JP7418818B2 - 洗砂の圧送方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば砂圧送工法に用いて好適な洗砂の圧送方法に関する。ここで、砂圧送工法とは、砂質土(山砂や現場発生土等)と水を連続混練し、泥水状態にしたものをスクィーズ式ポンプ車等で圧送して埋め戻す工法を指す。
本出願人であるエースコン工業株式会社は、昭和61年に山砂等のポンプ圧送を開始した。その開始当時、車両による搬入が困難な箇所への埋戻し工事は、山砂等を人力及び重機(クレーン・コンベヤ)等で移動し機械転圧するため、他工種との上下作業等による安全性の確保に問題が生じ易く、工程的にも天候等の影響を受け易い工種であった。こうした問題に取り組み、種々の検討を重ね、山砂等のポンプ圧送を可能とするに至った。砂をポンプ車で圧送することは当時としては画期的なことで、狭隘な箇所へ十分な水締めによる埋戻しが容易にできて、工期の短縮も図れるため注目を集めた。
ところで、ポンプで砂を圧送するには、山砂等に含まれる細粒分(粘土・シルト分)が必要であり、細粒分を含まない洗砂の場合は水と混練しても粘性を確保できず、すぐに材料分離してしまうため圧送に不向きとなる。また、逆に砂が細粒分を多く含み過ぎても、埋戻し後に締まりにくくなってしまう。そのため、適度な細粒分を含む山砂等を用いればよいが、細粒分量に制約のある山砂等を全国的に安定して調達することは非常に困難である。
本発明者らは、洗砂の圧送を可能とすれば、細粒分量の制約がなくなり、調達が容易になるとの観点から、鋭意研究を行った結果、材料分離を起こし難くしながら洗砂の圧送を可能とする技術を得るに至った。
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、材料分離を起こし難くしながら、洗砂を圧送することができる洗砂の圧送方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る洗砂の圧送方法は、洗砂を増粘剤及び水と混合してスラリーにした状態で圧送する洗砂の圧送方法であって、スクリューミキサーにて洗砂、増粘剤及び水を連続混練するにあたり、
洗砂の表面水の表面水量を計測する工程と、
洗砂を、スクリューミキサーに連続供給する工程と、
水を、水供給計量装置を通して前記表面水量の水を減じながらスクリューミキサーに連続供給する工程とを含む一方、
水を、溶液水供給装置に供給するとともに、増粘剤を溶液水供給装置に供給し、溶液水供給装置において増粘剤を水に混合し溶液水にしてスクリューミキサーに連続供給する工程と、
スクリューミキサーで洗砂、増粘剤及び水を連続混練してスラリーを得る工程と、
埋戻し箇所にスラリーを打設する工程とを含む(請求項1)。
上記洗砂の圧送方法において、前記増粘剤は、前記スラリーの粘性を一時的に高めるという性質を有するものであり、前記圧送は、前記増粘剤によって高められた前記スラリーの粘性が低下し始めるまでの間に行ってもよい(請求項2)。
上記洗砂の圧送方法において、埋戻し箇所における余剰水を排水するため埋戻し箇所に集水パイプ釜場を設置する埋戻し工法に用いられ、前記増粘剤がグアガムであるとしてもよい(請求項3)。
本願発明では、材料分離を起こし難くしながら、洗砂を圧送することができる洗砂の圧送方法が得られる。
すなわち、本願の各請求項に係る発明の洗砂の圧送方法では、増粘剤を用いることにより、材料分離の防止を図りながら、洗砂の圧送を行える。
請求項2に係る発明の洗砂の圧送方法では、圧送時の材料分離の防止を図りながら、例えば埋戻し工を行う場合、圧送後にスラリーの粘性が低下した状態では、砂の水締め状態になり、分離水の揚水作業をスムーズに行うことができる。
請求項3に係る発明の洗砂の圧送方法では、スラリーを打設した後の埋戻し箇所における余剰水を排水するため、埋戻し箇所における砂の良好な水締め状態を得ることができるる。
(A)及び(B)は、本発明の一実施の形態に係る洗砂の圧送方法を実施するための機械構成を概略的に示す説明図(正面図)及び平面図である。 集水釜場の一例の構成を概略的に示す説明図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
