以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態におけるトンネル用の支保工設置装置100の側面図であり、山岳トンネルの支保構造物の構築に適用した場合を示している。図2は、支保工設置装置100を用いて構築されたトンネルのトンネル横断面図であり、図1に示すA-A矢視位置の断面で示されている。なお、図1は、切羽面Wの手前に、支保工設置装置100が据え付けられている状態の一例を示している。また、本実施形態では、切羽面Wに向かって視た状態で、左右、上下、前後を規定するものとする。
[トンネル]
まず、図1に示す支保工設置装置100を用いて構築されるトンネルについて説明する。
本実施形態のトンネルは、山岳トンネルであり、例えば、NATM工法により構築される。トンネルの主要部である掘削坑Tは地山Gをブレーカー等により掘削して形成される。
図2に示すように、本実施形態では、掘削坑Tの頂部はアーチ状(略半円)に形成される。また、図1に示すように、掘削坑T(トンネル)の周壁面Taの頂部及び左右側部に沿うように、例えば鋼製H形鋼からなる支保工1(鋼製支保材)が掘削坑Tの掘進方向(トンネル前後方向)に所定の間隔を空けて設けられている。支保工1は、掘削坑Tの掘進方向と直交する断面(つまりトンネル横断面)の断面形状(図2参照)に合わせて、周壁面Taの周方向に延びるように湾曲したアーチ状に形成されている。支保工1は左右に二分割されており、周壁面Taの左側部用の左支保工1Lと周壁面Taの右側部用の右支保工1Rとが互いに連結されることで、一本の支保工1が構成される。
掘削坑Tの周壁面Taには、コンクリートが吹き付けられている。周壁面Taは、支保工1と周壁面Taに吹き付けられたコンクリートである吹き付けコンクリートCとにより一次支保されている。吹き付けコンクリートCは、隣り合う支保工1、1の間と支保工1と周壁面Taとの間を埋めるように、周壁面Taの頂部及び左右側部の全周に亘って吹き付けられている。吹き付けコンクリートCの施工は支保工1が新設される毎に、既設の支保工1と新設された支保工1との間で行われる。また、図示を省略したが、隣り合う支保工1、1の間における周壁面Taの周方向に離間した位置において、複数のロックボルトが掘削坑Tの内側から吹き付けコンクリートCを貫通して地山Gに到達するように打設されている。支保工1と吹き付けコンクリートCによる一次覆工(支保)とロックボルト打設とによる支保構造物の構築が繰り返され、その後、図示を省略したが、吹き付けコンクリートCの内側からコンクリートで更に二次覆工することにより、トンネルが完成する。
[支保工設置装置の概略構成]
次に、支保工設置装置100について説明する。
支保工設置装置100は、支保工1を切羽面Wの近傍に順次設置して建て込むための装置である。支保工1(左支保工1L、右支保工1R)は、支保工設置装置100によって、切羽面Wの近傍において周壁面Taに沿うように順次設置される。
支保工設置装置100は、走行自在な台車2と、台車2の前方においてそれぞれ台車幅方向及び上下方向に揺動可能な支保工設置用の左右に一対のエレクタ3、3と、を含んで構成されている。
台車2は、走行自在な作業車両であり、装置本体を構成するものである。台車2は、当該台車2(作業車両)のベースを構成する鋼製部材からなる車体ベース部21を有する。
台車2(詳しくは車体ベース部21)の台車幅方向(左右方向)の両側部における前端側の部分と後端側の部分には、それぞれ、車輪22が取り付けられている。台車2は、車輪22によって掘削坑Tの底面Tb上を走行自在に構成されている。
台車2(車体ベース部21)の四隅には、それぞれ、台車2を安定させるためのアウトリガー23が設けられている。アウトリガー23が台車幅方向の外側に張り出した状態で下方に伸長して底面Tbに接地することで、台車2(車体ベース部21)が底面Tbにおいて安定した状態で据え付けられる。車体ベース部21上には、車輪22の駆動源や一対のエレクタ3、3用の油圧機器等の各種機器や装置全体を操作するための操作部24が設けられている。
図3及び図4は、支保工設置装置100の一対のエレクタ3、3を含む部分拡大図であり、図3は上方から視た部分拡大図、図4は左方から視た部分拡大図である。
一対のエレクタ3、3は、支保工1(左支保工1L、右支保工1R)を把持して、切羽面Wの近傍に移動させ、所定の位置及び方向(姿勢)で支保工1を設置させるためのものである。一対のエレクタ3、3は、台車2の前方に張り出しており、互いに左右(台車幅方向)に間隔を空けて配置されている。
一対のエレクタ3、3の各エレクタ3について、左右を区別する場合等には、左側を左エレクタ3Lと呼び、右側を右エレクタ3Rと呼ぶ。左エレクタ3Lと右エレクタ3Rは、左右対称であることを除いて、互いに同じ構造を有している。
各エレクタ3は、台車2の前方に張り出すように設けられる伸縮式のエレクタブーム31と、キャッチングアーム32Aと、を含む。
