JP7413125B2 - 2液硬化型ポリウレタン組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、2液硬化型ポリウレタン組成物に関する。
2液硬化型ポリウレタン組成物は、ポリイソシアネート(硬化剤)とポリオール(主剤)とのウレタン化反応および硬化により、ポリウレタン樹脂を形成する組成物であり、塗料、接着剤などとして使用される。
このような2液硬化型ポリウレタン組成物には、ポリイソシアネート(硬化剤)とポリオール(主剤)とを混合した後、硬化するまでの可使時間(ポットライフ)を、比較的長くすることが要求される。そこで、ウレタン化反応を遅延させる反応遅延剤を、主剤、硬化剤またはこれらの混合物に添加することが検討される。
反応遅延剤としては、例えば、環状α-ヒドロキシケトンおよび/または3つの隣接OH基を含有するトリフェノールから選択される遅延物質が提案されており、例えば、トリメチロールプロパンおよびポリエステルポリオールと、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートとの混合液に、遅延物質として、没食子酸などを添加することが、提案されている(例えば、特許文献1(実施例)参照。)。
特表2014-517089号公報
一方、ポリウレタン樹脂の機械物性(硬度)などの向上を図るため、硬化剤として、キシリレンジイソシアネートの誘導体を用いることが、提案されている。
しかしながら、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体、とりわけ、ビスマス触媒を用いて得られるキシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体を用いる場合には、上記の没食子酸などの遅延物質を添加しても、可使時間(ポットライフ)を十分に得られないという不具合がある。
本発明は、優れた可使時間を有する2液硬化型ポリウレタン組成物である。
本発明[1]は、硬化剤と主剤と反応遅延剤とを含む2液硬化型ポリウレタン組成物であって、前記硬化剤は、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体およびビスマスを含むポリイソシアネート成分を含有し、前記主剤は、ポリオール成分を含有し、前記反応遅延剤は、マルトールおよび/または没食子酸アルキルエステルを含有する
、2液硬化型ポリウレタン組成物を含んでいる。
本発明[2]は、前記没食子酸アルキルエステルが、没食子酸エチルエステルを含む、上記[1]に記載の2液硬化型ポリウレタン組成物を含んでいる。
本発明[3]は、ビスマス1モルに対して、マルトールおよび没食子酸アルキルエステルの総量が、5モル以上5000モル以下である、上記[1]または[2]に記載の2液硬化型ポリウレタン組成物を含んでいる。
本発明の2液硬化型ポリウレタン組成物では、硬化剤が、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体とビスマスとを含有する場合において、反応遅延剤が、マルトールおよび/または没食子酸アルキルエステルを含むため、十分な可使時間を確保することができる。
本発明の2液硬化型ポリウレタン組成物は、硬化剤と主剤とがそれぞれ独立したパッケージとして調製され、それらが使用時に配合されることによりポリウレタン樹脂(硬化塗膜など)を形成する樹脂組成物(樹脂キット)である。
より具体的には、2液硬化型ポリウレタン組成物は、硬化剤と、主剤と、反応遅延剤とを含有している。
硬化剤は、ポリイソシアネート成分を含有している。ポリイソシアネート成分は、遊離のイソシアネート基を含有する成分である。
ポリイソシアネート成分は、アロファネート組成物を含有している。
アロファネート組成物は、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体と、ビスマスとを含有している。
より具体的には、アロファネート組成物は、主成分(例えば、アロファネート組成物に対して90質量%以上)として、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体を含有し、また、副成分として、ビスマスを含有する。
なお、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体とは、分子中に1つ以上のアロファネート基を含有するキシリレンジイソシアネートのアルコール変性体である。
アロファネート組成物(キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体およびビスマスを含む。)は、例えば、まず、キシリレンジイソシアネートと、アルコールとをウレタン化反応させ、次いで、得られた反応液を、ビスマスを含むアロファネート化触媒(以下、ビスマス含有触媒)の存在下でアロファネート化反応させることにより、得ることができる。
より具体的には、この方法では、まず、キシリレンジイソシアネートとアルコールとを、ウレタン化反応させ、キシリレンジイソシアネートのウレタン化物を得る。
キシリレンジイソシアネートとしては、1,2-キシリレンジイソシアネート(o-キシリレンジイソシアネート(o-XDI))、1,3-キシリレンジイソシアネート(m-キシリレンジイソシアネート(m-XDI))、1,4-キシリレンジイソシアネート(p-キシリレンジイソシアネート(p-XDI))が、構造異性体として挙げられる。
これらキシリレンジイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
キシリレンジイソシアネートとして、好ましくは、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、より好ましくは、1,3-キシリレンジイソシアネートが挙げられる。
