JP7415758B2 - ガイドチューブ - Google Patents
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例えば、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術は、術者が、臍部の周囲から小径の内視鏡を腹腔内に挿入し、内視鏡によって映し出されるモニタを確認しながら胃の大弯側を約80%切除して、100mLから150mL程の容積となる袖状の胃管を形成するものである。
具体的には、術者は、ガイドチューブを経口的に胃内に挿入し、吸引源をガイドチューブに接続して、ガイドチューブを介して胃内の流体を外部に排出して減圧する。すると、ガイドチューブに胃が密着することになる。術者は、そのガイドチューブに沿って胃を容易に切断して、胃の一部を切除することができることになる。
また、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
はじめに、本実施形態に係るガイドチューブ1の概要を、図1を主に参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るガイドチューブ1及び手動ポンプ7を示すものであり、ガイドチューブ1を胃50内に挿入しその遠位端部を胃50内に固定した状態を示す模式図である。
なお、図1においては、蛍光標識ライン2eを明確に示すために、背部開口2b及び側部開口2cの図示を省略している。
ガイドチューブ1は、チューブ本体2と、チューブ本体2の遠位部において胃50に係合し、胃50に対するチューブ本体2の位置を保持する保持体(バルーン3)と、を備える。チューブ本体2は、蛍光材料でライン状に形成された蛍光標識ライン2eを有する。
また、本書において「蛍光材料」とは、光(紫外線、可視光線又は赤外線等の励起光)が照射されたときにフォトルミネッセンスによって発光可能な材料をいう。特に、本実施形態に係る蛍光材料は、生体透過性が良好な近赤外線を照射したときに発光可能な材料(例えば、励起波長750から810nm)である。
上記構成によれば、蛍光標識ライン2eにより、胃50の切断ラインLの視認性が向上し、胃50切除の作業性が良好となる。
次に、ガイドチューブ1を構成する各部の詳細について、図1に加えて、図2から図4を参照して説明する。
図2は、ガイドチューブ1を示す模式図、図3は、バルーン3及びチューブ本体2の開口部(背部開口2b、側部開口2c)を模式的に示すものであり、図3(a)は側面図、図3(b)は背面図である。図4(a)は、バルーン及びチューブ本体の断面を示すものであり、図3(b)のIVA-IVA断面図であり、図4(b)は、図4(a)のIVB部の拡大図である。
具体的には、ガイドチューブ1は、胃50をライン状に切断する際に用いられるものである。ガイドチューブ1は、胃50内に挿入されて、胃50内の流体を吸引することによりガイドチューブ1のシルエットを浮き立たせることによって、ライン状に切断する手技をガイドするものである。
ガイドチューブ1は、チューブ本体2と、チューブ本体2の遠位部において径方向の一側で胃50に係合し、胃50に対するチューブ本体2の位置を保持する後述するバルーン3と、バルーン3に対して流体を送出又は排出するための不図示のシリンジが接続されるシリンジコネクタ4と、を備える。
チューブ本体2は、手動ポンプ7に接続可能であり近位側から遠位側に連通するルーメン2aと、胃50内とルーメン2a内とを連通可能な開口部(背部開口2b)と、を有する。
チューブ本体2は、胃50内の流体が背部開口2bからルーメン2a内に手動ポンプ7により吸引されることによって、胃50の一部に密着される。背部開口2bは、一側とは逆側であるチューブ本体2の径方向の他側に少なくとも設けられている。
また、チューブ本体2には、口外からガイドチューブ1の挿入長さがわかるように、不図示の目盛線が印字されている。この目盛線は、後述する保持体標識ライン2fに記載されていてもよい。チューブ本体2の中心部には、ルーメン2aが軸心方向に延在している。
チューブ本体2には、チューブ本体2において後述するバルーン3とは逆側にある円形の背部開口2bと、バルーン3と背部開口2bとを結ぶ方向に対して交差する方向上にある円形の側部開口2cと、が形成されている。
背部開口2b及び側部開口2cは、円形である旨説明したが、ルーメン2aと胃50内とを連通できればよく、楕円形や長円形、矩形、多角形であってもよい。
このような構成によれば、バルーン3を、遠位側と近位側の開口部によって吸引された胃50によって包み込むようにすることができるため、バルーン3による係合状態を安定させることができる。