エレクタブーム31は、その台車2側の部分を支点として台車幅方向及び上下方向に旋回可能に構成されている。エレクタブーム31は、台車幅方向に揺動(旋回)可能に後述する基体4の基体前端面41に連結される旋回ブーム311と、上下方向に揺動(起伏)可能に旋回ブーム311に連結される起伏ブーム312と、上下方向に揺動(チルト)可能に起伏ブーム312の先端部に連結されるチルトブーム313と、を有する。エレクタブーム31は、旋回ブーム311の旋回動作用のブーム旋回シリンダ314と、起伏ブーム312の起伏動作用のブーム起伏シリンダ315と、チルトブーム313のチルト動作用のブームチルトシリンダ316と、を有する。また、起伏ブーム312の先端部側の部分はテレスコープ状に形成され、ブーム伸縮シリンダ317により伸縮自在に構成されている。各シリンダ(314、315、316、317)は、例えば、油圧により伸縮自在な油圧シリンダからなる。
キャッチングアーム32Aは、エレクタブーム31の先端部に取り付けられる。キャッチングアーム32Aは、支保工1を把持可能な把持機構32を含み、主に支保工1(左支保工1L、右支保工1R)を把持する機能を有している。把持機構32は、キャッチングアーム32Aの先端部に位置している。つまり、把持機構32は、エレクタ3の先端部に設けられている。なお、把持機構32を含むキャッチングアーム32Aの詳しい構造については、後に詳述する。
[支保工設置装置の詳細構造]
ここで、支保工設置装置100は、基体4と、基体駆動機構5と、を更に含み、一対のエレクタ3、3の全体の位置及び向きを調整可能に構成されている。
図5~図7は、一対のエレクタ3、3と基体4と基体駆動機構5を含む組立体を説明するための図である。図5は上記組立体の部分斜視図であり、図6は上記組立体の要部の上面図であり、図7は上記組立体の要部の側面図である。
図5に示すように、基体4は、一対のエレクタ3、3の台車2側の各基端部を支持するものである。基体4は、鋼製部材からなり、一対のエレクタ3、3の台車側の各基端部が連結された基体前端面41を有している。基体4は、全体として概ね板状に形成され、その背面部がリブ補強されている。基体4は、台車2の前端部、詳しくは、車体ベース部21の上面の前端側(切羽面W側)の部分に、基体駆動機構5を介して連結(接続)されている。そして、基体前端面41は、切羽面W側に向いており、切羽面W側から視た平面視で概ね矩形状に形成されている。
図3及び図6に示すように、一対のエレクタ3、3は、基体前端面41における基体4の幅方向の中心を通り且つ基体前端面41に対して垂直な基体中心線X2を間に挟んで、基体中心線X2に対して左右対称に、基体前端面41に配置されている。したがって、左エレクタ3Lの台車2側の基端部である旋回ブーム311の端部と右エレクタ3Rの台車2側の基端部である旋回ブーム311の端部との間に、基体中心線X2が位置している。なお、図3~図7では、基体中心線X2が上方から視た平面視で台車幅方向の中心を通り且つ台車2の前後方向(長手方向)に延びる装置中心線X1と一致した状態で、基体4が示されている。
基体駆動機構5は、基体4を台車2に連結する連結部51を有し、基体4を駆動するものである。基体駆動機構5は、基体4を駆動して基体4の位置及び向きを調整する駆動部52を更に有している。
連結部51は、基体4が台車幅方向に移動可能で且つ上下方向に延びた軸Y回りに旋回可能に、基体4を台車2に連結する連結部材である。本実施形態では、連結部51は、連結ベース部511と、スイングアーム部512と、を含む。
連結ベース部511は、台車2上(詳しくは、車体ベース部21の上面の前端側の部分)に固定されており、鋼製のブロック材からなる。連結ベース部511は、基体4の背面部と相対するベース前端面511aを有している。連結ベース部511は、例えば、そのベース前端面511aが台車2(車体ベース部21)の台車前端面21aに対して、平行であり且つその幅方向の中心が装置中心線X1上に位置するように、車体ベース部21上に固定されている。
スイングアーム部512は、上下方向に延びた第1ピン513を介して連結ベース部511の前端部(ベース前端面511a)に旋回可能に連結された基端部、及び、上下方向に延びた軸Yとしての第2ピン514を介して基体4の背面部に旋回可能に連結された先端部を有する。第1ピン513は、ベース前端面511aにおける幅方向の中心(つまり、装置中心線X1上)に位置するように配置されている。特に限定されるものではないが、本実施形態では、スイングアーム部512は、上下の二箇所に設けられている。したがって、第1ピン513と第2ピン514も上下の二箇所に設けられている。そして、上側のスイングアーム部512と下側のスイングアーム部512は、上下方向に延びたアーム連結部材512aにより接続されており、互いに一体的に旋回可能に構成されており、より安定した旋回動作が可能となっている。
駆動部52は、基体4を台車幅方向に移動させるとともに上下方向に延びた軸Y回りの旋回させるための機構である。
具体的には、駆動部52は、スイングアーム部512を第1ピン513回りに旋回させて基体4を台車幅方向に移動させる基体スライド用第1駆動部521と、基体4を第2ピン514回りに旋回させる基体旋回用第1駆動部522と、を含む。基体スライド用第1駆動部521及び基体旋回用第1駆動部522は、それぞれ、例えば、伸縮自在な油圧シリンダからなる。そして、基体スライド用第1駆動部521は、その一端部が連結ベース部511に連結され、他端部がスイングアーム部512と一体形成されたアーム連結部材512aの側部に連結される。そして、基体旋回用第1駆動部522は、例えば、上下左右の四箇所に設けられている。各基体旋回用第1駆動部522は、その一端部が連結ベース部511の前端部(ベース前端面511a)に連結され、他端部が基体4の背面部に連結される。
