以下、図面を参照しながら、本発明に係るインクジェットプリンタ(以下、プリンタという。)の実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
図1は、本実施形態に係るプリンタ10の正面図である。以下の説明において、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、プリンタ10を正面から見たときの前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図面中の符号Yは主走査方向を示し、図面中の符号X(図2参照)は副走査方向を示している。本実施形態では、主走査方向Yは左右方向である。副走査方向Xは、前後方向であり、平面視において主走査方向Yと直交する方向である。副走査方向Xは第1の方向の一例である。主走査方向Yは第2の方向の一例である。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
図1に示すように、プリンタ10は、記録媒体5に印刷を行う。記録媒体5は、例えば、記録紙である。ただし、記録媒体5は、記録紙に限定されない。記録媒体5は、普通紙やインクジェット用印刷紙等の紙類以外に、ポリ塩化ビニルやポリエステル等の樹脂製のシートやフィルム、織布や不織布等の布帛、その他の媒体であってもよい。
図1に示すように、プリンタ10は、プリンタ本体10Aと、プラテン13と、搬送機構20と、ガイドレール15と、キャリッジ17と、ヘッド移動機構30と、インクヘッド40(図2参照)と、光照射装置38と、クリーニングユニット45と、清掃部材180と、制御装置200と、を備えている。
プリンタ本体10Aは、主走査方向Yに延びたケーシングを有している。プラテン13には、記録媒体5が載置される。プラテン13に記録媒体5が載置された状態で、プラテン13上で記録媒体5への印刷が行われる。プラテン13は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がったものである。プラテン13は、載置台の一例である。
搬送機構20は、プラテン13に載置された記録媒体5を副走査方向Xに搬送する。搬送機構20の構成は特に限定されない。本実施形態では、搬送機構20は、ピンチローラ21と、グリットローラ22と、フィードモータ23とを備えている。ピンチローラ21は、プラテン13の上方かつガイドレール15の下方に配置され、記録媒体5を上から押さえ付けるものである。グリットローラ22は、上部がプラテン13から上方に露出した状態で、プラテン13に設けられている。グリットローラ22は、ピンチローラ21と対向している。なお、ピンチローラ21およびグリットローラ22のそれぞれの設置位置および数は特に限定されない。本実施形態では、図1に示すように、ピンチローラ21およびグリットローラ22は、プラテン13の左端部および右端部にそれぞれ配置されている。
ここでは、グリットローラ22には、フィードモータ23が接続されている。ピンチローラ21とグリットローラ22との間に記録媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ23が駆動すると、グリットローラ22が回転する。これにより、記録媒体5は、副走査方向Xに搬送される。フィードモータ23は制御装置200に制御される。
ガイドレール15は、プラテン13の上方に配置されている。ガイドレール15は、プラテン13と平行に配置され、主走査方向Yに延びている。ガイドレール15には、キャリッジ17が係合している。キャリッジ17は、ガイドレール15に摺動可能に設けられている。
ヘッド移動機構30は、キャリッジ17およびインクヘッド40(図2参照)および光照射装置38を主走査方向Yに移動させる機構である。なお、ヘッド移動機構30の構成は特に限定されない。本実施形態では、ヘッド移動機構30は、左側のプーリ31aと、右側のプーリ31bと、ベルト32と、キャリッジモータ33とを備えている。左側のプーリ31aは、ガイドレール15の左端部の近傍に設けられている。右側のプーリ31bは、ガイドレール15の右端部の近傍に設けられている。ベルト32は、例えば無端状であり、左側のプーリ31aと右側のプーリ31bとに巻き掛けられている。ベルト32には、キャリッジ17が取り付け固定されている。
右側のプーリ31bには、キャリッジモータ33が接続されている。キャリッジモータ33が駆動することで、右側のプーリ31bが回転し、ベルト32が左側のプーリ31aおよび右側のプーリ31bの間で走行する。このことで、キャリッジ17およびインクヘッド40および光照射装置38および清掃部材180は、ガイドレール15に沿って主走査方向Yに移動する。キャリッジモータ33は制御装置200に制御される。
図2に示すように、インクヘッド40は、キャリッジ17に搭載されている。インクヘッド40は、キャリッジ17に搭載されたケース18(図1参照)に収容されている。インクヘッド40は、第1インクヘッド40Aと、第2インクヘッド40Bと、第3インクヘッド40Cと、第4インクヘッド40Dとを含む。第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dは、副走査方向Xの長さが主走査方向Yの長さよりも長い形状に形成されている。第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dは、同じ形状かつ同じ大きさに形成されている。第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dは、主走査方向Yに等間隔に並んでいる。インクヘッド40は、複数のノズル41が副走査方向Xに並ぶ第1ノズル列42と、第1ノズル列42の側方に位置しかつ複数のノズル41が副走査方向Xに並ぶ第2ノズル列43と、複数のノズル41が形成されたノズル面44を備えている。ノズル面44は、ケース18から外部に露出している。ここでは、第2ノズル列43は、第1ノズル列42の右方に位置する。ノズル41から記録媒体5に向けてインク(例えば光硬化性インク)が吐出される。ノズル41内は、負圧(大気圧より低い圧力)に設定されている。本実施形態では、プリンタ10は、4つのインクヘッド40A~40Dを備えているが、数は特に限定されない。また、インクヘッド40は、それぞれ2つのノズル列を備えているが、1つのノズル列または3つ以上のノズル列を備えていてもよい。
インクヘッド40のノズル41は、例えば、インクとして光硬化性インクを吐出する。光硬化性インクとしては、例えば、紫外線硬化インクが挙げられる。紫外線硬化インクは、紫外線が照射されると硬化する性質を有する。
図1に示すように、光照射装置38は、キャリッジ17の右側および左側にそれぞれ配置されている。図2に示すように、光照射装置38は、キャリッジ17の右側に配置された右側の光照射装置38Rとキャリッジ17の左側に配置された左側の光照射装置38Lとを含む。左側の光照射装置38Lは、第1インクヘッド40Aより左方に配置されている。右側の光照射装置38Rは、清掃部材180より右方に配置されている。光照射装置38は、記録媒体5に吐出された光硬化性インク(例えば紫外線硬化インク)に光(例えば紫外線)を照射する装置である。
