態を検知しなくなったら、制御装置8は、給水タンク12内に水が補給されたとして、給水タンク12の設定温度を前述の第2温度から前述の第1温度に戻す。
次に、以上のように構成された製氷装置を備えた冷凍冷蔵庫1の動作の一例を、図5のフロー図を参照しながら説明する。例えば、操作パネル6が操作されて「製氷」モードに設定されると、まず、ステップS101において、制御装置8は、水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nの値を0に初期化する。続くステップS102において、制御装置8は、給水タンク12の設定温度θtを第1温度θt0に設定する。第1温度θt0は、前述したように例えば4℃である。ステップS102の後、処理はステップS103へと進む。
ステップS103においては、制御装置8は、給水ポンプ13をONにして給水動作を開始させる。続くステップS104において、制御装置8は、給水時間をカウントするタイマー変数tを0にリセットして、タイマーによる計時を開始する。タイマーによる計時中には、時間の経過に伴いタイマー変数tの値が増加していく。そして、ステップS105で、制御装置8は、給水開始時の製氷皿11の温度θ0を温度センサ21により取得する。ステップS105の後、処理はステップS106へと進む。
ステップS106においては、制御装置8は、タイマー変数tが予め設定されたΔT1に達したか否かを判定する。ΔT1は、例えば30秒である。タイマー変数tがΔT1に達していない、すなわち、給水を開始してからΔT1が経過していない場合は、ΔT1が経過するまで、このステップS106の判定を繰り返す。そして、給水を開始してからΔT1が経過したら、処理はステップS107へと進む。
ステップS107において、制御装置8は、給水ポンプ13の動作を停止させる。そして、ステップS108で、制御装置8は、給水終了時の製氷皿11の温度θ1を温度センサ21により取得する。続くステップS109において、制御装置8は、給水開始時と給水終了時の製氷皿11の温度の差θ1-θ0が、予め設定された温度差Δθd以上か否かを判定する。この際の判定基準となる温度差Δθdは、前述したように例えば5℃である。
ステップS109において、給水開始時と給水終了時の製氷皿11の温度の差θ1-θ0が温度差Δθd以上である場合、処理はステップS110へと進む。ステップS110では、制御装置8は、給水タンク12内に「水あり」と判定する。すなわち、前述の水量不足検知手段は、水量不足状態を検知しない。水量不足状態が検知されない場合、まず、ステップS111で、制御装置8は、水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nの値を0にリセットする。そして、続くステップS112で、制御装置8は、給水タンク12の設定温度θtを第1温度θt0に設定する。ステップS112の後、処理はステップS113へと進む。
ステップS113においては、制御装置8は、温度センサ21が検知した製氷皿11内の水の温度θが予め設定された基準温度θ2以下となったか否かを判定する。基準温度θ2は、前述したように例えば-6℃である。製氷皿11内の水の温度θが基準温度θ2以下でない場合は、基準温度θ2以下になるまで、このステップS113の判定を繰り返す。そして、製氷皿11内の水の温度θが基準温度θ2以下になれば、処理はステップS114へと進む。ステップS114においては、製氷皿11内の水の温度が基準温度θ2以下に到達してからの経過時間をカウントするタイマー変数tを0にリセットして、タイマーによる計時を開始する。ステップS114の後、処理はステップS115へと進む。
ステップS115においては、制御装置8は、タイマー変数tが予め設定されたΔT2に達したか否かを判定する。ΔT2は、前述したように例えば60分である。タイマー変数tがΔT2に達していない、すなわち、製氷皿11内の水の温度が基準温度θ2以下に到達してからΔT2が経過していない場合は、ΔT2が経過するまで、このステップS115の判定を繰り返す。そして、製氷皿11内の水の温度が基準温度θ2以下に到達してからΔT2が経過したら、処理はステップS116へと進む。
ステップS116においては、制御装置8は、回転装置19の動作を開始させる。この際の回転装置19の回転方向は、予め設定された正方向である。したがって、回転装置19による製氷皿11の正方向への回転が開始される。そして、続くステップS117で、制御装置8は、回転時間をカウントするタイマー変数tを0にリセットして、タイマーによる計時を開始する。ステップS117の後、処理はステップS118へと進む。
ステップS118においては、制御装置8は、タイマー変数tが予め設定された回転駆動時間trに達したか否かを判定する。回転駆動時間trは、具体的に例えば5秒に設定される。回転装置19による製氷皿11の回転を開始してから回転駆動時間trが経過していない場合は、回転駆動時間trが経過するまで、このステップS118の判定を繰り返す。そして、回転装置19による製氷皿11の回転を開始してから回転駆動時間trが経過したら、処理はステップS119へと進む。