図8は、上記組立体の要部(基体駆動機構5)の動作を説明するための概念図である。図8(a)は基体4の基体中心線X2が上方から視た平面視で装置中心線X1と一致している状態(図3~図7と同じ状態)を示している。
ここで、基体4を台車幅方向に移動させる場合には、図8(b)に示すように、基体スライド用第1駆動部521を作動させる。この時、基体4は、台車幅方向だけでなく、台車2の前後方向(長手方向)について、後側にも僅かに移動(後退)する。そのため、基体旋回用第1駆動部522は、基体4について前後方向の移動を許容するように、基体スライド用第1駆動部521と連動して作動する。また、基体4を軸Y(第2ピン514)回りに旋回させる場合には、図8(c)に示すように、基体旋回用第1駆動部522を作動させる。この時、左側の二つの基体旋回用第1駆動部522、522と右側の二つの基体旋回用第1駆動部522、522は、連動して互いに反対方向で且つ同ストロークで作動する。そして、図8(d)に示すように、基体4の台車幅方向の移動と基体4の軸Y(第2ピン514)回りの旋回の両方を行うこともできる。
次に、キャッチングアーム32Aの構造について、詳述する。
図9~図14はキャッチングアーム32Aの構造を説明するための図であり、図9は斜視図、図10は別の角度から視た斜視図、図11は正面図、図12は上面図、図13は側面図、図14は要部の内部構造を説明するための概念図である。なお、左エレクタ3Lのキャッチングアーム32Aと右エレクタ3Rのキャッチングアーム32Aは、左右対称であることを除いて、互いに同じ構造を有している。図9~図14では、左エレクタ3Lのキャッチングアーム32Aが示されており、左エレクタ3Lのキャッチングアーム32Aを一例に挙げて説明する。
図9~図13に示すように、キャッチングアーム32Aは、そのエレクタブーム31側の基端部を支点として、台車幅方向にスイング(旋回)可能にエレクタブーム31の先端部(チルトブーム313)に連結されている。エレクタ3は、キャッチングアーム32Aの台車幅方向のスイング動作用のアームスイングシリンダ318を有している。
キャッチングアーム32Aは、支保工1を把持可能な把持機構32と、エレクタブーム31と把持機構32との間に設けられ把持機構32を移動させるための移動機構33と、を含んで構成されている。移動機構33は、エレクタブーム31と把持機構32との間を連結する連結部材としての機能も有している。
具体的には、把持機構32は、一方向に延びた把持部本体321と、把持部本体321の長手方向の両側に設けられた第1把持部322及び第2把持部323と、把持部本体321における第1把持部322と第2把持部323のいずれか一方(図では第1把持部322)と並列して設けられる補助把持部324と、を有している。第1把持部322は台車幅方向の外側(左エレクタ3Lでは左側、右エレクタ3Rでは右側)に配置されている。
把持部本体321は、第1把持部322及び第2把持部323を支持する部材である。把持部本体321は、各把持部322、323が支保工1(左支保工1L、右支保工1R)を把持した状態で、支保工1と平行になっている(図11及び図12参照)。
各把持部322、323は、同一構造を有している。各把持部322、323は、対向する二つの把持爪34a、34bを有し、内部に設けられた油圧式の開閉シリンダの伸縮により二つの把持爪34a、34bを開閉させることで、支保工1(左支保工1L、右支保工1R)を把持可能に構成されている。二つの把持爪34a、34bのうちの一方(図では把持爪34a)がエレクタ3の先端に位置して固定されており、二つの把持爪34a、34bのうちの他方(図では把持爪34b)が前記一方(図では把持爪34a)に近づく方向と遠ざかる方向に可動するように構成されている。
補助把持部324は、本実施形態では第1把持部322の側部に接続されている。補助把持部324は、二つの把持爪35a、35bを有し、第1把持部322の前記開閉シリンダの伸縮により二つの把持爪35a、35bを開閉させるように構成されている。二つの把持爪35a、35bは、例えば、第1把持部322の側方に張り出しており、支保工1における比較的に曲率半径の小さな部分において、支保工1を補助的に把持可能である。
そして、把持機構32は、移動機構33との連結箇所である把持部本体321の一端部側(図では第2把持部323側)の部分を支点として、移動機構33の後述する左右移動用軸部331bに対して傾動可能に左右移動用軸部331b(把持機構連結部331b2)に連結されている。そして、キャッチングアーム32Aは、把持機構32の傾動動作用の傾動シリンダ36を有している。
ここで、例えば、左エレクタ3Lの把持機構32により左支保工1Lを把持する際には、まず、必要に応じて各シリンダ(図3及び図4参照、ブーム旋回シリンダ314、ブーム起伏シリンダ315、ブームチルトシリンダ316、ブーム伸縮シリンダ317、アームスイングシリンダ318、傾動シリンダ36)が作動され、左エレクタ3Lが左支保工1Lを把持可能な長さ及び向きになるように操作される。そして、右エレクタ3Rの把持機構32が右支保工1Rを把持する際も同様である。例えば、左エレクタ3Lは左支保工1Lの長手方向の中間部分を把持した状態で更に操作され、左支保工1Lを切羽面Wの近傍において掘削坑Tの周壁面Taの左側の部分に沿うように仮置きし、右エレクタ3Rは右支保工1Rの長手方向の中間部分を把持した状態で更に操作され、右支保工1Rを切羽面Wの近傍において掘削坑Tの周壁面Taの右側の部分に沿うように仮置きする。
