JP7414193B1 - 金属帯の反り形状予測方法、金属帯の反り形状制御方法、金属帯の製造方法、反り形状予測モデルの生成方法及び金属帯の反り形状制御装置 - Google Patents

金属帯の反り形状予測方法、金属帯の反り形状制御方法、金属帯の製造方法、反り形状予測モデルの生成方法及び金属帯の反り形状制御装置 Download PDF

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Abstract

金属帯の冷却を行う冷却帯と、冷却後の金属帯の形状矯正を行う調質圧延機を含む金属帯の連続焼鈍設備において、金属帯の入側反り形状を考慮して、出側反り形状を迅速に予測できる金属帯の反り形状予測方法を提供する。金属帯を加熱する加熱設備と、加熱帯で加熱された金属帯1を冷却する冷却設備30と、冷却設備で冷却された金属帯1の形状を矯正する調質圧延機40と、冷却設備30と調質圧延機40との間で、調質圧延機の上流側における金属帯の反り形状である入側反り形状を測定する入側反り形状測定装置16と、を含む金属帯の連続焼鈍設備において、調質圧延機40の下流側における金属帯1の反り形状である出側反り形状を予測する金属帯の反り形状予測方法であって、入側反り形状と、調質圧延機40の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、に基づいて出側反り形状を予測する。

Description

本発明は、金属帯の反り形状予測方法、金属帯の反り形状制御方法、金属帯の製造方法、反り形状予測モデルの生成方法及び金属帯の反り形状制御装置に関する。
金属帯の連続焼鈍設備において、処理される金属帯に必要とされる機械的特性を付与するためには、加熱及び冷却といった熱処理条件の制御が重要である。高強度鋼板の製造においては、熱処理条件の制御として、金属帯を冷却する冷却速度を高めると共に、プレス成形性を向上させる観点から冷却後の金属帯を再度加熱する焼戻し処理が行われることが多い。
高強度鋼板を製造するための連続焼鈍設備は、加熱帯、均熱帯及び冷却帯を有する。冷却帯における冷却方式には液体焼き入れ法、ロール冷却法、気水混合(ミスト)冷却法、ガスジェット冷却法等があり、金属帯の材質を制御するために適切な冷却方式が適宜選択される。例えば、高い引張強度の高強度鋼板を製造する場合には、冷却帯における金属帯の冷却速度を高めることが有効である。しかしながら、金属帯の冷却速度を高めると、金属帯の熱収縮や金属組織の相変態に伴う体積膨張の影響で金属帯の形状不良が発生するという課題がある。
連続焼鈍設備には、金属帯を冷却した後に残留する形状不良を矯正するために調質圧延機が配置されており、当該調質圧延機で金属帯を調質圧延することで、冷却後における金属帯の形状不良を矯正できる。一方、金属帯の引張強度が高いと、冷却後の降伏応力が非常に高くなるので、金属帯を調質圧延しても、形状矯正に必要な伸び率を付与できない場合がある。このため、金属帯の引張強度が高い場合には、調質圧延後の製品となる金属帯に形状不良が残留する場合がある。
これに対して、特許文献1には、液体焼き入れ法を用いて金属帯の冷却を行う場合に、金属帯のマルテンサイト変態が開始する温度と、終了する温度により特定される温度域において、急冷焼入れ中の金属帯を拘束ロールにより拘束する技術が開示されている。特許文献1によれば、上記温度域で金属帯を拘束することで、急冷による金属帯の形状変化を抑制できるとしている。
特許文献2には、調質圧延機などの圧延機により金属帯の形状制御を行う方法として、形状計を用いて金属帯の形状を測定し、測定された形状と目標形状との偏差に基づいて、圧延機の形状制御アクチュエータを操作する技術が開示されている。特許文献2に開示された技術では、接触式形状計であって、形状計測ロールの内部にロードセルが複数埋め込まれたものを使用することにより、板幅方向における接触荷重分布から、金属帯の板幅方向における伸び差を推定している。
特許文献3には、高強度鋼板の調質圧延を行う場合に、調質圧延後の金属帯の反り高さを低減する方法として、表面平均粗さが10.0μmを超えるワークロールを適用する技術が開示されている。
特許第6094722号公報 特許第6673285号公報 特開2013-176802号公報
特許文献1に開示された技術は、金属帯に相変態が発生する温度域を特定し、その温度域で金属帯を拘束ロールにより拘束する必要がある。連続焼鈍設備の操業条件として、金属帯の搬送速度などが変化すると、冷却開始温度も変化し、冷却後の金属帯の形状も変動する点で改善の余地がある。特に、金属帯の引張強度が高い場合には、金属帯の形状を平坦化できない場合もあり、金属帯の長手方向には形状不良が発生した部分が残ることがある。
特許文献2に開示された技術は、調質圧延によって金属帯の形状を平坦化するものであり、調質圧延機の出側で計測された金属帯の形状に基づいて、金属帯の形状を動的に制御できるため、金属帯の長手方向における形状を安定化させ得る。しかしながら、特許文献2に記載された形状計は、金属帯の板幅方向における伸びの分布を推定する装置であり、急冷後の高強度鋼板で生じ得る板幅方向の断面形状がW型やさらに高次の関数で近似される反り形状が測定できない。このため、特許文献2の技術では、板幅方向の断面形状がW型やさらに高次の関数で近似される反り形状が制御できない。
特許文献3に開示された技術は、特定の表面粗度を有するワークロールを用いて調質圧延を行うものであって、調質圧延機の上流側における金属帯の形状や、ワークロールの表面粗度についての経時的な変化を考慮していない。このため、調質圧延機の上流側における金属帯の反り高さが高くなった場合には、当該形状に追従して反り形状を十分に抑制できず、調質圧延後においても金属帯の反り高さが高いまま維持される場合がある。
これらの問題点を解決するには、調質圧延機の上流側における金属帯の反り形状(以後、この反り形状を入側反り形状と記載する。)を考慮して、調質圧延機の下流側における金属帯の反り形状(以後、この反り形状を出側反り形状と記載する。)を迅速に予測し、予測された出側反り形状に基づいて連続焼鈍設備の操業条件を制御することが有効である。しかしながら、入側反り形状を考慮して、調質圧延機の下流側における金属帯の反り形状を迅速に予測できる方法がないという課題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、金属帯の冷却を行う冷却帯と、冷却後の金属帯の形状矯正を行う調質圧延機を含む金属帯の連続焼鈍設備において、金属帯の入側反り形状に基づいて出側反り形状を迅速に予測できる金属帯の反り形状予測方法、当該反り形状予測方法を用いた金属帯の反り形状制御方法、金属帯の反り形状制御装置及び金属帯の製造方法、さらには、金属帯の反り形状予測方法に用いる反り形状予測モデルの生成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決できる本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 金属帯を加熱する加熱設備と、前記加熱設備で加熱された金属帯を冷却する冷却設備と、前記冷却設備で冷却された金属帯の形状を矯正する調質圧延機と、前記冷却設備と前記調質圧延機との間で、前記調質圧延機の上流側における前記金属帯の反り形状である入側反り形状を測定する入側反り形状測定装置と、を含む金属帯の連続焼鈍設備において、前記調質圧延機の下流側における前記金属帯の反り形状である出側反り形状を予測する金属帯の反り形状予測方法であって、前記入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、に基づいて前記出側反り形状を予測する、金属帯の反り形状予測方法。
[2] 前記入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、を含む入力データを入力とし、前記出側反り形状を出力とする反り形状予測モデルを用いて、前記出側反り形状を予測する、[1]に記載の金属帯の反り形状予測方法。
[3] 前記連続焼鈍設備は、さらに、前記冷却設備の上流側に設けられる冷却前反り形状測定装置を含み、前記冷却前反り形状測定装置によって測定された冷却前反り形状と、入側反り形状測定装置によって測定された入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、に基づいて前記出側反り形状を予測する、[1]に記載の金属帯の反り形状予測方法。
[4] 前記冷却前反り形状と、前記入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、を含む入力データを入力とし、前記出側反り形状を出力とする反り形状予測モデルを用いて前記出側反り形状を予測する、[3]に記載の金属帯の反り形状予測方法。
[5] [1]から[4]のいずれかに記載の金属帯の反り形状予測方法で予測された前記出側反り形状が目標値を超える場合に、前記出側反り形状が小さくなるように前記冷却設備の操業パラメータを設定する、金属帯の反り形状制御方法。
[6] 前記冷却設備は、前記金属帯の両面側から冷却流体を噴射する複数のノズルを有する冷却液体噴射装置と、前記金属帯を拘束する少なくとも一対の拘束ロールとを有し、前記冷却設備の操業パラメータは、前記一対の拘束ロールの前記金属帯への押し込み量、前記一対の拘束ロール間のオフセット量及び前記一対の拘束ロールのシフト量のうちの少なくとも1つである、[5]に記載の金属帯の反り形状制御方法。
[7] [5]又は[6]に記載の金属帯の反り形状制御方法を用いて、引張強度が980MPa以上である金属帯を製造する、金属帯の製造方法。