アルコールとしては、例えば、脂肪族アルコール、芳香族アルコールなどが挙げられ、好ましくは、脂肪族アルコールが挙げられる。脂肪族アルコールとしては、例えば、1価の脂肪族アルコール、2価の脂肪族アルコールなどが挙げられる。
1価の脂肪族アルコールとしては、例えば、直鎖状の1価脂肪族アルコール、分岐状の1価脂肪族アルコールなどが挙げられる。
直鎖状の1価脂肪族アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、n-ノナノール、n-デカノール、n-ウンデカノール、n-ドデカノール(ラウリルアルコール)、n-トリデカノール、n-テトラデカノール、n-ペンタデカノール、n-ヘキサデカノール、n-ヘプタデカノール、n-オクタデカノール(ステアリルアルコール)、n-ノナデカノール、エイコサノールなど、炭素数1~20の直鎖状1価脂肪族アルコールなどが挙げられる。
分岐状の1価脂肪族アルコールとしては、例えば、イソプロパノール、イソブタノール(イソブチルアルコール)、sec-ブタノール、tert-ブタノール、イソペンタノール、イソヘキサノール、イソヘプタノール、イソオクタノール、2-エチルヘキサノール、イソノナノール、イソデカノール、5-エチル-2-ノナノール、トリメチルノニルアルコール、2-ヘキシルデカノール、3,9-ジエチル-6-トリデカノール、2-イソヘプチルイソウンデカノール、2-オクチルドデカノール、その他の分岐状アルカノール(炭素数5~20)など、炭素数1~20の分岐状1価脂肪族アルコールなどが挙げられる。
2価の脂肪族アルコールとしては、例えば、メタンジオール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、その他の直鎖状のアルカン(C7~20)ジオールなどの直鎖状の2価脂肪族アルコール、例えば、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチルー1,3-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、その他の分岐状のアルカン(C7~20)ジオールなどの分岐状の2価脂肪族アルコール、例えば、1,1-、1,3-または1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,3-または1,4-シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールAなどの脂環式の2価脂肪族アルコールなど、炭素数1~20の2価の脂肪族アルコールなどが挙げられる。
また、アルコールは、分子中に1つ以上のヒドロキシ基を有していれば、それ以外の分子構造は、本発明の優れた効果を阻害しない限り、特に制限されず、例えば、分子中に、エステル基、エーテル基、シクロヘキサン環、芳香環などを有することもできる。このようなアルコールとしては、例えば、上記脂肪族アルコールとアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなど)との付加重合物(2種類以上のアルキレンオキサイドのランダムおよび/またはブロック重合物)であるエーテル基含有アルコール、上記脂肪族アルコールとラクトン(例えば、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトンなど)との付加重合物であるエステル基含有アルコールなどが挙げられる。
これらアルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
アルコールとしては、好ましくは、脂肪族アルコールが挙げられ、より好ましくは、1価の脂肪族アルコールが挙げられ、さらに好ましくは、分岐状の1価脂肪族アルコールが挙げられる。
換言すれば、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体が、好ましくは、キシリレンジイソシアネートと脂肪族アルコール(より好ましくは、1価の脂肪族アルコール、さらに好ましくは、分岐状の1価脂肪族アルコール)との反応生成物を含む。
また、脂肪族アルコールとしては、好ましくは、炭素数が1~20の脂肪族アルコール、より好ましくは、炭素数が2~20の脂肪族アルコール、さらに好ましくは、炭素数が2~8の脂肪族アルコールが挙げられ、とりわけ好ましくは、炭素数が2~6の脂肪族アルコールが挙げられる。
アルコールの配合割合は、キシリレンジイソシアネート100質量部に対して、例えば、1.0質量部以上、好ましくは、2.0質量部以上、より好ましくは、3.0質量部以上、より好ましくは、3.5質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、20質量部以下、より好ましくは、10質量部以下である。
また、アルコールのヒドロキシ基に対する、キシリレンジイソシアネートのイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が、イソシアネート基過剰であり、例えば、5以上、好ましくは、10以上、より好ましくは、15以上、さらに好ましくは、20以上であり、例えば、1000以下、好ましくは、100以下、より好ましくは、50以下である。
また、必要に応じて、上記したアルコールと、例えば、チオール類、オキシム類、ラクタム類、フェノール類、βジケトン類などとを、適宜の割合で併用することができる。
ウレタン化反応における反応条件としては、例えば、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気、常圧(大気圧)下において、反応温度が、例えば、室温(例えば、25℃)以上、好ましくは、40℃以上、より好ましくは、60℃以上であり、例えば、100℃以下、好ましくは、90℃以下、より好ましくは、80℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.05時間以上、好ましくは、0.2時間以上、より好ましくは、1時間以上、さらに好ましくは、3時間以上であり、例えば、10時間以下、好ましくは、6時間以下、より好ましくは、4時間以下である。