清掃部材180は、後述するキャッピングユニット90のキャップ93(図14参照)と接触可能に設けられている。清掃部材180は、キャップ93と接触してキャップ93に付着したインクを取り除く。清掃部材180は、後述するワイピングユニット60のワイパー64(図3参照)と接触可能に設けられていてもよい。清掃部材180は、ワイパー64と接触してワイパー64に付着したインクを取り除く。清掃部材180は、可撓性を有する材料、例えば、樹脂材料や不織布等から形成されている。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。清掃部材180は、キャップ93やワイパー64に付着したインクを吸収可能に構成されている。清掃部材180は、例えば、連続発泡構造を有しかつポリオレフィン樹脂から形成されている。清掃部材180は、例えば、平面視で矩形状に形成されている。清掃部材180は、平面視でキャップ93の外形(即ちノズル面44と接触する部分)より大きく形成されている。
図2に示すように、清掃部材180は、キャリッジ17に搭載されている。清掃部材180は、キャリッジ17に設けられたホルダー17Hに着脱自在に設けられている。清掃部材180は、インクヘッド40の右方に配置されている。より詳細には、清掃部材180は、第4インクヘッド40Dの右方かつ右側の光照射装置38Rの左方に配置されている。清掃部材180は、ケース18の外方に設けられている。なお、本実施形態では、清掃部材180は、清掃部材180の主走査方向Yの中心が第1インクヘッド40Aの主走査方向Yの中心と第2インクヘッド40Bの主走査方向Yの中心との距離の整数倍(例えば1倍)だけ第4インクヘッド40Dの主走査方向Yの中心から右方に離れた位置に配置されている。図23Aに示すように、本実施形態では、第1インクヘッド40Aの主走査方向Yの中心と第2インクヘッド40Bの主走査方向Yの中心との距離を距離Pとしたとき、清掃部材180の主走査方向Yの中心と第4インクヘッド40Dの主走査方向Yの中心との距離はPである。清掃部材180の下端180B(図23A参照)は、ノズル面44より上方に位置する。なお、清掃部材180の下端180Bは、ノズル面44と同じ高さであってもよい。清掃部材180の上端180T(図23A参照)は、例えば、インクヘッド40の図示しないダンパー(インクを一時的に貯留する部材)より上方に位置する。
図1に示すように、クリーニングユニット45は、プラテン13の右方に配置されている。クリーニングユニット45は、キャリッジ17より下方に配置されている。図3に示すように、クリーニングユニット45は、フラッシングユニット50と、ワイピングユニット60と、キャッピングユニット90と、遮蔽ユニット130と、を備えている。主走査方向Yに関し、プラテン13、フラッシングユニット50、ワイピングユニット60、キャッピングユニット90の順に配置されている。ここでは、図4に示すように、フラッシングユニット50は、プラテン13(図1参照)の右方かつワイピングユニット60の左方に配置されている。ワイピングユニット60は、フラッシングユニット50の右方かつキャッピングユニット90の左方に配置されている。遮蔽ユニット130は、キャッピングユニット90に設けられている。なお、図4では、説明の便宜上、後述するアクチュエータ170(図3参照)を省略している。後述する図20、図23A~図23Fについても同様である。
フラッシングユニット50には、インクヘッド40のノズル41から所定量のインクが吐出される。ノズル41からフラッシングユニット50にインクが吐出される動作は、いわゆるフラッシング動作である。フラッシング動作は、例えば、印刷中に定期的(例えばキャリッジ17がプラテン13上を主走査方向Yに1往復する度)に行われる。図5に示すように、フラッシングユニット50は、本体ケース51と、フラッシングステージ52と、チューブ59と、を備えている。本体ケース51は、矩形状に形成されている。本体ケース51には、平面視で矩形状に形成された開口51Aが形成されている。本体ケース51は、開口51Aにおいてフラッシングステージ52を保持する。フラッシングステージ52は、ノズル41から吐出されたインクを受ける部材である。フラッシングステージ52は、着脱自在に設けられた網状の蓋体53と、ノズル41から吐出されたインクを受ける収容容器54と、ノズル41から吐出されたインクを吸収する吸収体55と、を備えている。蓋体53は、収容容器54に着脱自在に設けられている。吸収体55は、収容容器54に着脱自在に保持されている。吸収体55は、例えば、スポンジである。収容容器54の下部には、チューブ59の一端59Aが接続された排出口54Aが形成されている。チューブ59の他端59Bは、本体ケース51の右側壁51R(即ちワイピングユニット60と対向する壁)に形成された貫通孔51Hを介して本体ケース51の外部に露出している。チューブ59の他端59Bは、キャッピングユニット90の後述する回収容器82上に位置する。即ち、インクヘッド40のノズル41からフラッシングステージ52に吐出されたインクは、チューブ59を介して回収容器82に回収される。
次に、本実施形態に係るワイピングユニット60について説明する。プリンタ10による印刷が行われると、インクヘッド40のノズル面44には、インクおよび異物等の付着物が付着することがある。この付着物が付着した状態で印刷を行うと、記録媒体5が汚れてしまうことがあり、印刷品質が低下してしまう。そこで、ワイピングユニット60は、ノズル面44に付着したインク等の付着物を取り除く。また、キャッピングユニット90による後述する吸引動作が行われた後には、ノズル41のメニスカスが適切な状態でないことがあり得る。そこで、ワイピングユニット60は、ノズル面44をワイピングすることでノズル41のメニスカスを適切な状態に復帰させる。
ワイピングユニット60は、キャリッジ17より下方に配置されている。図3および図6に示すように、ワイピングユニット60は、本体ケース61と、ワイパーユニット63と、ベルト70と、第1回転軸73と、第2回転軸74と、ワイパークリーナ78と、クリーナホルダー80(図10参照)と、回収容器82とを備えている。
図3に示すように、本体ケース61は、底壁61Aと、底壁61Aから上方かつ副走査方向Xに延びる左壁61Bと、底壁61Aから上方かつ副走査方向Xに延びかつ左壁61Bより右方に配置された右壁61Cと、左壁61Bと右壁61Cとを接続する前壁61Dと、前壁61Dより後方に配置されかつ左壁61Bと右壁61Cとを接続する後壁61Eとを有する。本体ケース61は、平面視で矩形状に形成された開口61Hを有する。開口61Hは、左壁61B、右壁61C、前壁61Dおよび後壁61Eによって区画されている。図6に示すように、開口61Hは平面視で矩形状に形成されている。開口61Hは、上方に向けて開口する。また、本体ケース61は、前壁61Dの下方に開口61J(図5参照)を有している。開口61Jは、前方に向けて開口する。
図3に示すように、本体ケース61の左壁61Bおよび右壁61Cには、それぞれガイド板62が設けられている。ガイド板62には、ワイパーユニット63の移動をガイドするガイド溝62Hが形成されている。図9に示すように、ガイド溝62Hは、長円形状に形成されている。
図6に示すように、第1回転軸73および第2回転軸74は、主走査方向Yに延びる。第1回転軸73および第2回転軸74は、左壁61Bおよび右壁61Cおよびガイド板62に回転可能に支持されている。第2回転軸74は、第1回転軸73よりも前方に配置されている。第1回転軸73および第2回転軸74は、平行に配置されている。第1回転軸73および第2回転軸74の底壁61Aからの高さは同じである。図9に示すように、本実施形態では、第1回転軸73および第2回転軸74は、右方から左方を見たときに時計回り(図9の矢印R1の方向)に回転するように構成されている。なお、図9では、説明の便宜上、ワイピングユニット60の右壁61Cおよび右壁61Cに設けられたガイド板62を省略している。後述する図12および図13についても同様である。