[8] 金属帯を加熱する加熱設備と、前記加熱設備で加熱された金属帯を冷却する冷却設備と、前記冷却設備で冷却された金属帯の形状を矯正する調質圧延機と、前記冷却設備と前記調質圧延機との間で、前記調質圧延機の上流側における前記金属帯の反り形状である入側反り形状を測定する入側反り形状測定装置と、前記調質圧延機の下流側で、前記調質圧延機の下流側における前記金属帯の反り形状である出側反り形状を測定する出側反り形状測定装置と、を含む金属帯の連続焼鈍設備において、前記調質圧延機の下流側における前記金属帯の反り形状である出側反り形状を予測する反り形状予測モデルの生成方法であって、前記入側反り形状測定装置によって測定された入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、前記出側反り形状測定装置によって測定された出側反り形状とを1組とするデータセットを複数取得し、取得された複数のデータセットを教師データとする機械学習によって、前記入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、を含む入力データを入力とし、前記出側反り形状を出力とする反り形状予測モデルを生成する、反り形状予測モデルの生成方法。
[9] 前記連続焼鈍設備は、さらに、前記冷却設備の上流側に設けられる冷却前反り形状測定装置を含み、前記冷却前反り形状測定装置によって測定された冷却前反り形状と、前記入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、前記出側反り形状とを1組とするデータセットを複数取得し、取得された複数のデータセットを教師データとする機械学習によって、前記冷却前反り形状と、前記入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、を含む入力データを入力とし、前記出側反り形状を出力とする反り形状予測モデルを生成する、[8]に記載の反り形状予測モデルの生成方法。
[10] 金属帯を加熱する加熱設備と、前記加熱設備で加熱された金属帯を冷却する冷却設備と、前記冷却設備で冷却された金属帯の形状を矯正する調質圧延機と、前記冷却設備と前記調質圧延機との間で、前記調質圧延機の上流側における前記金属帯の反り形状である入側反り形状を測定する入側反り形状測定装置と、を含む金属帯の連続焼鈍設備において、前記調質圧延機の下流側における前記金属帯の反り形状である出側反り形状を制御する金属帯の反り形状制御装置であって、前記入側反り形状測定装置によって測定された前記入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、を取得する取得部と、前記入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、を含む入力データを入力とし、前記出側反り形状を出力とする反り形状予測モデルを用いて前記出側反り形状を予測する反り形状予測部と、前記反り形状予測部によって予測された出側反り形状が目標値を超える場合に、前記出側反り形状が小さくなるように前記冷却設備の操業パラメータを特定する操業パラメータ特定部と、を有する、金属帯の反り形状制御装置。
[11] 前記連続焼鈍設備は、さらに、前記冷却設備の上流側に設けられる冷却前反り形状測定装置を含み、前記取得部は、前記冷却前反り形状測定装置によって測定された前記冷却前反り形状をさらに取得し、前記反り形状予測部は、前記冷却前反り形状と、前記入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、を含む入力データを入力とし、前記出側反り形状を出力とする反り形状予測モデルを用いて前記出側反り形状を予測する、[10]に記載の金属帯の反り形状制御装置。
本発明によれば、金属帯の加熱を行う加熱設備と、冷却を行う冷却設備と、冷却後の金属帯の形状矯正を行う調質圧延機を含む金属帯の連続焼鈍設備において、入側反り形状に基づいて調質圧延機の出側反り形状を迅速に予測できる。そして、予測された出側反り形状が小さくなるように冷却設備の操業パラメータを特定することで当該操業パラメータを冷却設備の操業条件にすることができ、これにより、板幅方向の反り高さが低減された金属帯の製造が実現できる。
図1は、本実施形態に係る金属帯の反り形状予測方法及び金属帯の反り形状制御方法が実施できる金属帯の製造設備の一例である連続焼鈍設備を示す模式図である。 図2は、冷却帯を構成する水冷方式の冷却設備の一例を示す模式図である。 図3は、金属帯の表面と裏面とで金属帯の進行方向に対してずらして配置した一対の拘束ロールの配置例を示す模式図である。 図4は、調質圧延機を含む調質圧延設備の一例を示す模式図である。 図5は、金属帯の板幅方向の反り形状の一例を示す模式図である。 図6は、レーザースキャン式のレーザー距離計を用いて金属帯の反り形状を測定する状態を示す模式図である。 図7は、複数のレーザースキャン式のレーザー距離計を用いて反り形状を測定する状態を示す模式図である。 図8は、反り形状制御装置の構成例を示す模式図である。 図9は、ニューラルネットワークを用いた機械学習モデルの例を示す図である。 図10は、本実施形態に係る金属帯の反り形状制御方法のフローを示すフロー図である。
以下、本発明を本発明の実施形態を通じて具体的に説明する。以下の実施形態は、本発明の好適な一例を示すものであり、これらの実施形態によって、本発明は何ら限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る金属帯の反り形状予測方法及び金属帯の反り形状制御方法は、連続的に搬送される金属帯を加熱する加熱設備と、当該加熱設備で加熱された金属帯の冷却を行う冷却設備と、当該冷却設備で冷却された金属帯の形状矯正を行う調質圧延機と、冷却設備と調質圧延機との間で、調質圧延機の上流側における金属帯の反り形状である入側反り形状を測定する入側反り形状測定装置とを含む連続焼鈍設備を用いて実施できる。この連続焼鈍設備は、例えば、板厚が0.4~3.2mmであり、板幅が700~1800mmであり、長さが600~4000mである金属帯を連続焼鈍して金属帯を製造する設備である。
図1は、本実施形態に係る金属帯の反り形状予測方法及び金属帯の反り形状制御方法が実施できる金属帯の製造設備の一例である連続焼鈍設備100を示す模式図である。連続焼鈍設備100は、入側設備20、炉体設備21及び出側設備24に大別される。入側設備20は、ペイオフリール2、溶接機3、入側ルーパー4を含む。炉体設備21は、焼鈍設備22及び再加熱設備23から構成される。焼鈍設備22は、加熱帯6、均熱帯7及び冷却帯8を含み、加熱帯6の上流側に予熱帯5を含む場合がある。再加熱設備23は、再加熱帯9、過時効帯10及び最終冷却帯11を含み、再加熱帯9には誘導加熱装置が配置される。出側設備24は、出側ルーパー12、検査台14、テンションリール15を含む。
加熱帯6には、金属帯1を昇温させる加熱設備が配置され、当該加熱設備を用いて金属帯1の成分組成に応じて600~900℃程度の範囲で予め設定された温度まで加熱する。加熱帯6では、直火あるいは輻射式の燃焼バーナーが用いられる。加熱帯6で実行される処理を加熱工程という。均熱帯7には、金属帯1を所定温度に保持する装置が配置される。金属帯1を所定温度に保持する装置は、炉体放散熱などを補う程度の加熱容量の装置である。
冷却帯8には、金属帯1を所定の温度まで冷却する冷却設備が配置される。当該冷却設備における冷却手段として液体冷却、ガスジェット冷却、ロール冷却、ミスト冷却(気液混合冷却)などが用いられる。液体冷却は、水を用いた水冷却(ウォータークエンチ)により行われることが多い。水冷却は、均熱帯7の下流側に設置された浸漬水槽に金属帯1を浸漬させて冷却する冷却手段である。ガスジェット冷却は、金属帯1の表面にノズルから気体を吹き付ける冷却手段である。ロール冷却は、金属帯1を水冷ロールに接触させて冷却する冷却手段である。ミスト冷却は、水を微細な霧状に噴霧してその気化熱の吸収により冷却を行う冷却手段である。ミスト冷却では、噴霧される水滴の大きさは0.1~1mm程度であることが多い。
再加熱設備23は、冷却帯8の下流側に配置され、冷却帯8において金属帯1を所定の温度まで冷却した後に、再加熱帯9に配置された誘導加熱装置等を用いて300~400℃程度の温度まで金属帯1を再加熱する。過時効帯10は、再加熱した金属帯1を所定時間保持する過時効処理を行う装置である。最終冷却帯11は過時効処理を行った金属帯1を室温付近まで最終冷却する装置である。ただし、再加熱設備23は連続焼鈍設備に必須な設備ではなく、連続焼鈍設備によっては備えていないものもある。
出側ルーパー12は、炉体設備21における金属帯1の搬送速度と、出側設備24における処理速度との調整を図るため、一時的に金属帯1を貯留する設備である。検査台14では金属帯1の寸法精度や表面品質などの検査が行われる。テンションリール15は、金属帯1をコイル状に巻き取る設備である。テンションリール15によりコイルとして巻き取られ、検査台14での品質検査により合格と判定された金属帯1は、製品コイルとして出荷される場合と、金属帯1のめっきを行う表面処理設備に送られ表面処理が行われる場合がある。一方、テンションリール15によりコイルとして巻き取られ、検査台14での品質検査により不合格又は保留と判定された金属帯1は、リコイルラインに送られ金属帯1の寸法や重量の調整、品質確性用のサンプル採取、形状・寸法検査、コイルの巻き直しなどが行われる。
調質圧延設備13は、出側ルーパー12と検査台14との間に配置される。調質圧延設備13に用いられるワークロールは、所定のタイミングで交換する必要がある。調質圧延設備13が出側ルーパー12の下流側に配置することで、ワークロールが交換される場合の炉体設備21における金属帯1の速度変更を当該出側ルーパー12によって抑制できる。
連続焼鈍設備100は、入側反り形状測定装置16を含む。入側反り形状測定装置16は、冷却帯8の冷却設備と調質圧延設備13との間に設けられ、金属帯1の入側反り形状を測定する。また、連続焼鈍設備100は、冷却前反り形状測定装置17及び出側反り形状測定装置18を含んでもよい。冷却前反り形状測定装置17は、冷却帯8に配置される冷却設備の上流側に設けられ、金属帯1の冷却帯8に配置される冷却設備の上流側における反り形状(以後、この反り形状を冷却前反り形状と記載する。)を測定する。冷却前反り形状測定装置17は、均熱帯7と冷却帯8との間に配置されることが好ましい。これにより、冷却直前の金属帯1の反り形状を測定できる。