また、上記ウレタン化反応においては、必要に応じて、例えば、アミン類、有機金属化合物、カリウム塩などの公知のウレタン化触媒を、適宜の割合で添加してもよい。好ましくは、無触媒でウレタン化反応させる。
これらウレタン化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
なお、ウレタン化触媒の配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
次いで、この方法では、ウレタン化反応により得られる反応液に、アロファネート化触媒を配合し、キシリレンジイソシアネートとアルコールとの反応生成物を、アロファネート化反応させる。
ビスマスを含有するアロファネート化触媒(ビスマス含有触媒)としては、ビスマスを含有していれば、特に制限されず、公知のビスマス系アロファネート化触媒が挙げられ、より具体的には、例えば、ビスマスのカルボン酸塩(カルボン酸ビスマス)が挙げられる。
カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オクチル酸、2-エチルヘキサン酸などの飽和脂肪族カルボン酸、例えば、シクロヘキサンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸などの飽和単環カルボン酸、例えば、ビシクロ(4.4.0)デカン-2-カルボン酸などの飽和複環カルボン酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸などの不飽和脂肪族カルボン酸、例えば、ジフェニル酢酸などの芳香脂肪族カルボン酸、例えば、安息香酸、トルイル酸などの芳香族カルボン酸などが挙げられる。
これらカルボン酸は、単独使用または2種類以上併用することができる。カルボン酸として、好ましくは、飽和脂肪族カルボン酸が挙げられる。
これらビスマス含有触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ビスマス含有触媒として、アロファネート化時間を短縮する観点から、好ましくは、カルボン酸ビスマスが挙げられる。
ビスマス含有触媒において、ビスマスの含有割合(Bi濃度)は、ビスマス含有触媒の固形分の総量に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、13質量%以上、より好ましくは、15質量%以上であり、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、35質量%以下である。
なお、ビスマスの含有割合(Bi濃度)は、ビスマス含有触媒の固形分の総量(例えば、ビスマス金属およびカルボン酸の総量)に対するビスマス金属の質量割合であって、蛍光X線分析などにより、測定することができる。
また、アロファネート化触媒は、固形分100%として用いてもよく、また、アロファネート化触媒(ビスマス含有触媒)を有機溶媒に溶解させた触媒溶液を使用してもよい。
有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリルなど)、アルキルエステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなど)、グリコールエーテルエステル類(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネートなど)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、極性非プロトン類(例えば、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N’-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなど)などが挙げられる。有機溶媒は、単独使用または2種以上併用することができる。
アロファネート化触媒(固形分)の添加割合は、キシリレンジイソシアネート100質量部に対して、例えば、0.001質量部以上、好ましくは、0.005質量部以上、より好ましくは、0.01質量部以上であり、例えば、0.3質量部以下、好ましくは、0.2質量部以下、より好ましくは、0.1質量部以下である。
アロファネート化反応の反応条件としては、例えば、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気、常圧(大気圧)下、反応温度が、0℃以上、好ましくは、20℃以上、より好ましくは、40℃以上、さらに好ましくは、60℃以上、とりわけ好ましくは、70℃以上であり、例えば、160℃以下、好ましくは、140℃以下、より好ましくは、120℃以下、さらに好ましくは、100℃以下である。また、反応時間が、例えば、30分以上、好ましくは、1時間以上、より好ましくは、5時間以上、さらに好ましくは、8時間以上であり、例えば、48時間以下、より好ましくは、24時間以下、さらに好ましくは、12時間以下である。
そして、上記のアロファネート化反応では、好ましくは、任意のタイミングで、触媒失活剤を添加し、反応を停止させる。触媒失活剤を添加するタイミングは、例えば、赤外分光法(IR法)により測定されるウレタン基/アロファネート基のIR比が、例えば、0.3以下、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.1以下に到達した時点などである。