図6に示すように、ベルト70は、第1回転軸73および第2回転軸74に巻き掛けられている。ベルト70は、無端状に形成されている。ベルト70は、第1回転軸73および第2回転軸74に巻き掛けられた第1ベルト71および第2ベルト72を含む。第1ベルト71および第2ベルト72は、無端状に形成されている。第2ベルト72は、第1ベルト71より右方に配置されている。第2ベルト72は、主走査方向Yに関して第1ベルト71から離間して配置されている。本実施形態では、第1ベルト71および第2ベルト72は、第1回転軸73および第2回転軸74に設けられたベルトギア75(図5参照)を介して第1回転軸73および第2回転軸74に巻き掛けられている。本実施形態では、後述するアクチュエータ170(図3参照)によって第1回転軸73が回転すると、第1ベルト71および第2ベルト72が第1回転軸73および第2回転軸74の間で走行する。
図3に示すように、ワイパーユニット63は、主走査方向Yに延びるワイパー64と、ワイパー64を保持するワイパーホルダー65とを有している。ワイパー64は、インクヘッド40のノズル面44をワイピングする。ワイパー64は、可撓性を有する材料、例えばゴムから形成されている。ワイパー64は、平板状の部材である。図7および図8に示すように、ワイパーホルダー65は、ワイパー64を保持する第1ホルダー66と、第1ホルダー66を保持する第2ホルダー67とを有する。第1ホルダー66は、上下方向に貫通しかつワイパー64を保持するケース部66Aと、ケース部66Aの内壁に設けられかつワイパー64に形成された貫通孔64Hに挿入されてワイパー64と係合する係合爪66Bと、ケース部66Aの内壁に形成されかつ上下方向に延びる溝66Cと、ケース部66Aの外壁から突出するように設けられかつ第2ホルダー67に保持されるアーム部66Dとを有する。第2ホルダー67は、上下方向に貫通しかつ第1ホルダー66を保持するケース部67Aと、アーム部66Dと係合する係合突起67Bと、ケース部67Aの外壁に形成されかつガイド板62のガイド溝62H(図9参照)にはまり込むガイド突起67Cと、第1ベルト71に接続された第1ベルト接続部67Dと、第2ベルト72に接続された第2ベルト接続部67Eと、を有する。第1ベルト接続部67Dおよび第2ベルト接続部67Eは、ケース部67Aの下方に設けられている。第1ベルト接続部67Dおよび第2ベルト接続部67Eおよびケース部67Aは一体的に形成されている。第1ベルト接続部67Dおよび第2ベルト接続部67Eと、ケース部67Aとによって、第1ベルト71および第2ベルト72を挟み込む。
図3に示すように、ワイパー64は、ベルト70の外周面70Aから突出するように(外周面70Aから外周面70Aと交差する方向かつ外周面70Aから離れる方向に突出するように)ベルト70に設けられている。ワイパー64は、第1ベルト71の外周面71Aおよび第2ベルト72の外周面72Aから突出するように(外周面72Aから外周面72Aと交差する方向かつ外周面72Aから離れる方向に突出するように)第1ベルト71および第2ベルト72に設けられている。本実施形態では、ワイパー64は、ワイパーホルダー65を介して第1ベルト71および第2ベルト72に設けられている。図6に示すように、ワイパー64は、平面視で主走査方向Yの一方の端部から他方の端部に向けて傾斜している。例えば、ワイパー64が上方に向けて突出している場合には、ワイパー64は、平面視でワイパー64の左端から右端に向けて後方に傾斜している。即ち、ワイパー64の左端は右端よりも前方に位置する。なお、ワイパー64の左端は右端よりも後方に位置していてもよい。図9に示すように、本実施形態では、ワイパー64は、右方から左方を見たときに時計回り(図9の矢印R2の方向)に移動するように構成されている。即ち、ワイパー64が上方を向いている状態ではワイパー64は前方から後方に向けて移動し、かつ、ワイパー64が下方を向いている状態ではワイパー64は後方から前方に向けて移動する(図12参照)。なお、本実施形態では、ワイパー64は、ワイパー64の主走査方向Yの中心が後述する第1キャップユニット92Aの主走査方向Yの中心と第2キャップユニット92Bの主走査方向Yの中心との距離の整数倍(例えば2倍)だけ第1キャップユニット92Aの主走査方向Yの中心から左方に離れた位置に配置されている。図23Aに示すように、本実施形態では、第1キャップユニット92Aの主走査方向Yの中心と第2キャップユニット92Bの主走査方向Yの中心との距離を距離Pとしたとき、ワイパー64の主走査方向Yの中心と第1キャップユニット92Aの主走査方向Yの中心との距離は2Pである。
図6に示すように、ワイパーユニット63が第1ベルト71および第2ベルト72に取り付けられた状態において、第1ホルダー66の溝66Cは、平面視で第1ベルト71と第2ベルト72との間に位置する。ここでは、溝66Cは、第1ベルト71の右方かつ第2ベルト72の左方に位置する。これにより、ワイパー64に付着したインクが溝66Cを介して下方に落下するときに、第1ベルト71および第2ベルト72にインクが付着することを抑制することができる。
図9に示すように、クリーナホルダー80は、ワイパークリーナ78を着脱自在に保持する。クリーナホルダー80は、第1回転軸73および第2回転軸74より下方に配置されている。図6に示すように、クリーナホルダー80は、平面視で第2回転軸74と重なる。クリーナホルダー80は、例えば、樹脂材料から形成されている。図10に示すように、クリーナホルダー80は、ワイパークリーナ78を保持する本体部80Aと、本体部80Aから前方に向けて延びる一対の延伸部80Bとを有する。本体部80Aには、ワイパークリーナ78を傾いた状態で保持する凹部80C(図9参照)が形成されている。延伸部80Bには、本体ケース61の左壁61Bおよび右壁61Cに形成された係合穴61P(図3参照)に係合する係合突起80Pが形成されている。図9に示すように、クリーナホルダー80は、本体ケース61に形成された開口61J(図5も参照)を介して本体ケース61に着脱自在に設けられている。クリーナホルダー80を開口61Jに挿入すると、クリーナホルダー80は回収容器82に接触する位置で固定される。このとき、クリーナホルダー80の係合突起80Pは、係合穴61Pに係合する。また、一対の延伸部80Bを互いに近づく方に移動させることで、係合突起80Pと係合穴61Pとの係合が解除されるので、クリーナホルダー80を本体ケース61から取り外すことができる。
図9に示すように、ワイパークリーナ78は、第1回転軸73および第2回転軸74より下方に配置されている。図6に示すように、ワイパークリーナ78は、平面視で第2回転軸74と重なる。ワイパークリーナ78は、ワイパー64と接触してワイパー64に付着したインクを取り除く。ワイパークリーナ78は、可撓性を有する材料、例えば、樹脂材料や不織布等から形成されている。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。ワイパークリーナ78は、インクを吸収するように構成されている。ワイパークリーナ78は、例えば、連続発泡構造を有しかつポリオレフィン樹脂から形成されている。本実施形態では、ワイパークリーナ78は、前端78Fが後端78Rより上方に位置するように、傾斜して配置されている。