出側反り形状測定装置18は、調質圧延設備13の下流側に設けられ、調質圧延後の金属帯1の出側反り形状を測定する。出側反り形状測定装置18は、検査台14の近傍に配置されることが好ましい。金属帯1の出側反り形状は、製品品質の検査項目となることがある。このため、出側反り形状測定装置18を検査台14の近傍に配置することで、他の品質検査の結果と対応付けが容易になる。調質圧延設備13から検査台14までの金属帯1の搬送距離は20~100mとなるのが通常であり、調質圧延設備13から検査台14までの搬送時間は2~120秒程度となる。
連続焼鈍設備100は、連続焼鈍設備100の操業を管理する制御用計算機50と、制御用コントローラ51と、反り形状制御装置52とを含む。制御用計算機50及び反り形状制御装置52は、いずれもワークステーションやパソコン等の汎用コンピュータで構成される。制御用コントローラ51には、例えば、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)のようにシーケンス制御を実行するための専用コンピュータが用いられる。
制御用コントローラ51は、連続焼鈍設備100を構成する各装置及び設備の操業条件を設定するとともに連続焼鈍設備100に設けられる各種センサからセンサ情報を取得する。制御用計算機50は、所望の製品品質の金属帯1を製造するための連続焼鈍設備100の各装置及び設備の製造条件を特定する。また、制御用計算機50は、制御用コントローラ51が取得したセンサ情報を収集し、金属帯1の操業実績に関する各種情報を取得し、格納する。さらに、制御用計算機50は、連続焼鈍設備100の上流側において、溶接機等によって接続される先行の金属帯1と後行の金属帯1との溶接部のトラッキングを行い、連続焼鈍設備100における溶接部の現在位置を特定する。
反り形状制御装置52は、入側反り形状測定装置16によって測定された入側反り形状と、調質圧延機40の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、に基づいて、金属帯1の出側反り形状を予測する。反り形状制御装置52は、入側反り形状と、調質圧延機40の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、を含む入力データを入力とし、出側反り形状を出力とする反り形状予測モデルを用いて金属帯1の出側反り形状を予測する。反り形状制御装置52は、反り形状予測モデルとして、例えば、機械学習により学習された学習済の機械学習モデルを用いる。
次に、冷却帯8について説明する。連続焼鈍設備100における冷却帯8は、加熱帯6で加熱された金属帯1の冷却を行う冷却設備を含む。この冷却帯8で実行される処理を冷却工程という。冷却帯8に適用される冷却方式は、水を冷媒とする液体冷却である水冷却(ウォータークエンチ)であることが好ましい。加熱帯6で加熱された金属帯1を、水冷却によってマルテンサイト変態開始温度(Ms)又はベイナイト変態開始温度(Bf)よりも低い温度まで冷却すると金属帯1が変形し、金属帯1の反り形状が変化する。このように金属帯1の反り形状が変化する場合、反り高さが高くなる方向に変化することが多い。
図2は、冷却帯8を構成する水冷方式の冷却設備30の一例を示す模式図である。冷却設備30は、複数の水噴射ノズル64を備える冷却液体噴射装置32、浸漬水槽34、デフレクターロール36、37を有する。また、冷却設備30は、金属帯1のばたつきを防止するための押さえロール31を有してもよい。浸漬水槽34を通過した金属帯1は、水切りロール38により金属帯1に付着した水が除去され、乾燥炉39で乾燥されてから再加熱帯9に送られる。
浸漬水槽34は容器形状に構成される。浸漬水槽34には、金属帯1を浸漬冷却するための冷却流体35が貯蔵される。浸漬水槽34内に貯蔵された冷却流体35の温度上昇を抑制して、冷却流体35の水温を所定の範囲に維持するために、浸漬水槽34内の冷却流体35を循環させて冷却する不図示の冷却チラーを備えてもよい。
冷却液体噴射装置32は、金属帯1に冷却流体35を噴射して冷却を行う。冷却液体噴射装置32には、走行する金属帯1の両面側に冷却流体35を噴射する一対の水噴射ノズル64が複数段配置されている。これらの複数段の水噴射ノズル64から、金属帯1の表裏面の両面に冷却流体を噴射することによって、均熱帯7を通過した金属帯1を効率的に冷却できる。
冷却液体噴射装置32は、金属帯1の変形を抑制し、金属帯1の形状が悪化するのを防止するための一対の拘束ロール33を有する。拘束ロール33は、金属帯1を表裏面側から挟むように配置される。一対の拘束ロール33のそれぞれは、金属帯1の表面と裏面とで金属帯1の進行方向に対して、ずらして配置してよい。
図3は、金属帯1の表面と裏面とで金属帯1の進行方向に対してずらして配置した一対の拘束ロール33a、33bの配置例を示す模式図である。図3(a)は、押し込み量及びオフセット量を説明する模式図であり、図3(b)は、拘束ロールのシフト量を説明する模式図である。
図3(a)に示すように、表裏に配置される拘束ロール33a、33bの金属帯1の進行方向におけるズレ量をオフセット量(拘束ロール間オフセット)という。また、表裏面に配置する拘束ロール33a、33bのうちの少なくとも一方は、金属帯1への押し込み量が可変となるように拘束ロール33を金属帯1に向けて変位させる位置調整機能を有することが好ましい。
金属帯1の表裏に配置される拘束ロール33a、33bの金属帯1の進行方向に対して垂直な方向におけるズレ量を押し込み量又は拘束ロールギャップという。図3(a)に示した例では、拘束ロール33aが固定され、拘束ロール33bが移動することで拘束ロール33bが金属帯1に押し込めるように構成される。この場合、移動する拘束ロール33bが金属帯1のパスラインから水平方向に突出する量を拘束ロールの押し込み量という。
さらに、冷却液体噴射装置32において金属帯1の進行方向に複数対の拘束ロール33を配置するようにしてもよい。冷却液体噴射装置32と共に複数対の拘束ロール33を配置することで、金属帯1のマルテンサイト変態開始温度(Ms)と終了温度(Mf)の間で、金属帯1の変形をより効果的に拘束できる。これにより、金属帯1が急冷される際に発生する熱収縮と相変態による体積変化に起因して発生する金属帯1の形状不良を抑制できる。この場合、拘束ロールの押し込み量は、押し込みを行うことが可能な拘束ロールごとに定義される。
また、一対の拘束ロール33a、33bの金属帯1の表面に垂直な方向の離隔距離を一定に維持しながら、金属帯1の表面側又は裏面側に変位させるようにしてもよい(拘束ロールシフト)。図3(b)に示す例では、表裏に配置される拘束ロール33a、33bの金属帯1の進行方向に対して垂直な方向におけるズレ量(押し込み量)を維持したまま、金属帯1を一方の方向に変位させている。この拘束ロール33aの変位量と拘束ロール33bの変位量との平均値を拘束ロールのシフト量という。拘束ロールシフトを行うことで、水噴射ノズル64と金属帯1との間の距離が一方の面で短くなり、他の方の面で長くなるので、金属帯1の表裏面で冷却能力に差異が生じて金属帯1の表裏面で発生する熱ひずみにも差異が生じ、これによって金属帯1の反り形状が変化する。
次に、調質圧延設備13について説明する。図4は、調質圧延機40を含む調質圧延設備13の一例を示す模式図である。調質圧延機40は、金属帯1に対して0.1~3.0%程度の伸びを付与して、金属帯1の形状を平坦化する装置である。
調質圧延設備13は、調質圧延機40と、入側ブライドルロール46と、入側張力計47と、出側張力計48と、出側ブライドルロール49と、を有する。調質圧延機40は、被圧延材である金属帯1に直接接触し、圧下する一対のワークロール41a、41bと、一対のワークロール41a、41bを上下から支持し、ワークロールの41a、41bのたわみを抑制するバックアップロール42a、42bとを有する。ワークロール41a、41b及びバックアップロール42a、42bのうち、少なくとも1つのロールは、一方の端部において、カップリングや減速機を介して駆動用電動機と接続され、駆動用電動機によって当該ロールが回転される。バックアップロール42aは、軸端部の軸受箱(バックアップロールチョック)44により支持される。圧下装置43は、軸受箱44を上下に変位させることで、ワークロール41aとワークロール41bとの隙間であるロールギャップを調整する。荷重検出器45は、調質圧延機40の圧延荷重を検出する。
調質圧延機40の前後には、入側ブライドルロール46、入側張力計47、出側張力計48及び出側ブライドルロール49が配置される。入側ブライドルロール46及び出側ブライドルロール49は、金属帯1に適切な張力を付与する。入側張力計47及び出側張力計48は、調質圧延機40と入側ブライドルロール46との間と、調質圧延機40と出側ブライドルロール49との間にそれぞれ設けられる。入側張力計47及び出側張力計48は、調質圧延機40の入側及び出側の金属帯1の張力を測定する。
調質圧延機40は、金属帯1を所定の伸長率で圧延する。伸長率とは、調質圧延前後における金属帯1の伸び率であり、調質圧延前後での金属帯1の長さの増加率で定義される。伸長率は、入側ブライドルロール46での周速と出側ブライドルロール49での周速との周速差によって測定される。
次に、本実施形態に係る金属帯の反り形状予測方法及び反り形状制御方法で予測、制御する反り形状について説明する。金属帯1の反りとして、L反り(長手反り)やC反り(幅反り)が知られている。このうち、C反りは、本実施形態に係る金属帯の反り形状予測方法及び反り形状制御方法で予測、制御する反り形状に含むが、L反りは含まない。L反りは、金属帯1が連続的に搬送される際のライン張力によって拘束され、オンラインでL反りを測定するのが困難だからである。本実施形態に係る金属帯の反り形状予測方法及び反り形状制御方法で予測、制御する反り形状は、金属帯1の板幅方向の断面形状が2次関数や円弧により近似されるC反りだけでなく、板幅方向の断面形状がW型となる反りや、3次以上の高次関数により近似される反りを含む。