本実施の形態に係る洗砂の圧送方法では、セメント等の固化材を加えることなく、洗砂(例えば、川砂、山砂の何れに由来するものでもよい)を増粘剤及び水と混合してスラリーにした状態(泥水状態)で圧送する(砂圧送を行う)。
ここで、洗砂は細粒分(粘土・シルト分)を含まないものを言い、これを例えば生コンクリートや生モルタルに使用する場合、それらはセメント(粉)を含み、セメントは土砂の分離を防ぐ機能を有するため、ポンプ圧送ができる。また、通常の砂圧送では、セメントを使用しないが、セメント(粉)と同様に土砂の分離を防ぐ働きを担う細粒分を含む砂を用いることにより、ポンプ圧送ができる。
これに対し、セメント等の固化材を用いずに、洗砂を圧送しようとする場合、土砂の分離を防ぐ働きを担うセメントや細粒分が含まれず、材料分離が生じるため、そのままではポンプ圧送(砂圧送)ができない。
そこで、本実施の形態では、増粘剤を用いることにより、材料分離の防止を図り、圧送(砂圧送)を可能とする。
増粘剤は、洗砂の流動化を図ることができる増粘性を有するものであればよく、例えば、ポリマー系の高分子剤や、ベントナイト等の粘土鉱物等を用いることができる。
また、増粘剤が、圧送するスラリーの粘性を一時的に高めるという性質を有するものであってもよく、この場合、本実施の形態における圧送は、増粘剤によって高められたスラリーの粘性が低下し始めるまでの間に行うのが好ましい。これにより、圧送時の材料分離の防止を図りながら、例えば埋戻し工を行う場合、圧送後にスラリーの粘性が低下した状態では、砂の水締め状態になり、分離水の揚水作業をスムーズに行うことができる。
このような増粘剤としては、グアガム等の水溶性天然多糖類を挙げることができ、斯かる増粘剤を用いる場合、分離水(溜水や混練水)をくみ上げて排水する場合も水として処理できるメリットがあり、特にグアガムは、おおよそ1日~2日で粘性のピークをむかえ、そこから粘性が低下するので、使用性に優れる。
以下、図1(A)及び(B)を参照しながら、本例の洗砂の圧送方法を含む砂圧送工法の具体的な内容を説明する。
(1)まず、ダンプ1により洗砂を搬入する。
(2)バックホウ(0.4又は0.8m3 級)2で、洗砂を砂供給装置(ホッパー)3に供給する。
(3)洗砂を、砂供給装置3からベルトコンベヤ4を介して特殊スクリューミキサー5に連続供給する。なお、本例では、集中操作制御盤14でベルトコンベヤ4の回転をインバーターにより制御するようにしてあり、これにより、特殊スクリューミキサー5への洗砂の供給量が調整可能となっている。図1(A)及び(B)において、符号13は発動発電機であり、集中操作制御盤14に接続されている。
(4)一方、水槽6にある混練水(例えば水道水)を、水中ポンプ7によって水供給計量装置8を通して特殊スクリューミキサー5に連続供給する。この際、洗砂の表面水を事前に計測しておき、表面水量の水を減じて供給する。
(5)他方、水槽6にある混練水(例えば水道水)を、水中ポンプ7によって溶液水供給装置9に供給するとともに、増粘剤を溶液水供給装置9に供給し、溶液水供給装置9において増粘剤を混練水に混合し溶液水にして特殊スクリューミキサー5に連続供給する。
(6)特殊スクリューミキサー5で連続混練して得られるスラリーを、スクィーズ式ポンプ車であるコンクリートポンプ車(ポンプの一例)10で圧送先に向けて圧送する。
(7)このとき、コンクリートポンプ車10の下流側に設けた電磁流量計11で打設量を計測記録する。
(8)圧送先の例えば筒先では、ホースを使用して埋戻し箇所にスラリーを打設する。
(9)埋戻し箇所には適宜間隔で排水用井戸(集水パイプ釜場)を設け、圧送後の余剰水を水中ポンプで排出することで、砂の水締めを促進する。
ここで、砂圧送工法は、含水比の低下により土粒子相互間の摩擦力が増大し、また、連続した地下水の低下流にともない、砂粒子の自重と流水圧により地盤が締め固められることを期待した工法であるため、いかに余剰水を排水するかが重要となる。細粒分の少ない土質や水捌けの良い箇所等では、排水対策を講じなくても良い場合もあるが、排水を効果的に行うために、埋戻し箇所にあらかじめ集水パイプ釜場を、30~40m間隔程度に設置して排水することが一般的である。釜場の仕様は図2に示すように、例えば径450mmの有孔パイプ15に透水シート(ポリプロピレン不織布)16を巻いたもので、内部に水中ポンプ17を設置したものを採用することが考えられる。