移動機構33は、掘削坑T(トンネル)の周壁面Taに沿った支保工1を把持した姿勢(以下では、基本姿勢という)の把持機構32をトンネル横断面(図2に示す断面)に沿った方向に移動させることが可能な機構である。トンネル横断面は切羽面Wと平行であり、移動機構33は、換言すると、前記基本姿勢の把持機構32を切羽面Wと平行な方向に移動させることが可能な機構である。例えば、図12及び図13に示したキャッチングアーム32Aの把持機構32が掘削坑Tの周壁面Taに沿った支保工1(左支保工1L)を把持した前記基本姿勢の状態であるとすると、このキャッチングアーム32Aの移動機構33は、把持機構32を移動させることにより、支保工1(左支保工1L)をトンネル横断面(換言すると切羽面W)に沿った方向に移動させることができる。
本実施形態では、把持機構32が前記基本姿勢の状態(例えば図12及び図13参照)において、移動機構33は、トンネル横断面に沿った方向に伸縮駆動可能な軸部331であって、エレクタブーム31と把持機構32との間の連結部材の一部をなす軸部331を有する。つまり、本実施形態では、移動機構33の軸部331は、把持機構32が前記基本姿勢の状態において、トンネル横断面に沿った方向に延びている(換言すると、トンネル横断面及び切羽面Wに対して平行に延びている)。そして、移動機構33は、その軸部331を伸縮駆動することによって、前記基本姿勢の把持機構32をトンネル横断面に沿った方向に移動させるように構成されている。また、移動機構33の軸部331は、把持機構32が前記基本姿勢に対して傾いている状態において、トンネル横断面に対して傾いた方向に延びており、この状態では、移動機構33は、その軸部331を伸縮駆動することによって、把持機構32をトンネル横断面に対して傾いた平面に沿った方向に移動させる。
本実施形態では、移動機構33は軸部331を二つ有し、二つの軸部331、331は互いに交差(直交)する方向に延伸している。具体的には、把持機構32を上下方向に移動させるための上下移動用の軸部331と、把持機構32を台車幅方向(左右)に移動させるための左右移動用の軸部331がある。二つの軸部331、331を区別する場合には、上下移動用の軸部331を上下移動用軸部331aと呼び、左右移動用の軸部331を左右移動用軸部331bと呼ぶ。
本実施形態では、各キャッチングアーム32A(エレクタ3)は、前後方向移動機構37を更に含む。前後方向移動機構37は、エレクタブーム31と移動機構33との間に設けられ、前記基本姿勢の把持機構32をトンネル前後方向(換言するとトンネル横断面に対して垂直な方向)に移動させることが可能な機構である。
具体的には、把持機構32が前記基本姿勢の状態において、前後方向移動機構37は、トンネル前後方向に伸縮駆動可能な軸部371であって、エレクタブーム31と把持機構32(本実施形態では移動機構33)との間の連結部材の一部をなす軸部371を有する。つまり、本実施形態では、前後方向移動機構37の軸部371は、把持機構32が前記基本姿勢の状態において、トンネル前後方向に延びている(トンネル横断面に対して垂直な方向に延びている)。そして、前後方向移動機構37は、その軸部371を伸縮駆動することによって、前記基本姿勢の把持機構32をトンネル前後方向に移動させるように構成されている。また、前後方向移動機構37の軸部371は、把持機構32が前記基本姿勢に対して傾いている状態において、トンネル前後方向に対して傾いた方向に延びている場合には、前後方向移動機構37は、その軸部371を伸縮駆動することによって、把持機構32をトンネル前後方向に対して傾いた方向に移動させる。
また、移動機構33の各軸部331a、331bと前後方向移動機構37の軸部371は互いに交差(直交)する方向に延びている。つまり、本実施形態では、キャッチングアーム32Aは、互いに交差(直交)する三つの軸部(371、331a、331b)であって、それぞれ各軸部(371、331a、331b)の軸の延伸方向に伸縮可能であり且つそれぞれエレクタブーム31と把持機構32との間の連結部材の一部をなす軸部(371、331a、331b)を有している。
本実施形態では、移動機構33の各軸部331a、331bは、固定部332と、固定部332に対して移動可能な可動部333とを有している。また、前後方向移動機構37の軸部371も、同様に、固定部372と、固定部372に対して移動可能な可動部373とを有している。
本実施形態では、キャッチングアーム32Aの三つの軸部(371、331a、331b)は、前述したようにそれぞれエレクタブーム31と把持機構32との間の連結部材の一部をなしており、エレクタブーム31側から、前後方向移動用の軸部371(以下では、適宜に前後移動用軸部371と呼ぶ)、上下移動用軸部331a、左右移動用軸部331bの順番で接続されている。