さらに、このような構成によれば、自動縫合器等による切除始めの位置で胃50をチューブ本体2に密着させやすくできる。
上記構成によれば、チューブ本体2の曲面である外面上に背部開口2bと側部開口2cが配設されることになる。このため、例えば胃50の内壁において、開口部に当接する部位に突出部があったり、内壁との間に異物があったりしても、開口部がずれた位置にあることによって、直線上にある場合と比較して、胃50を好適に吸引することができる。
送気チューブ4aは、ルーメン2aとは連通しないように独立して設けられており、バルーン3側にあるチューブ本体2の内面に沿って配設され接着剤等により接着されている。
具体的には、チューブ本体2には、バルーン3に向けて貫通する貫通孔2dが形成されており、この貫通孔2dの壁面に密着するように、送気チューブ4aの遠位端部が嵌合している。このような構成により、送気チューブ4aの内部がルーメン2aに連通しないように構成されている。
しかしながら、本発明はこのような構成に限定されず、送気チューブ4aは、チューブ本体2の外面に沿って配設され接着されている構成であってもよい。このような構成によれば、長尺のチューブ本体2に対して、送気チューブ4aを容易に配設して接着することができる。
チューブ本体2は、径方向において保持体(バルーン3)側に形成された保持体標識ライン2fを更に有する。
蛍光標識ライン2eは、保持体標識ライン2fに対して、チューブ本体2の径方向における逆側に設けられている。より具体的には、蛍光標識ライン2eは、チューブ本体2の周方向の一部のみに局所的に形成されており、チューブ本体2の径方向にみて、バルーン3及び保持体標識ライン2fの反対側の一部に設けられている。
より具体的には、本実施形態に係る保持体標識ライン2fは、軟質塩化ビニル樹脂又はポリウレタン樹脂に硫酸バリウムを混練して形成されているものである。
なお、蛍光標識ライン2eは、蛍光材料をチューブ本体2に接着や熱溶着することによって形成されていてもよく、チューブ本体2に別途不図示のルーメンを設けて、当該ルーメン内に蛍光材料を充填するようにしてもよい。また、チューブ本体2の押出成形時に同時に成形するようにしてもよい。
より具体的には、蛍光標識ライン2eは、軟質塩化ビニル樹脂又はポリウレタン樹脂等に蛍光材料を混練させてチューブ本体2と一体的に形成されるものであってもよい。
また、蛍光標識ライン2eは、チューブ本体2の長さ方向の全範囲ではなく、遠位端部において、チューブ本体2の全周回に亘って形成されていてもよい。
また、上記構成によれば、近赤外線を照射することで、チューブ本体2の全体におけるいずれの部位でも発色することになるため、切断ラインLを術者に把握することが可能となる。
術者は、例えば近赤外線を照射して近赤外線カメラで撮像して、光っていない部位のうち蛍光発光の近傍位置で胃50を切断すればよい。
本実施形態に係る保持体は、ガイドチューブ1の遠位端部を胃50内に固定して位置決めするためのものであり、膨張及び収縮可能なバルーン3である。図1に示すように、バルーン3は、チューブ本体2の遠位部において径方向の一側(幽門側)に膨張可能に配設されている。本実施形態に係るバルーン3は、シリコーン又はウレタンエラストマー等によって形成されており、その最大容量は約75mLである。図3に示すように、開口部(背部開口2b)は、蛍光標識ライン2eと同様にバルーン3の膨張側とは逆側に設けられている。
特に、上記のように密度を異ならせることによって、バルーン3が、チューブ本体2よりも肉薄に形成されている場合であっても、バルーン3における蛍光材料の密度が高いために、バルーン3を発色させやすくできる。
上記構成によれば、蛍光標識ライン2eとして機能するチューブ本体2の蛍光材料の密度を高くすることで、バルーン3に対する視認性を相対的に向上させることができ、切断ラインをガイドとして目立たせることができる。特に、保持体標識ライン2fにより、バルーン3が設けられているチューブ本体2の径方向における位置を把握でき、近赤外線照射によるバルーン3の位置の把握が補助的である場合に有効である。
また、保持体としては、非侵襲性を有して、ガイドチューブ1の遠位端部を胃50内に固定又は位置決めできれば、このような構成に限定されず、拡縮可能な構造を有する不図示のバンパー等であってもよい。
術者は、モニタに映し出された蛍光標識ライン2eをみて、胃50の切除位置を正確に把握しながらの手術が可能になる。
図1に示すように、ガイドチューブ1は、吸引源となり、かつ気体を外部から胃50内に送り出す送出源となる後述する手動ポンプ7が接続可能に構成されている。