回収容器82は、ワイパー64から流れ落ちるインクを回収する部材である。図9に示すように、回収容器82は、本体ケース61内に配置されている。回収容器82は、底壁61Aに固定されている。回収容器82は、第1回転軸73および第2回転軸74より下方に配置されている。回収容器82は、クリーナホルダー80より後方に配置されている。図6に示すように、回収容器82は、平面視で第1回転軸73と重なる。回収容器82には、廃液タンク99(図1参照)に接続された排出口82Dが形成されている。回収容器82の上面82Aは、排出口82Dに向けて傾斜している。
次に、ワイパー64の動きについて説明する。図9に示すように、ワイパー64は、インクヘッド40のノズル面44をワイピングするワイピング位置WWと、ワイパー64に付着したインクを回収する回収位置WRと、ワイパー64に付着したインクを取り除くクリーニング位置WCと、第1退避位置WP1と、第2退避位置WP2との間で移動するように構成されている。第1退避位置WP1は、クリーニング位置WCとワイピング位置WWとの間に位置する。第2退避位置WP2は、ワイピング位置WWと回収位置WRとの間に位置する。本実施形態のワイパー64は、上述したように図9の矢印R2の方向に移動する。
図11に示すように、ワイパー64は、印刷中やノズル面44をワイピングする前には第1退避位置WP1に位置する。第1退避位置WP1に位置するワイパー64は、ワイパークリーナ78を通過しているため、ワイパー64からインクが除去されている。なお、図11に示すワイパー64の位置は、初期位置WSである。ワイパー64が初期位置WSに位置するとき、ワイパー64は、第1回転軸73および第2回転軸74より上方に位置する。即ち、ワイパー64が上方に向けて突出している。ワイパー64は、印刷中には初期位置WSに位置するように構成されている。なお、ワイパー64は、印刷中には図13に示す第2退避位置WP2に位置するように構成されていてもよい。例えば、ワイパー64が初期位置WSに位置するときにキャリッジ17は主走査方向Yに移動する。
図9に示すように、ワイピング位置WWに位置するワイパー64は上方を向いている。ワイピング位置WWでは、ワイパー64は前方から後方に向けて移動する。ワイパー64がノズル面44をワイピングすることによって、ノズル面44に付着していたインクはワイパー64に移動する。このとき、ワイパー64は上方を向いているため、移動したインクの一部は重力によって下方へと流れる。下方へと流れたインクは第1ホルダー66に設けられた溝66C(図6参照)を介して下方へと落下し、回収容器82に回収される。
図12に示すように、回収位置WRに位置するワイパー64は下方を向いている。回収位置WRでは、ワイパー64は後方から前方に向けて移動する。このとき、ワイパー64は、下方を向いているため、ワイパー64に付着したインクの大部分が重力によって回収容器82に落下する。
図13に示すように、クリーニング位置WCではワイパー64は、ワイパークリーナ78と接触する。即ち、ワイパー64はワイパークリーナ78と接触しながら移動するため、ワイパー64に付着していたインクはワイパークリーナ78に取り除かれる。なお、ワイパー64が回収位置WRの後にクリーニング位置WCに移動するため、ワイパー64をワイパークリーナ78に接触させる前に、ワイパー64に付着したインクの大部分は回収容器82に回収される。これにより、ワイパークリーナ78で取り除くインクの量は低減されるため、ワイパークリーナ78の交換の頻度を下げることができる。
なお、ワイパー64が第2退避位置WP2に位置するときにも、ワイパー64に付着したインクの一部は重力によって回収容器82に落下する。
次に、本実施形態に係るキャッピングユニット90について説明する。キャッピングユニット90は、後述するキャップ93をインクヘッド40に取り付けることによってインクヘッド40のノズル41の乾燥を抑制する。また、キャッピングユニット90は、ノズル41の目詰まりを抑制するために、後述する吸引ポンプ98によってノズル41内のインクを強制的にキャップ93内に排出させる。
キャッピングユニット90は、キャリッジ17より下方に配置されている。図14に示すように、キャッピングユニット90は、インクヘッド40に着脱可能に形成されたキャップ93を有するキャップユニット92と、吸引ポンプ98(図1参照)と、キャップ93を移動させる移動機構100とを備えている。
キャップユニット92は、インクヘッド40のノズル41に付着したインクが硬化してノズル41が目詰まりすることを抑制する部材である。図14に示すように、キャップユニット92は、移動機構100の後述するステージ102に保持されている。キャップユニット92は、第1キャップユニット92Aと、第2キャップユニット92Bと、第3キャップユニット92Cと、第4キャップユニット92Dと、を含む。第1キャップユニット92A~第4キャップユニット92Dは、主走査方向Yに並んでいる。第1キャップユニット92A~第4キャップユニット92Dは、主走査方向Yに等間隔に並んでいる。第1キャップユニット92A~第4キャップユニット92Dは、同じ構成である。
図14に示すように、キャップユニット92は、キャップ93と、吸収体94と、ケース95とを備えている。キャップ93は、副走査方向Xの長さが主走査方向Yの長さよりも長い形状に形成されている。キャップ93は、上方に向けて開口している。キャップ93は、ケース95の内部に配置されている。キャップ93は、ノズル面44に接触可能にケース95に設けられている。キャップ93がノズル面44に接触したとき、ノズル面44との間に密閉空間が形成される。キャップ93の上端93T(図15参照)が最初にノズル面44に接触する。キャップ93は、印刷待機時において、第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dにそれぞれ装着され、ノズル面44をそれぞれ覆う。キャップ93は、可撓性を有している。キャップ93は、例えばゴムによって形成されている。キャップ93は、平面視で略矩形状に形成されている。
図14に示すように、吸収体94は、キャップ93の内部に配置されている。吸収体94は、キャップ93の上端93T(図15参照)より下方に配置されている。即ち、吸収体94はキャップ93から外部に突出しておらず、吸収体94はノズル面44とは接触しない。吸収体94は、インクを吸収可能な多孔質の材料である。吸収体94としては、例えば、スポンジが挙げられる。
図15に示すように、ケース95の下部には、インク流路95Aが設けられている。インク流路95Aは、キャップ93を貫通し吸収体94と連通している。即ち、キャップ93とノズル面44との間に密閉空間が形成されたときには、インク流路95Aは密閉空間と連通する。
移動機構100は、キャップ93を支持している。移動機構100は、キャップ93をインクヘッド40に対して着脱可能なように移動させる機構である。本実施形態では、移動機構100は、キャップ93を上下方向に移動させるものである。移動機構100は、キャップ93を上方に移動させることによって、キャップ93を第1位置CP(図18参照)に移動させる。ここで、第1位置CPとは、キャップ93がノズル面44または清掃部材180と接触する位置である。第1位置CPにおいてキャップ93がノズル面44と接触することによってキャップ93はノズル面44を覆う。これにより、キャップ93は、インクヘッド40に装着される。第1位置CPにおいてキャップ93が清掃部材180と接触することによってキャップ93に付着したインクが取り除かれる。移動機構100は、印刷を開始するときやノズル面44をワイパー64によってワイピングするとき等に、キャップ93を下方に移動させることによって、キャップ93を第1位置CP(図18参照)から第2位置DP(図15参照)に移動させる。ここで、第2位置DPとは、キャップ93がノズル面44および清掃部材180から離隔した位置である。キャップ93がインクヘッド40に取り付けられた状態でキャップ93が第2位置DPに移動することによって、キャップ93は、インクヘッド40から取り外される。