具体的には、三つの軸部(371、331a、331b)において、エレクタブーム31側から、前後移動用軸部371の固定部372、可動部373、上下移動用軸部331aの固定部332、可動部333、左右移動用軸部331bの固定部332、可動部333の順番で、固定部と可動部が交互に接続されている。つまり、本実施形態では、二つの軸部331、331(331a、331b)において、エレクタブーム31側から固定部332、可動部333の順で、固定部332と可動部333が交互に接続されている。
より具体的には、各固定部(332、372)及び各可動部(333、373)はそれぞれ筒状に形成されている。そして、前後移動用軸部371の固定部372は、そのエレクタブーム31側の基端部を支点として、台車幅方向にスイング(旋回)可能にエレクタブーム31の先端部(チルトブーム313)に連結されている。前後移動用軸部371の可動部373は、前後移動用軸部371の固定部372内でその軸方向に摺動自在に取り付けられている。この前後移動用軸部371の可動部373の側部の先端側の部分には、上下移動用軸部331aの固定部332の側部の先端側の部分が固定されている。そして、上下移動用軸部331aの可動部333は、上下移動用軸部331aの固定部332内でその軸方向に摺動自在に取り付けられている。この上下移動用軸部331aの可動部333の先端部には、左右移動用軸部331bの固定部332の側部の基端側の部分が固定されている。そして、左右移動用軸部331bの可動部333は、左右移動用軸部331bの固定部332の外側でその軸方向に摺動自在に固定部332に取り付けられている。
図14に示すように、本実施形態では、各軸部(371、331a、331b)は、それぞれ、例えば油圧シリンダからなる伸縮駆動用の駆動部(374、334a、334b)を内部に有している。以下では、前後移動用軸部371用の前記駆動部を前後移動用駆動部374と呼び、上下移動用軸部331a用の前記駆動部を上下移動用駆動部334aと呼び、左右移動用軸部331b用の前記駆動部を左右移動用駆動部334bと呼ぶ。
また、図9~図13に戻って、前後移動用軸部371の固定部372には、その側部から当該固定部372の先端部側(前方)に向かって張り出すように突出した第1リブ372aが設けられている。キャッチングアーム32Aの台車幅方向のスイング動作用のアームスイングシリンダ318の一端部は第1リブ372aの先端部に旋回自在に連結され、アームスイングシリンダ318の他端部はリンク機構372bを介してエレクタブーム31の先端部(チルトブーム313)に連結されている。
そして、左右移動用軸部331bの可動部333におけるエレクタブーム31と反対側の側面には、この側面から突出した第2リブ331b1を介して把持機構32との連結用の把持機構連結部331b2が左右移動用軸部331bの可動部333と一体的に設けられている。また、把持機構32の把持部本体321の底部における一端部側(第2把持部323側)には、下方に突出した第3リブ321aが設けられている。この第3リブ321aは、前後移動用軸部371と平行に延びる傾動用ピン321bを介して、把持機構連結部331b2に対して、傾動用ピン321b回りに旋回(傾動)可能に連結されている。把持機構32の傾動動作用の傾動シリンダ36の一端部は把持機構連結部331b2に連結され、傾動シリンダ36の他端部は把持部本体321の他端部に連結されている。把持機構32の把持部本体321は、上方から視た平面視で左右移動用軸部331bに対して平行に延在している。傾動シリンダ36が作動すると、把持機構32は、傾動用ピン321b回りに旋回(傾動)し、左右移動用軸部331bに対して傾動する。
本実施形態では、把持機構32が前記基本姿勢の状態において、移動機構33を上方から視た平面視で、移動機構33は把持機構32における台車2(エレクタブーム31)と反対側の端面325(図12及び図13参照)よりも台車側に位置し、把持機構32の端面325はエレクタ3の先端面をなしている。
次に、本実施形態に係る支保工設置装置100における支保工1の設置動作について、説明する。図15~図18は支保工設置装置100の動作を説明するための概念図である。図15及び図16では主に移動機構33の動作について説明し、図17及び図18では主に基体駆動機構5の動作について説明する。なお、図16は図15に示す左側のキャッチングアーム32Aの拡大図であり、図18は図17に示す基体駆動機構5を含む要部の拡大図である。
例えば、左支保工1Lと右支保工1Rとの連結前や、連結中や、連結後において、支保工1(1L、1R)を上下方向や掘削坑Tの幅方向に移動させたい場合がある。ここで、伸縮式の各エレクタ3が支保工1を把持し、支保工1(1L、1R)を切羽面Wの近傍において掘削坑Tの周壁面Taに沿うように移動させた状態において、各エレクタ3は、斜め上方且つ台車幅方向の外側に向かって延びて傾いている。このため、傾いた状態で各エレクタ3を必要に応じて伸縮させることにより、支保工1(1L、1R)を上下方向や掘削坑Tの幅方向に移動させることができる。しかし、このエレクタ3の伸縮だけで支保工1を上下方向や幅方向に移動させようとすると、この移動の際に、支保工1が前後方向についても移動してしまうことになる。この点について、支保工設置装置100は、移動機構33を用いて、以下のように支保工1を移動させる。