金属帯1の板幅方向の反りは、冷却工程などに起因して金属帯1の板幅方向に発生する面内の応力を面内で維持できず、座屈により面外に変位することで発生する。これに対し、波形状の形状不良は、金属帯1の長手方向の伸びが板幅方向に分布することにより、金属帯1の長手方向に発生する面内の応力を面内で維持できず、座屈により面外に変位することで発生する。板幅方向の反り形状と波形状とは、座屈によって発生する面外変形である点では共通するものの座屈の発生原因となる応力の方向が、板幅方向であるか長手方向であるかという違いがある。
このため、波形状の場合には、金属帯1の長手方向に張力を付与すれば、板幅方向における伸び差(板幅方向における伸びの差)が吸収され、金属帯1の形状不良が潜在化(みかけ上、平坦な形状に変化)する。一方、板幅方向の反り形状の場合には、金属帯1の長手方向に付与する張力を変化させても板幅方向の応力に大きな影響を与えない。このため、金属帯1の長手方向に付与する張力を変化させても金属帯1の板幅方向の反り形状は変化しない。
特許文献2に開示されている接触式形状計は、調質圧延機と出側ブライドルロールの間に大きな張力(例えば、100~200MPa)を付与することで、金属帯1の形状不良を潜在化させて、板幅方向における接触荷重分布を測定する。すなわち、このような接触式形状計は、金属帯1の波形状を測定するものであって、板幅方向の反り形状を測定するものではない。また、波形状は、金属帯1の長手方向に対して、金属帯1の高さ方向の変位が周期的に変化するのに対して、反り形状は、金属帯1の長手方向に対する周期的な変位がみられないという違いがある。なお、金属帯1の波形状の周期は、金属帯1の長手方向で0.5~5m程度のピッチとなることが多い。
図5は、金属帯1の板幅方向の反り形状の一例を示す模式図である。図5に示す反り形状は、板厚1.2mm、板幅1200mmの高強度鋼板からなる金属帯1について、水焼き入れによる冷却工程及び調質圧延機40で圧延後に測定される反り形状例である。ただし、図5に示す反り高さは、板幅方向の最大高さにより規格化している。図5に示すように、高強度鋼板からなる金属帯1を水焼き入れにより急冷すると、板幅方向の反り形状は、高次関数によって近似される反り形状になる。
次に、入側反り形状測定装置16について説明する。入側反り形状測定装置16は、搬送される金属帯1の入側反り形状を測定して、金属帯1の板幅方向における金属帯1の高さに関する情報を取得する。金属帯1の高さに関する情報とは、例えば、金属帯1の板幅方向における反り高さの平均値、最大高さ又は標準偏差であってよく、また、反り高さの分布を特定する情報であってもよい。
金属帯1の反り高さの分布を特定する情報とは、例えば、図5に示した金属帯1の板幅方向の各位置における反り高さの分布を示す情報である。入側反り形状測定装置16は、金属帯1の入側反り形状として、板幅方向における反り高さの分布を示す曲線を任意の関数を用いて近似し、当該近似された関数を特定する係数を取得してもよい。
入側反り形状測定装置16は、金属帯1の入側反り形状として、図5に示した板幅方向の位置と反り高さとの関係を示す曲線から特定される曲率の分布を取得してもよい。さらに、入側反り形状測定装置16は、金属帯1の入側反り形状として、図5に示した板幅方向の位置と反り高さに対して離散フーリエ変換を行って、板幅方向の凹凸毎の強度を抽出し、凹凸のピッチと離散フーリエ変換により算出されるスペクトル強度との関係を取得してもよい。
また、入側反り形状測定装置16は、金属帯1の板幅方向の各位置における反り高さの分布を金属帯1の長手方向において1~5m程度の範囲で平均化して求めてもよい。このように、金属帯1の長手方向1~5m程度の範囲の反り高さを平均化することで、金属帯1が反り形状と波形状の両者を含むものであっても、波形状を除外して反り形状を特定できる。
入側反り形状測定装置16としては、金属帯1の板幅方向における高さ分布を測定できる装置であれば任意の装置を用いてよい。入側反り形状測定装置16として、例えば、レーザー距離計を用いてよい。非接触の距離計であるレーザー距離計を、搬送される金属帯1の板幅方向の異なる位置に複数配置し、当該レーザー距離計を用いて各位置での反り高さを測定してよい(距離測定法)。例えば、レーザー距離計を用いて板幅800~1900mmの金属帯1の反り高さを測定する場合、板幅方向の異なる位置に配置されるレーザー距離計の数は3以上100以下であることが好ましい。より好ましくは10~20である。レーザー距離計の数が3未満であると、金属帯1の板幅方向の反り形状を特定するのが困難になることから好ましくない。また、レーザー距離計の数を100より多くしても反り形状の測定精度が向上せず、設備コストが上昇することから好ましくない。
図6は、レーザースキャン式のレーザー距離計を用いて金属帯1の反り形状を測定する状態を示す模式図である。図6に示すように、入側反り形状測定装置16として、レーザースキャン式のレーザー距離計70を用いてもよい。レーザースキャン式のレーザー距離計は、レーザー光を扇状に走査して金属帯1の板幅方向の各位置との距離を測定し、測定した距離から板幅方向の各位置における高さを算出する。レーザースキャン式のレーザー距離計70を用いることで、搬送される金属帯1の上方から板幅方向にレーザー光をスキャンして、金属帯1の板幅方向における反り高さを測定できる。
図7は、複数のレーザースキャン式のレーザー距離計を用いて反り形状を測定する状態を示す模式図である。図7に示すように、入側反り形状測定装置16として、複数のレーザースキャン式のレーザー距離計70を用いてもよい。この場合、金属帯1の板幅方向に複数のレーザースキャン式のレーザー距離計70を並列配置して、金属帯1の板幅方向における反り高さを測定する。これにより、図6に示した装置よりも短時間で入側反り形状を測定できる。
また、入側反り形状測定装置16として、光切断法により入側反り形状を測定する装置を用いてもよい。光切断法では、金属帯1の上方から板幅方向に対して扇状に広がるレーザー光を照射するとともに金属帯1からの反射光を受光し、受光した反射光をイメージセンサで撮像し、撮像した画像に対して画像処理を行うことで金属帯1の反り高さを測定する。光切断法によって入側反り形状を測定する装置は、例えば、キーエンス社製のLJ-X8000シリーズや、LMT Technologies社製のGocatorである。
入側反り形状測定装置16による金属帯1の反り高さの測定精度は、1mm以下の測定精度を有することが好ましく、0.5mm以下の測定精度を有することがより好ましい。1mm以下の測定精度を有する入側反り形状測定装置16を用いることで、金属帯1の反り高さの上限が5~10mmの範囲に設定されたとしても、当該範囲内に金属帯1の反り高さを制御できる。
入側反り形状測定装置16による金属帯1の反り高さの測定は、金属帯1の長手方向に1m以下のピッチで測定することが好ましい。連続的に搬送される金属帯1に対する反り高さの測定周波数は10Hz以上であることが好ましく、20Hz以上であることがより好ましい。例えば、連続焼鈍設備100の出側設備24では、金属帯1が600m/min以上の速度で搬送されることがある。この搬送速度で金属帯1が搬送されたとしても、反り形状の測定周波数が10Hz以上であれば、金属帯1の長手方向に1m以下のピッチで反り形状を測定できる。なお、上記は入側反り形状測定装置16の説明になるが、当該説明は冷却前反り形状測定装置17及び出側反り形状測定装置18にも適用できる。
次に、反り形状制御装置52について説明する。図8は、反り形状制御装置52の構成例を示す模式図である。反り形状制御装置52は、制御部54と、入力部55と、出力部56と、記憶部57とを有する。制御部54は、例えば、CPU等であって、記憶部57から読み出したプログラムを実行することにより、制御部54を取得部58、反り形状予測部59、操業パラメータ特定部60及び反り形状予測モデル生成部61として機能させる。記憶部57は、例えば、更新記録可能なフラッシュメモリ、内蔵あるいはデータ通信端子で接続されたハードディスク、メモリーカード等の情報記録媒体及びその読み書き装置である。記憶部57には、制御部54が各機能を実行するためのプログラムや当該プログラムが使用するデータ等が格納されている。
記憶部57には、さらに、データベース62と、反り形状予測モデル63が格納されている。データベース62には、過去に調質圧延設備13で製造された金属帯1の入側反り形状の測定値、出側反り形状の測定値及び調質圧延機40の操業パラメータの少なくとも1つを1セットとするデータセットが格納されている。これらの測定値や操業パラメータは、制御用計算機50に収集・格納されており、制御用コントローラ51を介して、制御用計算機50から取得される。反り形状予測モデル63は、反り形状予測モデル生成部61によって予め作成されて、記憶部57に格納される。
本実施形態に係る金属帯の反り形状予測方法及び反り形状制御方法において、反り形状予測モデル63は、入側反り形状及び調質圧延機40の操業パラメータの少なくとも1つを含む入力データを入力とし、出側反り形状を出力とする学習済の機械学習モデルである。入側反り形状が金属帯1の板幅方向における反り高さの分布である場合、当該学習モデルに入力される入力データには、板幅方向の各位置における反り高さの値と、調質圧延機40の操業パラメータの少なくとも1つが含まれる。また、入側反り形状が金属帯1の板幅方向における反り高さの分布を近似した関数である場合、当該学習モデルに入力される入力データには、当該関数を特定する各係数と、調質圧延機40の操業パラメータの少なくとも1つが含まれる。
また、入側反り形状が金属帯1の板幅方向の位置と反り高さとの関係を示す曲線から特定される曲率の分布である場合、当該学習モデルに入力される入力データには、板幅方向の各位置における曲率の値と、調質圧延機40の操業パラメータの少なくとも1つが含まれる。さらに、入側反り形状が凹凸のピッチとスペクトル強度との関係である場合、当該学習モデルに入力される入力データには、凹凸のピッチにおけるスペクトル強度と、調質圧延機40の操業パラメータの少なくとも1つが含まれる。