手動ポンプ7は、胃50の一部をチューブ本体2に密着させる際に胃50内を減圧するために用いられ、ガイドチューブ1の近位端部に一端を接続することで吸引源となるものである。
吸引源としては、後述する手動ポンプ7の他、不図示のシリンジや電動ポンプ等であってもよい。
なお、手動ポンプ7とガイドチューブ1の近位端部との「接続」には、直接的に接続されているものの他、間接的に接続されているものも含む。そして、ガイドチューブ1の先端側には、手動ポンプ7や他の機器に接続するためのコネクタが取り付けられていてもよい。
次に、変形例に係るチップ5について、図5を参照して説明する。図5は、変形例に係るチップ5がチューブ本体2の遠位端部に取り付けられている構成を示す模式図である。
そして、チップ5が、上記の蛍光材料を含有すると好適である。このように、チップ5が構成されていれば、チューブ本体2の遠位端部を保護しつつ、近赤外線を照射することにより、遠位端部を視認することが可能となる。
上記構成によれば、チューブ本体2の遠位端部にあるチップ5に開口部が設けられていないため、このようなことがない。
また、チューブ本体2の開口部から胃50内の流体が吸引される際に、チップ5に開口部が設けられていないため、バルーン3まで開口部に引き寄せてしまい、バルーン3の胃50内の保持状態を阻害することを抑制できる。
上記構成によれば、チューブ本体2の遠位端部にあるチップ5が、チューブ本体2よりも軟質に形成されていることで、ガイドチューブ1の遠位端部の侵襲性を低めることができる。
さらに、チップ5に蛍光材料が塗布(混練)されていてもよい。このようにすれば、チップ5の蛍光を近赤外線カメラで捉えることにより、術者は、胃50の切除始め位置の近傍部分を確認でき、切除手術をスムーズに開始することができる。
(1)
経口的に胃内に挿入されて、前記胃の一部を切除する際の切断ラインをガイドするガイドチューブであって、
チューブ本体と、
該チューブ本体の遠位部において前記胃に係合し、前記胃に対する前記チューブ本体の位置を保持する保持体と、を備え、
前記チューブ本体は、蛍光材料でライン状に形成された蛍光標識ラインを有することを特徴とするガイドチューブ。
(2)
前記チューブ本体は、径方向において前記保持体側に形成された保持体標識ラインを更に有し、
前記蛍光標識ラインは、前記保持体標識ラインに対して、前記チューブ本体の径方向における逆側に設けられている(1)に記載のガイドチューブ。
(3)
前記蛍光標識ラインは、前記チューブ本体全体に混練されている前記蛍光材料によって形成されている(1)に記載のガイドチューブ。
(4)
前記蛍光材料は、前記保持体にも混練されており、
前記保持体において混練された前記蛍光材料の密度は、前記チューブ本体において混練された蛍光材料の密度よりも高い(3)に記載のガイドチューブ。
(5)
前記チューブ本体において混練された蛍光材料の密度は、前記保持体において混練された前記蛍光材料の密度よりも高い(3)に記載のガイドチューブ。
2 チューブ本体
2a ルーメン
2b 背部開口(開口部)
2c 側部開口
2d 貫通孔
2e 蛍光標識ライン
2f 保持体標識ライン
3 バルーン(保持体)
3a 接着部
4 シリンジコネクタ
4a 送気チューブ
5 チップ
7 手動ポンプ
50 胃
L 切断ライン
Claims (5)
- 経口的に胃内に挿入されて、前記胃の一部を切除する際の切断ラインをガイドするガイドチューブであって、
チューブ本体と、
該チューブ本体の遠位部において前記胃に係合し、前記胃に対する前記チューブ本体の位置を保持する保持体と、を備え、
前記チューブ本体は、蛍光材料でライン状に形成された蛍光標識ラインを有することを特徴とするガイドチューブ。 - 前記チューブ本体は、径方向において前記保持体側に形成された保持体標識ラインを更に有し、
前記蛍光標識ラインは、前記保持体標識ラインに対して、前記チューブ本体の径方向における逆側に設けられている請求項1に記載のガイドチューブ。 - 前記蛍光標識ラインは、前記チューブ本体全体に混練されている前記蛍光材料によって形成されている請求項1に記載のガイドチューブ。
- 前記蛍光材料は、前記保持体にも混練されており、
前記保持体において混練された前記蛍光材料の密度は、前記チューブ本体において混練された蛍光材料の密度よりも高い請求項3に記載のガイドチューブ。 - 前記チューブ本体において混練された蛍光材料の密度は、前記保持体において混練された前記蛍光材料の密度よりも高い請求項3に記載のガイドチューブ。
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