図15に示すように、移動機構100は、キャップ93を保持するステージ102と、ステージ102を支持する支持台104と、主走査方向Yに関して支持台104の外側に配置された一対の仕切り壁106L、106R(図14参照)と、ステージ102を下方に向けて付勢する第1付勢部材110と、キャップ93を上方に向けて付勢する第2付勢部材112と、ステージ102を上方に押圧可能な複数のカム120(図17も参照)と、カム120を保持するカム軸125と、を備えている。なお、図15では、説明の便宜上、移動機構100の仕切り壁106Rを省略している。後述する図18についても同様である。
図15に示すように、ステージ102は、キャップユニット92を保持する。ステージ102は、キャップユニット92のケース95を介してキャップ93を保持する。図16に示すように、ステージ102は、平板状のベース部102Aと、ベース部102Aの前端から上方に延びる第1ストッパー102Bと、ベース部102Aの後端から上方に延びる第2ストッパー102Cと、第2付勢部材112(図15参照)を固定する固定部102Dとを有する。ベース部102Aは、平面視で略矩形状に形成されている。図15に示すように、第1ストッパー102Bは、キャップユニット92のケース95の前端95Fの上方に位置し、キャップユニット92の上方への移動を規制する規制部102BSを有する。第2ストッパー102Cは、キャップユニット92のケース95の後端95Rの上方に位置し、ケース95に形成された貫通孔95Hに挿入される棒部材102CSを有する。第2ストッパー102Cは、キャップユニット92の上下方向の移動をガイドすると共に、キャップユニット92の上方への移動を規制する。固定部102Dは、ベース部102Aの表面に形成されている。固定部102Dは、上方に向けて突出している。固定部102Dは、円柱状に形成されている。本実施形態では、2つの第1ストッパー102Bおよび1つの第2ストッパー102Cおよび2つの第2付勢部材112が、1つのキャップユニット92を保持している。
図16に示すように、支持台104は、ステージ102を支持する。図17に示すように、支持台104には、ステージ102の上下方向の移動をガイドする複数のガイドピラー104Aが設けられている。ガイドピラー104Aは上下方向に延びる。支持台104には、カム120が収納される収納凹部104Bが形成されている。支持台104には、第1付勢部材110の下端を保持する保持部104Cが設けられている。支持台104には、ステージ102の下面を下方から支持する支持面104Dが形成されている。支持台104の下部には、金属製の支持板105が設けられている。
図3に示すように、仕切り壁106Lは、支持台104より左方に配置されている。仕切り壁106Rは、支持台104より右方に配置されている。仕切り壁106L、106Rは、前後方向かつ上下方向に延びる。仕切り壁106L、106Rは、支持板105に接続されている。なお、本実施形態では、仕切り壁106Lとワイピングユニット60の底壁61Aとは一体的に形成されている。
図15に示すように、第1付勢部材110は、ステージ102と支持台104との間に配置されている。第1付勢部材110の上端は、ステージ102のベース部102Aの下面に接続されている。第1付勢部材110の下端は、支持台104の保持部104C(図17参照)に接続されている。第1付勢部材110は、ステージ102を下方に向けて付勢する。図17に示すように、本実施形態では、移動機構100は、8つの第1付勢部材110を備えている。カム軸125より前方に4つの第1付勢部材110が設けられ、カム軸125より後方に4つの第1付勢部材110が設けられている。第1付勢部材110は、例えば、引張ばね(引張コイルばね)である。
図15に示すように、第2付勢部材112は、キャップユニット92のケース95とステージ102との間に配置されている。第2付勢部材112の上端は、ケース95の下面に接続されている。第2付勢部材112の下端は、ステージ102のベース部102Aに形成された固定部102Dに嵌め込まれている。第2付勢部材112は、ケース95を上方に向けて付勢する。即ち、第2付勢部材112は、キャップ93を上方に向けて付勢する。本実施形態では、移動機構100は、8つの第2付勢部材112を備えている。1つのキャップユニット92に対して2つの第2付勢部材112が設けられている。第2付勢部材112は、例えば、圧縮ばね(圧縮コイルばね)である。
図15に示すように、カム120は、ステージ102の下方に配置されている。カム120は、ステージ102のベース部102Aの裏面に設けられた凸部102Eと接触している。カム120がカム軸125と共に回転することによって、ステージ102が上方に押圧される。本実施形態では、移動機構100は、4つのカム120を備えている。4つのカム120は同じ角度でカム軸125に固定されている。
図17に示すように、カム軸125は、主走査方向Yに延びる。カム軸125は、ステージ102の下方に配置されている。カム軸125は、支持台104の前後方向の略中央に配置されている。カム軸125は、仕切り壁106L、106R(図4参照)に回転可能に支持されている。カム軸125が回転することによって、カム120も回転する。図15に示すように、本実施形態では、カム軸125は、右方から左方を見たときに反時計回り(図15の矢印S1の方向)に回転するように構成されている。
図1に示すように、吸引ポンプ98はプリンタ本体10Aに設けられている。吸引ポンプ98は、インクヘッド40にキャップ93が装着されている状態において、密閉空間内の流体(例えばインク)を吸引してノズル41からインクを吐出させる吸引動作を行う。吸引ポンプ98を駆動することにより、密閉空間内は、大気圧より低い圧力となる。この結果、インクヘッド40のノズル41からインクが強制的に排出される。吸引ポンプ98の吸引口は、可撓性を有するチューブ(図示せず)を介してキャップユニット92のケース95に設けられたインク流路95A(図15参照)に接続されている。吸引ポンプ98の排出口は、廃液タンク99(図1参照)に接続されている。吸引ポンプ98に吸引された密閉空間内の流体は、廃液タンク99に貯留される。上記吸引動作は、ノズル41の吐出不良を解消させる作業であり、インクヘッド40のノズル41の詰まりを予防するための作業である。また、吸引ポンプ98は、第1位置CP(図22参照)においてキャップ93が清掃部材180と接触しているときに、清掃部材180とキャップ93との間に形成された閉空間内の流体を吸引するように構成されていてもよい。吸引ポンプ98を駆動することにより、清掃部材180に吸収されたインクがキャップ93に排出されて、廃液タンク99に貯留される。上記吸引動作は、清掃部材180に吸収されたインクを取り除いて、清掃部材180のインク吸収力(インク吸収性能)を回復する作業である。なお、吸引ポンプ98は、第1位置CPにおいてキャップ93が清掃部材180と接触する度に(即ち毎回)駆動するように構成されていてもよいし、所定の回数(例えば10回~20回程度)ごとに駆動するように構成されていてもよい。