また、出側反り形状として金属帯1の板幅方向における反り高さの分布を出力させる場合、反り形状予測モデルは、板幅方向の各位置における反り高さを出力する反り形状予測モデルが作成される。同様に、出側反り形状として反り高さを近似した関数を出力させる場合には、当該関数の各係数を出力する反り形状予測モデルが予め作成される。また、出側反り形状として曲率の分布を出力させる場合には、当該曲率を出力する反り形状予測モデルが予め作成される。さらに、出側反り形状として凹凸ピッチごとのスペクトル強度を出力させる場合には、当該凹凸ピッチごとのスペクトル強度を出力する反り形状予測モデルが作成される。
次に、取得部58、反り形状予測部59、操業パラメータ特定部60及び反り形状予測モデル生成部61が実行する処理について説明する。取得部58は、入側反り形状測定装置16から金属帯1の入側反り形状を取得する。また、取得部58は、制御用コントローラ51を介して、制御用計算機50から調質圧延機40の操業パラメータの少なくとも1つを取得する。このとき、取得部58は、入側反り形状測定装置16によって入側反り形状が測定された位置が調質圧延機40に到達したタイミングで調質圧延機40に設定されている操業パラメータの少なくとも1つを取得する。取得部58は、入側反り形状及び調質圧延機40の操業パラメータの少なくとも1つを反り形状予測部59に出力する。
反り形状予測部59は、入側反り形状及び調質圧延機40の操業パラメータの少なくとも1つを取得すると、記憶部57から反り形状予測モデル63を読み出し、当該反り形状予測モデルに入側反り形状及び調質圧延機40の操業パラメータの少なくとも1つを入力し、出側反り形状を出力させる。このようにして、反り形状予測部59は、出側反り形状を予測する。
ここで、取得部58が取得する調質圧延機40の操業パラメータについて説明する。出側反り形状の予測に用いる調質圧延機40の操業パラメータとは、調質圧延機40の操業条件のうち、金属帯1の反り形状に影響を与える操業条件の設定値である。
このような調質圧延機40の操業パラメータとして、金属帯1の調質圧延を行う際の伸長率(伸び率)、圧延荷重、ワークロール41a、41bのロールギャップを用いることができる。また、入側ブライドルロール46と調質圧延機40との間で金属帯1に付与される張力(入側張力)や、出側ブライドルロール49と調質圧延機40との間で金属帯1に付与される張力(出側張力)を用いてもよい。これら張力は、ワークロール41a、41bによる圧下により金属帯1に付与される塑性変形の大きさに影響し、金属帯1に付与される塑性変形の大きさにより、反り形状が変化するからである。
さらに、調質圧延機40の操業パラメータとして、調質圧延機40の形状制御アクチュエータであるワークロールベンダーのベンダー力を用いてもよい。調質圧延機40のワークロールベンダーは、ワークロール41a、41bに対して曲げ力を付与して、ワークロール41a、41bのたわみを調整する形状制御アクチュエータである。ワークロールベンダーのベンダー力を調整することで、ワークロール41a、41bのたわみが調整され、金属帯1の板幅方向に圧下率又は伸長率の分布が形成される。この圧下率又は伸長率の分布が形成されたワークロール41a、41bで調質圧延することで、金属帯1の板幅方向の反り形状を制御できる。
反り形状予測部59は、予測した出側反り形状を操業パラメータ特定部60に出力する。操業パラメータ特定部60は、まず、予測された出側反り形状が予め設定された目標値(反り目標値)以下であるか否かを判定する。目標値は、取得部58及び制御用コントローラ51を介して制御用計算機50から取得してもよく、オペレータにより入力部55から入力されてもよい。また、目標値を予め記憶部57に格納しておき、記憶部57から目標値を読み出してもよい。反り形状予測部59によって予測された出側反り形状が目標値を超えると判定した場合に、操業パラメータ特定部60は、金属帯1の出側反り形状を小さくできる冷却設備30の操業パラメータを特定する。
操業パラメータ特定部60が特定する冷却設備30の操業パラメータは、冷却による金属帯1の反り形状の変化に対する影響が大きい操業パラメータであることが好ましい。このような冷却設備30の操業パラメータとして、冷却設備30の拘束ロール33の押し込み量、拘束ロール33間のオフセット量及び拘束ロールのシフト量のうちのいずれか1つを用いてよい。
例えば、拘束ロール33の押し込み量を用いる場合、当該押し込み量を小さくする(拘束ロールを閉める)ことで、冷却中の金属帯1に生じる熱収縮や相変態によるひずみに起因する金属帯1の反りを低減できる。これにより、金属帯1の出側反り形状を小さくできる。
また、拘束ロール33間のオフセット量を用いる場合、当該オフセット量を小さくすることで、冷却中の金属帯1の変形を拘束する作用が大きくなり、金属帯1の反りが低減する。これにより、金属帯1の出側反り形状を小さくできる。
さらに、拘束ロール33のシフト量を用いる場合、当該シフト量を変更することにより、金属帯1の表面と液体噴射ノズルとの間の距離を変化させ、金属帯1の表裏における冷却強度に差をもたせることで反り形状を変化させることができる。この反り形状の変化を反りが小さくなる方向に制御することで、金属帯1の出側反り形状を小さくできる。
なお、冷却設備30の操業パラメータとして、液体噴射ノズルから噴射する水量を用いてもよい。金属帯1の表裏側で水量差をつけることによっても、反り形状を変化させることができる。ただし、液体噴射ノズルから噴射する水量の制御の応答性は必ずしも高くないので、冷却設備30の操業パラメータとしては、拘束ロール33のシフト量を用いることが好ましい。
操業パラメータ特定部60は、特定した冷却設備30の操業パラメータを制御用コントローラ51に出力する。制御用コントローラ51は、操業パラメータ特定部60から取得した操業パラメータを用いて、冷却設備30の操業条件を変更する。なお、操業パラメータ特定部60は、特定した冷却設備30の操業パラメータを出力部56に表示させ、当該操業パラメータを用いてオペレータにより冷却設備30の操業条件を変更させてもよい。
このようにして、調質圧延機40を通過した直後に金属帯1の出側反り形状が予測され、予測された出側反り形状が目標値以下になるように冷却設備30の操業条件が制御される。このように冷却設備30を制御することで、連続焼鈍設備100の下流側に配置された検査台14で出側反り形状を実測し、当該出側反り形状に基づいて、冷却設備30の操業条件を制御するよりも迅速に制御でき、金属帯1の出側反り形状に不良部分が生じた場合に、当該不良部分を少なくすることができる。
このような制御は、金属帯1の先端部から尾端部までの全長に渡って実施することが好ましい。これにより、金属帯1の全長で出側反り形状が目標値以下となり、反り形状に優れた金属帯1の製造が実現できる。加熱設備及び冷却設備を含む連続焼鈍設備100では、金属帯1が急冷され、金属帯1の反り形状が悪化しやすい。特に、引張強度が980MPa以上の金属帯1は、急冷によって反り形状が悪化しやすくなることから、本実施形態に係る金属帯の反り形状制御方法を適用することで、反り形状不良による歩留低下を抑制しつつ、反り形状に優れた金属帯1の製造が実現できる。
また、本実施形態に係る金属帯の反り形状制御方法において、冷却設備30の操業パラメータを特定し、設定するのは、連続焼鈍設備100において、金属帯1の反り形状を大きく変化させるのは冷却設備30における冷却工程であるからである。一方、出側反り形状を制御するために調質圧延機40の操業条件を制御することも考えられるが、調質圧延機40は金属帯1の形状矯正だけでなく、金属帯1の機械的性質を調整する機能も有するので、調質圧延機40では金属帯1の伸長率を変更できる範囲が限られる。このため、出側反り形状の矯正のために変更できる操業条件の範囲が限られ、反り高さを目標値以下にできる操業条件にできるとは限らない。従って、本実施形態に係る金属帯の反り形状制御方法では、出側反り形状を小さくできる冷却設備30の操業パラメータを特定し、設定することとした。
次に、反り形状予測モデル生成部61による反り形状予測モデル63の生成方法について説明する。反り形状予測モデル63を生成する場合には、調質圧延機40の上流側で金属帯1の入側反り形状を測定する入側反り形状測定装置16と、調質圧延機40の下流側で金属帯1の出側反り形状を測定する出側反り形状測定装置18とを用いて入側反り形状及び出側反り形状の測定データを取得する。
制御用計算機50は、金属帯1の溶接部のトラッキング情報を生成している。金属帯1の搬送速度に関する情報及びトラッキング情報を用いることで、制御用計算機50は、金属帯1の先端溶接部からの距離に対応付けて入側反り形状及び出側反り形状を取得し、格納する。その際、調質圧延機40では金属帯1に伸びを付与するので、制御用計算機50は、調質圧延機40の伸長率に応じて出側反り形状測定装置18によって測定される先端溶接部からの位置を補正することが好ましい。さらに、制御用計算機50は、金属帯1の先端溶接部からの距離に対応付けて調質圧延機40の操業パラメータを取得し、格納する。
取得部58は、制御用コントローラ51を介して、制御用計算機50から金属帯1の先端溶接部からの距離が同一となる位置における入側反り形状及び出側反り形状の測定値と、当該位置が調質圧延機40を通過する際の調質圧延機40の操業パラメータの少なくとも1つとを1組とするデータセットを取得する。取得部58は、取得したデータセットを記憶部57のデータベース62に格納する。データベース62には、200以上のデータセットが格納されることが好ましく、1000以上のデータセットがデータベース62に格納されることがさらに好ましい。
また、取得部58は、上記データセットを金属帯1の先端部(例えば、先端溶接部から20m以内)、定常部、尾端部(例えば、尾端の溶接部から20m以内)からそれぞれ取得することが好ましい。金属製品では、慣用的に先端部、定常部、尾端部における検査によって製品の出荷可否が判断される。このため、当該検査に対応させるために、先端部、定常部、尾端部のデータセットをそれぞれ取得することが好ましい。