以下、本例の砂圧送工法の効果について説明する。
本例で圧送するスラリーは、その粘性がピークをむかえた後、時間の経過に伴って水と同じ程度にまで低下するものとすることにより、周辺が水はけの悪い土質の場合等で、圧送時の混練水を強制排水したい場合にも、有孔パイプに不織布等を巻いた集水釜場の目詰まりがしにくくなるというメリットが得られる。
また、満水状態の空洞部へスラリーを圧送し充填する場合に、泥状化する細粒分がないため、流出する水処理も容易で、砂の圧送埋戻しの容易化を図ることが可能になる。
さらに、例えば杭施工するため、地中の障害物撤去を目的とし、公知の全旋回オールケーシング工法(CD工法)にて形成した縦孔に、従来は流動化処理土を充填しているが、その代用として本例のスラリーを充填することも可能である。
ここで、洗砂ではなく、例えば山砂等を用いる場合は、産地により細粒分等の土質が異なり、配合はポンプオペレーターの経験的な技量による判断に依存していたため、スラリーの配合を特定できず流量計11は使用していなかった。しかし、洗砂を用いる本例の場合、事前に試験練りを行うことでスラリーの配合を特定できるため、流量計11を使用して砂(スラリー)の圧送数量等の管理ができるようになる。
また、山砂等を用いる場合、運搬された山砂等から40mm以上の礫を除くための振動ふるい機が必須となるが、本例で用いる洗砂には40mm以上の礫は入っていないため、振動ふるい機は無くてもよい。
洗砂を使用したポンプ圧送用のスラリーの配合例を表1に示す。なお、表1中、「水」は上記(4)の混練水に、「溶液水」は上記(5)の混練水に、「グアガム」は上記(5)の増粘剤に、それぞれ相当する。
表1における「補正配合」は、洗砂の表面水を暫定1.3%とした場合の例である。そして、使用する洗砂の粒度分布等により好適な配合は異なるため、事前の配合試験によりスラリーの配合を決定すればよい。
具体的には、フロー試験(JHS 313-1992 シリンダ法)により評価されるフロー値が180mm以上であるスラリーが得られる配合とするのが好ましい。また、山中式土壌硬度計(平面型)により評価される強度(支持力)が100~200kN/m2 であるスラリーが得られる配合とするのが好ましい。
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。また、本明細書で挙げた変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
1 ダンプ
2 バックホウ
3 砂供給装置
4 ベルトコンベヤ
5 特殊スクリューミキサー
6 水槽
7 水中ポンプ
8 水供給計量装置
9 溶液水供給装置
10 コンクリートポンプ車
11 電磁流量計
13 発動発電機
14 集中操作制御盤
15 有孔パイプ
16 透水シート
17 水中ポンプ

Claims (3)

  1. 洗砂を増粘剤及び水と混合してスラリーにした状態で圧送する洗砂の圧送方法であって、スクリューミキサーにて洗砂、増粘剤及び水を連続混練するにあたり、
    洗砂の表面水の表面水量を計測する工程と、
    洗砂を、スクリューミキサーに連続供給する工程と、
    水を、水供給計量装置を通して前記表面水量の水を減じながらスクリューミキサーに連続供給する工程とを含む一方、
    水を、溶液水供給装置に供給するとともに、増粘剤を溶液水供給装置に供給し、溶液水供給装置において増粘剤を水に混合し溶液水にしてスクリューミキサーに連続供給する工程と、
    スクリューミキサーで洗砂、増粘剤及び水を連続混練してスラリーを得る工程と、
    埋戻し箇所にスラリーを打設する工程とを含む洗砂の圧送方法。
  2. 前記増粘剤は、前記スラリーの粘性を一時的に高めるという性質を有するものであり、前記圧送は、前記増粘剤によって高められた前記スラリーの粘性が低下し始めるまでの間に行う請求項1に記載の洗砂の圧送方法。
  3. 埋戻し箇所における余剰水を排水するため埋戻し箇所に集水パイプ釜場を設置する埋戻し工法に用いられ、前記増粘剤がグアガムである請求項1記載の洗砂の圧送方法。
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