次に、キャップ93の動きについて説明する。キャップ93は、第1位置CP(図18参照)と第2位置DP(図15参照)との間で移動するように構成されている。キャップ93は、上下方向に移動する。
図15に示すように、カム120がステージ102を上方に押し上げていないとき、ステージ102は第1付勢部材110によって下方に向けて付勢されている(下方に引っ張られている)。このため、ステージ102は、支持台104の支持面104Dに接触している。このとき、キャップ93は、ステージ102に設けられた第2付勢部材112によって上方に向けて付勢されているが、ステージ102が支持面104Dに接触している状態では、キャップ93とインクヘッド40のノズル面44との間には大きな空間が形成される。即ち、キャップ93は第2位置DPに位置する。例えば、キャップ93が第2位置DPに位置するときにキャリッジ17は主走査方向Yに移動する。
一方、図18に示すように、カム軸125が図18の矢印S1の方向に回転すると、カム軸125に設けられたカム120も同様に矢印S1の方向に回転する。そして、第1付勢部材110の付勢力に抗して、カム120がステージ102を上方に押し上げる。これにより、キャップ93の上方にインクヘッド40が位置するときには、キャップ93がインクヘッド40に取り付けられて、キャップ93とノズル面44との間に密閉空間が形成される。即ち、キャップ93は第1位置CPに位置する。このとき、ステージ102とノズル面44との上下方向の距離は、第2位置DPに位置するときに比べて狭くなっているため、ケース95は、ステージ102に設けられた第2付勢部材112によって上方に向けて付勢される。これにより、キャップ93とノズル面44との接触がより強固になっている。なお、図18に示すカム120の状態から、カム軸125が図18の矢印S1の方向に更に回転すると、カム120によるステージ102の押圧力は弱まり、第1付勢部材110によってステージ102は、支持台104の支持面104Dに接触する位置に戻る。このようにして、インクヘッド40からキャップ93が取り外される。
また、図22に示すように、キャップ93の上方に清掃部材180が位置するときには、カム120が矢印S1の方向に回転すると、キャップ93が清掃部材180に接触して、キャップ93と清掃部材180との間に閉空間が形成される。このとき、キャップ93の上端93Tに付着していたインクは、清掃部材180によって取り除かれる。なお、図22に示すカム120の状態から、カム軸125が図22の矢印S1の方向に更に回転すると、カム120によるステージ102の押圧力は弱まり、第1付勢部材110によってステージ102は、支持台104の支持面104Dに接触する位置に戻る。このようにして、清掃部材180からキャップ93が離れる。
次に、本実施形態に係る遮蔽ユニット130について説明する。遮蔽ユニット130は、印刷中等でキャップ93が第2位置DPに位置するときにキャップ93を覆い、キャップ93が第1位置CPに位置するときにキャップ93を露出させる部材である。図19に示すように、遮蔽ユニット130は、遮蔽部材132と、複数の回転軸140と、を備えている。
図19に示すように、回転軸140は、主走査方向Yに延びる。回転軸140は、仕切り壁106L、106Rに回転可能に支持されている。図15に示すように、本実施形態では、遮蔽ユニット130は、4つの回転軸140を有する。4つの回転軸140は、それぞれ互いに平行に配置されている。2つの回転軸140は、キャッピングユニット90より前方に位置し、2つの回転軸140は、キャッピングユニット90より後方に位置する。回転軸140には、径方向に延びる複数の突起142が設けられている。突起142は、回転軸140の右端および左端において、周方向に沿って形成されている。本実施形態では、回転軸140は、右方から左方を見たときに時計回り(図15の矢印T1の方向)に回転するように構成されている。
図19に示すように、遮蔽部材132は、平面視で一部がキャップ93の全体と重なる位置に移動可能に構成されている。ここで、キャップ93の全体とは、キャップ93のうち少なくともノズル面44を覆う部分(ノズル面44と接触する部分)の全体を意味する。遮蔽部材132は、回転軸140に巻き掛けられている。遮蔽部材132を構成する材料は特に限定されず、例えば、ゴム引布や、薄い金属板(例えばステンレス鋼)や、有色の樹脂フィルムから形成されている。遮蔽部材132は、遮蔽部134と、開口部136と、ベース部138とを含む。遮蔽部134は、平面視でキャップ93の全体と重なる位置に移動可能に構成されている。遮蔽部134は、キャップ93の全体を覆う。遮蔽部134は、矩形状に形成されている。遮蔽部134の前後方向の長さは、キャップ93の前後方向の長さより長い。遮蔽部134の前後方向の長さは、前側の回転軸140と後側の回転軸140との間隔より短い。遮蔽部134は、例えば、光照射装置38(図2参照)から光が照射されているときには、平面視でキャップ93の全体と重なる。開口部136では、平面視でキャップ93が露出する。開口部136は、遮蔽部134より大きい。ベース部138は、遮蔽部134に接続されている。ベース部138は、遮蔽部134の左端および右端にそれぞれ接続されている。ベース部138は、遮蔽部134と一体に形成されている。ベース部138は、無端状に形成されている。ベース部138は、回転軸140に巻き掛けられている。ベース部138には、周方向に沿って複数の孔138Hが形成されている。回転軸140の突起142は、ベース部138の孔138Hにはまり込む。本実施形態では、後述するアクチュエータ170(図3参照)によって複数の回転軸140のうちの1つの回転軸140が回転すると、遮蔽部材132が4つの回転軸140の間で走行する。
次に、遮蔽部材132の動きについて説明する。遮蔽部材132は、遮蔽部134が平面視でキャップ93の全体と重なる遮蔽位置EP(図15および図19参照)と、開口部136が平面視でキャップ93の全体と重なる露出位置FP(図18参照)との間で移動するように構成されている。遮蔽位置EPにおいて、遮蔽部134はキャップ93の上方に位置する。露出位置FPにおいて、開口部136はキャップ93の上端93Tよりも下方に位置する。遮蔽位置EPは第1位置の一例であり、露出位置FPは第2位置の一例である。遮蔽部材132は、回転軸140が図15の矢印T1の方向に回転することによって、矢印T2の方向に移動するように構成されている。遮蔽部材132は、遮蔽部134および開口部136がキャップ93の上方および下方および側方(ここでは前方および後方)を通過するように、キャップ93周りに移動可能に構成されている。遮蔽部材132は、キャッピングユニット90周りに移動可能に構成されている。本実施形態の遮蔽部材132は、平面視で遮蔽部134が副走査方向Xに移動するように、キャップ93(キャッピングユニット90)周りを移動(回転)する。
図3に示すように、クリーニングユニット45は、連動機構150と、連動機構150を駆動する1つのアクチュエータ170とを備えている。本実施形態の連動機構150は、ワイパー64の移動と、キャップ93の移動と、遮蔽部材132の移動とを連動させる。連動機構150は、ワイピングユニット60の第1回転軸73(図9参照)の回転と第2回転軸74(図9参照)の回転と、キャップ93の移動とを連動させる。即ち、連動機構150は、第1回転軸73の回転と第2回転軸74の回転と、移動機構100のカム軸125の回転とを連動させる。連動機構150は、キャップ93の移動と、遮蔽部材132の移動とを連動させる。即ち、連動機構150は、カム軸125の回転と回転軸140の回転とを連動させる。