触媒失活剤としては、例えば、リン酸、カルボン酸(例えば、モノクロロ酢酸)、スルホン酸(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、オルトトルエンスルホン酸など)、スルホンアミド(例えば、パラトルエンスルホンアミド、オルトトルエンスルホンアミドなど)、ベンゾイルクロリドなどが挙げられる。触媒失活剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。また、触媒失活剤の配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
これにより、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体を得ることができる。
また、上記のウレタン化反応およびアロファネート化反応では、必要により、有機溶媒を、適宜の割合で配合することができる。
また、上記のウレタン化反応およびアロファネート化反応では、必要に応じて、例えば、酸化防止剤、助触媒(例えば、有機亜リン酸エステルなど)などの公知の添加剤を添加することができる。添加剤として、好ましくは、酸化防止剤が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、4-メチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール(BHT)、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのヒンダードフェノール系酸化防止剤、例えば、ビス(2,4-ジt-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2-エチルヘキシル)ホスファイトなどのリン系酸化防止剤、例えば、2,5-チオフェンジイルビス(5-t-ブチルー1,3-ベンゾキサゾールなどのチオフェン系酸化防止剤などが挙げられる。
これら酸化防止剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。酸化防止剤として、好ましくは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。
なお、添加剤の添加割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、添加剤を添加するタイミングは、特に制限されず、ウレタン化反応前のキシリレンジイソシアネートに添加してもよく、また、ウレタン化反応および/またはアロファネート化反応中の反応液に添加してもよく、さらには、ウレタン化反応およびアロファネート化反応後の反応液に添加してもよい。
これにより、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体と、ビスマスとを含有するアロファネート組成物が得られる。
また、上記の方法では、上記アロファネート化反応の終了後、必要に応じて、得られる反応混合液から、未反応のキシリレンジイソシアネート(さらに、必要に応じて、触媒、反応溶媒および/または触媒失活剤など)を、例えば、薄膜蒸留(スミス蒸留)などの蒸留や、抽出などの公知の方法で除去し、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体(アロファネート組成物)を精製することができる。
なお、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体を精製する場合には、その精製条件は、アロファネート組成物中にビスマス原子が残存するように、調整される。
アロファネート組成物中のビスマスの含有割合は、アロファネート組成物の総量に対して、例えば、10ppm以上、好ましくは、20ppm以上、より好ましくは、50ppm以上であり、例えば、200ppm以下、好ましくは、150ppm以下、より好ましくは、100ppm以下である。
ビスマスの含有割合は、後述する実施例に準拠して、蛍光X線分析(XRF分析)により、ビスマス原子の含有量として求めることができる(以下同様)。
なお、上記の方法において、キシリレンジイソシアネートのウレタン化反応およびアロファネート化反応では、反応条件によっては、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体に加え、その他のキシリレンジイソシアネート誘導体が副生成物として得られる。その他のキシリレンジイソシアネート誘導体は、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体を除く誘導体であり、例えば、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレート誘導体、キシリレンジイソシアネートのウレトジオン2分子体(ダイマー)などが挙げられる。
つまり、アロファネート組成物は、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体と、その他のキシリレンジイソシアネート誘導体とを含有できる。
アロファネート組成物は、好ましくは、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレート誘導体を含有しないか、または、イソシアヌレート誘導体の含有割合が比較的少量である。
より具体的には、アロファネート組成物中のアロファネート基と、アロファネート組成物中のイソシアヌレート基との総量100モルに対して、アロファネート基が、例えば、90モル以上、好ましくは、93モル以上、より好ましくは、95モル以上、さらに好ましくは、98モル以上、とりわけ好ましくは、100モルである。
すなわち、アロファネート組成物は、好ましくは、イソシアヌレート基を含有しない。
なお、アロファネート組成物中のアロファネート基とイソシアヌレート基との比率は、H-NMR測定および13C-NMR測定によって、公知の方法で求めることができる。