さらに、取得部58は、金属帯1の先端から尾端まで、所定のピッチで金属帯1の全長のデータセットを取得することが好ましい。当該データセットを取得するピッチは5m以上20m以下の範囲内で設定することが好ましい。このように金属帯1の全長にわたるデータセットをデータベース62に格納し、当該データセットを用いて反り形状予測モデルを作成することで、高い精度で出側反り形状を予測できる反り形状予測モデルとなる。また、取得部58は、一定のデータセット数を上限として、その上限内でデータベース62格納されるデータセットを適宜更新してもよい。
反り形状予測モデル生成部61は、データベース62に格納されたデータセットを用いて、入側反り形状と調質圧延機40の操業パラメータのうちの少なくとも1つとを含む入力データを入力とし、出側反り形状を出力とする反り形状予測モデル63を生成する。反り形状予測モデル63が学習済の機械学習モデルである場合、反り形状予測モデル生成部61は、データベース62に格納されたデータセットを教師データとして機械学習モデルを機械学習させ、学習済の機械学習モデルを生成する。機械学習モデルとしては、一般的に用いられるニューラルネットワーク(深層学習や畳み込みニューラルネットワーク等を含む)、決定木学習、ランダムフォレスト、サポートベクター回帰等を用いてよい。また、複数のモデルを組み合わせたアンサンブルモデルを用いてもよい。
図9は、ニューラルネットワークを用いた機械学習モデルの例を示す図である。反り形状予測モデル63は、例えば、図9に示すような一般的なニューラルネットワークを用いた機械学習モデルを用いて生成できる。図9のL1、L2、L3はそれぞれ入力層、中間層、及び出力層である。特に、多層構造のニューラルネットワークを用いた深層学習を用いると多重共線性の問題を考慮せず、金属帯1の反り形状と相関関係を有する他の操業パラメータも入力として自由に選択できるため、金属帯1の出側反り形状の予測精度を高めることができる。図9に示したように、ニューラルネットワークとしては、中間層が2~3層、ノード数が18~512個ずつのニューラルネットワークを用いることができ、活性化関数としてシグモイド関数を用いることができる。出力層は、反り形状予測モデルの出力とする数値の数と一致するようにノード数を設定すればよい。例えば、反り形状予測モデルが板幅方向の各位置における反り高さを出力するものである場合には、出力層の数を、反り高さを特定する板幅方向の位置の数とすればよい。また、反り形状予測モデルが反り高さを近似した関数を出力するものである場合には、出力層の数を、当該関数を特定するための係数の数とすればよい。
また、反り形状予測モデル生成部61は、データベース62に格納されたデータセットを教師データとテストデータとに分けて機械学習を行ってもよい。このように、データセットを教師データとテストデータとに分けることで、反り形状予測モデル生成部61は、教師データを用いてニューラルネットワークの重み係数の学習を行うとともに、テストデータでの出側反り形状の正解率が高くなるようにニューラルネットワークの構造(中間層の数やノード数)を変更しながら反り形状予測モデルを生成できる。このような反り形状予測モデル63を生成することで、反り形状予測モデル63による出側反り形状の推定精度を向上させることができる。
さらに、反り形状予測モデル63の重み係数は更新されてもよく、当該重み係数の更新には、誤差伝播法を用いてもよい。また、反り形状予測モデル63は、例えば、6ヶ月毎又は1年毎に機械学習することにより新たな反り形状予測モデルに更新してもよい。最新のデータを含むデータセットを用いて反り形状予測モデルを更新することにより、調質圧延機40の状態が経時変化したとしても、最新の状態を反り形状予測モデルに反映できる。
図10は、本実施形態に係る金属帯の反り形状制御方法のフローを示すフロー図である。図10を用いて、本実施形態に係る金属帯の反り形状制御方法の流れを説明する。本実施形態に係る金属帯の反り形状制御方法のフローは、例えば、連続焼鈍設備100、制御用計算機50、制御用コントローラ51及び反り形状制御装置52が立ち上げられたことを条件として開始される。
まず、取得部58が入側反り形状測定装置16から入側反り形状を取得する。さらに、取得部58は、入側反り形状を測定した位置が、調質圧延機40に到達したタイミングで制御用コントローラ51から調質圧延機40に設定されている操業条件のうちの少なくとも1つを取得する(ステップS101)。取得部58は、取得した入側反り形状及び調質圧延機40の操業条件のうちの少なくとも1つを反り形状予測部59に出力する。
反り形状予測部59は、記憶部57から反り形状予測モデル63を読み出し、当該反り形状予測モデル63に入側反り形状及び調質圧延機40の操業条件のうちの少なくとも1つを入力して出側反り形状を出力させ、出側反り形状を予測する(ステップS102)。反り形状予測部59は、予測した出側反り形状を操業パラメータ特定部60に出力する。
操業パラメータ特定部60は、出側反り形状を取得すると、当該出側反り形状が目標値を超えるか否かを判断する(ステップS103)。出側反り形状が目標値を超えると判断した場合(ステップS103:Yes)、操業パラメータ特定部60は、出側反り形状を小さくできる冷却設備30の操業パラメータを特定する(ステップS104)。一方、出側反り形状が目標値以下と判断した場合(ステップS103:No)、操業パラメータ特定部60は処理をステップS101に戻し、ステップS101からの処理を繰り返し実行させる。
出側反り形状を小さくできる冷却設備30の操業パラメータを特定すると、操業パラメータ特定部60は、当該操業パラメータを制御用コントローラ51に出力し、制御用コントローラ51によって冷却設備30の操業条件は変更される。操業パラメータ特定部60は、操業パラメータを出力した後に、制御用コントローラ51から、または入力部55を介してオペレータから制御終了の指示が入力されたか否かを判断する(ステップS106)。操業パラメータ特定部60は、制御終了の入力がされていると判断した場合(ステップS106:Yes)、金属帯の反り形状制御方法の処理を終了する。また、操業パラメータ特定部60は、制御終了の入力がされていないと判断した場合、処理をステップS101に戻し、ステップS101からの処理を繰り返し実行する。そして、冷却設備30の操業パラメータが変更された後の入側反り形状を用いて予測された出側反り形状に対して、再び、ステップS103において、目標値を超えるか否かが判断される。この処理が繰り返し実行されることで出側反り形状が目標値以下となる鋼帯1が製造できるようになる。
このように、本実施形態に係る金属帯の反り形状制御方法を実施することで、金属帯1が調質圧延機40に到達したタイミングで、金属帯1の入側反り形状に基づいて出側反り形状を迅速に予測できる。そして、予測された出側反り形状が小さくなるように冷却設備30の操業パラメータを特定することで当該操業パラメータを冷却設備30の操業条件にすることができ、これにより、板幅方向の反り高さが低減された金属帯1の製造が実現できる。
<他の実施形態>
次に、本実施形態に係る金属帯の形状予測方法の他の実施形態について説明する。本実施形態に係る反り形状予測方法として、反り形状予測部59が入側反り形状と調質圧延機40の操業パラメータのうちの少なくとも1つとを含む入力データを入力とし、出側反り形状を出力とする学習済の機械学習モデルを用いて出側反り形状を予測する例を示したがこれに限らない。例えば、入側反り形状及び出側反り形状として金属帯1の板幅方向の反り高さの平均値、反り高さの最大値、又は、反り高さの標準偏差などを用いる場合、反り形状予測部59は、出側反り形状を入側反り形状と調質圧延機40の操業パラメータのうちの少なくとも1つを用いた関数式を用いて出側反り形状を予測してもよい。この場合、反り形状予測部59は、下記(1)式に示す関数fを用いて出側反り形状を予測する。
HO=f(HI、g)・・・(1)
上記(1)式において、HOは出側反り高さ(mm)であり、HIは入側反り高さ(mm)であり、gは調質圧延機40の操業パラメータである。
調質圧延機40の操業パラメータgは、調質圧延機40の操業条件のうち、金属帯1の反り形状に影響を与える操業条件の設定値であり、例えば、調質圧延機40によって金属帯1に付与される伸長率や、ワークロールベンダーのベンダー力などのスカラー量で表されるパラメータを単独又は複数用いることができる。通常は、伸長率が増加すると、出側反り高さHOが低下する傾向にあり、入側反り高さHIが大きいほど同一の伸長率を付与しても出側反り高さHOが低下しにくい傾向にあるため、関数fとしてHIやgの一次又は二次式で表される関数を適用できる。関数fは、データベース62に格納されたデータセットを用いた重回帰分析により生成され、予め、記憶部57に格納される。
また、連続焼鈍設備100の加熱帯6と冷却帯8との間に冷却前反り形状測定装置17が設けられている場合、反り形状予測部59は、冷却前反り形状と、入側反り形状と、調質圧延機40の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、を含む入力データを入力とし、出側反り形状を出力とする学習済の機械学習モデルを用いて出側反り形状を予測してもよい。この場合、データベース62には、冷却前反り形状の測定値、入側反り形状の測定値、調質圧延機40の操業パラメータのうちの少なくとも1つ及び出側反り形状の測定値を1セットとするデータセットが複数格納される。反り形状予測モデル生成部61は、反り形状予測モデル63として、当該データセットを教師データとして機械学習された学習済の機械学習モデルを生成する。
金属帯1の冷却前反り高さが高いと冷却帯8の冷却によって金属帯1に形成される反り形状も大きくなり、この結果、調質圧延機40の下流側における出側反り形状も大きくなる。このように、金属帯1の冷却前反り形状と出側反り形状とには相関関係があることから、冷却前反り形状を入力データに含めることで、学習済の機械学習モデルを用いた出側反り形状の予測精度を向上させることができる。
さらに、連続焼鈍設備100の加熱帯6と冷却帯8との間に冷却前反り形状測定装置17が設けられている場合においても、入側反り形状及び出側反り形状として金属帯1の板幅方向の反り高さの平均値、反り高さの最大値、又は、反り高さの標準偏差などを用いる場合には、出側反り形状を冷却前反り形状と入側反り形状と調質圧延機40の操業パラメータを用いた関数式を用いて出側反り形状を予測してもよい。この場合、反り形状予測部59は、下記(2)式に示す関数f2を用いて出側反り形状を予測する。