図3に示すように、連動機構150は、アクチュエータ170に連結された第1ギア152と、第1ギア152と噛み合う第2ギア153Aと、第2ギア153Aと一体的に形成された第3ギア153Bと、第3ギア153Bと噛み合いかつ回転軸140に連結された第4ギア154(図20参照)と、第3ギア153Bと噛み合う第5ギア155Aと、第5ギア155Aと一体的に形成された第6ギア155Bと、第6ギア155Bと噛み合いかつカム軸125の右端に設けられた第7ギア156Rと、カム軸125の左端に設けられた第8ギア156L(図21参照)と、第8ギア156Lと噛み合う第9ギア157A(図21参照)と、第9ギア157Aと一体的に形成された第10ギア157B(図21参照)と、第10ギア157Bと噛み合う第11ギア158(図21参照)と、第11ギア158と噛み合いかつ第1回転軸73の右端に設けられた第12ギア159(図21参照)と、を有する。第1ギア152は駆動ギアの一例であり、第7ギア156Rは第1従動ギアの一例であり、第8ギア156Lは第2従動ギアの一例であり、第12ギア159は第3従動ギアの一例である。アクチュエータ170が駆動することによって、全てのギアが回転する。
第2ギア153A~第7ギア156Rは、移動機構100の仕切り壁106Rに設けられている。第1ギア152~第7ギア156Rは、仕切り壁106Rより右方に配置されている。第8ギア156L~第11ギア158は、移動機構100の仕切り壁106Lに設けられている。第8ギア156L~第12ギア159は、仕切り壁106Lより左方に配置されている。第8ギア156L~第12ギア159は、本体ケース61の右壁61Cより右方に配置されている。
アクチュエータ170は、仕切り壁106Rに設けられている。アクチュエータ170は、キャッピングユニット90より前方に配置されている。アクチュエータ170は、回転軸140より前方に配置されている。アクチュエータ170は、例えば、電動モータである。アクチュエータ170は、制御装置200によって制御される。アクチュエータ170は、連動機構150を介して回転軸140を回転させる。アクチュエータ170は、連動機構150を介してカム軸125を回転させる。アクチュエータ170は、連動機構150を介して第1回転軸73および第2回転軸74を回転させる。
次に、連動機構150によるワイパー64の動きとキャップ93の動きと遮蔽部材132の動きとについて説明する。上述したように1つのアクチュエータ170を駆動することによって、連動機構150は、ワイパー64を移動させる第1回転軸73を回転させ、かつ、キャップ93を上下方向に移動させる移動機構100のカム軸125を回転させ、かつ、遮蔽部材132を移動させる回転軸140を回転させる。
本実施形態では、カム軸125が1回転するときに、遮蔽部材132はキャッピングユニット90の周りを1周する。即ち、キャップ93が第2位置DPから第1位置CPに移動し、その後、第1位置CPから第2位置DPに戻るときに、遮蔽部材132は遮蔽位置EPから露出位置FPに移動し、その後、露出位置FPから遮蔽位置EPに移動する。図15に示すように、遮蔽部材132が遮蔽位置EPに位置するときには、キャップ93は第2位置DPに位置する。即ち、連動機構150は、遮蔽部135がキャップ93の上方に位置するときにキャップ93が第2位置DPに位置するように、回転軸140の回転とカム軸125の回転とを連動させる。また、図18に示すように、遮蔽部材132が露出位置FPに位置するときには、キャップ93は第1位置CPに位置する。即ち、連動機構150は、開口部136がキャップ93の上方に位置するときにキャップ93が第1位置CPに位置するように、回転軸140の回転とカム軸125の回転とを連動させる。このとき、キャップ93の上端93Tは遮蔽部材132より上方に位置する。即ち、移動機構100は、平面視で遮蔽部材132の開口部136を介してキャップ93が露出するとき、キャップ93の上端93Tを遮蔽部材132より上方に位置させる。
本実施形態では、カム軸125が1回転するときに、ワイパー64は初期位置WS(図11参照)から図9の矢印R2の方向に2周して、初期位置WSに戻る。連動機構150は、キャップ93が第2位置DPに位置するときに、ワイパー64がノズル面44をワイピングするように構成されている。即ち、ワイパー64が図9の矢印R2の方向に移動してインクヘッド40のノズル面44をワイピングするときには当然にカム軸125も回転するが、このときカム120はステージ102を上方に押圧していない。
図15に示すように、キャップユニット92が下方に移動して、キャップ93が下方に移動することによって、インクヘッド40からキャップ93が取り外される(図23A参照)。ノズル面44をワイパー64によってワイピングするときには、インクヘッド40からキャップ93が取り外された状態で、まずキャリッジ17を左方に距離Pだけ移動させる(図23B参照)。これにより、第4キャップユニット92Dのキャップ93(図14参照)の上方に清掃部材180が位置する。このときに、アクチュエータ170を駆動することによって、第4キャップユニット92Dのキャップ93が清掃部材180と接触する。これにより、第4キャップユニット92Dのキャップ93に付着していたインクが取り除かれる。
次に、キャリッジ17を図23Bの状態から左方にさらに距離Pだけ移動させる(図23C参照)。これにより、ワイパー64の上方に第1インクヘッド40Aが位置すると共に、第3キャップユニット92Cのキャップ93(図14参照)の上方に清掃部材180が位置する。このときに、アクチュエータ170を駆動することによって、ワイパー64が第1インクヘッド40Aのノズル面44をワイピングすると共に、第3キャップユニット92Cのキャップ93が清掃部材180と接触する。このように、第1インクヘッド40Aのノズル面44のワイピングと、第3キャップユニット92Cのキャップ93に付着していたインクの除去が同時に行われる。
次に、キャリッジ17を図23Cの状態から左方にさらに距離Pだけ移動させる(図23D参照)。これにより、ワイパー64の上方に第2インクヘッド40Bが位置すると共に、第2キャップユニット92Bのキャップ93(図14参照)の上方に清掃部材180が位置する。このときに、アクチュエータ170を駆動することによって、ワイパー64が第2インクヘッド40Bのノズル面44をワイピングすると共に、第2キャップユニット92Bのキャップ93が清掃部材180と接触する。このように、第2インクヘッド40Bのノズル面44のワイピングと、第2キャップユニット92Bのキャップ93に付着していたインクの除去が同時に行われる。
次に、キャリッジ17を図23Dの状態から左方にさらに距離Pだけ移動させる(図23E参照)。これにより、ワイパー64の上方に第3インクヘッド40Cが位置すると共に、第1キャップユニット92Aのキャップ93(図14参照)の上方に清掃部材180が位置する。このときに、アクチュエータ170を駆動することによって、ワイパー64が第3インクヘッド40Cのノズル面44をワイピングすると共に、第1キャップユニット92Aのキャップ93が清掃部材180と接触する。このように、第3インクヘッド40Cのノズル面44のワイピングと、第1キャップユニット92Aのキャップ93に付着していたインクの除去が同時に行われる。