また、アロファネート組成物において、イソシアネート基濃度(固形分100質量%)は、例えば、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上、より好ましくは、16質量%以上であり、例えば、45質量%以下、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、35質量%以下である。
また、アロファネート組成物のイソシアネートモノマー濃度(未反応のキシリレンジイソシアネートの濃度)は、例えば、5質量%以下、好ましくは、2質量%以下、さらに好ましくは、1質量%以下である。
アロファネート組成物の総量に対して、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体の割合は、例えば、90質量%以上、好ましくは、95質量%以上、より好ましくは、98質量%以上であり、例えば、99.9質量%以下である。
また、ポリイソシアネート成分は、例えば、上記アロファネート組成物を除くポリイソシアネート(例えば、公知のポリイソシアネート単量体、公知のポリイソシアネート誘導体など)を含むこともできるが、好ましくは、アロファネート組成物からなる。
硬化剤は、必要に応じて、上記の有機溶剤を含むことができる。すなわち、硬化剤として、上記のポリイソシアネート成分を希釈した希釈液を用いることができる。
硬化剤(ポリイソシアネート成分の希釈液)において、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体とビスマスとの総濃度(固形分濃度)は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、例えば、100質量%以下である。
主剤は、ポリオール成分を含有している。ポリオール成分は、遊離の水酸基を含有する成分である。
ポリオール成分としては、高分子量ポリオール、低分子量ポリオールが挙げられる。
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量300以上、好ましくは、400以上、さらに好ましくは、500以上、例えば、5000以下、好ましくは、3000以下の化合物であって、例えば、ポリエーテルポリオール(例えば、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオールなど)、ポリエステルポリオール(例えば、アジピン酸系ポリエステルポリオール、フタル酸系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオールなど)、酸変性ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール(例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどを公知のポリイソシアネートによりウレタン変性したポリオール)、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ビニルモノマー変性ポリオールなどが挙げられる。
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
高分子量ポリオールとして、好ましくは、ポリエーテルポリオール、酸変性ポリエステルポリオール、アクリルポリオールが挙げられる。
とりわけ、塗料(後述)における高分子量ポリオールとして、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオールが挙げられる。また、接着剤(後述)における高分子量ポリオールとして、好ましくは、ポリエステルポリオールが挙げられる
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量300未満、好ましくは、400未満、例えば、40以上の化合物であって、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,2-トリメチルペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、アルカン(C7~20)ジオール、1,3-または1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,3-または1,4-シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールA、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどが挙げられる。
これら低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
これらポリオール成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリオール成分として、好ましくは、高分子量ポリオールが挙げられる。ポリオールは、より好ましくは、低分子量ポリオールを含有せず、高分子量ポリオールからなる。
主剤は、必要に応じて、上記の有機溶剤を含むことができる。すなわち、主剤として、上記のポリオール成分を希釈した希釈液を用いることができる。
主剤(ポリオール成分の希釈液)において、ポリオールの濃度は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、2液硬化型ポリウレタン組成物において、主剤の割合は、主剤(ポリオール)中の水酸基に対する硬化剤(ポリイソシアネート成分)中のイソシアネート基の当量比が後述の範囲となるように、適宜調整される。
反応遅延剤は、マルトールおよび/または没食子酸アルキルエステルを含む。