ステップS119においては、制御装置8は、回転装置19を逆方向に回転させる。この逆方向とは、前述した正方向と反対の方向である。したがって、回転装置19による製氷皿11の逆方向への回転が開始される。そして、続くステップS120で、制御装置8は、回転時間をカウントするタイマー変数tを0にリセットして、タイマーによる計時を開始する。ステップS120の後、処理はステップS121へと進む。
ステップS121においては、制御装置8は、タイマー変数tが予め設定された回転駆動時間trに達したか否かを確認する。この回転駆動時間trは、ステップS110の回転駆動時間trと同値である。回転装置19による製氷皿11の逆回転を開始してから回転駆動時間trが経過していない場合は、回転駆動時間trが経過するまで、このステップS121の判定を繰り返す。そして、回転装置19による製氷皿11の逆回転を開始してから回転駆動時間trが経過したら、処理はステップS122へと進む。ステップS122においては、製氷皿11が元の位置まで戻ってきているので、制御装置8は、回転装置19による製氷皿11の逆回転を停止させる。ステップS122の後、処理はステップS123へと進む。
ステップS123においては、制御装置8は、検氷レバー20を動作させて貯氷ケース10内の氷の量を検出する。そして、制御装置8は、検氷レバー20により検出された貯氷ケース10内の氷の量が、前述した満氷量に達したか否かを判定する。貯氷ケース10内の氷の量が満氷量である場合は、貯氷ケース10内の氷が取り出されて満氷でなくなるまで、このステップS123の判定を繰り返す。貯氷ケース10内の氷の量が満氷量でない場合には、処理はステップS103へと戻り、給水動作を開始して製氷を続ける。
一方、ステップS109において、給水開始時と給水終了時の製氷皿11の温度の差θ1-θ0が温度差Δθd以上でない場合、処理はステップS124へと進む。ステップS124では、制御装置8は、給水タンク12内に「水なし」と判定する。すなわち、前述の水量不足検知手段が水量不足状態を検知する。水量不足状態が検知された場合、まず、ステップS125で、制御装置8は、水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nの値に1を加算する。
そして、続くステップS126で、制御装置8は、水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nが予め設定された回数N1以上になったか否かを判定する。この際の判定基準となる回数N1は、前述したように例えば12回である。水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nが回数N1以上でない場合には、処理はステップS127へと進む。ステップS127においては、制御装置8は、水量不足状態が検知されてからの経過時間をカウントするタイマー変数tを0にリセットして、タイマーによる計時を開始する。ステップS127の後、処理はステップS128へと進む。
ステップS128においては、制御装置8は、タイマー変数tが予め設定されたΔT3に達したか否かを判定する。ΔT3は、前述した一定時間であり例えば2時間である。タイマー変数tがΔT3に達していない、すなわち、最後に水量不足状態が検知されてからΔT3が経過していない場合は、ΔT3が経過するまで、このステップS128の判定を繰り返す。そして、最後に水量不足状態が検知されてからΔT3が経過したら、処理はステップS103へと戻り、給水動作を開始する。
一方、ステップS126で水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nが回数N1以上である場合には、処理はステップS129へと進む。ステップS129においては、制御装置8は、給水タンク12の設定温度θtを第2温度θt1に設定する。第2温度θt1は、前述したように例えば0℃である。ステップS129の後は、処理は前述したステップS127へと進む。
なお、この実施の形態に係る製氷装置の変形例として、水量不足状態が継続して給水タンク12の設定温度を前述の第2温度に変更した後、水量不足状態がさらに継続している場合に、制御装置8は、給水タンク12の設定温度を第2温度から第3温度に変更してもよい。第3温度は、第2温度よりも低い温度である。したがって、特に第2温度を0℃以下にした場合には、第3温度は0℃未満になる。具体的に例えば、第2温度を0℃とし、第3温度を-3℃とする。
この変形例においては、制御装置8は、前述の水量不足状態が継続していると判定した後、水量不足検知手段がさらに予め設定された回数以上連続して水量不足状態を検知した場合に、前述の水量不足状態がさらに継続していると判定する。この際の判定基準とする回数は、例えば72回とする。したがって、水量不足検知手段が計84回数以上連続して水量不足状態を検知した場合に、前述の水量不足状態がさらに継続していると判定する。つまり、この具体例では、168時間連続して、すなわち1週間連続して水量不足状態が検知された場合に、水量不足状態がさらに継続していると判定する。