次に、キャリッジ17を図23Eの状態から左方にさらに距離Pだけ移動させる(図23F参照)。これにより、ワイパー64の上方に第4インクヘッド40Dが位置する。このときに、アクチュエータ170を駆動することによって、ワイパー64が第4インクヘッド40Dのノズル面44をワイピングする。このようにして、第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dのノズル面のワイピングと、第1キャップユニット92A~第4キャップユニット92Dのキャップ93の清掃が行われる。なお、図示は省略するが、キャリッジ17を図23Fの状態から左方にさらに距離Pだけ移動させると、ワイパー64の上方に清掃部材180が位置する。このときに、アクチュエータ170を駆動することによって、ワイパー64が清掃部材180と接触する。これにより、ワイパー64に付着したインクが清掃部材180によって取り除かれる。上述した一連の動作において、キャリッジ17を左方に移動させるときには、インクヘッド40からキャップ93が取り外されている。即ち、キャップ93がインクヘッド40および清掃部材180から離隔した第2位置DPに位置するときに、キャリッジ17が左方(主走査方向Y)に移動する。また、第1位置CPにおいて清掃部材180とキャップ93とが接触しているときに、吸引ポンプ98を駆動することによって、清掃部材180のインクも取り除くことができる。また、図23A~図23Fでは、説明の便宜上、左側の光照射装置38Lおよび右側の光照射装置38Rを省略している。
連動機構150は、インクヘッド40のノズル41から記録媒体5にインクを吐出するとき(即ち印刷中)には、ワイパー64を初期位置WS(図11参照)に位置させるように構成されている。
本実施形態のプリンタ10は、キャップ93と接触してキャップ93に付着したインクを取り除く清掃部材180を備えている。清掃部材180はキャリッジ17に搭載されているため、清掃部材180を容易にキャップ93の上方に移動させることができる。そして、移動機構100は、キャップ93の上方に清掃部材180が位置する状態において、キャップ93およびキャリッジ17のいずれか一方を他方に対して相対的に移動させる。これにより、第1位置CPにおいてキャップ93が清掃部材180と接触してキャップ93に付着したインクが取り除かれる。このように、キャップ93の清掃を自動で行うことができ、キャップ93上でインクが硬化することが抑制される。
本実施形態のプリンタ10によると、第1位置CPにおいていずれか一つのキャップ93と清掃部材180とが接触するときに、ワイパー64はいずれか一つのインクヘッド40のノズル面44をワイピングするように構成されている。通常、インクヘッド40からキャップ93が取り外されて印刷を行う前には、ノズル面44をワイパー64によってワイピングする。本実施形態では、ノズル面44のワイピングと同時にキャップ93と清掃部材180とを接触させてキャップ93に付着したインクを取り除くことができるため、キャップ93の清掃に要する時間を別途設けなくてもよい。
本実施形態のプリンタ10によると、清掃部材180は、ワイパー64と接触可能に設けられている。これにより、ワイパー64に付着したインクを取り除くことができる。
本実施形態のプリンタ10は、ワイパー64の移動と、キャップ93の移動とを連動させる連動機構150と、連動機構150を駆動する1つのアクチュエータ170と、を備えている。このように、1つのアクチュエータ170に駆動される連動機構150によって、キャップ93の移動とワイパー64の移動とを連動させることができる。即ち、それぞれを独立して制御する場合に比べて、制御が容易になる。
本実施形態のプリンタ10によると、吸引ポンプ98は、第1位置CPにおいてキャップ93が清掃部材180と接触しているときに、清掃部材180とキャップ93との間に形成された閉空間内の流体を吸引するように構成されていてもよい。これにより、清掃部材180に付着したインクや吸収されたインクが吸引ポンプ98に吸引されるため、清掃部材180に残存するインクを低減することができる。即ち、清掃部材180の交換の頻度を低減することができる。
本実施形態のプリンタ10によると、清掃部材180の下端180Bは、ノズル面44より上方に位置する。これにより、清掃部材180が記録媒体5に接触することが抑制され、清掃部材180に付着したインクによって記録媒体5が汚れることが抑制される。
本実施形態のプリンタ10によると、清掃部材180は、キャップ93に付着したインクを吸収可能に構成されている。これにより、清掃部材180によってキャップ93に付着したインクをより確実に取り除くことができる。
本実施形態のプリンタ10は、キャリッジ17に搭載され、インクヘッド40を収容するケース18を備え、清掃部材180は、ケース18の外方に設けられている。これにより、清掃部材180を容易に交換することができる。
本実施形態のプリンタ10は、キャリッジ17に搭載され、記録媒体5に吐出された光硬化性インクに向けて光を照射する光照射装置38を備えている。記録媒体5に吐出された光硬化性インクに光照射装置38から光が照射されているときには、プリンタ10の内部で反射した光がキャップ93に到達することがあり得る。ここで、キャップ93に光硬化性インクが付着していると、光によって硬化が進行してしまうことがあり得る。しかしながら、キャップ93に付着したインクを予め清掃部材180によって取り除くことで、上述のような問題の発生を抑制することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の各実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
上述した実施形態では、遮蔽部材132は平面視で遮蔽部134が副走査方向Xに移動するように、キャップ93(キャッピングユニット90)周りに移動するが、これに限定されない。例えば、遮蔽部材132は平面視で遮蔽部134が主走査方向Yに移動するように、キャップ93(キャッピングユニット90)周りに移動してもよい。
上述した実施形態では、ベース部138は遮蔽部134と一体に形成されていたが、別体に形成されていてもよい。この場合、ベース部138は、例えばローラチェーンから構成されている。
上述した実施形態では、ワイパー64は図9の矢印R2の方向(即ち時計回り)に移動してインクヘッド40のノズル面44をワイピングしていたが、矢印R2とは逆方向(即ち反時計回り)に移動してインクヘッド40のノズル面44をワイピングしてもよい。この場合、回収容器82は、ワイパークリーナ78よりも前方に配置される。また、ワイパークリーナ78は、前端78Fが後端78Rより下方に位置するように、傾斜して配置される。
上述した実施形態では、移動機構100はキャップ93を上方および下方に移動させるように構成されていたが、これに限定されない。例えば、プリンタ10は、キャップ93の上下方向の位置が固定された状態でキャリッジ17またはインクヘッド40を上方および下方に移動させる移動機構を備えていてもよい。
上述した実施形態では、清掃部材180はケース18の外方に設けられていたが、これに限定されない。清掃部材180は、ケース18の内方に設けられていてもよい。即ち、清掃部材180は、インクヘッド40とともにケース18内に収容されていてもよい。このとき、清掃部材180の下面は、ノズル面44と同様にケース18から外部に露出する。