マルトールは、3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オンである。
マルトールは、公知の方法で合成することができ、また、市販品として購入することもできる。
没食子酸アルキルエステルとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1~20の没食子酸アルキルエステルなどが挙げられ、より具体的には、例えば、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸イソプロピル、没食子酸ブチル、没食子酸イソブチル、没食子酸s-ブチル、没食子酸t-ブチル、没食子酸ペンチル、没食子酸ヘキシル、没食子酸ヘプチル、没食子酸オクチル、没食子酸2-エチルヘキシル、没食子酸ノニル、没食子酸デシル、没食子酸ウンデシル、没食子酸ドデシル、没食子酸トリデシル、没食子酸ステアリルなどの没食子酸C1~20アルキルエステルなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
没食子酸アルキルエステルとして、使用量を低減し、低コスト化を図り、さらに、易混合性の向上、および、色相の低減を図る観点から、好ましくは、アルキル基の炭素数が1~20の没食子酸アルキルエステル、より好ましくは、アルキル基の炭素数が1~12の没食子酸アルキルエステル、さらに好ましくは、アルキル基の炭素数が2~6の没食子酸アルキルエステル、とりわけ好ましくは、アルキル基の炭素数が2の没食子酸アルキルエステル、すなわち、没食子酸エチルが挙げられる。
反応遅延剤は、さらに、その他の反応遅延剤を含むことができる。
その他の反応遅延剤は、マルトールおよび没食子酸アルキルエステルを除く反応遅延剤であり、例えば、没食子酸(非エステル化物)、タンニン酸、ピロガロール、5-アルキル-ピロガロール、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-フラノン、2-ヒドロキシエチル-4-ヒドロキシ-フラノン、2-ヒドロキシエチル-1,4-ナフトキノン、マルトール、エチルマルトール、コウジ酸、α-トロポロン、5-アルキル-トロポロン、5-ヒドロキシアルキル-トロポロン、β-ツヤプリシン、フラボノ-ル、モリン、フィセチンなどが挙げられる。これらその他の反応遅延剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
その他の反応遅延剤の割合は、本発明の優れた効果を損なわない範囲において、適宜選択される。
反応遅延剤において、マルトールおよび没食子酸アルキルエステルの割合(総量)は、反応遅延剤の総量に対して、例えば、50質量%以上、好ましくは、55質量%以上、より好ましくは、80質量%以上、さらに好ましくは、90質量%以上、とりわけ好ましくは、100%である。
すなわち、反応遅延剤は、好ましくは、マルトールおよび/または没食子酸アルキルエステルからなり、その他の反応遅延剤を含有しない。
マルトールおよび/または没食子酸アルキルエステルとして、好ましくは、マルトールの単独使用、または、没食子酸アルキルエステルの単独使用が挙げられ、より好ましくは、マルトールの単独使用が挙げられる。
2液硬化型ポリウレタン組成物において、反応遅延剤は、上記主剤および上記硬化剤の少なくともいずれか一方と予め混合されていてもよく、また、上記主剤および上記硬化剤とは別途用意され、主剤および硬化剤の混合時(後述)に添加されてもよく、さらには、主剤および硬化剤の混合後(後述)、得られる混合物に添加されてもよい。
反応遅延剤は、可使時間を長くする観点から、好ましくは、上記硬化剤とは混合されず、上記主剤と予め混合されるか、または、主剤および硬化剤の混合時(後述)に添加される。より好ましくは、反応遅延剤は、上記主剤と予め混合される。
反応遅延剤の割合は、例えば、硬化剤、主剤および反応遅延剤の混合物において、硬化剤(ポリイソシアネート)中のビスマス1モルに対する、マルトールおよび没食子酸アルキルエステルの総量が、所定の範囲となるように、調整される。
より具体的には、マルトールおよび没食子酸アルキルエステルの総量が、ビスマス1モルに対して、ポットライフの観点から、例えば、1モル以上、好ましくは、5モル以上、より好ましくは、10モル以上、さらに好ましくは、50モル以上、さらに好ましくは、100モル以上、さらに好ましくは、500モル以上、とりわけ好ましくは、1000モル以上であり、ポリウレタン樹脂の機械物性の観点から、例えば、10000モル以下、好ましくは、5000モル以下、より好ましくは、4000モル以下、さらに好ましくは、3500モル以下、さらに好ましくは、3000モル以下、さらに好ましくは、2500モル以下、とりわけ好ましくは、2000モル以下である。
また、2液硬化型ポリウレタン組成物は、必要に応じて、さらに、その他の添加剤(上記の反応遅延剤を除く添加剤)を含むことができる。
その他の添加剤としては、例えば、可塑剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、酸化防止剤、離型剤、触媒、さらには、顔料、染料、滑剤、フィラー、加水分解防止剤などが挙げられる。
2液硬化型ポリウレタン組成物において、その他の添加剤の添加割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
2液硬化型ポリウレタン組成物において、その他の添加剤は、上記主剤および上記硬化剤の少なくともいずれか一方に含有されていてもよく、また、上記主剤および上記硬化剤とは別途用意され、主剤および硬化剤の混合時(後述)に添加されてもよく、さらには、主剤および硬化剤の混合後(後述)、得られる混合物に添加されてもよい。
そして、2液硬化型ポリウレタン組成物は、塗料(2液硬化型塗料)、接着剤(2液硬化型接着剤)などとして好適に用いられる。