次に、図8のフロー図を参照しながら、この変形例の動作の一例を説明する。この図8に示すのは、図6のフロー図のステップS124からステップS129の処理に相当する部分である。この変形例においては、図6のステップS124からステップS129の処理に代えて、図8のステップS124からステップS129及びS1001、S1002の処理を行う。これら以外の処理、すなわち、図5のステップS101からステップS108、図6のステップS109からS115、及び、図7のステップS116からステップS123の処理については、この変形例でも踏襲される。
この変形例においては、図6のステップS109の処理において給水開始時と給水終了時の製氷皿11の温度の差θ1-θ0が温度差Δθd以上でない場合、処理は図8のステップS124へと進む。ステップS124では、制御装置8は、給水タンク12内に「水なし」と判定する。すなわち、前述の水量不足検知手段が水量不足状態を検知する。水量不足状態が検知された場合、まず、ステップS125で、制御装置8は、水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nの値に1を加算する。
そして、続くステップS126で、制御装置8は、水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nが予め設定された回数N1以上になったか否かを判定する。この際の判定基準となる回数N1は、前述したように例えば12回である。水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nが回数N1以上でない場合には、処理はステップS127へと進む。ステップS127においては、制御装置8は、水量不足状態が検知されてからの経過時間をカウントするタイマー変数tを0にリセットして、タイマーによる計時を開始する。ステップS127の後、処理はステップS128へと進む。
ステップS128においては、制御装置8は、タイマー変数tが予め設定されたΔT3に達したか否かを判定する。ΔT3は、前述した一定時間であり例えば2時間である。タイマー変数tがΔT3に達していない、すなわち、最後に水量不足状態が検知されてからΔT3が経過していない場合は、ΔT3が経過するまで、このステップS128の判定を繰り返す。そして、最後に水量不足状態が検知されてからΔT3が経過したら、処理は図5のステップS103へと戻り、給水動作を開始する。
一方、ステップS126で水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nが回数N1以上である場合には、処理はステップS1001へと進む。ステップS1001においては、制御装置8は、水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nが予め設定された回数N2以上になったか否かを判定する。この際の判定基準となる回数N2は、前述の回数N1よりも大きい値で、例えば84回である。水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nが回数N2以上でない場合には、処理はステップS129へと進む。ステップS129においては、制御装置8は、給水タンク12の設定温度θtを第2温度θt1に設定する。第2温度θt1は、前述したように例えば0℃である。ステップS129の後は、処理は前述したステップS127へと進む。
一方、ステップS1001で水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nが回数N2以上である場合には、処理はステップS1002へと進む。ステップS1002においては、制御装置8は、給水タンク12の設定温度θtを第3温度θt2に設定する。第3温度θt2は、前述したように例えば-3℃である。ステップS1002の後は、処理は前述したステップS127へと進む。
以上のような変形例によれば、給水タンク12の水量不足状態が継続して給水タンク12の温度を低下させた後に、水量不足状態がさらに継続した場合には、給水タンク12の温度をさらに低下させる。特に、水量不足状態がさらに継続した場合に給水タンク12の温度を0℃未満にすることで、給水タンク12内に残存した水を凍結させて、微生物の繁殖を抑制できる。なお、給水タンク12の水量不足状態が検知されている場合、給水タンク12内に残存する水は少量である。したがって、給水タンク12内の水を凍結させても、使用者が給水タンク12を冷凍冷蔵庫1から取り出した際に室温ですぐに解凍されるため、利便性を損なうことはない。
なお、以上で説明した構成例では、一定時間毎に給水タンク12が水量不足状態か否かの検知を行い、予め設定された回数以上連続して水量不足状態が検知されている場合に、水量不足状態が継続していると判定した。しかしながら、水量不足状態の継続を判定する方法は、これに限られない。他に例えば、給水タンク12が水量不足状態であることが検知されてからの経過時間により、水量不足状態の継続を判定してもよい。
実施の形態2.