HO=f2(HI、HC、g)・・・(2)
上記(2)式において、HOは出側反り高さ(mm)であり、HIは入側反り高さ(mm)であり、HCは冷却前反り高さ(mm)であり、gは調質圧延機40の操業パラメータである。関数f2は、関数fと同様に、データベース62に蓄積されたデータセットを用いた重回帰分析により生成され、予め、記憶部57に格納される。
このように、金属帯の反り形状予測方法の他の実施形態を用いても、金属帯1が調質圧延機40に到達したタイミングで、調質圧延機40の下流側における出側反り形状を迅速に予測できる。そして、予測された出側反り形状が小さくなるように冷却設備30の操業パラメータを特定することで当該操業パラメータを冷却設備30の操業条件にすることができ、これにより、板幅方向の反り高さが低減された金属帯1の製造が実現できる。
なお、図1に示した例において、制御用計算機50、制御用コントローラ51及び反り形状制御装置52がそれぞれ別の装置である例を示したがこれに限らない。制御用計算機50、制御用コントローラ51は1つの装置であってもよく、制御用コントローラ51及び反り形状制御装置52は1つの装置であってもよい。さらに、制御用計算機50、制御用コントローラ51及び反り形状制御装置52が1つの装置であってもよい。
本発明の実施例として、図1に示した連続焼鈍設備100を用いて、金属帯の出側反り形状を予測した実施例1について説明する。第1実施例に用いた金属帯は、引張強度TSの規格が980MPaであって、板厚1.4mm、板幅1007mmの高強度鋼板である。
連続焼鈍設備100は、加熱帯6に金属帯を加熱する加熱設備を備え、冷却帯8に水冷却(ウォータークエンチ)を行う冷却設備30を有する。金属帯は加熱設備により加熱され、冷却設備30によりマルテンサイト変態開始温度(Ms)よりも低い温度まで冷却されて出側設備24に搬送される。調質圧延機40は、出側設備24に配置され、最終冷却帯11の出口部に入側反り形状測定装置16を配置すると共に、検査台14に出側反り形状測定装置18を配置した。
調質圧延機40のワークロールの直径は470mmであり、ワークロールの表面粗さはRa5.4μmであった。調質圧延機40の入側張力と出側張力を70kNに設定し、ロールギャップを変更することにより調質圧延の伸長率を0.1~0.2%の範囲で変化させた。
実施例1では、入側反り形状測定装置16により測定された入側反り形状の測定データと、出側反り形状測定装置18により測定された出側反り形状の測定データと、調質圧延機40の操業実績データと、を金属帯の長手方向における同一位置の情報として取得し、これらデータを1組とするデータセットをデータベース62に格納した。データベース62に格納したデータセットは、1本の金属帯について長手方向の位置ごとに50~200個である。そして、データベース62に、20本の金属帯に対するデータセットが格納された段階で、反り形状予測モデル生成部61により反り形状予測モデルを生成した。その際、反り形状予測モデル生成部61ではデータベース62に格納された3000個のデータセットのうち2100個を機械学習モデルの教師用データとして、残りの900個をテスト用データとしてデータセットのデータ分割を行い、出側反り形状の予測精度を評価した。
反り形状予測モデルの入力に用いた調質圧延機40の操業実績データは、調質圧延機40により金属帯に付与した伸長率と、ワークロールベンダーの実績値である。反り形状予測モデルに入力した入側反り形状の測定データは、入側反り形状の板幅方向における反り高さの最大値と、反り高さの平均値との2つを選択した。また、反り形状予測モデルの出力となる出側反り形状の実績データについても出側反り形状の板幅方向における反り高さの最大値と、反り高さの平均値の2つを選択した。
実施例1では、反り形状予測モデルとして図9に示したニューラルネットワークを用いた。ニューラルネットワークとしては、中間層が3層、ノード数が256個ずつのニューラルネットワークを用い、活性化関数としてシグモイド関数を用いた。
このようにして生成された反り形状予測モデルに対して、データベースに蓄積された900個のテスト用データを用いて、反り形状予測モデルによる出側反り形状の板幅方向における反り高さの最大値、平均高さの予測精度を検証した。その結果、テスト用データに対して反り形状予測モデルから出力された出側反り形状の最大値と、対応する出側反り形状の最大値の測定値との誤差平均は0.5mmとなり、標準偏差は0.4mmとなった。また、出側反り形状の平均高さの予測値と、対応する測定値との誤差平均は0.3mmとなり、標準偏差は0.2mmとなった。これらの結果から、反り形状予測モデルにより出側反り形状が精度よく予測できることが確認された。
次に、図1に示した連続焼鈍設備100を用いて、金属帯の出側反り形状を制御した実施例2を説明する。本実施例に用いた金属帯は、引張強度TSの規格が1310MPaであって、板厚1.4mm、板幅1000mmの高強度鋼板である。
冷却設備30における金属帯の冷却開始温度は740℃であり、冷却終了温度は30℃であった。冷却液体噴射装置32から噴射した冷却流体量は1000m/hrであり、冷却流体水温は30℃であった。冷却設備30を通過する金属帯の搬送速度は50~80m/minであった。冷却液体噴射装置32には、金属帯の変形を抑制し、金属帯の形状が悪化するのを防止するための一対の拘束ロール33を設けた。拘束ロール33のロール径は150mmであり、拘束ロール33間のオフセット量は80mmであった。
調質圧延機40のワークロール41a、41bの直径は470mmであり、ワークロール41a、41bの表面粗さはRa5.4μmであった。調質圧延機40の入側張力と出側張力を70kNに設定し、ロールギャップを変更することにより調質圧延の伸長率を0.1~0.2%の範囲で変化させた。
入側反り形状測定装置16及び出側反り形状測定装置18には、光切断法を用いた反り高さの測定手段として、キーエンス社製のLJ-X8900を2台、金属帯の板幅方向に並列配置して、金属帯の反り形状を長手方向に5mピッチで測定した。
実施例2では、先ず、取得部58により、入側反り形状測定装置16により測定された入側反り形状の測定データと、出側反り形状測定装置18により測定された出側反り形状の測定データと、調質圧延機40の操業パラメータとを1組とするデータセットを取得した。金属帯の長手方向において溶接部からの距離が同じとなる測定データを1組としたデータセットを取得し、データベース62に格納した。データベース62には、20本の金属帯に対するデータセットを格納した。データセットに含まれる入側反り形状と出側反り形状は、金属帯の板幅方向における反り高さの最大値を用いた。また、調質圧延機40の操業パラメータとしては、調質圧延機40により金属帯に付与した伸長率と、ワークロールベンダーのベンダー力の設定値を用いた。
第2実施例では、データベース62に格納されたデータセットを用いて、出側反り高さ状HOを、入側反り高さHIと調質圧延の操業パラメータgとを入力とする関数fに近似した。関数fは、変数としてHI、g1(伸長率)、g2(ワークロールベンダーのベンダー力)の線形結合により表し、それぞれの係数は最小二乗法によって算出した。このようにして算出した関数fを用いて出側反り形状を予測した。この実施例を発明例1、2とした。
また、データベース62に格納されたデータセットを教師データとして機械学習させた反り形状予測モデルを生成し、当該反り形状予測モデルを用いて出側反り形状を予測した。この実施例を発明例3~5とした。発明例3~5の反り形状予測モデルとして、図9に示したニューラルネットワークを用いた。ニューラルネットワークとしては、中間層が3層、ノード数が256個ずつのニューラルネットワークを用い、活性化関数としてシグモイド関数を用いた。
さらに、実施例2では、上記の反り形状予測モデル及び反り形状予測部59を用いて、新たに製造する金属帯の出側反り形状の予測を行った。操業パラメータ特定部60では出側反り形状の目標値(反り目標値)と、反り形状予測部59によって予測された出側反り形状とを比較した。反り目標値を6mmとし、反り形状予測モデルから出力された出側反り形状の反り高さが6mm以下である場合に、操業パラメータ特定部60はOKと判定し、出側反り形状の反り高さが6mmを超える場合にNGと判定した。操業パラメータ特定部60により出側反り形状がNGと判定された場合に、操業パラメータ特定部60は、反り高さを低減できる冷却設備30の操業パラメータを特定した。操業パラメータ特定部60は、該操業パラメータを制御用コントローラ51に出力することで、冷却設備30の操業条件を変更させた。このようにして、操業パラメータ特定部60によって特定された操業パラメータを冷却設備30の操業条件に反映させた。
発明例1、3では、冷却設備30の操業パラメータとして拘束ロール33の押し込み量を用いた。発明例2、4では、冷却設備30の操業パラメータとして拘束ロール33のシフト量を用いた。発明例5では、冷却設備30の操業パラメータとして拘束ロール33の押し込み量及び拘束ロール33のシフト量の2つを用いた。
一方、比較例1は、出側反り形状を予測することなく、冷却設備30において拘束ロール33を開放(拘束ロールが水平方向に160mm隔離した状態)させて金属帯を製造した例である。比較例2は、出側反り形状を予測することなく、冷却設備30において拘束ロール33を使用し、パスライン位置に一致するように拘束ロールの押し込み量を0mmとして金属帯を製造した例である。なお、拘束ロールの押し込み量が0mmであっても、金属帯はその板厚に相当する押し込みを受けている状態となっている。
発明例1~5、比較例1、2では金属帯をそれぞれ5本製造した。その際、操業パラメータ特定部60及び制御用コントローラ51による制御は、調質圧延機40において金属帯を圧延中に金属帯の長手方向に対して10mピッチで実施し、金属帯の長手方向における出側反り形状を制御した。第2実施例における発明例1~5、比較例1、2の制御条件及び金属帯の最大反り高さの測定結果を表1に示す。