より具体的には、例えば、主剤および反応遅延剤を含む第1液(A液)と、硬化剤を含む第2液(B液)とをそれぞれ用意し、使用直前に、第1液と第2液とを混合して、2液硬化型ポリウレタン混合物(塗料、接着剤)を調製することができる。
また、例えば、主剤を含む第1液(A液)と、硬化剤を含む第2液(B液)と、反応遅延剤を含む第3液(C液)とをそれぞれ用意し、使用直前に、第1液と第2液と第3液とを混合して、2液硬化型ポリウレタン混合物(塗料、接着剤)を調製することもできる。
また、例えば、主剤を含む第1液(A液)と、硬化剤を含む第2液(B液)と、反応遅延剤を含む第3液(C液)とをそれぞれ用意し、使用直前に、第1液と第2液とを混合し、その後、得られた混合液に、さらに、第3液を添加および混合して、2液硬化型ポリウレタン混合物(塗料、接着剤)を調製することもできる。
好ましくは、主剤および反応遅延剤を含む第1液(A液)と、硬化剤を含む第2液(B液)とをそれぞれ用意し、使用直前に、第1液と第2液とを混合して、2液硬化型ポリウレタン混合物(塗料、接着剤)を調製する。
つまり、2液硬化型ポリウレタン組成物は、好ましくは、主剤および反応遅延剤を含む第1液(A液)と、硬化剤を含み反応遅延剤を含まない第2液(B液)との2液型ポリウレタン組成物である。
第1液と第2液との配合割合は、例えば、主剤(ポリオール成分)中の水酸基に対する、硬化剤(ポリイソシアネート成分)中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)として、例えば、0.5以上、好ましくは、0.8以上、より好ましくは、0.9以上であり、例えば、2以下、好ましくは、1.5以下、より好ましくは、1.2以下となる割合である。
また、必要に応じて、上記の有機溶剤を添加して、2液硬化型ポリウレタン混合物の粘度を調整する。有機溶剤の添加量は、特に制限されず、適宜調整される。
なお、有機溶剤は、第1液に添加されてもよく、第2液に添加されてもよく、第3液に添加されてもよく、また、これらの混合時に添加されてもよく、さらには、2液硬化型ポリウレタン混合物に添加されてもよい。
そして、2液硬化型ポリウレタン混合物(塗料、接着剤)は、例えば、スプレー塗装、エアスプレー塗装、はけ塗り、浸漬法、ロールコート法、フローコート法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、ダイレクトコート法などの任意の方法により、被着体に塗布される。
被着物としては、特に制限されず、例えば、各種建材および各種積層フィルムが挙げられる。より具体的には、プラスチックフィルム、金属箔、金属蒸着フィルムなどの包装材料、FRP、鋼材などの土木材料などが挙げられる。
そして、2液硬化型ポリウレタン樹脂(混合物)が乾燥および硬化することにより、ポリウレタン樹脂(硬化塗膜、接着層など)が得られる。
このような2液硬化型ポリウレタン組成物では、硬化剤が、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体とビスマスとを含有する場合において、反応遅延剤が、マルトールおよび/または没食子酸アルキルエステルを含むため、十分な可使時間を確保することができる。
そのため、上記の2液硬化型ポリウレタン組成物は、例えば、塗料、接着剤などの各種産業分野において、好適に用いられる。
次に、本発明を、合成例、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
合成例1(アロファネートA)
撹拌機、温度計、冷却器および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下、1,3-キシリレンジイソシアネート(三井化学社製、m-XDI)100質量部と、イソブチルアルコール(IBA)15.8質量部(当量比NCO/OH=5)と、トリス(2-エチルヘキシル)ホスファイト(酸化防止剤)0.06質量部と、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](酸化防止剤)0.06質量部とを仕込み、75℃で3.5時間、ウレタン化反応させた。これにより、ウレタン化物を得た。
次いで、ウレタン化物を含む反応液に、アロファネート化触媒としてのカルボン酸ビスマス(商品名XK-628、楠本化成社製、ビスマス含有割合31質量%)を、0.01質量部添加し、90℃で11時間、アロファネート化反応させ、ウレタン結合のアロファネート結合への変換がほぼ完了したことを確認し(ウレタン基/アロファネート基のIR比率が0.1以下)、オルトトルエンスルホンアミド(反応停止剤)0.06質量部を添加してアロファネート化反応を停止させた。
得られた反応液から、薄膜蒸留装置(真空度:0.05kPa、温度150℃)により、未反応のイソブチルアルコールおよび1,3-キシリレンジイソシアネートを除去し、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体と、ビスマスとを含むアロファネート組成物を得た。得られたアロファネート組成物のビスマス濃度は、60ppmであった。
なお、ビスマス濃度は、スペクトリス社製 卓上XRF装置Epsilon4を用いて測定した。なお、検量線は、JIS M 8230(1994)記載の標準ビスマス溶液を用いて作成した(以下同じ)。
得られたアロファネート組成物を、アロファネートAと称する。
合成例2(アロファネートB)
撹拌機、温度計、冷却器および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下、1,3-キシリレンジイソシアネート(三井化学社製、m-XDI)100質量部と、イソブチルアルコール(IBA)15.8質量部(当量比NCO/OH=5)と、トリス(2-エチルヘキシル)ホスファイト(酸化防止剤)0.06質量部と、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](酸化防止剤)0.06質量部とを仕込み、75℃で3.5時間、ウレタン化反応させた。これにより、ウレタン化物を得た。