図9から図11を参照しながら、本開示の実施の形態2について説明する。図9は製氷装置を備えた冷凍冷蔵庫の要部の構成を示す断面図である。図10は製氷装置を備えた冷凍冷蔵庫の制御系統の構成を示すブロック図である。そして、図11は製氷装置を備えた冷凍冷蔵庫の動作の一例を示すフロー図である。
ここで説明する実施の形態2は、前述した実施の形態1の構成において、給水タンクの水量不足状態が継続している場合に、給水タンクの設定温度を、0℃以下の温度と0℃より高い温度とに交互に変更するようにしたものである。以下、この実施の形態2に係る製氷装置及び冷凍冷蔵庫について、実施の形態1との相違点を中心に説明する。説明を省略した構成については実施の形態1と基本的に同様である。以降の説明においては、実施の形態1と同様の又は対応する構成について、原則として実施の形態1の説明で用いたものと同じ符号を付して記載する。
この実施の形態に係る製氷装置を備えた冷凍冷蔵庫1は、図9に示すように、ヒーター22を備えている。ヒーター22は、冷蔵室100内の給水タンク12が収容される最下段区画に設けられている。図示の構成例では、ヒーター22は、冷蔵室100の最下段区画の底面部分に設けられている。そして、冷蔵室100の最下段区画内の適切な位置に給水タンク12が収容されると、ヒーター22が給水タンク12の下方に配置されるようになっている。ヒーター22は、給水タンク12を加熱する加熱手段の一例である。この実施の形態においては、図10に示すように、制御手段である制御装置8は、実施の形態1で説明した各種のアクチュエータに加えて、ヒーター22の動作も制御する。
この実施の形態においては、制御装置8は、前述の水量不足状態が継続している場合に、給水タンク12の設定温度を前述の第2温度と第4温度とに交互に変更する。第2温度は、実施の形態1で前述したように0℃以下の温度である。また、第4温度は、0℃より高い温度である。ここでは、具体的に例えば、第2温度を-5℃にし、第4温度を3℃にする。
実施の形態1で前述した水量不足検知手段は、例えば2時間毎に水量不足状態か否かの検知を行う。そして、制御装置8は、水量不足検知手段が例えば12回以上連続して水量不足状態を検知した場合に、水量不足状態が継続していると判定する。この実施の形態においては、制御装置8は、水量不足状態が継続していると判定した場合に、まず、給水タンク12の設定温度を実施の形態1で前述した第1温度から第2温度、すなわち、ここで説明する例では-5℃に変更する。給水タンク12の設定温度を-5℃に変更することで、給水タンク12内にわずかに残った水を冷却して凍結させる。
そして、予め制定された一定時間が経過したら、制御装置8は、給水タンク12の設定温度を第2温度から第4温度、すなわち、ここで説明する例では3℃に変更する。この際の一定時間は、例えば1時間とする。給水タンク12の設定温度が第4温度に変更されると、制御装置8はヒーター22を動作させて、給水タンク12を加熱する。これにより、給水タンク12は速やかに加熱され、給水タンク12内の凍結した水を速やかに融解させる。その後、予め制定された一定時間が経過したら、制御装置8は、給水タンク12の設定温度を第4温度から再び第2温度に変更する。この際の一定時間も、例えば先ほどと同様に1時間とする。ただし、給水タンク12の設定温度を第2温度とする継続時間と第4温度とする継続時間とは異なる時間にしてもよい。
このようにして、制御装置8は、給水タンク12の水量不足状態が継続している場合に、給水タンク12の設定温度を第2温度と第4温度とに交互に変更する。第2温度は、水の凍結点である0℃以下の温度である。また、第4温度は、水の凍結点である0℃より高い温度である。細菌等の微生物を含む水の凍結・融解を繰り返すことで、氷結晶生成による物理的な変化、細胞液の濃縮による脱水等を生じさせて微生物の細胞膜等を損傷させることができる。そして、水に含まれる微生物等を死滅させ、増殖を抑制することが可能である。したがって、水を補給することなく製氷を続けることで給水タンク12内が空となり、給水タンク12の水量不足状態が継続している場合に、給水タンク12内の水の凍結・融解を繰り返して、微生物の繁殖を抑制し給水タンク12内の衛生状態悪化を抑制できる。