図15及び図16に示す例では、支保工1は切羽面Wの近傍において掘削坑Tの周壁面Taに沿っており、且つ、支保工1の前後方向についての位置が目標の位置と一致しているが、支保工1の上下方向及び掘削坑Tの幅方向の位置が目標の位置に対してずれているものとする(図では斜め右上にずれている)。そして、この例では、把持機構32は、掘削坑Tの周壁面Taに沿った支保工1を把持した前記基本姿勢において、傾動シリンダ36によって傾動用ピン321b回りに既に旋回されている。この状態で、キャッチングアーム32Aの移動機構33は、掘削坑Tの周壁面Taに沿った支保工1を把持した前記基本姿勢の把持機構32をトンネル横断面に沿った方向に移動させる。図16に示す左エレクタ3Lのキャッチングアーム32Aを例にして、具体的に説明すると、把持機構32が前記基本姿勢の状態にあるときに、移動機構33の上下移動用軸部331aはトンネル横断面(切羽面W)と平行で且つ上下方向に延びており、移動機構33の左右移動用軸部331bはトンネル横断面(切羽面W)と平行で且つ掘削坑Tの幅方向(左右方向)に延びている。この状態で、上下移動用駆動部334aを作動させて把持機構32を上下方向(図では下)に移動させ、左右移動用駆動部334bを作動させて把持機構32を左右方向(図では左)に移動させる。このように、支保工設置装置100は、把持機構32をトンネル横断面に沿った方向に移動させることで、トンネル前後方向についての支保工1の位置を変えずに、支保工1を上下方向及び掘削坑Tの幅方向についての目標位置に配置する。
ところで、支保工1の設置の際に、支保工設置装置100の装置中心線X1が、図3及び図4に示すように、上方から視た平面視でトンネル中心線X0(詳しくは、掘削坑Tの幅方向の中心を通り且つ掘削坑Tの掘進方向に延びる中心線)と一致した理想的な状態(つまり、台車2の台車前端面21aが掘削坑Tの切羽面Wの正面中央で切羽面Wに正対した状態)で、エレクタ3を操作することが好ましい。しかし、実際には、上記のような理想的な状態で台車2を据え付けることが困難な場合が多い。この点について、支保工設置装置100は、基体駆動機構5を用いて、左支保工1Lと右支保工1Rとの連結前や、連結中や、連結後において、以下のように左支保工1Lと右支保工1Rの全体についての台車幅方向の位置や上下方向に延びる軸Y(第2ピン514)回りの向きを調整する。
具体的には、図17に示すように、支保工設置装置100の装置中心線X1が上方から視た平面視でトンネル中心線X0(詳しくは、掘削坑Tの幅方向の中心を通り且つ掘削坑Tの掘進方向に延びる中心線)に対して、掘削坑Tの幅方向に傾き、且つ、掘削坑Tの幅方向にずれた状態で、支保工設置装置100が切羽面Wの手前に据え付けられてしまうことが多い。
このような場合には、図18に示すように、基体旋回用第1駆動部522を作動させて、基体4を軸Y(第2ピン514)回りに旋回させると共に、基体スライド用第1駆動部521を作動させて、基体4を台車幅方向に移動させる。これにより、図18に示すように、基体4の基体中心線X2がトンネル中心線X0と平行で且つ上方から視た平面視でトンネル中心線X0と一致するように、基体4の位置及び向きを調整する。なお、この基体駆動機構5では、基体スライド用第1駆動部521を作動させると、基体4は台車幅方向だけでなく台車2の前後方向(長手方向)について後側にも僅かに移動(後退)する。この台車2の前後方向についての移動分のみを補正したい場合には、例えば、キャッチングアーム32Aの前後移動用駆動部374を作動させ、前後方向移動機構37により把持機構32をトンネル前後方向(換言するとトンネル横断面に対して垂直な方向)に移動させればよい。
かかる本実施形態によるトンネル用の支保工設置装置100によると、一対のエレクタ3、3の台車2側の各基端部は基体4に連結されており、この基体4は基体駆動機構5によって台車幅方向に移動され且つ上下方向に延びた軸Y(第2ピン514)回りに旋回され得る。これにより、支保工設置装置100の装置中心線X1がトンネル中心線X0に対して幅方向に傾いたりずれたりした状態(図18参照)で台車2が据え付けられた場合であっても、基体駆動機構5によって、基体4を台車幅方向に移動させたり、基体4を上下方向に延びた軸Y回りに旋回させたりすることで、一対のエレクタ3、3の全体を、台車2が理想的な位置や向きで据え付けられた場合(図3及び図4参照)と同様の位置及び向きに移動させることができるため、エレクタ3の操作性が向上し、支保工1を容易に設置することができるようになる。つまり、台車2(台車前端面21a、ベース前端面511a)が切羽面Wに対して正対せずに斜めに傾いていたり、台車2(台車前端面21a、ベース前端面511a)が切羽面Wに正対してるが、装置中心線X1がトンネル中心線X0に対して幅方向にずれていたりしていても、基体駆動機構5により、一対のエレクタ3、3の全体を、台車2が理想的な位置や向きで据え付けられた場合と同じ位置及び向きに移動させることができる。
このようにして、台車2が理想的な位置や向きで据え付けられなかった場合であっても、従来と比較して容易に支保工1を設置可能なトンネル用の支保工設置装置100を提供することができる。