次いで、ウレタン化物を含む反応液に、アロファネート化触媒としてのオクチル酸ビスマス(商品名ネオスタンU-600、日東化成製、ビスマス含有割合18質量%)を0.01質量部添加し、90℃で23時間、アロファネート化反応させ、ウレタン結合のアロファネート結合への変換がほぼ完了したことを確認し(ウレタン基/アロファネート基のIR比率が0.1以下)、オルトトルエンスルホンアミド(反応停止剤)0.06質量部を添加してアロファネート化反応を停止させた。
得られた反応液から、薄膜蒸留装置(真空度:0.05kPa、温度150℃)により、未反応のイソブチルアルコールおよび1,3-キシリレンジイソシアネートを除去し、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体と、ビスマスとを含むアロファネート組成物を得た。得られたアロファネート組成物のビスマス濃度は、35ppmであった。
得られたアロファネート組成物を、アロファネートBと称する。
参考例1、6、10、15、実施例2~5、7~9、11~14、16~19および比較例1~6
・2液硬化型ポリウレタン組成物
表1~表5に記載の処方で、アクリルポリオール(商品名:オレスターQ182、水酸基価42mgKOH/g)と、反応遅延剤と、溶剤(酢酸ブチル/PMA/酢酸エチル=1/1/1(質量比))とを、10分間混合した。
これにより、主剤(ポリオール成分)および反応遅延剤を含む第1液(A液)を得た。
一方、表1~表5に記載の処方で、アロファネートAまたはアロファネートBを準備した。
これにより、硬化剤(アロファネート)を含む第2液(B液)を得た。
以上のようにして、2液硬化型ポリウレタン組成物(樹脂キット)を得た。
・ポリウレタン樹脂
ベースコート層が形成された基材を準備し、そのベースコート層の上に、上記の2液硬化型ポリウレタン組成物(樹脂キット)を用いて、クリアコート層を形成した。
より具体的には、ポリイソシアネート(商品名:タケネートD-170N、イソシアネート基含有率20%)と、アクリルポリオール(商品名:オレスターQB1528T、水酸基価120mgKOH/g)とを、ポリオール中の水酸基に対するポリイソシアネート中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が1.0となる割合で配合した。
さらに、得られた混合物に、粘度が30~50mPa・sとなるように酢酸ブチルを添加し撹拌した。
次いで、この混合液をJIS G 3313(2017)およびJIS K 5600-1-4(1999)に準拠した標準試験板(種類:電気亜鉛めっき鋼板、ぶりき板およびガラス板)(以下、試験板と略する。)に膜厚が約15μmになるようにスプレー塗装し、80℃で5分間乾燥した。
これにより、ベースコート層が形成された基材を作成した。
その後、クリアコート層として、ポリウレタン樹脂を形成した。
より具体的には、表1~表5に記載の配合処方で、アクリルポリオール(商品名:オレスターQ182、水酸基価42mgKOH/g)と、反応遅延剤と、溶剤(酢酸ブチル/PMA/酢酸エチル=1/1/1(質量比))とを、10分間混合した。
次いで、得られた混合液に、アロファネートAまたはアロファネートBを添加し、10分間混合した。これにより、クリアコート液を得た。
そして、得られたクリアコート液を、上記のベースコート層の上に、膜厚が約35μmになるようにスプレー塗装し、80℃で30分間乾燥した。その後、乾燥塗膜を、23℃、相対湿度55%の室内にて、7日間静置した。
これにより、クリアコート層として、ポリウレタン樹脂を得た。
評価
(1)反応遅延剤溶解性
クリアコート液における反応遅延剤の溶解性を、目視により確認した。
評価の基準を下記する。
○ :反応遅延剤が良好に溶解した。
△ :反応遅延剤が一部溶け残った。
× :反応遅延剤が溶解しなかった。
(2)ポットライフ
クリアコート液の可使時間(ポットライフ)を、以下の方法で評価した。
すなわち、A液とB液を混合した時点から25℃条件下で塗工液の流動性が全くなくなるまでの時間をポットライフとした。
(3)色相(APHA)
クリアコート液の色相を、以下の方法で評価した。
すなわち、JIS K 5600(2014)に従い、目視により評価した。
(4)硬化乾燥性
クリアコート液の硬化乾燥性を、以下の方法で評価した。
すなわち、25℃で塗工面の中央を指先で急速に繰り返し擦り、指先が試料で汚れない状態になるまでの時間で評価した。
(5)鉛筆硬度
クリアコート層(ポリウレタン樹脂)の鉛筆硬度を、JIS K 5600(1999年)の手かき法に従い、測定した。
(6)耐衝撃性
クリアコート層(ポリウレタン樹脂)の耐衝撃性を、JIS K 5600(1999年)のデュポン式試験法に従い、500gのおもりを用いて測定した。

Claims (2)

  1. 硬化剤と主剤と反応遅延剤とを含む2液硬化型ポリウレタン組成物であって、
    前記硬化剤は、キシリレンジイソシアネートのアロファネート誘導体およびビスマスを含むポリイソシアネート成分を含有し、
    前記主剤は、ポリオール成分を含有し、
    前記反応遅延剤は、マルトールおよび/または没食子酸アルキルエステルを含有し、
    ビスマス1モルに対して、マルトールおよび没食子酸アルキルエステルの総量が、5モル以上5000モル以下である
    ことを特徴とする、2液硬化型ポリウレタン組成物。
  2. 前記没食子酸アルキルエステルが、没食子酸エチルエステルを含む
    ことを特徴とする、請求項1に記載の2液硬化型ポリウレタン組成物。
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