次に、図11のフロー図を参照しながら、この実施の形態に係る製氷装置の動作の一例を説明する。この図11に示すのは、実施の形態1の図6のフロー図におけるステップS124からステップS129の処理に相当する部分である。この実施の形態においては、図6のステップS124からステップS129の処理に代えて、図11のステップS124からステップS128及びS201からS209の処理を行う。これら以外の処理、すなわち、実施の形態1で説明した図5のステップS101からステップS108、図6のステップS109からS115、及び、図7のステップS116からステップS123の処理については、ここで説明するこの実施の形態の動作例でも踏襲される。
この実施の形態においては、図6のステップS109の処理において給水開始時と給水終了時の製氷皿11の温度の差θ1-θ0が温度差Δθd以上でない場合、処理は図11のステップS124へと進む。ステップS124では、制御装置8は、給水タンク12内に「水なし」と判定する。すなわち、前述の水量不足検知手段が水量不足状態を検知する。水量不足状態が検知された場合、まず、ステップS125で、制御装置8は、水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nの値に1を加算する。
そして、続くステップS126で、制御装置8は、水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nが予め設定された回数N1以上になったか否かを判定する。この際の判定基準となる回数N1は、前述したように例えば12回である。水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nが回数N1以上でない場合には、処理はステップS127へと進む。ステップS127においては、制御装置8は、水量不足状態が検知されてからの経過時間をカウントするタイマー変数tを0にリセットして、タイマーによる計時を開始する。ステップS127の後、処理はステップS128へと進む。
ステップS128においては、制御装置8は、タイマー変数tが予め設定されたΔT3に達したか否かを判定する。ΔT3は、前述した一定時間であり例えば2時間である。タイマー変数tがΔT3に達していない、すなわち、最後に水量不足状態が検知されてからΔT3が経過していない場合は、ΔT3が経過するまで、このステップS128の判定を繰り返す。そして、最後に水量不足状態が検知されてからΔT3が経過したら、処理は図5のステップS103へと戻り、給水動作を開始する。
一方、ステップS126で水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nが回数N1以上である場合には、処理はステップS201へと進む。ステップS201においては、制御装置8は、凍結融解回数をカウントするカウンタ変数iを0にリセットする。続くステップS202において、制御装置8は、給水タンク12の設定温度θtを第2温度θt3に設定する。この実施の形態の第2温度θt3は、前述したように例えば-5℃である。ステップS202の後は、処理はステップS203へと進む。
ステップS203においては、制御装置8は、給水タンク12の設定温度を第2温度θt3にしてからの経過時間をカウントするタイマー変数tを0にリセットして、タイマーによる計時を開始する。ステップS203の後、処理はステップS204へと進む。
ステップS204においては、制御装置8は、タイマー変数tが予め設定されたΔT4に達したか否かを判定する。ΔT4は、前述したように例えば1時間である。タイマー変数tがΔT4に達していない、すなわち、給水タンク12の設定温度を第2温度θt3にしてからΔT4が経過していない場合は、ΔT4が経過するまで、このステップS204の判定を繰り返す。そして、給水タンク12の設定温度を第2温度θt3にしてからΔT4が経過したら、処理はステップS205へと進む。
ステップS205においては、制御装置8は、給水タンク12の設定温度θtを第4温度θt4に設定する。この実施の形態の第4温度θt4は、前述したように例えば3℃である。ステップS205の後は、処理はステップS206へと進む。
ステップS206においては、制御装置8は、給水タンク12の設定温度を第4温度θt4にしてからの経過時間をカウントするタイマー変数tを0にリセットして、タイマーによる計時を開始する。ステップS206の後、処理はステップS207へと進む。
ステップS207においては、制御装置8は、タイマー変数tが予め設定されたΔT5に達したか否かを判定する。ΔT5は、前述したように例えば1時間である。タイマー変数tがΔT5に達していない、すなわち、給水タンク12の設定温度を第4温度θt4にしてからΔT5が経過していない場合は、ΔT5が経過するまで、このステップS207の判定を繰り返す。そして、給水タンク12の設定温度を第4温度θt4にしてからΔT5が経過したら、処理はステップS208へと進む。