本実施形態では、各エレクタ3は掘削坑T(トンネル)の周壁面Taに沿った支保工1を把持した姿勢(基本姿勢)の把持機構32をトンネル横断面に沿った方向に移動させることが可能な移動機構33を含んで構成されている。したがって、各エレクタ3において、掘削坑T(トンネル)の周壁面Taに沿った支保工1を把持した姿勢(前記基本姿勢)の把持機構32は、エレクタブーム31と把持機構32との間に設けられる移動機構33によってトンネル横断面に沿った方向に移動され得る。これにより、例えば、左支保工1Lと右支保工1Rとの連結前や、連結中や、連結後において、前記基本姿勢の把持機構32を移動機構33によってトンネル横断面に沿った方向に移動させることで、掘削坑T(トンネル)の周壁面Taに沿った支保工1を、そのトンネル前後方向についての支保工1の位置を変えずに、トンネル横断面に沿った方向に移動させ、支保工1の上下方向や掘削坑Tの幅方向についての位置を微調整することができる。
このようにして、掘削坑T(トンネル)の周壁面Taに沿った支保工1の位置を、そのトンネル前後方向の位置を変えずに微調整可能なトンネル用の支保工設置装置100を提供することができる。
本実施形態では、移動機構33は、把持機構32が前記基本姿勢の状態において、トンネル横断面に沿った方向に伸縮駆動可能な軸部331(331a、331b)であって、エレクタブーム31と把持機構32との間の連結部材の一部をなす軸部331(331a、331b)を有する。つまり、エレクタブーム31と把持機構32との間の連結部材の一部(331)が伸縮駆動することによって、把持機構32をトンネル横断面に沿った方向に移動させている。これにより、エレクタブーム31と把持機構32との間の連結部材を別に設けることなく、比較的に簡素な構造で移動機構33を構築することができる。
本実施形態では、移動機構33は軸部331を二つ有し、二つの軸部331(331a、331b)は互いに交差する方向に延伸している。これにより、トンネル横断面において、把持機構32を互いに交差する二方向(二軸方向)にそれぞれ移動させることができる。また、軸部331は固定部332と固定部332に対して移動可能な可動部333とを有している。これにより、軸部331において、他の部材に固定される部分と可動する部分とに区分けすることができる。
本実施形態では、二つの軸部331(331a、331b)において、エレクタブーム31側から固定部332、可動部333の順で、固定部332と可動部333が交互に接続されている。これにより、各軸部331がそれぞれエレクタブーム31と把持機構32との間の連結部材の一部をなし且つ独立して伸縮することが可能な連結構造を、コンパクト且つ簡素な構造で提供することができる。また、軸部331は、伸縮駆動用の駆動部(334a、334b)を内部に有しており、移動機構33の更なるコンパクト化が図られている。
本実施形態では、キャッチングアーム32Aは、前記基本姿勢の把持機構32をトンネル前後方向に移動させることが可能な前後方向移動機構37を有している。これにより、支保工1(1L、1R)を、トンネル横断面に沿った方向の位置を変えずに、トンネル前後方向の位置だけ変えることができる。また、前後方向移動機構37をエレクタブーム31と移動機構33との間に設けることにより、移動機構33を把持機構32側に寄せることができる。なお、前後方向移動機構37は、エレクタブーム31と移動機構33との間に限らず、移動機構33と把持機構32との間に設けてもよい。
本実施形態では、把持機構32が前記基本姿勢の状態(図12及び図13)において、移動機構33を上方から視た平面視で、移動機構33は把持機構32における台車2と反対側の端面325よりも台車2側に位置し、把持機構32の端面325はエレクタ3の先端面をなしている。これにより、支保工設置装置100を用いて支保工1を切羽面Wの近傍において設置する際に、エレクタ3の先端面(端面325)よりも切羽面W側に突出する部材が存在しないため、エレクタ3の先端面(端面325)を切羽面Wの近傍に寄せることができ、支保工1を切羽面Wに容易に近づけて配置することができる。
本実施形態では、基体駆動機構5の連結部51は、連結ベース部511とスイングアーム部512とを含んで構成されている。これにより、スイングアーム部512を第1ピン513回りに旋回させて基体4を台車幅方向に移動させ、基体4をスイングアーム部512の先端部に設けられた上下方向に延びる軸Yとしての第2ピン514回りに旋回させることができる。つまり、この基体駆動機構5では、可動部分が全てピン形式で連結されており、比較的に簡素な構造で駆動機構を構築することができる。また、後述する図19~図22に示す基体駆動機構5と比較すると、装置重量の軽量化を図ることができる。
なお、基体駆動機構5は、全てピン形式のタイプに限らず、図19及び図20に示すようにローラ&ピン形式や、図21及び図22に示すようにローラ&ベアリング形式であってもよい。
具体的には、図19及び図20に示す基体駆動機構5では、連結部51は、台車2上に固定され台車幅方向に延びたレール部515と、レール部515に沿って台車幅方向に移動可能な移動台516と、を含んで構成されている。
レール部515は、台車2上(車体ベース部21の上面の前端側の部分)に固定されており、互いに前後方向に間隔を空けて設けられた一対のレール部材515a、515aと、一対のレール部材515a、515aの間を接続するレール支持プレート515bとからなる。