Figure 0007414193000001
表1に示した最大反り高さは、長手方向の各位置を含む5本の金属帯において最も大きな反り高さを示している。なお、表中の「拘束ロールギャップ」及び「拘束ロールシフト」の値は、冷却設備30の操業条件として設定された値の範囲を表している。拘束ロール33のシフト量は、金属帯の裏面側を-、表面側を+としてパスライン位置からの拘束ロールのシフト量である。表1に示すように、発明例1~5においては、金属帯の最大反り高さが比較例1、2よりも低い値になった。
比較例1の金属帯の最大反り高さは35mmと非常に大きな値となった。また、比較例2では、発明例1~5のように出側反り形状を予測していないことから、冷却設備30の操業パラメータは一定値に固定されている。比較例2の金属帯の最大反り高さは9mmとなり、比較例1に比べて大幅に低減しているものの金属帯の一部において反り目標値(6mm)を達成できず、不合格となる部分が生じた。このように、本実施形態に係る金属帯の反り形状予測方法で金属帯の出側反り形状を迅速に予測し、予測された出側反り形状が小さくなるように冷却設備の操業パラメータを特定し、設定することで金属帯の長手方向の全長にわたって出側反り形状が反り目標値以下となり、本発明の反り形状制御方法が高強度鋼板の製造に有効であることが確認された。
1 金属帯
2 ペイオフリール
3 溶接機
4 入側ルーパー
5 予熱帯
6 加熱帯
7 均熱帯
8 冷却帯
9 再加熱帯
10 過時効帯
11 最終冷却帯
12 出側ルーパー
13 調質圧延設備
14 検査台
15 テンションリール
16 入側反り形状測定装置
17 冷却前反り形状測定装置
18 出側反り形状測定装置
21 炉体設備
22 焼鈍設備
23 再加熱設備
24 出側設備
30 冷却設備
31 押さえロール
32 冷却液体噴射装置
33 拘束ロール
34 浸漬水槽
35 冷却流体
36 デフレクターロール
37 デフレクターロール
38 水切りロール
39 乾燥炉
40 調質圧延機
41a、41b ワークロール
42a、42b バックアップロール
43 圧下装置
44 軸受箱
45 荷重検出器
46 入側ブライドルロール
47 入側張力計
48 出側張力計
49 出側ブライドルロール
50 制御用計算機
51 制御用コントローラ
52 反り形状制御装置
54 制御部
55 入力部
56 出力部
57 記憶部
58 取得部
59 反り形状予測部
60 操業パラメータ特定部
61 反り形状予測モデル生成部
62 データベース
63 反り形状予測モデル
64 水噴射ノズル
70 レーザー距離計

Claims (12)

  1. 金属帯を加熱する加熱設備と、前記加熱設備で加熱された金属帯を冷却する冷却設備と、前記冷却設備で冷却された金属帯の形状を矯正する調質圧延機と、前記冷却設備と前記調質圧延機との間で、前記調質圧延機の上流側における前記金属帯の反り形状である入側反り形状を測定する入側反り形状測定装置と、を含む金属帯の連続焼鈍設備において、前記調質圧延機の下流側における前記金属帯の反り形状である出側反り形状を予測する金属帯の反り形状予測方法であって、
    前記入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、に基づいて前記出側反り形状を予測する、金属帯の反り形状予測方法。
  2. 前記入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、を含む入力データを入力とし、前記出側反り形状を出力とする反り形状予測モデルを用いて、前記出側反り形状を予測する、請求項1に記載の金属帯の反り形状予測方法。
  3. 前記連続焼鈍設備は、さらに、前記冷却設備の上流側に設けられる冷却前反り形状測定装置を含み、
    前記冷却前反り形状測定装置によって測定された冷却前反り形状と、入側反り形状測定装置によって測定された入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、に基づいて前記出側反り形状を予測する、請求項1に記載の金属帯の反り形状予測方法。
  4. 前記冷却前反り形状と、前記入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、を含む入力データを入力とし、前記出側反り形状を出力とする反り形状予測モデルを用いて前記出側反り形状を予測する、請求項3に記載の金属帯の反り形状予測方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の金属帯の反り形状予測方法で予測された前記出側反り形状が目標値を超える場合に、前記出側反り形状が小さくなるように前記冷却設備の操業パラメータを設定する、金属帯の反り形状制御方法。
  6. 前記冷却設備は、前記金属帯の両面側から冷却流体を噴射する複数のノズルを有する冷却液体噴射装置と、前記金属帯を拘束する少なくとも一対の拘束ロールとを有し、
    前記冷却設備の操業パラメータは、前記一対の拘束ロールの前記金属帯への押し込み量、前記一対の拘束ロール間のオフセット量及び前記一対の拘束ロールのシフト量のうちの少なくとも1つである、請求項5に記載の金属帯の反り形状制御方法。
  7. 請求項5に記載の金属帯の反り形状制御方法を用いて、引張強度が980MPa以上である金属帯を製造する、金属帯の製造方法。
  8. 請求項6に記載の金属帯の反り形状制御方法を用いて、引張強度が980MPa以上である金属帯を製造する、金属帯の製造方法。
  9. 金属帯を加熱する加熱設備と、前記加熱設備で加熱された金属帯を冷却する冷却設備と、前記冷却設備で冷却された金属帯の形状を矯正する調質圧延機と、前記冷却設備と前記調質圧延機との間で、前記調質圧延機の上流側における前記金属帯の反り形状である入側反り形状を測定する入側反り形状測定装置と、前記調質圧延機の下流側で、前記調質圧延機の下流側における前記金属帯の反り形状である出側反り形状を測定する出側反り形状測定装置と、を含む金属帯の連続焼鈍設備において、前記調質圧延機の下流側における前記金属帯の反り形状である出側反り形状を予測する反り形状予測モデルの生成方法であって、
    前記入側反り形状測定装置によって測定された入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、前記出側反り形状測定装置によって測定された出側反り形状とを1組とするデータセットを複数取得し、取得された複数のデータセットを教師データとする機械学習によって、前記入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、を含む入力データを入力とし、前記出側反り形状を出力とする反り形状予測モデルを生成する、反り形状予測モデルの生成方法。
  10. 前記連続焼鈍設備は、さらに、前記冷却設備の上流側に設けられる冷却前反り形状測定装置を含み、
    前記冷却前反り形状測定装置によって測定された冷却前反り形状と、前記入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、前記出側反り形状とを1組とするデータセットを複数取得し、取得された複数のデータセットを教師データとする機械学習によって、前記冷却前反り形状と、前記入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、を含む入力データを入力とし、前記出側反り形状を出力とする反り形状予測モデルを生成する、請求項9に記載の反り形状予測モデルの生成方法。
  11. 金属帯を加熱する加熱設備と、前記加熱設備で加熱された金属帯を冷却する冷却設備と、前記冷却設備で冷却された金属帯の形状を矯正する調質圧延機と、前記冷却設備と前記調質圧延機との間で、前記調質圧延機の上流側における前記金属帯の反り形状である入側反り形状を測定する入側反り形状測定装置と、を含む金属帯の連続焼鈍設備において、前記調質圧延機の下流側における前記金属帯の反り形状である出側反り形状を制御する金属帯の反り形状制御装置であって、
    前記入側反り形状測定装置によって測定された前記入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、を取得する取得部と、
    前記入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、を含む入力データを入力とし、前記出側反り形状を出力とする反り形状予測モデルを用いて前記出側反り形状を予測する反り形状予測部と、
    前記反り形状予測部によって予測された出側反り形状が目標値を超える場合に、前記出側反り形状が小さくなるように前記冷却設備の操業パラメータを特定する操業パラメータ特定部と、
    を有する、金属帯の反り形状制御装置。
  12. 前記連続焼鈍設備は、さらに、前記冷却設備の上流側に設けられる冷却前反り形状測定装置を含み、
    前記取得部は、前記冷却前反り形状測定装置によって測定された前記冷却前反り形状をさらに取得し、
    前記反り形状予測部は、前記冷却前反り形状と、前記入側反り形状と、前記調質圧延機の操業パラメータのうちの少なくとも1つと、を含む入力データを入力とし、前記出側反り形状を出力とする反り形状予測モデルを用いて前記出側反り形状を予測する、請求項11に記載の金属帯の反り形状制御装置。
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JP2021098213A (ja) 2019-12-23 2021-07-01 Jfeスチール株式会社 熱間圧延の反り予測方法、反り制御方法、熱延鋼板の製造方法、反り予測モデルの生成方法、及び熱延設備
JP2022014800A (ja) 2020-07-07 2022-01-20 Jfeスチール株式会社 金属帯の圧延制御方法、圧延制御装置、及び製造方法

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