ステップS208においては、制御装置8は、凍結融解回数をカウントするカウンタ変数iの値に1を加算する。そして、続くステップS209において、制御装置8は、凍結融解回数をカウントするカウンタ変数iが予め設定された回数N3以上になったか否かを判定する。この際の判定基準となる回数N3は、例えば3回である。凍結融解回数をカウントするカウンタ変数iが回数N3以上でない場合には、処理はステップS202へと戻り、給水タンク12の設定温度を交互に第2温度θt3と第4温度θt4とにする制御を継続する。一方、凍結融解回数をカウントするカウンタ変数iが回数N3以上である場合には、処理は前述したステップS127へと進み、給水タンク12の設定温度を交互に第2温度θt3と第4温度θt4とにする制御を終了する。
以上のように構成された製氷装置及び冷凍冷蔵庫1においても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。さらに、水を補給することなく製氷を続けることで給水タンク12内が空となり、給水タンク12の水量不足状態が継続している場合に、給水タンク12内に残存する少量の水の凍結・融解を繰り返すことで、残存する水に含まれる微生物等を死滅させることでできるため、微生物の繁殖をより効果的に抑制し、給水タンク12内の衛生状態悪化をさらに抑制できる。
実施の形態3.
図12から図14を参照しながら、本開示の実施の形態3について説明する。図12は製氷装置を備えた冷凍冷蔵庫の要部の構成を示す断面図である。図13は製氷装置を備えた冷凍冷蔵庫の制御系統の構成を示すブロック図である。そして、図14は製氷装置を備えた冷凍冷蔵庫の動作の一例を示すフロー図である。
ここで説明する実施の形態3は、前述した実施の形態1又は実施の形態2の構成において、給水タンクの水量不足状態が継続している場合に、給水タンクに紫外光を照射するようにしたものである。以下、この実施の形態3に係る製氷装置及び冷凍冷蔵庫について、実施の形態1の構成を元にした場合を例に挙げ、実施の形態1との相違点を中心に説明する。説明を省略した構成については実施の形態1又は実施の形態2と基本的に同様である。
この実施の形態に係る製氷装置を備えた冷凍冷蔵庫1は、図12に示すように、冷蔵室100内の給水タンク12が収容される最下段区画に、UV-LED23が設けられている。図示の構成例では、UV-LED23は、冷蔵室100の最下段区画の底面部分に設けられている。そして、冷蔵室100の最下段区画内の適切な位置に給水タンク12が収容されると、UV-LED23が給水タンク12の下方に配置されるようになっている。この状態でUV-LED23を点灯させると、UV-LED23から給水タンク12内に紫外光が照射される。この実施の形態のUV-LED23は、給水タンク12に紫外光を照射する紫外光照射手段である。この実施の形態においては、図11に示すように、制御手段である制御装置8は、実施の形態1で説明した各種のアクチュエータに加えて、UV-LED23の動作も制御する。
この実施の形態においては、制御装置8は、前述の水量不足状態が継続している場合に、UV-LED23を点灯させて、UV-LED23から給水タンク12に紫外光を照射させる。すなわち、紫外光照射手段であるUV-LED23は、水量不足状態が継続している場合に給水タンク12に紫外光を照射する。
実施の形態1で前述した水量不足検知手段は、例えば2時間毎に水量不足状態か否かの検知を行う。そして、制御装置8は、水量不足検知手段が例えば12回以上連続して水量不足状態を検知した場合に、水量不足状態が継続していると判定する。この実施の形態においては、制御装置8は、水量不足状態が継続していると判定した場合に制御装置8は、前述の水量不足状態が継続している場合に、UV-LED23を点灯させて、UV-LED23から給水タンク12に紫外光を照射させる。
UV-LED23から紫外光を給水タンク12内に照射することで、給水タンク12内での微生物の増殖を抑制できる。なお、UV-LED23から照射する紫外光は、315~380nmにピーク波長をもつものにするとよい。比較的波長の長い領域の紫外光を用いることにより、庫内の樹脂製部品や食品の包装材等が照射された紫外光により劣化することを抑制できる。