移動台516は、レール部515(レール部材515a)にガイドされる回転自在なローラ516aが取り付けられた移動台本体516bと、移動台本体516b上に固定された鋼製のブロック材からなるブロック部516cとを有する。ローラ516aは、移動台本体516bの前側の側面と後側の側面のそれぞれに台車幅方向に間隔を空けて複数の箇所に取り付けられている。ブロック部516cは、基体4の背面部と相対するブロック前端面516dを有している。ブロック部516cは、例えば、そのブロック前端面516dが台車2(車体ベース部21)の台車前端面21aに対して、平行であり且つその幅方向の中心が装置中心線X1上に位置するように、移動台本体516b上に固定されている。
また、図19及び図20に示す基体駆動機構5では、連結部51は、上下方向に延びた軸Yとしての移動台用ピン514’を含み、この移動台用ピン514’を介して基体4を移動台516(詳しくは、ブロック部516cのブロック前端面516dに設けられた突出部516e)に旋回可能に連結している。移動台用ピン514’は、ブロック前端面516dにおける幅方向の中心(つまり、装置中心線X1上)に位置するように配置されている。また、駆動部52は、移動台516をレール部515に沿って移動させて基体4を台車幅方向に移動させる基体スライド用第2駆動部521’と、基体4を移動台用ピン514’回りに旋回させる基体旋回用第2駆動部522’と、を含む。基体スライド用第2駆動部521’及び基体旋回用第2駆動部522’は、それぞれ、例えば、伸縮自在な油圧シリンダからなる。そして、基体スライド用第2駆動部521’は、その一端部がレール部515のレール支持プレート515bに連結され、他端部が移動台516の移動台本体516bの底面に連結されている。そして、基体旋回用第2駆動部522’は、例えば、左右の二箇所に設けられている。各基体旋回用第2駆動部522’は、その一端部が移動台516の移動台本体516bに連結され、他端部が基体4の背面部に連結される。
図19及び図20に示す基体駆動機構5では、基体4を台車幅方向に移動させる場合には、基体スライド用第2駆動部521’を作動させる。また、基体4を軸Y(移動台ピン514’)回りに旋回させる場合には、基体旋回用第2駆動部522’を作動させる。この時、左右の基体旋回用第2駆動部522’、522’は、連動して互いに反対方向で且つ同ストロークで作動する。そして、基体4の台車幅方向の移動と基体4の軸Y(移動台ピン514’)回りの旋回の両方を行うこともできる。
また、図21及び図22に示す基体駆動機構5においても、連結部51は、レール部515と、移動台516と、を含んで構成されている。但し、この基体駆動機構5では、基体4を上下方向に延びる軸Y回りに旋回させるための構造が図19及び図20に示す基体駆動機構5のものと異なっている。
図21及び図22に示す基体駆動機構5では、移動台516は、移動台本体516bを有し、ブロック部516cを有していない。また、連結部51は、移動台516(移動台本体516b)上に設けられ上下方向に延びた軸Yとしての回転軸心514’’回りに旋回可能な旋回テーブル517であって、その上面に基体4が固定される旋回テーブル517を更に含む。そして、連結部51は、この旋回テーブル517を介して基体4を移動台516に旋回可能に連結する。具体的には、基体4の背面部には、後方に向かって突出する基体ブロック部42が形成されており、基体4は、その基体中心線X2が回転軸心514’’を通るように旋回テーブル517上に固定されている。
また、図21及び図22に示す基体駆動機構5では、駆動部52は、基体旋回用第2駆動部522’に替わって、基体4を回転軸心514’’回りに旋回させる基体旋回用第3駆動部522’’を含む。基体旋回用第3駆動部522’’は、例えば、伸縮自在な油圧シリンダからなる。そして、基体旋回用第3駆動部522’’は、例えば、左右の二箇所に設けられている。各基体旋回用第3駆動部522’’は、その一端部が移動台516の移動台本体516bに連結され、他端部が基体4の基体ブロック部42の側面の突出部に連結されている。
図21及び図22に示す基体駆動機構5では、基体4を軸Y(回転軸心514’’)回りに旋回させる場合には、基体旋回用第3駆動部522’’を作動させる。この時、左右の基体旋回用第3駆動部522’’、522’’は、連動して互いに反対方向で且つ同ストロークで作動する。そして、基体4の台車幅方向の移動と基体4の軸Y(回転軸心514’’)回りの旋回の両方を行うこともできる。また、図19及び図20の基体駆動機構5と図21及び図22の基体駆動機構5では、基体4を台車幅方向にのみ移動させることができ、台車幅方向に移動に伴う前後方向の位置ズレが発生することはない。
また、各エレクタ3は移動機構33と前後方向移動機構37を有さなくてもよい。また、図示を省略するが、コンクリートを掘削坑Tの周壁面Taに吹付けるための吹付けノズルが取り付けられた左右に一対の吹付けブームを、基体4の基体前端面41に設けてもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態及び変形例についてそれぞれ説明したが、本発明は実施形態及び変形例に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形及び変更が可能である。