次に、図14のフロー図を参照しながら、この実施の形態に係る製氷装置の動作の一例を説明する。この図14に示すのは、実施の形態1の図6のフロー図におけるステップS124からステップS129の処理に相当する部分である。この実施の形態においては、図6のステップS124からステップS129の処理に代えて、図14のステップS124からステップS128及びS301からS305の処理を行う。これら以外の処理、すなわち、実施の形態1で説明した図5のステップS101からステップS108、図6のステップS109からS115、及び、図7のステップS116からステップS123の処理については、ここで説明するこの実施の形態の動作例でも踏襲される。
この実施の形態においては、図6のステップS109の処理において給水開始時と給水終了時の製氷皿11の温度の差θ1-θ0が温度差Δθd以上でない場合、処理は図11のステップS124へと進む。ステップS124では、制御装置8は、給水タンク12内に「水なし」と判定する。すなわち、前述の水量不足検知手段が水量不足状態を検知する。水量不足状態が検知された場合、まず、ステップS125で、制御装置8は、水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nの値に1を加算する。
そして、続くステップS126で、制御装置8は、水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nが予め設定された回数N1以上になったか否かを判定する。この際の判定基準となる回数N1は、前述したように例えば12回である。水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nが回数N1以上でない場合には、処理はステップS127へと進む。ステップS127においては、制御装置8は、水量不足状態が検知されてからの経過時間をカウントするタイマー変数tを0にリセットして、タイマーによる計時を開始する。ステップS127の後、処理はステップS128へと進む。
ステップS128においては、制御装置8は、タイマー変数tが予め設定されたΔT3に達したか否かを判定する。ΔT3は、前述した一定時間であり例えば2時間である。タイマー変数tがΔT3に達していない、すなわち、最後に水量不足状態が検知されてからΔT3が経過していない場合は、ΔT3が経過するまで、このステップS128の判定を繰り返す。そして、最後に水量不足状態が検知されてからΔT3が経過したら、処理は図5のステップS103へと戻り、給水動作を開始する。
一方、ステップS126で水量不足状態が検知された回数のカウンタ変数nが回数N1以上である場合には、処理はステップS301へと進む。ステップS301においては、制御装置8は、給水タンク12の設定温度θtを第2温度θt1に設定する。この実施の形態の第2温度θt1は、前述した実施の形態1と同様に例えば0℃である。ステップS301の後は、処理はステップS302へと進む。
ステップS302においては、制御装置8は、UV-LED23を点灯させる。これにより、UV-LED23から給水タンク12に紫外光が照射される。続くステップS303において、制御装置8は、紫外光の照射を開始してからの経過時間をカウントするタイマー変数tを0にリセットして、タイマーによる計時を開始する。ステップS303の後、処理はステップS304へと進む。
ステップS204においては、制御装置8は、タイマー変数tが予め設定されたΔT6に達したか否かを判定する。ΔT6は、例えば1時間である。タイマー変数tがΔT6に達していない、すなわち、給水タンク12への紫外光の照射を開始してからΔT6が経過していない場合は、ΔT6が経過するまで、このステップS304の判定を繰り返す。そして、給水タンク12への紫外光の照射を開始してからΔT6が経過したら、処理はステップS305へと進む。
ステップS305においては、制御装置8は、UV-LED23を消灯させる。これにより、UV-LED23から給水タンク12への紫外光の照射が停止される。ステップS305の後、処理は前述したステップS127へと進む。
以上のように構成された製氷装置及び冷凍冷蔵庫においても、実施の形態1又は実施の形態2と同様の効果を奏することができる。さらに、水を補給することなく製氷を続けることで給水タンク12内が空となり、給水タンク12の水量不足状態が継続している場合に、給水タンク12内にUV-LED23から紫外光を照射することで、残存する少量の水に含まれる微生物の繁殖をより効果的に抑制し、給水タンク12内の衛生状態悪化をさらに抑制できる。